説明

シート剥離装置及び剥離方法

【課題】半導体ウエハ等の被着体に塵が落下して歩留まりが低下することを抑制できるようにすること。
【解決手段】シート剥離装置10は、半導体ウエハWを支持する支持手段11と剥離用テープPTとを移動手段15により相対移動させて半導体ウエハWから接着シートSを剥離する。この剥離において、未剥離の接着シートSに対向するように剥離された接着シートの接着面に剥離姿勢形成手段14が当接する。剥離姿勢形成手段14は、接着シートSの弾性力によって半導体ウエハWを支持手段11側に押圧して接着シートSの剥離姿勢を形成する。接着シートSを剥離するときに、平面視で剥離姿勢形成手段14と接着シートSが剥離された半導体ウエハWとの間に折返しシート部を形成するよう移動手段15の動作を制御手段17により制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシート剥離装置及び剥離方法に係り、更に詳しくは、被着体に貼付された接着シートに剥離用テープを接着し、当該剥離用テープを介して接着シートを剥離することができるシート剥離装置及び剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」と称する場合がある)の処理工程では、ウエハはその回路面に保護用の接着シートが貼付され、裏面研削等、種々の処理が行われ、ダイシングシートを介してリングフレームにマウントされた後、ダイシング前にこの接着シートは剥離される。このような接着シートの剥離装置としては、例えば、特許文献1に開示されている。同文献において、ウエハから接着シートを剥離する工程は、押圧ヘッドによって剥離用テープを接着シートに押圧して貼付した後、剥離用テープを掛け回すローラをウエハに対して移動することにより行われる。
【0003】
また、剥離用テープを用いて接着シートを剥離する装置としては、図5(A)に示されるものも知られている。同図の剥離装置80は、接着シートSが貼付されたウエハWを下方から支持する支持手段81と、接着シートSに貼付された剥離用テープPTを把持し、支持手段81と相対移動して接着シートSを剥離可能なチャック82と、剥離中に折り返された接着シートSを支持手段81側に押圧するローラ83とを備えている。ローラ83の同図中下端側は、接着シートSにおける折り返し位置Spの真上に接して当該接着シートSの弾性を利用し、ウエハWを支持手段81側に押圧することで、ウエハWが接着シートSと共に上方に持ち上がろうとすることを防止して、当該ウエハWにストレスを与えることなく剥離するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−36111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図5(A)の剥離装置にあっては、ローラ83の同図中右側略半分領域すなわち同図中符号D1で示される領域が折り返し位置Spからはみ出すこととなる。このため、接着シートSの端縁に表出した接着剤に付着していた塵等がローラ83に付着し、ウエハWの回路面上に落下することで、当該回路を損傷させ半導体チップの歩留まりを大幅に低下させてしまう、という不都合がある。これは、近年の半導体製造工程において、1の塵が検出されると、統計的にその塵を中心とした半径数十ミリメートル(例えば25mm)の円内に位置するチップは、不良チップとして扱われ、これらチップを再検査したり、破棄したりする検査基準が設けられており、チップサイズによっては、数百個もの不良として扱われるチップを出してしまうからである。特に、先ダイシング法によってウエハWが個片化されている場合、ウエハWの外周に形成された三角形状等の細かい不定形チップがローラ83に付着して巻き上げられ、これが回路面上へ落下することがあるため、前記不都合が発生し易くなる。
【0006】
ここで、本発明者は、前記不都合を解消すべく鋭意研究を行い、図5(B)の実線で示される構成を案出したものの、以下に述べる改善の余地があった。
【0007】
図5(B)の実線で示される構成は、図5(A)の構成に比べ、ローラ83の位置を左方向にずらし、折り返し位置Spとローラ83の同図中右端との位置を揃えている。ところが、図5(B)の構成にあっては、ローラ83の下端位置が左側にずれるため、折り返し位置Spを確実にウエハW側に押圧することができない。つまり、ローラ83の下端位置が図中左側にずれることで、接着シートSは、自らの弾性により、ローラ83の下端位置の右側で円弧状に盛り上がるため、接着シートSでウエハWを支持手段81側に押え付ける押圧力が不足してしまい、ウエハWが接着シートSと一緒に持ち上がってウエハWにストレスが付与される、という問題がある。
【0008】
かかる問題を解消すべく、同図の二点鎖線で示されように、ローラ83を細くすれば、折り返し位置Spとローラ83の下端位置とを近付けて前記押圧力不足を解消し得るようにも考えられる。しかし、この場合、ローラ83の曲げ剛性が低下し、折り返される接着シートSの弾性力によってローラ83が上方に撓み変形し、接着シートSでウエハWを支持手段81側に押え付ける押圧力が不足し易くなる。特に、ウエハWの大径化に応じてローラ83が長尺となると、ローラ83の撓み変形が顕著になり、接着シートSでウエハWを押圧する押圧力を十分に付与できなくなる。
【0009】
[発明の目的]
本発明の目的は、被着体に塵が落下して歩留まりが低下することを抑制することができるシート剥離装置及び剥離方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、接着シートの剥離時に接着シートと共に被着体が持ち上げられることを防止することができるシート剥離装置及び剥離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は、被着体の一方の面に貼付された接着シートを剥離用テープを介して剥離するシート剥離装置であって、
前記被着体を支持する支持手段と、前記剥離用テープを繰り出す繰出手段と、前記接着シートに剥離用テープを貼付する貼付手段と、未剥離の接着シートに対向するように剥離された接着シートの接着面に当接し、当該接着シートの弾性力によって被着体を支持手段側に押圧して接着シートの剥離姿勢を形成する剥離姿勢形成手段と、前記支持手段と剥離用テープとを相対移動させる移動手段と、前記各手段の動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、被着体から接着シートを剥離するときに、平面視で前記剥離姿勢形成手段と接着シートが剥離された被着体との間に折返しシート部を形成するように剥離姿勢形成手段及び移動手段を制御する、という構成を採っている。
【0011】
本発明において、前記剥離姿勢形成手段は、剥離された接着シートの接着面に当接しつつ回転可能な剥離ローラと、この剥離ローラに接し、前記接着シートの弾性力によって生じる当該剥離ローラの変形を抑制可能なサポート手段とを備える、という構成を採ることが好ましい。
【0012】
また、前記サポート手段は、接着シートの剥離によって発生する塵を接着する粘着ローラを有する、という構成が好ましくは採用される。
【0013】
更に、前記接着シートの剥離によって発生する塵を吸引する吸引手段を備える、という構成を採ってもよい。
【0014】
また、本発明の剥離方法は、被着体の一方の面に貼付された接着シートを剥離用テープを介して剥離するシート剥離方法であって、
前記被着体を支持手段により支持する工程と、
前記剥離用テープを繰り出す工程と、
前記接着シートに剥離用テープを貼付する工程と、
未剥離の接着シートに対向するように剥離された接着シートの接着面に当接し、当該接着シートの弾性力によって被着体を剥離姿勢形成手段で支持手段側に押圧して接着シートの剥離姿勢を形成する工程と、
平面視で前記剥離姿勢形成手段と接着シートが剥離された被着体との間に折返しシート部を形成する工程と、
前記支持手段と剥離用テープとを相対移動させる工程とを備える、という方法を採っている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、剥離姿勢形成手段と被着体との間に位置する接着シートに折返しシート部を形成するので、接着シートの剥離によって発生した塵が剥離姿勢形成手段に付着して落下しても、その塵を折返しシート部上で受け止めることができる。これにより、被着体上に塵が落下することを防止でき、被着体がウエハである場合、半導体チップの歩留まりの低下を防止することが可能となる。
【0016】
また、剥離ローラと、当該剥離ローラの変形を抑制可能なサポート手段とを剥離姿勢形成手段が有するので、剥離ローラを細くしても、サポート手段によって剥離ローラが接着シートの弾性力により撓み変形することを防止することができる。これにより、接着シートが被着体を支持手段側に押圧する押圧力が不足することを回避することができ、剥離時に接着シートに追従して被着体が持ち上げられることを防止することが可能となる。
【0017】
更に、塵を接着する粘着ローラや、塵を吸引する吸引手段をサポート手段が有する場合、塵が被着体上へ落下することをより一層効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態に係るシート剥離装置の概略正面図。
【図2】接着シートの剥離途中を示す部分正面図。
【図3】(A)〜(D)は、剥離用テープの貼付動作説明図。
【図4】変形例に係るサポート手段の部分断面図。
【図5】(A)及び(B)は、従来例に係る剥離装置の一部を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1〜図3において、シート剥離装置10は、回路面(図1中上面)に接着シートSが貼付された被着体としてのウエハWを保持する支持手段11と、帯状の剥離用テープPTを繰り出す繰出手段12と、剥離用テープPTを接着シートSの外縁側に貼付する貼付手段13と、剥離用テープPTを介してウエハWに貼付された接着シートSの剥離に利用される剥離姿勢形成手段14と、接着シートSに貼付された剥離用テープPTと支持手段11とを反対方向に相対移動させる移動手段15と、前記各手段11〜15の動作を制御する制御手段17とを備えて構成されている。なお、剥離用テープPTは感熱接着性の接着テープを採用している。また、本実施形態における接着シートSは、基材シートの一方の面に接着剤層を有し、この接着剤層を介してウエハWに貼付されている。
【0021】
前記支持手段11は、リングフレームRFの開口内部に配置され回路面の反対面(図1中下面)側からダイシングシートDSを介して当該リングフレームRFと一体化されるとともに、回路面に接着シートSが貼付されたウエハWを図1中上面で吸着して保持するテーブルからなる。
【0022】
前記繰出手段12は、図示しないフレームに支持されて巻回された剥離用テープPTを繰出可能に支持する支持軸18と、駆動機器としてのモータM1を介して回転可能な駆動ローラ20と、当該駆動ローラ20との間に剥離用テープPTを挟み込むピンチローラ21と、剥離用テープPTを図1中下方から支持する板状のガイド部材23と、このガイド部材23とで剥離用テープPTを挟み込む回転自在なプレスローラ25と、このプレスローラ25を昇降させる駆動機器としての昇降用シリンダ26とを備えて構成されている。ガイド部材23は、駆動機器としてのシリンダ27を介して図1中左右方向に移動可能に設けられ、図3(A)に示されるように、プレスローラ25で挟み込んだ剥離用テープPTのリード端領域を後述するチャック47により把持できる位置に導くことが可能となっている。
【0023】
前記貼付手段13は、駆動機器としての直動モータ49と、当該直動モータ49によって上下方向に進退可能に設けられたヒータ50Aを有する押圧ヘッド50とを備えている。この貼付手段13は、後述するチャック47により接着シートSの上面側に繰り出された剥離用テープPTを押圧ヘッド50で押圧して加熱することで、剥離用テープPTを接着シートSに接着するようになっている。貼付手段13の図1中左側には、カッター刃53と、このカッター刃53の下方に設けられた凹部を有するテープ受け板54と、カッター刃53を図1中紙面直交方向及び上下方向に移動させる駆動機器としての切断用シリンダ55及び駆動機器としての上下用シリンダ56とにより構成されたテープ切断手段52が設けられている。
【0024】
前記剥離姿勢形成手段14は、剥離された接着シートSの接着面に当接しつつ回転可能な剥離ローラ59と、この剥離ローラ59の図中左斜め上方に接するサポート手段としての粘着ローラ60と、剥離ローラ59及び粘着ローラ60を支持するとともに、これらを図1中上下方向に変位可能な駆動機器としての直動モータ61と、この直動モータ61に連結され、支持手段11の上方で当該直動モータ61を同図中左右方向に移動可能な図示しない駆動機器とを備えている。粘着ローラ60は、剥離ローラ59より大径に形成され、剥離ローラ59の回転に追従して回転可能に設けられ、その外周面が粘着面とされることで、剥離ローラ59に付着した塵を接着して当該剥離ローラ59から除去することができるようになっている。
【0025】
前記移動手段15は、支持手段11を図1中左右方向に移動させるための駆動機器としての直動モータ44及びそのスライダ45と、貼付手段13の下方に設けられ、剥離用テープPTを把持部材47Aで把持可能な駆動機器としてのチャック47とを備えている。チャック47は、図示しない駆動機器を介して図1中左右方向に移動可能に構成されている。
【0026】
前記制御手段17は、シーケンサやパーソナルコンピュータ等で構成することができる。制御手段17には、操作パネル等からなる図示しない入力手段が接続され、この入力手段により前記各駆動機器の作動条件やデータ等を入力可能となっている。また、制御手段17は、前記各駆動機器の動作方向、動作量、動作速度等の条件を決定し、これらを制御する機能を備えている。
【0027】
次に、前記シート剥離装置10による接着シートSの剥離方法について説明する。
【0028】
初めに、支持軸18から剥離用テープPTを引き出し、駆動ローラ20及びピンチローラ21の間を通過させた後、剥離用テープPTのリード端側がガイド部材23の先端からはみ出た状態としつつ、プレスローラ25とガイド部材23とで剥離用テープPTを挟み込んだ状態とする。
【0029】
そして、図示しない搬送手段を介して、支持手段11の上面にリングフレームRFと一体化されるとともに、回路面に接着シートSが貼付されたウエハWを支持させると、接着シートSの図1中右側外縁位置が押圧ヘッド50の直下で停止するように、直動モータ44が支持手段11を移動させる。
【0030】
次いで、図3(A)に示されるように、シリンダ27を介してガイド部材23を同図中右方向に進行させると同時に、モータM1を作動して駆動ローラ20を回転させて剥離用テープPTを繰り出す。これにより、チャック47の把持部材47A間にガイド部材23及び剥離用テープPTのリード端側が位置する。そして、プレスローラ25が上方へ退避し、ガイド部材23を後退させると、把持部材47A間に剥離用テープPTが残されてチャック47の動作によって把持される。その後、図示しない駆動機器によってチャック47を図3(A)の二点鎖線で示される位置に移動させて剥離用テープPTを引き出し、押圧ヘッド50の下方で接着シートSに対向するように剥離用テープPTを位置させる。
【0031】
次に、図3(B)に示されるように、押圧ヘッド50を直動モータ49によって下方へ移動させると、剥離用テープPTが押し下げられて接着シートSに当接し、剥離用テープPTがヒータ50Aによって加熱されて接着シートSに接着する。その後、プレスローラ25とガイド部材23とで剥離用テープPTを挟み込み、シリンダ55、56を作動させてテープ受け板54上でカッター刃53により剥離用テープPTを切断する(図3(C)参照)。
【0032】
剥離用テープPT切断後、図3(D)に示されるように、図示しない駆動機器によってチャック47を左方向に移動させ、ウエハW上の接着シートSに剥離用テープPTが対向するように折り返す。次いで、図示しない駆動機器を介してその折り返し位置の上方に剥離ローラ59が位置するように移動させる。次に、直動モータ61を介して剥離ローラ59を上下方向に変位させ、当該剥離ローラ59とウエハWとの間隔H(図2参照)が調整される。
【0033】
その後、接着シートSに貼付された剥離用テープPTと支持手段11とが反対方向に相対移動するように、制御手段17が直動モータ44等を介して、チャック47を図2中左方向へ、支持手段11を図2中右方向へ同速で移動させる。これにより、剥離された接着シートSと、未剥離の接着シートSとが対向するように折り返され、接着シートSの折り返し位置Spが形成されて当該接着シートSがウエハWから剥離される。このとき、平面視で剥離ローラ59と接着シートSが剥離されたウエハWとの間に折返しシート部SAを形成する。
【0034】
図2に示されるように、接着シートSの剥離の最中において、剥離ローラ59は、折り返し位置Spと一定距離離れた位置を維持し、剥離された接着シートSの接着面側に当接して剥離の進行に応じて回転することで、折返しシート部SAを形成した状態で所定の位置に停止し続ける。また、折り返された接着シートSの弾性力により上向きの力が剥離ローラ59に作用し、その抗力が剥離ローラ59及び粘着ローラ60によって発揮される。これにより、ウエハWが支持手段11側すなわち下側に押圧されつつ、折り返し位置Sp周りでの剥離姿勢が形成される。この際、粘着ローラ60により剥離ローラ59が上方から押さえ付けられているため、折り返された接着シートSの弾性力によって剥離ローラ59が撓み変形することが抑制される。
【0035】
ここで、図2に示されるように、剥離された接着シートSを介して剥離ローラ59や粘着ローラ60に接着した塵が落下しても、折返しシート部SAが存在することで、ウエハWの回路面上にその塵が落下してウエハWの回路面に損傷を与えることを防止可能となる。また、粘着ローラ60も、折返しシート部SAの図2中右端より右側にはみ出さない位置に設けられている。これにより、粘着ローラ60からウエハWの回路面に落下する塵を受け止めることができるようになっている。
【0036】
接着シートSの剥離を終えると、図示しない搬送手段によりウエハWが次工程に搬送され、接着シートSとそれに貼付された剥離用テープPTは図示しない回収手段によって回収させる。そして、保持手段11、剥離ローラ59、粘着ローラ60及びチャック47が初期位置に復帰した後、上記同様の動作が繰り返されることとなる。
【0037】
従って、このような実施形態によれば、ウエハWに塵が落下して歩留まりが低下することを抑制することができる。また、接着シートSの剥離時に接着シートSと共にウエハWが持ち上げられることを防止することができる。更に、粘着ローラ60が剥離ローラ59の上側に接するので、剥離ローラ59を細くして剛性が低下しても、接着シートSの弾性力により剥離ローラ59が撓み変形することを防止することができる。これにより、剥離ローラ59により接着シートSを介してウエハWに適切な押圧力を付与でき、ウエハWが持ち上がろうとして破損したりストレスが生じたりすることを回避することが可能となる。しかも、剥離ローラ59の細径化により、剥離ローラ59による押圧力を十分に確保し、且つ、ウエハWの回路面上へ塵が落下することをより良く防止することが可能となる。
【0038】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0039】
例えば、前記サポート手段は、種々の設計変更が可能であり、剥離ローラ59より短い粘着ローラ60を複数設けたり、粘着ローラ60に代え、剥離ローラ59の回転によって回行するベルト部材としたりしてもよい。また、粘着ローラ60は、剥離ローラ59より大径でなくてもよく、剥離ローラ59の撓み変形を抑制できればよい。
【0040】
更に、図4に示されるように、塵を吸引する吸引手段65を設けてもよい。この吸引手段65は、粘着ローラ60を上方から覆うように設けられ、内部に塵を収容可能なチャンバ66と、図示しない減圧ポンプに接続され、チャンバ66の内部に連通するホース67とを備え、粘着ローラ60に付着した塵がチャンバ66内からホース67を通って機外に排出できるようになっている。
【0041】
また、前記実施形態において、剥離姿勢形成手段14における粘着ローラ60を省略した構成としてもよいが、粘着ローラ60を設けた方が、剥離ローラ59の撓み変形を抑制してウエハWへの押圧力をより良く発揮できる点で有利となる。
【0042】
更に、本発明における被着体としては、半導体ウエハに限定されるものではなく、ガラス板、鋼板、または、樹脂板等、その他の被着体も対象とすることができ、半導体ウエハは、シリコンウエハや化合物ウエハであってもよい。
また、剥離用テープPTは、感熱接着性の接着テープ以外に感圧接着性の接着テープを採用してもよい。
【0043】
更に、接着シートSの剥離動作は、前述のように折返しシート部SAを形成する限りにおいて、チャック47の図中左右方向の動作を停止させ、剥離姿勢形成手段14及び支持手段11を移動させてもよいし、支持手段11の図中左右方向の動作を停止させ、剥離姿勢形成手段14及びチャック47を移動させるように制御手段17で制御してもよい。
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0044】
10 シート剥離装置
11 支持手段
12 繰出手段
13 貼付手段
14 剥離姿勢形成手段
15 移動手段
17 制御手段
59 剥離ローラ
60 粘着ローラ(サポート手段)
65 吸引手段
PT 剥離用テープ
S 接着シート
SA 折返しシート部
W 半導体ウエハ(被着体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体の一方の面に貼付された接着シートを剥離用テープを介して剥離するシート剥離装置であって、
前記被着体を支持する支持手段と、前記剥離用テープを繰り出す繰出手段と、前記接着シートに剥離用テープを貼付する貼付手段と、未剥離の接着シートに対向するように剥離された接着シートの接着面に当接し、当該接着シートの弾性力によって被着体を支持手段側に押圧して接着シートの剥離姿勢を形成する剥離姿勢形成手段と、前記支持手段と剥離用テープとを相対移動させる移動手段と、前記各手段の動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、被着体から接着シートを剥離するときに、平面視で前記剥離姿勢形成手段と接着シートが剥離された被着体との間に折返しシート部を形成するように剥離姿勢形成手段及び移動手段を制御することを特徴とするシート剥離装置。
【請求項2】
前記剥離姿勢形成手段は、剥離された接着シートの接着面に当接しつつ回転可能な剥離ローラと、この剥離ローラに接し、前記接着シートの弾性力によって生じる当該剥離ローラの変形を抑制可能なサポート手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載のシート剥離装置。
【請求項3】
前記サポート手段は、接着シートの剥離によって発生する塵を接着する粘着ローラを有することを特徴とする請求項2記載のシート剥離装置。
【請求項4】
前記接着シートの剥離によって発生する塵を吸引する吸引手段を備えていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のシート剥離装置。
【請求項5】
被着体の一方の面に貼付された接着シートを剥離用テープを介して剥離するシート剥離方法であって、
前記被着体を支持手段により支持する工程と、
前記剥離用テープを繰り出す工程と、
前記接着シートに剥離用テープを貼付する工程と、
未剥離の接着シートに対向するように剥離された接着シートの接着面に当接し、当該接着シートの弾性力によって被着体を剥離姿勢形成手段で支持手段側に押圧して接着シートの剥離姿勢を形成する工程と、
平面視で前記剥離姿勢形成手段と接着シートが剥離された被着体との間に折返しシート部を形成する工程と、
前記支持手段と剥離用テープとを相対移動させる工程とを備えていることを特徴とするシート剥離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−233697(P2011−233697A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102278(P2010−102278)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】