説明

シロキサン樹脂組成物、それを用いた硬化膜および光学デバイス

【課題】下地段差の被覆性が良好で、かつ耐湿熱性に優れる硬化膜を与えるシロキサン樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)(a−1)ラジカル重合性有機基を有するシラン化合物と、(a−2)ラジカル重合性有機基を有さないシラン化合物とを加水分解および縮合させて得られる、ラジカル重合性有機基を有し、H−Si結合を有さないポリシロキサンであって、該ポリシロキサン中(a−1)ラジカル重合性有機基を有するシラン化合物の共重合比が1モル%〜15モル%であるポリシロキサン、(B)ラジカル重合開始剤および(C)溶剤を含有することを特徴とするシロキサン樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シロキサン樹脂組成物とそれを用いた硬化膜および光学デバイスに関する。本発明のシロキサン樹脂組成物は、固体撮像素子用マイクロレンズアレイをはじめとする光学レンズ、液晶や有機電界発光(EL)ディスプレイの薄膜トランジスタ(TFT)用平坦化膜、反射防止膜、反射防止フィルム、反射防止板、光学フィルターなどの各種光学デバイスに好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
電荷結合素子(CCD)や相補形金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサなどの固体撮像素子、あるいはディスプレイ用基板、各種反射防止膜などに於いては、各種レンズ材料や平坦化膜などの様々なコーティング材料が用いられる。これらのコーティング材料には、透明性、適切な屈折率などの光学特性に加え、耐熱性、フォトリソグラフィによる加工性など多くの特性が求められる。こうした要求に対し、シロキサン化合物を含むコーティング組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
こうした用途に用いられるコーティング材料は、大小様々な段差を有する下地、基板上に塗布されることが多い。このため、前記の特性に加え、下地段差を完全に被覆し、表面を平坦にする性能が求められる。しかしながら、従来のシロキサン化合物を含む樹脂組成物は下地段差や基板との濡れ性不良などによる塗布ムラが生じやすく、下地段差の被覆性が不十分であった。また、シラノールの脱水縮合機構により硬化するため硬化時に大きな体積収縮が生じ、段差の平坦化特性を悪化させることがあった。
【0004】
特に、固体撮像素子用マイクロレンズの平坦化膜としては、凹凸の大きいマイクロレンズを平坦化する特性を有し、さらにマイクロレンズの集光効率向上のため低屈折率であるものが好ましい。しかしながら、これら両方の特性を満たす良好な平坦化膜は知られていない。
【0005】
また、近年、車載用途で多くの固体撮像素子が用いられているが、こうした用途に於いては厳しい環境条件下でデバイスの信頼性を確保する必要がある。特に高温高湿条件下でも膜物性が変化しない耐湿熱性が重要である。これに対し、従来の含フッ素アクリル系平坦化膜やシロキサン系コーティング材料は、高温高湿のプレッシャークッカー試験(PCT)条件に曝すと膜の光学特性が変化したり、膜厚が薄くなる等の課題を有していた。
【0006】
また、シロキサン化合物は硬度、透過率が高く、屈折率を調整しやすいことから、上記用途以外にも、ハードコート層材料や光導波路形成材料などに用いられている(例えば、特許文献2〜3参照)。
【特許文献1】特開2001−81404号公報
【特許文献2】特開2007−277332号公報
【特許文献3】特開2003−227949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、下地段差の被覆性が良好で、かつ耐湿熱性に優れる硬化膜を与えるシロキサン樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(A)(a−1)ラジカル重合性有機基を有するシラン化合物と、(a−2)ラジカル重合性有機基を有さないシラン化合物とを加水分解および縮合させて得られる、ラジカル重合性有機基を有し、H−Si結合を有さないポリシロキサンであって、該ポリシロキサン中(a−1)ラジカル重合性有機基を有するシラン化合物の共重合比が1モル%〜15モル%であるポリシロキサン、(B)ラジカル重合開始剤および(C)溶剤を含有することを特徴とするシロキサン樹脂組成物である。また、(A’)ラジカル重合性有機基を有し、H−Si結合を有さないポリシロキサンであって、該ポリシロキサン中、ラジカル重合性有機基の含有率がSi原子に対して1モル%〜15モル%であるポリシロキサン、(B)ラジカル重合開始剤および(C)溶剤を含有することを特徴とするシロキサン樹脂組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシロキサン樹脂組成物は、硬化収縮が小さく下地段差の被覆性が良好である。また、硬化後の耐クラック性が良好であり、高温高湿条件下でも光学特性の変化が小さい。本発明のシロキサン樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜は、特に、反射防止シートや反射防止フィルムなどのハードコート層や、固体撮像素子用マイクロレンズを初めとする光学デバイスに好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に本発明について具体的に説明する。
【0011】
本発明のシロキサン樹脂組成物は、(A)(a−1)ラジカル重合性有機基を有するシラン化合物と、(a−2)ラジカル重合性有機基を有さないシラン化合物とを加水分解および縮合させて得られる、ラジカル重合性有機基を有し、H−Si結合を有さないポリシロキサンであって、該ポリシロキサン中(a−1)ラジカル重合性有機基を有するシラン化合物の共重合比が1モル%〜15モル%であるポリシロキサン(B)ラジカル重合開始剤および(C)溶剤を含有する。また、ポリシロキサンとして(A’)ラジカル重合性有機基を有し、H−Si結合を有さないポリシロキサンであって、該ポリシロキサン中、ラジカル重合性有機基の含有率がSi原子に対して1モル%〜15モル%であるポリシロキサンを含有してもよい。
【0012】
本発明のシロキサン樹脂組成物に用いられる(A)または(A’)のポリシロキサンは、ラジカル重合性有機基を有し、H−Si結合を有さないものである。H−Si結合を含むポリシロキサンの硬化膜は、高温高湿に曝されるとH−Si結合の加水分解反応や酸化反応が進行して膜物性が変化する。一方、本発明のシロキサン樹脂組成物ではこのような膜物性の変化は生じず、信頼性の高い硬化膜を得ることができる。また、ラジカル重合性有機基を有するポリシロキサンを用いることにより、ラジカル重合により硬化することができ、硬化収縮を小さくすることができる。このため、段差被覆性を向上させることができる。また、高温高湿条件下においても膜物性を維持することができ、光学特性の変化を小さくすることができる。ポリシロキサン中のラジカル重合性有機基の含有量は、Si原子に対して1モル%以上15モル%以下であり、5モル%以上が好ましい。1モル%以上であれば、硬化収縮が小さくなり段差被覆性を向上させることができる。また、15モル%以下であれば、クラックの発生しにくい硬化膜を得られる。
【0013】
ラジカル重合性有機基の具体例としては、ビニル基、α−メチルビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基などの不飽和有機基が挙げられる。これらラジカル重合性有機基のうち、膜中での硬化反応が円滑に進むことや、耐クラック性が良いことから、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有するものが好ましい。
【0014】
(A)成分のポリシロキサンは、(a−1)ラジカル重合性有機基を有するシラン化合物と、(a−2)ラジカル重合性有機基を有さないシラン化合物とを加水分解および縮合させて得られるものである。(a−2)ラジカル重合性有機基を有さないシラン化合物は、(a−2−1)フェニルトリアルコキシシラン化合物および/または(a−2−2)フッ素を有するシラン化合物が好ましい。
【0015】
(a−1)ラジカル重合性有機基を有するシラン化合物と(a−2−1)フェニルトリアルコキシシランを加水分解および縮合させて得られるものであると、硬化収縮をより低減でき、段差被覆性がより向上することに加え、硬化膜の耐クラック性が向上するため好ましい。(a−2−1)フェニルトリアルコキシシランの量は、(a−1)、(a−2)のシラン化合物中、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましい。5モル%以上であれば段差被覆性をより向上されることができる。また、70モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましい。70モル%以下であれば、硬化膜の硬度を高くすることができる。
【0016】
また、低屈折率や撥水性が求められる用途においては、(a−1)ラジカル重合性有機基を有するシラン化合物と(a−2−2)フッ素を有するシラン化合物を加水分解および縮合させて得られるものであることが好ましい。(a−1)および(a−2−2)のシラン化合物としては、加水分解、縮合反応の容易さの点からアルコキシシラン化合物またはアセトキシシラン化合物が好ましく用いられる。
【0017】
いずれの場合にも、加水分解・縮合させる(a−1)ラジカル重合性有機基を有するシラン化合物の量は、(a−1)、(a−2)のシラン化合物全量100モル%中、1モル%以上15モル%以下であり、5モル%以上が好ましい。1モル%未満の場合、ラジカル重合性基の重合による段差被覆性向上の効果が得られず、15モル%を超える場合、硬くてもろい硬化膜となり耐クラック性が低化する。
【0018】
(a−1)ラジカル重合性有機基を有するシラン化合物の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシランなどが挙げられる。これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。これらのうち、硬化膜の耐湿熱性、耐クラック性や透過率の点で、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリエトキシシランが特に好ましく用いられる。
【0019】
(a−2−1)フェニルトリアルコキシシランの具体例としては、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシランなどが挙げられる。これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。これらのうち、加水分解反応の容易さから、フェニルトリメトキシシランが特に好ましく用いられる。
【0020】
(a−2−2)フッ素を含有するシラン化合物の例としては、トリフルオロメチル基、トリフルオロプロピル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロペンチル基、トリデカフルオロオクチル基などの含フッ素炭化水素基を有するシラン化合物が挙げられる。フッ素の含有量に制限はないが、フッ素含有量を増やすことで屈折率の低い膜が得られることから、樹脂組成物の全固形分に占めるフッ素原子の割合が10重量%以上であることが好ましい。固体撮像素子用オンチップマイクロレンズパターンの平坦化膜は、マイクロレンズの集光効率向上の観点から、屈折率の低い材料を用いることが好ましい。このため、該用途に用いる場合には、フッ素を含有し、かつ芳香環を含有しないシラン化合物を用いることが好ましい。
【0021】
(a−2−2)フッ素を含有するシラン化合物は、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表されるアルコキシシラン化合物から選ばれる1種以上であることがより好ましい。このようなアルコキシシラン化合物を用いることにより、塗布の際のレベリング性が向上し、段差被覆性がより向上する。
Si(OR (1)
Si(OR (2)
Si(OR (3)
上記一般式(1)〜(3)中、R、RおよびRは、それぞれ炭素数1から13のフッ素置換アルキル基を表す。Rは炭素数1から10のアルキル基を表す。また、R、R、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはアセチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0022】
前記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロペンチルトリメトキシシラン、パーフルオロペンチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリプロポキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリイソプロポキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなどが挙げられる。前記一般式(2)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、ビス(トリフルオロメチル)ジメトキシシラン、ビス(トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、ビス(トリフルオロプロピル)ジエトキシシランなどが挙げられる。また、前記一般式(3)で表されるアルコキシシラン化合物の具体例としては、トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジエトキシシラン、トリフルオロプロピルエチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルエチルジエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。これらのうち、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシランが特に好ましく用いられる。また、これらのシラン化合物を2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0023】
本発明のシロキサン樹脂組成物中の(A)または(A’)のラジカル重合性有機基を有し、H−Si結合を有さないポリシロキサンの含有量に特に制限はなく、所望の膜厚や用途により任意に選ぶことができるが、シロキサン樹脂組成物中0.1〜80重量%が一般的である。また、固形分中10重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。
【0024】
本発明のシロキサン樹脂組成物に用いられる(A)または(A’)のラジカル重合性有機基を有し、H−Si結合を有さないポリシロキサンの重量平均分子量(Mw)は、特に制限されないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算で、好ましくは1,000以上、より好ましくは2,000以上である。また、好ましくは100,000以下、さらに好ましくは50,000以下である。Mwを上記範囲とすることで、良好な塗布特性とレベリング性を両立でき、かつパターン形成の際の現像液への溶解性も良好となる。
【0025】
本発明のシロキサン樹脂組成物に用いられる(A)または(A’)のラジカル重合性有機基を有し、H−Si結合を有さないポリシロキサンは、好ましくは(a−1)と、(a−2)ラジカル重合性有機基を有さないシラン化合物、好ましくは(a−2−1)および/または(a−2−2)のシラン化合物を加水分解した後、該加水分解物を溶媒の存在下、あるいは無溶媒で縮合反応させることによって得ることができる。
【0026】
本発明のシロキサン樹脂組成物に用いられる(A)ラジカル重合性有機基を有し、H−Si結合を有さないポリシロキサンには、(a−1)〜(a−2)以外のシラン化合物を共重合してもよい。共重合するシラン化合物に特に制限はないが、加水分解、縮合反応の容易さからアルコキシシラン化合物やアセトキシシラン化合物が好ましく用いられる。共重合するシラン化合物の例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシエトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが挙げられる。また、これらのシラン化合物を2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0027】
加水分解反応の各種条件、例えば酸濃度、反応温度、反応時間などは、反応スケール、反応容器の大きさ、形状などを考慮して適宜設定することができるが、例えば、溶媒中、シラン化合物に酸触媒および水を1〜180分かけて添加した後、室温〜110℃で1〜180分反応させることが好ましい。このような条件で加水分解反応を行うことにより、急激な反応を抑制することができる。反応温度は、より好ましくは30〜105℃である。
【0028】
加水分解反応は、酸触媒の存在下で行うことが好ましい。ここで用いる酸触媒としては、塩酸、酢酸、蟻酸、硝酸、蓚酸、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、多価カルボン酸あるいはその無水物、イオン交換樹脂などの酸触媒が挙げられ、特に蟻酸、酢酸またはリン酸を含む酸性水溶液が好ましい。これら酸触媒の好ましい含有量は、加水分解反応時に使用される全シラン化合物100重量%に対して、好ましくは、0.05重量%〜10重量%、特に好ましくは、0.1重量%〜5重量%である。酸触媒の量を上記範囲とすることで、加水分解反応が必要かつ十分に進行するよう容易に制御できる。
【0029】
シラン化合物の加水分解反応によりシラノール化合物を得た後、反応液をそのまま50℃以上、溶媒の沸点以下で1〜100時間加熱し、縮合反応を行うことが好ましい。また、ポリシロキサンの重合度を上げるために、再加熱もしくは塩基触媒の添加を行うことも可能である。
【0030】
シラン化合物の加水分解反応および該加水分解物の縮合反応に用いられる溶媒は特に限定されず、樹脂組成物の安定性、塗れ性、揮発性などを考慮して適宜選択できる。また、溶媒を2種以上組み合わせてもよいし、無溶媒で反応を行ってもよい。溶媒の具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール、1−t−ブトキシ−2−プロパノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類;メチルエチルケトン、アセチルアセトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、2−ヘプタノンなどのケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、イソブチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのアセテート類;トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。硬化膜の透過率、耐クラック性などの点で、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、1−t−ブトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、γ−ブチロラクトンなども好ましく用いられる。
【0031】
加水分解反応によって溶媒が生成する場合には、無溶媒で加水分解させることも可能である。反応終了後に、さらに溶媒を添加することにより、樹脂組成物として適切な濃度に調整することも好ましい。また、目的に応じて加水分解後に、生成アルコールなどを加熱および/または減圧下にて適量を留出、除去し、その後好適な溶媒を添加してもよい。
【0032】
加水分解反応時に使用する溶媒の量は、全シラン化合物100重量部に対して、50重量部以上が好ましく、80重量部以上がより好ましい。また、1000重量部以下が好ましく、500重量%以下がより好ましい。溶媒の量を上記範囲とすることで、加水分解反応が必要かつ十分に進行するよう容易に制御できる。
【0033】
また、加水分解反応に用いる水は、イオン交換水が好ましい。水の量は任意に選択可能であるが、シラン化合物1モルに対して、1.0〜4.0モルの範囲で用いることが好ましい。
【0034】
また、本発明のシロキサン樹脂組成物に含まれる(A)または(A’)のラジカル重合性有機基を有し、H−Si結合を有さないポリシロキサンは、後述の各種金属化合物粒子が共重合されたポリシロキサンであってもよい。金属化合物粒子の共重合方法としては、前述のシラン化合物から合成されたポリシロキサンと金属化合物粒子を反応させる方法や、前述のシラン化合物の加水分解系中あるいは縮合系中に金属化合物粒子を存在させて両者を反応させる方法等が挙げられる。ポリシロキサン中に金属化合物粒子が組み込まれ、ポリシロキサンの少なくとも一部に化学的に結合(金属化合物粒子と共有結合)していることにより、粒子の分散が安定し、機械特性も向上する。
【0035】
本発明のシロキサン樹脂組成物は、(B)ラジカル重合開始剤を含有する。(B)ラジカル重合開始剤は、上記(A)または(A’)成分のポリシロキサンをラジカル重合せしめることが可能であればどのようなものでもよく、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤のいずれも用いることができる。また、2種以上のラジカル開始剤を使用することもできる。ラジカル重合開始剤を使用することで、耐湿熱性が向上するとともに、熱処理での収縮を抑えられることから段差被覆性も良好となる。
【0036】
熱ラジカル重合開始剤の例としては、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ−(4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキシル)プロパン、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシマレイン酸、t−ブチルペルオキシ−3,5,5トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシアセテート、2,2−ジ(t−ブチルペルオキシ)ブタン、t−ブチルペルオキシベンゾエート、n−ブチル4,4−ジ(t−ブチルペルオキシ)バレレート、ジ(2−t−ペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルペルオキシド、ジ−t−ヘキシルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3−ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、4,4−アゾビスイソブチロニトリルなどが挙げられる。
【0037】
光ラジカル重合開始剤の例としては、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アルキル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロペンアミニウムクロリド一水塩、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イロキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパナミニウムクロリド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、メチルフェニルグリオキシエステル、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロフォスフェイト(1−)、ジフェニルスルフィド誘導体、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−ベンゾイル−4−メチルフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,3−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、ベンジルメトキシエチルアセタール、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、ナフタレンスルフォニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイルおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組み合わせなどが挙げられる。
【0038】
ハードコート材や液晶ディスプレイ用のフォトスペーサーなど、硬化膜に高い硬度が求められる用途においては、(B)ラジカル重合開始剤が、α−アミノアルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシムエステル化合物、アミノ基を有するベンゾフェノン化合物、アミノ基を有する安息香酸エステル化合物からなる群から選ばれる一種以上であることが好ましい。これらの化合物を用いると、硬化膜の硬度が向上する。そのメカニズムは明らかではないが、上記化合物がラジカル重合性有機基の重合反応を開始させるのみでなく、シロキサン樹脂組成物の加熱硬化時にも塩基性触媒として(A)ポリシロキサンの硬化反応に関与するためと考えられる。
【0039】
α−アミノアルキルフェノン化合物の具体例としては、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1などが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド化合物の具体例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)−ホスフィンオキサイドなどが挙げられる。オキシムエステル化合物の具体例としては、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]、−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)などが挙げられる。アミノ基を有するベンゾフェノン化合物の具体例としては、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。アミノ基を有する安息香酸エステル化合物の具体例としては、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、2−エチルヘキシル−p−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジエチルアミノ安息香酸エチルなどが挙げられる。これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0040】
(B)ラジカル重合開始剤の含有量は、シロキサン樹脂組成物の固形分中0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましい。また、15重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましく、5重量%以下がより好ましい。上記範囲とすることで、ラジカル硬化を十分に進めることができ、かつ残留したラジカル重合開始剤の溶出等を防ぎ耐溶剤性を確保することができる。
【0041】
本発明のシロキサン樹脂組成物は、(C)溶剤を含有する。溶剤は特に制限されないが、各成分を均一に溶解し、得られる塗布膜の透明性を向上させることができる点で、アルコール性水酸基を有する化合物またはカルボニル基を有する環状化合物が好ましく用いられる。これらを2種以上組み合わせてもよい。また、大気圧下の沸点が110〜250℃である化合物がより好ましい。沸点を110℃以上とすることで、塗膜時に適度に乾燥が進み、塗布ムラのない良好な塗膜が得られる。一方、沸点を250℃以下とした場合、膜中の残存溶剤量を少なく抑えることができ、熱硬化時の膜収縮をより低減できるため、より良好な平坦性が得られる。
【0042】
アルコール性水酸基を有し、大気圧下の沸点が110〜250℃である化合物の具体例としては、アセトール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(ジアセトンアルコール)、乳酸エチル、乳酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、1−t−ブトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール等が挙げられる。これらの中でも、保存安定性の観点からはジアセトンアルコールが好ましく、また段差被覆性に関しては1−t−ブトキシ−2−プロパノールが特に好ましく用いられる。
【0043】
カルボニル基を有し、大気圧下の沸点が110〜250℃である環状化合物の具体例としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、炭酸プロピレン、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノンが挙げられる。これらの中でも、特にγ−ブチロラクトンが好ましく用いられる。
【0044】
また、本発明のシロキサン樹脂組成物は、上記以外の溶剤を含有してもよい。例えば、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、アセト酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−1−ブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテートなどのエステル類、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類が挙げられる。
【0045】
(C)溶剤の含有量に特に制限はなく、塗布方法などに応じて任意の量用いることができる。例えば、スピンコーティングにより膜形成を行う場合には、溶剤量をシロキサン樹脂組成物全体の50〜95重量%とするのが一般的である。
【0046】
本発明のシロキサン樹脂組成物は、さらに(D)ラジカル重合性モノマーを含有することが好ましい。ラジカル重合性モノマーを含有することにより、ラジカル硬化が十分に進行し、安定な硬化膜を得ることができる。また、硬化収縮が小さくなるため、段差被覆性がより良好となる。
【0047】
(D)ラジカル重合性モノマーの具体例として、アクリルモノマー類を挙げることができる。ラジカル重合性モノマーは単官能でも多官能でもよい。
【0048】
単官能のラジカル重合性モノマーの具体例として、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアクリルアミド、ジメチルアミノエチルメタクリレート、アクリロイルモロフォリン、1−ヒドロキシエチルα−クロロアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルα−クロロアクリレート、1−ヒドロキシプロピルメタクリレート、1−ヒドロキシプロピルアクリレート、1−ヒドロキシプロピルα−クロロアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルα−クロロアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルα−クロロアクリレート、1−ヒドロキシ−1−メチルエチルメタクリレート、1−ヒドロキシ−1−メチルエチルアクリレート、1−ヒドロキシ−1−メチルエチルα−クロロアクリレート、2−ヒドロキシ−1−メチルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−1−メチルエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−1−メチルエチルα−クロロアクリレート、1−ヒドロキシブチルメタクリレート、1−ヒドロキシブチルアクリレート、1−ヒドロキシブチルα−クロロアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルα−クロロアクリレート、3−ヒドロキシブチルメタクリレート、3−ヒドロキシブチルアクリレート、3−ヒドロキシブチルα−クロロアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルα−クロロアクリレート、1−ヒドロキシ−1−メチルプロピルメタクリレート、1−ヒドロキシ−1−メチルプロピルアクリレート、1−ヒドロキシ−1−メチルプロピルα−クロロアクリレート、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピルα−クロロアクリレート、1−ヒドロキシ−2−メチルプロピルメタクリレート、1−ヒドロキシ−2−メチルプロピルアクリレート、1−ヒドロキシ−2−メチルプロピルα−クロロアクリレート、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルα−クロロアクリレート、2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチルα−クロロアクリレート、1,2−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、1,2−ジヒドロキシプロピルアクリレート、1,2−ジヒドロキシプロピルα−クロロアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルα−クロロアクリレート、2,3−ジヒドロキシブチルメタクリレート、2,3−ジヒドロキシブチルアクリレート、2,3−ジヒドロキシブチルα−クロロアクリレート、p−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノール、フェネチルメタクリレート、フェネチルアクリレート、フェネチルα−クロロアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、α−クロロアクリル酸、クロトン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノナン酸、9−デカン酸、10−ウンデシレン酸、ブラシジン酸、リシノール酸、2−(メタクリロイロキシ)エチルイソシアネート、2−(アクリロイロキシ)エチルイソシアネート、2−(α−クロロアクリロイロキシ)エチルイソシアネート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などを挙げることができる。
【0049】
多官能ラジカル重合性モノマーの具体例として、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、グリセリントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エトキシ化イソシアヌール酸トリアクリレートなどの化合物を挙げることができる。これらを2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0050】
(D)ラジカル重合性モノマー含有量は、樹脂組成物の固形分中1重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましい。また、50重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましい。含有量を上記範囲とすることで、硬化が過不足なく進行し、硬化収縮のより小さい安定な硬化膜を得ることができる。また、硬化収縮が小さくなるため、段差被覆性がより良好となる。
【0051】
本発明のシロキサン樹脂組成物は、(E)金属化合物粒子を含有してもよい。(E)金属化合物粒子を含有することにより、屈折率調整を調整することができ、耐クラック性や弾性率が向上する。(E)金属化合物粒子の数平均粒子径は、1nm〜200nmが好ましい。透過率の高い硬化膜を得るためには、数平均粒子径1nm〜70nmであることがより好ましい。ここで、金属化合物粒子の数平均粒子径は、ガス吸着法や動的光散乱法、X線小角散乱法、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡により粒子径を直接測定する方法などにより測定することができる。
【0052】
(E)金属化合物粒子の例としては、シリコン化合物粒子、アルミニウム化合物粒子、スズ化合物粒子、チタン化合物粒子、ジルコニウム化合物粒子などが挙げられ、用途により適当なものを選ぶことができる。例えば、高屈折率の硬化膜を得るには酸化チタン粒子などのチタン化合物粒子や、酸化ジルコニウム粒子などのジルコニウム化合物粒子が好ましく用いられる。また、低屈折率の硬化膜を得るには、中空シリカ粒子などを含有することが好ましい。
【0053】
市販されている金属化合物粒子の例としては、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子の“オプトレイク(登録商標)”TR−502、“オプトレイク(登録商標)”TR−503、“オプトレイク(登録商標)”TR−504、“オプトレイク(登録商標)”TR−513、“オプトレイク(登録商標)”TR−520、“オプトレイク(登録商標)”TR−527、“オプトレイク(登録商標)”TR−528、“オプトレイク(登録商標)”TR−529、酸化チタン粒子の“オプトレイク(登録商標)”TR−505((以上、商品名、触媒化成工業(株)製)、酸化ジルコニウム粒子((株)高純度化学研究所製)、酸化スズ−酸化ジルコニウム複合粒子(触媒化成工業(株)製)、酸化スズ粒子((株)高純度化学研究所製)などが挙げられる。
【0054】
また、シリカ粒子として、イソプロパノールを分散媒とした数平均粒子径12nmのIPA−ST、メチルイソブチルケトンを分散媒とした数平均粒子径12nmのMIBK−ST、イソプロパノールを分散媒とした数平均粒子径45nmのIPA−ST−L、イソプロパノールを分散媒とした数平均粒子径100nmのIPA−ST−ZL、プロピレングリコールモノメチルエーテルを分散媒とした数平均粒子径15nmのPGM−ST(以上商品名、日産化学工業(株)製)、γ−ブチロラクトンを分散媒とした数平均粒子径12nmのオスカル101、γ−ブチロラクトンを分散媒とした数平均粒子径60nmのオスカル105、ジアセトンアルコールを分散媒とした数平均粒子径120nmのオスカル106、分散溶液が水である数平均粒子径5〜80nmのカタロイド−S(以上商品名、触媒化成工業(株)製)、プロピレングリコールモノメチルエーテルを分散媒とした数平均粒子径16nmのクォートロンPL−2L−PGME、γ−ブチロラクトンを分散媒とした数平均粒子径17nmのクォートロンPL−2L−BL、ジアセトンアルコールを分散媒とした数平均粒子径17nmのクォートロンPL−2L−DAA、分散溶液が水である数平均粒子径18〜20nmのクォートロンPL−2L、GP−2L(以上商品名、扶桑化学工業(株)製)、数平均粒子径が100nmであるシリカ(SiO2)SG−SO100(商品名、共立マテリアル(株)製)、数平均粒子径が5〜50nmであるレオロシール(商品名、(株)トクヤマ製)などが挙げられる。
【0055】
(E)金属化合物粒子の含有量に特に制限はなく、用途によって適当な量とすることができるが、シロキサン樹脂組成物の固形分中1〜70重量%程度とするのが一般的である。
【0056】
本発明のシロキサン樹脂組成物は、樹脂組成物の硬化を促進させる、あるいは硬化を容易ならしめる各種の硬化剤を含有してもよい。硬化剤の具体例としては、窒素含有有機物、シリコーン樹脂硬化剤、各種金属アルコレート、各種金属キレート化合物、イソシアネート化合物およびその重合体、メチロール化メラミン誘導体、メチロール化尿素誘導体などがあり、これらを一種類ないし2種類以上含有してもよい。なかでも、硬化剤の安定性、得られた塗布膜の加工性などから金属キレート化合物、メチロール化メラミン誘導体、メチロール化尿素誘導体が好ましく用いられる。
【0057】
金属キレート化合物としてはチタンキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物およびマグネシウムキレート化合物が挙げられる。これらの金属キレート化合物は、金属アルコキシドにキレート化剤を反応させることにより容易に得ることができる。キレート化剤の例としては、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタンなどのβ−ジケトン;アセト酢酸エチル、ベンゾイル酢酸エチルなどのβ−ケト酸エステルなどを挙げることができる。金属キレート化合物の好ましい具体的な例としては、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)などのアルミニウムキレート化合物、エチルアセトアセテートマグネシウムモノイソプロピレート、マグネシウムビス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートマグネシウムモノソプロピレート、マグネシウムビス(アセチルアセトネート)などのマグネシウムキレート化合物が挙げられる。硬化剤の含有量は、シロキサン樹脂組成物中の固形分中好ましくは0.1重量%〜10重量%であり、より好ましくは、0.5重量%〜6重量%である。
【0058】
また、メチロール化メラミン誘導体、メチロール化尿素誘導体としては、以下のようなメラミン誘導体や尿素誘導体(商品名、三和ケミカル(株)製)が例として挙げられる。メチロール化メラミン誘導体やメチロール化尿素誘導体の含有量は、シロキサン樹脂組成物中の固形分中好ましくは0.1重量%〜20重量%であり、より好ましくは、0.5重量%〜10重量%である。
【0059】
【化1】

【0060】
ポリシロキサンは酸により硬化が促進されるので、本発明のシロキサン樹脂組成物中に熱酸発生剤等の硬化触媒を含有してもよい。熱酸発生剤としては、芳香族ジアゾニウム塩、スルフォニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩、トリアリールセレニウム塩等の各種オニウム塩系化合物、スルホン酸エステル、ハロゲン化合物等が挙げられる。
【0061】
具体例として、スルフォニウム塩としては、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルフォニウムトリフレート(試作品「W」 三新化学工業(株)製)、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウムトリフレート(試作品「O」 三新化学工業(株)製)、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウムトリフレート(試作品「N」 三新化学工業(株)製)、4−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウムトリフレート、4−ヒドロキシフェニルメチル−1−ナフチルメチルスルフォニウムトリフレート、4−メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルフォニウム トリフレート(試作品「J」 三新化学工業(株)製)、ベンジル−4−メトキシカルボニルオキシフェニルメチルスルフォニウムトリフレート(試作品「T」 三新化学工業(株)製)、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルフォニウムトリフレート(試作品「U」 三新化学工業(株)製)、4−アセトキシフェニルメチル−4−メチルベンジルスルフォニウムトリフレート、4−アセトキシフェニルジメチルスルフォニウムトリフレート(試作品「V」 三新化学工業(株)製)、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート、4−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート、4−ヒドロキシフェニルメチル−1−ナフチルメチルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート、4−メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート、ベンジル−4−メトキシカルボニルオキシフェニルメチルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート(試作品「A」 三新化学工業(株)製)、4−アセトキシフェニルメチル−4−メチルベンジルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート、4−アセトキシフェニルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェート(商品名「SI−150」 三新化学工業(株)製)、「SI−180L」(三新化学工業(株)製)、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−ヒドロキシフェニルメチル−1−ナフチルメチルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メトキシカルボニルオキシフェニルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−メトキシカルボニルオキシフェニルメチルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルベンジルメチルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルメチル−4−メチルベンジルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
【0062】
芳香族ジアゾニウム塩としては、クロロベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェイト、ジメチルアミノベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネ−ト、ナフチルジアゾニウムヘキサフルオロフォスフェイト、ジメチルアミノナフチルジアゾニウムテトラフルオロボレート等が挙げられる。
【0063】
ジアリールヨードニウム塩としては、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネ−ト、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェイト、ジフェニルヨードニウムトリフレート、4,4’−ジ−t−ブチル−ジフェニルヨードニウムトリフレート、4,4’−ジ−t−ブチル−ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4,4’−ジ−t−ブチル−ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェイト等が挙げられる。
【0064】
トリアリールスルフォニウム塩としては、トリフェニルスルフォニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェイト、トリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネ−ト、トリ(p−クロロフェニル)スルフォニウムテトラフルオロボレート、トリ(p−クロロフェニル)スルフォニウムヘキサフルオロフォスフェイト、トリ(p−クロロフェニル)スルフォニウムヘキサフルオロアンチモネ−ト、4−t−ブチルトリフェニルスルフォニウムヘキサフルオロフォスフェイト等が挙げられる。
【0065】
トリアリールセレニウム塩としては、トリフェニルセレニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルセレニウムヘキサフルオロフォスフェイト、トリフェニルセレニウムヘキサフルオロアンチモネ−ト、ジ(クロロフェニル)フェニルセレニウムテトラフルオロボレート、ジ(クロロフェニル)フェニルセレニウムヘキサフルオロフォスフェイト、ジ(クロロフェニル)フェニルセレニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
【0066】
スルホン酸エステルとしては、ベンゾイントシレート、p−ニトロベンジル−9,10−エトキシアントラセン−2−スルフォネート、2−ニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、2,4−ジニトロベンジルトシレート等が挙げられる。
【0067】
ハロゲン化合物としては、2−クロロ−2−フェニルアセトフェノン、2,2’,4’−トリクロロアセトフェノン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−メトキシ−1´−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、ビス−2−(4−クロロフェニル)−1,1,1−トリクロロエタン、ビス−1−(4−クロロフェニル)−2,2,2−トリクロロエタノール、ビス−2−(4−メトキシフェニル)−1,1,1−トリクロロエタン等が挙げられる。
【0068】
その他、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミジルトリフレート(商品名「NDI−105」 みどり化学(株)製)、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミジルトシレート(商品名「NDI−101」 みどり化学(株)製)、4−メチルフェニルスルフォニルオキシイミノ−α−(4−メトキシフェニル)アセトニトリル(商品名「PAI−101」 みどり化学(株)製)、トリフルオロメチルスルフォニルオキシイミノ−α−(4−メトキシフェニル)アセトニトリル(商品名「PAI−105」 みどり化学(株)製)、9−カンファースルフォニルオキシイミノα−4−メトキシフェニルアセトニトリル(商品名「PAI−106」 みどり化学(株)製)、1,8−ナフタルイミジルブタンスルフォネート(商品名「NAI−1004」 みどり化学(株)製)、1,8−ナフタルイミジルトシレート(商品名「NAI−101」 みどり化学(株)製)、1,8−ナフタルイミジルトリフレート(商品名「NAI−105」 みどり化学(株)製)、1,8−ナフタルイミジルノナフルオロブタンスルフォネート(商品名「NAI−109」 みどり化学(株)製)等の熱酸発生剤も例として挙げることができる。
【0069】
本発明のシロキサン樹脂組成物は、塗布時のフロー性向上のために、各種のフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤の種類に特に制限はなく、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを用いることができる。これらを2種以上用いてもよい。
【0070】
フッ素系界面活性剤の具体的な例としては、1,1,2,2−テトラフロロオクチル(1,1,2,2−テトラフロロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフロロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、パーフロロドデシルスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフロロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロデカン、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]−N,N′−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、パーフルオロアルキルスルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル−N−エチルスルホニルグリシン塩、リン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−エチルアミノエチル)、モノパーフルオロアルキルエチルリン酸エステルなどの末端、主鎖および側鎖の少なくとも何れかの部位にフルオロアルキルまたはフルオロアルキレン基を有する化合物からなるフッ素系界面活性剤を挙げることができる。また、市販品としては、“メガファック(登録商標)”F142D、同F172、同F173、同F183(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、エフトップEF301、同303、同352(新秋田化成(株)製)、フロラードFC−430、同FC−431(住友スリーエム(株)製))、“アサヒガード(登録商標)”AG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)、BM−1000、BM−1100(裕商(株)製)、NBX−15、FTX−218((株)ネオス製)などのフッ素系界面活性剤を挙げることができる。
【0071】
シリコーン系界面活性剤の市販品としては、SH28PA、SH7PA、SH21PA、SH30PA、ST94PA(いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)、BYK−333(ビックケミー・ジャパン(株)製)などが挙げられる。その他の界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンジステアレートなどが挙げられる。
【0072】
界面活性剤の含有量は、シロキサン樹脂組成物中、0.0001〜1重量%とするのが一般的である。
【0073】
本発明のシロキサン樹脂組成物には、必要に応じて、粘度調整剤、界面活性剤、安定化剤、着色剤、ガラス質形成剤などを含有してもよい。
【0074】
本発明のシロキサン樹脂組成物は、基材上に塗布して塗布膜を得、これを加熱して乾燥、硬化させることにより硬化膜を形成することができる。
【0075】
本発明のシロキサン樹脂組成物の固形分濃度に特に制限はなく、塗布方法などに応じて任意の量の溶媒や溶質を用いることができる。例えば、スピンコーティングにより膜形成を行う場合には、固形分濃度を5〜50重量%とするのが一般的である。
【0076】
塗布方法としては、マイクログラビアコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンフローコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、スリットコーティングなどを好ましく用いることができる。
【0077】
加熱および乾燥条件は、適用される基材、およびシロキサン樹脂組成物によって適宜選択されるが、通常は室温以上、400℃以下の温度で、0.5〜240分間の処理を行うことが好ましい。特に好ましい加熱温度は、100〜400℃であり、さらに好ましくは、150〜400℃である。また、減圧下で加熱、乾燥を行ってもよい。
【0078】
塗布膜および硬化後の膜厚に特に制限はないが、ともに0.01〜100μmの範囲にあるのが一般的である。
【0079】
(B)ラジカル重合開始剤として光ラジカル重合開始剤を用いた場合、本発明のシロキサン樹脂組成物に任意のパターンを露光し、現像を行うことで、ネガ型のパターンを得ることができる。より具体的には、例えば、本発明のシロキサン樹脂組成物を塗布し、80℃から130℃程度の任意の温度で加熱乾燥した後、任意の露光光源を用いてパターン露光を行う。露光後、任意の現像液で現像を行うことで所望のパターンが得られる。パターン形成後、加熱硬化を行うことで硬化膜のパターンを得ることができる。このプロセスに於いて、露光後に必要に応じて露光後ベークを行ってもよい。露光光源に制限はなく、i線、g線、h線等の紫外線や、KrF(波長248nm)レーザー、ArF(波長193nm)レーザー等を用いることができる。
【0080】
本発明のシロキサン樹脂組成物により形成された塗布膜および硬化膜は、固体撮像素子などに形成されるオンチップマイクロレンズ、反射防止膜に使われるハードコート層、半導体装置のバッファコート、平坦化材、液晶ディスプレイの保護膜のほか、層間絶縁膜、導波路形成用材料、位相シフター用材料、各種保護膜など各種光学物品として用いることができる。中でも、酸化チタン粒子や酸化ジルコニウム粒子を含む場合には、高い透明性と比較的高い屈折率を両立できることから、固体撮像素子上に形成されるオンチップマイクロレンズや反射防止膜に使われるハードコート層として特に好適に用いられる。また、フッ素原子を含有する場合には高い透明性と低い屈折率を発現することから、固体撮像素子のオンチップマイクロレンズ上に形成される平坦化膜や各種反射防止膜として好ましく用いられる。例えば、特開2003−86778記載の半導体装置に於いて、層内レンズの上に本発明のシロキサン樹脂組成物を塗布、硬化させて平坦化膜とし、該平坦化膜上にカラーフィルタ、保護膜、外部マイクロレンズ等を順次形成することで集光効率の高い固体撮像素子を形成することができる。
【実施例】
【0081】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお評価は以下の方法により行った。
【0082】
硬化膜の作製
図1に示すように、ポリイミドパターン1により高さ1μmの段差を設けた6インチシリコン基板3に、樹脂組成物をスピンコーティングにより塗布し、ついでホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製SCW−636)を用いて、120℃で3分間プリベークして塗布膜を得た。この塗布膜を、空気雰囲気下のホットプレート上で200℃で5分間加熱し、硬化膜を得た。
【0083】
塗布膜および硬化膜の膜厚測定
大日本スクリーン製造(株)製ラムダエースSTM−602を使用し、塗布膜および硬化膜の膜厚の測定を行った。
【0084】
塗布膜の段差被覆性評価
ポリイミドパターンによる高さ1μmの段差の近傍の測定点a、b、c、および段差のない平坦部分の測定点dにおいて、塗布膜の膜厚を測定した。ここで、図1に示すように、測定点aはポリイミドパターン1の端部から距離10μmの点、測定点bは距離100μmの点、測定点cは距離500μmの点、測定点dは距離5mm以上で段差のない部分である。((a〜cの最大値)−d)/dの値により段差被覆性を評価した。この値が小さいものほど段差による膜厚の変動が小さく、段差被覆性が良好である。
【0085】
透過率の測定
5cm角のガラス基板上に作製した膜厚1.0μmの硬化膜について、紫外−可視分光光度計UV−260(島津製作所(株)製)を用いて、400nmの透過率を測定した。
【0086】
耐湿熱性の評価
透過率測定で用いた硬化膜を、121℃、100%RH(2気圧)のチャンバーで100時間処理し、処理前後の膜厚および屈折率を比較した。
【0087】
屈折率の測定
5cm角のガラス基板上に作製した膜厚1.0μmの硬化膜について、プリズムカプラーMODEL2010(METRICON(株)社製)を用い、室温22℃での波長632.8nm(He−Neレーザー光源使用)に於ける屈折率を測定した。なお、ここで測定した屈折率は、膜面に対して垂直方向の屈折率(TE)である。
【0088】
耐クラック性の評価
5cm角のガラス基板上に作製した膜厚2.0μmの硬化膜について、光学顕微鏡で表面を観察し、クラックの有無を確認した。評価を以下の5段階で判定し、4以上を合格とした。
5:膜に全くクラックが発生していない。
4:基板四隅のうち1カ所にクラックが発生している
3:基板四隅中のうち2カ所以上4カ所以下の範囲でクラックが発生している。
2:基板周辺部にクラックが発生している。
1:基板全面にクラックが発生している。
【0089】
硬度の測定
5cm角のガラス基板上に作製した膜厚1.0μmの硬化膜について、「JIS K5600−5−4(1999)」に準拠して鉛筆硬度を測定した。ただし、負荷加重を500gとした。
【0090】
ラジカル重合性有機基含有率の測定
(i)ポリマー溶液を重量が分かっているアルミ皿に約1g秤量し、120℃のホットプレートの上に置いた後、10分間でホットプレートの温度を250℃まで上昇させた。250℃到達後さらに20分間加熱した。放冷後、アルミ皿の重さを量り、加熱前後の重量の差から固形分濃度を測定した。
【0091】
(ii)ポリマー溶液の熱重量分析(TGA)を、大気下、昇温速度=10℃/分の条件下で900℃まで行った。その重量減少率と前述の(i)で求めた固形分濃度から、ポリマー1gあたりのSi原子のモル数を算出した。また、TGAの灰分はSiOであることを赤外線吸光分析にて確認した。
【0092】
(iii)「JIS K0070(1992)」に準拠して、ポリマーのヨウ素価を測定した。ただし、溶媒はそれぞれの重合溶媒を用いた。このヨウ素価からポリマー1gあたりのラジカル重合性有機基のモル数を算出した。
【0093】
前記(ii)および(iii)より、Si原子に対するラジカル重合性有機基含有率(シリコン原子100モル%に対する重合性有機基のモル%)を算出した。
【0094】
実施例1
メチルトリメトキシシラン 32.7g(0.24mol)、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン 30.56g(0.14mol)、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン 4.97g(0.02mol)、1−t−ブトキシ−2−プロパノール70.55gを反応容器に入れ、この溶液に、水22.3gおよびリン酸0.17gを、撹拌しながら反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で2.5時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温120℃でさらに2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液A(固形分43重量%)を得た。得られたポリマーの、Si原子に対するラジカル重合性有機基含有率は5モル%だった。また、メタノール、水および溶剤が66g留去された。
【0095】
得られたポリマー溶液A10.00gを取り、1−t−ブトキシ−2−プロパノール10.00gとt−ブチルペルオキシベンゾエート0.20gを加えて溶解し、樹脂組成物1を得た。
【0096】
得られた樹脂組成物1を用い、前記のように段差を有するシリコン基板上に塗布し、120℃で3分間プリベークを行って塗布膜を得て、これを硬化させて硬化膜を得た。ここで段差被覆性の評価を行った。また、前記方法で硬化膜を作製し、透過率、屈折率および硬度の測定、耐湿熱性および耐クラック性の評価を行った。
【0097】
実施例2
1−t−ブトキシ−2−プロパノールのかわりにジアセトンアルコールを用いる以外は実施例1と同様に加水分解および縮合を行い、ポリマー溶液B(固形分41重量%)を得た。得られたポリマーの、Si原子に対するラジカル重合性有機基含有率は5モル%だった。また、メタノール、水および溶剤が61g留去された。得られたポリマー溶液B20.00gを取り、これにジアセトンアルコール30.00gとt−ブチルクミルペルオキシド0.50gを加えて溶解し、樹脂組成物2を得た。得られた樹脂組成物2を用い、実施例1と同様に評価を行った。
【0098】
実施例3
実施例2で得たポリマー溶液B10.50gを取り、ジアセトンアルコール9.50gとt−ブチルペルオキシベンゾエート0.20gを加えて溶解し、樹脂組成物3を得た。得られた樹脂組成物3を用い、実施例1と同様に評価を行った。
【0099】
実施例4
実施例2で得たポリマー溶液B9.75gを取り、ジアセトンアルコール9.95g、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(商品名「ライトアクリレートDCP−A」、共栄社化学(株)製)0.30g、t−ブチルペルオキシベンゾエート0.20gを加えて溶解し、樹脂組成物4を得た。得られた樹脂組成物4を用い、実施例1と同様に評価を行った。
【0100】
実施例5
フェニルトリメトキシシラン 47.59g(0.24mol)、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン 30.56g(0.14mol)、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン 4.97g(0.02mol)、1−t−ブトキシ−2−プロパノール79.3gを反応容器に入れ、この溶液に、水22.3gおよびリン酸0.21gを、撹拌しながら反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で2.5時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温120℃でさらに2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液C(固形分43重量%)を得た。得られたポリマーの、Si原子に対するラジカル重合性有機基含有率は5モル%だった。また、メタノール、水および溶剤が56g留去された。
【0101】
得られたポリマー溶液C10.00gを取り、1−t−ブトキシ−2−プロパノール10.00gとt−ブチルペルオキシベンゾエート0.20gを加えて溶解し、樹脂組成物5を得た。得られた樹脂組成物5を用い、実施例1と同様に評価を行った。
【0102】
実施例6
メチルトリメトキシシラン 25.61g(0.188mol)、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン 39.29g(0.18mol)、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン 7.44g(0.032mol)、1−t−ブトキシ−2−プロパノール72.4gを反応容器に入れ、この溶液に、水22.32gおよびリン酸0.18gを、撹拌しながら、反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で2.5時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温120℃でさらに2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液D(固形分40重量%)を得た。得られたポリマーの、Si原子に対するラジカル重合性有機基含有率は8モル%だった。また、メタノール、水および溶剤が52g留去された。
【0103】
得られたポリマー溶液D20.00gを取り、これに1−t−ブトキシ−2−プロパノール20.00g、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(商品名「ライトアクリレートDCP−A」、共栄社化学(株)製)0.60g、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン0.30gを加えて撹拌し、樹脂組成物6を得た。得られた樹脂組成物6を用い、実施例1と同様に評価を行った。
【0104】
実施例7
実施例6で得たポリマー溶液Dを10.00g取り、これに触媒化成工業(株)製酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子である“オプトレイク(登録商標)”TR−520(固形分濃度30%、γ−ブチロラクトン溶液)5.00g、グリセリンジメタクリレート0.70g、1−t−ブトキシ−2−プロパノール15.00g、クメンヒドロペルオキシド0.40gを加えて撹拌し、樹脂組成物7を得た。得られた樹脂組成物7を用い、実施例1と同様に評価を行った。
【0105】
実施例8
メチルトリメトキシシラン 54.48g(0.40mol)、フェニルトリメトキシシラン 109.07g(0.55mol)、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン 12.42g(0.05mol)、ジアセトンアルコール183gを反応容器に入れ、この溶液に、水55.8gおよびリン酸0.18gを、撹拌しながら反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で2.5時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温115℃でさらに2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液E(固形分40重量%)を得た。得られたポリマーの、Si原子に対するラジカル重合性有機基含有率は5モル%だった。また、メタノール、水および溶剤が147g留去された。
【0106】
ポリマー溶液Eを10.00g取り、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(商品名「イルガキュア379」チバスペシャリティケミカルズ製)0.04g、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(商品名「ライトアクリレートDCP−A」、共栄社化学(株)製)0.40g、ジアセトンアルコール10.00gを加えて撹拌し、樹脂組成物8を得た。得られた樹脂組成物8を用い、実施例1と同様に段差被覆性の評価を行った。また、別途ガラス基板上に形成した膜厚の異なる2種類の塗布膜に、露光機(キヤノン(株)製コンタクトアライナーPLA501F)を用いて、紫外線強度5mW/cm(365nm換算)で3分間紫外線全波長露光(主用波長:365nm、405nm、436nm)を行い、さらに空気雰囲気下のホットプレート上で200℃で5分間加熱し硬化させて硬化膜とした後、透過率、屈折率および硬度の測定、耐湿熱性および耐クラック性の評価を行った。また、以下の手順でネガ型感光特性の評価を行った。樹脂組成物8を6インチシリコンウエハ上に回転塗布し、次いで、100℃のホットプレート(Mark−7)で2分間ベークし、厚さ1μmのプリベーク膜を作製した。この膜を、i線ステッパー(GCA製DSW−8000)を用いて0〜800mJ/cmの露光量にて25mJ/cmステップで露光し、2.38%のテトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液(三菱ガス化学(株)製、ELM−D)で60秒現像し、ついで純水でリンスした。光学顕微鏡で観察したところ、350mJ/cmの露光量で幅10μmのネガパターンが解像していた。
【0107】
実施例9
パッシベーション膜として、100nmの窒化シリコン膜を有するTFT基板上に、前記樹脂組成物8を塗布し、上述した硬化膜作製方法により、ドレイン電極の共通配線と対向し保持容量を形成している部分上にコンタクトホールを形成した。この硬化膜をマスクとしてパッシベーション膜をドライエッチングし、ドレイン電極を露出させた。続いて、その表面に、スパッタリング蒸着法によって厚さ130nmのITO透明電極膜を形成し、そのITO透明電極膜上にフォトレジストを塗布して、通常のフォトリソグラフィ法による露光・現像によりパターニング、ITOの不要部分をウェットエッチングして除去した。その後、フォトレジストをアルカリ溶剤であるモノエタノールアミン/ジメチルスルホキシド=70/30(重量比)中に80℃で20分間浸漬した後、5分間純水リンスを行い、水を窒素ブローで除去することによって、100μmピッチのストライプ形状にパターニングしたITO画素電極を形成した。樹脂組成物8の硬化膜とパッシベーション膜及びITOとの密着性が良好で、硬化収縮性が小さく、平坦性や透明性が高く、クラック発生がない良好な素子が得られた。
【0108】
実施例10
メチルトリメトキシシラン 81.72g(0.60mol)、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン 69.84g(0.32mol)、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン 18.59g(0.08mol)、1−t−ブトキシ−2−プロパノール174.5gを反応容器に入れ、この溶液に、水55.8gおよびリン酸0.85gを、撹拌しながら、反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温120℃で2.5時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温120℃でさらに2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液F(固形分45重量%)を得た。得られたポリマーの、Si原子に対するラジカル重合性有機基含有率は8モル%だった。また、メタノール、水および溶剤が168g留去された。
【0109】
ポリマー溶液Fを20.00g取り、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(商品名「イルガキュア379」チバスペシャリティケミカルズ(株)製)0.14g、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(商品名「ライトアクリレートDCP−A」、共栄社化学(株)製)1.00g、1−t−ブトキシ−2−プロパノール10.00gを加えて撹拌し、樹脂組成物9を得た。得られた樹脂組成物9を用い、実施例1と同様に段差被覆性、透過率、屈折率、硬度の測定、耐湿熱性、耐クラック性の評価を行った。
【0110】
実施例11
実施例1で得たポリマー溶液A10.00gを取り、1−t−ブトキシ−2−プロパノール10.00gと2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(商品名「イルガキュア379」チバスペシャリティケミカルズ製)0.20gを加えて溶解し、樹脂組成物10を得た。得られた樹脂組成物10を用い、実施例1と同様に段差被覆性、透過率、屈折率、硬度の測定、耐湿熱性、耐クラック性の評価を行った。
【0111】
実施例12
メチルトリメトキシシラン 47.67g(0.35mol)、フェニルトリメトキシシラン 99.15g(0.50mol)、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン 35.16g(0.15mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート149gを反応容器に入れ、この溶液に、水54.0gおよびリン酸0.36gを、撹拌しながら、反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で2.5時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温115℃でさらに2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液G(固形分45重量%)を得た。得られたポリマーの、Si原子に対するラジカル重合性有機基含有率は15モル%だった。また、メタノール、水および溶剤が134g留去された。
【0112】
ポリマー溶液Gを20.00g取り、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア907」チバスペシャリティケミカルズ製)0.45g、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.05g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名「ライトアクリレートDPE−6AS」、共栄社化学(株)製)1.00g、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(商品名「ライトアクリレートDCP−A」、共栄社化学(株)製)0.50g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート28.00gを加えて撹拌し、樹脂組成物11を得た。得られた樹脂組成物11を用い、実施例8と同様に評価を行った。ネガ型感光性評価において250mJ/cmの露光量で幅10μmのネガパターンが解像していた。
【0113】
実施例13
メチルトリメトキシシラン 47.67g(0.35mol)、フェニルトリメトキシシラン 99.15g(0.50mol)、ビニルトリメトキシシラン 22.23g(0.15mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート138gを反応容器に入れ、この溶液に、水54.0gおよびリン酸0.34gを、撹拌しながら、反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で2.5時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温115℃でさらに2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液H(固形分45重量%)を得た。得られたポリマーの、Si原子に対するラジカル重合性有機基含有率は15モル%だった。メタノール、水および溶剤が139g留去された。
【0114】
ポリマー溶液Hを20.00g取り、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア907」チバスペシャリティケミカルズ製)0.45g、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.05g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名「ライトアクリレートDPE−6AS」、共栄社化学(株)製)1.00g、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(商品名「ライトアクリレートDCP−A」、共栄社化学(株)製)0.50g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート28.00gを加えて撹拌し、樹脂組成物12を得た。得られた樹脂組成物12を用い、実施例8と同様に評価を行った。ネガ型感光性評価において500mJ/cmの露光量で幅10μmのネガパターンが解像していた。
【0115】
実施例14
実施例11で得たポリマー溶液Hを15.60g取り、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名「イルガキュア907」チバスペシャリティケミカルズ製)0.45g、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.05g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名「ライトアクリレートDPE−6AS」、共栄社化学(株)製)1.00g、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(商品名「ライトアクリレートDCP−A」、共栄社化学(株)製)0.50g、“オプトレイク(登録商標)”TR−527(固形分濃度20%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液)10.00g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート22.40gを加えて撹拌し、樹脂組成物13を得た。得られた樹脂組成物13を用い、実施例8と同様に評価を行った。ネガ型感光性評価において450mJ/cmの露光量で幅10μmのネガパターンが解像していた。
【0116】
比較例1
実施例1で得られたポリマー溶液A10.00gを取り、1−t−ブトキシ−2−プロパノール10.00gで希釈し樹脂組成物A1を得た。得られた樹脂組成物A1を用い、実施例1と同様に評価を行った。
【0117】
比較例2
メチルトリメトキシシラン 147g(1.08mol)、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン 118g(0.54mol)、1−t−ブトキシ−2−プロパノール320gを反応容器に入れ、この溶液に、水100gおよびリン酸0.88gを、撹拌しながら反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で2.5時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温130℃でさらに2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液S(固形分40重量%)を得た。メタノール、水および溶剤が300g留去された。
【0118】
得られたポリマー溶液Sを20.00g取り、これに1−t−ブトキシ−2−プロパノール25.00gおよびt−ブチルペルオキシベンゾエート0.60gを加えて溶解し、樹脂組成物A2を得た。得られた樹脂組成物A2を用い、実施例1と同様に評価を行った。
【0119】
比較例3
メチルトリメトキシシラン 54.48g(0.40mol)、フェニルトリメトキシシラン 118.98g(0.60mol)、ジアセトンアルコール183gを反応容器に入れ、この溶液に、水55.8gおよびリン酸0.18gを、撹拌しながら反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で2.5時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温115℃でさらに2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液T(固形分40重量%)を得た。メタノール、水および溶剤が150g留去された。
【0120】
ポリマー溶液Tを10.00g取り、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン(商品名「イルガキュア379」チバスペシャリティケミカルズ(株)製)0.04g、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(商品名「ライトアクリレートDCP−A」、共栄社化学(株)製)0.40g、ジアセトンアルコール10.00gを加えて撹拌し、樹脂組成物A3を得た。得られた樹脂組成物A3を用い、実施例8と同様に評価を行った。ネガ型感光性評価において、パターンを得ることができなかった。
【0121】
比較例4
比較例3で得られた樹脂組成物A3を用い、実施例9と同様の評価を行った。形成した100μmピッチのストライプ形状にパターニングしたITO画素電極を観察したところ、感光性シロキサン組成物の硬化膜とパッシベーション膜及びITOとの密着性不良に起因するパターンの剥がれや、ウェットエッチング液およびアルカリ溶剤の界面への染み込み跡が見られた。また、一部にクラックも観察された。
【0122】
比較例5
メチルトリメトキシシラン 54.48g(0.40mol)、フェニルトリメトキシシラン 79.32g(0.40mol)、ビニルトリメトキシシラン 29.60g(0.20mol)、1−t−ブトキシ−2−プロパノール163gを反応容器に入れ、この溶液に、水54.0gおよびリン酸0.49gを、撹拌しながら反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で2.5時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温120℃でさらに2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液U(固形分40重量%)を得た。得られたポリマーの、Si原子に対するラジカル重合性有機基含有率は20モル%だった。また、メタノール、水および溶剤が144g留去された。
【0123】
得られたポリマー溶液Uを20.00g取り、これに1−t−ブトキシ−2−プロパノール25.00gおよびt−ブチルペルオキシベンゾエート0.60gを加えて溶解し、樹脂組成物A4を得た。得られた樹脂組成物A4を用い、実施例1と同様に評価を行った。
【0124】
比較例6
メチルトリメトキシシラン 68.10g(0.50mol)、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン 117.20g(0.50mol)、1−t−ブトキシ−2−プロパノール185gを反応容器に入れ、この溶液に、水54.0gおよびリン酸0.56gを、撹拌しながら反応温度が40℃を越えないように滴下した。滴下後、フラスコに蒸留装置を取り付け、得られた溶液をバス温105℃で2.5時間加熱撹拌して加水分解により生成したメタノールを留去しつつ反応させた。その後、溶液をバス温120℃でさらに2時間加熱撹拌した後、室温まで冷却し、ポリマー溶液X(固形分40重量%)を得た。得られたポリマーの、Si原子に対するラジカル重合性有機基含有率は50モル%だった。また、メタノール、水および溶剤が134g留去された。
【0125】
得られたポリマー溶液Xを20.00g取り、これに1−t−ブトキシ−2−プロパノール25.00gおよびt−ブチルペルオキシベンゾエート0.60gを加えて溶解し、樹脂組成物A5を得た。得られた樹脂組成物A5を用い、実施例1と同様に評価を行った。
【0126】
実施例1〜8および10〜14、比較例1〜3および5〜6の組成を表1〜2に、評価結果を表3〜4に示す。
【0127】
【表1】

【0128】
【表2】

【0129】
【表3】

【0130】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明のシロキサン樹脂組成物は、硬化収縮が小さく下地段差の被覆性が良好で、かつ耐湿熱性に優れる硬化膜を与える。該硬化膜は、固体撮像素子用マイクロレンズアレイを初めとする光学レンズ、液晶や有機ELディスプレイのTFT用平坦化膜、反射防止膜、反射防止フィルム、反射防止板、光学フィルターなどの各種光学デバイスに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】塗布膜の段差被覆性評価の概要を示した、基板断面図である。
【符号の説明】
【0133】
1:ポリイミドパターン(高さ1μm)
2:塗布膜
3:シリコン基板
a:ポリイミドパターン端部から距離10μmの測定点
b:ポリイミドパターン端部から距離100μmの測定点
c:ポリイミドパターン端部から距離500μmの測定点
d:ポリイミドパターン端部から5mm以上離れた、段差のない部分の測定点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(a−1)ラジカル重合性有機基を有するシラン化合物と、(a−2)ラジカル重合性有機基を有さないシラン化合物とを加水分解および縮合させて得られる、ラジカル重合性有機基を有し、H−Si結合を有さないポリシロキサンであって、該ポリシロキサン中(a−1)ラジカル重合性有機基を有するシラン化合物の共重合比が1モル%〜15モル%であるポリシロキサン、(B)ラジカル重合開始剤および(C)溶剤を含有することを特徴とするシロキサン樹脂組成物。
【請求項2】
(A’)ラジカル重合性有機基を有し、H−Si結合を有さないポリシロキサンであって、該ポリシロキサン中、ラジカル重合性有機基の含有率がSi原子に対して1モル%〜15モル%であるポリシロキサン、(B)ラジカル重合開始剤および(C)溶剤を含有することを特徴とするシロキサン樹脂組成物。
【請求項3】
さらに(D)ラジカル重合性モノマーを含有する請求項1または2記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項4】
前記(B)ラジカル重合開始剤が、α−アミノアルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシムエステル化合物、アミノ基を有するベンゾフェノン化合物およびアミノ基を有する安息香酸エステル化合物からなる群より選ばれる一種以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項5】
前記ラジカル重合性有機基を有し、H−Si結合を有さないポリシロキサンのラジカル重合性有機基が、アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を含むことを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項6】
前記(a−2)ラジカル重合性有機基を有さないシラン化合物が、(a−2−1)フェニルトリアルコキシシラン化合物および/または(a−2−2)フッ素を有するシラン化合物であることを特徴とするシロキサン樹脂組成物。
【請求項7】
前記(a−2−2)フッ素を有するシラン化合物が、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表されるアルコキシシラン化合物から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項6記載のシロキサン樹脂組成物。
Si(OR (1)
Si(OR (2)
Si(OR (3)
(上記一般式(1)〜(3)中、R、RおよびRは、それぞれ炭素数1から13のフッ素置換アルキル基を表す。Rは炭素数1から10のアルキル基を表す。R、R、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはアセチル基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【請求項8】
さらに(E)金属化合物粒子を含有する請求項1〜7いずれか記載のシロキサン樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか記載のシロキサン樹脂組成物を硬化してなる硬化膜。
【請求項10】
請求項9記載の硬化膜を具備する光学デバイス。

【図1】
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【公開番号】特開2008−248239(P2008−248239A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55918(P2008−55918)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】