サスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法
【課題】本発明は、反りを抑制したサスペンション用基板を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、ジンバル部と、外部接続基板接続部と、上記ジンバル部および上記外部接続基板接続部を接続する配線部と、上記配線部を構成する配線層の少なくとも一つを覆うカバー層とを有するサスペンション用基板であって、上記配線部において、上記カバー層は、切れ込み部を一または二以上有することを特徴とするサスペンション用基板を提供することにより、上記課題を解決する。
【解決手段】本発明は、ジンバル部と、外部接続基板接続部と、上記ジンバル部および上記外部接続基板接続部を接続する配線部と、上記配線部を構成する配線層の少なくとも一つを覆うカバー層とを有するサスペンション用基板であって、上記配線部において、上記カバー層は、切れ込み部を一または二以上有することを特徴とするサスペンション用基板を提供することにより、上記課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばハードディスクドライブ(HDD)に用いられるサスペンション用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯用途を始めとする各種の小型機器に搭載するHDDへの要求が高まり、これに伴い、情報記録のためのディスクは、小型化および記録の高密度化が求められている。小型化(小径化)したディスク上のトラックに対して、データの読取り・書込みを行うには、ディスク回転を低速化する必要があり、磁気ヘッドに対するディスクの相対速度(周速)が低速となる。このため、サスペンション用基板は、ディスクへの接近を弱い力で行う必要があり、サスペンション用基板の低剛性化を図る必要がある。
【0003】
低剛性化を図る上で、剛性の高い金属基板の部位を減らす検討がなされている。しかしながら、金属基板の部位を減らすと、サスペンション用基板の反りが生じやすくなる。反りの原因としては、金属基板と絶縁層との熱膨張係数の差や、絶縁層とカバー層との吸湿膨張係数の差が考えられ、材料物性の観点から反りを制御する試みがなされてきた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−310946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、絶縁層に用いられる材料と、カバー層に用いられる材料との物性を制御することで、サスペンション用基板の反りを抑制することも有効な手段の一つであるが、反りの抑制だけを目的とすると、絶縁層やカバー層に求められる所定の物性を得ることができない可能性がある。一方、絶縁層やカバー層に求められる所定の物性を優先した場合、サスペンション用基板の反りを充分に抑制できない可能性もある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、材料物性以外の観点から、反りを抑制したサスペンション用基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明においては、ジンバル部と、外部接続基板接続部と、上記ジンバル部および上記外部接続基板接続部を接続する配線部と、上記配線部を構成する配線層の少なくとも一つを覆うカバー層とを有するサスペンション用基板であって、上記配線部において、上記カバー層は、切れ込み部を一または二以上有することを特徴とするサスペンション用基板を提供する。
【0008】
本発明によれば、カバー層が切れ込み部を有することから、反りを抑制したサスペンション用基板とすることができる。本発明においては、切れ込み部により、カバー層の膨張・収縮の変化の一部を吸収することができる。これにより、膨張・収縮による、カバー層全体の変化量の絶対値を下げることができる。その結果、応力を小さくすることができ、サスペンション用基板の反りを抑制することができる。
【0009】
上記発明において、上記サスペンション用基板は、上記ジンバル部および上記外部接続基板接続部の間に位置する折り曲げ加工部を有し、上記配線部は、上記折り曲げ加工部および上記ジンバル部の間に、上記サスペンション用基板の長手方向に沿って上記配線層が存在する長手方向配線領域を有し、上記長手方向配線領域において、上記カバー層は、上記切れ込み部を有することが好ましい。反りの影響が最も表れやすい長手方向配線領域のカバー層に、切れ込み部を設けることで、サスペンション用基板の反りを効果的に抑制できるからである。
【0010】
上記発明において、上記切れ込み部は、上記カバー層の幅方向において、上記カバー層の一方の端部から他方の端部までを貫通する貫通切れ込み部であることが好ましい。サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。
【0011】
上記発明においては、上記貫通切れ込み部の切れ込み方向と、上記カバー層の長さ方向とのなす角度が、30°〜90°の範囲内であることが好ましい。サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。
【0012】
上記発明においては、上記切れ込み部において、上記配線層が露出する露出部を有し、上記露出部に配線めっき層が形成されていることが好ましい。深い切れ込み部を設けることで、サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。また、露出した配線層に配線めっき層を設けることにより、配線層の劣化を抑制することができる。
【0013】
上記発明においては、上記切れ込み部において、上記カバー層よりも厚さの小さい薄肉層が形成されていることが好ましい。配線めっき部を設けることなく、サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。
【0014】
上記発明において、上記配線部は、第一配線層および第二配線層を有し、上記サスペンション用基板は、金属基板と、上記金属基板上に形成された第一絶縁層と、上記第一絶縁層上に形成された上記第一配線層および上記第二配線層と、上記第一配線層および上記第二配線層を覆う上記カバー層とを有することが好ましい。
【0015】
上記発明において、上記切れ込み部は、上記貫通切れ込み部と、上記第一配線層および上記第二配線層の間に形成された配線間切れ込み部とを有し、上記貫通切れ込み部と、上記配線間切れ込み部とが互いに連結していることが好ましい。サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。
【0016】
上記発明において、上記切れ込み部は、上記カバー層の幅方向において、上記カバー層の一方の端部側に形成された第一切れ込み部と、上記カバー層の他方の端部側に形成された第二切れ込み部とを有し、上記第一切れ込み部および上記第二切れ込み部は、上記カバー層の幅方向において、互いに重複しないように配置されていることが好ましい。このように配置することにより、サスペンション用基板の反りを抑制しつつ、異物により第一配線層3aおよび第二配線層3bが短絡することを防止できるからである。
【0017】
上記発明において、上記切れ込み部は、上記第一切れ込み部と、上記第二切れ込み部と、上記第一配線層および上記第二配線層の間に形成された配線間切れ込み部とを有し、上記第一切れ込み部と、上記第二切れ込み部と、上記配線間切れ込み部とが互いに連結していることが好ましい。サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。
【0018】
上記発明において、上記配線部は、第一配線層および第二配線層を有し、上記サスペンション用基板は、金属基板と、上記金属基板上に形成された第一絶縁層と、上記第一絶縁層上に形成された上記第一配線層と、上記第一配線層を覆う第二絶縁層と、上記第二絶縁層上に形成され、上記第一配線層と厚さ方向において重複する上記第二配線層と、上記第二配線層を覆う上記カバー層とを有することが好ましい。
【0019】
上記発明においては、上記第一絶縁層および上記第二絶縁層の間に、一または二以上の下部配線層を有することが好ましい。より高機能なサスペンション用基板とすることができるからである。
【0020】
上記発明においては、上記第一配線層および上記第二配線層を、それぞれ二以上有することが好ましい。より高機能なサスペンション用基板とすることができるからである。
【0021】
また、本発明においては、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンションを提供する。
【0022】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、反りの少ないサスペンションとすることができる。
【0023】
また、本発明においては、上述したサスペンションと、上記サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダと、を有することを特徴とするヘッド付サスペンションを提供する。
【0024】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、反りの少ないヘッド付サスペンションとすることができる。
【0025】
また、本発明においては、上述したヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブを提供する。
【0026】
本発明によれば、上述したヘッド付サスペンションを用いることで、高性能なハードディスクドライブとすることができる。
【0027】
また、本発明においては、ジンバル部と、外部接続基板接続部と、上記ジンバル部および上記外部接続基板接続部を接続する配線部と、上記配線部を構成する配線層の少なくとも一つを覆うカバー層とを有し、上記配線部において、上記カバー層は、切れ込み部を一または二以上有するサスペンション用基板の製造方法であって、上記配線部を有する処理用部材を準備する準備工程と、上記処理用部材の配線部を構成する配線の少なくとも一つ覆うカバー層を形成するカバー層形成工程と、上記カバー層に対して、上記切れ込み部を形成する切れ込み部形成工程と、を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法を提供する。
【0028】
本発明によれば、カバー層に切れ込み部を設けることにより、反りを抑制したサスペンション用基板を得ることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明においては、サスペンション用基板の反りを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明における長手方向配線領域の一例を示す概略平面図である。
【図4】本発明における貫通切れ込み部の一例を示す概略平面図である。
【図5】図4の断面図である。
【図6】本発明における貫通切れ込み部の他の例を示す概略平面図である。
【図7】本発明における切れ込み部の幅の決定方法の一例を示す説明図である。
【図8】本発明における配線めっき層を説明する説明図である。
【図9】本発明における薄肉層を説明する説明図である。
【図10】本発明における切れ込み部を説明する説明図である。
【図11】本発明における切れ込み部を説明する説明図である。
【図12】本発明における切れ込み部を説明する説明図である。
【図13】本発明における切れ込み部を説明する説明図である。
【図14】本発明のサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。
【図15】図14のA−A断面図である。
【図16】本発明における切れ込み部を説明する説明図である。
【図17】本発明におけるカバー層を説明する説明図である。
【図18】本発明におけるカバー層を説明する説明図である。
【図19】本発明における切れ込み部を説明する説明図である。
【図20】本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す説明図である。
【図21】本発明のサスペンション用基板の製造方法の他の例を示す説明図である。
【図22】本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図23】本発明のヘッド付サスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図24】本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明のサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法について詳細に説明する。
【0032】
A.サスペンション用基板
まず、本発明のサスペンション用基板について説明する。本発明のサスペンション用基板は、ジンバル部と、外部接続基板接続部と、上記ジンバル部および上記外部接続基板接続部を接続する配線部と、上記配線部を構成する配線層の少なくとも一つを覆うカバー層とを有するサスペンション用基板であって、上記配線部において、上記カバー層は、切れ込み部を一または二以上有することを特徴とするものである。
【0033】
図1は、本発明のサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。なお、便宜上、図1ではカバー層の記載は省略している。図1に示されるサスペンション用基板20は、一方の先端部分に形成されたジンバル部11と、他方の先端部分に形成され、外部接続基板に接続するための外部接続基板接続部12と、ジンバル部11および外部接続基板接続部12を接続する配線部13と、配線部13を構成する配線層の少なくとも一つを覆うカバー層(図示せず)とを有するものである。また、図1における配線部13は、一方の配線対からなるライト配線と、他方の配線対からなるリード配線とを有している。なお、上記の外部接続基板としては、例えば中継基板や、メインフレキシブル基板等がある。
【0034】
また、図2は、図1のA−A断面図である。図2に示されるサスペンション用基板20は、金属基板1と、金属基板1上に形成された第一絶縁層2aと、第一絶縁層2a上に形成された第一配線層3aおよび第二配線層3bと、第一配線層3aおよび第二配線層3bを覆うカバー層4とを有する。なお、図2におけるサスペンション用基板では、配線部を構成する第一配線層3aおよび第二配線層3bが、カバー層4により覆われている。本発明では、図1に示される配線部13において、カバー層4が切れ込み部を一または二以上有することを大きな特徴とする。
【0035】
また、図1におけるサスペンション用基板20は、ジンバル部11および外部接続基板接続部12の間に位置し、折り曲げ加工を行うための折り曲げ加工部14を有する。なお、本発明における「折り曲げ加工部」とは、サスペンション用基板を外部接続基板と接続するために折り曲げ加工を行う部分であり、サスペンション用基板平面に対して、例えば90°程度の角度で折り曲げる部分である。
【0036】
さらに、図1における配線部13は、折り曲げ加工部14およびジンバル部11の間にサスペンション用基板20の長手方向Xに沿って配線層が存在する長手方向配線領域13Xを有する。本発明では、長手方向配線領域13Xにおいて、カバー層4が、切れ込み部を一または二以上有することが好ましい。また、長手方向配線領域13Xの折り曲げ加工部14側の端部は、図1に示すように、例えば、配線部13を構成する配線層の全てが、サスペンション用基板20の長手方向Xに沿う部分であることが好ましい。一方、長手方向配線領域13Xのジンバル部11の端部は、図1に示すように、例えば、ジンバル部11の直前の部分であることが好ましい。
【0037】
本発明における長手方向配線領域13Xは、通常、折り曲げ加工部14を含まない領域である。ここで、折り曲げ加工部14の折り曲げ性を向上させることを目的として、折り曲げ加工部14のカバー層に切れ込み部を形成することが考えられる。しかしながら、折り曲げ加工部14のカバー層における切れ込み部と、本発明における切れ込み部とは、その機能が全く異なるものであるといえる。すなわち、本発明における切れ込み部は、カバー層の膨張・収縮の影響を最も受けやすい、サスペンション用基板の長手方向の反りを抑制する機能を有することが好ましいのに対して、折り曲げ加工部14のカバー層における切れ込み部には、そのような機能は発揮し得ない。
【0038】
図3は、本発明における長手方向配線領域の一例を示す概略平面図である。なお、図3では、便宜上、長手方向配線領域を模式的にしており、後述する図4、図6、図8〜図13、図16〜図21においても同様である。本発明では、サスペンション用基板の長手方向Xに沿って配線層(第一配線層3aおよび第二配線層3b)が存在する長手方向配線領域13Xにおいて、カバー層4が、切れ込み部15を一または二以上有することが好ましい。
【0039】
このように、本発明によれば、カバー層が切れ込み部を有することから、反りを抑制したサスペンション用基板とすることができる。本発明においては、切れ込み部により、カバー層の膨張・収縮の変化の一部を吸収することができる。これにより、膨張・収縮による、カバー層全体の変化量の絶対値を下げることができる。その結果、応力を小さくすることができ、サスペンション用基板の反りを抑制することができる。さらに、本発明においては、反りの影響が最も表れやすい長手方向配線領域のカバー層に切れ込み部を設けることが好ましく、これにより、サスペンション用基板の反りを効果的に抑制できる。
以下、本発明のサスペンション用基板について、さらに詳細に説明する。
【0040】
1.カバー層
まず、本発明におけるカバー層について説明する。本発明におけるカバー層は、配線部を構成する配線層の少なくとも一つを覆う層である。カバー層の材料としては、例えばポリイミド(PI)等を挙げることができる。また、カバー層の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。さらに、カバー層の厚さは、例えば3μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
【0041】
また、本発明におけるカバー層は、通常、配線部において切れ込み部を一または二以上有し、中でも、長手方向配線領域において上記切れ込み部を有することが好ましい。本発明における長手方向配線領域の長さは、例えば4mm以上であり、6mm以上であることが好ましい。一方、長手方向配線領域の長さは、例えば40mm以下であり、35mm以下であることが好ましい。
【0042】
本発明においては、上記切れ込み部が、カバー層の幅方向において、カバー層の一方の端部から他方の端部までを貫通する貫通切れ込み部であっても良く、カバー層の一方の端部から他方の端部までを貫通しない非貫通切れ込み部であっても良いが、前者であることが好ましい。サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。
【0043】
貫通切れ込み部の一例を図4に示す。図4においては、カバー層4の幅方向yにおいて、カバー層4の一方の端部から他方の端部までを貫通する貫通切れ込み部15xが形成されている。また、図5は図4の概略断面図であり、図5(a)は図4のA−A断面図であり、図5(b)は図4のB−B断面図である。図5(a)に示すように、貫通切れ込み部が形成されていない断面では、第一配線層3aおよび第二配線層3bを覆うように、カバー層4が形成されている。これに対して、図5(b)に示すように、貫通切れ込み部15xが形成されている断面では、第一配線層3aおよび第二配線層3bが露出している。なお、露出した第一配線層3aおよび第二配線層3bには、後述する配線めっき層を形成することが好ましい。また、第一配線層3aおよび第二配線層3bを露出させる代わりに、後述する薄肉層を形成しても良い。
【0044】
貫通切れ込み部の切れ込みは、カバー層の幅方向において、カバー層の一方の端部から他方の端部までを貫通するものであれば特に限定されるものではない。貫通切れ込み部の平面視形状は、直線状であっても良く、曲線状であっても良い。なお、図4に示される貫通切れ込み部15xは、直線状の切れ込み部である。
【0045】
また、図6に示すように、貫通切れ込み部15xの切れ込み方向sと、カバー層の長さ方向tとのなす角度をαとした場合、αは、例えば30°〜90°の範囲内であることが好ましく、45°〜90°の範囲内であることがより好ましい。特に、本発明においては、αが90°であることが好ましい。また、配線部に形成される貫通切れ込み部の数は、特に限定されるものではないが、例えば1個〜10個の範囲内であることが好ましく、2個〜5個の範囲内であることがより好ましい。中でも、本発明においては、長手方向配線領域において、上記の数の貫通切れ込み部が形成されていることが好ましい。
【0046】
本発明における切れ込み部の幅は、特に限定されるものではないが、カバー層が膨張した際に、一方のカバー層の端部と、他方のカバー層の端部とが接触しない程度の幅であることが好ましい。サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。ここで、切れ込み部の幅を決定する方法の一例について、図7を用いて説明する。図7(a)に示すように、長手方向配線領域13xにおけるカバー層4の初期長をL(mm)とする。そのカバー層をn分割した場合、n−1個の切れ込み部15が形成される。また、図7(b)に示すように、各切れ込み部15の幅をxL(xは初期長Lに対する切れ込み部の幅の割合であり、0<x<1を満たす)とした場合、分割されたカバー層4の長さは、{L−(n−1)xL}/nとなる。さらに、吸湿による膨張を考慮し、吸湿膨張係数をh(1/%RH)とし、湿度変化量をy(%)とした場合、膨張により、分割されたカバー層4の長さは、両端部で、[{L−(n−1)xL}/n]*(hy)増加することになる。そのため、図7(c)に示すように、分割されたカバー層4の長さは、一方の端部で、[{L−(n−1)xL}/n]*1/2(hy)増加することになる。従って、[{L−(n−1)xL}/n]*1/2(hy)<1/2xLを満たす場合、すなわち、x>1/{n/hy+(n−1)}を満たす場合、切れ込み部15の端部同士が接触することを防止できる。
【0047】
例えば、初期長L=30(mm)、吸湿膨張係数h=30×10−6(1/%RH)、湿度変化率y=100(%)、分割数n=3とした場合、各切れ込み部15の幅xLは、29.94μmとなり、この値よりも大きな値であれば、切れ込み部15の端部同士が接触することを防止できる。なお、上記の例では、吸湿による膨張を考えたが、吸熱による膨張を考慮する場合は、吸湿膨張係数h(1/%RH)の代わりに線熱膨張係数α(1/℃)を用い、湿度変化量y(%)の代わりに温度変化量T(℃)を用いれば良い。
【0048】
また、切れ込み部の幅は、上述したように、カバー層の材料や、分割数によって異なるものであるが、例えば30μm〜500μmの範囲内、中でも40μm〜250μmの範囲内、特に50μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。切れ込み部の幅が小さすぎると、切れ込み部におけるカバー層の端部同士が接触し、サスペンション用基板の反りを充分に抑制できない可能性があり、切れ込み部の幅が大きすぎると、配線層の劣化が生じやすくなるからである。
【0049】
なお、本発明においては、切れ込み部が、後述する第一切れ込み部および第二切れ込み部の少なくとも一方を有していても良い。この場合、第一切れ込み部および第二切れ込み部は、カバー層の幅方向において、互いに重複しないように配置されていることが好ましい(後述する図11参照)。
【0050】
また、本発明では、切れ込み部において、配線層が露出する露出部を有し、上記露出部に配線めっき層が形成されていることが好ましい。深い切れ込み部を設けることで、サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。また、露出した配線層に配線めっき層を設けることにより、配線層の劣化を抑制することができる。配線めっき層を有する長手方向配線領域の一例としては、例えば図8(a)、(b)に示すように、切れ込み部15で露出した第一配線層3aおよび第二配線層3bの露出部に、配線めっき層5が形成された長手方向配線領域13Xを挙げることができる。なお、図8(b)は図8(a)のA−A断面図である。配線めっき層としては、配線層を保護することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ニッケルめっき層および金めっき層等を挙げることができる。また、配線めっき層は、複数の金属めっき層からなるものであっても良い。配線めっき層の厚さは、例えば0.1μm〜5.0μmの範囲内である。
【0051】
また、本発明では、切れ込み部において、カバー層よりも厚さの小さい薄肉層が形成されていることが好ましい。配線めっき部を設けることなく、サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。薄肉層を有する長手方向配線領域の一例としては、例えば図9(a)、(b)に示すように、切れ込み部15の第一配線層3aおよび第二配線層3bの上面に、薄肉層4aが形成された長手方向配線領域13Xを挙げることができる。なお、図9(b)は図9(a)のA−A断面図である。薄肉層4aは、カバー層4と同一の材料であることが好ましい。また、薄肉層4aは、例えばカバー層4をエッチングすることにより形成することができる。カバー層の厚さを100%とした場合、薄肉層の厚さは、例えば10%〜80%の範囲内であることが好ましく、30%〜60%の範囲内であることがより好ましい。また、配線層上に形成された薄肉層の厚さは、例えば0.4μm〜3.2μmの範囲内であることが好ましく、1.2μm〜2.4μmの範囲内であることがより好ましい。薄肉層の厚さが小さすぎると、ピンホール等によって配線層が露出し、配線層の劣化を引き起こす可能性があり、薄肉層の厚さが大きすぎると、サスペンション用基板の反りを充分に抑制できない可能性がある。
【0052】
2.サスペンション用基板の構成
次に、本発明のサスペンション用基板の構成について説明する。本発明のサスペンション用基板は、上述したカバー層および切れ込み部を有するものであれば特に限定されるものではない。以下、本発明のサスペンション用基板の具体例について、第一実施態様および第二実施態様に分けて説明する。
【0053】
(1)第一実施態様
サスペンション用基板の第一実施態様は、上記配線部が、第一配線層および第二配線層を有し、上記サスペンション用基板が、金属基板と、上記金属基板上に形成された第一絶縁層と、上記第一絶縁層上に形成された上記第一配線層および上記第二配線層と、上記第一配線層および上記第二配線層を覆う上記カバー層とを有するものである。
【0054】
上述した図2は、本発明のサスペンション用基板の第一実施態様の一例を示すものである。第一実施態様の場合、図2に示したように、第一配線層3aおよび第二配線層3bを覆うカバー層4が、上述した切れ込み部を有する。また、第一実施態様においては、第一配線層および第二配線層からなる配線は、通常、ライト配線またはリード配線である。本発明においては、ライト配線またはリード配線の一方で、上記切れ込み部を有するカバー層が形成されていても良く、ライト配線またはリード配線の両方で、上記切れ込み部を有するカバー層がそれぞれ形成されていても良い。
【0055】
第一実施態様においては、切れ込み部が、上述した貫通切れ込み部および非貫通切れ込み部以外のその他の切れ込み部を有していても良い。その他の切れ込み部の一例としては、第一配線層および第二配線層の間に形成された配線間切れ込み部を挙げることができる。さらに、この場合、貫通切れ込み部と配線間切れ込み部とが互いに連結していることが好ましい。サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。具体的には、図10(a)に示すように、貫通切れ込み部15xと、第一配線層3aおよび第二配線層3bの間に形成された配線間切れ込み部15yと、を有するカバー層4を挙げることができる。なお、図10(b)は図10(a)のA−A断面図であり、第一配線層3aおよび第二配線層3bの間に、配線間切れ込み部15yを有する。
【0056】
また、第一実施態様においては、例えば図11に示すように、切れ込み部が、カバー層4の幅方向yにおいて、カバー層4の一方の端部側に形成された第一切れ込み部15aと、カバー層4の他方の端部側に形成された第二切れ込み部とを有し、第一切れ込み部15aおよび第二切れ込み部15bが、カバー層4の幅方向yにおいて、互いに重複しないように配置されていることが好ましい。このように配置することにより、サスペンション用基板の反りを抑制しつつ、異物により第一配線層3aおよび第二配線層3bが短絡することを防止できるからである。
【0057】
第一切れ込み部15aは、非貫通切れ込み部であることが好ましい。また、第一切れ込み部15aの長さ(カバー層の幅方向の長さ)は、特に限定されるものではないが、カバー層の幅を100%とした場合に、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。第一切れ込み部15aの平面視形状は、特に限定されるものではなく、直線状であっても良く、曲線状であっても良い。なお、第二切れ込み部15bについても、第一切れ込み部15aと同様である。図11に示すように、隣接する第一切れ込み部15aおよび第二切れ込み部15bの距離をL1とした場合、L1の長さは、例えば200μm以上であることが好ましく、500μm以上であることがより好ましい。第一配線層3aおよび第二配線層3bの短絡を効果的に防止できるからである。
【0058】
また、第一実施態様においては、例えば図12(a)に示すように、切れ込み部は、第一切れ込み部15aおよび第二切れ込み部15bの他に、第一配線層3aおよび第二配線層3bの間に形成された配線間切れ込み部15yを有し、第一切れ込み部15aと、第二切れ込み部15bと、配線間切れ込み部15yとが互いに連結していることが好ましい。サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。なお、図12(b)は図12(a)のA−A断面図であり、図12(c)は図12(a)のB−B断面図である。
【0059】
図12に示す切れ込み部の変形例としては、図13に示すように、隣接する第一切れ込み部15aおよび第二切れ込み部15bのみが、配線間切れ込み部15yによって連結されたもの等を挙げることができる。この場合における切れ込み部は、上述した貫通切れ込み部の一例として扱うこともできる。
【0060】
また、第一実施態様においては、上述した第一配線層および第二配線層の他に、第一絶縁層およびカバー層の間に、一または二以上の下部配線層を有していていも良い。下部配線層としては、例えばグランド配線を挙げることができる。また、二以上の下部配線層を設ける場合は、それらの配線をライト配線またはリード配線として用いることもできる。この場合、ライト配線およびリード配線の両方が、一つのカバー層に含まれることになる。
【0061】
なお、第一切れ込み部、第二切れ込み部および配線間切れ込み部についても、上述した配線めっき層または薄肉層が形成されていることが好ましい。
【0062】
次に、サスペンション用基板に用いられる部材について簡単に説明する(図2参照)。金属基板1の材料としては、例えばステンレススティール等を挙げることができる。金属基板1の厚さは、例えば10μm〜30μmの範囲内、中でも15μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。
【0063】
第一絶縁層2aの材料としては、例えばポリイミド(PI)等を挙げることができる。また、第一絶縁層2aの材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。第一絶縁層2aの厚さは、例えば5μm〜30μmの範囲内、中でも10μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。
【0064】
第一配線層3aおよび第二配線層3bとしては、例えば銅(Cu)等を挙げることができる。第一配線層3aおよび第二配線層3bの厚さとしては、それぞれ、例えば4μm〜18μmの範囲内、中でも5μm〜12μmの範囲内であることが好ましい。
【0065】
(2)第二実施態様
サスペンション用基板の第二実施態様は、上記配線部は、第一配線層および第二配線層を有し、上記サスペンション用基板は、金属基板と、上記金属基板上に形成された第一絶縁層と、上記第一絶縁層上に形成された上記第一配線層と、上記第一配線層を覆う第二絶縁層と、上記第二絶縁層上に形成され、上記第一配線層と厚さ方向において重複する上記第二配線層と、上記第二配線層を覆う上記カバー層とを有するものである。
【0066】
図14は、本発明のサスペンション用基板の第二実施態様の一例を示す概略平面図である。図15は、図14のA−A断面図である。図14に示されるサスペンション用基板20は、金属基板1と、金属基板1上に形成された第一絶縁層2aと、第一絶縁層2a上に形成された第一配線層3aと、第一配線層3aを覆う第二絶縁層2bと、第二絶縁層2b上に形成され、第一配線層3aと厚さ方向において重複する第二配線層3bと、第二配線層3bを覆うカバー層4とを有する。
【0067】
第二実施態様においては、第二絶縁層2bを介して、第一配線層3aおよび第二配線層3bを積層配置するため、低インピーダンス化を図れるという利点がある反面、第二絶縁層の存在により、反りが生じやくなる。そのようなサスペンション用基板に対して、切れ込み部を設けることによって、低インピーダンス化を図りつつ、反りを抑制できるという利点を有する。
【0068】
第二実施態様における切れ込み部については、上述した「1.カバー層」に記載した内容と同様である。例えば、図16(a)、(b)に示すように、カバー層4には、貫通切れ込み部15xが形成されていることが好ましい。また、図16(c)、(d)に示すように、切れ込み部15で露出した第二配線層3bの露出部に、配線めっき層5が形成されていることが好ましい。また、図16(e)、(f)に示すように、切れ込み部15の第二配線層3bの上面に、薄肉層4aが形成されていても良い。なお、図16(b)、(d)、(f)は、それぞれ図16(a)、(c)、(e)のA−A断面図である。
【0069】
また、第二実施態様においては、第一絶縁層および第二絶縁層の間に、一または二以上の下部配線層を有していても良い。下部配線層としては、例えばグランド配線を挙げることができる。また、二以上の下部配線層を設ける場合は、それらの配線をライト配線またはリード配線として用いることもできる。具体的には、図17(a)〜(c)に示すように、第一配線層3aおよび第二配線層3bの他に、第一絶縁層2aおよび第二絶縁層2bの間に2つの下部配線層3xを形成することができる。なお、図17(b)は図17(a)のA−A断面図であり、図17(c)は図17(a)のB−B断面図である。また、下部配線層3xは、第一絶縁層2aおよび第二絶縁層2bの間に形成されているため、通常、下部配線層3xの上にカバー層4を設ける必要はないが、第一配線層3aおよび第二配線層3b側との対称性を考慮して、下部配線層3xにカバー層4を設けても良い。下部配線層3xにカバー層4を設けることで、歪みの発生を抑制することができる。
【0070】
また、第二実施態様においては、第一配線層および第二配線層を、それぞれ二以上有していても良い。この場合、第二絶縁層上に形成された複数の第二配線層は、通常、カバー層により覆われる。具体的には、図18(a)、(b)に示すように、第一配線層3aおよび第二配線層3bが、複数形成されていても良い。この場合、複数の第二配線層3bが、カバー層4により覆われる。なお、図18(b)は図18(a)のA−A断面図であり、図18(c)は図18(a)のB−B断面図である。また、第一配線層3aおよび第二配線層3bからなる配線の一方がライト配線であり、他方がリード配線であることが好ましい。
【0071】
また、第一配線層および第二配線層が二以上形成される場合、二以上の第二配線層に対して、上述した第一実施態様と同様の切れ込み部が形成されていても良い。例えば、図19(a)、(b)に示すように、貫通切れ込み部15xと、2つの第二配線層3bの間に形成された配線間切れ込み部15yとが互いに連結している切れ込み部が形成されていても良い。また、図19(c)、(d)に示すように、切れ込み部として、第一切れ込み部15aおよび第二切れ込み部15bが形成されていても良い。さらに、図19(e)、(f)に示すように、第一切れ込み部15a、第二切れ込み部15bおよび配線間切れ込み部15yが互いに連結している切れ込み部が形成されていても良い。なお、図19(b)、(d)、(f)は、それぞれ図19(a)、(c)、(e)のA−A断面図である。
【0072】
また、第一切れ込み部、第二切れ込み部および配線間切れ込み部についても、上述した配線めっき層または薄肉層が形成されていることが好ましい。
【0073】
3.サスペンション用基板の製造方法
次に、本発明のサスペンション用基板の製造方法について説明する。本発明のサスペンション用基板の製造方法は、上述したサスペンション用基板を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。
【0074】
図20は、本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す説明図である。なお、図20(b)、(d)、(f)、(h)、(j)、(l)は、それぞれ図20(a)、(c)、(e)、(g)、(i)、(k)のA−A断面図である。図20に示されるサスペンション用基板の製造方法においては、まず、金属基板1(例えばステンレススティール)を用意する(図20(a)、(b))。次に、金属基板1の表面に、ポリイミドを塗布、加工することによって、第一絶縁層2aを形成する(図20(c)、(d))。次に、第一絶縁層2aの表面に、スパッタリング法により拡散防止層(例えばCr薄膜層)およびシード層(例えばCu薄膜層)を形成する。その後、シード層が形成された表面に、所定のレジストパターンを形成し、電解めっき法により、第一配線層3aおよび第二配線層3bを形成する(図20(e)、(f))。
【0075】
その後、不要なレジストパターン、拡散防止層およびシード層を除去し、第一配線層3aおよび第二配線層3bが形成されている側の基板表面に、ポリイミドを塗布、加工することによってカバー層4を形成する(図20(g)、(h))。次に、カバー層4の表面上に、切れ込み部を形成する位置に露出部を有するレジストパターンを作成し、露出するカバー層4をウェットエッチングにより除去し、切れ込み部15を形成する(図20(i)、(j))。ここで、本発明における切れ込み部15の形成方法は特に限定されるものではない。上記のように、レジストから露出するカバー層を除去する方法であっても良いが、例えばカバー層4の材料が光硬化性材料である場合は、切れ込み部15を形成する位置のカバー層を硬化させないことにより、切れ込み部を形成することもできる。また、上述した薄肉層は、ウェットエッチングの条件を適宜変更したり、照射する光の量を調整したりすることで、形成することができる。最後に、切れ込み部15において露出する第一配線層3aおよび第二配線層3bの表面に、NiめっきおよびAuめっきを行うことにより、配線めっき層5を形成し、本発明のサスペンション用基板を得る(図20(k)、(l))。
【0076】
また、図21は、本発明のサスペンション用基板の製造方法の他の例を示す説明図である。なお、図21(b)、(d)、(f)、(h)、(j)、(l)は、それぞれ図21(a)、(c)、(e)、(g)、(i)、(k)のA−A断面図である。図21に示されるサスペンション用基板の製造方法においては、まず、図20(a)〜(f)と同様にして、金属基板1、第一絶縁層2aおよび第一配線層3aを有する部材を形成する(図21(a)、(b))。次に、第一絶縁層2aおよび第一配線層3aの表面に、ポリイミドを塗布、加工することによって、第二絶縁層2bを形成する(図21(c)、(d))。次に、第二絶縁層2bの表面に、スパッタリング法により拡散防止層(例えばCr薄膜層)およびシード層(例えばCu薄膜層)を形成する。その後、シード層が形成された表面に、所定のレジストパターンを形成し、電解めっき法により、第二配線層3bを形成する(図21(e)、(f))。
【0077】
その後、不要なレジストパターン、拡散防止層およびシード層を除去し、第二配線層3bが形成されている側の基板表面に、ポリイミドを塗布、加工することによってカバー層4を形成する(図21(g)、(h))。次に、カバー層4の上に、切れ込み部を形成する位置に露出部を有するレジストパターンを作成し、露出するカバー層4をウェットエッチングにより除去し、切れ込み部15を形成する(図21(i)、(j))。最後に、切れ込み部15において露出する第二配線層3bの表面に、NiめっきおよびAuめっきを行うことにより、配線めっき層5を形成し、本発明のサスペンション用基板を得る(図21(k)、(l))。
【0078】
なお、図20、図21では、金属基板からサスペンション用基板の形成を行ったが、例えば、金属基板と、第一絶縁層を形成するための絶縁層と、第一配線層を形成するための導体層とからなる積層材(三層材)を用いてサスペンション用基板の形成を行っても良い。
【0079】
B.サスペンション
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするものである。
【0080】
図22は、本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。図22に示されるサスペンション40は、上述したサスペンション用基板20と、ジンバル部11が形成されている表面とは反対側のサスペンション用基板20の表面に備え付けられたロードビーム30とを有するものである。
【0081】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、反りの少ないサスペンションとすることができる。
【0082】
本発明のサスペンションは、少なくともサスペンション用基板を有し、通常は、さらにロードビームを有する。サスペンション用基板については、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、ロードビームは、一般的なサスペンションに用いられるロードビームと同様のものを用いることができる。
【0083】
C.ヘッド付サスペンション
次に、本発明のヘッド付サスペンションについて説明する。本発明のヘッド付サスペンションは、上述したサスペンションと、上記サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダとを有するものである。
【0084】
図23は、本発明のヘッド付サスペンションの一例を示す概略平面図である。図23に示されるヘッド付サスペンション50は、上述したサスペンション40と、サスペンション40のジンバル部11に実装された磁気ヘッドスライダ41とを有するものである。
【0085】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、反りの少ないヘッド付サスペンションとすることができる。
【0086】
本発明のヘッド付サスペンションは、少なくともサスペンションおよび磁気ヘッドスライダを有するものである。サスペンションについては、上記「B.サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、磁気ヘッドスライダは、一般的なヘッド付サスペンションに用いられる磁気ヘッドスライダと同様のものを用いることができる。
【0087】
D.ハードディスクドライブ
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述したヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
【0088】
図24は、本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。図24に示されるハードディスクドライブ60は、上述したヘッド付サスペンション50と、ヘッド付サスペンション50がデータの書き込みおよび読み込みを行うディスク61と、ディスク61を回転させるスピンドルモータ62と、ヘッド付サスペンション50に接続されたアーム63と、ヘッド付サスペンション50の磁気ヘッドスライダを移動させるボイスコイルモータ64と、上記の部材を密閉するケース65とを有するものである。
【0089】
本発明によれば、上述したヘッド付サスペンションを用いることで、高性能なハードディスクドライブとすることができる。
【0090】
本発明のハードディスクドライブは、少なくともヘッド付サスペンションを有し、通常は、さらにディスク、スピンドルモータ、アームおよびボイスコイルモータを有する。ヘッド付サスペンションについては、上記「C.ヘッド付サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、その他の部材についても、一般的なハードディスクドライブに用いられる部材と同様のものを用いることができる。
【0091】
E.サスペンション用基板の製造方法
次に、本発明のサスペンション用基板の製造方法について説明する。本発明のサスペンション用基板の製造方法は、上述したサスペンション用基板の製造方法であって、上記配線部を有する処理用部材を準備する準備工程と、上記処理用部材の配線部を構成する配線の少なくとも一つ覆うカバー層を形成するカバー層形成工程と、上記カバー層に対して、上記切れ込み部を形成する切れ込み部形成工程と、を有することを特徴とするものである。
【0092】
本発明によれば、カバー層に切れ込み部を設けることにより、反りを抑制したサスペンション用基板を得ることができる。
【0093】
本発明における準備工程は、上記処理用部材を準備する工程である。処理用部材は、少なくとも配線部を有する部材であり、通常、カバー層を形成する前の部材である。このような処理用部材としては、例えば、上述した図20(e)、(f)および図21(e)、(f)示す部材等を挙げることができる。なお、処理用部材の製造方法は、所望の処理用部材を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。
【0094】
また、本発明におけるカバー層形成工程は、処理用部材の配線部を構成する配線の少なくとも一つ覆うカバー層を形成する工程である。カバー層の材料を塗布する方法としては、特に限定されるものではなく、一般的な塗布方法を用いることができる。
【0095】
また、本発明おける切れ込み部形成は、上記カバー層に対して、上記切れ込み部を形成する工程である。切れ込み部の形成方法については、上述した「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、本発明においては、切れ込み部で露出する配線層にめっきを行う配線めっき工程を有していても良い。また、切れ込み部を形成する際に、上述した薄肉層の形成を行っても良い。
【0096】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0097】
1…金属基板、2a…第一絶縁層、2b…第二絶縁層、3a…第一配線層、3b…第二配線層、3x…下部配線層、4…カバー層、4a…薄肉層、5…配線めっき層、11…ジンバル部、12…外部接続基板接続部、13…配線部、13X…長手方向配線領域、14…折り曲げ加工部、15…切れ込み部、15x…貫通切れ込み部、15y…配線間切れ込み部、15a…第一切れ込み部、15b…第二切れ込み部、20…サスペンション用基板、30…ロードビーム、40…サスペンション、41…磁気ヘッドスライダ、50…ヘッド付サスペンション、60…ハードディスクドライブ、61…ディスク、62…スピンドルモータ、63…アーム、64…ボイスコイルモータ、65…ケース
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばハードディスクドライブ(HDD)に用いられるサスペンション用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯用途を始めとする各種の小型機器に搭載するHDDへの要求が高まり、これに伴い、情報記録のためのディスクは、小型化および記録の高密度化が求められている。小型化(小径化)したディスク上のトラックに対して、データの読取り・書込みを行うには、ディスク回転を低速化する必要があり、磁気ヘッドに対するディスクの相対速度(周速)が低速となる。このため、サスペンション用基板は、ディスクへの接近を弱い力で行う必要があり、サスペンション用基板の低剛性化を図る必要がある。
【0003】
低剛性化を図る上で、剛性の高い金属基板の部位を減らす検討がなされている。しかしながら、金属基板の部位を減らすと、サスペンション用基板の反りが生じやすくなる。反りの原因としては、金属基板と絶縁層との熱膨張係数の差や、絶縁層とカバー層との吸湿膨張係数の差が考えられ、材料物性の観点から反りを制御する試みがなされてきた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−310946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、絶縁層に用いられる材料と、カバー層に用いられる材料との物性を制御することで、サスペンション用基板の反りを抑制することも有効な手段の一つであるが、反りの抑制だけを目的とすると、絶縁層やカバー層に求められる所定の物性を得ることができない可能性がある。一方、絶縁層やカバー層に求められる所定の物性を優先した場合、サスペンション用基板の反りを充分に抑制できない可能性もある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、材料物性以外の観点から、反りを抑制したサスペンション用基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明においては、ジンバル部と、外部接続基板接続部と、上記ジンバル部および上記外部接続基板接続部を接続する配線部と、上記配線部を構成する配線層の少なくとも一つを覆うカバー層とを有するサスペンション用基板であって、上記配線部において、上記カバー層は、切れ込み部を一または二以上有することを特徴とするサスペンション用基板を提供する。
【0008】
本発明によれば、カバー層が切れ込み部を有することから、反りを抑制したサスペンション用基板とすることができる。本発明においては、切れ込み部により、カバー層の膨張・収縮の変化の一部を吸収することができる。これにより、膨張・収縮による、カバー層全体の変化量の絶対値を下げることができる。その結果、応力を小さくすることができ、サスペンション用基板の反りを抑制することができる。
【0009】
上記発明において、上記サスペンション用基板は、上記ジンバル部および上記外部接続基板接続部の間に位置する折り曲げ加工部を有し、上記配線部は、上記折り曲げ加工部および上記ジンバル部の間に、上記サスペンション用基板の長手方向に沿って上記配線層が存在する長手方向配線領域を有し、上記長手方向配線領域において、上記カバー層は、上記切れ込み部を有することが好ましい。反りの影響が最も表れやすい長手方向配線領域のカバー層に、切れ込み部を設けることで、サスペンション用基板の反りを効果的に抑制できるからである。
【0010】
上記発明において、上記切れ込み部は、上記カバー層の幅方向において、上記カバー層の一方の端部から他方の端部までを貫通する貫通切れ込み部であることが好ましい。サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。
【0011】
上記発明においては、上記貫通切れ込み部の切れ込み方向と、上記カバー層の長さ方向とのなす角度が、30°〜90°の範囲内であることが好ましい。サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。
【0012】
上記発明においては、上記切れ込み部において、上記配線層が露出する露出部を有し、上記露出部に配線めっき層が形成されていることが好ましい。深い切れ込み部を設けることで、サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。また、露出した配線層に配線めっき層を設けることにより、配線層の劣化を抑制することができる。
【0013】
上記発明においては、上記切れ込み部において、上記カバー層よりも厚さの小さい薄肉層が形成されていることが好ましい。配線めっき部を設けることなく、サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。
【0014】
上記発明において、上記配線部は、第一配線層および第二配線層を有し、上記サスペンション用基板は、金属基板と、上記金属基板上に形成された第一絶縁層と、上記第一絶縁層上に形成された上記第一配線層および上記第二配線層と、上記第一配線層および上記第二配線層を覆う上記カバー層とを有することが好ましい。
【0015】
上記発明において、上記切れ込み部は、上記貫通切れ込み部と、上記第一配線層および上記第二配線層の間に形成された配線間切れ込み部とを有し、上記貫通切れ込み部と、上記配線間切れ込み部とが互いに連結していることが好ましい。サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。
【0016】
上記発明において、上記切れ込み部は、上記カバー層の幅方向において、上記カバー層の一方の端部側に形成された第一切れ込み部と、上記カバー層の他方の端部側に形成された第二切れ込み部とを有し、上記第一切れ込み部および上記第二切れ込み部は、上記カバー層の幅方向において、互いに重複しないように配置されていることが好ましい。このように配置することにより、サスペンション用基板の反りを抑制しつつ、異物により第一配線層3aおよび第二配線層3bが短絡することを防止できるからである。
【0017】
上記発明において、上記切れ込み部は、上記第一切れ込み部と、上記第二切れ込み部と、上記第一配線層および上記第二配線層の間に形成された配線間切れ込み部とを有し、上記第一切れ込み部と、上記第二切れ込み部と、上記配線間切れ込み部とが互いに連結していることが好ましい。サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。
【0018】
上記発明において、上記配線部は、第一配線層および第二配線層を有し、上記サスペンション用基板は、金属基板と、上記金属基板上に形成された第一絶縁層と、上記第一絶縁層上に形成された上記第一配線層と、上記第一配線層を覆う第二絶縁層と、上記第二絶縁層上に形成され、上記第一配線層と厚さ方向において重複する上記第二配線層と、上記第二配線層を覆う上記カバー層とを有することが好ましい。
【0019】
上記発明においては、上記第一絶縁層および上記第二絶縁層の間に、一または二以上の下部配線層を有することが好ましい。より高機能なサスペンション用基板とすることができるからである。
【0020】
上記発明においては、上記第一配線層および上記第二配線層を、それぞれ二以上有することが好ましい。より高機能なサスペンション用基板とすることができるからである。
【0021】
また、本発明においては、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンションを提供する。
【0022】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、反りの少ないサスペンションとすることができる。
【0023】
また、本発明においては、上述したサスペンションと、上記サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダと、を有することを特徴とするヘッド付サスペンションを提供する。
【0024】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、反りの少ないヘッド付サスペンションとすることができる。
【0025】
また、本発明においては、上述したヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブを提供する。
【0026】
本発明によれば、上述したヘッド付サスペンションを用いることで、高性能なハードディスクドライブとすることができる。
【0027】
また、本発明においては、ジンバル部と、外部接続基板接続部と、上記ジンバル部および上記外部接続基板接続部を接続する配線部と、上記配線部を構成する配線層の少なくとも一つを覆うカバー層とを有し、上記配線部において、上記カバー層は、切れ込み部を一または二以上有するサスペンション用基板の製造方法であって、上記配線部を有する処理用部材を準備する準備工程と、上記処理用部材の配線部を構成する配線の少なくとも一つ覆うカバー層を形成するカバー層形成工程と、上記カバー層に対して、上記切れ込み部を形成する切れ込み部形成工程と、を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法を提供する。
【0028】
本発明によれば、カバー層に切れ込み部を設けることにより、反りを抑制したサスペンション用基板を得ることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明においては、サスペンション用基板の反りを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明における長手方向配線領域の一例を示す概略平面図である。
【図4】本発明における貫通切れ込み部の一例を示す概略平面図である。
【図5】図4の断面図である。
【図6】本発明における貫通切れ込み部の他の例を示す概略平面図である。
【図7】本発明における切れ込み部の幅の決定方法の一例を示す説明図である。
【図8】本発明における配線めっき層を説明する説明図である。
【図9】本発明における薄肉層を説明する説明図である。
【図10】本発明における切れ込み部を説明する説明図である。
【図11】本発明における切れ込み部を説明する説明図である。
【図12】本発明における切れ込み部を説明する説明図である。
【図13】本発明における切れ込み部を説明する説明図である。
【図14】本発明のサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。
【図15】図14のA−A断面図である。
【図16】本発明における切れ込み部を説明する説明図である。
【図17】本発明におけるカバー層を説明する説明図である。
【図18】本発明におけるカバー層を説明する説明図である。
【図19】本発明における切れ込み部を説明する説明図である。
【図20】本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す説明図である。
【図21】本発明のサスペンション用基板の製造方法の他の例を示す説明図である。
【図22】本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図23】本発明のヘッド付サスペンションの一例を示す概略平面図である。
【図24】本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明のサスペンション用基板、サスペンション、ヘッド付サスペンション、ハードディスクドライブおよびサスペンション用基板の製造方法について詳細に説明する。
【0032】
A.サスペンション用基板
まず、本発明のサスペンション用基板について説明する。本発明のサスペンション用基板は、ジンバル部と、外部接続基板接続部と、上記ジンバル部および上記外部接続基板接続部を接続する配線部と、上記配線部を構成する配線層の少なくとも一つを覆うカバー層とを有するサスペンション用基板であって、上記配線部において、上記カバー層は、切れ込み部を一または二以上有することを特徴とするものである。
【0033】
図1は、本発明のサスペンション用基板の一例を示す概略平面図である。なお、便宜上、図1ではカバー層の記載は省略している。図1に示されるサスペンション用基板20は、一方の先端部分に形成されたジンバル部11と、他方の先端部分に形成され、外部接続基板に接続するための外部接続基板接続部12と、ジンバル部11および外部接続基板接続部12を接続する配線部13と、配線部13を構成する配線層の少なくとも一つを覆うカバー層(図示せず)とを有するものである。また、図1における配線部13は、一方の配線対からなるライト配線と、他方の配線対からなるリード配線とを有している。なお、上記の外部接続基板としては、例えば中継基板や、メインフレキシブル基板等がある。
【0034】
また、図2は、図1のA−A断面図である。図2に示されるサスペンション用基板20は、金属基板1と、金属基板1上に形成された第一絶縁層2aと、第一絶縁層2a上に形成された第一配線層3aおよび第二配線層3bと、第一配線層3aおよび第二配線層3bを覆うカバー層4とを有する。なお、図2におけるサスペンション用基板では、配線部を構成する第一配線層3aおよび第二配線層3bが、カバー層4により覆われている。本発明では、図1に示される配線部13において、カバー層4が切れ込み部を一または二以上有することを大きな特徴とする。
【0035】
また、図1におけるサスペンション用基板20は、ジンバル部11および外部接続基板接続部12の間に位置し、折り曲げ加工を行うための折り曲げ加工部14を有する。なお、本発明における「折り曲げ加工部」とは、サスペンション用基板を外部接続基板と接続するために折り曲げ加工を行う部分であり、サスペンション用基板平面に対して、例えば90°程度の角度で折り曲げる部分である。
【0036】
さらに、図1における配線部13は、折り曲げ加工部14およびジンバル部11の間にサスペンション用基板20の長手方向Xに沿って配線層が存在する長手方向配線領域13Xを有する。本発明では、長手方向配線領域13Xにおいて、カバー層4が、切れ込み部を一または二以上有することが好ましい。また、長手方向配線領域13Xの折り曲げ加工部14側の端部は、図1に示すように、例えば、配線部13を構成する配線層の全てが、サスペンション用基板20の長手方向Xに沿う部分であることが好ましい。一方、長手方向配線領域13Xのジンバル部11の端部は、図1に示すように、例えば、ジンバル部11の直前の部分であることが好ましい。
【0037】
本発明における長手方向配線領域13Xは、通常、折り曲げ加工部14を含まない領域である。ここで、折り曲げ加工部14の折り曲げ性を向上させることを目的として、折り曲げ加工部14のカバー層に切れ込み部を形成することが考えられる。しかしながら、折り曲げ加工部14のカバー層における切れ込み部と、本発明における切れ込み部とは、その機能が全く異なるものであるといえる。すなわち、本発明における切れ込み部は、カバー層の膨張・収縮の影響を最も受けやすい、サスペンション用基板の長手方向の反りを抑制する機能を有することが好ましいのに対して、折り曲げ加工部14のカバー層における切れ込み部には、そのような機能は発揮し得ない。
【0038】
図3は、本発明における長手方向配線領域の一例を示す概略平面図である。なお、図3では、便宜上、長手方向配線領域を模式的にしており、後述する図4、図6、図8〜図13、図16〜図21においても同様である。本発明では、サスペンション用基板の長手方向Xに沿って配線層(第一配線層3aおよび第二配線層3b)が存在する長手方向配線領域13Xにおいて、カバー層4が、切れ込み部15を一または二以上有することが好ましい。
【0039】
このように、本発明によれば、カバー層が切れ込み部を有することから、反りを抑制したサスペンション用基板とすることができる。本発明においては、切れ込み部により、カバー層の膨張・収縮の変化の一部を吸収することができる。これにより、膨張・収縮による、カバー層全体の変化量の絶対値を下げることができる。その結果、応力を小さくすることができ、サスペンション用基板の反りを抑制することができる。さらに、本発明においては、反りの影響が最も表れやすい長手方向配線領域のカバー層に切れ込み部を設けることが好ましく、これにより、サスペンション用基板の反りを効果的に抑制できる。
以下、本発明のサスペンション用基板について、さらに詳細に説明する。
【0040】
1.カバー層
まず、本発明におけるカバー層について説明する。本発明におけるカバー層は、配線部を構成する配線層の少なくとも一つを覆う層である。カバー層の材料としては、例えばポリイミド(PI)等を挙げることができる。また、カバー層の材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。さらに、カバー層の厚さは、例えば3μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。
【0041】
また、本発明におけるカバー層は、通常、配線部において切れ込み部を一または二以上有し、中でも、長手方向配線領域において上記切れ込み部を有することが好ましい。本発明における長手方向配線領域の長さは、例えば4mm以上であり、6mm以上であることが好ましい。一方、長手方向配線領域の長さは、例えば40mm以下であり、35mm以下であることが好ましい。
【0042】
本発明においては、上記切れ込み部が、カバー層の幅方向において、カバー層の一方の端部から他方の端部までを貫通する貫通切れ込み部であっても良く、カバー層の一方の端部から他方の端部までを貫通しない非貫通切れ込み部であっても良いが、前者であることが好ましい。サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。
【0043】
貫通切れ込み部の一例を図4に示す。図4においては、カバー層4の幅方向yにおいて、カバー層4の一方の端部から他方の端部までを貫通する貫通切れ込み部15xが形成されている。また、図5は図4の概略断面図であり、図5(a)は図4のA−A断面図であり、図5(b)は図4のB−B断面図である。図5(a)に示すように、貫通切れ込み部が形成されていない断面では、第一配線層3aおよび第二配線層3bを覆うように、カバー層4が形成されている。これに対して、図5(b)に示すように、貫通切れ込み部15xが形成されている断面では、第一配線層3aおよび第二配線層3bが露出している。なお、露出した第一配線層3aおよび第二配線層3bには、後述する配線めっき層を形成することが好ましい。また、第一配線層3aおよび第二配線層3bを露出させる代わりに、後述する薄肉層を形成しても良い。
【0044】
貫通切れ込み部の切れ込みは、カバー層の幅方向において、カバー層の一方の端部から他方の端部までを貫通するものであれば特に限定されるものではない。貫通切れ込み部の平面視形状は、直線状であっても良く、曲線状であっても良い。なお、図4に示される貫通切れ込み部15xは、直線状の切れ込み部である。
【0045】
また、図6に示すように、貫通切れ込み部15xの切れ込み方向sと、カバー層の長さ方向tとのなす角度をαとした場合、αは、例えば30°〜90°の範囲内であることが好ましく、45°〜90°の範囲内であることがより好ましい。特に、本発明においては、αが90°であることが好ましい。また、配線部に形成される貫通切れ込み部の数は、特に限定されるものではないが、例えば1個〜10個の範囲内であることが好ましく、2個〜5個の範囲内であることがより好ましい。中でも、本発明においては、長手方向配線領域において、上記の数の貫通切れ込み部が形成されていることが好ましい。
【0046】
本発明における切れ込み部の幅は、特に限定されるものではないが、カバー層が膨張した際に、一方のカバー層の端部と、他方のカバー層の端部とが接触しない程度の幅であることが好ましい。サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。ここで、切れ込み部の幅を決定する方法の一例について、図7を用いて説明する。図7(a)に示すように、長手方向配線領域13xにおけるカバー層4の初期長をL(mm)とする。そのカバー層をn分割した場合、n−1個の切れ込み部15が形成される。また、図7(b)に示すように、各切れ込み部15の幅をxL(xは初期長Lに対する切れ込み部の幅の割合であり、0<x<1を満たす)とした場合、分割されたカバー層4の長さは、{L−(n−1)xL}/nとなる。さらに、吸湿による膨張を考慮し、吸湿膨張係数をh(1/%RH)とし、湿度変化量をy(%)とした場合、膨張により、分割されたカバー層4の長さは、両端部で、[{L−(n−1)xL}/n]*(hy)増加することになる。そのため、図7(c)に示すように、分割されたカバー層4の長さは、一方の端部で、[{L−(n−1)xL}/n]*1/2(hy)増加することになる。従って、[{L−(n−1)xL}/n]*1/2(hy)<1/2xLを満たす場合、すなわち、x>1/{n/hy+(n−1)}を満たす場合、切れ込み部15の端部同士が接触することを防止できる。
【0047】
例えば、初期長L=30(mm)、吸湿膨張係数h=30×10−6(1/%RH)、湿度変化率y=100(%)、分割数n=3とした場合、各切れ込み部15の幅xLは、29.94μmとなり、この値よりも大きな値であれば、切れ込み部15の端部同士が接触することを防止できる。なお、上記の例では、吸湿による膨張を考えたが、吸熱による膨張を考慮する場合は、吸湿膨張係数h(1/%RH)の代わりに線熱膨張係数α(1/℃)を用い、湿度変化量y(%)の代わりに温度変化量T(℃)を用いれば良い。
【0048】
また、切れ込み部の幅は、上述したように、カバー層の材料や、分割数によって異なるものであるが、例えば30μm〜500μmの範囲内、中でも40μm〜250μmの範囲内、特に50μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。切れ込み部の幅が小さすぎると、切れ込み部におけるカバー層の端部同士が接触し、サスペンション用基板の反りを充分に抑制できない可能性があり、切れ込み部の幅が大きすぎると、配線層の劣化が生じやすくなるからである。
【0049】
なお、本発明においては、切れ込み部が、後述する第一切れ込み部および第二切れ込み部の少なくとも一方を有していても良い。この場合、第一切れ込み部および第二切れ込み部は、カバー層の幅方向において、互いに重複しないように配置されていることが好ましい(後述する図11参照)。
【0050】
また、本発明では、切れ込み部において、配線層が露出する露出部を有し、上記露出部に配線めっき層が形成されていることが好ましい。深い切れ込み部を設けることで、サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。また、露出した配線層に配線めっき層を設けることにより、配線層の劣化を抑制することができる。配線めっき層を有する長手方向配線領域の一例としては、例えば図8(a)、(b)に示すように、切れ込み部15で露出した第一配線層3aおよび第二配線層3bの露出部に、配線めっき層5が形成された長手方向配線領域13Xを挙げることができる。なお、図8(b)は図8(a)のA−A断面図である。配線めっき層としては、配線層を保護することができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ニッケルめっき層および金めっき層等を挙げることができる。また、配線めっき層は、複数の金属めっき層からなるものであっても良い。配線めっき層の厚さは、例えば0.1μm〜5.0μmの範囲内である。
【0051】
また、本発明では、切れ込み部において、カバー層よりも厚さの小さい薄肉層が形成されていることが好ましい。配線めっき部を設けることなく、サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。薄肉層を有する長手方向配線領域の一例としては、例えば図9(a)、(b)に示すように、切れ込み部15の第一配線層3aおよび第二配線層3bの上面に、薄肉層4aが形成された長手方向配線領域13Xを挙げることができる。なお、図9(b)は図9(a)のA−A断面図である。薄肉層4aは、カバー層4と同一の材料であることが好ましい。また、薄肉層4aは、例えばカバー層4をエッチングすることにより形成することができる。カバー層の厚さを100%とした場合、薄肉層の厚さは、例えば10%〜80%の範囲内であることが好ましく、30%〜60%の範囲内であることがより好ましい。また、配線層上に形成された薄肉層の厚さは、例えば0.4μm〜3.2μmの範囲内であることが好ましく、1.2μm〜2.4μmの範囲内であることがより好ましい。薄肉層の厚さが小さすぎると、ピンホール等によって配線層が露出し、配線層の劣化を引き起こす可能性があり、薄肉層の厚さが大きすぎると、サスペンション用基板の反りを充分に抑制できない可能性がある。
【0052】
2.サスペンション用基板の構成
次に、本発明のサスペンション用基板の構成について説明する。本発明のサスペンション用基板は、上述したカバー層および切れ込み部を有するものであれば特に限定されるものではない。以下、本発明のサスペンション用基板の具体例について、第一実施態様および第二実施態様に分けて説明する。
【0053】
(1)第一実施態様
サスペンション用基板の第一実施態様は、上記配線部が、第一配線層および第二配線層を有し、上記サスペンション用基板が、金属基板と、上記金属基板上に形成された第一絶縁層と、上記第一絶縁層上に形成された上記第一配線層および上記第二配線層と、上記第一配線層および上記第二配線層を覆う上記カバー層とを有するものである。
【0054】
上述した図2は、本発明のサスペンション用基板の第一実施態様の一例を示すものである。第一実施態様の場合、図2に示したように、第一配線層3aおよび第二配線層3bを覆うカバー層4が、上述した切れ込み部を有する。また、第一実施態様においては、第一配線層および第二配線層からなる配線は、通常、ライト配線またはリード配線である。本発明においては、ライト配線またはリード配線の一方で、上記切れ込み部を有するカバー層が形成されていても良く、ライト配線またはリード配線の両方で、上記切れ込み部を有するカバー層がそれぞれ形成されていても良い。
【0055】
第一実施態様においては、切れ込み部が、上述した貫通切れ込み部および非貫通切れ込み部以外のその他の切れ込み部を有していても良い。その他の切れ込み部の一例としては、第一配線層および第二配線層の間に形成された配線間切れ込み部を挙げることができる。さらに、この場合、貫通切れ込み部と配線間切れ込み部とが互いに連結していることが好ましい。サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。具体的には、図10(a)に示すように、貫通切れ込み部15xと、第一配線層3aおよび第二配線層3bの間に形成された配線間切れ込み部15yと、を有するカバー層4を挙げることができる。なお、図10(b)は図10(a)のA−A断面図であり、第一配線層3aおよび第二配線層3bの間に、配線間切れ込み部15yを有する。
【0056】
また、第一実施態様においては、例えば図11に示すように、切れ込み部が、カバー層4の幅方向yにおいて、カバー層4の一方の端部側に形成された第一切れ込み部15aと、カバー層4の他方の端部側に形成された第二切れ込み部とを有し、第一切れ込み部15aおよび第二切れ込み部15bが、カバー層4の幅方向yにおいて、互いに重複しないように配置されていることが好ましい。このように配置することにより、サスペンション用基板の反りを抑制しつつ、異物により第一配線層3aおよび第二配線層3bが短絡することを防止できるからである。
【0057】
第一切れ込み部15aは、非貫通切れ込み部であることが好ましい。また、第一切れ込み部15aの長さ(カバー層の幅方向の長さ)は、特に限定されるものではないが、カバー層の幅を100%とした場合に、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。第一切れ込み部15aの平面視形状は、特に限定されるものではなく、直線状であっても良く、曲線状であっても良い。なお、第二切れ込み部15bについても、第一切れ込み部15aと同様である。図11に示すように、隣接する第一切れ込み部15aおよび第二切れ込み部15bの距離をL1とした場合、L1の長さは、例えば200μm以上であることが好ましく、500μm以上であることがより好ましい。第一配線層3aおよび第二配線層3bの短絡を効果的に防止できるからである。
【0058】
また、第一実施態様においては、例えば図12(a)に示すように、切れ込み部は、第一切れ込み部15aおよび第二切れ込み部15bの他に、第一配線層3aおよび第二配線層3bの間に形成された配線間切れ込み部15yを有し、第一切れ込み部15aと、第二切れ込み部15bと、配線間切れ込み部15yとが互いに連結していることが好ましい。サスペンション用基板の反りを効果的に抑制することができるからである。なお、図12(b)は図12(a)のA−A断面図であり、図12(c)は図12(a)のB−B断面図である。
【0059】
図12に示す切れ込み部の変形例としては、図13に示すように、隣接する第一切れ込み部15aおよび第二切れ込み部15bのみが、配線間切れ込み部15yによって連結されたもの等を挙げることができる。この場合における切れ込み部は、上述した貫通切れ込み部の一例として扱うこともできる。
【0060】
また、第一実施態様においては、上述した第一配線層および第二配線層の他に、第一絶縁層およびカバー層の間に、一または二以上の下部配線層を有していていも良い。下部配線層としては、例えばグランド配線を挙げることができる。また、二以上の下部配線層を設ける場合は、それらの配線をライト配線またはリード配線として用いることもできる。この場合、ライト配線およびリード配線の両方が、一つのカバー層に含まれることになる。
【0061】
なお、第一切れ込み部、第二切れ込み部および配線間切れ込み部についても、上述した配線めっき層または薄肉層が形成されていることが好ましい。
【0062】
次に、サスペンション用基板に用いられる部材について簡単に説明する(図2参照)。金属基板1の材料としては、例えばステンレススティール等を挙げることができる。金属基板1の厚さは、例えば10μm〜30μmの範囲内、中でも15μm〜25μmの範囲内であることが好ましい。
【0063】
第一絶縁層2aの材料としては、例えばポリイミド(PI)等を挙げることができる。また、第一絶縁層2aの材料は、感光性材料であっても良く、非感光性材料であっても良い。第一絶縁層2aの厚さは、例えば5μm〜30μmの範囲内、中でも10μm〜20μmの範囲内であることが好ましい。
【0064】
第一配線層3aおよび第二配線層3bとしては、例えば銅(Cu)等を挙げることができる。第一配線層3aおよび第二配線層3bの厚さとしては、それぞれ、例えば4μm〜18μmの範囲内、中でも5μm〜12μmの範囲内であることが好ましい。
【0065】
(2)第二実施態様
サスペンション用基板の第二実施態様は、上記配線部は、第一配線層および第二配線層を有し、上記サスペンション用基板は、金属基板と、上記金属基板上に形成された第一絶縁層と、上記第一絶縁層上に形成された上記第一配線層と、上記第一配線層を覆う第二絶縁層と、上記第二絶縁層上に形成され、上記第一配線層と厚さ方向において重複する上記第二配線層と、上記第二配線層を覆う上記カバー層とを有するものである。
【0066】
図14は、本発明のサスペンション用基板の第二実施態様の一例を示す概略平面図である。図15は、図14のA−A断面図である。図14に示されるサスペンション用基板20は、金属基板1と、金属基板1上に形成された第一絶縁層2aと、第一絶縁層2a上に形成された第一配線層3aと、第一配線層3aを覆う第二絶縁層2bと、第二絶縁層2b上に形成され、第一配線層3aと厚さ方向において重複する第二配線層3bと、第二配線層3bを覆うカバー層4とを有する。
【0067】
第二実施態様においては、第二絶縁層2bを介して、第一配線層3aおよび第二配線層3bを積層配置するため、低インピーダンス化を図れるという利点がある反面、第二絶縁層の存在により、反りが生じやくなる。そのようなサスペンション用基板に対して、切れ込み部を設けることによって、低インピーダンス化を図りつつ、反りを抑制できるという利点を有する。
【0068】
第二実施態様における切れ込み部については、上述した「1.カバー層」に記載した内容と同様である。例えば、図16(a)、(b)に示すように、カバー層4には、貫通切れ込み部15xが形成されていることが好ましい。また、図16(c)、(d)に示すように、切れ込み部15で露出した第二配線層3bの露出部に、配線めっき層5が形成されていることが好ましい。また、図16(e)、(f)に示すように、切れ込み部15の第二配線層3bの上面に、薄肉層4aが形成されていても良い。なお、図16(b)、(d)、(f)は、それぞれ図16(a)、(c)、(e)のA−A断面図である。
【0069】
また、第二実施態様においては、第一絶縁層および第二絶縁層の間に、一または二以上の下部配線層を有していても良い。下部配線層としては、例えばグランド配線を挙げることができる。また、二以上の下部配線層を設ける場合は、それらの配線をライト配線またはリード配線として用いることもできる。具体的には、図17(a)〜(c)に示すように、第一配線層3aおよび第二配線層3bの他に、第一絶縁層2aおよび第二絶縁層2bの間に2つの下部配線層3xを形成することができる。なお、図17(b)は図17(a)のA−A断面図であり、図17(c)は図17(a)のB−B断面図である。また、下部配線層3xは、第一絶縁層2aおよび第二絶縁層2bの間に形成されているため、通常、下部配線層3xの上にカバー層4を設ける必要はないが、第一配線層3aおよび第二配線層3b側との対称性を考慮して、下部配線層3xにカバー層4を設けても良い。下部配線層3xにカバー層4を設けることで、歪みの発生を抑制することができる。
【0070】
また、第二実施態様においては、第一配線層および第二配線層を、それぞれ二以上有していても良い。この場合、第二絶縁層上に形成された複数の第二配線層は、通常、カバー層により覆われる。具体的には、図18(a)、(b)に示すように、第一配線層3aおよび第二配線層3bが、複数形成されていても良い。この場合、複数の第二配線層3bが、カバー層4により覆われる。なお、図18(b)は図18(a)のA−A断面図であり、図18(c)は図18(a)のB−B断面図である。また、第一配線層3aおよび第二配線層3bからなる配線の一方がライト配線であり、他方がリード配線であることが好ましい。
【0071】
また、第一配線層および第二配線層が二以上形成される場合、二以上の第二配線層に対して、上述した第一実施態様と同様の切れ込み部が形成されていても良い。例えば、図19(a)、(b)に示すように、貫通切れ込み部15xと、2つの第二配線層3bの間に形成された配線間切れ込み部15yとが互いに連結している切れ込み部が形成されていても良い。また、図19(c)、(d)に示すように、切れ込み部として、第一切れ込み部15aおよび第二切れ込み部15bが形成されていても良い。さらに、図19(e)、(f)に示すように、第一切れ込み部15a、第二切れ込み部15bおよび配線間切れ込み部15yが互いに連結している切れ込み部が形成されていても良い。なお、図19(b)、(d)、(f)は、それぞれ図19(a)、(c)、(e)のA−A断面図である。
【0072】
また、第一切れ込み部、第二切れ込み部および配線間切れ込み部についても、上述した配線めっき層または薄肉層が形成されていることが好ましい。
【0073】
3.サスペンション用基板の製造方法
次に、本発明のサスペンション用基板の製造方法について説明する。本発明のサスペンション用基板の製造方法は、上述したサスペンション用基板を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。
【0074】
図20は、本発明のサスペンション用基板の製造方法の一例を示す説明図である。なお、図20(b)、(d)、(f)、(h)、(j)、(l)は、それぞれ図20(a)、(c)、(e)、(g)、(i)、(k)のA−A断面図である。図20に示されるサスペンション用基板の製造方法においては、まず、金属基板1(例えばステンレススティール)を用意する(図20(a)、(b))。次に、金属基板1の表面に、ポリイミドを塗布、加工することによって、第一絶縁層2aを形成する(図20(c)、(d))。次に、第一絶縁層2aの表面に、スパッタリング法により拡散防止層(例えばCr薄膜層)およびシード層(例えばCu薄膜層)を形成する。その後、シード層が形成された表面に、所定のレジストパターンを形成し、電解めっき法により、第一配線層3aおよび第二配線層3bを形成する(図20(e)、(f))。
【0075】
その後、不要なレジストパターン、拡散防止層およびシード層を除去し、第一配線層3aおよび第二配線層3bが形成されている側の基板表面に、ポリイミドを塗布、加工することによってカバー層4を形成する(図20(g)、(h))。次に、カバー層4の表面上に、切れ込み部を形成する位置に露出部を有するレジストパターンを作成し、露出するカバー層4をウェットエッチングにより除去し、切れ込み部15を形成する(図20(i)、(j))。ここで、本発明における切れ込み部15の形成方法は特に限定されるものではない。上記のように、レジストから露出するカバー層を除去する方法であっても良いが、例えばカバー層4の材料が光硬化性材料である場合は、切れ込み部15を形成する位置のカバー層を硬化させないことにより、切れ込み部を形成することもできる。また、上述した薄肉層は、ウェットエッチングの条件を適宜変更したり、照射する光の量を調整したりすることで、形成することができる。最後に、切れ込み部15において露出する第一配線層3aおよび第二配線層3bの表面に、NiめっきおよびAuめっきを行うことにより、配線めっき層5を形成し、本発明のサスペンション用基板を得る(図20(k)、(l))。
【0076】
また、図21は、本発明のサスペンション用基板の製造方法の他の例を示す説明図である。なお、図21(b)、(d)、(f)、(h)、(j)、(l)は、それぞれ図21(a)、(c)、(e)、(g)、(i)、(k)のA−A断面図である。図21に示されるサスペンション用基板の製造方法においては、まず、図20(a)〜(f)と同様にして、金属基板1、第一絶縁層2aおよび第一配線層3aを有する部材を形成する(図21(a)、(b))。次に、第一絶縁層2aおよび第一配線層3aの表面に、ポリイミドを塗布、加工することによって、第二絶縁層2bを形成する(図21(c)、(d))。次に、第二絶縁層2bの表面に、スパッタリング法により拡散防止層(例えばCr薄膜層)およびシード層(例えばCu薄膜層)を形成する。その後、シード層が形成された表面に、所定のレジストパターンを形成し、電解めっき法により、第二配線層3bを形成する(図21(e)、(f))。
【0077】
その後、不要なレジストパターン、拡散防止層およびシード層を除去し、第二配線層3bが形成されている側の基板表面に、ポリイミドを塗布、加工することによってカバー層4を形成する(図21(g)、(h))。次に、カバー層4の上に、切れ込み部を形成する位置に露出部を有するレジストパターンを作成し、露出するカバー層4をウェットエッチングにより除去し、切れ込み部15を形成する(図21(i)、(j))。最後に、切れ込み部15において露出する第二配線層3bの表面に、NiめっきおよびAuめっきを行うことにより、配線めっき層5を形成し、本発明のサスペンション用基板を得る(図21(k)、(l))。
【0078】
なお、図20、図21では、金属基板からサスペンション用基板の形成を行ったが、例えば、金属基板と、第一絶縁層を形成するための絶縁層と、第一配線層を形成するための導体層とからなる積層材(三層材)を用いてサスペンション用基板の形成を行っても良い。
【0079】
B.サスペンション
次に、本発明のサスペンションについて説明する。本発明のサスペンションは、上述したサスペンション用基板を含むことを特徴とするものである。
【0080】
図22は、本発明のサスペンションの一例を示す概略平面図である。図22に示されるサスペンション40は、上述したサスペンション用基板20と、ジンバル部11が形成されている表面とは反対側のサスペンション用基板20の表面に備え付けられたロードビーム30とを有するものである。
【0081】
本発明によれば、上述したサスペンション用基板を用いることで、反りの少ないサスペンションとすることができる。
【0082】
本発明のサスペンションは、少なくともサスペンション用基板を有し、通常は、さらにロードビームを有する。サスペンション用基板については、上記「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、ロードビームは、一般的なサスペンションに用いられるロードビームと同様のものを用いることができる。
【0083】
C.ヘッド付サスペンション
次に、本発明のヘッド付サスペンションについて説明する。本発明のヘッド付サスペンションは、上述したサスペンションと、上記サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダとを有するものである。
【0084】
図23は、本発明のヘッド付サスペンションの一例を示す概略平面図である。図23に示されるヘッド付サスペンション50は、上述したサスペンション40と、サスペンション40のジンバル部11に実装された磁気ヘッドスライダ41とを有するものである。
【0085】
本発明によれば、上述したサスペンションを用いることで、反りの少ないヘッド付サスペンションとすることができる。
【0086】
本発明のヘッド付サスペンションは、少なくともサスペンションおよび磁気ヘッドスライダを有するものである。サスペンションについては、上記「B.サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、磁気ヘッドスライダは、一般的なヘッド付サスペンションに用いられる磁気ヘッドスライダと同様のものを用いることができる。
【0087】
D.ハードディスクドライブ
次に、本発明のハードディスクドライブについて説明する。本発明のハードディスクドライブは、上述したヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするものである。
【0088】
図24は、本発明のハードディスクドライブの一例を示す概略平面図である。図24に示されるハードディスクドライブ60は、上述したヘッド付サスペンション50と、ヘッド付サスペンション50がデータの書き込みおよび読み込みを行うディスク61と、ディスク61を回転させるスピンドルモータ62と、ヘッド付サスペンション50に接続されたアーム63と、ヘッド付サスペンション50の磁気ヘッドスライダを移動させるボイスコイルモータ64と、上記の部材を密閉するケース65とを有するものである。
【0089】
本発明によれば、上述したヘッド付サスペンションを用いることで、高性能なハードディスクドライブとすることができる。
【0090】
本発明のハードディスクドライブは、少なくともヘッド付サスペンションを有し、通常は、さらにディスク、スピンドルモータ、アームおよびボイスコイルモータを有する。ヘッド付サスペンションについては、上記「C.ヘッド付サスペンション」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、その他の部材についても、一般的なハードディスクドライブに用いられる部材と同様のものを用いることができる。
【0091】
E.サスペンション用基板の製造方法
次に、本発明のサスペンション用基板の製造方法について説明する。本発明のサスペンション用基板の製造方法は、上述したサスペンション用基板の製造方法であって、上記配線部を有する処理用部材を準備する準備工程と、上記処理用部材の配線部を構成する配線の少なくとも一つ覆うカバー層を形成するカバー層形成工程と、上記カバー層に対して、上記切れ込み部を形成する切れ込み部形成工程と、を有することを特徴とするものである。
【0092】
本発明によれば、カバー層に切れ込み部を設けることにより、反りを抑制したサスペンション用基板を得ることができる。
【0093】
本発明における準備工程は、上記処理用部材を準備する工程である。処理用部材は、少なくとも配線部を有する部材であり、通常、カバー層を形成する前の部材である。このような処理用部材としては、例えば、上述した図20(e)、(f)および図21(e)、(f)示す部材等を挙げることができる。なお、処理用部材の製造方法は、所望の処理用部材を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。
【0094】
また、本発明におけるカバー層形成工程は、処理用部材の配線部を構成する配線の少なくとも一つ覆うカバー層を形成する工程である。カバー層の材料を塗布する方法としては、特に限定されるものではなく、一般的な塗布方法を用いることができる。
【0095】
また、本発明おける切れ込み部形成は、上記カバー層に対して、上記切れ込み部を形成する工程である。切れ込み部の形成方法については、上述した「A.サスペンション用基板」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。また、本発明においては、切れ込み部で露出する配線層にめっきを行う配線めっき工程を有していても良い。また、切れ込み部を形成する際に、上述した薄肉層の形成を行っても良い。
【0096】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0097】
1…金属基板、2a…第一絶縁層、2b…第二絶縁層、3a…第一配線層、3b…第二配線層、3x…下部配線層、4…カバー層、4a…薄肉層、5…配線めっき層、11…ジンバル部、12…外部接続基板接続部、13…配線部、13X…長手方向配線領域、14…折り曲げ加工部、15…切れ込み部、15x…貫通切れ込み部、15y…配線間切れ込み部、15a…第一切れ込み部、15b…第二切れ込み部、20…サスペンション用基板、30…ロードビーム、40…サスペンション、41…磁気ヘッドスライダ、50…ヘッド付サスペンション、60…ハードディスクドライブ、61…ディスク、62…スピンドルモータ、63…アーム、64…ボイスコイルモータ、65…ケース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジンバル部と、外部接続基板接続部と、前記ジンバル部および前記外部接続基板接続部を接続する配線部と、前記配線部を構成する配線層の少なくとも一つを覆うカバー層とを有するサスペンション用基板であって、
前記配線部において、前記カバー層は、切れ込み部を一または二以上有することを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項2】
前記サスペンション用基板は、前記ジンバル部および前記外部接続基板接続部の間に位置する折り曲げ加工部を有し、
前記配線部は、前記折り曲げ加工部および前記ジンバル部の間に、前記サスペンション用基板の長手方向に沿って前記配線層が存在する長手方向配線領域を有し、
前記長手方向配線領域において、前記カバー層は、前記切れ込み部を有することを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項3】
前記切れ込み部は、前記カバー層の幅方向において、前記カバー層の一方の端部から他方の端部までを貫通する貫通切れ込み部であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサスペンション用基板。
【請求項4】
前記貫通切れ込み部の切れ込み方向と、前記カバー層の長さ方向とのなす角度が、30°〜90°の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載のサスペンション用基板。
【請求項5】
前記切れ込み部において、前記配線層が露出する露出部を有し、前記露出部に配線めっき層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
【請求項6】
前記切れ込み部において、前記カバー層よりも厚さの小さい薄肉層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
【請求項7】
前記配線部は、第一配線層および第二配線層を有し、
前記サスペンション用基板は、金属基板と、前記金属基板上に形成された第一絶縁層と、前記第一絶縁層上に形成された前記第一配線層および前記第二配線層と、前記第一配線層および前記第二配線層を覆う前記カバー層とを有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
【請求項8】
前記切れ込み部は、前記貫通切れ込み部と、前記第一配線層および前記第二配線層の間に形成された配線間切れ込み部とを有し、
前記貫通切れ込み部と、前記配線間切れ込み部とが互いに連結していることを特徴とする請求項7に記載のサスペンション用基板。
【請求項9】
前記切れ込み部は、前記カバー層の幅方向において、前記カバー層の一方の端部側に形成された第一切れ込み部と、前記カバー層の他方の端部側に形成された第二切れ込み部とを有し、
前記第一切れ込み部および前記第二切れ込み部は、前記カバー層の幅方向において、互いに重複しないように配置されていることを特徴とする請求項7に記載のサスペンション用基板。
【請求項10】
前記切れ込み部は、前記第一切れ込み部と、前記第二切れ込み部と、前記第一配線層および前記第二配線層の間に形成された配線間切れ込み部とを有し、
前記第一切れ込み部と、前記第二切れ込み部と、前記配線間切れ込み部とが互いに連結していることを特徴とする請求項9に記載のサスペンション用基板。
【請求項11】
前記配線部は、第一配線層および第二配線層を有し、
前記サスペンション用基板は、金属基板と、前記金属基板上に形成された第一絶縁層と、前記第一絶縁層上に形成された前記第一配線層と、前記第一配線層を覆う第二絶縁層と、前記第二絶縁層上に形成され、前記第一配線層と厚さ方向において重複する前記第二配線層と、前記第二配線層を覆う前記カバー層とを有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
【請求項12】
前記第一絶縁層および前記第二絶縁層の間に、一または二以上の下部配線層を有することを特徴とする請求項11に記載のサスペンション用基板。
【請求項13】
前記第一配線層および前記第二配線層を、それぞれ二以上有することを特徴とする請求項11または請求項12に記載のサスペンション用基板。
【請求項14】
請求項1から請求項13までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンション。
【請求項15】
請求項14に記載のサスペンションと、前記サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダと、を有することを特徴とするヘッド付サスペンション。
【請求項16】
請求項15に記載のヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項17】
ジンバル部と、外部接続基板接続部と、前記ジンバル部および前記外部接続基板接続部を接続する配線部と、前記配線部を構成する配線層の少なくとも一つを覆うカバー層とを有し、
前記配線部において、前記カバー層は、切れ込み部を一または二以上有するサスペンション用基板の製造方法であって、
前記配線部を有する処理用部材を準備する準備工程と、
前記処理用部材の配線部を構成する配線の少なくとも一つ覆うカバー層を形成するカバー層形成工程と、
前記カバー層に対して、前記切れ込み部を形成する切れ込み部形成工程と、
を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。
【請求項1】
ジンバル部と、外部接続基板接続部と、前記ジンバル部および前記外部接続基板接続部を接続する配線部と、前記配線部を構成する配線層の少なくとも一つを覆うカバー層とを有するサスペンション用基板であって、
前記配線部において、前記カバー層は、切れ込み部を一または二以上有することを特徴とするサスペンション用基板。
【請求項2】
前記サスペンション用基板は、前記ジンバル部および前記外部接続基板接続部の間に位置する折り曲げ加工部を有し、
前記配線部は、前記折り曲げ加工部および前記ジンバル部の間に、前記サスペンション用基板の長手方向に沿って前記配線層が存在する長手方向配線領域を有し、
前記長手方向配線領域において、前記カバー層は、前記切れ込み部を有することを特徴とする請求項1に記載のサスペンション用基板。
【請求項3】
前記切れ込み部は、前記カバー層の幅方向において、前記カバー層の一方の端部から他方の端部までを貫通する貫通切れ込み部であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のサスペンション用基板。
【請求項4】
前記貫通切れ込み部の切れ込み方向と、前記カバー層の長さ方向とのなす角度が、30°〜90°の範囲内であることを特徴とする請求項3に記載のサスペンション用基板。
【請求項5】
前記切れ込み部において、前記配線層が露出する露出部を有し、前記露出部に配線めっき層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
【請求項6】
前記切れ込み部において、前記カバー層よりも厚さの小さい薄肉層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
【請求項7】
前記配線部は、第一配線層および第二配線層を有し、
前記サスペンション用基板は、金属基板と、前記金属基板上に形成された第一絶縁層と、前記第一絶縁層上に形成された前記第一配線層および前記第二配線層と、前記第一配線層および前記第二配線層を覆う前記カバー層とを有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
【請求項8】
前記切れ込み部は、前記貫通切れ込み部と、前記第一配線層および前記第二配線層の間に形成された配線間切れ込み部とを有し、
前記貫通切れ込み部と、前記配線間切れ込み部とが互いに連結していることを特徴とする請求項7に記載のサスペンション用基板。
【請求項9】
前記切れ込み部は、前記カバー層の幅方向において、前記カバー層の一方の端部側に形成された第一切れ込み部と、前記カバー層の他方の端部側に形成された第二切れ込み部とを有し、
前記第一切れ込み部および前記第二切れ込み部は、前記カバー層の幅方向において、互いに重複しないように配置されていることを特徴とする請求項7に記載のサスペンション用基板。
【請求項10】
前記切れ込み部は、前記第一切れ込み部と、前記第二切れ込み部と、前記第一配線層および前記第二配線層の間に形成された配線間切れ込み部とを有し、
前記第一切れ込み部と、前記第二切れ込み部と、前記配線間切れ込み部とが互いに連結していることを特徴とする請求項9に記載のサスペンション用基板。
【請求項11】
前記配線部は、第一配線層および第二配線層を有し、
前記サスペンション用基板は、金属基板と、前記金属基板上に形成された第一絶縁層と、前記第一絶縁層上に形成された前記第一配線層と、前記第一配線層を覆う第二絶縁層と、前記第二絶縁層上に形成され、前記第一配線層と厚さ方向において重複する前記第二配線層と、前記第二配線層を覆う前記カバー層とを有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板。
【請求項12】
前記第一絶縁層および前記第二絶縁層の間に、一または二以上の下部配線層を有することを特徴とする請求項11に記載のサスペンション用基板。
【請求項13】
前記第一配線層および前記第二配線層を、それぞれ二以上有することを特徴とする請求項11または請求項12に記載のサスペンション用基板。
【請求項14】
請求項1から請求項13までのいずれかの請求項に記載のサスペンション用基板を含むことを特徴とするサスペンション。
【請求項15】
請求項14に記載のサスペンションと、前記サスペンションに実装された磁気ヘッドスライダと、を有することを特徴とするヘッド付サスペンション。
【請求項16】
請求項15に記載のヘッド付サスペンションを含むことを特徴とするハードディスクドライブ。
【請求項17】
ジンバル部と、外部接続基板接続部と、前記ジンバル部および前記外部接続基板接続部を接続する配線部と、前記配線部を構成する配線層の少なくとも一つを覆うカバー層とを有し、
前記配線部において、前記カバー層は、切れ込み部を一または二以上有するサスペンション用基板の製造方法であって、
前記配線部を有する処理用部材を準備する準備工程と、
前記処理用部材の配線部を構成する配線の少なくとも一つ覆うカバー層を形成するカバー層形成工程と、
前記カバー層に対して、前記切れ込み部を形成する切れ込み部形成工程と、
を有することを特徴とするサスペンション用基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2011−129187(P2011−129187A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285264(P2009−285264)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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