説明

システインプロテアーゼ阻害剤としてのハロアルキル含有化合物

本発明はシステインプロテアーゼの、特にカテプシンB、K、L、F、及びSの阻害剤であって、ひいてはこれらのプロテアーゼが媒介する疾患の治療に有用な化合物に関する。本発明は、これらの化合物を含有する医薬組成物、及びそれらの調製方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年11月13日に出願された米国特許仮出願第61/114,369号に基づく優先権を主張する。この仮出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明はシステインプロテアーゼの、特にカテプシンB、K、L、F、及びSの阻害剤であって、ひいてはこれらのプロテアーゼが媒介する疾患の治療に有用な化合物に関する。本発明は、これらの化合物を含有する医薬組成物、及びそれらの調製方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
システインプロテアーゼは、酵素の触媒部位にシステイン残基が存在することを特徴とするペプチダーゼ類を意味する。システインプロテアーゼは、タンパク質の正常な分解及びプロセッシングに関連している。しかし、例えば発現の増大や活性化の増強等の結果、システインプロテアーゼの活性が異常となると、病理的帰結を招く場合がある。この点で、ある種のシステインプロテアーゼは、関節炎、筋ジストロフィー、炎症、腫瘍浸潤、糸球体腎炎、マラリア、歯周病、異染性白質萎縮症等を含む、多数の病態に関連している。例えば、腫瘍においてカテプシンBレベル増大及びこの酵素の再分布が認められることから、この酵素が腫瘍浸潤及び転移に関与していることが示唆される。また、カテプシンBの活性異常は、関節リウマチ、変形性関節症、カリニ肺炎、急性膵炎、炎症性気道疾患、並びに骨及び関節疾患等の病態に関与している。
【0004】
カテプシンKの破骨細胞及び破骨細胞関連多核細胞における突出した発現並びにその高いコラーゲン分解活性は、この酵素が破骨細胞媒介性骨吸収に関与し、ひいては骨粗鬆症の発生等の骨異常にも関与していることを示唆する。更に、肺におけるカテプシンK発現とそのエラスチン分解活性は、この酵素が肺障害にも関与していることを示唆する。
【0005】
カテプシンLは、正常なリソソームタンパク質分解に加え、幾つかの病態(例えば、これに限定されるものではないが、メラノーマの転移等)に関与する。カテプシンSは、アルツハイマー病及びある種の自己免疫疾患(例えば、これらに限定されるものではないが、若年発症型糖尿病、多発性硬化症、尋常性天疱瘡、グレーヴス病、重症筋無力症、全身性エリスマトーデス、関節リウマチ及び橋本甲状腺炎等)に関与している。また、カテプシンSは、アレルギー性障害(例えば、これに限定されるものではないが、喘息等)や、同種異系免疫応答(例えば、これらに限定されるものではないが、臓器移植又は組織移植片の拒絶反応等)に関与している。
【0006】
多数の疾患において、システインプロテアーゼ活性の増加が疾患の病理及び/又は症候の一因になると考えられることを考慮すると、この酵素群の活性を阻害する分子、特にカテプシンB、K、L、F、及び/又はSを阻害する分子は、治療薬として有用であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の態様において、本発明は、式Iの化合物:
【化1】

(式中:
1は、アリール又はヘテロアリールであり、ここでアリール環又はヘテロアリール環は、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アシル、アリール、アリールオキシ、アリールスルホニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アミノスルホニル、及びアミノアルキルから独立して選択される1、2又は3の基により、任意に置換されていてもよく;
Yは、酸素又は−S(O)mであり、ここで
mは、0、1、又は2であり;
2は、水素、R7−C≡C−、又はシス若しくはトランスR7−CH=CH−であり、ここで
7は、炭素原子1〜3個の低級アルキル又は炭素原子3〜6個のシクロアルキルであり;
3は、水素又は炭素原子1〜3個の低級アルキルであり;
4は、−A−X−R8であり、ここで
Aは、アルキル及びハロから独立して選択された1、2又は3の基により任意に置換されていてもよい炭素原子1〜3個のアルキレンであり、
Xは、共有結合、酸素又は−S(O)nであり、ここでnは、0、1又は2であり、
8は、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキルであり、これらは全て、炭素原子1〜4個の低級アルキル、ハロ、及びシアノからなる群から選択される1、2、又は3の置換基により任意に置換されていてもよく;
但し、Xが酸素又は−S(O)nである場合は、R8は水素ではなく;
Eは、共有結合又は−CH(R9)−C(O)−C(O)−NH−であり、ここで
9は、水素、又は、ハロ及び炭素原子3〜7個のシクロアルキルから独立して選択される1、2、3若しくは4の基により任意に置換されていてもよい炭素原子1〜6個の低級アルキルであり;
Zは、−C(R5)(R6)−R10であり;ここで
5は、水素又は炭素原子1〜4個の低級アルキルであり;及び
6は、水素、炭素原子1〜4個の低級アルキル、シクロアルキル、又はアリールであるか;又は
5及びR6は、それらが結合する炭素原子と一緒に、炭素原子1〜4個の低級アルキル、ハロ又はヒドロキシルにより任意に置換されていてもよい炭素原子3〜6個のシクロアルキル基を形成し;
10は、水素又はシアノであり;
但し、Eが共有結合である場合は、R10は水素ではなく;Eが−CH(R9)−C(O)−C(O)−NH−である場合は、R10はシアノではない);
及び、それらの医薬的な塩及びプロドラッグに関する。
【0008】
第二の態様において、本発明は、式Iの化合物又は医薬的に許容し得るその塩若しくはプロドラッグ、及び少なくとも1種の医薬的に許容し得る賦形剤を含有する医薬組成物に関する。
【0009】
第三の態様において、本発明は、治療的有効量の式Iの化合物又は医薬的に許容し得るその塩若しくはプロドラッグを、動物に投与することを含む、システインプロテアーゼ媒介性の動物の疾患を治療する方法に関する。
【0010】
第四の態様において、本発明は、式Iの化合物及び医薬的に許容し得るその塩又はプロドラッグを調製するプロセスに関する。
【0011】
第五の態様において、本発明は、免疫応答、特に有害な免疫応答を引き起こす療法を受けている患者を治療する方法であって、式Iの化合物又は医薬的に許容し得るその塩を患者に投与することを含む方法に関する。典型的には、この免疫応答にはMHCクラスII分子が媒介している。本発明の化合物は、この療法の前、療法と同時、又は療法の後、の何れに投与してもよい。一態様において、この療法は生物製剤による治療を伴う。
【0012】
第六の態様において、本発明は、式Iの化合物又は医薬的に許容し得るその塩の、医薬品の製造における使用に関する。
【0013】
定義:
別途記載しない限り、本願明細書及び特許請求の範囲において使用される下記の用語は、本出願の各種目的のために定義され、かつ以下の意味を有する。
【0014】
「アルキル」は単独では、別途規定しない限り、炭素原子1、2、3、4、5、又は6個を含む、直鎖状又は分岐状の飽和脂肪族ラジカルを意味し、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられる。
【0015】
「アルキレン」は、別途規定しない限り、炭素原子1、2、3、4、5、又は6個を有する直鎖状又は分岐状の飽和脂肪族の二価ラジカルを意味し、例えばメチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2CH2−)、トリメチレン(−CH2CH2CH2−)、テトラメチレン(−CH2CH2CH2CH2−)、2−メチルテトラメチレン(−CH2CH(CH3)CH2CH2−)、ペンタメチレン(−CH2CH2CH2CH2CH2−)等が挙げられる。
【0016】
「アミノ」は、−NH2ラジカルを意味する。
【0017】
「アルキルアミノ」及び「ジアルキルアミノ」は、各々−NHR及び−NRR’ラジカル(ここでR及びR’は各々独立して、先に定義されたアルキル基である)を意味し、例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ等が挙げられる。
【0018】
「アルコキシ」は、−ORラジカル(ここでRは先に定義されたアルキル基である)を意味し、例えばメトキシ、エトキシ等が挙げられる。
【0019】
「アルコキシカルボニル」は、−C(O)ORラジカル(ここでRは先に定義されたアルキル基である)を意味し、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられる。
【0020】
「アルコキシカルボニルアルキル」は、−(アルキレン)−C(O)ORラジカル(ここでRは先に定義されたアルキル基である)を意味し、例えばメトキシカルボニルメチル、2−又は3−エトキシカルボニルメチル等が挙げられる。
【0021】
「アルコキシアルキル」は、少なくとも1個の、好ましくは1又は2個の、先に定義されたアルコキシ基により置換された、炭素原子1、2、3、4、5若しくは6個の直鎖状の一価の炭化水素ラジカル、又は、炭素3、4、5若しくは6個の分岐状の一価の炭化水素ラジカルを意味し、例えば2−メトキシ−エチル、1−、2−又は3−メトキシプロピル、2−エトキシエチル等が挙げられる。
【0022】
「アルコキシアルキルオキシアルキル」は、−(アルキレン)−O−(アルキレン)−ORラジカル(ここでRは先に定義されたアルキル基である)を意味し、例えば2−メトキシエチルオキシメチル、3−メトキシプロピルオキシエチル等が挙げられる。
【0023】
「アミノアルキル」は、、少なくとも1個の、好ましくは1又は2個の−NRR’(ここでRは水素、アルキル、又は−CORa(ここでRaはアルキルである)を意味し、R’は水素又は先に定義されたアルキルである)により置換された、炭素原子1、2、3、4、5若しくは6個の直鎖状の一価の炭化水素ラジカル、又は、炭素原子3、4、5若しくは6個の分岐状の一価の炭化水素ラジカルを意味し、例えば、アミノメチル、メチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル、1,3−ジアミノプロピル、アセチルアミノプロピル等が挙げられる。
【0024】
「アミノスルホニル」は、−SO2Rラジカル(ここでRは−NRR’(ここでRは水素、アルキル、又は−CORa(ここでRaはアルキルである)を意味し、R’は水素又は先に定義されたアルキルである)である)を意味し、例えばアミノスルホニル、メチルアミノスルホニル、ジメチルアミノスルホニル等が挙げられる。
【0025】
「アルキルチオ」は、−SRラジカル(ここでRは先に定義されたアルキル基である)を意味し、例えばメチルチオ、エチルチオ等が挙げられる。
【0026】
「アルキルスルフィニル」は、−S(O)Rラジカル(ここでRは先に定義されたアルキル基である)を意味し、例えばメチルスルフィニル、エチルスルフィニル等が挙げられる。
【0027】
「アルキルスルホニル」は、−SO2Rラジカル(ここでRは先に定義されたアルキル基である)を意味し、例えばメチルスルホニル、エチルスルホニル等が挙げられる。
【0028】
「アシル」は、−CORラジカル(ここでRが、水素、又は本明細書に定義されたアルキル、ハロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、又はヘテロシクリルである)を意味し、例えばホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンゾイル、ピペラジン−1−イルカルボニル等が挙げられる。
【0029】
「アミノカルボニル」は、−CONRR’ラジカル(ここでRが水素又はアルキルであり、かつR’が水素、アルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、又はヘテロアラルキルである)をいう。
【0030】
「動物」は、ヒト、非ヒト哺乳動物(例えばイヌ、ネコ、ウサギ、家畜、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シカ等)及び非哺乳動物(例えばトリ等)を含む。
【0031】
「芳香族」は、構成原子が不飽和環系を形成する部分構造であって、この環系の全ての原子が混成されたsp2であり、π電子の総数が4n+2個に等しいものを意味する。
【0032】
「アリール」は、環炭素原子6、7、8、9又は10個を含む単環式又は縮合二環式の環集成体であって各環が芳香族であるものを意味し、例えばフェニルやナフチルが挙げられる。
【0033】
「アラルキル」は、−(アルキレン)−Rラジカル(ここでRが先に定義されたアリールである)を意味し、例えばベンジル、フェネチル等が挙げられる。
【0034】
「アリールオキシ」は、−ORラジカル(ここでRが先に定義されたアリールである)を意味し、例えばフェノキシ等が挙げられる。
【0035】
「アリールオキシアルキル」は、−(アルキレン)−ORラジカル(ここでRが先に定義されたアリールである)を意味し、例えばフェノキシメチル、2−又は3−フェノキシメチル等が挙げられる。
【0036】
「アリールスルホニル」は、−SO2Rラジカル(ここでRが先に定義されたアリールである)を意味し、例えばフェニルスルホニル等が挙げられる。
【0037】
「生物製剤」は、疾患の治療又は管理のための生物由来の治療剤を意味する。例としては、これらに限定されるものではないが、タンパク質(組換え及び血漿由来の)、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体、ヒト化抗体又はマウス抗体、毒素、ホルモン、レミケード(登録商標)、リファクト(登録商標)、レフェロン(Referon)-A(登録商標)、第VIII因子、第VII因子、ベタセロン(Betaseron)(登録商標)、エポジェン(Epogen)(登録商標)、エンブレル(登録商標)、インターフェロンβ、ボトックス(登録商標)、ファブラザイム(Fabrazyme)(登録商標)、エルスパー(Elspar)(登録商標)、セレザイム(Cerezyme)(登録商標)、ミオブロック(Myobloc)(登録商標)、アルドラザイム(Aldurazyme)(登録商標)、ベルルマ(Verluma)(登録商標)、インターフェロンα、ヒュミラ(Humira)(登録商標)、アラネスプ(Aranesp)(登録商標)、ゼバリン(Zevalin)(登録商標)、OKT3等が挙げられる。生物製剤は現在、癌、関節リウマチ、血友病等の様々な疾患の治療に利用可能である。
【0038】
「カルボキシ」は、−C(O)OHラジカルを意味する。
【0039】
「カルボキシアルキル」は、−(アルキレン)−C(O)OHラジカルを意味し、例えばカルボキシメチル、カルボキシエチル等が挙げられる。
【0040】
「シクロアルキル」は、炭素原子3、4、5、6、7、又は8個を含む、飽和又は部分的に不飽和の一価の単環式環を意味し、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニル等が挙げられる。
【0041】
「シクロアルキルオキシ」は、ラジカル−O−R(ここでRが先に定義されたシクロアルキル基である)を意味し、例えばシクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロペンチルオキシ等が挙げられる。
【0042】
「シクロアルキルアルキル」は、−(アルキレン)−Rラジカル(ここでRが先に定義されたシクロアルキル基である)を意味し、例えばシクロプロピルメチル、シクロブチルエチル、シクロブチルメチル等が挙げられる。
【0043】
「シクロアルキレン」は、炭素原子を3、4、5、6、7、又は8個含む、二価の飽和又は部分的に不飽和の単環式環を意味する。例えば「R1及びR2が、R1及びR2がともに結合する炭素原子と一緒に、シクロアルキレンを形成する」場合、これらに限定されるものではないが、以下が挙げられる。
【0044】
【化2】

【0045】
「二置換されたアミノ」は、Rが本明細書に定義されたアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、又はヘテロシクリルであり、かつR’がアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、又はアシルである、−NRR’ラジカルをいう。代表的な例としては、これらに限定されるものではないが、ジメチルアミノ、メチルフェニルアミノ、ベンジルメチルアミノ、アセチルメチルアミノ等が挙げられる。
【0046】
「疾患」は具体的には、動物又はそれらの一部の健康でない任意の状態を含み、また、その動物に適用された医学又は獣医学の療法に起因又は随伴し得る不健康な状態、すなわちそのような療法の「副作用」を含む。
【0047】
「有害な免疫応答」は、患者の有効な治療を妨害するか又は患者に疾患を引き起こす免疫応答を意味する。例として、患者への療法又は診断薬のいずれかとしてのマウス抗体の投与は、後続の治療を妨害又は干渉するヒト抗マウス抗体の産生を引き起こす。純粋なマウスモノクローナルに対する抗体形成の発生率は、70%を超え得る(Khazaeli, M. B.らの論文、J. Immunother., 15, pp 42-52 (1994);Dillman R. O.らの論文、Cancer Biother., 9, pp 17-28 (1994);及び、Reinsbergの論文、J. Hybridoma, 14, pp 205-208 (1995)を参照のこと)。有害な免疫応答に冒されることがわかっている物質の追加例は、第VIII因子等の血液凝固因子である。第VIII因子は、血友病A患者に投与される場合、血液に凝固能を回復する。外来性第VIII因子は、血友病患者の血液には存在せず、従ってこれはその免疫系に対し外来抗原のように見えるので、第VIII因子はヒトタンパク質であるが、これは依然血友病患者において免疫応答を誘発する。新規患者のおよそ29〜33%は、治療として投与された第VIII因子に結合しかつ中和する抗体を産生するであろう(Lusherの論文、J. M. Semin Thromb Hemost., 28(3), pp 273-276 (2002)を参照のこと)。これらの中和抗体は、通常の血液凝固パラメータを維持するためには、大量の第VIII因子を投与することが必要であり;これは免疫寛容を誘導するための高価な治療計画である(Briet Eらの論文、Adv. Exp. Med. Bio., 489, pp 89-97 (2001)を参照のこと)。別の免疫原性の例は、アデノウイルスベクターである。レトロウイルス療法は、実験段階に止まり、利用が制限されている。理由のひとつは、治療的ウイルスの適用は、後続の同じ又は類似ウイルスの投与をブロックすることが可能である免疫応答を生じることである(Yiping Yangらの論文、J. of Virology., 69, pp 2004-2015 (1995)を参照のこと)。このことは、レトロウイルス療法は、タンパク質の一過性の発現又は宿主ゲノムへのウイルス配列の直接取込みを基本としなければならないことを確実にする。指定された研究は、宿主抗体により認識された多数のウイルスの中和エピトープを同定しており(Hanne, Gahery-Segardらの論文、J. of Virology, 72, pp 2388-2397 (1998)を参照のこと)、これはウイルス修飾はこの障害を克服するには十分ではないことを示唆している。本発明は、アデノウイルス療法を、反復適用に有用であるようにするプロセスを可能にするであろう。中和抗体を誘起する免疫原性物質の別の例は、周知の化粧品ボトックス(Botox)である。ボツリヌス毒素タンパク質は、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)の発酵から精製される。治療薬として、これは、化粧品適用に加え、頸部ジストニア等の筋肉障害に使用される。反復曝露後、患者は、この毒素に対する中和抗体を産生し、その結果有効性が低下する(Birklein F.らの論文、Ann Neurol., 52, pp 68-73 (2002)、及びRollnik, J. D.らの論文、Neurol. Clin. Neurophysiol., 2001(3), pp 2-4 (2001)を参照のこと)。「有害な免疫応答」は、治療薬により引き起こされた疾患も包含している。これの具体例は、組換えヒトエリスロポエチン(EPO)療法に対する免疫応答である。エリスロポエチンは、化学療法又は透析を受けている患者において、赤血球増殖を刺激し、かつ赤血球数を回復するために使用される。患者の小さい割合が、EPOに対する抗体を生じ、その後かつ治療のために投与されたEPO及び自分自身の内在性EPOの両方に反応しなくなる(Casadevall, N.らの論文、NEJM., 346, pp 469-475 (2002)を参照のこと)。患者らは、赤血球生成が重度に減少される障害である真正赤血球系無形成症にかかる(Gershon S. K.らの論文、NEJM., 346, pp 1584-1586 (2002)を参照のこと)。このEPO療法の合併症は、未治療の場合、致命的である。別の具体例は、マウス抗体OKT3(別名オルトクローン)の、活性化されたT−細胞のCD−3ドメインに対するモノクローナル抗体である。臨床試験において、OKT3投与された患者の20〜40%が、本療法に対する抗体を産生している。これらの抗体は、その療法を中和することに加え、強力な宿主の免疫反応を刺激もする。この免疫反応は、高力価のヒト抗−マウス抗体を持つ患者が、本剤の摂取から特に制限されるのに十分な程重度である(オルトクローン添付文書を参照のこと)。最後の例は、ヒト抗体治療薬である。ヒュミラ(Humira)(登録商標)は、TNFに対するモノクローナル抗体であり、かつ関節リウマチ患者を治療するために使用される。単独で摂取した場合、12%未満の患者が、中和抗体を発生する。加えて本剤を投与された患者の小さい割合が、本治療薬により誘導されたIgG−媒介性免疫応答である全身性紅斑狼瘡様状態にかかる(ヒュミラ添付文書を参照のこと)。「有害な免疫応答」の別の例は、小型分子薬物に対する宿主反応である。ある種の化学構造は、宿主タンパク質と複合し、免疫認識を刺激することは、当業者に公知である(Ju. C.らの論文、Current Drug Metabolism, 3, pp 367-377 (2002)、及びKimber I.らの論文、Toxicologic Pathology, 30, pp 54-58 (2002)を参照のこと)。この宿主反応のかなりの部分は、IgG媒介性である。IgGが媒介する特異的「有害な免疫応答」は、溶血性貧血、Steven-Johnson症候群及び薬剤誘発性狼瘡を含む。
【0048】
「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードをいう。
【0049】
「ハロアルキル」は、そのような用語が先に定義されたような「ハロ」原子の1又は複数、好ましくは1、2、3、4、又は5個により置換された、先に定義されたアルキルをいう。ハロアルキルは、モノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、ペルハロアルキル等、例えばクロロメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペルフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロ−1,1−ジクロロエチル等を含む。
【0050】
「ハロアルキレン」は、1〜6個の水素原子が、塩素又はフッ素原子(複数)により置換された、好ましくは1又は2個の水素がフッ素又は塩素原子により置換された、より好ましくはアルキレン鎖の同じ炭素上の2個の原子が、フッ素原子により置換された、先に定義されたアルキレンラジカルを意味し、例えばジクロロメチレン、ジフルオロメチレン、1,2−ジフルオロエチレン等が挙げられる。
【0051】
「ハロアルコキシ」は、Rが先に定義されたハロアルキル基である、−ORラジカルを意味し、例えばトリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、ジフルオロメトキシ等が挙げられる。
【0052】
基又は基の一部としての「ヘテロアリール」は、1又は複数の、好ましくは1、2又は3個の環原子(複数)が、窒素、酸素又は硫黄から選択され、残余の環原子が炭素である、環原子5、6、7、8、9、又は10個の芳香族単環又は多環部分を意味する。代表的ヘテロアリール環は、ピロリル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ピラゾリル等を含むが、これらに限定されるものではない。
【0053】
「ヘテロアラルキル」は、Rが先に定義されたヘテロアリールである、−(アルキレン)−Rラジカルを意味し、例えばピリジニルメチル、1−又は2−フラニルエチル、イミダゾリルメチル等が挙げられる。
【0054】
「ヘテロアリールオキシアルキル」は、Rが先に定義されたヘテロアリールである、−(アルキレン)−ORラジカルを意味し、例えばフラニルオキシメチル、2−又は3−インドリルオキシエチル等が挙げられる。
【0055】
「ヘテロアリールオキシ」は、Rが先に定義されたヘテロアリールである、−ORラジカルをいう。
【0056】
「ヘテロアラルキルオキシ」は、Rが先に定義されたヘテロアラルキルである、−ORラジカルをいう。
【0057】
「ヘテロアリールスルホニル」は、Rが先に定義されたヘテロアリール基である、−SO2Rラジカルを意味し、例えばピリジニルスルホニル等が挙げられる。
【0058】
「ヘテロシクリル」は、環炭素原子の1又は複数、好ましくは1、2又は3個が、−N=、−N−、−O−、−S−、−SO−、又は−S(O)2−から選択されたヘテロ原子により置換され、かつ更に1又は2個の環原子がケト(−CO−)基により任意に置換されている、炭素環原子4、5又は6個の飽和又は部分的に不飽和の単環式又は二環式のラジカルをいう。ヘテロシクリル環は、本明細書に定義されたアリール又はヘテロアリール環に任意に縮合されている。代表例は、イミダゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チオモルホリノ−1−オキシド、チオモルホリノ−1,1−ジオキシド、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−オキソ−テトラヒドロチオピラニル、1,1−ジオキソテトラチオピラニル、インドリニル、ピペラジニル、ピペリジル、ピロリジニル、ピロリニル、キヌクリジニル等を含むが、これらに限定されるものではない。
【0059】
「ヘテロシクリルアルキル」は、本出願において定義された−(アルキレン)−ヘテロシクリルラジカルをいう。代表例は、イミダゾリジン−1−イルメチル、モルホリン−4−イルメチル、チオモルホリン−4−イルメチル、チオモルホリン−4−イルメチル−1−オキシド、インドリニルエチル、ピペラジニルメチル又はエチル、ピペリジルメチル又はエチル、ピロリジニルメチル又はエチル等を含むが、これらに限定されるものではない。
【0060】
「ヘテロシクリルオキシ」は、Rが先に定義されたヘテロシクリルである、−ORラジカルを意味し、例えばピペリジニルオキシ、テトラヒドロフラニルオキシ等が挙げられる。
【0061】
「ヘテロシクリルスルホニル」は、Rが先に定義されたヘテロシクリル基である、−SO2Rラジカルを意味し、例えばピペリジニルスルホニル、ピペラジニルスルホニル等が挙げられる。
【0062】
「ヘテロシクリルアルキレン」は、例えばR1及びR2は、R1及びR2の両方が結合する炭素原子と一緒に、ヘテロシクリルアルキレンを形成するような場合の、本出願において定義された、二価ヘテロシクリル基をいい、以下を含むが、これらに限定されるものではない:
【0063】
【化3】

(式中、Rは、「発明の概要」において定義された置換基である)。
【0064】
「ヒドロキシ」は、−OHラジカルを意味する。
【0065】
「ヒドロキシアルキル」は、1又は2個のヒドロキシ基により置換された、炭素原子1、2、3、4、5又は6個の直鎖状の一価の炭化水素ラジカル、又は炭素3、4、5、6個の分岐状の一価の炭化水素ラジカルであって、但し2個のヒドロキシ基が存在する場合、これらは両方とも同じ炭素原子上には存在しないことを条件とするものを意味する。代表例は、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチル及び2−(ヒドロキシメチル)−3−ヒドロキシプロピルを含むが、これらに限定されるものではなく、好ましくは2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、及び1−(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチルである。
【0066】
「異性体」は、同じ分子式を有するが、それらの原子の結合の性質若しくは配列又はそれらの原子の空間での配置が異なる、化合物を意味する。それらの原子の空間での配置が異なる異性体は、「立体異性体」と称される。互いに鏡像でない立体異性体は、「ジアステレオマー」と称され、かつ重ねることができない鏡像である立体異性体は、「エナンチオマー」又は時には「光学異性体」と称される。4種の同じでない置換基に結合する炭素原子は、「キラル中心」と称される。1個のキラル中心を持つ化合物は、反対の対掌性の2種のエナンチオマー型を有し、「ラセミ混合物」と称される。1個よりも多いキラル中心を有する化合物は、2n-1個のエナンチオマー対を有し、ここでnはキラル中心の数である。1個よりも多いキラル中心を有する化合物は、個々のジアステレオマーとして、又は「ジアステレオマー混合物」と称されるジアステレオマーの混合物としてのいずれかで存在することができる。1個のキラル中心が存在する場合、立体異性体は、キラル中心の絶対配座により特徴付けることができる。絶対配座とは、キラル中心に結合された置換基の空間における配置をいう。エナンチオマーは、それらのキラル中心の絶対配座により特徴付けられ、かつCahn、Ingold及びPrelogのR−及びS−順位則により説明されることができる。立体化学の命名法に関する慣例、立体異性体の立体化学の決定及び分割の方法は、当該技術分野において周知である(例えば、「Advanced Organic Chemistry」、第4版、March, Jerry、John Wiley&Sons社、ニューヨーク、1992年を参照のこと)。式(I)の化合物を説明するために本出願において使用される名称及び図は、全ての可能性のある立体異性体を包含することを意味することが理解される。
【0067】
「ケト」は、−C(O)ラジカルを意味する。
【0068】
「一置換されたアミノ」は、Rが本明細書に定義されたアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、又はアシルである、−NHRラジカルをいう。代表例は、メチルアミノ、フェニルアミノ、ベンジルアミノ、シクロアルキルメチルアミノ、アセチルアミノ、トリフルオロアセチル等を含むが、これらに限定されるものではない。
【0069】
「ニトロ」は、−NO2ラジカルを意味する。
【0070】
「任意の」又は「任意に」又は「てもよい」は、その後に記載される事象又は状況が、生じる場合も生じない場合もあることを意味し、また、その記載が、その事象又は状況が生じる場合と生じない場合の双方を包含することを意味する。例えば語句「Raの芳香環が、アルキルから独立して選択された1又は2の置換基により、任意に置換されていてもよい」は、この芳香環がアルキルで置換されていてもいなくても、本発明の範囲内に含まれることを意味する。
【0071】
本発明は、式Iの化合物のN−オキシド誘導体も含む。N−オキシド誘導体は、窒素原子が酸化された状態である(すなわち、N→O)式Iの化合物、例えばピリジンN−オキシドであり、かつ所望の薬理活性を有するものを意味する。
【0072】
疾患の「病理」は、該疾患の本質的性質、原因及び進展に加え、該疾患プロセスから生じる構造的及び機能的変化を意味する。
【0073】
「医薬的に許容し得る」は、一般に安全で、無毒、及び生物学的にもそれ以外にも望ましくないことはない、医薬組成物の調製において有用であることを意味し、かつヒト医薬使用に加え獣医学での使用にも許容し得るものを含む。
【0074】
「医薬的に許容し得る塩」は、先に定義されたような、医薬的に許容し得、かつ所望の薬理活性を有する、式Iの化合物の塩を意味する。そのような塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸によるか;又は、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、o−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイヒ酸、マンデル酸、メチルスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第3級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等の有機酸により、形成された酸付加塩を含む。
【0075】
医薬的に許容し得る塩は、存在する酸性プロトンが、無機塩基又は有機塩基と反応することが可能である場合に恐らく形成される塩基付加塩も含む。許容し得る無機塩基は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム、及び水酸化カルシウムを含む。許容し得る有機塩基は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン等を含む。
【0076】
本発明は、式Iの化合物のプロドラッグも含む。プロドラッグとは、代謝手段により(例えば加水分解により)、インビボにおいて式Iの化合物へ変換可能である化合物を意味する。例えば、ヒドロキシ基を含む式Iの化合物のエステルは、インビボにおいて加水分解により親分子へ変換可能であってもよい。あるいは、カルボキシ基を含む式Iの化合物のエステルは、インビボにおいて加水分解により親分子へ変換可能であってもよい。好適なヒドロキシ基を含む式Iの化合物のエステルとしては、例えば、酢酸エステル、クエン酸エステル、乳酸エステル、酒石酸エステル、マロン酸エステル、シュウ酸エステル、サリチル酸エステル、プロピオン酸エステル、コハク酸エステル、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、メチレン−ビス−b−ヒドロキシナフトエ酸エステル、ゲンチシン酸エステル、イセチオン酸エステル、ジ−p−トルオイル酒石酸エステル、メチルスルホン酸エステル、エタンスルホン酸エステル、ベンゼンスルホン酸エステル、p−トルエンスルホン酸エステル、シクロヘキシルスルファミン酸エステル及びキナ酸エステルが挙げられる。好適なカルボキシ基を含む式Iの化合物のエステルとしては、例えばLeinweber, F.J.の論文、Drug Metab. Res., 18, 379 (1987)に記載されたものが挙げられる。ヒドロキシ基を含む式Iの化合物のエステルの特に有用な種類は、Bundgaardらの論文J. Med. Chem., 32, 2503-2507 (1989)に記載されたものから選択された酸部分から形成することができ、かつ置換(アミノメチル)−安息香酸エステルを含み、例えば2個のアルキル基がともに結合していてもよく、及び/又は、酸素原子若しくは任意に置換されていてもよい窒素原子(例えばアルキル化された窒素原子等)により隔てられていてもよい、ジアルキルアミノ−メチル安息香酸エステルを含み、より特定すると(モルホリノ−メチル)安息香酸エステル、例えば3−又は4−(モルホリノメチル)−安息香酸エステル、及び(4−アルキルピペラジン−1−イル)安息香酸エステル、例えば3−又は4−(4−アルキルピペラジン−1−イル)安息香酸エステルを含む。
【0077】
「保護された誘導体」は、反応部位又は反応部位群が、保護基により遮蔽されている式Iの化合物の誘導体を意味する。式Iの化合物の保護された誘導体は、式Iの化合物の調製において有用であるか、又はそれら自身恐らく活性のあるカテプシンS阻害剤であろう。好適な保護基の包括的一覧は、T.W. Greeneの文献、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版、John Wiley&Sons社、1999年に認めることができる。
【0078】
「治療的有効量」は、疾患を治療するために動物に投与される場合に、該疾患のそのような治療に効果があるのに十分である量を意味する。
【0079】
「治療」又は「治療する」は、本発明の化合物の任意の投与を意味し、かつ以下の状況を含む。
【0080】
(1)恐らく疾患の素因を有するが、未だ該疾患の病理又は症候を経験若しくは提示していない動物において、該疾患が発生することを予防すること、
(2)疾患の病理又は症候を経験若しくは提示している動物において、該疾患を阻害すること(すなわち、病理及び/又は症候の更なる進展を停止すること)、又は
(3)疾患の病理又は症候を経験若しくは提示している動物において、該疾患を改善すること(すなわち、病理及び/又は症候を逆行させること)。
【0081】
併用療法、すなわち生物学的手段の共に使用に関して、「治療」又は「治療する」は、本発明の化合物の任意の投与を意味し、かつ以下の状況を含む。
【0082】
(1)恐らく免疫応答に対する素因を有するが、未だ該免疫応答の病理又は症候を経験若しくは提示していない動物において、該免疫応答が発生することを予防すること、
(2)免疫応答の病理又は症候を経験若しくは提示している動物において、該免疫応答を阻害すること(すなわち、病理及び/又は症候の更なる進展を停止すること)、又は
(3)免疫応答の病理又は症候を経験若しくは提示している動物において、該免疫応答を改善すること(すなわち、免疫応答の重症度、又は範囲若しくは期間、顕性の兆候を軽減するか、若しくは病理及び/又は症候を逆行させること、例えばMHCクラスII分子による抗原性ペプチドの結合及び提示の低下、T−細胞及びB−細胞の活性の低下、体液性及び細胞性応答の低下、並びに特定の免疫応答に応じ適切に、軽減された炎症、鬱血、疼痛、壊死、生物製剤の有効性喪失の低下等)。
【発明を実施するための形態】
【0083】
「発明の概要」において説明された最も広範な範囲の中でも、以下に例示する特定の式Iの化合物が好ましい。
【0084】
式Iの化合物の好ましい群の一つは、R1が任意に置換されていてもよいアリールであり、R4がA−X−R8であり、かつYが酸素である化合物を含む。この群において、亜群は、R2及びR3が両方とも水素であり、かつEが共有結合であり、特にZが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R5及びR6はそれらが結合する炭素原子と一緒に、炭素原子3〜6個のシクロアルキル基を形成し、特に該シクロアルキル基はシクロプロピルであり、かつR10はシアノである)化合物を含む。これらの化合物の中でとりわけ好ましいのは、R1が、フルオロにより置換されたフェニルであり、Aがフルオロにより任意に置換されていてもよい炭素原子1〜3個のアルキレンであり、Xが共有結合又は−S(O)2であり、かつR8がヘテロアリールアルキル又はシクロアルキルであるものである。
【0085】
第二の好ましい群は、Eが−CH(R9)−C(O)−C(O)−NH−であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R5及びR6はそれらが結合する炭素原子と一緒に炭素原子3〜6個のシクロアルキル基を形成し、特に該シクロアルキル基はシクロプロピルであり、かつR10は水素である)式Iの化合物を含む。これらの化合物の中でとりわけ好ましいのは、R1が、フルオロにより置換されたフェニルであり、Aがフルオロにより任意に置換されていてもよい炭素原子1〜3個のアルキレンであり、Xが共有結合又は−S(O)2であり、R8がヘテロアリールアルキル又はシクロアルキルであり、かつR9がエチルであるものである。
【0086】
第三の好ましい群は、R2がR7−C≡C−であり、R3が水素であり、かつEが共有結合であるそのような化合物を含む。この群において、好ましい化合物は、Zが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R5及びR6はそれらが結合する炭素原子と一緒に炭素原子3〜6個のシクロアルキル基を形成し、特に該シクロアルキル基はシクロプロピルであり、かつR10は水素である)化合物を含む。この亜群において、R1が、フルオロ、チオメチル、又はメチルスルホニルにより置換されたフェニルであり、Aがフルオロにより任意に置換されていてもよい炭素原子1〜3個のアルキレンであり、Xが共有結合又は−S(O)2であり、かつR8がヘテロアリールアルキル又はシクロアルキルであり、特にR7がメチルであるものが、好ましい化合物である。
【0087】
好ましい化合物としては、下記が挙げられる。
(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−3−(ピリジン−3−イルメチルスルホニル)プロパンアミド;
(S)−N−シクロプロピル−3−((R)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−3−(ピリジン−3−イルメチルスルホニル)プロパンアミド)−2−オキソペンタンアミド;
(S)−N−シクロプロピル−3−((R)−3−(シクロプロピルメチルスルホニル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)プロパンアミド)−2−オキソペンタンアミド;
(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)プロパンアミド;
(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−3−(シクロプロピルメチルスルホニル)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)プロパンアミド;
(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−3−(ピリジン−2−イルメチルチオ)プロパンアミド;
(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−3−(ピリジン−2−イルメチルスルホニル)プロパンアミド;
(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−((ピリジン−3−イルメチルチオ)メチル)プロパンアミド;
(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−((ピリジン−3−イルメチルスルホニル)メチル)プロパンアミド;
3−(((R)−3−(1−シアノシクロプロピルアミノ)−2−(((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)メチル)−3−オキソプロピルスルホニル)メチル)ピリジン 1−オキシド;
(S)−N−(1−シアノシクロプロピル)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド;及び
(S)−5−シクロプロピル−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソペンタン−3−イル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド。
【0088】
全般的合成スキーム
本発明の化合物は、以下に示す反応スキームに記載の方法で作製することができる。
【0089】
これらの化合物の調製に使用される出発物質及び試薬は、Aldrich Chemical社(ミルウォーキー、Wi.)、Bachem社(トーランス、Ca.)、又はSigma社(セントルイス、Mo.)等の供給メーカーから入手可能であるか、或いは「Fieser and Fieser's Reagents for Organic Synthesis」、1-17巻(John Wiley and Sons社、1991年);「Rodd's Chemistry of Carbon Compounds」、1-5巻及び補遺(Elsevier Science Publishers社、1989年);「Organic Reactions」、1-40巻(John Wiley and Sons社、1991年)、「March's Advanced Organic Chemistry」(John Wiley and Sons社、第4版)、及び「Larock's Comprehensive Organic Transformations」(VCH Publishers社、1989年)等の参考文献に記載の手順に従い、当業者に公知の方法で調製可能である。
【0090】
なお、これらのスキームは、本発明の化合物を合成可能な方法の単なる例示であり、これらのスキームに様々な変更を加え得ることは、当業者が本明細書を参照すれば明らかである。
【0091】
この反応の出発物質及び中間体は、所望により、従来法を用いて分離・精製することができる。かかる方法としては、これに限定されるものではないが、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー等が挙げられる。これらの物質は、物理定数及びスペクトルデータ等の従来法により特徴付けることができる。
【0092】
別途明記しない限り、本明細書に説明された反応は、大気圧下、温度範囲約−78℃〜約150℃、より好ましくは約0℃〜約125℃、及び最も好ましくはほぼ室温(又は周囲温度)、例えば約20℃で実行される。後述された反応において、反応性官能基、例えばヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、チオ基又はカルボキシ基が最終生成物において望ましい場合、それらの望ましくない反応への参加を避けるために、これらを保護することが必要であることがある。通常保護基は、標準の実践に従い使用され、例えば、T.W. Greene及びP. G. M. Wutsの文献、「Protective Groups in Organic Chemistry」、John Wiley and Sons社、1999年を参照されたい。
【0093】
式Iの化合物の調製法を以下に示す。
1)2が水素であり、R4が−A−X−R8であり、Eが共有結合であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である式Iの化合物の調製
【0094】
反応スキームIは、R2が水素であり、R4が−A−X−R8であり(式中、XはS又はOであり、かつR8は先に定義されたものである)、Eが共有結合であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R10はシアノである)、式Iの化合物の合成を示している。
【0095】
【化4】

【0096】
工程1−式(2)の化合物の調製
極性溶媒、典型的にはN,N−ジメチルホルムアミド中の式(1)の化合物の混合物を、同じ溶媒に分散された金属水素化物、典型的には水素化ナトリウムに温度ほぼ室温で添加する。この混合物へ、任意に同じ溶媒中の、2−ブロモ−2,2−ジフルオロ酢酸のエステル、好ましくは2−ブロモ−2,2−ジフルオロ酢酸エチルを添加する。この混合物を、室温で約2〜3時間攪拌する。反応が実質的に完了した時点で、式(2)の生成物を、通常の手段により、例えば酢酸エチルの添加により分離し、水を慎重に添加し反応をクエンチし、水で洗浄し、減圧下で溶媒を除去し、式(2)の化合物を提供する。
【0097】
工程2−式(3)の化合物の調製
不活性溶媒、典型的にはジエチルエーテル中の式(2)の化合物の混合物へ、還元剤、好ましくは水素化リチウムアルミニウムを、温度約0℃で添加する。次にこの混合物を、ほぼ室温で約4時間攪拌する。反応が実質的に完了した時点で、式(3)の生成物を、通常の手段により、例えば酢酸エチルの添加により分離し、過剰な水素化リチウムアルミニウムクエンチし、引き続きメタノール及び過剰な塩酸を加える。不活性溶媒、典型的には酢酸エチルによる抽出、及び減圧下での溶媒の除去は、式(3)の化合物を提供する。
【0098】
工程3及び4−式(6)の化合物の調製
不活性溶媒、典型的にはジクロロメタン中の式(3)の化合物及びヒンダード塩基、典型的にはジイソプロピルエチルアミンの混合物へ、温度約−78℃で、トリフルオロメタンスルホン酸無水物を添加する。その後この混合物を、約1〜3時間攪拌し、式(4)の化合物を形成する。この生成物に、不活性溶媒、典型的にはジクロロメタン中の式(5)の化合物の混合物を添加し、その温度を0℃まで温める。反応が実質的に完了した時点で、式(6)の生成物を、通常の手段により、例えば酢酸エチルの添加により分離し、水により洗浄し、かつ溶媒を減圧下で除去し、式(6)化合物を提供する。
【0099】
工程5−式(7)の化合物の調製
不活性溶媒、典型的にはジクロロメタン中の式(6)の化合物の混合物へ、ほぼ室温で、トリフルオロ酢酸、引き続きトリエチルシランを添加する。次にこの混合物を、ほぼ室温で約4時間攪拌し、溶媒を減圧下で除去する。残渣に、ヘキサン及び水酸化ナトリウム水溶液を添加し、この混合物をヘキサンで抽出する。水酸化ナトリウム層に、式R8−ハロ、好ましくはR8Brの化合物及び任意にホスフィン誘導体、例えばP(CH2CH2CO2H)3を添加する。反応が実質的に完了した時点で、式(7)の生成物を、通常の手段、例えば酢酸エチルの添加により分離し、かつ希酸、例えば塩酸により洗浄し、溶媒を減圧下で除去する。
【0100】
工程6−式Iの化合物の調製
式(7)の化合物を、式(8)の化合物と、不活性有機溶媒、例えばジクロロメタン中において、弱塩基、例えばN−メチルモルホリンNMMの存在下で、アミド形成に適した試薬、例えば1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDCI)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)の存在下で接触させる。この反応を、ほぼ室温で、約2〜12時間実行する。反応が実質的に完了した時点で、式Iの生成物を、通常の手段により、例えば反応混合物の不活性有機溶媒、例えば酢酸エチルによる希釈により分離し、かつ炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインにより洗浄し、乾燥し、R2が水素であり、R4が−A−X−R8であり(式中、XはS又はOであり、かつR8は先に定義されている)、かつEは共有結合である、式Iの化合物を提供する。
【0101】
工程7−XがSO2である式Iの化合物の調製
Xが−SO2−である式Iの化合物の調製のために、好適な溶媒、例えばN−メチルピロリジンに溶解した工程6の生成物を、水中でオキソンと接触させる。典型的にはこの反応は、ほぼ室温で実行される。反応が実質的に完了した時点で、Xが−SO2−である式Iの生成物を、通常の手段により、例えば反応混合物の不活性有機溶媒、例えば酢酸エチルによる希釈により分離し、炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインにより洗浄し、乾燥し、R2が水素であり、R4が−A−X−R8であり(式中、XはSO2であり、かつR8は先に定義されている。)、かつEは共有結合である、式Iの化合物を提供する。
【0102】
2)R2が水素であり、R4が−A−X−R8であり、Eが−CH(R9)−C(O)−C(O)−NH−であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である、式Iの化合物の調製
2が水素であり、R4が−A−X−R8であり、Eが−CH(R9)−C(O)−C(O)−NH−であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R10は水素である)、式Iの化合物を、反応スキームIIに示されたように調製する。
【0103】
【化5】

【0104】
工程1−式(10)の化合物の調製
反応スキームIに示されたように調製された式(7)の化合物を、式(9)の化合物と、不活性有機溶媒、例えばジクロロメタン中において、弱塩基、例えばN−メチルモルホリンNMMの存在下で、アミド形成に適した試薬、例えば1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDCI)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)の存在下で接触させる。この反応を、ほぼ室温で、約2〜12時間実行する。反応が実質的に完了した時点で、式Iの生成物を、通常の手段により、例えば反応混合物の不活性有機溶媒、例えば酢酸エチルによる希釈により分離し、かつ炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインにより洗浄し、乾燥し、式(10)の化合物を提供する。
【0105】
工程2−式Iの化合物の調製
式(10)の化合物を、穏やかな酸化剤、例えば1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン(デスマーチンペルヨージナン試薬)と反応させる。この反応は、不活性有機溶媒、例えばジクロロメタン中で、約1時間、ほぼ室温で実行する。反応が実質的に完了した時点で、式Iの生成物を、通常の手段により、例えば反応混合物の不活性有機溶媒、例えば酢酸エチルによる希釈により分離し、かつ希炭酸水素ナトリウム、水、ブラインにより洗浄し、乾燥する。溶媒を減圧下で除去し、R2が水素であり、R4が−X−R8であり、Eが−CH(R9)−C(O)−C(O)−NH−であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R10は水素である)、式Iの化合物を提供する。
【0106】
2A)2が水素であり、R4が−A−SO2−R8であり、Eが−CH(R9)−C(O)−C(O)−NH−であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R10は水素である)、式Iの化合物の調製
2が水素であり、R4が−X−R8であり、ここでXが−SO2であり、Eが−CH(R9)−C(O)−C(O)−であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10であり、ここでR10が水素である、式Iの化合物は、反応スキームIIAに示されたように調製される。
【0107】
【化6】

【0108】
工程1:式(10A)の化合物の調製
Xが−S−である式(7)の化合物である化合物(7A)を、反応スキームIIの工程1に示されたように、式(9)の化合物と反応させ、式(10A)の化合物を生じる。
【0109】
工程2:式(10B)の化合物の調製
式(10A)の化合物を、アミン、典型的にはN−メチルモルホリン中に溶解し、かつオキソン(ペルオキシ一硫酸カリウム)水溶液を添加し、この混合物を室温で約3時間攪拌する。反応が実質的に完了した時点で、式(10B)の生成物を、通常の手段により分離し、かつ更に精製することなく次反応に使用する。
【0110】
工程3:Xが−SO2−である式Iの化合物の調製
次に式(10B)の化合物を、反応スキームII工程2に示されたように反応させ、Xが−SO2−であり、Eが−CH(R9)−C(O)−C(O)−NH−であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である(式中R10は水素である)式Iの化合物を提供する。
【0111】
3)R2がR7−C≡C−であり、R4が−A−X−R8であり、Eが共有結合であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R10はシアノである)式Iの化合物の調製
2がR7−C≡C−であり、R4が−A−X−R8であり、Eが共有結合であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R10はシアノである)、式Iの化合物を、反応スキームIIIに示されたように調製する。
【0112】
【化7】

【0113】
工程1−式(11)の化合物の調製
式R7−C≡C−Liのリチウム化されたアルキニル化合物を、不活性溶媒、典型的にはテトラヒドロフラン中で、式R7−C≡C−Hのアルキニル化合物を、ブチルリチウムと、温度約−78℃で、約10分間〜2時間接触させることにより調製した。例えば反応スキームIに示されたように調製された式(2)の化合物を次に、約−78℃で添加し、この混合物を、その温度で約20分間維持し、その後−40℃で約5時間維持する。反応が実質的に完了した時点で、式(11)の生成物を、通常の手段により、例えばこの反応を、例えばブライン又は飽和塩化アンモニウムの添加により、クエンチすることにより、分離し、その後この反応混合物を不活性有機溶媒、例えばエーテルにより希釈し、かつブラインで洗浄し、乾燥し、式(11)の化合物を提供する。
【0114】
工程2−式(12)の化合物の調製
不活性溶媒、例えばトルエン又はジクロロメタン、又は典型的にはトルエンとジクロロメタンの混合液中の式(11)の化合物の溶液へ、コーリー触媒((S)−1−メチル−3,3−ジフェニル−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−C][1,3,2]オキサアザボラゾール)を、ほぼ室温で添加する。この混合物を、約−60〜約−80℃に冷却し、カテコールボランを添加する。この反応液を、この温度で約10〜24時間維持し、引き続き不活性溶媒中の水性強酸、典型的にはジオキサン中の塩酸を添加し、引き続き10%チオ硫酸ナトリウム水溶液を添加する。この混合物を室温に温める。反応が実質的に完了した時点で、式(12)の生成物を、通常の手段により、例えばこの反応を、例えばブライン又は飽和塩化アンモニウムの添加によりクエンチすることにより、分離し、その後反応混合物を不活性有機溶媒、例えばエーテルにより希釈し、ブラインで洗浄し、乾燥し、式(12)の化合物を提供する。
【0115】
工程3−式(14)の化合物の調製
不活性溶媒、典型的にはエーテル中の式(12)の化合物の混合物へ、温度約−10〜10℃で、水素化ナトリウムを添加する。約1時間後、トリフルオロメタンスルホニルクロリドを添加し、この混合物を約1〜5時間攪拌し、式(13)の化合物を形成する。この溶液を約−78℃に冷却し、その後不活性溶媒、典型的にはジクロロメタン中の、式(5)の化合物とヒンダード塩基、典型的にはジイソプロピルエチルアミンの混合物を添加し、その温度を約0℃に温める。反応が実質的に完了した時点で、式(14)の生成物を、通常の手段、典型的には引き続きのシリカゲルカラム上での精製により、分離する。
【0116】
工程4−式(15)の化合物の調製
不活性溶媒、典型的にはジクロロメタン中の式(14)の化合物の混合物へ、トリフルオロ酢酸を、引き続きトリエチルシランを、ほぼ室温で添加する。次にこの混合物を、ほぼ室温で約4時間攪拌し、溶媒を減圧下で除去する。残渣に、ヘキサン及び水酸化ナトリウム水溶液を添加し、かつこの混合物を、ヘキサンにより抽出する。水酸化ナトリウム層に、式R8−ハロ、好ましくはR8Brの化合物を添加する。反応が実質的に完了した時点で、式(15)の生成物を、通常の手段により、例えば酢酸エチルの添加により分離し、かつ希酸、例えば塩酸により洗浄し、溶媒を減圧下で除去する。
【0117】
工程5−式Iの化合物の調製
式(15)の化合物を、式(8)の化合物、例えばアミノシクロプロパンカルボニトリルと、不活性有機溶媒、例えばジクロロメタン中において、弱塩基、例えばN−メチルモルホリンNMMの存在下で、アミド形成に適した試薬、例えば1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDCI)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)の存在下で接触させる。この反応を、ほぼ室温で、約2〜12時間実行する。反応が実質的に完了した時点で、式Iの生成物を、通常の手段により、例えば反応混合物の不活性有機溶媒、例えば酢酸エチルによる希釈により分離し、かつ炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインにより洗浄し、乾燥し、R2がR7−C≡C−であり、R4が−A−X−R8であり、Eが共有結合であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R10はシアノである)式Iの化合物を提供する。
【0118】
2が、シス又はトランスR7−CH=CH−である、式Iの化合物は、式(12a)及び(12b)の中間体から調製することができ、その調製は、反応スキームIIIAに示されている。
【0119】
【化8】

【0120】
式(12a)の化合物の調製
一般に式(12)のアルキンは、当該技術分野において周知の手段により、式(12a)のトランスアルケンへ還元することができる。例えば、ロジウム錯体、例えば[RhH2(OC(O)OH)PPri32]を使用する、式(12)の化合物の水素添加による。典型的にはこの反応は、不活性溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド中で、ほぼ室温で実行される。反応が実質的に完了した時点で、式(12a)の生成物は、通常の手段により、分離される。
【0121】
式(12b)の化合物の調製
一般に式(12)のアルキンは、当該技術分野において周知の手段により、式(12b)のシスアルケンへ還元することができる。例えば、コバルト触媒、例えば[CoH(CO)(PBun33]の存在下での、式(12)の化合物の水素添加による。典型的にはこの反応は、不活性溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド中で、ほぼ室温で実行される。反応が実質的に完了した時点で、式(12b)の生成物は、通常の手段により、分離される。
【0122】
4)2が水素であり、R4が−A−X−R8であり(式中、Aは−CH2−CF2−であり、Xは共有結合であり、かつR8はシクロアルキルメチルである)、Eが共有結合であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R10はシアノである)、式Iの化合物の調製
2が水素であり、R4が−A−X−R8であり(式中、Aは−CH2−CF2−であり、Xは共有結合であり、かつR8はシクロアルキルメチルである)、Eが共有結合であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R10はシアノである)式Iの化合物は、反応スキームIVに示されたように調製される。
【0123】
【化9】

【0124】
工程1−式(17)の化合物の調製
典型的には、トリフェニルホスファイトメチオジドを、極性溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド中の、(S)−2−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−3−ヒドロキシプロピオン酸メチルエステルの溶液に、温度0℃で添加する。反応が実質的に完了した時点で、典型的には約15〜60分後、式(17)の生成物を、通常の手段により、分離する。
【0125】
工程2−式(20)の化合物の調製
亜鉛末を、水性酸溶液、典型的には2M HCl中に懸濁し、約5分間激しく攪拌し、次に濾過し、典型的には水、エタノール及びエーテルにより連続して洗浄する。この物質を、真空下で、数分間加熱し、その後室温に冷やす。この加熱/冷却手順(真空下)を、典型的には更に2回繰り返し、最後に不活性気体、例えば窒素下に配置する。
【0126】
活性化された亜鉛を、不活性溶媒、典型的には乾燥ベンゼン及び乾燥N,N−ジメチルアセトアミドの混合液中に懸濁し、1,2−ジブロモエタンで処理する。この混合物を、1時間かけて穏やかに加熱する。その後トリメチルシリルクロリドを添加し、この混合物を、ほぼ室温で約5〜60分間維持する。反応が実質的に完了した時点で、こうして得られた物質を、更に精製することなく、次反応に使用する。
【0127】
得られた活性化された亜鉛の混合物へ、不活性溶媒、例えばベンゼン及びN,N−ジメチルアセトアミドの混合液中の(R)−2−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−3−ヨードプロピオン酸メチルエステル(式(17)の化合物)の溶液を添加する。この反応を、約1〜4時間実行し、かつ任意にトリメチルシリルクロリドの更なる部分により処理した。その後ビストリチルパラジウムジクロリド(PdCl2(PPh32)を1回で添加し、引き続き不活性溶媒、例えばベンゼン中のシクロプロピルアセチルクロリド(式(19)の化合物)の溶液を添加する。この反応を、約30〜60分間実行する。反応が実質的に完了した時点で、式(20)の生成物を、通常の手段により分離する。
【0128】
工程4−式(21)の化合物の調製
式(20)の化合物へ、好ましくは溶媒の非存在下で、ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(DAST)を添加し、得られる混合物を、ほぼ室温で約5〜6日間維持する。反応が実質的に完了した時点で、式(21)の生成物を、通常の手段により分離し、かつ任意にカラムクロマトグラフィーにより精製する。
【0129】
工程5−式(22)の化合物の調製
水性溶媒、典型的にはテトラヒドロフラン/水中の式(21)の化合物に、無機塩基、好ましくは水酸化リチウムを添加し、この混合物を、ほぼ室温で約12〜24時間維持する。反応が実質的に完了した時点で、遊離酸を、通常の手段により、例えば、有機酸、典型的にはクエン酸による酸性化、及び溶媒と水の間、例えば酢酸エチル/水での分配、減圧下で溶媒の除去により、分離する。その後BOC基を、不活性溶媒、例えばジオキサン中での、酸、典型的には塩酸水溶液による処理により除去し、式(22)の化合物を塩酸塩として提供する。
【0130】
工程6−式(23)の化合物の調製
不活性溶媒、例えばジクロロメタン中の、式(4)の化合物のジフルオロエタノールアナログ及びヒンダード塩基、典型的にはジイソプロピルエチルアミンの溶液を、約−50〜−80℃で維持された、不活性溶媒、例えばジクロロメタン中のトリフルオロメタンスルホン酸無水物(triflic anhydride)の溶液へ添加する。約15分経過後、この混合物をほぼ室温まで温め、式(22)の化合物を、その酸塩として、ヒンダード塩基、典型的にはジイソプロピルエチルアミンと一緒に添加する。この混合物を、約30〜50℃で、約24〜72時間温める。反応が実質的に完了した時点で、式(23)の生成物を、通常の手段により、例えば有機酸、典型的にはクエン酸による酸性化、及び溶媒と水の間、例えば酢酸エチル/水での分配、減圧下で溶媒の除去により、分離する。
【0131】
工程7−式Iの化合物の調製
不活性溶媒、例えばジクロロメタン中の、式(23)の化合物及び式(8)のアミノニトリルの混合物へ、ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N,N’−テトラメチルウロニウム(HATU)を添加し、この混合物をほぼ室温で維持する。この混合物へ、第三級塩基、典型的にはN−メチルモルホリンを添加し、かつこの混合物を、ほぼ室温で約12〜24時間維持する。反応が実質的に完了した時点で、式Iの生成物を、通常の手段により、分離する。
【0132】
5)R2が水素であり、R4が−A−X−R8であり(式中、Aは−CH2−CF2−であり、Xは共有結合であり、かつR8はシクロアルキルメチルである)、Eが−CH(R9)−C(O)−C(O)−NH−であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R10は水素である)、式Iの化合物の調製
式(23)の化合物からの、R2が水素であり、R4が−A−X−R8であり(式中、Aは−CH2−CF2−であり、Xは共有結合であり、かつR8はシクロアルキルメチルである)、Eが−CH(R9)−C(O)−C(O)−NH−であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R10は水素である)、式Iの化合物の調製は、反応スキームVに示されている。
【0133】
【化10】

【0134】
この反応工程は、先の反応スキームIIに示されたものに類似した方式で実行される。
【0135】
式Iの化合物のN−オキシドは、当業者に公知の方法により調製することができる。例えば、N−オキシドは、式Iの化合物の非酸化型を、酸化剤(例えば、トリフルオロ過酢酸、過マレイン酸、過安息香酸、過酢酸、メタクロロペルオキシ安息香酸等)により、好適な不活性有機溶媒(例えば、ジクロロメタン等の、ハロゲン化炭化水素)中で、およそ0℃で処理することにより、調製することができる。あるいは、式Iの化合物のN−オキシドは、好適な出発物質のN−オキシドから調製することができる。
【0136】
式Iの化合物のプロドラッグ誘導体は、当業者に公知の方法により調製することができる(例えば、更なる詳細については、Saulnierらの文献、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol.4, p.1985 (1994)を参照のこと)。例えば好適なプロドラッグは、誘導体化されない式Iの化合物を、好適なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルボノクロリデート、パラニトロフェニルカーボネート等)と反応することにより調製することができる。
【0137】
式Iの化合物の保護された誘導体は、当業者に公知の手段により作製することができる。保護基の作製及びそれらの除去に適用可能な技術の詳細な説明は、T.W. Greeneの文献、「Protecting Groups in Organic Synthesis」、第3版、John Wiley&Sons社、1999年に認めることができる。
【0138】
本発明の化合物は好都合なことに、本発明のプロセス時に、溶媒和物(例えば水和物)として、調製又は形成されてもよい。本発明の化合物の水和物は、好都合なことに、ジオキシン、テトラヒドロフラン又はメタノール等の有機溶媒を使用する、水性/有機溶媒混合物からの再結晶により調製される。
【0139】
式Iの化合物は、本化合物のラセミ混合物を、光学活性分割剤と反応し、ジアステレオマー化合物の対を形成すること、これらのジアステレオマーを分離すること、及び光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、それらの個別の立体異性体として調製され得る。エナンチオマーの分割は、式Iの化合物の共有ジアステレオマー誘導体(covalent diasteromeric derivatives)を用いて実行することができ、分離できる錯体が好ましい(例えば結晶性ジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは、区別できる物理特性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性等)を有し、かつこれらの異種性を利用し容易に分離することができる。ジアステレオマーは、クロマトグラフィーによるか、又は好ましくは溶解度の差異を基にした分離/分割技術により、分離することができる。その後光学的に純粋なエナンチオマーが、ラセミ化を生じない任意の実践的手段により、分割剤と共に回収される。化合物の立体異性体のそれらのラセミ混合物からの分割に利用可能な技術のより詳細な説明は、Jean Jacques Andre Collet, Samuel H. Wilenの文献、「Enantiomers, Racemates and Resolutions」、John Wiley&Sons社(1981)に認めることができる。
【0140】
薬理学及び有用性
本発明の化合物は、システインプロテアーゼ、特にカテプシンS、K、B及び/又はFの阻害剤であり、従ってシステインプロテアーゼ活性が疾患の病理及び/又は症候の原因であるような疾患を治療するために有用である。例えば本発明の化合物は、非限定的に、若年発症型糖尿病、乾癬、多発性硬化症、尋常性天疱瘡、グレーヴス病、重症筋無力症、全身性エリスマトーデス、関節リウマチ及び橋本甲状腺炎を含む、自己免疫疾患、非限定的に喘息を含む、アレルギー性障害、非限定的に臓器移植又は組織片及び子宮内膜症を含む、同種異系の免疫応答を治療するために有用である。
【0141】
カテプシンSは、慢性閉塞性肺疾患(例えば気腫)、細気管支炎、喘息及び気管支炎における過剰な気道弾力繊維分解、肺炎等の過剰な弾力繊維分解(elastolysis)、並びに粥腫崩壊及びアテローム等の心臓血管疾患が関与した障害にも関連している。カテプシンSは、原線維形成に関与し、従ってカテプシンSの阻害剤は、全身性アミロイド症の治療において使用される。
【0142】
式Iの化合物のシステインプロテアーゼ阻害活性は、当業者に公知の方法により決定されることができる。プロテアーゼ活性及び被験化合物によるそれらの阻害を測定するのに適したインビトロアッセイは、公知である。典型的にはこのアッセイは、ペプチド−ベースの基質のプロテアーゼが誘導した加水分解を測定する。プロテアーゼ阻害活性を測定するアッセイの詳細については、下記生物学的実施例1−5に記載する。
【0143】
投与及び医薬組成物
一般に、式Iの化合物は、治療有効量で、当該技術分野において公知の有用かつ許容し得る様式のいずれかにより、単独で、又は1若しくは複数の治療薬との組み合わせのいずれかで、投与される。治療有効量は、疾患の重症度、対象の年齢及び相対的健康状態、使用される化合物の効能及び他の要因に応じ、非常に広範に変動し得る。例えば式Iの化合物の治療有効量は、約10マイクログラム/キログラム体重(μg/kg)/日〜約20ミリグラム/キログラム体重(mg/kg)/日、典型的には約100μg/kg/日〜約10mg/kg/日の範囲であってもよい。従って80kgのヒト患者の治療有効量は、約1mg/日〜約1.6g/日、典型的には約1mg/日〜約100mg/日の範囲である。一般に、個人の知識及び本出願の開示に依存し活動する当業者は、所与の疾患の治療のための式Iの化合物の治療有効量を確定することができるであろう。
【0144】
式Iの化合物は、下記の経路のひとつにより、医薬組成物として投与されることができる:経口、全身性(例えば、経皮、鼻腔内又は坐薬による)又は非経口(例えば、筋肉内、静脈内又は皮下)。組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、半固形剤、散剤、徐放製剤、液剤、懸濁剤、エリキシル剤、エアロゾル、又はいずれか他の適した組成物の形状をとることができ、かつ一般に、式Iの化合物を、少なくとも1種の医薬的に許容し得る賦形剤と組み合わせて構成される。許容し得る賦形剤は、無毒で、投与を補助し、かつ活性成分の治療的恩恵に有害な影響を及ぼさない。そのような賦形剤は、一般に当業者に利用可能である固形、液体、半固形の賦形剤、又はエアロゾル組成物の場合は気体状賦形剤のいずれかであってもよい。固形の医薬用賦形剤は、デンプン、セルロース、タルク、ブドウ糖、乳糖、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、塩化ナトリウム、脱脂粉乳等を含む。液体及び半固形の賦形剤は、水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、並びに石油、動物、植物又は合成が起源のものを含む様々な油類(例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等)から選択されてもよい。好ましい液体担体、特に注射用液のためには、水、食塩水、水性デキストロース及びグリコールを含む。
【0145】
本組成物中の式Iの化合物の量は、製剤の種類、単位用量のサイズ、賦形剤の種類及び薬科学分野の業者に公知の他の要因により多種多様に変動することができる。概して、所与の疾患を治療するための式Iの化合物の組成物は、活性成分を0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.3重量%〜1重量%含有し、残りは賦形剤又は賦形剤群である。好ましくは本医薬組成物は、連続治療のための単独の単位剤形又は症状の緩和が特別必要な時に随時摂取の単独の単位剤形で投与される。式Iの化合物を含有する代表的医薬製剤は、下記実施例1に説明されている。
【実施例】
【0146】
本発明は、本発明の式Iの化合物(実施例)及び中間体(参照例)の調製を例示している下記実施例により、更に例証されるが、これらに限定されるものではない。
【0147】
実施例1
式(2)の化合物の調製
A.1が4−フルオロフェニルでありかつYが酸素である、式(2)の化合物の調製
【化11】

【0148】
N,N−ジメチルホルムアミド(30ml)中の水素化ナトリウム(60%、535mg)の混合物へ、室温で、少量のN,N−ジメチルホルムアミド中の4−フルオロフェノール(1.5g)の溶液を添加した。40分後、この混合物へ2−ブロモ−2,2−ジフルオロ酢酸エチルを滴下し、この混合物を3時間攪拌した。その後反応混合物を、酢酸エチルで希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液で3回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を減圧下で除去し、粗2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)酢酸エチルの式(2)の化合物を提供した。この生成物を、シリカゲル上でクロマトグラフィーにかけ、酢酸エチル/ヘキサン1/40により溶出し、純粋な2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)酢酸エチルを提供し、これは更に精製せずに使用した。
1H NMR (CDCl3; 400MHz):δppm 7.05-7.22 (m, 4H); 4.39 (q, 2H), 1.38 (t, 3H)。
【0149】
B.同様に、4−フルオロフェノールを4−メチルチオフェノールに換える以外は、実施例1Aの手順に従い、2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルチオ)フェノキシ)酢酸エチルを調製した。
【0150】
C.同様に、4−フルオロフェノールを他の式(1)の化合物に換える以外は、実施例1Aの手順に従い、他の式(2)の化合物、例えば2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)酢酸エチルを調製した。
【0151】
実施例2
式(3)の化合物の調製
A.1が4−フルオロフェニルでありかつYが酸素である、式(3)の化合物の調製
【化12】

【0152】
ジエチルエーテル(10ml)中の2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)酢酸エチル(1.86g)の溶液に、0℃で、水素化リチウムアルミニウム(ジエチルエーテル中1.0M、11.9ml)を添加した。5分後、冷浴を取り外し、混合物を室温で4時間攪拌した。その後混合物を0℃に再冷却し、酢酸エチルを滴下し、引き続きメタノールを滴下した。この混合物を、1N塩酸水溶液により酸性とし、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で溶媒を除去し、2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エタノールを無色の油状物として提供した。この生成物を、シリカゲル上でクロマトグラフィーにかけ、酢酸エチル/ヘキサン1/5により溶出し、結晶2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エタノールを生じた。
1H NMR (CDCl3; 400MHz): δppm 6.91-7.12 (m, 4H); 3.90 (t, 2H)。
【0153】
B.同様に、2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)酢酸エチルを2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルチオ)フェノキシ)酢酸エチルに換える以外は、実施例2Aの手順に従い、2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルチオ)フェノキシ)エタノールを調製した。
【0154】
C.同様に、2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)酢酸エチルを他の式(2)の化合物に換える以外は、実施例2Aの手順に従い、他の式(3)の化合物、例えば2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)エタノールを調製した。
【0155】
実施例3
式(4)の化合物の調製
A.1が4−フルオロフェニルでありかつYが酸素である、式(4)の化合物の調製
【化13】

【0156】
ジクロロメタン中の2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エタノール(1.18g)及びジイソプロピルエチルアミン(3.74ml)の溶液へ、−78℃で、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.08ml)を滴下した。4時間攪拌した後、こうして生成された2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルトリフルオロメタンスルホネートの溶液を、精製せずに次工程において使用した。
【0157】
B.同様に、2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エタノールを2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルチオ)フェノキシ)エタノールに換える以外は、実施例3Aの手順に従い、2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルチオ)フェノキシ)エチルトリフルオロメタンスルホネートを調製した。
【0158】
C.同様に、2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エタノールを他の式(3)の化合物に換える以外は、実施例3Aの手順に従い、他の式(4)の化合物、例えば1−(1,1−ジフルオロ−2−(トリフルオロメチルスルホニル)エトキシ)−4−(メチルスルホニル)ベンゼンを調製した。
【0159】
実施例4
式(6)の化合物の調製
A.1が4−フルオロフェニルであり、Yが酸素であり、R3が水素であり、Aがメチレンであり、かつXが硫黄である、式(6)の化合物の調製
【化14】

【0160】
実施例3の生成物(ジクロロメタン中の2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルトリフルオロメタンスルホネート)へ、−78℃で、S−トリチル−L−システイン(2.23g)を添加し、この混合物を1時間攪拌した。その温度を0℃に上昇させ、混合物を48時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣を酢酸エチルで希釈し、希塩酸(1N)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけ、酢酸数滴を含有する酢酸エチル/ヘキサン1/2で溶出し、2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−3−(トリチルチオ)プロパン酸(2.08g)を提供した。
【0161】
B.同様に、2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルトリフルオロメタンスルホネートを2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルチオ)フェノキシ)エチルトリフルオロメタンスルホネートに換える以外は、実施例4Aの手順に従い、2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルチオ)フェノキシ)エチルアミノ)−3−(トリチルチオ)プロパン酸を調製した。
【0162】
C.同様に、2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルトリフルオロメタンスルホネートを他の式(4)の化合物に換える以外は、実施例4Aの手順に従い、他の式(6)の化合物、例えば2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)エチルアミノ)−3−(トリチルチオ)プロパン酸を調製した。
【0163】
実施例5
式(7)の化合物の調製
A.1が4−フルオロフェニルであり、Yが酸素であり、R3が水素であり、Aがメチレンであり、Xが硫黄であり、かつR8がシクロプロピルメチルである、式(7)の化合物の調製
【化15】

【0164】
ジクロロメタン(25ml)中の2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−3−(トリチルチオ)プロパン酸(2.08g)の溶液へ、トリフルオロ酢酸(1.2ml)、引き続きトリエチルシラン(1.27ml)を添加した。この混合物を5時間攪拌し、その後溶媒を減圧下で除去した。ヘキサン(100ml)、引き続き2N水酸化ナトリウム(25ml)を添加し、この混合物を攪拌した。水層を分離し、ヘキサンで2回洗浄し、かつ減圧下で容量をほぼ半分まで減少した。この溶液に、3,3’,3”−ホスフィントリチル(triyl)トリプロパン酸(65mg)及びシクロプロピルメチルブロミド(261mg)を添加した。この混合物を室温で90分間攪拌し、その後更にシクロプロピルメチルブロミド100mgを添加した。この混合物を一晩攪拌し、その後酢酸エチルで希釈し、1N塩酸で洗浄し、酢酸エチル層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を減圧下で除去し、3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)プロパン酸(520mg)を白色固形物として提供した。
【0165】
B.同様に、2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−3−(トリチルチオ)プロパン酸を2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルチオ)フェノキシ)エチルアミノ)−3−(トリチルチオ)プロパン酸に換える以外は、実施例5Aの手順に従い、3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルチオ)フェノキシ)エチルアミノ)プロパン酸を調製した。
【0166】
C.同様に、シクロプロピルメチルブロミドを3−(クロロメチル)ピリジンに換える以外は、実施例5Aの手順に従い、2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−3−(ピリジン−3−イルメチルチオ)プロパン酸を調製した。
【0167】
D.同様に、2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−3−(トリチルチオ)プロパン酸を他の式(6)の化合物に換え、かつ任意にシクロプロピルメチルブロミドを他の式R8−ハロの化合物に換える以外は、実施例4Aの手順に従い、他の式(7)の化合物、例えば3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)エチルアミノ)プロパン酸を調製した。
【0168】
実施例6
式Iの化合物の調製
A.1が4−フルオロフェニルであり、R2が水素であり、Yが酸素であり、R3が水素であり、Aがメチレンであり、XがSO2であり、R8がシクロプロピルメチルであり、Eが共有結合であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R5及びR6はそれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピルであり、かつR10はシアノである)、式Iの化合物の調製
【化16】

【0169】
3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)プロパン酸(120mg)及びN−メチルピロリジン(4ml)を、ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N,N’−テトラメチルウロニウム(259mg)及び1−アミノシクロプロパンカルボニトリル(40mg)と一緒に、ジイソプロピルエチルアミン(0.15ml)の存在下で、室温で攪拌した。2時間後、水4ml中のオキソンを添加し、この混合物を2時間攪拌した。混合物を、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を提供し、これは酢酸エチル/ヘキサン混合物で溶出する、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、N−(1−シアノシクロプロピル)−3−(シクロプロピルメチルスルホニル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)プロパンアミドを提供した。
【0170】
B.同様に、3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)プロパン酸を2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−3−(ピリジン−3−イルメチルチオ)プロパン酸に換える以外は、実施例6Aの手順に従い、(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−3−(ピリジン−3−イルメチルスルホニル)プロパンアミドを調製した。MS: [M+1]+ 483.4。
【0171】
C.同様に、3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)プロパン酸を2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルチオ)フェノキシ)エチルアミノ)−3−(ピリジン−3−イルメチルチオ)プロパン酸に換える以外は、実施例6Aの手順に従い、N−(1−シアノシクロプロピル)−3−(ピリジン−3−イルメチルスルホニル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)エチルアミノ)プロパンアミドを調製した。
【0172】
D.同様に、3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)プロパン酸を他の式(7)の化合物に換える以外は、実施例6Aの手順に従い、R2が水素であり、R4が−A−X−R8であり、Eが共有結合であり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である他の式Iの化合物、例えば3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)エチルアミノ)プロパン酸を調製した。
【0173】
実施例7
式(10A)の化合物の調製
A.1が4−フルオロフェニルであり、Yが酸素であり、R3が水素であり、Aがメチレンであり、Xが硫黄であり、R8がシクロプロピルメチルであり、R5及びR6がそれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピルであり、かつR10が水素である、式(10A)の化合物の調製
【化17】

【0174】
3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−プロパン酸(150mg)、先に示されたように調製された式(7)の化合物(5ml)、(3S)−3−アミノ−N−シクロプロピ−2−ヒドロキシペンタンアミド、式(9)の化合物、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(122mg)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(70mg)、及びN−メチルモルホリン(0.19mL)のジクロロメタン溶液を、室温で2時間攪拌した。次にこの反応混合物を、酢酸エチルで希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、その後無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧下での蒸発乾固は、(3S)−N−シクロプロピル−3−(3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−プロパンアミド)−2−ヒドロキシペンタンアミド(290mg)をもたらした。
【0175】
B.同様に、3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−プロパン酸を2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−3−(ピリジン−4−イルメチルチオ)プロパン酸に換える以外は、実施例7Aの手順に従い、(3S)−N−シクロプロピル−3−(3−(ピリジン−3−イルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−プロパンアミド)−2−ヒドロキシペンタンアミドを得た。
【0176】
C.同様に、3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−プロパン酸を他の式(7A)の化合物に換え、かつ任意に(R)−2−アミノ−N−シクロプロピルブタンアミドを他の式(9)の化合物に換える以外は、実施例7Aの手順に従い、他の式(10A)の化合物、例えば(3S)−N−シクロプロピル−3−(3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)エチルアミノ)−プロパンアミド)−2−ヒドロキシペンタンアミドを調製した。
【0177】
実施例8
式(10B)の化合物の調製
A.1が4−フルオロフェニルであり、Yが酸素であり、R3が水素であり、Aがメチレンであり、Xが−SO2−であり、R8がシクロプロピルメチルであり、R5及びR6がそれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピルであり、かつR10が水素である、式(10B)の化合物の調製
【化18】

【0178】
N−メチルピロリドン(5ml)中の(3S)−N−シクロプロピル−3−(3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−プロパンアミド)−2−ヒドロキシペンタンアミド(29mg)の溶液へ、水(5ml)中のオキソン(638mg)の溶液を添加した。この混合物を、室温で3時間攪拌し、酢酸エチルを添加し、水で3回洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を減圧下で除去し、(3S)−N−シクロプロピル−3−(3−(シクロプロピルメチルスルホニル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)プロパンアミド)−2−ヒドロキシペンタンアミド(230mg)を提供した。
【0179】
B.同様に、(3S)−N−シクロプロピル−3−(3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−プロパンアミド)−2−ヒドロキシペンタンアミドを(3S)−N−シクロプロピル−3−(3−(ピリジン−3−イルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−プロパンアミド)−2−ヒドロキシペンタンアミドに換える以外は、実施例8Aの手順に従い、(3S)−N−シクロプロピル−3−(3−(ピリジン−3−イルメチルスルホニル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)プロパンアミド)−2−ヒドロキシペンタンアミドを得た。
【0180】
C.同様に、(3S)−N−シクロプロピル−3−(3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−プロパンアミド)−2−ヒドロキシペンタンアミドを他の式(10A)の化合物に換える以外は、実施例8Aの手順に従い、他の式(10B)の化合物、例えば(3S)−N−シクロプロピル−3−(3−(シクロプロピルメチルスルホニル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)エチルアミノ)プロパンアミド)−2−ヒドロキシペンタンアミドを調製した。
【0181】
実施例9
式Iの化合物の調製
A.1が4−フルオロフェニルであり、Yが酸素であり、R2及びR3が水素であり、Aがメチレンであり、Xが−SO2−であり、R8がピリジン−3−イルメチレンであり、Eが−CH(R9)−C(O)−C(O)−NH−であり(式中、R9はエチルである)、かつZが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R5及びR6はそれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピルであり、かつR10は水素である)、式Iの化合物の調製
【化19】

【0182】
(3S)−N−シクロプロピル−3−(3−(ピリジン−3−イルメチルスルホニル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)プロパンアミド)−2−ヒドロキシペンタンアミド(230mg)を、ジクロロメタン(10ml)及びN−メチルピロリジン(1.5ml)に溶解し、かつデス−マーチンペルヨージナン試薬(255mg)により室温で1時間処理した。その後この反応混合物を、酢酸エチルで希釈し、希炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。固形物をこの溶液から沈殿させ、かつ濾過し、減圧下で乾固するまで添加した。酢酸エチル層を蒸発させ、残渣を得た。この生成物を、シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにかけ、酢酸エチル/ヘキサン1/1で溶出し、(S)−N−シクロプロピル−3−((R)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−3−(ピリジン−3−イルメチルスルホニル)プロパンアミド)−2−オキソペンタンアミド(39mg)を提供した。MS: [M+1]+ 571.3; NMR (DMSOd6):δppm; 0.6 (m, 4H), 0.9 (t, 3H), 1.6 (m, 1H), 1.85 (m, 1H), 2.8 (m, 1H), 4.0 (m, 1H), 4.8 (d,d, 2H), 5.0 (m, 1H), 7.25 (m, 4H), 7.45 (m, 1H), 7.8 (m, 1H), 8.7 (m, 4H)。
【0183】
B.同様に、(3S)−N−シクロプロピル−3−(3−(ピリジン−3−イルメチルスルホニル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)プロパンアミド)−2−ヒドロキシペンタンアミドを(3S)−N−シクロプロピル−3−(3−(シクロプロピルメチルスルホニル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)プロパンアミド)−2−ヒドロキシペンタンアミドに換える以外は、実施例9Aの手順に従い、(S)−N−シクロプロピル−3−((R)−3−(シクロプロピルメチルスルホニル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)プロパンアミド)−2−オキソペンタンアミド(31953)を得た。MS: [M+1]+ 534.3; NMR (DMSOd6):δppm; 0.35 (m, 2H), 0.65 (m, 6H), 0.8 (t, 3H), 1.1 (m, 1H), 1.45 (m, 1H), 1.65 (m, 1H), 2.55 (m, 1H), 3.9 (m, 1H), 4.95 (m, 1H), 7.25 (m, 4H), 8.4 (d, 1H), 8.85 (m, 1H)。
【0184】
C.同様に、(3S)−N−シクロプロピル−3−(3−(ピリジン−3−イルメチルスルホニル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)プロパンアミド)−2−ヒドロキシペンタンアミドを他の式(10B)の化合物に換える以外は、実施例9Aの手順に従い、他の式Iの化合物、例えば(S)−N−シクロプロピル−3−((R)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)エチルアミノ)−3−(ピリジン−3−イルメチルスルホニル)プロパンアミド)−2−オキソペンタンアミドを調製した。
【0185】
実施例10
式(11)の化合物の調製
1が4−メチルチオフェニルであり、Yが酸素であり、かつR7がメチルである、式(11)の化合物の調製
【化20】

【0186】
テトラヒドロフラン中のプロピ−1−イニルリチウム(0.94g、n−ブチルリチウムのプロピ−1−インへの添加により調製)の溶液へ、−78℃で、テトラヒドロフラン及びボロントリフルオリドエーテラート(2.58ml、1当量)中の2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルチオ)フェノキシ)酢酸エチル(5.36g)の溶液を添加した。温度を−40℃に約4時間温めた。その後ブラインを添加し、反応をクエンチし、かつこの混合物を、エーテルにより室温で希釈した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、かつ溶媒を減圧下で除去し、1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−オンを提供した。
【0187】
B.同様に、任意にプロピ−1−イニルリチウムを他の式R7−C≡C−Liの化合物に換え、かつ任意に2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルチオ)フェノキシ)酢酸エチルを他の式(2)の化合物に換える以外は、実施例10Aの手順に従い、他の式(11)の化合物、例えば1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−オンを調製した。
【0188】
実施例11
式(12)の化合物の調製
A.1が4−メチルチオフェニルであり、Yが酸素であり、かつR7がメチルである、式(12)の化合物の調製
【化21】

【0189】
ジクロロメタン(10ml)及びトルエン(10ml)の混合液中の1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−オン(1.6g)の溶液へ、コーリー触媒((S)−1−メチル−3,3−ジフェニル−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−C][1,3,2]オキサザボラゾール、0.62ml)を添加した。この混合物を−78℃に冷却し、カテコールボラン(0.89g)を添加した。反応混合物を−78℃で一晩攪拌し、その後ジオキサン及び水中の塩酸、引き続き10%チオ硫酸ナトリウム水溶液の添加により、反応をクエンチした。エーテルを添加し、有機層をブラインで洗浄し、有機層を分離し、溶媒を減圧下で除去し、(S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−オールを提供した。
【0190】
B.同様に、1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−オンを他の式(11)の化合物に換える以外は、実施例11Aの手順に従い、他の式(12)の化合物を調製した。
【0191】
実施例12
式(14)の化合物の調製
A.1が4−メチルチオフェニルであり、Yが酸素であり、R7がメチルであり、R3が水素であり、Aがメチレンであり、Xが硫黄であり、かつTrがトリチルである、式(14)の化合物の調製
【化22】

【0192】
エーテル中の(S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−オール(1.58g)の溶液へ、0℃で、水素化ナトリウム(60%を292mg)を添加した。この混合物を1時間攪拌し、その後トリフルオロメタンスルホニルクロリド(1.53g)を添加した。この混合物を1時間攪拌し、(S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−オールのトリフラート誘導体を形成した。この溶液を−78℃に冷却し、ジクロロメタン中のジイソプロピルエチルアミン及び2−アミノ−3−メルカプトプロパン酸のトリチル誘導体(1.85g)の混合物を滴下した。反応混合物を0℃に温め、酢酸エチルを添加し、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を除去し、(R)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−3−メルカプトプロパン酸のトリチル誘導体を提供した。
【0193】
B.同様に、(S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−オールを他の式(12)の化合物に換える以外は、実施例12Aの手順に従い、他の式(14)の化合物を調製した。
【0194】
実施例13
式(15)の化合物の調製
A.1が4−メチルチオフェニルであり、Yが酸素であり、R7がメチルであり、R3が水素であり、Aがメチレンであり、Xが硫黄であり、かつR8がピリジン−2−イルメチレンである、式(15)の化合物の調製
【化23】

【0195】
ジクロロメタン(1.5ml)中の(R)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−3−メルカプトプロパン酸(1.47g)のトリチル誘導体の溶液へ、トリフルオロ酢酸(0.73ml)及びトリエチルシラン(0.75ml)を添加した。その後この混合物を、室温で4時間攪拌し、かつ溶媒を減圧下で除去した。残渣へ、ヘキサン、P(CH2CH2CO2H)3(68mg)、及び水酸化ナトリウム水溶液(12ml、1N)を添加し、この混合物をヘキサンで抽出した。この水酸化ナトリウム層に、3−(クロロメチル)ピリジン(125mg)を添加し、かつこの混合物を40℃で2時間攪拌した。酢酸エチルを添加し、この混合物を希塩酸、水、ブラインで洗浄し、かつ溶媒を減圧下で除去し、(R)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−3−(ピリジン−3−イルメチルチオ)プロパン酸を提供した。MS: [M+1]+ 453.2。
【0196】
B.同様に、2−(クロロメチル)ピリジンをシクロプロピルメチルブロミドに換える以外は、実施例13Aの手順に従い、(R)−3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)プロパン酸を調製した。
【0197】
C.同様に、(R)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−3−メルカプトプロパン酸を他の式(13)の化合物に換え、及び任意に2−(クロロメチル)ピリジンを他の式R8ハロゲン化物の化合物に換える以外は、実施例13Aの手順に従い、他の式(15)の化合物を調製した。
【0198】
実施例14
式Iの化合物の調製
A.1が4−メチルチオフェニルであり、R2がプロピ−1−イニルであり、Yが酸素であり、R7がメチルであり、R3が水素であり、Aがメチレンであり、Xが硫黄であり、R8がピリジン−2−イルメチレンであり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R5及びR6はそれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピルを表し、かつR10はシアノである)、式Iの化合物の調製
【化24】

【0199】
N,N−ジメチルホルムアミド(3ml)中の3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−((ピリジン−2−イルメチルチオ)メチル)プロパン酸(312mg)及び1−アミノシクロプロパンカルボニトリル塩酸塩(82mg)の攪拌混合物へ、ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N,N’−テトラメチルウロニウム(259mg)及びジイソプロピルエチルアミン(0.36ml)を添加した。室温で一晩攪拌した後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及びブラインで洗浄した。硫酸ナトリウム上で乾燥した後、溶媒を蒸発させ、残渣を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、酢酸エチル/ヘキサン(1/1)で溶出し、(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−3−(ピリジン−2−イルメチルチオ)プロパンアミド(235mg)を生じた。MS: [M+1]+ 517.3。
【0200】
B.同様に、3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−((ピリジン−2−イルメチルチオ)メチル)プロパン酸を3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−((シクロプロピルメチルメチルチオ)メチル)プロパン酸に換える以外は、実施例14Aの手順に従い、(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)プロパンアミドを調製した。MS: [M+1]+ 480.2。
【0201】
C.同様に、3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−((ピリジン−2−イルメチルチオ)メチル)プロパン酸を3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−((ピリジン−3−イルメチルチオ)メチル)プロパン酸に換える以外は、実施例14Aの手順に従い、(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−((ピリジン−3−イルメチルチオ)メチル)プロパンアミドを調製した。MS: [M+1]+ 517.2。
【0202】
D.同様に、3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−((ピリジン−2−イルメチルチオ)メチル)プロパン酸を他の式(15)の化合物に換え、及び任意に1−アミノシクロプロパンカルボニトリル塩酸塩を、2−アミノ−2−メチルプロパンニトリル、1−アミノシクロブタンカルボニトリル、又は1−アミノシクロペンタンカルボニトリルからなる群から選択される全て市販されている他の式(8)のアミノニトリルと換える以外は、実施例14Aの手順に従い、下記の化合物を生成した:
【0203】
(S)−N−(2−シアノプロパン−2−イル)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド;
(2S)−N−(1−シアノシクロプロピル)−5−シクロプロピル−2−(1,1−ジフルオロ−1−(4−フルオロフェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド;
(2S)−N−(2−シアノプロパン−2−イル)−5−シクロプロピル−2−(1,1−ジフルオロ−1−(4−フルオロフェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド;
(2S)−N−(1−シアノシクロブチル)−5−シクロプロピル−2−(1,1−ジフルオロ−1−(4−フルオロフェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド;及び
(2S)−N−(1−シアノシクロペンチル)−5−シクロプロピル−2−(1,1−ジフルオロ−1−(4−フルオロフェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド。
【0204】
D.同様に、3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−((ピリジン−2−イルメチルチオ)メチル)プロパン酸を他の式(15)の化合物に換える以外は、実施例14Aの手順に従い、他の式Iの化合物を調製した。
【0205】
実施例15
式Iの化合物の調製
A.1が4−メチルスルホニルフェニルであり、R2がプロピ−1−イニルであり、Yが酸素であり、R7がメチルであり、R3が水素であり、Aがメチレンであり、Xが−SO2−であり、R8がピリジン−2−イルメチレンであり、かつZが−C(R5)(R6)−R10である(式中、R5及びR6はそれらが結合する炭素原子と一緒にシクロプロピルを表し、かつR10はシアノである)、式Iの化合物の調製
【化25】

【0206】
N−メチルピロリジン(5.5ml)中の(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−3−(ピリジン−2−イルメチルチオ)プロパンアミド(235mg)の溶液を、水(5ml)中のオキソン(905mg)の溶液に添加した。45℃で3時間攪拌した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をジクロロメタン(15ml)と水(15ml)の間で分配した。有機相を分離し、この水溶液をジクロロメタンにより抽出した。一緒にした有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥した。溶媒を減圧下で除去した後、粗物質を、分取TLCにより、移動相として酢酸エチル/ヘキサン(1/1)を用い精製し、(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−3−(ピリジン−2−イルメチルスルホニル)プロパンアミド(105mg)を生じた。MS: [M+1]+ 581.2。
【0207】
B.同様に、1−((R)−3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)−フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−オキソ−4−(ピリジン−2−イルメチルチオ)ブチル)シクロプロパンカルボニトリルを(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)プロパンアミドに換える以外は、実施例15Aの手順に従い、(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−3−(シクロプロピルメチルスルホニル)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)プロパンアミドを調製した。MS: [M+1]+ 544.3。
【0208】
C.同様に、1−((R)−3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)−フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−オキソ−4−(ピリジン−2−イルメチルチオ)ブチル)シクロプロパンカルボニトリルを(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−((ピリジン−3−イルメチルチオ)メチル)プロパンアミドに換える以外は、実施例15Aの手順に従い、1−((R)−3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−オキソ−4−(ピリジン−3−イルメチルスルホニル)ブチル)シクロプロパンカルボニトリルを調製した。MS: [M+1]+ 581.1。
【0209】
D.同様に、N−(1−シアノシクロプロピル)−3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−((シクロプロピルメチルチオ)メチル)−プロパンアミドを他のXが硫黄である式Iの化合物に換える以外は、実施例15Aの手順に従い、他のXが−SO2である式Iの化合物を調製し、例えば:
【0210】
E.(2S)−N−(1−シアノシクロプロピル)−5−シクロプロピル−2−(1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミドである。
【0211】
実施例16
1−アミノシクロプロパンカルボニトリル塩酸塩の調製
【化26】

【0212】
工程1
ジクロロメタン(1000ml)中のベンゾフェノンイミン(25g、0.138mol、Aldrich社)及びアミノアセトニトリル塩酸塩(25g、0.270mol、Lancaster社)の混合物を、2Lエレンマイヤーフラスコ内で、窒素下室温で5日間攪拌した。この反応混合物を濾過し、沈殿した塩化アンモニウムを除去し、濾液を真空で蒸発乾固した。得られた残渣を、エーテル(400ml)中に溶解し、水(200ml)及びブラインで洗浄した。硫酸マグネシウム上で乾燥した後、溶液を蒸発させ、(ベンズヒドリリデンアミノ)−アセトニトリル(47.89g)を生じた。
【0213】
工程2
2Lフラスコ内で、水(91ml)中の水酸化ナトリウム(91g、2.275mol)の溶液を、窒素下、氷上で冷却し、その後トルエン(100ml)中のベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(2.0g、0.0088mol、Aldrich社)及び(ベンズヒドリリデンアミノ)アセトニトリル(47.89g)で処理した。次に1,2−ジブロモエタン(23ml、122.4mmol、Aldrich社)を、この反応混合物へ機械的に攪拌しかつ内部温度をほぼ+10℃に維持するよう冷却しながら、25分間かけて滴下した。その後反応混合物を、室温で24時間激しく攪拌し、その後氷水に注ぎ、トルエンで抽出した。一緒にした抽出物をブラインで洗浄し、その後MgSO4及びNoriteで処理した。濾過後、トルエンを回転蒸発器により除去し、油状物(67g)を生じた。残渣を、沸騰ヘキサン(400ml)中に溶解し、Noriteで処理し、温かいうちに濾過し、冷却させた。暗色油状物を分離し、これをピペットにより除去した(〜2ml)。スクラッチングは、2時間氷上で冷却した残存する溶液中で結晶化を誘発した。明黄色結晶を、濾過により収集し、冷ヘキサンで洗浄し、1−(ベンズヒドリリデンアミノ)シクロプロパンカルボニトリル(30.56g)を生じた。
【0214】
工程3
水(100ml)及びエーテル(100ml)中の濃HCl(12ml)中の1−(ベンズヒドリリデンアミノ)シクロプロパンカルボニトリル(30.56g、0.124mol)の混合物を、室温で15時間攪拌した。エーテル層を廃棄し、水層をエーテルで洗浄した。その後水層を凍結乾燥し、表題化合物を褐色粉末(13.51g)として生じた。
【0215】
実施例17
(R)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−ヨードプロパノエート(17)の調製
【化27】

トリフェニルホスファイト−メチオジド(Fieser及びFieserの著書、「Reagents for Organic Synthesis」、第4巻557頁;340g、753mmol、1.4当量)を、乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(1.1L)中の(S)−2−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−3−ヒドロキシプロピオン酸メチルエステル(118g、538mmol)の溶液へ、0℃で一気に添加した。0℃で30分間経過後、固形炭酸水素ナトリウム(270g)を添加し、引き続き水(1.1L)を添加した。得られた混合物を、15分間激しく攪拌し、その後1:1ジエチルエーテル/ヘキサン(3×800mL)で抽出した。一緒にした有機抽出液を、0.5M水酸化ナトリウム(5×1L)及びブライン(2×1L)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、かつ濾液を減圧下で濃縮した。得られたオレンジ色油状物を、SiO2プラグ(2”×7”)上に負荷し、5%EtOAc/ヘキサンにより溶出し、(R)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−ヨードプロパノエートをピンク色がかった油状物として供し、これを固化した(118.5g、67%)。1H NMR (CDCl3; 400MHz): δppm 5.32 (m, 1H), 4.51 (m, 1H), 3.81 (s, 3H), 3.58 (m, 2H), 1.45 (s, 9H)。
【0216】
実施例18
(R)−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メトキシ−3−オキソプロピル)亜鉛(II)ヨージド(18)の調製
【化28】

亜鉛末(<10ミクロン、94g、1.44mol、4当量)を、2M塩酸中に浮遊させ、5分間激しく攪拌した。濾過後、Znを、水、エタノール、及びジエチルエーテルにより連続洗浄した。この物質を、3Lフラスコに移し、高真空下(0.1mmHg)に配置し、熱線銃により数分間外部加熱し、その後室温まで冷却した。加熱/冷却手順(真空下)を更に2回繰り返し、その後この容器を窒素で掃流した。
【0217】
この亜鉛を、乾燥ベンゼン(1.44L)及び乾燥N,N−ジメチルアセトアミド(96mL)中に浮遊させ、1,2−ジブロモエタン(3.1mL、10mol%)により処理した。この混合物を、気体の小泡の発生が観察されるまで、穏やかに外部加熱させ、かつこの手順を、1時間かけて数回繰り返した。その後トリメチルシリルクロリド(2.3mL、5mol%)を添加し、この混合物を室温で30分間攪拌した。
【0218】
この活性亜鉛の混合物に、乾燥ベンゼン(144mL)及び乾燥N,N−ジメチルアセトアミド(10mL)中の(R)−2−tert−ブチルオキシカルボニルアミノ−3−ヨードプロピオン酸メチルエステル(118.5g、360mmol)の溶液を滴下した。添加の完了時に、この反応液を2時間攪拌し、トリメチルシリルクロリド(2.3mL)の更なる部分で処理し、かつ更に30分間攪拌した。この式(18)の生成物(R)−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−メトキシ−3−オキソプロピル)亜鉛(II)ヨージドを、更に精製することなく次工程で使用した。
【0219】
実施例19
(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−シクロプロピル−4−オキソペンタノエート(20)の調製
【化29】

【0220】
A.実施例18で得られた混合物(式(18)の化合物)へ、PdCl2(PPh32(12.6g、5mol%)を一回で添加し、引き続き乾燥ベンゼン(144mL)中のシクロプロピルアセチルクロリド(1当量)の溶液を滴下した。添加の完了時に、反応混合物を45分間攪拌し、その後2M塩酸(1.7L)で処理し、10分間攪拌し、その後セライトを通して濾過し、ジエチルエーテル(1.7L)で溶出した。これらの層を分離し、水層をジエチルエーテル(1.25L)で抽出し、一緒にした有機抽出液を、水(1.25L)、ブライン(1.25L)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、かつ濾液を減圧下で濃縮した。
【0221】
残渣のカラムクロマトグラフィー(SiO2、勾配溶出:酢酸エチル/ヘキサン0%から20%、10%段階)による精製は、(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−シクロプロピル−4−オキソペンタノエート(Rf 0.18;25%EtOAc/ヘキサン)を暗色油状物として生じ、これは若干の残留金属固形物も含有し、この固形物はセライトを通すEt2O溶液の濾過により除去した(85.5g、83%)。
【0222】
1H NMR (CDCl3; 400MHz): δppm 5.43 (m, 1H); 4.43 (m, 1H), 3.68 (s, 3H), 3.15 (m, 1H), 2.92 (m, 1H), 2.22 (m, 2H), 1.40 (s, 9H), 0.88 (m, 1H), 0.5 (m, 2H), 0.08 (m, 2H)。
【0223】
B.同様に、実施例19Aの手順に従い、シクロプロピルアセチルクロリドを2−フェニルアセチルクロリドに換え、(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−オキソ−5−フェニルペンタノエートを調製した。
【0224】
同様に、シクロプロピルアセチルクロリドを2−(4−フルオロフェニル)アセチルクロリドに換え、(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−フルオロフェニル)−4−オキソペンタノエートを調製した。
【0225】
同様に、シクロプロピルアセチルクロリドを2−(ピリジン−3−イル)アセチルクロリドに換え、(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−オキソ−5−(ピリジン−3−イル)ペンタノエートを調製した。
【0226】
実施例20
(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−シクロプロピル−4,4−ジフルオロペンタノエート(21)の調製
【化30】

【0227】
A.未希釈の(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−シクロプロピル−4−オキソペンタノエート(53g、185mmol)に、ジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(DAST)(48mL、370mmol、2当量)を添加し、得られた暗色の粘稠な混合物を、室温でおよそ135時間攪拌した。ジクロロメタン(500mL)で希釈した後、この混合物を2M水酸化ナトリウム(1L)へ注ぎ、この水相を分離し、かつ塩化メチレン(300mL)で抽出した。一緒にした有機抽出液を、水(500mL)、ブライン(500mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し、(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−シクロプロピル−4,4−ジフルオロペンタノエートを暗色油状物(19.3g、34%)として得た。未処理の出発物質(17.5g、33%)も記録された。
1H NMR (CDCl3; 400MHz): δppm 5.02 (m, 1H); 4.36 (m, 1H), 3.59 (s, 3H), 2.28 (m, 2H), 1.62 (m, 1H), 2.22 (m, 2H), 1.27 (s, 9H), 0.65 (m, 1H), 0.38 (m, 2H), 0.02 (m, 2H)。
【0228】
B.同様に、実施例20Aの手順に従い、(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−シクロプロピル−4−オキソペンタノエートを(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−オキソ−5−フェニルペンタノエート、(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−(4−フルオロフェニル)−4−オキソペンタノエート、又は(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4−オキソ−5−(ピリジン−3−イル)ペンタノエートと換え、下記の式(21)の化合物を調製した。
【0229】
(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−フェニルペンタノエート;
(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−(4−フルオロフェニル)ペンタノエート;及び
(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−(ピリジン−3−イル)ペンタノエート。
【0230】
実施例21
(S)−2−アミノ−5−シクロプロピル−4,4−ジフルオロペンタン酸塩酸塩(22)の調製
【化31】

【0231】
A.水(20ml)及びテトラヒドロフラン(5ml)中の(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−シクロプロピル−4,4−ジフルオロペンタノエート(2.0g、6.507mmol)へ、水酸化リチウム(0.47g、19.51mmol)を添加し、この混合物を外界温度で一晩攪拌した。この生成物を、クエン酸(5g)により酸性とし、酢酸エチル(250ml)に抽出し、かつ有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、少量のシリカゲルパッドを通して濾過した。溶媒を減圧下で蒸発させ、オレンジ色油状物1.6gを生じた。この油状物を、ジクロロメタン(5ml)中に溶解し、ジオキサン中の4M塩酸(16.25ml)を添加し、この混合物を4時間攪拌した。この溶媒を蒸発乾固させ、かつ得られた固形物をジエチルエーテルで摩砕し、鈍黄色の固形物として(S)−2−アミノ−5−シクロプロピル−4,4−ジフルオロペンタン酸塩酸塩1.07g(71.8%)を生じた。
【0232】
1H NMR (CDCl3; 400MHz): δppm 8.42 (bs, 3H); 4.08 (m, 1H), 3.25 (bs, 1H), 2.58 (m, 2H), 1.82 (m, 2H), 1.4 (1H), 0.75 (m, 1H), 0.48 (m, 2H), 0.18 (m, 2H)。
【0233】
B.同様に、実施例21Aの手順に従い、(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−シクロプロピル−4,4−ジフルオロペンタノエートを(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−フェニルペンタノエートと換え、(S)−2−アミノ−4,4−ジフルオロ−5−フェニルペンタン酸塩酸塩を調製した。
【0234】
同様に、実施例21Aの手順に従い、(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−シクロプロピル−4,4−ジフルオロペンタノエートを(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−(4−フルオロフェニル)ペンタノエートと換え、(S)−2−アミノ−4,4−ジフルオロ−5−(4−フルオロフェニル)ペンタン酸塩酸塩を調製した。
【0235】
同様に、実施例21Aの手順に従い、(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−シクロプロピル−4,4−ジフルオロペンタノエートを(S)−メチル 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−(ピリジン−3−イル)ペンタノエートに換え、(S)−2−アミノ−4,4−ジフルオロ−5−(ピリジン−3−イル)ペンタン酸塩酸塩を調製した。
【0236】
実施例22
式(23)の化合物の調製
1が4−フルオロフェニルであり、かつYが酸素である、式(23)の化合物の調製
【化32】

【0237】
A.1,1−ジフルオロ−1−(4−フルオロフェノキシ)−エタノール(0.84g、4.35mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.84g、6.53mmol、1.5当量)を、ジクロロメタン(10ml)に溶解し、ジクロロメタン(15ml)中のトリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.29g、4.57mmol、1.05当量)の溶液に−78℃で添加した。この混合物を15分間攪拌し、その後室温に温めた。この生成物へ、(S)−2−アミノ−5−シクロプロピル−4,4−ジフルオロペンタン酸塩酸塩(1.00g、4.35mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(2.25g、17.40mmol、4.0当量)を添加し、この混合物を40℃で48時間加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をクエン酸水溶液(水250ml中10.0g)と酢酸エチル(250ml)の間で分配した。有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、かつ溶媒を濾液から減圧下で蒸発させ、(S)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタン酸を帯黄白色固形物として生じ、これをジイソプロピルエーテルで洗浄し、濾過し、乾燥した。収量410mg(25.6%)。
1H NMR (CDCl3; 400MHz): δppm 7.22 (m, 4H); 3.52-3.05 (m, 3H), 2.48 (m, 2H), 1.91 (m, 2H), 1.24 (m, 1H), 0.8 (m, 1H), 0.46 (m, 2H), 0.12 (m, 2H)。LC/MS:保持時間;t=3.24分、質量:(M+H)+ 368;質量:(M−H)- 366。
【0238】
B.1及びYが異なる、他の式(23)の化合物の調製
同様に、1,1−ジフルオロ−1−(4−フルオロフェノキシ)−エタノールを(S)−2−アミノ−4,4−ジフルオロ−5−フェニルペンタン酸塩酸塩と換えた以外は、実施例22Aの手順に従い、(S)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−フェニルペンタン酸を調製した。
【0239】
同様に、1,1−ジフルオロ−1−(4−フルオロフェノキシ)−エタノールを(S)−2−アミノ−4,4−ジフルオロ−5−(4−フルオロフェニル)ペンタン酸塩酸塩と換えた以外は、実施例22Aの手順に従い、(S)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−(4−フルオロフェニル)ペンタン酸を調製した。
【0240】
同様に、1,1−ジフルオロ−1−(4−フルオロフェノキシ)−エタノールを(S)−2−アミノ−4,4−ジフルオロ−5−(ピリジン−3−イル)ペンタン酸塩酸塩と換えた以外は、実施例22Aの手順に従い、(S)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−(ピリジン−3−イル)ペンタン酸を調製した。
【0241】
C.1及びYが異なる、他の式(23)の化合物の調製
同様に、任意に1,1−ジフルオロ−1−(4−フルオロフェノキシ)−エタノールを他の式(4)の化合物に換えた以外は、実施例22Aの手順に従い、他の式(23)の化合物を調製した。
【0242】
実施例23
式Iの化合物の調製
1が4−フルオロフェニルであり、Yが酸素であり、R2及びR3が水素であり、R4が−A−X−R8であり(式中、Aは−CH2−CF2であり、Xは共有結合であり、かつR8はシクロプロピルメチルである)、Eが共有結合であり、かつZが1−シアノシクロプロピルである、式Iの化合物の調製
【化33】

【0243】
A.ジクロロメタン中の(S)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタン酸(200mg、0.54mmol)及び1−アミノ−シクロプロパンカルボニトリル塩酸塩(65mg、0.54mmol)の溶液へ、ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N,N’−テトラメチルウロニウム(HATU)(228mg、0.60mmol、1.1当量)を添加し、この混合物を5分間攪拌した。その後N−メチルモルホリン(220mg、2.18mmol、4.0当量)を添加し、室温で一晩攪拌した。この反応混合物へ、水性炭酸カリウム(200ml)を添加し、かつその生成物を酢酸エチル(200ml)で抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、小型のシリカゲルパッドを通して濾過し、濾液を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲル上でクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン/酢酸エチル2:1で溶出した。生成物を、黄色油状物100mgとして分離した。ヘキサンで摩砕し、(S)−N−(1−シアノシクロプロピル)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド84mg(36%)を白色固形物として得た。
1H NMR (d6-DMSO; 400MHz): δppm 8.97 (s, 1H), 7.25 (m, 4H), 3.41 (m, 1H), 3.20 (m, 1H), 3.05 (m, 1H), 2.70 (m, 1H), 2.25 (m, 2H), 1.85 (m, 2H), 1.47 (m, 2H), 1.22 (m, 2H), 0.8 (m, 1H), 0.45 (m, 2H), 0.12 (m, 2H)。LC/MS:保持時間;t=4.53分、質量:(M+H)+ 432;質量:(M−H)- 430。
【0244】
B.R2及びR3が水素であり、R4が−A−X−R8であり(式中、Aは−CH2−CF2であり、Xは共有結合であり、R8はシクロプロピルメチルである)、Eが共有結合であり、かつZが1−シアノシクロプロピルであり、R1及びYが変動する、式Iの化合物の調製
【0245】
同様に、1−アミノ−シクロプロパンカルボニトリル塩酸塩を、全て市販されている、2−アミノ−2−メチルプロパンニトリル、1−アミノシクロブタンカルボニトリル、及び1−アミノシクロペンタンカルボニトリルから選択された式(8)の化合物と換え、かつ任意に(S)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタン酸を他の式(23)の化合物と換える以外は、実施例23Aの手順に従い、下記化合物を生成した。
【0246】
(S)−N−(2−シアノプロパン−2−イル)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド;
(S)−N−(2−シアノプロパン−2−イル)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−(メチルチオ)フェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド;
(S)−N−(1−シアノシクロブチル)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド;
(S)−N−(1−シアノシクロブチル)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド;
(S)−N−(1−シアノシクロペンチル)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルチオフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド;
(S)−N−シクロプロピル−3−((S)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド)−2−オキソヘキサンアミド;
(S)−N−シクロプロピル−3−((S)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルチオフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド)−2−オキソヘキサンアミド;
(S)−N−((S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド;
(S)−N−((S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルチオフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド;
(S)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−フェニルペンタンアミド;
(S)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルチオフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−フェニルペンタンアミド;
(S)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−(4−フルオロフェニル)ペンタンアミド;
(S)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルチオフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−(4−フルオロフェニル)ペンタンアミド;
(S)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−(ピリジン−3−イル)ペンタンアミド;
(S)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−メチルチオフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−(ピリジン−3−イル)ペンタンアミド;
(S)−N−(2−シアノプロパン−2−イル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−(4−フルオロフェニル)ペンタンアミド;
(S)−N−(1−シアノシクロブチル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−(4−フルオロフェニル)ペンタンアミド;及び
(S)−N−(1−シアノシクロペンチル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−(4−フルオロフェニル)ペンタンアミド。
【0247】
C.R2及びR3が水素であり、R4が−A−X−R8であり(式中、Aは−CH2−CF2であり、Xは共有結合であり、R8はシクロプロピルメチルである)、かつEが共有結合であり、かつZが1−シアノシクロプロピルであり、R1及びYが変動する、式Iの化合物の調製
同様に、(S)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタン酸を他の式(23)の化合物に換える以外は、実施例23Aの手順に従い、他の式Iの化合物を調製した。
【0248】
実施例24
式(24)の化合物の調製
1が4−フルオロフェニルであり、かつYが酸素である、式(24)の化合物の調製
【化34】

【0249】
A.ジクロロメタン(12ml)中の(S)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタン酸(200mg、0.54mmol)及び(3S)−3−アミノ−N−シクロプロピル−2−ヒドロキシペンタンアミド塩酸塩(114mg、0.54mmol)の混合物へ、ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N,N’−テトラメチルウロニウム(HATU)(228mg、0.60mmol、1.1当量)を添加し、この混合物を5分間攪拌し、その後N−メチルモルホリン(220mg、2.18mmol、4.0当量)を添加した。一晩室温で攪拌した後、その生成物を、クエン酸水溶液(250ml中10g)と酢酸エチル(250ml)の間で分配した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、かつ溶媒を濾液から蒸発させ、(2S)−5−シクロプロピル−N−((3S)−1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソペンタン−3−イル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド200mgを淡黄色半固形物として生じた。
1H NMR (d6-DMSO; 400MHz): δppm 7.82-7.60 (m, 2H), 7.42 (m, 4H), 5.58 (m, 1H), 3.95 (m, 1H), 3.85 (m, 1H), 3.44 (m, 1H), 3.20 (m, 1H), 3.00 (m, 1H), 2.62 (m, 2H), 2.35 -2.00 (m, 2H) 1.90 (m, 2H), 1.55 (m, 1H), 1.35 (m), 0.8 (m, 4H), 0.60 - 0.40 (m, 6H), 0.12 (m, 2H)。LC/MS:保持時間;t=4.36分、質量:(M+H)+ 522;質量:(M−H)- 520。
【0250】
B.1及びYが変動する、式(24)の化合物の調製
同様に、(S)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタン酸を他の式(23)の化合物と換える以外は、実施例24Aの手順に従い、他の式(24)の化合物を調製した。
【0251】
実施例25
式Iの化合物の調製
A.1が4−フルオロフェニルであり、Yが酸素であり、R2及びR3が水素であり、R4が−A−X−R8であり(式中、Aは−CH2−CF2であり、Xは共有結合であり、R8はシクロプロピルメチルである)、Eが−CH(R9)−C(O)−C(O)−NH−であり(式中、R9がエチルである)、かつR5及びR6が一緒にシクロプロピルであり、かつR10が水素である、式Iの化合物の調製
【化35】

【0252】
N−メチルピロリジン(4ml)中の(2S)−5−シクロプロピル−N−((3S)−1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソペンタン−3−イル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド(190mg、0.36mmol)の溶液へ、デス−マーチンペルヨージナン試薬(216mg、0.51mmol、1.4当量)を添加した。この混合物を室温で4時間攪拌し、その後チオ硫酸ナトリウム(1.5g)を含有する飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50ml)を添加した。この混合物を1時間攪拌し、濾過し、固形物質を水で洗浄し、その後乾燥剤として五酸化リンを使用し、真空炉において40℃で乾燥し、(S)−5−シクロプロピル−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソペンタン−3−イル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド144mg(76%)を生じた。
【0253】
1H NMR (d6-DMSO; 400MHz): δppm 8.65 (1H), 8.38 (1H), 7.35 (m, 4H), 4.90 (m, 1H), 3.48 (m, 1H), 3.22 (m, 1H), 3.05 (m, 1H), 2.72 (m, 1H), 2.65 (m, 1H), 2.35-2.00 (m), 1.55 (m, 1H), 1.35 (m), 0.90-0.42 (m, 10H), 0.60 - 0.40 (m, 6H), 0.12 (m, 2H)。LC/MS:保持時間;t=20.01分、質量:(M+H)+ 520。
【0254】
B.1及びYが変動する、式Iの化合物の調製
同様に、(2S)−5−シクロプロピル−N−((3S)−1−(シクロプロピルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−オキソペンタン−3−イル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミドを、他の式(24)の化合物と換えた以外は、実施例25Aの手順に従い、他の式Iの化合物を調製した。例えば:
【0255】
(S)−N−シクロプロピル−3−((S)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド)−2−オキソヘキサンアミド;
(S)−N−((S)−1−シクロブチル−4−(シクロプロピルアミノ)−3,4−ジオキソブタン−2−イル)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド;
(S)−N−シクロプロピル−3−((S)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−(4−フルオロフェニル)ペンタンアミド)−2−オキソヘキサンアミド;及び
(S)−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソペンタン−3−イル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロ−5−(4−フルオロフェニル)ペンタンアミド。
【0256】
生物学的実施例
実施例1:カテプシンBアッセイ
様々な濃度の被験化合物の溶液を、ジメチルスルホキシド(DMSO)10μL中に調製し、その後アッセイ緩衝液(40μL、以下を含有:N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、50mM(pH6);ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、0.05%;及び、ジチオスレイトール(DTT)、2.5mM)に希釈した。この希釈液に、ヒトカテプシンB(アッセイ緩衝液25μL中0.025pM)を添加した。このアッセイ溶液を、振盪プレート上で5〜10秒間混合し、蓋をつけ、かつ室温で30分間インキュベーションした。このアッセイ溶液へ、Z−FR−AMC(アッセイ緩衝液25μL中20nM)を添加し、かつ加水分解を分光学的に(λ460nm)5分間追跡した。見かけの阻害定数(Ki)を、酵素反応進行曲線から、標準の数学モデルを使用し、算出した。
【0257】
本発明の化合物を、前述のアッセイにより試験し、カテプシンB阻害活性を示すことを認めた。
【0258】
実施例2:カテプシンKアッセイ
様々な濃度の被験化合物の溶液を、ジメチルスルホキシド(DMSO)10μL中に調製し、その後アッセイ緩衝液(40μL、以下を含有:MES、50mM(pH5.5);EDTA、2.5mM;及び、DTT、2.5mM)に希釈した。この希釈液に、ヒトカテプシンK(アッセイ緩衝液25μL中0.0906pM)を添加した。このアッセイ溶液を、振盪プレート上で5〜10秒間混合し、蓋をつけ、かつ室温で30分間インキュベーションした。このアッセイ溶液へ、Z−Phe−Arg−AMC(アッセイ緩衝液25μL中4nM)を添加し、かつ加水分解を分光学的に(λ460nm)5分間追跡した。見かけの阻害定数(Ki)を、酵素反応進行曲線から、標準の数学モデルを使用し、算出した。
【0259】
本発明の化合物を、前述のアッセイにより試験し、カテプシンK阻害活性を示すことを認めた。
【0260】
実施例3:カテプシンLアッセイ
様々な濃度の被験化合物の溶液を、ジメチルスルホキシド(DMSO)10μL中に調製し、その後アッセイ緩衝液(40μL、以下を含有:MES、50mM(pH5.5);EDTA、2.5mM;及び、DTT、2.5mM)に希釈した。この希釈液に、ヒトカテプシンL(アッセイ緩衝液25μL中0.05pM)を添加した。このアッセイ溶液を、振盪プレート上で5〜10秒間混合し、蓋をつけ、かつ室温で30分間インキュベーションした。このアッセイ溶液へ、Z−Phe−Arg−AMC(アッセイ緩衝液25μL中1nM)を添加し、かつ加水分解を分光学的に(λ460nm)5分間追跡した。見かけの阻害定数(Ki)を、酵素反応進行曲線から、標準の数学モデルを使用し、算出した。
【0261】
本発明の化合物を、前述のアッセイにより試験し、カテプシンL阻害活性を示すことを認めた。
【0262】
実施例4:カテプシンSアッセイ
様々な濃度の被験化合物の溶液を、ジメチルスルホキシド(DMSO)10μL中に調製し、その後アッセイ緩衝液(40μL、以下を含有:MES、50mM(pH6.5);EDTA、2.5mM;及び、NaCl、100mM);β−メルカプトエタノール、2.5mM;及び、BSA、0.00%に希釈した。この希釈液に、ヒトカテプシンS(アッセイ緩衝液25μL中0.05pM)を添加した。このアッセイ溶液を、振盪プレート上で5〜10秒間混合し、蓋をつけ、かつ室温で30分間インキュベーションした。このアッセイ溶液へ、Z−Val−Val−Arg−AMC(10%DMSO含有するアッセイ緩衝液25μL中4nM)を添加し、かつ加水分解を分光学的に(λ460nm)5分間追跡した。見かけの阻害定数(Ki)を、酵素反応進行曲線から、標準の数学モデルを使用し、算出した。
【0263】
本発明の化合物を、前述のアッセイにより試験し、カテプシンS阻害活性を示すことを認めた。
【0264】
実施例5:カテプシンFアッセイ
様々な濃度の被験化合物の溶液を、ジメチルスルホキシド(DMSO)10μL中に調製し、その後アッセイ緩衝液(40μL、以下を含有:MES、50mM(pH6.5);EDTA、2.5mM;及び、NaCl、100mM);DTT、2.5mM;及び、BSA、0.01%に希釈した。この希釈液に、ヒトカテプシンF(アッセイ緩衝液25μL中0.1pM)を添加した。このアッセイ溶液を、振盪プレート上で5〜10秒間混合し、蓋をつけ、かつ室温で30分間インキュベーションした。このアッセイ溶液へ、Z−Phe−Arg−AMC(10%DMSO含有するアッセイ緩衝液25μL中2nM)を添加し、かつ加水分解を分光学的に(λ460nm)5分間追跡した。見かけの阻害定数(Ki)を、酵素反応進行曲線から、標準の数学モデルを使用し、算出した。
【0265】
本発明の化合物を、前述のアッセイにより試験し、カテプシンF阻害活性を示すことを認めた。
【0266】
【表1】

【0267】
+は、1μM以上のKiを示す;
++は、1μM未満のKiを示す;
+++は、100nM未満のKiを示す。
A. (R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−3−(ピリジン−3−イルメチルスルホニル)プロパンアミド;
B. (S)−N−シクロプロピル−3−((R)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−3−(ピリジン−3−イルメチルスルホニル)プロパンアミド)−2−オキソペンタンアミド;
C. (R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)プロパンアミド;
D. (R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−3−(シクロプロピルメチルスルホニル)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)プロパンアミド;
E. (R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−3−(ピリジン−2−イルメチルチオ)プロパンアミド;
F. (R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−3−(ピリジン−2−イルメチルスルホニル)プロパンアミド;
G. (R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−((ピリジン−3−イルメチルチオ)メチル)プロパンアミド;
H. (R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−((ピリジン−3−イルメチルスルホニル)メチル)プロパンアミド;
I. 3−(((R)−3−(1−シアノシクロプロピルアミノ)−2−(((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)メチル)−3−オキソプロピルスルホニル)メチル)ピリジン 1−オキシド;
J. (S)−N−シクロプロピル−3−((R)−3−(シクロプロピルメチルスルホニル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)プロパンアミド)−2−オキソペンタンアミド;
K. (S)−5−シクロプロピル−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソペンタン−3−イル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド;
L. (S)−N−(1−シアノシクロプロピル)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド。
【0268】
実施例1
式Iの化合物を含有する代表的医薬製剤
経口製剤
式Iの化合物 10〜100mg
クエン酸一水和物 105mg
水酸化ナトリウム 18mg
矯味矯臭剤
水 100mlとなるまで適量
【0269】
経静脈製剤
式Iの化合物 0.1〜10mg
デキストロース一水和物 等張となるまで適量
クエン酸一水和物 1.05mg
水酸化ナトリウム 0.18mg
注射用水 1.0mlとなるまで適量
【0270】
錠剤製剤
式Iの化合物 1%
微晶質セルロース 73%
ステアリン酸 25%
コロイド状シリカ 1%
【0271】
以上、明確化及び理解のために、図表及び実施例を参照しながら、発明を詳細に説明したが、当業者には明らかなとおり、添付の特許請求の範囲内において、種々の変更及び修飾を加えることが可能である。従って、上述の説明は例示を意図するものであり、制限的なものではないと解すべきである。従って、本発明の範囲は、上述の説明に基づいて決定すべきではなく、添付の特許請求の範囲を参照して決定すべきであり、また、斯かる特許請求の範囲に認められる均等の全範囲も含まれるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

(式中:
1は、アリール又はヘテロアリールであり、ここでアリール環又はヘテロアリール環は、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルコキシアルキル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、シアノ、ニトロ、アシル、アリール、アリールオキシ、アリールスルホニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニル、アミノスルホニル、及びアミノアルキルから独立して選択される1、2又は3の基により、任意に置換されていてもよく;
Yは、酸素又は−S(O)mであり、ここで
mは、0、1、又は2であり;
2は、水素、R7−C≡C−、又はシス若しくはトランスR7−CH=CH−であり、ここで
7は、炭素原子1〜3個の低級アルキル又は炭素原子3〜6個のシクロアルキルであり;
3は、水素又は炭素原子1〜3個の低級アルキルであり;
4は、−A−X−R8であり、ここで
Aは、アルキル及びハロから独立して選択された1、2又は3の基により任意に置換されていてもよい炭素原子1〜3個のアルキレンであり、
Xは、共有結合、酸素又は−S(O)nであり、ここでnは、0、1又は2であり、
8は、水素、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキルであり、これらは全て、炭素原子1〜4個の低級アルキル、ハロ、及びシアノからなる群から選択される1、2、又は3の置換基により任意に置換されていてもよく;
但し、Xが酸素又は−S(O)nである場合は、R8は水素ではなく;
Eは、共有結合又は−CH(R9)−C(O)−C(O)−NH−であり、ここで
9は、水素、又は、ハロ及び炭素原子3〜7個のシクロアルキルから独立して選択される1、2、3若しくは4の基により任意に置換されていてもよい炭素原子1〜6個の低級アルキルであり;
Zは、−C(R5)(R6)−R10であり;ここで
5は、水素又は炭素原子1〜4個の低級アルキルであり;及び
6は、水素、炭素原子1〜4個の低級アルキル、シクロアルキル、又はアリールであるか;又は
5及びR6は、それらが結合する炭素原子と一緒に、炭素原子1〜4個の低級アルキル、ハロ又はヒドロキシルにより任意に置換されていてもよい炭素原子3〜6個のシクロアルキル基を形成し;
10は、水素又はシアノであり;
但し、Eが共有結合である場合は、R10は水素ではなく;Eが−CH(R9)−C(O)−C(O)−NH−である場合は、R10はシアノではない);
又は、それらの医薬的な塩若しくはプロドラッグ。
【請求項2】
1が任意に置換されていてもよいアリールであり、かつYが酸素である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
2及びR3が両方とも水素であり、かつEが共有結合である、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Zが−C(R5)(R6)−R10であり、ここでR5及びR6が、それらが結合する炭素原子と一緒に、炭素原子3〜6個のシクロアルキル基を形成する、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
シクロアルキル基がシクロプロピルであり、かつR10がシアノである、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
1がフルオロにより置換されたフェニルであり、Aが、フルオロにより任意に置換されていてもよい炭素原子1〜3個のアルキレンであり、Xが、共有結合又は−S(O)2であり、かつR8が、ヘテロアリールアルキル又はシクロアルキルアルキルである、請求項5記載の化合物。
【請求項7】
化合物が、(S)−N−(1−シアノシクロプロピル)−5−シクロプロピル−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド及び(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−3−(ピリジン−3−イルメチルスルホニル)プロパンアミドからなる群から選択される、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
Eが−CH(R9)−C(O)−C(O)−NH−である、請求項2記載の化合物。
【請求項9】
Zが−C(R5)(R6)−R10であり、ここでR5及びR6が、それらが結合する炭素原子と一緒に、炭素原子3〜6個のシクロアルキル基を形成する請求項8記載の化合物。
【請求項10】
シクロアルキル基がシクロプロピルであり、かつR10が水素である、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
1が、フルオロにより置換されたフェニルであり、Aが、フルオロにより任意に置換されていてもよい炭素原子1〜3個のアルキレンであり、Xが、共有結合又は−S(O)2であり、R8がヘテロアリール又はシクロアルキルであり、かつR9がエチルである、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
化合物が、(S)−5−シクロプロピル−N−((S)−1−(シクロプロピルアミノ)−1,2−ジオキソペンタン−3−イル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−4,4−ジフルオロペンタンアミド、(S)−N−シクロプロピル−3−((R)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)エチルアミノ)−3−(ピリジン−3−イルメチルスルホニル)プロパンアミド)−2−オキソペンタンアミド、及び(S)−N−シクロプロピル−3−((R)−3−(シクロプロピルメチルスルホニル)−2−(2,2−ジフルオロ−2−(4−フルオロフェノキシ)−エチルアミノ)プロパンアミド)−2−オキソペンタンアミドからなる群から選択される、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
2がR7−C≡C−であり、R3が水素であり、かつEが共有結合である、請求項2記載の化合物。
【請求項14】
2がR7−C≡C−であり、R3が水素であり、かつEが共有結合である、請求項2記載の化合物。
【請求項15】
Zが−C(R5)(R6)−R10であり、ここでR5及びR6が、それらが結合する炭素原子と一緒に、炭素原子3〜6個のシクロアルキル基を形成する請求項13記載の化合物。
【請求項16】
シクロアルキル基がシクロプロピルであり、かつR10が水素である、請求項14記載の化合物。
【請求項17】
1が、フルオロ、チオメチル、又はメチルスルホニルにより置換されたフェニルであり、Aが、フルオロにより任意に置換されていてもよい炭素原子1〜3個のアルキレンであり、Xが共有結合又は−S(O)2であり、かつR8がヘテロアリールアルキル又はシクロアルキルである、請求項15記載の化合物。
【請求項18】
7がメチルである、請求項16記載の化合物。
【請求項19】
(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−3−(シクロプロピルメチルチオ)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)プロパンアミド、(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−3−(シクロプロピルメチルスルホニル)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)プロパンアミド、(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−3−(ピリジン−2−イルメチルチオ)プロパンアミド、(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−2−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−3−(ピリジン−2−イルメチルスルホニル)プロパンアミド、(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルチオ)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−((ピリジン−3−イルメチルチオ)メチル)プロパンアミド、(R)−N−(1−シアノシクロプロピル)−3−((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)−2−((ピリジン−3−イルメチルスルホニル)メチル)プロパンアミド、及び3−(((R)−3−(1−シアノシクロプロピルアミノ)−2−(((S)−1,1−ジフルオロ−1−(4−(メチルスルホニル)フェノキシ)ペンタ−3−イン−2−イルアミノ)メチル)−3−オキソプロピルスルホニル)メチル)ピリジン1−オキシドからなる群から選択される、請求項17記載の化合物。
【請求項20】
1又は2以上の好適な賦形剤と混合された請求項1記載の化合物を含有する、医薬組成物。
【請求項21】
動物におけるカテプシンB、K、L、F、又はSにより媒介された疾患を治療する方法であって、任意に1又は2以上の好適な賦形剤と混合されていてもよい、請求項1記載の化合物、又は医薬的に許容し得るその塩を含有する医薬組成物を、当該動物に投与することを含む方法。
【請求項22】
疾患が、喘息、関節炎、アテローム性動脈硬化症、COPD、MS、又は乾癬である、請求項20記載の方法。

【公表番号】特表2012−508758(P2012−508758A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536470(P2011−536470)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/064227
【国際公開番号】WO2010/056877
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(508002612)ビロベイ,インコーポレイティド (7)
【Fターム(参考)】