説明

コンプレッサ及びポンプアップ装置

【課題】省スペースでシリンダを冷却可能なコンプレッサ及びポンプアップ装置を得る。
【解決手段】駆動モータ202に連結されたシロッコファン204が、ケース222内に収容されており、シロッコファン204には、クランクピン212を介して、他端部にピストン216が設けられたクランクシャフト214が連結されている。一方、ケース222には吸気口224が設けられており、シロッコファン204の回転によって、該吸気口224を通じてケース222内に外気が吸引されるようにしている。また、ケース222には、吸気口224から吸引された外気をシリンダ218周りへ案内するダクト228が形成されており、吸気口224を通じて吸引された外気を確実にシリンダ218周りへ案内するようにしている。これにより、空気の圧縮により高温になるシリンダ218を冷却することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンプレッサ及びポンプアップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動機構において、高温となる部品を冷却するため、冷却ファンが設けられる場合がある。例えば、特許文献1では、冷却ファンとしてシロッコファンが設けられており、このシロッコファンの駆動軸とエンジンのクランクシャフトがカップリングによって連結されている。このため、エンジンが駆動すると、カップリングを介してシロッコファンが回転する。このシロッコファンの回転によって発生した風によってラジエータが冷却されるようになっている。
【0003】
また、特許文献2では、クランクシャフトには冷却ファンが装着されており、リコイルスタータを駆動させると、スタータプーリを介して、冷却ファン及びクランクシャフトが回転するようになっている。そして、この冷却ファンの回転によって発生した風によってシリンダが冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−1725号公報
【特許文献2】特開2008−101547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、省スペースでシリンダを冷却可能なコンプレッサ及びポンプアップ装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るコンプレッサは、駆動モータと、前記駆動モータの回転軸に取付けられ、ケース内に収容され駆動モータの駆動によって回転する冷却ファンと、前記ケース内に収容され、前記冷却ファンの回転中心部からずれた位置に一端部が連結され、該冷却ファンの径方向へ延びて、前記駆動モータからの回転力を、他端部が往復移動する力へ変換させるクランクシャフトと、前記クランクシャフトの他端部に設けられたピストンと、前記ケース内に収容され、前記ピストンが収容されて、圧縮空気が生成されるシリンダと、前記ケースに形成され、前記冷却ファンの回転によって外気が吸引される吸気口と、前記ケース内の空気が排出される排気口と、を有している。
【0007】
本発明の請求項1に係るコンプレッサでは、駆動モータが備えられており、駆動モータの回転軸には冷却ファンが取付けられている。このため、駆動モータの駆動によって冷却ファンは回転する。この冷却ファンがケース内に収容されており、冷却ファンの回転中心部からずれた位置には、クランクシャフトの一端部が連結されている。
【0008】
このクランクシャフトは、冷却ファンの径方向へ延びて配置されており、クランクシャフトの他端部にはピストンが設けられ、シリンダ内に収容されている。このため、駆動モータが駆動すると、駆動モータからの回転力は、クランクシャフトによって、ピストンがシリンダ内を往復移動する力へ変換される。そして、このピストンの移動によって、シリンダ内では圧縮空気が生成される。
【0009】
一方、ケースには吸気口が設けられており、冷却ファンの回転によって、該吸気口を通じてケース内には外気が吸引される。そして、ケース内の空気は排気口によって排出される。このように、ケース内に外気を取り入れることができるため、空気の圧縮により高温になるシリンダを外気によって冷却することができる。
【0010】
ここで、冷却ファンにクランクシャフトの一端部を直接連結させることで、冷却ファンとシリンダの位置を近づけることができるため、省スペース化が可能となり、コンプレッサを小型化することができる。
【0011】
また、冷却ファンとクランクシャフトを連結する連結部品が不要となるため、その分コストダウンを図ることができる。さらに、冷却ファンとクランクシャフトとで駆動源を個々に設ける必要がないため、省スペース化が可能であると共に、コストダウンを図ることができる。
【0012】
本発明の請求項2に係るコンプレッサは、請求項1に記載のコンプレッサにおいて、前記冷却ファンの回転中心部と対面する位置に前記吸気口が形成され、前記吸気口から吸引された外気を前記シリンダ周りへ案内するガイド流路が形成されている。
【0013】
本発明の請求項2に係るコンプレッサでは、冷却ファンの回転中心部と対面する位置に吸気口が形成され、この吸気口から吸引された外気を、ガイド流路を介して、直接シリンダ周りへ案内することができるため、ガイド流路が形成されていない場合と比較して、シリンダの冷却効率が高くなる。
【0014】
本発明の請求項3に係るコンプレッサは、請求項1又は2に記載のコンプレッサにおいて、前記クランクシャフトの一端部は、前記冷却ファンの前記吸気口側に設けられている。
【0015】
本発明の請求項3に係るコンプレッサでは、クランクシャフトの一端部と冷却ファンを連結する連結部(クランクピン)を、冷却ファンの吸気口側に設けることで、吸気口から吸引された外気を連結部に当てることができ、該連結部を冷却することができる。
【0016】
本発明の請求項4に係るコンプレッサは、請求項1〜3の何れか1項に記載のコンプレッサにおいて、前記クランクシャフトの軸方向に沿って、前記冷却ファン及び前記シリンダが配置されている。
【0017】
安全面から移動部材である冷却ファン及びクランクシャフト等はケースで覆う必要があるが、本発明の請求項4に係るコンプレッサでは、クランクシャフトの軸方向に沿って、冷却ファン及びシリンダを配置することで、クランクシャフト、冷却ファン及びシリンダを省スペースで配置することができ、該ケースを小さくすることができるため、結果的にコンプレッサを小型化することができる。
【0018】
本発明の請求項5に係るコンプレッサは、請求項1〜4の何れか1項に記載のコンプレッサにおいて、前記クランクシャフトの回転変動を低減させるカウンタウェイトが、前記冷却ファンに設けられている。
【0019】
本発明の請求項5に係るコンプレッサでは、カウンタウェイトを冷却ファンに設けることで、駆動モータから駆動力が伝達される部材に、カウンタウェイト及び冷却ファンをそれぞれ配置させた場合と比較して、省スペース化を図ることができる。
【0020】
本発明の請求項6に係るコンプレッサは、請求項1〜5の何れか1項に記載のコンプレッサにおいて、前記冷却ファンはシロッコファンである。
【0021】
本発明の請求項6に係るコンプレッサでは、冷却ファンをシロッコファンとすることで、プロペラファンと比較して、小型軽量化を図ると共に、高い風圧を得ることができる。
【0022】
本発明の請求項7に係るポンプアップ装置は、空気入りタイヤ内へ圧縮空気を送り込んで前記空気入りタイヤの内圧を昇圧可能なポンプアップ装置において、前記圧縮空気を生成する請求項1〜6の何れか1項に記載のコンプレッサを備えている。
【0023】
本発明の請求項7に係るポンプアップ装置では、請求項1〜6の何れか1項に記載の発明と略同一の効果が得られると共に、ポンプアップ装置の小型化が可能である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、省スペースでシリンダを冷却可能なコンプレッサ及びポンプアップ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施の形態に係るコンプレッサを備えたシーリング装置を示す斜視図である。
【図2】本実施の形態のコンプレッサを備えたシーリング装置のジョイントホースの先端のバルブコネクタを空気入りタイヤのタイヤバルブに接続した状態を示す構成図である。
【図3】本実施の形態のコンプレッサを備えたシーリング装置の液剤容器に開封装置を装着する前の状態を示す部分側面図である。
【図4】本実施の形態のコンプレッサを備えたシーリング装置の液剤容器に開封装置を装着した状態を示す部分側断面図である。
【図5】本実施の形態に係るコンプレッサの構成を示す概略斜視図である。
【図6】本実施の形態に係るコンプレッサの構成を示す縦断面図である。
【図7】本実施の形態に係るコンプレッサの構成を示す平面図である。
【図8】本実施の形態に係るコンプレッサの構成を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態に係るコンプレッサを備えたポンプアップ装置の一例について図1〜図8に基づいて説明する。
(全体構成)
図2に示されるように、ポンプアップ装置としてのシーリングポンプアップ装置10(以下、単に「シーリング装置10」という。)は、自動車等の車両に装着された空気入りタイヤ100(以下、単に「タイヤ100」という。)がパンクした際、タイヤ及びホイールを交換することなく、タイヤ100のパンク穴をシーリング剤により補修し、タイヤ100の内圧を指定圧まで再加圧(ポンプアップ)するための装置である。
【0027】
図1及び図2に示されるように、シーリング装置10は、箱状の筐体16と、該筐体16に収納され圧縮空気を生成するコンプレッサユニット12と、タイヤ100のパンク穴補修用のシーリング剤32を収容した液剤容器18と、液剤容器18を開封する開封装置60と、を備えている。
【0028】
(筐体)
図1に示されるように、筐体16の内部には、コンプレッサユニット12が収納されるコンプレッサ室74が設けられており、コンプレッサ室74の上方に配置される天井板80には、コンプレッサユニット12の電源スイッチ82が設けられている。
【0029】
また、筐体16内のコンプレッサ室74以外の領域は収納室76とされており、蓋78によって開閉可能とされている。この収納室76には、コンプレッサユニット12に連結された空気ホース86が接続された開封装置60、コンプレッサユニット12に接続された電源ケーブル14、及びコンプレッサユニット12で生成された圧縮空気の圧力を測定する圧力ゲージ84等が収納されている。
【0030】
蓋78の裏面には、シーリング装置10の操作手順、及び使用時の注意事項が記載されたマニュアル(図示省略)が貼り付けられている。シーリング装置10を使用する際には、蓋78を開くため、ユーザーがマニュアルを目視しやすいようになっている。
【0031】
(コンプレッサユニット)
図1に示されるように、コンプレッサユニット12はエアコンプレッサ200及び駆動モータ202を備えており、駆動モータ202は収納室76に収納される電源ケーブル14と接続されている。この電源ケーブル14の先端部には、車両に設置されたシガレットライターのソケットに差し込み可能なプラグ15が設けられている。
【0032】
このプラグ15をシガレットライターのソケットに差込むことで、車両に搭載されたバッテリから駆動モータ202に電力が供給可能となり、前述した電源スイッチ82をオンにすると該駆動モータ202に電力が供給されるようになっている。
【0033】
駆動モータ202が駆動すると、エアコンプレッサ200が作動し、該エアコンプレッサ200によって圧縮空気が生成され、コンプレッサユニット12に連結された空気ホース86を介して、圧縮空気が開封装置60へ供給されるようになっている。
【0034】
ここで、図5〜図8に示されるように、エアコンプレッサ200はレシプロ式のものが用いられており、駆動モータ202には、シロッコファン(冷却ファン)204が連結されている。このシロッコファン204は駆動モータ202の回転軸205に固定された環状の台座206と、台座206の中央から外側へ向かって円弧状に延出した複数の翼部208と、を含んで構成されており、翼部208の上端面には、カウンタウェイト210が設けられている。
【0035】
ここでは、カウンタウェイト210は、複数の翼部208の上端面を架け渡し、翼部208の上端面の面一から突出して設けられているが、シロッコファン204と一体的に設けられていれば良いため、この位置に限るものではない。例えば、カウンタウェイト210が翼部208の上端面の面一から突出しないようにしても良い。
【0036】
一方、シロッコファン204の中心部からずれた位置には、クランクピン212が固定されており、該クランクピン212には、シロッコファン204の径方向へ延びるように、クランクシャフト214の一端部が連結され、該クランクピン212の外周をクランクシャフト214が揺動可能としている。そして、このクランクシャフト214の他端部にはピストン216が固定され、該ピストン216がシリンダ218内を往復移動する。
【0037】
すなわち、シロッコファン204が回転すると、クランクピン212を介して、クランクシャフト214がクランクピン212の外周を揺動しながらピストン216がシリンダ218内でシロッコファン204に対して接離する方向(矢印A方向)へ移動する。
【0038】
シリンダ218の奥壁とピストン216の間にはシリンダ室220が形成されており、ピストン216の往復移動にともなって、シリンダ室220が膨張及び収縮を繰り返す構成とされている。ここで、シリンダ218の奥部には、小径部218Aが設けられており、この小径部218Aがケース222から露出し、空気ホース86と連結される。
【0039】
また、ピストン216には、軸方向へ沿って貫通孔(図示省略)が形成されており、この貫通孔は、シリンダ室220へ空気を吸入するための吸入口として用いられている。また、貫通孔には吸入弁(図示省略)が設けられている。これにより、貫通孔は、シリンダ室220への空気の吸入を許容するとともに、貫通孔からの空気の漏洩を阻止することができる。
【0040】
ところで、シロッコファン204、クランクシャフト214及びシリンダ218は、ケース222内に収容されているが、このケース222には、駆動モータ202の反対側に位置する壁部222Aにおいて、シロッコファン204の中心部と対面する位置に円形状の吸気口224が形成されている。
【0041】
これにより、シロッコファン204が回転(矢印B方向)すると、該吸気口224を通じて、ケース222内には外気が吸引されるようになっている。壁部222Aと吸気口224の間には、吸気口224の内側へ向かって凸状を成す湾曲部223が形成されており、吸引される外気がなだらかに吸気口224へ案内されるようになっている。
【0042】
また、ケース222には、シロッコファン204の翼部208の外側に、円形の周壁226が形成されており、シロッコファン204が回転すると、吸気口224を通じて吸気された外気がシロッコファン204の遠心力によって翼部208を介して周壁226側へ案内される。
【0043】
さらに、ケース222の壁部222Aと対面する壁部222Bの角部には、シロッコファン204とシリンダ218の間に位置して、ダクト(ガイド流路)228が形成されている。また、ダクト228と周壁226の間には、互いに連通する開口部230が形成されており、周壁226へ案内された外気が該開口部230を通じてダクト228へ案内される。
【0044】
ケース222の壁部222Aには、シリンダ218を間に置いて、ダクト228の略反対側に位置してシリンダ218の軸方向に沿って複数(ここでは3個)の排気口232が形成されており、ダクト228へ案内された外気がダクト228から排出されると、シリンダ218周りを回り込んで排気口232から排出されるようになっている。
【0045】
以上述べたエアコンプレッサ200において、電源回路に電力が供給された状態で電源スイッチ82(図1参照)をONにすると、駆動モータ202が回転し、この回転力がシロッコファン204へ伝達され、シロッコファン204に連結されたクランクシャフト214を介して、ピストン216がシリンダ218内を往復移動する。そして、ピストン216がシロッコファン204側から離間すると、シリンダ室220で圧縮された圧縮空気が空気ホース86を通って空気ホース50(図3参照)へと送り込まれる。
【0046】
一方、駆動モータ202が回転すると、シロッコファン204の回転によって、ケース222内には吸気口224を通じて外気が吸引される。この外気は、シロッコファン204の翼部208を介して、周壁226へ案内された後、開口部230を通じてダクト228へ案内される。そして、この外気がダクト228を通過すると、シリンダ218周りを回り込んで、排気口232からケース222外へ排出される。
【0047】
(液剤容器)
図1及び図2に示されるように、液剤容器18は、略直方体状を成しており、液剤容器18の下端部には、上側の容器本体部分よりも小径の円筒状の首部18B(図5参照)が形成されている。首部18Bの先端の開口は、液剤容器18からシーリング剤32が流れ出す開口18Aであり、膜状のアルミシール26で塞がれている。また、首部18Bの中間部には、外周側へ延出するように段差部24が形成されている。
【0048】
また、液剤容器18内には、シーリング装置10で修理すべきタイヤ100(図3参照)の種類、サイズ等に応じた規定量よりも多めのシーリング剤32が収容されている。
【0049】
また、液剤容器18の幅方向の両端側には、液剤容器18の表面から裏面に亘って溝部102が形成されており、後述するジョイントホース54が該溝部102内に装着された状態で液剤容器18の表面に巻付けられている。
【0050】
(注入ユニット)
図3に示されるように、液剤容器18の首部18Bの下端側には、注入ユニット20を構成するユニット本体部34が挿入可能とされており、首部18Bの段差部24がユニット本体部34の上端部に当接されて、液剤容器18が注入ユニット20に連結固定され液剤ユニット70とされる。
【0051】
注入ユニット20は、上端側が開口した略有底円筒状に形成されたユニット本体部34と、このユニット本体部34の下端部から外周側へ張り出す脚部36とを備えている。
【0052】
首部18Bがユニット本体部34に当接した状態で、ユニット本体部34の内壁面とアルミシール26との間に加圧給液室40が形成される。この加圧給液室40は、開封装置60によりアルミシール26が破られる(開封される)と、液剤容器18の内部と連通する。つまり、アルミシール26が破られて開口18Aが開放されると、この開口18Aから流れ出したシーリング剤32が加圧給液室40に流れ込むようになっている。
【0053】
一方、ユニット本体部34の内周側には、略円筒状の内周筒部42が同軸的に形成されている。この内周筒部42の内部は、中心軸に沿って注入ユニット20の下端面と内周筒部42の上端面との間を貫通する断面円形の突破具挿入穴44となっている。
【0054】
さらに、ユニット本体部34の周壁部には、外周側に延出する円筒状の気液供給管50が一体的に形成されている。また、気液供給管50は、内部が加圧給液室40と連通しており、先端部にはニップル52を介してジョイントホース54の一端部が接続されている。
【0055】
そして、図2に示されるように、このジョイントホース54の他端部には、タイヤ100のタイヤバルブ(図示省略)に接続可能なバルブアダプタ56が設けられている。前述したように、ジョイントホース54は、使用されていない状態では、液剤容器18の表面に巻付けられているが、使用時には、液剤容器18の表面から取り外す。
【0056】
(開封装置)
図3及び図4に示されるように、開封装置60は、突破具挿入穴44に挿入される棒状の挿入部62と、挿入部62の基端部に形成された略直方体状のベース部66を備えている。
【0057】
このベース部66の側面には、前述した空気ホース86の他端部を接続可能な接続管90が設けられており、この接続管90に空気ホース86が接続されている。ここで、開封装置60には、接続管90からベース部66を通り、挿入部62の先端に開口する空気通路92が形成されている。
【0058】
挿入部62の先端部64は、アルミシール26を突き破りやすいような形状となっており(本実施形態では、略円錐形状)、挿入部62の外周面には、嵌挿溝が形成され、この嵌挿溝にはOリング68が嵌挿されている。
【0059】
また、挿入部62の長さは、突破具挿入穴44の下端からアルミシール26までの寸法に対して長くなっている。これにより、開封装置60の挿入部62の全体が突破具挿入穴44内へ挿入されると、挿入部62の先端部64がアルミシール26を突き破り、アルミシール26よりも上側に位置するようになっている。
【0060】
このとき、Oリング68は、挿入部62が突破具挿入穴44に挿入された状態で、突破具挿入穴44の内周面へ全周に亘って圧接している。これにより、挿入部62全体が突破具挿入穴44内へ挿入された状態では、突破具挿入穴44は、Oリング68により密閉された状態、つまり、突破具挿入穴44がシールされた状態となる。
【0061】
一方、ベース部66の両端付近には、ベース部66の上面から垂直に立ち上がる弾性変形可能な第1支柱94が設けられている。この第1支柱94の先端側で挿入部62側の側面には、三角形の第1爪94Aが一体的に形成されている。
【0062】
また、第1支柱94よりも挿入部62側には、ベース部66の上面から垂直に立ち上がり、且つ第1支柱94よりも高さが低い弾性変形可能な第2支柱96が設けられている。この第2支柱96の先端側で第1支柱94側の側面には、三角形の第2爪96Aが一体的に形成されている。
【0063】
第1支柱94の配置間隔は、脚部36の短手方向の長さよりも広く、且つ第1爪94A間は、脚部36の短手方向の長さよりも狭くなっている。このため、第1爪94Aが、ユニット本体部34に設けられた脚部36の縁部に引っ掛かるようになっている。
【0064】
具体的には、突破具挿入穴44に開封装置60の挿入部62を挿入すると、第1爪94Aが脚部36の短手方向の縁部を越える際に外側に弾性変形して第1爪94A間の間隔だけ広くなり、第1爪94Aが脚部36の短手方向の縁部を通り抜けると両端の第1支柱94が弾性復帰して元にもどる。これにより、第1爪96Aが脚部36の短手方向の縁部に引っ掛かるようになる。
【0065】
なお、第1爪96Aが脚部36の短手方向の縁部を通り抜けた位置では、挿入部62の先端はアルミシール26に到達していない。つまり、アルミシール26は突き破られない。
【0066】
一方、第2支柱96は、注入ユニット20の脚部36に形成された貫通孔38に挿入可能とされ、貫通孔38に第2支柱96を挿入すると第2爪96Aが脚部36の貫通孔38の縁部に引っ掛かるようになっている。
【0067】
なお、第2爪96Aが貫通孔38を通り抜けた位置では、挿入部62の先端部64によってアルミシール26が突き破られて先端部64が液剤容器18内に侵入する。
【0068】
また、開封装置60は、筐体16の底面側からスクリュー88をベース部66に形成された円孔(図示省略)にねじ込むことで、筐体16に固定されるようになっている。
【0069】
(シーリングポンプアップ装置の作用)
次に、本実施形態のシーリング装置10を用いてパンクしたタイヤ100を修理する作業手順を説明する。
【0070】
図1に示されるように、まず、タイヤ100(図2参照)にパンクが発生した際には、ユーザーは、筐体16を車両の保管スペースから取り出し、電源スイッチ82や圧力ゲージ84が上を向くように路面等に筐体16を置いて蓋78を開けて収納室76を開放する。このとき開いた蓋78の裏面にはマニュアルが貼り付けられているため、ユーザーはこのマニュアルを逐次確認しながら作業を行うことができる。
【0071】
次に、ユーザーは筐体16と別に保管された液剤ユニット70を車両の保管スペースから取り出す。液剤ユニット70の注入ユニット20の気液供給管50には、予めジョイントホース54が接続されており、液剤容器18の表面に巻付けられている。このジョイントホース54を液剤容器18の表面から取り外し、ジョイントホース54のバルブアダプタ56をタイヤ100のタイヤバルブ(図示省略)に接続する。
【0072】
さらに、ユーザーは収納室76に収納されている電源ケーブル14を収納室76から取り出し、プラグ15を車両に設置されたシガレットライターのソケット(図示省略)に差し込み、車両のエンジンをかける。これにより、車両のバッテリ(DC12V)からコンプレッサユニット12の駆動回路へ電力が供給可能となる。
【0073】
次に、図3に示されるように、注入ユニット20を下に向かせて、注入ユニット20を開封装置60に装着する。これにより、図4に示されるように、挿入部62全体が突破具挿入穴44に挿入され、アルミシール26が先端部64によって突き破られる(開封される)。
【0074】
ここで、注入ユニット20を開封装置60へ装着しようとすると、第1爪94Aが脚部36の短手方向の縁部を越える際に外側に弾性変形して第1爪94A間の間隔だけ広くなり、第1爪94Aが脚部36の短手方向の縁部を通り抜けると両第1支柱が元に戻る。これにより、第1爪96Aが脚部36の短手方向の縁部に引っ掛かる。
【0075】
さらに、第2爪96Aは、注入ユニット20の貫通孔38に挿入されて貫通孔38の縁部に引っ掛かり、挿入部62の先端部64によってアルミシール26が突き破られ、先端部64が液剤容器18内に侵入した状態が保持される。このとき、挿入部62に設けられたOリング68は、突破具挿入穴44の内面に接触して突破具挿入穴44をシールする。これにより、突破具挿入穴44から外部に流体が漏れ出すのが抑制される。
【0076】
アルミシール26が突き破られると、アルミシール26に開けられた孔28を通して液剤容器18内のシーリング剤32が加圧給液室40へ流れ出す。そして、電源スイッチ82をオンにし、コンプレッサユニット12を作動させると、コンプレッサユニット12により発生した圧縮空気は、空気通路92を通して液剤容器18内に供給される。圧縮空気が液剤容器18内に供給されると、この圧縮空気が液剤容器18内で上方へ浮上し、液剤容器18内のシーリング剤32の上に空間(空気層G)を形成する。
【0077】
この空気層Gからの空気圧により加圧されたシーリング剤32が、アルミシール26に開けられた孔28を通して加圧給液室40へ押し出される。そして、加圧給液室40のシーリング剤32がジョイントホース54を通って空気入りタイヤ100内へ供給される。その後、加圧給液室40及びジョイントホース54から全てのシーリング剤32がタイヤ100へ供給されると、圧縮空気が液剤容器18、加圧給液室40、そしてジョイントホース54を介してタイヤ100内へ供給される。
【0078】
次に、ユーザーは、圧力ゲージ84によりタイヤ100の内圧が指定圧になったことを確認したならば、コンプレッサユニット12を停止し、バルブアダプタ56をタイヤバルブ(図示省略)から取り外す。
【0079】
ユーザーは、タイヤ100の膨張完了後一定時間内に、シーリング剤32が注入されたタイヤ100を用いて一定距離(例えば、10km)に亘って予備走行する。これにより、タイヤ100内部でシーリング剤32が均一に拡散し、シーリング剤32がパンク穴に充填されてパンク穴が閉塞される。
【0080】
予備走行完了後に、ユーザーは、タイヤ100の内圧を再測定し、必要に応じて再びジョイントホース54のバルブアダプタ56をタイヤバルブに接続し、コンプレッサユニット12を再作動させてタイヤ100を規定の内圧まで加圧する。これにより、タイヤ100のパンク修理が完了し、このタイヤ100を用いて一定の距離範囲内で一定速度以下(例えば、80Km/h以下)での走行が可能になる。
【0081】
ところで、本実施形態では、図5〜図8に示されるように、駆動モータ202にシロッコファン204を連結し、該シロッコファン204にクランクピン212を設けて、シロッコファン204の径方向へ延びるようにして、クランクシャフト214の一端部をクランクピン212に連結させている。
【0082】
このクランクシャフト214の他端部にはピストン216が設けられ、このピストン216が駆動モータ202の駆動によってシリンダ218内を往復移動し、シリンダ室220の容積を増減させ、圧縮空気の生成を可能としているが、シロッコファン204、クランクシャフト214、ピストン216及びシリンダ218をケース222内に収容している。
【0083】
そして、このケース222の壁部222Aに、吸気口224を設けており、シロッコファン204の回転によって、該吸気口224を通じてケース222内に外気が吸引されるようにしている。また、ケース222の壁部222Bには、吸気口224から吸引された外気をシリンダ218周りへ案内するダクト228を形成しており、吸気口224を通じて吸引された外気をシリンダ218へ案内するようにしている。さらに、シリンダ218を間に置いて、ダクト228の略反対側に位置するケースの壁部222Aには、排気口232を形成し、ダクト228から排出された外気をシリンダ218周りへ回り込ませ、排気口232から排出されるようにしている。
【0084】
このように、吸気口224を通じてケース222内に外気を吸引し、シリンダ218周りを回り込ませるようにすることで、空気の圧縮により高温になるシリンダ218を冷却することができる。
【0085】
また、ここでは、吸気口224からダクト228を通じてシリンダ218周りへ外気が案内されるため、シリンダ218周りの空気と吸気口224から吸引された外気とが混同することはなく、ダクト228を介して直接シリンダ218へ案内されることとなる。このため、該ダクト228が形成されていない場合と比較して、冷却効率が高くなる。
【0086】
また、本実施形態では、シロッコファン204にクランクシャフト214を直接連結させている。これにより、シロッコファン204とクランクシャフト214を連結する連結部品が不要となるため、その分コストダウンを図ることができる。
【0087】
また、シロッコファン204にクランクシャフト214を直接連結させることで、シロッコファン204とクランクシャフト214とで駆動源を変える必要がないため、コストダウンを図ることができ、エアコンプレッサ200を小型化することができる。
【0088】
さらに、シロッコファン204にクランクシャフト214を直接連結させることで、シロッコファン204とシリンダ218の位置を近づけることができ、ダクト228の長さを短くすることができ、エアコンプレッサ200を小型化することができる。
【0089】
一方、安全面から移動部材であるシロッコファン204及びクランクシャフト214等はケース222で覆う必要があるが、本実施形態では、クランクシャフト214の軸方向に沿ってシロッコファン204及びシリンダ218を配置している。これにより、クランクシャフト214、シロッコファン204及びシリンダ218を省スペースで配置することができ、該ケース222を小さくすることができるため、結果的にエアコンプレッサ200を小型化することができる。
【0090】
さらに、本実施形態では、クランクシャフト214の一端部、つまり、クランクピン212をシロッコファン204の吸気口224側に設けている。このため、シロッコファン204の回転によって吸気口224から外気が吸引されると、クランクピン212も冷却することができる。
【0091】
また、本実施形態では、シロッコファン204の翼部208の上端部に、カウンタウェイト210を設けている。これにより、例えば、カウンタウェイト210を取付けるための取付部材等が不要であり、部品点数を削減することができ、その分コストダウンを図ることができる。
【0092】
[その他の実施形態]
(1)なお、ここでは、シロッコファン204、クランクシャフト214、ピストン216及びシリンダ218をケース222内に収容し、駆動モータ202はケース222外に配置するようにしたが、この駆動モータ202をケース222内に配置するようにしても良く、また、吸気口224及び排気口232の位置はこれに限るものでない。
【0093】
例えば、シロッコファン204の向きを180度変えることで、駆動モータ202側からの吸気が可能となるため、駆動モータ202側に吸気口(図示省略)を設け、該吸気口から吸引された外気が駆動モータ202を通過し、ダクト228を経て、シリンダ218へ案内されるようにしても良い。これによると、駆動モータ202の冷却も可能となる。
【0094】
(2)また、ここでは、シロッコファン204が、駆動モータ202の回転軸205に固定された環状の台座206と、台座206の中央から外側へ向かって円弧状に延出した複数の翼部208と、を含んで構成しているが、台座206の外周面にギア(図示省略)を形成し、該シロッコファン204が減速ギアの機能を有するようにしても良い。この場合、駆動モータ202の回転軸205には、台座206のギアと噛み合うギアが固定されることとなる。
【0095】
(3)さらに、ここでは、冷却ファンをシロッコファン204とすることで、プロペラファンと比較して、小型軽量で高い風圧を得ることできるようにしたが、ケース222内に外気を吸引し、シリンダ218を冷却することができれば良いため、プロペラファンを用いても良いのは勿論のことであり、またこれ以外のファンを用いても良い。
【0096】
(4)また、上記実施形態では、コンプレッサの形式がレシプロ式であったが、他の形式のものであっても良い。また、ここでは、タイヤ補修用のシーリングポンプアップ装置に本発明のコンプレッサを適用させたが、加圧装置であれば良いため、これに限るものではない。
【0097】
以上のように、本発明は、前述した実施形態に限定されることは無く、特許請求の範囲に含まれる範囲で各種変更して実施可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0098】
10 シーリング装置(シーリングポンプアップ装置)
12 コンプレッサユニット
100 タイヤ
200 エアコンプレッサ(コンプレッサ)
202 駆動モータ
204 シロッコファン(冷却ファン)
205 回転軸
210 カウンタウェイト
212 クランクピン(クランクシャフトの一端部)
214 クランクシャフト
216 ピストン
218 シリンダ
220 シリンダ室
222 ケース
224 吸気口
228 ダクト(ガイド流路)
232 排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータと、
前記駆動モータの回転軸に取付けられ、ケース内に収容され駆動モータの駆動によって回転する冷却ファンと、
前記ケース内に収容され、前記冷却ファンの回転中心部からずれた位置に一端部が連結され、該冷却ファンの径方向へ延びて、前記駆動モータからの回転力を、他端部が往復移動する力へ変換させるクランクシャフトと、
前記クランクシャフトの他端部に設けられたピストンと、
前記ケース内に収容され、前記ピストンが収容されて、圧縮空気が生成されるシリンダと、
前記ケースに形成され、前記冷却ファンの回転によって外気が吸引される吸気口と、
前記ケース内の空気が排出される排気口と、
を有するコンプレッサ。
【請求項2】
前記冷却ファンの回転中心部と対面する位置に前記吸気口が形成され、
前記吸気口から吸引された外気を前記シリンダ周りへ案内するガイド流路が形成された請求項1に記載のコンプレッサ。
【請求項3】
前記クランクシャフトの一端部は、前記冷却ファンの前記吸気口側に設けられた請求項1又は2に記載のコンプレッサ。
【請求項4】
前記クランクシャフトの軸方向に沿って、前記冷却ファン及び前記シリンダが配置された請求項1〜3の何れか1項に記載のコンプレッサ。
【請求項5】
前記クランクシャフトの回転変動を低減させるカウンタウェイトが、前記冷却ファンに設けられている請求項1〜4の何れか1項に記載のコンプレッサ。
【請求項6】
前記冷却ファンはシロッコファンである請求項1〜5の何れか1項に記載のコンプレッサ。
【請求項7】
空気入りタイヤ内へ圧縮空気を送り込んで前記空気入りタイヤの内圧を昇圧可能なポンプアップ装置において、
前記圧縮空気を生成する請求項1〜6の何れか1項に記載のコンプレッサを備えたポンプアップ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−185218(P2011−185218A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53558(P2010−53558)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】