シロキサン系組成物の調製プロセス及びその誘導体組成物

一段階同時加水分解によってシロキサン系組成物の新しい群を形成するためのプロセス及びそこから形成される組成物。シロキサン系組成物は、C=C結合及びSi−H結合を用いて官能化される。C=C結合及びHは、シロキサン系組成物のSi−O主鎖のSiにそれぞれ直接結合される。C=C結合は、ビニル基又はフェニル置換基のような芳香族基のものでよい。C=C結合置換基は、シロキサン流体又はアルキル若しくはアリール官能基を含む有機化合物を要せず、標準的な脱水素カップリング触媒による架橋結合を形成するために必要な官能性をもたらす。このプロセスは、シロキサン系組成物又は樹脂中の所望のケイ素、炭素、水素及び酸素の比を調整するために、原料モノマーとして比率が変動する各シランを提供する。シロキサン系組成物は、他の材料の製造で、前駆体又は代替樹脂として使用してもよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願]
本出願は、本明細書に組み込まれる、2006年9月18日に出願された同時係属の仮出願第60/845353号、及び2007年1月24日に出願された同時係属の仮出願第60/886444号の有益性を主張するものである。本発明はまた、代理人整理番号STAR−0015PCTによって指定された、「Process For Preparing Silicon Oxycarbide Compositions And Derivative Compositions Thereof」と題された、対応するPCT出願にも関する。
【0002】
[背景]
[開示の分野]
本開示は、シロキサン系組成物に関し、より具体的には、中間温度(室温〜500℃)のプラスチック様材料を形成するためのシロキサン系組成物を調製するプロセス、及び硬化時に高温セラミックを形成し、熱分解時にガラスを形成するためのシロキサン系組成物の前駆体ポリマーとしての使用に関する。
【0003】
[関連技術]
当技術分野の現状では、セラミック及びガラスの調製で前駆体樹脂として使用されているプレセラミックポリマー組成物を調製するために、シロキサン系組成物を使用している。大抵の前駆体樹脂は、2つの区分のうちの1つに分類することができる。区分1は、シリコーン様シロキサン、例えば、メチルシロキサンを主として含む。区分2は、有機化合物の炭素−炭素二重(C=C)結合又は炭素−炭素三重(C≡C)結合のいずれかに結合したケイ素−水素(Si−H)結合を有するシロキサンを主として含む。これらの前駆体樹脂は、良好な高温セラミック材料を生成する一方で、前駆体としてのいくつもの領域において不十分である。
【0004】
例えば、区分1の前駆体樹脂としてのメチルシロキサンは、望ましい性質を有する樹脂を形成するために熱分解する必要があり、その後、セラミック又はガラスの調製でその樹脂を使用することができる。通常は固体であるメチルシロキサンは、溶媒を必要とし、その後、プレセラミックポリマーの調製で使用することができる。このことは、調製プロセスでメチルシロキサンを適切な溶媒中で溶解する追加のプロセスステップをもたらす。さらに、メチルシロキサンは、熱分解温度未満で硬化すると、引裂強度が不良な、低強度、低弾性の材料を生成する。
【0005】
区分2の前駆体樹脂、例えば、実験式SiCを有する樹脂は、比較的高価な出発材料を必要とする。C=C結合を有する出発材料、例えば、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン及びブタジエンは、環境に有害であることがある。さらに、これらの出発材料を使用すると、安定な保存寿命を確保するために注意深く保存する必要があり、保存費用を増大させる前駆体樹脂が生じる。そのような出発材料を使用することのさらなる制約は、任意の調製プロセスにおいてこれらの出発材料を残留物とすることであり、こうすると開放系製造環境でのその材料の使用が妨げられる。
【0006】
さらに、区分2の前駆体樹脂は、その組成を改変し得る範囲が限定される。このため、その適用は、よくてもセラミック形成ポリマーだけに制限されている。
【0007】
シロキサン系組成物は、紙の被覆用のUV硬化性樹脂を製造するために使用することができる。前駆体樹脂の中には、高温で熱分解すると、最終セラミック中に炭素−酸素(C−O)結合が欠けている安定なガラスを生成するように処方することができるものもある。
【0008】
シロキサンオリゴマーは、ワイヤ及びケーブルの被膜及び接着剤としての充填剤入り及び無充填有機ポリマー中のカップリング剤、接着促進剤、及び接着剤として使用することができる。
【0009】
[概要]
一態様では、本発明は、一段階同時加水分解によってシロキサン系組成物の新しい群を形成するプロセス及びそれによって形成される組成物を含む。シロキサン系組成物は、炭素−炭素二重(C=C)結合及びケイ素−水素(Si−H)結合によって官能化されている。C=C結合及び水素(H)は、シロキサン系組成物のケイ素−酸素(Si−O)主鎖のケイ素(Si)原子にそれぞれ直接結合されている。C=C結合は、ビニル又はフェニル置換基の様な芳香族基であってよい。C=C結合置換基は、シロキサン流体又はアルキル若しくはアリール官能基を含有する有機化合物を必要とせずに、標準的な脱水素カップリング触媒を通して架橋結合を形成するのに必要な官能性をもたらす。このプロセスでは、シロキサン系組成物又は樹脂中の所望のケイ素、炭素、水素及び酸素の比を調整するために、原料モノマーとしてのシランの分率が変えられる。シロキサン系組成物は、他の材料の製造において、前駆体又は代替樹脂として使用してもよい。
【0010】
本開示の第1態様は、少なくとも2種のコモノマーのコポリマーを含む組成物を有するシロキサン系樹脂であって、少なくとも2種のコモノマーのそれぞれがケイ素−酸素(Si−O)結合を含み、少なくとも2種のコモノマーのそれぞれがケイ素−炭素(Si−C)結合を含み、少なくとも2種のコモノマーが可変の分率関係を共有し、少なくとも2種のコモノマーのそれぞれが、フェニル、ビニル、メチル及び水素からなる群から選択される官能基を含み、前記官能基がSi−O結合のケイ素(Si)原子に直接結合されているシロキサン系樹脂を提供する。
【0011】
本開示の第2態様は、シロキサン系組成物を調製するプロセスであって、水−溶媒混合物の存在下で一段階同時加水分解反応において3種のジハロシランを混合するステップであって、溶媒がヘキサン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、キシレン及びそれらの2つ以上の任意の組合せからなる群から選択されるステップを含むプロセスであって、3種のジハロシランのそれぞれが、その間にSi−O主鎖を形成するためにケイ素−酸素(Si−O)結合を含み、3種のジハロシランのそれぞれが、少なくとも1つのケイ素−炭素(Si−C)結合を含み、3種のジハロシランのうちの1種が、Si−O結合のSi原子に直接結合したビニルを含み、3種のジハロシランのうちの1種が、Si−O結合のSi原子に直接結合した水素(H)を含み、3種のジハロシランのうちの1種が、Si−O結合のSi原子に直接結合したフェニル(Ph)を含み、3種のジハロシランが、可変の分率関係、x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1を共有し、式中、xがフェニルを有する種類のジハロシランの分率を表し、yがビニルを有する種類のジハロシランの分率を表し、zが水素を有する種類のジハロシランの分率を表すプロセスを提供する。
【0012】
本開示の第3態様は、ケイ素−炭素(Si−C)主鎖のポリカルボシランポリマーと架橋させたケイ素−酸素(Si−O)主鎖のシロキサン系ポリマーを含むハイブリッドコポリマーを調製するプロセスであって、高度に分岐したポリカルボシランをシロキサン系ポリマーに添加するステップであって、ポリカルボシランが、水素がポリカルボシランのSi−C主鎖のケイ素(Si)原子に直接結合した一価の水素である、少なくとも1個のケイ素−水素(Si−H)置換基と、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合(C=C)置換基とを含み、シロキサン系ポリマーが、少なくとも2種のコモノマーを含む組成物であって、少なくとも2種のコモノマーのうちの1種がビニル置換基を含み、少なくとも2種のコモノマーのうちの1種がSi−O主鎖のケイ素(Si)原子に直接結合した一価の水素を含み、少なくとも2種のコモノマーのうちの1種がフェニル置換基を含む組成物を有するステップと、シロキサン系ポリマーのビニル置換基をポリカルボシラン中のSi−H結合の一価の水素原子と反応させて中間ハイブリッドコポリマーを形成するステップと、ポリカルボシラン中のC=C置換基をシロキサン系ポリマー中の一価の水素と反応させるために、中間ハイブリッドコポリマーを加熱することによって中間ハイブリッドコポリマーを硬化するステップとを含むプロセスを提供する。
【0013】
[詳細な説明]
一段階同時加水分解反応を使用してシロキサン系ポリマー(代替として、以降はシロキサン系樹脂と呼ぶ)を形成するプロセスを開示している。シロキサン系樹脂は、最低限2種の別個のコモノマー又はモノマー種を含むコポリマーであってよい。コモノマーは、結合してシロキサン系樹脂のケイ素−水素(Si−O)主鎖を形成する。Si−O主鎖は、例えば、限定はしないが、ビニルの炭素−炭素二重(C=C)結合、フェニルの芳香環又はその両方を含めた官能性置換基、並びにケイ素−水素(Si−H)結合の一価の水素を含むことができる。各官能性置換基は、シロキサン系樹脂のケイ素−酸素(Si−O)主鎖中の別個のケイ素(Si)原子に直接結合されている。C=C結合は、例えば、限定はしないが、アリル基の一部であってもよい。C=C結合及び芳香環置換基は、標準的な脱水素カップリング触媒を通して架橋結合を形成するための官能性をもたらす。
【0014】
単純な一段階同時加水分解は、容易に入手可能な低価格の出発材料、例えば、限定はしないが、2元コモノマーシロキサン系樹脂を生成するためのビニル−メチルジクロロシラン及びメチルジクロロシラン、又は3元コモノマーシロキサン系樹脂を生成するためのジフェニルジクロロシラン、ビニル−メチルジクロロシラン及びメチルジクロロシランの間の反応であってよい。シロキサン系樹脂は、低価格の市販の量産クロロシラン化合物を使用して合成する。シロキサン系樹脂は、低粘度から中粘度の液体であり、不燃性であって、160℃を超えた温度で硬化した後に燃焼又は燃焼の支持をする性質がない。さらに、シロキサン系樹脂は、室温で低蒸気圧を有し、臭気がほとんどない。このプロセスは、反応物の比を単純に変更することによって、このように調製したシロキサン系樹脂の組成の調節、したがって、シロキサン系樹脂の性質の調節を行う。
【0015】
基本コポリマー単位を有するシロキサン系樹脂は、一般式Iによって表すことができ、
【化1】


式中、x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1であり、
R、R’及びR”は同じであるか異なっており、水素(H)、メチル、ビニル又はフェニルであり、
nはシロキサン系樹脂中の基本コポリマー単位の数を示し、1≦n≦600であるが、
但し、モノマー単位
【化2】


が、任意の順番で配列可能である。例えば、x−y−x−z−z−y−z−x−z、x−y−y−y−z−y−x−y−y−z−x、y−y−z−z−x−x−y−yなど。シロキサン系樹脂は、環状でも非環状でもよい。非環状のシロキサン系樹脂は、末端基としてヒドロキシル基を含む。環状のシロキサン系樹脂は、架橋結合する間に開環する。x、y及びzで表す3種のコモノマーのそれぞれの分率が可変であるので、シロキサン系樹脂には、2元コモノマーシロキサン系樹脂又は3元コモノマーシロキサン系樹脂を含めることができる。シロキサン系樹脂は、約450〜約250,000の範囲の分子量を有することができる。2元コモノマー及び3元コモノマーシロキサン系樹脂の様々な実施形態を以下の段落で論じている。
【0016】
3元コモノマーシロキサン系樹脂
一実施形態では、3種のコモノマーを有するシロキサン系樹脂の一群を、一般式Iによって表し、
【化3】


式中、Rはフェニル、メチル、水素、又はビニル、好ましくはフェニル又はメチルのうちの1種を含むことができ、
R’はメチル、ビニル、フェニル、又は水素、好ましくはビニル又はメチルのうちの1種を含むことができ、
R”はメチル、フェニル、ビニル、又は水素、好ましくは水素又はメチルのうちの1種を含むことができ、
x+y+z=約1(又は約100%)であり、
xは約0.05〜約0.80(又は約5%〜約80%)の範囲であってよく、
yは約0.05〜約0.50(又は約5%〜約50%)の範囲であってよく、
zは約0.05〜約0.80(又は約5%〜約80%)の範囲であってよい。
【0017】
例えば、x、y及びzのそれぞれの値は、限定はしないが、以下の表に示す値であってもよい。
【0018】
【表1】

【0019】
上記表のそれぞれの値の他に、他の構造/組成又は上述の範囲内のx:y:zの比の変動もまた、3元コモノマーシロキサン系樹脂に関する本開示の一部とみなす。
【0020】
3元コモノマーシロキサン系樹脂は、ケイ素−酸素(Si−O)主鎖を有する。3元コモノマーシロキサン系樹脂は、例えば、限定はしないが、以下の反応式1に示すジフェニルジクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン及びメチルジクロロシランの同時加水分解によって調製することができる。
【化4】


この3元コモノマーシロキサン系樹脂の調製に関するさらなる議論については、本開示で後の合成実施例5において論じている。
【0021】
2元コモノマーシロキサン系樹脂
シロキサン系樹脂の別の実施形態では、2元コモノマーシロキサン系樹脂の一群は、一般式Iから誘導することができ、x、y又はzのいずれかが0である。x=0である場合、2元コモノマーシロキサン系樹脂は、一般式IIによって表すことができ、
【化5】


式中、0≦y≦1、0≦z≦1である。この2元コモノマーシロキサン系樹脂の調製は、ビニルジハロオルガノシラン及びジハロオルガノシランの同時加水分解によることができる。y=0である場合、2元コモノマーシロキサン系樹脂は、一般式IIIよって表すことができ、
【化6】


式中、0≦x≦1、0≦z≦1である。この2元コモノマーシロキサン系樹脂の調製は、フェニルジハロオルガノシラン及びジハロオルガノシランの同時加水分解によることができる。z=0である場合、2元コモノマーシロキサン系樹脂は、一般式IVによって表すことができ、
【化7】


式中、0≦x≦1、0≦y≦1である。この2元コモノマーシロキサン系樹脂の調製は、フェニルジハロオルガノシラン及びビニルジハロオルガノシランの同時加水分解によることができる。
【0022】
一実施例では、一般式IIの2元コモノマーシロキサン系樹脂は、アルキルジハロシラン及びビニルアルキルジハロシランの同時加水分解によって調製することができる。そのような2元コモノマーシロキサン系樹脂の1つの例(R’及びR”がメチル基である)の調製を、以下の反応式2に示す。
【化8】


ビニルメチルジクロロシランとメチルジクロロシランを水及びヘキサンの存在下で混合する。反応式2で得たシラン系樹脂は、約80cps〜約300cpsの範囲の低粘度の、確認できる臭気がほとんどない透明な液体である。ポリマーは、約1ppm〜約20ppmの範囲の濃度で白金錯体を添加しながら、約21℃〜約300℃の範囲の温度で24時間硬化することができる。代替として、約10ppm〜約50ppmの範囲の濃度で複合型白金触媒を添加しながら、約155℃で約10分間シロキサン系樹脂を硬化してもよい。
【0023】
2元コモノマーシロキサン系樹脂の有用な配合物は、別個のコモノマーの間の分率関係(すなわち、x:y、y:z又はx:zの比)を変動させることによって調製することができる。上記の反応式2の例では、2元コモノマーそれぞれが、置換基のうちの1種、ビニル又は−Hを有する。ポリマー中のビニル:−Hの様々な比が、硬質硬化(通常約500℃で)又は熱分解セラミックの機械的、熱的及び酸化的安定性の他に、硬化及び熱分解挙動を変える。それぞれがビニル置換基又は−H置換基を有している2種の別個のコモノマーの間の分率関係は、約1:1〜約1:10の範囲であってよい比y:zによって表すことができる。この比の範囲内で調製した2元コモノマーシロキサン系樹脂は、不活性ガス下で約500℃〜約1200℃の範囲の温度で熱分解することができる。以下の段落では、一般式IIによって表す2元コモノマーシロキサン系樹脂を調製するための原料コモノマーの比を変動させることによって得られる配合物のいくつかの例について論じている。
【0024】
ビニル:−Hの比をy:z=1:1とすると、わずか約160℃の温度まで硬化した後に、非常に硬いが強靭なレキサン様プラスチックが得られる。この配合物から得たシロキサン系樹脂は、アラミド又は他の有機繊維材料の使用により、硬化温度を低下させてすむ、回路基板及び実装用途のための積層樹脂として使用することができる。F81と表すそのような分率比の2元コモノマーシロキサン系樹脂の調製について、以下の合成実施例1で論じている。
【0025】
y:z=1:4の比のSi−Hとビニルの間の分率関係では、約1℃/分で約510℃まで直接加熱して約4時間保持すると、収率94%のプレセラミックポリマーが得られる。代替として、約900℃で加熱すると、プレセラミックポリマーの約85%より高い収率が得られる。熱分解セラミックは、セラミックを形成するシリカに対する「ペスティング(pesting)温度」としても知られている最も過酷な温度、約800℃で、空気中で約100時間加熱すると、約1%未満の質量損失を示す。プレセラミックは、結晶炭化ケイ素及び既存の技術に記載されている黒色ガラスとも類似している。F82と表すそのような分率の2元コモノマーシロキサン系樹脂の調製について、以下の対応する合成実施例2で論じている。
【0026】
y:z=1:3の比をビニル:−Hについて使用して、プレセラミック樹脂が得られる。このプレセラミック樹脂は、約155℃で数分で硬化し、約510℃でさらに硬化して、硬いレキサン様「プラスチック」を95%より高い収率で形成する。この配合物を高温樹脂として使用して、いくつかの用途でポリイミドを代替することができる。F83と表すそのような分率比の2元コモノマーシロキサン系樹脂の調製について、以下の合成実施例3で論じている。
【0027】
ビニル:−Hの場合のy:z=1:2の比では、約1℃/分で約350℃の硬質硬化温度まで加熱した後に、非常に硬いが強靭なレキサン様「プラスチック」が生成する。レキサン様「プラスチック」を約510℃まで約4時間さらに加熱した後、97質量%より高い収率の非常に硬いが強靭な樹脂が得られる。この配合物を高温樹脂として使用して、いくつかの用途でポリイミドを代替することができる。F84と表すそのような分率比の2元コモノマーシロキサン系樹脂の調製について、以下の合成実施例4で論じている。
【0028】
上記の配合物の他に、ビニル:−H基の他の比を本開示の範囲内で配合して、様々な性質のシロキサン系樹脂を調製することができる。例えば、1:2.5より大きい(すなわち、1:3及び1:4)ビニル:−H比で、シロキサン又はシリコーンに近い挙動を示す樹脂/材料が生成する。これらの樹脂/材料は、低硬化温度でより低い強度を示すが、約500℃以上の温度で処理すると、非常に硬質な耐酸化性のガラス/セラミックが生成する。これらのポリマーを使用して、SiCという実験式を有する、現在知られているより高価な黒色ガラス型のポリマーを代替することができる。
【0029】
1:2.5未満(すなわち、1:2及び1:1)のビニル:−H比から得る樹脂/材料は、通常、プラスチック様又は有機様の特性を示す。約160℃〜500℃の範囲の温度で硬化すると、高剛性、高強靭性及び中間から高度の強度を有する樹脂/材料が生成する。これらの材料は、PMR−15などの非常に高価な高温有機樹脂、Torlon(登録商標)などのポリアミド/イミド、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)材料の潜在的な代替品である。
【0030】
ビニル高含有樹脂/材料(すなわち、ビニル:−Hが1:3未満である場合)もまた、ジビニルベンゼン及び4−ビニル−1シクロヘキセンなどの架橋添加剤を含有する有機ビニルを機能的に代替することが証明された。これらの樹脂/材料は、完全に不燃性/非燃焼性であり、又は、ビニルエステルなどの有機材料ほど易燃性ではないので、その他の現在使用されている耐炎性有機材料と比較して有利である。
【0031】
2元コモノマーシロキサン系樹脂の合成実施例
合成実施例1―1:1の比のコモノマー(F81)
水600gを、磁気攪拌棒と添加漏斗を備えた三つ口丸底フラスコに投入した。メチルジクロロシラン約120gと、ビニルメチルジクロロシラン約141gと、ヘキサン約120gとを、添加漏斗中で混合した。シラン混合物を、攪拌した水にゆっくり添加した。水溶液は、クロロシランの加水分解の結果、酸性になった。水温は、シランの添加と共に徐々に上昇した。シランを1時間以内で添加した。生じた反応混合物を、約2時間攪拌した。次いで、有機相を分離し、水で洗浄し、硫酸ナトリウム(NaSO)上で乾燥した。溶媒のヘキサンを蒸留によって取り除いた。油生成物約139gを得た。ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)分析により、生じたポリマーが、約72684の分子量(Mw)及び約24469の分子数(Mn)を有する二峰性の分散パターンを示すことが示された。
【0032】
合成実施例2―1:4の比のコモノマー(F82について)
水約600gを、磁気攪拌棒と添加漏斗を備えた三つ口丸底フラスコに投入した。メチルジクロロシラン約230gと、ビニルメチルジクロロシラン約70.5gと、テトラヒドロフラン(THF)約40gと、ヘキサン約120gとを、添加漏斗中で混合した。シラン混合物を、攪拌した水にゆっくり添加した。水溶液は、クロロシランの加水分解の結果、酸性になった。水温は、シランの添加と共に徐々に上昇した。シランを1時間以内で添加した。生じた反応混合物を、約2時間攪拌した。次いで、有機相を分離し、水で洗浄し、NaSO上で乾燥した。溶媒のヘキサンを蒸留によって取り除いた。油生成物約141gを得た。ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)分析により、生じたポリマーが、約18670の分子数(Mn)を有する二峰性の分散パターンを示すことが示された。
【0033】
合成実施例3―1:3の比のコモノマー(F83について)
水約600gを、磁気攪拌棒と添加漏斗を備えた三つ口丸底フラスコに投入した。メチルジクロロシラン約207gと、ビニルメチルジクロロシラン約84.6gと、テトラヒドロフラン(THF)約30gと、ヘキサン約120gとを、添加漏斗中で混合した。シラン混合物を、攪拌した水にゆっくり添加した。水溶液は、クロロシランの加水分解の結果、酸性になった。水温は、シランの添加と共に徐々に上昇した。シランを1時間以内で添加した。生じた反応混合物を、約2時間攪拌した。次いで、有機相を分離し、水で洗浄し、NaSO上で乾燥した。溶媒のヘキサンを蒸留によって取り除いた。油生成物約128gを得た。
【0034】
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)分析により、生じたポリマーが、約24670の分子数(Mn)を有する二峰性の分散パターンを示すことが示された。
【0035】
合成実施例4―1:2の比のコモノマー(F84について)
水約600gを、磁気攪拌棒と添加漏斗を備えた三つ口丸底フラスコに投入した。メチルジクロロシラン約230gと、ビニルメチルジクロロシラン約141gと、テトラヒドロフラン(THF)約30gと、ヘキサン約140gとを、添加漏斗中で混合した。シラン混合物を、攪拌した水にゆっくり添加した。水溶液は、クロロシランの加水分解の結果、酸性になった。水温は、シランの添加と共に徐々に上昇した。シランを1時間以内で添加した。生じた反応混合物を、約2時間攪拌した。次いで、有機相を分離し、水で洗浄し、NaSO上で乾燥した。溶媒のヘキサンを蒸留によって取り除いた。油生成物約151gを得た。GPC分析により、生じたポリマーが、約65532の分子量(Mw)及び約24469の分子数(Mn)を有する二峰性の分散パターンを示したことが示された。
【0036】
3元コモノマーシロキサン系樹脂の合成実施例
合成実施例5―ジフェニルビニルメチルポリシロキサンの合成プロセス
テトラヒドロフラン約50gと水約400gの混合物を、磁気攪拌棒と添加漏斗を備えた三つ口丸底フラスコに投入した。ジフェニルジクロロシラン約126gと、メチルジクロロシラン約38gと、ビニルメチルジクロロシラン約47gと、トルエン約100gとを、添加漏斗中で混合した。シラン混合物を、攪拌した水にゆっくり添加した。水溶液は、クロロシランの加水分解の結果、酸性になった。水温は、シランの添加と共に徐々に上昇した。シランを1時間以内で添加した。生じた反応混合物を、室温で一晩攪拌した。次いで、有機相を分離し、水で洗浄し、NaSO上で乾燥した。溶媒を蒸留によって取り除いた。粘稠液約139gを得た。ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)分析により、生じたポリマーが、約1590の分子量Mw、及び約820の分子数Mnを有することが示された。
【0037】
2元及び3元コモノマーシロキサン系樹脂の応用の実施例
応用実施例1―高剛性実装及び回路基板材料
白金触媒錯体約0.5グラムのトルエン溶液を、合成実施例4の樹脂約150グラムに添加して、その溶液を約10分間攪拌する。触媒添加樹脂を、12.5×12.5インチの寸法のStyle2113Eガラス布の8枚のシート上に塗布して分散させる。そのシートを積み重ねて8層の板とする。その板を、Teflon(登録商標)(Teflonは米国及び/又は他の国々でのE.I.Du Pont De Nemours and Company Corp.の登録商標である)のポリテトラフルオロエチレンで被覆した紙シート上に置き、別のシートを布の最後の層の上に貼る。その集成体を、約160℃設定の加熱した段プレス中に入れ、約1℃/分で約250℃まで加熱し、約1時間保持する。冷却したとき、板をプレスから取り出し、紙を取り除いて約0.5mmの厚さのガラス/複合板を残す。次いで、その板を、不活性ガス炉中に入れる。この炉を約1℃/分で約350℃まで加熱し、約0.5時間保持する。冷却したとき、その板を、真空下で同じ樹脂を用いて再浸透させ、再び炉で約350℃まで加熱する。約3の誘電率及び0.002以下の誘電損率を有する、高密度で軽量のガラス/樹脂板が生じる。
【0038】
剛性をさらに増大させ、熱膨張係数を低減させ、再浸透及び熱分解の必要性を潜在的になくすために、ヒュームドシリカ又はサブミクロンシリカ粉末を上記の実施例で樹脂に添加することができる。
【0039】
応用実施例2―予備成形摩擦材料又はブレーキパッド材料のための摩擦改質樹脂
従来の高性能ディスクブレーキパッドを、約800℃〜約850℃の範囲の温度まで約2時間加熱して、構造を安定化する。冷却したとき、合成実施例3に記載している樹脂約80%のヘキサンなどの非極性溶媒溶液を用いてパッドを浸透させるために、パッドを真空下で樹脂中に約1/2時間浸す。次いで、パッドを不活性ガス炉中に入れ、約1℃/分で、必要な硬度に応じて約750℃〜約850℃の範囲の温度まで加熱する。このプロセスを、所望の性能に応じて、予浸透させた質量に対するパッドの質量増加が約2%〜約5%の範囲の割合に達するまで繰り返す。次いで、このように処理したブレーキパッドを、過度のノイズ又はローターの摩耗を生じることなく、セラミック及びセラミック複合材料のローターと共に使用することができる。
【0040】
より硬質なセラミックローターに対するパッドの摩耗を低減するために、より硬質なパッドの材料が必要な場合は、合成実施例2に記載している樹脂も使用してもよい。
【0041】
代替として、合成実施例2又は3に記載している樹脂を、パッドを形成する前にブレーキパッドの配合物に直接混合し、従来の加工法を使用してブレーキパッドへとプレスすることもできよう。
【0042】
応用実施例3―セラミック及び複合基板のための低K、低損失の表面平滑化被膜
合成実施例5に記載している中間樹脂約95gを、合成実施例1に記載しているポリマー約5gと混合し、磁気攪拌棒を使用して約10分間攪拌する。樹脂の全質量の1.5%の濃度又は約100gの過酸化ジクミルを添加する。触媒添加樹脂をさらに約10分間攪拌する。次いで、その樹脂を、電子基板又は他の基板としての使用を意図したセラミック(アルミナ)基材又は複合(ガラス/セラミック、又は炭素/セラミック)厚板上に塗装又はスピン被覆する。その厚板を、窒素の存在下で、約21℃から、約1/2℃/分の速度で温度を増大させながら、約300℃の温度に達するまでゆっくり被覆する。代替として、厚板を空中で約150℃の温度でゆっくり被覆し、約1時間保持する。次いで、被覆した厚板を、窒素中で約1℃/分で約300℃〜約350度の範囲の温度まで加熱し、約1/2時間〜約1時間保持して、被膜を硬化させる。鏡面仕上げを達成するために、その基板を必要に応じで再被覆するか単純に研磨することができる。
【0043】
必要に応じてより厚い被膜の形成を補助するために、(ミクロン/サブミクロンの範囲の細度の)セラミック粉末などの強化材/充填剤又はガラス繊維紙を使用することができる。樹脂固形分濃度を増大させることも、より厚い被膜を生じよう。
【0044】
応用実施例4―低価格で熱的に安定な高温セラミック基材複合材料
トルエン中の0.1%の白金錯体触媒約5gを、合成実施例2から得たポリマー約1000gを含有するフラスコに添加し、磁気攪拌棒で約15分間攪拌する。次いで、約0.5μm〜約4μmのサイズ範囲を有する炭化ケイ素粉末約1300g及び触媒添加ポリマーを、ジルコニアのミリング媒体を有する10リットルのボールミルに投入し、約4時間ミル処理して、樹脂と粉末を混合する。約4時間後、過酸化ジクミル触媒約5gをスラリーに添加し、さらに1時間ミル処理して触媒を混ぜ合わせる。混合すると、13インチ×13インチの寸法の炭素繊維生地の9枚の層にローラーを使用してスラリーを被覆し、層を完全に含浸する。各層を被覆した後、各層を前の層の上に積み重ねて、層間の接着を確実にするために堆積をロールする。9層全てを被覆して重ねた後、積層板を、4隅に0.220インチのスペーサーを有する黒鉛板上に置いて均一な厚さを確保し、第2の黒鉛板を堆積の最上部に置く。次いで、板/堆積を不活性ガス熱間プレス中に入れる。堆積を、約100psiまで荷重を加え、約1℃/分で約850℃〜約900℃の範囲の温度まで加熱し、約1時間保持する。冷却後、上記のとおり白金触媒を添加した合成実施例2の樹脂を用いて、板を真空浸透させる。次いで、板を不活性ガス炉中に入れ、必要な硬度に応じて、約1℃/分で約850℃〜約1150℃まで加熱する。このプロセスを、所望の性能に応じて、予浸透質量に対する板の質量増加が約2%〜約5%になるまで、約4サイクル〜約6サイクル繰り返す。こうして、オートバイの複合ブレーキローターなどの所望の形に、板を機械加工することができる。
【0045】
樹脂の硬度及び耐摩耗性を増大させる代替のプロセスは、1回又は複数回の再浸透・熱分解サイクルの間にSi−C形成プレセラミックポリマーを添加することによって使用してもよい。
【0046】
液体樹脂の密度は、フェニル含有量に応じて、約1.02〜約1.3g/ccの範囲である。
【0047】
純樹脂の粘度は、組成に応じて、約50cps〜約10,000cpsまで変動させることができる。樹脂は、例えば、限定はしないが、典型的な「ゼロ状態」白金触媒などの白金錯体、又は、例えば、限定はしないが、過酸化ジクミルなどの過酸化物触媒のいずれかを用いて硬化する。
【0048】
3元モノマーシロキサン系樹脂の高度に分岐したポリカルボシランとの架橋結合
本開示のさらなる実施形態は、向上した接着性、剛性、及び強靭性を材料にもたらすために、高度に分岐したカルボシランポリマーを2又は3元コモノマーシロキサン系樹脂に添加するプロセスを提供する。高度に分岐したカルボシランポリマーは、アリル基、フェニル基、アセチル基、プロパルギル基又はそれらの組合せを含んでよい。そのようなカルボシランを使用すると、最初にビニル基を水素(H)と反応させて樹脂を「Bステージ化」(すなわち、中間樹脂を形成)し、続いて水素を用いてアリル基をより高温で硬化して、低硬化温度で非常に剛くて強靭な「プラスチック」を生成することによって、二段硬化機構が実現する。
【0049】
ポリカルボシランと別称されるケイ素−炭素(Si−C)主鎖ポリマーの、ケイ素−酸素(Si−O)主鎖を有する[3元コモノマー]シロキサン系樹脂に対する典型的な比は、約1:20〜約20:1の範囲である。この比の範囲を通して、興味深い性質が示される。合成実施例5の3元コモノマーシロキサン系樹脂中のビニル基は、カルボシラン上のケイ素結合水素原子と反応して、約40℃〜約150℃の温度で初期「粘着」段階を形成し、一方で、カルボシラン中のアリル基は、ケイ素−酸素(Si−O)ポリマー上の残っている水素と反応して、約250℃もの低温で架橋結合を生成して硬質な「プラスチック」様固体を生成する。
【0050】
フェニル、アリル、アセチル及び/又はプロパルギルを含有する高度に分岐したポリカルボシランをSi−O主鎖樹脂に添加すると、架橋ハイブリッドコポリマーシステム/材料を生じる。ハイブリッドコポリマーシステム/材料は、様々な温度で硬化すると、ある範囲の強靭性及び高温強度を示すことができる。温度範囲は、限定はしないが、約180℃〜約500℃を、例えば、限定はしないが、約4時間の期間にわたって含んでよい。高度に分岐したポリカルボシランを使用すると、ハイブリッドコポリマーシステム/材料に実際のガラス転移温度(Tg)をもたらすこともできる。例えば、限定はしないが、式1で表す3元コモノマーシロキサン系樹脂を含めた、ビニル架橋結合を有するSi−O主鎖を有するシロキサン系ポリマー組成物は、通常、純粋な熱硬化性樹脂である。
【0051】
高度に分岐したポリカルボシランの例は以下に示され、
073:[SiMe(〜)CH(〜)]0.75n[Si(Ph)HCH0.25n、
075:[SiMe(〜)CH(〜)]n[SiMe(H)CH]n[SiMe(アリル)CH]n、
086:[SiMe(〜)CH(〜)]0.7n[Si(Ph)HCH]0.25n[Si(Ph)アリルCH0.05n,
092:[SiMe(〜)CH(〜)]0.7n[SiPhCH0.3n,
093:[SiMe(〜)CH(〜)]0.7n[Si(アリル)CH0.3
式中、〜は分鎖を表し、
「n」の隣の係数は必要に応じて変えることができる。
【0052】
さらに、典型的なポリカルボシランは、例えば、限定はしないが、
045:[SiHCH0.2n[Si(アリル)HCH0.2n[Si(Ph)CH0.6
式中、〜は分鎖を表し、
「n」の隣の係数は、必要に応じて変えることができ、
これらのものは、約250℃〜約350℃の範囲の低温で剛性及び強靭性を向上させるため、並びに、金属、例えば、限定はしないが、アルミニウム及び銅への接着を調節するために使用することができる。代替として、同じ目的/結果を達成するために、市販のポリカルボシラン、例えば、限定はしないが、代表的な式が[SiHCH0.9n[SiH(CHCH=CH)CH0.1nであるSMP−10、及び、代表的な式が[SiHCH0.25n[SiH(CHCH=CH)CH0.75nであるSMP−75(両方ともSTARFIRE Systems製)並びにKiON(登録商標)HTT1800(KiON Corporation、Huntingdon Valley、PA)などの市販のポリシラザンを使用してもよい。
【0053】
2元コモノマー及び3元コモノマーシロキサン系樹脂を調製するプロセスは、所望の剛性、強靭性、又は柔軟性を有するポリマーネットワークを生成するために、架橋結合の量と割合の調節を行う。このことは、前述の実施例で示したシステムを通して、以下のものの量を調節することにより達成することができる。
・剛性及び強靭性を付与するフェニル基(但し、多すぎると、生じたTgが低すぎ、純樹脂の粘度を上昇させすぎる)。
・水素(但し、多すぎると、加熱すると収縮し、最低限の強度しか有さない柔らかい樹脂を生じ、少なすぎると、非常に高い硬化温度を生じる)。
・ビニル基(但し、少なすぎると柔らかい樹脂を生じ、多すぎると硬質で脆い樹脂を生じる)。ビニルの含有量が多いと、架橋結合の間に過剰な熱も生成する。
・ビニル硬化機構の他に剛性及び二次硬化機構を付与するアリル基(但し、アリルが多すぎると、高すぎる剛性が生じ、脆弱性につながる)。
【0054】
上述のシステムは、白金(Pt)又は、過酸化物触媒、例えば、限定はしないが、過酸化ジクミルのいずれかを使用して硬化することができる。上述のシステムに従って調製したポリマーの中には、約500℃を超える温度で約94%〜約97.5%生じるものもある。現在知られているシステムによる類似の温度での約90%未満のセラミック収率と比較して、そのようなポリマーは、非常に高いセラミック収率を有する。このことは、従来技術と比較して、本開示の様々な方法又は態様によって調製した生成物中のC=C結合の量が最低限であることが主な理由であることは明らかである。
【0055】
3元モノマー構成成分樹脂と架橋結合したアリル又はアリル/フェニル含有カルボシランポリマーの応用実施例
応用実施例5―高温に耐え得る、強靭で透明なハイブリッド無機/有機プラスチック様材料
合成実施例5から得たポリマー約87gを、200mlフラスコ中で磁気攪拌棒を使用して、073分岐ポリカルボシラン約13gと混合する。混合物を、約10分間攪拌してから、過酸化ジクミル約1gを添加し、さらに約10分間攪拌する。調製すると、ポリマー約45gを13mmの深さの100mm×100mmPTFEトレーに注ぐ。PTFEトレーを、炉中に入れ、約0.5℃/分の温度増分で約200℃の温度まで加熱し、約1時間保持する。次いで、架橋ポリマー及び受け皿を、不活性ガス炉中に入れ、約21℃から、約1℃/分の温度増分で、約250℃の温度まで加熱し、約4時間保持する。この温度増分を、全ての後続のステップでも同様に使用する。トレーから固化樹脂を取り除き、約400℃まで加熱して約2時間保持し、最終的に約500℃まで加熱して約1時間保持する。質量収率は、約78%〜約84%である。生じた固体の、ひび割れのないディスクは、オレンジ色/褐色で透明であり、約1.15〜約1.20g/ccの密度を有し、妥当な強靭性と共に高剛性を示す。
【0056】
応用実施例6―プリプレグ又は積層板の生成
0.2%の白金触媒20gを、合成実施例5の樹脂1000gに添加し、その触媒添加樹脂を約15分間攪拌した。サブミクロンケイ素粉末400g及びキシレン150gを、ミリング媒体を含有する4リットルのミリングジャーに添加した。次いで、触媒添加樹脂をジャーに添加し、混合物全体を1時間ボールミル処理した。生じたペンキ様の流体を、12”×4”トレーに注いだ。次いで、10”×10”Style2116Eガラスの6枚のシートを浸漬し、その流体で完全に被覆した。次いで、シートを炉中に吊るし、約160℃〜約170℃の温度範囲で3〜5分間Bステージ化した。生じた被膜ガラスシートは、わずかに「粘着性」であった。次いで、6枚の被覆しBステージ化したシートを使用して、各シートをPTFE被膜鋼板上に置き、約150℃に設定した段プレス中で加圧し、約20psi〜約50psiの圧力範囲下で、約280℃の温度まで約2℃/分〜約5℃/分の温度増分範囲で加熱し、約1次間保持することによって積層板を作った。不活性ガス中で、約300℃〜約350℃のより高い温度範囲まで加熱することによって、より硬いが依然として強くて強靭な積層板を生じることになる。
【0057】
応用実施例7―積層板の銅被覆
合成実施例5のポリマー約25gを、40ml管壜中でキシレン約5gと混合して、ポリマー/キシレン溶液を形成する。応用実施例6のプロセスに従って2層積層板が得られるが、不活性ガス中でわずか約170℃まで加熱する。積層板を室温まで冷却したとき、ポリマー/キシレン溶液の薄い層を、積層板の片側上に塗装して、約100℃で空気乾燥することができ、積層板の反対側を、同様に被覆し、同様に乾燥することができる。それぞれが片側を処理された2片の1/2オンス銅箔を、積層板の寸法に切断する。箔の1片を、処理した側を上にして、硬質な平面上に置く。その間に皺も泡も形成されないように、被覆した積層板を箔板上に注意しながら置く。次いで、箔の第2の片を、処理した側を下にして積層板上に置いて、銅−積層板−銅「張合せ積層板」とする。
【0058】
ローラーを使用して、その間に確実に泡がないようにして、箔板が積層板と確実に完全に接触するようにする。次いで、集成体を段プレス中に入れ、約1℃/分の加熱速度で約275℃まで約50psiの圧力をかけ、約2時間保持する。保持した後、積層板を、約5℃/分未満の冷却速度で室温までゆっくり冷却させる。結果として、良好な剛性及び優れた電気的性質を有する、約0.006インチの厚さの銅張積層板が生じる。
【0059】
本開示の様々な態様に関する前述の説明を、例示及び説明の目的のために提示した。開示した厳密な形で本発明を包括する又は限定することは意図しておらず、多くの変更及び変法が可能であることは明らかである。当業者には明らかであろうそのような変更及び変法は、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種のコモノマーのコポリマーを含む組成物を有するシロキサン系樹脂であって、
前記少なくとも2種のコモノマーのそれぞれがケイ素−酸素(Si−O)結合を含み、
前記少なくとも2種のコモノマーのそれぞれがケイ素−炭素(Si−C)結合を含み、
前記少なくとも2種のコモノマーが可変の分率関係を共有し、
前記少なくとも2種のコモノマーのそれぞれが、フェニル、ビニル、メチル及び水素からなる群から選択される官能基を含み、
前記官能基が前記Si−O結合のケイ素(Si)原子に直接結合されている、
シロキサン系樹脂。
【請求項2】
一般式
【化1】


を有し、
式中、前記可変の分率関係が
x+y+z=1、
0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1
で表され、
nは、前記シロキサン系樹脂中の基本コポリマー単位の数を示し、
1≦n≦600
であり、
R、R’及びR”のそれぞれは独立に、水素(H)、メチル、ビニル及びフェニルからなる群から選択される官能基である、
請求項1に記載のシロキサン系樹脂。
【請求項3】
xが約0.05〜約0.80の範囲であり、yが約0.05〜約0.50の範囲であり、zが約0.05〜約0.80の範囲である、請求項2に記載のシロキサン系樹脂。
【請求項4】
Rが、フェニル及びメチルからなる群から選択され、R’が、ビニル及びメチルからなる群から選択され、R”が、水素及びメチルからなる群から選択される、請求項3に記載のシロキサン系樹脂。
【請求項5】
前記シロキサン系樹脂が、x及びyモノマー、y及びzモノマー、又はx及びzモノマーを含む、請求項2に記載のシロキサン系樹脂。
【請求項6】
y及びzが、約1:1〜約1:10の範囲の比の関係y:zを有する、請求項5に記載のシロキサン系樹脂。
【請求項7】
シロキサン系組成物を調製するプロセスであって、
水−溶媒混合物の存在下で一段階同時加水分解反応において3種のジハロシランを混合するステップであって、前記溶媒が、ヘキサン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、キシレン及びそれらの2種以上の任意の組合せからなる群から選択されるステップを備え、
前記3種のジハロシランのそれぞれが、その間にSi−O主鎖を形成するためのケイ素−酸素(Si−O)結合を含み、
前記3種のジハロシランのそれぞれが、少なくとも1つのケイ素−炭素(Si−C)結合を含み、
前記3種のジハロシランのうちの1種が、前記Si−O結合の前記Si原子に直接結合したビニルを含み、
前記3種のジハロシランのうちの1種が、前記Si−O結合の前記Si原子に直接結合した水素(H)を含み、
前記3種のジハロシランのうちの1種が、前記Si−O結合の前記Si原子に直接結合したフェニル(Ph)を含み、
前記3種のジハロシランが、可変の分率関係
x+y+z=1、
0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1
を共有し、
式中、xがフェニルを有する種類のジハロシランの分率を表し、
yがビニルを有する種類のジハロシランの分率を表し、
zが水素を有する種類のジハロシランの分率を表す、
プロセス。
【請求項8】
x=0であり、y及びzが約1:1〜約1:10の範囲の分率比関係y:zで表される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
不活性ガス下で、約500℃〜約1200℃の範囲の温度で熱分解するステップをさらに備える、請求項7に記載のプロセス。
【請求項10】
請求項9に記載のプロセスに従って得られる組成物。
【請求項11】
約1ppm〜約20ppmの範囲の濃度の白金錯体、約0.1%〜約1%の範囲の濃度の過酸化物及びそれらの組合せからなる群から選択される触媒を用いて、約21℃〜約300℃の範囲の温度で、前記組成物を硬化するステップをさらに備える、請求項7に記載のプロセス。
【請求項12】
前記過酸化物が過酸化ジクミルである、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
フェニルを有する前記ジハロシランがジクロロジフェニルシランである、請求項7に記載のプロセス。
【請求項14】
請求項13に記載のプロセスに従って得られる組成物。
【請求項15】
ケイ素−炭素(Si−C)主鎖のポリカルボシランポリマーと架橋結合したケイ素−酸素(Si−O)主鎖のシロキサン系ポリマーを含むハイブリッドコポリマーを調製するプロセスであって、
高度に分岐したポリカルボシランをシロキサン系ポリマーに添加するステップであって、
前記ポリカルボシランが、
水素が前記ポリカルボシランの前記Si−C主鎖のケイ素(Si)原子に直接結合した一価の水素である、少なくとも1個のケイ素−水素(Si−H)置換基と、
少なくとも1個の炭素−炭素二重結合(C=C)置換基と、
を含み、
前記シロキサン系ポリマーが、少なくとも2種のコモノマーを含む組成物であって、
前記少なくとも2種のコモノマーのうちの1種がビニル置換基を含み、
前記少なくとも2種のコモノマーのうちの1種が、前記Si−O主鎖のケイ素(Si)原子に直接結合した一価の水素を含み、
前記少なくとも2種のコモノマーのうちの1種が、フェニル置換基を含む
組成物を有するステップと、
前記シロキサン系ポリマーの前記ビニル置換基を、前記ポリカルボシラン中の前記Si−H結合の前記一価の水素原子と反応させて、中間ハイブリッドコポリマーを形成するステップと、
前記ポリカルボシラン中の前記C=C置換基を前記シロキサン系ポリマー中の前記一価の水素と反応させるために前記中間ハイブリッドコポリマーを加熱することによって、前記中間ハイブリッドコポリマーを硬化するステップと、
を備えるプロセス。
【請求項16】
前記高度に分岐したポリカルボシランの前記少なくとも1個のC=C置換基が、アリル、アセチル、プロパルギル、フェニル、又はそれらの組合せからなる群から選択される1種を含む、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ハイブリッドコポリマーの前記Si−O主鎖シロキサン系ポリマー及び前記ケイ素−炭素Si−C主鎖ポリカルボシランが、約1:20〜約20:1の範囲の比の分率関係を有する、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記反応するステップが、約40℃〜約150℃の範囲の温度で実施される、請求項16に記載のプロセス。
【請求項19】
前記硬化するステップが、約180℃〜250℃で実施される、請求項16に記載のプロセス。
【請求項20】
請求項19に記載のプロセスに従って得られるハイブリッドコポリマー。
【請求項21】
請求項15に記載のプロセスに従って得られるシロキサン系樹脂を含む組成物。
【請求項22】
請求項7に記載のプロセスに従って得られるシロキサン系樹脂から誘導される樹脂を含む組成物。
【請求項23】
組成物を調製するプロセスであって、請求項7に記載のプロセスに従って得られるシロキサン系樹脂を含むプロセス。
【請求項24】
組成物を調製するプロセスであって、請求項7に記載のプロセスに従って得られるシロキサン系樹脂から前記組成物を誘導するステップを含むプロセス。
【請求項25】
請求項7に記載のプロセスに従って得られるシロキサン系樹脂を含む、湿式レイアップ積層樹脂。
【請求項26】
請求項7に記載のプロセスに従って得られるシロキサン系樹脂を含む、Bステージ化樹脂。
【請求項27】
電子実装、回路基板及びヒートシンクとして使用する材料の製造プロセスであって、請求項7に記載のプロセスに従って得られる組成物を、出発材料、中間物及びそれらの組合せからなる群からの1種に添加するステップを備えるプロセス。
【請求項28】
ガラス、有機物、セラミック、又は金属製の充填剤を有するポリマーを調製するプロセスであって、請求項7に記載のプロセスから得られる組成物を、出発材料、中間物及びそれらの組合せからなる群からの1種に添加するステップを備えるプロセス。
【請求項29】
基板表面被覆物、誘電体被覆物、封入剤、及び封止剤を製造するプロセスであって、請求項7に記載のプロセスから得られる組成物を、出発材料、中間物及びそれらの組合せからなる群からの1種に添加するステップを含むプロセス。
【請求項30】
上記の請求項5に記載の繊維/生地のいずれかから複合材料を作るための基材材料。
【請求項31】
基材の繊維への結合を調節するため、繊維を保護するため、及び繊維の耐熱性を向上させるための繊維用被覆物であって、請求項7に記載のプロセスに従って得られるシロキサン系組成物を含む繊維用被覆物。
【請求項32】
請求項7に記載のプロセスに従って得られるシロキサン系樹脂を含む、生地上の被覆物。
【請求項33】
耐摩耗性の材料を調製するプロセスであって、請求項7に従って得られる中間温度樹脂を、炭素、セラミック、ガラス繊維及び粉末の充填剤からなる群から選択される1種を用いて強化するステップを含むプロセス。
【請求項34】
請求項7に記載のプロセスに従って得られるシロキサン系樹脂を含む被覆物用配合物であって、前記被覆物が、表面硬化被覆物、摩耗被覆物、封止被覆物、耐蝕保護被覆物及び誘電体被覆物からなる群から選択される1種として使用される配合物。
【請求項35】
既存の有機樹脂に対する難燃性添加剤であって、請求項7に記載のプロセスに従って得られるシロキサン系樹脂を含む難燃性添加剤。
【請求項36】
ガラス、有機繊維、無機繊維、紙及び布上へ堆積させるための被覆物であって、
請求項7に記載のプロセスに従って得られるシロキサン系樹脂から形成される基材を含み、
前記基材が耐熱又は耐火性である被覆物。
【請求項37】
既存の有機樹脂中の任意の臭素化化合物を代替するため、及びそれらの耐熱及び耐炎性質を強化するための添加剤であって、請求項7に記載のプロセスに従って得られるシロキサン系樹脂を含む添加剤。
【請求項38】
請求項7に記載のプロセスに従って得られるシロキサン系樹脂を含む、耐熱パネル。
【請求項39】
請求項7に記載のプロセスに従って得られるシロキサン系樹脂を含む、誘電用途のための低誘電率材料。
【請求項40】
積層板、無機複合材料、セラミック複合材料及び構造材料からなる群のうちの1種を含む回路基板における、ガラス、金属及びセラミック上に塗られ、それらに導体を結合するためのポリマー材料であって、請求項1に記載のシロキサン系樹脂又はその誘導体を含む、ポリマー材料。
【請求項41】
有機及び無機の流体、樹脂及びポリマーにおける、架橋添加剤、改質添加剤及び作用剤中の架橋ビニル型有機材料を代替するための添加剤であって、請求項7に記載のプロセスに従って得られるシロキサン系樹脂を含む添加剤。
【請求項42】
請求項7に記載のプロセスに従って得られるシロキサン系樹脂を含む、高温樹脂代替用の配合物。

【公表番号】特表2010−503763(P2010−503763A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529345(P2009−529345)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2007/078770
【国際公開番号】WO2008/036662
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(509074081)スターファイアー システムズ, インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】