サーバベース・コンピューティング・システムにおけるゲートウェイ装置、サーバ装置、帯域制御方法及びプログラム
【課題】サーバベース・コンピューティング・システムにおいて、サーバ装置よりクライアント装置に送出されるIPパケットに遅延や破棄が生じないようにすること。
【解決手段】サーバ装置11からクライアント装置12に向けて伝送されるIPパケットについて、管理対象ネットワーク10の境界にあるデフォルトゲートウェイ15で管理対象ネットワーク10外へのトラフィック量を監視して、トラフィック量をいくつかの段階でクラス判定を行い、クラス判定の結果を帯域情報パケットとしてサーバ装置11へ伝送し、該帯域情報パケットを受信したサーバ装置11はクラス判定値を基に画像の符号化方法を切り替え、帯域使用量が大のときにはデータ量を削減し、帯域使用量が小のときには画質を優先する符号化手法を選択するようにした。
【解決手段】サーバ装置11からクライアント装置12に向けて伝送されるIPパケットについて、管理対象ネットワーク10の境界にあるデフォルトゲートウェイ15で管理対象ネットワーク10外へのトラフィック量を監視して、トラフィック量をいくつかの段階でクラス判定を行い、クラス判定の結果を帯域情報パケットとしてサーバ装置11へ伝送し、該帯域情報パケットを受信したサーバ装置11はクラス判定値を基に画像の符号化方法を切り替え、帯域使用量が大のときにはデータ量を削減し、帯域使用量が小のときには画質を優先する符号化手法を選択するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバベース・コンピューティング・システムにおけるゲートウェイ装置、サーバ装置、帯域制御方法、及び、前記ゲートウェイ装置又は前記サーバ装置のコンピュータのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバベース・コンピューティング(SBC)システムにおいては、複数のクライアント装置がサーバ装置に接続される。そして、各クライアント装置でアプリケーション操作をすると、当該クライアント装置側で描画が必要となる毎に、サーバ装置側から符号化された画像符号化データが当該クライアント装置に向けてIPパケットとして伝送される。従って、描画実行の頻度が高いときには、伝送路が集中している部分でのIPパケットの輻輳の問題があった。
【0003】
例えば、事業所内あるいはフロア内の管理対象ネットワーク内には、ゲートウェイ装置(デフォルトゲートウェイ)が設置されて、外部のネットワークとの境界となっている。この外部のネットワークがインターネットの場合、最大使用帯域はネットワークへの接続手段により様々である。例えば、接続手段がPHS用通信回線を利用するものであれば最大使用帯域は数百kbpsであり、携帯電話機用通信回線を利用すれば数Mbps、専用線やケーブルであれば数百Mbps、光ファイバーネットワークであれば1Gbpsとなる。そして、外部のネットワーク上に複数のクライアント装置が存在する。
【0004】
管理対象ネットワーク内では、ゲートウェイ装置に接続したスイッチングハブにネットワーク機器が接続され、サーバ装置と他のネットワーク機器(例えば、PC(Personal Computer)、プリンタ、ストレージ機器)とが接続されている。
【0005】
クライアント装置へのIPパケット処理が集中する場所としては、サーバ装置内部と、ゲートウェイ装置とスイッチングハブ間、ゲートウェイ装置と管理対象ネットワーク外の部分、等が考えられる。
【0006】
管理対象ネットワーク内では、サーバ装置内部以外では、ゲートウェイ装置とスイッチングハブ間がIPパケットの集中がある場所であり、他の経路上はこの部分の処理を上回ることはない。これらは、当事者の管理対象ネットワーク内なので、それに見合うようにスイッチングハブの配置やゲートウェイ装置の配置を行えば良い話である。また、サーバ装置内部の場合には、サーバ装置を複数用意して、ユーザ別や用途別など分散処理すれば良い。
【0007】
これに対して、管理対象ネットワーク外のクライアント装置からのアクセスでは、ゲートウェイ装置の外側へ伝送されるときのトラフィックフローを予見することはできない。これらは、外部的要因で効率良く転送されるときもあれば、効率悪く転送されるときもあるからである。
【0008】
そこで、特許文献1では、このゲートウェイ装置と管理対象ネットワーク外の部分でのIPパケットの集中に対処するために、単位時間毎のIPパケットサイズの合計とIPパケット数を考慮して通信機器の処理負荷を一定にする帯域制御方法を提案している。これは、IPパケット処理による負荷を算出して、しきい値によりIPパケットの通過の可否を判断し制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−136785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記特許文献1のような、しきい値を超えた場合にはIPパケットを通過させないといった制御では、IPパケットの破棄が生じてしまう。
【0011】
SBCシステムでは、サーバ装置より送出されるIPパケットに遅延や破棄が生じると、一連のアプリケーション操作により生じた画面遷移が歯抜け状になってしまって、出力操作や入力操作と整合性のない結果となってしまう。
【0012】
例えば、文字や図形の入力・編集や、計算結果の文字表示やグラフ表示などに出力されるべきデータが欠けるとか、ブラウザアプリケーションでHTMLコンテンツを閲覧したが画像表示に異常があるようなことが起きてしまう。
【0013】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたもので、サーバベース・コンピューティング・システムにおいて、サーバ装置よりクライアント装置に送出されるIPパケットに遅延や破棄が生じないようにすることが可能なゲートウェイ装置、サーバ装置、帯域制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載のゲートウェイ装置は、クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信するサーバ装置と、前記クライアント装置との間にネットワークを介して接続されたゲートウェイ装置であって、前記クライアント装置毎のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶するユーザ別判定基準記憶手段と、前記クライアント装置全体のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶する全体判定基準記憶手段と、前記クライアント装置毎のデータ転送速度を計測するユーザ別計測手段と、前記クライアント装置全体のデータ転送速度を計測する全体計測手段と、計測された前記クライアント装置毎のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信するユーザ別判定手段と、計測された前記クライアント装置全体のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信する全体判定手段と、を備えたことを特徴としている。
【0015】
請求項2に記載のサーバ装置は、クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信し、クライアント装置との間にネットワークを介してゲートウェイ装置と接続されたサーバ装置であって、前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とに符号化方法を対応付けた符号化テーブルを記憶する符号化テーブル記憶手段と、前記ゲートウェイ装置から前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とを受信する受信手段と、受信した前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とから前記符号化テーブルを参照して符号化方法を判別する判別手段と、判別した前記符号化方法に従って前記画面データを符号化する符号化手段と、を備えたことを特徴としている。
【0016】
請求項3に記載の帯域制御方法は、クライアント装置と、クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信するサーバ装置と、前記クライアント装置と前記サーバ装置との間にネットワークを介して接続されたゲートウェイ装置とが、前記ネットワークを介して相互に接続可能に構成されたサーバベース・コンピューティング・システムにおいて、前記ゲートウェイ装置は、前記クライアント装置毎のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶し、前記クライアント装置全体のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶し、前記クライアント装置毎のデータ転送速度を計測し、前記クライアント装置全体のデータ転送速度を計測し、計測された前記クライアント装置毎のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信し、計測された前記クライアント装置全体のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信し、前記サーバ装置は、前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とに符号化方法を対応付けた符号化テーブルを記憶し、前記ゲートウェイ装置から前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とを受信し、受信した前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とから前記符号化テーブルを参照して符号化方法を判別し、判別した前記符号化方法に従って前記画面データを符号化する、ことを特徴としている。
【0017】
請求項4に記載のプログラムは、クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信するサーバ装置と、前記クライアント装置との間にネットワークを介して接続されたゲートウェイ装置のコンピュータを、前記クライアント装置毎のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶するユーザ別判定基準記憶手段、前記クライアント装置全体のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶する全体判定基準記憶手段、前記クライアント装置毎のデータ転送速度を計測するユーザ別計測手段、前記クライアント装置全体のデータ転送速度を計測する全体計測手段、計測された前記クライアント装置毎のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信するユーザ別判定手段、計測された前記クライアント装置全体のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信する全体判定手段、として機能させることを特徴としている。
【0018】
請求項5に記載のプログラムは、クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信し、クライアント装置との間にネットワークを介してゲートウェイ装置と接続されたサーバ装置のコンピュータを、前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とに符号化方法を対応付けた符号化テーブルを記憶する符号化テーブル記憶手段、前記ゲートウェイ装置から前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とを受信する受信手段、受信した前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とから前記符号化テーブルを参照して符号化方法を判別する判別手段、判別した前記符号化方法に従って前記画面データを符号化する符号化手段、として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、サーバベース・コンピューティング・システムにおいて、サーバ装置よりクライアント装置に送出されるIPパケットに遅延や破棄が生じないようにすることが可能なゲートウェイ装置、サーバ装置、帯域制御方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明のゲートウェイ装置、サーバ装置、帯域制御方法及びプログラムの一実施形態の適用されたサーバベース・コンピューティング(SBC)システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係るサーバ装置の回路構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、クライアント装置の回路構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明のゲートウェイ装置の一実施形態としてのデフォルトゲートウェイの構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、サーバ装置からクライアント装置に向けて送信されるIPパケットの構造を示す図である。
【図6】図6は、デフォルトゲートウェイで生成されてサーバ装置に伝送される帯域情報パケットの構造を示す図である。
【図7】図7は、デフォルトゲートウェイの送信処理のフローチャートを示す図である。
【図8】図8は、ユーザ別帯域クラス値判定基準テーブルを示す図である。
【図9】図9は、全体帯域クラス値判定基準テーブルを示す図である。
【図10】図10は、デフォルトゲートウェイの受信処理のフローチャートを示す図である。
【図11】図11は、サーバ装置の受信処理のフローチャートを示す図である。
【図12】図12は、符号化テーブルの例を示す図である。
【図13】図13は、本実施形態の効果を具体的に説明するためのSBCシステムの構成例を示す図である。
【図14】図14は、本実施形態の効果を具体的に説明するためのSBCシステムの別の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明のゲートウェイ装置、サーバ装置、帯域制御方法及びプログラムの一実施形態の適用されたサーバベース・コンピューティング(SBC)システムの構成を示すブロック図である。
【0023】
このSBCシステムは、本発明のサーバ装置の一実施形態に係るサーバ装置11がLAN(Local Area Network)によりスイッチングハブ(HUB)14に接続され、該スイッチングHUB14がLANにより本発明のゲートウェイ装置の一実施形態としてのデフォルトゲートウェイ15(またはルータ)に接続されて、一つの管理対象ネットワーク10を構成している。前述のスイッチングHUB14には、複数のサーバ装置11が接続されていても良い。
【0024】
管理対象ネットワーク10は、事業所単位とか建物のフロア単位に構成されて、デフォルトゲートウェイ15を経由して他のネットワークと接続される。管理対象ネットワーク10の外にある複数のクライアント装置12は、これらがLANやWAN(Wide Area Network)、インターネット等のネットワーク13、を介して互いに通信可能に接続されている。
【0025】
前記サーバ装置11は、例えば、管理対象ネットワーク10内のLANに有線接続されたパーソナルコンピュータである。該サーバ装置11は、例えば、文書作成処理プログラム,表計算処理プログラム,住所録プログラム,メモ帳プログラム,プレゼン資料作成プログラム,メール処理プログラム,インターネット接続処理プログラム、Web表示プログラム,等を含む各種アプリケーションプログラムを有している。そして、前記ネットワーク13を介して接続されたクライアント装置12からの操作入力(サービス要求)に応じたアプリケーションプログラムを起動し、その処理を実行する。
【0026】
このサーバ装置11において、前記サービス要求に対応する画面データ、つまりアプリケーションプログラムの実行に伴い生成された表示出力用の描画データは、所定の方式で符号化されて、その描画位置とサイズなど記述した転送ヘッダとともに、前記ネットワーク13を介してアクセス元のクライアント装置12に送られる。クライアント装置12では、サーバ装置11から送られた転送ヘッダと描画データとより描画データを復号して画面上に表示する。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態に係るサーバ装置11の回路構成を示すブロック図である。
サーバ装置11は、コンピュータとしてのCPU21を備える。このCPU21には、システムバス20を介して、メモリ22、フレームバッファRAM23、記憶部24、入力部25、表示部26、通信制御部(ネットワークインターフェイス)27、媒体読取り部28が接続される。
【0028】
CPU21は、記憶部24に予め記憶されたプログラムに記述された手順に従って各種処理を実行する。このCPU21によって実行されるプログラムには、OS(Operating System)の他、クライアント装置12が利用する仮想画面のデータをクライアント装置12へ転送する画面転送アプリケーション、この仮想画面への描画を行う各種描画アプリケーションなどが含まれる。
【0029】
メモリ22には、各クライアント装置12ごとに例えばユーザID等によって関連付けられた複数の仮想フレームバッファ22aが設けられている。
【0030】
フレームバッファRAM23は、サーバ装置11に備えられた表示部26の画面に表示する描画データをフレーム単位で保持するためのバッファメモリである。
【0031】
記憶部24には、画面転送アプリケーション24a、描画アプリケーション24bを含む各種プログラムを記憶するためのプログラム記憶領域が設けられる。
【0032】
入力部25は、例えばキーボード、マウスなどの入力デバイスからなり、オペレータが各種データの入力や指示を行う場合に用いられる。
【0033】
表示部26は、各種データを表示するものであり、例えばCRT(Cathode-ray tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などからなる。
【0034】
通信制御部27は、LANを介して外部の端末との間で通信処理を行うためのものであり、ここではサーバ装置11側で生成した描画データの送信処理や、クライアント装置12から送信されるデータの受信処理などを行う。
【0035】
媒体読取り部28は、外部記録媒体28aに記録されたデータを読み取る。外部記録媒体28aとしては、例えば磁気ディスク、光ディスク、フレシキブルディスク、メモリカードなどがある。
【0036】
図3は、前記クライアント装置12の回路構成を示すブロック図である。
クライアント装置12は、コンピュータとしてのCPU31を備える。このCPU31には、システムバス30を介して、メモリ32、フレームバッファRAM33、記憶部34、入力部35、表示部36、通信制御部37が接続される。
【0037】
CPU31は、記憶部34に予め記憶されたプログラム、あるいは、ネットワーク13を介して外部のサーバ装置から提供されたプログラムを読み込み、そのプログラムに記述された手順に従って各種処理を実行する。
【0038】
このCPU31によって実行されるプログラムとしては、OSとサーバ装置11との画面転送を行う接続アプリケーションとが主であり、その他の各種アプリケーションプログラムについては、基本的にサーバ装置11が保有している。
【0039】
メモリ32は、CPU31の処理動作に必要な各種データを記憶し、サーバ装置11から受信した転送ヘッダと描画データとを受信バッファ32aに記録する。
【0040】
フレームバッファRAM33は、クライアント装置12に備えられた表示部36の画面に表示する描画データをフレーム単位で保持するためのバッファメモリである。
【0041】
記憶部34には、クライアント装置12の動作を制御するための接続アプリケーション34aを含む各種プログラムを記憶するためのプログラム記憶領域が設けられる。
【0042】
入力部35は、例えばキーボード、マウス、タッチパネルなどの入力デバイスからなり、オペレータが各種データの入力や指示を行う場合に用いられる。
【0043】
表示部36は、各種データを表示するものであり、例えばLCDやELディスプレイなどからなる。
【0044】
通信制御部37は、ネットワーク13を介して外部の端末との間で通信処理を行うためのものであり、ここでは入力データを送信するための処理を行う。
【0045】
図4は、本発明のゲートウェイ装置の一実施形態としてのデフォルトゲートウェイ15の構成を示すブロック図である。
デフォルトゲートウェイ15は、コンピュータとしてのCPU41を備える。このCPU41には、システムバス40を介して、管理対象ネットワーク10内用のIN側パケット送受信部42と管理対象ネットワーク10外用のOUT側パケット送受信部43とが接続される。IN側パケット送受信部42には、IN側ネットワークインターフェイス(NIF_IN)44が接続され、該NIF_IN44には、サーバ装置11とLANによりスイッチングHUB14を経由して接続されている。また、OUT側パケット送受信部43には、OUT側ネットワークインターフェイス(NIF_OUT)45が接続され、該NIF_OUT45はネットワーク13上に接続されて、管理対象ネットワーク10外にあるクライアント装置12と携帯電話機用通信回線やPHS用通信回線、LANなどの様々な通信経路で接続される。
【0046】
前記CPU41には、さらに、前記システムバス40を介して、IN側受信メモリ46、IN側送信メモリ47、OUT側受信メモリ48、OUT側送信メモリ49、プロトコル変換手段50、帯域制御手段51、リアルタイムクロック(RTC)52が接続される。
【0047】
CPU41は、内部に予め記憶されたプログラムに記述された手順に従ってIN側パケット送受信部42/OUT側パケット送受信部43と、プロトコル変換手段50、帯域制御手段51の実行を行う。
【0048】
IN側パケット送受信部42は、NIF_IN44によりIPパケットの送受信を行う。IN側受信メモリ46には、IN側パケット送受信部42によりサーバ装置11から受信し処理待ちのIPパケットが格納され、IN側送信メモリ47には、サーバ装置11への送信待ちのIPパケットが格納される。
【0049】
OUT側パケット送受信部43は、NIF_OUT45によりIPパケットの送受信を行う。OUT側受信メモリ48には、OUT側パケット送受信部43によりクライアント装置12から受信し処理待ちのIPパケットが格納され、OUT側送信メモリ49には、クライアント装置12への送信待ちのIPパケットが格納される。
【0050】
プロトコル変換手段50は、受信しIN側受信メモリ46に格納されたIPパケットを管理対象ネットワーク10外用のプロトコルに変換したり、受信しOUT側受信メモリ48に格納されたIPパケットを管理対象ネットワーク10内用のプロトコルに変換したりする動作を行なう。
【0051】
帯域制御手段51は、RTC52よりの信号をもとに一定時間毎に、OUT側パケット送受信部43より管理対象ネットワーク10外に送信されるIPパケットのトラフィックフローを制御する動作を行なう。
【0052】
即ち、帯域制御手段51は、サーバ装置11からクライアント装置12に向けて伝送されるIPパケットについて、管理対象ネットワーク10外へのトラフィック量を接続ごとに監視して、トラフィック量を、いくつかの段階でクラス判定を行って、ユーザ帯域使用量をクラス値BUser化する。また併せて、全接続のトラフィック量についても、いくつかの段階でクラス判定を行って、全帯域使用量をクラス値BTotal化する。そして、ユーザ別帯域クラス値BUserと全体の帯域クラス値BTotalとをサーバ装置11側へ伝送するための帯域情報パケットを形成して、サーバ装置11へ伝送する。
【0053】
サーバ装置11は、そのデフォルトゲートウェイ15からの帯域情報パケットを受信後、ユーザ別帯域クラス値BUserと全体の帯域クラス値BTotalの値に応じて、画像の符号化方法を切り替える。例えば、帯域使用量つまり帯域負荷が大のときにはデータ量を削減するための符号化手法に切り替え、帯域負荷が小のときには画質を優先する符号化手法に切り替える。
【0054】
図5は、サーバ装置11からクライアント装置12に向けて送信されるIPパケット60の構造を示す図である。
【0055】
ここでは、IPv4書式で説明し、デフォルトゲートウェイ15内部での取り扱いを説明するので、ネットワーク経路上でIPパケットの前に付き、ネットワーク機器間で転送元・転送先のMACアドレスを記述する、MACフレームは省略する。
【0056】
IPパケット60は、IPヘッダ61とデータ62とからなる。IPヘッダ61は、RFC791などに示される構造で、IPヘッダ61内にIPヘッダ長とデータ長を合わせたパケット長61aが記述され、送信元(サーバ装置11)IPアドレス61bと最終宛先(クライアント装置12)IPアドレス61cとが記述されている。データ62の部分には、クライアント装置12の表示部26に表示すべき描画データ等がSBCプロトコルデータとして記述される。
【0057】
図6は、デフォルトゲートウェイ15で生成されてサーバ装置11を宛先に伝送される帯域情報パケット70の構造を示す図である。
【0058】
この帯域情報パケット70も、IPパケット60と同様に、IPヘッダ71とデータ72とからなる。IPヘッダ71内には、IPヘッダ長とデータ長を合わせたパケット長71aが記述され、送信元IPアドレス71bはデフォルトゲートウェイ15のアドレスを記述し、宛先IPアドレス71cは、宛先の対象サーバ装置11のIPアドレスを記述する。また、データ72の部分には、サーバ装置11のIPアドレスであるサーバIPアドレス72a、クライアント装置12のIPアドレスであるクライアントIPアドレス72b、デフォルトゲートウェイ15のIPアドレスであるゲートウェイIPアドレス72c、ユーザ別帯域クラス値BUser72d、全体の帯域クラス値BTotal72eを記述する。ここで、サーバIPアドレス72a及びクライアントIPアドレス72bは、クライアント装置12から送られてきた対象IPパケットから読み取った情報を転記する。なお、クライアント装置12のIPアドレスはSBCプロトコル内に暗号化されており、デフォルトゲートウェイ15では読み出せないこともあるので、必須項目ではない。
【0059】
図7は、図4に示したデフォルトゲートウェイ15の送信処理のフローチャートを示す図である。以下、この図7のフローチャートと、図4及び図5とを合わせて参照して、デフォルトゲートウェイ15の送信(サーバ装置11からクライアント装置12)動作を説明する。
【0060】
まず、IN側パケット送受信部42は、サーバ装置11からのIPパケット60をNIF_IN44で受信し(ステップS11)、IN側受信メモリ46に一時記録する(ステップS12)。CPU41は、そのIN側受信メモリ46に一時記録されたIPパケット60を読み出し(ステップS13)、必要に応じてプロトコル変換手段50に与えて、該プロトコル変換手段50によって管理対象ネットワーク10内用のプロトコルから管理対象ネットワーク10外用のプロトコルへの変換を行う(ステップS14)。そして、読み出した又は必要に応じて変換したIPパケット60を、OUT側送信メモリ49に一時記録して待機する(ステップS15)。
【0061】
その後、送信可能となった状態で、CPU41は、OUT側送信メモリ49よりIPパケット60を読み出して、帯域制御手段51に与える(ステップS16)。そして、該帯域制御手段51によって、そのIPパケット60からIPヘッダ61に記述されているパケット長61a、宛先IPアドレス61c、送信元IPアドレス61bを読み出す(ステップS17)。そして、当該帯域制御手段51が備える不図示メモリに記憶している該当する接続間転送パケット量にパケット長を加算し(ステップS18)、同じく不図示内部メモリに記憶している全体の送信パケット量にもパケット長を加算する(ステップS19)。その後、帯域制御手段51からOUT側パケット送受信部43へIPパケット60を送り、該OUT側パケット送受信部43がNIF_OUT45よりそのIPパケット60をクライアント装置12に向けて送信する(ステップS20)。
【0062】
また、帯域制御手段51は、RTC52よりの信号を元に一定時間ごとに、例えば10ミリ秒〜1秒ごとに割り込み処理が挿入されるようになっている。割り込みが発生すると(ステップS21)、帯域制御手段51は、前記ステップS18で求めた接続間転送パケット量より単位時間当たりの接続間転送パケット量つまりデータ転送レートを算出する(ステップS22)。即ち、該帯域制御手段51は、クライアント装置毎のデータ転送速度(データ転送レート)を計測するユーザ別計測手段として機能する。そして、帯域制御手段51は、その算出したデータ転送レートを予め用意してあるクラス分けの基準にしたがってクラス値BUser化する(ステップS23)。
【0063】
図8は、このクラス分けの判定基準として、帯域制御手段51の図示しない内部メモリ(ユーザ別判定基準記憶手段)に記憶されている、クライアント装置毎のデータ転送レートとそのクラス値とを関連付けしたユーザ別帯域クラス値判定基準テーブル51aを示す図である。
【0064】
クラス値BUserは、0〜5までの6段階に設定されて、データ転送レートに応じて割り当てられている。図8では、クラス0が8Mbps以上とし、クラス5が512kbps未満となっている。
【0065】
また、帯域制御手段51は、前記ステップS19で求めた全体の送信パケット量より単位時間当たりの送信パケット量つまりデータ転送レートを算出する(ステップS24)。即ち、該帯域制御手段51は、クライアント装置全体のデータ転送速度(データ転送レート)を計測する全体計測手段として機能する。そして、その算出したデータ転送レートを予め用意してあるクラス分けの基準にしたがってクラス値BTotal化する(ステップS25)。
【0066】
図9は、このクラス分けの判定基準として、帯域制御手段51の図示しない内部メモリ(全体判定基準記憶手段)に記憶されている、クライアント装置全体のデータ転送レートとそのクラス値とを関連付けした全体帯域クラス値判定基準テーブル51bを示す図である。
【0067】
クラス値BTotalは、0〜5までの6段階に設定されて、データ転送レートに応じて割り当てられている。図9では、クラス0が96Mbps以上とし、クラス5が6Mbps未満となっている。
【0068】
そして、帯域制御手段51は、前記ステップS23及びS25で求めたクラス値BUser及びBTotalと、不図示内部メモリに記憶している前回の各クラス値との比較する(ステップS26,S27)。その結果、クラス値の変更がなかった場合には、接続間転送パケット量と全体の送信パケット量をクリアして(ステップS28,S29)、このタイマ割り込み処理を完了する。
【0069】
これに対して、前記ステップS26またはステップS27において、ユーザ別帯域クラス値BUserあるいは全体の帯域クラス値BTotalのいずれかに変更があった場合には、帯域制御手段51は、ユーザ別帯域クラス値BUserあるいは全体の帯域クラス値BTotalの前回値を更新し、図6で示したような帯域情報パケット70を形成する(ステップS30)。そして、それをサーバ装置11宛に送信した後(ステップS31)、接続間転送パケット量と全体の送信パケット量をクリアして(ステップS28,S29)、このタイマ割り込み処理を完了する。
【0070】
以上のように、帯域制御手段51は、計測された前記クライアント装置毎のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信するユーザ別判定手段、及び、計測された前記クライアント装置全体のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信する全体判定手段、として機能する。
【0071】
図10は、図4に示したデフォルトゲートウェイ15の受信処理のフローチャートを示す図である。以下、この図10のフローチャートと、図4及び図5とを合わせて参照して、デフォルトゲートウェイ15の受信(クライアント装置12からサーバ装置11)動作を説明する。
【0072】
まず、OUT側パケット送受信部43は、クライアント装置12からのIPパケット60をNIF_OUT45で受信し(ステップS41)、OUT側受信メモリ48に一時記録する(ステップS42)。CPU41は、そのOUT側受信メモリ48に一時記録されたIPパケット60を読み出し(ステップS43)、必要に応じてプロトコル変換手段50に与えて、該プロトコル変換手段50によって管理対象ネットワーク10外用のプロトコルから管理対象ネットワーク10内用のプロトコルへの変換を行う(ステップS44)。そして、読み出した又は必要に応じて変換したIPパケット60を、IN側送信メモリ47に一時記録して待機する(ステップS45)。
【0073】
その後、送信可能となった状態で、CPU41は、IN側送信メモリ47よりIPパケット60を読み出して、IN側パケット送受信部42へ送る(ステップS46)。IN側パケット送受信部42は、NIF_OUT45よりそのIPパケット60をサーバ装置11に向けて送信する(ステップS47)。
【0074】
また、IN側送信メモリ47には、帯域制御手段51にて形成された帯域情報パケット70も記録される。この帯域情報パケット70は、送信可能となった状態で、CPU41がIN側送信メモリ47より読み出されて(ステップS46)、IN側パケット送受信部42によってNIF_OUT45よりサーバ装置11に向けて送信される(ステップS47)。
【0075】
図11は、図2に示したサーバ装置11のCPU21で実行される受信処理のフローチャートを示す図である。
通常のクライアント装置12から受信したIPパケット60には、マウスやキーボード等の入力部35による操作情報(以下、操作コマンド)のほか、ユーザ設定情報などがデータ62として記述されている。送信元IPアドレス61bには、当該クライアント装置12のIPアドレスが記述されている。
【0076】
また、デフォルトゲートウェイ15で発行された帯域情報パケット70のデータ72の部分には、図6で示したように、サーバIPアドレス72a、クライアントIPアドレス72b、ゲートウェイIPアドレス72c、ユーザ別帯域クラス値BUser72d、全体の帯域クラス値BTotal72eが記述されている。
【0077】
このような通常のクライアント装置12からのIPパケット60あるいは帯域情報パケット70は、サーバ装置11の通信制御部27で受信され(ステップS51)、それぞれ仕分けされてメモリ22に一時記録される。即ち、受信したIPパケットがクライアント装置12からのIPパケット60であれば(ステップS52)、メモリ22の当該クライアント装置12用の領域に記録される(ステップS53)。また、受信したIPパケットが帯域情報パケット70であれば(ステップS54)、メモリ22の帯域情報パケット70用の領域に記録される(ステップS55)。このように、CPU21は、前記ゲートウェイ装置から前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とを受信する受信手段として機能する。
【0078】
ここで、帯域情報パケット70を受信した場合には、前記メモリ22に一時記録した帯域情報パケット70から、ユーザ別帯域クラス値BUser72dと全体の帯域クラス値BTotal72eとを読み出して(ステップS56,S57)、描画アプリケーション24bにこれらの値を引き渡す(ステップS58)。
【0079】
これに対して、通常のクライアント装置12からのIPパケット60を受信した場合には、前記メモリ22に一時記録したIPパケット60のデータ62の部分に記述されている操作コマンドを画面転送アプリケーション24aに受け渡す(ステップS59)。そして、その操作コマンドを実行して(ステップS60)、描画アプリケーション24bで該操作コマンド実行に応じた描画処理による再描画画面をメモリ22内のフレームバッファ22aに形成する(ステップS61)。
【0080】
その後、画面転送アプリケーション24aによりメモリ22内のフレームバッファ22aへの描画データの画像符号化手法を決定する(ステップS62)。これは、通常、ログオン時に設定されメモリ22に記録されているユーザ接続条件(ユーザID、クライアント装置種別、クライアント装置解像度、クライアント装置の最大処理帯域)80と、対象領域の幅や高さ、使用色数などの情報とに基づいて決定されるものである。本実施形態では更に、帯域情報パケット70から引き渡されたユーザ別帯域クラス値BUser72dと全体の帯域クラス値BTotal72eも用いて決定する。このように、CPU21は、受信した前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とから前記符号化テーブルを参照して符号化方法を判別する判別手段として機能する。
【0081】
そして、画像符号化手法として高圧縮モードが決定されたならば(ステップS63)、前記ステップS61でメモリ22内のフレームバッファ22aに形成した再描画画面を低画質で符号量の少ない高圧縮条件で圧縮することで描画データを作成する(ステップS64)。
【0082】
また、画像符号化手法として中圧縮モードが決定されたならば(ステップS65)、前記フレームバッファ22aに形成した再描画画面を中画質で符号量の中間な中圧縮条件で圧縮して描画データを作成する(ステップS66)。
【0083】
画像符号化手法として中圧縮モードも決定されていないならば(ステップS65)、低圧縮モードが決定されたとして、前記フレームバッファ22aに形成した再描画画面を高画質で符号量の多い低圧縮条件で圧縮して描画データを作成する(ステップS67)。
【0084】
このように、画像符号化処理を決定した符号化手法で行い、高圧縮率設定と中圧縮率設定と低圧縮率設定(画質優先)とに符号化処理が分かれて処理される。
【0085】
本実施形態では、符号化手法としてはJPEG(Joint Photographic Experts Group)とGIF(Graphics Interchange Format)を用いる。
【0086】
JPEGは、量子化テーブルの切り替えにより圧縮率設定を変更し、高画質で符号量の多い低圧縮条件と、中画質で符号量の中間な中圧縮条件と、低画質で符号量の少ない高圧縮条件とを帯域情報パケットからの情報により切り替えて用いる。
【0087】
GIFは、256色以下の画像の符号化に利用するが、データ長や符号化処理時間の点で帯域情報パケット70からの情報によってJPEG処理に振り替えられる。
【0088】
以上のように、CPU21は、判別した前記符号化方法に従って前記画面データを符号化する符号化手段として機能する。
【0089】
そして、前記ステップS64,S66,S67のいずれかで形成された描画データは、通信制御部27よりデフォルトゲートウェイ15経由で宛先クライアント装置12へと伝送される。
【0090】
図12は、画面転送アプリケーション24aの一部として記憶部24(符号化テーブル記憶手段)に記憶されている、前記ステップS62での画像符号化手法の決定に際して用いられる、前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値(ユーザ別帯域クラス値BUser)と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値(全体の帯域クラス値BTotal)とに符号化方法を対応付けた符号化テーブル24a1,24a2の例を示す図である。
【0091】
符号化テーブル24a1は、携帯電話機画面の場合に用いられるもので、画面サイズ480×800ドットを想定し、1Mbps帯域での使用を想定した条件表である。符号化テーブル24a2は、PC画面の場合に用いられるもので、画面サイズ1024×768ドットを想定した条件表である。
【0092】
これらの符号化テーブル24a1,24a2は、ユーザのログオン時のユーザ接続条件80と、帯域情報パケット70から取得したユーザ別帯域クラス値BUser72dと全体の帯域クラス値BTotal72eとからユーザ環境ごとに形成されて、符号化手法の選択基準となる。
【0093】
即ち、帯域のクラス値が大きくなるほどデータ長の圧縮は低くなり画質は高く設定され、クラス値が小さくなるとデータ長の圧縮は高く画質は低く設定される。高圧縮率設定JPEG処理から順に中圧縮率設定JPEG、中圧縮率設定JPEG/GIF、低圧縮率設定JPEG/GIFとデータ長が長くなることを想定している。
【0094】
ユーザ別帯域クラス値BUserとユーザ接続条件80にある最大使用帯域との兼ね合いで、ユーザ環境により符号化の仕分けが変わり、最大使用帯域を超えると高圧縮率設定が望まれる。
【0095】
例えば、携帯電話機画面ではBUser/BTotalが3/3のときにはJH(高圧縮率設定JPEG)となりデータ長優先の状態になるのに対して、PC画面ではBUser/BTotalが3/3のJM(中圧縮率設定JPEG)/GIFとなり画質を維持した状態となる。BUser=3は単位時間の転送速度が1Mbps以上の状態で、BTotal=3は単位時間の転送速度が12Mbps以上の状態であり、携帯電話機に対してBUser=3は単位時間の転送速度が1Mbps以上の状態を続けると送信データの遅延が生じ易い。そのため、データ量を削減する符号化方法が選択される。
【0096】
全体の帯域クラス値BTotal72eがクラス0(96Mbps以上)やクラス1(48Mbps以上)になると、広い帯域で利用できるPC画面でもデータ長を短くするために符号化方法の切り替えが生じる。
【0097】
図13は、本実施形態の効果を具体的に説明するためのSBCシステムの構成例を示す図である。
【0098】
この構成例では、サーバ装置11−1に接続するクライアント装置グループ12G−1と、サーバ装置11−2に接続するクライアント装置グループ12G−2とが存在する。
【0099】
クライアント装置グループ12G−1,12G−2における各クライアント装置12は、いずれも携帯電話機であり、画面サイズ480×800ドット、最大使用帯域1Mbpsであるとする。また、クライアント装置グループ12G−1は10台のクライアント装置12を含み、クライアント装置グループ12G−2は30台のクライアント装置12を含むものとする。
【0100】
デフォルトゲートウェイ15には、クライアント装置グループ12G−1の10接続のためのIPパケットと、クライアント装置グループ12G−2の30接続のためのIPパケットとが送受信されている。1接続当たり1Mbpsを40台のクライアント装置12に配信するために計40Mbps相当のIPパケットを送出する必要がある。デフォルトゲートウェイ15は、管理対象ネットワーク10内よりも外側のほうが外的影響で輻輳や遅延を生じ易い。
【0101】
本実施形態におけるデフォルトゲートウェイ15では、該デフォルトゲートウェイ15から管理対象ネットワーク10外に送信されるIPパケットのトラフィックを監視し、単位時間当たりの送信パケット量つまりデータ転送レートでネットワーク13の混雑具合を全体の帯域クラス値BTotalと接続別帯域クラス値BUserとして評価することができる。
【0102】
そして、それらの評価結果をそれぞれのサーバ装置11−1,11−2に帯域情報パケット70で送付することで、各サーバ装置11内で動作する画面転送アプリケーション24aに対して符号化方法の変更を指示できる。
【0103】
このようにして、デフォルトゲートウェイ15から管理対象ネットワーク10外に送信される全データ量の変化に応じて、転送データの多いときには全体の帯域クラス値BTotalが小さくなり、高圧縮設定に切り替えてデータ長の削減をすることを各サーバ装置11に促し、逆に、転送データの少ないときには全体の帯域クラス値BTotalが大きくなるので、低圧縮率設定に切り替えて画質優先にすることを各サーバ装置11に促すことができる。
【0104】
また、全体での負荷が高くないときには、それぞれのクライアント装置グループ12G−1,12G−2の描画動作の状況に応じて、各接続別帯域クラス値BUserの値が増減し、一方のグループの転送データの多いときにはデータ長の削減を該当サーバ装置11に促し、転送データの少ないときには画質優先を該当サーバ装置11に促すことができる。
【0105】
サーバ装置側で帯域を評価した場合には、このように複数サーバ装置11−1,11−2と接続された経路での帯域を評価することは難しい点が多い。
【0106】
図14は、本実施形態の効果を具体的に説明するためのSBCシステムの別の構成例を示す図である。
【0107】
この構成例では、サーバ装置11と接続する2台のクライアント装置12−1,12−2が存在する。クライアント装置12−1は、携帯電話機であり、画面サイズ480×800ドット、最大使用帯域1Mbpsであり、クライアント装置12−2は、PCであって、画面サイズ1024×768ドット、最大使用帯域10Mbpsで設定されているものとする。
【0108】
デフォルトゲートウェイ15には、クライアント装置12−1の1接続のためのIPパケットと、クライアント装置12−2の1接続のためのIPパケットとが送受信されており、計11Mbps相当のIPパケットを送出しないとそれぞれに配信できない。しかし、これは、100Mbpsあるいは1Gbps仕様のネットワーク機器では、それほど大きな負荷とはならない。
【0109】
しかし、サーバ装置11で同じ処理を行って、クライアント装置12−1とクライアント装置12−2に表示出力した場合に、例えば画像のスライド表示とかブラウザソフトを利用した画像の閲覧などの時に、同じ符号化条件でデータを送ると、クライアント装置12−1は接続帯域がクライアント装置12−2より狭いためデータの遅延が発生し易い。
【0110】
本実施形態におけるデフォルトゲートウェイ15では、該デフォルトゲートウェイ15から管理対象ネットワーク10外に送信されるIPパケットのトラフィックを接続単位で監視し、単位時間当たりの送信パケット量つまりデータ転送レートでネットワーク13の混雑具合を接続別帯域クラス値BUserとして評価することができる。
【0111】
この例では、2接続で11Mbpsであるので全体の帯域のクラス値BTotalはクラス4(6Mbps以上)であり、クライアント装置12−1の接続別帯域クラス値BUserはクラス3(1Mbps以上)、クライアント装置12−2の接続別帯域クラス値BUserはクラス0(8Mbps以上)である。
【0112】
そして、これらの評価結果をサーバ装置11に帯域情報パケット70で送付することで、サーバ装置11内で動作する画面転送アプリケーション24aに対して符号化方法の変更を指示できる。
【0113】
狭い帯域のクライアント装置12−1に対してはクラス3(1Mbps以上)の状態で早期に高圧縮率設定に切り替えて、データ長の削減をサーバ装置11に促し、転送データの少ない時間帯のクラス4(512kbps以上)の状態では中圧縮率設定とし画質優先をサーバ装置11に促すことができる。
【0114】
また、帯域の広いクライアント装置12−2には、全体の帯域の負荷が少ないときには、接続別に管理しているので中圧縮率設定の符号化手法で画質を劣化させずに送付できる。
【0115】
以上のように、本実施形態によれば、デフォルトゲートウェイ15で管理対象ネットワーク10外へのトラフィック量を監視して、トラフィック量をいくつかの段階でクラス判定を行い、クラス判定の結果を帯域情報パケット70としてサーバ装置11へ伝送し、帯域情報パケット70を受信したサーバ装置11はクラス判定値を基に画像の符号化方法を切り替え、帯域使用量大のときにはデータ量を削減し、帯域使用量小のときには画質を優先する符号化手法を選択し、実行する。
【0116】
これにより、携帯電話機のような狭帯域のクライアント装置12でも通信環境の変化に対して円滑に符号化方法を切り替えることができ、送付されるデータ量を削減することで、当該クライアント装置12の利用を維持することができる。
【0117】
また、接続ユーザ数やクライアント装置12の種類に応じて、符号化方法を切り替えことにより、通信経路上のクライアント装置12に処理可能なデータ量に調整することができる。
【0118】
さらに、複数のサーバ装置11を利用する時の場合に、個別に管理された接続ユーザ数からサーバ装置11が帯域情報を得ることは難しいが、共通に接続されるデフォルトゲートウェイ15で管理対象ネットワーク10外へのトラフィック量を監視することで、複数のサーバ装置11を利用する場合でも、クライアント装置12へのデータ供給を維持できる。
【0119】
なお、前記一実施形態において記載したサーバ装置11による各処理の手法、すなわち、図11のフローチャートに示す処理の各手法は、コンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記録媒体28aに格納して配布することができる。そして、サーバ装置11のコンピュータ(CPU21)は、この外部記録媒体28aに記憶されたプログラムを記憶装置(メモリ22や記憶部24)に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記一実施形態において説明した受信処理を実行することができる。
【0120】
また、前記受信処理を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態としてネットワーク13上を伝送させることができ、このネットワーク13に接続されたコンピュータ装置(プログラムサーバ)から前記のプログラムデータを取り込んで記憶装置(メモリ22や記憶部24)に記憶させ、前述した受信処理を実現することもできる。
【0121】
また、デフォルトゲートウェイ15の帯域制御手段51は、該デフォルトゲートウェイ15のコンピュータ(CPU41)によるソフトウェア処理に置き換えても良い。この場合、図7のフローチャートに示す帯域制御手段51の処理の各手法は、コンピュータに実行させることができるプログラムとして、システムバス40に接続した記憶装置に又はコンピュータ(CPU41)の内部メモリに記憶させておく。勿論、サーバ装置11の場合と同様に、何らかの外部記録媒体やネットワーク13を介して、プログラムデータを取り込んで記憶させるようにしても構わない。
【0122】
なお、本願発明は、前記一実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記一実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0123】
10…管理対象ネットワーク
11,11−1,11−2…サーバ装置
12,12−1,12−2…クライアント装置
12G−1,12G−2…クライアント装置グループ
13…ネットワーク
14…スイッチングハブ(HUB)
15…デフォルトゲートウェイ
20,30,40…システムバス
21,31,41…CPU
22,32…メモリ
22a…フレームバッファ
23,33…フレームバッファRAM
24,34…記憶部
24a…画面転送アプリケーション
24b…描画アプリケーション
24a1,24a2…符号化テーブル
25,35…入力部
26,36…表示部
27,37…通信制御部
28…媒体読取り部
28a…外部記録媒体
32a…受信バッファ
34a…接続アプリケーション
42…IN側パケット送受信部
43…OUT側パケット送受信部
44…IN側ネットワークインターフェイス(NIF_IN)
45…OUT側ネットワークインターフェイス(NIF_OUT)
46…IN側受信メモリ
47…IN側送信メモリ
48…OUT側受信メモリ
49…OUT側送信メモリ
50…プロトコル変換手段
51…帯域制御手段
51a…ユーザ別帯域クラス値判定基準テーブル
51b…全体帯域クラス値判定基準テーブル
52…リアルタイムクロック(RTC)
60…IPパケット
61,71…IPヘッダ
61a,71a…パケット長
61b,71b…送信元IPアドレス
61c,71c…宛先IPアドレス
62,72…データ
70…帯域情報パケット
72a…サーバIPアドレス
72b…クライアントIPアドレス
72c…ゲートウェイIPアドレス
72d…ユーザ別帯域クラス値BUser
72e…全体の帯域クラス値BTotal
80…ユーザ接続条件
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバベース・コンピューティング・システムにおけるゲートウェイ装置、サーバ装置、帯域制御方法、及び、前記ゲートウェイ装置又は前記サーバ装置のコンピュータのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバベース・コンピューティング(SBC)システムにおいては、複数のクライアント装置がサーバ装置に接続される。そして、各クライアント装置でアプリケーション操作をすると、当該クライアント装置側で描画が必要となる毎に、サーバ装置側から符号化された画像符号化データが当該クライアント装置に向けてIPパケットとして伝送される。従って、描画実行の頻度が高いときには、伝送路が集中している部分でのIPパケットの輻輳の問題があった。
【0003】
例えば、事業所内あるいはフロア内の管理対象ネットワーク内には、ゲートウェイ装置(デフォルトゲートウェイ)が設置されて、外部のネットワークとの境界となっている。この外部のネットワークがインターネットの場合、最大使用帯域はネットワークへの接続手段により様々である。例えば、接続手段がPHS用通信回線を利用するものであれば最大使用帯域は数百kbpsであり、携帯電話機用通信回線を利用すれば数Mbps、専用線やケーブルであれば数百Mbps、光ファイバーネットワークであれば1Gbpsとなる。そして、外部のネットワーク上に複数のクライアント装置が存在する。
【0004】
管理対象ネットワーク内では、ゲートウェイ装置に接続したスイッチングハブにネットワーク機器が接続され、サーバ装置と他のネットワーク機器(例えば、PC(Personal Computer)、プリンタ、ストレージ機器)とが接続されている。
【0005】
クライアント装置へのIPパケット処理が集中する場所としては、サーバ装置内部と、ゲートウェイ装置とスイッチングハブ間、ゲートウェイ装置と管理対象ネットワーク外の部分、等が考えられる。
【0006】
管理対象ネットワーク内では、サーバ装置内部以外では、ゲートウェイ装置とスイッチングハブ間がIPパケットの集中がある場所であり、他の経路上はこの部分の処理を上回ることはない。これらは、当事者の管理対象ネットワーク内なので、それに見合うようにスイッチングハブの配置やゲートウェイ装置の配置を行えば良い話である。また、サーバ装置内部の場合には、サーバ装置を複数用意して、ユーザ別や用途別など分散処理すれば良い。
【0007】
これに対して、管理対象ネットワーク外のクライアント装置からのアクセスでは、ゲートウェイ装置の外側へ伝送されるときのトラフィックフローを予見することはできない。これらは、外部的要因で効率良く転送されるときもあれば、効率悪く転送されるときもあるからである。
【0008】
そこで、特許文献1では、このゲートウェイ装置と管理対象ネットワーク外の部分でのIPパケットの集中に対処するために、単位時間毎のIPパケットサイズの合計とIPパケット数を考慮して通信機器の処理負荷を一定にする帯域制御方法を提案している。これは、IPパケット処理による負荷を算出して、しきい値によりIPパケットの通過の可否を判断し制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−136785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記特許文献1のような、しきい値を超えた場合にはIPパケットを通過させないといった制御では、IPパケットの破棄が生じてしまう。
【0011】
SBCシステムでは、サーバ装置より送出されるIPパケットに遅延や破棄が生じると、一連のアプリケーション操作により生じた画面遷移が歯抜け状になってしまって、出力操作や入力操作と整合性のない結果となってしまう。
【0012】
例えば、文字や図形の入力・編集や、計算結果の文字表示やグラフ表示などに出力されるべきデータが欠けるとか、ブラウザアプリケーションでHTMLコンテンツを閲覧したが画像表示に異常があるようなことが起きてしまう。
【0013】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたもので、サーバベース・コンピューティング・システムにおいて、サーバ装置よりクライアント装置に送出されるIPパケットに遅延や破棄が生じないようにすることが可能なゲートウェイ装置、サーバ装置、帯域制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載のゲートウェイ装置は、クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信するサーバ装置と、前記クライアント装置との間にネットワークを介して接続されたゲートウェイ装置であって、前記クライアント装置毎のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶するユーザ別判定基準記憶手段と、前記クライアント装置全体のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶する全体判定基準記憶手段と、前記クライアント装置毎のデータ転送速度を計測するユーザ別計測手段と、前記クライアント装置全体のデータ転送速度を計測する全体計測手段と、計測された前記クライアント装置毎のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信するユーザ別判定手段と、計測された前記クライアント装置全体のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信する全体判定手段と、を備えたことを特徴としている。
【0015】
請求項2に記載のサーバ装置は、クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信し、クライアント装置との間にネットワークを介してゲートウェイ装置と接続されたサーバ装置であって、前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とに符号化方法を対応付けた符号化テーブルを記憶する符号化テーブル記憶手段と、前記ゲートウェイ装置から前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とを受信する受信手段と、受信した前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とから前記符号化テーブルを参照して符号化方法を判別する判別手段と、判別した前記符号化方法に従って前記画面データを符号化する符号化手段と、を備えたことを特徴としている。
【0016】
請求項3に記載の帯域制御方法は、クライアント装置と、クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信するサーバ装置と、前記クライアント装置と前記サーバ装置との間にネットワークを介して接続されたゲートウェイ装置とが、前記ネットワークを介して相互に接続可能に構成されたサーバベース・コンピューティング・システムにおいて、前記ゲートウェイ装置は、前記クライアント装置毎のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶し、前記クライアント装置全体のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶し、前記クライアント装置毎のデータ転送速度を計測し、前記クライアント装置全体のデータ転送速度を計測し、計測された前記クライアント装置毎のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信し、計測された前記クライアント装置全体のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信し、前記サーバ装置は、前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とに符号化方法を対応付けた符号化テーブルを記憶し、前記ゲートウェイ装置から前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とを受信し、受信した前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とから前記符号化テーブルを参照して符号化方法を判別し、判別した前記符号化方法に従って前記画面データを符号化する、ことを特徴としている。
【0017】
請求項4に記載のプログラムは、クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信するサーバ装置と、前記クライアント装置との間にネットワークを介して接続されたゲートウェイ装置のコンピュータを、前記クライアント装置毎のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶するユーザ別判定基準記憶手段、前記クライアント装置全体のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶する全体判定基準記憶手段、前記クライアント装置毎のデータ転送速度を計測するユーザ別計測手段、前記クライアント装置全体のデータ転送速度を計測する全体計測手段、計測された前記クライアント装置毎のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信するユーザ別判定手段、計測された前記クライアント装置全体のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信する全体判定手段、として機能させることを特徴としている。
【0018】
請求項5に記載のプログラムは、クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信し、クライアント装置との間にネットワークを介してゲートウェイ装置と接続されたサーバ装置のコンピュータを、前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とに符号化方法を対応付けた符号化テーブルを記憶する符号化テーブル記憶手段、前記ゲートウェイ装置から前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とを受信する受信手段、受信した前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とから前記符号化テーブルを参照して符号化方法を判別する判別手段、判別した前記符号化方法に従って前記画面データを符号化する符号化手段、として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、サーバベース・コンピューティング・システムにおいて、サーバ装置よりクライアント装置に送出されるIPパケットに遅延や破棄が生じないようにすることが可能なゲートウェイ装置、サーバ装置、帯域制御方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明のゲートウェイ装置、サーバ装置、帯域制御方法及びプログラムの一実施形態の適用されたサーバベース・コンピューティング(SBC)システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係るサーバ装置の回路構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、クライアント装置の回路構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、本発明のゲートウェイ装置の一実施形態としてのデフォルトゲートウェイの構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、サーバ装置からクライアント装置に向けて送信されるIPパケットの構造を示す図である。
【図6】図6は、デフォルトゲートウェイで生成されてサーバ装置に伝送される帯域情報パケットの構造を示す図である。
【図7】図7は、デフォルトゲートウェイの送信処理のフローチャートを示す図である。
【図8】図8は、ユーザ別帯域クラス値判定基準テーブルを示す図である。
【図9】図9は、全体帯域クラス値判定基準テーブルを示す図である。
【図10】図10は、デフォルトゲートウェイの受信処理のフローチャートを示す図である。
【図11】図11は、サーバ装置の受信処理のフローチャートを示す図である。
【図12】図12は、符号化テーブルの例を示す図である。
【図13】図13は、本実施形態の効果を具体的に説明するためのSBCシステムの構成例を示す図である。
【図14】図14は、本実施形態の効果を具体的に説明するためのSBCシステムの別の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明のゲートウェイ装置、サーバ装置、帯域制御方法及びプログラムの一実施形態の適用されたサーバベース・コンピューティング(SBC)システムの構成を示すブロック図である。
【0023】
このSBCシステムは、本発明のサーバ装置の一実施形態に係るサーバ装置11がLAN(Local Area Network)によりスイッチングハブ(HUB)14に接続され、該スイッチングHUB14がLANにより本発明のゲートウェイ装置の一実施形態としてのデフォルトゲートウェイ15(またはルータ)に接続されて、一つの管理対象ネットワーク10を構成している。前述のスイッチングHUB14には、複数のサーバ装置11が接続されていても良い。
【0024】
管理対象ネットワーク10は、事業所単位とか建物のフロア単位に構成されて、デフォルトゲートウェイ15を経由して他のネットワークと接続される。管理対象ネットワーク10の外にある複数のクライアント装置12は、これらがLANやWAN(Wide Area Network)、インターネット等のネットワーク13、を介して互いに通信可能に接続されている。
【0025】
前記サーバ装置11は、例えば、管理対象ネットワーク10内のLANに有線接続されたパーソナルコンピュータである。該サーバ装置11は、例えば、文書作成処理プログラム,表計算処理プログラム,住所録プログラム,メモ帳プログラム,プレゼン資料作成プログラム,メール処理プログラム,インターネット接続処理プログラム、Web表示プログラム,等を含む各種アプリケーションプログラムを有している。そして、前記ネットワーク13を介して接続されたクライアント装置12からの操作入力(サービス要求)に応じたアプリケーションプログラムを起動し、その処理を実行する。
【0026】
このサーバ装置11において、前記サービス要求に対応する画面データ、つまりアプリケーションプログラムの実行に伴い生成された表示出力用の描画データは、所定の方式で符号化されて、その描画位置とサイズなど記述した転送ヘッダとともに、前記ネットワーク13を介してアクセス元のクライアント装置12に送られる。クライアント装置12では、サーバ装置11から送られた転送ヘッダと描画データとより描画データを復号して画面上に表示する。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態に係るサーバ装置11の回路構成を示すブロック図である。
サーバ装置11は、コンピュータとしてのCPU21を備える。このCPU21には、システムバス20を介して、メモリ22、フレームバッファRAM23、記憶部24、入力部25、表示部26、通信制御部(ネットワークインターフェイス)27、媒体読取り部28が接続される。
【0028】
CPU21は、記憶部24に予め記憶されたプログラムに記述された手順に従って各種処理を実行する。このCPU21によって実行されるプログラムには、OS(Operating System)の他、クライアント装置12が利用する仮想画面のデータをクライアント装置12へ転送する画面転送アプリケーション、この仮想画面への描画を行う各種描画アプリケーションなどが含まれる。
【0029】
メモリ22には、各クライアント装置12ごとに例えばユーザID等によって関連付けられた複数の仮想フレームバッファ22aが設けられている。
【0030】
フレームバッファRAM23は、サーバ装置11に備えられた表示部26の画面に表示する描画データをフレーム単位で保持するためのバッファメモリである。
【0031】
記憶部24には、画面転送アプリケーション24a、描画アプリケーション24bを含む各種プログラムを記憶するためのプログラム記憶領域が設けられる。
【0032】
入力部25は、例えばキーボード、マウスなどの入力デバイスからなり、オペレータが各種データの入力や指示を行う場合に用いられる。
【0033】
表示部26は、各種データを表示するものであり、例えばCRT(Cathode-ray tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などからなる。
【0034】
通信制御部27は、LANを介して外部の端末との間で通信処理を行うためのものであり、ここではサーバ装置11側で生成した描画データの送信処理や、クライアント装置12から送信されるデータの受信処理などを行う。
【0035】
媒体読取り部28は、外部記録媒体28aに記録されたデータを読み取る。外部記録媒体28aとしては、例えば磁気ディスク、光ディスク、フレシキブルディスク、メモリカードなどがある。
【0036】
図3は、前記クライアント装置12の回路構成を示すブロック図である。
クライアント装置12は、コンピュータとしてのCPU31を備える。このCPU31には、システムバス30を介して、メモリ32、フレームバッファRAM33、記憶部34、入力部35、表示部36、通信制御部37が接続される。
【0037】
CPU31は、記憶部34に予め記憶されたプログラム、あるいは、ネットワーク13を介して外部のサーバ装置から提供されたプログラムを読み込み、そのプログラムに記述された手順に従って各種処理を実行する。
【0038】
このCPU31によって実行されるプログラムとしては、OSとサーバ装置11との画面転送を行う接続アプリケーションとが主であり、その他の各種アプリケーションプログラムについては、基本的にサーバ装置11が保有している。
【0039】
メモリ32は、CPU31の処理動作に必要な各種データを記憶し、サーバ装置11から受信した転送ヘッダと描画データとを受信バッファ32aに記録する。
【0040】
フレームバッファRAM33は、クライアント装置12に備えられた表示部36の画面に表示する描画データをフレーム単位で保持するためのバッファメモリである。
【0041】
記憶部34には、クライアント装置12の動作を制御するための接続アプリケーション34aを含む各種プログラムを記憶するためのプログラム記憶領域が設けられる。
【0042】
入力部35は、例えばキーボード、マウス、タッチパネルなどの入力デバイスからなり、オペレータが各種データの入力や指示を行う場合に用いられる。
【0043】
表示部36は、各種データを表示するものであり、例えばLCDやELディスプレイなどからなる。
【0044】
通信制御部37は、ネットワーク13を介して外部の端末との間で通信処理を行うためのものであり、ここでは入力データを送信するための処理を行う。
【0045】
図4は、本発明のゲートウェイ装置の一実施形態としてのデフォルトゲートウェイ15の構成を示すブロック図である。
デフォルトゲートウェイ15は、コンピュータとしてのCPU41を備える。このCPU41には、システムバス40を介して、管理対象ネットワーク10内用のIN側パケット送受信部42と管理対象ネットワーク10外用のOUT側パケット送受信部43とが接続される。IN側パケット送受信部42には、IN側ネットワークインターフェイス(NIF_IN)44が接続され、該NIF_IN44には、サーバ装置11とLANによりスイッチングHUB14を経由して接続されている。また、OUT側パケット送受信部43には、OUT側ネットワークインターフェイス(NIF_OUT)45が接続され、該NIF_OUT45はネットワーク13上に接続されて、管理対象ネットワーク10外にあるクライアント装置12と携帯電話機用通信回線やPHS用通信回線、LANなどの様々な通信経路で接続される。
【0046】
前記CPU41には、さらに、前記システムバス40を介して、IN側受信メモリ46、IN側送信メモリ47、OUT側受信メモリ48、OUT側送信メモリ49、プロトコル変換手段50、帯域制御手段51、リアルタイムクロック(RTC)52が接続される。
【0047】
CPU41は、内部に予め記憶されたプログラムに記述された手順に従ってIN側パケット送受信部42/OUT側パケット送受信部43と、プロトコル変換手段50、帯域制御手段51の実行を行う。
【0048】
IN側パケット送受信部42は、NIF_IN44によりIPパケットの送受信を行う。IN側受信メモリ46には、IN側パケット送受信部42によりサーバ装置11から受信し処理待ちのIPパケットが格納され、IN側送信メモリ47には、サーバ装置11への送信待ちのIPパケットが格納される。
【0049】
OUT側パケット送受信部43は、NIF_OUT45によりIPパケットの送受信を行う。OUT側受信メモリ48には、OUT側パケット送受信部43によりクライアント装置12から受信し処理待ちのIPパケットが格納され、OUT側送信メモリ49には、クライアント装置12への送信待ちのIPパケットが格納される。
【0050】
プロトコル変換手段50は、受信しIN側受信メモリ46に格納されたIPパケットを管理対象ネットワーク10外用のプロトコルに変換したり、受信しOUT側受信メモリ48に格納されたIPパケットを管理対象ネットワーク10内用のプロトコルに変換したりする動作を行なう。
【0051】
帯域制御手段51は、RTC52よりの信号をもとに一定時間毎に、OUT側パケット送受信部43より管理対象ネットワーク10外に送信されるIPパケットのトラフィックフローを制御する動作を行なう。
【0052】
即ち、帯域制御手段51は、サーバ装置11からクライアント装置12に向けて伝送されるIPパケットについて、管理対象ネットワーク10外へのトラフィック量を接続ごとに監視して、トラフィック量を、いくつかの段階でクラス判定を行って、ユーザ帯域使用量をクラス値BUser化する。また併せて、全接続のトラフィック量についても、いくつかの段階でクラス判定を行って、全帯域使用量をクラス値BTotal化する。そして、ユーザ別帯域クラス値BUserと全体の帯域クラス値BTotalとをサーバ装置11側へ伝送するための帯域情報パケットを形成して、サーバ装置11へ伝送する。
【0053】
サーバ装置11は、そのデフォルトゲートウェイ15からの帯域情報パケットを受信後、ユーザ別帯域クラス値BUserと全体の帯域クラス値BTotalの値に応じて、画像の符号化方法を切り替える。例えば、帯域使用量つまり帯域負荷が大のときにはデータ量を削減するための符号化手法に切り替え、帯域負荷が小のときには画質を優先する符号化手法に切り替える。
【0054】
図5は、サーバ装置11からクライアント装置12に向けて送信されるIPパケット60の構造を示す図である。
【0055】
ここでは、IPv4書式で説明し、デフォルトゲートウェイ15内部での取り扱いを説明するので、ネットワーク経路上でIPパケットの前に付き、ネットワーク機器間で転送元・転送先のMACアドレスを記述する、MACフレームは省略する。
【0056】
IPパケット60は、IPヘッダ61とデータ62とからなる。IPヘッダ61は、RFC791などに示される構造で、IPヘッダ61内にIPヘッダ長とデータ長を合わせたパケット長61aが記述され、送信元(サーバ装置11)IPアドレス61bと最終宛先(クライアント装置12)IPアドレス61cとが記述されている。データ62の部分には、クライアント装置12の表示部26に表示すべき描画データ等がSBCプロトコルデータとして記述される。
【0057】
図6は、デフォルトゲートウェイ15で生成されてサーバ装置11を宛先に伝送される帯域情報パケット70の構造を示す図である。
【0058】
この帯域情報パケット70も、IPパケット60と同様に、IPヘッダ71とデータ72とからなる。IPヘッダ71内には、IPヘッダ長とデータ長を合わせたパケット長71aが記述され、送信元IPアドレス71bはデフォルトゲートウェイ15のアドレスを記述し、宛先IPアドレス71cは、宛先の対象サーバ装置11のIPアドレスを記述する。また、データ72の部分には、サーバ装置11のIPアドレスであるサーバIPアドレス72a、クライアント装置12のIPアドレスであるクライアントIPアドレス72b、デフォルトゲートウェイ15のIPアドレスであるゲートウェイIPアドレス72c、ユーザ別帯域クラス値BUser72d、全体の帯域クラス値BTotal72eを記述する。ここで、サーバIPアドレス72a及びクライアントIPアドレス72bは、クライアント装置12から送られてきた対象IPパケットから読み取った情報を転記する。なお、クライアント装置12のIPアドレスはSBCプロトコル内に暗号化されており、デフォルトゲートウェイ15では読み出せないこともあるので、必須項目ではない。
【0059】
図7は、図4に示したデフォルトゲートウェイ15の送信処理のフローチャートを示す図である。以下、この図7のフローチャートと、図4及び図5とを合わせて参照して、デフォルトゲートウェイ15の送信(サーバ装置11からクライアント装置12)動作を説明する。
【0060】
まず、IN側パケット送受信部42は、サーバ装置11からのIPパケット60をNIF_IN44で受信し(ステップS11)、IN側受信メモリ46に一時記録する(ステップS12)。CPU41は、そのIN側受信メモリ46に一時記録されたIPパケット60を読み出し(ステップS13)、必要に応じてプロトコル変換手段50に与えて、該プロトコル変換手段50によって管理対象ネットワーク10内用のプロトコルから管理対象ネットワーク10外用のプロトコルへの変換を行う(ステップS14)。そして、読み出した又は必要に応じて変換したIPパケット60を、OUT側送信メモリ49に一時記録して待機する(ステップS15)。
【0061】
その後、送信可能となった状態で、CPU41は、OUT側送信メモリ49よりIPパケット60を読み出して、帯域制御手段51に与える(ステップS16)。そして、該帯域制御手段51によって、そのIPパケット60からIPヘッダ61に記述されているパケット長61a、宛先IPアドレス61c、送信元IPアドレス61bを読み出す(ステップS17)。そして、当該帯域制御手段51が備える不図示メモリに記憶している該当する接続間転送パケット量にパケット長を加算し(ステップS18)、同じく不図示内部メモリに記憶している全体の送信パケット量にもパケット長を加算する(ステップS19)。その後、帯域制御手段51からOUT側パケット送受信部43へIPパケット60を送り、該OUT側パケット送受信部43がNIF_OUT45よりそのIPパケット60をクライアント装置12に向けて送信する(ステップS20)。
【0062】
また、帯域制御手段51は、RTC52よりの信号を元に一定時間ごとに、例えば10ミリ秒〜1秒ごとに割り込み処理が挿入されるようになっている。割り込みが発生すると(ステップS21)、帯域制御手段51は、前記ステップS18で求めた接続間転送パケット量より単位時間当たりの接続間転送パケット量つまりデータ転送レートを算出する(ステップS22)。即ち、該帯域制御手段51は、クライアント装置毎のデータ転送速度(データ転送レート)を計測するユーザ別計測手段として機能する。そして、帯域制御手段51は、その算出したデータ転送レートを予め用意してあるクラス分けの基準にしたがってクラス値BUser化する(ステップS23)。
【0063】
図8は、このクラス分けの判定基準として、帯域制御手段51の図示しない内部メモリ(ユーザ別判定基準記憶手段)に記憶されている、クライアント装置毎のデータ転送レートとそのクラス値とを関連付けしたユーザ別帯域クラス値判定基準テーブル51aを示す図である。
【0064】
クラス値BUserは、0〜5までの6段階に設定されて、データ転送レートに応じて割り当てられている。図8では、クラス0が8Mbps以上とし、クラス5が512kbps未満となっている。
【0065】
また、帯域制御手段51は、前記ステップS19で求めた全体の送信パケット量より単位時間当たりの送信パケット量つまりデータ転送レートを算出する(ステップS24)。即ち、該帯域制御手段51は、クライアント装置全体のデータ転送速度(データ転送レート)を計測する全体計測手段として機能する。そして、その算出したデータ転送レートを予め用意してあるクラス分けの基準にしたがってクラス値BTotal化する(ステップS25)。
【0066】
図9は、このクラス分けの判定基準として、帯域制御手段51の図示しない内部メモリ(全体判定基準記憶手段)に記憶されている、クライアント装置全体のデータ転送レートとそのクラス値とを関連付けした全体帯域クラス値判定基準テーブル51bを示す図である。
【0067】
クラス値BTotalは、0〜5までの6段階に設定されて、データ転送レートに応じて割り当てられている。図9では、クラス0が96Mbps以上とし、クラス5が6Mbps未満となっている。
【0068】
そして、帯域制御手段51は、前記ステップS23及びS25で求めたクラス値BUser及びBTotalと、不図示内部メモリに記憶している前回の各クラス値との比較する(ステップS26,S27)。その結果、クラス値の変更がなかった場合には、接続間転送パケット量と全体の送信パケット量をクリアして(ステップS28,S29)、このタイマ割り込み処理を完了する。
【0069】
これに対して、前記ステップS26またはステップS27において、ユーザ別帯域クラス値BUserあるいは全体の帯域クラス値BTotalのいずれかに変更があった場合には、帯域制御手段51は、ユーザ別帯域クラス値BUserあるいは全体の帯域クラス値BTotalの前回値を更新し、図6で示したような帯域情報パケット70を形成する(ステップS30)。そして、それをサーバ装置11宛に送信した後(ステップS31)、接続間転送パケット量と全体の送信パケット量をクリアして(ステップS28,S29)、このタイマ割り込み処理を完了する。
【0070】
以上のように、帯域制御手段51は、計測された前記クライアント装置毎のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信するユーザ別判定手段、及び、計測された前記クライアント装置全体のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信する全体判定手段、として機能する。
【0071】
図10は、図4に示したデフォルトゲートウェイ15の受信処理のフローチャートを示す図である。以下、この図10のフローチャートと、図4及び図5とを合わせて参照して、デフォルトゲートウェイ15の受信(クライアント装置12からサーバ装置11)動作を説明する。
【0072】
まず、OUT側パケット送受信部43は、クライアント装置12からのIPパケット60をNIF_OUT45で受信し(ステップS41)、OUT側受信メモリ48に一時記録する(ステップS42)。CPU41は、そのOUT側受信メモリ48に一時記録されたIPパケット60を読み出し(ステップS43)、必要に応じてプロトコル変換手段50に与えて、該プロトコル変換手段50によって管理対象ネットワーク10外用のプロトコルから管理対象ネットワーク10内用のプロトコルへの変換を行う(ステップS44)。そして、読み出した又は必要に応じて変換したIPパケット60を、IN側送信メモリ47に一時記録して待機する(ステップS45)。
【0073】
その後、送信可能となった状態で、CPU41は、IN側送信メモリ47よりIPパケット60を読み出して、IN側パケット送受信部42へ送る(ステップS46)。IN側パケット送受信部42は、NIF_OUT45よりそのIPパケット60をサーバ装置11に向けて送信する(ステップS47)。
【0074】
また、IN側送信メモリ47には、帯域制御手段51にて形成された帯域情報パケット70も記録される。この帯域情報パケット70は、送信可能となった状態で、CPU41がIN側送信メモリ47より読み出されて(ステップS46)、IN側パケット送受信部42によってNIF_OUT45よりサーバ装置11に向けて送信される(ステップS47)。
【0075】
図11は、図2に示したサーバ装置11のCPU21で実行される受信処理のフローチャートを示す図である。
通常のクライアント装置12から受信したIPパケット60には、マウスやキーボード等の入力部35による操作情報(以下、操作コマンド)のほか、ユーザ設定情報などがデータ62として記述されている。送信元IPアドレス61bには、当該クライアント装置12のIPアドレスが記述されている。
【0076】
また、デフォルトゲートウェイ15で発行された帯域情報パケット70のデータ72の部分には、図6で示したように、サーバIPアドレス72a、クライアントIPアドレス72b、ゲートウェイIPアドレス72c、ユーザ別帯域クラス値BUser72d、全体の帯域クラス値BTotal72eが記述されている。
【0077】
このような通常のクライアント装置12からのIPパケット60あるいは帯域情報パケット70は、サーバ装置11の通信制御部27で受信され(ステップS51)、それぞれ仕分けされてメモリ22に一時記録される。即ち、受信したIPパケットがクライアント装置12からのIPパケット60であれば(ステップS52)、メモリ22の当該クライアント装置12用の領域に記録される(ステップS53)。また、受信したIPパケットが帯域情報パケット70であれば(ステップS54)、メモリ22の帯域情報パケット70用の領域に記録される(ステップS55)。このように、CPU21は、前記ゲートウェイ装置から前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とを受信する受信手段として機能する。
【0078】
ここで、帯域情報パケット70を受信した場合には、前記メモリ22に一時記録した帯域情報パケット70から、ユーザ別帯域クラス値BUser72dと全体の帯域クラス値BTotal72eとを読み出して(ステップS56,S57)、描画アプリケーション24bにこれらの値を引き渡す(ステップS58)。
【0079】
これに対して、通常のクライアント装置12からのIPパケット60を受信した場合には、前記メモリ22に一時記録したIPパケット60のデータ62の部分に記述されている操作コマンドを画面転送アプリケーション24aに受け渡す(ステップS59)。そして、その操作コマンドを実行して(ステップS60)、描画アプリケーション24bで該操作コマンド実行に応じた描画処理による再描画画面をメモリ22内のフレームバッファ22aに形成する(ステップS61)。
【0080】
その後、画面転送アプリケーション24aによりメモリ22内のフレームバッファ22aへの描画データの画像符号化手法を決定する(ステップS62)。これは、通常、ログオン時に設定されメモリ22に記録されているユーザ接続条件(ユーザID、クライアント装置種別、クライアント装置解像度、クライアント装置の最大処理帯域)80と、対象領域の幅や高さ、使用色数などの情報とに基づいて決定されるものである。本実施形態では更に、帯域情報パケット70から引き渡されたユーザ別帯域クラス値BUser72dと全体の帯域クラス値BTotal72eも用いて決定する。このように、CPU21は、受信した前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とから前記符号化テーブルを参照して符号化方法を判別する判別手段として機能する。
【0081】
そして、画像符号化手法として高圧縮モードが決定されたならば(ステップS63)、前記ステップS61でメモリ22内のフレームバッファ22aに形成した再描画画面を低画質で符号量の少ない高圧縮条件で圧縮することで描画データを作成する(ステップS64)。
【0082】
また、画像符号化手法として中圧縮モードが決定されたならば(ステップS65)、前記フレームバッファ22aに形成した再描画画面を中画質で符号量の中間な中圧縮条件で圧縮して描画データを作成する(ステップS66)。
【0083】
画像符号化手法として中圧縮モードも決定されていないならば(ステップS65)、低圧縮モードが決定されたとして、前記フレームバッファ22aに形成した再描画画面を高画質で符号量の多い低圧縮条件で圧縮して描画データを作成する(ステップS67)。
【0084】
このように、画像符号化処理を決定した符号化手法で行い、高圧縮率設定と中圧縮率設定と低圧縮率設定(画質優先)とに符号化処理が分かれて処理される。
【0085】
本実施形態では、符号化手法としてはJPEG(Joint Photographic Experts Group)とGIF(Graphics Interchange Format)を用いる。
【0086】
JPEGは、量子化テーブルの切り替えにより圧縮率設定を変更し、高画質で符号量の多い低圧縮条件と、中画質で符号量の中間な中圧縮条件と、低画質で符号量の少ない高圧縮条件とを帯域情報パケットからの情報により切り替えて用いる。
【0087】
GIFは、256色以下の画像の符号化に利用するが、データ長や符号化処理時間の点で帯域情報パケット70からの情報によってJPEG処理に振り替えられる。
【0088】
以上のように、CPU21は、判別した前記符号化方法に従って前記画面データを符号化する符号化手段として機能する。
【0089】
そして、前記ステップS64,S66,S67のいずれかで形成された描画データは、通信制御部27よりデフォルトゲートウェイ15経由で宛先クライアント装置12へと伝送される。
【0090】
図12は、画面転送アプリケーション24aの一部として記憶部24(符号化テーブル記憶手段)に記憶されている、前記ステップS62での画像符号化手法の決定に際して用いられる、前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値(ユーザ別帯域クラス値BUser)と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値(全体の帯域クラス値BTotal)とに符号化方法を対応付けた符号化テーブル24a1,24a2の例を示す図である。
【0091】
符号化テーブル24a1は、携帯電話機画面の場合に用いられるもので、画面サイズ480×800ドットを想定し、1Mbps帯域での使用を想定した条件表である。符号化テーブル24a2は、PC画面の場合に用いられるもので、画面サイズ1024×768ドットを想定した条件表である。
【0092】
これらの符号化テーブル24a1,24a2は、ユーザのログオン時のユーザ接続条件80と、帯域情報パケット70から取得したユーザ別帯域クラス値BUser72dと全体の帯域クラス値BTotal72eとからユーザ環境ごとに形成されて、符号化手法の選択基準となる。
【0093】
即ち、帯域のクラス値が大きくなるほどデータ長の圧縮は低くなり画質は高く設定され、クラス値が小さくなるとデータ長の圧縮は高く画質は低く設定される。高圧縮率設定JPEG処理から順に中圧縮率設定JPEG、中圧縮率設定JPEG/GIF、低圧縮率設定JPEG/GIFとデータ長が長くなることを想定している。
【0094】
ユーザ別帯域クラス値BUserとユーザ接続条件80にある最大使用帯域との兼ね合いで、ユーザ環境により符号化の仕分けが変わり、最大使用帯域を超えると高圧縮率設定が望まれる。
【0095】
例えば、携帯電話機画面ではBUser/BTotalが3/3のときにはJH(高圧縮率設定JPEG)となりデータ長優先の状態になるのに対して、PC画面ではBUser/BTotalが3/3のJM(中圧縮率設定JPEG)/GIFとなり画質を維持した状態となる。BUser=3は単位時間の転送速度が1Mbps以上の状態で、BTotal=3は単位時間の転送速度が12Mbps以上の状態であり、携帯電話機に対してBUser=3は単位時間の転送速度が1Mbps以上の状態を続けると送信データの遅延が生じ易い。そのため、データ量を削減する符号化方法が選択される。
【0096】
全体の帯域クラス値BTotal72eがクラス0(96Mbps以上)やクラス1(48Mbps以上)になると、広い帯域で利用できるPC画面でもデータ長を短くするために符号化方法の切り替えが生じる。
【0097】
図13は、本実施形態の効果を具体的に説明するためのSBCシステムの構成例を示す図である。
【0098】
この構成例では、サーバ装置11−1に接続するクライアント装置グループ12G−1と、サーバ装置11−2に接続するクライアント装置グループ12G−2とが存在する。
【0099】
クライアント装置グループ12G−1,12G−2における各クライアント装置12は、いずれも携帯電話機であり、画面サイズ480×800ドット、最大使用帯域1Mbpsであるとする。また、クライアント装置グループ12G−1は10台のクライアント装置12を含み、クライアント装置グループ12G−2は30台のクライアント装置12を含むものとする。
【0100】
デフォルトゲートウェイ15には、クライアント装置グループ12G−1の10接続のためのIPパケットと、クライアント装置グループ12G−2の30接続のためのIPパケットとが送受信されている。1接続当たり1Mbpsを40台のクライアント装置12に配信するために計40Mbps相当のIPパケットを送出する必要がある。デフォルトゲートウェイ15は、管理対象ネットワーク10内よりも外側のほうが外的影響で輻輳や遅延を生じ易い。
【0101】
本実施形態におけるデフォルトゲートウェイ15では、該デフォルトゲートウェイ15から管理対象ネットワーク10外に送信されるIPパケットのトラフィックを監視し、単位時間当たりの送信パケット量つまりデータ転送レートでネットワーク13の混雑具合を全体の帯域クラス値BTotalと接続別帯域クラス値BUserとして評価することができる。
【0102】
そして、それらの評価結果をそれぞれのサーバ装置11−1,11−2に帯域情報パケット70で送付することで、各サーバ装置11内で動作する画面転送アプリケーション24aに対して符号化方法の変更を指示できる。
【0103】
このようにして、デフォルトゲートウェイ15から管理対象ネットワーク10外に送信される全データ量の変化に応じて、転送データの多いときには全体の帯域クラス値BTotalが小さくなり、高圧縮設定に切り替えてデータ長の削減をすることを各サーバ装置11に促し、逆に、転送データの少ないときには全体の帯域クラス値BTotalが大きくなるので、低圧縮率設定に切り替えて画質優先にすることを各サーバ装置11に促すことができる。
【0104】
また、全体での負荷が高くないときには、それぞれのクライアント装置グループ12G−1,12G−2の描画動作の状況に応じて、各接続別帯域クラス値BUserの値が増減し、一方のグループの転送データの多いときにはデータ長の削減を該当サーバ装置11に促し、転送データの少ないときには画質優先を該当サーバ装置11に促すことができる。
【0105】
サーバ装置側で帯域を評価した場合には、このように複数サーバ装置11−1,11−2と接続された経路での帯域を評価することは難しい点が多い。
【0106】
図14は、本実施形態の効果を具体的に説明するためのSBCシステムの別の構成例を示す図である。
【0107】
この構成例では、サーバ装置11と接続する2台のクライアント装置12−1,12−2が存在する。クライアント装置12−1は、携帯電話機であり、画面サイズ480×800ドット、最大使用帯域1Mbpsであり、クライアント装置12−2は、PCであって、画面サイズ1024×768ドット、最大使用帯域10Mbpsで設定されているものとする。
【0108】
デフォルトゲートウェイ15には、クライアント装置12−1の1接続のためのIPパケットと、クライアント装置12−2の1接続のためのIPパケットとが送受信されており、計11Mbps相当のIPパケットを送出しないとそれぞれに配信できない。しかし、これは、100Mbpsあるいは1Gbps仕様のネットワーク機器では、それほど大きな負荷とはならない。
【0109】
しかし、サーバ装置11で同じ処理を行って、クライアント装置12−1とクライアント装置12−2に表示出力した場合に、例えば画像のスライド表示とかブラウザソフトを利用した画像の閲覧などの時に、同じ符号化条件でデータを送ると、クライアント装置12−1は接続帯域がクライアント装置12−2より狭いためデータの遅延が発生し易い。
【0110】
本実施形態におけるデフォルトゲートウェイ15では、該デフォルトゲートウェイ15から管理対象ネットワーク10外に送信されるIPパケットのトラフィックを接続単位で監視し、単位時間当たりの送信パケット量つまりデータ転送レートでネットワーク13の混雑具合を接続別帯域クラス値BUserとして評価することができる。
【0111】
この例では、2接続で11Mbpsであるので全体の帯域のクラス値BTotalはクラス4(6Mbps以上)であり、クライアント装置12−1の接続別帯域クラス値BUserはクラス3(1Mbps以上)、クライアント装置12−2の接続別帯域クラス値BUserはクラス0(8Mbps以上)である。
【0112】
そして、これらの評価結果をサーバ装置11に帯域情報パケット70で送付することで、サーバ装置11内で動作する画面転送アプリケーション24aに対して符号化方法の変更を指示できる。
【0113】
狭い帯域のクライアント装置12−1に対してはクラス3(1Mbps以上)の状態で早期に高圧縮率設定に切り替えて、データ長の削減をサーバ装置11に促し、転送データの少ない時間帯のクラス4(512kbps以上)の状態では中圧縮率設定とし画質優先をサーバ装置11に促すことができる。
【0114】
また、帯域の広いクライアント装置12−2には、全体の帯域の負荷が少ないときには、接続別に管理しているので中圧縮率設定の符号化手法で画質を劣化させずに送付できる。
【0115】
以上のように、本実施形態によれば、デフォルトゲートウェイ15で管理対象ネットワーク10外へのトラフィック量を監視して、トラフィック量をいくつかの段階でクラス判定を行い、クラス判定の結果を帯域情報パケット70としてサーバ装置11へ伝送し、帯域情報パケット70を受信したサーバ装置11はクラス判定値を基に画像の符号化方法を切り替え、帯域使用量大のときにはデータ量を削減し、帯域使用量小のときには画質を優先する符号化手法を選択し、実行する。
【0116】
これにより、携帯電話機のような狭帯域のクライアント装置12でも通信環境の変化に対して円滑に符号化方法を切り替えることができ、送付されるデータ量を削減することで、当該クライアント装置12の利用を維持することができる。
【0117】
また、接続ユーザ数やクライアント装置12の種類に応じて、符号化方法を切り替えことにより、通信経路上のクライアント装置12に処理可能なデータ量に調整することができる。
【0118】
さらに、複数のサーバ装置11を利用する時の場合に、個別に管理された接続ユーザ数からサーバ装置11が帯域情報を得ることは難しいが、共通に接続されるデフォルトゲートウェイ15で管理対象ネットワーク10外へのトラフィック量を監視することで、複数のサーバ装置11を利用する場合でも、クライアント装置12へのデータ供給を維持できる。
【0119】
なお、前記一実施形態において記載したサーバ装置11による各処理の手法、すなわち、図11のフローチャートに示す処理の各手法は、コンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記録媒体28aに格納して配布することができる。そして、サーバ装置11のコンピュータ(CPU21)は、この外部記録媒体28aに記憶されたプログラムを記憶装置(メモリ22や記憶部24)に読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、前記一実施形態において説明した受信処理を実行することができる。
【0120】
また、前記受信処理を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態としてネットワーク13上を伝送させることができ、このネットワーク13に接続されたコンピュータ装置(プログラムサーバ)から前記のプログラムデータを取り込んで記憶装置(メモリ22や記憶部24)に記憶させ、前述した受信処理を実現することもできる。
【0121】
また、デフォルトゲートウェイ15の帯域制御手段51は、該デフォルトゲートウェイ15のコンピュータ(CPU41)によるソフトウェア処理に置き換えても良い。この場合、図7のフローチャートに示す帯域制御手段51の処理の各手法は、コンピュータに実行させることができるプログラムとして、システムバス40に接続した記憶装置に又はコンピュータ(CPU41)の内部メモリに記憶させておく。勿論、サーバ装置11の場合と同様に、何らかの外部記録媒体やネットワーク13を介して、プログラムデータを取り込んで記憶させるようにしても構わない。
【0122】
なお、本願発明は、前記一実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、前記一実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0123】
10…管理対象ネットワーク
11,11−1,11−2…サーバ装置
12,12−1,12−2…クライアント装置
12G−1,12G−2…クライアント装置グループ
13…ネットワーク
14…スイッチングハブ(HUB)
15…デフォルトゲートウェイ
20,30,40…システムバス
21,31,41…CPU
22,32…メモリ
22a…フレームバッファ
23,33…フレームバッファRAM
24,34…記憶部
24a…画面転送アプリケーション
24b…描画アプリケーション
24a1,24a2…符号化テーブル
25,35…入力部
26,36…表示部
27,37…通信制御部
28…媒体読取り部
28a…外部記録媒体
32a…受信バッファ
34a…接続アプリケーション
42…IN側パケット送受信部
43…OUT側パケット送受信部
44…IN側ネットワークインターフェイス(NIF_IN)
45…OUT側ネットワークインターフェイス(NIF_OUT)
46…IN側受信メモリ
47…IN側送信メモリ
48…OUT側受信メモリ
49…OUT側送信メモリ
50…プロトコル変換手段
51…帯域制御手段
51a…ユーザ別帯域クラス値判定基準テーブル
51b…全体帯域クラス値判定基準テーブル
52…リアルタイムクロック(RTC)
60…IPパケット
61,71…IPヘッダ
61a,71a…パケット長
61b,71b…送信元IPアドレス
61c,71c…宛先IPアドレス
62,72…データ
70…帯域情報パケット
72a…サーバIPアドレス
72b…クライアントIPアドレス
72c…ゲートウェイIPアドレス
72d…ユーザ別帯域クラス値BUser
72e…全体の帯域クラス値BTotal
80…ユーザ接続条件
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信するサーバ装置と、前記クライアント装置との間にネットワークを介して接続されたゲートウェイ装置であって、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶するユーザ別判定基準記憶手段と、
前記クライアント装置全体のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶する全体判定基準記憶手段と、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度を計測するユーザ別計測手段と、
前記クライアント装置全体のデータ転送速度を計測する全体計測手段と、
計測された前記クライアント装置毎のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信するユーザ別判定手段と、
計測された前記クライアント装置全体のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信する全体判定手段と、
を備えたことを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項2】
クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信し、クライアント装置との間にネットワークを介してゲートウェイ装置と接続されたサーバ装置であって、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とに符号化方法を対応付けた符号化テーブルを記憶する符号化テーブル記憶手段と、
前記ゲートウェイ装置から前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とを受信する受信手段と、
受信した前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とから前記符号化テーブルを参照して符号化方法を判別する判別手段と、
判別した前記符号化方法に従って前記画面データを符号化する符号化手段と、
を備えたことを特徴とするサーバ装置。
【請求項3】
クライアント装置と、クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信するサーバ装置と、前記クライアント装置と前記サーバ装置との間にネットワークを介して接続されたゲートウェイ装置とが、前記ネットワークを介して相互に接続可能に構成されたサーバベース・コンピューティング・システムにおいて、
前記ゲートウェイ装置は、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶し、
前記クライアント装置全体のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶し、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度を計測し、
前記クライアント装置全体のデータ転送速度を計測し、
計測された前記クライアント装置毎のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信し、
計測された前記クライアント装置全体のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信し、
前記サーバ装置は、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とに符号化方法を対応付けた符号化テーブルを記憶し、
前記ゲートウェイ装置から前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とを受信し、
受信した前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とから前記符号化テーブルを参照して符号化方法を判別し、
判別した前記符号化方法に従って前記画面データを符号化する、
ことを特徴とする帯域制御方法。
【請求項4】
クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信するサーバ装置と、前記クライアント装置との間にネットワークを介して接続されたゲートウェイ装置のコンピュータを、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶するユーザ別判定基準記憶手段、
前記クライアント装置全体のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶する全体判定基準記憶手段、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度を計測するユーザ別計測手段、
前記クライアント装置全体のデータ転送速度を計測する全体計測手段、
計測された前記クライアント装置毎のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信するユーザ別判定手段、
計測された前記クライアント装置全体のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信する全体判定手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項5】
クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信し、クライアント装置との間にネットワークを介してゲートウェイ装置と接続されたサーバ装置のコンピュータを、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とに符号化方法を対応付けた符号化テーブルを記憶する符号化テーブル記憶手段、
前記ゲートウェイ装置から前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とを受信する受信手段、
受信した前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とから前記符号化テーブルを参照して符号化方法を判別する判別手段、
判別した前記符号化方法に従って前記画面データを符号化する符号化手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信するサーバ装置と、前記クライアント装置との間にネットワークを介して接続されたゲートウェイ装置であって、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶するユーザ別判定基準記憶手段と、
前記クライアント装置全体のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶する全体判定基準記憶手段と、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度を計測するユーザ別計測手段と、
前記クライアント装置全体のデータ転送速度を計測する全体計測手段と、
計測された前記クライアント装置毎のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信するユーザ別判定手段と、
計測された前記クライアント装置全体のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信する全体判定手段と、
を備えたことを特徴とするゲートウェイ装置。
【請求項2】
クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信し、クライアント装置との間にネットワークを介してゲートウェイ装置と接続されたサーバ装置であって、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とに符号化方法を対応付けた符号化テーブルを記憶する符号化テーブル記憶手段と、
前記ゲートウェイ装置から前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とを受信する受信手段と、
受信した前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とから前記符号化テーブルを参照して符号化方法を判別する判別手段と、
判別した前記符号化方法に従って前記画面データを符号化する符号化手段と、
を備えたことを特徴とするサーバ装置。
【請求項3】
クライアント装置と、クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信するサーバ装置と、前記クライアント装置と前記サーバ装置との間にネットワークを介して接続されたゲートウェイ装置とが、前記ネットワークを介して相互に接続可能に構成されたサーバベース・コンピューティング・システムにおいて、
前記ゲートウェイ装置は、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶し、
前記クライアント装置全体のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶し、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度を計測し、
前記クライアント装置全体のデータ転送速度を計測し、
計測された前記クライアント装置毎のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信し、
計測された前記クライアント装置全体のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信し、
前記サーバ装置は、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とに符号化方法を対応付けた符号化テーブルを記憶し、
前記ゲートウェイ装置から前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とを受信し、
受信した前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とから前記符号化テーブルを参照して符号化方法を判別し、
判別した前記符号化方法に従って前記画面データを符号化する、
ことを特徴とする帯域制御方法。
【請求項4】
クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信するサーバ装置と、前記クライアント装置との間にネットワークを介して接続されたゲートウェイ装置のコンピュータを、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶するユーザ別判定基準記憶手段、
前記クライアント装置全体のデータ転送速度とそのクラス値とを関連付けした判定基準を記憶する全体判定基準記憶手段、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度を計測するユーザ別計測手段、
前記クライアント装置全体のデータ転送速度を計測する全体計測手段、
計測された前記クライアント装置毎のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信するユーザ別判定手段、
計測された前記クライアント装置全体のデータ転送速度から定められた判定基準に従って前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値を判定してサーバ装置へ送信する全体判定手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項5】
クライアント装置からのサービス要求に基づいてプログラムを動作させ、前記サービス要求に対応する画面データを作成して、サービス要求元の前記クライアント装置へ送信し、クライアント装置との間にネットワークを介してゲートウェイ装置と接続されたサーバ装置のコンピュータを、
前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とに符号化方法を対応付けた符号化テーブルを記憶する符号化テーブル記憶手段、
前記ゲートウェイ装置から前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とを受信する受信手段、
受信した前記クライアント装置毎のデータ転送速度のクラス値と前記クライアント装置全体のデータ転送速度のクラス値とから前記符号化テーブルを参照して符号化方法を判別する判別手段、
判別した前記符号化方法に従って前記画面データを符号化する符号化手段、
として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−35565(P2011−35565A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178244(P2009−178244)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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