説明

サドル形エレクトロフュージョン継手用のクランプ

【課題】外径60mm以上のエレクトロフュージョンサドル継手をプラスチック管にクランプによって固定する際、主管部でのプラスチック管との密着性を向上させて該部での融着不良を解消する。
【解決手段】サドル継手11とプラスチック管3を固定するクランプ14は、サドル継手11の主管部2aに通し、サドル部2bに上方より被せて装着され、凸状に湾曲した内周面で主管部両側の湾曲したサドル部2bを押える上締め金具15と、下向きに凸状の半円形をなしてプラスチック管3に下方より当てがわれる下締め金具7よりなり、両締め金具7、15を締結すると、上締め金具15の内周面でサドル部2bを押え締着する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分岐配管の施工時にプラスチック管に電気融着される中大口径分岐用のサドル形エレクトロフュージョン継手をプラスチック管に固定するために用いるクランプに関する。
【背景技術】
【0002】
エレクトロフュージョン継手は、プラスチック管との接合面に埋設した電熱線に通電することで発熱させてプラスチック管との融着を行うもので、融着時には融着不良を来たさないようにするために界面圧力が一定以上立つようにする必要がある。そこでサドル継手の場合、融着時には、継手をプラスチック管にクランプで押付けて固定している。
【0003】
サドル継手における従来のクランプによる固定は、サドル継手のサドル部両側に側方に向けて突出形成された鍔部にプラスチック管を抱持する締め金具を引掛けて締め込むことにより行われているが、この方法は、融着のための通電時間が長い継手(主に外径60mm以上(呼び50以上)の中大口径用継手で、かつ融着時間が140秒を超える継手)を固定するのには適さない。継手を融着する際に発生する熱によってサドル部の外面まで温度が上昇するが、融着時間が長いことでこれが顕著化し、サドル部全体の樹脂が軟化することによりクランプ力が低下し安定した界面圧力が得られない恐れがあるためである。この界面圧力の低下は、継手とプラスチック管との密着性低下に繋がり、融着不良を起すおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、クランプによる固定時により安定して主幹部周辺を押える事により、広い融着部を持つ中大口径分岐用サドル形エレクトロフュージョン継手であってもプラスチック管との密着性を向上させて融着させる事を目的とし、この目的達成のために前記継手をプラスチック管に固定するために用いるクランプを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らの検討によれば、サドル部とプラスチック管とを融着時に密着させておくためには、サドル部をサドル部の融着箇所の下部からの引張力では無く、融着箇所の上部からの押付力によって押し付けることが重要である。詳しく言えば、サドル部が融着される箇所の下方部をクランプで押さえてサドル部下方部からの引張力により融着面に押し付けるのではなく、融着される箇所の上方部をクランプで押さえることにより、サドル部の上方部からの押付力によりサドル部とプラスチック管の融着面同士を密着させるように被押え部を配置することが重要である。
【0006】
本発明は係る点に鑑みてなされたもので、請求項1に係わる発明は、プラスチック管との接合面に電熱線を埋設した凸状に湾曲するサドル部と、該サドル部の中央部より突設される主幹部よりなる、中大口径分岐用のサドル形エレクトロフュージョン継手をプラスチック管に固定するために用いるクランプであって、前記サドル形エレクトロフュージョン継手の前記主幹部を通してサドル部に装着され、凸状に湾曲した内周面を前記主幹部両側の凸状に湾曲したサドル部に合致させて当て、該サドル部をプラスチック管の周方向に押える第1の締め金具と、プラスチック管に当てられる第2の締め金具と、サドル部に装着した第1の締め金具とプラスチック管に当てられた第2の締め金具を締着する締着手段を有し、該締着手段による両締め金具の締着により上記継手と管を固定することを特徴とするクランプ。
【0007】
本発明のエレクトロフュージョン継手は、サドル部を備えた好ましくは外径60mm(呼び50A)以上の中大口径分岐用継手で、継手品種としては、例えばサドル継手、サービスチー継手が挙げられる
【0008】
主幹部には継手が例えばサドル継手の場合では、分岐管が接続され、サービスチー継手の場合には、分岐管が接続されるスピゴットが横向きに突設される。
【0009】
本発明の第1の締め金具としては、主幹部に通してサドル部に装着され、サドル部を押える機能を有するものであればよく、特に制限はない。
【0010】
第2の締め金具もプラスチック管に当てられ、第1の締め金具と協同して継手と管を固定できるようになっていればよく、特に制限はない。
【0011】
締着手段としては、例えばボルトとナットよりなる止着手段、前述の第2の下締め金具に開閉可能に軸着され、第1の締め金具に形成されるフォーク部4に押込んで嵌合係止されるロッドを例示することができる。
【0012】
請求項2に係わる発明は、請求項1に係わる発明のクランプにおいて、前記第1の締め金具には、継手の主管部外周又は主管部周辺のサドル部に形成され、被押え部を押える押え部が前記第1の締め金具に当接して支持される取付部を介してボルトにて固着されることを特徴とする。
【0013】
被押え部は、例えば平坦部や突起等で構成されるが、要は押え部が被押え部を押えて押付力が付与される形態をなすものであれば、どのようなものでもよく、特に制限はない。こうした被押え部は、主幹部外周又は主幹部周辺のサドル部に一ないし数か所形成される。
【0014】
押え部は、前述するように被押え部を押えて押付力を付与する機能を有するものであればよく特に制限はない。敢えて例示すれば、被押え部が平坦部である場合には、平坦部又は突起で構成され、被押え部が突起で構成される場合には、平坦部又は突起に嵌合係止する凹部で構成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明のサドル形エレクトロフュージョン継手用のクランプによれば、第1の締め金具の凸状に湾曲する内周面を前記主幹部両側の凸状に湾曲したサドル部に合致させて当ててサドル部をプラスチック管の周方向に押えることにより長時間の融着により樹脂が軟化しても安定した界面圧力が得られるようになり、比較的融着面積の広い中大口径分岐用のサドル継手において、主管部又はその周辺で生じるおそれがあった融着不良を解消することができる。
【0016】
また電気融着時、クランプの押え部が継手の主管部外周又は主管部周辺のサドル部に形成される被押え部を押えて界面圧力に抗した押付力を安定して付与することにより、継手の主管部又は主管部周辺をプラスチック管に密着させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のクランプが用いられるエレクトロフュージョンサドル継手の斜視図。
【図2】サドル継手とプラスチック管を固定した本発明に係わるクランプの断面図。
【図3】同斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のサドル形エレクトロフュージョン継手用のクランプについて図面により説明する。
【0019】
図1に示すエレクトロフュージョンサドル継手11は、上向きに凸状に湾曲し、プラスチック管3と接合する内周面に電熱線を埋設したサドル部2bと、サドル部中央より突設され、図示しない分岐管が接続される主管部2aと、上記電熱線に接続される一対のターミナル2cと、主管部2aの基部外周にターミナル2cと直交する方向の対称位置に突設され、上面を平坦部とした被押え部である突起部12を備えている。該突起部12は本実施形態では対称位置に二か所設けられているが、一か所にのみ或いは三か所以上に設けてもよいし、図示する位置とはずらして設けてもよい。
【0020】
図2は、クランプ14の断面図、図3は同クランプ14の使用例を示す斜視図で、該クランプ14は上向きに凸状に湾曲してサドル継手11の主管部2aに通し、サドル部2bに上方より被せて装着される、四隅にフォーク部4を備えた第1の締め金具である上締め金具15と、下向きに凸状の半円形をなして両端に操作摘み6aを備えた締込用のロッド6を開閉可能に軸着した一対の第2の締め金具である下締め金具7よりなり、上締め金具15には突起部12と対向する箇所にそれぞれ取付部16を介して平坦な押え部17が一対のボルト18にて固着されている。この押え部17は、本実施形態では一対、対称位置に設けられているが、突起部12が前述するように、一或いは三か所以上に設けられる場合には、突起部12に対応して一或いは三か所以上に設けられる。
【0021】
プラスチック管3にサドル継手11を装着して図3に示すようにクランプ14で固着するときには、上締め金具15をサドル継手11のサドル部2bに上方より主管部2aを通して装着し、ついでプラスチック管3に下締め金具7を下方より当ててロッド6による締着を行う。この締着は、上締め金具15の両側において図示するように行われる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、好ましくは外径が60mm以上(呼び50A以上)の分岐径用サドル形エレクトロフュージョン継手とプラスチック管を電気融着する際に、継手とプラスチック管を固定するために用いるクランプに適用される。
【符号の説明】
【0023】
2a・・主管部
2b・・サドル部
2c・・ターミナル
3・・プラスチック管
4・・フォーク部
6・・ロッド
6a・・操作摘み
7・・下締め金具
11・・サドル継手
12・・突起部
14・・クランプ
15・・上締め金具
16・・取付部
17・・押え部
18・・ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック管との接合面に電熱線を埋設した凸状に湾曲するサドル部と、該サドル部の中央部より突設される主幹部よりなる、中大口径分岐用のサドル形エレクトロフュージョン継手をプラスチック管に固定するために用いるクランプであって、前記サドル形エレクトロフュージョン継手の前記主幹部を通してサドル部に装着され、凸状に湾曲した内周面を前記主幹部両側の凸状に湾曲したサドル部に合致させて当て、プラスチック管との接合面に電熱線を埋設した凸状に湾曲するサドル部と、該サドル部の中央部より突設される主幹部よりなる、中大口径分岐用のサドル形エレクトロフュージョン継手をプラスチック管に固定するために用いるクランプであって、前記サドル形エレクトロフュージョン継手の前記主幹部を通してサドル部に装着され、凸状に湾曲した内周面を前記主幹部両側の凸状に湾曲したサドル部に合致させて当て、該サドル部をプラスチック管の周方向に押える第1の締め金具と、プラスチック管に当てられる第2の締め金具と、サドル部に装着した第1の締め金具とプラスチック管に当てられた第2の締め金具を締着する締着手段を有し、該締着手段による両締め金具の締着により上記継手と管を固定することを特徴とするクランプ。
【請求項2】
前記第1の締め金具には、継手の主管部外周又は主管部周辺のサドル部に形成され、被押え部を押える押え部が前記第1の締め金具に当接して支持される取付部を介してボルトにて固着されることを特徴とする請求項1記載のクランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−145230(P2012−145230A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−94694(P2012−94694)
【出願日】平成24年4月18日(2012.4.18)
【分割の表示】特願2006−168849(P2006−168849)の分割
【原出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【出願人】(000197322)静岡瓦斯株式会社 (12)
【出願人】(504173529)武州瓦斯株式会社 (9)
【出願人】(000161998)京葉瓦斯株式会社 (46)
【出願人】(500245352)日本瓦斯株式会社 (6)
【出願人】(500247035)北陸瓦斯株式会社 (10)
【出願人】(501462620)斎長物産株式会社 (10)
【出願人】(000175021)三井化学産資株式会社 (47)
【Fターム(参考)】