説明

コンデンサ内蔵型電動機

【課題】円筒状ハウジング内にて各固定子巻線の反負荷側とハウジングの周壁のうち各反負荷側に対する対応周壁部位との間に必然的に形成される環状デッドスペースを、運転用の環状コンデンサ本体を収容するスペースとして活用することで、ハウジングの外形形状を出来る限り小さくするようにしたコンデンサ内蔵型電動機を提供する。
【解決手段】運転用の環状コンデンサ7を、円筒状ハウジング1内において各絶縁ボビン9の外径側立上げ部9−1、内径側立上げ部9−2のうちハウジング1の周壁側に位置する外径側立上げ部9−1の反負荷側部位とハウジング1の内周壁のうちとの間に必然的に形成される環状デッドスペース内に同軸的に装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動機に係り、特に、換気扇その他の各種電気製品の駆動源として採用されるコンデンサ内蔵型電動機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコンデンサ内蔵型電動機としては、下記特許文献1に開示されたものがある。当該電動機は、図21にて示すごとく、環状の端子台101及び運転用のコンデンサである環状コンデンサ102を備えている。ここで、環状の端子台101は、電動機の円筒状ハウジング103内に同軸的に嵌装した固定子104の各固定子巻線104aにその反負荷側端部にて同軸的に組み付けられている。また、環状コンデンサ102は、端子台101にその反負荷側から同軸的に組み付けられている。
【特許文献1】特開2002−10591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年、一般に、コンデンサ内蔵型電動機を駆動源として採用する電気製品に対しては、省スペース化が強く要請されている。これに伴い、上述のように構成した電動機自体に対しても省スペース化が必然的に要請されている。特に、コンデンサ内蔵型電動機は、比較的、出力の小さな電動機であるから、当該電動機の外形寸法も小さい。従って、このような電動機に対する省スペース化は、非常に厳しい要請となっているのが実情である。
【0004】
しかし、上述のように構成した電動機では、環状のコンデンサ102が、ハウジング103の反負荷側空所内において、固定子104の各固定子巻線104aの反負荷側端部を基準として、その反負荷側へ突出して位置する。このため、ハウジング103の軸長が、少なくとも環状コンデンサ102の軸方向の厚み分だけ、必然的に長くなってしまう。これでは、上述の省スペース化の要請には十分には応えられないという不具合を招く。このようなことは、端子台101を廃止し、環状コンデンサ102を、直接、各固定子巻線104aの反負荷側端部に組み付けるようにしても同様である。
【0005】
また、回転子105を固定子104の固定子鉄心104bを介しハウジング103内に組み付けるにあたっては、通常、上述のように環状の端子台101及び環状コンデンサ102を各固定子巻線104aの反負荷側端部に同軸的に組み付けた後に、回転子105をコンデンサ102及び端子台101の各中空部を通して固定子鉄心104bの中空部内に挿通する。
【0006】
このため、端子台101の中空部の内径が回転子105の回転子鉄芯105aの外径よりも必然的に大きくなければならない。従って、端子台101に配線層を形成するにあたりその形成範囲を広くとることができないという不具合もある。また、このような配線層の形成範囲を広くしようとすると、端子台101の外径が大きくなってハウジング103の外径が大きくなるという不具合を招く。
【0007】
これに対し、本発明者等は、改めて、コンデンサ内蔵型電動機の形状について詳細に検討してみたところ、当該電動機は上述のごとく小型ではあるが、回転子が回転することから、ハウジングや固定子は、回転子の回転に適するように、回転子の回転軸を中心とした対称的形状を有している。
【0008】
また、各固定子巻線は、固定子鉄芯からハウジングの反固定子鉄芯側の空所内に突出しているため、ハウジングの反固定子鉄芯側の空所内において、当該各固定子巻線外周部とハウジングの内周壁との間には、環状のデッドスペースが必然的に形成される。
【0009】
そこで、本発明は、以上のようなことに着目して、円筒状ハウジング内にて各固定子巻線とハウジングの内周壁との間に必然的に形成される環状デッドスペースを、運転用の環状コンデンサを収容するスペースとして活用することで、ハウジングの外形形状をできる限り小さくするようにしたコンデンサ内蔵型電動機を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、回転子の装着後、一対のハウジング部材の組合せにより電動機を完成する際に、上記運転用コンデンサ及び各固定子巻線を外部回路に接続するための端子台を、当該コンデンサのコンデンサ端子及び各固定子巻線を絡げて電気的接続したピン端子とそれらの対応部位に係合部を形成した板状の導電性材料からなる弾性ターミナルを備えた端子台とを機械的に組合せることで電気的接続するように構成し、反負荷側ハウジング内において同軸的に装着するようにしたコンデンサ内蔵型電動機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のコンデンサ内蔵型電動機は上記目的を達成するために、一対の円筒状のハウジングと、このハウジング内に嵌装される固定子と、前記一対のハウジングの両軸方向の周壁の各中間部間に回転自在に支持される回転子とからなり、前記固定子は固定子鉄芯の周方向に沿い間隔をおいて放射状に設けた複数の歯部に対してそれぞれ巻装される固定子巻線を有し、この固定子巻線外周部とハウジングの内周壁との間に形成される環状デッドスペースに同軸的に配置される環状の運転用のコンデンサを備える構成としたものである。
【0012】
この手段により、運転用のコンデンサを内蔵した電動機のハウジング内スペースの有効活用が可能となり、外形形状の小型化および軸方向寸法の縮小が可能なコンデンサ内蔵型電動機が得られる。
【0013】
また、本発明のコンデンサ内蔵型電動機は上記目的を達成するために、一対の円筒状ハウジングと、このハウジングの内周壁に嵌装され固定子鉄芯の周方向に沿い間隔を置いて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビンを介して巻装された固定子巻線を有する固定子と、前記一対のハウジングの両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子と、前記固定子巻線外周部および前記巻線ボビンの外周側立上げ部と前記ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペースに同軸的に配置された電動機運転用の環状コンデンサと、前記絶縁ボビンの外周側立上げ部または内周側立上げ部から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線の巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子および前記環状コンデンサの電極としてのコンデンサ端子と電気的接続する係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナルを備えた端子台とからなり、前記弾性ターミナルは前記ピン端子とコンデンサ端子の各対応部位に対向するように係合部を形成してなり、前記ヒ゜ン端子とコンデンサ端子は弾性ターミナルの係合部に対してその弾力に抗して係脱可能に係合される構成としたものである。
【0014】
この手段により、運転用のコンデンサを内蔵した電動機のハウジング内スペースの有効活用が可能となり、外形形状の小型化および軸方向寸法の縮小が可能なる。そして、コンデンサ端子および固定子巻線を絡げたピン端子と端子台との電気的接続を容易にすることができるコンデンサ内蔵型電動機が得られる。
【0015】
また、本発明のコンデンサ内蔵型電動機は上記目的を達成するために、一対の円筒状ハウジングと、この負荷側ハウジングの内周壁に嵌装され固定子鉄芯の周方向に沿い間隔を置いて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビンを介して巻装された固定子巻線を有する固定子と、前記一対のハウジングの両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子と、前記固定子巻線の反負荷側の外周部および前記巻線ボビンの外周側立上げ部と前記反負荷側ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペースに同軸的に配置された電動機運転用の環状コンデンサと、前記絶縁ボビンの反負荷側の外周側立上げ部または内周側立上げ部から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線の巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子および前記環状コンデンサの電極としてのコンデンサ端子と電気的接続する係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナルを備え、その中央部に前記ハウジングの軸受保持部の外径より僅かに大径で回転子鉄芯の外径よりも小径の孔を有する端子台とからなり、前記端子台は固定子巻線の反負荷側に同軸的に装着固定されてなり、前記環状コンデンサは反負荷側ハウジングの内周壁に装着固定され、この反負荷側ハウジングと固定子を嵌装した負荷側ハウジングとを回転子を装着後組合せることにより前記コンデンサ端子と端子台の弾性ターミナルとの電気的接続ができ電動機を組立てる構成としたものである。
【0016】
この手段により、運転用のコンデンサを内蔵した電動機のハウジング内スペースの有効活用が可能となり、外形形状の小型化および軸方向寸法の縮小が可能なる。そして、環状のコンデンサのハウジング内周壁への装着が別工程で可能となり、作業時間の短縮が可能なコンデンサ内蔵型電動機が得られる。
【0017】
また、本発明のコンデンサ内蔵型電動機は上記目的を達成するために、一対の円筒状ハウジングと、この負荷側ハウジングの内周壁に嵌装され固定子鉄芯の周方向に沿い間隔を置いて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビンを介して巻装された固定子巻線を有する固定子と、前記一対のハウジングの両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子と、前記固定子巻線の反負荷側の外周部および前記巻線ボビンの外周側立上げ部と前記反負荷側ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペースに同軸的に配置された電動機運転用の環状コンデンサと、前記絶縁ボビンの反負荷側の外周側立上げ部または内周側立上げ部から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線の巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子および前記環状コンデンサの電極としてのコンデンサ端子と電気的接続する係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナルを備え、その中央部に前記ハウジングの軸受保持部の外径より僅かに大径で回転子鉄芯の外径よりも小径の孔を有する端子台とからなり、前記端子台は反負荷側ハウジングの周壁内で反固定子鉄芯側で同軸的に装着固定され、前記環状コンデンサは固定子巻線の反負荷側の外周部に装着固定されてなり、この反負荷側ハウジングと固定子を嵌装した負荷側ハウジングとを、回転子を装着後組合せることにより前記端子台の導電性の弾性ターミナルと前記絶縁ボビンのピン端子およびコンデンサ端子との電気的接続ができ電動機の組立てができる構成としたものである。
【0018】
この手段により、運転用の環状コンデンサを内蔵した電動機のハウジング内スペースの有効活用が可能となり端子台の配線層の形成範囲の拡大ができることにより、外形形状の小型化および軸方向寸法の縮小が可能なコンデンサ内蔵型電動機が得られる。
【0019】
また、本発明のコンデンサ内蔵型電動機は上記目的を達成するために、一対の円筒状ハウジングと、このハウジングの内周壁に嵌装され固定子鉄芯の周方向に沿い間隔を置いて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビンを介して巻装された固定子巻線を有する固定子と、前記一対のハウジングの両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子と、前記固定子巻線の外周部および前記巻線ボビンの外周側立上げ部と前記反負荷側ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペースに同軸的に配置された電動機運転用の環状コンデンサと、前記絶縁ボビンの反負荷側の外周側立上げ部または内周側立上げ部から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線の巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子および前記環状コンデンサの電極としてのコンデンサ端子と電気的接続する係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナルを備え、その中央部に前記ハウジングの軸受保持部の外径より僅かに大径で回転子鉄芯の外径よりも小径の孔を有する端子台とからなり、前記環状コンデンサと端子台とは各々で電気的接続されるとともに反負荷側ハウジングの内周壁に装着固定されてなり、この反負荷側ハウジングと前記固定子を嵌装した負荷側ハウジングとを回転子を装着後組合せて電動機を組立てる構成としたものである。
【0020】
この手段により、運転用のコンデンサを内蔵した電動機のハウジング内スペースの有効活用が可能となり、端子台の配線層の形成範囲の拡大ができることにより外形形状の小型化および軸方向寸法の縮小が可能なコンデンサ内蔵型電動機が得られる。
【0021】
また、本発明のコンデンサ内蔵型電動機は上記目的を達成するために、一対の円筒状ハウジングと、この負荷側ハウジングの内周壁に嵌装され固定子鉄芯の周方向に沿い間隔を置いて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビンを介して巻装された固定子巻線を有する固定子と、前記一対のハウジングの両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子と、前記固定子巻線の反負荷側の外周部および前記巻線ボビンの外周側立上げ部と前記反負荷側ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペースに同軸的に配置された電動機運転用の環状コンデンサと、前記絶縁ボビンの反負荷側の外周側立上げ部または内周側立上げ部から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線の巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子および前記環状コンデンサの電極としてのコンデンサ端子と電気的接続する係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナルを備え、その中央部に前記ハウジングの軸受保持部の外径より僅かに大径で回転子鉄芯の外径よりも小径の孔を有する端子台とからなり、前記環状コンデンサと端子台は各々で電気的接続され固定子巻線の反負荷側に装着固定されるとともに巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子に対しても電気的接続されてなり、回転子装着後この環状コンデンサと端子台を装着した固定子を嵌装した負荷側ハウジングと、反負荷側ハウジングとを組合せることにより電動機を組立てる構成としたものである。
【0022】
この手段により、運転用のコンデンサを内蔵した電動機のハウジング内スペースの有効活用が可能となり、外形形状の小型化および軸方向寸法の縮小が可能となる。そして、環状コンデンサと端子台との組立ておよび電気的接続が別工程で可能となり、作業時間の短縮が可能なコンデンサ内蔵型電動機が得られる。
【0023】
また、本発明のコンデンサ内蔵型電動機は上記目的を達成するために、前記端子台の導電性の弾性ターミナルの係合部は、負荷側から反負荷側へ凹状となるように形成したフック部であり、前記ボビンに設けたピン端子およびコンデンサ端子は、その先端部にて、前記各対応の導電性の弾性ターミナル部内にその弾力に抗して係脱可能に係合する構成としたものである。
【0024】
この手段により、運転用のコンデンサを内蔵した電動機のハウジング内スペースの有効活用が可能となり、外形形状の小型化および軸方向寸法の縮小が可能となり、少ない嵌合力で端子台とピン端子およびコンデンサ端子との電気的接続が可能なコンデンサ内蔵型電動機が得られる。
【0025】
また、本発明のコンデンサ内蔵型電動機は上記目的を達成するために、前記端子台の導電性の弾性ターミナル係合部は、コンデンサ端子および前記ボビンに設けたピン端子に対する対応部に負荷側に向け開口するように形成した各嵌合孔部を有する板状部であり、前記ボビンに設けたピン端子およびコンデンサ端子は、その先端部にて、対応する板状部の嵌合孔部内に係脱可能に挿通されて係合する構成としたものである。
【0026】
この手段により、運転用のコンデンサを内蔵した電動機のハウジング内スペースの有効活用が可能となり、外形形状の小型化および軸方向寸法の縮小が可能となり、端子台とピン端子およびコンデンサ端子との接続構造の簡略化が可能なコンデンサ内蔵型電動機が得られる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、各固定子巻線の外周部とハウジングの内周壁との間に形成される環状デッドスペースの有効活用が可能となり、外径形状の小型化および軸方向の縮小が可能となる効果のあるコンデンサ内蔵型電動機を提供できる。
【0028】
また、本発明によれば、各固定子巻線の外周部とハウジングの内周壁との間に形成される環状デッドスペースの有効活用が可能で、外径形状の小型化および軸方向の縮小が可能となり、コンデンサ端子および固定子巻線を絡げたピン端子と端子台との電気的接続を容易にすることができるという効果のあるコンデンサ内蔵型電動機を提供できる。
【0029】
また、本発明によれば、各固定子巻線の外周部とハウジングの内周壁との間に形成される環状デッドスペースの有効活用が可能で、外径形状の小型化および軸方向の縮小が可能となる効果があり、そして運転用のコンデンサのハウジングの内壁への装着が別工程で作業でき作業時間の短縮ができるという効果のあるコンデンサ内蔵型電動機を提供できる。
【0030】
また、本発明によれば、各固定子巻線の外周部とハウジングの内周壁との間に形成される環状デッドスペースの有効活用が可能で、外径形状の小型化および軸方向の縮小が可能となる効果があり、そして端子台はハウジングに装着するため端子台の中央部に設ける孔を最小化でき端子台のスペース拡大ができるという効果のあるコンデンサ内蔵型電動機を提供できる。
【0031】
また、本発明によれば、各固定子巻線の外周部とハウジングの内周壁との間に形成される環状デッドスペースの有効活用が可能で、外径形状の小型化および軸方向の縮小が可能となる効果があり、そして端子台はハウジングに装着するため端子台の中央部に設ける孔を最小化でき端子台のスペース拡大ができ、運転用のコンデンサと端子台との組合せおよびこのコンデンサと端子台のハウジングの内壁への装着が別工程で可能となり作業時間の短縮ができるという効果のあるコンデンサ内蔵型電動機を提供できる。
【0032】
また、本発明によれば、各固定子巻線の外周部とハウジングの内周壁との間に形成される環状デッドスペースの有効活用が可能で、外径形状の小型化および軸方向の縮小が可能となる効果があり、そして運転用のコンデンサと端子台との組合せおよびこのコンデンサと端子台の固定子への装着が別工程で可能となり作業時間の短縮ができるという効果のあるコンデンサ内蔵型電動機を提供できる。
【0033】
また、本発明によれば、コンデンサ端子および固定子巻線の巻線端末線を絡げたピン端子と端子台との電気的接続を容易にすることができるという効果のあるコンデンサ内蔵型電動機を提供できる。
【0034】
また、本発明によれば、コンデンサ端子および固定子巻線を絡げたピン端子と端子台との電気的接続を容易にし、電気的接続部の構造簡略化が実現できるという効果のあるコンデンサ内蔵型電動機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の請求項1記載の発明は、一対の円筒状ハウジングと、ハウジングの内周壁に嵌装される固定子と、前記ハウジングの両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子とからなり、前記固定子は固定子鉄芯の周方向に沿い間隔をおいて放射状に設けた複数の歯部に対して巻装される固定子巻線を有し、前記固定子巻線の外周部とハウジングの内周壁との間に形成される環状デッドスペースに同軸的に配置される運転用の環状コンデンサを備える構成としたものであり、各固定子巻線の外周部とハウジングの内周壁との間に形成される環状デッドスペースの有効活用が可能となるという作用を有する。
【0036】
また、一対の円筒状ハウジングと、このハウジングの内周壁に嵌装され固定子鉄芯の周方向に沿い間隔を置いて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビンを介して巻装された固定子巻線を有する固定子と、前記一対のハウジングの両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子と、前記固定子巻線の外周部および前記巻線ボビンの外周側立上げ部と前記ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペースに同軸的に配置された運転用の環状コンデンサと、前記絶縁ボビンの外周側立上げ部または内周側立上げ部から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線の巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子および前記環状コンデンサの電極としてのコンデンサ端子と電気的接続する係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナルを備えた端子台とからなり、前記端子台の導電性の弾性ターミナルは前記ピン端子とコンデンサ端子の各対応部位に対向するように係合部を形成してなり、前記ピン端子とコンデンサ端子は弾性ターミナルの係合部に対してその弾力に抗して係脱可能に係合される構成としたものであり、各固定子巻線の外周部とハウジングの内周壁との間に形成される環状デッドスペースの有効活用が可能で、コンデンサ端子および固定子巻線を絡げたピン端子と端子台との電気的接続を容易にすることができるという作用を有する。
【0037】
また、一対の円筒状ハウジングと、この負荷側ハウジングの内周壁に嵌装され固定子鉄芯の周方向に沿い間隔を置いて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビンを介して巻装された固定子巻線を有する固定子と、前記一対のハウジングの両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子と、前記固定子巻線の反負荷側の外周部および前記巻線ボビンの外周側立上げ部と前記反負荷側ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペースに同軸的に配置された電動機運転用の環状コンデンサと、前記絶縁ボビンの反負荷側の外周側立上げ部または内周側立上げ部から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線の巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子および前記環状コンデンサの電極としてのコンデンサ端子と電気的接続する係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナルを備え、その中央部に前記ハウジングの軸受保持部の外径より僅かに大径で回転子鉄芯の外径よりも小径の孔を有する端子台とからなり、前記端子台は固定子巻線の反負荷側に同軸的に装着固定されてなり、前記環状コンデンサは反負荷側ハウジングの内周壁に装着固定され、この環状コンデンサを装着した反負荷側ハウジングと反負荷側に端子台を装着した固定子を嵌装した負荷側ハウジングに回転子を装着後組合せることにより前記コンデンサ端子と端子台の導電性の弾性ターミナルとの電気的接続ができ電動機を組立てる構成としたものであり、各固定子巻線の外周部とハウジングの内周壁との間に形成される環状デッドスペースの有効活用が可能で、運転用のコンデンサのハウジングの内壁への装着が別工程で作業できるという作用を有する。
【0038】
また、一対の円筒状ハウジングと、この負荷側ハウジングの内周壁に嵌装され固定子鉄芯の周方向に沿い間隔を置いて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビンを介して巻装された固定子巻線を有する固定子と、前記一対のハウジングの両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子と、前記固定子巻線の反負荷側の外周部および前記巻線ボビンの外周側立上げ部と前記反負荷側ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペースに同軸的に配置された電動機運転用の環状コンデンサと、前記絶縁ボビンの反負荷側の外周側立上げ部または内周側立上げ部から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線の巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子および前記環状コンデンサの電極としてのコンデンサ端子と電気的接続する係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナルを備え、その中央部に前記ハウジングの軸受保持部の外径より僅かに大径で回転子鉄芯の外径よりも小径の孔を有する端子台とからなり、前記端子台は反負荷側ハウジングの周壁内で反固定子鉄芯側で同軸的に装着固定され、前記環状コンデンサは固定子巻線の反負荷側の外周部に装着固定され、この反負荷側ハウジングと環状コンデンサが固定子巻線外周部に装着された固定子を嵌装した負荷側ハウジングとを回転子を装着後組合せることにより前記端子台の導電性の弾性ターミナルと前記絶縁ボビンのピン端子およびコンデンサ端子との電気的接続ができ電動機の組立てができる構成としたものであり、各固定子巻線の外周部とハウジングの内周壁との間に形成される環状デッドスペースの有効活用が可能で、端子台の中央部に設ける孔を最小化できるという作用を有する。
【0039】
また、一対の円筒状ハウジングと、このハウジングの内周壁に嵌装され固定子鉄芯の周方向に沿い間隔を置いて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビンを介して巻装された固定子巻線を有する固定子と、前記一対のハウジングの両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子と、前記固定子巻線の反負荷側の外周部および前記巻線ボビンの外周側立上げ部と前記反負荷側ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペースに同軸的に配置された電動機運転用の環状コンデンサと、前記絶縁ボビンの反負荷側の外周側立上げ部または内周側立上げ部から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線の巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子および前記環状コンデンサの電極としてのコンデンサ端子と電気的接続する係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナルを備え、その中央部に前記ハウジングの軸受保持部の外径より僅かに大径で回転子鉄芯の外径よりも小径の孔を有する端子台とからなり、前記環状コンデンサと端子台は各々で電気的接続されるとともに反負荷側ハウジングの内周壁に装着固定されてなり、この反負荷側ハウジングと前記固定子を嵌装した負荷側ハウジングに回転子を装着後組合せて電動機を組立てる構成としたものであり、各固定子巻線の外周部とハウジングの内周壁との間に形成される環状デッドスペースの有効活用が可能で、運転用コンデンサと端子台とを別工程で組付け可能および端子台の中央部に設ける孔を最小化できるという作用を有する。
【0040】
また、一対の円筒状ハウジングと、この負荷側ハウジングの内周壁に嵌装され固定子鉄芯の周方向に沿い間隔を置いて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビンを介して巻装された固定子巻線を有する固定子と、前記一対のハウジングの両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子と、前記固定子巻線の反負荷側の外周部および前記巻線ボビンの外周側立上げ部と前記反負荷側ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペースに同軸的に配置された電動機運転用の環状コンデンサと、前記絶縁ボビンの反負荷側の外周側立上げ部または内周側立上げ部から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線の巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子および前記環状コンデンサの電極としてのコンデンサ端子と電気的接続する係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナルを備え、その中央部に前記ハウジングの軸受保持部の外径より僅かに大径で回転子鉄芯の外径よりも小径の孔を有する端子台とからなり、前記環状コンデンサと端子台は各々で電気的接続されるとともに固定子巻線の反負荷側に装着固定され、巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子に対しても電気的接続されてなり、この環状コンデンサと端子台を装着した固定子を回転子装着後に嵌装した負荷側ハウジングと、反負荷側ハウジングとを組合せることにより電動機を組立てる構成としたものであり、各固定子巻線の外周部とハウジングの内周壁との間に形成される環状デッドスペースの有効活用が可能で、運転用のコンデンサと端子台との組合せおよびこのコンデンサと端子台の固定子への装着が別工程で可能となるという作用を有する。
【0041】
また、前記端子台の導電性の弾性ターミナルの係合部は、負荷側から反負荷側へ凹状となるように形成したフック部であり、前記ボビンに設けたピン端子およびコンデンサ端子は、その先端部にて、前記各対応の導電性の弾性ターミナル部内にその弾力に抗して係脱可能に係合としたものであり、コンデンサ端子および固定子巻線を絡げたピン端子と端子台との電気的接続が機械的に可能となるという作用を有する。
【0042】
また、前記端子台は、前記台本体のうち前記各弾性接続端子に対する対応部に負荷側に向け開口するように形成した各孔部を有し、前記導電性の弾性ターミナルの係合部は、前記台本体の各孔部内にその径方向に延在されて前記台本体の板厚方向に貫通孔部を形成してなる金属製板状部であり、前記ボビンに設けたピン端子およびコンデンサ端子は、その先端部にて、前記各対応の板状部の貫通孔部内に係脱可能に挿通されて係合するものであり、電気的接続部の構造簡略化が実現できるという作用を有する。
【0043】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0044】
(実施の形態1)
図1および図2に示すように、当該電動機は一対の円筒状ハウジング1と、固定子2および回転子3を備え、ハウジング1内に同軸的に嵌装された固定子2は固定子鉄芯4の周方向に沿い間隔をおいて放射状に設けた複数の歯部に対して巻装される固定子巻線5を有し、この固定子巻線5の外周部と前記ハウジング1の内周壁との間に形成される環状デッドスペース6に対し同軸的に運転用の環状コンデンサ7を備えている。
【0045】
上記構成において、運転用のコンデンサを内蔵し前記固定子巻線5の軸方向スペース8に配置する場合は軸方向寸法をさらに増加する必要があるのに対し、固定子巻線5の外周部と前記ハウジング1の内周壁とで必然的に形成される環状デッドスペース6へ同軸的に運転用の環状コンデンサ7を装着、配置することにより空間の有効利用ができ、電動機の軸方向寸法を削減することができることとなる。
【0046】
また、図1〜図6に示すように、当該電動機は一対の円筒状ハウジング1の内周壁に同軸的に嵌装された固定子鉄芯4の周方向に沿い間隔をおいて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビン9を介して巻装された固定子巻線5を有する固定子2と、前記一対のハウジング1の両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子3とを備え、運転用の環状コンデンサ7が固定子巻線5の外周部および前記絶縁ボビン9の外径側立上げ部9−1と前記ハウジング1の内周壁との間に形成した環状デッドスペース6に同軸的に配置されてハウジング1内に内蔵され、前記絶縁ボビン9の外径側立上げ部9−1かまたは内径側立上げ部9−2から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線5の巻線端末線5−1を絡げて電気的接続したピン端子10および前記運転用の環状コンデンサ7の電極としてのコンデンサ端子7−1と電気的接続するための係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナル12を備えた端子台11とからなり、この端子台11の導電性の弾性ターミナル12は前記ピン端子10とコンデンサ端子7−1の各対応部位に対向するように係合部を備え、各々の弾性ターミナル12間は必要に応じ板状の導電性材料からなる導電板12−1により電気的に結合されている。
【0047】
上記構成において、固定子巻線5の外周部と前記ハウジング1の内周壁とで必然的に形成される環状デッドスペース6に対して、同軸的に運転用の環状コンデンサ7を装着、配置することにより、運転用の環状コンデンサ7を前記固定子巻線5の軸方向スペース8に配置する場合に比較し、ハウジング内スペースの有効活用が可能となる。そして、図9に示すようにピン端子10およびコンデンサ端子7−1と端子台11との電気的接続が機械的な組付け作業だけで半田付けまたは溶接などの作業無しにできることとなる。
【0048】
また、図1から図9に示すように、前記の構成に加え運転用の環状コンデンサ7を反負荷側ハウジング1aの内周壁に装着固定するとともに、その中央部に前記ハウジング1の軸受保持部の外径より僅かに大径で回転子鉄芯の外径よりも小径の孔11−1を設けた端子台11を固定子巻線5の反負荷側に同軸的に装着固定されている。
【0049】
上記構成において、環状コンデンサ7がその内周壁に装着された反負荷側ハウジング1aと、回転子3の装着後に端子台11が固定子巻線5に装着された固定子2を嵌合固定した負荷側ハウジング1bとを組合せることにより、電動機の組立と環状コンデンサ7のコンデンサ端子7−1および絶縁ボビン9のピン端子10と端子台11との電気的接続が同時に可能となり、そして前記環状コンデンサ7の反負荷側ハウジング1aの内周壁への装着作業と固定子2の負荷側ハウジング1bへの嵌合組付け作業が各々別工程で可能であり、作業時間の短縮ができることとなる。
【0050】
(実施の形態2)
図2および図10〜図13に示すように、当該電動機は一対の円筒状ハウジング1の内周壁に同軸的に嵌装され固定子鉄芯4の周方向に沿い間隔をおいて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビン9を介して巻装された固定子巻線5を有する固定子2と、前記一対のハウジング1の両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子3とを備え、運転用の環状コンデンサ7が固定子巻線5の外周部および前記絶縁ボビン9の外径側立上げ部9−1と前記ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペース6に同軸的に配置されてハウジング1内に内蔵され、前記絶縁ボビン9の外径側立上げ部9−1かまたは内径側立上げ部9−2から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線5の巻線端末線5−1を絡げて電気的接続したピン端子10および前記運転用の環状コンデンサ7の電極としてのコンデンサ端子7−1と電気的接続するための係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナル12を備えた端子台11とからなり、この端子台11の導電性の弾性ターミナル12は前記ピン端子10とコンデンサ端子7−1の各対応部位に対向するように係合部を備え、各々の弾性ターミナル12間は必要に応じ板状の導電性材料からなる導電板12−1により電気的に結合されている。そして、図14、図15に示す様に運転用の環状コンデンサ7を固定子巻線5の反負荷側外周部に同軸的に装着固定するとともに、その中央部に前記ハウジング1の軸受保持部の外径より僅かに大径で回転子鉄芯の外径よりも小径の孔11−1を設けた端子台11を反負荷側ハウジング1aの内周壁に同軸的に装着固定されている。
【0051】
上記構成において、固定子巻線5の外周部と前記ハウジング1の内周壁とで必然的に形成される環状デッドスペース6に対して、同軸的に運転用の環状コンデンサ7を装着、配置することにより、ハウジング1内スペースの有効利用ができ、運転用の環状コンデンサ7を前記固定子巻線5の軸方向スペース8に配置する場合に比較し、有効活用ができ電動機の軸方向寸法を削減することができることとなる。そして、端子台11はハウジングに装着するため回転子3の鉄芯部分を挿通する必要がなくその中央部に設ける孔を最小化可能で端子台11のスペース拡大ができ各種モータ保護装置やコネクター部品などの装着も可能となり、ピン端子10およびコンデンサ端子7−1と端子台11との電気的接続が機械的な組付け作業だけで半田付けまたは溶接などの作業無しにできることとなる。そして前記端子台11の反負荷側ハウジング1aの内周壁への装着作業と、固定子2の負荷側ハウジング1bへ嵌合組付けされた固定子2に対する環状コンデンサ7の装着作業が各々別工程で可能であり、作業時間の短縮ができることとなる。
【0052】
(実施の形態3)
図2、図11、図13および図16〜図17に示すように、当該電動機は一対の円筒状ハウジング1の内周壁に同軸的に嵌装され固定子鉄芯4の周方向に沿い間隔をおいて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビン9を介して巻装された固定子巻線5を有する固定子2と、前記一対のハウジング1の両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子3とを備え、運転用の環状コンデンサ7が固定子巻線5の外周部および前記絶縁ボビン9の外径側立上げ部9−1と前記ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペース6に同軸的に配置されてハウジング1内に内蔵され、前記絶縁ボビン9の外径側立上げ部9−1かまたは内径側立上げ部9−2から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線5の巻線端末線5−1を絡げて電気的接続したピン端子10および前記運転用の環状コンデンサ7の電極としてのコンデンサ端子7−1と電気的接続するための係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナル12を備えた端子台11とからなり、この端子台11の導電性の弾性ターミナル12は前記ピン端子10とコンデンサ端子7−1の各対応部位に対向するように係合部を備え、各々の弾性ターミナル12間は必要に応じ板状の導電性材料からなる導電板12−1により電気的に結合されている。そして運転用の環状コンデンサ7と、中央部に前記ハウジング1の軸受保持部の外径より僅かに大径で回転子鉄芯の外径よりも小径の孔11−1を設けた端子台11が反負荷側ハウジング1aの内周壁に同軸的に装着固定されている。
【0053】
上記構成において、固定子巻線5の外周部と前記ハウジング1の内周壁とで必然的に形成される環状デッドスペース6に対して、同軸的に運転用の環状コンデンサ7を装着、配置することにより、ハウジング1内スペースの有効利用ができ、運転用の環状コンデンサ7を前記固定子巻線5の軸方向スペース8に配置する場合に比較し、有効活用ができ電動機の軸方向寸法を削減することができることとなる。そして、端子台11はハウジング1に装着するため回転子3の鉄芯部分を挿通する必要がなくその中央部に設ける孔を最小化可能で端子台11のスペース拡大ができ各種モータ保護装置やコネクター部品などの装着も可能となり、ピン端子10およびコンデンサ端子7−1と端子台11との電気的接続が機械的な組付け作業だけで半田付けまたは溶接などの作業無しにできることとなる。そして前記環状コンデンサ7と端子台11との組合せ作業および反負荷側ハウジング1aの内周壁への装着作業と、固定子2の負荷側ハウジング1bへの嵌合組付け作業が各々別工程で可能であり、作業時間の短縮ができることとなる。
【0054】
(実施の形態4)
図1、図2、図13、図16および図17に示すように、当該電動機は一対の円筒状ハウジング1の内周壁に同軸的に嵌装され固定子鉄芯4の周方向に沿い間隔をおいて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビン9を介して巻装された固定子巻線5を有する固定子2と、前記一対のハウジング1の両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子3とを備え、運転用の環状コンデンサ7が固定子巻線5の外周部および前記絶縁ボビン9の外径側立上げ部9−1と前記ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペース6に同軸的に配置されてハウジング1内に内蔵され、前記絶縁ボビン9の外径側立上げ部9−1かまたは内径側立上げ部9−2から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線5の巻線端末線5−1を絡げて電気的接続したピン端子10および前記運転用の環状コンデンサ7の電極としてのコンデンサ端子7−1と電気的接続するための係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナル12を備えた端子台11とからなり、この端子台11の導電性の弾性ターミナル12は前記ピン端子10とコンデンサ端子7−1の各対応部位に対向するように係合部を備え、各々の弾性ターミナル12間は必要に応じ板状の導電性材料からなる導電板12−1により電気的に結合されている。そして運転用の環状コンデンサ7と、その中央部に前記ハウジング1の軸受保持部の外径より僅かに大径で回転子鉄芯の外径よりも小径の孔11−1を設けた端子台11とが固定子巻線5の反負荷側に同軸的に装着固定されている。
【0055】
上記構成において、固定子巻線5の外周部と前記ハウジング1の内周壁とで必然的に形成される環状デッドスペース6に対して、同軸的に運転用の環状コンデンサ7を装着、配置することにより、ハウジング1内スペースの有効利用ができ、運転用の環状コンデンサ7を前記固定子巻線5の軸方向スペース8に配置する場合に比較し、有効活用ができ電動機の軸方向寸法を削減することができることとなる。そしてピン端子10は、環状コンデンサ7と組合せされた端子台11との電気的接続が機械的な組付け作業だけで半田付けまたは溶接などの作業無しにできることとなる。そして前記環状コンデンサ7と端子台11との組合せ作業および反負荷側ハウジング1aの内周壁への装着作業と、固定子2の負荷側ハウジング1bへの嵌合組付け作業が各々別工程で可能であり、作業時間の短縮ができることとなる。
【0056】
(実施の形態5)
図3、図6、図9および図12に示すように、端子台11の板状の導電性材料からなる弾性ターミナル12の係合部は負荷側または反負荷側から固定子鉄芯4方向に向かい凹状に形成されたバネ状であり、前記絶縁ボビン9に設けたピン端子10および運転用の環状コンデンサ7のコンデンサ端子7−1はその先端部を包含する構成である。
【0057】
上記構成において、コンデンサ端子7−1および絶縁ボビン9に設けられて固定子巻線5の巻線端末線5−1を絡げたピン端子10は、端子台11に配置された板状の導電性材料からなる弾性ターミナル12のバネ状の係合部を各対応部位に対向させ、機械的に組み合わせることにより電気的接続も同時に完了することとなる。
【0058】
(実施の形態6)
図3、図10および図18〜20に示すように、端子台11の板状の導電性材料からなる弾性ターミナル12は係合部を有し、コンデンサ端子7−1および前記絶縁ボビン9に設けたピン端子10に対する対応部に負荷側に向け開口するように形成した嵌合孔部12−2を有する板状部を設けた構成である。
【0059】
上記構成において、コンデンサ端子7−1および絶縁ボビン9に設けられて固定子巻線5の巻線端末線5−1を絡げたピン端子10は、端子台11に配置された板状の導電性材料からなる弾性ターミナル12のバネ状の係合部の嵌合孔部12−2を各対応部位に対向させ、機械的に組み合わせることにより前記ピン端子およびコンデンサ端子は、その先端部にて前記各対応の板状部の嵌合孔部内に係脱可能に挿通されて係合され電気的接続も同時に完了することとなる。
【0060】
なお、実施の形態2〜6では、端子台の各弾性ターミナル間の配線用として板状の導電性材料を用いたが、板状の導電性材料にかえてプリント基盤の銅箔を用いてもよく、その作用効果に差違を生じない。
【0061】
また、実施の形態6において、端子台に配置された板状の導電性材料からなる弾性ターミナルの係合部の嵌合孔部は単純な丸孔形状としたが、これに加えて放射状にスリットを加えるかまたはバーリング構造としてもよく、その基本的な作用効果に差違を生じない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
円筒状ハウジングの内周壁と固定子巻線の外周部とで構成されるスペースに運転用の環状コンデンサを装着することにより、前記円筒状ハウジングの内部スペースの有効利用が可能で、運転用および起動用コンデンサを有する電動機に対しその外形形状を拡大することなく前記コンデンサを内蔵する用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態1および4のコンデンサ電動機を示す縦断面図
【図2】同実施の形態1から4のコンデンサ電動機の反負荷側の円筒状ハウジングを仮定した縦断面図
【図3】同実施の形態1、5および6のコンデンサ電動機固定子の縦断面図
【図4】同実施の形態1のコンデンサ電動機の運転用コンデンサの拡大斜視図
【図5】同実施の形態1のコンデンサ電動機の端子台の平面図
【図6】同実施の形態1、5のコンデンサ電動機の端子台の弾性ターミナル部分を示す拡大断面図
【図7】同実施の形態1のコンデンサ電動機の円筒状ハウジングに回転子を装着した後、固定子を同軸的に嵌合した状態を示す縦断面図
【図8】同実施の形態1のコンデンサ電動機の反負荷側の円筒状ハウジング内面に環状コンデンサを同軸的に装着した状態を示す断面図
【図9】同実施の形態1、5のコンデンサ電動機の絶縁ボビンのピン端子と端子台の弾性ターミナルとの嵌合状態を示す拡大断面図
【図10】同実施の形態2、6のコンデンサ電動機の環状コンデンサを示す拡大斜視図
【図11】同実施の形態2、3のコンデンサ電動機の端子台の平面図
【図12】同実施の形態2、3、5のコンデンサ電動機の環状コンデンサのコンダンサ端子と端子台の弾性ターミナルとの嵌合状態を示す断面図
【図13】同実施の形態2、3、4のコンデンサ電動機の縦断面図
【図14】同実施の形態2のコンデンサ電動機固定子の縦断面図
【図15】同実施の形態2のコンデンサ電動機の反負荷側の円筒状ハウジング内面に端子台を同軸的に装着した状態を示す断面図
【図16】同実施の形態3、4のコンデンサ電動機の反負荷側の円筒状ハウジング内面に環状コンデンサと端子台を同軸的に装着した状態を示す断面図
【図17】同実施の形態3のコンデンサ電動機の環状コンデンサと端子台を組立した状態を示す断面図
【図18】同実施の形態6のコンデンサ電動機の絶縁ボビンのピン端子と端子台の弾性ターミナルとの嵌合状態を示す拡大断面図
【図19】同実施の形態6のコンデンサ電動機の端子台の弾性ターミナル部分を示す拡大断面図
【図20】同実施の形態6のコンデンサ電動機の端子台の平面図
【図21】従来のコンデンサ内蔵型電動機の断面図
【符号の説明】
【0064】
1 ハウジング
1a 反負荷側ハウジング
1b 負荷側ハウジング
2 固定子
3 回転子
4 固定子鉄芯
5 固定子巻線
5−1 巻線端末線
6 環状デッドスペース
7 環状コンデンサ
7−1 コンデンサ端子
8 軸方向スペース
9 絶縁ボビン
9−1 外径側立上げ部
9−2 内径側立上げ部
10 ピン端子
11 端子台
11−1 孔
12 弾性ターミナル
12−1 導電板
12−2 嵌合孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の円筒状ハウジングと、ハウジングの内周壁に嵌装される固定子と、前記ハウジングの両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子とからなり、前記固定子は固定子鉄芯の周方向に沿い間隔をおいて放射状に設けた複数の歯部に対して巻装される固定子巻線を有し、前記固定子巻線の外周部とハウジングの内周壁との間に形成される環状デッドスペースに同軸的に配置される運転用の環状コンデンサを備える構成のコンデンサ内蔵型電動機。
【請求項2】
一対の円筒状ハウジングと、このハウジングの内周壁に嵌装され固定子鉄芯の周方向に沿い間隔を置いて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビンを介して巻装された固定子巻線を有する固定子と、前記一対のハウジングの両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子と、前記固定子巻線の巻線端部外周部および前記巻線ボビンの外周側立上げ部と前記ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペースに同軸的に配置された運転用の環状コンデンサと、前記絶縁ボビンの外周側立上げ部または内周側立上げ部から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線の巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子および前記環状コンデンサの電極としてのコンデンサ端子と電気的接続する係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナルを備えた端子台とからなり、前記端子台の弾性ターミナルは前記ピン端子とコンデンサ端子の各対応部位に対向するように係合部を形成してなり、前記ピン端子とコンデンサ端子は弾性ターミナルの係合部に対してその弾力に抗して係脱可能に係合される構成のコンデンサ内蔵型電動機。
【請求項3】
一対の円筒状ハウジングと、この負荷側ハウジングの内周壁に嵌装され固定子鉄芯の周方向に沿い間隔を置いて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビンを介して巻装された固定子巻線を有する固定子と、前記一対のハウジングの両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子と、前記固定子巻線の反負荷側の外周部および前記巻線ボビンの外周側立上げ部と前記反負荷側ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペースに同軸的に配置された電動機運転用の環状コンデンサと、前記絶縁ボビンの反負荷側の外周側立上げ部または内周側立上げ部から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線の巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子および前記環状コンデンサの電極としてのコンデンサ端子と電気的接続する係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナルを備え、その中央部に前記ハウジングの軸受保持部の外径より僅かに大径で回転子鉄芯の外径よりも小径の孔を有する端子台とからなり、前記端子台は固定子巻線の反負荷側に同軸的に装着固定されてなり、前記環状コンデンサは反負荷側ハウジングの内周壁に装着固定され、この反負荷側ハウジングと固定子を嵌装した負荷側ハウジングとを回転子を装着後組合せることにより前記コンデンサ端子と端子台の弾性ターミナルとの電気的接続ができ電動機を組立てる構成のコンデンサ内蔵型電動機。
【請求項4】
一対の円筒状ハウジングと、この負荷側ハウジングの内周壁に嵌装され固定子鉄芯の周方向に沿い間隔を置いて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビンを介して巻装された固定子巻線を有する固定子と、前記一対のハウジングの両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子と、前記固定子巻線の反負荷側の外周部および前記巻線ボビンの外周側立上げ部と前記反負荷側ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペースに同軸的に配置された電動機運転用の環状コンデンサと、前記絶縁ボビンの反負荷側の外周側立上げ部または内周側立上げ部から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線の巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子および前記環状コンデンサの電極としてのコンデンサ端子と電気的接続する係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナルを備え、その中央部に前記ハウジングの軸受保持部の外径より僅かに大径で回転子鉄芯の外径よりも小径の孔を有する端子台とからなり、前記端子台は反負荷側ハウジングの周壁内で反固定子鉄芯側で同軸的に装着固定され、前記環状コンデンサは固定子巻線の反負荷側の固定子巻線外周部に装着固定され、この反負荷側ハウジングと固定子を嵌装した負荷側ハウジングとを回転子を装着後組合せることにより前記端子台の弾性ターミナルと前記絶縁ボビンのピン端子およびコンデンサ端子との電気的接続ができ電動機の組立てができる構成のコンデンサ内蔵型電動機。
【請求項5】
一対の円筒状ハウジングと、このハウジングの内周壁に嵌装され固定子鉄芯の周方向に沿い間隔を置いて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビンを介して巻装された固定子巻線を有する固定子と、前記一対のハウジングの両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子と、前記固定子巻線の反負荷側の外周部および前記巻線ボビンの外周側立上げ部と前記反負荷側ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペースに同軸的に配置された電動機運転用の環状コンデンサと、前記絶縁ボビンの反負荷側の外周側立上げ部または内周側立上げ部から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線の巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子および前記環状コンデンサの電極としてのコンデンサ端子と電気的接続する係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナルを備え、その中央部に前記ハウジングの軸受保持部の外径より僅かに大径で回転子鉄芯の外径よりも小径の孔を有する端子台とからなり、前記環状コンデンサと端子台は各々で電気的接続されるとともに反負荷側ハウジングの内周壁に装着固定されてなり、この反負荷側ハウジングと前記固定子を嵌装した負荷側ハウジングとを回転子を装着後組合せて電動機を組立てる構成のコンデンサ内蔵型電動機。
【請求項6】
一対の円筒状ハウジングと、この負荷側ハウジングの内周壁に嵌装され固定子鉄芯の周方向に沿い間隔を置いて放射状に設けた複数の歯部に対し絶縁ボビンを介して巻装された固定子巻線を有する固定子と、前記一対のハウジングの両軸方向側壁の各中央部間に回転自在に支持される回転子と、前記固定子巻線の反負荷側の外周部および前記巻線ボビンの外周側立上げ部と前記反負荷側ハウジングの内周壁との間に形成した環状デッドスペースに同軸的に配置された電動機運転用の環状コンデンサと、前記絶縁ボビンの反負荷側の外周側立上げ部または内周側立上げ部から反固定子鉄芯方向へ延出し固定子巻線の巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子および前記環状コンデンサの電極としてのコンデンサ端子と電気的接続する係合部を有する板状の導電性材料からなる弾性ターミナルを備え、その中央部に前記ハウジングの軸受保持部の外径より僅かに大径で回転子鉄芯の外径よりも小径の孔を有する端子台とからなり、前記環状コンデンサと端子台は各々で電気的接続されるとともに固定子巻線の反負荷側に装着固定され、かつ巻線端末線を絡げ電気的接続したピン端子に対しても電気的接続されてなり、回転子装着後この環状コンデンサと端子台を装着した固定子を嵌装した負荷側ハウジングと、反負荷側ハウジングとを組合せることにより電動機を組立てる構成のコンデンサ内蔵型電動機。
【請求項7】
前記端子台の板状の導電性材料からなる弾性ターミナルの係合部は、負荷側から反負荷側へ凹状となるように形成したフック部であり、前記ボビンに設けたピン端子およびコンデンサ端子は、その先端部にて、前記各対応の板状の導電性材料からなる弾性ターミナル部内にその弾力に抗して係脱可能に係合することを特徴とする請求項2〜6のいずれか一つに記載のコンデンサ内蔵型電動機。
【請求項8】
前記端子台の導電性の弾性ターミナル係合部は、コンデンサ端子および前記ボビンに設けたピン端子に対する対応部に負荷側に向け開口するように形成した各嵌合孔部を有する板状部であり、前記ボビンに設けたピン端子およびコンデンサ端子は、その先端部にて、対応する板状部の嵌合孔部内に係脱可能に挿通されて係合することを特徴とする請求項2〜6のいずれか一つに記載のコンデンサ内蔵型電動機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2006−25511(P2006−25511A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200241(P2004−200241)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000006242)松下エコシステムズ株式会社 (36)
【出願人】(390022460)株式会社指月電機製作所 (99)
【Fターム(参考)】