説明

コンテンツ提案装置、コンテンツ提案方法及びプログラム

【課題】自動車の搭乗時に適切なタイミングで楽曲提案を行なえるようにする。
【解決手段】楽曲提案の各終了時に、予め次回の楽曲提案の予定日時を設定し、これを記憶装置に記憶しておく(S56)。自動車のエンジンが始動すると、現在時刻が、記憶装置に記憶してある予定日時以降となっているか否かを判定する(S36)。現在時刻が予定日時より前であるならば(S36否)、楽曲提案は行なわず、予定日時以降であるならば(S36正)、楽曲提案を行なう(S38,S39)。ユーザは、提案された楽曲に対してすぐに再生(S48)、再生予約(S49)、別の楽曲提案要求(S47否)、楽曲提案終了(S47正)を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲等のコンテンツをユーザに提案するコンテンツ提案装置、コンテンツ提案方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、履歴を検索して自動選曲する履歴検索モード(特許文献1の段落0016)、及び現在位置や状況を基に自動的に好適な曲を選曲する自動選曲モード(特許文献1の段落0031)を装備する音響再生装置を開示する。履歴検索モードにおける履歴検索では、過去の履歴情報から現在の位置、日付、時間、気温及び気圧等が最も類似している事例を検索して、該事例における楽曲を再生する(特許文献1の段落0017)。
【0003】
特許文献2は、AUTO−PLAYキーを押して、自動選曲再生指示の操作を行なうと、コントロール部は再生履歴情報記憶部を参照して、過去に現在と同じ時間帯に再生した曲を検索し(特許文献2の図9のS60〜S63)、検索結果に基づきディスク再生部を制御し、検索で見出した曲を再生頻度の高い順に再生することを開示する(特許文献2の図10のS67〜S71)。
【特許文献1】特開2005−38352号公報
【特許文献2】特開2000−251382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の音響再生装置では、ユーザが該音響再生装置に自動選曲及び自動再生を行なわせる場合には、それに先立ち、ユーザ選曲モード(特許文献1の図2のS110及び図5のS213)を履歴検索モード又は自動選曲モードへ手動で切り替えておかないと、次の電源オン時(特許文献1の図2のS101及び図5のS201)に自動選曲及び自動再生が行なわれない。換言すると、特許文献1の音響再生装置は、ユーザ選曲モードとなっている場合に、次の電源オン時(特許文献1の図2のS101及び図5のS201)に自動選曲を行なわせるためには、ユーザ自身が今回の電源オン中に履歴検索モード又は自動選曲モードへ手動で切替えておく必要がある。
【0005】
特許文献2の再生装置も、ユーザがそれに自動選曲及び自動再生を行なわせる場合には、ユーザが手動でAUTO−PLAYキーを押す必要がある(特許文献2の図9のS60)。
【0006】
本発明の目的は、ユーザが手動で提案指示を操作しなくても、あるいはコンテンツの手動選択が可能になっている場合に、手動でモード切替操作をしなくても、ユーザにとり適切なタイミングでコンテンツ提案を実行できるコンテンツ提案装置、コンテンツ提案方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンテンツ提案装置は、ユーザに対してコンテンツを提案するコンテンツ提案手段と、次回のコンテンツ提案までの提案保留時間を設定する時間設定手段とを有し、コンテンツ提案手段は、コンテンツ提案後、提案保留時間の経過後に次のコンテンツ提案を行う。
【0008】
本発明のコンテンツ提案方法は、ユーザに対してコンテンツを提案するコンテンツ提案ステップと、次回のコンテンツ提案までの提案保留時間を設定する時間設定ステップと、コンテンツ提案後、提案保留時間の経過後に次のコンテンツ提案を行う前述のコンテンツ提案ステップとを有している。
【0009】
本発明のプログラムは、本発明のコンテンツ提案装置の各手段としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザは、手動や発声でコンテンツ提案指示を出したり、コンテンツ提案モードへ切替えなくても、コンテンツ提案装置の方から適切なタイミングで自動的にコンテンツ提案を受けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は車載型AV(Audio & Visual)装置10の概略構成図である。該車載型AV装置10は典型的にはカーナビゲーション装置を兼ねるものとなっている。入力部11は、マイクロホン、タッチパネル及びリモコンを含み、ユーザが車載型AV装置10に対して所定の指示を出す際にユーザにより操作される。入力部11のマイクロホンから入力されたユーザの音声は、言語解析部12において音声認識されたデータへ変換され、該処理済みデータがエージェント処理部15へ送られる。音声以外の入力データはエージェント処理部15へ直接送られる。
【0012】
エージェント処理部15は楽曲検索部16を備えている。楽曲検索部16は、後述のキャラクタDB(データベース)26及び記憶装置27の楽曲DBに基づき楽曲を検索する。出力部19は、スピーカ及びディスプレイを含み、ディスプレイには、エージェントキャラクタ60a〜d(図5)が適宜、表示される。該ディスプレイは通常は入力部11のタッチパネルを兼ね、ユーザは、該ディスプレイに表示中のアイコンやボタンに指をタッチさせて、所定の指示や選択を行なうことができる。
【0013】
エージェント処理部15は、エージェントキャラクタの発話や、エージェントキャラクタの発話以外のテキスト読み上げ用の音声データを生成して、それを音声合成部18に送る。音声合成部18は、音声データを音声信号へ変換し、出力部19のスピーカから放音する。楽曲の再生音やチューナ(図示せず)の番組音声等の音声信号、及び映像信号は、直接、出力部19へ送られる。
【0014】
通信部21は、携帯電話やDSRC(Dedicated Short Range Communication)の基地局と無線22により相互に通信自在となっている。エージェント処理部15は、無線22へ送信データを送るとともに、通信部21からは受信データを受け取る。車両情報検出部23は、GPS(Global Positioning System)信号を用いて現在地を検出し、検出信号をエージェント処理部15へ送る。
【0015】
キャラクタDB26は、各エージェントキャラクタに対応付けられた画像、音声及び設定データを保存している。エージェント処理部15は、キャラクタDB26を使用して、出力部19のディスプレイ上のエージェントキャラクタを動作させたり、ディスプレイに表示中のエージェントキャラクタの発話を出力部19のスピーカから出力する。記憶装置27は、各楽曲の音声データとして楽曲データベース、再生履歴及び各エージェントキャラクタに対応付けられているコンテンツ嗜好性に係る楽曲検索用キーワードを抽出するための関連付けリストを装備する。キャラクタDB26は、楽曲データベース等と共に記憶装置27に格納することもできる。
【0016】
図2は車載型AV装置10に実装される楽曲提案方法35(図3)における楽曲提案の実行時期とユーザ自動車のエンジン始動の日時との関係説明図である。楽曲提案方法35は、前回の楽曲提案の際に楽曲提案の予定日時を2006年2月11日10:10と、決めている。2006年2月9日13:00及び2006年2月11日9:00のエンジン始動時は、現在時が予定日時より前であるので、該楽曲提案は行なわない。しかし、2006年2月11日13:50のエンジン始動時は、楽曲提案の予定日時2006年2月11日10:10を過ぎているので、楽曲提案が実施される。
【0017】
楽曲提案方法35は、楽曲提案の後、次の楽曲提案の予定日時を2006年3月11日13:55に更新する。2006年3月11日13:55は、次の予定日時は、前回の楽曲提案実行終了時刻から所定時間が経過した日時とするものであり、該所定時間は、ユーザが自ら決めてもよいし、車載型AV装置10が適切な値を決めてもよい。なお、次の予定日時2006年3月11日13:55は、楽曲提案方法35の今回の終了時刻が2006年2月11日13:55であるとして、1月経過後の時間としたものである。
【0018】
2006年3月11日13:50のエンジン始動時には、予定日時を2006年3月11日13:55より前であるので、該楽曲提案方法35は起動しない。しかし、2006年3月11日15:15のエンジン始動時は、楽曲提案の予定日時2006年3月11日13:55を過ぎているので、楽曲提案が実施される。こうして、各始動日時が楽曲提案の予定日時を過ぎていたならば、楽曲提案が実施され、かつその終了の際に、次の楽曲提案の予定日時が決められる。
【0019】
図2の説明図では、エンジン始動時にのみ楽曲提案が行なわれることになっているが、エンジン始動後から次のエンジン停止までのエンジン運転期間に、現在時刻が楽曲提案の予定日時になるならば、なりしだい、楽曲提案方法35による楽曲提案が実施されるようにしてもよい。また、エンジン始動時に代えて、車載型AV装置10の電源投入時や所定のイベント発生時を楽曲提案の予定日時と対比してもよい。さらに、次の楽曲提案の日時を、楽曲提案方法35における楽曲提案の終了時とは、別の時、例えば、エンジン停止時に決めるようにしてもよい。
【0020】
図3は楽曲提案方法35のフローチャートである。該フローチャートにおける楽曲提案は、ユーザの自動車においてエンジン始動が行なわれる時に、限られている。S36では、現在時刻、すなわち今回のエンジン始動時刻が楽曲提案の予定日時を過ぎているか否かを調べ、過ぎていなければ、楽曲提案方法35を直ちに終了し、過ぎていれば、S37へ進む。なお、エンジン始動時は、ユーザが自動車の運転開始する時と同義で使用している。
【0021】
S37では、楽曲提案の開始画面をディスプレイ(図1の出力部19)に表示する。S38では、提案する楽曲を検索する。図4はS37,S38の実行時にディスプレイに表示する画面例である。
【0022】
なお、S38における検索とは、厳密には、自動選曲ではなく、半自動選曲ための検索となる。すなわち、楽曲提案方法35では、後述の図5等における選択ボタン「今聞く」、「後で聞く」及び「聞かない」から分かるように、楽曲提案方法35が検索した楽曲を、ユーザの好みを無視して、再生強行するものではなく、ユーザの了解を得る。そして、了解がある場合のみ、すなわち、ユーザが「今聞く」か「後で聞く」かを選択した場合のみ、再生が行なわれるものであり、全自動の選曲にはなっていない。
【0023】
S38における選曲の検索基準は任意に設定できる。ユーザが過去に再生した楽曲についてその再生日時や属性(ジャンル、アーティスト、アルバム名又は楽曲名)の統計を取っておき、該統計に基づきユーザの趣向に合致するもの、以前はよく聞いていたが、最近聞かなくなったもの、現在地付近又は現在時刻の時間帯で最近よく聞いていたり、過去に一度聞いたもの等を検索基準にすることができる。
【0024】
S39では、S38の検索の結果、見つけた楽曲をユーザに提案する。図5はこの時にディスプレイに表示する画面例である。該画面では、提案楽曲は、曲名:AABBCC及びアーティスト名:aabbccとなっている。ユーザは、図5の画面から「今聞く」、「後で聞く」、「聞かない」及び「提案中止」を選択可能になっている。該選択は、例えば、タッチパネル上の各選択ボタンへのユーザの指によるタッチ、又はユーザによる発声により行なわれる。
【0025】
図5のユーザ選択画面において、ユーザが「今聞く」を選択した場合には(S40正→S48正)、直ちに、S55へ進み、該提案楽曲の再生が行なわれる。
【0026】
図5のユーザ選択画面において、ユーザが「聞かない」を選択した場合には(S40正→S47否)、再度、S39を実施する。図6はこの時にディスプレイにおいて表示する画面例である。
【0027】
図5のユーザ選択画面において、ユーザが「提案中止」を選択した場合には(S40否→S48正)、S56へ進み、次回の楽曲提案の日時を決めてから、楽曲提案方法35を終了する。
【0028】
図5のユーザ選択画面において、ユーザが「後で聞く」を選択した場合には(S40正→S48否)、S49へ進み、該提案楽曲について再生の予約を行なう。図7はこの時にディスプレイにおいて表示する画面例である。ユーザが、その後、該予約楽曲の再生を指示すると(S50正)、S55へ進んで、該提案楽曲を再生する。
【0029】
S55における今回の提案楽曲の再生が終了すると、S56へ進み、次回の楽曲提案の日時を決めてから、楽曲提案方法35を終了する。なお、次回の楽曲提案の日時は、エンジン停止中も記憶を保持する不揮発性記憶装置に記憶される。
【0030】
楽曲提案方法35は、エンジン始動時に実行されることになっているが、エンジン始動後の運転中も、一定時間間隔でS36の判定を行ない、S36の判定が正になりしだい、S37へ進むようにしてもよい。楽曲提案方法35では、ユーザへ提案した楽曲がS55で一曲、再生されるだけで、楽曲提案方法35が終了されてしまうが、S55の実行後、所定条件(例:今回の提案楽曲の合計の再生回数又は再生時間が所定値以下である。)が満たされれば、S55からS39へ戻るようにすることもできる。
【0031】
さらに、楽曲提案方法35では、再生予約は一曲しかできないようになっているが、S49とS50との間で、ユーザにさらに楽曲提案を希望するか否かを問い合わせて、ユーザがさらなる楽曲提案を希望した場合には、S39へ戻るようにすることもできる。
【0032】
図8はコンテンツ提案装置70のブロック図である。前述の車載型AV装置10はコンテンツ提案装置70の一具体例である。コンテンツ提案装置70は、車載型に限定されず、屋内、特に家庭に配備されるもの、携帯型(ポケット型やパームトップ型を含む。)のものであってもよいとする。コンテンツ提案装置70は、専用の装置としてではなく、携帯通信端末や携帯情報端末に一追加機能として組み込まれるものであってよい。
【0033】
コンテンツ提案装置70はコンテンツ提案手段71及び時間設定手段72を備えている。コンテンツ提案手段71はユーザに対してコンテンツを提案する。時間設定手段72は、次回のコンテンツ提案までの提案保留時間を設定する。コンテンツ提案手段71は、コンテンツ提案後、提案保留時間の経過後に次のコンテンツ提案を行う。
【0034】
コンテンツは、典型的には楽曲であるが、ビデオコンテンツや、楽曲以外のオーディオコンテンツであってもよい。コンテンツは、例えば、ラジオ番組、テレビ番組、インターネットサイト、書籍、映画チケット、目的地、経路、旅行パック、料理店、又は学習コースであってもよい。
【0035】
コンテンツ提案手段71から提案のあったコンテンツは、それが楽曲である場合、典型的には再生対象となるものであるが、コンテンツの内容に応じて、購入、ダウンロード、又は表示経路の対象となるものでよい。ユーザは、コンテンツ提案手段71から提案のあったコンテンツ提案を受諾するか、拒否するかは自由である。典型的なコンテンツ提案装置70では、ユーザは、コンテンツ提案を受諾する場合も、直ちに、再生等の処理を開始させるか、再生等の処理を予約して、後で処理するかを選択可能になっている。好ましいコンテンツ提案装置70では、ユーザはコンテンツ提案手段71から1回目のコンテンツ提案に対して受諾又は拒否した後、さらに、次のコンテンツ提案を実行させるか、終了させるかを任意に選択できるようになっている。
【0036】
時間設定手段72は、提案保留時間を、ユーザが指定した時間に設定してもよいし、自動で設定してもよい。時間設定手段72は、提案保留時間の自動設定の場合には、自動車の室内状況、室外状況、運転状況、及び/又はユーザについての分析を設定因子とすることができる。さらに、好ましくは、時間設定手段72は、提案保留時間を一旦設定後で次のコンテンツ提案実施前において、設定因子の変化に基づき、提案保留時間を変更するようになっていてもよい。
【0037】
これら各種状況は、ユーザが楽曲等のコンテンツの提案を欲しがる雰囲気であるか又は雰囲気となってきたかの判断材料とし、該雰囲気であると判断できるならば、提案保留時間は、コンテンツ提案終了時の設定では短くし、又は次のコンテンツ提案実施前の変更では、コンテンツ提案の実施が早まるように、短縮し(短縮には直ちに実行を含む。)、該雰囲気から程遠いと判断するならば、提案保留時間は、コンテンツ提案終了時の設定では長くし、又は次のコンテンツ提案実施前の変更では、次のコンテンツ提案の実施が引き伸ばされるように、延長する。
【0038】
例えば、自動車の室内状況とは、搭乗者の会話が弾んでいるか、途絶えているか、搭乗者に子供等がいてその世話で忙しそうか、現在、ラジオを聴いている最中であるか等である。自動車の室外状況とは、室外環境及び室外の交通状況を含むものとする。室外環境には、例えば気温、気圧、湿度、風速、風向、日射量及び/又は天候を含む。交通状況については、例えば、車速等から交通の流れがスムーズであるか、渋滞しているかを知ることができる。
【0039】
自動車の運転状況とは、例えば、ハンドル操作や加減速の多い道路、すなわち運転の忙しい道路の走行中か、一定速度を保持しつつ一定時間以上、すなわち運転操作の比較的暇な期間か等である。現在地とは、所定の名所のそばか、進行方向前方に海や山が見えて来た地点か、高速道路内か、交差点の少ない道路内か等である。なお、同一の状況が、室外状況、自動車の運転状況、又は自動車の現在地に、重複することもあるが、同一の状況は、それらのどれか1個に属するものとして把握されれば十分である。要は、コンテンツ提案が、運転者のおせっかいにならず、かつ運転者に感謝されるような時期に実行されるように、提案保留時間が決められる。
【0040】
ユーザについての分析とは、例えば、走行中に頻繁に音楽を聞くユーザであるか、音楽よりTV、DVD、ラジオの方を頻繁に利用するユーザであるか、いつも同じCD(楽曲)ばかり再生するユーザであるか、どの時間帯に運転時間が集中するユーザであるか、毎日何時間も運転するユーザであるかの分析である。
【0041】
コンテンツが楽曲であってコンテンツ提案装置70が提案した楽曲を再生する場合のユーザについての分析と該提案保留時間の長さとの関係を例示すると、次のとおりである。該提案保留時間が短いほど、楽曲提案が頻繁に行なわれることになる。
(a)走行中に頻繁に音楽を聞くユーザである場合、該ユーザは聞きたい楽曲があると推測し、該提案保留時間は長くする。
(b)音楽よりTV、DVD、ラジオの方を頻繁に利用するユーザである場合、該提案保留時間は長くする。
(c)いつも同じCD(楽曲)ばかり再生するユーザである場合、該提案保留時間は短くする。
【0042】
(d)夜に頻繁に運転するユーザである場合、夜はユーザは疲れていて、ユーザは自分で選曲するのは面倒であろうと予測し、該提案保留時間は短くする。
(e)毎日何時間も運転するユーザである場合、運転がマンネリ化し易いと予測して、該提案保留時間は短くする。
【0043】
ユーザについての分析以外の諸要素と該提案保留時間との関係を例示すると次のようになる。自動車の室内状況として、搭乗者同士の会話が頻繁な場合には、該提案保留時間を長くし、搭乗者同士の会話が少ない場合には、該提案保留時間を短くする。運転状況として、加減速を頻繁に繰り返したりハンドル操作の頻繁となったりしている運転期間には、コンテンツ提案は運転者の注意を妨げるので、該提案保留時間は長くされる。
【0044】
提案保留時間の設定は、今回のコンテンツ提案の実行及び該コンテンツ提案に対する処理(例:再生)の直後でなくてもよい。所定のイベントの発生時に行なったり、一旦設定した後に、所定のイベントに応動して再設定(延長、短縮)したり、取り止めたりしてよい。
【0045】
好ましくは、コンテンツ提案装置70の作動停止中に、提案保留時間が経過した場合は、コンテンツ提案手段71は、コンテンツ提案装置70の次の作動開始後に、コンテンツ提案を行なう。コンテンツ提案装置70の作動開始とは、例えば、ユーザがコンテンツ提案装置70の電源を投入した時、又はコンテンツ提案装置70が搭載される自動車のエンジンが始動した時である。
【0046】
好ましくは、コンテンツ提案手段71は、コンテンツ提案に係るコンテンツの再生期間に、ユーザより再生中断指示を受け付け、かつ提案保留時間内に再生再開指示を受付けなかった場合には、提案保留時間の経過後のコンテンツ提案時に、再生中断指示により再生中断したコンテンツを提案する。
【0047】
こうして、コンテンツ提案装置70は、ユーザがコンテンツ提案を指示しなくても、ユーザに対して気の利いたタイミングでコンテンツ提案を実施することができる。コンテンツ提案装置70が自動車に搭載されて、乗員が運転者一人という場合には、該運転者は、あたかも同乗者がいて、該同乗者からコンテンツ提案を手助けされているような空間を演出できる。
【0048】
図9はコンテンツ提案方法80のフローチャートである。前述の楽曲提案方法35(図3)はコンテンツ提案方法80の具体例である。前述の楽曲提案方法35は、自動車のエンジンが始動される時に実行されることになっているが、コンテンツ提案方法80は、エンジン始動時に限定されず、エンジン始動後も一定時間間隔で定期的に実行されてよいし、さらに、車載型であるか非車載型ディスクあるかを問わず、コンテンツ提案装置の電源投入時、電源投入期間に一定時間間隔で実行されてもよい。
【0049】
S81では、前回のコンテンツ提案後、提案保留時間が経過したか否かを判定する。なお、S81の最初の実行では、提案保留時間はデフォルト値となる。S81における判定結果が正である場合には、S82へ進み、否である場合には、該コンテンツ提案方法80を終了する。
【0050】
S82では、ユーザに対してコンテンツを提案する。S83では、次回のコンテンツ提案までの提案保留時間を設定する。
【0051】
コンテンツ提案方法80は、コンテンツ提案装置70の各機能をステップとして実行するものであり、コンテンツ提案装置70の機能についての具体例はコンテンツ提案方法80のステップの具体例としてそのまま適用可能である。なお、コンテンツ提案手段71の機能はS81,S82の処理に対応し、時間設定手段72の機能はS82の処理に対応している。
【0052】
本発明を適用したプログラムは、コンピュータをコンテンツ提案装置70の各手段として機能させる。本発明を適用した別のプログラムは、コンテンツ提案方法80の各ステップをコンピュータに実行させる。
【0053】
本発明を各種具体的形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、各種具体的形態における各構成要素を変形(削除も含む。)して具体化できる。また、各種具体的形態間において、構成要素を置換したり、各種具体的形態の複数の構成要素を組み合わせたりすることにより、種々の発明を形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】車載型AV装置の概略構成図である。
【図2】車載型AV装置に実装される楽曲提案方法における楽曲提案の実行時期とユーザ自動車のエンジン始動の日時との関係説明図である。
【図3】楽曲提案方法のフローチャートである。
【図4】提案楽曲検索中にディスプレイに表示する画面例を示す図である。
【図5】検索により見つけた提案楽曲をディスプレイに表示する画面例を示す図である。
【図6】提案楽曲をユーザにより拒否された場合に再検索により見つけた提案楽曲をディスプレイに表示する画面例を示す図である。
【図7】提案楽曲に対してユーザが直ちに再生するのを拒否して後で再生する旨を指示した場合にディスプレイにおいて表示する画面例を示す図である。
【図8】コンテンツ提案装置のブロック図である。
【図9】コンテンツ提案方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
70:コンテンツ提案装置、コンテンツ提案手段71:コンテンツ提案手段、時間設定手段72:時間設定手段、80:コンテンツ提案方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対してコンテンツを提案するコンテンツ提案手段と、
次回のコンテンツ提案までの提案保留時間を設定する時間設定手段と、
を有し、
前記コンテンツ提案手段は、コンテンツ提案後、前記提案保留時間の経過後に次のコンテンツ提案を行うことを特徴とするコンテンツ提案装置。
【請求項2】
前記時間設定手段は、提案保留時間をユーザが指定した時間に設定することを特徴とする請求項記載のコンテンツ提案装置。
【請求項3】
前記時間設定手段は、提案保留時間を、自動車の室内状況、室外状況、運転状況、及び/又はユーザについての分析を設定因子として設定することを特徴とする請求項1記載のコンテンツ提案装置。
【請求項4】
前記時間設定手段は、提案保留時間を一旦設定後で次のコンテンツ提案実施前において、前記設定因子の変化に基づき、前記提案保留時間を変更することを特徴とする請求項3記載のコンテンツ提案装置。
【請求項5】
前記コンテンツ提案手段は、前記コンテンツ提案装置の作動停止中に、前記提案保留時間が経過した場合は、前記コンテンツ提案装置の次の作動開始後に、コンテンツ提案を行なうことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のコンテンツ提案装置。
【請求項6】
前記コンテンツ提案手段は、コンテンツ提案に係るコンテンツの再生期間に、ユーザより再生中断指示を受け付け、かつ前記提案保留時間内に再生再開指示を受付けなかった場合には、前記提案保留時間の経過後のコンテンツ提案時に、再生中断指示により再生中断したコンテンツを提案することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコンテンツ提案装置。
【請求項7】
ユーザに対してコンテンツを提案するコンテンツ提案ステップと、
次回のコンテンツ提案までの提案保留時間を設定する時間設定ステップと、
コンテンツ提案後、前記提案保留時間の経過後に次のコンテンツ提案を行う前記コンテンツ提案ステップと、
を有することを特徴とするコンテンツ提案方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載のコンテンツ提案装置の各手段としてコンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−18756(P2008−18756A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−190148(P2006−190148)
【出願日】平成18年7月11日(2006.7.11)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】