説明

サスペンション構造

【課題】リーフスプリングまでの地上高を所定高さに確保すると同時にバスを低床化するサスペンション構造を提供する。
【解決手段】リーフスプリング30とフレーム19を接続するシャックル36を、フレーム19の内部に配する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサスペンション構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6はサスペンション構造の一例を示すものであり、図中、1は車両のシャシフレーム、2はシャシフレーム1の下部で車両幅方向へ延在するよう配置されたアクスルである。アクスル2の車両幅方向両側には、左右一対の車輪(図示せず)が装着されている。
【0003】
アクスル2の左右上面には、アクスル2を基準として車両前後方向へ延在するリーフスプリング4を取付けると共に、リーフスプリング4のアクスル2上方部には、シャシフレーム1を支持するエアスプリング(図示せず)を搭載している。
【0004】
シャシフレーム1に取付けられたスプリングブラケット7に設けた水平ピン8には、リーフスプリング4のアイ9が枢支されている。又、シャシフレーム1に取付けられたブラケット10には、水平ピン11を介してシャックル12が枢支され、シャックル12の下端に取付けた水平ピン13には、リーフスプリング4のアイ14が枢支されている。
【0005】
尚、サスペンション構造に関する先行技術として特許文献1等がある。
【特許文献1】特開2005−75017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなサスペンション構造をバスに使用した際には、スプリングブラケット7とシャックル12の高さを必要とするため、リーフスプリング4までの地上高に所定高さを確保すると同時にバスを低床化することができないという問題があった。又、リーフスプリングは強度上、車両前後方向に所定のスパンを必要とするため、低床化するとフレームに干渉するという問題があった。
【0007】
本発明は、上述の実情に鑑み、リーフスプリングまでの地上高を所定高さに確保すると同時に低床化するサスペンション構造を提供することを目的としてなしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、リーフスプリングとフレームを接続するシャックルを、フレームの内部に配したことを特徴とするサスペンション構造、にかかるものである。
【0009】
又、本発明は、フレームの下方に開口面を備え、シャックルをフレームの内部で支持すると共に、リーフスプリングがフレーム内へ延在するようにリーフスプリングをシャックルに接続しても良い。
【0010】
本発明によれば、シャックルをフレームの内部に配するので、シャックルの高さの影響を解消し、リーフスプリングまでの地上高を所定高さに維持すると同時に低床化できる。
【0011】
本発明において、フレームの下方に開口面を備え、シャックルをフレームの内部で支持すると共に、リーフスプリングがフレーム内へ延在するようにリーフスプリングをシャックルに接続すると、リーフスプリングが強度上、所定スパンを必要とする場合であっても、リーフスプリングをフレーム内へ延在するので、リーフスプリングがフレームに干渉することを防止できる。
【発明の効果】
【0012】
以上、本発明のサスペンション構造によれば、リーフスプリングまでの地上高を所定高さに維持すると同時に低床化することができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施する形態の第一例を図1、図2を参照して説明する。
【0014】
本発明の実施の形態の第一例はバス等の車両に適用されるサスペンション構造15であり、サスペンション構造15は、車両の前方に位置して車両前後方向に延在する先端側フレーム16と、先端側フレーム16の後部より上方折返部17を介して下方に延在する板状の段差壁面18と、先端側フレーム16より下方に位置するよう段差壁面18の下端に位置して車両前後方向に延在する床側フレーム19を備えている。
【0015】
床側フレーム19は、段差壁面18の下端折返部20に接続される接続フレーム21と、接続フレーム21にボルト22等を介して接続される底部フレーム23と、底部フレーム23の上面に配置される床面部24とを備えており、床面部24は、接続フレーム21の上面と略平行な床面25を形成し、接続フレーム21は、両側部26及び上面部27で形成されて下方に車両前後方向に沿う開口面28を設けている。
【0016】
一方、先端側フレーム16の下方位置には、車両幅方向へ延在するアクスル29を備え、アクスル29の左右上面には、アクスル29を基準として車両前後方向へ延在するリーフスプリング30を取付け、リーフスプリング30のアクスル29上方部には、先端側フレーム16を支持するエアスプリング31を搭載している。
【0017】
先端側フレーム16に取付けられたスプリングブラケット32には、リーフスプリング30を接続するよう、水平ピン33を介してリーフスプリング30のアイ34を枢支している。又、接続フレーム21には、支持ピン35を介してシャックル36を床側フレーム19の内部に配置し、シャックル36の下端に取付けた水平ピン37には、リーフスプリング30を車両前方から床側フレーム19内へ延在して床側フレーム19に接続するよう、ボス38を介してリーフスプリング30のアイ39を枢支している。
【0018】
以下、本発明の実施の形態の第一例の作用を説明する。
【0019】
車輪等から上下方向の突き上げ荷重が作用した場合には、アクスル29、リーフスプリング30を介してエアスプリング31に荷重がかかり、エアスプリング31により荷重を低減する。又、同時に、リーフスプリング30が上下方向に揺動しても、床側フレーム19の開口面28により、床側フレーム19への干渉を抑制する。
【0020】
このように、本発明を実施する形態例によれば、床側フレーム19を先端側フレーム16よりも下方に配置すると共に、シャックル36を床側フレーム19の内部に配するので、シャックル36の高さの影響を解消し、リーフスプリング30までの地上高L1を所定高さに維持すると同時に低床化できる。又、先端側フレーム16を床側フレーム19よりも上方に配置するので、スプリングブラケット32の高さの影響を解消し、リーフスプリング30までの地上高L2を所定高さに維持すると同時にバス等の車両を低床化できる。
【0021】
床側フレーム19の下方に開口面28を備え、シャックル36を床側フレーム19の内部で支持すると共に、リーフスプリング30が床側フレーム19内へ延在するようにリーフスプリング30をシャックル36に接続すると、リーフスプリング30が強度上、所定スパンL3を必要とする場合であっても、リーフスプリング30を床側フレーム19内へ延在するので、リーフスプリング30が床側フレーム19に干渉することを防止できる。又、開口面28をリーフスプリング30の車両前後方向に沿って形成するので、リーフスプリング30が荷重を低減する動作を制限することなく、好適にリーフスプリング30を配置することができる。
【0022】
又、床側フレーム19は、シャックル36を枢支する支持ピン35を接続フレーム21の両側部26で配置するので、リーフスプリング30を安定的に配置することができる。更に、低床化の構成は、先端側フレーム16と、板状の段差壁面18と、床側フレーム19と、リーフスプリング30とにより構成されるので、構造を単純化して製造コストを低減すると共に軽量化を図ることができる。更に又、床側フレーム19は、接続フレーム21と、底部フレーム23と、床面部24との組み合わせに、シャックル36を介してリーフスプリング30を配するので、構造を単純化して製造コストを低減すると共に軽量化を図ることができる。
【0023】
以下、本発明を実施する形態の第二例を図3〜図5を参照して説明する。
【0024】
本発明の実施の形態の第二例は車両に適用されるサスペンション構造40であり、サスペンション構造40は、車両の前方から後方へ延在して上方に位置する前方部41と、前方部41から下方に傾斜する傾斜部42と、傾斜部42より後方へ延在して下方に位置する後方部43とを備えて車両前後方向に形成されるシャシフレーム44を備えている。
【0025】
又、シャシフレーム44は上面44a、両側面44b、下面44cで周囲を囲むように形成されており、シャシフレーム44の傾斜部42と後方部43には、下面44cを開放するように車両前後方向に沿う開口面45を設けている。ここで、開口面45は、シャシフレーム44の傾斜部42又は後方部43のいずれか一方に設けても良い。
【0026】
一方、シャシフレーム44の下方には、車両幅方向へ延在するアクスル46を備え、アクスル46の左右上面には、アクスル46を基準として車両前後方向へ延在するリーフスプリング47を取付け、リーフスプリング47のアクスル46上方部には、シャシフレーム44の前方部41を支持するエアスプリング48を搭載している。
【0027】
シャシフレーム44の前方部41に取付けられたスプリングブラケット49には、リーフスプリング47を接続するよう、水平ピン50を介してリーフスプリング47のアイ51を枢支している。又、シャシフレーム44の傾斜部42及び/又は後方部43には、支持ピン52を介してシャックル53をシャシフレーム44の内部に配置し、シャックル53の下端に取付けた水平ピン54には、リーフスプリング47を車両前方から延在させるよう、リーフスプリング47のアイ55を枢支している。
【0028】
以下、本発明の実施の形態の第二例の作用を説明する。
【0029】
車輪等から上下方向の突き上げ荷重が作用した場合には、第一例と略同様に、アクスル46、リーフスプリング47を介してエアスプリング48に荷重がかかり、エアスプリング48により荷重を低減する。又、同時に、リーフスプリング47が上下方向に揺動しても、開口面45により、シャシフレーム44への干渉を抑制する。
【0030】
このように、本発明を実施する形態例によれば、シャシフレーム44の後方部43を前方部41よりも下方に配置すると共に、シャックル53をシャシフレーム44の内部に配するので、シャックル53の高さの影響を解消し、リーフスプリング47までの地上高L4を所定高さに維持すると同時に車両を低床化できる。又、シャシフレーム44の前方部41を後方部43よりも上方に配置するので、スプリングブラケット49の高さの影響を解消し、リーフスプリング47までの地上高L5を所定高さに維持すると同時に車両を低床化できる。
【0031】
シャシフレーム44の傾斜部42及び/又は後方部43に開口面45を備え、シャックル53をシャシフレーム44の内部で支持すると共に、リーフスプリング47をシャックル53に接続すると、リーフスプリング47が強度上、所定スパンL6を必要とする場合であっても、好適にリーフスプリング47を配置することができる。
【0032】
又、シャシフレーム44は、シャックル53を枢支する支持ピンを両側面で支持するので、リーフスプリング47を安定的に配置することができる。
【0033】
なお、本発明のサスペンション構造において、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を実施する形態の第一例を示す側面図である。
【図2】図1のII−II方向の矢視図である。
【図3】本発明を実施する形態の第二例を示す側面図である。
【図4】図3のIV−IV方向の矢視図である。
【図5】図3のV−V方向の矢視図である。
【図6】従来のサスペンション構造を示す側面図である。
【符号の説明】
【0035】
19 床側フレーム(フレーム)
28 開口面
30 リーフスプリング
36 シャックル
44 シャシフレーム(フレーム)
47 リーフスプリング
53 シャックル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーフスプリングとフレームを接続するシャックルを、フレームの内部に配したことを特徴とするサスペンション構造。
【請求項2】
フレームの下方に開口面を備え、シャックルをフレームの内部で支持すると共に、リーフスプリングがフレーム内へ延在するようにリーフスプリングをシャックルに接続した請求項1に記載のサスペンション構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−137246(P2007−137246A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333275(P2005−333275)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】