説明

シリンダ装置

【課題】仮に比例ソレノイド弁が固着した場合であっても車両の走行安定性能を確保することができ、且つ耐久性を向上させたシリンダ装置を提供する。
【解決手段】伸び側の減衰力を発生させる流体圧回路に、ソフト側の減衰力を発生させる第1電磁弁12と、ミディアム側からハード側までの間で減衰力が可変である第1比例ソレノイド弁13と、を他側流路7に対して並列に接続した。したがって、第1比例ソレノイド弁13が固着してしまった場合、伸び行程時には、第1比例ソレノイド弁13が少なくともミディアム側の減衰力を発生するので、車両の走行安定性能を確保することができる。また、伸び側の減衰力を発生させる第1比例ソレノイド弁13と縮み側の減衰力を発生させる第2比例ソレノイド弁24とを個々に設けたので、各比例ソレノイド弁13,24に作用する圧力負荷頻度が減少して、耐久性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両用のセミアクティブサスペンションにおいては、例えば、特許文献1に開示されたものが知られている。また、減衰力がハード側とソフト側との間で可変される伸び側比例ソレノイド弁及び縮み側ソレノイド弁を備えるユニフロー型シリンダ装置が組み込まれたセミアクティブサスペンションが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−177586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、比例ソレノイド弁は、精密部品であるためオン/オフ弁と比較して固着し易く、比例ソレノイド弁がソフト側の減衰力で固着した場合、フェール時を含み車両の走行安定性能が損なわれる。
【0005】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、仮に比例ソレノイド弁が固着した場合であっても車両の走行安定性能を確保することができ、且つ耐久性を向上させたシリンダ装置を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のシリンダ装置は、台車と車体との間に介装されるシリンダ装置であって、内部に作動流体が充填されるシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に挿嵌されて前記シリンダ内を2つの液室に画分するピストンと、前記ピストンに設けられて前記シリンダの一側の液室から他側の液室への作動流体の流通のみを許容する第1チェック弁と、前記一側の液室に接続されるリザーバと、前記リザーバから前記一側の液室への作動流体の流通のみを許容する第2チェック弁と、前記一側の液室に接続される一側流路と、前記他側の液室に接続される他側流路と、前記リザーバに接続されるリザーバ側流路と、前記他側流路と前記一側流路とを連通させる第1流路の連通・遮断を制御する第1電磁弁と、前記他側流路と前記リザーバ側流路とを連通させる第2流路の流路面積を可変制御する第1比例ソレノイド弁と、を備えて、前記第1電磁弁が非通電時に遮断されるように構成されて、前記第1流路と前記第2流路とは、前記他側流路に対して並列に接続されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、仮に比例ソレノイド弁が固着した場合であっても車両の走行安定性能を確保することができ、且つ耐久性を向上させたシリンダ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態のシリンダ装置の概略構造を示す図である。
【図2】第2実施形態のシリンダ装置の概略構造を示す図である。
【図3】第3実施形態のシリンダ装置の概略構造を示す図である。
【図4】第4実施形態のシリンダ装置の概略構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を添付した図を参照して説明する。なお、第1実施形態では、鉄道車両のセミアクティブサスペンションに組み込まれるユニフロー型シリンダ装置1を説明する。
図1に、第1実施形態のシリンダ装置1の概略を示す。シリンダ装置1は、内部に作動油が充填されるシリンダ2、シリンダ2内に摺動可能に挿嵌されてシリンダ2内を2つの液室2A,2Bに分画するピストン3、及び、一方の端部がピストン3に連結されて他側の液室2Bを通過してシリンダ2の外部へ延びるピストンロッド4を含む。ピストン3には、一側の液室2Aと他側の液室2Bとの間を連通させる油路5、及び油路5における一側の液室2Aから他側の液室2Bへの作動油の流通のみを許容する第1チェック弁6が設けられる。
【0010】
図1に示されるように、他側の液室2Bには、他側流路7が接続されている。また、一側の液室2Aには、一側流路8が接続されている。他側流路7と一側流路8とは、第1流路9によって接続(連通)されている。また、他側流路7と一側流路8とは、第2流路10によって接続(連通)されている。言い換えると、他側流路7は、分岐部11で第1流路9と第2流路10とに分岐されて、各流路9,10は、一側流路8に接続されている。第1流路9には、ポペット型のオン/オフ弁によって構成される第1電磁弁12が設けられる。第1電磁弁12は、非通電時、第1流路9における作動油の流通を遮断するように構成されている。また、第1電磁弁12は、通電時、他側流路7から一側流路8への作動油の流通を許容して、伸び行程時にソフト側の減衰力を発生させるように構成されている。
【0011】
第2流路10には、通電される制御電流の電流値に応じて発生する減衰力が調節される第1比例ソレノイド弁13(伸び側比例ソレノイド弁)が設けられる。第1比例ソレノイド弁13は、制御装置によって指令される制御電流に応じて第2流路10の流路面積を可変制御することで、減衰力がミディアム側からハード側までの間で調節されるように構成されている。そして、第1実施形態には、他側流路7、第1流路9、及び一側流路8を経由して他側の液室2Bと一側の液室2Aとを連通させる第1経路14と、他側流路7、第2流路10、及び一側流路8を経由して他側の液室2Bと一側の液室2Aとを連通させる第2経路15と、が構成されている。また、図1から理解できるように、第1電磁弁12と第1比例ソレノイド弁13とは、他側流路7に対して並列に接続されている。
【0012】
シリンダ装置1は、作動油が補充されたリザーバ16を備えている。リザーバ16には、リザーバ側流路17が接続されている。そして、リザーバ側流路17と一側の液室2Aとは、油路18によって接続(連通)されている。また、油路18には、リザーバ側流路17(リザーバ16)から一側の液室2Aへの作動油の流通のみを許容する第2チェック弁19が設けられている。一側流路8とリザーバ側流路17とは、第3流路20によって接続(連通)されている。また、一側流路8とリザーバ側流路17とは、第4流路21によって接続(連通)されている。言い換えると、一側流路8は、分岐部22で第3流路20と第4流路21とに分岐されて、各流路20,21は、リザーバ側流路17に接続されている。
【0013】
第3流路20には、ポペット型のオン/オフ弁によって構成される第2電磁弁23が設けられる。第2電磁弁23は、非通電時、第3流路20における作動油の流通を遮断するように構成されている。また、第2電磁弁23は、通電時、一側流路8からリザーバ側流路17への作動油の流通を許容して、縮み行程時にソフト側の減衰力を発生させるように構成されている。第4流路21には、通電される制御電流の電流値に応じて発生する減衰力が調節される第2比例ソレノイド弁24(縮み側ソレノイド弁)が設けられる。第2比例ソレノイド弁24は、制御装置によって指令される制御電流に応じて第4流路21の流路面積を可変制御することで、減衰力をミディアム側からハード側まで変化させることができるように構成されている。
【0014】
そして、第1実施形態には、一側流路8、第3流路20、及びリザーバ側流路17を経由して一側の液室2Aとリザーバ16とを連通させる第3経路25と、一側流路8、第4流路21、及びリザーバ側流路17を経由して一側の液室2Aとリザーバ16とを連通させる第4経路26と、が構成されている。また、図1から理解できるように、第2電磁弁23と第2比例ソレノイド弁24とは、一側流路8に対して並列に接続されている。なお、他側流路7とリザーバ側流路17とは、第1流路9又は第2流路10と第3流路20又は第4流路21とを経由して接続(連通)されている。
【0015】
次に、第1実施形態の作用を説明する。
シリンダ装置1の伸び行程時には、第1電磁弁12が閉弁されるとともに第2電磁弁23が開弁される。そして、ピストン3の移動に伴ってピストン3の第1チェック弁6が閉弁されて他側の液室2B内の作動油が加圧される。これにより、作動油は、第2経路15、すなわち、他側流路7、第2流路10を経由して第1比例ソレノイド弁13へ流れ、さらに、第2流路10、一側流路8を経由して一側の液室2Aへ流れる。ここで、作動油が第1比例ソレノイド弁13を通過することで、制御電流に応じて調節されたミディアム側とハード側との間の伸び側の減衰力が発生する。そして、ピストンロッド4がシリンダ2内から退出した分の作動油が、リザーバ16からリザーバ側流路17、油路18のチェック弁19を通過して一側の液室2Aへ流れる。なお、第1電磁弁12に通電することにより、伸び行程時にソフト側の減衰力を発生させることができる。
【0016】
また、シリンダ装置1の縮み行程時には、第2電磁弁23が閉弁されるとともに第1電磁弁12が開弁される。そして、ピストン3の移動に伴ってピストン3の第1チェック弁6が開弁されて、作動油が油路5を通って一側の液室2Aから他側の液室2Bへ流れる。他方、ピストンロッド4のシリンダ2内への侵入により、油路18の第2チェック弁19が閉弁されて一側の液室2A内の作動油が加圧される。これにより、ピストン3の移動によってシリンダ2内へ侵入したピストンロッド4の体積に相当する分の作動油が、一側の液室2Aから第4経路26、すなわち、一側流路8、第4流路21を経由して第2比例ソレノイド弁24へ流れ、さらに、第4流路21、リザーバ側流路17を経由してリザーバ16へ流れる。ここで、作動油が第2比例ソレノイド弁24を通過することで、制御電流に応じて調節されたミディアム側とハード側との間の縮み側の減衰力が発生する。なお、第2電磁弁23に通電することにより、縮み行程時にソフト側の減衰力を発生させることができる。
【0017】
なお、システムのフェイル時、すなわち、第1実施形態のシリンダ装置1を含むシステムへの電力供給が停止した場合、第1電磁弁12及び第2電磁弁23が閉弁される。これにより、伸び行程時には、第1比例ソレノイド弁13が少なくともミディアム側の減衰力を発生して、また、縮み行程時には、第2比例ソレノイド弁24が少なくともミディアム側の減衰力を発生する。すなわち、第1実施形態では、フェイル時であっても、伸び側及び縮み側の減衰力がソフト側に固定されることはない。
【0018】
したがって、第1実施形態によれば、第1比例ソレノイド弁13又は第2比例ソレノイド弁24が固着してしまった場合、又はシステムのフェイル時であっても、伸び行程時には、第1比例ソレノイド弁13が少なくともミディアム側の減衰力を発生して、縮み行程時には、第2比例ソレノイド弁24が少なくともミディアム側の減衰力を発生する、すなわち、伸び側及び縮み側の減衰力がソフト側で固定されることがないので、車両の走行安定性能を確保することができる。
また、伸び側の減衰力を発生させる第1比例ソレノイド弁13と縮み側の減衰力を発生させる第2比例ソレノイド弁24とを個々に設けたので、1つの比例ソレノイド弁で伸び側の減衰力と縮み側の減衰力とを発生させるシリンダ装置と比較した場合、各比例ソレノイド弁13,24に作用する圧力負荷頻度を減少(半減)させることができる。これにより、各比例ソレノイド弁13,24、延いては、シリンダ装置1の耐久性を向上させることができる。
【0019】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態を添付した図に基づき説明する。なお、前述した第1実施形態と同一又は相当の構成には、同一の名称及び符号を付与する。また、説明を簡潔にすることを目的に、第1実施形態と重複する説明を省く。
図2に、第2実施形態のシリンダ装置31の概略を示す。前述した第1実施形態のシリンダ装置1は、伸び側の減衰力を発生させる第1比例ソレノイド弁13と縮み側の減衰力を発生させる第2比例ソレノイド弁24とを備えているが、第2実施形態のシリンダ装置31は、伸び側の減衰力を発生させる第1比例ソレノイド弁13のみを備えている。すなわち、第2実施形態のシリンダ装置31は、第1実施形態のシリンダ装置1に対して、第2電磁弁23と第2比例ソレノイド弁24とが省かれて構成されている。
【0020】
第2実施形態のシリンダ装置31では、他側流路7とリザーバ側流路17とは、第5流路32によって接続(連通)されている。言い換えると、他側流路7は、分岐部11で第1流路9と第5流路32とに分岐されて、第1流路9は一側流路8に接続されて、第5流路32はリザーバ側流路17に接続されている。そして、第1実施形態のシリンダ装置1と同様に、第1電磁弁12と第1比例ソレノイド弁13とは、他側流路7に対して並列に接続されている。また、第3流路20には、第1実施形態のシリンダ装置1における第2電磁弁23の代わりに、第3流路20の流路面積を絞ることで既定の減衰力を発生するオリフィス33が設けられている。なお、作動油がオリフィス33を通過することにより発生する減衰力は、車両の走行安定性能が損なわれない程度に設定されている。
【0021】
第2実施形態によれば、シリンダ装置31の縮み行程時には、第1電磁弁12が開弁される。そして、ピストン3の移動に伴ってピストン3の第1チェック弁6が開弁されて、作動油が油路5を通って一側の液室2Aから他側の液室2Bへ流れる。他方、ピストンロッド4のシリンダ2内への侵入により、油路18の第2チェック弁19が閉弁されて一側の液室2A内の作動油が加圧される。これにより、ピストン3の移動によってシリンダ2内へ侵入したピストンロッド4の体積に相当する分の作動油が、一側の液室2Aから、第3経路25、すなわち、一側流路8、第3流路20を経由してオリフィス33へ流れ、さらに、第3流路20、リザーバ側流路17を経由してリザーバ16へ流れる。ここで、作動油が第3流路20に配置されたオリフィス33を通過することで、既定の縮み側の減衰力が発生する。
【0022】
第2実施形態によれば、前述した第1実施形態と同等の作用効果を得ることができる。また、第2実施形態のシリンダ装置31では、第2電磁弁23及び第2比例ソレノイド弁24を省いて縮み側の減衰力を発生させる回路を簡易化したことで、第1実施形態のシリンダ装置1と比較して製造コストを低下させることができる。
【0023】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態を添付した図に基づき説明する。なお、前述した第1及び第2実施形態と同一又は相当の構成には、同一の名称及び符号を付与する。また、説明を簡潔にすることを目的に、第1及び第2実施形態と重複する説明を省く。
図3に、第3実施形態のシリンダ装置41の概略を示す。第3実施形態のシリンダ装置41は、第1実施形態のシリンダ装置1に対して、第2電磁弁23を省いて縮み側の減衰力を発生させる回路が簡易化されている。また、第3実施形態のシリンダ装置41は、第2実施形態のシリンダ装置31に対して、第3流路20に、オリフィス33の代わりに第3比例ソレノイド弁42(縮み側比例ソレノイド弁)が設けられている点で構成が異なる。なお、第3比例ソレノイド弁42は、制御装置によって指令される制御電流に応じて第3流路20の流路面積を可変制御することで、減衰力をハード側からソフト側まで変化させることができるように構成されている。
【0024】
第3実施形態のシリンダ装置41における縮み行程時には、第1電磁弁12が開弁される。そして、ピストン3の移動に伴ってピストン3の第1チェック弁6が開弁されて、作動油が油路5を通って一側の液室2Aから他側の液室2Bへ流れる。他方、ピストンロッド4のシリンダ2内への侵入により、油路18の第2チェック弁19が閉弁されて一側の液室2A内の作動油が加圧される。これにより、ピストン3の移動によってシリンダ2内へ侵入したピストンロッド4の体積に相当する分の作動油が、一側の液室2Aから、第3経路25、すなわち、一側流路8、第3流路20、リザーバ側流路17を経由してリザーバ16へ流れる。ここで、作動油が第3流路20に配置された第3比例ソレノイド弁42を通過することで、制御電流に応じて調節されたハード側とソフト側との間の縮み側の減衰力が発生する。
【0025】
第3実施形態によれば、前述した第1及び第2実施形態と同等の作用効果を得ることができる。また、第3実施形態のシリンダ装置41では、第2電磁弁23を省いて縮み側の減衰力を発生させる回路を簡易化したことで、第1実施形態のシリンダ装置1と比較して製造コストを低下させることができる。
なお、第3実施形態のシリンダ装置41では、第3比例ソレノイド弁42が固着して第3比例ソレノイド弁42の減衰力がソフト側で固定されることがあるが、車両の走行安定性能への影響がより大きい伸び側の減衰力はソフト側に固定されることはないので、車両の走行安定性能は最小限確保される。
また、フェイル時には、減衰力がハード側で固定される比例ソレノイド弁42を使用したので、フェイル時に減衰力がソフト側で固定されるシステムと比較した場合、車両の走行安定性能は確保される。
【0026】
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態を添付した図に基づき説明する。なお、前述した第1乃至第3実施形態と同一又は相当の構成には、同一の名称及び符号を付与する。また、説明を簡潔にすることを目的に、第1乃至第3実施形態と重複する説明を省く。
図4に、第4実施形態のシリンダ装置51の概略を示す。第4実施形態のシリンダ装置51は、第3実施形態のシリンダ装置41を基に、フェイル時に、伸び側の回路が予め決定された減衰力を発生するように構成したものである。また、第4実施形態のシリンダ装置51では、第3実施形態のシリンダ装置41の第5流路32に設けられて減衰力がミディアム側からハード側までの間で調節される第1比例ソレノイド弁13が、減衰力がハード側からミディアム側までの間で調節される第4比例ソレノイド弁52に交換されている。
【0027】
第4実施形態のシリンダ装置51では、他側流路7とリザーバ側流路17とが、第5流路32とは別個に、第6流路53によって接続(連通)されている。この第6流路53には、ポペット型のオン/オフ弁によって構成される第3電磁弁54と、第3電磁弁54に対してリザーバ側流路17側(図4における右側)に配置されて第6流路53の流路面積を絞ることで予め決められた減衰力を発生するオリフィス55と、が直列に接続されている。なお、第3電磁弁54は、非通電時に開弁されて、第6流路53における作動油の流通を許容するように構成されている。
【0028】
第4実施形態のシリンダ装置51では、フェイル時、すなわち、第4実施形態のシリンダ装置51を含むシステムへの電力供給が停止した場合、第1電磁弁12が閉弁されるとともに第3電磁弁54が開弁される。そして、シリンダ装置51の伸び行程時には、第4比例ソレノイド弁52がハード側の減衰力で固定されていることで、作動油は、他側流路7、第6流路53、リザーバ側流路17、油路18を経由して一側の液室2Aへ流れる。ここで、作動油が第6流路53に配置されたオリフィス55を通過することで、既定の伸び側の減衰力が発生する。
【0029】
第4実施形態によれば、前述した第1乃至第3実施形態と同等の作用効果を得ることができる。また、第4実施形態のシリンダ装置51では、フェイル時の伸び行程時に、作動油がオリフィス55を通過するので、予め決定された伸び側の減衰力を発生させることができ、特に、第3実施形態のシリンダ装置41を採用したシステムと比較して、フェール時における車両の走行安定性能をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0030】
1 シリンダ装置、2 シリンダ、2A 一側の液室、2B 他側の液室、3 ピストン、6 第1チェック弁、7 他側流路、8 一側流路、9 第1流路、10 第2流路、12 第1電磁弁、13 第1比例ソレノイド弁、16 リザーバ、17 リザーバ側流路、19 第2チェック弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車と車体との間に介装されるシリンダ装置であって、
内部に作動流体が充填されるシリンダと、
前記シリンダ内に摺動可能に挿嵌されて前記シリンダ内を2つの液室に画分するピストンと、
前記ピストンに設けられて前記シリンダの一側の液室から他側の液室への作動流体の流通のみを許容する第1チェック弁と、
前記一側の液室に接続されるリザーバと、
前記リザーバから前記一側の液室への作動流体の流通のみを許容する第2チェック弁と、
前記一側の液室に接続される一側流路と、
前記他側の液室に接続される他側流路と、
前記リザーバに接続されるリザーバ側流路と、
前記他側流路と前記一側流路とを連通させる第1流路の連通・遮断を制御する第1電磁弁と、
前記他側流路と前記リザーバ側流路とを連通させる第2流路の流路面積を可変制御する第1比例ソレノイド弁と、を備えて、
前記第1電磁弁が非通電時に遮断されるように構成されて、
前記第1流路と前記第2流路とは、前記他側流路に対して並列に接続されることを特徴とするシリンダ装置。
【請求項2】
前記一側流路と前記リザーバ側流路とを連通させる第3流路の連通・遮断を制御する第2電磁弁と、
前記一側流路と前記リザーバ側流路とを連通させる第4流路の流路面積を可変制御する第2比例ソレノイド弁と、を備えて、
前記第2電磁弁が非通電時に遮断されるように構成されて、
前記第3流路と前記第4流路とは、前記一側流路に対して並列に接続されることを特徴とする請求項1に記載のシリンダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−250561(P2012−250561A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122605(P2011−122605)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】