説明

シリカゾルおよびその製造方法

【課題】本発明は、表面に疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルであって、特に、ナトリウムなどの含有割合が低レベルにある球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾル、および、その様なシリカゾルの製造方法を提供する。
【解決手段】表面に複数の疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルであって、該球状シリカ微粒子のBET法により測定された比表面積を(SA1)とし、画像解析法により測定される該シリカ微粒子の平均粒子径(D2)から換算した比表面積を(SA2)としたときの表面粗度(SA1)/(SA2)の値が、1.9〜5.0の範囲にあり、該平均粒子径(D2)が10〜200nmの範囲にあり、ナトリウム含有割合が100質量ppm以下の範囲にあることを特徴とするシリカゾル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子の表面粗度、真球度または粒子径の変動係数などで特定される表面に疣状突起を有する球状のシリカ微粒子が溶媒に分散したシリカゾルに関するものであり、特にナトリウム含有量が低く、シリコンウェーハなど電子材料用途の研磨材、塗料添加剤、樹脂添加剤、インク受容層の成分、化粧料の成分などへの適用が可能なものである。
【背景技術】
【0002】
半導体の集積回路付基板の製造においては、シリコンウェーハ上に銅などの金属で回路を形成する際に凹凸あるいは段差が生じるので、これを研磨して表面の段差がなくなるように回路の金属部分を優先的に除去することが行われている。また、シリコンウェーハ上にアルミ配線を形成し、この上に絶縁膜としてシリカ等の酸化膜を設けると配線による凹凸が生じるので、この酸化膜を研磨して平坦化することが行われている。このような基板の研磨においては、研磨後の表面は段差や凹凸がなく平坦で、さらにミクロな傷等もなく平滑であることが求められており、また研磨速度が速いことも必要である。
【0003】
さらに、半導体材料は電気・電子製品の小型化や高性能化に伴い高集積化が進展しているが、例えばトランジスタ分離層にNaやK等の不純物等が残存した場合、性能が発揮されなかったり、不具合の原因となったりすることがある。特に研磨した半導体基板や酸化膜表面にNaが付着すると、Naは拡散性が高く、酸化膜中の欠陥などに捕獲され、半導体基板に回路を形成しても絶縁不良を起こしたり、回路が短絡したりすることがあり、また誘電率が低下することがあった。このため使用条件によって、或いは使用が長期にわたった場合に前記不具合を生じることがあるので、NaやKなどの不純物を殆ど含まない研磨用粒子が求められている。
【0004】
研磨用粒子としては、従来、シリカゾルやヒュームドシリカ、ヒュームドアルミナなどが用いられている。CMPで使用される研磨材は、通常、シリカ、アルミナ等の金属酸化物からなる平均粒子径が200nm程度の球状の研磨用粒子と、配線・回路用金属の研磨速度を早めるための酸化剤、有機酸等の添加剤及び純水などの溶媒から構成されているが、被研磨材の表面には下地の絶縁膜に形成した配線用の溝パターンに起因した段差(凹凸)が存在するので、主に凸部を研磨除去しながら共面まで研磨し、平坦な研磨面とすることが求められている。しかしながら、従来の球状の研磨用粒子では共面より上の部分を研磨した際に、凹部の下部にあった配線溝内の回路用金属が共面以下まで研磨される問題(ディッシング(過研磨)と呼ばれている。)があった。このようなディッシングが起きると配線の厚みが減少して配線抵抗が増加し、また、この上に形成される絶縁膜の平坦性が低下するなどの問題が生じるので、ディッシングを抑制することが求められている。
【0005】
なお、この様な研磨剤は、アルミニウムディスク(アルミニウムまたはその基材上のメッキ層)や半導体多層配線基板のアルミニウム配線、光ディスクや磁気ディスク用ガラス基板、液晶ディスプレイ用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、ガラス質材料の鏡面加工などへ適用されている。
【0006】
非球状粒子を含むシリカゾルの製造方法としては、特開平1−317115号公報(特許文献1)に、画像解析法による測定粒子径(D1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径
(D2)の比D1/D2が5以上であり、D1は40〜500ミリミクロン、そして電子顕微
鏡観察による5〜40ミリミクロンの範囲内の一様な太さで一平面内のみの伸長を有する細長い形状の非晶質コロイダルシリカ粒子が液状媒体中に分散されてなるシリカゾルの製造方法として、(a)所定の活性珪酸のコロイド水溶液に水溶性のカルシウム塩またはマ
グネシウム塩などを含有する水溶液を、所定量添加し、混合する工程、(b)更に、アルカリ金属酸化物、水溶性有機塩基又はそれらの水溶性珪酸塩をSiO2/M2O (但し、Mは上記アルカリ金属原子又は有機塩基の分子を表わす。)モル比として20〜200となるように加えて混合する工程、(c)前工程によって得られた混合物を60〜150℃で0.5〜40時間加熱する工程からなる製造方法が開示されている。
【0007】
また、別のタイプの粒子として、シリカ系微粒子の表面に突起状構造を有する例として、特開平3−257010号公報(特許文献2)には、シリカ粒子表面に電子顕微鏡で観察される0.2〜5μmのサイズの連続的な凹凸状の突起を有し、平均粒子径が5〜100μm、BET法で測定される比表面積が20m2/g以下、且つ、細孔容積が、0.1
mL/g以下であるシリカ粒子に関する記載がある。特開2002−338232号公報(特許文献3)には、コロイダルシリカのシリカ粒子の電子線による透過投影像より求めた幾何学的平均粒子径(X1)と、シリカ粒子の表面積より算出した相当粒子径(X2)との比Y(X1/X2)が1.3から2.5の範囲であり、かつその幾何学的平均粒子径が20〜200nmの範囲であることを特徴とする二次凝集コロイダルシリカに関する発明が開示されている。より詳しくは、同二次凝集コロイダルシリカの製造方法として、単分散のコロイダルシリカにシリカ粒子の凝集剤を添加して球状の凝集二次粒子を作り、更に活性珪酸を添加して凝集粒子を一体化してなる製造方法が開示されている。
【0008】
特開2002−38049号公報(特許文献4)には、母体粒子全面に、実質上球状および/または半球状の突起物を有するシリカ系微粒子であって、該突起物が化学結合により母体粒子に結着していることを特徴とするシリカ系微粒子について記載がある。さらに、(A)特定のアルコキシシラン化合物を加水分解、縮合させてポリオルガノシロキサン粒子を生成させる工程、(B)該ポリオルガノシロキサン粒子を、表面吸着剤により表面処理する工程、および(C)上記(B)工程で表面処理されたポリオルガノシロキサン粒子全面に、該アルコキシシラン化合物を用いて突起を形成させる工程、を含むシリカ系微粒子の製造方法についても記載がある。
【0009】
また、特開2004−35293号公報(特許文献5)には、母体粒子全面に、実質上球状および/または半球状の突起物を有するシリカ系粒子であって、該突起物が化学結合により母体粒子に結着しており、かつ母体粒子と突起物における10%圧縮時の圧縮弾性率が、それぞれ異なることを特徴とするシリカ系粒子が開示されている。
【0010】
特開平3−257010号公報(特許文献2)および特開2002−338232号公報(特許文献3)の特許請求の範囲に記載されたシリカゾルについては、ナトリウムを含有するものであり、例えば、前記研磨用途に適用した場合、ナトリウムが電子用途に悪影響を及ぼすおそれがあった。特開2002−38049号公報(特許文献4)および特開2004−35293号公報(特許文献5)については、3官能性または2官能性のシラン化合物を原料とするものであり、シリカ微粒子が、[R-SiO3/2]単位(Rは有機基)を主構成単位とするものである。
【特許文献1】特開平1−317115号公報
【特許文献2】特開平3−257010号公報
【特許文献3】特開2002−338232号公報
【特許文献4】特開2002−38049号公報
【特許文献5】特開2004−35293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、表面に疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルであって、特に、ナトリウム含有割合が低レベルにある球状シリカ微粒子が溶媒に分散し
てなるシリカゾルを提供することにある。また、本発明はその様なシリカゾルの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、
(1) 表面に複数の疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルであって、該球状シリカ微粒子のBET法により測定された比表面積を(SA1)とし、画像解析法により測定される該シリカ微粒子の平均粒子径(D2)から換算した比表面積を(SA2)としたときの表面粗度(SA1)/(SA2)の値が、1.9〜5.0の範囲にあり、該平均粒子径(D2)が10〜200nmの範囲にあり、ナトリウム含有割合が100質量ppm以下の範囲にあることを特徴とするシリカゾル、
(2) 前記球状シリカ微粒子の粒子径の変動係数が3.0〜30%の範囲にあることを特徴とする(1)に記載のシリカゲル、
(3) 前記球状シリカ微粒子が[SiO4/2]単位および[SiO3/2]単位を含有するものであること特徴とする(1)または(2)に記載のシリカゲル、
(4) 次の[1]〜[4]の工程
[1]画像解析法により測定される平均粒子径が5〜195nmの範囲にある母体
シリカ微粒子の分散液を温度30〜200℃に保持し、水分と加水分解用触媒の存
在下、3官能シラン化合物を該母体シリカ微粒子の表面積1m2当り、5.6×1
-7〜9.4×10-6モルの範囲で連続的にまたは断続的に添加することにより、
加水分解反応を進行させて、部分的に有機化処理された有機化処理シリカ微粒子水
系分散液を調製する工程、
[2]前記部分的に有機化処理された有機化処理シリカ微粒子分散液を、温度30
〜200℃にて熟成する工程、
[3]前記熟成された有機化処理シリカ微粒子分散液を、温度30〜200℃に保
持し、水分と加水分解用触媒の存在下、テトラエトキシシランを母体シリカ微粒子
の表面積1m2当り、0.2×10-4〜15×10-4モルの範囲で連続的にまたは
断続的に添加することにより、加水分解反応を進行させて、表面に複数の疣状突起
を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルを調製する工程、およ

[4]表面に複数の疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリ
カゾルを、温度30〜200℃にて熟成する工程
を含むことを特徴とするシリカゾルの製造方法、
(5) 前記工程[1]における水分の3官能シラン化合物に対するモル比は8以上で
あり、前記工程[3]における水分のテトラエトキシシランに対するモル比が4以上
であることを特徴とする(4)に記載のシリカゾルの製造方法、
(6) 前記工程[3]において、テトラエトキシシランとともに水分と加水分解用触媒
の混合物を連続的にまたは断続的に添加することを特徴とする(4)又は(5)に記
載のシリカゲルの製造方法、および、
(7) 前記(1)〜(3)の何れかに記載のシリカゾルと、研磨促進剤、界面活性剤、複素環化合物、pH調整剤およびpH緩衝剤からなる群より選ばれる1種以上とを含むことを特徴とする研磨用組成物である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る表面に疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルは、その構造に起因して、研磨材として高研磨レートを示すことが可能なものであり、特にナトリウム含有量が低水準にあるため、電子用途または半導体用途の研磨材として好適なものである。また、本発明に係るシリカゾルは、その分散質である球状シリカ微粒子の有する特異な構造から、通常の球状シリカ微粒子とは異なる充填性、吸油性、電気特性、光学特性あるいは物理特性を示すことが期待される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係るシリカゾルの分散質である球状シリカ微粒子は、以下に示す、表面粗度、真球度または粒子径の変動係数等で特定される。この球状シリカ微粒子については、表面に多数の疣状突起を有したシリカ微粒子であって、特に4官能性シランの加水分解縮合により合成されたものであり、[SiO4/2]単位を主成分とする緻密な構造を有すること
を特徴とするものである。また、このシリカ微粒子は、原料の純度に起因して、ナトリウムまたは炭素などの不純物の含有量が低水準にあることを特徴としている。これらの特徴は、前記のシリコンウェーハの研磨を始めとする研磨用途において、優れた効果を示すものである。
【0015】
本発明に係るシリカゾルについては、特にその分散質である球状シリカ微粒子の性状および組成に特徴を有するものである。以下に、本発明に係るシリカゾルについて述べる。1.シリカゾル
[表面粗度]
本発明に係るシリカゾルの分散質である球状シリカ微粒子は、その表面に複数の疣状突起を有し、凹凸に富むものである。この様な複数の疣状突起を有する表面については表面粗度によりその範囲が規定される。本発明において表面粗度は、BET法により測定された比表面積(単位質量当りの表面積)の値を(SA1)とし、画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算された比表面積の値を(SA2)としたとき、表面粗度=(SA1)/(SA2)として定義される。
【0016】
画像解析法により測定された平均粒子径(D2)から換算された比表面積(SA2)については、透過型電子顕微鏡により、試料シリカゾルを倍率25万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、その最大径(DL)を測定し、その平均値を平均粒子径(D2)とした。また、平均粒子径(D2)の値を次の式(2)に代入して、比表面積(SA2)を求めた。
【0017】
D2=6000/(ρ×SA2) ・・・ (1)
ここで、D2は前記平均粒子径[nm]、ρは試料の密度[g/cm3]であり、ここ
ではシリカの密度2.2を使用した。 この比表面積(SA2)の値は、平均粒子径D2を有する球状で表面が平滑なシリカ微粒子の比表面積に対応するものと言える。
【0018】
他方、BET法は、粒子への気体(通常は窒素ガス)の吸着量から、比表面積を算定する方法であり、実際の表面状態に対応した表面積を反映したものと言える。
ここで比表面積は単位質量当りの表面積を示すから、表面粗度(SA1)/(SA2)の値については、球状粒子の場合、粒子表面に多くの疣状突起を有する程、(SA1)/(SA2)の値は大きくなる。また、粒子表面の疣状突起が少なく、平滑であるほど、(SA1)/(SA2)の値は小さくなり、その値は1に近づく傾向にある。
【0019】
本発明において、前記シリカ微粒子の表面粗度は1.9〜5.0の範囲が好適である。表面粗度が1.9未満の場合、突起の割合が少ないかあるいは、疣状突起自体がシリカ微粒子の粒子径に比べて小さ過ぎ、球状シリカ微粒子に近くなる。表面粗度の値が5.0を超える場合は、合成が容易ではない。表面粗度のより好適な範囲としては、2.0〜4.0の範囲が推奨される。また、更に好適には、2.1〜3.7の範囲が推奨される。
【0020】
[真球度]
前記球状シリカ微粒子は、球状であることが必要であり、棒状、勾玉状、細長い形状、数珠状、卵状など、いわゆる異形粒子が含まれない。本発明において、球状とは、真球度が0.70〜1.00の範囲にある場合を言う。ここで真球度とは、透過型電子顕微鏡に
より写真撮影して得られる写真投影図における任意の50個の粒子について、
それぞれ最大径(DL)を測定し、該最大径上で、該最大径を2等分する点(中心点)を求め、該中心点を通過し、該最大径に直交する径の長さ(DS)を測定し、(DL)/(DS)の値を求め、50個の粒子について平均値をとり、これを真球度とした。
【0021】
真球度が0.7未満の場合は、シリカ微粒子が球状とはいえず、前記の異形粒子に該当する場合が生じる。真球度の範囲については、より好適には0.80〜1.00の範囲が推奨される。また、更に好適には0.90〜1.00の範囲が推奨される。
【0022】
[平均粒子径]
前記球状シリカ微粒子の画像解析法により測定される平均粒子径(D2)については、10〜200nmの範囲が好適である。10nm未満の場合は、必要な表面粗度をもった球状シリカ微粒子を調製することが容易ではない。平均粒子径(D2)が200nm超える場合は、原料の核微粒子の大きさにもよるが、一般に突起が平坦化する傾向が著しくなるため良好な性状の球状シリカ微粒子を得ることが容易ではない。平均粒子径の範囲については、より好適には、20〜150nmの範囲が推奨される。また、より好適には25〜50nmの範囲が推奨される。
【0023】
なお、前記球状シリカ微粒子の比表面積については、格別に限定されるものではないが、通常は10〜1000m2/gの範囲が推奨される。また、好適には100〜600m2/gの範囲が推奨される。
【0024】
[Na含有割合]
前記球状シリカ微粒子については、ナトリウム(Na)についてもその含有割合が低い水準にあることが望ましい。球状シリカ微粒子中のNa含有割合は球状シリカ微粒子中にNaとして100質量ppm以下、好ましくは50質量ppm以下、特に好ましくは20質量ppm以下であることが望ましい。Na含有割合が100質量ppmを越えると、シリカ粒子を用いて研磨した基板にNaが残存し、このNaが半導体基板に形成された回路の絶縁不良を起こしたり回路が短絡したりすることがあり、絶縁用に設けた膜(絶縁膜)の誘電率が低下し金属配線にインピーダンスが増大し、応答速度の遅れ、消費電力の増大等が起きることがある。また、Naイオンが移動(拡散)し、使用条件や使用が長期にわたった場合に前記不具合を生じることがある。
【0025】
[粒子径の変動係数(CV値)]
本発明に係るシリカゾルの分散質である球状シリカ微粒子の表面状態については、前記表面粗度で定められるものであるが、望ましくは、粒子径の変動係数(CV値)が3.0〜30%の範囲にあるものが推奨される。
【0026】
ここで、粒子径の変動係数(CV値)とは、粒子半径の不均一性の度合を意味する。具体的には、電子顕微鏡による写真投影図における球状シリカ微粒子の最長径を2等分する位置を該球状シリカ微粒子の中心とし、該中心から最長径の一方の端を角度0度とし、そこから10度づつ0度から180度までの半径を測定し、それらの値から半径の平均値および標準偏差を算定する。更に該標準偏差を該平均値で除すことにより、粒子径の変動係数(相対標準偏差)を求める。本出願においては、任意の50個の粒子について、それぞれ粒子径の変動係数を求め、それらの平均値を粒子径の変動係数(CV値)とした。粒子径の変動係数(CV値)については、好適には3.0〜20%の範囲が好ましい。粒子径の変動係数が3.0%未満の場合は、表面の起伏が少ない球状粒子に近くなる。粒子径の変動係数が20%を超える場合については、表面が極めて起伏に富む状態になるが、本発明に係る製造方法によって調製することは容易ではない。また、その様なシリカ微粒子は、その組成によっては、疣状突起部分の強度が低くなる場合があり、研磨材用途に適さな
い場合が生じかねない。粒子径の変動係数(CV値)については、好ましくは3.3〜23%の範囲が推奨される。また、更に好ましくは、5.0〜12%の範囲が推奨される。
【0027】
なお、本発明に係るシリカゾルの分散質である球状シリカ微粒子は、多孔質微粒子を含むものではない。
[溶媒]
前記球状シリカ微粒子が分散する分散媒としての溶媒については、水、有機溶媒、またはこれらの混合溶媒のいずれであっても使用することができる。具体的には以下の例を挙げることができる。純水、超純水、イオン交換水などの水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノールなどのアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどのエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネートなどのエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、iso−オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類などを例示することができる。また、これらの分散媒は、1種単独で使用してもよく2種以上を併用しても構わない。
2.シリカゾルの製造方法
本発明に係るシリカゾルの製造方法は、最初にアルコキシシランを原料に調製されたシリカ微粒子(以下母体シリカ微粒子という。)を母体とし、その表面を完全に被覆しない範囲で、3官能性シラン化合物と加水分解反応を行う。ここで3官能シラン化合物は、反応性の極めて低い有機基1個とアルコキシ基などの加水分解基3個を有するものである。このため3官能シラン化合物が、シリカ微粒子表面のシラノール基と加水分解反応することにより結合する結果、該シリカ微粒子表面には、部分的にアルキルシリル基などのオルガノシリル基が存在することになる。(以下、シリカ微粒子表面を3官能シラン化合物と反応させることを「有機化処理」と呼ぶ場合がある。)
次に表面が部分的に有機化されたシリカ微粒子表面に残存するシラノール基とテトラエトキシシランとの加水分解反応を進めることにより、部分的に有機化処理されたシリカ微粒子(以下「有機化処理シリカ微粒子」ということがある。)表面を部分的にビルトアップさせ、それにより表面に複数の疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルを調製することができる。
【0028】
本発明に係る製造方法について、各工程に分けて、以下に説明する。
[第1工程および第2工程]
本発明製造方法における第1工程は、画像解析法により測定される平均粒子径が5〜195nmの範囲にある母体シリカ微粒子の分散液を温度30〜100℃に保持し、水分と加水分解用触媒の存在下、3官能シラン化合物を母体シリカ微粒子の表面積1m2当り、
5.6×10-7〜9.4×10-6 モルの範囲で連続的にまたは断続的に添加することにより、加水分解反応を進行させて、有機化処理シリカ微粒子水系分散液を調製するものであり、それに続いて行う第2工程は、前記有機化処理シリカ微粒子分散液を、温度30〜200℃にて熟成するものである。
シリカ微粒子分散液
本発明に係るシリカゾルは、ナトリウム含有割合が100ppmのいわゆる高純度のシ
リカゾルである。このため原料として本発明に係る製造方法にて、使用する母体シリカ微粒子分散液についても、ナトリウム含有割合の低い、いわゆる高純度シリカゾルが適用される。この様な高純度シリカゾルとしては、特開2003−213249号で開示されるようなアルコキシシランを原料として調製されるシリカ微粒子が好ましい。具体的には、下記一般式[1]で表されるアルコキシシランの1種または2種以上を加水分解した後、必要に応じて150℃以下の温度で水熱処理して得られる。Xn Si(OR)4-n ・・・[1]式中、Xは水素原子、フッ素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはビニル基を示し、Rは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基またはビニル基を示し、n は0〜3の整数である。一般式[1] で表されるアルコキシシランとしては
、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラオクチルシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリイソプロポキシシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジメトキシシラン、ジエトキシシラン、ジフルオロジメトキシシラン、ジフルオロジエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシランなどが挙げられる。これらのアルコキシシラン化合物のうち、好適には4官能性シラン化合物が推奨される。具体的には、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどが挙げられる。実用上は、テトラエトキシシランの使用が推奨される。
【0029】
前記母体シリカ微粒子分散液の分散質である母体シリカ微粒子については、画像解析法により測定される平均粒子径が5〜195nmの範囲にあるシリカ微粒子が好適に使用される。平均粒子径が5nm未満の場合、本発明の製造方法を適用しても、所定の性状のシリカゾルを得ることが容易ではない。また、平均粒子径が195nmを超える場合については、表面積が少なく、3官能シラン化合物の反応量が少ないために充分な凹凸を形成出来ないため好ましくない。前記母体シリカ微粒子については、概ね球状のシリカ微粒子を使用することが好ましい。
【0030】
前記母体シリカ微粒子分散液の固形分濃度としては1〜20質量%の範囲が推奨される。1質量%未満の場合、3官能シラン化合物のシリカ微粒子表面との反応が進行し難いため、望ましくない。また、20質量%を超える場合は、シリカ微粒子が凝集し易くなるため実用上、問題となる。
【0031】
前記母体シリカ微粒子分散液の分散媒については、1)水または2)水と水溶性溶媒との混合溶媒が好適に使用される。本発明に係る製造方法においては、第1工程および第3工程において、加水分解反応を進めるため、予め水分を含む溶媒を使うことが好ましい。3官能シラン化合物
本発明における3官能性シラン化合物とは、1個の有機基と3個の加水分解性基を有するシラン化合物を意味する。本発明に係る製造方法においては、シリカ微粒子の表面のシラノール基と加水分解して、後の第3の工程で添加されるテトラエトキシシランと反応しないSi―R(Rは有機基)部分を設けることを目的として添加される。前記3官能性シラン化合物の有機基としては、炭素原子数1〜6のアルキル基などが好適に使用される。また、加水分解性基としては、炭素原子数1〜6のアルコキシ基などが好適に使用される。通常は、3官能シラン化合物として、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシランなどが使用される。このうち加水分解が早く、母体シリカ粒子との反応を制御しやすいという理由で、メチルトリ
メトキシシランの使用が特に推奨される。
【0032】
前記母体シリカ微粒子に対する3官能シラン化合物の使用量については、シリカ微粒子
の表面積1m2当り、5.6×10-7〜9.4×10-6モルの範囲が推奨される。3官能
シラン化合物が5.6×10-7モル/m2未満の場合は、所定の表面粗度または粒子径変
動係数(CV値)が形成される程度まで、アルキル化処理が進行しない場合があり、好ましくない。9.4×10-6 モルを超える場合は、シリカ微粒子表面に、後の第3の工程で添加されるテトラエトキシシランと反応するシラノール基が残存しないかあるいは、極端に少なくなる場合が含まれるため好ましくない。母体シリカ微粒子の表面積(1m2
当りの3官能シラン化合物のモル比については、好適には2.0×10-7〜5.0×10-6の範囲が推奨される。
【0033】
本発明製造方法においては、3官能性シラン化合物については、通常は有機溶媒で希釈して使用することが好ましい。この様な有機溶媒としては、水溶性の有機溶媒が好適に使用される。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブタノールなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
加水分解用触媒
本発明に係る製造方法で使用される加水分解用触媒としては、アンモニア、アミン、アルカリ金属水素化物、第4級アンモニウム化合物、アミン系カップリング剤など、塩基性を示す化合物が用いられる。なお、触媒としてアルカリ金属水素化物を用いることもできるが、前記アルコキシシランのアルコキシ基の加水分解を促進し、このため得られる粒子中に残存アルコキシ基(炭素)が減少しより硬いものとなるため、研磨速度は高いもののスクラッチが発生する場合がある。さらにナトリウム水素化物を使用した場合は、Naの含有量が高くなる問題がある。
【0034】
加水分解用触媒の使用量については、所望の加水分解速度が得られる限り限定されるものではないが、通常は、3官能性シラン化合物1モル当り、0.005〜1モルの範囲で添加されることが好ましい。 更に好ましくは0.01〜0.8モルの範囲となるように添加されていることが推奨される。なお、加水分解用触媒は、通常は水および/または水溶性有機溶媒で希釈して、使用することが好ましい。なお、この水溶性有機触媒に含まれる水分についても、加水分解に寄与するものであるので、当然に加水分解に使用される水分量に算入されるものである。
【0035】
通常は、加水分解用触媒溶液における加水分解用触媒濃度については、0.1〜30質量%の範囲が好ましい。
また、加水分解用触媒の使用量については、前記の通り必ずしも限定されるものではないが、通常は、加水分解用触媒を添加した後のpHが3〜12の範囲であることが好ましい。この範囲である場合、核粒子との反応性の点で好ましい。pHが12を超える場合は溶解性が高くなり、核粒子との反応性が低下する。また、pHが3未満の場合は、粒子の安定性が低下し、ゲル化する傾向が強まるので好ましくない。
加水分解反応
第1工程においては、画像解析法により測定される平均粒子径が5〜195nmの範囲にある母体シリカ微粒子の分散液を温度30〜200℃に保持し、水分と加水分解用触媒の存在下、3官能シラン化合物を該母体シリカ微粒子の表面積1m2当り、5.6×10-7〜9.4×10-6 モルの範囲で連続的にまたは断続的に添加する。ここで保持温度が
30℃未満の場合は、3官能シラン化合物とシリカ微粒子表面のシラノール基との加水分解が充分に進行しない場合があるため好ましくない。 温度200℃を超える場合は、溶解性が高くなり、核粒子との反応性が低下するため好ましくない。シリカ微粒子分散液の保持温度範囲としては、さらに好適には60〜150℃の範囲が推奨される。
【0036】
3官能シラン化合物の加水分解性基と母体シリカ微粒子表面のシラノール基との加水分解のためには、水分が3官能シラン化合物に対して、モル比で8以上存在することが必要となる。8未満の場合は、3官能シラン化合物の官能基の全てが加水分解しない場合がある。この場合、シリカ微粒子表面のシラノール基が、反応せずに残存することがあり、本発明に係るシリカゾルの生成に悪影響を与える場合があり、好ましくない。なお、水の使用量の上限については格別制限されるものではない。加水分解反応に使用される水分については、原料となるシリカ微粒子分散液の分散媒が水系である場合は、その水分量が前記条件を満たす範囲である限り、格別に水分を添加する必要はなく、シリカ微粒子分散液中の水分で充足される。また、加水分解用触媒が水溶液で使用される場合は、その水溶液に含まれる水分も加水分解反応に適用されるものと考えて構わない。
【0037】
3官能シラン化合物の添加にかける時間については、通常は0.1〜2時間の範囲で行なわれるが、上限については必ずしもこの範囲に限られるものではない。
熟成
前記加水分解反応を経て有機化処理された有機化処理シリカ微粒子分散液を、温度30〜200℃にて、30分〜5時間かけて熟成する。このような熟成処理を行うことによりゾル状のシリカ微粒子が均一化するため好ましい。例えば、未反応の3官能性シラン化合物が残存していた場合、熟成することにより、反応を促進し、完結させることができる。なお、未反応の3官能性シラン化合物の残存量によっては、経時でシリカの凝集や沈殿が生じる場合がある。熟成時の前記温度範囲については好適には40〜200℃の範囲が推奨される。また、更に好適には、60〜150℃の範囲が推奨される。前記熟成時間範囲については、好適には1〜9時間が推奨される。また、更に好適には、2〜8時間が推奨される。
【0038】
第1工程および第2工程を経て得られた有機化処理シリカ微粒子は、その表面において
、有機化された部分とシラノール基が残存している部分が混在してなるものであり、第3工程において、粒子表面に部分的なビルトアップを行うために適したものと言える。
[第3工程および第4工程]
本発明製造方法における第3工程は、前記熟成された有機化処理シリカ微粒子分散液を、温度30〜200℃に保持し、水分と加水分解用触媒の存在下、テトラエトキシシランを該シリカ微粒子の表面積1m2当り、0.2×10-4〜15×10-4モルの範囲で連続
的にまたは断続的に添加することにより、加水分解反応を進行させて、表面に複数の疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルを調製するものである。また、それに続いて行う第4工程は、表面に複数の疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルを温度30〜200℃にて熟成するものである。
シリカ微粒子分散液
第3工程で使用される有機化処理シリカ微粒子分散液は、前記の通り、粒子表面が部分
的に有機化されており、ほかにシラノール基が残存してなるものである。この様なシリカ微粒子分散液については、第1工程と同様な理由で、固形分濃度が5〜40質量%のものが好適に使用される。また、その分散媒についても、第1工程と同様に1)水または2)水と水溶性有機溶媒の混合物が好適に使用される。
テトラエトキシシラン
本発明においてテトラエトキシシランは、前記残存シラノール基と反応して、シリカ微粒子表面にて、局所的にビルトアップを進行させ、疣状突起を形成させるために使用される。
【0039】
前記シリカ微粒子に対するテトラエトキシシランの使用量については、有機化処理シリ
カ微粒子の表面積1m2当り、0.2×10-4〜15×10-4モルの範囲で使用される。
テトラエトキシシランが0.2×10-4モル/m2未満の場合は、所定の表面粗度また
は粒子径変動係数(CV値)が形成される程度まで、ビルトアップできない場合があり、
好ましくない。15×10-4モル/m2を超える場合は、表面粗度の小さい球状粒子とな
る傾向が強まり好ましくない。有機化処理シリカ微粒子の表面積(1m2)当りのテトラ
エトキシシランのモル比については、好適には0.7×10-4〜10×10-4の範囲が推奨される。
【0040】
本発明製造方法においては、テトラエトキシシランについては、通常は有機溶媒で希釈して使用することが好ましい。この様な有機溶媒としては、水溶性の有機溶媒が好適に使用される。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブタノールなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。このうち、特にエタノールまたはメタノールが好ましい。
加水分解用触媒
第3工程で使用される加水分解用触媒については、第1工程で使用される加水分解用触媒と同様なものを使用することができる。
【0041】
加水分解用触媒の使用量については、所望の加水分解速度が得られる限り限定されるものではないが、通常は、テトラエトキシシラン1モル当り、0.005〜1モルの範囲で添加されることが好ましい。 更に好ましくは0.01〜0.8モルの範囲となるように添加されていることが推奨される。なお、加水分解用触媒は、通常は水および/または水溶性有機溶媒で希釈して使用することが好ましい。なお、この水溶性有機触媒に含まれる水分についても、加水分解に寄与するものであるので、当然に加水分解に使用される水分量に算入されるものである。
【0042】
通常は、加水分解用触媒溶液における加水分解用触媒濃度については、0.1〜30質量%の範囲が好ましい。
また、加水分解用触媒の使用量については、前記の通り必ずしも限定されるものではないが、通常は、加水分解用触媒を添加した後のpHが9〜12の範囲であることが好ましい。この範囲である場合、核粒子との反応性の点で好ましい。pHが12を超える場合は溶解性が高くなり、核粒子との反応性が低下する。また、pHが9未満の場合は、シリカ粒子の凝集が強まるので好ましくない。

加水分解反応
第3工程においては、第2工程を終了した有機化処理シリカ微粒子分散液を温度30〜200℃に保持し、水分と加水分解用触媒の存在下、3官能シラン化合物を該有機化処理シリカ微粒子の表面積1m2当り、1.0×10-5〜6.0×10-4モルの範囲で連続的にまたは断続的に添加する。ここで保持温度が30℃未満の場合は、テトラエトキシシランとシリカ微粒子表面のシラノール基との加水分解が充分に進行しない場合があるため好ましくない。温度200℃を超える場合は、粒子の溶解が生じるなどの問題があり好ましくない。シリカ微粒子分散液の保持温度範囲としては、さらに好適には60〜150℃の範囲が推奨される。
【0043】
テトラエトキシシランの加水分解性基と有機化処理シリカ微粒子表面のシラノール基との加水分解のためには、水分がテトラエトキシシランに対して、モル比で4以上存在することが必要となる。4未満の場合は、未反応のエトキシ基が残存し、本発明に係るシリカゾルの生成に悪影響を与える場合があり、好ましくない。なお、水の使用量の上限については、通常は水分のテトラエトキシシランに対するモル比が10以内で使用される。該モル比が10を超える溶媒が少ない場合には、水とテトラエトキシシランが分離する傾向がある。
【0044】
加水分解反応に使用される水分については、原料となる母体シリカ微粒子分散液の分散媒が水系である場合は、その水分量が前記条件を満たす範囲である限り、格別に水分を添
加する必要はなく、シリカ微粒子分散液中の水分で充足される。また、加水分解用触媒が水溶液で使用される場合は、その水溶液に含まれる水分も加水分解反応に適用されるものと考えて構わない。
【0045】
なお、新しい核の生成を防止するために、テトラエトキシシランを連続的にまたは断続的に添加する際に、新たに水または水と加水分解用触媒の混合物を連続的にまたは断続的に添加しても構わない。
【0046】
テトラエトキシシランの添加にかける時間については、通常は1〜30時間の範囲で行なわれるが、上限については必ずしもこの範囲に限られるものではない。
熟成
第3工程を終了したシリカ微粒子分散液を、温度30〜200℃にて、30分〜5時間かけて熟成する。例えば、未反応のテトラエトキシシランが残存していた場合、熟成することにより、未反応のテトラエトキシシランの反応を促進し、完結させることができる。なお、未反応のテトラエトキシシランの残存量によっては、経時でシリカの凝集や沈殿が生じる場合がある。熟成時の前記温度範囲については好適には40〜180℃の範囲が推奨される。また、更に好適には、60〜150℃の範囲が推奨される。前記熟成時間範囲については、好適には1〜9時間が推奨される。また、更に好適には、2〜8時間が推奨される。
3.研磨剤組成物
本発明に係る研磨用粒子分散液は、それ自体で研摩剤として使用可能なものであるが、所望により、添加剤として、研磨促進剤、界面活性剤、複素環化合物、pH調整剤およびpH緩衝剤からなる群より選ばれる1種以上を添加して使用しても構わない。本発明においては、前記研磨用粒子分散液にこれらの成分を添加して得られる混合物を「研磨用組成物」と呼称する。
研磨促進剤
本発明に係る研磨用組成物には、被研磨材の種類によっても異なるが、必要に応じて従来公知の研磨促進剤を使用することができる。この様な例としては、過酸化水素、過酢酸、過酸化尿素などおよびこれらの混合物を挙げることができる。このような過酸化水素等の研磨促進剤を含む研磨剤組成物を用いると、被研磨材が金属の場合には効果的に研磨速度を向上させることができる。
【0047】
研磨促進剤の別の例としては、硫酸、硝酸、リン酸、シュウ酸、フッ酸等の酸、あるいはこれら酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩およびこれらの混合物などを挙げることができる。これらの研磨促進剤を含む研磨用組成物の場合、複合成分からなる被研磨材を研磨する際に、被研磨材の特定の成分についての研磨速度を促進することにより、最終的に平坦な研磨面を得ることができる。
【0048】
本発明に係る研磨用組成物が研磨促進剤を含有する場合、その含有量としては、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
界面活性剤及び/又は親水性化合物
研磨用組成物の分散性や安定性を向上させるためにカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系の界面活性剤または親水性化合物を添加することができる。
【0049】
界面活性剤と親水性化合物は、いずれも被研磨面への接触角を低下させる作用を有し、均一な研磨を促す作用を有する。界面活性剤及び/又は親水性化合物としては、例えば、以下の群から選ばれるものを使用することができる。
【0050】
陰イオン界面活性剤として、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩が挙げられ、カルボン酸塩として、石鹸、N−アシルアミノ酸塩、ポリオキシエ
チレンまたはポリオキシプロピレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド;スルホン酸塩として、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩;硫酸エステル塩として、硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩;リン酸エステル塩として、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンアルキルアリルエーテルリン酸塩を挙げることができる。
【0051】
陽イオン界面活性剤として、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩;両性界面活性剤として、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、アルキルアミンオキサイドを挙げることができる。
【0052】
非イオン界面活性剤として、エーテル型、エーテルエステル型、エステル型、含窒素型が挙げられる。エーテル型としては、ポリオキシエチレンアルキルおよびアルキルフェニルエーテル、アルキルアリルホルムアルデヒド縮合ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルが挙げられる。エーテルエステル型としては、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビトールエステルのポリオキシエチレンエーテルが挙げられる。また、エステル型として、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、グリセリンエステル、ポリグリセリンエステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、ショ糖エステル、含窒素型としては、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミド等が例示される。その他に、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
【0053】
界面活性剤としては陰イオン界面活性剤もしくはノ非イオン系界面活性剤が好ましく、また、塩としては、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等が挙げられ、特にアンモニウム塩およびカリウム塩が好ましい。
【0054】
さらに、その他の界面活性剤、親水性化合物等としては、グリセリンエステル、ソルビタンエステルおよびアラニンエチルエステル等のエステル;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリエチレングリコール、アルキルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリエチレングリコール、アルケニルポリエチレングリコールアルキルエーテル、アルケニルポリエチレングリコールアルケニルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルキルポリプロピレングリコール、アルキルポリプロピレングリコールアルキルエーテル、アルキルポリプロピレングリコールアルケニルエーテル、アルケニルポリプロピレングリコール等のエーテル;アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、カードラン及びプルラン等の多糖類;グリシンアンモニウム塩及びグリシンナトリウム塩等のアミノ酸塩;ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリリシン、ポリリンゴ酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸アンモニウム塩、ポリメタクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリマレイン酸、ポリイタコン酸、ポリフマル酸、ポリ(p−スチレンカルボン酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、アミノポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アンモニウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム塩、ポリアミド酸、ポリアミド酸アンモニウム塩、ポリアミド酸ナトリウム塩及びポリグリオキシル酸等のポリカルボン酸及びその塩;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びポリアクロレイン等の
ビニル系ポリマ;メチルタウリン酸アンモニウム塩、メチルタウリン酸ナトリウム塩、硫酸メチルナトリウム塩、硫酸エチルアンモニウム塩、硫酸ブチルアンモニウム塩、ビニルスルホン酸ナトリウム塩、1−アリルスルホン酸ナトリウム塩、2−アリルスルホン酸ナトリウム塩、メトキシメチルスルホン酸ナトリウム塩、エトキシメチルスルホン酸アンモニウム塩、3−エトキシプロピルスルホン酸ナトリウム塩等のスルホン酸及びその塩;プロピオンアミド、アクリルアミド、メチル尿素、ニコチンアミド、コハク酸アミド及びスルファニルアミド等のアミド等を挙げることができる。
【0055】
なお、適用する被研磨基材がガラス基板等である場合は、何れの界面活性剤であっても好適に使用できるが、半導体集積回路用シリコン基板などの場合であって、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはハロゲン化物等による汚染の影響を嫌う場合にあっては、酸もしくはそのアンモニウム塩系の界面活性剤を使用することが望ましい。
【0056】
本発明に係る研磨用組成物が界面活性剤及び/又は親水性化合物を含有する場合、その含有量は、総量として、研磨用組成物の1L中、0.001〜10gとすることが好ましく、0.01〜5gとすることがより好ましく0.1〜3gとすることが特に好ましい。
【0057】
界面活性剤及び/又は親水性化合物の含有量は、充分な効果を得る上で、研磨用組成物の1L中、0.001g以上が好ましく、研磨速度低下防止の点から10g以下が好ましい。
【0058】
界面活性剤または親水性化合物は1種のみでもよいし、2種以上を使用してもよく、異なる種類のものを併用することもできる。
複素環化合物
本発明の研磨用組成物については、被研磨基材に金属が含まれる場合に、金属に不動態層または溶解抑制層を形成させて、被研磨基材の侵食を抑制する目的で、複素環化合物を含有させても構わない。ここで、「複素環化合物」とはヘテロ原子を1個以上含んだ複素環を有する化合物である。ヘテロ原子とは、炭素原子、又は水素原子以外の原子を意味する。複素環とはヘテロ原子を少なくとも一つ持つ環状化合物を意味する。ヘテロ原子は複素環の環系の構成部分を形成する原子のみを意味し、環系に対して外部に位置していたり、少なくとも一つの非共役単結合により環系から分離していたり、環系のさらなる置換基の一部分であるような原子は意味しない。ヘテロ原子として好ましくは、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、リン原子、ケイ素原子、及びホウ素原子などを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。複素環化合物の例として、イミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、テトラゾールなどを用いることができる。より具体的には、1,2,3,4−テトラゾール、5−アミノ−1,2,3,4−テトラゾール、5−メチル−1,2,3,4−テトラゾール、1,2,3−トリアゾール、4−アミノ−1,2,3−トリアゾール、4,5−ジアミノ−1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−アミノ1,2,4−トリアゾール、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾールなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
本発明に係る研磨用組成物に複素環化合物を配合する場合の含有量については、0.001〜1.0質量%であることが好ましく、0.001〜0.7質量%であることがより好ましく、0.002〜0.4質量%であることがさらに好ましい。
pH調整剤
上記各添加剤の効果を高めるためなどに必要に応じて酸または塩基を添加して研磨用組成物のpHを調節することができる。
【0060】
研磨用組成物をpH7以上に調整するときは、pH調整剤として、アルカリ性のものを
使用する。望ましくは、水酸化ナトリウム、アンモニア水、炭酸アンモニウム、エチルアミン、メチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルアミンなどのアミンが使用される。
【0061】
研磨用組成物をpH7未満に調整するときは、pH調整剤として、酸性のものが使用される。例えば、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グリセリン酸などのヒドロキシ酸類が使用される。
pH緩衝剤
研磨用組成物のpH値を一定に保持するために、pH緩衝剤を使用しても構わない。pH緩衝剤としては、例えば、リン酸2水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム、4ホウ酸アンモ四水和水まどのリン酸塩及びホウ酸塩または有機酸などを使用することができる。
溶媒
本発明に係る研磨用組成物については、必要に応じて溶媒を用いることができる。溶媒としては通常、水を用いるが、必要に応じてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類を用いることができ、他にエーテル類、エステル類、ケトン類など水溶性の有機溶媒を用いることができる。また、水と有機溶媒からなる混合溶媒であっても構わない。
研磨用粒子の濃度
研磨用組成物中の(C)研磨用粒子の濃度は2〜50重量%、さらには5〜30重量%の範囲にあることが好ましい。濃度が2重量%未満の場合は、基材や絶縁膜の種類によっては濃度が低すぎて研磨速度が遅く生産性が問題となることがある。シリカ粒子の濃度が50重量%を越えると研磨材の安定性が不充分となり、研磨速度や研磨効率がさらに向上することもなく、また研磨処理のために分散液を供給する工程で乾燥物が生成して付着することがあり傷(スクラッチ)発生の原因となることがある。
【実施例】
【0062】
[実施例および比較例で用いた測定方法等]
[1]動的光散乱法による平均粒子径の測定方法
試料シリカゾルを0.58%アンモニア水にて希釈して、シリカ濃度1質量調整し、下記粒径測定装置を用いて平均粒子径を測定した。
〔粒径測定装置〕
レーザーパーティクルアナライザー(製造元:大塚電子社、型番「レーザー粒径解析システム、LP−510モデルPAR−III」、測定原理 動的光散乱法 測定角度90°、受光素子 光電子倍増管2インチ、測定範囲3nm〜3μm、光源 He-Neレー
ザー 5mW 632.8nm、温度調整範囲5〜90℃、温度調整方式ペルチェ素子(
冷却)、セラミックヒーター(加熱)、セル 10mm角 プラスチックセル、測定対象:
コロイド粒子
[2]BET法(窒素吸着法)による比表面積測定方法
シリカゾル50mlをHNO3でpH3.5に調整し、1−プロパノール40mlを加
え、110℃で16時間乾燥した試料について、乳鉢で粉砕後、マッフル炉にて500℃、1時間焼成し、測定用試料とした。そして、比表面積測定装置(ユアサアイオニクス製、型番マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)を用いて、窒素の吸着量から、BET1点法により比表面積を算出した。
【0063】
具体的には、試料0.5gを測定セルに取り、窒素30v%/ヘリウム70v%混合ガス気流中、300℃で20分間脱ガス処理を行い、その上で試料を上記混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料温度を徐々に室温まで上昇させる。その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、シリカゾルの比表面積を算出した。
【0064】
[3]画像解析による平均粒子径(D2)の測定方法および比表面積(SA2)の算定方法
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、試料シリカゾルを倍率25万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、その最大径(DL)を測定し、その平均値を平均粒子径(D2)とした。また、平均粒子径(D2)の値を次の式(2)に代入して、比表面積(SA2)を求めた。
【0065】
D2=6000/(ρ×SA2) ・・・ (1)
ここで、D2は平均粒子径[nm]、ρは試料の密度[g/cm3]であり、ここでは
シリカの密度2.2を使用した。
【0066】
[4]真球度の測定方法
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、試料シリカゾルを倍率25万倍で写真撮影して得られる写真投影図における、任意の50個の粒子について、それぞれ最大径(DL)を測定し、該最大径上で、該最大径を2等分する点(中心点)を求め、該中心点を通過し、該最大径に直交する径の長さ(DS)を測定し、(DL)/(DS)の値を求め、50個の粒子について平均値をとり、これを真球度とした。
【0067】
[5]粒子径の変動係数の算定
透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、試料シリカゾルを倍率25万倍ないし50万倍で写真撮影して得られる写真投影図における球状シリカ微粒子の最長径を2等分する位置を該球状シリカ微粒子の中心とし、該中心から最長径の一方の端を角度0度とし、そこから10度づつ0度から180度までの半径を測定する。そして、その値から半径の平均値および標準偏差を算定する。更に該標準偏差を該平均値で除すことにより粒子径の変動係数(相対標準偏差)を求めた。この測定および算定を任意の50個の粒子について行い、粒子径の変動係数の平均値をとり、その値を粒子径の変動係数(CV値)とした。なお、粒子径の変動係数(CV値)については、粒子径の変動係数(CV値)[%]=(粒子径の標準偏差/粒子径の平均値)×100として表示した。
【0068】
[6]Naの定量方法
次の手順によりナトリウムの含有量を測定した。
1)試料シリカゾル約10gを白金皿に採取し、0.1mgまで秤量する。
2)硝酸5mlと弗化水素酸20mlを加えて、サンドバス上で加熱し、蒸発乾固する。3)液量が少なくなったら、更に弗化水素酸20mlを加えてサンドバス上で加熱し、蒸発乾固する。
4)室温まで冷却後、硝酸2mlと水を約50ml加えて、サンドバス上で加熱溶解する。5)室温まで冷却後、フラスコ(100ml)に入れ、水で100mlに希釈して試料溶液とする。
6)原子吸光分光光度計(株式会社日立製作所製、Z-5300、測定モード:原子吸光、測定波長:190〜900nm、シリカ試料の場合におけるNaの検出波長は589.0nm)にて、試料溶液中に存在する各金属の含有量を測定した。この原子吸光分光光度計は、フレームにより試料を原子蒸気化し、その原子蒸気層に適当な波長の光を照射し、その際の原子によって吸収された光の強さを測定し、これにより試料中の元素濃度を定量するものである。
7)試料シリカゾル10gに50%硫酸水溶液2mlを加え、白金皿上にて蒸発乾固し、得られた固形物を1000℃にて1時間焼成後、冷却して秤量する。次に、秤量した固形物を微量の50%硫酸水溶液に溶かし、更にフッ化水素酸20mlを加えてから、白金皿上にて蒸発乾固し、1000℃にて15分焼成後、冷却して秤量する。これらの重量差よりシリカ含有量を求めた。
8)上記6)と7)の結果からSiO2分に対するNaの割合を算出した。
【0069】
[7]熱酸化膜に対する研磨特性の評価方法
研磨スラリーの調製 各実施例および各比較例で得たシリカ濃度12.6質量%のシリカゾルに、KOHを添加して、pHを10に調整した。
【0070】
被研磨基板 被研磨基板として、シリコンウェーハを1050℃でウエット熱酸化させた熱酸化膜基板を使用した。
研磨試験 上記被研磨基板を、研磨装置(ナノファクター(株)製:NF330)にセットし、研磨パッド(ロデール社製「IC-1000」)を使用し、基板荷重0.05M
Pa、テーブル回転速度30rpmで研磨用研磨スラリーを20g/分の速度で5分間供給して研磨を行った。研磨前後の膜厚を短波長エリプソメーターで測定し、研磨速度を計算した。
【0071】
なお、実施例1、実施例2、実施例3、比較例1A及び比較例1Cについて、それぞれ原料とした母体シリカ微粒子分散液と、生成したシリカゾルについて研磨試験を実施した。
[実施例1]
[準備工程]母体シリカ微粒子の調製
純水139.1gとメタノール169.9gとを混合した混合溶媒を65℃に保持し、これにテトラエトキシシラン(多摩化学(株)製:エチルシリケート28、SiO2 =28質量%)の水−メタノール溶液(水/メタノール(質量比:2/8)混合溶媒2450gにテトラエトキシシランを532. 5g溶解したもの)2982. 5gおよび濃度0. 25質量%の触媒としてのアンモニア水596. 4g(触媒/アルコキシシランのモル比=0. 034)を同時に20時間かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で
3時間熟成した。
【0072】
その後、限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の母体シリカ微粒子の分散液を得た。得られた分散液中の母体シリカ微粒子の質量は296gであった。母体シリカ粒子の画像解析法により測定された平均粒子径(nm)および窒素吸着法により測定された比表面積(m2/g)はそれぞれ、24.5nmおよ
び198m2/gであった。
[工程1および2]母体シリカ微粒子のMTMSによる有機化処理
得られた母体シリカ微粒子を7.4%に希釈した水溶液4000gに、加水分解触媒として濃度28質量%のアンモニア水を添加してpHを11.2に調整した。この溶液を65℃に昇温してから、3官能シラン化合物であるメチルトリメトキシシラン19.65g(0.14モル)をメタノール100.36gとの混合溶液として60分かけて添加し、温度を65℃に保持してさらに1時間熟成を行い4120gの有機化処理シリカ微粒子の分散液を得た。使用したトリメトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り2.5×10-6であった。
[工程3および4]有機化処理シリカ粒子のテトラエトキシシランによる再度の粒子成長
工程2で得られた熟成された有機化処理シリカ微粒子の分散液1500gを分取したのち温度を65℃として、この分散液にテトラエトキシラン655.8g(3.15モル)とメタノール1245.1gとの混合溶液と、超純水887.1gと28.6%アンモニア水49.1gを混合した溶液を10時間かけて添加して加水分解を行った。添加終了後、温度を65℃に保持してさらに3時間熟成を行った。使用したテトラエトキシシランのモ
ル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り1.47×10-4であった。続いて、限外
濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、ついでロータリーエバポレーターで濃縮し、固形分濃度12
.6質量%のシリカゾルを得た。
[実施例2]
[準備工程]母体シリカ微粒子の調製
純水418gとエタノール619.6gとを混合した混合溶媒を65℃に保持し、これにテトラエトキシシラン(多摩化学(株)製:エチルシリケート28、SiO2 =28質量%)13.8Kgとエタノール26.21Kgの混合液および、濃度28.8質量%のアンモニア水963.7gと超純水13.27Kgとを混合した溶液を、同時に10時間
かけて添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その後、限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、エタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の母体シリカ粒子の分散液を得た。
【0073】
得られた分散液中の母体シリカ微粒子の質量は296gであった。母体シリカ粒子平均粒子径(nm)および比表面積(m2/g)はそれぞれ、48nmおよび91m2/gであった。
[工程1および2]母体シリカ微粒子のMTMSによる有機化処理
メチルトリメトキシシランの質量を9.16gとし、メタノールの質量を111.1gとした以外は実施例1と同じ条件にて、4120gの有機化処理シリカ微粒子の分散液を得た。使用したトリメトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り2.
5×10-6であった。
[工程3および4]有機化処理シリカ粒子のテトラエトキシシランによる再度の粒子成長
工程2で得られた熟成された有機化処理シリカ微粒子の分散液1500gを分取したのち温度を65℃として、この分散液にテトラエトキシラン309g(1.49モル)とメタノール586.7gとの混合溶液と、超純水418.1gと28.6%アンモニア水23.1gを混合した溶液を10時間かけて添加して加水分解を行った。添加終了後、温度を65℃に保持してさらに3時間熟成を行った。使用したテトラエトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り、1.51×10-4であった。続いて、限外濾過
膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、ついでロータリーエバポレーターで濃縮し、固形分濃度12.6質量%のシリカゾルを得た。
[実施例3]
[準備工程]母体シリカ微粒子の調製
純水424.5gとエタノール630.3gとを混合した混合溶媒を65℃に保持し、これにテトラエトキシシラン(多摩化学(株)製:エチルシリケート28、SiO2 =28質量%)28Kgとエタノール53.2Kgの混合液および、濃度28.8質量%のアンモニア水1955gと超純水26.92Kgとを混合した溶液を、同時に10時間かけ
て添加した。添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その後、限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、エタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、ついで限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の母体シリカ粒子の分散液を得た。
【0074】
得られた分散液中の母体シリカ微粒子の質量は296gであった。母体シリカ粒子平均粒子径(nm)および比表面積(m2/g)はそれぞれ、62nmおよび67m2/gであった。
[工程1および2]母体シリカ微粒子のMTMSによる有機化処理
メチルトリメトキシシランの質量を6.74gとし、メタノールの質量を113.26gとした以外は実施例1と同じ条件にて、4120gの有機化処理シリカ微粒子の分散液を得た。使用したトリメトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り2
.5×10-6であった。
[工程3および4]有機化処理シリカ粒子のテトラエトキシシランによる再度の粒子成長
工程2で得られた熟成された有機化処理シリカ微粒子の分散液1500gを分取したのち温度を65℃として、この分散液にテトラエトキシラン221g(1.06モル)とメタノール418.6gとの混合溶液と、超純水298.2gと28.6%アンモニア水16.5gを混合した溶液を10時間かけて添加して加水分解を行った。添加終了後、温度を65℃に保持してさらに3時間熟成を行った。使用したテトラエトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り、1.46×10-4であった。続いて、限外濾過
膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、ついでロータリーエバポレーターで濃縮し、固形分濃度12.6質量%のシリカゾルを得た。
[比較例1A]
[工程1および2]母体シリカ微粒子のMTMSによる有機化処理
実施例1と同様にして得られた母体シリカ微粒子を7.4%に希釈した水溶液4000gに、加水分解触媒として濃度28質量%のアンモニア水を添加してpHを11.2に調整した。この溶液を65℃に昇温してから、3官能シラン化合物であるメチルトリメトキシシラン0.80g(0.01モル)をメタノール100.36gとの混合溶液として60分かけて添加し、温度を65℃に保持してさらに1時間熟成を行い4101gの有機化処理シリカ微粒子の分散液を得た。使用したトリメトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り0.1×10-7であった。
[工程3および4]有機化処理シリカ粒子のテトラエトキシシランによる再度の粒子成長
工程2で得られた熟成された有機化処理シリカ微粒子の分散液1500gを分取したのち温度を65℃として、この分散液にテトラエトキシラン655.8g(3.15モル)とメタノール1245.1gとの混合溶液と、超純水887.1gと28.6%アンモニア水49.1gを混合した溶液を10時間かけて添加して加水分解を行った。添加終了後、温度を65℃に保持してさらに3時間熟成を行った。使用したテトラエトキシシランのモ
ル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り1.47×10-4であった。続いて、限外
濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、ついでロータリーエバポレーターで濃縮し、固形分濃度12.6質量%のシリカゾルを得た。
[比較例1B]
[工程1および2]母体シリカ微粒子のMTMSによる有機化処理
実施例1と同様にして得られた母体シリカ微粒子を7.4%に希釈した水溶液4000gに、加水分解触媒として濃度28質量%のアンモニア水を添加してpHを11.2に調整した。この溶液を65℃に昇温してから、3官能シラン化合物であるメチルトリメトキシシラン79.71g(0.59モル)をメタノール100.36gとの混合溶液として60分かけて添加し、温度を65℃に保持してさらに1時間熟成を行い4180gの有機化処理シリカ微粒子の分散液を得た。使用したトリメトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り0.1×10-5であった。
[工程3および4]有機化処理シリカ粒子のテトラエトキシシランによる再度の粒子成長
工程2で得られた熟成された有機化処理シリカ微粒子の分散液1500gを分取したのち温度を65℃として、この分散液にテトラエトキシラン655.8g(3.15モル)とメタノール1245.1gとの混合溶液と、超純水887.1gと28.6%アンモニア水49.1gを混合した溶液を10時間かけて添加して加水分解を行った。その結果、新たに核粒子が発生し、再度の粒子成長を均一に行うことが出来なかった。なお、使用したテトラエトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り1.49×10-4であった。
[比較例1C]
[工程1および2]母体シリカ微粒子のMTMSによる有機化処理
実施例1と同様にして得られた母体シリカ微粒子を7.4%に希釈した水溶液4000gに、加水分解触媒として濃度28質量%のアンモニア水を添加してpHを11.2に調整した。この溶液を65℃に昇温してから、3官能シラン化合物であるメチルトリメトキ
シシラン19.65g(0.14モル)をメタノール100.36gとの混合溶液として60分かけて添加し、温度を65℃に保持してさらに1時間熟成を行い4120gの有機化処理シリカ微粒子の分散液を得た。使用したトリメトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り2.5×10-6であった。
[工程3および4]有機化処理シリカ粒子のテトラエトキシシランによる再度の粒子成長
工程2で得られた熟成された有機化処理シリカ微粒子の分散液1500gを分取したのち温度を65℃として、この分散液にテトラエトキシラン12.19g(0.06モル)とメタノール1245.1gとの混合溶液と、超純水887.1gと28.6%アンモニア水3.6gを混合した溶液を10時間かけて添加して加水分解を行った。添加終了後、温度を65℃に保持してさらに3時間熟成を行った。使用したテトラエトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り2.7×10-6であった。
続いて、限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、両イオン交換樹脂で精製し、ついでロータリーエバポレーターで濃縮し、固形分濃度12.6質量%のシリカゾルを得た。
[比較例1D]
[工程1および2]母体シリカ微粒子のMTMSによる有機化処理
実施例1と同様にして得られた母体シリカ微粒子を7.4%に希釈した水溶液4000gに、加水分解触媒として濃度28質量%のアンモニア水を添加してpHを11.2に調整した。この溶液を65℃に昇温してから、3官能シラン化合物であるメチルトリメトキシシラン19.65g(0.14モル)をメタノール100.36gとの混合溶液として60分かけて添加し、温度を65℃に保持してさらに1時間熟成を行い4120gの有機化処理シリカ微粒子の分散液を得た。使用したトリメトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り2.5×10-6であった。
[工程3および4]有機化処理シリカ粒子のテトラエトキシシランによる再度の粒子成長
工程2で得られた熟成された有機化処理シリカ微粒子の分散液1500gを分取したのち温度を65℃として、この分散液にテトラエトキシラン9752g(47モル)とメタノール1245.1gとの混合溶液と、超純水887.1gと28.6%アンモニア水730gを混合した溶液を10時間かけて添加して加水分解を行った。その結果、粒子は凝集し、白濁した。なお、使用したテトラエトキシシランのモル数は、母体シリカ微粒子の表面積1m2当り2.19×10-3であった。
実施例1〜3、比較例1A〜1Dに関する各種測定結果等を表1および表2に記した。
【0075】
【表1】

【0076】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明のシリカゾルは、シリコンウェーハ、化合物半導体ウェーハ、磁気ディスク基板、アルミニウム基板などの電子材料の研磨加工時に用いられる研磨材または研磨用組成物として好適である。また、化粧料の原料、インク受容層の成分、樹脂組成物用の充填材、被膜形成用組成物の充填材などに好適に使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】実施例1で調製したシリカゾルの電子顕微鏡写真(倍率:300、000倍で撮影したもので、100nmを10等分した目盛を写真上に示した)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に複数の疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルであって、該球状シリカ微粒子のBET法により測定された比表面積を(SA1)とし、画像解析法により測定される該シリカ微粒子の平均粒子径(D2)から換算した比表面積を(SA2)としたときの表面粗度(SA1)/(SA2)の値が、1.9〜5.0の範囲にあり、該平均粒子径(D2)が10〜200nmの範囲にあり、ナトリウム含有割合が100質量ppm以下の範囲にあることを特徴とするシリカゾル。
【請求項2】
前記球状シリカ微粒子の粒子径の変動係数が3.0〜30%の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のシリカゾル。
【請求項3】
前記球状シリカ微粒子が[SiO4/2]単位および[SiO3/2]単位を含有するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリカゾル。
【請求項4】
次の[1]〜[4]の工程
[1]画像解析法により測定される平均粒子径が5〜195nmの範囲にある母体シ
リカ微粒子の分散液を温度30〜200℃に保持し、水分と加水分解用触媒の存在下
、3官能シラン化合物を該母体シリカ微粒子の表面積1m2当り、5.6×10-7
9.4×10-6 モルの範囲で連続的にまたは断続的に添加することにより、加水分
解反応を進行させて、部分的に有機化処理された有機化処理シリカ微粒子水系分散液
を調製する工程
[2]前記部分的に有機化処理された有機化処理シリカ微粒子分散液を、温度30〜
200℃にて熟成する工程
[3]前記熟成された有機化処理シリカ微粒子分散液を、温度30〜200℃に保持
し、水分と加水分解用触媒の存在下、テトラエトキシシランを該母体シリカ微粒子の
表面積1m2当り、0.2×10-4〜15×10-4モルの範囲で連続的にまたは断続
的に添加することにより、加水分解反応を進行させて、表面に複数の疣状突起を有す
る球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカゾルを調製する工程、および
[4]表面に複数の疣状突起を有する球状シリカ微粒子が溶媒に分散してなるシリカ
ゾルを、温度30〜200℃にて熟成する工程
を含むことを特徴とするシリカゾルの製造方法。
【請求項5】
前記工程[1]における水分の3官能シラン化合物に対するモル比が8以上であり、前記工程[3]における水分のテトラエトキシシランに対するモル比が4以上であることを特徴とする請求項4に記載のシリカゾルの製造方法。
【請求項6】
前記工程[3]において、テトラエトキシシランとともに水分と加水分解用触媒の混合
物を連続的にまたは断続的に添加することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のシリカゾルの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項3の何れかに記載のシリカゾルと、研磨促進剤、界面活性剤、複素環
化合物、pH調整剤およびpH緩衝剤からなる群より選ばれる1種以上とを含むことを特徴とする研磨用組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2010−58985(P2010−58985A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−223530(P2008−223530)
【出願日】平成20年9月1日(2008.9.1)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】