説明

ジヒドロキシ芳香族化合物、調製方法、それにより製造されたポリマー、およびポリマー調製方法

式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物(式中、R1は、6から60個の炭素原子を有する芳香族二価官能基であり、R2は、それぞれの出現において同一または異なっていてもよく、それぞれの出現において独立に、シアノ官能基、ニトロ官能基、ハロゲン、1から10個の炭素原子を有する脂肪族官能基、3から10個の炭素原子を有する脂環式官能基、および6から10個の炭素原子を有する芳香族官能基からなる群から選択され、「n」は、0から3の値を有する整数である)。該ジヒドロキシ芳香族化合物の製造方法、該ジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される単位を含むポリマー、および該ポリマーの製造方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ジヒドロキシ芳香族化合物、これらの化合物の調製方法、これらの化合物を使用して調製されたポリマー、およびこれらのポリマーの調製方法に関する。より詳細には、本開示は、ジヒドロキシ芳香族化合物を使用して調製されたポリカーボネート、該ポリカーボネートおよびポリカーボネート樹脂の調製方法、該ポリカーボネートおよびポリカーボネート樹脂を含む組成物、ならびにそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ジヒドロキシ芳香族化合物は、高ガラス転移温度(Tg)、高屈折率(RI)、耐化学薬品性および遮断特性のような格別の特性を示すポリカーボネートの調製に有用であることが広く知られている。より高いTgおよびより高いRI特性を有する材料は、自動車および光媒体のような様々な分野の用途に大きな需要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
よって、より良好な耐化学薬品性を有するポリマーを提供すると同時に、高いTg値を保持する新規の化合物が継続的に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
式(I)を有するジヒドロキシ芳香族化合物を本明細書に開示する。
【0005】
【化1】

【0006】
(式中、R1は、6から60個の炭素原子を有する芳香族官能基であり、R2は、それぞれの出現において、同一または異なっていてもよく、それぞれの出現において独立に、シアノ官能基、ニトロ官能基、ハロゲン、1から10個の炭素原子を有する脂肪族官能基、3から10個の炭素原子を有する脂環式官能基、および6から10個の炭素原子を有する芳香族官能基からなる群から選択され、さらに、「n」は、0から4の値を有する整数である)。
【0007】
別の実施形態において、式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物を製造するための方法は、式(III)の化合物を式(IV)の化合物と第1の塩基の存在下で反応させて、式(V)の化合物を生成するステップと、
【0008】
【化2】

【0009】
式(V)の化合物を第1の触媒の存在下でハロゲン化剤と反応させて、式(VI)を有する対応する二酸ハロゲン化物を得るステップと、
【0010】
【化3】

【0011】
式(VI)の化合物を式(VII)の化合物と第2の塩基の存在下で反応させて、式(I)の化合物を生成するステップとを含む。
【0012】
【化4】

【0013】
(式中、R1、R2およびnは、上記の通りであり、XおよびX1は、各出現において独立に、ハロゲンであり、R3は、水素、および1から10個の炭素原子を有する脂肪族官能基からなる群から選択される)。
【0014】
別の実施形態において、ポリマーは、式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される少なくとも1つの構造単位を含む。
【0015】
一実施形態において、式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される構造単位を含むポリマーを調製するための方法は、式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物を重合するステップを含む。
【0016】
該ポリマーを含む組成物および該ポリマーを含む製品も本明細書に開示する。
【0017】
上記の特徴および他の特徴を以下の詳細な説明によって例示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
ジヒドロキシ芳香族化合物、およびこれらのジヒドロキシ芳香族化合物を使用して調製されるポリマーを本明細書に開示する。これらのポリマーを高熱および光学的用途に使用することができる。
【0019】
単数形「a」、「an」および「the」は、特に明記されているものを除いて複数の対象を含む。本明細書に開示されているすべての範囲は、包括的かつ組合せ可能である(例えば、「25重量(wt)パーセントまでで、5重量パーセントから20重量パーセントまでが望ましい」は、「5重量パーセントから25重量パーセント」の範囲の終点およびすべての中間値を含む)。
【0020】
「BPA」は、本明細書において、ビスフェノールAと定義され、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4'-イソプロピリデンジフェノンおよびp,p-BPAとしても知られる。
【0021】
特に明記されているものを除いて、「脂環式官能基」という用語は、少なくとも1つの価を有し、環式であって芳香族でない原子の配列を含む環式脂肪族官能基を指す。「脂環式官能基」は、1つまたは複数の非環式成分を含むことができる。例えば、シクロヘキシルメチル基(C6H11CH2)は、シクロヘキシル環(環式であって芳香族でない原子の配列)およびメチレン基(非環式成分)を含む脂環式官能基である。脂環式官能基は、窒素、硫黄、セレニウム、珪素および酸素のようなヘテロ原子を含んでいてもよいし、または専ら炭素および水素で構成されていてもよい。便宜上、「脂環式官能基」という用語は、本明細書において、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ハロアルキル基、共役ジエニル基、アルコール基、エーテル基、カルボン酸基、アシル基(例えば、エステルおよびアミドのようなカルボン酸誘導体)、アミン基およびニトロ基のような広範な官能基を包括するものと定義される。例えば、4-メチルシクロペンチル-1-イル基は、メチル基を含むC6脂環式官能基であり、メチル基は、アルキル基である官能基である。同様に、2-ニトロシクロブチル-1-イル基は、ニトロ基を含むC4脂環式官能基であり、ニトロ基は、官能基である。脂環式官能基は、同一であっても異なっていてもよい1つまたは複数のハロゲン原子を含むことができる。代表的な脂環式官能基は、シクロプロピル、シクロブチル、1,1,4,4-テトラメチルシクロブチル、ピペリジニル、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル、シクロヘキシルおよびシクロペンチルを含む。
【0022】
本明細書に用いられているように、「芳香族官能基」という用語は、少なくとも1つの芳香族基を含む少なくとも1つの価を有する原子の配列を指す。少なくとも1つの芳香族基を含む少なくとも1つの価を有する原子の配列は、窒素、硫黄、セレニウム、珪素および酸素のようなヘテロ原子を含んでいてもよいし、または専ら炭素および水素で構成されていてもよい。本明細書に用いられているように、「芳香族官能基」という用語は、フェニル、ピリジル、フラニル、チエニル、ナフチル、フェニレンおよびビフェニル官能基を含むが、それらに限定されない。芳香族官能基は、非芳香族成分を含むこともできる。例えば、ベンジル基は、フェニル環(芳香族基)およびメチレン基(非芳香族成分)を含む芳香族官能基である。同様に、テトラヒドロナフチル官能基は、非芳香族成分(CH2)4に縮合した芳香族基(C6H3)を含む芳香族官能基である。便宜上、「芳香族官能基」という用語は、本明細書において、アルキル基、ハロアルキル基、ハロ芳香族基、アルコール基、エーテル基、カルボン酸基、アシル基(例えば、エステルおよびアミドのようなカルボン酸誘導体)、アミン基およびニトロ基のような広範な官能基を包括するものと定義される。例えば、4-メチルフェニル官能基は、メチル基を含むC7芳香族官能基であり、メチル基は、アルキル基である官能基である。同様に、2-ニトロフェニル基は、ニトロ基を含むC6芳香族官能基であり、ニトロ基は、官能基である。芳香族官能基は、ハロゲン化芳香族官能基を含む。代表的な芳香族官能基としては、フェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、4-クロロメチルフェン-1-イル、3-トリクロロメチルフェン-1-イル(3-CCl3Ph-)、4-(3-ブロモプロプ-1-イル)フェン-1-イル(4-BrCH2CH2CH2Ph-)、4-アミノフェン-1-イル(4-H2NPh-)、4-ヒドロキシメチルフェン-1-イル(4-HOCH2Ph-)、4-メチルチオフェン-1-イル(4-CH3SPh-)、3-メトキシフェン-1-イルおよび2-ニトロメチルフェン-1-イル(2-NO2CH2Ph)およびナフチルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0023】
本明細書に用いられているように、「脂肪族官能基」という用語は、環式でなく、少なくとも1つの価を有する直鎖状または分枝状の原子の配列を指す。脂肪族官能基は、少なくとも1つの炭素原子を含むものと定義される。原子の配列は、窒素、硫黄、珪素、セレニウムおよび酸素のようなヘテロ原子を含んでいてもよいし、または専ら炭素および水素で構成されていてもよい。便宜上、「脂肪族官能基」という用語は、本明細書において、「環式でない直鎖状または分枝状の原子の配列」の一部として、アルキル基、ハロアルキル基、アルコール基、エーテル基、カルボン酸基、アシル基(例えば、エステルおよびアミドのようなカルボン酸誘導体)、アミン基およびニトロ基のような広範な官能基を包括するものと定義される。例えば、4-メチルペンチル-1-イルは、メチル基を含むC6脂肪族官能基であり、メチル基は、アルキル基である官能基である。同様に、4-ニトロブチル-1-イル基は、ニトロ基を含むC4脂肪族官能基であり、ニトロ基は、官能基である。脂肪族官能基は、同一であっても異なっていてもよい1つまたは複数のハロゲン原子を含むハロアルキル基であってもよい。代表的な脂肪族官能基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、トリフルオロメチル、ブロモジフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、クロロメチル、トリクロロメチル、ブロモエチル、2-ヘキシル、ヘキサメチレン、ヒドロキシメチル(すなわちCH2OH)、メルカプトメチル(CH2SH)、メチルチオ(SCH3)、メチルチオメチル(CH2SCH3)、メトキシ、メトキシカルボニル(CH3OCO)、ニトロメチル(CH2NO2)およびチオカルボニルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0024】
一実施形態において、ジヒドロキシ芳香族化合物は、式(X)、式(XI)、式(XII)または式(XIII)の化合物を含む。
【0025】
【化5】

【0026】
(式中、R1は、式(X)のヒドロキノン、式(XI)のメチルヒドロキノン、式(XII)のレソルシノールおよび式(XIII)のビスフェノールAから誘導され、式(X)、式(XI)、式(XII)および式(XIII)の「n」は、0である)。以降、式(X)、式(XI)、式(XII)および式(XIII)の化合物は、それぞれN-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-[4-[(4-ヒドロキシ-フェニルカルボモイル)-メトキシ]-フェノキシ]-アセトアミド、N-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-[4-[(4-ヒドロキシ-フェニルカルボモイル)-メトキシ]-2-メチル-フェノキシ]-アセトアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-[(4-ヒドロキシフェニルカルボモイル)-メトキシ]-フェノキシ)-アセトアミドおよびN-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-(4-(1-メチル-1-[4-(4-ヒドロキシフェニルカルボミル-メトキシ)-フェニル]-エチル)-フェノキシ)-アセトアミドと称することもできる。
【0027】
式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物を製造するための方法は、以下のステップを含む。第1のステップは、式(III)の化合物を式(IV)の化合物と第1の塩基の存在下で反応させて、式(V)の化合物を生成するステップを含む。
【0028】
【化6】

【0029】
(式中、R1、R3およびXは、上記定義と同じ意味を有する)。
【0030】
式(III)の好適な化合物は、式(XIV)を有するビスフェノール化合物で表され得る。
【0031】
【化7】

【0032】
(各G1は、それぞれの出現において独立に、6から20個の炭素原子を有する芳香族官能基であり;Eは、それぞれの出現において独立に、3から20個の炭素原子を有する脂環式官能基、6から20個の炭素原子を有する芳香族官能基、1から20個の炭素原子を有する脂肪族官能基、硫黄含有結合(例えば、-S-、-SO-、-SO2-)、セレニウム含有結合(例えば、-Se-、-SeO-、-SeO2-)、リン含有結合または酸素原子であり;「t」は、1以上10,000以下の数字であり;「s」は、0または1であり;「u」は、0から10,000を含む数字である)。「s」が0に等しい場合は、[G1]tは、[G1]uに結合する。
【0033】
式(XIV)を有する代表的な化合物としては、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン; 2,2-ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン; 2,2-ビス(2-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロパン; 2,2-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-6-メチルフェニル)プロパン; 2,2-ビス(3-t-ブチル-4ヒドロキシ-6-メチルフェニル)ブタン; 1,3-ビス[4-ヒドロキシフェニル-1-(1-メチルエチリジン)]ベンゼン; 1,4-ビス[4-ヒドロキシフェニル-1-(1-メチルエチリジン)]ベンゼン; 1,3-ビス[3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-6-メチルフェニル-1-(1-メチルエチリジン)]ベンゼン; 1,4-ビス[3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-6-メチルフェニル-1-(1-メチルエチリジン)]ベンゼン; 4,4'-ビフェノール; 2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン; 1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ノルボルナン; 1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン; ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド; 4,4'-オキシジフェノール; 2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタリミジン; 2,4'-ジヒドロキシジフェニル メタン; 2-ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン; ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン; ビス(4-ヒドロキシ-5-ニトロフェニル)メタン; ビス(4-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-3-メトキシフェニル)メタン; 1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン; 2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン (ビスフェノールA); 1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン; 2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン; 2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン; 2,2-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン; 2,2-ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン; 2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン; 2,2-ビス(3,5-ジイソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン; 2,2-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン; 2,2-ビス(3,5-ジフェニル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン; 2,2-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5,6-テトラメチルフェニル)プロパン; 2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-エチルフェニル)プロパン; 2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン; 1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン; 2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルプロパン; 1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン; 1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン; 1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)シクロヘキサン; 1,1-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン; 1,1-ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン; 1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン; 4,4'-[1-メチル-4-(1-メチル-エチル)-1,3-シクロヘキサンジイル]ビスフェノール (1,3 BHPM); 4-[1-[3-(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルシクロヘキシル]-1-メチル-エチル]-フェノール (2,8-BHPM); 1,1-ビス(3,5-ジイソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン; 1,1-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン; 1,1-ビス(3,5-ジフェニル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン; 1,1-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5,6-テトラメチルフェニル)シクロヘキサン; 1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン;; 1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン; 1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン; 1,1-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン; 1,1-ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン; 1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン; 1,1-ビス(3,5-ジイソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン; 1,1-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン; 1,1-ビス(3,5-ジフェニル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン; 1,1-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5,6-テトラメチルフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン; 4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン; 1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン; 1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン; 1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン; 4,4'ジヒドロキシ-1,1-ビフェニル; 4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジメチル-1,1-ビフェニル; 4,4'-ジヒドロキシ-3,3'-ジオクチル-1,1-ビフェニル; 4,4'-(3,3,5-トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール; 4,4'-ビス(3,5-ジメチル)ジフェノール; 4,4'-ジヒドロキシジフェニルエーテル; 4,4'-ジヒドロキシジフェニルチオエーテル; 1,3-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン; 1,3-ビス(2-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-2-プロピル)ベンゼン; 1,4-ビス(2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル)ベンゼン; 1,4-ビス(2-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-2-プロピル)ベンゼン; 2,4'-ジヒドロキシフェニル スルホン; 4,4'-ジヒドロキシジフェニルスルホン(BPS); ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン; 2,6-ジヒドロキシ ナフタレン; ヒドロキノン; メチルヒドロキノン; レゾルシノール; C1-3 アルキル-置換レゾルシノール; 3-(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,3-トリメチルインダン-5-オール; 1-(4-ヒドロキシフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン-5-オール; 4,4-ジヒドロキシジフェニル エーテル; 4,4-ジヒドロキシ-2,5-ジヒドロキシジフェニル エーテル; 4,4-チオジフェノール; 2,2,2',2'-テトラヒドロ-3,3,3',3'-テトラメチル-1,1'-スピロビ[1H-インデン]-6,6'-ジオール;および上記化合物の2種以上の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。
【0034】
反応に用いられる式(IV)の化合物の量は、用いられる式(III)の化合物1モル当たり1モルから6モルであり得る。この範囲内において、その量は、1.5モル以上であってもよいし、より具体的には、2モル以上であってもよい。また、この範囲内において、その量は、4モル以下であってもよいし、より具体的には2.5モル以下であってもよい。
【0035】
1つの代表的な第1の塩基は、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物を含む。別の代表的な第1の塩基は、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ土類金属炭酸塩をアルカリ金属ハロゲン化物またはアルカリ土類金属ハロゲン化物とともに含む。
【0036】
第1の塩基として用いることができる好適なアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物の具体的な例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および上記水酸化物の2種以上の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態において、第1の塩基は、水酸化ナトリウムを含む。アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物を水溶液または固体として添加することができる。第1の塩基がアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物である場合に用いられる第1の塩基の量は、用いられる式(III)の化合物1モル当たり1モルから10モルであり得る。この範囲内において、その量は、1.5モル以上であってもよいし、より具体的には、2モル以上であってもよい。また、この範囲内において、その量は、5モル以下であってもよいし、より具体的には3モル以下であってもよい。
【0037】
アルカリ金属ハロゲン化物またはアルカリ土類金属ハロゲン化物と併用できる好適なアルカリ金属炭酸塩またはアルカリ土類金属炭酸塩としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウム、ならびに上記炭酸塩の2種以上の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。反応に使用されるアルカリ金属炭酸塩またはアルカリ土類金属炭酸塩の量は、用いられる式(III)の化合物1モル当たり1モルから5モルであり得る。この範囲内において、その量は、2モル以上であってもよいし、より具体的には、2.5モル以上であってもよい。また、この範囲内において、その量は、4モル以下であってもよいし、より具体的には3モル以下であってもよい。
【0038】
アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ土類金属炭酸塩と併用できる好適なアルカリ金属ハロゲン化物またはアルカリ土類金属ハロゲン化物としては、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムおよびヨウ化ナトリウムとヨウ化カリウムの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。反応に用いられるアルカリ金属ハロゲン化物またはアルカリ土類金属ハロゲン化物の量は、用いられる式(III)の化合物1モル当たり1モルから5モルであり得る。この範囲内において、その量は、2モル以上であってもよいし、より具体的には、2.5モル以上であってもよい。また、この範囲内において、その量は、4モル以下であってもよいし、より具体的には3モル以下であってもよい。
【0039】
一実施形態において、アルカリ金属炭酸塩は、炭酸カリウムであり、アルカリ金属ハロゲン化物は、ヨウ化ナトリウムである。アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ土類金属炭酸塩の量は、アルカリ金属ハロゲン化物またはアルカリ土類金属ハロゲン化物1モル当たり1モルから3モルであり得る。この範囲内において、その量は、1.5モル以上であってもよいし、より具体的には、2モル以上であってもよい。また、この範囲内において、その量は、2.75モル以下であってもよいし、より具体的には2.5モル以下であってもよい。
【0040】
式(III)の化合物と式(IV)の化合物との反応に用いることができる溶媒の具体的な例としては、水、アセトン、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジフェニルエーテル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、および上記溶媒の2種以上の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態において、用いられる溶媒は、水、アセトン、または水とアセトンの組合せを含む。一定の実施形態において、式(III)の化合物と式(IV)の化合物との反応に用いられる溶媒の量は、式(III)の化合物1モル当たり1リットルから10リットルであり得る。この範囲内において、その量は、3リットル以上であってもよいし、より具体的には、5リットル以上であってもよい。また、この範囲内において、その量は、8リットル以下であってもよいし、より具体的には6リットル以下であってもよい。
【0041】
式(III)の化合物と式(IV)の化合物との反応が進行する温度は、30℃から100℃であり得る。この範囲内において、その温度は、40℃以上であってもよいし、より具体的には60℃以上であってもよい。また、この範囲内において、その温度は、90℃以下であってもよいし、より具体的には80℃以下であってもよい。式(III)の化合物と式(IV)の化合物との反応に要する時間は、5時間から50時間であり得る。この範囲内において、その時間は、10時間以上であってもよいし、より具体的には20時間以上であってもよい。また、この範囲内において、その時間は、45時間以下であってもよいし、より具体的には40時間以下であってもよい。
【0042】
式(III)の化合物と式(IV)の化合物との反応は、R3がHのときに式(V)の化合物を直接与える。R3が脂肪族官能基である場合は、式(III)の化合物と式(IV)の化合物との反応は、上記条件下で、式:
【0043】
【化8】

【0044】
を有するジエステルを与える。
(式中、R1は、上記の通りである)。
【0045】
式(XV)のジエステルをアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩の存在下で加水分解して、式(V)の対応する二酸化合物を得ることができる。代表的なアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、および上記水酸化物の2種以上の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。
【0046】
加水分解に用いられるアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩の量は、式(XV)のジエステル1モル当たり1モルから8モルであり得る。この範囲内において、その量は、2モル以上であってもよいし、より具体的には3モル以上であってもよい。また、この範囲内において、その量は、6モル以下であってもよいし、より具体的には5モル以下であってもよい。
【0047】
式(XV)のジエステルから式(V)の対応する二酸への加水分解反応に使用できる好適な溶媒としては、エタノール、メタノール、テトラヒドロフランおよびジオキサンが挙げられるが、それらに限定されない。加水分解反応に用いられる溶媒の量は、式(XV)のジエステル1モル当たり0.5リットルから4リットルであり得る。この範囲内において、その量は、1リットル以上であってもよいし、より具体的には1.5リットル以上であってもよい。また、この範囲内において、その量は、3リットル以下であってもよいし、より具体的には2.5リットル以下であってもよい。
【0048】
式(XV)の化合物の加水分解反応の温度は、25℃から80℃であり得る。この範囲内において、その温度は、30℃以上であってもよいし、より具体的には40℃以上であってもよい。また、この範囲内において、その温度は、70℃以下であってもよいし、より具体的には60℃以下であってもよい。加水分解反応に要する時間は、10時間から24時間であり得る。この範囲内において、その時間は、12時間以上であってもよいし、より具体的には16時間以上であってもよい。また、この範囲内において、その時間は、20時間以下であってもよいし、より具体的には18時間以下であってもよい。
【0049】
式(V)の化合物を第1の触媒の存在下でハロゲン化剤と反応させて、式(VI)を有する対応する二酸ハロゲン化物を得る。
【0050】
【化9】

【0051】
(式中、R1およびX1は、上記の通りである)。
【0052】
代表的なハロゲン化剤としては、塩化チオニル、三塩化リン、五塩化リン、五臭化リン、臭化チオニル、三臭化リンおよび塩化オキサリニルが挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態において、ハロゲン化剤は、塩化チオニルである。
【0053】
反応に用いられるハロゲン化剤の量は、式(V)の化合物1モル当たり2モルから10モルであり得る。この範囲内において、その量は、2.5モル以上であってもよいし、より具体的には3モル以上であってもよい。また、この範囲内において、その量は、8モル以下であってもよいし、より具体的には4モル以下であってもよい。
【0054】
式(V)の化合物のハロゲン化に用いることができる好適な第1の触媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルアミノピリジン、ジメチルアニリン、ジエチルアミン、および上記触媒の2種以上の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。
【0055】
反応に用いられる第1の触媒の量は、式(V)の化合物1モル当たり0.01モルから0.1モルであり得る。この範囲内において、その量は、0.02モル以上であってもよいし、より具体的には0.03モル以上であってもよい。また、この範囲内において、その量は、0.08モル以下であってもよいし、より具体的には0.05モル以下であってもよい。
【0056】
式(V)の化合物のハロゲン化に用いることができる好適な溶媒は、トルエン、キシレン、クロロホルム、二塩化メチレン、二塩化エチレンおよび四塩化炭素が挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態において、使用される溶媒は、二塩化エチレンである。
【0057】
一定の実施形態において、式(V)の化合物のハロゲン化に用いられる溶媒の量は、式(V)の化合物1モル当たり1.5リットルから3.0リットルであり得る。この範囲内において、その量は、1.75リットル以上であってもよいし、より具体的には2.0リットル以上であってもよい。また、この範囲内において、その量は、2.75リットル以下であってもよいし、より具体的には2.25リットル以下であってもよい。
【0058】
式(V)の化合物のハロゲン化反応の温度は、40℃から140℃であり得る。この範囲内において、その温度は、60℃以上であってもよいし、より具体的には80℃以上であってもよい。また、この範囲内において、その温度は、120℃以下であってもよいし、より具体的には90℃以下であってもよい。式(V)の化合物のハロゲン化反応に要する時間は、1時間から10時間であり得る。この範囲内において、その時間は、3時間以上であってもよいし、より具体的には4時間以上であってもよい。また、この範囲内において、その時間は、8時間以下であってもよいし、より具体的には6時間以下であってもよい。
【0059】
式(VI)の化合物を式(VII)の化合物と第2の塩基の存在下で反応させて、式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物を生成する。
【0060】
【化10】

【0061】
(式中、R1、R2および「n」は、上記定義と同じ意味を有する)。
【0062】
式(VII)を有する好適な化合物としては、4-アミノフェノール、3-アミノフェノール、2-メチル-4-アミノフェノール、4-クロロ-2-アミノフェノール、2-アミノ-4-クロロフェノール、2-アミノ-5-クロロフェノールおよび4-アミノ-2-ニトロフェノールが挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態において、式(VII) の化合物は、以下に示す式(IX)を有する4-アミノフェノールを含む。
【0063】
反応に用いられる式(VII)の化合物の量は、式(VI)を有する化合物1モル当たり1モルから5モルであり得る。この範囲内において、その量は、2モル以上であってもよいし、より具体的には2.5モル以上であってもよい。また、この範囲内において、その量は、4モル以下であってもよいし、より具体的には3モル以下であってもよい。
【0064】
好適な第2の塩基としては、ヒドロキシ基から実質的な量の陽子を除去することなく、式(VII)の化合物のアミン基から陽子を除去するのに十分な強度を有する有機塩基または無機塩基が挙げられるが、それらに限定されない。無機塩基の具体的な例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および上記アルカリ金属水酸化物の2種以上の組合せを含むが、それらに限定されないアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物が挙げられる。一実施形態において、第2の塩基は、水酸化ナトリウムを含む。有機塩基の具体的な例としては、トリエチルアミン、ピペリジン、エチルジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピロリドン、モルホリン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメチラート、カリウムメチラート、および上記塩基の2種以上の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。第2の塩基を水溶液または固体として添加することができる。
【0065】
反応に用いられる第2の塩基の量は、用いられる式(VII)の化合物1モル当たり0.5モルから3モルであり得る。この範囲内において、その量は、1モル以上であってもよいし、より具体的には1.5モル以上であってもよい。また、この範囲内において、その量は、2.5モル以下であってもよいし、より具体的には2モル以下であってもよい。
【0066】
式(VI)の化合物を第2の塩基の存在下で式(VII)の化合物と反応させるのに用いることができる好適な溶媒の具体的な例としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、二塩化エチレン、二塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、および上記溶媒の2種以上の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。一実施形態において、用いられる溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、またはそれらの組合せを含む。式(VI)の化合物を第2の塩基の存在下で式(VII)の化合物と反応させるのに用いられる溶媒の量は、式(VII)の化合物1モル当たり0.5リットルから3リットルであり得る。この範囲内において、その量は、1リットル以上であってもよいし、より具体的には1.5リットル以上であってもよい。また、この範囲内において、その量は、2.5リットル以下であってもよいし、より具体的には2リットル以下であってもよい。
【0067】
式(VI)の化合物を第2の塩基の存在下で式(VII)の化合物と反応させる温度は、0℃から40℃であり得る。この範囲内において、その温度は、5℃以上であってもよいし、より具体的には10℃以上であってもよい。また、この範囲内において、その温度は、30℃以下であってもよいし、より具体的には25℃以下であってもよい。式(VI)の化合物を第2の塩基の存在下で式(VII)の化合物と反応させる時間は、5時間から40時間であり得る。この範囲内において、その時間は、10時間以上であってもよいし、より具体的には20時間以上であってもよい。また、この範囲内において、その時間は、35時間以下であってもよいし、より具体的には30時間以下であってもよい。
【0068】
一実施形態において、式(II)のジヒドロキシ芳香族化合物を製造するための方法は、式(III)の化合物を式(IV)の化合物と第1の塩基の存在下で反応させて、式(V)の化合物を生成するステップと、
【0069】
【化11】

【0070】
式(V)の化合物を第1の触媒の存在下で塩素化剤と反応させて、式(VIII)を有する対応する二酸塩化物を得るステップと、
【0071】
【化12】

【0072】
式(VIII)の化合物を第2の塩基の存在下で4-アミノフェノール(式(IX)) と反応させて、式(II)の化合物を生成するステップとを含む。
【0073】
【化13】

【0074】
(式中、R1は、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、レソルシノールまたはビスフェノールAから誘導され、R3は、水素またはメチルであり、「n」は、0から4の値を有する整数である)。
【0075】
一実施形態において、組成物は、式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物を含む。
【0076】
【化14】

【0077】
(式中、R1、R2および「n」は、以上の通り定義される)。
【0078】
一実施形態において、ポリマーは、式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される少なくとも1つの構造単位を含む。
【0079】
【化15】

【0080】
(式中、R1、R2および「n」は、以上の通り定義される)。様々なポリマーが、ポリカーボネート、ポリエステル、コポリエステル-ポリカーボネート、ポリウレタンおよびエポキシド含有ポリマーを含むが、それらに限定されない式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される構造単位を含むことができる。
【0081】
一実施形態において、ポリカーボネートは、式(II)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される少なくとも1つの構造単位を含む。
【0082】
【化16】

【0083】
(式中、R1は、ヒドロキノン、レソルシノール、メチルヒドロキノンまたはビスフェノールAから誘導される芳香族二価官能基である)。
【0084】
本明細書に用いられる「ポリカーボネート」および「ポリカーボネート樹脂」は、式(XIX)で表される構造単位を含むポリマーである。
【0085】
【化17】

【0086】
(式中、R4基の総数の少なくとも60パーセントは、芳香族官能基であり、その残りが、脂環式、アクリルまたは芳香族官能基であり、さらに、少なくとも1つのR4基は、式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される)。
【0087】
芳香族官能基は、式(XX)の官能基を含むことができる。
【0088】
【化18】

【0089】
(式中、A1およびA2の各々は、二価の単環式芳香族官能基であり、Y1は、A2からA1を分離する1つまたは2つの原子を有する架橋官能基である)。代表的な実施形態において、1つの原子が、A2からA1を分離する。この種の官能基の例示的な非限定例は、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O2)-、-C(O)-、メチレン、シクロヘキシル-メチレン、2-[2.2.1]-ビシクロヘプチリデン、エチリデン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデンおよびアダマンチリデンである。一実施形態において、架橋官能基Y1は、メチレン、シクロヘキシリデンまたはイソプロピリデンのような炭化水素基または飽和炭化水素基であってもよい。
【0090】
本明細書に用いられている「ポリエステル」は、式(XXI)の反復構造単位を含むことができる。
【0091】
【化19】

【0092】
(式中、Dは、ジヒドロキシ化合物から誘導される二価の官能基から誘導され、例えば、6から10個の炭素原子を有する脂環式官能基、6から20個の炭素原子を有する芳香族官能基、または2から10個の炭素原子を有する脂肪族官能基であってもよく、Dの少なくとも1つは、式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導され;Tは、ジカルボン酸から誘導される二価の官能基であり、例えば、6から10個の炭素原子を有する脂環式官能基、6から20個の炭素原子を有する芳香族官能基、または2から10個の炭素原子を有する脂肪族官能基であってもよい)。
【0093】
一実施形態において、Dは、2から10個の炭素原子を有する脂肪族官能基を含む。別の実施形態において、Dを式(XXII)の芳香族ジヒドロキシ化合物から誘導することができる。
【0094】
【化20】

【0095】
(式中、各Rfは、独立に、ハロゲン原子、1から10個の炭素原子を有する脂肪族官能基であり、「m」は、0から4の値を有する整数である)。式(XXII)で表すことができる化合物の例としては、レソルシノール、5-メチルレソルシノール、5-エチルレソルシノール、5-プロピルレソルシノール、5-ブチルレソルシノール、5-t-ブチルレソルシノール、5-フェニルレソルシノール、5-クミルレソルシノール、2,4,5,6-テトラフルオロレソルシノール、2,4,5,6-テトラブロモレソルシノール等の置換レソルシノール化合物;カテコール;ヒドロキノン;2-メチルヒドロキノン、2-エチルヒドロキノン、2-プロピルヒドロキノン、2-ブチルヒドロキノン、2-t-ブチルヒドロキノン、2-フェニルヒドロキノン、2-クミルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラ-t-ブチルヒドロキノン、2,3,5,6-テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6-テトラブロモヒドロキノン等の置換ヒドロキノン;または上記化合物の少なくとも1つを含む組合せが挙げられるが、それらに限定されない。
【0096】
一実施形態において、「T」は、式(XXIII)のジカルボン酸化合物から誘導される二価の官能基である。
【0097】
【化21】

【0098】
(式中、R5は、各出現において独立に、ヒドロキシ、クロロまたはOR6であり、R6は、各出現において独立に、1から10個の炭素原子を有する脂肪族官能基からなる群から選択され、3から10個の炭素原子を有する脂環式官能基、および6から20個の炭素原子を有する芳香族官能基である)。一実施形態において、二価の官能基「T」は、6から10個の炭素原子を有する脂環式官能基、6から10個の炭素原子を有する芳香族官能基、または2から10個の炭素原子を有する脂肪族官能基を含む。
【0099】
ポリエステルを調製するのに使用できるジカルボン酸の例としては、1,6-ヘキサン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アゼライン酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、1,2-ジ(p-カルボキシフェニル)エタン、4,4'-ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4'-ビス安息香酸、および上記酸の2種以上の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。1,4-、1,5-または2,6-ナフタレンジカルボン酸のような縮合環を含む酸も存在し得る。具体的なジカルボン酸は、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、またはそれらの混合物である。具体的なジカルボン酸は、テレフタル酸のイソフタル酸に対する重量比が10:1から0.2:9.8であるイソフタル酸とテレフタル酸の混合物を含む。別の具体的な実施形態において、Dは、C2〜6アルキレン官能基を含み、Tは、p-フェニレン、m-フェニレン、ナフタレン、二価の脂環式官能基、または上記化合物の2種以上の組合せを含む。このポリエステル類は、ポリ(アルキレンテレフタレート)を含む。
【0100】
本明細書に用いられている「コポリエステル-ポリカーボネート」または「コポリエステルカーボネート」または「ポリエステルカーボネート」は、以上に定義した式(XXI)の反復単位に加えて、式(XIX)の反復カーボネート単位を含む共重合体である。一実施形態において、式(XIX)の反復カーボネート単位または式(XXI)の反復単位または式(XIX)および式(XXI)の双方の反復単位は、式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される少なくとも1つの構造単位を含む。
【0101】
本明細書に用いられているポリウレタンは、式(XXIV)を有する反復単位を含むポリマーである。
【0102】
【化22】

【0103】
(式中、O-R7-Oは、ジヒドロキシ化合物またはポリヒドロキシ化合物から誘導される二価の官能基であり;R7の少なくとも1つは、式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導され;「Q」は、式(XXV):
Q(NCO)2 (XXV)
を有するジイソシアネート化合物から誘導される二価の官能基であり、Qは、2から28個の炭素原子を有する二価の脂肪族官能基、4から15個の炭素原子を有する二価の脂環式官能基、または6から15個の炭素原子を有する二価の芳香族官能基を含む)。
【0104】
ポリウレタンを調製するのに使用できるジカルボン酸の例としては、1,6-ヘキサン二酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸、アゼライン酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸、1,2-ジ(p-カルボキシフェニル)エタン、4,4'-ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4'-ビス安息香酸、および上記酸の少なくとも1つを含む混合物が挙げられるが、それらに限定されない。1,4、1,5-または2,6-ナフタレンジカルボン酸のような縮合環を含む酸も存在し得る。一実施形態において、使用されるジカルボン酸は、1,6-ヘキサン二酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、または上記ジカルボン酸の2種以上の組合せである。
【0105】
ジイソシアネートの好適な例としては、トルエン-2,6-ジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トルエン-2,4-ジイソシアネート、および上述のジイソシアネート化合物の2種以上の組合せが挙げられるが、それらに限定されない。
【0106】
本明細書に用いられているエポキシド含有ポリマーは、式(XXVI)の構造を有するポリマーである。
【0107】
【化23】

【0108】
(式中、R8は、ジヒドロキシ化合物から誘導される二価の官能基であり;R8の少なくとも1つは、式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導され、「z」は、2から200である)。
【0109】
上記ポリマーは、式(I)で表される単一のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される構造単位を含む単独重合体または式(I)で表されるジヒドロキシ芳香族化合物の2種以上から誘導される構造単位を含む共重合体であってもよいし、式(I)で表される1つまたは複数のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される構造単位および他のジヒドロキシ化合物から誘導される構造単位を含む共重合体であってもよい。よって、一実施形態において、該ポリマーは、式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される単位の1モルパーセントから100モルパーセントを含むことができる。この範囲内において、その量は、5モルパーセント以上であってもよいし、より具体的には、10モルパーセント以上であってもよい。また、この範囲内において、その量は、80モルパーセント以下であってもよいし、より具体的には50モルパーセント以下であってもよい。
【0110】
一実施形態において、式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物とともに共重合体を形成するのに有用であり得るジヒドロキシ化合物を式(XXVII)で表すことができる。
HO-R9-OH (XXVII)
(式中、R9は、式(XX):
【0111】
【化24】

【0112】
の官能基を含み、Y1、A1およびA2は、以上に定義した通りである)。別の実施形態において、ジヒドロキシ化合物は、一般式(XXVIII)のビスフェノール化合物を含む。
【0113】
【化25】

【0114】
(式中、RaおよびRbは、それぞれ、ハロゲン原子、または1から10個の炭素原子を有する脂肪族官能基を表し、同一であっても異なっていてもよく;pおよびqは、それぞれ独立に、0から4の整数であり、Zaは、式(XXIX):
【0115】
【化26】

【0116】
の基の1つを表し、RcおよびRdは、それぞれ独立に、水素原子、または1から10個の炭素原子を有する脂肪族官能基、または3から10個の炭素原子を有する脂環式官能基であり、Reは、1から10個の炭素原子を有する二価の脂肪族官能基である)。
【0117】
式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物と併用できる好適なジヒドロキシ化合物のいくつかの例示的な非限定例としては、レゾルシノール、4-ブロモレゾルシノール、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、2-フェニル-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタリミジン、オイゲノールシロキサンビスフェノール、4,4'-ジヒドロキシビフェニル、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルメタン、1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)プロパン、1,1-ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)イソブテン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、trans-2,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブテン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)アダマンチン、(α,α'-ビス(4-ヒドロキシフェニル)トルエン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1-ジブロモ-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1-ジクロロ-2,2-ビス(5-フェノキシ-4-ヒドロキシフェニル)エチレン、4,4'-ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン、1,6-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,6-ヘキサンジオン、エチレングリコール ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フッ素、2,7-ジヒドロキシピレン、6,6'-ジヒドロキシ-3,3,3',3'-テトラメチルスピロ(ビス)インダン("スピロビインダンビスフェノール")、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フタリド、2,6-ジヒドロキシジベンゾ-p-ジオキシン、2,6-ジヒドロキシチアントレン、2,7-ジヒドロキシフェノキサチン、2,7-ジヒドロキシ-9,10-ジメチルフェナジン、3,6-ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6-ジヒドロキシジベンゾチオフェン、および2,7-ジヒドロキシカルバゾール、ならびに上記ジヒドロキシ化合物の少なくとも1つを含む組合せが挙げられるが、それらに限定されない。
【0118】
ビスフェノール化合物の種類の具体的な例としては、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-1-メチルフェニル)プロパンおよび1,1-ビス(4-ヒドロキシ-t-ブチルフェニル)プロパンを挙げることができるが、それらに限定されない。上記ジヒドロキシ化合物の2種以上を含む組合せを使用することもできる。一実施形態において、用いられるビスフェノール化合物は、ビスフェノールAである。
【0119】
ポリマーは、分枝状ポリマーであってもよい。式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される構造単位を含む分枝状ポリマーを、重合時に分枝形成剤を添加することによって調製することができる。これらの分枝形成剤としては、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボン酸無水物、ハロホルミル、および上記官能基の混合物から選択される少なくとも3つの官能基を含む多官能有機化合物が挙げられる。具体的な例としては、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、トリメリット酸三塩化物、トリス-p-ヒドロキシフェニルエタン、イサチン-ビス-フェノール、トリス-フェノールTC(1,3,5-トリス((p-ヒドロキシフェニル)イソプロピル)ベンゼン)、トリス-フェノール-PA(4(4(1,1-ビス(p-ヒドロキシ-フェニル)-エチル)アルファ、アルファ-ジメチルベンジル)フェノール)、4-クロロホルミルフタル酸無水物、トリメシン酸およびベンゾフェノンテトラカルボン酸が挙げられるが、それらに限定されない。熱可塑性組成物の望ましい特性に著しく影響しなければ、あらゆる種類のポリカーボネート末端基が、有用であると考えられる。
【0120】
1つの具体的な実施形態において、該ポリマーは、ポリカーボネートであり、ポリカーボネートは、式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される直鎖状単独重合体、または式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される反復単位、およびビスフェノールAから誘導される反復単位を含む共重合体である。一実施形態において、ポリカーボネートは、Tgが140℃以上、またはより具体的には150℃以上、またはさらにより具体的には160℃以上であってもよい。高いTgを有するポリカーボネートも考えられる。ポリカーボネートは、ポリスチレン標準に基づくゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量が10,000から200,000、またはより具体的には20,000から100,000であってもよい。
【0121】
ポリカーボネート、ポリエステルおよびコポリエステル-カーボネートを界面重合および溶融重合のような方法で製造することができる。界面重合の反応条件は、それぞれ異なり得るが、代表的な方法は、一般には、ジヒドロキシ化合物を水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム水溶液に溶解または分散させるステップと、得られた混合物を好適な水溶性溶媒媒体に添加するステップと、例えばpH8から10の制御pH条件下において、トリエチルアミンまたは移相触媒のような好適な触媒の存在下で反応物質をカーボネート前駆体と接触させるステップとを含む。最も広く使用されている水溶性溶媒としては、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼンおよびトルエンが挙げられるが、それらに限定されない。好適なカーボネート前駆体としては、例えば、臭化カルボニルまたは塩化カルボニルのようなハロゲン化カルボニル、あるいは二価フェノールのビスハロギ酸塩(例えば、ビスフェノールAまたはヒドロキノン等のビスクロロギ酸塩)またはグリコールのビスハロギ酸塩(例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールまたはポリエチレングリコールのビスハロギ酸塩)のようなハロギ酸塩、あるいはまたはエステル(例えば、サリチル酸ビスメチル(bMSC))または炭酸ジフェニル(DPC)が挙げられる。上記種類のカーボネート前駆体の少なくとも1つを含む組合せを使用することもできる。得られたポリマーは、ポリスチレン標準に基づくゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した重量平均分子量(Mw)が10,000から200,000、またはより具体的には20,000から100,000であってもよい。
【0122】
連鎖停止剤(キャッピング剤とも称する)を重合中に含めることができる、連鎖停止剤は、分子量成長率を制限するため、ポリカーボネートにおける分子量を抑制する。連鎖停止剤は、モノフェノール酸化合物、モノカルボン酸塩化物およびモノクロロギ酸塩の少なくとも1つであってもよい。
【0123】
例えば、連鎖停止剤として好適なモノフェノール酸化合物としては、フェノール、C1〜C22アルキル置換フェノール、p-クミル-フェノール、p-三級-ブチルフェノール、ヒドロキシジフェニルのような単環式フェノール;p-メトキシフェノールのようなジフェノールのモノエーテルが挙げられる。アルキル置換フェノールとしては、8または9個の炭素原子を有する分枝鎖アルキル置換基を有するものが挙げられる。モノフェノールUV吸収剤をキャッピング剤として使用することができる。当該化合物としては、4置換-2-ヒドロキシベンゾフェノンおよびそれらの誘導体、サリチル酸アリール、モノ安息香酸レソルシノールのようなジフェノールのモノエステル、2-(2-ヒドロキシアリール)-ベンゾトリアゾールおよびそれらの誘導体、2-(2-ヒドロキシアリール)-1,3,5-トリアジンおよびそれらの誘導体が挙げられる。具体的には、モノフェノール酸連鎖停止剤としては、フェノール、p-クミルフェノールおよびモノ安息香酸レソルシノールが挙げられる。
【0124】
モノカルボン酸塩化物も連鎖停止剤として好適であり得る。これらは、塩化ベンゾイル、C1〜C22アルカリ置換塩化ベンゾイル、塩化トルオイル、ハロゲン置換塩化ベンゾイル、塩化ブロモベンゾイル、塩化シナモイル、塩化4-ナジミドベンゾイルおよびそれらの混合物のような単環式モノカルボン酸塩化物;トリメリット酸無水塩化物および塩化ナフトイルのようなモノカルボン酸塩化物;ならびに単環式およびモノカルボン酸塩化物の混合物を含む。炭素原子が22個までの脂肪族モノカルボン酸の塩化物が好適である。塩化アクリロイルおよび塩化メタクリロイルのような脂肪族モノカルボン酸の官能化塩化物も好適である。クロロギ酸フェニル、アルキル置換クロロギ酸フェニル、クロロギ酸p-クミルフェニル、クロロギ酸トルエンおよびそれらの混合物のような単環式モノクロロギ酸エステルを含むモノクロロギ酸エステルも好適である。
【0125】
使用できる移相触媒には、式(Rg)4Y+X5(式中、Rgは、同一または異なっており、1から10個の炭素原子を有するアルキル基であり;Yは、窒素またはリン原子であり;X5は、ハロゲン原子、または1から8個の炭素原子を有する脂肪族官能基、または6から188個の炭素原子を有する芳香族官能基である)の触媒である。好適な移相触媒としては、例えば、[CH3(CH2)3]4NX5、[CH3(CH2)3]4PX5、[CH3(CH2)5]4NX5、[CH3(CH2)6]4NX5、[CH3(CH2)4]4NX5、CH3[CH3(CH2)3]3NX5およびCH3[CH3(CH2)2]3NX5(式中、X5は、塩化物、臭化物、1から8個の炭素原子を有する脂肪族官能基、または6から188個の炭素原子を有する芳香族官能基である)が挙げられる。移相触媒の有効量は、ホスゲン化混合物におけるビスフェノールの重量に対して0.1から10重量パーセントであってもよい。別の実施形態において、移相触媒の有効量は、ホスゲン化混合物におけるビスフェノールの重量に対して0.5から2重量パーセントであってもよい。
【0126】
あるいは、溶融法を用いて、ポリカーボネートを製造することができる。一般に溶融重合法では、溶融状態で、ジヒドロキシ反応物質と、炭酸ジフェニル、サリチル酸ビスメチルまたはそれらの組合せのような炭酸ジアリールエステルとを、Banbury(登録商標)混合機または二軸押出機等でエステル交換触媒の存在下で共反応させて均一な分散物を形成することによってポリカーボネートを調製することができる。揮発性の一価フェノールを蒸留によって溶融反応物質から除去し、ポリマーを溶融残渣として単離する。
【0127】
エステルとジヒドロキシ化合物との反応を実施することが可能なエステル交換触媒は、単一化合物または化合物の混合物を含むことができ、四級アンモニウム塩または四級ホスホニウム塩のような1つまたは複数の共触媒と組み合わせて用い得る。好適なエステル交換触媒としては、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよびそれらの混合物;アルカリ土類金属水酸化物、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウムおよびそれらの混合物;カルボン酸のアルカリ金属塩、例えば、酢酸リチウム、安息香酸ナトリウムおよびドデカン二酸二カリウム;カルボン酸のアルカリ土類金属塩、例えば、安息香酸カルシウム、アジピン酸カルシウムおよび酢酸バリウム;ポリカルボン酸の塩、例えば、テトラカルボン酸エチレンジアミン四ナトリウムおよびテトラカルボン酸エチレンジアミンマグネシウム二ナトリウム、ならびに不揮発性酸の塩、例えば、リン酸のアルカリ土類金属塩、リン酸のアルカリ金属塩、リン酸のアルカリ土類金属塩、硫酸のアルカリ金属塩、硫酸のアルカリ土類金属塩、金属オキソ酸のアルカリ金属塩、および金属オキソ酸のアルカリ土類金属塩が挙げられるが、それらに限定されない。不揮発性酸の塩の具体的な例としては、NaH2PO3、NaH2PO4、Na2H2PO3、KH2PO4、CsH2PO4、CsH2PO4、Cs2H2PO4、Na2SO4、NaHSO4、NaSbO3、LiSbO3、KSbO3、Mg(SbO3) 2、Na2GeO3、K2GeO3、Li2GeO3、MgGeO3、Mg2GeO4およびそれらの混合物が挙げられる。本明細書に用いられているように、「不揮発性酸」という用語は、そこから触媒が製造される酸が、溶融重合条件下で認知できる蒸気圧を有さないことを意味する。不揮発性酸の例としては、亜リン酸、リン酸、硫酸、ならびにゲルマニウム、アンチモンおよびニオビウムのオキソ酸等の金属「オキソ酸」が挙げられる。
【0128】
既に言及したように、共触媒を使用して溶融重合を実施することができる。典型的には、共触媒は、四級アンモニウム塩または四級ホスホニウム塩であり、使用される溶融重合触媒のモル量の10から250倍に対応する量で使用される。触媒および共触媒を反応混合物に同時に添加してもよいし、触媒および共触媒を重合反応の異なる段階で個別に添加してもよい。
【0129】
bMSCのような活性化カーボネート前駆体(すなわち、炭酸ジフェニルより早く反応するカーボネート前駆体)を使用して、本明細書に記載されているポリカーボネート、ポリエステルおよびコポリエステル-カーボネートポリマーを製造する場合は、ポリマーは、他の溶融または界面法を用いて調製される同様のポリマーと比較して一定の物理的差違を含むことができる。例えば、当該ポリマーは、典型的には、以下に示されるようなある種の内部サリチル酸メチル「屈曲」構造、および式(XVI)、式(XVII)および式(XVIII)で表される単位に示されるbMSCの使用を示す一定量のエンドキャップ構造を含む。
【0130】
【化27】

【0131】
界面重合によってコポリエステル-ポリカーボネート樹脂を調製することもできる。ジカルボン酸そのものを利用するのではなく、対応する酸ハロゲン化物、特に酸二塩化物および酸二臭化物のような該酸の反応性誘導体を用いることが可能である。したがって、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸またはそれらの混合物を使用する代わりに、二塩化イソフタロイル、二塩化テレフタロイルおよびそれらの混合物を用いることが可能である。
【0132】
式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物と、式(XXV)を有するジイソシアネート化合物とを反応させることによって、ポリウレタンを調製することができる。
Q(NCO)2 (XXV)
(式中、Qは、2から28個の炭素原子を有する二価の脂肪族官能基、4から15個の炭素原子を有する二価の脂環式官能基、または6から15個の炭素原子を有する二価の芳香族官能基を含む)。この反応を当該技術分野で知られている方法によって実施することができる。
【0133】
式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物をエピクロロヒドリンと反応させて、式(XXX)のジグリシジルエーテル化合物を形成し、式(XXX)のジグリシジルエーテル化合物を重合して、式(XVI)を有するエポキシド含有ポリマーを与えることによって、エポキシド含有ポリマーを調製することができる。
【0134】
【化28】

【0135】
この反応を当該技術分野で知られている方法によって実施することができる。
【0136】
上記のポリマーに加えて、ポリマーと他の熱可塑性ポリマーとの組合せ、例えば、ポリカーボネートおよび/またはポリカーボネート共重合体と、ポリアミド、ポリエステル、他のポリカーボネート;コポリエステル-ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、ポリエチレンのようなオレフィンポリマー;ポリシロキサン、ポリシランおよびポリスルホンとの組合せを使用することも可能である。本明細書に用いられているように、「組合せ」は、すべての混合物、ブレンドおよび合金を含む。一定の実施形態において、1つまたは複数のさらなる樹脂が、ポリマー組成物の全重量に対して、好ましくは40重量パーセント以下、より好ましくは35重量パーセント以下、最も好ましくは30重量パーセント以下の量で存在していてもよい。
【0137】
添加剤が、好ましくは、熱可塑性組成物の所望の特性に著しく悪影響を及ぼさないように選択されることを条件に、熱可塑性組成物は、ポリカーボネート樹脂に加えて、この種の樹脂組成物に通常組み込まれる様々な添加剤を含むことができる。添加剤の混合物を使用することができる。組成物を形成するための成分を混合している間の好適な時点で当該添加剤を混合することができる。
【0138】
代表的な添加剤としては、充填剤または補強剤、熱安定剤、放射線安定剤、酸化防止剤、光安定剤、UV安定剤、可塑剤、視覚効果向上剤、連鎖延長剤、耐電防止剤、触媒失活剤、離型剤、難燃剤、赤外線遮蔽剤、白化剤、発泡剤、滴下防止剤、耐衝撃性改質剤および処理助剤のような物質が挙げられる。本発明のポリマー組成物に組み込むことができる異なる添加剤は、典型的には、広く使用され、当業者に知られている。
【0139】
好適な充填剤または補強剤としては、例えば、珪酸アルミニウム(ムライト)、合成珪酸カルシウム、珪酸ジルコニウム、溶融シリカ、結晶シリカグラファイトまたは天然珪砂等の珪酸塩およびシリカ粉末;ボロン-ニトリド粉末またはボロン-シリケート粉末等のホウ素粉末;TiO2、酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウム等の酸化物;硫酸カルシウム(その無水物、二水和物または三水和物);白墨、石灰石、大理石または合成沈殿炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム;繊維状、積木状、針状または層状タルク等を含むタルク;珪石灰;表面処理珪石;中空および固体ガラス球体、珪酸球体、セノスフェアまたはアルミノ珪酸(アルモ球体)等のガラス球体;硬質カオリン、軟質カオリン、焼成カオリン、またはポリマーマトリックス樹脂との相溶性を促すための当該技術分野で知られている様々なコーティングを含むカオリン等のカオリン;炭化珪素、アルミナ、炭化ホウ素、鉄、ニッケルまたは銅等の単結晶繊維または「ウィスカー」;アスベスト、炭素繊維、またはE、A、C、ECR、R、S、DもしくはNEガラスのようなガラス繊維等の繊維(連続繊維および細断繊維を含む);硫化モリブデンまたは硫化亜鉛等の硫化物;チタン酸バリウム、亜鉄酸バリウム、硫化バリウムまたは重晶石等のバリウム化合物;微結晶または繊維状アルミニウム、青銅、亜鉛、銅またはニッケル等の金属および金属酸化物;ガラスフレーク、フレーク状炭化珪素、二ホウ化アルミニウム、アルミニウムフレークまたは鋼フレーク等のフレーク状充填剤;繊維状充填剤、例えば、珪酸アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムおよび半水硫酸カルシウムの少なくとも1つを含むブレンドから誘導されるもののような無機短繊維等;セルロース、木綿、サイザル麻、黄麻、デンプン、コルク粉、リグニン、落花生殻、トウモロコシまたは米粒等の木繊維製品を粉砕することによって得られる木粉のような天然充填剤および補強剤;ポリテトラフルオロエチレンのような有機充填剤;ポリ(エーテルケトン)、ポリイミド、ポリベンゾキサゾール、ポリ(硫化フェニレン)、ポリエステル、ポリエチレン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂またはポリ(ビニルアルコール)等の、繊維を形成することが可能な有機ポリマーから形成される
補強有機繊維充填剤;ならびに雲母、粘土、長石、煙塵、フィライト、石英、珪石、パーライト、トリポリ、珪藻土またはカーボンブラック等のさらなる充填剤および補強剤、あるいは上記充填剤または補強剤の少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。
【0140】
充填剤および補強剤を金属材料の層で被覆して、導電性を促すか、あるいはシランで表面処理して、ポリマーマトリックス樹脂との接着性および分散性を向上させることができる。加えて、補強充填剤をモノフィラメントまたはマルチフィラメント繊維の形で与えることができ、単独で、または共織込みまたは殻/鞘並列オレンジ型またはマトリックスおよび微小繊維構造を通じて、あるいは繊維製造の当業者に知られている他の方法によって他の種類の繊維と併用することができる。好適な共織込み構造としては、例えば、ガラス繊維-炭素繊維、炭素繊維-芳香族ポリイミド(アラミド)繊維および芳香族ポリイミドファイバーガラス繊維等が挙げられる。繊維状充填剤を、例えば、0〜90度繊維のような粗糸、または織物繊維補強剤等;連続糸状体マット、細断糸状体マット、組織、紙およびフェルト等の不織布繊維補強剤;または組紐のような三次元補強剤の形で供給することができる。
【0141】
好適な熱安定剤添加物としては、例えば、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス-(2,6-ジメチルフェニル)または亜リン酸トリス-(モノおよびジ混合ノニルフェニル)等の有機亜リン酸塩;ホスホン酸ジメチルベンゼン等のホスホン酸塩、リン酸トリメチル等のリン酸塩、あるいは上記熱安定剤の少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。
【0142】
本発明のポリマー組成物に使用できる酸化防止剤の非限定的な例としては、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル);3,9-ジ(2,4-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン;3,9-ジ(2,4-ジクミルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン;亜リン酸トリス(p-ノニルフェニル);2,2',2"-ニトリロ[亜リン酸トリエチル-トリス[3,3',5,5'-テトラ-tert-ブチル-1,1'-ビフェニル-2'-ジイル]];3,9-ジステアリルオキシ-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン;亜リン酸ジラウリル;3,9-ジ[2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ]-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン;テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4'-ビス(ジフェニレン)ホスホナイト;二リン酸ジステアリルペンタエリスリトール;二リン酸ジイソデシルペンタエリスリトール;亜リン酸2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル-2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール;三リン酸トリステアリルソルビトール;テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4'-ビフェニレンジホスホナイト;(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル)-2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールホスファイト;トリイソデシルホスファイト;および前記化合物の少なくとも1つを含む亜リン酸塩の混合物が挙げられる。
【0143】
使用できるUV安定剤の非限定的な例としては、2-(2'-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾール、例えば、5'-メチル-;3',5'-ジ-tert-ブチル-;5'-tert-ブチル-;5'-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-;5-クロロ-3',5'-ジ-tert-ブチル-;5-クロロ-3'-tert-ブチル-5'-メチル-;3'-sec-ブチル-5'-tert-ブチル-;3'-アルファ-メチルベンジル-5'-メチル;3'-アルファ-メチルベンジル-5'-メチル-5-クロロ-;4'-ヒドロキシ-;4'-メトキシ-;4'-オクトキシ-;3',5'-ジ-tert-アミル-;3'-メチル-5'-カルボメトキシエチル-;5-クロロ-3',5'-ジ-tert-アミル誘導体;およびTinuvin(登録商標)234(Ciba Specialty Chemicalsから入手可能)が挙げられる。2,4-ビス-(2'-ヒドロキシフェニル)-6-アルキル-s-トリアジン、例えば、6-エチル-;6-ヘプタデシルまたは6-ウンデシル誘導体も好適である。2-ヒドロキシベンゾフェノン、例えば、4-ヒドロキシ-;4-メトキシ-;4-オクトキシ-;4-デシルオキシ-;4-ドデシルオキシ-;4-ベンジルオキシ-;4,2',4'-トリヒドロキシ-;2,2',4,4'-テトラヒドロキシ-または2'-ヒドロキシ-4,4'-ジメトキシ誘導体、1,3-ビス-(2'-ヒドロキシベンゾイル)-ベンゼン、例えば、1,3-ビス-(2'-ヒドロキシ-4'-ヘキシルオキシ-ベンゾイル)-ベンゼン;1,3-ビス-(2'-ヒドロキシ-4'-オクチルオキシ-ベンゾイル)-ベンゼンまたは1,3-ビス-(2'-ヒドロキシ-4'-ドデシルオキシベンゾイル)-ベンゼンを用いることもできる。所望により置換された安息香酸のエステル、例えば、サリチル酸フェニル;サリチル酸オクチルフェニル;ジベンゾイルレソルシン;ビス-(4-tert-ブチルベンゾイル)-レソルシン;ベンゾイルレソルシン;3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸-2,4-ジ-tert-ブチルフェニルエステルもしくは-オクタデシルエステルまたは-2-メチル-4,6-ジ-tert-ブチルエステルも同様に採用することかできる。アクリル酸塩、例えば、アルファ-シアノ-β,β-ジフェニルアクリル酸エチルエステルもしくはイソオクチルエステル、アルファ-カルボメトキシ桂皮酸メチルエステル、アルファ-シアノ-ベータ-メチル-p-メトキシ桂皮酸メチルエステルもしくは-ブチルエステルまたはN(ベータ-カルボメトキシビニル)-2-メチルインドリンも同様に採用することができる。シュウ酸ジアミド、例えば、4,4'-ジ-オクチルオキシ-オキサニリド;2,2'-ジ-オクチルオキシ-5,5'-ジ-tert-ブチル-オキサニリド;2,2'-ジ-ドデシルオキシ-5,5-ジ-tert-ブチル-オキサニリド;2-エトキシ-2'-エチル-オキサニリド;N,N'-ビス-(3-ジメチル-アミノプロピル)-オキサルアミド;2-エトキシ-5-tert-ブチル-2'-エチルオキサニリド、および2-エトキシ-2'-エチル-5,4'-ジ-tert-ブチル-オキサニリドとその混合物;オルト-およびパラ-メトキシ-ならびにo-およびp-エトキシ二置換オキサニリドの混合物もUV安定剤として好適である。好ましくは、これらの組成物に使用される紫外線吸収剤は、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;2-[2-ヒドロキシ-3,5-ジ-(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール;2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシベンゾフェノン;ニッケルビス(O-エチル3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート);2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン;2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;2,2'-チオビス(4-tert-ブチルフェノール)とのニッケルブチルアミン錯体;2-エトキシ-2'-エチルオキサニリド;2-エトキシ-2'-エチル-5,5'-ジtert-ブチルオキサニリド、またはそれらの混合物である。
【0144】
可塑剤、潤滑剤および/または離型剤添加剤を使用することもできる。例えば、ジオクチル-4,5-エポキシ-ヘキサヒドロフタレート等のフタル酸エステル;トリス-(オクトキシカルボニルエチル)イソシアヌレート;トリステアリン;二リン酸レソルシノールテトラフェニル(RDP)、ヒドロキノンのビス(ジフェニル)リン酸塩およびビスフェノールAのビス(ジフェニル)リン酸塩のような二官能または多官能芳香族リン酸塩;ポリ-アルファ-オレフィン;エポキシド化大豆油;シリコーン油を含むシリコーン;エステル、例えば、アルキルステアリル、例えばステアリン酸メチルのような脂肪酸エステル;ステアリン酸ステアリルおよびテトラステアリン酸ペンタエリスリトールを含むこれらの種類の材料の間には大きな重複がある。ステアリン酸メチルと、ポリエチレングリコールポリマー、ポリプロピレングリコールポリマーおよびそれらの共重合体を含む親水性および疎水性非イオン性界面活性剤との混合物、例えば、好適な溶媒中ステアリン酸メチルとポリエチレン-ポリプロピレングリコール共重合体との混合物;蜜蝋、モンタン蝋またはパラフィン蝋等の蝋。
【0145】
ときには視覚効果添加剤または顔料として知られる視覚効果向上剤は、封入された形、封入されない形、またはポリマー樹脂を含む粒子に積層された形で存在していてもよい。視覚効果添加剤のいくつかの非限定的な例は、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼、硫化ニッケル、硫化コバルト、硫化マグネシウム、金属酸化物、白雲母、黒雲母、真珠雲母、合成雲母、二酸化チタンをコーティングした雲母、金属がコーティングされたガラスフレーク、およびペリレンレッドを含むが、それに限定されない着色剤である。視覚効果添加剤は、高または低アスペクト比を有することができ、2つ以上の面を含むことができる。ソルベントブルー35、ソルベントブルー36、ディスパースバイオレット26、ソルベントグリーン3、アナプラストオレンジLFP、ペリレンレッドおよびモルプラスレッド36のような染料を用いることができる。パーマネントピンクR(Clariant Corporationの色指数ピグメントレッド181)、ホスタソルレッド5B(Clariant Corporationの色指数#73300、CAS#522-75-8)およびマクロレックスフルオレッセントイエロー10GN(Bayer Corporationの色指数ソルベントイエロー160:1)を含むが、それらに限定されない蛍光染料を用いることもできる。二酸化チタン、硫化亜鉛、カーボンブラック、クロム酸コバルト、チタン酸コバルト、硫化カドミウム、酸化鉄、スルホ珪酸ナトリウムアルミニウム、スルホ珪酸ナトリウム、クロムアンチモンチタンルチル、ニッケルアンチモンチタンルチルおよび酸化亜鉛のような顔料を用いることができる。封入された形の視覚効果添加剤は、ポリマーに封入されたアルミニウムフレークのような高アスペクト比の材料の如き視覚効果材料を通常含む。封入された視覚効果添加剤は、ビーズの形状を有する。
【0146】
「帯電防止剤」という用語は、ポリマー樹脂に処理することができ、かつ/または材料もしくは製品に噴霧して、導電性および全体的な物理的性能を向上させることができるモノマー、オリゴマーまたはポリマー材料を指す。モノマー帯電防止剤の例としては、モノステアリン酸グリセロール、ジステアリン酸グリセロール、トリステアリン酸グリセロール、エトキシ化アミン、一級、二級および三級アミン、エトキシ化アルコール、アルキルサルフェート、アルキルアリールサルフェート、アルキルホスフェート、アルキルアミンサルフェート、ステアリルスルホン酸ナトリウムまたはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸塩、四級アンモニウム塩、四級アンモニウム樹脂、イミダゾリン誘導体、ソルビタンエステル、エタノールアミドまたはベタイン等、あるいは上記モノマー耐電防止剤の少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。
【0147】
代表的なポリマー帯電防止剤としては、それぞれ、ポリアルキレングリコール官能基、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールであってもよい酸化ポリアルキレン単位を含む特定のポリエステルアミド、ポリエーテル-ポリアミド(ポリエーテルアミド)ブロック共重合体、ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体、ポリエーテルエステルまたはポリウレタンが挙げられる。当該ポリマー帯電防止剤は、例えば、Pelestat(商標)6321(Sanyo)、Pebax(商標)H1657(Atofina)ならびにIrgastat(商標)P18およびP22(Ciba-Geigy)のように市販されている。帯電防止剤として使用できる他のポリマー材料は、高温における溶融処理後にそれらの固有の導電性のいくらかを保持するポリアニリン(PanipolからPANIPOL(登録商標)EBとして市販されている)、ポリピロールおよびポリチオフェン(Bayerから市販されている)のような本質的に導電性のポリマーである。一実施形態において、炭素繊維、炭素ナノ繊維、炭素ナノチューブ、カーボンブラック、または上記物質の任意の組合せを、化学的帯電防止剤を含むポリマー樹脂に使用して、組成物に静電散逸性を付与することができる。
【0148】
離型組成物の非限定的な例としては、ペンタエリスリトールのような長鎖脂肪族酸およびアルコール、ゲルベアルコール、長鎖ケトン、シロキサン、アルファ-オレフィンポリマー、長鎖アルカン、ならびに15から600個の炭素原子を有する炭化水素が挙げられる。
【0149】
使用できる難燃剤の非限定的な例としては、スルホン酸カリウムジフェニルスルホン、スルホン酸パーフルオロアルカン、ならびにレソルシノールおよびビスフェノールAのような多価フェノールの亜リン酸エステルが挙げられる。
【0150】
熱可塑性組成物は、耐衝撃性改質剤を所望により含むことができる。耐衝撃性改質剤樹脂は、組成物の全重量に対して1重量パーセントから30重量パーセントに対応する量で熱可塑性組成物に添加される。好適な耐衝撃性改質剤としては、グラフトまたはコアシェルゴム、あるいはこれらの改質剤の2つ以上の組合せのようないくつかの異なるゴムの1つを含むものが挙げられる。耐衝撃性改質剤は、アクリルゴム、ASAゴム、ジエンゴム、オルガノシロキサンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)ゴム;スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEBS)ゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)ゴム、メタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)ゴム、スチレンアクリロニトリル共重合体およびグリシジルエステル耐衝撃性改質剤で例示される。
【0151】
使用できる処理助剤の非限定的な例としては、Doverlube(登録商標)FL- 599(Dover Chemical Corporationから入手可能)、Polyoxyter(登録商標)(Polychem Alloy Inc.から入手可能)、Glycolube(登録商標)P(Lonza Chemical Companyから入手可能)、テトラステアリン酸ペンタエリスリトール、Metablen(登録商標)A-3000(Mitsubishi Rayonから入手可能)および二安息香酸ネオペンチルグリコールが挙げられる。
【0152】
放射線安定剤、特にガンマ放射線安定剤が熱可塑性組成物に存在していてもよい。好適なガンマ放射線安定剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、メソ-2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオールおよび1,4-ヘキサンジオールのようなジオール;1,2-シクロペンタンジオールおよび1,2-シクロヘキサンジオールのような脂環式アルコール;2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール(ピナコール)のような分枝状非環式ジオール、およびポリオール、ならびにアルコキシ置換環式または非環式アルカンが挙げられる。不飽和部位を有するアルケノールも有用なアルコール類であり、その例としては、4-メチル-4-ペンテン-2-オール、3-メチル-ペンテン-3-オール、2-メチル-4-ペンテン-2-オール、2,4-ジメチル-4-ペンテン-2-オールおよび9-デセン-1-オールが挙げられる。別の好適なアルコール類は、少なくとも1つのヒドロキシ置換三級炭素を有する三級アルコールである。これらの例としては、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(ヘキシレングリコール)、2-フェニル-2-ブタノール、3-ヒドロキシ-3-メチル-2-ブタノンおよび2-フェニル-2-ブタノール、ならびに1-ヒドロキシ-1-メチル-シクロヘキサンのような脂環式三級炭素が挙げられる。別の好適なアルコール類は、芳香族環の不飽和炭素に結合した飽和炭素上にヒドロキシ置換基を有するヒドロキシメチル芳香族化合物である。ヒドロキシ置換飽和炭素は、メチロール基(-CH2OH)であってもよいし、(-CR12HOH)または(-CR212OH)(式中、R12は、錯体または単に炭化水素である)の場合のようなより複雑な炭化水素基の構成要素であってもよい。具体的なヒドロキシメチル芳香族化合物は、ベンズヒドロール1,3-ベンゼンジメタノール、ベンジルアルコール、4-ベンジルオキシベンジルアルコールおよびベンジルベンジルアルコールであってもよい。具体的なアルコールは、2-メチル-2,4-ペンタンジオール(ヘキシレングリコールとしても知られる)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールである。
【0153】
発泡が望まれる場合は、発泡剤を組成物に添加することができる。好適な発泡剤としては、例えば、低沸点ハロ炭化水素;二酸化炭素を発生するもの;室温で固体であり、それらの分解温度より高い温度に加熱すると、窒素、二酸化炭素、アンモニアガス等を生成するアゾジカルボンアミド、アゾジカルボンアミドの金属塩、4,4'-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等の発泡剤、あるいは上記発泡剤の少なくとも1つを含む組合せが挙げられる。
【0154】
滴下防止剤、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のような微小繊維形成または非微小繊維形成フルオロポリマーを使用することもできる。滴下防止剤を上記の硬質共重合体、例えば、スチレンアクリロニトリル共重合体(SAN)によって封入することができる。SANに封入されたPTFEは、TSANとして知られる。封入用ポリマーをフルオロポリマー、例えば水性分散物の存在下で重合することによって封入フルオロポリマーを製造することができる。TSANは、TSANをより容易に組成物に分散できるという点で、PTFEに比べて有意な利点を提供することができる。好適なTSANは、例えば、封入フルオロポリマーの全重量に対して50重量パーセントのPTFEおよび50重量パーセントのSANを含むことができる。SANは、例えば、共重合体の全重量に対して75重量パーセントのスチレンおよび25重量パーセントのアクリロニトリルを含むことができる。あるいは、フルオロポリマーを何らかの方法で、例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂またはSANのような第2のポリマーと前混合して、滴下防止剤として使用される凝集物を形成することができる。いずれの方法を用いても、封入フルオロポリマーを製造することができる。
【0155】
熱可塑性組成物を当該技術分野で広く使用されている方法によって製造することができ、例えば一実施形態において、1つの手順では、粉末化ポリマー樹脂および/または他の随意の成分をHenschel(商標)高速混合機で最初に混合する。手練りを含むが、それに限定されない他の低剪断法でもこの混合を遂行することができる。次いで、混合物を、ホッパーを介して二軸押出機ののど部に供給する。あるいは、成分の1種または複数種を側方スタッファーを介してのど部および/または下流から押出機に直接供給することによって組成物に組み込むことができる。当該添加剤を所望のポリマー樹脂とともにマスターバッチに混入し、押出機に供給することもできる。押出機は、一般には、組成物を流動させるのに必要な温度より高い温度で動作する。押出物を水バッチで直ちに急冷し、造粒する。押出物を切断したときに、そのようにして調製されたペレットの長さは、要望に応じて4分の1インチ以下であってもよい。当該ペレットを後続の成型、成形または形成に使用することができる。
【0156】
ポリカーボネート組成物を含む成形、形成または成型品も提供される。ポリカーボネート組成物を射出成形、押出、回転成形、ブロー成形および熱成形のような様々な手段によって有用な成形品に成形して、例えば、モニター用筐体のようなコンピュータおよびビジネス装置筐体、携帯電話用筐体のような携帯電子デバイス筐体、電気コネクタ、ならびに照明器具の部品、装飾品、家庭電化器具、屋根、温室、サンルーム、スイミングプール筐壁および自動車器具(例えばヘッドランプ用前方照明筐体)のような製品を形成することができる。
【0157】
以下の非限定的な実施例を参照しながら開示内容をより詳細に説明する。
【0158】
(実施例)
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、製品化合物の変換を確認した。長さ15センチメートル、内径4.6ミリメートルおよび厚さ5マイクロメートルのXterra C18カラムを分析に使用した。
【0159】
カラム温度を30℃に維持した。カラムを90%の水(0.05%のオルトリン酸を含む)および10%のアセトニトリルで溶出した。カラムにおけるサンプルの流量を1.00ml/分に維持し、サンプル射出量を5マイクロリットルとした。全処理時間は、35分であった。
【0160】
本明細書に記載されている出発材料および製品のプロトンNMRスペクトルを、重水素クロロホルムまたはd6-ジメチルスルホキシドを溶媒として使用する300メガヘルツBruker NMR分光計を使用して測定した。液体クロマトグラフおよびQuattro Ultima Pt質量分光計を含む液体クロマトグラフ-質量分光計(LC-MS)システムによって化合物をさらに特徴づけた。
【0161】
(実施例1)
本実施例では、N-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-[4-[(4-ヒドロキシ-フェニルカルバモイル)-メトキシ]-フェノキシ]-アセトアミドを調製するための方法を提示する。該方法は、以下に記載する3つのステップを含む。
【0162】
ステップA:(4-カルボキシメトキシ-フェノキシ)-酢酸(二酸)の調製
水酸化ナトリウムの水溶液(水267ミリリットル(ml)中88グラム(g))に対して、1,4-ヒドロキノン(55g;純度99%超)を少しずつ充填し、得られた混合物を窒素雰囲気下で撹拌した。混合物を10℃まで冷却し、クロロ酢酸の水溶液(水47.2ml中CAA94.5g)を以上のように調製したヒドロキノン溶液に一滴ずつ添加し、得られた反応混合物の温度を10℃未満に維持した。反応混合物を10℃で30分間(min)撹拌した。次いで、反応混合物を80℃まで加熱し、N2雰囲気下で80℃に36から48時間(hrs)維持した。80℃に加熱してから6時間後にHPLCによって反応を監視した。反応混合物に一酸の存在が検出されたため、クロロ酢酸の水溶液(水19.8mlに9.4g溶解)を添加した。加熱を80℃でさらに1から3時間継続し、一酸の濃度が(LC/NMRに基づいて)3%未満になるまでその手順を繰り返した。反応混合物を25℃まで冷却し、撹拌しながらHCl水溶液(1:1;0〜5℃)を添加することによって内容物を酸性化した。固体を濾過によって回収し、洗浄液が中性になるまで水で洗浄した。固体をオーブンにて85℃で8時間乾燥させた。生成物の重量は45gで、HPLCで測定した純度は90パーセントであった。
【0163】
(4-カルボキシメトキシ-フェノキシ)-酢酸(二酸)の精製
以上のように調製した二酸(30g)を90mlのジメチルホルムアミドに溶解させ、60℃まで加温し、木炭(0.5g)を添加した。高温混合物をセライト床で濾過した。濾液を90mlのメタノールおよび600mlの脱イオン水で撹拌しながら希釈して、固体を沈殿させた。得られた固体を濾過し、乾燥させた。精製後に得られた生成物の重量は、純度99パーセントで32gであった。その生成物のNMRピークは、1H NMR:DMSO-d6:δ 4.6 (m、4H、O-CH2)、6.85 (m、4H、Ar-O-H)、(DMSO-ジメチルスルホキシド)であった。
【0164】
ステップB:(4-カルボキシメトキシ-フェノキシ)-酢酸の二酸塩化物の調製
ステップAの精製した二酸(40.25g、乾燥生成物)を反応フラスコに充填した。次いで、1,2-ジクロロエタン(125ml)およびジメチルホルムアミド(5ml)を二酸に添加した。塩化チオニル(47.2g)を二酸-ジクロロエタン混合物に一滴ずつ添加した。塩化チオニルの添加を完了した後、反応混合物を85℃で加熱し、6時間維持した。次いで、混合物を室温(25℃)まで冷却した。余剰の塩化チオニルおよび1,2-ジクロロエタンを真空下で55から60℃にて蒸留除去した。溶媒および余剰の塩化チオニルを完全に除去した後、1,2-ジクロロエタン(25ml)を残渣に充填し、蒸留除去して、二酸塩化物の固体を得た。
【0165】
ステップC:N-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-[4-[(4-ヒドロキシ-フェニルカルバモイル)-メトキシ]-フェノキシ]-アセトアミド
ステップBで得られた二酸塩化物をジメチルホルムアミド(100ml)に溶解させ、N2雰囲気下に保存した。4-アミノフェノールの溶液(125mlのジメチルホルムアミドに26.2g溶解)をN2雰囲気下に置いた。混合物を撹拌して、透明溶液を得て、次いでトリエチルアミン(25g)を添加した。混合物を0から5℃まで冷却し、次いで30分間撹拌した。以上のように調製した二酸塩化物溶液を滴下漏斗に充填し、0から5℃に保たれたアミノフェノール-トリエチルアミンの撹拌溶液に30分間にわたって添加した。次いで、混合物を5℃で1時間撹拌し、室温で2時間撹拌した。反応をHPLCで監視して、4-アミノフェノールが存在しなくなるのを確認した。アミノフェノール含有量が2%未満である場合は、混合物をHCl(12ml、1:1、0〜5℃)で酸性化した。得られた混合物を30分間撹拌し、次いで固体を吸引下で濾過した。洗浄液が中性になるまで固体を水で洗浄した。その物質を65から70℃のオーブンで6時間乾燥させた。得られた生成物は、重量が45gで、HPLCに基づく純度が90から92パーセントであった。
【0166】
最終生成物の精製
ステップCで得られた生成物(50g)を200mlのジメチルホルムアミドに溶解させ、加熱して、透明溶液を得た(70℃)。重硫酸ナトリウムの水溶液(水1ml中0.5g)をジメチルホルムアミド溶液に添加し、20分間撹拌した。木炭(2g)を混合物に添加し、5分間加熱した。得られたスラリーを濾過した。水(200ml)を濾液に撹拌しながら添加した。得られた固体を濾過し、その物質を真空下で2時間空気乾燥させた。固体を300mlのアセトニトリルに懸濁し、65℃に加熱した。次いでスラリーを濾過した。固体を乾燥させ、HPLCで純度を確認した。固体を85℃のオーブンで6時間乾燥させた。得られた生成物は、重量が36gで、LCに基づく純度が99.2%であった。NMRデータ: 1H NMR: DMSO-d6: δ 4.52 (m, 4H, O-CH2)、6.7 (m, 4H, Ar-O-H)、6.9 (m, 4H, Ar-NH-H)、7.4 (m, 4H, キノール-H)、9.3 (bs, 2H, OH)、9.7 (bs, 2H, NH)
【0167】
(実施例2)
本実施例では、N-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-[4-[(4-ヒドロキシ-フェニルカルバモイル)-メトキシ]-フェノキシ]-アセトアミドを調製するための方法を提示する。該方法は、以下に記載する3つのステップを含む。
【0168】
ステップA:(4-カルボキシメトキシ-2-メチル-フェノキシ)-酢酸(二酸)の調製
ヒドロキノンをメチルヒドロキノン(62g)で置換したことを除いては、実施例1のステップAで記載したのと同様の手順を用いて、(4-カルボキシメトキシ-2-メチル-フェノキシ)-酢酸を調製した。他の試薬および溶媒を上記手順で記載したように使用した。得られた生成物は、重量が50gで、HPLCに基づく純度が95パーセントであった。
【0169】
(4-カルボキシメトキシ-2-メチル-フェノキシ)-酢酸(二酸)の精製
二酸の溶液(ジメチルホルムアミド90ml中30g)を60℃に加温し、木炭(0.5g)を添加した。スラリーをセライト床で濾過し、濾液を撹拌しながらメタノール(90ml)および脱イオン水(600ml)で希釈した。得られた固体を濾過し、乾燥させた。精製後に得られた生成物は、重量が36gで、LCによって示される純度が99パーセントであった。NMRデータ: 1H NMR: DMSO-d6: δ 2.18 (m, 3H)、4.6 (m, 4H, O-CH2)、6.6〜6.8 (m, 4H, Ar-O-H)。
【0170】
ステップB:塩化(4-クロロカルボニルメトキシ-2-メチル-フェノキシ)-アセチル(二酸塩化物)の調製
実施例1の(4-カルボキシメトキシ-フェノキシ)-酢酸の代わりに実施例2の(4-カルボキシメトキシ-2-メチル-フェノキシ)-酢酸を使用したことを除いては、実施例1のステップBで用いたのと同様の手順を用いて二酸塩化物を調製した。
【0171】
ステップC:N-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-{4-[(4-ヒドロキシ-フェニルカルバモイル)-メトキシ]-フェノキシ}-アセトアミドの調製
実施例1の(4-カルボキシメトキシ-フェノキシ)-酢酸の代わりに実施例2の(4-カルボキシメトキシ-2-メチル-フェノキシ)-酢酸の二酸塩化物を使用したことを除いては、実施例1のステップCと同様にしてアセトアミドを調製した。得られた生成物は、重量が45gで、LC/MSによって示される純度が90から92パーセントであった。NMRデータ: 1H NMR: DMSO-d6: δ 2.3 (s, 3H, Me-H)、4.6 (m, 4H, Ar-O-CH2)、6.6 (m, 7H, Ar-O-Hおよびキノール-H)、7.4 (m, 4H, Ar-NH-H)、9.3 (bs, 2H, OH)、9.7 (bs, 2H, NH)。
【0172】
(実施例3)
本実施例では、N-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-(4-(1-メチル-1-[4-(4-ヒドロキシフェニルカルボミル-メトキシ)-フェニル]-エチル)-フェノキシ)-アセトアミドを調製するための方法を提示する。該方法は、以下に記載する3つのステップを含む。
【0173】
ステップA:(4-[1-(4-エトキシカルボニルメトキシ-フェニル)-1-メチル-エチル]-フェノキシ)酢酸エチルエステル(ジエステル)の調製
炭酸カリウム(41.4g)をBPAのアセトン溶液(アセトン310ml中22.8g)に室温で添加した。ヨウ化ナトリウム(45.0g)を上記混合物に充填した。酢酸エチルブロモ(52.0g)を上記混合物に室温で一滴ずつ添加した。次いで、得られた混合物を65℃(浴槽温度;反応温度は55℃)で36時間還流させた。アセトンを100mmHgの圧力下、50℃にて真空下で蒸留除去した。水(400ml)を残渣に添加し、得られた混合物をジクロロメタン(2×300ml;1×100ml)で抽出した。有機層を水酸化ナトリウム水溶液(5パーセント溶液;5×200ml)で洗浄した後、洗浄液が中性のpHを示すまで水(2×300ml)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。次いで、ジクロロメタンを50℃にて減圧下(400mmHg)で除去した。得られた生成物は、重量が34.7gの油状物質であった。
【0174】
ステップB:(4-[1-(4-カルボキシメトキシ-フェニル)-1-メチル-エチル]-フェノキシ)-酢酸(二酸)の調製
ジエステル(ステップAで得られた34.7g)をテトラヒドロフラン(290ml)およびエタノール(290ml)に溶解させた溶液を反応容器に採取した。KOHのエタノール溶液(エタノール290mlに溶解させた19.7g)を室温で上記溶液に添加した。得られた乳状溶液を室温で19時間撹拌し、溶媒を減圧下(60℃、10mmHg)で除去した。得られた固体を水(400ml)に溶解させ、エーテル(150ml)で洗浄した。水層を10℃まで冷却し、希HCl(4.5パーセント、100ml)を添加して、水層のpHを4〜5とした。得られた混合物を氷浴(0から5℃)で1時間撹拌した。得られた固体を濾過し、洗浄液が中性のpHを示すまで冷水(250ml)で洗浄した。粗製の二酸をメタノール中で再結晶させ、乾燥させて、18.2gの生成物を得た。
【0175】
酸塩化物の調製
(4-[1-(4-カルボキシメトキシ-フェニル)-1-メチル-エチル]-フェノキシ)-酢酸(二酸;18.2g)とジクロロエタン(80ml)の混合物を室温で撹拌した。塩化チオニル(23ml)を上記混合物に一滴ずつ添加した後、ジメチルホルムアミド(2滴)を室温で添加した。得られた混合物を90℃で4時間還流させた。溶媒を60℃未満の温度にて減圧下で除去した。ジクロロエタン(30ml)を添加し、次いで蒸留して、微量の塩化チオニルを除去した。得られた生成物は、重量が20.2gの油状物質であった。
【0176】
ステップC:N-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-[4-[1-[4-[(4-ヒドロキシ-フェニルカルバモイル)-メトキシ]-フェニル]-1-メチル-エチル]-フェノキシ]-アセトアミドの調製
ジメチルホルムアミド(50ml)、p-アミノフェノール(13.0g)およびトリエチルアミン(25ml)を室温で250mlの丸底フラスコに充填した。フラスコの内容物を2〜5℃まで冷却し、ステップBで調製された酸塩化物の溶液(20.2gの酸塩化物を35mlのジメチルホルムアミドに溶解)を30分間にわたって一滴ずつ添加した。得られた反応混合物を10℃で1時間撹拌し、室温で20時間撹拌した。次いで、反応混合物を2〜5℃まで冷却し、700gの氷に注いだ。得られた混合物を希HCl(10パーセント;10ml)で酸性化した。次いで、固体を濾過して、重量(湿重量)が85gの生成物を得た。湿った生成物をそのまま精製に供した。
【0177】
N-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-[4-[1-[4-[(4-ヒドロキシ-フェニルカルバモイル)-メトキシ]-フェニル]-1-メチル-エチル]-フェノキシ]-アセトアミドの精製
粗製固体を400mlの10パーセント水酸化ナトリウム溶液に溶解させ、室温で30分間撹拌した。得られた混合物を希HCl(18パーセント;250ml)で酸性化し、酢酸エチルで抽出した。溶液を木綿で濾過して、粘着性物質を除去した。溶媒を蒸留除去し、ヘキサン(100ml)を残渣に添加し、得られた混合物を20分間撹拌した。得られた固体を濾過し、メタノール/水(メタノール6部:水1部)で2回再結晶させて、重量が8gで、融解点が206℃の生成物を得た。
【0178】
先述の実施例からわかるように、式(I)を有するジヒドロキシ芳香族化合物を実施例1、2および3に示されるようにして容易に調製することが可能である。
【0179】
以下の実施例は、本明細書に記載されているジヒドロキシ芳香族化合物を使用して製造されるポリマーに関する。該ポリマーの分子量(Mw)を、PLgel 5μm(103オングストロームおよび105オングストローム)カラムに35℃で通したクロロホルムおよび254ナノメートルでのUV検出器を使用して、Shimadzuシステムによるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、ポリスチレン標準と比較した。ポリマーのガラス転移温度(Tg)をTAのDSC2920で分析したが、値は℃で示される。多分散性指数(PDI)は、重量平均分子量の数平均分子量に対する比である。PDIは、ポリマーサンプル(約10ミリグラム(mg))を1mlのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解させ、9mlのクロロホルム(CHCl3)で補完することによって測定される。実施例10において、移動相は、95容量パーセントのCHCl3中5容量パーセントのHFIPからなる。試験溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、トルエンまたはエタノール)の液滴を(10重量%のポリマーのクロロホルム溶液から流延された)ポリマーフィルム上に落とす「滴下試験」法を実施することによってポリマーの耐化学薬品性を評価した。1分後、液滴を拭き取り、表面を欠陥(曇り、粘着性残留物)について目視検査することによって耐化学薬品性を評価し、合格または不合格の標示を行った。
【0180】
(実施例4〜11)
N-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-[4-[(4-ヒドロキシ-フェニルカルボモイル)-メトキシ]-フェノキシ]アセトアミド(HQ-BAAP)-ビスフェノールA(BPA)共重合体の調製
共重合体を調製するために用いられる一般的な手順を以下に示す。ガラス反応管を0.1NのHClで一晩不活性化した。次いで、管を脱イオン水で数回洗浄した後、Milli-Qシステムを使用して精製された水で洗浄し、次いでアセトンで洗浄した。次いで、管を空気で乾燥させた。炭酸ビスメチルサリチル(bMSC;20g;0.0606モル)、HQ-BAAP(2.4g;0.0059モル)およびビスフェノールA(12.09g;0.0529モル)をガラス管に加えた。水酸化ナトリウム(3.53マイクログラム、0.088×10-6モル)および水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH;536マイクログラム、5.88×10-6モル)を反応混合物に添加した。次いで、混合物を180℃に加熱した。混合物をこの温度で6分間継続的に撹拌した。次いで、260℃まで昇温させ、圧力を101×103ニュートン毎平方メートル雰囲気まで下げた。6分後、圧力を10×103ニュートン毎平方メートルまで徐々に下げた。10分後、この温度および圧力から、280℃までさらに昇温させ、圧力を0ニュートン毎平方メートルまで下げた。反応全体を通じてサリチル酸メチル副産物を継続的に除去した。10分後、これらの最終条件において、反応器を(N2を使用して)雰囲気圧力に戻し、内容物を除去した。澄んだ透明のポリマーを得た。ポリマーサンプルのTgは、140から145℃の範囲であった。モノマーの溶融点は、270℃であった。表1は、上記のようにして調製され、10:90のHQ-BAAP対BPA比を有する異なるサンプルの分子量および多分散性指数(PDI)を示す。
【0181】
【表1】

【0182】
(実施例12〜14)
N-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-[4-[(4-ヒドロキシ-フェニルカルボモイル)-メトキシ]-2-メチル-フェノキシ]-アセトアミド(MeHQ-BAAP)-ビスフェノールA(BPA)共重合体の調製
HQ-BAAPの代わりに様々な量のMeHQ-BAAPを使用したことを除いては、実施例4〜11について行ったのと同様の方法を実施例12〜14について用いて、ビスフェノールAとの様々なコモノマー比のポリマーを得た。結果は、以下の表2に含まれる。
【0183】
【表2】

【0184】
50モル%のMeHQ-bAAP/50モル%のBPAを有するポリマーのフィルムを上記のようにアセトン、メチルエチルケトンおよびトルエンに接触させると、それは、1分間の接触時間後に、粘着性または曇りの増加を示さなかった。
【0185】
(実施例15)
N-(4-ヒドロキシ-フェニル)-2-[4-[(4-ヒドロキシ-フェニルカルボモイル)-メトキシ]-フェノキシ]-アセトアミド(HQ-BAAP)-ビスフェノールA(BPA)共重合体
[0100] 二塩化エチレン(500ml)、脱イオン水(300ml)、HQ-BAAP(4.3g)、ビスフェノールA(45.7g)、p-クミルフェノール(0.67g)およびトリエチルアミン(0.44ml)を、撹拌機、凝縮器および苛性通気洗浄器が装備された2リットルフラスコに充填した。ホスゲン(27.5g)を激しく撹拌しながら2.0g/分の速度で添加し、水酸化ナトリウムの50重量パーセント溶液を、9から10のpHを維持する速度で添加した。ホスゲン添加を完了したら、バッチを窒素で10分間浄化して、ホスゲンを完全に除去した。撹拌を停止しても、相分離が観察されなかった。反応器の内容物を2リットル分離漏斗に移し、1NのHCl(500ml)を50mlずつその漏斗に充填し、酸を添加する毎に内容物を振盪・通気した。酸性化後に、相を静止したまま分離させた。
【0186】
ポリマーを含む得られた有機相を1NのHCl(1×500ml)で洗浄し、次いで脱イオン水(3×500ml)で洗浄した。次いで、洗浄したポリマー溶液を急激に撹拌しながら約2リットルの熱水にゆっくり供給して、二塩化エチレンを流し出し、得られた白色ポリマーを濾過によって単離し、110℃で一晩空気乾燥させて、5モルパーセントのHQ-BAAPポリマーを得た。
【0187】
(実施例16)
二塩化メチレン(500ml)、脱イオン水(300ml)、HQ-BAAP(32.1g)、ビスフェノールA(17.92g)、p-クミルフェノール(0.50g)およびトリエチルアミン(0.33ml)を、撹拌機、凝縮器および苛性通気洗浄器が装備された2リットルフラスコに充填した。ホスゲン(20.4g)を激しく撹拌しながら1.0g/分の速度で添加し、水酸化ナトリウムの50重量パーセント溶液を、9から10のpHを維持する速度で添加した。ホスゲン添加を完了したら、バッチを窒素で10分間浄化して、ホスゲンを完全に除去した。撹拌を停止しても、相分離が観察されなかった。反応器の内容物を2リットル分離漏斗に移し、1NのHCl(500ml)を50mlずつその漏斗に充填し、酸を添加する毎に内容物を振盪・通気した。酸性化後に、相を静止したまま分離させた。
【0188】
ポリマーを含む得られた有機相を1NのHCl(1×500ml)で洗浄し、次いで脱イオン水(3×500ml)で洗浄した。次いで、洗浄したポリマー溶液を急激に撹拌しながら約2リットルの熱水にゆっくり供給して、二塩化メチレンを流し出し、得られた白色ポリマーを濾過によって単離し、110℃で一晩空気乾燥させて、50モルパーセントのHQ-BAAPポリマーを得た。
【0189】
(実施例17)
二塩化メチレン(200ml)、脱イオン水(300ml)、HQ-BAAP(4.87g)、ビスフェノールA(18.79g)、p-クミルフェノール(0.30g)およびトリエチルアミン(0.13ml)を、撹拌機、凝縮器および苛性通気洗浄器が装備された2リットルフラスコに充填した。ホスゲン(12.2g)を激しく撹拌しながら1.0g/分の速度で添加し、水酸化ナトリウムの50重量パーセント溶液を、9から10のpHを維持する速度で添加した。ホスゲン添加を完了したら、バッチを窒素で10分間浄化して、ホスゲンを完全に除去した。撹拌を停止しても、相分離が観察されなかった。反応器の内容物を2リットル分離漏斗に移し、1NのHCl(500ml)を50mlずつその漏斗に充填し、酸を添加する毎に内容物を振盪・通気した。酸性化後に、相を静止したまま分離させた。
【0190】
ポリマーを含む得られた有機相を1NのHCl(1×500ml)で洗浄し、次いで脱イオン水(3×500ml)で洗浄した。次いで、洗浄したポリマー溶液を急激に撹拌しながら約2リットルの熱水にゆっくり供給して、二塩化メチレンを流し出し、得られた白色ポリマーを濾過によって単離し、110℃で一晩空気乾燥させて、50モルパーセントのHQ-BAAPポリマーを得た。
【0191】
例示を目的として典型的な実施形態について記載したが、先述の説明は、本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではない。よって、本発明の主旨および範囲から一脱することなく、当業者にとって様々な修正、改変および変更を加えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(III)の化合物を式(IV)の化合物と第1の塩基の存在下で反応させて、式(V)の化合物を生成するステップと、
【化1】

式(V)の化合物をハロゲン化剤と第1の触媒の存在下で反応させて、式(VI)の化合物を生成するステップと、
【化2】

式(VI)の化合物を式(VII)の化合物と第2の塩基の存在下で反応させて、式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物を生成するステップとを含む方法
【化3】

(式中、R1は、6から20個の炭素原子を有する芳香族二価官能基であり、R2は、それぞれの出現において同一または異なっていてもよく、それぞれの出現において独立に、シアノ官能基、ニトロ官能基、ハロゲン、1から10個の炭素原子を有する脂肪族官能基、3から10個の炭素原子を有する脂環式官能基、および6から10個の炭素原子を有する芳香族官能基からなる群から選択され、R3は、水素、または1から10個の炭素原子を有する脂肪族官能基であり、XおよびX1は、ともに独立に、塩素および臭素からなる群から選択されるハロゲンであり、「n」は、0から4の値を有する整数である)。
【請求項2】
式(XIV)の化合物をアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属炭酸塩の存在下で加水分解して、
【化4】

式(V)の化合物を得るステップをさらに含む、請求項1に記載の方法
【化5】

(式中、R1は、6から60個の炭素原子を有する芳香族官能基であり、R3は、1から10個の炭素原子を有する脂肪族官能基からなる群から選択される)。
【請求項3】
芳香族二価官能基R1が、式(XIV)を有するジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される、請求項1に記載の方法
【化6】

(式中、各G1は、それぞれの出現において独立に、6から20個の炭素原子を有する芳香族基であり;Eは、それぞれの出現において独立に、3から20個の炭素原子を有する脂環式基、6から20個の炭素原子を有する芳香族基、1から20個の炭素原子を有する脂肪族基、硫黄含有結合、リン含有結合または酸素原子であり;「t」は、1以上10,000以下の数字であり;「s」は、0または1であり;「u」は、0から10,000の整数である)。
【請求項4】
式(III)の化合物が、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、レソルシノールまたはビスフェノールAである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法によって製造されるジヒドロキシ芳香族化合物。
【請求項6】
請求項5に記載のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される少なくとも1つの構造単位を含むポリマー。
【請求項7】
ポリカーボネート、ポリエステル、コポリエステルカーボネート、ポリウレタンまたはエポキシド含有ポリマーである、請求項6に記載のポリマー。
【請求項8】
式(XIX)の反復構造カーボネート単位を含む請求項7に記載のポリカーボネート
【化7】

(式中、R4基の総数の少なくとも60パーセントは芳香族官能基であり、その残りは、脂肪族、脂環式または芳香族官能基であり、さらに少なくとも1つのR4基は、式(I)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導される構造単位である)。
【請求項9】
ビスフェノールAから誘導される構造単位をさらに含む、請求項8に記載のポリカーボネート。
【請求項10】
式(XVI)、式(XVII)および式(XVIII)
【化8】

を有する少なくとも1つの構造単位をさらに含む、請求項7に記載のポリカーボネート、ポリエステルまたはコポリエステルカーボネート。

【公表番号】特表2009−517472(P2009−517472A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543374(P2008−543374)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/045456
【国際公開番号】WO2007/064608
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】