説明

ジアリールエーテル誘導体およびその使用

μ、κ、および/またはδオピオイド受容体で拮抗薬として働き、したがって動物におけるそのような拮抗作用が有効である疾患、状態、および/または障害の治療に有用な式(I)の化合物[R、R、R、R、R、およびRは本明細書に記載している]を本明細書に記載する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オピオイド受容体が介在する疾患、状態、および/または障害を治療するジアリールエーテル誘導体およびその使用に関する。本化合物は、ミュー、カッパー、およびデルタ(μ、κ、およびδ)オピオイド受容体拮抗薬として特に有用である。
【背景技術】
【0002】
肥満は、高血圧、インスリン抵抗性、糖尿病、冠動脈疾患、心不全(まとめてメタボリックシンドロームと呼ばれる)などの二次的病的状態を含めて、その医学的合併症が深刻であるために重大な健康問題となっている。肥満およびその関連した二次的病的状態は、先進世界で健康論争を引き起こし続けており、開発途上世界にも影響を及ぼし始めている。肥満は、健康上のマイナスの結果をもたらすため、米国では2番目の主な予防可能死亡原因とされており、社会に重大な経済的、心理社会的影響を与えている。McGinnis M、Foege WH.、「Actual Causes of Death in the United States」、JAMA、第270巻、2207〜12ページ(1993年)を参照されたい。肥満およびそれに伴う二次的病的状態を治療および/または予防する新しい薬物療法を特定し、開発することが求められていることは明らかである。
【0003】
ナルトレキソンを使用した臨床データは一貫していなかったが、オピオイド受容体をエネルギーホメオスターシスの調節に関係付けている文献には考慮すべき証拠があり、オピエート受容体サブタイプの1つまたは複数への拮抗作用が肥満治療に適するターゲットとなり得ることが示唆される。たとえば、Hadcock,J.R.ら.、「Role of opiates and their receptors in the regulation of food intake and body weight」、Drug Discovery Today:Therapeutic Strategies、第2巻(2)、171〜175ページ(2005年)を参照されたい。
【0004】
pan選択的オピオイド受容体拮抗薬(たとえばLY255582)は、食欲を減退させる強い効果をもたらすことがわかっている。たとえば、Gackenheimer,S.L.ら、「Localization of opioid receptor antagonist [H]−LY255582 binding sites in mouse brain:Comparison with the distribution of mu,delta and kappa binding sites」、Neuropeptide、第39巻、559〜567ページ(2005年);Shaw,W.Nら、「The effect of the opioid antagonist LY255582 on body weight of the obese Zucker rat」、Int J Obes、第15巻(6)、387〜95ページ(1991年);Shaw,W.N.、「Long−term treatment of obese Zucker rats with LY255582 and other appetite suppressants」、Pharmacol Biochem Behav、第46巻(3)、653〜9ページ(1993年);およびLevine,A.S.ら、「Central administration of the opioid antagonist,LY255582,decreases short− and long−term food intake in rats」、Brain Res、第566巻(1〜2)、193〜7ページ(1991年)を参照されたい。μ、κ、およびδオピオイド受容体で逆作動薬または拮抗薬として作用する化合物も報告されている。特に、LY515300(3,4−ジメチル−4−(3−ヒドロキシフェニル)ピペリジン)は、μおよびκオピオイド受容体サブタイプに対する結合親和性はナノモル下であるが、δオピオイド受容体に対する親和性はより弱いことがわかっている。たとえば、Statnick,M.A.ら、「Na−dependent high affinity binding of [3H]LY515300,a 3,4−dimethyl−4−(3−hydroxyphenyl)piperidine opioid receptor inverse agonist」、Eur J Pharm、第482巻、139〜150ページ(2003年)、およびZimmerman,D.M.ら、「Structure−activity relations of trans−3,4−dimethyl−4−(3−hydroxyphenyl)piperidine antagonists for mu− and kappa−opioid receptor」、J Med Chem第36巻(20)、2833〜2841ページ(1993年)を参照されたい。
【0005】
オピオイド受容体拮抗薬として作用するジアリールエーテルは、Shuker,A.J.ら、「The Application of High−Throughput Synthesis and Purification to the Preparation of Ethanolamines」、Tetra Lett、第38巻(35)、6149〜6152ページ(1997年);ならびにPCT公開第WO04/026305号、第WO04/080968号、第WO04/080996号、第WO05/061442号、第WO05/066164号、第WO05/090286号、第WO05/090337号、および第WO05/092836号に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多くのオピオイド受容体拮抗薬が知られているものの、特に肥満および肥満に関連した二次的病的状態の治療について、有効性および治療指標が改善されている化合物を同定することが依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
式(I)の化合物は、μ、κ、および/またはδオピオイド受容体で拮抗薬として作用することがわかっており、したがってその拮抗作用が有効である疾患、状態、および/または障害(たとえば、肥満および肥満に関連した二次的病的状態に関連する疾患)の治療において使用することができる。特に、式(I)の化合物または薬学的に許容できるその塩は、μおよびκ受容体への組合せ型の拮抗作用をもたらし、食物摂取効率および効力を向上させる。
【0008】
【化1】

[式中、Rは水素またはメチルであり、Rは、(C〜C10)アルキル、ベンゼン環に縮合していてもよい5〜6員シクロアルキル、または基−(CH(R))(CH−A[ここで、mは1であり、nは0、1、または2であり、Rは水素、メチル、またはエチルであり、Aは、(C〜C)アルコキシ、フェノキシ、フェニル、3〜8員シクロアルキル、O、N、もしくはSからそれぞれ独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を含んでいる5〜6員複素環、またはO、S、もしくはNからそれぞれ独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでいる5〜6員ヘテロアリールであり、前記フェニル、前記シクロアルキル、前記複素環、および前記ヘテロアリールは、ベンゼン環に縮合していてもよく、または−OH、ハロ、(C〜C)アルキル、−CF、−OCF、(C〜C)アルコキシ、CN、アセチルアミノ、またはフェノキシからそれぞれ独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されていてもよい]であり、Rは水素であり、Rは水素またはハロ(F、Cl、Br、またはI、好ましくはFまたはCl、より好ましくはF)であり、Rは水素またはハロ(F、Cl、Br、またはI、好ましくはFまたはCl、より好ましくはF)であり、Rは水素である]。
【0009】
定義
本明細書では、用語「アルキル」とは、一般式C2n+1の炭化水素基を指す。アルカン基は、直鎖状でも分枝状でもよい。たとえば、用語「(C〜C)アルキル」とは、1〜6個の炭素原子を含んでいる一価の直鎖状または分枝状の脂肪族基(たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ネオペンチル、3,3−ジメチルプロピル、ヘキシル、2−メチルペンチルなど)を指す。同様に、アルコキシ、アシル(たとえばアルカノイル)、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、およびアルキルチオ基のアルキル部分(すなわちアルキル成分)も、上記と同じ定義を有する。「置換されていてもよい」と示されるとき、アルカン基またはアルキル部分は、無置換でもよいし、または以下に「置換された」についての定義の中で挙げる置換基の群からそれぞれ独立に選択される1個または複数の置換基(ペルクロロまたはペルフルオロアルキルなどのハロゲン置換基の場合を除き、一般に1個〜3個の置換基)で置換されていてもよい。「ハロ置換アルキル」とは、1個または複数のハロゲン原子で置換されているアルキル基(たとえば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペルフルオロエチルなど)を指す。
【0010】
用語「シクロアルキル」は、完全に水素化した非芳香族の環を指し、単環、二環式の環、またはらせん状の環として存在してよい。別段の指定がない限り、この炭素環は一般に、3〜8員の環である。たとえば、シクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、ノルボルニル(ビシクロ[2.2.1]ヘプチル)、ビシクロ[2.2.2]オクチルなどの基が含まれる。「置換されていてもよい」と示されるとき、シクロアルキル基は、無置換でもよいし、または以下に「置換された」についての定義の中で挙げる置換基の群からそれぞれ独立に選択される1個または複数の置換基(通常は1個〜3個の置換基)で置換されていてもよい。置換された炭素環には、その炭素環がフェニル環に縮合している基(たとえばインダニル)も含まれる。炭素環基は、化学的存在または部分に、その炭素環系内の炭素原子のいずれか1つによって結合していてよい。
【0011】
用語「複素環」とは、完全に水素化した非芳香族の環を指し、単環、二環式の環、またはらせん状の環として存在してよい。別段の指定がない限り、この複素環は一般に、硫黄、酸素、および/または窒素からそれぞれ独立に選択される1〜3個のヘテロ原子(好ましくは1または2個のヘテロ原子)を含んでいる3〜6員の環である。複素環には、エポキシ、アジリジニル、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、N−メチルピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラゾリジニル、4H−ピラニル、モルホリノ、チオモルホリノ、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル1,1−ジオキシドなどの基が含まれる。「置換されていてもよい」と示されるとき、複素環基は、無置換でもよいし、または以下に「置換された」についての定義の中で挙げる置換基の群からそれぞれ独立に選択される1個または複数の置換基(通常は1個〜3個の置換基)で置換されていてもよい。置換された複素環には、その複素環がアリールまたはヘテロアリール環に縮合している基(たとえば、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロインドリル、2,3−ジヒドロベンゾチオフェニル、2,3−ジヒドロベンゾチアゾリルなど)が含まれる。置換されているとき、複素環基は、1または2個の置換基で置換されていることが好ましい。複素環基は、化学的存在または部分に、複素環系内の環原子のいずれか1つによって結合していてよい。
【0012】
用語「アリール」または「芳香族炭素環」とは、単環系(たとえばフェニル)または縮合環系(たとえばナフタレン、アントラセン、フェナントレンなど)を有する芳香族部分を指す。典型的なアリール基は、6〜10員の芳香族炭素環である。「置換されていてもよい」と示されるとき、アリール基は、無置換でもよいし、または1個または複数の置換基(好ましくは3個以下の置換基)で置換されていてもよい。置換されたアリール基には、芳香族部分の鎖(たとえば、ビフェニル、テルフェニル、フェニルナフタリルなど)が含まれる。置換されているとき、芳香族部分は、1または2個の置換基で置換されていることが好ましい。アリール基は、化学的存在または部分に、芳香環系内の炭素原子のいずれか1つによって結合していてよい。同様に、アリールオキシのアリール部分(すなわち芳香族部分)も、上記と同じ定義を有する。
【0013】
用語「ヘテロアリール」または「芳香族複素環」とは、5〜10員芳香環系内に少なくとも1個のヘテロ原子(たとえば、酸素、硫黄、窒素、またはこれらの組合せ)を含んでいる芳香族部分(たとえば、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、インドリル、インダゾリル、チエニル、フラニル、ベンゾフラニル、オキサゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、ピリミジル、ピラジニル、チアゾリル、プリニル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリルなど)を指す。ヘテロ芳香族部分は、単環系または縮合環系からなるものでよい。典型的なヘテロアリール単環は、酸素、硫黄、および窒素からそれぞれ独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでいる5〜6員環であり、典型的な縮合ヘテロアリール環系は、酸素、硫黄、および窒素からそれぞれ独立に選択される1個〜4個のヘテロ原子を含んでいる9〜10員の環系である。「置換されていてもよい」と示されるとき、ヘテロアリール基は、無置換でもよいし、または1個または複数の置換基(好ましくは3個以下の置換基)で置換されていてもよい。ヘテロアリール基は、化学的存在または部分に、芳香環系内の原子のいずれか1つによって結合していてよい(たとえば、イミダゾール−1−イル、イミダゾール−2−イル、イミダゾール−4−イル、イミダゾール−5−イル、ピリド−2−イル、ピリド−3−イル、ピリド−4−イル、ピリド−5−イル、またはピリド−6−イル)。
【0014】
用語「置換」とは、詳細には、当業界で一般的である1つまたは複数の置換を考え、見込むものである。しかし、置換基は、化合物の薬理学的な特性に有害な影響を及ぼさず、医薬の使用を有害に妨げないように選択すべきであることは、当業者に一般に理解されている。「置換アリール(C〜C)アルキル」などの置換されている組合せの場合では、1個または複数の置換基(ペルハロ置換の場合を除き、通常は1個〜3個の置換基)で、アリール基またはアルキル基のどちらかが置換されていてもよく、またはアリール基とアルキル基の両方が置換されていてもよい。アリールまたはヘテロアリールで置換されている炭素環または複素環基は、縮合環(たとえば、インダニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロインドリルなど)であるともいえる。
【0015】
「治療有効量」という表現は、(i)本明細書に記載の特定の疾患、状態、または障害を治療または予防し、(ii)特定の疾患、状態、または障害の1つまたは複数の症状を軽減し、寛解させ、または解消し、または(iii)特定の疾患、状態、または障害の1つまたは複数の症状の発症を予防しまたは遅らせる、本発明の化合物の量を意味する。
【0016】
「動物」という用語は、ヒト(男性または女性)、伴侶動物(たとえば、イヌ、ネコ、およびウマ)、食料供給源の動物、動物園の動物、海洋動物、鳥類、および他の同様の動物種を指す。「食用動物」とは、乳牛、ブタ、ヒツジ、家禽などの食料供給源の動物を指す。
【0017】
「薬学的に許容できる」という表現は、物質または組成物が、製剤を構成する他の成分および/またはそれによって治療される哺乳動物と、化学的かつ/または毒物学的に適合性がなければならないことを表す。
【0018】
「治療すること」、「治療する」、または「治療」という用語は、予防的、すなわち予防処置と姑息的治療の両方を包含する。
【0019】
「オピオイド受容体活性をモジュレートする」または「オピオイドの介在による」という用語は、μ、κ、および/またはδオピオイド受容体の活性化または非活性化を指す。
【0020】
「本発明の化合物」という用語は(別段具体的に特定しない限り)、式(I)の化合物およびその化合物の薬学的に許容できる塩、ならびに(ジアステレオ異性体および鏡像異性体を含めた)すべての立体異性体、互変異性体、および同位体標識された化合物を指す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
式Iの化合物において、Rは水素であることが好ましく、RおよびRは水素またはフルオロであることが好ましい。
【0022】
は、(i)(C〜C10)アルキル、(ii)ベンゼン環に縮合していてもよい5〜6員シクロアルキル、(iii)−(CH(R))(CH−A(mは1であり、nは0であり、Aは、3〜6員シクロアルキル、ピリジニル、またはO、S、もしくはNからそれぞれ独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を含んでいる5〜6員複素環であり、シクロアルキルおよび複素環は、ヒドロキシで置換されていてもよい)、または(iv)−(CH(R))(CH−A(mは1であり、nは1であり、Aは(C〜C)アルコキシ、フェノキシ、3〜6員シクロアルキル、またはO、S、もしくはNからそれぞれ独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を含んでいる5〜6員複素環である)であることが好ましい。
【0023】
好ましい化合物は、4−{4−[(2−シクロプロピル−エチルアミノ)−メチル]−2−フルオロ−フェノキシ}−2−ヒドロキシ−ベンズアミドの遊離塩基または塩酸塩である。
【0024】
本明細書に記載の化合物の一部は、少なくとも1個のキラル中心を含んでいる場合があり、したがって当業者ならば、本明細書で例示し論述する化合物のすべての立体異性体(たとえば、鏡像異性体およびジアステレオ異性体)が本発明の範囲内であることを理解されよう。さらに、化合物の互変異性体形態も、本発明の範囲内である。
【0025】
本発明の別の態様は、(1)本発明の化合物と、(2)薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体とを含む医薬組成物である。組成物は、治療有効量の本発明の化合物を含むことが好ましい。組成物は、少なくとも1種の(本明細書に記載の)追加の医薬も含有してよい。好ましい薬剤には、(本明細書に以下で記載する)抗肥満薬が含まれる。
【0026】
本発明のさらに別の実施形態では、動物において、μ、κ、および/またはδオピオイド受容体に対する拮抗作用が介在する疾患、状態、および/または障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする動物(好ましくはヒト)に、治療有効量の本発明の化合物(またはその医薬組成物)を投与して、たとえば、体重を減少させ、血圧を低下させ、インスリン抵抗性を低減するステップを含む方法である。
【0027】
μ、κ、および/またはδオピオイド受容体に対する拮抗作用が介在する疾患、状態、および/または障害には、肥満(体重コントロールまたは体重維持を含める)ならびに肥満に関連した二次的病的状態(たとえば、異脂肪血症、高血圧、インスリン抵抗性、糖尿病、冠動脈疾患、および心不全)が含まれる。
【0028】
本発明の化合物は、他の医薬と組み合わせて投与することができる。好ましい医薬には、抗肥満薬、たとえば、apo−B/MTP阻害剤、カンナビノイド1(CB−1)拮抗薬(または逆作動薬)、11β−ヒドロキシステロイド脱水素酵素1(11β−HSD1型)阻害剤、ペプチドYY3−36(その類似体を含める)、MCR−4作動薬、CCK−A作動薬、モノアミン再取込み阻害剤、交感神経刺激薬、βアドレナリン作動薬、ドーパミン作動薬、メラニン細胞刺激ホルモン類似体、5−HT2c作動薬、メラニン濃縮ホルモン拮抗薬、レプチン、レプチン類似体、レプチン作動薬、ガラニン拮抗薬、リパーゼ阻害剤、ボンベシン作動薬、ニューロペプチド−Y拮抗薬(たとえば、本明細書に以下で記載するものなどのNPYY5拮抗薬)、甲状腺模倣物薬剤、デヒドロエピアンドロステロンまたはその類似体、グルココルチコイド拮抗薬、オレキシン拮抗薬、グルカゴン様ペプチド1作動薬、繊毛様神経栄養因子、ヒトアグーチ関連タンパク質拮抗薬、グレリン拮抗薬、ヒスタミン3拮抗薬または逆作動薬、ニューロメディンU作動薬などが含まれる。
【0029】
併用療法では、(a)本発明の化合物と、本明細書に記載の少なくとも1種の追加の医薬と、薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体とを含む単一の医薬組成物、または(b)(i)本発明の化合物と、薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体とを含む第1の組成物、および(ii)本明細書に記載の少なくとも1種の追加の医薬と、薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体とを含む第2の組成物からなる2種の別個の医薬組成物として投与することができる。医薬組成物は、同時に、または順次いずれかの順序で投与することができる。
【0030】
本発明の化合物は、化学分野でよく知られているものと類似の方法を含む合成経路によって、特に本明細書に含まれる記述に照らして合成することができる。出発材料は、一般にAldrich Chemicals(ウィスコンシン州ミルウォーキー)などの市販の供給元から入手可能であり、または当業者によく知られている方法を使用して容易に調製される(たとえば、Louis F.FieserおよびMary Fieser、「Reagents for Organic Synthesis」、第1巻〜第19巻、Wiley、ニューヨーク(1967〜1999年版)、または増刊を含めた「Beilsteins Handbuch der organischen Chemie」、第4版、編集:Springer−Verlag、ベルリン(Beilsteinオンラインデータベースからも入手可能)に一般に記載されている方法によって調製される)。
【0031】
例示の目的では、以下で示す反応スキームが、本発明の化合物ならびに重要な中間体を合成するための有望な経路となる。個々の反応ステップのより詳細な記述については、以下の実施例の項を参照されたい。当業者ならば、他の合成経路を使用して本発明の化合物を合成してもよいことがわかるであろう。特定の出発材料および試薬がスキーム中に示され、以下で論述されるとしても、他の出発材料および試薬を容易に代用して、様々な誘導体および/または反応条件を得ることができる。さらに、以下で述べる方法によって調製される化合物の多くは、当業者によく知られている従来の化学を使用して、この開示の観点から改変することができる。
【0032】
本発明の化合物の調製では、中間体の遠隔位にある官能基(たとえば、第一級または第二級アミン)の保護が必要となる場合もある。その保護の必要は、遠隔位にある官能基の性質および調製方法の条件に応じて変わってくる。適切なアミノ保護基(NH−Pg)には、アセチル、トリフルオロアセチル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)、および9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が含まれる。その保護が必要かどうかは、当業者によって容易に決定される。保護基およびその使用についての一般の記述に関しては、T.W.Greene、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley&Sons、ニューヨーク、1991年を参照されたい。
【0033】
スキームIは、本発明の化合物を得るのに使用することのできる一般手順の概略を述べるものである。
【0034】
【化2】

【0035】
7−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ダイオキシン−4−オン(1b)は、Jonathan H.Marriottら、J.Chem Soc Perkin Trans 1、第24巻、4265〜5278ページ(2000年)に記載の手順を使用して生成することができる。たとえば、2,4−ジヒドロキシ−安息香酸(1a)を、トリフルオロ酢酸無水物(TFAA)およびトリフルオロ酢酸(TFA)の存在下、約0℃から室温付近でアセトン処理した。次いで、結合位置に適切な脱離基(L)を有する所望のベンズアルデヒド(1c)を、7−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ダイオキシン−4−オン(1b)と縮合させて、中間体(1d)を生成した。適切な脱離基には、ハロ(たとえば、フルオロ、クロロ、またはブロモ)およびスルホン酸エステルが含まれる。一般に、2つの構成要素を、塩基(たとえば炭酸カリウム)の存在下、高沸点極性溶媒(たとえばDMF)中で一緒に加熱する。次いで、アルデヒド基を還元的アミノ化によってベンジルアミンに変換して、アミノ化合物(1e)を生成する。たとえば、アルデヒド中間体(1d)を、プロトン性溶媒(たとえばエタノール)中にて所望の第一級または第二級アミン(R(R)NH)で処理する。次いで、反応液を適切な水素化物還元剤(たとえば、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、またはシアノ水素化ホウ素ナトリウム)で処理して、アミノ化合物(1e)を生成する。次いで、[1,3]ジオキシン−4−オン官能基を水酸化アンモニウムでの処理によってα−ヒドロキシアミドに変換して、最終化合物(I)を生成する。
【0036】
別法として、ベンズアルデヒド(1c)に相当するシアノを使用することもできるはずである。この手順では、ニトリルを適切な還元剤(たとえば、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、または水素化ホウ素ナトリウムプラス遷移金属塩(たとえば塩化ニッケルまたは塩化コバルト))で還元して、RおよびRが両方とも水素であるベンジルアミノ中間体(1e)を生成する。次いで、所望のアルデヒド(RC(O)H)を用いる還元アミノ化によって所望のR基を導入して、Rが水素である化合物(I)を生成することができる。
【0037】
当業者ならば、ジアリールエーテル生成の数多くの代替法も考えられることがわかるであろう。たとえば、Tetrahedron、第56巻(29)、5045〜5065ページ(2000年);Angewandte Chemie、International Edition、第42巻(44)、5400〜5449ページ(2003年);およびPCT公開第WO01/072687号に記載の手順。
【0038】
以下のスキームIIは、Rが水素であるときの本発明の化合物の別の合成を例示するものである。
【0039】
【化3】

【0040】
が水素であるとき、α−ヒドロキシアミド官能基を生成する前に第二級アミノ基を保護基(Pg)で保護することが必要な場合もある。アミドを生成したならば(中間体(2b))、保護基は、用いた特定の保護基に相応しい条件を使用して除去することができる。たとえば、t−ブトキシカルボニル(Boc)を保護基に使用したとき、この保護基は、強酸(たとえばHCl)で処理して除去することができる。式(I)の化合物の酸の塩を生成し、これを塩として使用してもよいし、または適切な塩基で処理して遊離塩基に変換してもよい。
【0041】
本発明の化合物は、単離し、それ自体を使用しても、またはその薬学的に許容できる塩の形で使用してもよい。用語「塩」とは、本発明の化合物の無機および有機の塩を指す。これらの塩は、化合物を最終的に単離および精製する際にin situで、または化合物を別々に、適切な有機もしくは無機の酸もしくは塩基と反応させ、そうして生成した塩を単離することによって調製することができる。代表的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、硝酸塩、酢酸、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、ベシル酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、マロン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシル酸塩、ギ酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、およびラウリルスルホン酸塩などが含まれる。代表的な塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属およびアルカリ土類金属に基づくカチオン、ならびに、その限りでないがアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含めて、非毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンカチオンを含み得る。たとえば、Bergeら、J.Pharm.Sci.、第66巻、1〜19ページ(1977年)を参照されたい。
【0042】
本発明の化合物は、不斉中心またはキラル中心を含んでいる場合もあり、したがって異なる立体異性体の形で存在し得る。本発明の化合物のすべての立体異性体形態、ならびにラセミ混合物を含めたその混合物も、本発明の一部をなすものとする。さらに、本発明は、すべての幾何的異性体および位置的異性体を包含する。たとえば、本発明の化合物が、二重結合または縮合環を含んでいるなら、シスおよびトランスの両方の形態ならびに混合物が本発明の範囲内に包含される。
【0043】
ジアステレオ異性体混合物は、その物理化学的な差異に基づき、クロマトグラフィーおよび/または分別再結晶などの当業者によく知られている方法によって、その個々のジアステレオ異性体に分離することができる。鏡像異性体は、適切な光学活性のある化合物(たとえば、キラルなアルコールやモッシャー酸塩化物などのキラル助剤)との反応によって鏡像異性体混合物をジアステレオ異性体混合物に変換し、ジアステレオ異性体を分離し、個々のジアステレオ異性体を対応する純粋な鏡像異性体に変換する(たとえば加水分解する)ことによって分離することができる。また、本発明の化合物の一部は、アトロプ異性体(たとえば、置換ビアリール)である場合もあるが、本発明の一部であるとみなされる。鏡像異性体は、キラルHPLCカラムを使用して分離することもできる。
【0044】
本発明の中間体および化合物は、異なる互変異性体形態で存在し得る可能性もあり、そのような形態はすべて、本発明の範囲内に包含される。「互変異性体」または「互変異性体形態」という用語は、低いエネルギー障壁で相互変換可能な、エネルギーの異なる構造異性体を指す。たとえば、プロトン互変異性体(プロトン移動互変異性体としても知られている)は、ケト−エノール異性化やイミン−エナミン異性化などの、プロトンの移動による相互変換を含む。プロトン互変異性体の具体例は、プロトンが2個の環窒素間を転位し得るイミダゾール部分である。原子価互変異性体は、結合電子の一部が再編成されることによる相互変換を含む。
【0045】
本発明は、同位体標識された本発明の化合物も包含するが、こうした化合物は、1個または複数の原子が、原子質量または質量数が自然界で通常見られる原子質量または質量数と異なる原子によって置換されていること以外は本明細書で列挙するともの同一である。本発明の化合物に組み込むことのできる同位体の例には、それぞれH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、123I、125I、36Clなどの、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素、および塩素の同位体が含まれる。
【0046】
特定の同位体標識された本発明の化合物(たとえば、Hおよび14Cで標識されたもの)は、化合物および/または基質の組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化(すなわちH)およびカーボン14(すなわち14C)同位体は、調製しやすく検出性が良好であることから特に好ましい。さらに、ジュウテリウム(すなわちH)などのより重い同位体で置換すると、代謝安定性がより高いために得られる特定の治療上の利点(たとえば、in vivo半減期の延長または投与必要量の減少)がもたらされる場合もあり、したがってある状況において好ましいこともある。15O、13N、11C、18Fなどの陽電子放射同位体は、基質占有率を調べるためのポジトロン放出断層撮影(PET)調査に有用である。同位体標識された本発明の化合物は、一般に、スキームおよび/または本明細書の以下の実施例で開示するものと類似の手順に従い、同位体標識されていない試薬の代わりに同位体標識された試薬を用いることによって調製できる。
【0047】
本発明の化合物は、μ、κ、および/またはδオピオイド受容体によってモジュレートされる疾患、条件、および/または障害の治療に有用であり、したがって、本発明の別の実施形態は、治療有効量の本発明の化合物と、薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体とを含む医薬組成物である。本発明の化合物は、(そこに使用する組成物および方法を含めて、)本明細書に記載の治療に適用する医薬の製造においても使用することができる。
【0048】
典型的な製剤は、本発明の化合物と、担体、希釈剤、または賦形剤とを混合して調製する。適切な担体、希釈剤、および賦形剤は、当業者によく知られており、これらには、炭水化物、ろう、水溶性および/または膨張性のポリマー、親水性または疎水性の材料、ゼラチン、油、溶媒、水などの材料が含まれる。使用する特定の担体、希釈剤、または賦形剤は、本発明の化合物を適用する手段および目的に応じて決まる。溶媒は一般に、当業者によって哺乳動物に投与するのに安全であると認められた(GRAS)溶媒に基づいて選択される。一般に、安全な溶媒は、水や、水に可溶性または混和性の他の非毒性溶媒などの、非毒性の水性溶媒である。適切な水性溶媒には、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(たとえば、PEG400、PEG300)など、およびこれらの混合物が含まれる。製剤は、1種または複数の緩衝液、安定剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、酸化防止剤、不透明化剤、滑剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、着香剤、矯味剤、ならびに洗練された体裁の薬物(すなわち本発明の化合物またはその医薬組成物)を提供し、または薬剤製品(すなわち医薬品)の製造を助けるための他の既知の添加剤も含有してよい。
【0049】
製剤は、従来の溶解手順および混合手順を使用して調製することができる。たとえば、原薬(すなわち、本発明の化合物または安定化させた形の化合物(たとえば、シクロデキストリン誘導体または他の既知の錯形成剤との錯体))を、上述の賦形剤の1つまたは複数の存在下、適切な溶媒に溶解させる。本発明の化合物は通常、医薬剤形に製剤して、薬物の投与量を容易に制御可能にし、患者に洗練された取り扱いやすい製品を供給する。
【0050】
適用される医薬組成物(または製剤)は、薬物の投与に使用する方法に応じて、様々に包装することができる。一般に、流通される物品は、医薬製剤がその中に適切な形で入っている容器を含む。適切な容器は、当業者によく知られており、それには、(プラスチック製およびガラス製の)ボトル、小袋、アンプル、プラスチック製袋、金属製シリンダーなどの材料が含まれる。容器は、パッケージの内容物への不当な接触を防ぐために、いたずら防止結合部を含んでもよい。さらに、容器には、容器の内容物について記載するラベルが貼られている。ラベルは、適正な警告文を含んでもよい。
【0051】
本発明はさらに、動物において、オピオイド受容体によってモジュレートされる疾患、状態、および/または障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする動物に、治療有効量の本発明の化合物、または有効量の本発明の化合物と薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、もしくは担体とを含む医薬組成物を投与することを包含する方法を提供する。この方法は、μ、κ、および/またはδオピオイド受容体に対する拮抗作用が有効である疾患、状態、および/または障害の治療に特に有用である。
【0052】
本発明の一態様は、肥満および肥満に関連した障害(たとえば、過体重、体重増加、または体重維持)の治療である。
【0053】
肥満および過体重は一般に、総体脂肪と相関関係にあり、疾患の相対危険度を推定する体型指数(BMI)によって定義される。BMIは、キログラム単位の体重をメートル単位の身長の二乗で割ったもの(kg/m)から算出する。過体重は通常、BMIが25〜29.9kg/mであるものと定義され、肥満は通常、BMIが30kg/mであるものと定義される。たとえば、National Heart,Lung,and Blood Institute、「Clinical Guidelines on the Identification,Evaluation,and Treatment of Overweight and Obesity in Adults,The Evidence Report」、ワシントンDC:米国保健福祉省、NIH刊行物第98−4083号(1998年)を参照されたい。
【0054】
本発明の別の態様は、メタボリックシンドロームなどの肥満の二次的病的状態の治療である。メタボリックシンドロームには、異脂肪血症、高血圧、インスリン抵抗性、糖尿病(たとえば2型糖尿病)、冠動脈疾患、心不全などの疾患、状態、または障害が含まれる。メタボリックシンドロームに関するより詳細な情報については、たとえば、Zimmet,P.Z.ら、「The Metabolic Syndrome:Perhaps an Etiologic Mystery but Far From a Myth−Where Does the International Diabetes Federation Stand?」、Diabetes&Endocrinology、第7巻(2)(2005年);およびAlberti,K.G.ら、「The Metabolic Syndrome−A New Worldwide Definition」、Lancet、第366巻、1059〜62ページ(2005年)を参照されたい。本発明の化合物の投与によって、少なくとも1つの心血管疾患リスクファクターが統計学的に有意に(p<0.05)低減される、たとえば、血漿レプチン、C反応性タンパク質(CRP)、および/またはコレステロールが、薬物を含有しない媒体対照と比べて低下することが好ましい。本発明の化合物の投与によって、血清グルコースレベルも、統計学的に有意に(p<0.05)低下させることができる。
【0055】
体重が約100kgである正常な成人では、体重1キログラムあたり約0.001mg〜約10mg、好ましくは約0.01mg/kg〜約5.0mg/kg、より好ましくは約0.01mg/kg〜約1mg/kgの範囲の投与量で通常は十分である。しかし、治療を受ける対象の年齢および体重、目的の投与経路、投与する特定の化合物などに応じて、一般の投与量範囲に変動性をもたせることが必要となる場合もある。特定の患者のための投与量範囲および最適な投与量の決定は、多分に、この開示の利益を受ける当業者の力量の範囲内である。本発明の化合物は、持続放出、制御放出、および遅延放出製剤にして使用することができ、これらの形態も当業者によく知られていることも留意されたい。
【0056】
本発明の化合物は、本明細書に記載の疾患、状態、および/または障害の治療に他の医薬と共に使用してもよい。したがって、本発明の化合物を他の医薬と組み合わせて投与することを含む治療方法も提供される。本発明の化合物と組み合わせて使用することができる適切な医薬としては、抗肥満薬が挙げられる。
【0057】
適切な抗肥満薬には、カンナビノイド1(CB−1)拮抗薬(リモナバントなど)、11β−ヒドロキシステロイド脱水素酵素1(11β−HSD1型)阻害剤、MCR−4作動薬、コレシストキニンA(CCK−A)作動薬、モノアミン再取込み阻害剤(シブトラミンなど)、交感神経刺激薬、βアドレナリン作動薬、ドーパミン作動薬(ブロモクリプチンなど)、メラニン細胞刺激ホルモン類似体、5HT2c作動薬、メラニン濃縮ホルモン拮抗薬、レプチン(OBタンパク質)、レプチン類似体、レプチン作動薬、ガラニン拮抗薬、リパーゼ阻害剤(テトラヒドロリプスタチン、すなわちオーリスタットなど)、食欲低下薬(ボンベシン作動薬など)、ニューロペプチドY拮抗薬(たとえばNPYY5拮抗薬)、PYY3−36(その類似体を含める)、甲状腺模倣物薬剤、デヒドロエピアンドロステロンまたはその類似体、グルココルチコイド作動薬または拮抗薬、オレキシン拮抗薬、グルカゴン様ペプチド1作動薬、繊毛様神経栄養因子(Regeneron Pharmaceuticals,Inc.、ニューヨーク州タリータウンおよびProcter&Gamble Company、オハイオ州シンシナティから入手可能なAxokine(商標)など)、ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)阻害剤、グレリン拮抗薬、ヒスタミン3拮抗薬または逆作動薬、ニューロメディンU作動薬、MTP/ApoB阻害剤(たとえば、ジルロタピドなどの消化管選択的MTP阻害剤)などが含まれる。
【0058】
本発明の組合せ態様で使用する好ましい抗肥満薬には、CB−1拮抗薬、消化管選択的MTP阻害剤、CCKa作動薬、5HT2c作動薬、PYY1−36(ペグ化されたPYY3−36などの類似体を含める)、NPYY5拮抗薬、ブロモクリプチン、オーリスタット、およびシブトラミンが含まれる。本発明の化合物および併用治療薬は、運動および賢明な食事と合わせて投与することが好ましい。
【0059】
シブトラミンは、米国特許第4,929,629号に記載のとおりに調製することができ、ブロモクリプチンは、米国特許第3,752,814号および第3,752,888号に記載のとおりに調製することができ、オーリスタットは、米国特許第5,274,143号、第5,420,305号、第5,540,917号、および第5,643,874号に記載のとおりに調製することができ、PYY3−36(その類似体を含める)は、米国特許公開第2002/0141985号およびWO03/027637に記載のとおりに調製することができ、5HT2c作動薬は、米国特許第6,825,198号に記載のとおりに調製することができる。
【0060】
好ましいCB−1拮抗薬には、以下のものが含まれる。リモナバント(Acomplia(商標)という商品名でも知られているSR141716A)は、Sanofi−Synthelaboから入手可能であり、または米国特許第5,624,941号に記載のとおりに調製することができる。N−(ピペリジン−1−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(AM251)は、Tocris(商標)、ミズーリ州Ellisvilleから入手可能である。米国特許第6,645,985号に記載のとおりに調製することができる[5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4−エチル−N−(1−ピペリジニル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド](SR147778);PCT公開第WO03/075660号に記載のとおりに調製することができるN−(ピペリジン−1−イル)−4,5−ジフェニル−1−メチルイミダゾール−2−カルボキサミド、N−(ピペリジン−1−イル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−クロロフェニル)−1−メチルイミダゾール−2−カルボキサミド、N−(ピペリジン−1−イル)−4,5−ジ−(4−メチルフェニル)−1−メチルイミダゾール−2−カルボキサミド、N−シクロヘキシル−4,5−ジ−(4−メチルフェニル)−1−メチルイミダゾール−2−カルボキサミド、N−(シクロヘキシル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−クロロフェニル)−1−メチルイミダゾール−2−カルボキサミド、およびN−(フェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−クロロフェニル)−1−メチルイミダゾール−2−カルボキサミド;米国特許出願公開第2004/0092520号に記載のとおりに調製することができる1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミドの塩酸塩、メシル酸塩、およびベシル酸塩;米国特許出願公開第2004/0157839号に記載のとおりに調製することができる1−[7−(2−クロロ−フェニル)−8−(4−クロロ−フェニル)−2−メチル−ピラゾロ[1,5−a][1,3,5]トリアジン−4−イル]−3−エチルアミノ−アゼチジン−3−カルボン酸アミドおよび1−[7−(2−クロロ−フェニル)−8−(4−クロロ−フェニル)−2−メチル−ピラゾロ[1,5−a][1,3,5]トリアジン−4−イル]−3−メチルアミノ−アゼチジン−3−カルボン酸アミド;米国特許出願公開第2004/0214855号に記載のとおりに調製することができる3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,2−ジフルオロ−プロピル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−ピラゾロ[3,4−c]ピリジン−7−オン;米国特許出願公開第2005/0101592号に記載のとおりに調製することができる3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−7−(2,2−ジフルオロ−プロピル)−6,7−ジヒドロ−2H,5H−4−オキサ−1,2,7−トリアザ−アズレン−8−オン;米国特許出願公開第2004/0214838号に記載のとおりに調製することができる2−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2,6−ジヒドロ−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;PCT特許出願公開第WO02/076949号に記載のとおりに調製することができる(S)−4−クロロ−N−{[3−(4−クロロ−フェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1−イル]−メチルアミノ−メチレン}−ベンゼンスルホンアミド(SLV−319)および(S)−N−{[3−(4−クロロ−フェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1−イル]−メチルアミノ−メチレン}−4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド(SLV−326);米国特許第6,432,984号に記載のとおりに調製することができるN−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミド;米国特許第6,518,264号に記載のとおりに調製することができる1−[ビス−(4−クロロ−フェニル)−メチル]−3−[(3,5−ジフルオロ−フェニル)−メタンスルホニル−メチレン]−アゼチジン;PCT公開第WO04/048317に記載のとおりに調製することができる2−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルオキシ)−N−(4−(4−クロロフェニル)−3−(3−シアノフェニル)ブタン−2−イル)−2−メチルプロパンアミド;米国特許第5,747,524号に記載のとおりに調製することができる4−{[6−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1−ベンゾフラン−3−イル]カルボニル}ベンゾニトリル(LY−320135);WO04/013120に記載のとおりに調製することができる1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(4−フルオロフェニル)−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−スルホニル]−ピペリジン;ならびにPCT公開第WO04/012671号に記載のとおりに調製することができる[3−アミノ−5−(4−クロロフェニル)−6−(2,4−ジクロロフェニル)−フルオロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−フェニル−メタノン。
【0061】
好ましい腸管作用性MTP阻害剤には、両方とも米国特許第6,720,351号に記載の方法を使用して調製することのできるジルロタピド((S)−N−{2−[ベンジル(メチル)アミノ]−2−オキソ−1−フェニルエチル}−1−メチル−5−[4’−(トリフルオロメチル)[1,1’−ビフェニル]−2−カルボキサミド]−1H−インドール−2−カルボキサミド)および1−メチル−5−[(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−1H−インドール−2−カルボン酸(カルバモイル−フェニル−メチル)−アミド;すべて米国特許出願公開第2005/0234099号に記載のとおりに調製することのできる(S)−2−[(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−キノリン−6−カルボン酸(ペンチルカルバモイル−フェニル−メチル)−アミド、(S)−2−[(4’−t−ブチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−キノリン−6−カルボン酸{[(4−フルオロ−ベンジル)−メチル−カルバモイル]−フェニル−メチル}−アミド、および(S)−2−[(4’−t−ブチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−キノリン−6−カルボン酸[(4−フルオロ−ベンジルカルバモイル)−フェニル−メチル]−アミド;米国特許第5,521,186号および第5,929,075号に記載のとおりに調製することができる(−)−4−[4−[4−[4−[[(2S,4R)−2−(4−クロロフェニル)−2−[[(4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)スルファニル]メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル]メトキシ]フェニル]ピペラジン−1−イル]フェニル]−2−(1R)−1−メチルプロピル]−2,4−ジヒドロ−3H−1,2,4−トリアゾール−3−オン(ミトラタピドまたはR103757としても知られる、Yarvitan(商標)という商品名でも知られる);ならびに米国特許第6,265,431号に記載のとおりに調製することができるインプリタピド(BAY13−9952)が含まれる。
【0062】
最も好ましいのは、ジルロタピド、ミトラタピド、(S)−2−[(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−キノリン−6−カルボン酸(ペンチルカルバモイル−フェニル−メチル)−アミド、(S)−2−[(4’−t−ブチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−キノリン−6−カルボン酸{[(4−フルオロ−ベンジル)−メチル−カルバモイル]−フェニル−メチル}−アミド、または(S)−2−[(4’−t−ブチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−キノリン−6−カルボン酸[(4−フルオロ−ベンジルカルバモイル)−フェニル−メチル]−アミドである。
【0063】
好ましいCCKa作動薬には、PCT公開第WO2005/116034号または米国特許公開第2005−0267100A1号に記載のとおりに調製することができるN−ベンジル−2−[4−(1H−インドール−3−イルメチル)−5−オキソ−1−フェニル−4,5−ジヒドロ−2,3,6,10b−テトラアザ−ベンゾ[e]アズレン−6−イル]−N−イソプロピル−アセトアミドが含まれる。
【0064】
好ましいNPYY5拮抗薬には、以下のものが含まれる。米国特許出願公開第2002/0151456号に記載のとおりに調製することができる2−オキソ−N−(5−フェニルピラジニル)−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),4’−ピペリジン]−1’−カルボキサミド;ならびにすべてPCT公開第WO03/082190号に記載のとおりに調製することができる、3−オキソ−N−(5−フェニル−2−ピラジニル)−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),4’−ピペリジン]−1’−カルボキサミド、3−オキソ−N−(7−トリフルオロメチルピリド[3,2−b]ピリジン−2−イル)−スピロ−[イソベンゾフラン−1(3H),4’−ピペリジン]−1’−カルボキサミド、N−[5−(3−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−3−オキソスピロ−[イソベンゾフラン−1(3H),[4’−ピペリジン]−1’−カルボキサミド;トランス−3’−オキソ−N−(5−フェニル−2−ピリミジニル)]スピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−カルボキサミド、トランス−3’−オキソ−N−[1−(3−キノリル)−4−イミダゾリル]スピロ[シクロヘキサン−1,1’(3’H)−イソベンゾフラン]−4−カルボキサミド、トランス−3−オキソ−N−(5−フェニル−2−ピラジニル)スピロ[4−アザイソ−ベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド、トランス−N−[5−(3−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−3−オキソスピロ[5−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド、トランス−N−[5−(2−フルオロフェニル)−2−ピリミジニル]−3−オキソスピロ[5−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド、トランス−N−[1−(3,5−ジフルオロフェニル)−4−イミダゾリル]−3−オキソスピロ[7−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド、トランス−3−オキソ−N−(1−フェニル−4−ピラゾリル)スピロ[4−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド、トランス−N−[1−(2−フルオロフェニル)−3−ピラゾリル]−3−オキソスピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド、トランス−3−オキソ−N−(1−フェニル−3−ピラゾリル)スピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド、およびトランス−3−オキソ−N−(2−フェニル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)スピロ[6−アザイソベンゾフラン−1(3H),1’−シクロヘキサン]−4’−カルボキサミド;ならびにこれらの薬学的に許容できる塩およびエステル。
【0065】
上で挙げた米国特許および公開はすべて、参照により本明細書に援用される。
【0066】
本発明の実施形態を以下の実施例によって例示する。しかし、本発明の実施形態は、当業者にはその別の変形形態も知られるところとなり、またはこの開示に照らして明らかとなるので、このような実施例の特定の細目に限定されないことを理解されたい。
【実施例】
【0067】
別段の指定がない限り、出発材料は一般に、Aldrich Chemicals Co.(ウィスコンシン州ミルウォーキー)、Lancaster Synthesis,Inc.(ニューハンプシャー州Windham)、Acros Organics(ニュージャージー州フェアローン)、Maybridge Chemical Company,Ltd.(英国コーンウォール)、Tyger Scientific(ニュージャージー州プリンストン)、AstraZeneca Pharmaceuticals(英国ロンドン)などの民間の供給元から入手可能である。
【0068】
一般の実験手順
NMRスペクトルは、Varian Unity(商標)400(Varian Inc.、カリフォルニア州パロアルトから入手可能)を使用してプロトンを室温にて400MHzで記録した。化学シフトは、内部基準としての残りの溶媒に対する百万分率(δ)で示す。ピーク形状は、以下のとおり表示する。s:一重線、d:二重線、t:三重線、q:四重線、m:多重線、bs:広い一重線、2s:2本の一重線。大気圧化学イオン化質量スペクトル(APCI)は、Fisons(商標)PlatformII Spectrometer(キャリアガス:アセトニトリル、Micromass Ltd、英国マンチェスターから入手可能)を使用して得た。化学イオン化質量スペクトル(CI)は、Hewlett−Packard(商標)5989機器(アンモニアイオン化、PBMS、Hewlett−Packard Company、カリフォルニア州パロアルトから入手可能)を使用して得た。エレクトロスプレーイオン化質量スペクトル(ES)は、Waters(商標)ZMD機器(キャリアガス:アセトニトリル、Waters Corp.、マサチューセッツ州ミルフォードから入手可能)を使用して得た。塩素または臭素含有イオンの強度を記載する場合、想定された強度比が認められた(35Cl/37Cl含有イオンでは約3:1、79Br/81Br含有イオンでは1:1)とし、質量の小さい方のイオンの強度のみを示す。場合によっては、代表的なH NMRピークのみを示す。MSピークは、すべての実施例について報告する。旋光度は、PerkinElmer(商標)241旋光計(PerkinElmer Inc.、マサチューセッツ州ウェルズリーから入手可能)において、示した温度でナトリウムD線(λ=589nm)を使用して決定したものであり、[α]温度、濃度(c=g/100ml)、および溶媒のとおり報告する。
【0069】
カラムクロマトグラフィーは、ガラスカラムまたはFlash40 Biotage(商標)カラム(ISC,Inc.、コネティカット州シェルトン)においてBaker(商標)シリカゲル(40μm、J.T.Baker、ニュージャージー州フィリップスバーグ)またはシリカゲル50(EM Sciences(商標)、ニュージャージー州Gibbstown)において低窒素圧下で実施した。
【0070】
重要な中間体の調製
中間体7−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキシン−4−オン(I−1a)の調製:
【0071】
【化4】

2,4−ジヒドロキシ安息香酸(85.0g)のトリフルオロ酢酸(800mL)懸濁液を、トリフルオロ酢酸無水物(500mL)として氷/水浴中で冷却した後、アセトン(100mL)を加えた。加え終えた後、氷/水浴を取り外し、反応混合物を24時間撹拌した後、ロータリーエバポレーターを使用して揮発性物質を真空中で除去した。残渣を水/炭酸水素ナトリウム懸濁液に慎重に加えて、中和された混合物を得た。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせたてブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣をジクロロメタンで摩砕して、生成物(I−1a)をオフホワイトの固体として得た。
H NMR(CDCl):δ1.71(s,6H)、6.41(d,1H,J=2.5Hz)、6.59(dd,1H,J=8.7,2.5Hz)、7.82(d,1H,J=8.2Hz)。
【0072】
中間体4−(2,2−ジメチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−7−イルオキシ)−3−フルオロ−ベンズアルデヒド(I−1b−1)の調製:
【0073】
【化5】

7−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキシン−4−オン(I−1a:12.9g)、3,4−ジフルオロベンズアルデヒド(9.45g)、および炭酸カリウム(27.6g)をジメチルホルムアミド(100mL)中で合わせ、反応混合物を80℃に加熱しながら撹拌した。24時間後、反応混合物を周囲温度に冷却し、水と合わせ、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣を、10〜15%のヘプタン中酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(I−1b−1)を得た。
H NMR(CDCl):δ1.71(s,6H)、6.49(d,1H,J=2.5Hz)、6.73(dd,1H,J=8.7,2.5Hz)、7.28(t,1H,J=7.5Hz)、7.70〜7.75(m,2H)、7.94(d,1H,J=8.7Hz)、9.96(d,1H,J=1.6Hz)。
【0074】
中間体4−(2,2−ジメチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−7−イルオキシ)−3,5−ジフルオロ−ベンズアルデヒド(I−1b−2)の調製:
【0075】
【化6】

7−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキシン−4−オン(I−1a:12.9g)、3,4,5−トリフルオロベンズアルデヒド(5.0g)、および炭酸カリウム(27.6g)をジメチルホルムアミド(100mL)中で合わせ、反応混合物を80℃に加熱しながら撹拌した。24時間後、反応混合物を周囲温度に冷却し、水と合わせ、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣を、5〜10%のヘプタン中酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(I−1b−2)を得た。
H NMR(CDCl):δ1.71(s,6H)、6.45(d,1H,J=2.5Hz)、6.70(dd,1H,J=8.7,2.5Hz)、7.56〜7.61(m,2H)、7.93(d,1H,J=8.7Hz)、9.93(t,1H,J=1.6Hz)。
【0076】
中間体7−{2−フルオロ−4−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−フェノキシ}−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキシン−4−オン(I−1c−1)の調製:
【0077】
【化7】

4−(2,2−ジメチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−7−イルオキシ)−3−フルオロ−ベンズアルデヒド(I−1b−1:30.0g)および3−メチル−ブチルアミン(9.15g)を1,2−ジクロロエタン(1.0L)中で合わせた。周囲温度で1時間撹拌した後、溶液にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(100g)を加えた。終夜撹拌した後、反応混合物を2N水酸化カリウム水溶液で処理し、有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、表題化合物(I−1c−1)を得た。
H NMR(CDCl):δ0.89(d,6H,J=6.2Hz)、1.40〜1.50(m,2H)、1.6〜1.7(m,1H)、1.70(s,6H)、2.66(m,2H)、3.79(s,2H)、6.39(d,1H,J=2.5Hz)、6.67(dd,1H,J=8.7,2.5Hz)、7.10〜7.25(m,3H)、7.88(d,1H,J=8.7Hz)。
【0078】
中間体7−{4−[(2−シクロプロピル−エチルアミノ)−メチル]−2−フルオロ−フェノキシ}−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキシン−4−オン(I−1c−2)の調製:
【0079】
【化8】

4−(2,2−ジメチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−7−イルオキシ)−3−フルオロ−ベンズアルデヒド(I−1b−1:24.8g)および2−シクロプロピル−エチルアミン(6.2g)を1,2−ジクロロエタン(1.0L)中で合わせた。周囲温度で1時間撹拌した後、溶液にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(83g)を加えた。終夜撹拌した後、反応混合物を2N水酸化カリウム水溶液で処理し、有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、表題化合物(I−1c−2)を得た。
H NMR(CDCl):δ0.0〜0.1(m,2H)、0.4〜0.45(m,2H)、0.6〜0.7(m,1H)、1.4〜1.5(m,2H)、1.69(s,6H)、2.72(t,2H,J=7.0)、3.79(s,2H)、6.38(d,1H,J=2.5Hz)、6.66(dd,1H,J=8.7,2.5Hz)、7.1〜7.3(m,3H)、7.87(d,1H,J=8.7Hz)。
【0080】
中間体7−{2,6−ジフルオロ−4−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−フェノキシ}−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキシン−4−オン(I−1c−3)の調製:
【0081】
【化9】

4−(2,2−ジメチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−7−イルオキシ)−3,5−ジフルオロ−ベンズアルデヒド(I−1b−2:1.0g)および3−メチル−ブチルアミン(0.31g)を1,2−ジクロロエタン(25mL)中で合わせた。周囲温度で1時間撹拌した後、溶液にトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(3.3g)を加えた。終夜撹拌した後、反応混合物を2N水酸化カリウム水溶液で処理し、有機相を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させて、表題化合物(I−1c−3)を得た。
H NMR(CDCl):δ0.88(d,6H,J=6.6Hz)、1.35〜1.45(m,2H)、1.60〜1.70(m,1H)、1.69(s,6H)、2.62(m,2H)、3.77(s,2H)、6.41(d,1H,J=2.5Hz)、6.68(dd,1H,J=8.7,2.5Hz)、7.03(d,2H,J=8.7Hz)、7.89(d,1H,J=8.7Hz)。
【0082】
中間体[4−(2,2−ジメチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−7−イルオキシ)−3−フルオロ−ベンジル]−(3−メチル−ブチル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(I−1d−1)の調製:
【0083】
【化10】

7−{2−フルオロ−4−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−フェノキシ}−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキシン−4−オン(I−1c−1:40g)、BocO(34g)、および炭酸カリウム(20g)を酢酸エチル(400mL)中で合わせ、混合物を50℃に加熱した。6時間後、反応混合物に水を加え、有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタン中酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(I−1d−1)を得た。
H NMR(CDCl):δ0.80〜0.90(m,6H)、1.69(s,6H)、6.38(d,1H,J=2.5Hz)、6.66(dd,1H,J=8.7,2.5Hz)、7.00〜7.15(m,3H)、7.88(d,1H,J=8.7Hz)。
【0084】
中間体(2−シクロプロピル−エチル)−[4−(2,2−ジメチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−7−イルオキシ)−3−フルオロ−ベンジル]−カルバミン酸t−ブチルエステル(I−1d−2)の調製:
【0085】
【化11】

7−{4−[(2−シクロプロピル−エチルアミノ)−メチル]−2−フルオロ−フェノキシ}−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキシン−4−オン(I−1c−2:30g)、BocO(25g)、および炭酸カリウム(20g)を酢酸エチル(300mL)中で合わせ、混合物を50℃に加熱した。6時間後、反応混合物に水を加え、有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、ヘプタン中酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(I−1d−2)を得た。
H NMR(CDCl):δ0.0〜0.1(m,2H)、0.4〜0.45(m,2H)、0.5〜0.7(m,1H)、1.4〜1.5(m,2H)、1.69(9s,9H)、1.71(s,6H)、3.2〜3.4(m,2H)、4.3〜4.5(m,2H)、6.39(d,1H,J=2.5Hz)、6.66(dd,1H,J=8.7,2.5Hz)、7.00〜7.25(m,3H)、7.87(d,1H,J=8.7Hz)。
【0086】
中間体[4−(2,2−ジメチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−7−イルオキシ)−3,5−ジフルオロ−ベンジル]−(3−メチル−ブチル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(I−1d−3)の調製:
【0087】
【化12】

7−{2,6−ジフルオロ−4−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−フェノキシ}−2,2−ジメチル−ベンゾ[1,3]ジオキシン−4−オン(I−1c−3:1.2g)、BocO(1.5g)、および炭酸カリウム(1.2g)を酢酸エチル(20mL)中で合わせ、混合物を50℃に加熱した。6時間後、反応混合物に水を加え、有機層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、および濃縮した。残渣を、ヘプタン中酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(I−1d−3)を得た。
H NMR(CDCl):δ0.89(d,6H,J=6.6Hz)、1.35〜1.59(m,3H)、1.70(s,6H)、3.15〜3.30(m,2H)、4.30〜4.45(m,2H)、6.41(d,1H,J=2.5Hz)、6.68(dd,1H,J=8.7,2.5Hz)、6.90(d,2H,J=8.3Hz)、7.89(d,1H,J=8.7Hz)。
【0088】
中間体[4−(4−カルバモイル−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−3−フルオロ−ベンジル]−(3−メチル−ブチル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(I−1e−1)の調製:
【0089】
【化13】

[4−(2,2−ジメチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−7−イルオキシ)−3−フルオロ−ベンジル]−(3−メチル−ブチル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(I−1d−1:20g)をアンモニアの2Mイソプロパノール溶液35mLに溶解させた。次いで、得られる溶液を50mLの飽和アンモニア水溶液で処理し、得られる混合物を80℃で加熱した。8時間後、反応混合物を周囲温度に冷却し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、有機溶液を水で2回、ブラインで1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、50%のヘプタン中酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(I−1e−1)を得た。
H NMR(CDCl):δ0.88(d,6H,J=6.2Hz)、1.35〜1.60(m,12H)、3.10〜3.35(m,2H)、4.35〜4.50(m,2H)、6.40(s,1H)、6.48(d,1H,J=7.5Hz)、6.95〜7.20(m,3H)、7.32(d,1H,J=8.7Hz)、12.45(s,1H)。
【0090】
中間体[4−(4−カルバモイル−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−3−フルオロ−ベンジル]−(2−シクロプロピル−エチル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(I−1e−2)の調製:
【0091】
【化14】

(2−シクロプロピル−エチル)−[4−(2,2−ジメチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−7−イルオキシ)−3−フルオロ−ベンジル]−カルバミン酸t−ブチルエステル(I−1d−2:15.8g)を、アンモニアの2Mイソプロパノール溶液35mLに溶解させた。次いで、得られる溶液を50mLの飽和アンモニア水溶液で処理し、得られる混合物を80℃で加熱した。8時間後、反応混合物を周囲温度に冷却し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、有機溶液を水で2回、ブラインで1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、50%のヘプタン中酢酸エチルを溶離液として、表題化合物(I−1e−2)を得た。
H NMR(CDCl):δ0.0〜0.1(m,2H)、0.40〜0.45(m,2H)、0.50〜0.70(m,1H)、1.4〜1.5(m,2H)、1.49(s,9H)、3.2〜3.4(m,2H)、4.35〜4.50(m,2H)、6.40(s,1H)、6.49(m,1H)、6.85〜6.95(m,2H)、7.33(d,1H,J=8.7Hz)。
【0092】
中間体[4−(4−カルバモイル−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−3,5−ジフルオロ−ベンジル]−(3−メチル−ブチル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(I−1e−3)の調製:
【0093】
【化15】

[4−(2,2−ジメチル−4−オキソ−4H−ベンゾ[1,3]ジオキシン−7−イルオキシ)−3,5−ジフルオロ−ベンジル]−(3−メチル−ブチル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(I−1d−3:1.0g)を、アンモニアの2Mイソプロパノール溶液2.0mLに溶解させた。次いで、得られる溶液を1.5mLの飽和アンモニア水溶液で処理し、得られる混合物を80℃で加熱した。8時間後、反応混合物を周囲温度に冷却し、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣を酢酸エチルで希釈し、有機溶液を水で2回、ブラインで1回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、50%のヘプタン中酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物(I−1e−3)を得た。
H NMR(CDCl):δ0.89(d,6H,J=6.6Hz)、1.35〜1.59(m,3H)、3.15〜3.30(m,2H)、4.30〜4.45(m,2H)、6.39(s,1H)、6.52(d,1H,J=7.1Hz)、6.88(d,2H,J=8.3Hz)、7.32(d,1H,J=8.7Hz)、12.45(s,1H)。
【0094】
(実施例1)
4−(2−フルオロ−4−{[(3−メチルブチル)アミノ]メチル}フェノキシ)−2−ヒドロキシベンズアミド塩酸塩(1A)の調製:
【0095】
【化16】

[4−(4−カルバモイル−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−3−フルオロ−ベンジル]−(3−メチル−ブチル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(I−1e−1:15g)を150mLのジクロロメタンに溶解させ、塩化水素の4.0Mジオキサン溶液50mLで処理した。室温で24時間撹拌した後、減圧下で揮発性物質を除去し、得られる粗製材料をメタノールに懸濁させ、20分間加熱還流し、室温で終夜撹拌した。得られるスラリーを濾過によって収集し、冷メタノールですすぎ、真空中で乾燥させて表題化合物(1A)を得た。
H NMR(CDOD):δ0.97(d,6H,J=6.2Hz)、1.55〜1.75(m,3H)、3.05〜3.15(m,2H)、4.22(s,2H)、6.31(d,1H,J=2.5Hz)、6.48(dd,1H,J=8.7,2.5Hz)、7.29(t,1H,J=7.5Hz)、7.36(dd,1H,J=8.5,1.6Hz)、7.47(dd,1H,J=11.2,2.1Hz)、7.75(d,1H,J=9.1Hz)。MS:347(M+1)
【0096】
(実施例2)(比較基準)
比較基準化合物3−(2−フルオロ−4−{[(3−メチルブチル)アミノ]−メチル}フェノキシ)フェノール塩酸塩(2A)の調製:
【0097】
【化17】

3,4−ジフルオロ−ベンズアルデヒド(1.0g、7.037mmol)および3−メトキシフェノール(875mg、7.05mmol)をDMF(20mL)に溶解させた溶液に、炭酸セシウム(2.757g、8.44mmol)を加えた。反応液を24時間かけて120℃に加熱した。次いで、反応混合物を300mLの水中に注ぎ、60mLの酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を水(2回)、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。有機層を濾過し、減圧下で濃縮した。フラッシュシリカゲルを使用し、10%の酢酸エチルおよびヘプタンを溶離液として、3−フルオロ−4−(3−メトキシ−フェノキシ)−ベンズアルデヒド(1.0g)を単離した。
【0098】
(3−フルオロ−4−(3−メトキシ−フェノキシ)−ベンズアルデヒド、0.50g、2.03mmol)をメタノール(10mL)に溶解させ、これにイソアミルアミン(0.267g、3.05mmol)を加えた。反応液を室温で終夜撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(0.235g、6.1mmol)を加え、反応液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を濃(37%)塩酸で処理し、揮発性物質を減圧下で除去し、2N水酸化ナトリウム水溶液を加えて塩基性にし、得られる混合物を酢酸エチル(2回)で抽出した。合わせた有機抽出物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して[3−フルオロ−4−(3−メトキシ−フェノキシ)−ベンジル]−(3−メチル−ブチル)−アミンとした。
【0099】
[3−フルオロ−4−(3−メトキシ−フェノキシ)−ベンジル]−(3−メチル−ブチル)−アミン(460mg、1.45mmol)をジクロロメタン(10ml)に溶解させ、−78℃に冷却した。三臭化ホウ素(ジクロロメタン中1.0Mを7.25mL、7.25mmol)をゆっくりと加えた。−78℃で1時間経過後、反応液を室温に温めた。室温で4時間経過後、反応混合物を冷水で慎重に失活させた後、濃水酸化アンモニウムを使用してpHを10.0に調整した。反応混合物をジクロロメタンで2回抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、5%の酢酸エチル中メタノールを溶離液とするシリカでの分取薄層クロマトグラフィーによって精製した。遊離塩基を酢酸エチルに溶解させ、ジオキサン中4.0M HCl 1mlを加え、蒸発にかけることにより、そうして単離した生成物のHCl塩を生成して、生成物(2A)固体を得た。
H NMR(CDOD):δ0.97(d,6H,J=6.6Hz)、1.55〜1.75(m,3H)、3.04〜3.09(m,2H)、4.18(s,2H)、6.36〜6.41(m,2H)、6.54〜6.57(m,1H)、7.09〜7.15(m,2H)、7.26(d,1H,J=8.3Hz)、7.40(dd,1H,11.2,2.0Hz)。MS:304(M+1)
【0100】
(実施例3)
4−(4−{[(2−シクロプロピルエチル)アミノ]メチル}−2−フルオロフェノキシ)−2−ヒドロキシベンズアミド塩酸塩(3A)の調製:
【0101】
【化18】

[4−(4−カルバモイル−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−3−フルオロ−ベンジル]−(2−シクロプロピル−エチル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(I−1e−2:9.92g)を150mLのジクロロメタンに溶解させ、塩化水素の4.0Mジオキサン溶液40mLで処理した。室温で24時間撹拌した後、減圧下で揮発性物質を除去し、得られる粗製材料をメタノールに懸濁させ、20分間加熱還流し、室温で終夜撹拌した。得られるスラリーを濾過によって収集し、冷メタノールですすぎ、真空中で乾燥させて表題化合物(3A)を得た。
H NMR(CDOD):δ0.14〜0.18(m,2H)、0.50〜0.60(m,2H)、0.70〜0.80(m,1H)、1.61(m,2H)、3.10〜3.20(m,2H)、4.23(s,2H)、6.31(d,1H,J=2.5Hz)、6.48(dd,1H,J=9.1,2.5Hz)、7.29(t,1H,J=8.1Hz)、7.36(dd,1H,J=1.6,8.3Hz)、7.47(dd,1H,2.1,10.8Hz)、7.75(d,1H,J=9.9Hz)。MS:345(M+1)
【0102】
以下で表1に挙げる化合物は、上記の実施例1Aおよび3Aの合成について上で述べた手順と類似の手順を使用し、適切な出発材料を用いて調製したが、出発材料は、市販品として入手でき、当業者によく知られている調製法を使用して調製され、または他の中間体について上で述べた経路と同様にして調製されるものである。別段の指摘がない限り、以下で表に挙げる化合物は、その塩酸塩として単離し、試験した。塩は、塩基での処理によって、その対応する遊離塩基に容易に変換することができる。
【0103】
【表1−1】

【0104】
【表1−2】

【0105】
(実施例4)
4−(2,6−ジフルオロ−4−{[(3−メチルブチル)アミノ]メチル}フェノキシ)−2−ヒドロキシベンズアミド(4A)の調製:
【0106】
【化19】

[4−(4−カルバモイル−3−ヒドロキシ−フェノキシ)−3,5−ジフルオロ−ベンジル]−(3−メチル−ブチル)−カルバミン酸t−ブチルエステル(I−1e−3:0.8g)を5mLのジクロロメタンに溶解させ、塩化水素の4.0Mジオキサン溶液2.5mlで処理した。室温で24時間撹拌した後、減圧下で揮発性物質を除去し、得られる粗製材料をメタノールに懸濁させ、20分間加熱還流し、室温で終夜撹拌した。得られるスラリーを、冷メタノールですすぎながら濾過によって収集し、真空中で乾燥させて表題化合物(4A)を得た。
H NMR(CDOD):δ0.97(d,6H,J=6.6Hz)、1.55〜1.75(m,3H)、3.05〜3.15(m,2H)、4.24(s,2H)、6.29(d,1H,J=2.5Hz)、6.49(dd,1H,J=8.7,2.5Hz)、7.35(d,2H,J=8.3Hz)、7.75(d,1H,J=8.7Hz)。MS:365(M+1)
【0107】
以下で表2に挙げる化合物は、上記の実施例4Aの合成について上で述べた手順と類似の手順を使用し、適切な出発材料を用いて調製したが、出発材料は、市販品として入手でき、当業者によく知られている調製法を使用して調製され、または他の中間体について上で述べた経路と同様にして調製されるものである。以下で表に挙げる化合物はすべて、その塩酸塩として単離した。
【0108】
【表2】

【0109】
薬理学的試験
(減量を促進し、または体重増加を低減することを含めて)肥満または関連した摂食障害を治療するための本発明の実施は、本明細書に以下で記載するプロトコルの少なくとも1つにおける活性によって証明することができる。
【0110】
in vitro生物学アッセイ
結合アッセイ
試験化合物を100%のDMSOに希釈し(10−10M〜10−5M)、次いで2μlを96ウェルポリプロピレンプレートに加えた。非特異的活性用のプレートには10μMのナルトレキソン2μlを加えた。[H]ジプレノルフィン(DPN)を、結合緩衝液(50mMのトリス−HCL(pH7.5)、5mMのMgCl、1mMのEDTA、さらに以下のプロテアーゼ阻害剤:100μg/mlのバシトラシン、100μg/mlのベンズアミジン、5μg/mlのアプロチニン、5μg/mlのロイペプチン)に希釈し、20μlをプレートに加えた。組換え型δ、κ、およびμオピオイド受容体を発現させる細胞から調製した膜を結合緩衝液で希釈し、178μlをプレートに加えた。プレートを覆い、室温で60分間オービタルシェーカーに載せた。インキュベート終了時に、氷冷結合緩衝液を使用して、プレートをGF/Cフィルタープレート(Perkin Elmer、1%PEIで予浸したもの)上に収集した。各フィルターを3回洗浄した。フィルターを終夜乾燥させた。朝になって、30μlのシンチレーションカクテルをウェルに加え、シールした。プレートをWallac Trilux(商標)計数器でカウントした。Kiは、プリズムソフトウェア内でCheng−Prusoffの式を使用して決定した。Kd値は、スキャッチャードプロット分析から得た。
【0111】
オピオイドリガンドのμ、κ、およびδ結合特性および薬理活性を決定するための以下のバイオアッセイ系は、Bass,R.ら、「Identification and characterization of novel somatostatin antagonists」、Molecular Pharmacology、第50巻、709〜715ページ(1996年)に記載されており、この文献を参照により本明細書に援用する。
【0112】
オピオイド受容体でのGTPγ[35S]結合アッセイ
記載されているとおりに(Bassら、1996年)膜を細胞から調製した。GTPγ[35S]結合アッセイは、50mMのトリスHCl、pH7.4、5mMのMgCl、1mMのEDTA、100mMのNaCl、30μMのGDP、0.1%のウシ血清アルブミン、さらに以下のプロテアーゼ阻害剤:100μg/mlのバシトラシン、100μg/mlのベンズアミジン、5μg/mlのアプロチニン、5μg/mlのロイペプチンから構成されるアッセイ緩衝液中の100pMのGTPγ[35S]およびウェルあたり5μgの膜を使用して、96ウェルFlashPlate(商標)フォーマットで2通りに実施した。次いで、アッセイ混合物を、漸増する濃度の拮抗薬(10−10Mから10−5M)と共に30℃で10分間インキュベートし、それぞれオピオイド受容体δ、κ、およびμに対する作動薬であるBW−373U86(1nM)、ダイノルフィンA(10nM)、βエンドルフィン(1μM)をチャレンジ投与した。アッセイは、30℃で1時間実施した。次いで、FlashPlatesを2000×gで10分間遠心分離した。次いで、Wallac Microbetaを使用してGTPγ[35S]結合の刺激作用を定量し、GraphpadのPrism(商標)を使用してKi算出を行った。上で実施例の項に挙げた化合物で認められた平均的なKi値を、受容体μ、κ、およびδのそれぞれについて以下の表で述べる。以下に挙げる化合物はそれぞれ、別段の指摘がない限りその塩酸塩として試験した。アステリスク(*)付きの実施例番号は、その遊離塩基として試験した。
【0113】
【表3】

【0114】
次いで、選択した化合物を、以下の生物学的機能アッセイの項に記載の機能アッセイの1つまたは複数を使用してin vivoで試験した。
【0115】
in vivo生物学アッセイ
食物摂取
以下のスクリーンを使用して、一晩絶食させた後のスプラーグドーリーラットにおいて試験化合物の食物摂取抑制効力を評価する。
【0116】
オスのスプラーグドーリーラットをCharles River Laboratories,Inc.(マサチューセッツ州Wilmington)から入手した。ラットを個別に収容し、粉末飼料を与える。12時間の明/暗サイクルで維持管理し、食物および水は自由に与える。試験を行う前に1週間かけて動物を飼育器に馴化させる。試験は、サイクルの明るい時間の間に終了する。
【0117】
食物摂取効力スクリーンを行うために、ラットを個別の試験ケージに移し、試験前の午後は食物を与えず、ラットを一晩絶食させる。一晩絶食させた翌朝、ラットに媒体または試験化合物を投与する。既知の拮抗薬を陽性対照として投与し(3mg/kg)、対照群に媒体のみ(化合物なし)を与える。試験化合物を、その化合物に応じて0.1〜100mg/kgの間の範囲で投与する。標準媒体は0.5%(w/v)のメチルセルロース水溶液とし、標準投与経路は経口とする。しかし、必要なときは異なる媒体および投与経路を使用して様々な化合物に合わせる。投薬してから30分後、ラットに食物を提供し、Oxymax自動食物摂取システム(Columbus Instruments、オハイオ州コロンバス)を起動する。個々のラットの食物摂取を2時間にわたり10分間隔で継続的に記録する。必要なときは、電子秤を使用して食物摂取を手作業で記録し、毎回食物提供後30分から食物提供後4時間まで食物を秤量する。化合物の有効性を、化合物で処置したラットの食物摂取パターンを媒体および標準の陽性対照と比較して決定する。
【0118】
酸素消費
全身酸素消費は、オスのSprague Dawleyラット(別のラット系統またはメスのラットを使用する場合はそれを指定する)で間接熱量計(Columbus InstrumentsのOxymax、オハイオ州コロンバス)を使用して測定する。ラット(300〜380g体重)を熱量計チャンバーに入れ、チャンバーを活動モニターの中に置く。こうした調査を明サイクルの間に行う。酸素消費測定の前には、ラットに標準飼料を自由に与える。酸素消費測定の間、食物は入手不可能である。投与前の基礎酸素消費および移動性活動を2.5〜3時間にわたり10分毎に測定する。投薬前の基礎期間の終了時に、チャンバーを開け、動物に一用量の化合物(常用量範囲は0.001〜10mg/kg)を経口強制栄養(または他の指定の投与経路、すなわち皮下、腹腔内、静脈内)によって投与する。薬物は、メチルセルロース、水、または他の指定の媒体(例には、PEG400、30%βシクロデキストラン、およびプロピレングリコールが含まれる)中に調製する。酸素消費および移動性の活動を、投薬後さらに1〜6時間にわたり10分毎に測定する。
【0119】
Oxymax熱量計ソフトウェアは、チャンバー全体の空気流速、および入口と排出ポートの酸素含有量の差に基づき、酸素消費(ml/kg/h)を算出する。活動モニターは、各軸上に1インチ離れて間隙をおいた15本の赤外光ビームを有し、2本の連続したビームが乱されたとき、移動性活動を記録し、結果はカウントとして記録される。
【0120】
投薬前および投薬後の間の安静時酸素消費は、10分間のO消費量値を、高度な移動性活動の期間(移動性活動カウント>100)を除外し、投与前期間の最初の5回の値および投与後期間の最初の値を除外して平均することにより算出する。酸素消費の変化をパーセントとして報告し、投薬後安静時酸素消費を投与前酸素消費で割ったもの×100によって算出する。実験は通常、n=4〜6のラットで行い、報告する結果は平均値+/−SEMである。10%を上回る酸素消費の増大をプラスの結果であるとみなす。媒体で処置したラットでは、歴史的に見て、投与前の基礎からの酸素消費量の変化は見られない。
【0121】
薬物動態実験
10%エタノールおよび90%(30%β−シクロデキストリンスルホブチルエーテル)媒体中の本発明の代表的な化合物(実施例1A)および比較基準化合物(実施例2A)を、2匹の別々のオスのJVC/CACラットに個々に1mg/kgで投与した。その後、IV投与してから0.083、0.25、0.5、1、2、4、6、8、および20時間後に血液を採取した。血液サンプルを沈降させて血漿を得た後、LC/MS/MSによって血漿濃度を決定した。薬物動態学的(PK)分析は、得られる時間濃度データをWatson(商標)Laboratory Information Management System(LIMS)に入力して決定した。
【0122】
比較基準化合物(実施例2A)の平均クリアランスは、肝血流の約5倍である361ml/分/kgで非常に高かった。半減期は0.7時間で非常に短く、分布体積は10L/kgで高かった。実施例1Aの化合物は、比較基準化合物とは異なり、中等度のPKプロフィールを有していた。そのクリアランスは18.6ml/分/kg、半減期は2.9時間、分布体積は2L/kgであった。本発明の化合物(実施例1A)は、比較基準化合物(実施例2A)より良好なPKプロフィールを提供することが明らかであり、言い換えれば用量がより少ないということになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化1】

[式中、
は、水素またはメチルであり、
は、(C〜C10)アルキル、ベンゼン環に縮合していてもよい5〜6員シクロアルキル、または−(CH(R))(CH−A[ここで、mは1であり、nは0、1、または2であり、Rは水素、メチル、またはエチルであり、Aは、(C〜C)アルコキシ、フェノキシ、フェニル、3〜8員シクロアルキル、O、N、もしくはSからそれぞれ独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を含んでいる5〜6員複素環、またはO、S、もしくはNからそれぞれ独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでいる5〜6員ヘテロアリールであり、前記フェニル、前記シクロアルキル、前記複素環、および前記ヘテロアリールは、ベンゼン環に縮合していてもよく、または−OH、ハロ、(C〜C)アルキル、−CF、−OCF、(C〜C)アルコキシ、CN、アセチルアミノ、またはフェノキシからそれぞれ独立に選択される1個〜3個の置換基で置換されていてもよい]であり、
は、水素またはハロであり、
は、水素またはハロである]
または薬学的に許容できるその塩。
【請求項2】
が水素であり、
が(C〜C10)アルキルであり、
が水素またはフルオロであり、
が水素またはフルオロである、
請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項3】
4−{2−フルオロ−4−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−フェノキシ}−2−ヒドロキシ−ベンズアミド、および
4−{2,6−ジフルオロ−4−[(3−メチル−ブチルアミノ)−メチル]−フェノキシ}−2−ヒドロキシ−ベンズアミド
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項4】
が水素であり、
が、ベンゼン環に縮合していてもよい5〜6員シクロアルキルであり、
が水素またはフルオロであり、
が水素またはフルオロである、
請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項5】
4−[2−フルオロ−4−(インダン−2−イルアミノメチル)−フェノキシ]−2−ヒドロキシ−ベンズアミド、
4−(4−シクロヘキシルアミノメチル−2,6−ジフルオロ−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド、および
4−[2,6−ジフルオロ−4−(インダン−2−イルアミノメチル)−フェノキシ]−2−ヒドロキシ−ベンズアミド
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項6】
が水素であり、
が−(CH(R))(CH−A[mは1であり、nは0であり、Aは、3〜6員シクロアルキル、ピリジニル、またはO、S、もしくはNからそれぞれ独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を含んでいる5〜6員複素環であり、前記シクロアルキルおよび前記複素環は、ヒドロキシで置換されていてもよい]であり、
が水素またはフルオロであり、
が水素またはフルオロである、
請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項7】
4−(2−フルオロ−4−{[(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−アミノ]−メチル}−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド、
4−(2−フルオロ−4−{[(テトラヒドロ−ピラン−4−イルメチル)−アミノ]−メチル}−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド、
4−(2−フルオロ−4−{[(1−ヒドロキシ−シクロヘキシルメチル)−アミノ]−メチル}−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド、
4−(2,6−ジフルオロ−4−{[(テトラヒドロ−フラン−2−イルメチル)−アミノ]−メチル}−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド、
4−(2,6−ジフルオロ−4−{[(1−ヒドロキシ−シクロヘキシルメチル)−アミノ]−メチル}−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド、および
4−{2−フルオロ−4−[((R)−1−ピリジン−2−イル−プロピルアミノ)−メチル]−フェノキシ}−2−ヒドロキシ−ベンズアミド
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項8】
が水素であり、
が−(CH(R))(CH−A[mは1であり、nは1であり、Aは(C〜C)アルコキシ、フェノキシ、3〜6員シクロアルキル、またはO、S、もしくはNからそれぞれ独立に選択される1〜2個のヘテロ原子を含んでいる5〜6員複素環である]であり、
が水素またはフルオロであり、
が水素またはフルオロである、
請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項9】
4−{4−[(2−シクロプロピル−エチルアミノ)−メチル]−2−フルオロ−フェノキシ}−2−ヒドロキシ−ベンズアミド、
4−{2−フルオロ−4−[(2−フェノキシ−エチルアミノ)−メチル]−フェノキシ}−2−ヒドロキシ−ベンズアミド、
4−{2−フルオロ−4−[(2−イソプロポキシ−エチルアミノ)−メチル]−フェノキシ}−2−ヒドロキシ−ベンズアミド、
4−{4−[(2−シクロプロピル−エチルアミノ)−メチル]−2,6−ジフルオロ−フェノキシ}−2−ヒドロキシ−ベンズアミド、および
4−(2,6−ジフルオロ−4−{[2−(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−エチルアミノ]−メチル}−フェノキシ)−2−ヒドロキシ−ベンズアミド
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩。
【請求項10】
4−{4−[(2−シクロプロピル−エチルアミノ)−メチル]−2−フルオロ−フェノキシ}−2−ヒドロキシ−ベンズアミドの塩酸塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
次式を有する化合物。
【化2】

【請求項12】
請求項11に記載の化合物の薬学的に許容できる塩。
【請求項13】
(i)治療有効量の請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩と、(ii)少なくとも1種の薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体とを含む医薬組成物。
【請求項14】
少なくとも1種の追加の医薬をさらに含む請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記の少なくとも1種の追加の医薬が抗肥満薬である、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記抗肥満薬が、
apo−B/MTP阻害剤、カンナビノイド1(CB−1)受容体拮抗薬または逆作動薬、11βヒドロキシステロイド脱水素酵素1(11β−HSD1型)阻害剤、ペプチドYY3−36、MCR−4作動薬、CCK−A作動薬、モノアミン再取込み阻害剤、交感神経刺激薬、βアドレナリン作動薬、ドーパミン作動薬、メラニン細胞刺激ホルモン類似体、5−HT2c作動薬、メラニン濃縮ホルモン拮抗薬、レプチン、レプチン類似体、レプチン作動薬、ガラニン拮抗薬、リパーゼ阻害剤、ボンベシン作動薬、ニューロペプチドY拮抗薬、甲状腺模倣物薬剤、デヒドロエピアンドロステロンまたはその類似体、グルココルチコイド拮抗薬、オレキシン拮抗薬、グルカゴン様ペプチド1作動薬、繊毛様神経栄養因子、ヒトアグーチ関連タンパク質拮抗薬、グレリン拮抗薬または逆作動薬、ヒスタミン3拮抗薬または逆作動薬、ならびにニューロメディンU作動薬からなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記抗肥満薬がカンナビノイド1受容体拮抗薬である、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記抗肥満薬が、
リモナバント、
N−(ピペリジン−1−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−ヨードフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド、
[5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4−エチル−N−(1−ピペリジニル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド]、
N−(ピペリジン−1−イル)−4,5−ジフェニル−1−メチルイミダゾール−2−カルボキサミド、
N−(ピペリジン−1−イル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−クロロフェニル)−1−メチルイミダゾール−2−カルボキサミド、
N−(ピペリジン−1−イル)−4,5−ジ−(4−メチルフェニル)−1−メチルイミダゾール−2−カルボキサミド、
N−シクロヘキシル−4,5−ジ−(4−メチルフェニル)−1−メチルイミダゾール−2−カルボキサミド、
N−(シクロヘキシル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−クロロフェニル)−1−メチルイミダゾール−2−カルボキサミド、
N−(フェニル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−クロロフェニル)−1−メチルイミダゾール−2−カルボキサミド、
1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミド、またはその塩酸塩、メシル酸塩、もしくはベシル酸塩、
1−[7−(2−クロロ−フェニル)−8−(4−クロロ−フェニル)−2−メチル−ピラゾロ[1,5−a][1,3,5]トリアジン−4−イル]−3−エチルアミノ−アゼチジン−3−カルボン酸アミド、
1−[7−(2−クロロ−フェニル)−8−(4−クロロ−フェニル)−2−メチル−ピラゾロ[1,5−a][1,3,5]トリアジン−4−イル]−3−メチルアミノ−アゼチジン−3−カルボン酸アミド、
3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,2−ジフルオロ−プロピル)−2,4,5,6−テトラヒドロ−ピラゾロ[3,4−c]ピリジン−7−オン、
3−(4−クロロ−フェニル)−2−(2−クロロ−フェニル)−7−(2,2−ジフルオロ−プロピル)−6,7−ジヒドロ−2H,5H−4−オキサ−1,2,7−トリアザ−アズレン−8−オン、
2−(2−クロロ−フェニル)−6−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2,6−ジヒドロ−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、
(S)−4−クロロ−N−{[3−(4−クロロ−フェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1−イル]−メチルアミノ−メチレン}−ベンゼンスルホンアミド、
(S)−N−{[3−(4−クロロ−フェニル)−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−ピラゾール−1−イル]−メチルアミノ−メチレン}−4−トリフルオロメチル−ベンゼンスルホンアミド、
N−ピペリジノ−5−(4−ブロモフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−エチルピラゾール−3−カルボキサミド、
1−[ビス−(4−クロロ−フェニル)−メチル]−3−[(3,5−ジフルオロ−フェニル)−メタンスルホニル−メチレン]−アゼチジン、
N−[1S,2S]−(4−(4−クロロフェニル)−3−(3−シアノフェニル)ブタン−2−イル)−2−メチル−2−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルオキシ)プロパンアミド、
4−{[6−メトキシ−2−(4−メトキシフェニル)−1−ベンゾフラン−3−イル]カルボニル}ベンゾニトリル、
1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(4−フルオロフェニル)−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−スルホニル]−ピペリジン、または
[3−アミノ−5−(4−クロロフェニル)−6−(2,4−ジクロロフェニル)−フルオロ[2,3−b]ピリジン−2−イル]−フェニル−メタノンから選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
前記抗肥満薬が、
リモナバント、
1−[9−(4−クロロ−フェニル)−8−(2−クロロ−フェニル)−9H−プリン−6−イル]−4−エチルアミノ−ピペリジン−4−カルボン酸アミド塩酸塩、または
N−[1S,2S]−(4−(4−クロロフェニル)−3−(3−シアノフェニル)ブタン−2−イル)−2−メチル−2−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イルオキシ)プロパンアミドから選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
動物において、μ、κ、またはδオピオイド受容体に対する拮抗作用が介在する疾患、状態、または障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする動物に、治療有効量の請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップを含む方法。
【請求項21】
前記疾患、状態、および/または障害が肥満である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
動物において、μ、κ、またはδオピオイド受容体に対する拮抗作用が介在する疾患、状態、または障害を治療する医薬の製造における請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項23】
前記疾患、状態、または障害が肥満である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
動物において、μ、κ、またはδオピオイド受容体に対する拮抗作用が介在する疾患、状態、または障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする動物に、請求項13から19のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項25】
動物において、μ、κ、またはδオピオイド受容体に対する拮抗作用が介在する疾患、状態、または障害を治療する方法であって、そのような治療を必要とする動物に、
(i)請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体とを含む第1の組成物と、
(ii)少なくとも1種の追加の医薬と、薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤、または担体とを含む第2の組成物と
を含む2種の別個の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項26】
前記の少なくとも1種の追加の医薬が抗肥満薬である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記の抗肥満薬が、
apo−B/MTP阻害剤、カンナビノイド1(CB−1)受容体拮抗薬または逆作動薬、11βヒドロキシステロイド脱水素酵素1(11β−HSD1型)阻害剤、ペプチドYY3−36、MCR−4作動薬、CCK−A作動薬、モノアミン再取込み阻害剤、交感神経刺激薬、βアドレナリン作動薬、ドーパミン作動薬、メラニン細胞刺激ホルモン類似体、5−HT2c作動薬、メラニン濃縮ホルモン拮抗薬、レプチン、レプチン類似体、レプチン作動薬、ガラニン拮抗薬、リパーゼ阻害剤、ボンベシン作動薬、ニューロペプチドY拮抗薬、甲状腺模倣物薬剤、デヒドロエピアンドロステロンまたはその類似体、グルココルチコイド拮抗薬、オレキシン拮抗薬、グルカゴン様ペプチド1作動薬、繊毛様神経栄養因子、ヒトアグーチ関連タンパク質拮抗薬、グレリン拮抗薬、ヒスタミン3拮抗薬または逆作動薬、ならびにニューロメディンU作動薬からなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の組成物と前記第2の組成物を同時に投与する、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記第1の組成物と前記第2の組成物を任意の順序で順次投与する、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2010−502688(P2010−502688A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527215(P2009−527215)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002523
【国際公開番号】WO2008/032156
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】