説明

ゴム混合物

本発明は、少なくとも1つのゴム、充填剤、式Iの有機ケイ素化合物、1つの加硫促進剤、および1つの共促進剤を含むゴム混合物に関する。ゴム混合物は、少なくとも1つのゴム、充填剤、一般式Iの有機ケイ素化合物、1つの加硫促進剤、および1つの共促進剤を混合することにより製造される。ゴム混合物は、成形体の製造に使用することができる。本発明は、また、エステル交換による、化学式Iの有機ケイ素化合物の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム混合物、それらの製造、およびそれらの使用に関する。
【0002】
加水分解性の硫黄含有有機ケイ素化合物は、天然および合成のケイ酸塩、炭酸塩、ガラス、および金属酸化物等の、ヒドロキシ基含有充填剤と反応可能であることが知られている。該化合物は、本明細書において、表面修飾および付着促進に使用する。ゴム加工業界では、使用する補強充填剤とポリマーとの結合剤として該化合物を使用する(独国特許出願公開第2141159号、独国特許出願公開第2212239号、独国特許出願公開第19544469A1号、米国特許第3978103号、米国特許第4048206号、欧州特許第784072A1号)。
【0003】
またさらに、ケイ素原子上にビス[3―トリエトキシシリルプロピル]テトラスルフィドまたはビス[3―トリエトキシシリルプロピル]ジスルフィド等の3種のアルキルオキシ置換基を有する、市販のシラン結合剤の使用(独国特許出願公開第2255577号)は、充填剤への結合の間および後に多量のアルコールを放出させることが知られている。トリメトキシ置換およびトリエトキシ置換シランを一般に使用するため、対応するアルコール、メタノールおよびエタノールが、適用時に放出される(例えば、Berkemeier,D.;Hader,W.;Rinker,M.;Heiss,G.,Mixing of silica compounds from the viewpoint of a manufacturer of internal mixers,Gummi,Fasern,Kunststoffe(2001),54(1),17−22の18頁を参照)。
【0004】
またさらに、メトキシ置換シランが、エトキシ置換シランより高い加水分解活性を有することが知られている。エトキシ置換シランは、3つ以上の炭素原子を有する長鎖または分枝状のアルコキシ置換シランより高い加水分解活性を有する(E.R.Pohl,F.D.Osterholtz J.,Adhesion Sci.Technology 6(1) 1992,127−149)。エトキシ置換シランは、従って、より速く充填剤に結合することが可能であり、メトキシ置換シランおよびエトキシ置換シランの使用は、従って、経済的理由からこれまで不可欠であった。
【0005】
既知のアルコキシシラン結合剤、特にビス(トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド結合剤、の使用における考慮すべき欠点は、メタノールおよびエタノール等の揮発性アルコールの化学量論量が、アルコキシシランの充填剤への結合中および後に環境下に放出される点である。
【0006】
ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド結合剤の使用におけるもう一つの欠点は、ゴム混合物の混合温度が、140〜165℃の温度範囲に制限される点である(H.D Luginsland,"A Review on the chemistry and the reinforcement of the silica−silane filler system for rubber applications,Shaker Verlag,Aachen 2002,page 34)。
【0007】
米国特許第6,433,206号、独国特許出願公開第2542534C3号、独国特許出願公開第2405758C3号および独国特許出願公開第2712866A1号は、ポリスルフィド含有シラトランについて開示している。それらは、シリカ充填剤を含むゴム混合物の増強添加剤として使用できる。
【0008】
本発明の目的は、少量の共促進剤で、極めて良好な加硫挙動を示すゴム混合物を提供することである。
【0009】
本発明は、
(a)少なくとも1つのゴム、
(b)充填剤、
(c)一般式I
【化1】

[式中、Rは、同一または異なり、H、あるいは環状、直鎖、分枝状のC1〜C12―アルキルであり、好ましくはC1〜C8―アルキル、特に好ましくはC1―アルキル、カルボキシ基(―COOH)、置換または非置換のアリール基、好ましくはフェニル基あるいは、置換または非置換のアラルキル基であり、
R’は同一または異なり、分枝状または非分枝状、飽和または不飽和、脂肪族、芳香族、脂肪族/芳香族混合の二価のC1〜C30、好ましくはC1〜C20、特に好ましくはC2〜C20、非常に好ましくはC3〜C15、極めて好ましくはC4〜C15の炭化水素基であり、
xは、1〜10の平均鎖長である]の有機ケイ素化合物、
(d)使用するゴムに対して
0.3〜5質量%、好ましくは0.3〜4質量%、特に好ましくは0.3〜3質量%、非常に好ましくは0.5〜2.5質量%であり、チアゾール、スルフェンアミド、チウラム、チオ尿素、チオ炭酸塩およびジチオカルバメートの群より選択される加硫促進剤、
(e)ゴムの使用量に対して、1.5質量%以下、好ましくは1質量%未満、特に好ましくは0.5質量%未満であり、グアニジンおよびアルデヒドアミンの群より選択される共促進剤、
を含むゴム混合物を提供する。
【0010】
一実施形態において、ゴム混合物は、共促進剤を含むことができない。
【0011】
別の実施形態において、ゴム混合物は、0.1〜1質量%の共促進剤を含むことができる。
【0012】
式Iの有機ケイ素化合物の使用可能量は、ゴムの使用量(phr)に対して、0.1〜50質量%、好ましくは0.1〜25質量%、特に好ましくは1〜15質量%、非常に好ましくは3〜10質量%であり得る。
【0013】
R’は、OH2、CH2OH2、CH2CH2CH2、CH2 CH2CH2CH2、CH(CH3)、CH2CH(CH3)、CH(CH3)CH2、C(CH32、CH(C25)、CH2CH2CH(CH3)、CH(CH3)CH2CH2、CH2CH(CH3)CH2、または
【化2】

である。
【0014】
一般式Iの有機ケイ素化合物は、一般式Iの有機ケイ素化合物から成る混合物であり得る。
【0015】
一般式Iの有機ケイ素化合物は、異なるx値を有する一般式Iの有機ケイ素化合物から成る混合物であり得る。
【0016】
本明細書において、指数xは、式中、物質の混合物の平均硫黄鎖長を指し、1.1〜5、好ましくは1.5〜4.5、特に好ましくは3〜4、そしてそれぞれ、1.8〜3、非常に好ましくは3.5〜3.8、そして、それぞれに、1.9〜2.6であり得る。一般式Iの有機ケイ素化合物の混合物におけるS2化合物の割合は、一般式Iの有機ケイ素化合物の使用量に対して、50質量%超、好ましくは60質量%超、特に好ましくは70質量%超、非常に好ましくは80質量%超であり得る。一般式Iの有機ケイ素化合物の混合物におけるS3化合物の割合は、一般式Iの有機ケイ素化合物の使用量に対して、0.5〜60質量%、好ましくは1〜50質量%、特に好ましくは1〜45質量%、非常に好ましくは1〜40質量%であり得る。一般式Iの有機ケイ素化合物の混合物におけるS4化合物の割合は、一般式Iの有機ケイ素化合物の使用量に対して、0.5質量%超、好ましくは5質量%超、特に好ましくは9質量%超、非常に好ましくは15質量%超、極めて好ましくは25質量%超であり得る。
【0017】
式Iの有機ケイ素化合物は、
【化3】

【0018】
【化4】

であり得る。
【0019】
凝縮物、すなわち、オリゴシロキサンおよびポリシロキサンは、水の添加により式Iの有機ケイ素化合物より形成することができる。オリゴシロキサンおよびポリシロキサンは、当業者に既知の手順および添加剤添加法を使用して、水を添加し、一般式Iの対応する有機ケイ素化合物のオリゴマー化またはコオリゴマー化により得ることができる。
【0020】
式Iの有機ケイ素化合物は、また、一般式Iの有機ケイ素化合物と、一般式Iの有機ケイ素化合物のオリゴマーシロキサンまたは高分子シロキサンの混合物との混合物でもあり得る。
【0021】
一般式Iの有機ケイ素化合物の混合物の構造は、核磁気共鳴スペクトル測定法、好ましくは1H―、13C―および29Si―の核磁気共鳴スペクトル測定法により測定することができる。本発明の有機ケイ素化合物の混合物における平均―Sx―鎖長は、好ましくは1時間の核磁気共鳴スペクトル測定法により測定できる。
【0022】
式Iの有機シリコン化合物のモル比(N/S)は、2(2/1)〜0.2(2/10)、好ましくは1.33(2/1.5)〜0.5(2/4)、特に好ましくは1.11(2/1.8)〜0.66(2/3)、非常に好ましくは1.05(2/1.9)〜0.8(2/2.5)の、窒素(N)および硫黄(S)の解析により測定可能な含有量であり得る。
【0023】
平均硫黄含有量は、ASTM 6741―01法Bにより、LECO社製の機器(LECO SC―144DR)を使用した解析により測定できる。
【0024】
平均窒素含有量は、ケルダール法によって、または、Carlo Erba EA 1108等の基本的な分析装置を使用することにより測定できる(物質の燃焼およびN2の測定)。
【0025】
示差走査熱量測定(DSC)により測定可能な本発明の有機シリコン化合物の融解点は、50℃〜200℃、好ましくは70℃〜180℃、特に好ましくは90℃〜170℃、非常に好ましくは110℃〜160℃であり得る。
【0026】
融解点は、融解曲線のピークと定義することができる。
【0027】
示差走査熱量測定により測定可能な有機ケイ素化合物の混合物の融解範囲は、30℃〜220℃、好ましくは50℃〜200℃、特に好ましくは70°〜180℃、非常に好ましくは90℃〜180℃であり得る。
【0028】
融解範囲は、DSC測定の間におけるピーク開始温度からピーク終了温度までの温度範囲と定義することができる。
【0029】
一般式Iの有機ケイ素化合物は、補助成分として、アルキルオキシ基(アルキル−O−)により置換されるケイ素原子を有する化合物の10質量%未満、好ましくは8質量%未満、特に好ましくは5質量%未満、非常に好ましくは3質量%未満を含むことができる。
【0030】
一般式Iの有機ケイ素化合物は、一般式II
【化5】

[式中、RおよびR’は上記定義通りである]の化合物の15質量%未満、好ましくは12質量%未満、特に好ましくは8質量%未満、非常に好ましくは5質量%未満を含むことができる。
【0031】
使用する一般式Iの有機ケイ素化合物は、塩化物イオン(Cl)の10質量%未満、
好ましくは8質量%未満、特に好ましくは5質量%未満、非常に好ましくは3質量%未満を含むことができる。
【0032】
式Iの有機ケイ素化合物を混合過程で添加する形態としては、純粋な形態、あるいは、不活性な有機または無機担体上に吸収させる、あるいは、有機または無機担体で予備反応させる方法のいずれかが可能である。好ましい担体材料は、沈降シリカまたはヒュームドシリカ、ワックス、熱可塑性物質、天然または合成のケイ酸塩、酸化アルミニウム等の天然または合成の酸化物、あるいはカーボンブラックであり得る。式Iの有機ケイ素化合物を混合過程で添加することが可能な別の形態には、使用する充填剤を予備反応させる方法がある。
【0033】
好ましいワックスは、50〜200℃、好ましくは70〜180℃、特に好ましくは90〜150℃、非常に好ましくは100〜120℃の融解点、融解範囲または軟化点範囲を有するワックスであり得る。
使用するワックスは、オレフィンワックスであり得る。
使用するワックスは、飽和および不飽和の炭化水素鎖を含有することができる。
使用するワックスは、ポリマーまたはオリゴマー、好ましくは、SBRエマルジョン、および/またはSBR溶液を含むことができる。
使用するワックスは、長鎖アルカンおよび/または長鎖のカルボキシル酸を含むことができる。
使用するワックスは、エチレン酢酸ビニルおよび/またはポリビニルアルコールを含むことができる。
【0034】
混合過程で式Iの有機ケイ素化合物を添加することが可能な形態は、有機物または有機混合物との物理的混合物である。
【0035】
有機物または有機混合物は、ポリマーまたはオリゴマーを含むことができる。
ポリマーまたはオリゴマーは、エチレン―ビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコール等のヘテロ原子含有ポリマーまたはオリゴマーであり得る。
ポリマーまたはオリゴマーは、飽和または不飽和のエラストマ、好ましくはSBRエマルジョンまたは/およびSBR溶液であり得る。
式Iの有機ケイ素化合物および有機物または有機混合物からなる混合物の融点、融解範囲または軟化点範囲は、50〜200℃、好ましくは70〜180℃、特に好ましくは70〜150℃、非常に好ましくは70〜130℃、極めて好ましくは90〜110℃であり得る。
【0036】
本発明のゴム混合物に使用することが可能な充填剤は以下の通りである:
−フレームブラック等のカーボンブラック、ファーネスブラック、ガスブラックまたはサーマルブラック。カーボンブラックのBET表面積は、20〜200m2/gであり得る。カーボンブラックは、適宜、Si等のヘテロ原子を含有することもできる。
−非晶質シリカは、例として、ケイ酸塩(沈降シリカ)溶液の沈降、あるいはハロゲン化ケイ素(ヒュームドシリカ)の火炎加水分解により製造する。シリカの表面積は、5〜1000m2/g、好ましくは、20〜400m2/g(BET表面積)であり得、一次粒径は、10〜400nmであり得る。シリカは、適宜、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物、亜鉛酸化物および酸化チタン等の、他の金属酸化物との混合酸化物の形態をとることもできる。
−BET表面積が20〜400m2/gであり、一次粒径が10〜400nmであるケイ酸アルミニウム等の合成ケイ酸塩、ケイ酸マグネシウムまたはケイ酸カルシウム等のアルカリ土類金属ケイ酸塩。
−合成または天然の酸化アルミニウム、ならびに合成または天然の水酸化アルミニウム。
−沈降炭酸カルシウム等の合成または天然の炭酸カルシウム。
−カオリンおよび他の天然シリカ等の天然ケイ酸塩。
−ガラス繊維およびガラス繊維生成物(マット、鎖)またはガラスミクロビーズ。
【0037】
ケイ酸塩(沈降シリカ)溶液の沈降により製造した非晶質シリカを、20〜400m2/gのBET表面積で使用することが好ましい場合がある。非晶質シリカの使用可能量は、事例毎に、ゴム100部(phr)に対して、5〜150質量部である。
【0038】
前述の充填剤は、単独でまたは混合物として使用することができる。1つの特に好ましい実施形態において、ゴム混合物は、10〜150質量部の淡色の充填剤を含むことができ、適宜、事例毎に、ゴム100部に対して、0〜100質量部のカーボンブラック、またさらに、1〜20質量部の式Iの有機ケイ素化合物と共に含むことができる。
【0039】
本発明のゴム混合物の製造に適切な材料は、天然ゴムのみならず、合成ゴムでもある。好ましい合成ゴムは、例として、W.Hofmann,Kautschuktechnologie[Rubber technology],Genter Verlag,Stuttgart 1980に記載されている。使用可能な合成ゴムとしては、とりわけ、
−ポリブタジエン(BR);
−ポリイソプレン(IR);
−SBRエマルジョン(E−SBR)またはSBR溶液(S―SBR)等のスチレン−ブタジエンコポリマー(SBR)。スチレン−ブタジエンコポリマーは、1〜60質量%、好ましくは2〜50質量%、特に好ましくは10〜40質量%、非常に好ましくは15〜35質量%のスチレン含有量を有することができる;
−クロロプレン(CR);
−イソブチレン―イソプレンコポリマー(IIR);
−アクリロニトリル含有量が、5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%(NBR)、特に好ましくは10〜45質量%(NBR)、非常に好ましくは19〜45質量%(NBR)であるブタジエンーアクリロニトリルコポリマー;
−部分的に水素化、または完全に水素化されたNBRゴム(HNBR);
−エチレン―プロピレン―ジエンコポリマー(EPDM);
−カルボキシ基等の官能基をも有する前述のゴム、シラノール基、またはエポキシ化NR等のエポキシ基、カルボキシ官能基化NBRまたはシラノール―(―SiOH)、またはシリル―アルコキシ官能基化(―Si―OR)SBR;
あるいはこれらのゴムの混合物を有する。ガラス遷移温度が−50℃を上回るアニオン重合性SSBRゴム(SBR溶液)とジエン系ゴムとこれらの混合物は、自動車タイヤトレッドの製造において特に興味深い。
【0040】
本発明のゴム混合物は、反応促進剤、抗酸化剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン劣化防止剤、加工助剤、可塑剤、粘着付与剤、膨張剤、染料、顔料、ワックス、増量剤、有機酸、凝固遅延剤、金属酸化物等の他のゴム助剤そして更に、トリエタノールアミンまたはヘキサントリオール等の活性化因子を含むことができる。
【0041】
他のゴム助剤は:
50〜50、000g/molのモル質量の、ポリエチレングリコールまたは/およびポリプロピレングリコールまたは/およびポリブチレングリコール好ましくは50〜20000 g/mol、特に好ましくは200〜10000 g/mol、非常に好ましくは400〜6000g/mol、極めて好ましくは500〜3000g/mol、
炭化水素を末端に有するポリエチレングリコール
AIk―O―(CH2―CH2―O)yI―HまたはAIk―(CH2―CH2―O)yI―Alk、
炭化水素を末端に有するポリプロピレングリコール
AIk−O―(CH2―CH(CH3)―O)yI―HまたはAIk−O―(CH2―CH(CH3)―O)yI―Alk、
炭化水素を末端に有するポリブチレングリコール
AIk−O―(CH2―CH2―CH2―CH2―O)yI―H、
AIk−O―(CH2―CH(CH3)―CH2―O)yI―H、
AIk−O―(CH2―CH2―CH2―CH2―O)yI―Alk
または、AIk−O―(CH2―CH(CH3)―CH2―O)yI―Alk、
[式中、yIの平均は、2〜25、好ましくは2〜15、特に好ましくは3〜8および10〜14、非常に好ましくは3〜6および10〜13、そして、AIkは、分枝状または非分枝状、非置換または置換、飽和または不飽和の炭化水素であって、1〜35個、好ましくは4〜25個、特に好ましくは6〜20個、非常に好ましくは10〜20個、極めて好ましくは11〜14個の炭素原子を有し、
ネオペンチルグリコールHO―CH2―C(Me)2―CH2―OH、ペンタエリスリトールC(CH2―OH)4または、ポリエチレングリコールでエーテル化した、ポリプロピレングリコールでエーテル化した、ポリブチレングリコールでエーテル化した、または、その混合物でエーテル化したトリメチロールプロパンCH3―CH2―C(CH2―OH)3であって、式中、エーテル化した多価アルコール内のエチレングリコール、プロピレングリコールまたは/およびブチレングリコールの繰り返し単位の数は、2〜100、好ましくは2〜50、特に好ましくは3〜30、非常に好ましくは3〜15であり得る]。
【0042】
Iの平均を算出するため、ポリアルキレングリコール単位の解析により測定可能な量は、解析により測定可能な―AIkの量で割ることができる。[(ポリアルキレングリコール単位の量)/(―AIkの量)]。例として、1Hおよび13C核磁気共鳴スペクトル測定法を使用して、量を測定することができる。
【0043】
ゴム助剤の使用量は、既知の量であり得、とりわけ使用目的を指向している。使用する加工助剤の機能として、量は、ゴム(phr)に対して0.001〜50質量%、好ましくは0.001〜30質量%、特に好ましくは0.01〜30質量%、非常に好ましくは0.1〜30質量%であり得る。
【0044】
本発明のゴム混合物は、硫黄加硫性のゴム混合物であり得る。
【0045】
本発明のゴム混合物は、過酸化により架橋可能なゴム混合物であり得る。
【0046】
使用する架橋剤は、硫黄または硫黄供与物質であり得る。硫黄の使用量は、ゴムに対して、0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%であり得る。
【0047】
以下の物質が、加硫促進剤として使用できる:2―メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、亜鉛メルカプトベンゾチアゾール、2―(モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、ジイソプロピルベンゾチアジルスルフェンアミド、N―シクロヘキシル―2―ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N―ジシクロヘキシル―2―ベンゾチアジルスルフェンアミド、N―tert―ブチル―2―ベンゾチアジルスルフェンアミド、ベンゾチアジル―2―サルフェノモルフォライド、N―ジシクロヘキシル―2―ベンゾチアジル―スルフェンアミド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、テトライソブチルチウラムジスルフィド、N,N’―ジメチル―N,N’―ジフェニルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラ/ヘキサスルフィド、N,N’―エチル―チオ尿素、N,N’―ジエチルチオ尿素、N,N’―ジフェニルチオ尿素、N’−(3,4―ジクロロフェニル)―N,N’―ジメチルチオ尿素、N,N’―ジブチルチオ尿素、N,N,N’―トリブチルチオ尿素、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジイソブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、エチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛、ジイソノニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸テルリウム、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸ビスマス、ジエチルジチオカルバミン酸カドミウム、ジエチルジチオカルバミン酸セレン、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジイソブチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジベンジルジチオカルバミン酸ニッケル、ジアミルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジブチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジイソブチルジチオカルバミン酸ナトリウムまたは、ジベンジルジチオカルバミン酸ナトリウム。
【0048】
使用する共促進剤は、ジフェニルグアニジン、ジ―o―トリルグアニジン、o―トリルバイグアニジン、N,N’―ジフェニルグアニジン、ヘキサメチレンテトラミン、相同アクロレインと芳香族塩基の凝集物、あるいはアルデヒドとアミンの凝集物を含むことができる。
【0049】
本発明はまた、式Iの有機ケイ素化合物の製造手順を提供するものであり、一般式(III)
【化6】

[式中、R’は上記のとおりであり、アルキルは同一または異なり、一価のC1〜C8炭化水素基であり、好ましくは、メチル、エチルおよびプロピルである]の有機ケイ素化合物は、
一般式IV
N(CHR―CHR―O―H)3 (IV)
[式中、Rは上記のとおりであり、アルキル―OHが除去されており、アルキル―OHは、反応混合物から除去される]の化合物と反応する。
【0050】
有機ケイ素化合物を製造するための本発明の方法は、触媒作用の有無に拘らず、実施することができる。アルキル―OHは、反応混合物から連続的あるいはバッチ式で除去できる。
【0051】
出発原料として使用する式IIIの高含有量のモノマーの化合物(例えば、29SiNMRまたはHPLCにより検出可能)は、有機ケイ素化合物の生成物構造および生成物特性に対する好ましい効果を有し得る。高含有量のモノマーは、Si―O―Si結合を有し、アルキル―OHアルコールを除去して、式IIIのアルコキシシランの加水分解により形成された低含有量のシロキサンに対応する。出発原料の式IIIの化合物のモノマー含有量は、好ましくは50質量%超、特に好ましくは75質量%超、非常に好ましくは85質量%超、極めて好ましくは92.5質量%超であり得る。
【0052】
一般式IIIの有機ケイ素化合物は、純粋化合物または化合物の混合物であり得る。
【0053】
一般式IVの化合物の例は、
トリエタノールアミンN(CH2―CH2―O―H)3
トリイソプロパノールアミンN(CH2―CH(CH3)―O―H)3または[HO―CH(フェニル)CH23Nであり得る。
【0054】
使用する低水分量の式IVの化合物は、有機ケイ素化合物の構造および生成物の特性に対する好ましい効果を有し得る。水分量は、好ましくは5質量%未満、特に好ましくは1.5質量%未満、非常に好ましくは0.75質量%未満、極めて好ましくは0.3質量%未満であり得る。
【0055】
金属非含有あるいは金属含有の触媒は、本発明の方法の触媒として使用することができる。
【0056】
アルカリ金属水酸化物は、本発明の方法の触媒として使用することができる。好ましいアルカリ金属水酸化物は、LiOH、NaOH、KOHおよびCsOHであり得る。
【0057】
アルコキシドは、本発明の方法における触媒として使用できる。好ましいアルコキシドは、アルカリ金属アルコキシドおよびアルミニウムアルコキシドであり得る。好ましいアルカリ金属アルコキシドは、LiOMeおよびLiOEt、NaOMe、NaOEt、NaOC37、KOMe、KOEtおよびKOC37であり得る。
【0058】
第3〜7族、第13〜14族および/またはランタノイド族の化合物は、金属含有触媒として使用できる。
【0059】
遷移金属化合物は、金属含有触媒として使用できる。
【0060】
金属含有触媒は、金属塩化物、金属酸化物、金属酸塩化物、金属硫化物、金属スルホクロライド、金属アルコラート、金属チオレート、金属オキシアルコラート、金属アミド、金属イミド等の金属化合物、または多重結合した配位子を有する遷移金属化合物であり得る。
【0061】
例として、使用できる金属化合物は、ハロゲン化物、アミド、または、第3主族のアルコラート(M3+=B、Al、Ga、In、Tl:M3+(OMe)3、M3+(OEt)3、M3+(OC373、M3+(OC493)、
ハロゲン化物、酸化物、硫化物、イミド、アルコラート、アミド、チオレート、およびランタノイド族の化合物上に多重結合した配位子を有する前述の置換基類の組合せ(希有土類、元素周期律表58〜71の原子番号)、ハロゲン化物、酸化物、硫化物、イミド、アルコラート、アミド、チオレート、および第3遷移族の化合物上に多重結合した配位子を有する前述の置換基類の組合せ(M3+=Sc、Y、La:M3+(OMe)3、M3+(OEt)3、M3+(OC373、M3+(OC493、cpM3+(Cl)2、cpcpM3+(OMe)2、cpM3+(OEt)2、cpM3+(NMe22、式中、cp=シクロペンタジエニル)、
ハロゲン化物、硫化物、アミド、チオレート、または、第4主族のアルコラート(M4+=Si、Ge、Sn、Pb:M4+(OMe)4、M4+(OEt)4、M4+(OC374、M4+(OC494;M2+=Sn、Pb:M2+(OMe)2、M2+(OEt)2、M2+(OC372、M2+(OC492)、錫ジラウレート、二酢酸錫、Sn(OBu)2
ハロゲン化物、酸化物、硫化物、イミド、アルコラート、アミド、チオレート、および第4遷移族の化合物上に多重結合した配位子を有する前述の置換基類の組合せ(M4+=Ti、Zr、Hf:M4+(F)4、M4+(Cl)4、M4+(Br)4、M4+(I)4、M4+(OMe)4、M4+(OEt)4、M4+(OC374、M4+(OC494、cp2 Ti(Cl)2、cp2 Zr(Cl)2、cp2Hf(Cl)2、cp2 Ti(OMe)2、cp2Zr(OMe)2、cp2Hf(OMe)2、cpTi(Cl)3、cpZr(Cl)3、cpHf(Cl)3、cpTi(OMe)3、cpZr(OMe)3、cpHf(OMe)3、M4+(NMe24、M4+(NEt24、M4+(NHC494)、
ハロゲン化物、酸化物、硫化物、イミド、アルコラート、アミド、チオレート、および第5遷移族の化合物上に多重結合した配位子を有する前述の置換基類の組合せ(M5+、M4+またはM3+=V、Nb、Ta:M5+(OMe)5、M5+(OEt)5、M5+(OC375、M5+(OC495、M3+O(OMe)3、M3+O(OEt)3、M3+O(OC373、M3+O(OC493、cpV(OMe)4、cpNb(OMe)3、cpTa(OMe)3、cpV(OMe)2、cpNb(OMe)3、cpTa(OMe)3)、
ハロゲン化物、酸化物、硫化物、イミド、アルコラート、アミド、チオレートおよび第6遷移族の化合物上に多重結合した配位子を有する前述の置換基類の組合せ(M6+、M5+またはM4+=Cr、Mo、W:M6+(OMe)6、M6+(OEt)6、M6+(OC376、M6+(OC496、M6+O(OMe)4、M6+O(OEt)4、M6+O(OC374、M6+O(OC494、M6+2(OMe)2、M6+2(OEt)2、M6+2(OC372、M6+2(OC492、M6+2(OSiMe32)、あるいは、
ハロゲン化物、酸化物、硫化物、イミド、アルコラート、アミド、チオレートおよび第7遷移族の化合物上に多重結合した配位子を有する前述の置換基類の組合せ(M7+、M6+、M5+またはM4+=Mn、Re:M7+O(OMe)5、M7+O(OEt)5、M7+O(OC375、M7+O(OC495、M7+2(OMe)3、M7+2(OEt)3、M7+2(OC373、M7+2(OC493、M7+2(OSiMe33、M7+3(OSiMe3)、M7+3(CH3))。
【0062】
金属化合物および遷移金属化合物は、金属上に遊離型の配位部位を有することができる。
【0063】
使用可能な他の触媒は、金属化合物であり、個々に、加水分解性金属化合物または加水分解性遷移金属化合物への加水により形成される遷移金属化合物であり得る。
【0064】
例として、チタンアルコキシドは、金属含有触媒として使用できる。
【0065】
1つの特定の実施形態において、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル、オルトチタン酸テトラエチル、オルトチタン酸テトラ−n−プロピル、またはオルトチタン酸テトライソプロピル等のチタンアルコキシドが、触媒として使用できる。
【0066】
有機酸は、金属非含有触媒として使用できる。
【0067】
使用可能な有機酸の例には、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、または、p―トルエンスルホン酸、テトラアルキルホスホニウムハロゲン化物、または、トリアルキルアンモニウム化合物R3NH+-がある。
【0068】
有機塩基は、金属非含有触媒として使用できる。
【0069】
使用可能な有機塩基は、アルキルアミン、ジアルキルアミンまたはトリアルキルアミン、アリールアミン等のアミン、DABCO等の置換または非置換のヘテロ環、ジイソプロピルアニリン、ピリジンまたはDMAP(4―ジメチルアミノピリジン)がある。
【0070】
本発明の方法は、大気圧下、または減圧下で実施することができる。
【0071】
本発明の方法は、好ましくは1〜600mbarで、特に好ましくは5〜400mbarで、非常に好ましくは5〜200mbarで実施できる。
【0072】
本発明の方法は、25℃超の温度で実施できる。
【0073】
本発明の方法は、80℃〜200℃、好ましくは100℃〜180℃、特に好ましくは110℃〜160℃の温度範囲で実施できる。
【0074】
反応前または反応中に、反応混合物は、共沸混合物の形成により生成物から水の移送を促進する物質の添加を受け入れることができる。対応する物質は、環状または直鎖の脂肪族、芳香族化合物、芳香族-脂肪族混合化合物、エーテル、アルコールまたは酸であり得る。例として、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ギ酸、酢酸、酢酸エチルまたはジメチルホルムアミドが使用可能である。
【0075】
反応は、連続的あるいはバッチ式に実施できる。
【0076】
式Iの有機ケイ素化合物製造のための本発明の方法では、式IIIの置換基(アルキル―O)に対応するアルコールアルキル―OHが、0〜100℃、好ましくは10〜80℃、特に好ましくは20〜80℃の温度で、溶媒として使用でき、アルカリ金属水酸化物が触媒として使用できる。
【0077】
一般式IIIの使用化合物の質量に対して、10質量%未満、好ましくは5質量%未満、特に好ましくは2質量%未満、極めて好ましくは1質量%未満の量のアルカリ金属水酸化物が、触媒として使用できる。
【0078】
式Iの有機ケイ素化合物を製造するための本発明の方法の実施により、得られた生成物は、使用溶媒からろ過可能な固体を含み、沈降方法の間に生成された母液を、新たな反応での使用を許容し、式Iの化合物を得るために、再利用することができる。これにより総収量を増加させ、消費量を低下することができる。
【0079】
式Iの有機ケイ素化合物を製造するための本発明の方法では、エステル交換反応方法の間に放出されるアルコールアルキル―OHの除去は、反応終了後にのみ、得られた生成物からのろ過および/または蒸留により、実施することができる。蒸留方法は、好ましくは真空下において、好ましくは80℃超、特に好ましくは100℃超、非常に好ましくは120℃超の高温で実施できる。
【0080】
一般式Iの有機ケイ素化合物のための本発明の方法では、RはHであり、R’は(―CH2―CH2―CH2−)であり、xは1.5〜2.8であり、アルキル―OHは、溶媒として使用できる。
【0081】
本発明の方法では、反応混合物の反応の前、反応中または後に、添加物を添加することが可能である。添加物は、好ましくは、反応の前に添加できる。添加物は、熱または平均鎖長−Sx−のフリーラジカル経路により誘導される変化を減少させることができる。
【0082】
添加物はフリーラジカル捕捉剤であり、当業者に既知の安定剤である。
【0083】
添加物は、単官能性またはオリゴ官能性の二次芳香族アミン、単官能性またはオリゴ官能性の置換フェノール、または複素環のメルカプト官能性化合物であり得る。
【0084】
添加物は、IPPD(N―イソプロピル―N’―フェニル―p―フェニレンジアミン)、6PPD(N−(1,3―ジメチルブチル)―N’―フェニル―p―フェニレンジアミン)、77PD(N,N’―di(1,4―ジメチルペンチル)―p―フェニレンジアミン)、DTPD(ジアリール―p―フェニレンジアミンの混合物)、N,N―ジフェニル―p―フェニレンジアミン、TMQ(2,2,4―トリメチル―1,2―ジヒドロキノリン)、アルキル化フェノールとアラルキル化フェノールの混合物、SPH(スチレン化フェノール)、BPH(2,2’―メチレンビス(4―メチル―6―tert―ブチルフェノール))、立体障害フェノール、BHT(2,6―ジ―tert―ブチル―4―メチルフェノール、MBI(2―メルカプトベンズイミダゾール)、MMBI(4―および5―メチルメルカプトベンズ―イミダゾール)あるいは、ZMMBI(4―または5―メチル―メルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩)であり得る。
【0085】
本発明の方法において、反応の後あるいは方法の最終的なステップとして、生成物の臭気を改善する化合物を添加することが可能である。添加する物質により、硫黄含有化合物との化学的あるいは物理的な相互作用が可能になる。添加する化合物は、無機硫黄化合物または有機硫黄化合物との反応が可能なエポキシ化合物または他の物質であり得る。
【0086】
プロセスの生成物は、そのまま、あるいは分離の後に使用し、個別の化合物あるいは分離された画分を得ることができる。
【0087】
式Iの有機ケイ素化合物は、無機材料(例えばガラスビーズ、粉砕ガラス、ガラス表面、ガラス繊維、金属、酸化物充填剤、シリカ)と有機ポリマー(例えば熱硬化性樹脂、熱可塑性物質、エラストマ)間の結合剤として、または、酸化物表面に対する架橋剤および表面改質剤として使用できる。式Iの有機ケイ素化合物は、タイヤトレッド等の充填ゴム混合物で、結合試薬として使用できる。
【0088】
式Iの有機ケイ素化合物は、固体、粉末またはペレットとして、種々の粒径で製造および使用できる。使用する前に、それらは粉砕、篩過、圧縮、またはペレット化することができ、あるいは、ある特定の篩分級物だけが、篩分離後に使用できる。ある特定の篩分級物の使用が、加工またはゴム特性に対して有利であり得る。
【0089】
本発明は、ゴム混合物を製造するための方法を提供するものであり、
(a)少なくとも1つのゴム、
(b)充填剤、
(c)一般式Iの有機ケイ素化合物、
(d)使用するゴムに対して、0〜5質量%、好ましくは0〜4質量%、特に好ましくは0〜3質量%、非常に好ましくは0.5〜2.5質量%のチアゾール、スルフェンアミド、チウラム、チオ尿素、チオ炭酸塩およびジチオカルバメートの群より選択される加硫促進剤、および
(e)使用するゴムに対して、1.5質量%以下、好ましくは1質量%未満、特に好ましくは0.5質量%未満のグアニジンとアルデヒドアミンの群より選択される共促進剤を混合することを特徴としている。
【0090】
混合プロセスにおいて、式Iの有機ケイ素化合物の添加、そしてまた充填剤と添加物の添加は、組成物の温度が、90〜230℃、好ましくは110〜210℃、特に好ましくは120〜190℃である時に実施することができる。式Iの有機ケイ素化合物は、他のゴム助剤と共に添加することができる。
【0091】
ゴムと充填剤の混合、適宜、ゴム助剤や本発明の有機ケイ素化合物との混合を、既知の混合アセンブリ、例えば、密閉式混合機または混合押出機等のロール上で実施することができる。
【0092】
本発明のゴム混合物は、適宜、10〜200barの圧力下で、90〜230℃、好ましくは110〜210℃、特に好ましくは120〜190℃の温度で、加硫できる。
【0093】
本発明のゴム混合物は、例えば、空気タイヤ等のタイヤ、タイヤトレッド、ケーブルシース、ホース、運転ベルト、コンベヤベルト、ロールカバー、靴底、封止リングおよび減衰要素の製造等、成形体の製造に使用できる。
【0094】
本発明のゴム混合物は、よく知られているビス(トリアルコキシルアルキル)ポリスルフィド結合剤との混合物の場合よりも、顕著に高い温度で製造でき、同時に加工特性や物理データを向上させることができる。
【0095】
本発明のゴム混合物は、混合物の共促進剤の量が顕著に減少するにもかかわらず、加工リスクは十分に抑えられ加硫率がとりわけ高められた、非常に良好な加硫挙動が得られるという、特別な利点を有する。
【0096】
本発明ゴム混合物の別の利点は、高揮発性アルコール、通常、メタノールまたはエタノールは、結果として得られる一般式Iの有機ケイ素化合物からは放出されない点である。充填剤とポリマーとの結合は、それらの悪影響を受けない。取り込まれた有機ケイ素化合物と酸化物充填剤との結合は、経済的に許容可能な期間以内に実施する。
【0097】
トリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミン等の、加水分解により切断可能な非揮発性シリコン置換基を、充分な量で加水分解し、少なくともある程度、基本的なシラン構造から除去すると、結果的に、混合プロセスにおいて有機ケイ素化合物と充填剤が充分に結合する。
結果として、本発明ゴム加硫物を高度に増強する。
【0098】
トリエタノールアミンおよびトリイソプロパノールアミンの沸点は、大気圧下では240℃超であり、よって、揮発性有機化合物(VOC)ではない。
【0099】
実施例:
以下の原料を実施例に使用する:
トリエタノールアミン:
使用するトリエタノールアミンはBASF AGより入手し、水分量は0.28mg/kgである。
【0100】
ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド:
Degussa Ag社製Si 261
実験に使用するビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドSi 261は、NMR分析によると、8.1質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)モノスルフィド、73.9質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、14.7質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、および、1.8質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドを含有する。ポリスルフィド混合物の測定による平均鎖長は、2.09である(S1〜S5の平均値を取る)。使用するビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドは、0.9質量%の3―クロロプロピル(トリエトキシシラン)を含む。モノマー含有量は、88質量%である。
【0101】
Degussa Ag社製Si 262
実験に使用するビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドSi 262は、
NMR分析によると、0.3質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)モノスルフィド、56.8質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、27.7質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、および9.9質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドを含有する。ポリスルフィド混合物の測定による平均鎖長は、2.62である(S1〜S10の平均値を取る)。使用するビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドは、0.2質量%の3―クロロプロピル(トリエトキシシラン)を含む。モノマー含有量は、95質量%である。
【0102】
Degussa Ag社製Si 266/2
実験に使用するビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドSi 266/2は、NMR分析によると、6.8質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)モノスルフィド、91.3質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、および0.6質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィドを含有する。ポリスルフィド混合物の測定による平均鎖長は、1.93である(S1〜S10の平均値を取る)。使用するビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドは、0.9質量%の3―クロロプロピル(トリエトキシシラン)を含む。モノマー含有量は、96質量%である。
【0103】
Degussa Ag社製Si 266
実験に使用するビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドSi 266は、NMR分析によると、2.2質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)モノスルフィド、80.9質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、13.1質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、2.0質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドおよび1.2質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)ペンタスルフィドを含有する。ポリスルフィド混合物の測定による平均鎖長は、2.2である(S1〜S10の平均値を取る)。使用するビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドは、0.5質量%の3―クロロプロピル(トリエトキシシラン)を含む。モノマー含有量は、29SiNMRによる測定では、87.6質量%である。
【0104】
Degussa Ag社製Si 69
実験に使用するビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドSi 69は、1H NMR分析によると、18.2質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、26.9質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、および、24.2質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドを含有する。ポリスルフィド混合物の測定による平均鎖長は、3.72である(S1〜S10の平均値を取る)。使用するビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドは、1.9質量%の3―クロロプロピル(トリエトキシシラン)を含む。モノマー含有量は、93質量%である。
【0105】
Rizhao Lanxing社製Si 69
実験に使用するRizhao Lanxing社製ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドSi 69は、1HNMR分析によると、16.9質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、23.8質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、24.5質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドおよび34.7質量%のビス(トリエトキシシリルプロピル)ペンタスルフィドまたは長鎖ポリスルフィドシランを含有する。ポリスルフィド混合物の測定での平均鎖長は、3.7である(S1〜S10の平均値を取る)。使用するビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドは、0.5質量%の3―クロロプロピル(トリエトキシシラン)を含む。モノマー含有量は、87.1質量%である。
【0106】
実施例1:
400gのDegussa Ag社製ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドSi 69を、蒸留装置において、室温で、224.2gのトリエタノールアミン、2gの2,6―ジ―tert―ブチル―4―メチルフェノール(イオノールCP)、および0.6gのチタンテトラブトキシドと混合する。加熱に使用する油浴は、100℃に加熱し、生成したエタノールを、200mbarで留去する。約150mlのエタノールを留去した後、油浴の温度を160℃まで上昇させ、圧力を100mbarまで低下させる。蒸留でエタノールがそれ以上得られなくなった時点で、混合物を160℃にて50mbarで、更に120分間加熱する。2gの3―グリシジルオキシプロピル(トリエトキシシラン)(Degussa Ag社製Dynasylan GLYEO)を、その後添加し、混合物を真空下にて160℃で更に30分間攪拌する。黒色の生成物を、コーティングした型にアルゴン下で注入し凝固させる。得られた生成物は、403.5gの黒色固体である。
【0107】
1HNMR分析によると、生成物は、29.8質量%のビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィド、34.1質量%のビス(シラトラニルプロピル)トリスルフィド、および、35.2質量%のビス(シラトラニルプロピル)テトラスルフィドを含む。ポリスルフィド混合物の測定での平均鎖長は、3.0である(S1〜S10の平均値を取る)。
【0108】
実施例1から得た材料の塩化物総含有量は、0.2質量%未満である。
【0109】
実施例2:
400gのビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドSi 261を、蒸留装置において、室温で、247.7gのトリエタノールアミンおよび1gのチタンテトラブトキシドと混合する。加熱に使用する油浴を、150℃に加熱し、生成したエタノールを、200〜600mbarで留去する。内部温度を、180分間以内に、135℃から148℃に上昇させる。蒸留プロセスの終了後、褐色がかった生成物をコーティングした型にアルゴン下で注入し、凝固させる。得られた生成物は、420.1gの暗褐色固体である。
【0110】
29SiNMR分析によると、生成物は、8.7質量%のビス(シラトラニルプロピル)モノスルフィド、77.2質量%のビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィド、12.6質量%のビス(シラトラニルプロピル)トリスルフィド、および、1.5質量%のビス(シラトラニルプロピル)テトラスルフィドを含む。ポリスルフィド混合物の測定での平均鎖長は、2.1である(S1〜S10の平均値を取る)。
【0111】
実施例3:
400gのビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドSi 262を、蒸留装置において、247.7gのトリエタノールアミンおよび0.7gのチタンテトラブトキシドと室温で混合する。加熱に使用する油浴を160℃に加熱し、生成したエタノールを50〜400mbarで留去する。内部温度を、90分間以内に159℃に上昇させる。蒸留プロセスが終了した後、黒色の生成物をコーティングした型にアルゴン下で注入し、凝固させる。得られた生成物は、413.7gの脆い黒色固体である。
【0112】
29SiNMR分析によると、生成物は、70.2質量%のビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィド、22.0質量%のビス(シラトラニルプロピル)トリスルフィド、および3.1質量%のビス(シラトラニルプロピル)テトラスルフィドを含む。ポリスルフィド混合物の測定での平均鎖長は、2.3である(S1〜S10の平均値を取る)。
【0113】
実施例4:
−Sx−の平均鎖長が2.2であるビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドSi 266 400.2gを、蒸留装置において、250.7gのトリエタノールアミンおよび1.3gのチタンテトラブトキシドと室温で混合する。加熱に使用する油浴を、130℃に加熱し、生成したエタノールを、20〜400mbarで留去する。エタノールが蒸留しなくなった時点で、生成物をコーティングした型にアルゴン下で注入し、凝固する。得られた生成物は、423gの脆い濃黄色固体である。
【0114】
1HNMR分析によると、生成物は、2.5質量%のビス(シラトラニルプロピル)モノスルフィド、77質量%のビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィド、17.5質量%のビス(シラトラニルプロピル)トリスルフィド、および、2質量%のビス(シラトラニルプロピル)テトラスルフィドを含む。ポリスルフィド混合物の測定での平均鎖長は、2.2である(S1〜S10の平均値を取る)。
【0115】
実施例5:
−Sx−の平均鎖長が3.7であるRizhao Lanxing社製ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドSi 69 500gを、蒸留装置において、280.3gのトリエタノールアミンおよび1gのチタンテトラブトキシドと室温で混合する。加熱に使用する油浴を、130℃に加熱し、生成したエタノールを、20〜400mbarで留去する。蒸留プロセスでエタノールがそれ以上得られなくなった時点で、混合物を、130℃にて20mbarで更に60分間加熱する。黒色の生成物をコーティングした型にアルゴン下で注入し、凝固する。得られた生成物は、521gの黒色固体である。
【0116】
1HNMR分析によると、生成物は、15.7質量%のビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィド、29.7質量%のビス(シラトラニルプロピル)トリスルフィド、32.7質量%のビス(シラトラニルプロピル)テトラスルフィド、および>―S4―の硫黄鎖を有する21.9質量%のビス(シラトラニルプロピル)ポリスルフィドを含む。ポリスルフィド混合物の測定での平均鎖長は、3.6である(S1〜S10の平均値を取る)。
【0117】
実施例6:
400gのビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドSi 266/2を、蒸留装置において、251.2gのトリエタノールアミンおよび1.6gのチタンテトラブトキシドと室温で混合する。加熱に使用する油浴を、160℃に加熱し、生成したエタノールを、40〜600mbarで留去する。内部温度は、圧力作用の適用に応じて、118℃〜154℃に上昇する。120℃超で210分間の反応の後および、蒸留プロセスが終了した時点で、褐色がかった生成物をコーティングした型にアルゴン下で注入し、凝固する。得られた生成物は、422.2g脆い褐色がかった固体である。
【0118】
1HNMR分析によると、生成物は、4.6質量%のビス(シラトラニルプロピル)モノスルフィド、93.8質量%のビス(シラトラニルプロピル)ジスルフィドおよび1.5質量%のビス(シラトラニルプロピル)トリスルフィドを含む。ポリスルフィド混合物の測定での平均鎖長は、1.97である(S1〜S10の平均値を取る)。
【0119】
実施例6から得た材料のDSC(示差走査熱量測定)は、151〜154℃の融点を示す
(融解曲線のピーク)。
【0120】
実施例6から得た材料の塩化物総含有量は、0.1質量%未満である。
【0121】
実施例7:ゴム混合物
ゴム混合物に使用する混合仕様を、下記第1表に記載する。単位phrは、本明細書では、使用する天然ゴムの100部に対する質量部である。シランは、等モル量で添加する、すなわち、等モル量を使用する。ゴム混合物製造の一般方法およびそれらの加硫物は:"Rubber Technology Handbook",W.Hofmann,Hanser Verlag 1994に記載されている。
【0122】
【表1】

【0123】
重合体VSL 5025―1は、スチレン含有量が25質量%で、ブタジエン含有量が75質量%であり、Bayer AG社製の溶液重合されたSBRコポリマーである。該コポリマーは37.5phrの油を含み、そのムーニー粘度(ML1+4/100℃)は50である。
【0124】
重合体BunaCb24は、シス1,4含有量が少なくとも96%であり、ムーニー粘度は44±5を有する、Bayer AG社製のシス―1,4―ポリブタジエン(ネオジム型)である。
【0125】
Ultrasil 7000 GRは、Degussa Ag社製の容易に分散可能なシリカであり、そのBET表面積は170m2/gである。使用する芳香油は、Chemetall社製のNaftolen ZDを含み、Vulkanox 4020はBayer AG社製のPPDであり、Protektor G3108は、Paramelt B.V.Vulkacit D(DPG)社製のオゾン劣化防止ワックスであり、Vulkacit CZ(CBS)は、Bayer AGの市販製品である。Perkacit TBzTD(テトラベンジルチウラムテトラスルフィド)は、Flexsys N.V.の製品である。
【0126】
ゴム混合物は、第2表の混合仕様に従って密閉式混合機で製造する。
【0127】
【表2】

【0128】
【表3】

【0129】
第3表には、ゴム試験のための方法を順番に記載している。
【0130】
【表4】

【0131】
第4表は、加硫物試験の結果を示す。
【0132】
【表5】

【0133】
促進剤の併用使用、例えば、一次促進剤+共促進剤は、スルフェンアミド(CBS)およびグアニジン(DPG)の本実施例と同様、ゴム生産技術分野において普及している。理由は、第1に、架橋度および加硫率に関連する相乗効果にあり(Bayer AG,Handbuch fuer die Gummiindustrie [Handbook for the rubber industry],2nd eddition,1991,page384)、第2に、共促進剤としてグアニジンを使用するゴム混合物の優れた機械的性質である(Werner Hofmann,Vulcanization and Vulcanizing Agents,1967,page181)。
【0134】
ゴム混合物に特徴的な理想的な加硫は、矩形曲線である(Bayer AG,Handbuch fuer die Gummiindustrie,2nd eddition,1991,360−361)。これは、第1に、定温放置時間を最大化して、ゴム混合物が準備した型内に適切に流れ込むようにすることを意味する。この定温放置時間は、t10%時間を通じて特徴付けることができる。第2に、反応時間を最小化して、サイクル時間を確実に短縮化することを意図している。この反応時間は、t80%〜t20%時間を通して特徴付けることができる。要するに、t10%を最大化し、t80%〜t20%を最小化することを意図している。
【0135】
図1は、混合物1、2、3および7の、加硫計曲線を表す。
【0136】
混合物1と2を比較すると、少量のDPG(混合物2)を標準的なシランと使用する場合、得られる加硫計曲線が不十分なものとなることは、明らかである。30分後、最大トルクは達成されず、加硫はそのため、完了しなかった。これと比較して、混合物1は僅か15分後に必要なプラトーを達成した。数表4は、混合物2が高値t90%tから低値t80%〜t20%値を通して加硫が不十分である特性を示している。これと比較して、混合物7のシランと少量のGPGとの場合、確認される加硫挙動は、参照混合物1の場合と等しい。t10%、t90%およびt80%〜t20%値に対する数表中の関連データは、ほぼ同一であり、2本の加硫計曲線は、また相互に近接している。混合物8は、GPGが一切ない場合は、同様に、ほぼ同一の値を示す。一般式Iのシランを本発明ゴム混合物に使用する場合、従来技術とは対照的に、共促進剤の量を、加硫の特性を良好なものに維持しつつ、顕著に減少させて、実際に除去することができる。
【0137】
実施例8:ゴム混合物
ゴム混合物は、実施例2および5の化合物で製造する。過去の実施例と同様に、添加は等モルである。第5表は、混合仕様について記述している。混合物は、第2表に記述のとおりに製造し、第3表に記載のとおりにテストする。
【0138】
【表6】

【0139】
第6表および図2は、加硫化の結果を表す。
【0140】
【表7】

【0141】
過去の加硫物の実施例から類推して、第6表では、化合物の等価の混合物について研究しているが、平均硫黄鎖長は顕著に長い。
【0142】
第6表もまた、グラフおよび数表は、同じ所見を示している。このことは、シラトランがもたらす利点が、ポリスルフィド鎖の硫黄鎖長とは無関係であることを意味している。
【0143】
実施例9:混練機からの混合物の吐出温度の変動
ゴム混合物に使用する混合仕様を、下記第7表に記述している。使用するシランには、実施例6の混合物(混合物17〜22)と、Si 266/2ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドが含まれ、後者はその製造(混合物23〜26)に使用する。
【0144】
【表8】

【0145】
混合物は、第2表の混合仕様に従って製造される。しかし、以下第8表に列挙する異なる混合条件は、異なる混合温度を生じさせるため、混合物17〜22に使用する。加硫物のパラメータは、第3表に列挙する試験に沿って研究する。
【0146】
【表9】

【0147】
第9表に結果を示す。
【0148】
【表10】

【0149】
第9表の結果から明らかなように、粗混合物のプロセスは、混合温度が上昇するほど改善される。これは、低い混合温度(140℃〜150℃)での混合物と比較して、高い混合温度(160℃〜190℃)で混合物のムーニースコーチが改善されることから明らかである。早期加硫挙動(t10%)も、混合温度の上昇に伴い継続的に改善される。
【0150】
驚くべきことに、Si266/2はこの場合とは正反対の挙動を示す(第10表)。混合温度が最も高い混合物では、ムーニースコーチは最も低値でt10%である。
【0151】
【表11】

【0152】
一般式Iの有機ケイ素化合物による混合物の場合、加硫物データの一部が、混合温度の上昇に伴い改善されることは、第9表からも明らかである。これらの間には、静的係数、増強因子および0℃での動的係数E*がある。
【0153】
実施例10:
350gのSi266ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドを、蒸留装置において、室温で、280gのトリイソプロパノールアミン(オールドリッチ)および2gのNaOHと混合する。生成したエタノールを、95〜105℃にて40〜600mbarで留去する。350分間の反応の後および蒸留の終了時、粘性の油性生成物を、不活性ガス下で、冷却PEフラスコに注入する。405gの無色の粘性生成物が分離される。
【0154】
1HNMR分析は、生成物が一般的式[N(CH2―CH(Me)―O−)3Si(CH23]Sx[(CH23Si(−O−CH(Me)−CH23N]のジアステレオマーの混合物を含むことを示す。
【0155】
29SiNMR分析は、生成物が92mol%の[N(CH2―CH(Me)―O−)3Si(CH23]S2[(CH23Si(−O−CH(Me)−CH23N]を含むことを示す。
【0156】
SiNMRは、Si―OEt結合全体の98%超が置換されたことを示す。
【0157】
実施例11:実施例10から得た化合物の加硫物研究
混合仕様は、第11表に示す加硫物の調査に使用した。ゴム混合物製造のための混合仕様を第2表に記述している。第3表は、加硫物試験について列挙している。使用するシランの添加量は、等モル量である。
【0158】
【表12】

【0159】
第12表では、結果を照合している。
【0160】
【表13】

【0161】
第12表の結果を考慮すると、本発明のゴム混合物の利点は、本明細書の実施例7の場合も同様である。ここでもまた、共促進剤の量は、少量、あるいは実際にはゼロであるが、非常に良好な加硫特性が得られている。前述のように、低値t80%〜t20%と併せて高値t10%値でも明らかである。
【0162】
実施例12:加工助剤を追加したゴム混合物
他の実施例では、4phrのエトキシル化アルコール(BASF AG社製LutensolTO5)を、加工助剤として本発明のゴム混合物に添加した。第13表は、混合仕様について記述している。ゴム混合物は、第2表の混合仕様に従って製造する。LutensolT05加工助剤は、ここでは、シランと同時に添加する。混合物は、第3表に記述の試験に基づいて研究されている。第14表は、結果を照合している。
【0163】
【表14】

【0164】
【表15】

【0165】
混合物同士を(27:35、28:36、29:37、および33:38)で比較すると、加工助剤が有意にムーニー粘度を低下させ、それにより粗混合物のプロセスが改善されることが、明らかである。本発明の混合物38の利点は維持される。
【0166】
実施例13:
512gのSi 266ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドを、フラスコおよび還流冷却器付き装置において、不活性ガス下で、室温で、319.2gのトリエタノールアミン(BASF AG社製)、700gのエタノールおよび4gのNaOHと混合した。混合物を、360分間で78℃に加熱する。更に700gのエタノールを、その後50℃で添加し、そして、混合物を室温まで冷却し、16時間攪拌する。
【0167】
沈降した無色の生成物をろ別し、冷エタノールで洗浄し、60〜100℃にて5〜10mbarで乾燥する。502gの生成物が分離される(M=501.6g/mol;理論値の94%)。
【0168】
SiNMRは、Si―OEt結合全体の98%超が置換されたことを示す。1HNMR分析は、生成物が91mol%超の化合物[N(CH2―CH2―O)3 Si(CH23]S2[(CH23Si(−O−CH2−CH23N]を含むことを示す。分離される生成物の融解範囲は、142〜148℃である。
【0169】
実施例14:
256gのSi 266ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドを、フラスコおよび還流冷却器付き装置において、不活性ガス下で、室温で、159.5gのトリエタノールアミン(BASF AG社製)、700gのエタノールおよび3gのNaOHと混合する。混合物を、360分間攪拌する。
【0170】
沈降した無色の生成物をろ別し、300gの冷エタノールで洗浄し、60〜100℃にて5〜10mbarで乾燥する。215gの生成物が分離される(理論値の80.2%)。SiNMRは、Si―OEt結合全体の97%超が置換されたことを示す。29SiNMR分析は、生成物が化合物[N(CH2―CH2―O)3Si(CH23]S2[(CH23Si(−O−CH2−CH23N]の90mol%超を含むことを示す。
【0171】
更なる生成物(51g)が、乾燥により母液および洗浄エタノールから得られる。
【0172】
実施例15:
256gのSi 266ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドを、フラスコおよび還流冷却器付き装置において、不活性ガス下で、室温で、159.5gのトリエタノールアミン(BASF AG社製)、700gのエタノールおよび3gの微粉化NaOHと混合する。混合物を、35℃で240分間攪拌する。混合物を、その後、0〜5℃で60分間攪拌する。沈降した無色の生成物を、ろ別し、70〜105℃にて5〜10mbarで乾燥する。229gの生成物が分離される(理論値の86%)。SiNMRは、Si―OEt結合全体の97%超が置換されたことを示す。29SiNMR分析は、生成物が89mol%超の化合物[N(CH2―CH2―O−)3Si(CH23]S2[(CH23Si(−O−CH2−CH23N]を含むことを示している。
【0173】
更なる生成物(33g)が、乾燥により母液から得られる。
【0174】
実施例16:
256gのSi 266ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドを、フラスコおよび還流冷却器付き装置において、不活性ガス下で、室温で、159.5gのトリエタノールアミン(BASF AG社製)、700gのエタノールおよび6gの粉末NaOHと混合する。混合物を、35℃で120分間攪拌する。
【0175】
無色の沈降生成物を室温でろ別し、エタノールで洗浄し、65〜100℃にて5〜10mbarで乾燥する。204gの生成物が分離される(理論値の77%)。SiNMRは、Si―OEt結合全体の98%超が置換されたことを示す。分離生成物の融解範囲は、142〜147℃である。1HNMR分析法は、生成物が91mol%の化合物[N(CH2―CH2―O−)3Si(CH23]S2[(CH23Si(−O−CH2−CH23N]を含むことを示す。
【0176】
更なる生成物(64g)が、乾燥により母液および洗浄エタノールから得られる。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】図1は、混合物1、2、3および7の、加硫計曲線を表す。
【図2】図2は、加硫化の結果を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム混合物であって、
(a)少なくとも1つのゴム、
(b)充填剤、
(c)一般式I
【化1】

[式中、Rは、同一または異なり、H、あるいは環状、直鎖もしくは分枝状のC1〜C12―アルキル基であり、カルボキシ基(−COOH)、置換または非置換のアリール基、あるいは置換または非置換のアラルキル基であり、R’は同一または異なり、分枝状または非分枝状、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族もしくは脂肪族/芳香族混合の二価のC1〜C30炭化水素基であり、
xは、1〜10の平均鎖長である]の有機ケイ素化合物、
(d)使用するゴムに対して0〜5質量%の、チアゾール、スルフェンアミド、チウラム、チオ尿素、チオ炭酸塩およびジチオカルバメートの群より選択される加硫促進剤、ならびに
(e)使用するゴムに対して1.5質量%以下の量で、グアニジンおよびアルデヒドアミンの群より選択される共促進剤
を含む、ゴム混合物。
【請求項2】
ゴム助剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のゴム混合物。
【請求項3】
前記ゴム助剤が、50〜50000g/molのポリエチレングリコールまたは/およびポリプロピレングリコールまたは/およびポリブチレングリコール、および/または炭化水素を末端に有するポリエチレングリコールAlk−O−(CH2−CH2−O)yI−Hおよび/またはAlk−O−(CH2−CH2−O)yI−Alk、および/または炭化水素を末端に有するポリプロピレングリコールAIk−O(CH2−CH(CH3)−O)yI−Hおよび/またはAlk−O−(CH2−CH(CH3)−O)yI−Alk、および/または炭化水素を末端に有するポリブチレングリコールAlk−O(CH2−CH2−CH2−CH2−O)yI−H、および/またはAlk−O−(CH2−CH(CH3)−CH2−O)yI−H、および/またはAlk−O(CH2−CH2−CH2−CH2−O)yI−Alk、および/またはAlk−O−(CH2−CH(CH3)−CH2−O)yI−Alkであって、
式中、yIの平均は、2〜25であり、そして、AIkは分枝状または非分枝状の、非置換または置換の、飽和または不飽和の1〜35の炭素原子を有する炭化水素、あるいは、ネオペンチルグリコールHO−CH2−C(Me)2−CH2−OH、ペンタエリスリトールC(CH2−OH)4またはトリメチロールプロパンCH3−CH2−C(CH2−OH)3であって、ポリエチレングリコールで、ポリプロピレングリコールで、ポリブチレングリコールで、または、その混合物でエーテル化され、式中、酸化ポリアルキレンの繰り返し単位数が2〜100である、ことを特徴とする請求項2に記載のゴム混合物。
【請求項4】
請求項1記載のゴム混合物の製造方法において、
(a)少なくとも1つのゴム、
(b)充填剤、
(c)一般式Iの有機ケイ素化合物、
(d)使用するゴムに対して0〜5質量%の、チアゾール、スルフェンアミド、チウラム、チオ尿素、チオ炭酸塩およびジチオカルバメートの群より選択される加硫促進剤、および
(e)使用するゴムに対して1.5質量%以下の量である、グアニジンおよびアルデヒドアミンの群より選択される共促進剤
を混合することを特徴とするゴム混合物の製造方法。
【請求項5】
混合を90〜230℃の温度で実施することを特徴とする、請求項4に記載のゴム混合物の製造方法。
【請求項6】
成形体製造のための請求項1に記載のゴム混合物の使用。
【請求項7】
空気タイヤ等のタイヤ、タイヤトレッド、ケーブルシース、ホース、運転ベルト、コンベヤベルト、ロールカバー、靴底、封止リングおよび減衰要素の製造のための請求項1記載のゴム混合物の使用。
【請求項8】
式Iの有機ケイ素化合物の製造方法において、一般式III
【化2】

[式中、R’が上記のとおりであり、アルキルが同じかまたは異なり、一価のC1〜C8炭化水素基である]の有機ケイ素化合物を、
一般式IV
N(CHR−CHR−O−H)3 IV
[式中、Rが、上記のとおりである]の化合物と、アルキル−OHを脱離させて反応させ、そしてアルキル−OHを反応混合物から除去することを特徴とする有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項9】
チタンアルコキシドまたは有機酸を触媒として使用することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項10】
一般式Iの有機ケイ素化合物において、式中、RはHであり、R’は(−CH2−CH2−CH2−)であり、xは1.5〜2.8であり、アルキル−OHを溶媒として使用することを特徴とする、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−524715(P2009−524715A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551746(P2008−551746)
【出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050174
【国際公開番号】WO2007/085521
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】