ジカルボン酸誘導体およびそれらの使用
本願は、一般式(I)のジカルボン酸誘導体、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、並びに、疾患の処置および/または予防のための医薬を製造するためのそれらの使用(特に、心血管疾患の処置および/または予防のための)に関する。
【化1】
【化1】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
[式中、
Aは、水素であるか、または、式−O−A1−A2
{式中、A1は、結合または(C1−C7)−アルカンジイル、(C2−C6)−アルカンジイル−O−#、(C2−C7)−アルケンジイルまたは(C2−C7)−アルキンジイルであり、これらの各々は、1個またはそれ以上のフッ素により置換されていてもよく、ここで、#は、基A2への結合点を表し、
そして、
A2は、水素、トリフルオロメチルまたは式
【化2】
(式中、*は、基A1への結合点であり、そして、
Dは、結合、CH2、−CH2−CH2−または−CH=CH−である)
の基である}、
の基であり、
R1、R2、R3、R5およびR6は、相互に独立して、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、シアノおよびニトロの群から選択される置換基であり、
R4は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシ、シアノおよびニトロの群から選択される置換基であり、ここで、アルキルおよびアルコキシは、各場合で1個またはそれ以上のフッ素により置換されていてもよく、
そして、
n、o、p、q、rおよびsは、各場合で、相互に独立して、数0、1、2、3または4であり、
ここで、R1、R2、R3、R4、R5またはR6が1個より多く存在する場合、それらの意味は各場合で同一であっても異なっていてもよい]
の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項2】
式中、
Aが、水素であるか、または、式−O−A1−A2
{式中、A1は、結合、(C1−C7)−アルカンジイル、(C2−C7)−アルケンジイルまたは(C2−C7)−アルキンジイルであり、
そして、
A2は、水素、トリフルオロメチルまたは式
【化3】
(式中、*は、基A1への結合点であり、そして、
Dは、結合、CH2、−CH2−CH2−または−CH=CH−である)
の基である}、
の基であり、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6が、相互に独立して、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、シアノおよびニトロの群から選択される置換基であり、
そして、
n、o、p、q、rおよびsが、各場合で、相互に独立して、数0、1、2、3または4であり、
ここで、R1、R2、R3、R4、R5またはR6が1個より多く存在する場合、それらの意味は各場合で同一であっても異なっていてもよい、
請求項1に記載の式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項3】
式中、
Aが、式−O−A1−A2
{式中、A1は、結合または(C1−C7)−アルカンジイルであり、
そして、
A2は、水素、トリフルオロメチルまたは式
【化4】
(式中、*は、基A1への結合点である)
の基である}
の基であり、
R1、R4、R5およびR6が、相互に独立して、フッ素、塩素、臭素、(C1−C4)−アルキル、トリフルオロメチル、(C1−C4)−アルコキシおよびトリフルオロメトキシの群から選択される置換基であり、
n、q、rおよびsが、各場合で、相互に独立して、数0、1または2であり、
ここで、R1、R4、R5またはR6が1個より多く存在する場合、それらの意味は各場合で同一であっても異なっていてもよく、
R2およびR3が各々フッ素であり、
そして、
oおよびpが、各場合で、相互に独立して、数0または1である、
請求項1または請求項2に記載の式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項4】
式(I−A)
【化5】
[式中、
A1は、(C1−C7)−アルカンジイルであり、
そして、
A2は、水素または式
【化6】
{式中、*は基A1への結合点であり、そして、
R4Aは、水素、フッ素、塩素、メチル、tert−ブチル、トリフルオロメチル、メトキシまたはトリフルオロメトキシである}
の基である]
の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項5】
式(I−B)
【化7】
[式中、
A1は、(C1−C7)−アルカンジイルであり、
そして、
A2は、水素または式
【化8】
{式中、*は基A1への結合点であり、そして、
R4Aは、水素、フッ素、塩素、メチル、tert−ブチル、トリフルオロメチル、メトキシまたはトリフルオロメトキシである}
の基である]
の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5に記載の式(I)、(I−A)または(I−B)の化合物の製造方法であって、式(II)
【化9】
(式中、R2、R3、oおよびpは、各々請求項1ないし請求項5に記載の意味を有し、そして、
T1およびT2は、同一であるかまたは異なり、シアノまたは(C1−C4)−アルコキシカルボニルである)
の化合物を、
[A]不活性溶媒中、塩基の存在下、式(III−A)
【化10】
(式中、A、R1およびnは、各々請求項1ないし請求項5に記載の意味を有し、そして、
Lは、フェニルまたはo−、m−もしくはp−トリルであり、
そして、
Xは、ハロゲン化物またはトシレートである)
の化合物と反応させ、式(IV−A)
【化11】
(式中、A、R1、R2、R3、n、o、p、T1およびT2は、各々上記の意味を有する)
の化合物を得るか、
または、
[B]不活性溶媒中、塩基の存在下、式(III−B)
【化12】
(式中、R1、n、LおよびXは、各々上記の意味を有する)
の化合物と反応させ、先ず、式(IV−B)
【化13】
(式中、R1、R2、R3、n、o、p、T1およびT2は、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、次いで、後者を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(V)
A2−A1A−Q (V)
(式中、A2は請求項1ないし請求項5に記載の意味を有し、
A1Aは、A1について請求項1ないし請求項5に記載した意味を有するが、結合ではなく、
そして、
Qは、脱離基、例えば、ハロゲン、トシレートまたはメシレートである)
の化合物を用いてアルキル化し、式(IV−C)
【化14】
(式中、A1A、A2、R1、R2、R3、n、o、p、T1およびT2は、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、
次いで、得られる式(IV−A)または(IV−C)の化合物を、エステルまたはニトリル基T1およびT2の加水分解により、式(I)のジカルボン酸に変換し、
そして、式(I)の化合物を、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸と反応させ、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物を得ることを特徴とする、方法。
【請求項7】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、虚血、血管障害、血栓塞栓性障害および動脈硬化症の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物を、不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて含む医薬。
【請求項10】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物を、有機硝酸塩、NO供給源、cGMP−PDE阻害剤、グアニル酸シクラーゼの刺激剤、抗血栓活性を有する物質、血圧を下げる物質および脂質代謝を改変する物質からなる群から選択される1種またはそれ以上のさらなる有効成分と組み合わせて含む医薬。
【請求項11】
心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、虚血、血管障害、血栓塞栓性障害および動脈硬化症の処置および/または予防のための、請求項9または請求項10に記載の医薬。
【請求項12】
少なくとも1種の請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物または請求項9ないし請求項11のいずれかに記載の医薬の有効量の投与による、ヒトおよび動物の心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、虚血、血管障害、血栓塞栓性障害および動脈硬化症の処置および/または予防方法。
【請求項1】
式(I)
【化1】
[式中、
Aは、水素であるか、または、式−O−A1−A2
{式中、A1は、結合または(C1−C7)−アルカンジイル、(C2−C6)−アルカンジイル−O−#、(C2−C7)−アルケンジイルまたは(C2−C7)−アルキンジイルであり、これらの各々は、1個またはそれ以上のフッ素により置換されていてもよく、ここで、#は、基A2への結合点を表し、
そして、
A2は、水素、トリフルオロメチルまたは式
【化2】
(式中、*は、基A1への結合点であり、そして、
Dは、結合、CH2、−CH2−CH2−または−CH=CH−である)
の基である}、
の基であり、
R1、R2、R3、R5およびR6は、相互に独立して、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、シアノおよびニトロの群から選択される置換基であり、
R4は、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、(C1−C6)−アルコキシ、シアノおよびニトロの群から選択される置換基であり、ここで、アルキルおよびアルコキシは、各場合で1個またはそれ以上のフッ素により置換されていてもよく、
そして、
n、o、p、q、rおよびsは、各場合で、相互に独立して、数0、1、2、3または4であり、
ここで、R1、R2、R3、R4、R5またはR6が1個より多く存在する場合、それらの意味は各場合で同一であっても異なっていてもよい]
の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項2】
式中、
Aが、水素であるか、または、式−O−A1−A2
{式中、A1は、結合、(C1−C7)−アルカンジイル、(C2−C7)−アルケンジイルまたは(C2−C7)−アルキンジイルであり、
そして、
A2は、水素、トリフルオロメチルまたは式
【化3】
(式中、*は、基A1への結合点であり、そして、
Dは、結合、CH2、−CH2−CH2−または−CH=CH−である)
の基である}、
の基であり、
R1、R2、R3、R4、R5およびR6が、相互に独立して、ハロゲン、(C1−C6)−アルキル、トリフルオロメチル、(C1−C6)−アルコキシ、トリフルオロメトキシ、シアノおよびニトロの群から選択される置換基であり、
そして、
n、o、p、q、rおよびsが、各場合で、相互に独立して、数0、1、2、3または4であり、
ここで、R1、R2、R3、R4、R5またはR6が1個より多く存在する場合、それらの意味は各場合で同一であっても異なっていてもよい、
請求項1に記載の式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項3】
式中、
Aが、式−O−A1−A2
{式中、A1は、結合または(C1−C7)−アルカンジイルであり、
そして、
A2は、水素、トリフルオロメチルまたは式
【化4】
(式中、*は、基A1への結合点である)
の基である}
の基であり、
R1、R4、R5およびR6が、相互に独立して、フッ素、塩素、臭素、(C1−C4)−アルキル、トリフルオロメチル、(C1−C4)−アルコキシおよびトリフルオロメトキシの群から選択される置換基であり、
n、q、rおよびsが、各場合で、相互に独立して、数0、1または2であり、
ここで、R1、R4、R5またはR6が1個より多く存在する場合、それらの意味は各場合で同一であっても異なっていてもよく、
R2およびR3が各々フッ素であり、
そして、
oおよびpが、各場合で、相互に独立して、数0または1である、
請求項1または請求項2に記載の式(I)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項4】
式(I−A)
【化5】
[式中、
A1は、(C1−C7)−アルカンジイルであり、
そして、
A2は、水素または式
【化6】
{式中、*は基A1への結合点であり、そして、
R4Aは、水素、フッ素、塩素、メチル、tert−ブチル、トリフルオロメチル、メトキシまたはトリフルオロメトキシである}
の基である]
の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項5】
式(I−B)
【化7】
[式中、
A1は、(C1−C7)−アルカンジイルであり、
そして、
A2は、水素または式
【化8】
{式中、*は基A1への結合点であり、そして、
R4Aは、水素、フッ素、塩素、メチル、tert−ブチル、トリフルオロメチル、メトキシまたはトリフルオロメトキシである}
の基である]
の化合物並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5に記載の式(I)、(I−A)または(I−B)の化合物の製造方法であって、式(II)
【化9】
(式中、R2、R3、oおよびpは、各々請求項1ないし請求項5に記載の意味を有し、そして、
T1およびT2は、同一であるかまたは異なり、シアノまたは(C1−C4)−アルコキシカルボニルである)
の化合物を、
[A]不活性溶媒中、塩基の存在下、式(III−A)
【化10】
(式中、A、R1およびnは、各々請求項1ないし請求項5に記載の意味を有し、そして、
Lは、フェニルまたはo−、m−もしくはp−トリルであり、
そして、
Xは、ハロゲン化物またはトシレートである)
の化合物と反応させ、式(IV−A)
【化11】
(式中、A、R1、R2、R3、n、o、p、T1およびT2は、各々上記の意味を有する)
の化合物を得るか、
または、
[B]不活性溶媒中、塩基の存在下、式(III−B)
【化12】
(式中、R1、n、LおよびXは、各々上記の意味を有する)
の化合物と反応させ、先ず、式(IV−B)
【化13】
(式中、R1、R2、R3、n、o、p、T1およびT2は、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、次いで、後者を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(V)
A2−A1A−Q (V)
(式中、A2は請求項1ないし請求項5に記載の意味を有し、
A1Aは、A1について請求項1ないし請求項5に記載した意味を有するが、結合ではなく、
そして、
Qは、脱離基、例えば、ハロゲン、トシレートまたはメシレートである)
の化合物を用いてアルキル化し、式(IV−C)
【化14】
(式中、A1A、A2、R1、R2、R3、n、o、p、T1およびT2は、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、
次いで、得られる式(IV−A)または(IV−C)の化合物を、エステルまたはニトリル基T1およびT2の加水分解により、式(I)のジカルボン酸に変換し、
そして、式(I)の化合物を、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸と反応させ、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物を得ることを特徴とする、方法。
【請求項7】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、虚血、血管障害、血栓塞栓性障害および動脈硬化症の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物を、不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて含む医薬。
【請求項10】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物を、有機硝酸塩、NO供給源、cGMP−PDE阻害剤、グアニル酸シクラーゼの刺激剤、抗血栓活性を有する物質、血圧を下げる物質および脂質代謝を改変する物質からなる群から選択される1種またはそれ以上のさらなる有効成分と組み合わせて含む医薬。
【請求項11】
心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、虚血、血管障害、血栓塞栓性障害および動脈硬化症の処置および/または予防のための、請求項9または請求項10に記載の医薬。
【請求項12】
少なくとも1種の請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化合物または請求項9ないし請求項11のいずれかに記載の医薬の有効量の投与による、ヒトおよび動物の心不全、狭心症、高血圧、肺高血圧、虚血、血管障害、血栓塞栓性障害および動脈硬化症の処置および/または予防方法。
【公表番号】特表2009−512651(P2009−512651A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−535954(P2008−535954)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009996
【国際公開番号】WO2007/045433
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/009996
【国際公開番号】WO2007/045433
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】
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