説明

スイッチング回路及び電源装置

【課題】 半導体スイッチが故障することを抑制することのできるスイッチング回路を提供する。
【解決手段】
電源装置1は、電流路内に配置されオン・オフ動作可能なメインFET131と、メインFET131にオン・オフ動作を行わせる制御部19と、メインFET131の温度を検出する第1サーミスタ134と、電流路内においてメインFET131と並列に配置されオン・オフ動作可能なサブFET132と、を備え、制御部19は、メインFET131の温度が所定温度を超えた場合に、オン・オフ動作を行わせるFETをメインFET131からサブFET132に切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電流路に配置された半導体スイッチを高速スイッチングさせることにより直流電力を交流電力に変換するスイッチング回路が知られている。特許文献1に記載の発明では、半導体スイッチが故障した場合のバックアップのために、電流路に複数の半導体スイッチを配置している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−160952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、半導体スイッチが故障することを抑制することのできるスイッチング回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、電流路内に配置されオン・オフ動作可能なメイン半導体スイッチと、前記メイン半導体スイッチにオン・オフ動作を行わせる制御部と、を備えたスイッチング回路であって、前記メイン半導体スイッチの温度を検出する第1温度検出部と、前記電流路内において前記メイン半導体スイッチと並列に配置されオン・オフ動作可能なサブ半導体スイッチと、を更に備え、前記制御部は、前記メイン半導体スイッチの温度が所定温度を超えた場合に、前記オン・オフ動作を行わせる半導体スイッチを前記メイン半導体スイッチから前記サブ半導体スイッチに切り替えることを特徴とするスイッチング回路を提供している。
【0006】
このような構成によれば、メイン半導体スイッチが温度上昇により故障することを抑制することができる。
【0007】
また、本発明のスイッチング回路は、前記サブ半導体スイッチの温度を検出する第2温度検出部を更に備え、前記制御部は、前記サブ半導体スイッチの温度が所定温度を超えた場合に、前記オン・オフ動作を行わせる半導体スイッチを前記サブ半導体スイッチから前記メイン半導体スイッチに切り替えることが好ましい。
【0008】
このような構成によれば、サブ半導体スイッチが温度上昇により故障することを抑制することができる。
【0009】
また、本発明のスイッチング回路は、交流電力の電圧を変圧する変圧回路を更に備え、前記メイン半導体スイッチ及び前記サブ半導体スイッチは、前記オン・オフ動作を行うことにより直流電力を交流電力に変換し、前記変圧回路は、前記メイン半導体スイッチ及び前記サブ半導体スイッチにより変換された交流電力の電圧を変圧することが好ましい。
【0010】
また、本発明のスイッチング回路は、直流電力を交流電力に変換するインバータ回路を更に備え、前記メイン半導体スイッチ及び前記サブ半導体スイッチは、前記インバータ回路の一部として、前記オン・オフ動作を行うことにより直流電力を交流電力に変換することが好ましい。
【0011】
また、本発明のスイッチング回路は、前記メイン半導体スイッチ及び前記サブ半導体スイッチは、それぞれ、FETから構成されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明のスイッチング回路は、前記電流路において、前記メイン半導体スイッチと直列に接続された保護スイッチを更に備え、前記制御部は、前記メイン半導体スイッチにオン・オン動作を行わせる期間には前記保護スイッチをオンさせ、前記メイン半導体スイッチにオン・オン動作を行わせない期間には前記保護スイッチをオフさせることが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、オン・オフ動作を行わせない期間にメイン半導体スイッチに電流が流れることを確実に防止することができる。
【0014】
また、別の観点による本発明は、電流路内に配置されオン・オフ動作可能なメイン半導体スイッチと、前記電流路内において前記メイン半導体スイッチと並列に配置されオン・オフ動作可能なサブ半導体スイッチと、前記メイン半導体スイッチの温度を検出する第1温度検出部と、前記メイン半導体スイッチにオン・オフ動作を行わせる制御部と、を備え、前記制御部は、前記メイン半導体スイッチの温度が所定温度を超えた場合に、前記オン・オフ動作を行わせる半導体スイッチを前記メイン半導体スイッチから前記サブ半導体スイッチに切り替えることを特徴とする電源装置を提供している。
【発明の効果】
【0015】
本発明のスイッチング回路によれば、半導体スイッチが故障することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態による電源装置の回路図
【図2】本発明の実施の形態による昇圧回路に対する切替制御のフローチャート
【図3】本発明の実施の形態によるインバータ回路に対する切替制御のフローチャート
【図4】本発明の変形例による電源装置の回路図
【図5】本発明の変形例による昇圧回路に対する切り替え制御のフローチャート
【図6】本発明の変形例によるインバータ回路に対する切り替え制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のスイッチング回路の一実施の形態による電源装置1について添付図面を参照して説明する。
【0018】
図1に示すように、電源装置1は、電池パック2と電動工具3との間に接続されることにより、電池パック2から供給された直流電力を所定の交流電力に変換して電動工具3のACモータ31に出力可能であり、電池電圧検出部11と、電源部12と、昇圧回路13と、整流・平滑回路14と、昇圧電圧検出部15と、インバータ回路16と、電流検出抵抗17と、PWM信号出力部18と、制御部19と、を備えている。
【0019】
電池電圧検出部11は、抵抗111及び112から構成されており、プラス端子1A及びマイナス端子1Bを介して電池パック2から供給された電池電圧の抵抗111及び112による分圧電圧を制御部19に出力する。
【0020】
電源部12は、主に、電源スイッチ121と、三端子レギュレータ122と、から構成されており、ユーザにより電源スイッチ121がオンされると、三端子レギュレータ122は、電池パック2から供給された電池電圧を所定の直流電圧VCC(例えば、5V)に変換し、制御部19に駆動電力として出力する。なお、電源スイッチ121がオフされると、制御部19に駆動電力が供給されなくなるので、電源装置1全体がオフされることとなる。
【0021】
昇圧回路13は、主に、メインFET131と、サブFET132と、トランス133と、第1サーミスタ134と、第2サーミスタ135と、第1抵抗136と、第2抵抗137と、から構成されている。
【0022】
メインFET131及びサブFET132は、電池パック2とトランス133の一次側との間に形成された電流路内に並列に配置されており、後述する制御部19からの第1のPWM信号に応じてメインFET131及びサブFET132のいずれか一方がオン・オフ動作を行う。これにより、電池パック2から供給された電池電圧は、交流電圧に変換された上で、トランス133において昇圧される。
【0023】
また、第1サーミスタ134は、メインFET131に近接して配置されており、メインFET131の温度を検出して制御部19に出力する。詳細には、電源部12から出力された駆動電圧VCCの第1抵抗136及び第1サーミスタ134による分圧電圧を制御部19に出力する。
【0024】
同様に、第2サーミスタ135は、サブFET132に近接して配置されており、サブFET132の温度を検出して制御部19に出力する。詳細には、電源部12から出力された駆動電圧VCCの第2抵抗137及び第2サーミスタ135による分圧電圧を制御部19に出力する。制御部19は、検出された温度に基づき、メインFET131及びサブFET132の制御を行うが、詳細については後述する。
【0025】
整流・平滑回路14は、主に、整流ダイオード141及び142と、平滑コンデンサ143と、から構成されており、これらにより、昇圧回路13から出力された交流電力は整流・平滑される。
【0026】
昇圧電圧検出部15は、主に、抵抗151及び152から構成されており、整流・平滑回路14から出力された直流電圧(例えば、141V)の抵抗151と抵抗152とによる分圧電圧を制御部19に出力する。
【0027】
インバータ回路16は、主に、4つのFET161−164と、から構成されており、直列に接続されたFET161及び162と、直列に接続されたFET163及び164とが、平滑コンデンサ143に並列に接続されている。詳細には、FET161のドレインは、整流ダイオード141及び142のカソードと接続され、FET161のソースは、FET162のドレインに接続されている。また、FET163のドレインは、整流ダイオード141及び142のカソードと接続され、FET163のソースは、FET164のドレインに接続されている。
【0028】
また、FET161のソース及びFET162のドレイン、FET163のソース及びFET164のドレインは、それぞれ、第1出力端子1a及び第2出力端子1bと接続されている。FET161−164のゲートには、FET161−164をオン・オフさせるための第2のPWM信号がPWM信号出力部18から入力され、FET16−164のオン・オフにより、整流・平滑回路14から出力された直流電圧は交流電圧(例えば、AC100V)に変換されて出力される。
【0029】
また、インバータ回路16は、更に、サブFET165と、第3サーミスタ166と、第4サーミスタ167と、第3抵抗168と、第4抵抗169と、を備えている。サブFET165は、トランス133の二次側とACモータ31との間に形成された電流路内にFET164(以下、メインFET164)と並列に配置されており、第2のPWM信号に応じてメインFET164及びサブFET165のいずれか一方がオン・オフ動作を行う。
【0030】
また、第3サーミスタ166は、メインFET164に近接して配置されており、メインFET164の温度を検出して制御部19に出力する。詳細には、電源部12から出力された駆動電圧VCCの第3抵抗168及び第3サーミスタ166による分圧電圧を制御部19に出力する。
【0031】
同様に、第4サーミスタ167は、サブFET165に近接して配置されており、サブFET165の温度を検出して制御部19に出力する。詳細には、電源部12から出力された駆動電圧VCCの第4抵抗169及び第4サーミスタ167による分圧電圧を制御部19に出力する。制御部19は、検出された温度に基づき、メインFET164及びサブFET165の制御を行うが、詳細については後述する。
【0032】
電流検出抵抗17は、FET162のソース及びFET164のソースと、マイナス端子1Bとの間に接続されており、電流検出抵抗17の高電圧側の端子は制御部19と接続されている。このような構成により、電流検出抵抗17は、インバータ回路16に流れる電流を抵抗の電圧降下により検出し、電圧として制御部19に出力する。
【0033】
制御部19は、昇圧電圧検出部15によって検出された直流電圧(昇圧電圧)に基づき、平滑コンデンサ143の電圧が目標昇圧電圧(例えば、141V)になるように第1のPWM信号をメインFET131又はサブFET132の一方のゲートに出力するフィードバック制御を行う。
【0034】
また、制御部19は、昇圧電圧検出部15によって検出された直流電圧(昇圧電圧)から目標実効値(例えば、100V)を有する交流電力がインバータ回路16から出力されるような第2のPWM信号をPWM信号出力部18を介してFET161−164のゲートに出力する。本実施の形態では、制御部19は、FET161とFET164(以降、第1のセット)と、FET162とFET163(以降、第2のセット)とを、それぞれ1セットとして、第1のセットと第2のセットを交互にオン・オフさせるような第2のPWM信号を出力する。
【0035】
また、制御部19は、電池電圧検出部11により検出された電池パック2の電池電圧が所定値以下(過放電状態)であった場合には、電池パック2の過放電を防止するために、第1及び第2のPWM信号の少なくとも一方の出力を停止させることにより、電源装置1からの出力を停止させる。
【0036】
また、本実施の形態では、電池パック2は、その内部に保護回路(保護ICやマイコン)を備えており、保護回路によって電池パック2を構成する電池セルの1つでも過放電と判断された場合には、LD端子を介して制御部19に放電停止信号を入力する構成となっており、制御部19は、放電停止信号が入力された場合には、第1及び第2のPWM信号の少なくとも一方を停止させることにより、電源装置1からの出力を停止させる。
【0037】
また、制御部19は、電流検出抵抗17によって検出された電流(電圧)に基づき過電流の判断を行う。詳細には、電流検出抵抗17によって検出された電流がインバータ回路16のFET161−164の過電流閾値を超えた場合に、メインFET131又はサブFET132のオン・オフ動作を停止させるための第1のPWM信号をメインFET131又はサブFET132のゲートに出力し、FET161−164のオン・オフ動作を停止させるための第2のPWM信号をFET161−164のゲートに出力する。
【0038】
これにより、インバータ回路16への電力の供給が停止されるので、過電流によりインバータ回路16(特に、FET161−164)が故障することを防止することができる。なお、メインFET131又はサブFET132と、FET161−164の一方のオン・オフ動作を停止するようにしても良い。
【0039】
また、FET161−164の過電流閾値ではなく、電池パック2あるいはモータ31の過電流閾値(定格電流)を超えた場合にFETのスイッチング動作を停止するようにすれば、電池パック2の寿命低下やモータ31の故障を防止することができる。
【0040】
ところで、FETは、熱に弱いため、オン・オフ動作を継続して温度が上昇すると、破損する虞がある。
【0041】
そこで、本実施の形態による電源装置1では、電流路内にメインFET131と並列にサブFET132を並列に配置し、第1サーミスタ134により検出されたメインFET131の温度が所定温度(本実施の形態では、100度)を超えた場合に、オン・オフ動作を行うFETをメインFET131からサブFET132に切り替える切り替え制御を行う。
【0042】
同様に、第2サーミスタ135により検出されたサブFET132の温度が所定温度を超えた場合にも、オン・オフ動作を行うFETをサブFET132からメインFET131に切り替える制御を行う。
【0043】
また、第3サーミスタ166により検出されたメインFET164の温度が所定温度を超えた場合にも、オン・オフ動作を行うFETをメインFET164からサブFET165に切り替える制御を行う。
【0044】
同様に、第4サーミスタ167により検出されたサブFET165の温度が所定温度を超えた場合にも、オン・オフ動作を行うFETをサブFET165からメインFET164に切り替える制御を行う。
【0045】
すなわち、メインFETとサブFETの一方が高温となった場合には他方のFETに切り替える制御を行う。
【0046】
ここで、図2及び図3のフローチャートを用いて、本実施の形態による切り替え制御について説明する。図2は、昇圧回路13に対する切り替え制御を説明するフローチャート、図3は、インバータ回路16に対する切り替え制御を説明するフローチャートであり、両者は並行して行われる。
【0047】
なお、図2及び図3のフローチャートは、電池パック2が電源装置1に装着されている状態で電源スイッチ121がオンされた時、又は、電源スイッチ121がオンされた状態で電池パック2が電源装置1に装着された時にスタートする。なお、電源スイッチ121がオンされると、三端子レギュレータ122により電池パック2の電池電圧から制御部19の駆動電圧VCCが生成され、この駆動電圧VCCにより制御部19が駆動されることとなる。
【0048】
図2では、まず、制御部19は、平滑コンデンサ143の電圧が目標昇圧電圧(141V)となるように第1のPWM信号をメインFET131のゲートに出力してフィードバック制御する(S101)。
【0049】
続いて、メインFET131の温度が100度を超えたか否かを判断し(S102)、100度を超えた場合には(S102:YES)、第1のPWM信号を出力するFETをメインFET131からサブFET132に切り替える(S103)。
【0050】
続いて、サブFET132の温度が100度を超えたか否かを判断し(S104)、100度を超えた場合には(S104:YES)、第1のPWM信号を出力するFETをサブFET132からメインFET131に切り替え(S105)、S102に戻る。
【0051】
また、図3では、まず、制御部19は、目標実効値を有する交流電力がインバータ回路16から出力されるような第2のPWM信号をFET161−164のゲートに出力する(S201)。
【0052】
続いて、メインFET164の温度が100度を超えたか否かを判断し(S202)、100度を超えた場合には(S202:YES)、第2のPWM信号を出力するFETをメインFET164からサブFET165に切り替える(S203)。
【0053】
続いて、サブFET165の温度が100度を超えたか否かを判断し(S204)、100度を超えた場合には(S204:YES)、第2のPWM信号を出力するFETをサブFET165からメインFET164に切り替え(S205)、S202に戻る。
【0054】
以上、説明したように、本実施の形態による電源装置1では、電流路内にメインFETと並列にサブFETを並列に配置し、メインFETの温度が所定温度を超えた場合に、オン・オフ動作を行うFETをメインFETからサブFETに切り替えているので、メインFETが温度上昇により故障することを抑制している。
【0055】
また、本実施の形態による電源装置1では、サブFETの温度が所定温度を超えた場合にも、オン・オフ動作を行うFETをサブFETからメインFETに切り替えているので、サブFETが温度上昇により故障することを抑制している。
【0056】
このように、一方のFETが高温になった場合に他方のFETに動作を切り替えることにより、一方のFETは、停止中に温度が低下する。そして、その後、他方のFETが高温となり、一方のFETに動作を切り替えたとしても、一方のFETは低温状態から動作させることができる。従って、本実施の形態により電源装置1では、両方のFETが同じタイミングで高温になることを防止することができ、これにより、同じタイミングで故障することを抑制することができる。
【0057】
本発明によるスイッチング回路は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0058】
例えば、上記実施の形態では、昇圧回路12とインバータ回路16の両方でFETを並列接続したが、いずれか一方のみでFETを並列接続してもよい。
【0059】
また、上記実施の形態では、インバータ回路16においては、FET164のみにサブFET165を設けたが、他のFET161−163のいずれかに設けてもよいし、各FET161−164に設けてもよい。
【0060】
また、上記実施の形態では、本発明の半導体スイッチとしてFETを用いたが、FETには限定されない。本発明の半導体スイッチとしては、温度上昇により故障する虞のあるものを用いることができ、例えば、トランジスタ等が挙げられる。
【0061】
また、上記実施の形態では、本発明の変圧回路として昇圧回路を用いたが、昇圧回路に限定されるものではなく、例えば、降圧回路であってもよい。
【0062】
また、図4に示すように、電池パック2とトランス133の一次側との間に形成された電流路内にメインFET131と直列に保護FET131aを更に配置し、メインFET131にオン・オフ動作を行わせる期間には保護FET131aをオンさせ、メインFET131にオン・オフ動作を行わせない期間には保護FET131aをオフさせるように制御してもよい。
【0063】
このような構成によれば、オン・オフ動作を行わせない期間にメインFET131に電流が流れることを確実に防止することができる。
【0064】
なお、図4では、サブFET132、メインFET164、サブFET165にも、保護FET132a、保護FET164a、保護FET165aが、それぞれ設けられている。
【0065】
なお、図4に示す構成の場合には、制御部19は、図5及び図6に示す切り替え制御を行う。図5は、昇圧回路13に対する切り替え制御を説明するフローチャート、図6は、インバータ回路16に対する切り替え制御を説明するフローチャートであり、両者は並行して行われる。
【0066】
図5では、まず、制御部19は、保護FET131aをオン、保護FET132aをオフさせた上で(S301)、平滑コンデンサ143の電圧が目標昇圧電圧(141V)となるように第1のPWM信号をメインFET131のゲートに出力してフィードバック制御する(S302)。
【0067】
続いて、メインFET131の温度が100度を超えたか否かを判断し(S303)、100度を超えた場合には(S303:YES)、保護FET131aをオフ、保護FET132aをオンさせた上で(S304)、第1のPWM信号を出力するFETをメインFET131からサブFET132に切り替える(S305)。
【0068】
続いて、サブFET132の温度が100度を超えたか否かを判断し(S306)、100度を超えた場合には(S306:YES)、保護FET132aをオフ、保護FET131aをオンさせた上で(S307)、第1のPWM信号を出力するFETをサブFET132からメインFET131に切り替え(S308)、S303に戻る。
【0069】
また、図6では、まず、制御部19は、保護FET164aをオン、保護FET165aをオフさせた上で(S401)、目標実効値を有する交流電力がインバータ回路16から出力されるような第2のPWM信号をFET161−164のゲートに出力する(S402)。
【0070】
続いて、メインFET164の温度が100度を超えたか否かを判断し(S403)、100度を超えた場合には(S403:YES)、保護FET164aをオフ、保護FET165aをオンさせた上で(S404)、第2のPWM信号を出力するFETをFET164からサブFET165に切り替える(S405)。
【0071】
続いて、サブFET165の温度が100度を超えたか否かを判断し(S406)、100度を超えた場合には(S406:YES)、保護FET165aをオフ、保護FET164aをオンさせた上で(S407)、第2のPWM信号を出力するFETをFET165からFET164に切り替え(S408)、S403に戻る。
【符号の説明】
【0072】
1 電源装置
13 昇圧回路
16 インバータ回路
19 制御部
134、135、166、167 サーミスタ
131、164 メインFET
132、165 サブFET
131a、132a、164a、165a 保護FET

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流路内に配置されオン・オフ動作可能なメイン半導体スイッチと、
前記メイン半導体スイッチにオン・オフ動作を行わせる制御部と、
を備えたスイッチング回路であって、
前記メイン半導体スイッチの温度を検出する第1温度検出部と、
前記電流路内において前記メイン半導体スイッチと並列に配置されオン・オフ動作可能なサブ半導体スイッチと、
を更に備え、
前記制御部は、前記メイン半導体スイッチの温度が所定温度を超えた場合に、前記オン・オフ動作を行わせる半導体スイッチを前記メイン半導体スイッチから前記サブ半導体スイッチに切り替えることを特徴とするスイッチング回路。
【請求項2】
前記サブ半導体スイッチの温度を検出する第2温度検出部を更に備え、
前記制御部は、前記サブ半導体スイッチの温度が所定温度を超えた場合に、前記オン・オフ動作を行わせる半導体スイッチを前記サブ半導体スイッチから前記メイン半導体スイッチに切り替えることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング回路。
【請求項3】
交流電力の電圧を変圧する変圧回路を更に備え、
前記メイン半導体スイッチ及び前記サブ半導体スイッチは、前記オン・オフ動作を行うことにより直流電力を交流電力に変換し、
前記変圧回路は、前記メイン半導体スイッチ及び前記サブ半導体スイッチにより変換された交流電力の電圧を変圧することを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチング回路。
【請求項4】
直流電力を交流電力に変換するインバータ回路を更に備え、
前記メイン半導体スイッチ及び前記サブ半導体スイッチは、前記インバータ回路の一部として、前記オン・オフ動作を行うことにより直流電力を交流電力に変換することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
【請求項5】
前記メイン半導体スイッチ及び前記サブ半導体スイッチは、それぞれ、FETから構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
【請求項6】
前記電流路において、前記メイン半導体スイッチと直列に接続された保護スイッチを更に備え、
前記制御部は、前記メイン半導体スイッチにオン・オン動作を行わせる期間には前記保護スイッチをオンさせ、前記メイン半導体スイッチにオン・オン動作を行わせない期間には前記保護スイッチをオフさせることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のスイッチング回路。
【請求項7】
電流路内に配置されオン・オフ動作可能なメイン半導体スイッチと、
前記電流路内において前記メイン半導体スイッチと並列に配置されオン・オフ動作可能なサブ半導体スイッチと、
前記メイン半導体スイッチの温度を検出する第1温度検出部と、
前記メイン半導体スイッチにオン・オフ動作を行わせる制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記メイン半導体スイッチの温度が所定温度を超えた場合に、前記オン・オフ動作を行わせる半導体スイッチを前記メイン半導体スイッチから前記サブ半導体スイッチに切り替えることを特徴とする電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−106331(P2013−106331A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251245(P2011−251245)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】