説明

コレット、及び光デバイスの製造方法

【課題】光素子を高い精度で位置決めすることが可能なコレット、及び光デバイスの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、PD21を搭載したベース22を保持する保持部102と、保持部102により吸着保持されたベース22と接触し、かつPD21と電気的に接触するプローブ106と、を具備するコレットである。また本発明は、光出力端を有するPLC14と、PD21を搭載したベース22を有する光電変換部20との位置合わせを行う光デバイスの製造方法であって、PLC14を固定する第1工程と、ベース22を吸着保持する保持部102と、ベース22に設けられた電極28と電気的に接触するプローブ106を備えるコレット100により、ベース22を吸着保持する第2工程と、プローブ106を介してPD21を駆動しつつ、PLC14と光電変換部20との位置合わせを行う第3工程と、を有する光デバイスの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコレット、及び光デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信の分野では、発光素子及び受光素子等の光素子を搭載した光デバイスが用いられる。光デバイスには、光の入出力を行うための光学部品と、光素子とを実装する。光通信を良好に行うためには、光素子と、光学部品の入力端又は出力端とが光結合することが求められる。従って、光素子をパッケージ基板に固定する際には、位置決めに極めて高い精度が求められる。例えば特許文献1には、コレットに素子を吸着しつつ、搭載領域に素子を搬送するようなダイボンディングの発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−302630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、光素子を高い精度で位置決めすることが困難になる場合があった。本願発明は上記課題に鑑み、光素子を高い精度で位置決めすることが可能なコレット、及び光デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、光素子を搭載したベースを吸着保持する保持部と、前記保持部が前記ベースを吸着保持した状態で、前記ベースに設けられた電極と電気的に接触する接触部と、を具備するコレットである。本発明によれば、光素子を高い精度で位置決めすることが可能である。
【0006】
上記構成において、前記保持部を基準として前記接触部と点対称となる位置に設けられ、前記ベースと接触する、前記接触部とは別の接触部を具備する構成とすることができる。この構成によれば、ベースの吸着及び位置決めを良好に行うことが可能となる。
【0007】
上記構成において、前記保持部は導電体又は絶縁体からなる構成とすることができる。
【0008】
本発明は、光入力端又は光出力端を有する光学部品と、光素子を搭載したベースを有する光アセンブリとの位置合わせを行う光デバイスの製造方法であって、前記光学部品を固定する第1工程と、前記ベースを吸着保持する保持部と、前記ベースに設けられた電極と電気的に接触する接触部とを備えるコレットにより、前記ベースを吸着保持するとともに、前記接触部と前記電極とを電気的に接触させる第2工程と、前記接触部を介して前記光素子を駆動しつつ、前記光学部品と前記光アセンブリとの位置合わせを行う第3工程と、を有する光デバイスの製造方法である。本発明によれば、光素子を高い精度で位置決めすることが可能である。
【0009】
上記構成において、前記ベースには複数の配線が設けられ、前記複数の配線のうち1つの配線は、前記複数の配線のうち前記1つの配線以外の配線より広い幅を有し、前記保持部は、前記複数の配線のうち前記1つの配線のみを吸着保持する構成とすることができる。この構成によれば、配線間のショートが抑制される。
【0010】
上記構成において、前記光学部品には複数の光入力端又は複数の光出力端が設けられ、前記第1工程の後、前記第2工程及び前記第3工程を複数回行うことにより、前記複数の光入力端の各々又は前記複数の光出力端の各々に対応して用意された複数の前記光アセンブリの各々と、前記光学部品との位置合わせを順次行う構成とすることができる。この構成によれば、複数の光素子を高い精度で位置決めすることが可能である。
【0011】
上記構成において、前記第3工程は、前記光学部品に基準光を入力し、前記光学部品を通過した前記基準光を前記光素子によって検知することにより実施される構成とすることができる。この構成によれば、工程を簡略化することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光素子を高い精度で位置決めすることが可能なコレット、及び光デバイスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1(a)は光デバイスを例示する斜視図であり、図1(b)は光電変換部を例示する断面図である。
【図2】図2(a)及び図2(b)は比較例に係る光デバイスの製造方法を例示する斜視図である。
【図3】図3(a)及び図3(b)は比較例に係る光デバイスの製造方法を例示する斜視図である。
【図4】図4は光デバイスを例示する斜視図である。
【図5】図5は実施例1に係るコレットを例示する斜視図である。
【図6】図6(a)及び図6(b)は実施例1に係る光デバイスの製造方法を例示する斜視図である。
【図7】図7(a)及び図7(b)は実施例1に係る光デバイスの製造方法を例示する斜視図である。
【図8】図8(a)は幅広の電極を備える光電変換部を例示する斜視図であり、図8(b)は実施例1の変形例に係る光デバイスの製造方法を例示する斜視図である。
【図9】図9(a)は実施例2に係るコレットを例示する平面図であり、図9(b)は実施例2に係るコレットを例示する斜視図である。
【図10】図10(a)は実施例2に係る光デバイスの製造方法を例示する斜視図であり、図10(b)及び図10(c)は吸着工程におけるコレットと光電変換部とを例示する正面図である。
【図11】図11は、DP−QPSK(Dual Polarization-Quadrature Phase Shift Keying)方式に対応したデジタルコヒーレント光レシーバを例示するブロック図である。
【図12】図12(a)はDP−QPSK方式に対応した光デバイスを例示する平面図であり、図12(b)は光デバイスを例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を用いて、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0015】
まず光デバイスについて説明する。図1(a)は光デバイスを例示する斜視図であり、図1(b)は光電変換部を例示する断面図である。なお図1(a)における光電変換部20は模式的に図示したものである。図1(b)においては光電変換部20を拡大し、A−Aに沿った断面図を図示した。
【0016】
図1(a)に示すように、光デバイス90は、パッケージ基板10、電源配線基板12、PLC14(光学部品)、ワイヤ16、及び光電変換部20を備える。光デバイス90は例えば受光装置である。パッケージ基板10は例えばセラミック等の絶縁体からなる。電源配線基板12は、例えばセラミック等の絶縁体からなる基板上に、例えば金(Au)等の金属からなる配線が設けられた構成を有する。電源配線基板12には、光デバイス90の外部から、光電変換部20を駆動させるための電源電圧が入力される。PLC14は、例えばシリコン(Si)等からなる基板上に導波路が設けられた構成を有する。導波路は、光デバイス90の外部からPLC14に入力される光の通路として機能する。導波路を通る光は、PLC14の出力端から光電変換部20に出力される。
【0017】
光電変換部20は、PD21(図1(a)では図示せず)、ベース22、TIA23、PDキャリア25、配線26、TIAキャリア27、及び電極28を備える。ベース22は例えば鉄(Fe)とニッケル(Ni)との合金からなる。PDキャリア25及びTIAキャリア27の各々は、例えば酸化アルミニウム(AlO)等のセラミックからなる。PD21は、例えばPD(Photo Diode:フォトダイオード)からなる。TIA23は、TIA(Trance Impedance amplifier:トランスインピーダンスアンプ)からなる。電極28は、ベース22の電源配線基板12側の辺に沿って設けられている。配線26及び電極28は例えば金等の金属からなる。TIA23と、配線26とは電気的に接続されている。配線26と、電極28とは電気的に接続されている。TIA23と電極28とは、配線26を介して電気的に接続されている。ワイヤ16は、例えば金等の金属からなり、電極28と、電源配線基板12が備える配線とを接続する。このように、光電変換部20と電源配線基板12とはワイヤボンディングされる。これにより、PD21及びTIA23は通電可能となる。電源配線基板12、ワイヤ16、電極28及び配線26を介して、PD21及びTIA23の各々に電源電圧が印加され、PD21及びTIA23は駆動可能となる。またTIA23の出力信号は、配線26、電極28、ワイヤ16及び電源配線基板12を介して、光デバイス90の外部に出力される。
【0018】
図1(b)を参照して、光電変換部20の構成について詳しく説明する。光デバイスの組立体、すなわち光アセンブリである光電変換部20は、ベース22、PD21(光素子)、TIA23、PDキャリア25、及びTIAキャリア27を備える。ベース22上には、PDキャリア25及びTIAキャリア27が設けられている。PDキャリア25の前面にはPD21がフリップチップボンディングされている。なお図の左方向を前方向とした。またPDキャリア25の前面及び上面には、PD21と電気的に接続された配線が形成されている。TIAキャリア27上にはTIA23が設けられている。TIAキャリア27上面には、TIA23と電気的に接続された配線が形成されている。PDキャリア25が備える配線と、TIAキャリア27が備える配線とは、例えば金等の金属からなるワイヤ29により電気的に接続されている。このように、PD21とTIA23とは電気的に接続されている。PD21は光信号を受信して、電流を出力する。TIA23は、PD21が出力した電流を増幅して電圧に変換して、出力信号として出力する。光電変換部20は、光信号を電気信号に変換する光電気変換回路として機能する。既述したように、TIA23の出力信号は、配線26、電極28、ワイヤ16及び電源配線基板12を介して、光デバイス90の外部に出力される。
【0019】
次に比較例について説明する。光通信を良好に行うため、PLC14の出力端の光軸と、光電変換部20が備えるPD21の光軸とを合わせ、PLC14の出力端とPD21との光結合を得ることが求められる。従って、光電変換部20の位置決めには高い精度が求められる。位置決めを高精度で行うために、光電変換部20を駆動させ、光電変換部20とPLC14との光結合を確認しながら、PLC14と光電変換部20との位置合わせ、及びPLC14の固定を行うアクティブアライメント法が用いられることがある。比較例として、アクティブアライメント法を行う例について説明する。図2(a)から図3(b)は比較例に係るコレット、及び受光装置を例示する平面図である。
【0020】
図2(a)に示すように、比較例に係るコレット11は、下端に吸着口を備えており、ベース22を吸着保持する。より詳細には、コレット11は、例えば内部を減圧することによりベース22を吸着し、吸着したままベース22を保持する。コレット11は例えばセラミック等の絶縁体からなる。
【0021】
図2(b)に示すように、コレット11は、ベース22をパッケージ基板10上まで運搬し、パッケージ基板10の上面にベース22を配置する。ベース22は、例えばロウ材等によりパッケージ基板10に固定される。
【0022】
図3(a)に示すように、パッケージ基板10の上面に電源配線基板12を固定する。さらに、TIAキャリア27に設けられた電極28と、電源配線基板12とが、ワイヤ16により電気的に接続される。これにより、PD21及びTIA23は通電可能となる。
【0023】
図3(b)に示すように、コレット11はPLC14を吸着保持し、PLC14をパッケージ基板10の上面に配置する。ただし、PLC14はパッケージ基板10に固定されていない。PLC14には光が入力される。入力された光はPLC14から、光電変換部20が備えるPD21に出力される。このとき、PD21及びTIA23の各々は、電源電圧が印加される。またTIA23は、TIA23の出力信号を測定するための電子機器に接続される。電子機器はパッケージ基板10の外部に配置されている。PD21はPLC14が出力した光を受光し、信号を出力する。PLC14はパッケージ基板10に固定されていないため、コレット11を移動させることでPLC14を移動させることができる。従って、PD21を駆動させかつPLC14を移動させることで、PD21とPLC14の出力端との光結合を調整しながら、光電変換部20とPLC14との位置合わせが可能となる。言い換えれば、電子機器によりTIA23の出力信号を測定しながら、PLC14が配置される位置を決めることが可能となる。例えば、PD21の出力信号が最大になるようなPLC14の位置を、最適な位置と定めることができる。PLC14を最適な位置に配置し、パッケージ基板10に固定する。以上で光デバイス90が完成する。
【0024】
次に、光電変換部が複数で、かつPLC14が複数の導波路を備える場合を考える。図4は光デバイスを例示する斜視図である。図1(a)及び図1(b)において既述した構成と同じ構成については、説明を省略する。
【0025】
図4に示すように、光デバイス90aは、パッケージ基板10、電源配線基板12、PLC14、ワイヤ16、光電変換部20、光電変換部30、及び光電変換部40を備える。PLC14は複数の導波路を備える。PLC14に入力された複数の光の各々は、複数の導波路の各々を通過する。複数の導波路の各々は、光電変換部20、光電変換部30及び光電変換部40の各々に対応した出力端を有する。
【0026】
光電変換部30は、PD31(図示せず)、ベース32、TIA33、PDキャリア35、配線36、TIAキャリア37、電極38a及び電極38bを備える。電極38aは、ベース32の光電変換部40側の一辺に沿って設けられている。電極38bは、ベース32の光電変換部20側の一辺に沿って設けられている。光電変換部40は、PD41(図示せず)、ベース42、TIA43、PDキャリア45、配線46、TIAキャリア47、電極48a及び電極48bを備える。電極48aはベース42の電源配線基板12側の一辺に沿って設けられている。電極48bはベース42の光電変換部30側の一辺に沿って設けられている。なお、各電極の個数及び配線の本数は例示したものであり、変更可能である。図1(b)に示したPD21と同様に、光電変換部30が備えるPD31はPDキャリア35に、光電変換部40が備えるPD41はPDキャリア45に、それぞれフリップチップボンディングされている。
【0027】
電極48aと電源配線基板12とはワイヤ16により電気的に接続されている。電極48bと電極38aとはワイヤ16により電気的に接続されている。電極48aと電極48bとは、例えばベース42内部に形成された内部配線等により、電気的に接続されている。PD41及びTIA43には、電源配線基板12、ワイヤ16、電極48a及び配線46を介して電源電圧が印加される。また、PD31及びTIA33には、電源配線基板12、ワイヤ16、光電変換部30、電極38a及び配線36を介して、電源電圧が印加される。電極38aと電極38bとは、例えばベース32内部に形成された内部配線等により、電気的に接続されている。光電変換部20が備える電極28と、光電変換部30が備える電極38bとは、ワイヤ16により電気的に接続されている。PD21及びTIA23には、電源配線基板12、ワイヤ16、光電変換部30、光電変換部40、電極28及び配線26を介して、電源電圧が印加される。
【0028】
以上のように、複数の光電変換部を備え、かつPLC14が複数の導波路を備える光デバイス90aでは、電源配線基板12、光電変換部20、光電変換部30及び光電変換部40がパッケージ基板10に固定され、かつワイヤボンディングが行われることによって、各光電変換部が通電可能な状態となる。
【0029】
比較例において説明したような製造方法により光デバイス90aを製造する場合、光電変換部の位置決め精度が低下する恐れがある。この点について説明する。光デバイス90aの製造工程においてアクティブアライメント法を行う場合、まず光電変換部40をパッケージ基板10に固定し、かつPD41及びTIA43通電可能とする。その後、PD41と、PLC14の出力端との光結合を確認しながら、PLC14と光電変換部40との位置合わせを行い、PLC14の位置を決める。その後、PLC14を固定する。PLC14を固定した後、光電変換部30及び光電変換部40をパッケージ基板10に搭載する。しかしながら、電極38aと電極48bとはワイヤボンディングされていない。従って、PD31及びTIA33は通電可能な状態にはない。このため、PD31を駆動させ、PD31とPLC14の出力端との光結合を確認しながら、PLC14と光電変換部30との位置合わせを行うことが困難となる。この場合、良好な光結合を得られるような、高い精度での位置決めが困難となる。上記の問題は、光電変換部40についても生じる。また、光電変換部が2つの場合でも、4つ以上の場合でも位置決め精度の低下が問題となる。すなわち、PLC14に複数の導波路を集約して形成し、パッケージ基板に複数の光電変換部を搭載する場合、アクティブアライメント法を行うことが困難となり、位置決め精度が低下する。
【0030】
次に実施例1について説明する。図5は実施例1に係るコレットを例示する斜視図である。図2において既述した構成と同じ構成については、説明を省略する。
【0031】
図5に示すように、実施例1に係るコレット100は、配線101及び103、保持部102(保持部)、板部104、並びにプローブ106(接触部)を備える。保持部102は、比較例に係るコレット11と同じ構成であり、例えばセラミック等の絶縁体からなる。板部104は、例えばセラミック等の絶縁体からなる。配線101は例えば金等の金属からなる。配線103は、例えば外部の電子機器とコレット100とを連結するケーブルに内蔵されている配線である。プローブ106は、例えばタングステン(W)等の金属からなる。
【0032】
板部104は、コレット100の下端と上端との間に位置する。保持部102は板部104を貫通する。板部104の上面には配線101が設けられている。また板部104には、プローブ106が設けられている。プローブ106は、板部104を貫通し、板部104から下に向けて延びている。プローブ106の下端は、光電変換部20が備える電極28と電気的に接触することが可能である。プローブ106と電極28とが電気的な接触をするとは、プローブ106と電極28とが電気的な接続、言い換えれば導通することを意味する。板部104において、プローブ106と配線101とは電気的に接続されている。配線101は、例えば半田等により、配線103と電気的に接続されている。配線103は、電源電圧と接続され、さらに光デバイスの出力信号を測定するための電子機器と接続される。このように、プローブ106は、配線101及び103を介して、電源電圧、及び光デバイスの外部に設置された電子機器と接続される。
【0033】
次に実施例1に係る光デバイスの製造方法について説明する。図6(a)から図7は実施例1に係る光デバイスの製造方法を例示する斜視図である。図2(a)から図3(b)において既述した構成と同じ構成については、説明を省略する。
【0034】
図6(a)に示すように、まずパッケージ基板10の上面に、電源配線基板12及びPLC14を搭載する工程を行う(第1工程)。このとき、電源配線基板12及びPLC14はパッケージ基板10に固定される。
【0035】
図6(b)に示すように、コレット100が備える保持部102は、光電変換部20が備えるベース22を吸着し、ベース22を保持する。このとき、プローブ106の各々は、電極28の各々と電気的に接触する。言い換えれば、プローブ106は、電極28及び配線26を介して、PD21及びTIA23(図1(b)参照)と導通する。これにより、PD21及びTIA23は、通電可能な状態となる。このように、ベース22を保持する工程は、ベース22を吸着保持する保持部102と、電極28と電気的に接触するプローブ106とを備えるコレット100によって、ベース22を吸着保持するとともに、プローブ106と電極28とを電気的に接触させる工程である(第2工程)。
【0036】
図7(a)に示すように、コレット100は、ベース22をパッケージ基板10の上面に配置する。このとき、ベース22はパッケージ基板10に固定されていない。配線26、電極28、プローブ106、配線101及び103を介して、PD21及びTIA23の各々に電源電圧が印加される。これにより、PD21及びTIA23は駆動する。またPLC14が備える複数の導波路のうち、光電変換部20に対応した導波路に光が入力され、PLC14の出力端から光が出力される。光電変換部20が備えるPD21(図1(b)参照)は、PLC14から出力された光を受光し、電気信号に変換する。光電変換部20が備えるTIA23(図1(b)参照)は、PD21が出力した電流を増幅し電圧に変換して出力する。TIA23の出力信号は、配線26、電極28を介して、プローブ106に出力される。さらにTIA23の出力信号は、プローブ106、配線101及び103を介して、電子機器に入力される。ベース22はパッケージ基板10に固定されていないため、コレット100を移動させることでベース22を移動させることができる。従って、PD21及びTIA23を駆動させ、かつベース22を移動させることで、PD21とPLC14の出力端との光結合を調整しながら、ベース22のパッケージ基板10に固定すべき位置を決めることが可能となる。例えばPD21の出力信号が最大となる位置に、ベース22を配置することができる。このように、PLC14と光電変換部20との位置合わせ工程は、プローブ106を介してPD21を駆動しつつ、PLC14と光電変換部20との位置合わせを行う工程である(第3工程)。
【0037】
ベース22をパッケージ基板10の上面に配置し、例えばロウ材等によりパッケージ基板10に固定する。ベース22を固定した後、コレット100はベース22から脱離する。また、光電変換部30についても、光電変換部30が備えるPD31とPLC14の出力端との光結合を調整しながら、PLC14と光電変換部30との位置合わせを行い、最適な位置においてベース32固定する。ベース32を固定した後、光電変換部20が備える電極28と、光電変換部30が備える電極38bとをワイヤ16で接続するワイヤボンディングを行う。なおワイヤボンディングは、光電変換部40が固定された後に行ってもよい。
【0038】
図7(b)に示すように、光電変換部40についても、光電変換部40が備えるPD41とPLC14の出力端との光結合を調整しながら、PLC14と光電変換部40との位置合わせを行い、最適な位置においてベース42固定を行う。このように、ベースを保持する工程、位置合わせ工程、及びベースを固定する工程は、それぞれ複数回行われる。ベース42を固定した後、光電変換部30が備える電極38aと、光電変換部40が備える電極48bとを接続するワイヤボンディングを行う。また、光電変換部40が備える電極48aとPLC14とを接続するワイヤボンディングを行う。以上の工程により、図4に示した光デバイス90aが完成する。
【0039】
実施例1によれば、コレット100が保持部102と、光電変換部20のPD21及びTIA23、光電変換部30のPD31及びTIA33、並びに光電変換部40のPD41及びTIA43と電気的に接続するプローブ106とを備える。このため、各PDを駆動しつつ、PLC14と各光電変換部との位置合わせ工程を行うことができる。従って、PLC14に複数の導波路が集約して形成され、複数の光電変換部を搭載する場合にも、アクティブアライメント法を行うことが可能となる。アクティブアライメント法により光電変換部の位置決めを高精度で行うことで、受光素子であるPDの位置決めを高精度で行うことができる。なおPLC14は、複数の光を入力又は出力するものであればよい。また、光電変換部は3つとしたが、光電変換部が2つ以下でも、4つ以上でもよい。特に光電変換部が複数、すなわちPDが複数である場合、保持工程及び位置合わせ工程の各々を複数回行うことにより、複数のPDの各々を高い精度で位置決めすることができる。言い換えれば、PLC14に設けられた複数の出力端の各々に対応して用意された複数の光電変換部の各々と、PLC14との位置合わせを順次行うことが可能となる。また、コレット100の保持部102の形状は、例えば円筒形として図示したが、他の形状でもよい。
【0040】
保持部102が絶縁体からなるため、例えば保持部102が、ベース22上の配線26のうち、複数本の配線に接触した場合でも、配線間のショートは抑制される。また、保持部102は、例えばタングステンカーバイド等の金属、又は導電体からなるとしてもよい。この場合、保持部102が、複数本の配線に接触すると、配線同士がショートしてしまう。このため、図6(a)に示すように、保持部102は、配線26のうち、1本の配線に接触し、他の配線には接触しないことが好ましい。保持部102が複数本の配線に接触しないことにより、配線間のショートは抑制される。また、保持部102が複数の配線26のいずれにも接触しないとしてもよい。
【0041】
さらに、保持部102は、光電変換部20が有する配線のうち、1つの配線のみを吸着保持するとしてもよい。実施例1の変形例は、光電変換部20が幅広の配線19を有する例である。図8(a)は幅広の電極を備える光電変換部を例示する斜視図であり、図8(b)は実施例1の変形例に係る光デバイスの製造方法を例示する斜視図である。
【0042】
図8(a)に示すように、光電変換部20のベース22には、配線19が設けられている。配線19は例えば金等の金属からなり、複数の配線のうち、配線19以外の配線26よりも幅が広い。なお、幅方向は、図中の矢印Wの方向とする。図8(b)に示すように、コレット100が備える保持部102は、複数の配線のうち配線19のみを吸着保持することにより、ベース22を保持する。このとき、保持部102は配線26には接触しない。これにより、配線間のショートは抑制される。なお、保持部102は、ベース22の配線19以外の領域には接触してもよいし、接触しなくてもよい。保持部102が、複数本の配線に接触しなければ、ショートは抑制される。なお図中における電極28の個数、配線の本数、及びプローブ106の本数は、それぞれ例示したものであり、変更可能である。
【実施例2】
【0043】
実施例2はコレットにダミープローブを設けた例である。図9(a)は実施例2に係るコレットを例示する平面図であり、図9(b)は実施例2に係るコレットを例示する斜視図である。既述した構成と同じ構成については、説明を省略する。
【0044】
図9(a)及び図9(b)に示すように、実施例2に係るコレット200は、ダミープローブ108(別の接触部)を備える。ダミープローブ108は、例えばプローブ106と同じ材料からなる。またダミープローブ108は、例えばプローブ106と同一の長さ及び同一の太さを有する。図9(a)に一点鎖線で示すように、ダミープローブ106は、保持部102を基準として、プローブ106と点対称となる位置に設けられている。ダミープローブ108は、配線101及び103と電気的に接続されていない。
【0045】
図9(b)に示すように、ダミープローブ108は、板部104を貫通し、板部104から下に向けて延びている。また、板部104の下面からプローブ106の下端までの長さと、板部104の下面からダミープローブ108の下端までの長さとは等しい。
【0046】
次に実施例2に係る光デバイスの製造方法について説明する。図10(a)は実施例2に係る光デバイスの製造方法を例示する斜視図である。
【0047】
図10(a)に示すように、コレット200が備える保持部102はベース22を吸着保持する。プローブ106は、電極28と電気的に接触し、電極28を介してPD21及びTIA23と導通する。その一方、ベース22の、ダミープローブ108に接触する領域には電極が設けられていない。このため、ダミープローブ108は、電極と電気的に接触せず、PD21及びTIA23とも導通しない。つまり、ダミープローブ108はベース22に接触するが、PD21及びTIA23と電気的に接触しない。他の工程は、既述したものと同じであるため、説明を省略する。
【0048】
次に、コレットがベース22に加える力について説明する。図10(b)及び図10(c)は吸着工程におけるコレットと光電変換部とを例示する正面図である。図10(b)では実施例1に係るコレット100を用いており、図10(c)では実施例2に係るコレット200を用いている。また図10(a)において矢印Bから見た方向を正面とした。図10(b)及び図10(c)の左右方向を水平方向とした。
【0049】
図10(b)に示すように、保持部102はベース22を吸着するため、ベース22には上方向の力が加わる。プローブ106は電極28においてベース22と接触する。このため、プローブ106の弾性力がベース22に加わり、プローブ106がベース22を図中の下方向に押す。またプローブ106は、例えばタングステン等のように、硬い材料からなる。このため、ベース22が保持部102に吸い上げられた際に、プローブ106からベース22に加わる力が大きくなることがある。プローブ106は、保持部102を挟んで板部104の一方の領域(図中の右側の領域)に設けられ、他方の領域(左側の領域)には設けられていない。このため、ベース22の右側にはプローブ106から下方向の力が加わる一方で、左側には下方向の力が加わらない。つまり、ベース22に加わる力が、左右で均等とならない。この結果、ベース22が傾いた状態で吸着されることがある。ベース22が傾くと、コレット100がベース22を保持することが困難になることがあり、また位置合わせ工程を良好に行うことが困難になる可能性もある。
【0050】
図10(c)に示すように、コレット200において、プローブ106及びダミープローブ108の各々が、保持部102を挟んで板部104の一方の領域及び他方の領域の各々に設けられている。プローブ106とダミープローブ108とは、保持部102を基準として対称に設けられている。このため、プローブ106からベース22に力が加わるとともに、ダミープローブ108からもベース22に力が加わり、ベース22に加わる力が左右でほぼ均等になる。この結果、ベース22は水平な状態、又は傾きが大幅に減少した状態で、保持部102に吸着される。このように、実施例2によれば、コレット200が、プローブ106と、ダミープローブ108とを備えるため、ベース22に加わる力を左右でほぼ均等にすることができる。従って、ベース22の吸着及び位置合わせ工程を良好に行うことが可能となる。
【0051】
ダミープローブ108が保持部102を基準として、プローブ106と点対称となる位置に設けられている場合、ダミープローブ108が、プローブ106と同じ材料からなり、プローブ106と同一の長さ及び同一の太さを有することが好ましい。これにより、ベース22に加わる力のバランスを均等とすることができる。
【0052】
プローブ106及びダミープローブ108それぞれの材料、長さ及び太さ等が変わることにより、ベース22に加わる力は変化する。この場合、プローブ106及びダミープローブ108の位置を変更することで、ベース22に加わる力を調整することができる。図9(a)及び図9(b)では、ダミープローブ108が保持部102を基準として、プローブ106と点対称となる位置に設けられているとした。しかしながら、ダミープローブ108の位置はこれに限定されない。例えばコレット200の中心を基準として、プローブ106がベース22に加えるモーメントと、ダミープローブ108がベース22に加えるモーメントとがつりあうように、ダミープローブ108を設ければよい。このように、ダミープローブ108は、ベース22が水平又は傾きが減少する状態で、保持部102に吸着されるような位置に設ければよい。
【実施例3】
【0053】
実施例3は、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式に対応した光デバイスの例である。まず、QPSK方式に対応した光レシーバの構成及び原理について、ブロック図を参照して説明する。図11は、DP−QPSK(Dual Polarization-Quadrature Phase Shift Keying)方式に対応したデジタルコヒーレント光レシーバを例示するブロック図である。
【0054】
図11に示すように、デジタルコヒーレント光レシーバ300は、入力端子60と、PBS(Polarizing Beam Splitter:偏光ビームスプリッタ)61と、LO(Local Oscillator:局部発振光源)62と、DSP(Digital Signal Processor)64と、出力端子66と、PLC14と、光電変換部20、30、40及び50と、ADC(Analog Digital Convertor:アナログデジタル変換器)68、70、72及び74と、を有する。なお、図12(a)及び図12(b)において後述する光デバイス310は、図11中に点線で示したように、デジタルコヒーレント光レシーバ300のうちPLC14、光電変換部20、30、40及び50に相当する。
【0055】
光電変換部20は、PD21a及び21b、並びにTIA23を備える。光電変換部30は、PD31a及び31b、並びにTIA33を備える。光電変換部40は、PD41a及び41b、並びにTIA43を備える。光電変換部50は、PD51a及び51b、並びにTIA53を備える。各光電変換部は、光信号を電気信号に変換する光電気変換回路として機能する。
【0056】
入力端子60を通じて入力された信号光は、PBS61においてX偏光とY偏光とに分離され、LO62が出力する局部発振光(基準光)と共に、PLC14に入力される。X偏光及びY偏光は、PLC14にて局部発振光と合成し、それぞれ同相(In phase:I)成分、直交位相(Quadrature:Q)成分に分離され、出力信号光として出力される。図11に示す添字のp及びnは、それぞれ正及び負の成分であることを示す。例えば、X−Ipは、X偏光のI成分の正成分であることを示す。X偏光は、PD21a、21b、31a及び31bに入力される。Y偏光は、PD41a、41b、51a及び51bに入力される。また、局部発振光は、PD21aからPD51bまでの各PDに入力される。
【0057】
PLC14から出力された位相の異なる光信号の各々は、光電変換部20、30、40及び50の各々により電気信号に変換されて、ADC68、70、72及び74の各々に入力される。ADC68、70、72及び74は、電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換してDSP65に出力する。DSP65は入力された電気信号に基づいて所定の処理を実行後、出力端子66に結果を出力する。このように、デジタルコヒーレント通信では、位相情報を含んだ光信号が送信され、それをデジタルコヒーレント光レシーバ300で受信している。
【0058】
図12(a)はDP−QPSK方式に対応した光デバイスを例示する平面図であり、図12(b)は光デバイスを例示する断面図である。図12(a)ではキャップ81を透視している。図12(b)では、図12(a)のC−Cに沿った断面を図示している。既述した構成と同じ構成については、説明を省略する。
【0059】
図12(a)及び図12(b)に示すように、光デバイス310は、パッケージ基板10、電源配線基板12a及び12b、PLC14、光電変換部20、30、40及び50、出力配線基板78、ピン80a、80b及び80c、キャップ81、レセプタクル84a、84b及び84c、キャリア85a、85b及び85c、レンズ86a、86b及び86c、偏光板87a、87b及び87c、を備える。PDキャリア25には2つのPD21a及びPD21bが設けられている。このように、各光電変換部のPDキャリアには2つのPDが設けられている。PDの個数が2つであること、及び出力配線基板78がベース上に設けられていることを除いて、各光電変換部は、図1(b)に示した構成を有する。また、図12(a)及び図12(b)においては、PD21aからPD51bの各PD、及びワイヤを省略している。図12(b)においては、TIA23からTIA53の各TIAを省略している。
【0060】
パッケージ基板10の上面には、電源配線基板12a及び12b、PLC14、光電変換部20、30、40及び50、並びにキャリア85a、85b及び85c、が設けられている。出力配線基板78は、ベース22、32、42及び52上に設けられている。また図12(b)に示すように、パッケージ基板10に形成されたキャビティ内に、電源配線基板12a及び12b、PLC14、光電変換部20、30、40及び50、出力配線基板78、並びにキャリア85a、85b及び85cが配置され、キャップ81により封止される。なお、図12(b)においては出力配線基板78がベース22、32、42及び52上に設けられているが、ベース22、32、42及び52とは異なる、出力配線基板78搭載用のベース(図示せず)に搭載してもよい。
【0061】
キャリア85a上にはレンズ86a及び偏光板87aが設けられている。キャリア85b上にはレンズ86b及び偏光板87bが設けられている。キャリア85c上にはレンズ86c及び偏光板87cが設けられている。
【0062】
レセプタクル84aには光ファイバ82aが挿入されている。レセプタクル84bには光ファイバ82bが挿入されている。レセプタクル84cには光ファイバ82cが挿入されている。PBS61(図11参照)において分離された光信号のうち、X偏光は光ファイバ82aに入力し、Y偏光は光ファイバ82cに入力する。またLO62(図11参照)から出力された局部発振光は、光ファイバ82bに入力される。X偏光はレンズ86a及び偏光板87aを通過し、PLC14に入力される。Y偏光はレンズ86c及び偏光板87cを通過し、PLC14に入力される。局部発振光はレンズ86b及び偏光板87bを通過し、PLC14に入力される。
【0063】
既述したように、X偏光は、PD21a、21b、31a及び31bに入力される。Y偏光は、PD41a、41b、51a及び51bに入力される。また、局部発振光は、PD21aからPD51bまでの各PDに入力される。従って、PLC14が備える導波路のうち、X偏光が通過する導波路は、PD21aからPD31bの各々に光結合する出力端を有する。Y偏光が通過する導波路は、PD41aからPD51bの各々に光結合する出力端を有する。局部発振光が通過する導波路は、PD21aからPD51bまでの各PDと光結合する出力端を有する。
【0064】
ピン80a、80b及び80cは、光デバイス310から、光デバイス310の外側に向けて突出している。ピン80aは電源配線基板12aと電気的に接続されている。電源配線基板12aは、例えばワイヤにより、PD21a、PD21b、PD31a及びPD31b、並びにTIA23及びTIA33と電気的に接続されている。電源電圧は、ピン80a及び電源配線基板12aを介して、PD21a、PD21b、PD31a及びPD31b、並びにTIA23及びTIA33に印加される。ピン80bは電源配線基板12bと電気的に接続されている。電源配線基板12bは、例えばワイヤにより、PD41a、PD41b、PD51a及びPD51b、並びにTIA43及びTIA53と電気的に接続されている。電源電圧は、ピン80b及び電源配線基板12bを介して、PD41a、PD41b、PD51a及びPD51b、並びにTIA43及びTIA53に印加される。出力配線基板78は、例えばワイヤにより、TIA23、33、43及び53と電気的に接続されている。またピン80cは、出力配線基板78と電気的に接続されている。TIA23、33、43及び53の各々が出力する信号は、出力配線基板78及びピン80cを介して、光デバイス310の外部に出力される。なお、ピン80a、80b及び80c各々の本数は例示したものである。
【0065】
実施例3に係る光デバイスの製造方法について説明する。まず、レセプタクル84a、84b及び84cの各々に、光ファイバ82a、82b及び82cの各々を挿入する。パッケージ基板10に、キャリア85a、85b及び85c、並びにPLC14を搭載する。光ファイバの挿入と、PLC14の搭載とは、どちらを先に行ってもよい。
【0066】
その後、図5に示したコレット100、又は図9(a)に示したコレット200を用いて、光電変換部20、30、40及び50をパッケージ基板10に搭載する。例えば光電変換部20を搭載する際、プローブ106は、PD21a及びPD21b並びにTIA23と電気的に接続する。PD21a及びPD21bとPLC14の出力端との光結合を調整しながら、PLC14と光電変換部20との位置合わせ、及びベース22の固定が可能となる。光電変換部30、40及び50の各々についても同様に、光結合を調整しながら、位置合わせ及び固定が可能となる。実施例3によれば、QPSK方式に対応した光デバイスにおいても、PDの位置決めを高精度で行うことができる。
【0067】
図11において説明したように、局部発振光は、PD21aからPD51bまで、全てのPDに入力する。従って、位置合わせ工程において、光結合を調整するための信号として局部発振光を用いることが好ましい。言い換えれば、PLC14に局部発振光を入力し、PLC14を通過した局部発振光を、各PDによって検知することにより、位置合わせを行うことが好ましい。これにより、PDごとに光結合を調整するための信号を変える場合よりも、位置合わせ工程が簡略化される。また、PLC14が備える複数の導波路のうち、局部発振光が通過する導波路の各々は、全てのPDの各々と光結合する出力端を有する。従って、局部発振光が通過する導波路の各々に、局部発振光とは別の信号である参照信号を通過させて、光結合を調整してもよい。ただし、例えばPD21aからPD31bに対してはX偏光を用いても光結合を調整してもよい。またPLC14が備える導波路のうちX偏光が通過する導波路に、X偏光とは別の信号である参照信号を通過させて、光結合を調整してもよい。PD41aからPD51bに対してはY偏光を用いて、光結合を調節してもよい。またPLC14が備える導波路のうちY偏光が通過する導波路に、Y偏光とは別の信号である参照信号を通過させて、光結合を調整してもよい。光レシーバは、デジタルコヒーレント光レシーバ以外の光レシーバでもよい。
【0068】
実施例1から3においては、光素子として、受光素子であるPDを用いた例を示した。光素子として、例えばLD(Laser Diode:レーザーダイオード)等の発光素子を用いてもよい。この場合、発光素子とPLC14の入力端との光結合を調整しながら、位置合わせ工程を行う。
【0069】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
パッケージ基板 10
電源配線基板 12、12a、12b
PLC 14
光電変換部 20、30、40、50
PD 21、21a、21b、31a、31b、41a、41b、51a、51b
ベース 22、32、42、52
TIA 23、33、43、53
配線 19、26、36、46、101、103
電極 28、38a、38b、48a、48b
コレット 100、200
保持部 102
板部 104
プローブ 106
ダミープローブ 108

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光素子を搭載したベースを吸着保持する保持部と、
前記保持部が前記ベースを吸着保持した状態で、前記ベースに設けられた電極と電気的に接触する接触部と、を具備することを特徴とするコレット。
【請求項2】
前記保持部を基準として前記接触部と点対称となる位置に設けられ、前記ベースと接触する、前記接触部とは別の接触部を具備することを特徴とする請求項1記載のコレット。
【請求項3】
前記保持部は導電体又は絶縁体からなることを特徴とする請求項1又は2記載のコレット。
【請求項4】
光入力端又は光出力端を有する光学部品と、光素子を搭載したベースを有する光アセンブリとの位置合わせを行う光デバイスの製造方法であって、
前記光学部品を固定する第1工程と、
前記ベースを吸着保持する保持部と、前記ベースに設けられた電極と電気的に接触する接触部とを備えるコレットにより、前記ベースを吸着保持するとともに、前記接触部と前記電極とを電気的に接触させる第2工程と、
前記接触部を介して前記光素子を駆動しつつ、前記光学部品と前記光アセンブリとの位置合わせを行う第3工程と、を有することを特徴とする光デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記ベースには複数の配線が設けられ、
前記複数の配線のうち1つの配線は、前記複数の配線のうち前記1つの配線以外の配線より広い幅を有し、
前記保持部は、前記複数の配線のうち前記1つの配線のみを吸着保持することを特徴とする請求項4記載の光デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記光学部品には複数の光入力端又は複数の光出力端が設けられ、
前記第1工程の後、前記第2工程及び前記第3工程を複数回行うことにより、前記複数の光入力端の各々又は前記複数の光出力端の各々に対応して用意された複数の前記光アセンブリの各々と、前記光学部品との位置合わせを順次行うことを特徴とする請求項4又は5記載の光デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記第3工程は、前記光学部品に基準光を入力し、前記光学部品を通過した前記基準光を前記光素子によって検知することにより実施されることを特徴とする請求項4から6いずれか一項記載の光デバイスの製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−88393(P2012−88393A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232845(P2010−232845)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】