説明

コーティング装置

【課題】レンズの曲率、高さを自動的に検知することができ、安定したフォトクロミックのコーティング被膜を形成すること。
【解決手段】レンズ高さ計測センサー6が発光器43a,44aから受光器43b,44bへ到達する光をレンズが遮断することによりレンズの存在を検知し、少なくとも2組の発光器43a,44aと受光器43b,44bとを備え、レンズの中心とレンズの他の任意の箇所の2点でレンズ高さを検知することによって、レンズの厚さと勾配を求めるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼鏡などのレンズに、例えばフォトクロミックコーティングを高品質で行うことができるコーティング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光により色が変化する材料にフォトクロミック物質がある。フォトクロミック物質は、紫外線の有無によって構造が可逆的に変化し、吸収スペクトルが変わる性質を持っており、これは、一つの異性体に特定波長の光を照射すると、光の作用により単一の化学物質が吸収スペクトルの異なる異性体を可逆的に生成する物質の性質である。そして、生成した他の異性体は、熱又は別の波長の光により元の異性体の色へ戻る。
このフォトクロミック材料の性質をレンズに利用したフォトクロミック眼鏡がある。これは、太陽光のような紫外線を含む光が照射される屋外ではレンズが速やかに着色してサングラスとして機能し、光の照射のない屋内では、退色して透明な通常の眼鏡として機能する。
【0003】
フォトクロミック性を有するレンズの製造方法としては、フォトクロミック性を有しないレンズの表面にフォトクロミックコーティング液を含浸させる方法、モノマーにフォトクロミックコーティング液を溶解させ、それを重合させることにより直接フォトクロミックレンズを得る方法、及びフォトクロミック化合物を含有するコーティング剤を用いてレンズの表面にフォトクロミック性を有する層を設ける方法が知られている。
【特許文献1】特開2000−334369号
【特許文献2】特開2005−013873号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のレンズの製造方法のうち、フォトクロミックコーティング液をコーティングするコーティング法は、レンズを回転させながら、フォトクロミック液を入れたベゼルのノズルからフォトクロミック液をレンズの表面に吐出させて、レンズの表面にコーティング層を形成している。
しかしながら、レンズの大きさ、勾配が同じで同種のレンズをコーティングする場合は、装置の設定が変わらないので問題はないが、大きさ勾配の異なるレンズにコーティング液を塗布する場合、レンズの形状に装置を適合させる必要がある。このような場合、予め、レンズの高さや勾配が分かっていれば、装置の設定をそのパターンに合わせることができるが、レンズの高さ勾配が不明な場合は、あらためてそのレンズの高さ、勾配を調べてから、そのレンズにあった位置に応じて、レンズの高さ若しくはノズルの高さを合わすようにしていた。また、レンズを回転させてスピンコーティングさせた場合には、回転時の遠心力によりコーティング液がレンズの周縁部に溜まり、レンズの側面に滴下する問題もある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、レンズの高さ、勾配を自動的にかつ容易に検知することができ、安定したフォトクロミックのコーティング被膜を形成できるコーティング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明(第1の局面)のコーティング装置は、レンズのコーティング面を上方に向けてレンズの軸線を中心にしてレンズを回転可能に支持するレンズ支持装置と、コーティングユニットによってレンズ上面にコーティング液を塗布するコーティングユニット支持装置と、レンズの高さ位置を検知するレンズ高さ計測センサーと、前記レンズ面に塗布したコーティング液を硬化させるUV装置とを備えたコーティング装置において、上記レンズ面の中心と該中心から離れたレンズ面の他の箇所との2点間のレンズ高差をセンサーによって検知することによって、レンズ面の中心(回転中心)からレンズの端縁上部までの高差を求めるようにした。
上記目的を達成するために、本発明(第2の局面)のコーティング装置は、レンズのコーティング面を上方に向けてレンズの軸線を中心にしてレンズを回転可能に支持するレンズ支持装置と、コーティングユニットによってレンズ上面にコーティング液を塗布するコーティングユニット支持装置と、レンズの高さ位置を検知するレンズ高さ計測センサーと、前記レンズ面に塗布したコーティング液を硬化させるUV装置とを備えたコーティング装置において、上記レンズ面の中心と該中心から離れたレンズ面の他の箇所との2点間のレンズ高差をセンサーによって検知することによって、レンズ面の曲率半径を求めるようにした。
上記発明(第1の局面又は第2の局面)は、前記レンズ高さ計測センサーが、2組の発光器と受光器とを備え、発光器から受光器へ到達する光をレンズが遮断することによってレンズの高さを求めることができる。
上記目的を達成するために、本発明(第3の局面)のコーティング装置は、レンズのコーティング面を上方に向けてレンズの軸線を中心にしてレンズを回転可能に支持するレンズ支持装置と、コーティングユニットによってレンズ上面にコーティング液を塗布するコーティングユニット支持装置と、レンズの高さ位置を検知するレンズ高さ計測センサーと、前記レンズ面に塗布したコーティング液を硬化させるUV装置とを備えたコーティング装置において、前記レンズのコーティング液の塗布時にレンズ上面のコーティング液をフィルムの端縁部で延展する塗膜均一化装置を備え、前記レンズを回転させながら前記塗膜均一化装置によって前記レンズ上面の中心部からレンズ上面の端縁部を結ぶ直線軌道に沿って、前記フィルムを移動させながらコーティング液を延展させた。
上記目的を達成するために、本発明(第4の局面)のコーティング装置は、レンズのコーティング面を上方に向けてレンズの軸線を中心にしてレンズを回転可能に支持するレンズ支持装置と、コーティングユニットによってレンズ上面にコーティング液を塗布するコーティングユニット支持装置と、レンズの高さ位置を検知するレンズ高さ計測センサーと、前記レンズ面に塗布したコーティング液を硬化させるUV装置とを備えたコーティング装置において、前記レンズのコーティング液の塗布時に前記レンズ側面上部にへらを当接させて、レンズ上面からレンズ側面に滴下しようとするコーティング液を前記へらで取り除いた。
上記発明(第4の局面)は、前記レンズに対するへらの当接端の上部を前記レンズの中心側に傾斜させて配置するとよい。
上記発明(第4の局面)は、前記へらを支持するへら把持部を前記レンズの一外周面から中心方向に移動可能に取付け、各種のレンズ径に応じて前記へらの位置を適合させることができる。
上記発明(第1〜第4の局面)は、前記コーティング液は、眼鏡レンズの表面に塗布されるフォトクロミックコーティング液とすることができる。
上記発明(第1〜第4の局面)は、前記レンズ支持装置によって前記レンズを回転させながら前記UV装置によってUV光をレンズに照射するようにした。
【発明の効果】
【0006】
本発明のコーティング装置(第1の局面)は、上記レンズ面の任意の箇所と該箇所から離れたレンズ面の他の箇所との2点間のレンズ高差をセンサーによって検知することによって、レンズ面の中心からレンズの端縁上部までの高差を求めるようにしたので、この2点間のレンズ面の高差からレンズの勾配を求めることができる。また、レンズの勾配に応じて、コーティング時における回転速度を決定することができる。
このコーティング装置は、前記レンズ高さ計測センサーが、2組の発光器と受光器とを備え、発光器から受光器へ到達する光をレンズが遮断することによってレンズの高さを求めるようにしたので、レンズの高差と勾配により、より精密なコーティング時における回転速度を決定できる。この効果は勾配の代わりにレンズの曲率半径(本発明の第2の局面)を求めることによって、同様に達成できる。
本発明のコーティング装置(第3の局面)は、レンズのコーティング液の塗布時にレンズ上面のコーティング液をフィルムの端縁部で延展する塗膜均一化装置を備え、前記レンズを回転させながら前記塗膜均一化装置によって前記レンズ上面の中心部からレンズ上面の端縁部を結ぶ直線軌道に沿って、前記フィルムを移動させながらコーティング液を延展させたので、より均一なコーティングをレンズ面に延展することができる。また、直線軌道なので、操作が容易である。
本発明のコーティング装置(第4の局面)は、レンズのコーティング液の塗布時に前記レンズ側面上部にへらを当接させて、レンズ上面からレンズ側面に滴下しようとするコーティング液を前記へらで取り除いたので、レンズ側面にコーティング液が滴下するのを防止する。
上記発明(第4の局面)は、前記レンズに対するへらの当接端の上部を前記レンズの中心側に傾斜させて配置したので、よりレンズの外周縁上のコーティング液を除去することができる。
上記発明(第4の局面)は、前記へらを支持するへら把持部を前記レンズの一外周面から中心方向に移動可能に取付け、各種のレンズ径に応じて前記へらの位置を適合させるようにしたので、種々のレンズに対して、へらの適応が可能になる。
上記発明(第1〜第4の局面)は、前記コーティング液を、眼鏡レンズの表面に塗布されるフォトクロミックコーティング液であるので、粘度の高いフォトクロミックコーティング液のコーティングに優れた効果を発揮する。
上記発明(第1〜第4の局面)は、前記レンズ支持装置によって前記レンズを回転させながら前記UV装置によってUV光をレンズに照射するようにしたので、レンズの周縁部の液溜まり領域を軽減するとともに、UV光の均一化によって品質の良いコーティング層を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明におけるコーティング装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1及び図2は、レンズにフォトクロミック液を自動制御によりコーティングするフォトクロミックコーティング装置を示す。なお、図1のフォトクロミックコーティング装置の下側が装置の前側(Y軸方向)とし、左右を横方向(X軸方向)とする。
フォトクロミックコーティング装置1は、基台2上にレンズ支持装置3、コーティングユニット支持装置4、レンズ高さ計測センサー6、塗膜均一化装置7、UV装置8、可動式液受け装置9を備えている。
【0008】
図3に示すように、レンズ支持装置3は、基台2のほぼ中央部に設けられ、基台2から上方側に突出する円形台座31を形成している。基台2の内側にはガイド部材32が設けられ、ガイド部材32には軸心を上下(垂直)方向に向けたZ軸ボールネジ33が設けられ、Z軸ボールネジ33は上端部が回転自在にガイド部材32に形成した軸受32aに取付けられ、下端部はサーボモータ34の軸に連結されている。Z軸ボールネジ33には、レンズ支持部材35に取付けられたZ軸ボールナット36が螺着している。Z軸ボールネジ33が回転することにより、レンズ支持部材35はZ軸ボールネジ33に沿って、昇降可能に移動することができる。レンズ支持部材35の下部にはサーボモータ37が固定され、サーボモータ37には上方に延びる回転軸38が取付けられ、回転軸38には円形台座に形成された孔31aを貫通している。図4のAに示すように、回転軸38の上部には、吸入ヘッド15が取付けられ、レンズ支持ヘッド15の上部にはO−リング15aが装着されている。また、レンズ支持ヘッド15及び回転軸38の中心には吸着孔38aが形成され、吸着孔38aには、図示しない空気吸引手段が接続されている。空気吸引手段が作動することにより、レンズ支持ヘッド15がレンズ10の裏面を吸着して支持できる。
【0009】
図5は、レンズ10の中心を出すためのセンタリング冶具16である。センタリング冶具16は、図示しない移送手段(若しくは手作業でもよい)に支持される支持部17に冶具本体18が取付けられている。冶具本体18の側面18bの上部には、レンズ10をセンタリングする階段状の段部dを形成している。各段部d1〜d5の中心は、回転軸38の中心部と一致するように配置されている。そして、段部dは、各レンズ10のサイズの湾曲形状に合わせた形状に形成され、一番下側の段部d1からd2、d3、d4、d5の順に、小径のレンズ10から大径のレンズ10の位置合わせをすることができる。各レンズ10のサイズに応じた段部d1〜d5に、レンズ10の下側縁部(レンズの裏側縁部)を当接させることによってレンズ10の中心を回転軸38の中心に合わせることができる。
【0010】
図6及び図7は、コーティングユニット支持装置4を示す。コーティングユニット支持装置4には、基台2上にエアスライドテーブル11が設けられ、スライドテーブル11上にはスライドブロック12が、フォトクロミックコーティング装置1の横方向に摺動可能となるように嵌合している。スライドブロック12は、ロッドレスシリンダによって、摺動可能であり、ロッドレスシリンダとして、エア方式、チェン方式、マグネット方式、スリット方式、ワイヤ方式が適用できる(以下のロッドレスシリンダについても同様である)。
上方に立設するスライドブロック12の上端部には、基台2の前側に延びる支持アーム13が取付けられ、支持アーム13にはコーティングユニット21が支持されている。支持アーム13は、コーティングユニット21に対して、回動軸14を軸心にして支持角度が変異可能になるように取付けている。すなわち、図6に示すように、支持アーム13はコーティングユニット21を、直立した姿勢でも、想像線に示すように、傾斜させた状態でも支持できる。コーティングユニット21は、スライドブロック12がエアスライドテーブル11上を横方向に摺動することによって、レンズ10の中心の直上方に移動が可能である。
【0011】
図8に示すようにコーティングユニット21は、ベゼル22、液垂れ防止弁23及びノズル24を備えている。ベゼル22にはコーティング液が入れられ、ベゼル22の下部には、液ダレ防止弁23の上端が着脱自在に接続され、液ダレ防止弁23の下端にはノズル24が着脱自在に接続されている。
図9に示すように、液ダレ防止弁23は、上端側のベゼル22接続側に第1小径部23a、中央に大径部23b、そして先端側に第2小径部23cを設けている。第1小径部23aと大径部23bの境界にはO−リングなどの緩衝材23eを配設した弁座23dを形成し、大径部23bに球形の弁球25を配設し、弁球25と第2小径部23c間にはスプリングバネ26を圧縮状態で配設している。
ベゼル22の内部にはプランジャー27が配設され、プランジャー27は配管22bに接続された圧縮源(N2)が負荷すると、コーティング液を押圧し、弁座23d及び弁球25からなる弁を開弁する。こうして、スプリングバネ26によって、弁球25を弁座23dに付勢させることにより、ノズル24側からベゼル22側へコーティング液の流れを規制する一方、スプリングバネ26力に抗して弁球25を押圧するときは、ベゼル22側からノズル24側へのコーティング液の流れを許容する。
【0012】
図10及び図11は、レンズ高さ計測センサー6を示す。
レンズ高さ計測センサー6は、基台となるスライド板40が設けられ、スライド板40は先端側をレンズ支持部材35側に向け、後端側をフォトクロミックコーティング装置1の一角部に向けて配置され、全体として矩形のフォトクロミックコーティング装置1のほぼ対角線上に設けられている。スライド板40の上部には、スライド板40上を進退移動が可能なスライドブロック41が設けられている。スライドブロック41の上部には、U字形状のセンサー取付部材42が設けられ、その対向する両側端部には、2組のセンサーユニット43,44が配設されている。センサーユニット43,44のセンサー43a,44aは、発光部と受光部とを有し発光部によってレーザ光を照射し、ミラー43b,44bはそのレーザ光を反射してセンサー43a,43bの受光部で受光することができる。
【0013】
各センサーユニット43,44は、センサー43a,44aとミラー43b,44bとが互い違いにかつ向かい合って配設され、さらに一方のセンサー43a及びミラー43bを結ぶ線に対し、他方のセンサー44a及びミラー44bを結ぶ線が、同じ水平高さ位置でかつ平行に配置されている。これらのセンサー43a,44aとミラー43b,44bとの間にレンズ10が配置される。センサーユニット43,44は、レンズ10がセンサー43a,44a及びミラー43b,44b間に配置されると、レーザ光がレンズ10により屈曲されることによって遮断されてレンズ10の有無とレンズ面の基台2からの基準高さを検知する。
【0014】
図12及び図13は塗膜均一化装置7を示す。
塗膜均一化装置7は、基台2の上にリニアブロック50が設けられ、リニアブロック50にはリニアレール51が、フォトクロミックコーティング装置1の横方向に延在している。リニアブロック50の一端側にはX軸サーボモータ52が取付けられ、X軸サーボモータ52には軸受け54a,54bに軸支されたX軸ボールネジ53を回転可能に取付けている。X軸ボールネジ53には、X軸ボールナット55が螺着され、サーボモータ52の回転により、X軸ボールナット55は横方向に移動が可能である。X軸ボールナット55には、上方向に立設する縦方向リニアブロック56が設けられている。
【0015】
縦方向リニアブロック56には、上部にサーボモータ57が取付けられ、軸受け58a,58bに軸支されたZ軸ボールネジ59には、Z軸ボールナット60が螺着している。Z軸ボールナット60には、昇降ステージ61が取付けられている。サーボモータ57が回転すると、昇降ステージ61は上下動することができる。昇降ステージ61の上部には、レンズ支持部材35側に延びるアーム62を設け、アーム62の先端部には支持ブラケット63を設け、支持ブラケット63にはフォトクロミックコーティング剤の膜厚を均一化するためのPETからなるフィルム64を垂下させている。X軸サーボモータ52を駆動させて、昇降ステージ61を横方向に移動させると、フィルム64はレンズ10の中心上の半径方向の軌道を通る。
【0016】
図14は、UV装置8を示す。
UV装置8は、図示しない昇降手段によりメインブロック70が、上下方向に昇降することができる。メインブロック70には、UV昇降ユニット71が設けられ、この上部にサーボモータ72が取付けられ、軸受け73a,73bに軸支されたZ軸ボールネジ74には、Z軸ボールナット75が螺着している。Z軸ボールナット75には、UV昇降ステージ76が取付けられている。そして、UV昇降ステージ76は、サーボモータ72が回転すると上下動する。UV昇降ステージ76には、レンズ10の直上方に配置されるUVランプ77が設けられている。
UVランプ77の下部には、レンズ10を囲みステンレスからなる筒体78が設けられている。筒体78の周囲には、コイル状に巻回する冷却パイプ79が配設され、冷却パイプ79の内部には冷却水が循環することができる。筒体78の上部には、図15に示すように、ガス供給口80が設けられ、筒体78内に不活性ガスであるNを導入することができ、Nは筒体78の下部に設けたガス排出口81から筒体78外へ排出される。筒状78の上部には、図15に示すように、UV光を透過させるためのホウケイ酸ガラス製の窓78aが設けられている。
【0017】
図16及び図17は、可動式液受け装置9である。
可動式液受け装置9は、基台2の裏面側に一対のガイドレール83が設けられ、レンズ支持装置3の両端に設けられた一対の可動ユニット84が、レンズ支持装置3を挟んで進退移動する。可動ユニット84の上部には、略半円形状の一対の液受けトレイ85が設けられ、一対の液受けトレイ85が互いに前進すると、略環状に形成され、外側筒部86と内側筒部87との間にレンズ10から落下するコーティング液を回収する。内側筒部87は、上縁部85aがレンズ10の外周側の下部に位置するように配置される。液受けトレイ85が互いに対向する面の上縁部には、水平方向に屈曲されたフランジ状の邪魔板90を形成している。各邪魔板90は、液受けトレイ85の接合部の隙間を塞ぐ役割を果たす。
一方の液受けトレイ85(外側筒部86側)には、温度センサーの取付け冶具88と、レンズ10の側面にコーティング液が付着するのを防止するへら固定用冶具89を設けている。
【0018】
図18に示すように、へら固定用冶具89は、一方の液受けトレイ85(外側筒部87側)に引っ掛けが可能な取付板91を設け、取付板91の下面から上方に向けて形成した溝91aを外側筒部87に差し込み、蝶ネジ92で固定するようにした。取付板91の上側には、取付板91に形成した孔91bを摺動する摺動ロッド93を設け、下側に取付板91のレンズ10に対向した面に取付けられた固定ロッド94を設け、これらのロッド93,94の先端部にへら95の把持部96を取付けている。摺動ロッド93には、取付部91と把持部96の間にバネ97を配設し、固定ロッド94には把持部96が摺動できるように構成されている。へら95は、へら95の当接部側端縁をレンズ10の中央側に傾斜するように形成し、へら95の当接縁95aは、レンズ10の外周面10aにレンズ10の軸方向に向くように当接させている。
【0019】
以下、本実施形態のレンズのフォトクロミックコーティングの手順について説明する。
図19は、フォトクロミック眼鏡の製造工程を示すフロー図である。
基材として、チオウレタン樹脂製のレンズ基材を用い、前処理として、アルカリ水溶液や、超音波洗浄によるレンズ10の洗浄を行う。
次いで、フォトクロミック材料のコーティングを行う前に、フォトクロミック材料の付着性をよくするため、ウレタンプライマーでレンズ10の表面をコーティングする。この作業は、別途の図示しないプライマーコーティング装置によって、レンズ10を回転させながらコーティング液を吐出するノズルをレンズの上面中央からレンズの上面端縁まで、レンズの径方向へ直線移動させて行う。このプライマーコーティング液は粘性が小さいので、回転させたレンズ10の遠心力によって、レンズ10の表面全体にコーティング液を均等に拡散することができる。具体的には、コーティング液の塗布時におけるレンズ10の回転数は約70rpmであり、コーティング液を塗布した後、1000rpmで5秒程度回転させて膜厚を調整している。コーティング層の厚さは7μmである。なお、これらの回転数は、レンズ10の勾配や、レンズ10周辺の温度に応じて変更し、適正膜厚になるように調整している。
コーティング層を塗布した後は、常温でコーティング層を15分間乾燥(固化)させる。ウレタンプライマーからなるコーティング層は、湿気により固化する性質を有する。ここまでの作業が、プライマコーティング工程である。
【0020】
次いで、レンズのフォトクロミックコーティング作業に入る。このコーティング作業では、プライマーコーティング装置からフォトクロミックコーティング装置1にレンズ10を移動する。このコーティング作業では、初めにレンズ10のセンタリングを行う。すなわち、フォトクロミックコーティング装置1のレンズ支持部材35の中央にレンズ10をセットする。
レンズ10のセンタリングは、図5に示すように、その冶具本体18の段部d1〜d5にレンズ10をセットすることにより行われる。例えば、直径が60mmのレンズ10であれば段部d1(内径60mm)にレンズの下側縁部を当接させ、直径が65mmのレンズ10であればd2(内径65mm)にレンズ10の下側縁部を当接することにより行う。段部dは、例えば5mm間隔のレンズ径に対応することができ、d1からd5まで60mmから80mmまでのレンズ10のセンタリングができる。センタリングが完了したものについては、吸着孔38aからの空気吸引手段によって、レンズ10の内面を吸着させて、レンズ10を支持、固定する。
図4のAに示すように、レンズ10の中心が厚いものについては、そのまま支持ヘッド15に直接、レンズ10を支持させるようにする。ただし、図4のBに示すように、レンズ10の中心の厚みが薄いものについては、レンズ10の裏面側の凹部にシリコンパッド98を介在させて、支持ヘッド15に支持させる。
【0021】
レンズ10の平面方向の位置決めがされると、レンズ高さ計測センサー6によって、レンズ10の高さ、及び図20のbに示すレンズ10の表面側のセンターからレンズ10のコバ(レンズの上面側周端縁)bまでの高低差h’を検知する。レンズ10の高さを求めるのは、レンズ10をコーティングユニット21のノズル24の高さに合わせるためであり、レンズ10の高低差h’を検知するのは、レンズ10の勾配及び曲率を求め、フィルム64の移動軌跡及びレンズのスピン条件を決定するためである。
検知作業は、レンズ高さ計測センサー6のセンサーユニット43,44のセンサー43a,44aと、ミラー43b,44bとの間にレンズ10を挟むようにして行われる。すなわち、サーボモータ34を駆動することによって、レンズ支持部材35を下方位置から上昇させると、レンズ10のセンター位置に設置された一方のセンサー43aのレーザ光43cがレンズ10によって、屈折される。レーザ光43cがミラー43bまで達せず又は達しても屈折されているので、センサー43aまで戻らないので、レンズ10の存在が検知される。このレンズ10のセンターを測ることで、基台2を基準としたレンズ10の高さが分かり、レンズ10の表面をノズル24に対する適正高さに配置できる。
【0022】
図20のAに示すように、センサー43aのレーザ光が遮断された際に、他方のセンサー44aでは、センサー44aの発光部からのレーザ光44cがミラー44bを介してセンサー43bに戻っているので、レンズ10が存在しないことが分かる。さらに、レンズ10を上昇させると、レーザ光44cがレンズ10に当たり、レーザ光44cの屈折によりミラー44bではレーザ光44cが達しないか又は屈折されてセンサー44aに戻らず、レンズ10の存在が認識される。こうして、レンズ10のセンター位置(頂点)と、レンズ10のセンター以外の任意の位置の高低差hが検出される。
レンズ10の中心からコバbまでの上下方向における高差h’は、レンズ10のセンターの高さと、他方のセンサーユニット44で検出したレンズ10の高低差hを知ることによって導くことができる。
すなわち、2点間の距離が分かれば、図20のBを参照にして、次式からレンズの曲率半径が算出できる。
【0023】
【数1】

ここで、Rは、レンズの上面の曲率半径であり、Dはレンズの径である。
また、実用上は上式の代わりに、次式のような簡略化した近似式を用いて高差h’を算出することができる。
h’=H/4L
なお、上記で算出した曲率半径Rの大きさ、即ちレンズ10の曲率半径、又はレンズ10の勾配に応じて、次工程でのレンズ10の回転数、回転時間等が定められる。
【0024】
レンズ10の高さ計測では、レンズ10を回転させ、一定角度ごとに別角度からの高さの計測を繰り返し行うことも可能である。多方面の角度からの測定をおこなうことにより、レンズ10が傾いて設置された場合や、累進多焦点レンズ等のレンズの曲率が一定でないレンズを高さ計測する際に、より正確に高さを計測することが可能である。例えば、レンズ10のセンター位置(レンズ表面の回転軸上の点)の高さ計測においては、多角度からの測定を行い、その最小値を採用することにより、より正確な高さを求めることができる。また、中心以外の点の測定では、多角度からの測定を行いその平均値を採用することにより、レンズ10が傾いて設置された場合の測定誤差を小さくでき、より正確なレンズ10の曲率を求めることができる。
さらに、高さを計測するセンサー6は、帯状のレーザー光を発する投光部(発光部)と、CCDラインセンサー等の、微小な受光素子が直線状に配置された受光部からなるセンサーを採用することが出来る。このセンサーを使用すれば、センサーとレンズ10との位置を少しずつ変更しながら計測しなくても、投光部と受光部の間にレンズ10を設置するだけで瞬時に高さを計測できる為、レンズの高さ計測時間を短縮することが可能である。
【0025】
コーティングユニット21は、図6及び図7に示す、コーティングユニット支持装置4によって支持され、スライドテーブル11上をスライドブロック12が移送されることによって、コーティングユニット21のノズル24がレンズ10の直上方に配置される。レンズ10は、支持ヘッド15の上で回転可能なように支持され、コーティングユニット21はベゼル22を想像線で示すように傾斜させることによって、ノズル24をレンズ10の中心位置に固定する。
コーティング液は、コーティングユニット21のプランジャー27がコーティング液を押圧することにより、液垂れ防止弁23が開弁し、レンズ10の表面にコーティング液がノズル24によって吐出される。この吐出作業では、コーティングユニット21を傾斜させて、ノズル24の先端をレンズ10の中心位置(レンズ10の回転軸上で、レンズ10の表面から1mm程度上方の位置)に固定した状態で、レンズ10の表面へコーティング液を吐出する。
なお、ノズル24を傾斜させた理由は、フィルム64とノズル24が干渉するのを防止するためである。ノズル24は、先端形状をL字形などに曲げてフィルム64との干渉を避けてもよい。
【0026】
レンズ10に上に吐出されたコーティング液は、図20のCに示す延展補助手段であるフィルム64によって、レンズ全体に押し広げられるが、このときのレンズ10の回転数とフィルム64の移動は、レンズの高さ計測により求めたレンズ高差、勾配を考慮して、レンズ10の中央部に供給されるコーティング液を最も効率よくレンズ10上面全体に延展する条件で行われる。すなわち、塗膜均一化装置7によりレンズ10上に移送されたフィルム64が、レンズ10上で撓んだ状態でレンズ10を回転させると、フィルム64によって一部塞き止められたコーティング液がレンズ10上に一時的に溜まるが、この溜まったコーティング液は、フィルム64の復元力によってほぼ均一の厚さに押し延ばされる。そしてこの状態を保ちながら、フィルム64をレンズ10のセンターからコバbまでの直線軌道に沿って徐々に移動させた場合には、レンズ10の曲面にしたがってフィルム64の撓み具合は変化するが、その復元力はあまり変化しない。
【0027】
よって、フィルム64の上下方向の位置制御をレンズ曲面に応じて厳密に行わなくても、コート液を基材表面全面に渡ってきれい(但し、曲率に応じてレンズ10の回転数やフィルム64の軌道を設定した方が、より緻密なコーティングができる)に覆うように延展させることができる。また、厚みムラを発生しないようにコート液を延展することができるので、コート液の利用率を高くし、高粘度の液を少量でレンズ10の全体に塗布することが可能である。
また、このコーティング作業では、図18に示すように、レンズ10の上面側端縁(レンズ10の外周面10aの上部)に、へら固定用冶具89のへら95の縁部を当接させる。へら95の当接縁95aは、レンズ10の外周面10aに傾斜させて配置しているので、当接縁95aとレンズ10との当接部の上側では、レンズ10の中心側に傾斜し、レンズ10の外周縁側に溜まったコーティング液を多く取り除くことができる。また、当接縁95aとレンズ10との当接部の下側では、レンズ10の外周面10aとに隙間を形成しているので、レンズ10の遠心力でコーティング液がへら95a側に案内されるので、レンズ10の外周面10a側に付着することを防止できる。
へら固定用冶具89のバネ97は、へら95を支持する把持部96をレンズ10側に押圧する役割を果たす。これによって、レンズ10の端縁から外周面10aにコーティング液が滴下するのを防止できる。へら95により除去されたコーティング液は、液受けトレイ85に滴下して回収される。また、バネ97の役割として、バネ97の伸縮により種々のサイズのレンズ10径に適用が可能となる。
【0028】
へら95を当接せずにコーティングを行った場合には、レンズ10の側面(コバ)にコーティング液が付着し、UV硬化される。この場合、UV硬化後のアニール処理において、レンズ10の側面に不均一に付着したコート液により、レンズ10に光学的な歪が生じる場合がある。また、側面に付着したコート液の分だけ、レンズ10の直径が大きくなる為、ハードコート処理や反射防止膜コート処理等の後工程における専用治具とのサイズが合わなくなり、不具合が生じる場合がある。これらの問題を回避する為には、UV硬化後、研磨装置等でレンズ10の側面を研磨し付着したコート液を除去する必要があり製造工程が煩雑となる。一方、コーティングの際、へら95を当接させることによりレンズ側面へコート液が付着するのを防ぐことが可能である為、研磨処理を省略することが出来る。
【0029】
この段階では、レンズ10上のフォトクロミックコーティング液量は、目的とするフォトクロミック被膜の膜厚よりも多く、レンズ10上の余分なコーティング液を目的とする液量まで取り除く必要がある。そのため、レンズ10を回転させて、レンズ10上のコーティング液を振り落とす作業を行う。レンズ10の回転数は、装置内温度とレンズ10の勾配に応じた条件で決定され、例えば600rpmでレンズ10をスピンさせる。
その後、図15に示すように、UV装置8の筒体78でレンズ10を囲み、筒体10内を窒素置換する。窒素雰囲気にするのは、酸素があるとコーティング液の重合反応を阻害するため硬化しにくいからである。また、筒体10内の窒素置換が開始してから、UV光によるコーティング塗膜の硬化が完了するまでは、筒体10内の酸素濃度の上昇を防ぐため、常に筒体10内にはNが供給される。この際、UVランプ77点灯後、図示しない2つに分岐されたN供給ラインの一方に設置された電磁弁を閉じることにより、ガス供給口80より供給されるNの流量を必要最少量に抑えることができる。これにより、UVランプ77点灯前は、大流量のNで急速に筒体10内の雰囲気の置換を行い、UVランプ77点灯後はNの流量を最小限とすることにより、Nの消費量を節約することができる。
【0030】
そして、UVランプ77の高さ位置を合わせて、レンズ10を回転させながらUVランプ77を照射させてコーティング塗膜を硬化させる。レンズ10を回転させるのは、レンズ10の周縁部の液溜まり領域を減少させ、UV光の均一化を図るためである。なお、UVランプ77の照射時のレンズ10の回転数は、150rpm程度である。
UVランプ77点灯時には、図示しない空気吸引手段によるレンズ支持ヘッド15の吸引力を必要最小限に低下させる。これにより、UV照射時に加熱され変形しやすくなったレンズ10が吸引力により変形するのを抑制することができる。
UVランプ77とレンズ10との間に設置された窓78aは、UV光を筒体78内へ透過させるのと同時に、300nm付近以下の波長の光をカットするためのフィルターの役割も果たしている。
300nm付近以下の波長をカットする理由は、フォトクロミックコーティング液の種類によっては、コーティング塗膜に皺が生じ、均一な膜が得られないからである。また、材質をホウケイ酸ガラスとしたのは、耐熱性があり、UVランプの熱で割れないからである。
【0031】
図4のBに示すように、レンズ10の中心が薄いものについては、シリコンパッド98を配設したが、これはUVランプからの照射熱を、レンズ10からシリコンパッド98へ逃がしてレンズ10の温度上昇を抑えることにより、レンズ10が熱変形するのを抑制するとともに、重合時レンズからの熱伝導で支持具のO−リング15aが加熱されると、次に処理するレンズ10がO−リング15aにより加熱され、スピンコーティング時に、均一なコーティング被膜を得ることができないからである。これを防ぐ手段として、レンズ支持ヘッド15のO−リング部を容易に着脱可能な構造として、レンズを処理する毎にO-リング部を交換する方法、レンズ支持ヘッド15に冷却手段を設け、O−リング部の加熱を抑制する方法等を採用することができる。
フォトクロミックコーティングが終了した後、フォトクロミックコーティング層の付着状態を検査し、不良状態のものを排除し、良品についてアニール処理が行われる。この処理は、110℃で1時間の熱処理がされる。
こうして、レンズ10にフォトクロミックコーティング層が形成され、濃淡のない均一なコーティング液によってコーティング処理ができ、高品質のフォトクロミックレンズの製造が可能となる。
【0032】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的思想に基づいて、勿論、本発明は種々の変形又は変更が可能である。
例えば、各センサーユニット43,44について、センサー43a及びミラー43bを結ぶ線に対して他方のセンサー44a及びミラー44bを結ぶ線を、同じ水平高さに配置したが、高さ位置については一方のセンサーの高低差を変えてもよい。この場合は、センサーの高低差を踏まえて、レンズ10のコバ位置を求めるようにする。
また、本発明の実施の形態では、フォトクロミックコーティングを例としたが、他のコーティング技術にも適用が可能である。
センサーユニット43,44については、2組のセンサーを用いたが1つのセンサーでセンサー位置を変化させて、レンズの中央部と他点の高さ位置を検出して行うことも可能である。但し、時間がかかる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態で説明したフォトクロミックコーティング装置の平面図である。
【図2】図1のフォトクロミックコーティング装置の正面図である。
【図3】図1のフォトクロミックコーティング装置におけるレンズ支持装置の縦(上下方向、以下同じ)断面図である。
【図4】Aは、図3のレンズ支持装置が、センター部の厚いレンズを支持している状態の断面図、図Bは同レンズ支持装置がセンター部の薄いレンズを支持している状態の断面図である。
【図5】図3のレンズ支持装置の中心にレンズの中心を合わせている状態の断面図である。
【図6】図1のフォトクロミックコーティング装置におけるコーティングユニット支持装置の正面図である。
【図7】図6のコーティングユニット支持装置の側面図である。
【図8】図6のフォトクロミックコーティング装置が支持するコーティングユニットの縦断面図である。
【図9】図8のコーティングユニットの排出口近傍に取付けている液垂れ防止弁の概略縦断面図である。
【図10】図1のフォトクロミックコーティング装置におけるレンズ高さ計測センサーの平面図である。
【図11】図10のレンズ高さ計測センサーの側面図である。
【図12】図1のフォトクロミックコーティング装置における塗膜均一化装置の平面図である。
【図13】図12の塗膜均一化装置の平面図である。
【図14】図1のフォトクロミックコーティング装置におけるUV装置の側面図である。
【図15】図14のUV装置の拡大側面図である。
【図16】図1のフォトクロミックコーティング装置の可動式液受け装置の平面図である。
【図17】図16の可動式液受け装置の側面図である。
【図18】図16の可動式液受け装置に設けられているへら固定用冶具の側面図である。
【図19】レンズのコーティング装置のフロー図である。
【図20】Aは、図10で示すレンズ高さ計測センサーのレーザ光でレンズの高さを測定している状態の断面図、Bはレンズのコバ位置の導き方を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 フォトクロミックコーティング装置
3 レンズ支持装置
4 コーティングユニット支持装置
6 レンズ高さ計測センサー
7 塗膜均一化装置
8 UV装置
9 可動式液受け装置
10 レンズ
15 支持ヘッド
16 センタリング冶具
21 コーティングユニット
38 回転軸
42,43 センサー
43a,44a 発光部
44a,44b 受光部
64 フィルム
77 UVランプ
89 へら固定用冶具
96 把持部
97 バネ
98 シリコンパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズのコーティング面を上方に向けてレンズの軸線を中心にしてレンズを回転可能に支持するレンズ支持装置と、コーティングユニットによってレンズ上面にコーティング液を塗布するコーティングユニット支持装置と、レンズの高さ位置を検知するレンズ高さ計測センサーと、前記レンズ面に塗布したコーティング液を硬化させるUV装置とを備えたコーティング装置において、
上記レンズ面の任意の箇所と該箇所から離れたレンズ面の他の箇所との2点間のレンズ高差をセンサーによって検知することによって、レンズ面の中心からレンズの端縁上部までの高差を求めるようにしたことを特徴とするコーティング装置。
【請求項2】
レンズのコーティング面を上方に向けてレンズの軸線を中心にしてレンズを回転可能に支持するレンズ支持装置と、コーティングユニットによってレンズ上面にコーティング液を塗布するコーティングユニット支持装置と、レンズの高さ位置を検知するレンズ高さ計測センサーと、前記レンズ面に塗布したコーティング液を硬化させるUV装置とを備えたコーティング装置において、
上記レンズ面の任意の箇所と該箇所から離れたレンズ面の他の箇所との2点間のレンズ高差をセンサーによって検知することによって、レンズ面の曲率半径を求めるようにしたことを特徴とするコーティング装置。
【請求項3】
前記レンズ高さ計測センサーが、2組の発光器と受光器とを備え、発光器から受光器へ到達する光をレンズが遮断することによってレンズの高さを求めるようにした請求項1又は2に記載のコーティング装置。
【請求項4】
レンズのコーティング面を上方に向けてレンズの軸線を中心にしてレンズを回転可能に支持するレンズ支持装置と、コーティングユニットによってレンズ上面にコーティング液を塗布するコーティングユニット支持装置と、レンズの高さ位置を検知するレンズ高さ計測センサーと、前記レンズ面に塗布したコーティング液を硬化させるUV装置とを備えたコーティング装置において、
前記レンズのコーティング液の塗布時にレンズ上面のコーティング液をフィルムの端縁部で延展する塗膜均一化装置を備え、前記レンズを回転させながら前記塗膜均一化装置によって前記レンズ上面の中心部からレンズ上面の端縁部を結ぶ直線軌道に沿って、前記フィルムを移動させながらコーティング液を延展させたことを特徴とするコーティング装置。
【請求項5】
レンズのコーティング面を上方に向けてレンズの軸線を中心にしてレンズを回転可能に支持するレンズ支持装置と、コーティングユニットによってレンズ上面にコーティング液を塗布するコーティングユニット支持装置と、レンズの高さ位置を検知するレンズ高さ計測センサーと、前記レンズ面に塗布したコーティング液を硬化させるUV装置とを備えたコーティング装置において、
前記レンズのコーティング液の塗布時に前記レンズ側面上部にへらを当接させて、レンズ上面からレンズ側面に滴下しようとするコーティング液を前記へらで取り除いたことを特徴とするコーティング装置。
【請求項6】
前記レンズに対するへらの当接端の上部を前記レンズの中心側に傾斜させて配置したことを特徴とする請求項5に記載のコーティング装置。
【請求項7】
前記へらを支持するへら把持部を前記レンズの一外周面から中心方向に移動可能に取付け、各種のレンズ径に応じて前記へらの位置を適合させるようにしてなることを特徴とする請求項5又は6に記載のコーティング装置。
【請求項8】
前記コーティング液は、眼鏡レンズの表面に塗布されるフォトクロミックコーティング液であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のコーティング装置。
【請求項9】
前記レンズ支持装置によって前記レンズを回転させながら前記UV装置によってUV光をレンズに照射するようにしたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のコーティング装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2007−127841(P2007−127841A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−320634(P2005−320634)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【出願人】(000003182)株式会社トクヤマ (839)
【Fターム(参考)】