説明

シリコン基板のエッチング方法

【課題】突起の先端径について高い寸法精度を得たり、各突起を均一に形成することができるシリコン基板のエッチング方法を提供する。
【解決手段】シリコン基板Kの表面に形成されたレジスト膜60に、先端部54を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第1工程と、シリコン基板Kの表面を異方性エッチングして溝61を形成する第2工程と、シリコン基板Kの表面に形成されたレジスト膜62に、基部53を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第3工程と、溝61内に埋め込まれた当該溝底部のレジスト62が露出するまでシリコン基板Kの表面を等方性エッチングする第4工程と、シリコン基板Kの表面を異方性エッチングし、基部53を形成する第5工程と、シリコン基板Kのレジスト膜62を除去する第6工程とを順次実施することにより、基部53と先端部54とを備えた複数の突起52をシリコン基板Kに形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端径又は先端幅が基部側よりも小さくなった突起、或いは、開口径又は開口幅が底部側よりも大きくなった凹所を、エッチングによってシリコン基板の表面に形成するためのエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、原子間力顕微鏡のピックアップ部分、ウェハのテスタ、流量制御のためのマイクロバルブ、患者の皮膚から体内に薬剤を投与するためのマイクロニードルなどに適用されるシリコン構造体として、例えば、図2及び図3に示すように、複数の突起を表面に備えたものがある。
【0003】
このシリコン構造体50は、図示するように、平板状をしたベース部51と、このベース部51上に立設された角柱状の複数の突起52とを有し、この突起52は、下端がベース部51の表面に接続した基部53と、この基部53の上端に形成され、基部53側よりも小径となった先細りの先端部54とを備える。
【0004】
そして、このような形状を形成するためのシリコン基板のエッチング方法として、従来、特許第3696513号公報に開示されたものが知られており、このエッチング方法は、突起52を形成すべき部分にマスクを設けてシリコン基板に等方性エッチングを施し、先端部54のある程度の形状を形成する工程と、マスクを設けた状態でシリコン基板の厚み方向に異方性エッチングを施し、基部53を形成する工程と、マスクを設けた状態でシリコン基板に等方性エッチングを施し、先端部54を所定寸法に仕上げる工程とを順次実施するというものである。
【0005】
【特許文献1】特許第3696513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記シリコン構造体50は、例えば、原子間力顕微鏡のピックアップ部分に用いられるときのように、突起52(先端部54)の先端の外径d(図3参照)に非常に高い寸法精度が要求されることがある。
【0007】
しかしながら、上記従来のエッチング方法では、先端部54の形状精度が等方性エッチングのエッチング速度やその処理時間に依存することから、例えば、シリコン基板の中央側におけるエッチング速度が速く、シリコン基板の外周側におけるエッチング速度が中央側に比べて遅い場合など、シリコン基板表面の位置によってエッチング速度にバラツキを生じていると、突起52の先端の外径dが不均一になって高精度なエッチング形状を得ることができなかった。また、連続的にエッチングした複数のシリコン基板の間においても突起52の先端の仕上がり径が不均一となっていた。
【0008】
本発明は、以上の実情に鑑みなされたものであって、突起の先端径又は先端幅について高い寸法精度を得たり、均一に形成することができるシリコン基板のエッチング方法の提供をその目的とする。また、更に、本発明は、突起と同様、溝や穴といった凹所についても、その開口径又は開口幅について高い寸法精度を得たり、均一に形成することができるシリコン基板のエッチング方法の提供をその目的とする。尚、この凹所は、例えば、配線の埋め込みなどに使用され、開口径又は開口幅について非常に高い寸法精度が要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明は、
先端径又は先端幅が基部側よりも小さくなった突起(開口径又は開口幅が底部側よりも大きくなった凹所)を、エッチングによってシリコン基板の表面に形成する方法であって、
前記シリコン基板の表面にレジストを塗布し、塗布したレジスト膜に、前記突起の先端部(前記凹所の開口部)を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第1工程と、
前記第1工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板の表面を異方性エッチングし、前記シリコン基板表面に溝を形成する第2工程と、
前記第2工程で形成された溝を含む前記シリコン基板の表面に前記レジストを塗布し、塗布したレジスト膜に、前記突起の基部(前記凹所の底部)を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第3工程と、
前記第3工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板表面の溝に埋め込まれた該溝底部のレジストが露出されるまで、前記シリコン基板表面を等方性エッチングする第4工程と、
前記第3工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板の表面を異方性エッチングし、前記突起の基部(前記凹所の底部)を形成する第5工程と、
前記シリコン基板表面のレジスト膜を除去する第6工程とを順次実施するようにしたことを特徴とするシリコン基板のエッチング方法に係る。
【0010】
この発明によれば、シリコン基板の表面にレジストを塗布し、塗布したレジスト膜に、突起の先端部或いは凹所の開口部を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第1工程が行われた後、このレジスト膜をマスクとして、シリコン基板の表面を異方性エッチングし、シリコン基板表面に溝を形成する第2工程が行われる。尚、この溝は、その側壁が突起先端部或いは凹所開口部の側壁を構成する。
【0011】
次に、前記溝を含むシリコン基板の表面にレジストを塗布し、塗布したレジスト膜に、突起の基部或いは凹所の底部を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第3工程が行われた後、このレジスト膜をマスクとして、シリコン基板表面の溝に埋め込まれた当該溝底部のレジストが露出されるまで、シリコン基板表面を等方性エッチングする第4工程が行われる。これにより、突起先端部或いは凹所開口部の一部が形成される。尚、レジストは、シリコンに比べて非常にエッチングされ難く、溝内のレジストによって突起先端部或いは凹所開口部の側壁のエッチングが防止されるので、突起先端部或いは凹所開口部の側壁は、第2工程で得られた形状のまま維持される。
【0012】
ついで、第4工程と同様、第3工程で形成したレジスト膜をマスクとして、シリコン基板の表面を異方性エッチングし、突起の基部或いは凹所の底部を形成する第5工程が行われる。そして、最後に、シリコン基板表面のレジスト膜を除去する第6工程が行われると、突起先端部或いは凹所開口部が完全に形成され、このようにして、シリコン基板の表面に、先端径又は先端幅が基部側よりも小さくなった突起、或いは開口径又は開口幅が底部側よりも大きくなった凹所が形成される。
【0013】
尚、突起や凹所の側壁形状は何ら限定されるものではないが、例えば、側壁の傾斜角度を所定のテーパ角度にするには、第4工程の等方性エッチングや第5工程の異方性エッチングの際に側壁部分のエッチングを制御するようにすると良い。
【0014】
このように、本発明に係るシリコン基板のエッチング方法によれば、シリコン基板の表面に溝を形成してこの溝内にレジストを埋め込み、この埋め込んだレジストによって突起先端部或いは凹所開口部の側壁がエッチングされるのを防止するようにしたので、エッチング速度にバラツキがあったとしても(特に第4工程の等方性エッチングの際)、突起の先端径又は先端幅或いは凹所の開口径又は開口幅を高精度に形成することができる。また、シリコン基板の表面に複数の突起又は凹所を形成するときには、各突起又は凹所を均一な寸法にすることができる。また、更に、シリコン基板によって突起の先端径又は先端幅或いは凹所の開口径又は開口幅が異なるのを防止して同一寸法の突起或いは凹所を形成することができる。
【0015】
また、本発明は、
先端径又は先端幅が基部側よりも小さくなった突起(開口径又は開口幅が底部側よりも大きくなった凹所)を、エッチングによってシリコン基板の表面に形成する方法であって、
前記シリコン基板の表面にレジストを塗布し、塗布したレジスト膜に、前記突起の先端部(前記凹所の開口部)を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第1工程と、
前記第1工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板の表面を異方性エッチングし、前記シリコン基板表面に溝を形成する第2工程と、
前記シリコン基板表面のレジスト膜を除去する第3工程と、
前記第2工程で形成された溝を含む前記シリコン基板の表面に酸化膜を形成する第4工程と、
前記溝内に形成された酸化膜を残して、前記第4工程で前記シリコン基板表面に形成された酸化膜を除去する第5工程と、
前記シリコン基板の表面にレジストを塗布し、塗布したレジスト膜に、前記突起の基部(前記凹所の底部)を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第6工程と、
前記第6工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板表面の溝に形成された酸化膜が露出されるまで、前記シリコン基板表面を等方性エッチングする第7工程と、
前記第6工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板の表面を異方性エッチングし、前記突起の基部(前記凹所の底部)を形成する第8工程と、
前記シリコン基板表面のレジスト膜を除去する第9工程と、
前記シリコン基板表面の酸化膜を除去する第10工程とを順次実施するようにしたことを特徴とするシリコン基板のエッチング方法に係る。
【0016】
この発明によれば、シリコン基板の表面にレジストを塗布し、塗布したレジスト膜に、突起の先端部或いは凹所の開口部を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第1工程が行われた後、このレジスト膜をマスクとして、シリコン基板の表面を異方性エッチングし、シリコン基板表面に溝を形成する第2工程が行われる。尚、この溝は、その側壁が突起先端部或いは凹所開口部の側壁を構成する。
【0017】
次に、シリコン基板表面のレジスト膜を除去する第3工程が行われ、前記溝を含むシリコン基板の表面に酸化膜を形成する第4工程が行われた後、前記溝内に形成された酸化膜を残して、シリコン基板表面に形成された酸化膜を除去する第5工程が行われる。尚、酸化膜は、前記溝の幅が狭く、レジスト塗布の際にレジストをこの溝内に埋め込むことが難しいような場合にも形成することができるので、このような場合に効果的である。
【0018】
ついで、シリコン基板の表面にレジストを塗布し、塗布したレジスト膜に、突起の基部或いは凹所の底部を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第6工程が行われた後、このレジスト膜をマスクとして、シリコン基板表面の溝に形成された酸化膜が露出されるまで、シリコン基板表面を等方性エッチングする第7工程が行われる。これにより、突起先端部或いは凹所開口部の一部が形成される。尚、酸化膜は、シリコンに比べて非常にエッチングされ難く、溝内の酸化膜によって突起先端部或いは凹所開口部の側壁のエッチングが防止されるので、突起先端部或いは凹所開口部の側壁は、第2工程で得られた形状のまま維持される。
【0019】
この後、第7工程と同様、第6工程で形成したレジスト膜をマスクとして、シリコン基板の表面を異方性エッチングし、突起の基部或いは凹所の底部を形成する第8工程が行われる。そして、最後に、シリコン基板表面のレジスト膜を除去する第9工程、シリコン基板表面の酸化膜を除去する第10工程が順次行われると、突起先端部或いは凹所開口部が完全に形成され、このようにして、シリコン基板の表面に、先端径又は先端幅が基部側よりも小さくなった突起、或いは開口径又は開口幅が底部側よりも大きくなった凹所が形成される。
【0020】
尚、突起や凹所の側壁形状は何ら限定されるものではないが、例えば、側壁の傾斜角度を所定のテーパ角度にするには、第7工程の等方性エッチングや第8工程の異方性エッチングの際に側壁部分のエッチングを制御するようにすると良い。
【0021】
このように、本発明に係るシリコン基板のエッチング方法によれば、シリコン基板の表面に溝を形成してこの溝内に酸化膜を形成し、この形成した酸化膜によって突起先端部或いは凹所開口部の側壁がエッチングされるのを防止するようにしたので、エッチング速度にバラツキがあったとしても(特に第7工程の等方性エッチングの際)、上記と同様、突起の先端径又は先端幅或いは凹所の開口径又は開口幅を高精度に形成することができる。また、シリコン基板の表面に複数の突起又は凹所を形成するときには、各突起又は凹所を均一な寸法にすることができる。また、更に、シリコン基板によって突起の先端径又は先端幅或いは凹所の開口径又は開口幅が異なるのを防止して同一寸法の突起或いは凹所を形成することができる。
【発明の効果】
【0022】
斯くして、本発明に係るシリコン基板のエッチング方法によれば、突起先端部や凹所開口部をレジストや酸化膜により保護しつつシリコン基板をエッチングすることができるので、先端径又は先端幅が高精度な突起や開口径又は開口幅が高精度な凹所をシリコン基板の表面に形成することができる。また、シリコン基板の表面に形成される複数の突起或いは凹所を均一な精度でエッチングすることができるとともに、シリコン基板により突起或いは凹所の形状精度が変わるのを防止して一定精度の突起或いは凹所を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付図面に基づき説明する。尚、本実施形態では、シリコン基板Kのエッチングに図1に示すようなエッチング装置1を用いて行う場合を一例に挙げて説明する。
【0024】
まず、図1に示したエッチング装置1について説明する。このエッチング装置1は、閉塞空間を有する処理チャンバ11と、処理チャンバ11内に昇降自在に配設され、シリコン基板Kが載置される基台15と、基台15を昇降させる昇降シリンダ18と、処理チャンバ11内の圧力を減圧する排気装置20と、処理チャンバ11内に処理ガスを供給するガス供給装置25と、処理チャンバ11内に供給された処理ガスをプラズマ化するプラズマ生成装置30と、基台15に高周波電力を印加する基台用高周波電源35とを備える。
【0025】
前記処理チャンバ11は、相互に連通した内部空間を有する下部容器12及び上部容器13から構成され、上部容器13は、下部容器12よりも小さく形成される。前記基台15は、シリコン基板Kが載置される上部材16と、昇降シリンダ18が接続される下部材17とから構成される。
【0026】
前記排気装置20は、下部容器12の側面に接続した排気管21を備え、排気管21を介して処理チャンバ11の内部を所定圧力にする。前記ガス供給装置25は、上部容器13の上面に接続した供給管26を備え、前記処理ガスとして、エッチングガス(例えば、SFガス)や耐エッチング層形成ガス(例えば、Cガス)、酸素ガスを、供給管26を介し処理チャンバ11内に供給する。
【0027】
前記プラズマ生成装置30は、上部容器13の外周部に上下に並設された複数のコイル31と、各コイル31に高周波電力を印加するコイル用高周波電源32とから構成され、コイル用高周波電源32によってコイル31に高周波電力を印加することで、上部容器13内に供給された処理ガスをプラズマ化する。前記基台用高周波電源25は、基台15に高周波電力を印加することで、基台15とプラズマとの間に電位差(バイアス電位)を生じさせる。
【0028】
次に、以上のように構成されたエッチング装置1などを用いてシリコン基板Kを、図2及び図3に示すようなシリコン構造体50となるようにエッチングする第1実施形態に係る方法について説明する。尚、以下の例では、図4(g)に示すように、先端部54が先細りのテーパ状且つ先端部54が段付き状となった突起52を形成するものとして説明する。
【0029】
まず、第1工程を行うが、この第1工程では、シリコン基板Kの表面にレジストを塗布してレジスト膜60を形成するレジスト塗布処理、このレジスト膜60の所定領域を感光させる露光処理、レジスト膜60上に現像液を塗布してレジスト膜60の感光部又は未感光部を除去する現像処理を順次行い、レジスト膜60に所定形状のマスクパターンを形成する(図4(a)参照)。尚、このときのマスクパターンは、先端部54を形成するための環状穴を備えたものとなっている。
【0030】
ついで、シリコン基板Kをエッチング装置1に搬入して基台15上に載置し、前記レジスト膜60をマスクとしてシリコン基板Kの表面を異方性エッチングする第2工程を行う。このとき、エッチング装置1では、シリコン基板Kをエッチングするエッチング処理と、シリコン基板Kに耐エッチング層を形成する耐エッチング層形成処理とが交互に繰り返される。エッチング処理では、各高周波電源32,35によってコイル31及び基台15に高周波電力をそれぞれ印加し、ガス供給装置25から処理チャンバ11内にエッチングガスを供給し、排気装置20によって処理チャンバ11内を所定圧力にし、これにより、処理チャンバ11内のエッチングガスがプラズマ化されてシリコン基板Kがエッチングされ、溝が形成される。一方、耐エッチング層形成処理では、コイル用高周波電源32によってコイル31に高周波電力を印加し、ガス供給装置25から処理チャンバ11内に耐エッチング層形成ガスを供給し、排気装置20によって処理チャンバ11内を所定圧力にし、これにより、処理チャンバ11内の耐エッチング層形成ガスがプラズマ化されて重合物がシリコン基板Kの表面、即ち、エッチングで形成される溝の側壁や底面などに堆積し、耐エッチング層(フロロカーボン膜)が形成される。
【0031】
そして、このようなエッチング処理と耐エッチング層形成処理とが交互に繰り返されることで、シリコン基板Kは、溝の側壁が耐エッチング層によって保護されつつその深さ方向にエッチングが進行し、シリコン基板Kの表面には、内周面が先端部54の外周面を構成する環状溝61が形成される(図4(b)参照)。
【0032】
この後、上記第1工程と同様にして第3工程を行う。即ち、この第3工程では、シリコン基板Kをエッチング装置1から搬出し、環状溝61を含むシリコン基板Kの表面にレジストを塗布してレジスト膜62を形成するレジスト塗布処理(図4(c)参照)、このレジスト膜62の所定領域を感光させる露光処理、レジスト膜62上に現像液を塗布してレジスト膜62の感光部又は未感光部を除去する現像処理を順次行い、レジスト膜62に所定形状のマスクパターンを形成する(図4(d)参照)。尚、このときのマスクパターンは、基部53を形成するための穴を備えたものとなっている。
【0033】
次に、シリコン基板Kをエッチング装置1に搬入して基台15上に載置し、前記レジスト膜62をマスクとしてシリコン基板Kの表面を等方性エッチングする第4工程を行う。このとき、エッチング装置1では、各高周波電源32,35によってコイル31及び基台15に高周波電力がそれぞれ印加され、ガス供給装置25から処理チャンバ11内にエッチングガス,耐エッチング層形成ガス及び酸素ガスがそれぞれ供給され、排気装置20によって処理チャンバ11内が所定圧力とされる。そして、この第4工程では、シリコン基板Kの表面の環状溝61に埋め込まれた当該溝底部のレジスト62が露出されるまでエッチングが実施される。これにより、先端部54の一部が形成される。このとき、レジスト62は、シリコンに比べて非常にエッチングされ難く、環状溝61内のレジスト62によって環状溝61の内周面(先端部54の外周面)のエッチングが防止されるので、環状溝61の内周面が第2工程で得られた形状のまま維持される(図4(e)参照)。
【0034】
ついで、前記レジスト膜62をマスクとしてシリコン基板Kの表面を異方性エッチングする第5工程を行う。このとき、エッチング装置1は、上記第2工程と同様に制御される。そして、このような第5工程では、エッチングが深さ方向に進行することで、シリコン基板Kの表面に基部53が形成される(図4(f)参照)。
【0035】
そして、最後に、シリコン基板Kをエッチング装置1から搬出し、シリコン基板Kの表面からレジスト膜62をアッシング処理により除去する第6工程を行い、これにより、先端部54が完全に形成される(図4(g)参照)。このようにして、基部53及び先端部54からなる複数の突起52を備えたシリコン構造体50が形成される。
【0036】
斯くして、第1実施形態に係るシリコン基板Kのエッチング方法によれば、内周面が先端部54の外周面となる環状溝61を形成してこの環状溝61内にレジスト62を埋め込み、この埋め込んだレジスト62によって環状溝61の内周面(先端部54の外周面)がエッチングされるのを防止するようにしたので、シリコン基板Kの表面の位置によってエッチング速度にバラツキがあったとしても(特に第4工程の等方性エッチングの際)、突起52(先端部54)の先端径を高精度且つ均一に形成することができる。また、更に、シリコン基板Kによって突起52の先端径が異なるのを防止して同一先端径の突起52を形成することができる。
【0037】
次に、前記エッチング装置1などを用いてシリコン基板Kを、図2及び図3に示すようなシリコン構造体50となるようにエッチングする第2実施形態に係る方法について説明する。尚、以下の例では、図5(j)に示すように、先端部54が先細りのテーパ状且つ先端部54が段付き状となった突起52を形成するものとして説明する。
【0038】
まず、前記第1実施形態の第1工程と同様に、シリコン基板Kの表面にレジスト膜70を形成し、このレジスト膜70に所定形状のマスクパターンを形成する第1工程を行う(図5(a)参照)。尚、このときのマスクパターンは、先端部54を形成するための環状穴を備えたものとなっている。
【0039】
ついで、前記第1実施形態の第2工程と同様に、前記レジスト膜70をマスクとしてシリコン基板Kの表面を異方性エッチングする第2工程を行う。そして、この第2工程により、シリコン基板Kの表面には、内周面が先端部54の外周面を構成する環状溝71が形成される(図5(b)参照)。
【0040】
この後、シリコン基板Kをエッチング装置1から搬出し、シリコン基板Kの表面からレジスト膜70をアッシング処理により除去する第3工程を行い(図5(c)参照)、環状溝71を含むシリコン基板Kの表面に、CVD処理や熱酸化処理により酸化膜72を形成する第4工程を行う(図5(d)参照)。尚、酸化膜72は、環状溝71の幅が狭く(例えば、約1μm程度の場合など)、レジスト塗布の際にレジストを環状溝71内に埋め込むことが難しいような場合にも形成することができるので、このような場合に効果的である。
【0041】
次に、シリコン基板Kの表面に形成された酸化膜72の内、環状溝71部分の酸化膜72を残して、シリコン基板Kの表面の酸化膜72をエッチバック処理により除去する第5工程を行う(図5(e)参照)。尚、このエッチバック処理ではフッ酸の溶液やガスを用いて酸化膜を除去する。
【0042】
ついで、前記第1実施形態の第3工程と同様に、シリコン基板Kの表面にレジストを塗布してレジスト膜73を形成し、このレジスト膜73に所定形状のマスクパターンを形成する第6工程を行う(図5(f)参照)。尚、このときのマスクパターンは、基部53を形成するための穴を備えたものとなっている。
【0043】
この後、前記第1実施形態の第4工程と同様に、前記レジスト膜73をマスクとしてシリコン基板Kの表面を等方性エッチングする第7工程を行い、シリコン基板Kの表面の環状溝71に形成された酸化膜72が露出されるまでエッチングを実施する。これにより、先端部54の一部が形成される。このとき、酸化膜72は、シリコンに比べて非常にエッチングされ難く、環状溝71内の酸化膜72によって環状溝71の内周面(先端部54の外周面)のエッチングが防止されるので、環状溝71の内周面が第2工程で得られた形状のまま維持される(図5(g)参照)。
【0044】
次に、前記レジスト膜73をマスクとしてシリコン基板Kの表面を異方性エッチングする第8工程を行う。このとき、エッチング装置1は、上記第2工程と同様に制御される。そして、このような第8工程により、エッチングが深さ方向に進行してシリコン基板Kの表面に基部53が形成される(図5(h)参照)。
【0045】
そして、最後に、前記第1実施形態の第6工程と同様に、シリコン基板Kの表面からレジスト膜73をアッシング処理により除去する第9工程を行い(図5(i)参照)、ついで、シリコン基板Kの表面から酸化膜72(第5工程でシリコン基板Kに残した酸化膜72であって先端部54の外周面の酸化膜72)を、例えば、フッ酸の溶液やガスを用いて除去する第10工程を行うと、先端部54が完全に形成される(図5(j)参照)。このようにして、基部53及び先端部54からなる複数の突起52を備えたシリコン構造体50が形成される。
【0046】
斯くして、第2実施形態に係るシリコン基板Kのエッチング方法によれば、内周面が先端部54の外周面となる環状溝71を形成してこの環状溝71内に酸化膜72を形成し、この形成した酸化膜72によって環状溝71の内周面(先端部54の外周面)がエッチングされるのを防止するようにしたので、シリコン基板Kの表面の位置によってエッチング速度にバラツキがあったとしても(特に第7工程の等方性エッチングの際)、上記第1実施形態と同様、突起52(先端部54)の先端径を高精度且つ均一に形成することができる。また、更に、シリコン基板Kによって突起52の先端径が異なるのを防止して同一先端径の突起52を形成することができる。
【0047】
因みに、実施例として、第1実施形態及び第2実施形態のエッチング方法により複数のシリコン基板Kをエッチングして突起52を形成し、突起52の先端寸法をそれぞれ測定したところ、同一シリコン基板Kにおける各突起52の寸法のバラツキは±3%以内、異なるシリコン基板K間における各突起52の寸法のバラツキは±2%以内に抑えることができた。尚、突起52は、先端部54の外径dが5μm、基部53の外径Dが20μm、高さhが50μmのものをエッチングにより形成し、それぞれ図2におけるA〜Eの5ヶ所で先端径dを測定した。また、等方性エッチングにおける処理条件は、SFガスを40sccm、酸素ガスを140sccm、Cガスを80sccmで処理チャンバ11内にそれぞれ供給するとともに、処理チャンバ11内の圧力を4Paに減圧し、コイル31に1200Wの、基台15に40Wの高周波電力をそれぞれ印加し、処理時間を8分とした。一方、異方性エッチングにおける処理条件は、2.5秒のエッチング処理と2秒の耐エッチング層形成処理を一定時間交互に繰り返すとともに、エッチング処理については、SFガスを500sccmで処理チャンバ11内に供給し、処理チャンバ11内の圧力を6Paに減圧し、コイル31に2200Wの、基台15に50Wの高周波電力をそれぞれ印加し、耐エッチング層形成処理については、Cガスを400sccmで処理チャンバ11内に供給し、処理チャンバ11内の圧力を6Paに減圧し、コイル31に2200Wの高周波電力を印加した。この実験結果からも明らかなように、本発明に係るシリコン基板Kのエッチング方法によれば、各突起52の先端径を均一に形成することができる。
【0048】
また、更に、前記エッチング装置1などを用いてシリコン基板Kを、図6及び図7に示すようなシリコン構造体80となるようにエッチングする第3実施形態に係る方法について説明する。尚、前記シリコン構造体80は、図示するように、表面に複数の穴(凹所)81を備えたものであり、この穴81は、開口部82の近傍の穴径が広がるように形成され、開口径rが底部83側よりも大きくなっている。また、以下の例では、穴81の具体的な形状として、図8(g)に示すように、開口部82がテーパ状且つ段付き状となったものを形成するものとして説明する。また、第1実施形態におけるエッチング方法とほぼ同様のため簡単に説明する。
【0049】
まず、シリコン基板Kの表面にレジストを塗布し、塗布したレジスト膜60に所定形状のマスクパターンを形成する第1工程を行う(図8(a)参照)。尚、このときのマスクパターンは、開口部82を形成するための環状穴を備えたものとなっている。ついで、前記レジスト膜60をマスクとしてシリコン基板Kの表面を異方性エッチングし、シリコン基板Kの表面に、内周面が開口部82の内周面を構成する環状溝61を形成する第2工程を行う(図8(b)参照)。
【0050】
この後、環状溝61を含むシリコン基板Kの表面にレジストを塗布し、塗布したレジスト膜62に所定形状のマスクパターンを形成する第3工程を行う(図8(c)及び(d)参照)。尚、このときのマスクパターンは、底部83を形成するための穴を備えたものとなっている。
【0051】
次に、前記レジスト膜62をマスクとして、シリコン基板Kの表面の環状溝61に埋め込まれた当該溝底部のレジスト62が露出されるまで、シリコン基板Kの表面を等方性エッチングする第4工程を行う(図8(e)参照)。これにより、開口部82の一部が形成される。このとき、シリコンに比べて非常にエッチングされ難い、環状溝61内のレジスト62によって環状溝61の内周面(開口部82の内周面)のエッチングが防止される。
【0052】
ついで、前記レジスト膜62をマスクとしてシリコン基板Kの表面を異方性エッチングし、シリコン基板Kの表面に底部83を形成する第5工程を行う(図8(f)参照)。そして、最後に、シリコン基板Kの表面からレジスト膜62を除去する第6工程を行い、これにより、開口部82が完全に形成される(図8(g)参照)。このようにして、複数の前記穴81を備えたシリコン構造体80が形成される。
【0053】
斯くして、第3実施形態に係るシリコン基板Kのエッチング方法によれば、内周面が開口部82の内周面となる環状溝61を形成してこの環状溝61内にレジスト62を埋め込み、この埋め込んだレジスト62によって環状溝61の内周面(開口部82の内周面)がエッチングされるのを防止するようにしたので、シリコン基板Kの表面の位置によってエッチング速度にバラツキがあったとしても(特に第4工程の等方性エッチングの際)、穴81(開口部82)の開口径を高精度且つ均一に形成することができる。また、更に、シリコン基板Kによって穴81の開口径が異なるのを防止して同一開口径の穴81を形成することができる。
【0054】
また、更に、前記エッチング装置1などを用いてシリコン基板Kを、図6及び図7に示すようなシリコン構造体80となるようにエッチングする、第4実施形態における方法について説明する。尚、以下の例では、図9(j)に示すように、開口部82がテーパ状且つ段付き状となった穴81を形成するものとして説明する。また、第2実施形態におけるエッチング方法とほぼ同様のため簡単に説明する。
【0055】
まず、シリコン基板Kの表面にレジスト膜70を形成し、このレジスト膜70に所定形状のマスクパターンを形成する第1工程を行う(図9(a)参照)。尚、このときのマスクパターンは、開口部82を形成するための環状穴を備えたものとなっている。ついで、前記レジスト膜70をマスクとしてシリコン基板Kの表面を異方性エッチングし、シリコン基板Kの表面に、内周面が開口部82の内周面を構成する環状溝71を形成する第2工程を行う(図9(b)参照)。
【0056】
この後、シリコン基板Kの表面からレジスト膜70を除去する第3工程を行い(図9(c)参照)、環状溝71を含むシリコン基板Kの表面に酸化膜72を形成する第4工程を行う(図9(d)参照)。尚、酸化膜72は、環状溝71の幅が非常に狭いような場合にも形成することができるので、好都合である。次に、シリコン基板Kの表面に形成された酸化膜72の内、環状溝71部分の酸化膜72を残して、シリコン基板Kの表面の酸化膜72を除去する第5工程を行う(図9(e)参照)。
【0057】
ついで、シリコン基板Kの表面にレジストを塗布してレジスト膜73を形成し、このレジスト膜73に所定形状のマスクパターンを形成する第6工程を行う(図9(f)参照)。尚、このときのマスクパターンは、基部83を形成するための穴を備えたものとなっている。
【0058】
この後、前記レジスト膜73をマスクとして、シリコン基板Kの表面の環状溝71に形成された酸化膜72が露出されるまで、シリコン基板Kの表面を等方性エッチングする第7工程を行う(図9(g)参照)。これにより、開口部82の一部が形成される。このとき、シリコンに比べて非常にエッチングされ難い、環状溝71内の酸化膜72によって環状溝71の内周面(開口部82の内周面)のエッチングが防止される。
【0059】
次に、前記レジスト膜73をマスクとしてシリコン基板Kの表面を異方性エッチングし、シリコン基板Kの表面に底部83を形成する第8工程を行う(図9(h)参照)。そして、最後に、シリコン基板Kの表面からレジスト膜73を除去する第9工程を行い(図9(i)参照)、ついで、シリコン基板Kの表面から酸化膜72(第5工程でシリコン基板Kに残した酸化膜72であって開口部82の内周面の酸化膜72)を、例えば、フッ酸の溶液やガスを用いて除去する第10工程を行うと、開口部82が完全に形成される(図9(j)参照)。このようにして、複数の前記穴81を備えたシリコン構造体80が形成される。
【0060】
斯くして、第4実施形態に係るシリコン基板Kのエッチング方法によれば、内周面が開口部82の内周面となる環状溝71を形成してこの環状溝71内に酸化膜72を形成し、この形成した酸化膜72によって環状溝71の内周面(開口部82の内周面)がエッチングされるのを防止するようにしたので、シリコン基板Kの表面の位置によってエッチング速度にバラツキがあったとしても(特に第7工程の等方性エッチングの際)、第3実施形態と同様、穴81(開口部82)の開口径を高精度且つ均一に形成することができる。また、更に、シリコン基板Kによって穴81の開口径が異なるのを防止して同一開口径の穴81を形成することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の採り得る具体的な態様は、何らこれに限定されるものではない。
【0062】
第1実施形態及び第2実施形態では、シリコン基板Kの表面に、角柱状且つ先端がテーパ状をした複数の突起52を形成するようにしたが、形成する突起52の形状は、何ら限定されるものではなく、円柱状であっても良い。また、先端部54は、必ずしもテーパ状でなくても良い。また、更に、突起52は、図10に示すように、リブ状に形成されたものや、図11に示すように、環状に形成されたものであっても良く、第1実施形態及び第2実施形態のエッチング方法を使用することで、先端幅dが均一で精度の良い突起52を形成することができる。尚、突起52の側壁を所定のテーパ角度にするには、第1実施形態の第4工程又は第2実施形態の第7工程における等方性エッチングや、第1実施形態の第5工程又は第2実施形態の第8工程における異方性エッチングで側壁部分のエッチング制御を行うようにすると良い。また、突起52の形成数は特に限定されるものではない。
【0063】
また、第3実施形態及び第4実施形態では、シリコン基板Kの表面に、複数の丸穴81を形成するようにしたが、形成する穴81の形状は、何ら限定されるものではなく、角穴であっても良い。また、開口部82は、必ずしもテーパ状でなくても良い。また、更に、穴81に代えて、図12に示すような溝(凹所)84を形成するようにしても良く、第3実施形態及び第4実施形態のエッチング方法を使用することで、開口幅rが均一で精度の良い溝84を形成することができる。尚、穴81や溝84の内壁を所定のテーパ角度にするには、第3実施形態の第4工程又は第4実施形態の第7工程における等方性エッチングや、第3実施形態の第5工程又は第4実施形態の第8工程における異方性エッチングで側壁部分のエッチング制御を行うようにすると良い。また、穴81や溝84の形成数は特に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態に係るエッチング方法を実施するためのエッチング装置の概略構成を示した断面図である。
【図2】エッチングにより形成するシリコン構造体の概略構成を示した平面図である。
【図3】図2における矢示X−X方向の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るエッチング方法を説明するための説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るエッチング方法を説明するための説明図である。
【図6】エッチングにより形成するシリコン構造体の概略構成を示した平面図である。
【図7】図6における矢示Y−Y方向の断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係るエッチング方法を説明するための説明図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係るエッチング方法を説明するための説明図である。
【図10】エッチングにより形成する突起例を示した斜視図である。
【図11】エッチングにより形成する突起例を示した斜視図である。
【図12】エッチングにより形成する凹所例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 エッチング装置
11 処理チャンバ
15 基台
20 排気装置
25 ガス供給装置
30 プラズマ生成装置
31 コイル
32 コイル用高周波電源
35 基台用高周波電源
50 シリコン構造体
52 突起
53 基部
54 先端部
60,62,70,73 レジスト膜
61,71 環状溝
72 酸化膜
80 シリコン構造体
81 穴
82 底部
83 開口部
K シリコン基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端径又は先端幅が基部側よりも小さくなった突起を、エッチングによってシリコン基板の表面に形成する方法であって、
前記シリコン基板の表面にレジストを塗布し、塗布したレジスト膜に、前記突起の先端部を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第1工程と、
前記第1工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板の表面を異方性エッチングし、前記シリコン基板表面に溝を形成する第2工程と、
前記第2工程で形成された溝を含む前記シリコン基板の表面に前記レジストを塗布し、塗布したレジスト膜に、前記突起の基部を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第3工程と、
前記第3工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板表面の溝に埋め込まれた該溝底部のレジストが露出されるまで、前記シリコン基板表面を等方性エッチングする第4工程と、
前記第3工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板の表面を異方性エッチングし、前記突起の基部を形成する第5工程と、
前記シリコン基板表面のレジスト膜を除去する第6工程とを順次実施するようにしたことを特徴とするシリコン基板のエッチング方法。
【請求項2】
先端径又は先端幅が基部側よりも小さくなった突起を、エッチングによってシリコン基板の表面に形成する方法であって、
前記シリコン基板の表面にレジストを塗布し、塗布したレジスト膜に、前記突起の先端部を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第1工程と、
前記第1工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板の表面を異方性エッチングし、前記シリコン基板表面に溝を形成する第2工程と、
前記シリコン基板表面のレジスト膜を除去する第3工程と、
前記第2工程で形成された溝を含む前記シリコン基板の表面に酸化膜を形成する第4工程と、
前記溝内に形成された酸化膜を残して、前記第4工程で前記シリコン基板表面に形成された酸化膜を除去する第5工程と、
前記シリコン基板の表面にレジストを塗布し、塗布したレジスト膜に、前記突起の基部を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第6工程と、
前記第6工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板表面の溝に形成された酸化膜が露出されるまで、前記シリコン基板表面を等方性エッチングする第7工程と、
前記第6工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板の表面を異方性エッチングし、前記突起の基部を形成する第8工程と、
前記シリコン基板表面のレジスト膜を除去する第9工程と、
前記シリコン基板表面の酸化膜を除去する第10工程とを順次実施するようにしたことを特徴とするシリコン基板のエッチング方法。
【請求項3】
開口径又は開口幅が底部側よりも大きくなった凹所を、エッチングによってシリコン基板の表面に形成する方法であって、
前記シリコン基板の表面にレジストを塗布し、塗布したレジスト膜に、前記凹所の開口部を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第1工程と、
前記第1工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板の表面を異方性エッチングし、前記シリコン基板表面に溝を形成する第2工程と、
前記第2工程で形成された溝を含む前記シリコン基板の表面に前記レジストを塗布し、塗布したレジスト膜に、前記凹所の底部を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第3工程と、
前記第3工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板表面の溝に埋め込まれた該溝底部のレジストが露出されるまで、前記シリコン基板表面を等方性エッチングする第4工程と、
前記第3工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板の表面を異方性エッチングし、前記凹所の底部を形成する第5工程と、
前記シリコン基板表面のレジスト膜を除去する第6工程とを順次実施するようにしたことを特徴とするシリコン基板のエッチング方法。
【請求項4】
開口径又は開口幅が底部側よりも大きくなった凹所を、エッチングによってシリコン基板の表面に形成する方法であって、
前記シリコン基板の表面にレジストを塗布し、塗布したレジスト膜に、前記凹所の開口部を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第1工程と、
前記第1工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板の表面を異方性エッチングし、前記シリコン基板表面に溝を形成する第2工程と、
前記シリコン基板表面のレジスト膜を除去する第3工程と、
前記第2工程で形成された溝を含む前記シリコン基板の表面に酸化膜を形成する第4工程と、
前記溝内に形成された酸化膜を残して、前記第4工程で前記シリコン基板表面に形成された酸化膜を除去する第5工程と、
前記シリコン基板の表面にレジストを塗布し、塗布したレジスト膜に、前記凹所の底部を形成するための穴を備えたマスクパターンを形成する第6工程と、
前記第6工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板表面の溝に形成された酸化膜が露出されるまで、前記シリコン基板表面を等方性エッチングする第7工程と、
前記第6工程で形成されたレジスト膜をマスクとして、前記シリコン基板の表面を異方性エッチングし、前記凹所の底部を形成する第8工程と、
前記シリコン基板表面のレジスト膜を除去する第9工程と、
前記シリコン基板表面の酸化膜を除去する第10工程とを順次実施するようにしたことを特徴とするシリコン基板のエッチング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−59529(P2010−59529A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242449(P2008−242449)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000183369)住友精密工業株式会社 (336)
【Fターム(参考)】