コンベア用枢結構造、及び、樹脂定尺物とその製法
【課題】容易に組立てることができるコンベア用枢結軸を提供する。
【解決手段】円形線材状に押出成形された合成樹脂製の軸本体3の少なくとも一端Cに、突出状係止部Zが、加熱プレス成形され、かつ、アスペクト比が 200以上である。突出状係止部Zを軸本体3の融点より20℃以上60℃以下だけ低い温度の加熱金型にて加熱プレス成形する。軸本体3の長さ寸法Lを 600mm≦Lに設定する。
【解決手段】円形線材状に押出成形された合成樹脂製の軸本体3の少なくとも一端Cに、突出状係止部Zが、加熱プレス成形され、かつ、アスペクト比が 200以上である。突出状係止部Zを軸本体3の融点より20℃以上60℃以下だけ低い温度の加熱金型にて加熱プレス成形する。軸本体3の長さ寸法Lを 600mm≦Lに設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベア用枢結構造、及び、樹脂定尺物とその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の樹脂製のモジュールリンク(コンベア単体)が連結ピン(枢結軸)にて連結されたコンベアが広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、従来の連結ピン(枢結軸)は、材質が合成樹脂の場合、射出成形にて製作されていて、抜け止め(係止用)突隆部を上記射出成形金型のキャビティにて形成していた。しかしながら、連結ピンのアスペクト比────全長/外径────が 200を越すような場合には、射出成形では、樹脂の流動が困難となり、金型に樹脂が十分に充填されない、圧力が十分に届かず寸法が不安定になる、金型が大きくなり非常にコスト高になるなどの問題が発生する。そこで、押出成形にて対応しなければならなくなるが、押出成形にて形成した長尺部材の端部に、断面の直径よりも大きな寸法の部分を射出成形にて形成して、接着などで接合していたので、接合部の強度が劣るという欠点があった。また、時間がたつと、さらに強度が低下するので、接合部が破断する虞れがあった。
【0004】
また、モジュールリンク(コンベア単体)の側面から連結ピン(枢結軸)の抜き出しを防止するために、小さなプラグを付設して、連結ピン(枢結軸)の端面に当接して、外側方への抜けを阻止するものもあった(例えば、特許文献2参照)。
しかし、このような小さなプラグを多数必要とし、モジュールリンクの側面の凹窪部にこの小さなプラグを嵌め込む作業が面倒である。
【特許文献1】特開平9−315536号公報
【特許文献2】特開2000−272734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、部品点数が多くなり、組立てに手間がかかる点である。また、製造コストが高い点である。さらに、押出成形にて形成した長尺部材と、射出成形にて形成した部分との、接合部の強度が劣る点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る樹脂定尺物(コンベア用枢結軸)は、円形線材状に押出成形された合成樹脂製の軸本体の少なくとも一端に、突出状係止部が、加熱プレス成形され、かつ、アスペクト比が 200以上である。
また、突出状係止部を上記軸本体の融点より20℃以上60℃以下だけ低い温度の加熱金型にて加熱プレス成形したものである。より好ましくは、20℃以上50℃以下とする。
また、上記軸本体の一端側にのみ突出状係止部があり、他端側には突出状係止部がないものである。
また、上記軸本体の長さ寸法Lを 600mm≦Lに設定したものである。より好ましくは、 600mm≦L≦ 10000mmとする。
【0007】
また、本発明に係るコンベア用枢結構造は、押出成形された円形線材状の軸本体の少なくとも一端に加熱プレス成形された突出状係止部と、コンベア本体の連結用孔部の内面に設けられて上記突出状係止部が係止する凹部と、を備えているものである。
また、本発明に係る樹脂定尺物の製法は、押出成形にて円形線材を連続状に作製し、該円形線材をアスペクト比が 200以上となるように切断するとともに、円形線材の融点より20℃以上60℃以下だけ低い温度の加熱金型にてプレスして縦寸法と横寸法が大小相違する断面形状の扁平部を形成し、該扁平部の縦寸法と横寸法の一方を上記円形線材の直径寸法より大きく設定し、かつ、他方を上記円形線材の直径寸法より小さく設定したものである。そして、より好ましくは、20℃以上50℃以下とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコンベア用枢結軸、及び、コンベア用枢結構造によれば、部品点数を少なくし容易に組立てることができる。また、接着部がないので、耐久性に優れる。また、静粛なコンベア運転を行なうことができる。また、軸本体の長さ寸法を用途に応じて自由に設定することができ、低コストで製造することができる。
また、本発明の樹脂定尺物の製法によれば、アスペクト比が 200以上であって、断面の直径寸法よりも大きな寸法の部分をもつ形状の樹脂定尺物を、接合部なしで製造することができ、強度的に優れた樹脂定尺物を製造することができる。また、低コストで製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1〜図4は、本発明の第1の実施の形態を示し、プラスチック製コンベア1のコンベア本体2と軸本体3が枢結されている。コンベア本体2は、モジュールリンク又はコンベア単体と呼ぶこともあり、エンジニアリングプラスチックから成る。軸本体3は、例えば、熱可塑性合成樹脂から成り、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド系のエンジニアリングプラスチックとする。この場合、表面が滑らかであり、耐油性、機械強度、耐熱性等に優れるので好ましい。
【0010】
コンベア用枢結構造が、押出成形された円形線材状の軸本体3の一端Cに加熱プレス成形された突出状係止部Zと、コンベア本体2の連結用孔部4の内面5に設けられて突出状係止部Zが係止する凹部6と、を備えている。軸本体の一端C側にのみ突出状係止部Zがあり、他端D側には突出状係止部Zがない。9は突出状係止部Zが軸心方向(特にコンベア本体2の幅方向内側)へずれることを補助的に防止するための膨出部を示す。
【0011】
軸本体3の長さ寸法Lが 600mm≦L≦ 10000mmに設定されている。長さ寸法Lが、L< 600mmの場合、幅寸法が大きな搬送物を搬送することができない。長さ寸法Lが、 10000mm<Lの場合、不必要に長さ寸法が長くなる。軸本体3の断面の直径寸法dが、4mm≦d≦50mmに設定されている。d<4mmの場合、強度不足となる。50mm<dの場合、不必要に材料費がかかる。
【0012】
図5〜図7は、突出状係止部Zが凹部6に係止する経過を順次示す。すなわち、図5は、突出状係止部Zが凹部6に係止する前の状態を示す。図6は、突出状係止部Zが凹部6に係止すべくその周辺部7を弾性変形させている状態を示す。図7は、突出状係止部Zが凹部6に係止した状態を示す。
【0013】
次に、軸本体3(断面の直径よりも大きな寸法の部分をもつ形状の樹脂定尺物の一例)の製法について説明する。まず、図8に示すように、押出機Mから溶融樹脂を押出して(すなわち押出成形にて)円形線材(断面形状が円形の線材)Aを作製する。そして、この円形線材Aを巻き取る。
【0014】
その後、図9に示すように、巻き取った円形線材Aを繰り出して、カッターKにてアスペクト比が 200以上となるように切断するとともに、円形線材Aの(すなわち軸本体3の)融点より20℃以上60℃以下だけ低い温度の加熱金型Bにてプレスして、縦寸法aと横寸法bが大小相違する断面形状の扁平部H(従って突出状係止部Z。突出状係止部Zは扁平部Hのうち加熱プレス成形前の形状から外方へはみ出した部分のことをいう。)、及び、膨出部9を形成し(加熱プレス成形し)、扁平部Hの縦寸法aと横寸法bの一方(図3では縦寸法a)が円形線材Aの直径寸法dより大きく設定され、かつ、他方(図3では横寸法b)が円形線材Aの直径寸法dより小さく設定されている。なお、上記温度については、好ましくは、20℃以上50℃以下とする。
【0015】
上記範囲外の温度の加熱金型Bでは、適切にプレスすることができない。すなわち、円形線材Aの融点より60℃を超える温度だけ低い温度の(すなわち上記範囲より低温の)加熱金型Bでは、十分に金型転写しない。また、円形線材Aの融点より20℃未満の温度だけ低い温度の(すなわち上記範囲より高温の)加熱金型Bでは、全体が軟化し、変形してしまう。なお、10は巻き癖をとるためのヒータを示す。カッターKにて軸本体3の長さ寸法Lが高精度になるように切断することができる。
【0016】
図10・図11は、第2の実施の形態を示す。軸本体3の一端Cに孔8が貫設されている。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0017】
図12は、第3の実施の形態を示す。すなわち、軸本体3に膨出部9が形成されていない。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0018】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、円形線材状の軸本体3の両端(一端C及び他端D)に加熱金型にてプレスして形成した突出状係止部Z(扁平部H)を有するも良い。この場合、コンベア本体2の対応する部位に凹部6を設ける。
【0019】
以上のように、本発明は、円形線材状に押出成形された合成樹脂製の軸本体3の少なくとも一端Cに、突出状係止部Zが、加熱プレス成形され、かつ、アスペクト比が 200以上であるので、部品点数を少なくし、容易に組立てることができる。また、接着部がないので、耐久性に優れる。また、静粛なコンベア運転を行なうことができる。また、軸本体の長さ寸法を用途に応じて自由に設定することができる。また、低コストで製造することができる。
【0020】
また、突出状係止部Zを上記軸本体3の融点より20℃以上60℃以下だけ低い温度の加熱金型Bにて加熱プレス成形したので、容易かつ適切に突出状 止部Zを形成することができる。なお、より好ましくは、20℃以上50℃以下だけ低い温度の加熱金型Bにて加熱プレス成形する。
【0021】
また、軸本体3の一端C側にのみ突出状係止部Zがあり、他端D側には突出状係止部Zがないので、容易に製造することができる。
【0022】
また、軸本体3の長さ寸法Lを 600mm≦L≦ 10000mmに設定したので、搬送用コンベアに適用して、幅が広い搬送物を搬送することができる。
【0023】
また、押出成形された円形線材状の軸本体3の少なくとも一端Cに加熱プレス成形された突出状係止部Zと、コンベア本体2の連結用孔部4の内面5に設けられて突出状係止部Zが係止する凹部6と、を備えているので、部品点数を少なくし、容易に組立てることができる。また、接着部がないので、耐久性に優れる。また、静粛なコンベア運転を行なうことができる。また、軸本体3の長さ寸法Lを用途に応じて自由に設定することができる。また、低コストで製造することができる。
【0024】
また、押出成形にて円形線材Aを連続状に作製し、円形線材Aをアスペクト比が 200以上となるように切断するとともに、円形線材Aの融点より20℃以上60℃以下だけ低い温度の加熱金型Bにてプレスして縦寸法aと横寸法bが大小相違する断面形状の扁平部Hを形成し、扁平部Hの縦寸法aと横寸法bの一方を円形線材Aの直径寸法dより大きく設定し、かつ、他方を円形線材Aの直径寸法dより小さく設定したので、アスペクト比が 200以上であって、断面の直径寸法dよりも大きな寸法の部分をもつ形状の樹脂定尺物を、接合部なしで製造することができ、強度的に優れた樹脂定尺物を製造することができる。また、低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】平面図である。
【図3】図2の軸本体のX−X断面図である。
【図4】図2の軸本体のY−Y断面図である。
【図5】要部拡大簡略説明図である。
【図6】要部拡大簡略説明図である。
【図7】要部拡大簡略説明図である。
【図8】軸本体の製法を示す説明図である。
【図9】軸本体の製法を示す説明図である。
【図10】第2の実施の形態を示す平面図である。
【図11】図10のE−E断面図である。
【図12】第3の実施の形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0026】
2 コンベア本体
3 軸本体
4 連結用孔部
5 内面
6 凹部
A 円形線材
a 縦寸法
B 加熱金型
b 横寸法
C 一端
D 他端
d 直径寸法
H 扁平部
L 長さ寸法
Z 突出状係止部
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベア用枢結構造、及び、樹脂定尺物とその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の樹脂製のモジュールリンク(コンベア単体)が連結ピン(枢結軸)にて連結されたコンベアが広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、従来の連結ピン(枢結軸)は、材質が合成樹脂の場合、射出成形にて製作されていて、抜け止め(係止用)突隆部を上記射出成形金型のキャビティにて形成していた。しかしながら、連結ピンのアスペクト比────全長/外径────が 200を越すような場合には、射出成形では、樹脂の流動が困難となり、金型に樹脂が十分に充填されない、圧力が十分に届かず寸法が不安定になる、金型が大きくなり非常にコスト高になるなどの問題が発生する。そこで、押出成形にて対応しなければならなくなるが、押出成形にて形成した長尺部材の端部に、断面の直径よりも大きな寸法の部分を射出成形にて形成して、接着などで接合していたので、接合部の強度が劣るという欠点があった。また、時間がたつと、さらに強度が低下するので、接合部が破断する虞れがあった。
【0004】
また、モジュールリンク(コンベア単体)の側面から連結ピン(枢結軸)の抜き出しを防止するために、小さなプラグを付設して、連結ピン(枢結軸)の端面に当接して、外側方への抜けを阻止するものもあった(例えば、特許文献2参照)。
しかし、このような小さなプラグを多数必要とし、モジュールリンクの側面の凹窪部にこの小さなプラグを嵌め込む作業が面倒である。
【特許文献1】特開平9−315536号公報
【特許文献2】特開2000−272734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする課題は、部品点数が多くなり、組立てに手間がかかる点である。また、製造コストが高い点である。さらに、押出成形にて形成した長尺部材と、射出成形にて形成した部分との、接合部の強度が劣る点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る樹脂定尺物(コンベア用枢結軸)は、円形線材状に押出成形された合成樹脂製の軸本体の少なくとも一端に、突出状係止部が、加熱プレス成形され、かつ、アスペクト比が 200以上である。
また、突出状係止部を上記軸本体の融点より20℃以上60℃以下だけ低い温度の加熱金型にて加熱プレス成形したものである。より好ましくは、20℃以上50℃以下とする。
また、上記軸本体の一端側にのみ突出状係止部があり、他端側には突出状係止部がないものである。
また、上記軸本体の長さ寸法Lを 600mm≦Lに設定したものである。より好ましくは、 600mm≦L≦ 10000mmとする。
【0007】
また、本発明に係るコンベア用枢結構造は、押出成形された円形線材状の軸本体の少なくとも一端に加熱プレス成形された突出状係止部と、コンベア本体の連結用孔部の内面に設けられて上記突出状係止部が係止する凹部と、を備えているものである。
また、本発明に係る樹脂定尺物の製法は、押出成形にて円形線材を連続状に作製し、該円形線材をアスペクト比が 200以上となるように切断するとともに、円形線材の融点より20℃以上60℃以下だけ低い温度の加熱金型にてプレスして縦寸法と横寸法が大小相違する断面形状の扁平部を形成し、該扁平部の縦寸法と横寸法の一方を上記円形線材の直径寸法より大きく設定し、かつ、他方を上記円形線材の直径寸法より小さく設定したものである。そして、より好ましくは、20℃以上50℃以下とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のコンベア用枢結軸、及び、コンベア用枢結構造によれば、部品点数を少なくし容易に組立てることができる。また、接着部がないので、耐久性に優れる。また、静粛なコンベア運転を行なうことができる。また、軸本体の長さ寸法を用途に応じて自由に設定することができ、低コストで製造することができる。
また、本発明の樹脂定尺物の製法によれば、アスペクト比が 200以上であって、断面の直径寸法よりも大きな寸法の部分をもつ形状の樹脂定尺物を、接合部なしで製造することができ、強度的に優れた樹脂定尺物を製造することができる。また、低コストで製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1〜図4は、本発明の第1の実施の形態を示し、プラスチック製コンベア1のコンベア本体2と軸本体3が枢結されている。コンベア本体2は、モジュールリンク又はコンベア単体と呼ぶこともあり、エンジニアリングプラスチックから成る。軸本体3は、例えば、熱可塑性合成樹脂から成り、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリアミド系のエンジニアリングプラスチックとする。この場合、表面が滑らかであり、耐油性、機械強度、耐熱性等に優れるので好ましい。
【0010】
コンベア用枢結構造が、押出成形された円形線材状の軸本体3の一端Cに加熱プレス成形された突出状係止部Zと、コンベア本体2の連結用孔部4の内面5に設けられて突出状係止部Zが係止する凹部6と、を備えている。軸本体の一端C側にのみ突出状係止部Zがあり、他端D側には突出状係止部Zがない。9は突出状係止部Zが軸心方向(特にコンベア本体2の幅方向内側)へずれることを補助的に防止するための膨出部を示す。
【0011】
軸本体3の長さ寸法Lが 600mm≦L≦ 10000mmに設定されている。長さ寸法Lが、L< 600mmの場合、幅寸法が大きな搬送物を搬送することができない。長さ寸法Lが、 10000mm<Lの場合、不必要に長さ寸法が長くなる。軸本体3の断面の直径寸法dが、4mm≦d≦50mmに設定されている。d<4mmの場合、強度不足となる。50mm<dの場合、不必要に材料費がかかる。
【0012】
図5〜図7は、突出状係止部Zが凹部6に係止する経過を順次示す。すなわち、図5は、突出状係止部Zが凹部6に係止する前の状態を示す。図6は、突出状係止部Zが凹部6に係止すべくその周辺部7を弾性変形させている状態を示す。図7は、突出状係止部Zが凹部6に係止した状態を示す。
【0013】
次に、軸本体3(断面の直径よりも大きな寸法の部分をもつ形状の樹脂定尺物の一例)の製法について説明する。まず、図8に示すように、押出機Mから溶融樹脂を押出して(すなわち押出成形にて)円形線材(断面形状が円形の線材)Aを作製する。そして、この円形線材Aを巻き取る。
【0014】
その後、図9に示すように、巻き取った円形線材Aを繰り出して、カッターKにてアスペクト比が 200以上となるように切断するとともに、円形線材Aの(すなわち軸本体3の)融点より20℃以上60℃以下だけ低い温度の加熱金型Bにてプレスして、縦寸法aと横寸法bが大小相違する断面形状の扁平部H(従って突出状係止部Z。突出状係止部Zは扁平部Hのうち加熱プレス成形前の形状から外方へはみ出した部分のことをいう。)、及び、膨出部9を形成し(加熱プレス成形し)、扁平部Hの縦寸法aと横寸法bの一方(図3では縦寸法a)が円形線材Aの直径寸法dより大きく設定され、かつ、他方(図3では横寸法b)が円形線材Aの直径寸法dより小さく設定されている。なお、上記温度については、好ましくは、20℃以上50℃以下とする。
【0015】
上記範囲外の温度の加熱金型Bでは、適切にプレスすることができない。すなわち、円形線材Aの融点より60℃を超える温度だけ低い温度の(すなわち上記範囲より低温の)加熱金型Bでは、十分に金型転写しない。また、円形線材Aの融点より20℃未満の温度だけ低い温度の(すなわち上記範囲より高温の)加熱金型Bでは、全体が軟化し、変形してしまう。なお、10は巻き癖をとるためのヒータを示す。カッターKにて軸本体3の長さ寸法Lが高精度になるように切断することができる。
【0016】
図10・図11は、第2の実施の形態を示す。軸本体3の一端Cに孔8が貫設されている。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0017】
図12は、第3の実施の形態を示す。すなわち、軸本体3に膨出部9が形成されていない。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0018】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、円形線材状の軸本体3の両端(一端C及び他端D)に加熱金型にてプレスして形成した突出状係止部Z(扁平部H)を有するも良い。この場合、コンベア本体2の対応する部位に凹部6を設ける。
【0019】
以上のように、本発明は、円形線材状に押出成形された合成樹脂製の軸本体3の少なくとも一端Cに、突出状係止部Zが、加熱プレス成形され、かつ、アスペクト比が 200以上であるので、部品点数を少なくし、容易に組立てることができる。また、接着部がないので、耐久性に優れる。また、静粛なコンベア運転を行なうことができる。また、軸本体の長さ寸法を用途に応じて自由に設定することができる。また、低コストで製造することができる。
【0020】
また、突出状係止部Zを上記軸本体3の融点より20℃以上60℃以下だけ低い温度の加熱金型Bにて加熱プレス成形したので、容易かつ適切に突出状 止部Zを形成することができる。なお、より好ましくは、20℃以上50℃以下だけ低い温度の加熱金型Bにて加熱プレス成形する。
【0021】
また、軸本体3の一端C側にのみ突出状係止部Zがあり、他端D側には突出状係止部Zがないので、容易に製造することができる。
【0022】
また、軸本体3の長さ寸法Lを 600mm≦L≦ 10000mmに設定したので、搬送用コンベアに適用して、幅が広い搬送物を搬送することができる。
【0023】
また、押出成形された円形線材状の軸本体3の少なくとも一端Cに加熱プレス成形された突出状係止部Zと、コンベア本体2の連結用孔部4の内面5に設けられて突出状係止部Zが係止する凹部6と、を備えているので、部品点数を少なくし、容易に組立てることができる。また、接着部がないので、耐久性に優れる。また、静粛なコンベア運転を行なうことができる。また、軸本体3の長さ寸法Lを用途に応じて自由に設定することができる。また、低コストで製造することができる。
【0024】
また、押出成形にて円形線材Aを連続状に作製し、円形線材Aをアスペクト比が 200以上となるように切断するとともに、円形線材Aの融点より20℃以上60℃以下だけ低い温度の加熱金型Bにてプレスして縦寸法aと横寸法bが大小相違する断面形状の扁平部Hを形成し、扁平部Hの縦寸法aと横寸法bの一方を円形線材Aの直径寸法dより大きく設定し、かつ、他方を円形線材Aの直径寸法dより小さく設定したので、アスペクト比が 200以上であって、断面の直径寸法dよりも大きな寸法の部分をもつ形状の樹脂定尺物を、接合部なしで製造することができ、強度的に優れた樹脂定尺物を製造することができる。また、低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】平面図である。
【図3】図2の軸本体のX−X断面図である。
【図4】図2の軸本体のY−Y断面図である。
【図5】要部拡大簡略説明図である。
【図6】要部拡大簡略説明図である。
【図7】要部拡大簡略説明図である。
【図8】軸本体の製法を示す説明図である。
【図9】軸本体の製法を示す説明図である。
【図10】第2の実施の形態を示す平面図である。
【図11】図10のE−E断面図である。
【図12】第3の実施の形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0026】
2 コンベア本体
3 軸本体
4 連結用孔部
5 内面
6 凹部
A 円形線材
a 縦寸法
B 加熱金型
b 横寸法
C 一端
D 他端
d 直径寸法
H 扁平部
L 長さ寸法
Z 突出状係止部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形線材状に押出成形された合成樹脂製の軸本体(3)の少なくとも一端(C)に、突出状係止部(Z)が、加熱プレス成形され、かつ、アスペクト比が 200以上であることを特徴とする樹脂定尺物。
【請求項2】
突出状係止部(Z)を上記軸本体(3)の融点より20℃以上60℃以下だけ低い温度の加熱金型(B)にて加熱プレス成形した請求項1記載の樹脂定尺物。
【請求項3】
上記樹脂定尺物がコンベア用枢結軸であって、上記軸本体(3)の一端(C)側にのみ突出状係止部(Z)があり、他端(D)側には突出状係止部(Z)がない請求項1又は2記載の樹脂定尺物。
【請求項4】
上記樹脂定尺物がコンベア用枢結軸であって、上記軸本体(3)の長さ寸法(L)を 600mm≦Lに設定した請求項1,2又は3記載の樹脂定尺物。
【請求項5】
押出成形された円形線材状の軸本体(3)の少なくとも一端(C)に加熱プレス成形された突出状係止部(Z)と、コンベア本体(2)の連結用孔部(4)の内面(5)に設けられて上記突出状係止部(Z)が係止する凹部(6)と、を備えていることを特徴とするコンベア用枢結構造。
【請求項6】
押出成形にて円形線材(A)を連続状に作製し、該円形線材(A)をアスペクト比が 200以上となるように切断するとともに、円形線材(A)の融点より20℃以上60℃以下だけ低い温度の加熱金型(B)にてプレスして縦寸法(a)と横寸法(b)が大小相違する断面形状の扁平部(H)を形成し、該扁平部(H)の縦寸法(a)と横寸法(b)の一方を上記円形線材(A)の直径寸法(d)より大きく設定し、かつ、他方を上記円形線材(A)の直径寸法(d)より小さく設定したことを特徴とする樹脂定尺物の製法。
【請求項1】
円形線材状に押出成形された合成樹脂製の軸本体(3)の少なくとも一端(C)に、突出状係止部(Z)が、加熱プレス成形され、かつ、アスペクト比が 200以上であることを特徴とする樹脂定尺物。
【請求項2】
突出状係止部(Z)を上記軸本体(3)の融点より20℃以上60℃以下だけ低い温度の加熱金型(B)にて加熱プレス成形した請求項1記載の樹脂定尺物。
【請求項3】
上記樹脂定尺物がコンベア用枢結軸であって、上記軸本体(3)の一端(C)側にのみ突出状係止部(Z)があり、他端(D)側には突出状係止部(Z)がない請求項1又は2記載の樹脂定尺物。
【請求項4】
上記樹脂定尺物がコンベア用枢結軸であって、上記軸本体(3)の長さ寸法(L)を 600mm≦Lに設定した請求項1,2又は3記載の樹脂定尺物。
【請求項5】
押出成形された円形線材状の軸本体(3)の少なくとも一端(C)に加熱プレス成形された突出状係止部(Z)と、コンベア本体(2)の連結用孔部(4)の内面(5)に設けられて上記突出状係止部(Z)が係止する凹部(6)と、を備えていることを特徴とするコンベア用枢結構造。
【請求項6】
押出成形にて円形線材(A)を連続状に作製し、該円形線材(A)をアスペクト比が 200以上となるように切断するとともに、円形線材(A)の融点より20℃以上60℃以下だけ低い温度の加熱金型(B)にてプレスして縦寸法(a)と横寸法(b)が大小相違する断面形状の扁平部(H)を形成し、該扁平部(H)の縦寸法(a)と横寸法(b)の一方を上記円形線材(A)の直径寸法(d)より大きく設定し、かつ、他方を上記円形線材(A)の直径寸法(d)より小さく設定したことを特徴とする樹脂定尺物の製法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−52174(P2010−52174A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216937(P2008−216937)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】
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