説明

シート処理装置

【課題】作業性良く迅速にシート体に所定の処理ガスによる表面処理を実施でき、前記処理ガスが装置本体の外部周囲に漏出することも防止できる画期的なシート処理装置。
【解決手段】装置本体Aの処理室2の搬入口4及び搬出口5を夫々覆う搬入側補助室6及び搬出側補助室7を設け、搬送手段によりシート体3を前記搬入側補助室6を通過して処理室2内に順次搬入しつつこの処理室2内から前記搬出側補助室7を通過して順次搬出して装置本体A内にシート体3を連続的に搬送通過させ得る構成とし、前記処理室2には、この処理室2内を搬送通過するシート体3の少なくとも一面側に、このシート体3の幅方向に噴出領域を有しこのシート体3に向けて所定の処理ガスを噴出する噴出ノズル部9と、この噴出ノズル部9に対して前記シート体3の搬送方向前方側若しくは後方側の近傍位置に吸入口10とを設け、前記搬入側補助室6と搬出側補助室7とには夫々排気部8を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的に搬送通過されるシート体を、装置本体内にて所定の処理ガスによって例えば表面処理するシート処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば所定の被加工面の密着性向上を目的として疎水化処理が実施されており、代表的な手法としては、HMDS(ヘキサメチルジシラザ)を含む所定の処理ガスを被加工面に噴出し接触させ、この処理ガス(HMDSガス)との反応により前記被加工面を疎水化処理する方法が実施されている。
【0003】
しかし、例えばHMDSガスは、それ自体が高い引火性を有する上に、被加工面と反応した後にアンモニアを発生し、腐食や悪臭の問題があることから、処理時には、このHMDSを含む処理ガス(以下、「処理ガス」とは、被加工面と反応する前の処理ガスだけでなく被加工面とHMDSとが反応した後の処理ガスも含む意味とする。)が処理装置の外部周囲へと漏出することを防ぐことが極めて重要である。
【0004】
そこで、このような処理ガスを使用する場合には、密閉された処理室(密閉チャンバ)内にて処理を行うのが一般的である(例えば特許文献1,2など)。
【0005】
しかし、このような密閉式の処理室で処理を行う場合、処理室を開放してワークを搬入した上で処理室内を密閉し、この処理室内の前記ワークに対して処理ガスを噴出して処理を行う。そして処理後には、前記密閉状態を保持したままこの処理室に備えた排気手段によってこの処理室内の前記処理ガスを含むガス雰囲気を排気し、完全に前記処理ガスが排気された後に前記処理室を開放して適宜ワークの搬出や次なるワークの搬入などを行うものである。
【0006】
従って、例えば複数のロールにより緊張状態に保持して巻回搬送されるシート体のように、処理室に順次搬入,搬出されてこの処理室内を連続的に搬送通過するシート体に対して前述のような処理を実施したい場合には、シート体が常時連続的に処理室内を搬送通過している以上、処理時にも処理室をシャッタなどで密閉構造とすることができない。
【0007】
その為、これまで長尺なシート体に対してこのHMDS処理(疎水化処理)は殆ど実施されていないのが現状であった。
【0008】
尚、シート体の形成時に、シート体の構成素材自体にHMDS処理をして疎水性に秀れたシート体を得る手法は有るものの、既存のシート体の表面をHMDS処理することはできず、上記問題を解決するものは従来においては提案されていない。
【0009】
【特許文献1】特開2000−150368号公報
【特許文献2】特開昭63−94627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述のような現状に鑑み、装置本体内にシート体を連続的に搬送通過させつつこの装置本体内にて前記シート体に処理ガスを噴出し接触させてシート体の表面処理を迅速且つ良好に行うことができ、しかも前記処理ガスが装置本体の外部周囲に漏出することも確実に防止できるなど、極めて作業性及び安全性に秀れた画期的なシート処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0012】
所定の搬送手段により装置本体A内にシート体3を連続的に搬送通過させつつこの装置本体A内にて前記シート体3に処理を行うシート処理装置において、前記装置本体Aは、前記シート体3に処理ガスを接触させて表面処理する処理室2と、この処理室2の搬入口4及び搬出口5を夫々覆う搬入側補助室6及び搬出側補助室7とを設け、前記搬送手段により前記シート体3を前記搬入側補助室6を通過して処理室2内に順次搬入しつつこの処理室2内から前記搬出側補助室7を通過して順次搬出して前記装置本体A内にシート体3を連続的に搬送通過させ得るように構成し、前記処理室2には、この処理室2内を搬送通過する前記シート体3の少なくとも一面側に、このシート体3の搬送方向と直交する幅方向に噴出領域を有し前記シート体3に向けて所定の処理ガスを噴出する噴出ノズル部9を設けると共に、この噴出ノズル部9の近傍位置にして、少なくとも噴出ノズル部9に対して前記シート体3を介した対向位置ではなくこの噴出ノズル部9に対して前記シート体3の搬送方向前方側若しくは後方側の近傍位置に吸入口10を設けた構成とし、前記搬入側補助室6と前記搬出側補助室7とには夫々排気部8を設けた構成とし、処理時には、前記噴出ノズル部9から前記シート体3に向けて処理ガスを噴出すると共に、前記吸入口10からは前記処理ガスを含む処理室2内のガス雰囲気を吸入排気し、且つ前記吸入口10によって吸入しきれずに処理室2内から前記搬入口4若しくは搬出口5を介して前記搬入側補助室6若しくは搬出側補助室7内に漏出した前記処理ガスを含むガス雰囲気は前記排気部8から排気して、前記装置本体Aの周囲に前記処理室2内のガス雰囲気が漏出することを防止しつつこの装置本体A内に前記シート体3を連続的に搬送通過させ得るように構成したことを特徴とするシート処理装置に係るものである。
【0013】
また、前記噴出ノズル部9から噴出する前記処理ガスとして、HMDSを含む処理ガスを採用し、前記処理室2内にて前記シート体3に前記HMDSを含む処理ガスを接触させて疎水化処理するように前記装置本体Aを構成したことを特徴とする請求項1記載のシート処理装置に係るものである。
【0014】
また、前記噴出ノズル部9は、前記処理室2内を搬送通過する前記シート体3の搬送方向と直交する幅方向に長いスリットノズル状に形成するか,若しくは前記シート体3の幅方向に沿ってノズル口を複数並設して、少なくとも前記シート体3の幅寸法と略等しい幅寸法の前記噴出領域を有する構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のシート処理装置に係るものである。
【0015】
また、前記吸入口10は、前記処理室2内を搬送通過する前記シート体3の搬送方向と直交する幅方向に長いスリットノズル状に形成するか,若しくは前記シート体3の幅方向に沿ってノズル口を複数並設して、前記噴出ノズル部9の噴出領域に沿った幅方向を有する構成としたことを特徴とする請求項3記載のシート処理装置に係るものである。
【0016】
また、前記吸入口10は、前記噴出ノズル部9に対して前記シート体3の搬送方向前方側と後方側との両側位置にして、この噴出ノズル部9から噴出された前記処理ガスを前記吸入口10へと誘導吸入し得るようにこの噴出ノズル部9の直近に設けた構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート処理装置に係るものである。
【0017】
また、前記噴出ノズル部9と、この噴出ノズル部9に対して前記シート体3の搬送方向前方側若しくは後方側の近傍位置に設ける前記吸入口10との間に、前記シート体3と沿設状態に近接するシート近接面部11を設け、処理時には、前記噴出ノズル部9から噴出された処理ガスが前記吸入口10の吸入力により前記シート近接面部11と前記シート体3の表面との間隙を通じて前記吸入口10へと誘導吸入されるように構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート処理装置に係るものである。
【0018】
また、前記噴出ノズル部9の口縁部から、この噴出ノズル部9に対して前記シート体3の搬送方向前方側若しくは後方側の近傍位置に設ける前記吸入口10に向けて延設状態に前記シート近接面部11を形成した構成としたことを特徴とする請求項6記載のシート処理装置に係るものである。
【0019】
また、前記処理室2の搬入口4を覆う搬入側補助室6に補助搬入口14を設け、搬出口5を覆う搬出側補助室7に補助搬出口15を設け、前記搬送手段により前記シート体3を前記搬入補助搬入口14及び前記搬入口4を順次通過させて処理室2内に順次搬入しつつ、この処理室2内から前記搬出口5及び補助搬出口15を順次通過させて順次搬出して前記装置本体A内に前記シート体3を連続的に搬送通過させ得るように構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のシート処理装置に係るものである。
【0020】
また、前記搬入側補助室6,搬出側補助室7に夫々設けた前記各排気部8からの排気によって、前記搬入側補助室6に設けた補助搬入口14,前記搬出側補助室7に設けた補助搬出口15から外気が吸入されるように前記排気部8の排気吸入力を設定し、この補助搬入口14,補助搬出口15から前記装置本体Aの外部へと前記処理室2内のガス雰囲気が漏出しないように前記排気部8の前記排気吸引力を設定したことを特徴とする請求項8記載のシート処理装置に係るものである。
【0021】
また、前記搬入側補助室6及び前記搬出側補助室7には夫々、この搬入側補助室6,搬出側補助室7を搬送通過する前記シート体3を介して一面側及び他面側の両面側位置に夫々前記排気部8を設けた構成としたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のシート処理装置に係るものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上述のように構成したから、装置本体内にシート体を連続的に搬送通過させながらこの装置本体の処理室内にて処理ガスを前記シート体に噴出し接触させて表面処理を行うことができ、よってシート体を連続的に搬送しつつ次々と迅速且つ良好にこのシート体に所定の表面処理を行うことができる。
【0023】
しかも本装置はこのようにシート体を連続的に搬送通過させる構造,つまり処理時に装置本体を密閉状態とせず前記シート体を連続的に搬送通過させるべく常時開放しつつ処理を行う構造でありながら、しかしこの装置本体の処理室内のガス雰囲気が装置本体の外部周囲へと漏出することは噴出ノズル部の近傍位置に設けた吸入口と、搬入側補助室,搬出側補助室に夫々設けた排気部との双方により確実に防止できる。
【0024】
よって本発明は、密閉構造としていないにも関わらず処理ガスを装置本体の外部周囲に漏出させること確実に防止し、シート体を連続的に搬送通過させつつこのシート体に作業効率良く所定の処理ガスによる表面処理を行うことができ、極めて作業性及び安全性に秀れた画期的なシート処理装置となる。
【0025】
また、請求項2記載の発明においては、既存のシート体表面の疎水化処理を極めて迅速且つ良好に実施でき、しかもHMDSを含んだ処理ガスを装置本体から漏出させる危険も無く、既存のシート体の表面を疎水化処理するに極めて好適な画期的なシート処理装置を提供できる。
【0026】
また、請求項3,4記載の発明においては、一層確実且つ良好にシート体の表面全面に万遍なく前記処理ガスを接触させて表面処理し得る構造を簡単な構成で確実に実現できる。特に請求項4記載の発明においては、シート体の幅方向に長い噴出領域を有する噴出ノズル部から噴出された処理ガスを、同じくシート体の幅方向に長い吸入口により一層効率的に吸入でき、処理ガスの漏出防止を一層確実に図れる。
【0027】
また、請求項5〜7記載の発明においては、噴出ノズル部から噴出した処理ガスを一層確実且つ良好に吸入口に誘導吸入でき、処理ガスの漏出防止を一層確実に図れる。特に請求項6,7記載の発明においては、噴出ノズル部から噴出した処理ガスを、シート近接面部とシート体との狭い間隙を通じさせて前記吸入部へと誘導吸引する構成とした為、前記狭い間隙に処理ガスを通過させつつこの処理ガスをシート体に確実に接触させて表面処理を確実に達成できる。また更に、噴出ノズル部から噴出された処理ガスが処理室内の広範囲に飛散してしまうことを前記シート近接面部によって阻止でき、それだけ処理ガスを吸入口へと効率的に誘導吸入できる。よって設計次第では、噴出ノズル部と吸入口との間の離間距離を多少長く設定しても前記吸入口の吸入作用が十分に発揮されるように構成することもでき、この場合には噴出ノズル部と吸入口との間のシート近接面部を長範囲に設定できシート体と処理ガスとを一層良好に接触させることができる。
【0028】
また、請求項8〜10記載の発明においては、処理室内から搬入口,搬出口を介して搬入側補助室,搬出側補助室内に漏出した前記処理室内のガス雰囲気を、この搬入側補助室,搬出側補助室の排気部によって排気し、装置本体の外部周囲へと漏出することを確実に防止し得るなど、本発明の秀れた上記作用効果を確実に発揮し得る構成となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0030】
シート体3にHMDSガスを含む処理ガスを接触させて、シート体3を疎水化処理する場合を例に説明する。
【0031】
所定の搬送装置1により装置本体A内にシート体3を連続的に搬送通過させつつこの装置本体A内にて前記シート体3を疎水化処理する。
【0032】
具体的には、この装置本体Aには、前記シート体3に所定の処理ガスを処理する処理室2と、この処理室2の搬入口4及び搬出口5を夫々覆う搬入側補助室6及び搬出側補助室7とを設けており、処理時には、前記搬送手段によって前記シート体3を前記搬入側補助室6を通過して処理室2内に順次搬入しつつこの処理室2内から前記搬出側補助室7を通過して順次搬出し、この装置本体A内にシート体3を連続的に搬送通過させる。
【0033】
また、処理室2内には、この処理室2内を搬送通過する前記シート体3の少なくとも一面側に、このシート体3の搬送方向と直交する幅方向に噴出領域を有し前記シート体3に向けて前記HMDSを含む処理ガスを噴出する噴出ノズル部9を設けている。
【0034】
従って処理時には、前記シート体3の幅方向に噴出領域を有し前記処理ガスを噴出する噴出ノズル部9に対して前記シート体3を搬送方向へと連続的に相対移動させつつ、この噴出ノズル部9から噴出した処理ガスによって前記シート体3の表面を連続的に次々と疎水化処理することとなる。
【0035】
この際、処理室2内は、高い引火性を有するHMDSや、HMDSとシート体3との反応によって発生したアンモニアなどの種々の処理ガスが含まれたガス雰囲気となり、よってこの処理室2内のガス雰囲気が仮に装置本体Aの外部周囲へと漏出すると、HMDSの引火やアンモニアによる悪臭,腐食などの種々の問題が生ずる。
【0036】
しかし本発明では、処理時に噴出ノズル部9の近傍位置に吸入口10を設けており、処理時には、前記噴出ノズル部9から処理ガスを噴出すると同時にこの噴出ノズル部9の近傍位置に設けた吸入口10からは処理ガスを吸入することで、前記噴出ノズル部9から噴出した処理ガスを、シート体3に接触した後に直ちに吸入口10より効率的に吸入し、処理室2内から効率的に排気することが可能である。
【0037】
また本装置は、搬送方向に長く途切れ目のないシート体3が処理対象であり、装置本体A内のガス雰囲気は前記シート体3により妨げられてこのシート体3の一面側と他面側とでガス雰囲気が良好に循環しない構造となり易い。しかし本発明では噴出ノズル部9に対して吸入口10をただ単に近傍位置に設けるのではなく、少なくとも噴出ノズル部9に対して前記シート体3を介した対向位置ではなくこの噴出ノズル部9に対して前記シート体3の搬送方向前方側若しくは後方側の近傍位置に設ける構成とした為、前記シート体3に妨げられること無く噴出ノズル部9からの処理ガスを吸入口10から効率的に吸入排気できることとなる。
【0038】
更に、もし仮にこの吸入口10によって吸入しきれずに処理室2内から搬入口4若しくは搬出口5を介して前記搬入側補助室6若しくは搬出側補助室7内に前記処理室2内のガス雰囲気が漏出したとしても、この搬入側補助室6及び搬出側補助室7に夫々設けた排気部8から排気でき、よって装置本体Aから前記処理ガスを含む処理室2内のガス雰囲気が、この装置本体Aの外部へと漏出することを前記吸入口10と前記排気部8との二段階の吸入・排気により確実に防止できることとなる。
【0039】
従って、これまでシート体3を処理室2内に連続的に搬送通過させつつ処理を行う場合には、処理室2内を密閉状態にできないためにこの処理室2内のガス雰囲気が装置外部へと漏出する懸念があり、それ故、大量に漏出すると危険が生ずるような処理ガスを採用することは安全上の観点から容易では無かったが、しかし本発明では、シート体3を処理室2内へと連続的に搬送通過させて処理しつつも、この処理室2内のガス雰囲気が装置本体Aから外部へと漏出することは防止できることとなる。
【0040】
よって本装置によれば、処理室2内にてシート体3に噴出する処理ガスとして、例えばHMDSを含んだ処理ガスなど大量に漏出すると危険な処理ガスであっても安全且つ良好に採用することができ、例えばHMDSを含んだ処理ガスなど、目的に応じて様々な処理ガスによってシート体3の表面処理を作業性良く安全且つ良好に達成できる秀れた装置となる。
【0041】
尚、本装置は処理ガスを含んだ処理室2内のガス雰囲気の漏出防止の観点からすれば、前記噴出ノズル部9から噴出された処理ガスを吸入口10から一層効率的に吸入し得るようにこの吸入口10は前記噴出ノズル部9に対して前記シート体3の搬送方向前方側と後方側との両側位置に設けることが望ましく、しかもこの噴出ノズル部9から噴出された処理ガスを前記吸入口10へと効率的に誘導吸入し得るようにこの吸入口10は噴出ノズル部9のなるべく直近に設けることが望ましい。
【0042】
一方、シート体3の表面処理を確実に達成するには、前記噴出ノズル部9から噴出した処理ガスが直ちに吸入口10へと吸入されるのではなく、処理ガスをシート体3の表面に確実に接触させた後に吸入口10へと誘導吸入し得る構造とすることが望ましい。
【0043】
そこで後述する実施例では、前記噴出ノズル部9と、この噴出ノズル部9に対して前記シート体3の搬送方向前方側若しくは後方側の近傍位置に設ける前記吸入口10との間に、前記シート体3と沿設状態に近接するシート近接面部11を設け、処理時には、前記噴出ノズル部9から噴出された処理ガスが前記吸入口10の吸入力により前記シート近接面部11と前記シート体3の表面との間隙を通じて前記吸入口10へと誘導吸入されるように構成している。
【0044】
このように構成すれば、噴出ノズル部9から噴出した処理ガスを、処理室2内の広範囲に無駄に飛散させず、前記シート近接面部11と前記シート体3との狭い間隙を通過させつつこのシート体3に確実に接触させることができる。
【0045】
更に、噴出ノズル部9から噴出した処理ガスが処理室2内の広範囲へと飛散してしまうとそれらを吸入口11へと誘導吸入することは困難であるが、しかし前述のように処理ガスが処理室2内に飛散することをシート近接面部11によって阻止し、このシート近接面部11とシート体3との間隙に処理ガスを通過させつつ吸入口10へと効率的に誘導吸入できる構造とした場合は、設計によっては噴出ノズル部9と吸入口10との距離を多少離しても、噴出ノズル部9から噴出された処理ガスを前記吸入口10へと良好に誘導吸入できる。
【0046】
即ち、前記シート近接面部11を設けることで、十分な吸入作用が発揮される噴出ノズル部9と吸入口10との離間距離をそれだけ長く設定することもでき、それだけシート近接面部11を長範囲に設けてこのシート近接面部11とシート体3との長範囲の間隙に処理ガスを通過させ、一層確実且つ良好にシート体に処理ガスを接触させ得る構造とすることも容易に設計・実現可能であり、この点一層実用性に秀れることとなる。
【実施例】
【0047】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0048】
本実施例は、所定の搬送手段により装置本体A内にシート体3を連続的に搬送通過させつつこの装置本体A内にて前記シート体3に処理を行うシート処理装置において、前記装置本体Aは、前記シート体3に処理ガスを接触させて表面処理する処理室2と、この処理室2の搬入口4及び搬出口5を夫々覆う搬入側補助室6及び搬出側補助室7とを設け、前記搬送手段により前記シート体3を前記搬入側補助室6を通過して処理室2内に順次搬入しつつこの処理室2内から前記搬出側補助室7を通過して順次搬出して前記装置本体A内にシート体3を連続的に搬送通過させ得るように構成し、前記処理室2には、この処理室2内を搬送通過する前記シート体3の少なくとも一面側に、このシート体3の搬送方向と直交する幅方向に噴出領域を有し前記シート体3に向けて所定の処理ガスを噴出する噴出ノズル部9を設けると共に、この噴出ノズル部9の近傍位置にして、少なくとも噴出ノズル部9に対して前記シート体3を介した対向位置ではなくこの噴出ノズル部9に対して前記シート体3の搬送方向前方側若しくは後方側の近傍位置に吸入口10を設けた構成とし、前記搬入側補助室6と前記搬出側補助室7とには夫々排気部8を設けた構成とし、処理時には、前記噴出ノズル部9から前記シート体3に向けて処理ガスを噴出すると共に、前記吸入口10からは前記処理ガスを含む処理室2内のガス雰囲気を吸入排気し、且つ前記吸入口10によって吸入しきれずに処理室2内から前記搬入口4若しくは搬出口5を介して前記搬入側補助室6若しくは搬出側補助室7内に漏出した前記処理ガスを含むガス雰囲気は前記排気部8から排気して、前記装置本体Aの周囲に前記処理室2内のガス雰囲気が漏出することを防止しつつこの装置本体A内に前記シート体3を連続的に搬送通過させ得るように構成したシート処理装置である。
【0049】
また、本実施例では、前記噴出ノズル部9から噴出する前記処理ガスとしてHMDSを含む処理ガスを採用し、前記処理室2内にて前記シート体3に前記HMDSを含む処理ガスを接触させてこのシート体3の表面を疎水化処理するものである。
【0050】
また、搬送手段は、図示はしていないが複数の搬送ローラによってシート体3を巻き回し搬送移動させるものであり、この搬送手段の搬送ローラから搬送ローラへとシート体3を巻き回し搬送しつつ前記装置本体A内へとシート体3を送り込むものである。
【0051】
以下、本実施例のシート処理装置の各構成を具体的に説明する。
【0052】
装置本体Aは、図1に図示したように、処理室2の搬入口4を覆う搬入側補助室6と、搬出口5を覆う搬出側補助室7とを、処理室2の左右にしてシート体3の搬送方向に沿って連設状態に設けている。また、前記搬入側補助室6には補助搬入口14を設け、前記搬出側補助室7には補助搬出口15を設けている。
【0053】
従って、図1に図示したように、前記搬送手段により搬送されるシート体3は、前記搬入側補助室6の補助搬入口14,前記処理室2の搬入口4を順次通過して処理室2内に順次搬入されつつ、前記処理室2の搬出口5,前記搬出側補助室7の補助搬出口15を順次通過してこの処理室2内から順次搬出されて、前記装置本体A内を連続的に搬送通過される構成としている。
【0054】
また、処理室2内には、この処理室2内を搬送通過するシート体3を支承する支承ローラ16を搬送方向に並設状態に数箇所に設けている。
【0055】
また、前記搬入側補助室6及び前記搬出側補助室7には夫々、この搬入側補助室6,搬出側補助室7を搬送通過する前記シート体3を介して一面側(上面側)及び他面側(下面側)の両面側(上下両側)位置に夫々前記排気部8を設けている。
【0056】
この搬入側補助室6及び搬出側補助室7は、この各補助室6,7を搬送通過するシート体3を境として上下にいわば間仕切りされる為、例えばシート体3の上下いずれか一面側にのみ排気部8を設けた構成とした場合、いずれか他方の排気部8を設けなかった側では十分に排気部8による排気作用が発揮できない場合が懸念されるが、本実施例ではシート体3の上下両面側の位置に夫々排気部8を設けている為、そのような問題は生じ得ない。
【0057】
また、この搬入側補助室6,搬出側補助室7に夫々設けた各排気部8からの排気によって、前記搬入側補助室6に設けた補助搬入口14,前記搬出側補助室7に設けた補助搬出口15から外気(装置本体Aの外部周囲の外気)が吸入されるように前記排気部8の排気吸入力を設定している。
【0058】
即ち、補助搬入口14から搬入側補助室6内に向けて,及び補助搬出口15から搬出側補助室7に向けて外気が吸入され、いわゆるエアカーテンが生ずるように構成している為、処理室2内から搬入側補助室6,搬出側補助室7内へと漏出した前記補助室2内のガス雰囲気が、各補助室6内から補助搬入口14,補助搬出口15を介して装置本体Aの外部周囲へと漏出することを確実に防止し得る構成としている。
【0059】
この装置本体Aの処理室2には、噴出ノズル部9を複数設けている。具体的には、図2に図示したような噴出ノズル部9と吸入口10とから成るノズルユニットUを、前記処理室2内にして前記シート体3の搬送方向に沿って複数体,所定間隔をおいて並設している。
【0060】
各噴出ノズル部9は、図2に図示したように、前記処理室2内を搬送通過する前記シート体3の搬送方向と直交する幅方向に長いスリットノズル状に形成して、少なくとも前記シート体3の幅寸法と略等しい幅寸法の前記噴出領域を有する構成としている。
【0061】
従って、この噴出ノズル部9に対してシート体3を相対的に搬送移動させることで、シート体3の幅方向に万遍なく処理ガスを噴出し接触させて表面処理を行える。
【0062】
また、前記吸入口10は、図2に図示したように、前記処理室2内を搬送通過する前記シート体3の搬送方向と直交する幅方向に長いスリットノズル状に形成して、前記噴出ノズル部9の噴出領域に沿った幅方向を有する構成としている。
【0063】
従って、シート体3の幅方向に長い噴出領域を有する噴出ノズル部9に対し、吸入口10も同様にシート体3の幅方向に長く設定した為、噴出ノズル部9から噴出された処理ガスを前記吸入口10によりシート体3の幅方向に均一的に誘導吸入でき、一層効率的に吸入できる。
【0064】
尚、この噴出ノズル部9及び吸入口10は、図3に図示した別例のように、前記シート体3の幅方向に沿ってノズル口を複数並設することで、シート体3の幅方向に長い構成としても良い。
【0065】
尚、吸入口10は、前記噴出ノズル部9の近傍位置に設けるが、具体的には前述のように噴出ノズル部9に対して前記シート体3の搬送方向前方側若しくは後方側の位置とする。
【0066】
従って、シート体3に妨げられることなく噴出ノズル部9から噴出された処理ガスを前記吸入口10より吸入(排気)できる。
【0067】
尚、本実施例では、図1に図示したように噴出ノズル部9に対して前記シート体3の搬送方向前方側と後方側の双方に吸入口10を設けた構成としているが、例えば図5に図示した別例のように、搬送方向前方側若しくは後方側のいずれか一方にのみ吸入口10を設ける構成としても良い。この場合には、図5に図示したように、吸入口10を設けた前方側若しくは後方側に向けて噴出ノズル部9の噴出方向をやや指向させる(傾ける)ことで、噴出ノズル部9からの処理ガスをより効率的に吸入口10に誘導吸入させることができる。しかし、やはり図1に図示したように噴出ノズル部9に対して前記シート体3の搬送方向前方側と後方側の双方に吸入口10を設けた構成の場合には前後の吸入口10により一層確実且つ効率的に噴出ノズル部9からの処理ガスの吸入が可能である。
【0068】
ここで、前記噴出ノズル部9から噴出された前記処理ガスを前記吸入口10へと誘導吸入し得るように、吸入口10は噴出ノズル部9の直近に設けることが望ましい。即ち、少なくとも吸入口10の吸引力(吸入口10へと誘導吸入する吸入作用)が、噴出ノズル部9から噴出された処理ガスに作用するように吸入口10を噴出ノズル部9の近距離に設ける。
【0069】
ただし、噴出ノズル部9から噴出した処理ガスがシート体3に接触することなく直ちに吸入口10より吸入排気されてはシート体3の表面処理(疎水化処理)が達成されない。
【0070】
そこで、本実施例では噴出ノズル部9をシート体3に接近した位置に設け、この噴出ノズル部9からの処理ガスがシート体3に確実に接触するように構成する。
【0071】
更に、図1に図示したように、前記噴出ノズル部9と、この噴出ノズル部9に対して前記シート体3の搬送方向前方側若しくは後方側の近傍位置に設ける前記吸入口10との間に、前記シート体3と沿設状態に近接するシート近接面部11を設けた構成とする。
【0072】
具体的には、図1及び図2に図示したように、前記噴出ノズル部9の口縁部から、この噴出ノズル部9に対して前記シート体3の搬送方向前方側及び後方側の近傍位置に設ける前記吸入口10に向けて延設状態に前記シート近接面部11を形成しており、従ってこのシート近接面部11は前記噴出ノズル部9と同様に少なくともシート体3の幅寸法と略等しい幅寸法を有する面に形成している。
【0073】
処理時には、前記噴出ノズル部9から噴出された処理ガスが前記吸入口10の吸入力により前記シート近接面部11と前記シート体3の表面との間隙を通じて前記吸入口10へと誘導吸入されることとなるから、噴出ノズル部9から噴出された処理ガスは、シート体3に一層長時間,長範囲で接触することとなり、それだけシート体3の表面処理を一層確実且つ良好に達成できる。
【0074】
尚、このシート近接面部11や、噴出ノズル部9,吸入口10はいずれもシート体3の近接位置に設けるが、これらがシート体3の表面と接触してしまうと表面に傷を付けるなどのトラブルが生ずる為、搬送移動によるシート体3の表面の上下微動を考慮し、シート体3の表面に前記シート近接面部11らが接触しないように前記間隙を設定する。本実施例ではこの間隙を約10mm〜15mmに設定し、これによりシート体3の上下微動に十分に対応できると共に、しかもシート近接面部11とシート体3との間隙を前記シート体3と処理ガスとが良好に接触するような十分に狭い間隙に設定している。
【0075】
また、前述のように噴出ノズル部9から噴出した処理ガスを前記シート近接面部11とシート体3との狭い間隙を通じて前記吸入部10へと誘導吸引させる構造とした為、噴出ノズル部9から噴出された処理ガスが処理室2内の広範囲に飛散してしまうことを前記シート近接面部11により阻止し、それだけ処理ガスを吸入口11へと効率的に誘導吸入できる。
【0076】
それだけ噴出ノズル部9と吸入部10との間の離間距離をやや長く設定しても、十分に吸入部10による処理ガスの吸入作用を発揮させることができる。そしてこのように噴出ノズル部9と吸入部10との距離を長く設定すれば、それだけ前記シート近接面部11も長範囲に形成できる。
【0077】
このシート近接面部11の長さ寸法(即ち、噴出ノズル部9と吸入部10との間の離間距離)は、前記シート体3の送り速度を考慮して設定する(吸入部10の吸入作用が十分に発揮され得る許容範囲内で設定する。)。
【0078】
即ち、シート体3の送り速度が速ければそれだけ噴出ノズル部9の噴出領域に対してシート体3が短時間で通過してしまい処理ガスと長時間接触できない為である。尚、本実施例においては、シート体3が一秒間に進む距離よりも少なくとも前記シート近接面部11の長さ寸法を長く設定しており、少なくとも各シート近接面部11とシート体3の所定の面とが一秒以上対向し、その間にこのシート体3と処理ガスとが良好に接触し処理(反応)するように構成している。
【0079】
尚、図4に図示した別例のように、シート近接面部11を設けない構成とした場合には、噴出ノズル部9と吸入口10とを、前記シート近接面部11を設ける場合より近接した近傍位置に設定すれば処理ガスを良好に吸入口10へと誘導吸入できる。しかし、やはり図1に図示したように、シート近接面部11を設けた構成とした方が噴出ノズル部9と吸入口10との距離をやや長めに設定でき、且つシート近接面部11とシート体3との狭間隙に処理ガスを通過させることができるのでより長範囲において確実に処理ガスをシート体3と接触させることができる。
【0080】
本実施例では、上述のように処理室2の噴出ノズル部9の近傍位置に設ける吸入口10から効率的に処理ガスを吸入できる上に、処理室2内から搬入側補助室6,搬出側補助室7内に処理室2内のガス雰囲気が漏出しても前記排気部8により排気して装置本体Aの外部周囲への漏出は確実に防止できる為、それだけ前記噴出ノズル部9からHMDS濃度の非常に濃い処理ガスを噴出してもHMDS漏出の心配無く安全且つ良好に処理作業を実施できる。よってHMDS濃度の高い処理ガスで安全且つ効率的にシート体3の疎水化処理を実施することも可能である。
【0081】
尚、図中,符号12は、この処理室2内を搬送通過する前記シート体3を加熱する熱源12Aを有する加熱部12である。またこの加熱部12は、前記熱源12Aを配したこの加熱部12を加圧してこの加熱部12の外部周囲よりも陽圧状態に保持する加圧手段を具備しており、前記処理ガスを含む前記処理室2内のガス雰囲気(特に引火性の高いHMDS)が前記加熱部12の前記熱源12Aを配した空間部内に侵入することを防止する防爆構造としている。
【0082】
また、図中,符号18は、前記処理室2内にしてこの処理室2の搬入口4及び搬出口5の近傍位置からシート体3に向けてガス(空気や窒素など)を噴出するノズル部18であり、このノズル部18から噴出されシート体3の表面に接触した前記ガスが跳ね返り前記搬入側補助室6若しくは搬出側補助室7の排気部8に向けてガスの流れが生ずるように前記ノズル部18のガス噴出方向を設定し、この排気部8へのガスの流れにより各補助室6,7から各排気部8への排気吸入が一層効率的に為されるように構成したものである。
【0083】
また、図6は本実施例のシート処理装置の別例を示す図であり、図1に図示した本実施例においては、処理室2内にして前記シート体3の搬送方向に沿って複数のノズルユニットUを所定間隔をおいて並設した構成としているが、図6に図示した別例では、前記シート体3の搬送方向に隣り合うノズルユニットU間を、前記シート体3と近接する面により連設した構成としている。即ち、各ノズルユニットUの噴出ノズル部9と吸入部10との間のシート近接面部11だけでなく、隣り合うノズルユニットU間にもシート体3と近接する面を設けて、いわば処理室2の天井(上面)の全面がシート体3と近接した構造としている。
【0084】
このように構成した場合、噴出ノズル部9から噴出した処理ガスが処理室2内を広範囲に飛散せず(処理室2の空間領域自体が狭い為)、より効率的に処理ガスを吸入口10へと誘導吸入できる構造となる。また、処理室2の天井(上面)の全面がシート体3と近接しているので、それだけ処理ガスとシート体3とを一層良好に接触させることが可能な構造である。
【0085】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施例のシート処理装置の説明正断面図である。
【図2】本実施例のシート処理装置の噴出ノズル部9及び吸入口10を下側から見た説明斜視図である。
【図3】本実施例のシート処理装置の噴出ノズル部9及び吸入口10の別例を下側から見た説明斜視図である。
【図4】本実施例のシート処理装置の噴出ノズル部9及び吸入口10の別例の概略説明正断面図である。
【図5】本実施例のシート処理装置の噴出ノズル部9及び吸入口10の別例の概略説明正断面図である。
【図6】本実施例のシート処理装置の別例を示す概略説明正断面図である。
【符号の説明】
【0087】
2 処理室
3 シート体
4 搬入口
5 搬出口
6 搬入側補助室
7 搬出側補助室
8 排気部
9 噴出ノズル部
10 吸入口
11 シート近接面部
14 補助搬入口
15 補助搬出口
A 装置本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の搬送手段により装置本体内にシート体を連続的に搬送通過させつつこの装置本体内にて前記シート体に処理を行うシート処理装置において、前記装置本体は、前記シート体に処理ガスを接触させて表面処理する処理室と、この処理室の搬入口及び搬出口を夫々覆う搬入側補助室及び搬出側補助室とを設け、前記搬送手段により前記シート体を前記搬入側補助室を通過して処理室内に順次搬入しつつこの処理室内から前記搬出側補助室を通過して順次搬出して前記装置本体内にシート体を連続的に搬送通過させ得るように構成し、前記処理室には、この処理室内を搬送通過する前記シート体の少なくとも一面側に、このシート体の搬送方向と直交する幅方向に噴出領域を有し前記シート体に向けて所定の処理ガスを噴出する噴出ノズル部を設けると共に、この噴出ノズル部の近傍位置にして、少なくとも噴出ノズル部に対して前記シート体を介した対向位置ではなくこの噴出ノズル部に対して前記シート体の搬送方向前方側若しくは後方側の近傍位置に吸入口を設けた構成とし、前記搬入側補助室と前記搬出側補助室とには夫々排気部を設けた構成とし、処理時には、前記噴出ノズル部から前記シート体に向けて処理ガスを噴出すると共に、前記吸入口からは前記処理ガスを含む処理室内のガス雰囲気を吸入排気し、且つ前記吸入口によって吸入しきれずに処理室内から前記搬入口若しくは搬出口を介して前記搬入側補助室若しくは搬出側補助室内に漏出した前記処理ガスを含むガス雰囲気は前記排気部から排気して、前記装置本体の周囲に前記処理室内のガス雰囲気が漏出することを防止しつつこの装置本体内に前記シート体を連続的に搬送通過させ得るように構成したことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記噴出ノズル部から噴出する前記処理ガスとして、HMDSを含む処理ガスを採用し、前記処理室内にて前記シート体に前記HMDSを含む処理ガスを接触させて疎水化処理するように前記装置本体を構成したことを特徴とする請求項1記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記噴出ノズル部は、前記処理室内を搬送通過する前記シート体の搬送方向と直交する幅方向に長いスリットノズル状に形成するか,若しくは前記シート体の幅方向に沿ってノズル口を複数並設して、少なくとも前記シート体の幅寸法と略等しい幅寸法の前記噴出領域を有する構成としたことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記吸入口は、前記処理室内を搬送通過する前記シート体の搬送方向と直交する幅方向に長いスリットノズル状に形成するか,若しくは前記シート体の幅方向に沿ってノズル口を複数並設して、前記噴出ノズル部の噴出領域に沿った幅方向を有する構成としたことを特徴とする請求項3記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記吸入口は、前記噴出ノズル部に対して前記シート体の搬送方向前方側と後方側との両側位置にして、この噴出ノズル部から噴出された前記処理ガスを前記吸入口へと誘導吸入し得るようにこの噴出ノズル部の直近に設けた構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記噴出ノズル部と、この噴出ノズル部に対して前記シート体の搬送方向前方側若しくは後方側の近傍位置に設ける前記吸入口との間に、前記シート体と沿設状態に近接するシート近接面部を設け、処理時には、前記噴出ノズル部から噴出された処理ガスが前記吸入口の吸入力により前記シート近接面部と前記シート体の表面との間隙を通じて前記吸入口へと誘導吸入されるように構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記噴出ノズル部の口縁部から、この噴出ノズル部に対して前記シート体の搬送方向前方側若しくは後方側の近傍位置に設ける前記吸入口に向けて延設状態に前記シート近接面部を形成した構成としたことを特徴とする請求項6記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記処理室の搬入口を覆う搬入側補助室に補助搬入口を設け、搬出口を覆う搬出側補助室に補助搬出口を設け、前記搬送手段により前記シート体を前記搬入補助搬入口及び前記搬入口を順次通過させて処理室内に順次搬入しつつ、この処理室内から前記搬出口及び補助搬出口を順次通過させて順次搬出して前記装置本体内に前記シート体を連続的に搬送通過させ得るように構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のシート処理装置。
【請求項9】
前記搬入側補助室,搬出側補助室に夫々設けた前記各排気部からの排気によって、前記搬入側補助室に設けた補助搬入口,前記搬出側補助室に設けた補助搬出口から外気が吸入されるように前記排気部の排気吸入力を設定し、この補助搬入口,補助搬出口から前記装置本体の外部へと前記処理室内のガス雰囲気が漏出しないように前記排気部の前記排気吸引力を設定したことを特徴とする請求項8記載のシート処理装置。
【請求項10】
前記搬入側補助室及び前記搬出側補助室には夫々、この搬入側補助室,搬出側補助室を搬送通過する前記シート体を介して一面側及び他面側の両面側位置に夫々前記排気部を設けた構成としたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のシート処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−97042(P2009−97042A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270536(P2007−270536)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(592037077)クリーン・テクノロジー株式会社 (22)
【Fターム(参考)】