説明

コルゲートチューブのクランプ

【課題】大径のコルゲートチューブであっても、小径のコルゲートチューブであっても十分な保持力で保持できるコルゲートチューブのクランプを提供する。
【解決手段】クランプ1は、固定部本体2と、固定部本体2をボデーパネルに取付けるボデー取付部3と、固定部本体2にヒンジ5の回りに旋回してコルゲートチューブを固定部本体に押圧保持する固定部カバー6とから成り、固定部カバー6は、小径のコルゲートチューブを押圧する小コルゲート固定部カバー7と、大径のコルゲートチューブを押圧する大コルゲート固定部カバー9とから成り、小コルゲート固定部カバー7と大コルゲート固定部カバー9とは、押圧保持するコルゲートチューブの軸方向に並んで配置され、固定部本体2に対して、それぞれが別々に固定部本体上のコルゲートチューブを押圧保持できるようにヒンジ5によって固定部本体に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コルゲートチューブをボデーパネルに取付けるための、コルゲートチューブのクランプであって、異なる直径のコルゲートチューブを保持できるコルゲートチューブのクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
コルゲートチューブは、長手方向に多段の周方向溝が並んで形成されて曲げに対応できるので、ワイヤハーネス等を自動車のボデーパネルに使用されることが多い。コルゲートチューブをボデーパネルに取付けるためのクランプは、特許文献1〜3に記載のように公知である。特許文献1に記載のコルゲートチューブのクランプは、コルゲートチューブを載置して保持する固定部本体と、固定部本体をボデーパネルに取付けるためのボデー取付部と、固定部本体にヒンジを介して連結されて固定部本体を閉じるように旋回でき、固定部本体を閉じた閉状態で固定部本体に載置されたコルゲートチューブを固定部本体に押圧して固定部本体と協働してコルゲートチューブを保持する固定部カバーとから成る。
【0003】
【特許文献1】実開平2−034883号公報
【特許文献2】特開2003−018727号公報
【特許文献3】特開2006−138445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のクランプの固定部カバーには、保持するコルゲートチューブの直径が違った場合に対処するため、固定部本体の側に突出する弾性の押さえ片が設けられている。この固定部カバーの場合、小径のコルゲートチューブを保持しようとすると、弾性の押さえ片が固定部本体に押圧しようとするが、その押圧力は小さく、コルゲートチューブがぐらつき、十分な保持ができないおそれがある。
【0005】
特許文献2には、コルゲートチューブを固定するチューブ固定部と、チューブ固定部に隣接して一体に形成されてチューブ固定部から出るワイヤハーネスを巻回するハーネス固定部とから成るクランプが記載されている。このクランプは、コルゲートチューブをボデーパネルに固定するものではなく、コルゲートチューブをワイヤハーネスに固定するものである。ハーネス固定部はバンドを備えていて、ワイヤハーネスを巻回したハーネス固定部でバンドをきつく締め付け、これによって、ハーネス固定部に隣接するチューブ固定部をワイヤハーネスに対して固定する。従って、特許文献2のクランプには、異なる直径のコルゲートチューブをボデーパネルに取付ける構成はない。
【0006】
特許文献3のクランプは、コルゲートチューブを載置して保持する固定部本体と、固定部本体にヒンジを介して連結されて固定部本体を閉じるように旋回でき、固定部本体を閉じた閉状態で固定部本体に載置されたコルゲートチューブを固定部本体に押圧して固定部本体と協働してコルゲートチューブを保持する固定部カバーとから成る。このクランプにはボデーパネルに取付けるボデー取付部はない。また、異径のコルゲートチューブを保持するために、固定部カバーのロック爪を2段に形成し、固定部本体のロック爪を2段に形成して、それらのロック爪の係合の組合せを変化させることによって対処している。この構成は、1つの固定部カバーで異径コルゲートチューブに対応できる利点があるが、コルゲートチューブの保持の点で改良の余地がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、大径のコルゲートチューブであっても、小径のコルゲートチューブであっても十分な保持力で保持できるコルゲートチューブのクランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、本発明に係る、コルゲートチューブをボデーパネルに取付けるためのコルゲートチューブのクランプは、コルゲートチューブを載置して保持する固定部本体と、固定部本体に一体的に連結され、固定部本体をボデーパネルに取付けるためのボデー取付部と、固定部本体にヒンジを介して連結されて固定部本体を閉じるように旋回でき、固定部本体を閉じた閉状態で固定部本体に載置されたコルゲートチューブを固定部本体に押圧して固定部本体と協働してコルゲートチューブを保持する固定部カバーとから成り、固定部カバーは、小径のコルゲートチューブを押圧する小コルゲート固定部カバーと、大径のコルゲートチューブを押圧する大コルゲート固定部カバーとから成り、小コルゲート固定部カバーと大コルゲート固定部カバーとは、押圧保持するコルゲートチューブの軸方向に並んで配置されており、固定部本体に対して、それぞれが別々に固定部本体上のコルゲートチューブを押圧保持できるようにヒンジによって固定部本体に連結されている、ことを特徴とする。
【0009】
上記のように、固定部カバーが、小径のコルゲートチューブを押圧する小コルゲート固定部カバーと、大径のコルゲートチューブを押圧する大コルゲート固定部カバーとから成り、両固定部カバーは、押圧保持するコルゲートチューブの軸方向に並んで配置されて、固定部本体に対して、それぞれが別々に固定部本体上のコルゲートチューブを押圧保持できるようにヒンジによって固定部本体に連結されているので、大径のコルゲートチューブであっても、小径のコルゲートチューブであっても、コルゲートチューブを十分な保持力で保持することができる。また、コルゲートチューブをバンドでクランプするバンドクランプ(特許文献2参照)に比べて、バンドで締め付ける作業が不要になり、余分のバンドを切断する手間が不要になり、作業時間が短縮し、切断後のバンド廃棄物を削減できる。
【0010】
上記クランプにおいて、ヒンジは固定部本体の一端に形成され、小コルゲート固定部カバー及び大コルゲート固定部カバーのそれぞれには、コルゲートチューブを固定部本体に押圧して保持する、閉状態にロックするため、ヒンジと反対側の端部に、固定部本体の他端に形成された本体ロック手段に係合できるカバーロック手段が形成されている。
小コルゲート固定部カバーのカバーロック手段が本体ロック手段に係合した閉状態にあるとき、大コルゲート固定部カバーのカバーロック手段は本体ロック手段に係合する構成である。これによって、両固定部カバーは閉じ状態に維持される。
大コルゲート固定部カバーのカバーロック手段が本体ロック手段に係合した閉状態にあるとき、小コルゲート固定部カバーを固定部本体上に旋回した状態に維持するため、大コルゲート固定部カバーのヒンジに隣接する端部に、小コルゲート固定部カバーのカバーロック手段とは反対側の端部に当接するカバー開放防止面が形成されている。これにより、両固定部カバーは閉じ状態に維持される。
小コルゲート固定部カバー及び固定部本体には、ヒンジに隣接する位置に、小コルゲート固定部カバーがヒンジ回りに旋回するのを案内する第1ガイド手段が形成されている。これによって、小コルゲート固定部カバーの閉じ状態へのロックを容易にし、確実なロックを得るので、ロック外れの防止効果も高い。
大コルゲート固定部カバー及び固定部本体には、ヒンジに隣接する位置に、大コルゲート固定部カバーがヒンジ回りに旋回するのを案内する第2ガイド手段が形成されている。これによって、大コルゲート固定部カバーの閉じ状態へのロックを容易にし、確実なロックを得るので、ロック外れの防止効果も高い。
【0011】
また、上記クランプにおいて、ヒンジはコルゲートチューブの軸方向に延びる細長い薄肉の板状片で形成されており、小コルゲート固定部カバーが連結されるヒンジの第1部分と大コルゲート固定部カバーが連結されるヒンジの第2部分との間の板状片には、小コルゲート固定部カバー及び大コルゲート固定部カバーが固定部本体に向けて旋回する場合の旋回の前半においては一緒に旋回するが、旋回の後半においては別々に旋回できるようにする切込みが形成されている。これによって、閉じ状態への旋回において、両固定部カバーは旋回動作の前半において一緒に動くので取扱いが容易になり、旋回後半において、小径又は大径のコルゲートチューブの保持を確実にできる。
固定部本体には、コルゲートチューブの溝に嵌合するリブが形成されている。また、小コルゲート固定部カバーには、小径のコルゲートチューブの溝に嵌合するリブが形成されている。これらのリブによって、コルゲートチューブが確実に保持され、大径のコルゲートチューブであっても、小径のコルゲートチューブであっても、コルゲートチューブの軸方向のずれの防止は勿論のこと、コルゲートチューブの横方向のずれも防止できる。
【0012】
ボデー取付部は、ボデーパネルの取付穴に挿入される軸部と、軸部の先端から固定部本体に向けて錨脚形状に延びる一対の弾性の係止爪とを備え、係止爪の先端には、ボデーパネルの取付穴の縁部に係止する係止肩が係止爪の長手方向に複数段に形成されて、ボデー取付部は薄肉のボデーパネルでも、厚肉のボデーパネルにも取付可能である。
また、大コルゲート固定部カバーは、コルゲートチューブの軸方向において小コルゲート固定部カバーを挟むように、小コルゲート固定部カバーの両側に形成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の1実施形態に係る、コルゲートチューブのクランプ1を説明する。図1〜図4には、使用前の状態であって、固定部本体2の上面が固定部カバーによって覆われない開放状態にあるクランプ1が示されている。図5及び図6には、小径のコルゲートチューブが保持されたクランプ1が示されている。図7〜図11には、大径のコルゲートチューブが保持されたクランプ1が示されている。図12には、異なる厚さのボデーパネルに取付けられるボデー取付部が示されている。
【0014】
図1〜図4を参照して、クランプ1の詳細を説明する。クランプ1は、硬質プラスチック材料で一体成形される。クランプ1は、コルゲートチューブを載置して保持する固定部本体2と、固定部本体2に一体的に連結され、固定部本体をボデーパネルに取付けるためのボデー取付部3と、固定部本体2にヒンジ5を介して連結されて固定部本体2のコルゲートチューブ載置面を閉じるように旋回できる固定部カバー6とから成る。固定部カバー6は、固定部本体2のコルゲートチューブ載置面を閉じた閉状態で、固定部本体2に載置されたコルゲートチューブを固定部本体2に押圧して、固定部本体2と協働してコルゲートチューブを保持する。なお、固定部本体2は高い剛性を有する。また、ボデー取付部6は、図示の実施形態において、ボデーパネルの取付穴に挿入して取付けられる錨脚形状の弾性の係止爪を有する。
【0015】
クランプ1において、固定部カバー6は、小径のコルゲートチューブを押圧する小コルゲート固定部カバー7と、大径のコルゲートチューブを押圧する大コルゲート固定部カバー9とから成る。小コルゲート固定部カバー7と大コルゲート固定部カバー9とは、コルゲートチューブの軸方向において、並んで配置されている。図示の実施形態において、大コルゲート固定部カバー9は、コルゲートチューブの軸方向において、小コルゲート固定部カバー7を挟んで、小コルゲート固定部カバー7の両側に形成されている。そして、大コルゲート固定部カバー9と小コルゲート固定部カバー7とは、固定部本体2に対して、それぞれ別々に、固定部本体2の上面のコルゲートチューブを押圧保持できるようにヒンジ5によって固定部本体に連結されている。このように、固定部カバー6が、小径のコルゲートチューブを押圧する小コルゲート固定部カバー7と、大径のコルゲートチューブを押圧する大コルゲート固定部カバー9とから成り、両固定部カバー7、9は、コルゲートチューブの軸方向に並んで配置されて、固定部本体2に対して、それぞれが別々に固定部本体上のコルゲートチューブを押圧保持できるようにヒンジ5によって固定部本体2に連結されているので、大径のコルゲートチューブであっても、小径のコルゲートチューブであっても、コルゲートチューブを十分な保持力で保持することができる。なお、小コルゲート固定部カバー7及び大コルゲート固定部カバー9はそれぞれ高い剛性を有する。
【0016】
固定部本体2は、大径コルゲートチューブであっても小径のコルゲートチューブであっても安定して載置できる載置面を形成し、固定部本体2の中央には、小コルゲート固定部カバー7が小径のコルゲートチューブを押圧するように閉じるのを可能にする空間10が形成されている。空間10の両側には、中央にコルゲートチューブの横断面に沿って円形の凹み11が形成された剛性の板状のフレーム13が対を成すように設けられている。フレーム13の一端(図1〜図3の右端)には、ヒンジ5が設けられている。ヒンジ5は、図示のように、コルゲートチューブの軸方向に延びる細長い薄肉の板状片で形成されている。また、ヒンジ5は、小コルゲート固定部カバー7が連結される第1部分14と大コルゲート固定部カバー9が連結される第2部分15とから成る。固定部本体2の他端(ヒンジ5と反対側の端部)には、本体ロック手段としての第1本体ロック爪17及び第2本体ロック爪18が形成されており、それぞれ、小コルゲート固定部カバー7のロック手段としての第1カバーロック爪及び大コルゲート固定部カバー9ロック手段としての第2カバーロック爪に係合して、コルゲートチューブを固定部本体に押圧して保持する、閉状態にロックする。
【0017】
フレーム13の凹み11のコルゲートチューブの載置面側には、コルゲートチューブの溝に嵌合するリブ19がフレーム13の長手方向に沿って形成されている。固定部本体2の底部は、固定部本体2の剛性を確保するため、ボデー取付部3の係止爪38の成形のための穴の部分を除いて、ボデー取付部3の軸部37に一体に連結される。更に、ヒンジ5に隣接する端部には、小コルゲート固定部カバー7がヒンジ5の回りに旋回するのを案内する第1ガイド手段としての第1ガイド穴22が形成され、また、大コルゲート固定部カバー9がヒンジ5の回りに旋回するのを案内する第2ガイド手段としての第2ガイド穴23が形成されている。これらによって、小コルゲート固定部カバー7や大コルゲート固定部カバー9の閉じ状態へのロックを容易にし、確実なロックを得るので、ロック外れの防止効果を高くする。
【0018】
ヒンジ5は、コルゲートチューブの軸方向に延びる細長い薄肉の板状片で形成され、小コルゲート固定部カバー7が連結される1つの第1部分14と、大コルゲート固定部カバー9が連結される、2つの第2部分15とから成る。そして、第1部分14と2つの第2部分15との間には、小コルゲート固定部カバー7及び大コルゲート固定部カバー9が固定部本体2に向けて旋回する場合の旋回の前半においては一緒に旋回するが、旋回の後半においては別々に旋回できるようにする、切込み25が2つ形成されている。これによって、閉じ状態へ旋回するとき、両固定部カバーは旋回動作の前半において一緒に動くので取扱いが容易になり、旋回後半において、小径又は大径のコルゲートチューブの保持を確実にできる。
【0019】
小コルゲート固定部カバー7は、ヒンジ5の第1部分14を介して固定部本体2の一端に連結されている。また、小コルゲート固定部カバー7は、2つの大コルゲート固定部カバー9の間の中央に形成されており、ヒンジ5の第1部分14の回りに、固定部本体2の中央の空間10に入るように旋回する。小コルゲート固定部カバー7は、全体として小径のコルゲートチューブを固定部本体2の凹み11の部分に押圧して保持するように、凹み11に対応する中間の位置で湾曲してから他端に細長く延びる形状に形成されている。小コルゲート固定部カバー7の先端には、固定部本体2の第1本体ロック爪17に係合するロック手段としての第1カバーロック爪26が形成されている。第1本体ロック爪17に第1カバーロック爪26が係合することによって、固定部本体2の凹み10に載置された小径のコルゲートチューブは押圧保持されて十分な保持力で保持され、その保持がロックされる。
【0020】
小コルゲート固定部カバー7のコルゲートチューブを押圧する側の面には、小径のコルゲートチューブの溝に嵌合するリブ27が、複数(図示の例では3個)形成されている。リブ27の間隔は、小径のコルゲートチューブの溝のピッチに合わせて形成される。リブ27によって、小径のコルゲートチューブの軸方向のずれの防止は勿論のこと、横方向におけるずれも防止できる。固定部本体2のリブ19が小径のコルゲートチューブの溝に嵌合すると、コルゲートチューブの軸方向のずれの防止及び横方向におけるずれ防止の効果は一層高くなる。小コルゲート固定部カバー7には、ヒンジ5の第1部分14に隣接する位置に、小コルゲート固定部カバー7がヒンジ5の回りに旋回するのを案内する第1ガイド手段としての第1ガイド突起29が形成されている。第1ガイド突起29は小コルゲート固定部カバー7の閉状態への旋回において固定部本体の第1ガイド穴22に嵌合する。これによって、小コルゲート固定部カバー7の閉じ状態へのロックを容易にし、確実なロックが得られるので、ロックが外れるのを防止する。小コルゲート固定部カバー7のヒンジ5に隣接する端面28は、図9及び図11に図示のように、大コルゲート固定カバー9が閉状態にある場合において、大コルゲート固定部カバー9とともに旋回した状態になるように、大コルゲート固定部カバー9のヒンジ5に隣接する端部に形成されたカバー開放防止面に当接するように形成されている。これにより、小コルゲート固定部カバー7は大コルゲート固定部カバー9とともに閉じ状態に維持される。
【0021】
大コルゲート固定部カバー9は、ヒンジ5の第2部分15を介して固定部本体2の一端に連結されている。また、大コルゲート固定部カバー9は、中央の小コルゲート固定部カバー7の両側に形成されており、ヒンジ5の2つの第2部分15の回りに、固定部本体2の両側のフレーム13に対面するように旋回する。大コルゲート固定部カバー9は、全体として大径のコルゲートチューブを固定部本体2のフレーム13の凹み11の部分に押圧して保持するように、凹み11に対応する中間の位置に半円の湾曲部30を有し、他端に向けて長く延びる板状のフレーム形状に形成されている。大コルゲート固定部カバー9の先端には、固定部本体2の第2本体ロック爪18に係合するロック手段としての第2カバーロック爪31が形成されている。第2本体ロック爪18に第2カバーロック爪31が係合することによって、固定部本体2の凹み10に載置された大径のコルゲートチューブは押圧保持されて十分な保持力で保持され、その保持がロックされる。大コルゲート固定部カバー9において、第2カバーロック爪31の部分は、2つの大コルゲート固定部カバー9の、ヒンジ5と反対側の端部を連結するアーム32に形成されている。このアーム32は、2つの大コルゲート固定部カバー9が一緒に旋回できるように連結している。
【0022】
大コルゲート固定部カバー9のコルゲートチューブを押圧する側の面には、大径のコルゲートチューブの溝に嵌合するリブ33が形成されている。リブ33によって、大径のコルゲートチューブの軸方向のずれを防止し、横方向におけるずれも防止する。固定部本体2のリブ19が大径のコルゲートチューブの溝に嵌合すると、コルゲートチューブの軸方向のずれの防止及び横方向におけるずれ防止の効果は一層高くなる。大コルゲート固定部カバー9には、ヒンジ5の第2部分15に隣接する位置に、大コルゲート固定部カバー9がヒンジ5の回りに旋回するのを案内する第2ガイド手段としての第2ガイド突起34が形成されている。第2ガイド突起34は大コルゲート固定部カバー9の閉状態への旋回において固定部本体の第2ガイド穴23に嵌合する。これによって、大コルゲート固定部カバー9の閉じ状態へのロックを容易にし、確実なロックが得られるので、ロックが外れるのを防止する。大コルゲート固定部カバー9のヒンジ5に隣接する端面35は、図9及び図11に示すように、大コルゲート固定カバー9が閉状態にある場合において、小コルゲート固定部カバー7が大コルゲート固定部カバー9とともに旋回した状態になるように、小コルゲート固定部カバー7の端面に当接するカバー開放防止面35として形成されている。これにより、大径のコルゲートチューブを保持した場合、小コルゲート固定部カバー7を大コルゲート固定部カバー9とともに閉じ状態に維持する。
【0023】
図示の1実施形態において、ボデー取付部3は、固定部本体2から垂下して、ボデーパネルの取付穴に挿入してボデーパネルに取付けられる形状に形成されている。ボデー取付部3を、図3、図4及び図12を参照して説明する。ボデー取付部3は、ボデーパネルの取付穴に挿入される軸部37と、軸部37の先端(下端)から固定部本体2に向けて斜めに錨脚形状に延びる一対の弾性の係止爪38とを備えている。各係止爪の先端には、ボデーパネルの取付穴の縁部に係止する係止肩39が係止爪38の長手方向に複数段に形成されている。これによって、図12に示すように、ボデー取付部3は、図12の右側に示す薄肉のボデーパネルP1でも、図12の左側に示す厚肉のボデーパネルP2にも取付可能になる。なお、軸部37は、図4(及び図1)に示すように、係止爪38以外の部分において、ボデーパネルの取付穴の縁部に係合する部分が多くなる(横断面において取付穴の形状に近い形状を有する)ように形成されるのが好ましく、それによって、取付穴への固定が安定する。なお、ボデー取付部3は、他の形状、例えば、特許文献1に記載のようなスタッドへの係止部であってもよい。
【0024】
かかる構成のクランプ1に小径のコルゲートチューブ41を保持させた状態を、図5、図6及び図12(便宜上、図12には小径のコルゲートチューブ41は省略してある)を参照して説明する。小径のコルゲートチューブ41は、固定部本体2のフレーム13の凹み11に載置されて、固定部カバー6の小コルゲート固定部カバー7がヒンジ5の回りに閉状態に旋回される。この旋回によって、大コルゲート固定部カバー9も一緒に旋回させられる。作業者は、小コルゲート固定部カバー7にコルゲートチューブ41が当たり始めるとその旋回動作を強くしてコルゲートチューブ41をフレーム13の凹み11に押圧する。この押圧によって、小コルゲート固定部カバー7の第1カバーロック爪26が固定部本体2の第1本体ロック爪17に係合し、小径のコルゲートチューブ41をクランプ1に強固に保持させ、その保持をロックする。小コルゲート固定部カバー7の旋回と一緒に、大コルゲート固定部カバー9も旋回させると、第2カバーロック爪31が固定部本体2の第2本体ロック爪18に係合して、大コルゲート固定部カバー9を閉状態にロックする。これらの様子が図5及び図12に示されている。そして、図6に示すように、小径のコルゲートチューブ41の溝には、小コルゲート固定部カバー7の3個のリブ27が嵌合しており、これによって、小径のコルゲートチューブ41の軸方向のずれを防止し、更に、横方向におけるずれを防止する。図6に図示のように、固定部本体2のリブ19が小径のコルゲートチューブ41の溝に嵌合しており、これによって、コルゲートチューブ41の軸方向ずれの防止効果及び横方向ずれの防止効果は一層高くなっている。
【0025】
次に、クランプ1に大径のコルゲートチューブ42を保持させた状態を、図7〜図11を参照して説明する。大径のコルゲートチューブ42は、固定部本体2のフレーム13の凹み11に載置される。作業者は、2つの大コルゲート固定部カバー9の端部をつなぐアーム32をもって、2つの大コルゲート固定部カバー9をヒンジ5の回りに閉状態にするように旋回させる。この旋回によって、小コルゲート固定部カバー7も一緒に旋回させられるが、大径のコルゲートチューブ42に当たるとそこでその旋回は停止する。一方、作業者によって、2つの大コルゲート固定部カバー9は旋回させられて、大径のコルゲートチューブ42に当接し始める。作業者は更にその旋回動作を強くして、大コルゲート固定部カバー9によってコルゲートチューブ42をフレーム13の凹み11に押圧する。この押圧によって、大コルゲート固定部カバー9の第2カバーロック爪31が固定部本体2の第2本体ロック爪18に係合し、大径のコルゲートチューブ42をクランプ1に強固に保持させ、その保持をロックする。かかる状態が、図7〜図9に示されている。そして、図10に示すように、大径のコルゲートチューブ42の溝には、2つの大コルゲート固定部カバー9のリブ33が嵌合しており、これによって、大径のコルゲートチューブ42の軸方向のずれを防止し、更に、横方向におけるずれを防止する。また、図10に図示のように、大コルゲート固定部カバー9に対面するフレーム13のリブ19が大径のコルゲートチューブ42の溝に嵌合しており、これによって、コルゲートチューブ42の軸方向ずれの防止効果及び横方向ずれの防止効果は一層高くなっている。
【0026】
小コルゲート固定部カバー7は、大径のコルゲートチューブ42に当接した状態で停止してそれ以上旋回できないので、第1カバーロック爪26は第1本体ロック爪17に係合できない。従って、小コルゲート固定部カバー7が中途半端に旋回した状態になって好ましくない。これに対処して、大コルゲート固定部カバー9のヒンジ5に隣接する端面35は、図9及び図11に示すように、大コルゲート固定カバー9が閉状態にある場合において、小コルゲート固定部カバー7が大コルゲート固定部カバー9とともに旋回した状態になるように、小コルゲート固定部カバー7の端面に当接するカバー開放防止面35として形成されている。従って、大径のコルゲートチューブを保持する場合に、大コルゲート固定部カバー9が閉状態にされると、カバー開放防止面35が図11に示すように小コルゲート固定部カバー7の端面28に当接して、小コルゲート固定部カバー7を大コルゲート固定部カバー9とともに閉じ状態に維持する。
【0027】
なお、上記の実施形態においては、小コルゲート固定部カバー7と大コルゲート固定部カバー9との2種類の固定部カバーが形成されているが、大コルゲート固定部カバー9の外側(すなわち、大コルゲート固定部カバー9の両側)にもう1つのコルゲート固定部カバーを設けて、異なる直径のコルゲートチューブを保持するようにすることができる。更に、それ以上の固定部カバーを設けて、多数の直径のコルゲートチューブを保持するようにもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の1実施形態に係るコルゲートチューブのクランプの斜視図である。
【図2】図1のクランプの平面図である。
【図3】図1のクランプの正面図である。
【図4】図3のクランプの右側面図である。
【図5】小径のコルゲートチューブを保持した図1のクランプの正面図である。
【図6】図5のクランプのA−A線での端面図である。
【図7】大径のコルゲートチューブを保持した図1のクランプの正面図である。
【図8】図7のクランプの平面図である。
【図9】図8のクランプのB−B線断面図である。
【図10】図7のクランプのC−C線での端面図である。
【図11】図9のクランプの円Dの部分の拡大図である。
【図12】図5のクランプのA−A線と直交する方向の縦断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 コルゲートチューブのクランプ
2 固定部本体
3 ボデー取付部
5 ヒンジ
6 固定部カバー
7 小コルゲート固定部カバー
9 大コルゲート固定部カバー
10 小コルゲート固定部カバー用の空間
11 コルゲートチューブ載置用の凹み
13 フレーム
14 ヒンジの第1部分
15 ヒンジの第2部分
17 第1本体ロック爪
18 第2本体ロック爪
19 固定部本体のフレームのリブ
22 第1ガイド穴
23 第2ガイド穴
25 ヒンジの切込
27 小コルゲート固定部カバーのリブ
29 第1ガイド突起
31 第2カバーロック爪
33 大コルゲート固定部カバーのリブ
34 第2ガイド突起
35 カバー開放防止面
37 軸部
38 係止爪
39 係止肩
41 小径のコルゲートチューブ
42 大径のコルゲートチューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コルゲートチューブをボデーパネルに取付けるためのコルゲートチューブのクランプであって、
コルゲートチューブを載置して保持する固定部本体と、前記固定部本体に一体的に連結され、該固定部本体をボデーパネルに取付けるためのボデー取付部と、前記固定部本体にヒンジを介して連結されて該固定部本体を閉じるように旋回でき、該固定部本体を閉じた閉状態で該固定部本体に載置されたコルゲートチューブを該固定部本体に押圧して該固定部本体と協働してコルゲートチューブを保持する固定部カバーとから成り、
前記固定部カバーは、小径のコルゲートチューブを押圧する小コルゲート固定部カバーと、大径のコルゲートチューブを押圧する大コルゲート固定部カバーとから成り、該小コルゲート固定部カバーと該大コルゲート固定部カバーとは、押圧保持するコルゲートチューブの軸方向に並んで配置されており、前記固定部本体に対して、それぞれが別々に固定部本体上のコルゲートチューブを押圧保持できるように前記ヒンジによって前記固定部本体に連結されている、
ことを特徴とするクランプ。
【請求項2】
請求項1に記載のクランプにおいて、前記ヒンジは前記固定部本体の一端に形成され、前記小コルゲート固定部カバー及び前記大コルゲート固定部カバーのそれぞれには、コルゲートチューブを前記固定部本体に押圧して保持する、前記閉状態にロックするため、前記ヒンジと反対側の端部に、前記固定部本体の他端に形成された本体ロック手段に係合できるカバーロック手段が形成されている、ことを特徴とするクランプ。
【請求項3】
請求項2に記載のクランプにおいて、前記小コルゲート固定部カバーの前記カバーロック手段が前記本体ロック手段に係合した前記閉状態にあるとき、前記大コルゲート固定部カバーの前記カバーロック手段は前記本体ロック手段に係合する構成である、ことを特徴とするクランプ。
【請求項4】
請求項2に記載のクランプにおいて、前記大コルゲート固定部カバーの前記カバーロック手段が前記本体ロック手段に係合した前記閉状態にあるとき、該小コルゲート固定部カバーを前記固定部本体上に旋回した状態に維持するため、前記大コルゲート固定部カバーの前記ヒンジに隣接する端部に、前記小コルゲート固定部カバーの前記カバーロック手段とは反対側の端部に当接するカバー開放防止面が形成されている、ことを特徴とするクランプ。
【請求項5】
請求項2に記載のクランプにおいて、前記小コルゲート固定部カバー及び前記固定部本体には、前記ヒンジに隣接する位置に、前記小コルゲート固定部カバーが前記ヒンジ回りに旋回するのを案内する第1ガイド手段が形成されている、ことを特徴とするクランプ。
【請求項6】
請求項2に記載のクランプにおいて、前記大コルゲート固定部カバー及び前記固定部本体には、前記ヒンジに隣接する位置に、前記大コルゲート固定部カバーが前記ヒンジ回りに旋回するのを案内する第2ガイド手段が形成されている、ことを特徴とするクランプ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のクランプにおいて、前記ヒンジはコルゲートチューブの軸方向に延びる細長い薄肉の板状片で形成されており、前記小コルゲート固定部カバーが連結される前記ヒンジの第1部分と前記大コルゲート固定部カバーが連結される前記ヒンジの第2部分との間の前記板状片には、前記小コルゲート固定部カバー及び前記大コルゲート固定部カバーが前記固定部本体に向けて旋回する場合の該旋回の前半においては一緒に旋回するが、前記旋回の後半においては別々に旋回できるようにする切込みが形成されている、ことを特徴とするクランプ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のクランプにおいて、前記固定部本体には、コルゲートチューブの溝に嵌合するリブが形成されている、ことを特徴とするクランプ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のクランプにおいて、前記小コルゲート固定部カバーには、小径のコルゲートチューブの溝に嵌合するリブが形成されている、ことを特徴とするクランプ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のクランプにおいて、前記ボデー取付部は、ボデーパネルの取付穴に挿入される軸部と、該軸部の先端から前記固定部本体に向けて錨脚形状に延びる一対の弾性の係止爪とを備え、前記係止爪の先端には、前記ボデーパネルの取付穴の縁部に係止する係止肩が係止爪の長手方向に複数段に形成されて、該ボデー取付部は薄肉のボデーパネルでも、厚肉のボデーパネルにも取付可能である、ことを特徴とするクランプ。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のクランプにおいて、前記大コルゲート固定部カバーは、コルゲートチューブの軸方向において前記小コルゲート固定部カバーを挟むように、該小コルゲート固定部カバーの両側に形成されている、ことを特徴とするクランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−133543(P2010−133543A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312612(P2008−312612)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(390025243)ポップリベット・ファスナー株式会社 (159)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】