説明

コーティング及び/又は不純物を熱的に除去する装置および方法。

本発明は、コーティングされ、かつ/あるいは、汚染された原料を熱的にデコーティングし、かつ/あるいは、乾燥する装置に関する。該装置は、少なくとも一つの支持体、各支持体に取り付けられ、かつ、処理すべき原料を受け取るようにされた炉10を含み、各炉10は、第一の部分4が一般に第二の部分6より高い第一の位置と、第二の部分6が一般に第一の部分4より高い第二の位置との間で移動可能であり、かつ、使用に際して、該または各炉10は、第一の位置と第二の位置との間で繰り返し移動して、炉10内の原料を移動させる。該装置は、熱ガスの流れを発生させる少なくとも一つのアフターバーナー22および熱ガスの流れを炉の処理ゾーンに向けるダクト手段、およびガスを少なくとも一つのアフターバーナーに戻す排気手段を含み、それにより、該または各炉は、一体のアフターバーナーを含んでいない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング及び/又は不純物を原料から、詳しくは、特にバッチプロセスに適した原料から熱的に除去する装置および方法に関する。詳細には、本発明は、特許文献1として公開された出願人等の国際特許出願に記述されている炉のタイプの開発に関し、その内容は、これによりその全部が、参照により組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム、マグネシウムおよび他の金属および非金属などの原料は、リサイクルする必要性が増大している。このような原料は、塗料、油、水、ラッカー、プラスチック、あるいは他の揮発性有機化合物(VOC)でコーティングされていることが多く、これらは、原料を再溶解する前に除去しなければならない。溶解なしに比較的高い温度で処理できる原料については、このような不純物は、一般にデコーティングと呼ばれる場合がある熱的プロセスを用いて除去される。このような熱的デコーティング・プロセスは、再溶解前に原料を乾燥し、かつ/あるいは消毒するのに使用することもできる。
【0003】
例えば、アルミニウムは、一般に塗料、ラッカー、及び/又は他のVOCでコーティングされている飲料缶の生産に使用されることが多い。使用済みの飲料缶(UBC)や飲料缶の製造中にできるスクラップ原料は、リサイクリングできるよう溶解する前に、全てのコーティングや他の不純物を除去して、金属の損失を最小限に抑えねばならない。
【0004】
しかしながら、熱的デコーティングの用途は、アルミニウムに限らず、熱的デコーティング・プロセスに存在する温度に耐えられるあらゆる金属や非金属の原料を清浄化あるいは純化するのに使用できる。熱的デコーティングは、例えば、マグネシウムやマグネシウム合金、あるいはチタンやチタン合金をデコートし、あるいは純化するのに使用できる。
【0005】
既知の熱的デコーティング・プロセスは、処理すべき原料を熱ガスに曝露して、除去すべきコーティング及び/又は不純物を酸化する工程を含んでいる。この曝露は、熱ガスの温度および酸素含有量が制御できる閉鎖環境内で行なわれる。大部分の有機化合物を除去するには、300℃を超える温度が必要であり、6%〜12%の範囲の酸素レベルが、一般に必要とされている。
【0006】
熱ガスの温度および酸素レベルを、注意深く制御しないと、デコーティング・プロセスは、非常に危険な場合がある非制御動作となる可能性がある。
【0007】
原料は、一般に、処理の前に粉砕し、かつ、効果的なデコーティングを行なうためには、粉砕された原料の全表面を、熱ガスに曝露することが重要である。これを行なわないと、処理は、効果が減少し、かつ、UBCの場合には、特に、黒さびが、処理された原料の表面に残る場合がある。処理中は、原料からコーティングや不純物を物理的に除去し、消失させるため、原料を撹拌することも望ましい。
【0008】
現在、熱的デコーティングに使用されている主なシステムは、3種類あり、以下、それらについて述べる。
【0009】
1.静止型炉
静止型炉では、原料は、ワイヤメッシュ上に積み重ねられ、かつ、熱ガスは、炉を通して再循環されて、原料を必要なプロセス温度に加熱する。
この配列体は、熱ガスが、メッシュ上の原料スタック内に封入された原料と接触しないため、能率的ではない。デコーティングでは、上述のように、処理されつつある原料の全表面が、熱ガスに曝露されることが重要である。処理されつつある原料の撹拌もない。
【0010】
2.運搬型炉
このシステムは、メッシュ・ベルトコンベヤを使用し、炉を通して処理用原料を運ぶ。熱ガスは、原料が炉を通る時、ベルト上の原料を通過する。この方法の問題点は、次の通りである。
ベルト上の原料の深さは、プロセスを限定する。原料は、積み重ねられており、スタックの中心における原料が熱ガスと接触しない静止型炉で見出されるのと同様の問題が生ずる。
【0011】
原料の撹拌はなく、したがって、疎なコーティングは、除去されない。
コンベヤベルトの寿命が、短い。
原料を絶えず供給しなければならない。
このプロセスは、低容積の製品または連続的に変化する製品には適していない。
【0012】
3.回転式キルン
大形キルンは、水平線に対して傾斜させてあるが、これは、その最も高い端部でキルンに供給され、もしくは、投入された原料が、最も低い端部に向かって移動し、最も低い端部で、重力の影響下で排出されるようにするためである。キルンは、キルン内の原料が撹拌されるよう回転させ、かつ、熱ガスの流れを与えて、原料が、キルンを通って移動する時、原料を加熱する。しかし、この方法には、下記のように、多数の問題が有る。
【0013】
原料を絶えず供給しなければならない。
このプロセスは、低容積の製品または連続的に変化する製品には適していない。
この連続的なプロセスは、原料投入端および原料排出端の両方で、エアロックを必要とする。
キルンは、回転式のシールを必要とし、したがって、高いレベルの保守が必要である。
【0014】
特許文献1では、熱的デコーティングのための既知の装置および方法の欠点のうちの多くのものを克服する傾斜可能な炉が記述されている。この炉の構造および動作の詳細な説明については、読者は、特許文献1を参照されたい。しかしながら、手短に言えば、この炉は、処理すべき原料を受け取る投入部分、および転換部分を有している。転換部分内には、熱ガスのストリームまたは流れを通過させることができる熱処理室が組み込まれている。この炉は、転換部分が投入部分より高い第一の位置と、投入部分が転換部分より高い第二の位置との間を旋回的に移動可能である。この配列体では、炉内の原料が、一方の部分から他方の部分へ、熱処理室内の熱ガスの流れを通過して落下するよう、炉を第一の位置と第二の位置との間で繰り返し移動させることができるようになっている。この装置の使用方法も開示されている。
【0015】
上記の既知の炉は、比較的低容積の原料をバッチ・プロセスで処理するのに使用できるという利点を有している。さらなる利点は、炉の移動を制御することによって、処理されつつある原料を、随意に、熱処理室内に入れ、また、それから出すことができ、したがって、自己保持処理加熱(自熱プロセスとも呼ばれる)を生ずる場合がある過剰量のVOCの放出を伴わずに炉を安全に運転することができる、ということである。この制御された移動は、VOCが、制御されたやり方で放出され、かつ、処理プロセスの高度の制御ができることを保証する。
【0016】
特許文献1に記述されている炉の好適な実施形態では、メイン・アフターバーナーは、炉の本体と一体のアフターバーナー室内に配置されており、炉が、二者択一位置同士の間で旋回すると、アフターバーナー室は、炉と共に移動する。
【0017】
特許文献1に記述されている炉は、良好に動作し、比較的低容積の原料を熱的にデコーティングするための商業的、かつ、技術的に許容できる手段であることが分かった。しかしながら、移動炉の本体と一体のメイン・アフターバーナー室の場所は、ある種の用途では理想的でないことが分かった。
【特許文献1】WO 01/98092 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、既知の炉の問題を無くすか、あるいは、少なくとも軽減した、改良された炉を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明の第一のアスペクトによれば、コーティングされ、かつ/あるいは、汚染された原料を熱的にデコーティングし、かつ/あるいは、乾燥する装置が提供され、該装置は、少なくとも一つの支持体と、該または各支持体に取り付けられ、かつ、処理すべき原料を受け取るようにされている炉と、を含み、各炉は、第一の部分が一般に第二の部分より高い第一の位置と、該第二の部分が一般に該第一の部分より高い第二の位置との間で移動可能であり、使用の際に、該または各炉内の原料が一方の部分から他方の部分へ落下するよう、該炉を、該第一の位置と第二の位置との間で繰り返し移動させることができるようになっている、装置であって、該または各炉は、一体のアフターバーナー室を含まず、かつ、該装置は、さらに、熱ガスの流れを発生させる少なくとも一つのアフターバーナー、および該熱ガスの流れを該炉の処理ゾーンに向けるダクト手段、および該ガスを該少なくとも一つのアフターバーナーに戻す排気手段を含むことを特徴としている。
【0020】
該処理ゾーンは、該処理すべき原料およびそのトポロジーにより、該炉の該第一の部分または第二の部分内に、または、部分的に各部分内に配置することができる。
【0021】
本発明による装置は、単一の炉および単一のアフターバーナー、単一の炉および複数のアフターバーナー、複数の炉および単一のアフターバーナー、または、複数の炉および複数のアフターバーナーを含むことができる。
【0022】
本発明による装置の利点は、炉と共に旋回しないアフターバーナーの設備によって、コーティング及び/又は不純物を原料から熱的に除去する問題に対して、より簡単な、したがって、より費用が掛からない解決策が得られることである。
【0023】
本発明の第二のアスペクトによれば、コーティングされ、かつ/あるいは、汚染された原料を熱的にデコーティングし、かつ/あるいは、乾燥する方法が提供され、該方法は、
少なくとも一つの支持体を含む装置および該または各支持体に取り付けられ、かつ、処理すべき原料を受け取るようにされた炉を設け、各炉は、第一の部分が一般に第二の部分より高い第一の位置と、該第二の部分が一般に該第一の部分より高い第二の位置との間で移動可能であり、該原料を該または各炉内に入れ、原料が一方の部分から他方の部分へ落下するように、前記第一の位置と第二の位置との間で該または各炉を繰り返し移動させる、ことを含む方法であって、該または各炉は、一体のアフターバーナー室を含まず、かつ、該装置は、さらに、熱ガスの流れを発生させる少なくとも一つのアフターバーナー、および該熱ガスの流れを該または各炉の処理ゾーンに向けるダクト手段、および該ガスを該少なくとも一つのアフターバーナーに戻す排気手段を含むことを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
ここで本発明の好適な実施形態を、添付の図を引用して、単に例として説明する。
図1〜図3を参照すると、コーティングされ、かつ/あるいは、汚染された原料を熱的にデコーティング及び/又は乾燥する装置の一部を形成する炉(一般に10で示してある)が示されている。
【0025】
炉10は、中心ゾーン8と共に、第一の部分4および第二の部分6を含む一般に2で示すプロセス室を含んでいる。処理ゾーンは、第一の部分4および中心ゾーン8を含んでいる。熱ガスの流れ12は、炉10の一方の側から他方の側へ、処理ゾーンを通って移動することができる。
【0026】
炉の一方の側には、再循環室14が有り、これに、第一の再循環ファン16によって、ガスが、開口部7を通して、中心ゾーン8から吸引される。炉の他方の側では、熱ガス12は、噴流ファン17によってプロセス室2へと吸引することができる。
【0027】
ダクト18は、ガスを再循環室14からアフターバーナー室20へと案内し、そこでガスは、バーナー22によって加熱される。アフターバーナー室20の壁部は、空気冷却のステンレス鋼の壁部にすることができ、あるいは、適当な耐火材でライニングすることができる。
【0028】
ガスを加熱するバーナー22は、ガス状または液状燃料のいずれか、または両方で動作するよう設計することができる。好適な一実施形態では、バーナーはまた、処理ゾーンにおいて、原料から熱的に剥離される揮発性有機化合物(VOC)を燃焼させることができるようにも設計されている。これらVOCは、再循環ファン16によって、処理ゾーンから、ガス12と共に吸引され、かつ、必要なら、再循環室14内で、空気30と混合される。
【0029】
VOCを燃焼させることによって、炉の総合熱効率が増大するが、これは、ガス12を必要な使用温度に加熱するのに、より少ない燃料の供給で済むからである。十分なVOCが存在する場合、ガスを必要な温度に加熱するのに、いかなる追加の燃料を加える必要もなく、したがって、プロセスは、自熱的に行なうことができる。
【0030】
VOCを燃焼させることはまた、再循環ガスからこれら汚染物が除去され、かつ、後述するように、アフターバーナー室から排気されるガスのさらなる、かつ、高価な処理の必要性が減ることによって、放出の管理性が向上することになる。
【0031】
熱ガスは、アフターバーナー室20から、再循環室14に対して炉の反対側でプロセス室2の側壁部に形成されている開口部24を通って、プロセス室2の第一の部分4および中心ゾーン8に亘って伸長している処理ゾーンに入る。噴流ファン17は、開口部24を通って炉に入る熱ガス12をプロセス室2に向ける。熱ガス12は、再循環ファン16によって吸引されて、プロセス室2を迂回し、プロセス室2を通過することなしに、再循環室14に至ることもできよう。
【0032】
制御システムは、処理ゾーンにおける酸素のレベルおよびガスの温度を監視し、かつ、制御して、システムが、安全かつ効果的な限度内で動作して、処理されつつある原料の熱的デコーティングを行なうことを保証する。一般に、酸素レベルは、16%以下に維持されることになるが、大部分の有機化合物を除去するには、300℃を超える温度が必要となる。
【0033】
再循環室14には、新鮮な空気の補助的な入口30も設けられている。補助的な入口30は、空気が、空気供給室32を通って、再循環室に入り、熱ガスと混合し、かつ、必要なら、ファン16を冷却することを可能にする。制御システムは、ファンの温度を監視し、かつ、バルブを動作させて、補助的な入口を通る空気の流れを制御し、ファンの温度を最高許容使用温度以下に維持する。制御システムは、必要なら、補助的な入口30を通る空気の流れを平衡させ、それにより、ダクト18における必要な酸素含有量およびガスの温度を維持する。
【0034】
添付の図面で説明する実施形態では、プロセス室2の第一の部分4の外壁部は、処理すべきスクラップ原料36を受け取る開口部34を含んでいる。開口部34は、ドア38によって閉鎖されている。
【0035】
別の実施形態(図示せず)では、第二の部分6は、炉10から取り外して、処理すべきスクラップ原料36を装入するのに使えるであろう投入箱体の形態をとることができる。この実施形態では、炉の処理サイクル中、投入箱体は、炉の一体的な一部を形成し、炉と共に回転する。処理サイクルの完了後は、フォークリフトなどの他の手段によって投入箱体6を取り外すことにより、スクラップ原料36を取り出すことができる。
【0036】
炉10は、支持体構造物(図示せず)に旋回可能に取り付けられており、第一の部分4が第二の部分6より高い第一の位置と、第二の部分6が第一の部分4より高い第二の位置との間で移動できる。別の動作モードでは、移動は、連続的な回転移動にして、360度回転させることができよう。
【0037】
装置の制御システムの制御下、炉を第一の位置と第二の位置との間で、自動的に移動させる手段(図示せず)が設けられている。この手段は、任意の適当な形態にすることができ、かつ、例えば一つまたはそれ以上の電動機または油圧モータを含むことができる。モータは、必要なら、ギヤボックスを介して作用させることができる。別法として、この手段は、一つまたはそれ以上の油圧または空圧ラムを含むことができる。この手段はまた、モータとラムの組合せを含むこともできよう。
【0038】
図4に示す別の配列体では、単一のアフターバーナー22は、マニフォールド40、42により、二つの炉10、10´に接続されている。
【0039】
図5に示す第二の別の配列体では、二つのアフターバーナー22、22´は、マニフォールド44、46によって、単一の炉10に接続されている。
【0040】
以下、装置の動作を説明する。
処理すべき原料36を、開口部34を通して、プロセス室2に装入し、第二の部分6に重力で落下させる。すると、制御システムの制御下で処理プロセスを開始することができる。
【0041】
処理ゾーンを通るガスを加熱し、かつ、炉を、第一の位置から第二の位置に到達するまで回転させて、炉をほぼ反転させる。
【0042】
炉を回転させるにつれて、プロセス室2内の原料は、重力の影響下で、処理ゾーン内の熱ガスの流れを通過して第一の部分4に落下する。原料は、処理ゾーンを通る熱ガスの流れの方向を横切って、熱ガス12の流れを通過することに注目されたい。
【0043】
炉の回転移動は、炉を、第一の位置に到達するまで、360度回し続け、あるいは、逆転させることができる。この回転移動中、原料は、第一の部分4から第二の部分6に落下し、再び熱ガス12の流れを通過する。第一の位置と第二の位置との間の炉の回転移動は、原料36が完全に処理されるまで、プロセス制御によって必要とされる回数だけ、繰返される。
【0044】
処理プロセスは、多数の局面もしくはサイクルを通って進行する。すなわち、熱ガスおよび原料が、必要な処理温度にまで加熱される加熱サイクル、ガスおよび原料の温度が、処理温度に維持される処理サイクル、および最後に、ガスおよび処理された原料の温度を低下させて、原料を安全に取り出せるレベルにする冷却サイクルである。
【0045】
処理プロセスがひとたび完了すると、炉は、スタート位置まで戻り、ドア38を開けば、処理された原料を取り出して、冷却、貯蔵、あるいは、所要ガス内でのさらなるプロセスを行なうことができる。
【0046】
炉の回転運動は、処理すべき原料が、処理室内のガスの流れを制御されたやり方で通過することを保証する。原料の落下作用はまた、原料の全表面が、ガスに完全に曝露され、能率的で効果的なデコーティング及び/又はデコンタミネーションが促進されることを保証する。
【0047】
制御システムは、ガスの温度および酸素レベルと共に、炉の回転移動の速度および頻度を制御して、原料36上のコーティングまたは不純物を酸化する一方、処理されつつある原料の損失を最少限にして、プロセスが、安全かつ能率的に行なわれることを保証する。
【0048】
装置の具体的な特徴は、システムが、炉の回転運動を随時に停止できる能力にある。これは、厚くコーティングされた原料を処理する際に、アフターバーナーの温度が、ガスに存在する高いレベルのVOCによって、非制御的に上昇しないことを保証するのに特に有用な場合がある。装置が回転を止めると、ガス内の可燃性原料の量が、減少し、かつ、燃焼プロセスが、減速し、したがって、温度が、再び制御レベルまで低下する。温度が、許容できるレベルまで戻ると、装置は、回転を再開し、処理プロセスが継続する。炉の回転を止めるこの能力は、処理プロセス全体を通じて揮発性物質の放出が制御されることを保証する。燃焼プロセスは、原料が第二の部分6に落下する位置で炉を止めることによって、さらに減速させることができる。これは、原料が、ガス流れから出て、処理ゾーンの高温な表面から離れることを保証する。
【0049】
炉の回転移動に加えて、装置には、電気機械的な振動機(図示せず)などの手段を与えて、炉、あるいは、炉の少なくとも一部を振動させることができる。振動手段はまた、制御システムによって制御することもできる。この追加的な振動作用により、装置は、原料を、第一の部分4と第二の部分6との間に、より精密、かつ、より制御された量で移動させて、熱ガスと原料との間で、よりよい交換を促進することができる。
【0050】
振動運動はまた、コーティングおよび汚染物の、原料36からの機械的な剥離を容易にするのにも使用できる。例えば、配列体は、原料が、その固有または共振振動数に等しいかあるいはそれに近い振動数で振動するようにすることができる。別法として、炉(または、第一の部分4及び/又は第二の部分6などの、炉の少なくとも一部)は、その固有または共振振動数で振動させることができる。したがって、原料を能率的に振動させて、その結果、研磨力が増大し、ガスが、原料36を貫通し、かつ、処理することが可能となる。
【0051】
本発明によるこの装置は、特に、比較的少量の原料の処理に適している。この装置は、既知のロータリーキルンまたは運搬型の炉装置よりはるかに小さな規模で、原価効率の高い原料の処理が可能である一方、静止型炉の欠点がない。原料は、バッチ単位で処理されるため、この装置は、バッチ間で制御システムを再設定することにより、各種の原料を処理するようにすることができる。
【0052】
本発明によるこの装置は、既知のロータリーキルンや運搬型の炉に比べて比較的小形にでき、したがって、所要床面積は、はるかにより少なくて済む。本発明によるこの装置はまた、比較的簡単で、保守は、既知の装置より少なくて済む。
【0053】
本発明によるこの装置のさらなる利点は、一般に送りコンベヤベルト、排出コンベヤベルト、および貯蔵ホッパーが無いと連続的な動作が維持できない既知のロータリーキルンおよび運搬型の炉装置よりも少ない支援機器で済むことである。
【0054】
上記の装置は、多数のやり方で修正できる。例えば、噴流撹拌システム(図示せず)を設けて、熱処理室内の原料を撹拌することができる。これは、熱処理室内の熱ガスが、処理されつつある原料のうちのより多くのものに到達することを可能にし、したがって、プロセスの効率を向上させる。このようなシステムは、ガス状の原料の一定の流れあるいはブラストを放出して、熱処理室内の原料を撹拌することができる一つまたはそれ以上の噴出口を含むことができる。ガス状の原料は、新鮮な空気とすることができ、かつ、炉内の酸素および温度レベルを制御するための制御システムの一部を形成することができる。別法として、ガス状の原料は、炉の周りを再循環するガス12の一部とすることができる。
【0055】
また、一つまたはそれ以上の工具(図示せず)を装置に組み込んで、炉内の原料のさらなる処理または制御を行なうことができる。装置に組み込むことができる工具(図示せず)の種類としては、例えば、次のようなものがある。
【0056】
すなわち、原料が、第一の部分4から第二の部分6に落下するにつれて、原料を粉砕する粉砕手段。このような粉砕手段は、回転式せん断粉砕機または技術上既知の任意の他の適当な形態の粉砕機とすることができる。
【0057】
別法として、あるいは、追加として、本装置は、処理されつつある原料の残部から非鉄金属を分離するための電磁非鉄金属セパレータを保持することができる。セパレータは、第一の部分4と第二の部分6との間を通過する原料に作用する。一般にこのような分離は、プロセスの冷却サイクルの終わりごろに行なわれ、かつ、非鉄金属は、原料の残部から分離ビンに集められることになる。セパレータは、技術上既知の任意の適当なタイプのものとすることができる。
【0058】
本装置には、供給手段を設けて、第一の部分4と第二の部分6との間で原料の移動を制御することもできる。供給手段は、原料の第二の部分6からの放出を制御するためのダンパーシステムまたは任意の他の適当なシステムを含むことができる。このような供給手段の使用は、原料を第二の部分6から第一の部分4に緩徐に放出して、実質的に連続的なやり方で処理することを可能にする。これは、VOCの放出を制御するのに有用な場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明による装置の炉の概略斜視図
【図2】単一のアフターバーナーと組み合わせた図1の炉の概略斜視図
【図3】図2の装置の上からの概略平面図
【図4】二つの炉および単一のアフターバーナーを含む本発明による装置の第二の実施形態の上からの概略平面図
【図5】単一の炉および二つのアフターバーナーを含む本発明による装置の第三の実施形態の上からの概略平面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの支持体と、
前記支持体で支持され、コーティング及び汚染の少なくとも一方がされた原料が投入される炉と、を有し、
前記炉には、前記原料を収容する第一の部分と第二の部分が備えられ、前記第一の部分と前記第二の部分は、前記第一の部分が前記第二の部分より高い第一の位置と、前記第二の部分が前記第一の部分より高い第二の位置との間を移動可能とされ、高い位置にある前記第一の部分又は前記第二の部分から、低い位置にある前記第二の部分又は前記第一の部分へ前記原料を落下させ、
前記炉で、前記原料を、熱的にデコーティング及び乾燥の少なくとも一方をさせる装置であって、
前記炉の外部に設けたアフターバーナー室と、
前記アフターバーナー室に設けられ、熱ガスの流れを発生させる少なくとも一つのアフターバーナーと、
前記アフターバーナー室と前記炉との間を連通し、前記熱ガスを前記アフターバーナー室から前記炉の処理ゾーンとしての前記第1の部分に流すダクト手段と、
前記炉と前記アフターバーナー室との間を連通し、前記熱ガスを前記処理ゾーンから少なくとも一つの前記アフターバーナーに戻す排気手段と、
を有することを特徴とする熱的にデコーティング及び乾燥の少なくとも一方をさせる装置。
【請求項2】
前記第一の部分には前記原料が投入される開閉可能な開口部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の、熱的にデコーティング及び乾燥の少なくとも一方をさせる装置。
【請求項3】
前記第二の部分は、前記第一の部分から取外しが可能とされ、取外しされた前記第二の部分は、前記原料が投入可能とされていることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の熱的にデコーティング及び乾燥の少なくとも一方をさせる装置。
【請求項4】
1つの前記炉と、1つの前記アフターバーナーを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱的にデコーティング及び乾燥の少なくとも一方をさせる装置。
【請求項5】
1つの前記炉と、複数の前記アフターバーナーを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱的にデコーティング及び乾燥の少なくとも一方をさせる装置。
【請求項6】
複数の前記炉と、1つの前記アフターバーナーを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱的にデコーティング及び乾燥の少なくとも一方をさせる装置。
【請求項7】
複数の前記炉と、複数の前記アフターバーナーを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱的にデコーティング及び乾燥の少なくとも一方をさせる装置。
【請求項8】
コーティング及び汚染の少なくとも一方がされた原料が投入される炉を少なくとも一つの支持体で支持し、
前記炉には、前記原料を収容する第一の部分と第二の部分が備えられ、前記第一の部分と前記第二の部分は、前記第一の部分が前記第二の部分より高い第一の位置と、前記第二の部分が前記第一の部分より高い第二の位置との間を移動可能とされ、高い位置にある前記第一の部分又は前記第二の部分から、低い位置にある前記第二の部分又は前記第一の部分へ前記原料を落下させ、
前記炉で、前記原料を、熱的にデコーティング及び乾燥の少なくとも一方をさせる方法であって、
アフターバーナー室を前記炉の外部に設け、
前記アフターバーナー室には少なくとも一つのアフターバーナーを設け、前記アフターバーナーで熱ガスの流れを発生させ、
ダクト手段で前記アフターバーナー室と前記炉の間を連通し、前記ダクト手段で前記熱ガスを前記アフターバーナー室から前記炉の処理ゾーンとしての前記第一の部分に流し、
少なくとも一つの排気手段設で前記炉と前記アフターバーナー室の間を連通し、前記排気手段設で前記熱ガスを前記処理ゾーンから前記アフターバーナーに戻すことを特徴とする熱的にデコーティング及び乾燥の少なくとも一方をさせる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−537992(P2008−537992A)
【公表日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−502488(P2008−502488)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【国際出願番号】PCT/GB2006/001106
【国際公開番号】WO2006/100512
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(502457685)
【出願人】(502457711)
【Fターム(参考)】