スイッチ付き回転型電気部品及びその製造方法
【課題】 使用形態が限定されずに、安定した接触が得られると共に、生産性の良好なスイッチ付き回転型電気部品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 回転検出用パターン3を構成する第1及び第2間欠パターン3a、3bの導電部と、コモンパターン3cと、固定接点2を構成する中央固定接点2a及び周辺固定接点2bが、同一金属板から打ち抜き加工されて互いに絶縁状態を保ってケース1に埋設されると共に、中央固定接点2aと外部端子2gとを繋ぐ第1連結部2eと、周辺固定接点2bと他の外部端子2hとを繋ぐ第2連結部2fを、回転検出用パターン3を構成する第1間欠パターン3aの導電部、第2間欠パターン3bの導電部、コモンパターン3cのそれぞれの間に形成される3箇所の間隙の内、異なる2箇所に形成した。
【解決手段】 回転検出用パターン3を構成する第1及び第2間欠パターン3a、3bの導電部と、コモンパターン3cと、固定接点2を構成する中央固定接点2a及び周辺固定接点2bが、同一金属板から打ち抜き加工されて互いに絶縁状態を保ってケース1に埋設されると共に、中央固定接点2aと外部端子2gとを繋ぐ第1連結部2eと、周辺固定接点2bと他の外部端子2hとを繋ぐ第2連結部2fを、回転検出用パターン3を構成する第1間欠パターン3aの導電部、第2間欠パターン3bの導電部、コモンパターン3cのそれぞれの間に形成される3箇所の間隙の内、異なる2箇所に形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ付き回転型電気部品に係り、特に回転軸の回転と軸線方向の移動動作によりパルススイッチとプッシュスイッチ等の操作を行うプッシュスイッチ付き回転型電気部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチ付き回転型電気部品の構造としては、操作軸の軸線方向の移動動作でスイッチをオン、オフさせるプッシュスイッチを備え、操作軸の回転動作によりパルススイッチ、あるいは可変抵抗器等の回転型電気部品を操作するようにした構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来のスイッチ付き回転型電気部品の構造を図14〜図17に示す。図14は従来のスイッチ付き回転型電気部品の正面断面図、図15は図14の15−15線における断面図、図16はエンコーダ部の可動弾性接点の平面図、図17は固定接点部を打ち抜き加工した金属板の平面図である。
【0004】
図に示すように、従来のスイッチ付回転型エンコーダは、操作軸21の中間円形部21Aが回転および上下動が可能なように軸受39の円形孔39Aに嵌合支持されると共に、下方の非円形部21Bが、回転運動は伝達されるが上下動は伝わらないように回転体40の非円形孔40Aに嵌合して、下方の溝部に挿入されたワッシャ64により抜け止めされており、回転体40には、中心から同一半径で90°間隔に四つの弾性接点42A〜42Dを有する弾性金属薄板製の可動弾性接点42が、可動接点として保持されている。
【0005】
そして、この可動接点が弾接する固定接点として、ケース41の内底面には、上記の弾性接点42A〜42Dと同一半径位置で90°よりもパルス信号のオフ角度分だけ小さい同じ角度範囲に、電気的に導通した同数の放射状の櫛歯部43Aおよび44Aをそれぞれ両端部および等角度位置に有すると共に、位相差とパルス信号のオフ角度の合計分だけの角度間隔をあけて、互いに電気的に独立した二つの信号用接点43および44と、上記の弾性接点42A〜42Dと同一半径位置に、90°よりも少し大きい角度で、二つの信号用接点43,44とは電気的に独立して設けられた扇形のコモン接点45が、それぞれ金属薄板で形成されてインサート成形加工により配設・固定されている。
【0006】
一方、ケース41の内底面中央部には、スイッチ部の一対の固定接点である中央固定接点46Aと外側固定接点46Bが、上記エンコーダ部の固定接点と同じ金属薄板で形成されて、インサート成形加工により固定されており、この外側固定接点46Bがエンコーダ部のコモン接点45とケース41の底面において電気的に導通している。
【0007】
そして、ケース41の外周の一方の端部からはスイッチ部の中央固定接点46Aから引き出された細長いスイッチ端子47と、スイッチ部の外側固定接点46Bおよびエンコーダ部のコモン接点45と導通した細長い共通端子48が導出されて下方に折り曲げられており、他方の端部からはエンコーダ部の二つの信号用接点43,44とそれぞれ導通した二つの細長い信号用端子49A,49Bが導出されて、同様に下方へ折り曲げられている。
【0008】
上記のスイッチ部の中央固定接点46Aから引き出されたスイッチ端子47は、金属薄板で一体形成されたリード部50を、スイッチ部の固定接点である中央固定接点46Aおよび外側固定接点46Bの周囲の、エンコーダ部の固定接点である信号用接点43,44およびコモン接点45が配設されない部分を通して引き出したものであり、ケース41の底面に配設されるエンコーダ部の二つの信号用接点43,44およびコモン接点45が、いずれも同じ半径で約90°の角度範囲に設けられているので、これらを信号用接点43に近い位置に集めて配置することによって、エンコーダ部の固定接点が配設されない部分を大きな角度で、容易に確保することができる。
【0009】
従って、エンコーダ部のそれぞれの固定接点43,44,45と、スイッチ部のそれぞれの固定接点46A,46B、およびこれらと導通した各端子49A,49B,47,48ならびにリード部50を、同一の金属薄板を打抜き曲げ加工して容易に形成することができる。
【0010】
そして、上記スイッチ部の一対の固定接点である外側固定接点46B上に弾性金属薄板製のドーム状可動接点71が載せられてスイッチ接点部を構成すると共に、ドーム状可動接点71の上部にプッシュ板73を介して操作軸21の下端部21Cが当接して、操作軸21の溝部に挿入されたワッシャ64が回転体40下面の凹部天面に当接しており、軸受39の上方からコの字形の取付金具51で挟み込んでケース41の裏面で爪部51Aを折り曲げることによって、全体が連結固定されている。
【0011】
【特許文献1】特開2002−25395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した従来のスイッチ付き回転型電気部品においては、環状の可動弾性接点に弾性接点を4つ設ける必要があり、小型化に対応できず、4点接触となるため接触の信頼性(安定性)に問題があった。
また、コモン接点と外側固定接点とが導通しているため、エンコーダ部とスイッチ部の回路を分けて(分離して)使用することができず、使用形態が限定されるという問題があった。
【0013】
従って、本発明は上記した問題点を解決し、使用形態が限定されずに、安定した接触が得られると共に、生産性の良好なスイッチ付き回転型電気部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明のスイッチ付き回転型電気部品では第1の解決手段として、回転及び押圧操作可能な回転軸と、この回転軸の回転に伴い回転する摺動子と、前記回転軸の押圧操作に伴い変位する可動接点と、前記摺動子が摺接する円環状の回転検出用パターン及び該回転検出用パターンの内側に設けられ前記可動接点と対向する押圧操作検出用の固定接点が設けられたケースと、前記回転検出用パターン及び前記固定接点に導通され前記ケース外方に延出する複数の外部端子とを備え、前記摺動子は、等角度間隔で3箇所に接触部を有し、前記回転検出用パターンが、前記回転軸の回転に伴って前記接触部が摺接する導電部と絶縁部とが交互に形成された円弧状の第1間欠パターンと、前記第1間欠パターンとは位相差を持って前記接触部が摺接する導電部と絶縁部とが交互に形成された円弧状の第2間欠パターンと、前記第1及び第2間欠パターンの間に配置された導電部からなる円弧状のコモンパターンとを有すると共に、前記固定接点が、前記回転検出用パターンの中央部に位置し前記回転軸の押圧操作に伴い前記可動接点と接触する中央固定接点と、この中央固定接点の外側に位置する周辺固定接点とを有するスイッチ付き回転型電気部品であって、前記第1及び第2間欠パターンの導電部と、前記コモンパターンと、前記中央固定接点及び周辺固定接点が、同一金属板から打ち抜き加工されて互いに絶縁状態を保って前記ケースに埋設されると共に、前記中央固定接点と前記外部端子とを繋ぐ第1連結部と、前記周辺固定接点と他の前記外部端子とを繋ぐ第2連結部を、前記回転検出用パターンを構成する前記第1間欠パターンの導電部、前記第2間欠パターンの導電部、前記コモンパターンのそれぞれの間に形成される3箇所の間隙の内、異なる2箇所に形成した構成とした。
【0015】
また、第2の解決手段として、前記回転検出用パターンを構成する、前記第1と第2間欠パターン、及び前記コモンパターンの表面は、前記ケースの内底面に表出して埋設されており、前記第1及び第2連結部が、前記回転検出用パターンの表面位置から前記ケースの底面側へ段差を持って折り曲げられて前記ケース内底部に埋設されている構成とした。
また、第3の解決手段として、前記ケースの内底面には、前記第1及び第2連結部の表面が露出する穴が設けられている構成とした。
また、第4の解決手段として、前記回転検出用パターンの内側に設けられた押圧操作検出用の前記固定接点は、前記ケースの内底面から表出する前記中央固定接点及び周辺固定接点の表出面が、前記回転検出用パターンの表出面より低い位置に設けられている構成とした。
また、第5の解決手段として、前記第1及び第2連結部は、前記外部端子と繋がる側が幅広に形成され、この幅広部にリブが設けられると共に、前記第1及び第2連結部が前記幅広部の基端部と一緒に前記ケースに埋設されている構成とした。
また、第6の解決手段として、前記周辺固定接点と前記回転検出用パターンとの間に、前記可動接点を収納する筒状の突堤部を有し、前記穴が前記突堤部に位置して設けられている構成とした。
【0016】
また、第7の解決手段として、回転及び押圧操作可能な回転軸と、この回転軸の回転に伴い回転する摺動子と、前記摺動子が摺接する円弧状の第1間欠パターンと第2間欠パターン、及びコモンパターンとからなる回転検出用パターンと、この回転検出用パターンの内側に設けられた押圧操作検出用の中央及び周辺固定接点とが、互いに電気的に絶縁状態で埋設されたケースと、前記中央及び周辺固定接点上に配設され、前記回転軸の押圧操作により両固定接点間を導通させる可動接点とを備えたスイッチ付き回転型電気部品の製造方法であって、一枚の金属板をプレス加工することにより、前記回転検出用パターン部と前記中央及び周辺固定接点とをそれぞれ連結部により金属枠に繋がった状態を保って分離する工程と、前記中央及び周辺固定接点と前記金属枠とのそれぞれの前記連結部に曲げ加工を施すことにより、前記中央及び周辺固定接点の形成面と前記回転検出用パターンの形成面との高さを異ならせて段差を形成する工程と、前記金属板を成形金型内に装着してキャビティー内に溶融樹脂を充填することにより、それぞれの前記連結部の一部、前記回転検出用パターンの第1間欠パターンと第2間欠パターンとコモンパターンのそれぞれの間、前記第1と第2間欠パターンの間欠部を樹脂に一体に埋設して、前記ケースの外形を成形する工程と、前記ケースと前記金属板の金属枠との繋ぎ部を切断して、単体のケースを形成する工程とを有する製造方法とした。
【0017】
また、第8の解決手段として、前記中央及び周辺固定接点と前記金属枠とのそれぞれの前記連結部が、前記回転検出用パターンの第1間欠パターンと第2間欠パターンとコモンパターンのそれぞれの間に形成される間隙の内、異なる2箇所に位置すると共に、前記連結部が外部端子の一部で構成された製造方法とした。
また、第9の解決手段として、前記回転検出用パターン部と前記中央及び周辺固定接点とをそれぞれ連結部により金属枠に繋がった状態を保って分離する工程が、前記回転検出用パターン部と前記中央及び周辺固定接点とが繋がった状態にプレス加工を施す工程と、前記回転検出用パターン部と前記中央及び周辺固定接点とを分離する工程を含む製造方法とした。
また、第10の解決手段として、前記金属板を成形金型内に装着してキャビティー内に溶融樹脂を充填する際に、前記可動接点を収納する筒状の突堤部の形成位置に対応して複数の押さえピンを挿入し、これらの押さえピンにより前記中央及び周辺固定接点のそれぞれの連結部表面をガイドして位置決めすると共に、前記押さえピン跡により前記突堤部に前記連結部の表面が露出する穴を設けるようにした製造方法とした。
【発明の効果】
【0018】
上述したように、本発明のスイッチ付き回転型電気部品は、回転及び押圧操作可能な回転軸と、この回転軸の回転に伴い回転する摺動子と、回転軸の押圧操作に伴い変位する可動接点と、摺動子が摺接する円環状の回転検出用パターン及び該回転検出用パターンの内側に設けられ可動接点と対向する押圧操作検出用の固定接点が設けられたケースと、回転検出用パターン及び固定接点に導通されケース外方に延出する複数の外部端子とを備え、摺動子は、等角度間隔で3箇所に接触部を有し、回転検出用パターンが、回転軸の回転に伴って接触部が摺接する導電部と絶縁部とが交互に形成された円弧状の第1間欠パターンと、第1間欠パターンとは位相差を持って接触部が摺接する導電部と絶縁部とが交互に形成された円弧状の第2間欠パターンと、第1及び第2間欠パターンの間に配置された導電部からなる円弧状のコモンパターンとを有すると共に、固定接点が、回転検出用パターンの中央部に位置し回転軸の押圧操作に伴い可動接点と接触する中央固定接点と、この中央固定接点の外側に位置する周辺固定接点とを有するスイッチ付き回転型電気部品であって、第1及び第2間欠パターンの導電部と、コモンパターンと、中央固定接点及び周辺固定接点が、同一金属板から打ち抜き加工されて互いに絶縁状態を保ってケースに埋設されると共に、中央固定接点と外部端子とを繋ぐ第1連結部と、周辺固定接点と他の外部端子とを繋ぐ第2連結部を、回転検出用パターンを構成する第1間欠パターンの導電部、第2間欠パターンの導電部、コモンパターンのそれぞれの間に形成される3箇所の間隙の内、異なる2箇所に形成したことから、回転検出用パターンのそれぞれのパターンと押圧操作検出用のそれぞれの固定接点が互いに電気的に分離されているので、使用形態が限定されず、あらゆる用途に適用できる。また、回転検出用の摺動子の接触部が3箇所のため、安定した接触が得られると共に小型化が可能となる。
【0019】
また、回転検出用パターンを構成する、第1と第2間欠パターン、及びコモンパターンの表面は、ケースの内底面に表出して埋設されており、第1及び第2連結部が、回転検出用パターンの表面位置からケースの底面側へ段差を持って折り曲げられてケース内底部に埋設されていることから、ケース成形時に樹脂が容易に段差部に流れ込むので、回転検出用パターンと固定接点との絶縁を確実に取ることができる。
また、ケースの内底面には、第1及び第2連結部の表面が露出する穴が設けられていることから、第1及び第2連結部を穴を通してガイドピンで押さえることができるので、固定接点の位置決めが可能となる。
また、回転検出用パターンの内側に設けられた押圧操作検出用の固定接点は、ケースの内底面から表出する中央固定接点及び周辺固定接点の表出面が、回転検出用パターンの表出面より低い位置に設けられていることから、回転検出用パターンと固定接点間の絶縁をより確実なものとすることができる。
また、第1及び第2連結部は、外部端子と繋がる側が幅広に形成され、この幅広部にリブが設けられると共に、第1及び第2連結部が幅広部の基端部と一緒にケースに埋設されていることから、第1及び第2連結部の幅が広くとれない場合においても、強固にケース内底部に埋設させることができる。
また、周辺固定接点と回転検出用パターンとの間に、可動接点を収納する筒状の突堤部を有し、穴が突堤部に位置して設けられていることから、周辺固定接点と回転検出用パターンとの絶縁をより確実にできると共に、可動接点を保持する筒状の突堤部に第1及び第2連結部が露出する穴が形成されているため、この穴を利用してドーム状等の可動接点内の空気を筒状の突堤部外へ逃がすことができるので、押圧操作に伴う可動接点の反転等の動作が確実となり、スイッチの信頼性が向上する。
【0020】
また、回転及び押圧操作可能な回転軸と、この回転軸の回転に伴い回転する摺動子と、摺動子が摺接する円弧状の第1間欠パターンと第2間欠パターン、及びコモンパターンとからなる回転検出用パターンと、この回転検出用パターンの内側に設けられた押圧操作検出用の中央及び周辺固定接点とが、互いに電気的に絶縁状態で埋設されたケースと、中央及び周辺固定接点上に配設され、回転軸の押圧操作により両固定接点間を導通させる可動接点とを備えたスイッチ付き回転型電気部品の製造方法であって、一枚の金属板をプレス加工することにより、回転検出用パターン部と中央及び周辺固定接点とをそれぞれ連結部により金属枠に繋がった状態を保って分離する工程と、中央及び周辺固定接点と金属枠とのそれぞれの連結部に曲げ加工を施すことにより、中央及び周辺固定接点の形成面と回転検出用パターンの形成面との高さを異ならせて段差を形成する工程と、金属板を成形金型内に装着してキャビティー内に溶融樹脂を充填することにより、それぞれの連結部の一部、回転検出用パターンの第1間欠パターンと第2間欠パターンとコモンパターンのそれぞれの間、第1と第2間欠パターンの間欠部を樹脂に一体に埋設して、ケースの外形を成形する工程と、ケースと金属板の金属枠との繋ぎ部を切断して、単体のケースを形成する工程とを有することから、円環状に配設された回転検出用パターンと、この回転検出用パターンの内側に設けられた押圧操作検出用の中央及び周辺固定接点とを、互いに確実に電気的に絶縁した状態で、容易にケースに埋設することができる。
【0021】
また、中央及び周辺固定接点と金属枠とのそれぞれの連結部が、回転検出用パターンの第1間欠パターンと第2間欠パターンとコモンパターンのそれぞれの間に形成される間隙の内、異なる2箇所に位置すると共に、連結部が外部端子の一部で構成されたことから、固定接点の外部端子を金属枠との連結部としているので、回転検出用パターンに影響を及ぼすことなく所定幅の連結部を各パターン間に位置させることができると共に、その間に確実に溶融樹脂を流し込んで、絶縁を確保することができる。
また、回転検出用パターン部と中央及び周辺固定接点とをそれぞれ連結部により金属枠に繋がった状態を保って分離する工程が、回転検出用パターン部と中央及び周辺固定接点とが繋がった状態にプレス加工を施す工程と、回転検出用パターン部と中央及び周辺固定接点とを分離する工程を含むことから、回転検出用パターン部と中央及び周辺固定接点とが繋がった状態でプレス加工を行い、その後回転検出用パターン部と中央及び周辺固定接点とを分離するので、それぞれの固定接点の変形を防止することができる。
また、金属板を成形金型内に装着してキャビティー内に溶融樹脂を充填する際に、可動接点を収納する筒状の突堤部の形成位置に対応して複数の押さえピンを挿入し、これらの押さえピンにより中央及び周辺固定接点のそれぞれの連結部表面をガイドして位置決めすると共に、押さえピン跡により突堤部に連結部の表面が露出する穴を設けるようにしたことから、ケース成形時の中央及び周辺固定接点の位置決めを押さえピンによって確実に行えると共に、押さえピン跡による穴を利用して、反転時のドーム状等の可動接点内の空気を筒状の突堤部外へ逃がすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図13に示す。図1は本発明のスイッチ付き回転型電気部品を示す分解斜視図、図2は本発明のスイッチ付き回転型電気部品を示す平面図、図3は本発明のスイッチ付き回転型電気部品を示す正面図、図4は本発明のスイッチ付き回転型電気部品を示す断面図、図5は本発明のケースを示す平面図、図6は本発明の回転検出用パターン及び固定接点の埋設状態を示すケースの平面図、図7は図6の7−7線における断面図、図8は図6の8−8線における断面図、図9は本発明の摺動子を示す平面図、図10乃至図13は本発明のケースの製造工程を示す平面図である。
【0023】
図1に示すように本発明のスイッチ付き回転型電気部品は、上面開口状の箱形のケース1と、このケース1に配設された押圧操作検出用の固定接点2及び回転検出用の導電パターン3と、固定接点2及び導電パターン3と接触及び摺接する可動接点4及び摺動子5と、回転及び押圧操作可能な回転軸6と、この回転軸6の回転に伴い回転する回転体7と、この回転体に摺動しクリック感触を生起させる板ばね8と、回転軸6を回転可能に保持する軸受け部を有し、ケース1の開口部を覆う取付板9とから主に構成されている。尚、ケース1と取付板9とにより、ハウジングが構成されている。
【0024】
ケース1は、合成樹脂等の絶縁材で、収納部1aを有する上面開口状の箱型に形成されている。また、ケース1の対向する外側面には上下に貫通する一対のガイド溝1b、1bが設けられ、これらのガイド溝1b、1b内にはそれぞれ外方へ突出する係止突起1c、1cが設けられている。また、ガイド溝1b、1bに連通するケース1の上面側(前面側)には、一対の凹溝1d、1dが設けられ、これらの凹溝1d、1d内にはそれぞれ上方(前方)へ突出する突片1e、1eが設けられている。そして、これらのガイド溝1b、1bに後述する取付板9の取付脚部9dが係合され、係止突起1cと突片1eとにより位置決め係合されて、取付板9がケース1の上面側の開口上を覆うように取り付けられるものとなっている。
【0025】
また、図5〜図8に示すように、ケース1の開口部中央には、筒状の突堤部1fが設けられており、この突堤部1fを境として内側に円状の第1収納部1g、外側に円環状の第2収納部1hが設けられている。この場合、第1収納部1gの内底面は第2収納部1hの内底面よりも若干低い位置となるように段差を有して形成されている。(図7、図8参照)
【0026】
また、第1収納部1gの内底面には、中央位置に導電性の金属板をインサート成型等の方法により、その一部を表出した状態で一体に埋設して形成された中央固定接点2aと、この中央固定接点2aを囲むように半円弧状の周辺固定接点2bが配設されている。この中央固定接点2aと周辺固定接点2bとで押圧操作用の固定接点2を構成している。また、第1収納部1g内底面の周辺固定接点2bと対向する側には、内底面よりも若干突出した突面部1iが設けられており、この突面部1iの表面が、周辺固定接点2bの3箇所に突出して設けられた接点部2dの表面、及び中央固定接点2aに突出して設けられた接点部2cの表面と面一となるように形成されている(図7参照)。そして、後述する可動接点4が、第1収納部1gに収納された際には、これら突面部1iと周辺固定接点2bの接点部2dとにより可動接点4が傾かないように載置されるものとなっている。
【0027】
また、第2収納部1hの内底面には、同じく導電性の金属板をインサート成型等の方法により、その一部を表出した状態で一体に埋設して形成された円弧状の第1間欠パターン3aと第2間欠パターン3bとコモンパターン3cとがそれぞれ円環状に配設されている。この第1間欠パターン3aと第2間欠パターン3bとコモンパターン3cとで回転検出用の導電パターン3を構成している。
【0028】
また、第1及び第2間欠パターン3a、3bには、周方向にそって複数(本実施例では4個)の略矩形状の間欠部3d、3eが設けられ、この間欠部3d、3eにケース1の樹脂材が充填され露出した状態となって絶縁部を構成しており、金属板からなる導電部と樹脂材からなる絶縁部とが交互に形成されたものとなっている。また、第1間欠パターン3aの導電部及び絶縁部と、第2間欠パターン3bの導電部及び絶縁部とが、異なるタイミング、すなわち位相差をもって後述する摺動子5の接触部5dと摺接するように形成されている。また、A相信号用の第1間欠パターン3aとB相信号用の第2間欠パターン3bとコモンパターン3cは、それぞれ概略120度の間隔となるように同一円周上に配置されている。
【0029】
また、回転検出用の導電パターン3の内周側に設けられた押圧操作検出用の固定接点2は、第1収納部1gの内底面から表出する中央固定接点2a及び周辺固定接点2bの表出面が、回転検出用の導電パターン3が第2収納部1hの内底面から表出する表出面より低い位置に設けられている(図7参照)。このために、回転検出用パターンの導電パターン3と押圧操作用の固定接点2間の絶縁をより確実なものとすることができる。
【0030】
また、ケース1の外側面には、中央固定接点2a及び周辺固定接点2bと電気的に導通され、ケース1の外方へ延出する外部端子2g、2hが設けられており、この外部端子2g、2hがそれぞれケース1の外側面に沿って下方に折り曲げられて配設されている。また、ケース1の異なる外側面には、同じく第1、第2間欠パターン3a、3b、及びコモンパターン3cと電気的に導通され、ケース1の外方へ延出する外部端子3f、3g、3hが設けられており、同じくこの外部端子3f、3g、3hがそれぞれケース1の外側面に沿って下方に折り曲げられて配設されている。また、それぞれの外部端子2g、2h及び3f、3g、3hには、中央に補強用のリブ2i、3iが各外部端子の延出方向に沿って突出形成されている。
【0031】
また、中央固定接点2aと外部端子2gとの間には、細幅状の第1連結部2eが設けられており、この第1連結部2eにより中央固定接点2aと外部端子2gが電気的及び機械的に繋がっている。また、周辺固定接点2bと外部端子2hとの間には、細幅状の第2連結部2fが設けられており、この第2連結部2fにより周辺固定接点2bと外部端子2hが電気的及び機械的に繋がっている。また、第1連結部2eは、回転検出用パターンを構成する第1間欠パターン3aの導電部と第2間欠パターン3bの導電部との間に形成される間隙に位置して設けられており、第2連結部2fは、第2間欠パターン3bの導電部とコモンパターン3cとの間に形成される間隙に位置して設けられている。
【0032】
また、第1と第2間欠パターン3a、3b及びコモンパターン3cの表面は、ケース1の第2収納部1hの内底面に表出して埋設されており、これに対して、第1及び第2連結部2e、2fは、これら第1と第2間欠パターン3a、3b及びコモンパターン3cの表面位置から、ケース1の底面側(図8の下方側)へ段差を持って折り曲げられてケース1の内底部に埋設されている。このために、ケース1の成形時には、樹脂が容易にこの段差部に流れ込むので、回転検出用パターンの導電パターン3と固定接点2との絶縁を確実に取ることができるようになっている。
【0033】
この場合、図8に示すように、第1連結部2eはU字状に2箇所で折り曲げられており、第2連結部2fはL字状に1箇所で折り曲げられている。すなわち、中央固定接点2aと繋がる側の第1連結部2eは、外部端子2g側で略0.35mm下方に折り曲げられ、内側で略0.15mm上方に持ち上げられている。また、周辺固定接点2bと繋がる側の第2連結部2fは、外部端子2h側で略0.2mmだけ下方に折り曲げられており、この結果、中央固定接点2aと周辺固定接点2bの表面の高さは同一に設定されている。
【0034】
また、第1及び第2連結部2e、2fは、外部端子2g、2hと繋がる側が幅広に形成されており、この幅広部に補強用のリブ2iが設けられている。そして、これら第1及び第2連結部2e、2fが、幅広部の基端部と一緒にケース1の内底部に埋設されて固定接点2が形成されている。このため、第1及び第2連結部2e、2fの幅が広くとれない場合においても、強固にケース1の内底部に埋設させることができるものとなっている。
【0035】
また、第1及び第2収納部1g、1hの間には、固定接点2と回転検出用の導電パターン3とを仕切るように筒状の突堤部1fが設けられており、この突堤部1fには、第1及び第2連結部2e、2fに対応する位置に、上方に開口するガイド穴1j、1kが設けられている。また、これらガイド穴1j、1kの底面には第1及び第2連結部2e、2fの表面が露出されており、これらガイド穴1j、1kを介して第1収納部1gと第2収納部1hとが連通されている。
【0036】
また、ケース1の底面側には、中央固定接点2a、周辺固定接点2b、第1、第2間欠パターン3a、3b、及びコモンパターン3cに対応する位置に、これらの底面が露出する(底面に達する)複数の押さえピン用のピン穴1l、1l、1lが設けられており、固定接点2及び導電パターン3のケース1へのインサート成形時に、樹脂の流入圧によってそれぞれの固定接点2及び導電パターン3の位置がずれないように適宜位置へ位置決めするようになっている。
また、ケース1の内底面には、第1及び第2連結部2e、2fの表面が露出するガイド穴1j、1kが設けられていることから、第1及び第2連結部2e、2fを、これらガイド穴1j、1kを通してガイドピンで押さえることができるので、更に固定接点2の位置決めが確実となっている。
【0037】
可動接点4は、導電性の薄板金属板からなり、中央に反転可能なドーム状の膨出部4aを有する円板状に形成されている。この可動接点4は、ケース1の第1収納部1gに配設された固定接点2上に対向状態で載置され、外周縁部4bが周辺固定接点2bの接点部2d上に接触すると共に、膨出部4aの頂部下面側が中央固定接点2a(接点部2c)と対向して離間した状態で配設されている。この可動接点4と固定接点2とでプッシュスイッチが構成されている。
【0038】
摺動子5は、図9に示すように、導電性の薄板金属板からなり、環状の基部5aと、この基部5aの3箇所に外方に延設して形成された丸孔を有する取付片5bと、この取付片5bから環状方向(周方向)に弾性を有して片持ち梁状に延設された複数の接触片5cとを有している。また、3箇所に配置されたこれら接触片5cには、120度の等角度間隔でそれぞれ接触部5dが設けられており、これら接触部5dが同一円周上に3分割して配置された回転検出用の導電パターン3の第1間欠パターン3aと第2間欠パターン3bとコモンパターン3cのそれぞれと摺接するようになっている。
【0039】
また、摺動子5は、後述する回転体7の回転板部7bに取付片5bが固着されることにより、回転体7と一体的に回転可能に取り付けられるものとなっている。また、回転体7がケース1の収納部1aに回転可能に収容された際には、摺動子5は、第2収納部1hに配設された導電パターン3上に載置され、回転体7の回転に伴って、それぞれの接触片5cの接触部5dが第1、第2間欠パターン3a、3b、及びコモンパターン3cと摺接するものとなっている。この摺動子5と導電パターン3とでエンコーダなどの回転検出手段が構成されている。
【0040】
回転軸6は、合成樹脂等の絶縁材からなり、後述する回転体7の中央貫通孔7cよりも径が大きな円柱状の太軸部6aとこれよりもやや細い略円柱状の細軸部6bとが同一軸線上で軸線方向に段部6cを介して連接して設けられている。また、これとは対向する太軸部6aの先端側には、平坦面6dを有し、この平坦面6dにより先端側の断面がD字状に形成されて円弧状部6eと直線状部6fとを有するつまみ取付部6gが設けられている。また、つまみ取付部6gの先端側には、端面から軸線方向に向かって、窪んだ中空状の中央凹部6hが形成されている。
【0041】
また、中空状の中央凹部6hは、回転軸6の円柱状の太軸部6aを除いたつまみ取付部6gの全体にわたって設けられている。すなわち、中空状の中央凹部6hは、回転軸6が後述する取付板9の軸受け部9bに軸支される太軸部6aの一部を除いて、この軸受け部9bから外方へ突出する回転軸6の先端側のつまみ取付部6gに設けられている。そして、このつまみ取付部6gの先端に外装用の操作つまみ10(図3に二点鎖線で示す)が取り付けられて、回転軸6が回転操作されるものとなっている。
【0042】
そして、外装用の操作つまみ10が取り付けられる回転軸6の先端側に中空状の中央凹部6hを設けることにより、合成樹脂の成形加工時(自然冷却時)の収縮に伴う寸法変化が少なく、回転軸6の寸法を精度良く形成でき、操作つまみ10を取り付ける際の確実性と取付作業性を向上できるものとなっている。また、中央凹部6hは、回転軸6が軸受け部9bに軸支される部分にまで達しないような深さ寸法で軸受け部9bから外方へ突出する回転軸6の先端側に設けるようにしたので、回転軸6が軸受け部9bに軸支される部分には中空状の凹部がないので、回転軸6の軸受け部9bへの軸支強度を高めることが可能となっている。
【0043】
また、中空状の中央凹部6hには、回転軸6の軸線を通る位置に、この中央凹部6hを略2等分に分割するような内壁部6iが設けられている。また、この内壁部6iは、中央凹部6hの対向する内側面間に設けられており、この内壁部6iが、D字状の断面の円弧状部6eと直線状部6fとにわたって両者間を繋ぐように設けられている。また、この内壁部6iは、つまみ取付部6gの先端側の端面から軸線方向に向かって、窪んだ位置に形成されており、この内壁部6iの窪んだ先端側に、回転軸6を成形加工する際のゲート(図示せず)が設けられるものとなっている。
【0044】
このように、回転軸6の中央凹部6hに、回転軸6の軸線を通る位置に内壁部6iを設け、この内壁部6iを中央凹部6hの対向する内側面間に設けて中央凹部6hを分割するようにしたので、中央凹部6hの大きさを個々に小さくすることができ、回転軸6の全体の強度を高めることができる。また、回転軸6の先端側の断面がD字状に形成されていても、内壁部6iが、円弧状部6eと直線状部6fとにわたって両者間を繋ぐように設けるようにしたので、操作つまみ10の取付部に変形し易い直線状の係合部が有ったとしても、変形し難い円弧状の係合部との間がこの内壁部6iによって連結されているので、回転軸6の強度を維持することができるものとなっている。
【0045】
また、この内壁部6iは、回転軸6の先端側の端面から窪んだ位置に形成されており、内壁部6iの窪んだ先端側を回転軸6の成形加工時のゲート位置とすることにより、ゲート位置が回転軸6の外周部に出ることを防止でき、操作つまみ10との取付性を良好なものとすることができる。また、回転軸6の先端側(つまみ取付部6g)へのウエルドの発生を防止でき、強度を高めることができるものとなる。
【0046】
また、回転軸6のつまみ取付部6gと対向する方向の細軸部6bの先端側には、回転軸6の軸線方向と直交して交差する方向(径方向)で外方に突出する突出部6jが設けられている。また、この突出部6jは、回転軸6の回転中心を挟んで対向する位置に一対設けられている。そして、この突出部6jが後述する回転体7の係合凹部7eと係合することで、回転軸6と回転体7がケース1に収容され一体的に回転可能に配設されるものとなっている。
【0047】
また、細軸部6bの先端側の端面には軸線方向に突出した突起6kが設けられている。この突起6kが可動接点4のドーム状の膨出部4aの頂部に当接した状態で配設されている。そして、回転軸6が軸線方向に押圧された際には、細軸部6bの軸線方向の移動により突起6kが可動接点4の膨出部4aを押圧して膨出部4aを反転させ、下方に配設された固定接点2の中央固定接点2a(接点部2c)と接触させてプッシュスイッチをオンさせるものとなっている。
【0048】
この時、可動接点4が収納される第1収納部1gの外周には、筒状の突堤部1fが設けられていることから、周辺固定接点2bと回転検出用パターンの導電パターン3との絶縁をより確実にできると共に、可動接点1を保持する筒状の突堤部1fには、第1及び第2連結部2e、2fが露出するガイド穴1j、1kが形成されているため、このガイド穴1j、1kを利用してドーム状の可動接点4内の空気を筒状の突堤部1f外へ逃がすことができるので、押圧操作に伴う可動接点4の反転等の動作が確実となり、スイッチの接触信頼性が向上するものとなっている。
【0049】
回転体7は、同じく合成樹脂等の絶縁材からなり、円筒状のガイド筒部7aと円板状の回転板部7bとを有している。また、回転体7には、回転軸6の軸線方向に貫通する中央貫通孔7cが設けられており、この中央貫通孔7cには、中央貫通孔7cに連続して、回転軸6の突出部6jを挿通可能な貫通凹部7dが設けられている。また、この貫通凹部7dと回転軸6の回転中心に対して所定の角度を有すると共に、回転軸6が軸受け部9b及び回転体7から突出する前方側、すなわち円筒状のガイド筒部7a側に向かって有底状の係止壁部7fを有する係合凹部7eが設けられている。尚、本実施例では貫通凹部7dと係合凹部7eとは、略直交する方向(略90度)に形成されている。
【0050】
また、貫通凹部7dと係合凹部7eは、回転軸6の一対の突出部6j、6jに対応させて、それぞれ対向する位置に一対設けられている。そして、回転軸6の細軸部6bが、回転体7のガイド筒部7aの前方側から中央貫通孔7cに挿通されて、回転軸6の一対の突出部6j、6jが、回転体7の一対の貫通凹部7d、7dに挿通されるものとなっている。そして、挿通された状態から回転軸6が所定の角度(本実施例では略90度)回転されると、回転軸6の一対の突出部6j、6jが、貫通凹部7d、7dと所定の角度を有して設けられた一対の係合凹部7e、7eの位置まで回転して、一対の係止壁部7f、7fに係止可能な状態で一対の係合凹部7e、7eに係合するものとなっている。
【0051】
そして、回転軸6の細軸部6bが回転体7の中央貫通孔7cに挿通され、一対の突出部6j、6jが係合凹部7e、7eに係合された際には、回転体7が回転軸6の回転に伴い回転可能に保持されると共に、回転軸6の一対の突出部6j、6jが係合凹部7e、7e内を回転軸6の軸線方向に移動可能に設けられている。このため、簡単な構成で、プッシュスイッチの押圧動作と回転検出手段の回転動作とが可能となっている。
【0052】
そして、回転軸6は、回転軸6の突出部6jが回転体7の係合凹部7eに確実に係合して回転体7と一体的に保持されているので、回転軸6が大きな力で引っ張られた場合においても突出部6jが回転体7の係止壁部7fと当接するため抜けることが無く、回転軸6の引き抜き強度を向上させることができるものとなっている。
また、回転体7は、円筒状のガイド筒部7aと円板状の回転板部7bとを有し、このガイド筒部7a側に係合凹部7eの係止壁部7fを形成するようにしたので、係止壁部7fの肉厚を厚く形成できるので、回転軸6の抜け止めを、より確実なものとすることができる。
【0053】
また、回転軸6の突出部6jを回転軸6の回転中心を挟んで対向する位置に一対設けると共に、一対の突出部6j、6jと係合する回転体7の貫通凹部7dと係合凹部7eとを、一対の突出部6j、6jに対応させてそれぞれ対向する位置に一対設けるようにしたので、回転軸6の回転を確実に回転体7に伝達することができ、安定した回転操作が可能となると共に、回転軸6を180度回転させても組み込みが可能となるため、組立が容易となり、作業性が向上するものとなっている。
【0054】
そして、回転軸6が軸線方向に押圧された際には、突起6kが可動接点4の膨出部4aを押圧して、下方に配設されたプッシュスイッチをオンさせるものとなっており、この時、回転軸6の一対の突出部6j、6jと回転体7の一対の係合凹部7e、7eとが互いに係合する係合面の軸線方向における係合寸法(L1)は、プッシュスイッチの操作ストローク、すなわち、回転軸6の突起6kが可動接点4の膨出部4aを反転させて固定接点2とオンさせるストローク(L2)よりも大きくなるように形成されている(L1>L2)。(図4参照)
【0055】
このように、本実施例では、回転軸6を軸線方向に移動可能に設けると共に、回転軸6を押圧することにより操作されるプッシュスイッチを備えており、回転軸6の突出部6jと回転体7の係合凹部7eとが互いに係合する係合面の軸線方向における係合寸法(L1)を、プッシュスイッチの操作ストローク(L2)よりも大きく形成するようにしたので、プッシュスイッチの押圧動作時においても回転軸6の突出部6jが回転体7の係合凹部7eから外れることがなく、回転軸6と回転体7との結合を確実なものとすることができる。
【0056】
また、回転体7の回転板部7bの上面側(ガイド筒部7a側)には、ガイド筒部7aの周囲を囲むように複数の凹凸部からなるクリック用のカム部7gが環状に設けられており、このクリック用のカム部7gがクリック用の板ばね8と摺接することで回転時のクリック感触が得られるものとなっている。また、回転板部7bの下面側(ガイド筒部7aとは反対側)には、中央貫通孔7cの外側位置で周方向に複数のボス部7h(本実施例では3個)が設けられており、このボス部7hに摺動子5の取付片5bの丸孔が挿通され、かしめ等の方法により固着されて回転体7と一体的に回転可能に取り付けられるものとなっている。
【0057】
板ばね8は、弾性を有する薄板金属板からなり、大きな開口を有する円環状のばね部8aと、このばね部8aの外周部の対向する位置に設けられた略コ字状の一対の嵌合部8b、8bとを有している。この板ばね8は、開口に回転軸6と回転体7のガイド筒部7aが挿通され、ばね部8a中央の膨出部が回転体7の回転板部7bのクリック用のカム部7gと当接された状態で、ケース1の収納部1a上面側に形成された一対の凹溝1d、1d、及び突片1e、1eに一対の嵌合部8b、8bが嵌合され位置決めされて、取り付けられるものとなっている。
【0058】
ケース1とともにハウジングを構成する取付板9は、すず引き鋼板等の金属板材からなり、略平板状の上板部9aと、この上板部9a中央に絞り加工等で上方に延出され、回転軸6の太軸部6aと回転体7のガイド筒部7aを回転可能に支持(ガイド)する大きな開口を有する円筒状の軸受け部9bと、上板部9aの四角部に軸受け部9bとは対向する方向に屈曲して垂下された複数の固定脚部9c、9cと、同じく一対の対向する側辺部から屈曲されて垂下された一対の取付脚部9d、9dとを有している。また、一対の取付脚部9d、9dには、上板部9aとの屈曲部近傍に第1取付孔9eが設けられ、この第1取付孔9eの近傍に連設して第2取付孔9fが設けられている。
【0059】
この取付板9は、円筒状の軸受け部9bに回転軸6及び回転体7のガイド筒部7aが挿通されて、ケース1の収納部1a上面側との間に板ばね8の嵌合部8bを挟持させた状態で、一対の取付脚部9d、9dがケース1の対向する外側面に設けられた一対のガイド溝1b、1bに係合されると共に、突片1eが第1取付孔9eに挿入されることにより係止され、係止突起1cが第2取付孔9fに係止されて位置決めされて係合されることにより、取付板9がケース1の開口状の収納部1aを覆うように取り付けられるものとなっている。
【0060】
このように構成された回転型電気部品は、操作つまみ10を介して、回転軸6が回転操作されると、突出部6jと係合凹部7eとの係合により、回転体7が一体に回転して、摺動子5の各接触片5cの各接触部5dが導電パターン3上を摺接する。また、回転軸6に軸線方向の押圧力が加えられると、回転軸6が回転体7にガイドされて移動し、突起6kが可動接点4を押圧して、プッシュスイッチがオンとなるように動作するものである。
【0061】
上記した本発明の実施例によれば、回転検出用パターンを構成する第1及び第2間欠パターン3a、3bの導電部と、コモンパターン3cと、固定接点を構成する中央固定接点2a及び周辺固定接点2bが、同一金属板から打ち抜き加工されて互いに絶縁状態を保ってケース1に埋設されると共に、中央固定接点2aと外部端子2gとを繋ぐ第1連結部2eと、周辺固定接点2bと他の外部端子2hとを繋ぐ第2連結部2fを、回転検出用パターンを構成する第1間欠パターン3aの導電部、第2間欠パターン3bの導電部、コモンパターン3cのそれぞれの間に形成される3箇所の間隙の内、異なる2箇所に形成したことから、回転検出用パターンの第1間欠パターン3a、第2間欠パターン3b、コモンパターン3cと、押圧操作検出用の中央固定接点2a、周辺固定接点2bが互いに電気的に分離されているので、回転、押圧操作時に回路が独立して使用できるため使用形態が限定されず、あらゆる用途に適用できると共に、回転検出用の摺動子5の接触部5dが3箇所のため、安定した接触が得られると共に小型化が可能となっている。
【0062】
図10〜図13は、本発明のスイッチ付き回転型電気部品のケース1の製造工程を示している。これらの図を用いてケース1の製造方法を説明する。
まず、図10に示すように、フープ状の帯状をした金属板11にプレス加工を施して、押圧操作検出用の固定接点2(2a、2b)と、回転検出用の導電パターン3(3a、3b、3c)と、それぞれの外部端子2g、2h及び3f、3g、3hのおおよその外形加工を行う。この外形加工では、後述するインサート成形時に樹脂材が充填される間欠部3d、3eの孔あけ加工も同時に行っている。そして、このプレス加工の工程に併せて、それぞれの外部端子2g、2h、3f、3g、3hに、板厚方向に突出し、各外部端子の延出方向に沿ったリブ2i、3iを突き出し加工する。この時、固定接点2(2a、2b)と導電パターン3(3a、3b、3c)とは結合されて繋がった状態となっている。
【0063】
次に、図11に示すように、図10で繋がった状態の固定接点2と導電パターン3とをプレス加工により分離して、それぞれの中央固定接点2a、周辺固定接点2b、及び第1間欠パターン3a、第2間欠パターン3b、コモンパターン3cをそれぞれ独立させて形成する。尚、この場合に、一度のプレス加工で、一気に固定接点2と導電パターン3とを分離しないのは、細幅からなる固定接点2とその連結部が変形するのを防止するためである。
【0064】
そして、中央固定端子2aは第1連結部2eで外部端子2gと繋がっており、外部端子2gの他端側が帯状をした金属板11の金属枠11aに連結されている。また、周辺固定接点2bは第2連結部2fで外部端子2hと繋がっており、外部端子2hの他端側が金属板11の金属枠11aに連結されている。この時、第1連結部2eは、第1と第2間欠パターン3a、3bの間の間隙に位置されており、また、第2連結部2fは、第2間欠パターン3bとコモンパターン3cの間の間隙に位置して配置されている。
【0065】
そして、第1間欠パターン3aは中央部で外部端子3fに繋がっており、この外部端子3fの他端側は金属枠11aに連結され、さらに、金属板からなる導電部の一端部が繋ぎ桟11bにより金属枠11aと連結されている。また、第2間欠パターン3bは同じく中央部で外部端子3gに繋がっており、この外部端子3gの他端側は金属枠11aに連結され、さらに、金属板からなる導電部の両端部が繋ぎ桟11b、11cにより金属枠11aと連結されている。また、コモンパターン3cは一端部で外部端子3hに繋がっており、この外部端子3hの他端側は金属枠11aに連結され、さらに、中央部が一対の繋ぎ桟11d、11dにより金属枠と連結されている。
【0066】
次に、図12に示すように、中央固定接点2aと周辺固定接点2bに繋がる、第1連結部2eと第2連結部2fに曲げ加工を施して(図8参照)、回転検出用の導電パターン3(3a、3b、3c)と固定接点2(2a、2b)とに段差を持たせることにより、中央固定接点2aと周辺固定接点2bを外部端子2g、2h側の径方向に移動させる。これにより、導電パターン3(3a、3b、3c)と固定接点2(2a、2b)との平面的な位置を定め、それぞれの接点部2c、2dの位置を適切な位置に設定する。
【0067】
また、本工程において、回転検出用の導電パターン3(3a、3b、3c)と固定接点2(2a、2b)とに段差を持たせることにより、中央固定接点2a及び周辺固定接点2bの第1連結部2e及び第2連結部2fと、回転検出用の導電パターン3(3a、3b、3c)との上下方向の隙間を大きくして、ケース成形時の溶融樹脂が流れ込み易いようにしている。
また、同時に、中央固定接点2aの中央と、周辺固定接点2bの円弧状の中央及び両端側の3箇所に突き出し加工を行い、接点部2cと3個の接点部2dを突出形成する。
【0068】
次に、図13に示すように、帯状をした金属板11を図示しない成形金型内に装着して、固定接点2(2a、2b)、連結部(2e、2f)、導電パターン3(3a、3b、3c)等を金型内のガイドピン(図示せず)等で押さえて位置決めした状態で、金型のキャビティー内に溶融樹脂を充填させてインサート成形を行い、樹脂材に固定接点2(2a、2b)、連結部(2e、2f)、導電パターン(3a、3b、3c)を埋設させてケース1を形成する。このインサート成形工程において、第1間欠パターン3aの間欠部3dと第2間欠パターン3bの間欠部3eの孔内にも溶融樹脂が流れ込み、間欠部3d、3eが樹脂材で構成される絶縁部となる。
【0069】
次に、この状態から、それぞれの外部端子2g、2h、3f、3g、3hが金属枠11aと繋がっている箇所をポンチで切断して、ケース1から延出する根元部分を下方(ケース1の底面方向)へ折り曲げ加工を行う。この時、ケース1は複数の繋ぎ桟11b、11c、11dで金属枠11aに連結された状態となっている。そして、最後に、金属枠11aとの繋ぎ部であるそれぞれの繋ぎ桟11b、11c、11dをポンチで切断することにより、図5に示すような単体のケース1が完成する。
【0070】
上記した本発明の製造方法によれば、回転検出用の導電パターン3(3a、3b、3c)と固定接点2(2a、2b)とに段差を持たせることにより、中央固定接点2a及び周辺固定接点2bの第1連結部2e及び第2連結部2fと、回転検出用の導電パターン3(3a、3b、3c)との上下方向の隙間を大きくして、ケース成形時の溶融樹脂が流れ込み易いようにしているので、円環状に配設された回転検出用の導電パターン3(3a、3b、3c)と、この回転検出用の導電パターン3(3a、3b、3c)の内側に設けられた押圧操作検出用の中央及び周辺固定接点2a、2bとを、互いに確実に電気的に絶縁した状態で、容易にケースに埋設することができるものとなる。
【0071】
また、固定接点2(2a、2b)の第1、第2連結部2e、2fが外部端子2g、2hの一部で構成されているので、固定接点2の外部端子2g、2hを金属枠11aとの連結部として、回転検出用の導電パターン3に影響を及ぼすことなく所定幅の連結部を各パターン間に位置させることができると共に、その間に確実に溶融樹脂を流し込んで、絶縁を確保することができる。
また、回転検出用の導電パターン3と中央及び周辺固定接点2a、2bとが繋がった状態でプレス加工を行い、その後回転検出用の導電パターン3と中央及び周辺固定接点2a、2bとを分離するので、それぞれの固定接点2(2a、2b)の変形を防止することができるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明のスイッチ付き回転型電気部品を示す分解斜視図である。
【図2】本発明のスイッチ付き回転型電気部品を示す平面図である。
【図3】本発明のスイッチ付き回転型電気部品を示す正面図である。
【図4】本発明のスイッチ付き回転型電気部品を示す断面図である。
【図5】本発明のケースを示す平面図である。
【図6】本発明の回転検出用パターン及び固定接点の埋設状態を示すケースの平面図である。
【図7】本発明の図6の7−7線における断面図である。
【図8】本発明の図6の8−8線における断面図である。
【図9】本発明の摺動子を示す平面図である。
【図10】本発明のケースの製造工程を示す平面図である。
【図11】本発明のケースの製造工程を示す平面図である。
【図12】本発明のケースの製造工程を示す平面図である。
【図13】本発明のケースの製造工程を示す平面図である。
【図14】従来のスイッチ付き回転型電気部品を示す正面断面図である。
【図15】従来の図14の15−15線における断面図である。
【図16】従来の可動弾性接点を示す平面図である。
【図17】従来の固定接点部を打ち抜き加工した金属板を示す平面図である。
【符号の説明】
【0073】
1:ケース(ハウジング)
1a:収納部
1b:ガイド溝
1c:係止突起
1d:凹溝
1e:突片
1f:突堤部
1g:第1収納部
1h:第2収納部
1i:突面部
1j:ガイド穴(穴)
1k:ガイド穴(穴)
1l:ピン穴
2:固定接点
2a:中央固定接点
2b:周辺固定接点
2c:接点部
2d:接点部
2e:第1連結部
2f:第2連結部
2g:外部端子
2h:外部端子
2i:リブ
3:導電パターン
3a:第1間欠パターン
3b:第2間欠パターン
3c:コモンパターン
3d:間欠部(絶縁部)
3e:間欠部(絶縁部)
3f:外部端子
3g:外部端子
3h:外部端子
3i:リブ
4:可動接点
4a:膨出部
4b:外周縁部
5:摺動子
5a:基部
5b:取付片
5c:接触片
5d:接触部
6:回転軸
6a:太軸部
6b:細軸部
6c:段部
6d:平坦面
6e:円弧状部
6f:直線状部
6g:つまみ取付部
6h:中央凹部
6i:内壁部
6j:突出部
6k:突起
7:回転体
7a:ガイド筒部
7b:回転板部
7c:中央貫通孔
7d:貫通凹部
7e:係合凹部
7f:係止壁部
7g:カム部
7h:ボス部
8:板ばね
8a:ばね部
8b:嵌合部
9:取付板(ハウジング)
9a:上板部
9b:軸受け部
9c:固定脚部
9d:取付脚部
9e:第1取付孔
9f:第2取付孔
10:操作つまみ
11:金属板
11a:金属枠
11b:繋ぎ桟
11c:繋ぎ桟
11d:繋ぎ桟
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ付き回転型電気部品に係り、特に回転軸の回転と軸線方向の移動動作によりパルススイッチとプッシュスイッチ等の操作を行うプッシュスイッチ付き回転型電気部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のスイッチ付き回転型電気部品の構造としては、操作軸の軸線方向の移動動作でスイッチをオン、オフさせるプッシュスイッチを備え、操作軸の回転動作によりパルススイッチ、あるいは可変抵抗器等の回転型電気部品を操作するようにした構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来のスイッチ付き回転型電気部品の構造を図14〜図17に示す。図14は従来のスイッチ付き回転型電気部品の正面断面図、図15は図14の15−15線における断面図、図16はエンコーダ部の可動弾性接点の平面図、図17は固定接点部を打ち抜き加工した金属板の平面図である。
【0004】
図に示すように、従来のスイッチ付回転型エンコーダは、操作軸21の中間円形部21Aが回転および上下動が可能なように軸受39の円形孔39Aに嵌合支持されると共に、下方の非円形部21Bが、回転運動は伝達されるが上下動は伝わらないように回転体40の非円形孔40Aに嵌合して、下方の溝部に挿入されたワッシャ64により抜け止めされており、回転体40には、中心から同一半径で90°間隔に四つの弾性接点42A〜42Dを有する弾性金属薄板製の可動弾性接点42が、可動接点として保持されている。
【0005】
そして、この可動接点が弾接する固定接点として、ケース41の内底面には、上記の弾性接点42A〜42Dと同一半径位置で90°よりもパルス信号のオフ角度分だけ小さい同じ角度範囲に、電気的に導通した同数の放射状の櫛歯部43Aおよび44Aをそれぞれ両端部および等角度位置に有すると共に、位相差とパルス信号のオフ角度の合計分だけの角度間隔をあけて、互いに電気的に独立した二つの信号用接点43および44と、上記の弾性接点42A〜42Dと同一半径位置に、90°よりも少し大きい角度で、二つの信号用接点43,44とは電気的に独立して設けられた扇形のコモン接点45が、それぞれ金属薄板で形成されてインサート成形加工により配設・固定されている。
【0006】
一方、ケース41の内底面中央部には、スイッチ部の一対の固定接点である中央固定接点46Aと外側固定接点46Bが、上記エンコーダ部の固定接点と同じ金属薄板で形成されて、インサート成形加工により固定されており、この外側固定接点46Bがエンコーダ部のコモン接点45とケース41の底面において電気的に導通している。
【0007】
そして、ケース41の外周の一方の端部からはスイッチ部の中央固定接点46Aから引き出された細長いスイッチ端子47と、スイッチ部の外側固定接点46Bおよびエンコーダ部のコモン接点45と導通した細長い共通端子48が導出されて下方に折り曲げられており、他方の端部からはエンコーダ部の二つの信号用接点43,44とそれぞれ導通した二つの細長い信号用端子49A,49Bが導出されて、同様に下方へ折り曲げられている。
【0008】
上記のスイッチ部の中央固定接点46Aから引き出されたスイッチ端子47は、金属薄板で一体形成されたリード部50を、スイッチ部の固定接点である中央固定接点46Aおよび外側固定接点46Bの周囲の、エンコーダ部の固定接点である信号用接点43,44およびコモン接点45が配設されない部分を通して引き出したものであり、ケース41の底面に配設されるエンコーダ部の二つの信号用接点43,44およびコモン接点45が、いずれも同じ半径で約90°の角度範囲に設けられているので、これらを信号用接点43に近い位置に集めて配置することによって、エンコーダ部の固定接点が配設されない部分を大きな角度で、容易に確保することができる。
【0009】
従って、エンコーダ部のそれぞれの固定接点43,44,45と、スイッチ部のそれぞれの固定接点46A,46B、およびこれらと導通した各端子49A,49B,47,48ならびにリード部50を、同一の金属薄板を打抜き曲げ加工して容易に形成することができる。
【0010】
そして、上記スイッチ部の一対の固定接点である外側固定接点46B上に弾性金属薄板製のドーム状可動接点71が載せられてスイッチ接点部を構成すると共に、ドーム状可動接点71の上部にプッシュ板73を介して操作軸21の下端部21Cが当接して、操作軸21の溝部に挿入されたワッシャ64が回転体40下面の凹部天面に当接しており、軸受39の上方からコの字形の取付金具51で挟み込んでケース41の裏面で爪部51Aを折り曲げることによって、全体が連結固定されている。
【0011】
【特許文献1】特開2002−25395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述した従来のスイッチ付き回転型電気部品においては、環状の可動弾性接点に弾性接点を4つ設ける必要があり、小型化に対応できず、4点接触となるため接触の信頼性(安定性)に問題があった。
また、コモン接点と外側固定接点とが導通しているため、エンコーダ部とスイッチ部の回路を分けて(分離して)使用することができず、使用形態が限定されるという問題があった。
【0013】
従って、本発明は上記した問題点を解決し、使用形態が限定されずに、安定した接触が得られると共に、生産性の良好なスイッチ付き回転型電気部品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために本発明のスイッチ付き回転型電気部品では第1の解決手段として、回転及び押圧操作可能な回転軸と、この回転軸の回転に伴い回転する摺動子と、前記回転軸の押圧操作に伴い変位する可動接点と、前記摺動子が摺接する円環状の回転検出用パターン及び該回転検出用パターンの内側に設けられ前記可動接点と対向する押圧操作検出用の固定接点が設けられたケースと、前記回転検出用パターン及び前記固定接点に導通され前記ケース外方に延出する複数の外部端子とを備え、前記摺動子は、等角度間隔で3箇所に接触部を有し、前記回転検出用パターンが、前記回転軸の回転に伴って前記接触部が摺接する導電部と絶縁部とが交互に形成された円弧状の第1間欠パターンと、前記第1間欠パターンとは位相差を持って前記接触部が摺接する導電部と絶縁部とが交互に形成された円弧状の第2間欠パターンと、前記第1及び第2間欠パターンの間に配置された導電部からなる円弧状のコモンパターンとを有すると共に、前記固定接点が、前記回転検出用パターンの中央部に位置し前記回転軸の押圧操作に伴い前記可動接点と接触する中央固定接点と、この中央固定接点の外側に位置する周辺固定接点とを有するスイッチ付き回転型電気部品であって、前記第1及び第2間欠パターンの導電部と、前記コモンパターンと、前記中央固定接点及び周辺固定接点が、同一金属板から打ち抜き加工されて互いに絶縁状態を保って前記ケースに埋設されると共に、前記中央固定接点と前記外部端子とを繋ぐ第1連結部と、前記周辺固定接点と他の前記外部端子とを繋ぐ第2連結部を、前記回転検出用パターンを構成する前記第1間欠パターンの導電部、前記第2間欠パターンの導電部、前記コモンパターンのそれぞれの間に形成される3箇所の間隙の内、異なる2箇所に形成した構成とした。
【0015】
また、第2の解決手段として、前記回転検出用パターンを構成する、前記第1と第2間欠パターン、及び前記コモンパターンの表面は、前記ケースの内底面に表出して埋設されており、前記第1及び第2連結部が、前記回転検出用パターンの表面位置から前記ケースの底面側へ段差を持って折り曲げられて前記ケース内底部に埋設されている構成とした。
また、第3の解決手段として、前記ケースの内底面には、前記第1及び第2連結部の表面が露出する穴が設けられている構成とした。
また、第4の解決手段として、前記回転検出用パターンの内側に設けられた押圧操作検出用の前記固定接点は、前記ケースの内底面から表出する前記中央固定接点及び周辺固定接点の表出面が、前記回転検出用パターンの表出面より低い位置に設けられている構成とした。
また、第5の解決手段として、前記第1及び第2連結部は、前記外部端子と繋がる側が幅広に形成され、この幅広部にリブが設けられると共に、前記第1及び第2連結部が前記幅広部の基端部と一緒に前記ケースに埋設されている構成とした。
また、第6の解決手段として、前記周辺固定接点と前記回転検出用パターンとの間に、前記可動接点を収納する筒状の突堤部を有し、前記穴が前記突堤部に位置して設けられている構成とした。
【0016】
また、第7の解決手段として、回転及び押圧操作可能な回転軸と、この回転軸の回転に伴い回転する摺動子と、前記摺動子が摺接する円弧状の第1間欠パターンと第2間欠パターン、及びコモンパターンとからなる回転検出用パターンと、この回転検出用パターンの内側に設けられた押圧操作検出用の中央及び周辺固定接点とが、互いに電気的に絶縁状態で埋設されたケースと、前記中央及び周辺固定接点上に配設され、前記回転軸の押圧操作により両固定接点間を導通させる可動接点とを備えたスイッチ付き回転型電気部品の製造方法であって、一枚の金属板をプレス加工することにより、前記回転検出用パターン部と前記中央及び周辺固定接点とをそれぞれ連結部により金属枠に繋がった状態を保って分離する工程と、前記中央及び周辺固定接点と前記金属枠とのそれぞれの前記連結部に曲げ加工を施すことにより、前記中央及び周辺固定接点の形成面と前記回転検出用パターンの形成面との高さを異ならせて段差を形成する工程と、前記金属板を成形金型内に装着してキャビティー内に溶融樹脂を充填することにより、それぞれの前記連結部の一部、前記回転検出用パターンの第1間欠パターンと第2間欠パターンとコモンパターンのそれぞれの間、前記第1と第2間欠パターンの間欠部を樹脂に一体に埋設して、前記ケースの外形を成形する工程と、前記ケースと前記金属板の金属枠との繋ぎ部を切断して、単体のケースを形成する工程とを有する製造方法とした。
【0017】
また、第8の解決手段として、前記中央及び周辺固定接点と前記金属枠とのそれぞれの前記連結部が、前記回転検出用パターンの第1間欠パターンと第2間欠パターンとコモンパターンのそれぞれの間に形成される間隙の内、異なる2箇所に位置すると共に、前記連結部が外部端子の一部で構成された製造方法とした。
また、第9の解決手段として、前記回転検出用パターン部と前記中央及び周辺固定接点とをそれぞれ連結部により金属枠に繋がった状態を保って分離する工程が、前記回転検出用パターン部と前記中央及び周辺固定接点とが繋がった状態にプレス加工を施す工程と、前記回転検出用パターン部と前記中央及び周辺固定接点とを分離する工程を含む製造方法とした。
また、第10の解決手段として、前記金属板を成形金型内に装着してキャビティー内に溶融樹脂を充填する際に、前記可動接点を収納する筒状の突堤部の形成位置に対応して複数の押さえピンを挿入し、これらの押さえピンにより前記中央及び周辺固定接点のそれぞれの連結部表面をガイドして位置決めすると共に、前記押さえピン跡により前記突堤部に前記連結部の表面が露出する穴を設けるようにした製造方法とした。
【発明の効果】
【0018】
上述したように、本発明のスイッチ付き回転型電気部品は、回転及び押圧操作可能な回転軸と、この回転軸の回転に伴い回転する摺動子と、回転軸の押圧操作に伴い変位する可動接点と、摺動子が摺接する円環状の回転検出用パターン及び該回転検出用パターンの内側に設けられ可動接点と対向する押圧操作検出用の固定接点が設けられたケースと、回転検出用パターン及び固定接点に導通されケース外方に延出する複数の外部端子とを備え、摺動子は、等角度間隔で3箇所に接触部を有し、回転検出用パターンが、回転軸の回転に伴って接触部が摺接する導電部と絶縁部とが交互に形成された円弧状の第1間欠パターンと、第1間欠パターンとは位相差を持って接触部が摺接する導電部と絶縁部とが交互に形成された円弧状の第2間欠パターンと、第1及び第2間欠パターンの間に配置された導電部からなる円弧状のコモンパターンとを有すると共に、固定接点が、回転検出用パターンの中央部に位置し回転軸の押圧操作に伴い可動接点と接触する中央固定接点と、この中央固定接点の外側に位置する周辺固定接点とを有するスイッチ付き回転型電気部品であって、第1及び第2間欠パターンの導電部と、コモンパターンと、中央固定接点及び周辺固定接点が、同一金属板から打ち抜き加工されて互いに絶縁状態を保ってケースに埋設されると共に、中央固定接点と外部端子とを繋ぐ第1連結部と、周辺固定接点と他の外部端子とを繋ぐ第2連結部を、回転検出用パターンを構成する第1間欠パターンの導電部、第2間欠パターンの導電部、コモンパターンのそれぞれの間に形成される3箇所の間隙の内、異なる2箇所に形成したことから、回転検出用パターンのそれぞれのパターンと押圧操作検出用のそれぞれの固定接点が互いに電気的に分離されているので、使用形態が限定されず、あらゆる用途に適用できる。また、回転検出用の摺動子の接触部が3箇所のため、安定した接触が得られると共に小型化が可能となる。
【0019】
また、回転検出用パターンを構成する、第1と第2間欠パターン、及びコモンパターンの表面は、ケースの内底面に表出して埋設されており、第1及び第2連結部が、回転検出用パターンの表面位置からケースの底面側へ段差を持って折り曲げられてケース内底部に埋設されていることから、ケース成形時に樹脂が容易に段差部に流れ込むので、回転検出用パターンと固定接点との絶縁を確実に取ることができる。
また、ケースの内底面には、第1及び第2連結部の表面が露出する穴が設けられていることから、第1及び第2連結部を穴を通してガイドピンで押さえることができるので、固定接点の位置決めが可能となる。
また、回転検出用パターンの内側に設けられた押圧操作検出用の固定接点は、ケースの内底面から表出する中央固定接点及び周辺固定接点の表出面が、回転検出用パターンの表出面より低い位置に設けられていることから、回転検出用パターンと固定接点間の絶縁をより確実なものとすることができる。
また、第1及び第2連結部は、外部端子と繋がる側が幅広に形成され、この幅広部にリブが設けられると共に、第1及び第2連結部が幅広部の基端部と一緒にケースに埋設されていることから、第1及び第2連結部の幅が広くとれない場合においても、強固にケース内底部に埋設させることができる。
また、周辺固定接点と回転検出用パターンとの間に、可動接点を収納する筒状の突堤部を有し、穴が突堤部に位置して設けられていることから、周辺固定接点と回転検出用パターンとの絶縁をより確実にできると共に、可動接点を保持する筒状の突堤部に第1及び第2連結部が露出する穴が形成されているため、この穴を利用してドーム状等の可動接点内の空気を筒状の突堤部外へ逃がすことができるので、押圧操作に伴う可動接点の反転等の動作が確実となり、スイッチの信頼性が向上する。
【0020】
また、回転及び押圧操作可能な回転軸と、この回転軸の回転に伴い回転する摺動子と、摺動子が摺接する円弧状の第1間欠パターンと第2間欠パターン、及びコモンパターンとからなる回転検出用パターンと、この回転検出用パターンの内側に設けられた押圧操作検出用の中央及び周辺固定接点とが、互いに電気的に絶縁状態で埋設されたケースと、中央及び周辺固定接点上に配設され、回転軸の押圧操作により両固定接点間を導通させる可動接点とを備えたスイッチ付き回転型電気部品の製造方法であって、一枚の金属板をプレス加工することにより、回転検出用パターン部と中央及び周辺固定接点とをそれぞれ連結部により金属枠に繋がった状態を保って分離する工程と、中央及び周辺固定接点と金属枠とのそれぞれの連結部に曲げ加工を施すことにより、中央及び周辺固定接点の形成面と回転検出用パターンの形成面との高さを異ならせて段差を形成する工程と、金属板を成形金型内に装着してキャビティー内に溶融樹脂を充填することにより、それぞれの連結部の一部、回転検出用パターンの第1間欠パターンと第2間欠パターンとコモンパターンのそれぞれの間、第1と第2間欠パターンの間欠部を樹脂に一体に埋設して、ケースの外形を成形する工程と、ケースと金属板の金属枠との繋ぎ部を切断して、単体のケースを形成する工程とを有することから、円環状に配設された回転検出用パターンと、この回転検出用パターンの内側に設けられた押圧操作検出用の中央及び周辺固定接点とを、互いに確実に電気的に絶縁した状態で、容易にケースに埋設することができる。
【0021】
また、中央及び周辺固定接点と金属枠とのそれぞれの連結部が、回転検出用パターンの第1間欠パターンと第2間欠パターンとコモンパターンのそれぞれの間に形成される間隙の内、異なる2箇所に位置すると共に、連結部が外部端子の一部で構成されたことから、固定接点の外部端子を金属枠との連結部としているので、回転検出用パターンに影響を及ぼすことなく所定幅の連結部を各パターン間に位置させることができると共に、その間に確実に溶融樹脂を流し込んで、絶縁を確保することができる。
また、回転検出用パターン部と中央及び周辺固定接点とをそれぞれ連結部により金属枠に繋がった状態を保って分離する工程が、回転検出用パターン部と中央及び周辺固定接点とが繋がった状態にプレス加工を施す工程と、回転検出用パターン部と中央及び周辺固定接点とを分離する工程を含むことから、回転検出用パターン部と中央及び周辺固定接点とが繋がった状態でプレス加工を行い、その後回転検出用パターン部と中央及び周辺固定接点とを分離するので、それぞれの固定接点の変形を防止することができる。
また、金属板を成形金型内に装着してキャビティー内に溶融樹脂を充填する際に、可動接点を収納する筒状の突堤部の形成位置に対応して複数の押さえピンを挿入し、これらの押さえピンにより中央及び周辺固定接点のそれぞれの連結部表面をガイドして位置決めすると共に、押さえピン跡により突堤部に連結部の表面が露出する穴を設けるようにしたことから、ケース成形時の中央及び周辺固定接点の位置決めを押さえピンによって確実に行えると共に、押さえピン跡による穴を利用して、反転時のドーム状等の可動接点内の空気を筒状の突堤部外へ逃がすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図13に示す。図1は本発明のスイッチ付き回転型電気部品を示す分解斜視図、図2は本発明のスイッチ付き回転型電気部品を示す平面図、図3は本発明のスイッチ付き回転型電気部品を示す正面図、図4は本発明のスイッチ付き回転型電気部品を示す断面図、図5は本発明のケースを示す平面図、図6は本発明の回転検出用パターン及び固定接点の埋設状態を示すケースの平面図、図7は図6の7−7線における断面図、図8は図6の8−8線における断面図、図9は本発明の摺動子を示す平面図、図10乃至図13は本発明のケースの製造工程を示す平面図である。
【0023】
図1に示すように本発明のスイッチ付き回転型電気部品は、上面開口状の箱形のケース1と、このケース1に配設された押圧操作検出用の固定接点2及び回転検出用の導電パターン3と、固定接点2及び導電パターン3と接触及び摺接する可動接点4及び摺動子5と、回転及び押圧操作可能な回転軸6と、この回転軸6の回転に伴い回転する回転体7と、この回転体に摺動しクリック感触を生起させる板ばね8と、回転軸6を回転可能に保持する軸受け部を有し、ケース1の開口部を覆う取付板9とから主に構成されている。尚、ケース1と取付板9とにより、ハウジングが構成されている。
【0024】
ケース1は、合成樹脂等の絶縁材で、収納部1aを有する上面開口状の箱型に形成されている。また、ケース1の対向する外側面には上下に貫通する一対のガイド溝1b、1bが設けられ、これらのガイド溝1b、1b内にはそれぞれ外方へ突出する係止突起1c、1cが設けられている。また、ガイド溝1b、1bに連通するケース1の上面側(前面側)には、一対の凹溝1d、1dが設けられ、これらの凹溝1d、1d内にはそれぞれ上方(前方)へ突出する突片1e、1eが設けられている。そして、これらのガイド溝1b、1bに後述する取付板9の取付脚部9dが係合され、係止突起1cと突片1eとにより位置決め係合されて、取付板9がケース1の上面側の開口上を覆うように取り付けられるものとなっている。
【0025】
また、図5〜図8に示すように、ケース1の開口部中央には、筒状の突堤部1fが設けられており、この突堤部1fを境として内側に円状の第1収納部1g、外側に円環状の第2収納部1hが設けられている。この場合、第1収納部1gの内底面は第2収納部1hの内底面よりも若干低い位置となるように段差を有して形成されている。(図7、図8参照)
【0026】
また、第1収納部1gの内底面には、中央位置に導電性の金属板をインサート成型等の方法により、その一部を表出した状態で一体に埋設して形成された中央固定接点2aと、この中央固定接点2aを囲むように半円弧状の周辺固定接点2bが配設されている。この中央固定接点2aと周辺固定接点2bとで押圧操作用の固定接点2を構成している。また、第1収納部1g内底面の周辺固定接点2bと対向する側には、内底面よりも若干突出した突面部1iが設けられており、この突面部1iの表面が、周辺固定接点2bの3箇所に突出して設けられた接点部2dの表面、及び中央固定接点2aに突出して設けられた接点部2cの表面と面一となるように形成されている(図7参照)。そして、後述する可動接点4が、第1収納部1gに収納された際には、これら突面部1iと周辺固定接点2bの接点部2dとにより可動接点4が傾かないように載置されるものとなっている。
【0027】
また、第2収納部1hの内底面には、同じく導電性の金属板をインサート成型等の方法により、その一部を表出した状態で一体に埋設して形成された円弧状の第1間欠パターン3aと第2間欠パターン3bとコモンパターン3cとがそれぞれ円環状に配設されている。この第1間欠パターン3aと第2間欠パターン3bとコモンパターン3cとで回転検出用の導電パターン3を構成している。
【0028】
また、第1及び第2間欠パターン3a、3bには、周方向にそって複数(本実施例では4個)の略矩形状の間欠部3d、3eが設けられ、この間欠部3d、3eにケース1の樹脂材が充填され露出した状態となって絶縁部を構成しており、金属板からなる導電部と樹脂材からなる絶縁部とが交互に形成されたものとなっている。また、第1間欠パターン3aの導電部及び絶縁部と、第2間欠パターン3bの導電部及び絶縁部とが、異なるタイミング、すなわち位相差をもって後述する摺動子5の接触部5dと摺接するように形成されている。また、A相信号用の第1間欠パターン3aとB相信号用の第2間欠パターン3bとコモンパターン3cは、それぞれ概略120度の間隔となるように同一円周上に配置されている。
【0029】
また、回転検出用の導電パターン3の内周側に設けられた押圧操作検出用の固定接点2は、第1収納部1gの内底面から表出する中央固定接点2a及び周辺固定接点2bの表出面が、回転検出用の導電パターン3が第2収納部1hの内底面から表出する表出面より低い位置に設けられている(図7参照)。このために、回転検出用パターンの導電パターン3と押圧操作用の固定接点2間の絶縁をより確実なものとすることができる。
【0030】
また、ケース1の外側面には、中央固定接点2a及び周辺固定接点2bと電気的に導通され、ケース1の外方へ延出する外部端子2g、2hが設けられており、この外部端子2g、2hがそれぞれケース1の外側面に沿って下方に折り曲げられて配設されている。また、ケース1の異なる外側面には、同じく第1、第2間欠パターン3a、3b、及びコモンパターン3cと電気的に導通され、ケース1の外方へ延出する外部端子3f、3g、3hが設けられており、同じくこの外部端子3f、3g、3hがそれぞれケース1の外側面に沿って下方に折り曲げられて配設されている。また、それぞれの外部端子2g、2h及び3f、3g、3hには、中央に補強用のリブ2i、3iが各外部端子の延出方向に沿って突出形成されている。
【0031】
また、中央固定接点2aと外部端子2gとの間には、細幅状の第1連結部2eが設けられており、この第1連結部2eにより中央固定接点2aと外部端子2gが電気的及び機械的に繋がっている。また、周辺固定接点2bと外部端子2hとの間には、細幅状の第2連結部2fが設けられており、この第2連結部2fにより周辺固定接点2bと外部端子2hが電気的及び機械的に繋がっている。また、第1連結部2eは、回転検出用パターンを構成する第1間欠パターン3aの導電部と第2間欠パターン3bの導電部との間に形成される間隙に位置して設けられており、第2連結部2fは、第2間欠パターン3bの導電部とコモンパターン3cとの間に形成される間隙に位置して設けられている。
【0032】
また、第1と第2間欠パターン3a、3b及びコモンパターン3cの表面は、ケース1の第2収納部1hの内底面に表出して埋設されており、これに対して、第1及び第2連結部2e、2fは、これら第1と第2間欠パターン3a、3b及びコモンパターン3cの表面位置から、ケース1の底面側(図8の下方側)へ段差を持って折り曲げられてケース1の内底部に埋設されている。このために、ケース1の成形時には、樹脂が容易にこの段差部に流れ込むので、回転検出用パターンの導電パターン3と固定接点2との絶縁を確実に取ることができるようになっている。
【0033】
この場合、図8に示すように、第1連結部2eはU字状に2箇所で折り曲げられており、第2連結部2fはL字状に1箇所で折り曲げられている。すなわち、中央固定接点2aと繋がる側の第1連結部2eは、外部端子2g側で略0.35mm下方に折り曲げられ、内側で略0.15mm上方に持ち上げられている。また、周辺固定接点2bと繋がる側の第2連結部2fは、外部端子2h側で略0.2mmだけ下方に折り曲げられており、この結果、中央固定接点2aと周辺固定接点2bの表面の高さは同一に設定されている。
【0034】
また、第1及び第2連結部2e、2fは、外部端子2g、2hと繋がる側が幅広に形成されており、この幅広部に補強用のリブ2iが設けられている。そして、これら第1及び第2連結部2e、2fが、幅広部の基端部と一緒にケース1の内底部に埋設されて固定接点2が形成されている。このため、第1及び第2連結部2e、2fの幅が広くとれない場合においても、強固にケース1の内底部に埋設させることができるものとなっている。
【0035】
また、第1及び第2収納部1g、1hの間には、固定接点2と回転検出用の導電パターン3とを仕切るように筒状の突堤部1fが設けられており、この突堤部1fには、第1及び第2連結部2e、2fに対応する位置に、上方に開口するガイド穴1j、1kが設けられている。また、これらガイド穴1j、1kの底面には第1及び第2連結部2e、2fの表面が露出されており、これらガイド穴1j、1kを介して第1収納部1gと第2収納部1hとが連通されている。
【0036】
また、ケース1の底面側には、中央固定接点2a、周辺固定接点2b、第1、第2間欠パターン3a、3b、及びコモンパターン3cに対応する位置に、これらの底面が露出する(底面に達する)複数の押さえピン用のピン穴1l、1l、1lが設けられており、固定接点2及び導電パターン3のケース1へのインサート成形時に、樹脂の流入圧によってそれぞれの固定接点2及び導電パターン3の位置がずれないように適宜位置へ位置決めするようになっている。
また、ケース1の内底面には、第1及び第2連結部2e、2fの表面が露出するガイド穴1j、1kが設けられていることから、第1及び第2連結部2e、2fを、これらガイド穴1j、1kを通してガイドピンで押さえることができるので、更に固定接点2の位置決めが確実となっている。
【0037】
可動接点4は、導電性の薄板金属板からなり、中央に反転可能なドーム状の膨出部4aを有する円板状に形成されている。この可動接点4は、ケース1の第1収納部1gに配設された固定接点2上に対向状態で載置され、外周縁部4bが周辺固定接点2bの接点部2d上に接触すると共に、膨出部4aの頂部下面側が中央固定接点2a(接点部2c)と対向して離間した状態で配設されている。この可動接点4と固定接点2とでプッシュスイッチが構成されている。
【0038】
摺動子5は、図9に示すように、導電性の薄板金属板からなり、環状の基部5aと、この基部5aの3箇所に外方に延設して形成された丸孔を有する取付片5bと、この取付片5bから環状方向(周方向)に弾性を有して片持ち梁状に延設された複数の接触片5cとを有している。また、3箇所に配置されたこれら接触片5cには、120度の等角度間隔でそれぞれ接触部5dが設けられており、これら接触部5dが同一円周上に3分割して配置された回転検出用の導電パターン3の第1間欠パターン3aと第2間欠パターン3bとコモンパターン3cのそれぞれと摺接するようになっている。
【0039】
また、摺動子5は、後述する回転体7の回転板部7bに取付片5bが固着されることにより、回転体7と一体的に回転可能に取り付けられるものとなっている。また、回転体7がケース1の収納部1aに回転可能に収容された際には、摺動子5は、第2収納部1hに配設された導電パターン3上に載置され、回転体7の回転に伴って、それぞれの接触片5cの接触部5dが第1、第2間欠パターン3a、3b、及びコモンパターン3cと摺接するものとなっている。この摺動子5と導電パターン3とでエンコーダなどの回転検出手段が構成されている。
【0040】
回転軸6は、合成樹脂等の絶縁材からなり、後述する回転体7の中央貫通孔7cよりも径が大きな円柱状の太軸部6aとこれよりもやや細い略円柱状の細軸部6bとが同一軸線上で軸線方向に段部6cを介して連接して設けられている。また、これとは対向する太軸部6aの先端側には、平坦面6dを有し、この平坦面6dにより先端側の断面がD字状に形成されて円弧状部6eと直線状部6fとを有するつまみ取付部6gが設けられている。また、つまみ取付部6gの先端側には、端面から軸線方向に向かって、窪んだ中空状の中央凹部6hが形成されている。
【0041】
また、中空状の中央凹部6hは、回転軸6の円柱状の太軸部6aを除いたつまみ取付部6gの全体にわたって設けられている。すなわち、中空状の中央凹部6hは、回転軸6が後述する取付板9の軸受け部9bに軸支される太軸部6aの一部を除いて、この軸受け部9bから外方へ突出する回転軸6の先端側のつまみ取付部6gに設けられている。そして、このつまみ取付部6gの先端に外装用の操作つまみ10(図3に二点鎖線で示す)が取り付けられて、回転軸6が回転操作されるものとなっている。
【0042】
そして、外装用の操作つまみ10が取り付けられる回転軸6の先端側に中空状の中央凹部6hを設けることにより、合成樹脂の成形加工時(自然冷却時)の収縮に伴う寸法変化が少なく、回転軸6の寸法を精度良く形成でき、操作つまみ10を取り付ける際の確実性と取付作業性を向上できるものとなっている。また、中央凹部6hは、回転軸6が軸受け部9bに軸支される部分にまで達しないような深さ寸法で軸受け部9bから外方へ突出する回転軸6の先端側に設けるようにしたので、回転軸6が軸受け部9bに軸支される部分には中空状の凹部がないので、回転軸6の軸受け部9bへの軸支強度を高めることが可能となっている。
【0043】
また、中空状の中央凹部6hには、回転軸6の軸線を通る位置に、この中央凹部6hを略2等分に分割するような内壁部6iが設けられている。また、この内壁部6iは、中央凹部6hの対向する内側面間に設けられており、この内壁部6iが、D字状の断面の円弧状部6eと直線状部6fとにわたって両者間を繋ぐように設けられている。また、この内壁部6iは、つまみ取付部6gの先端側の端面から軸線方向に向かって、窪んだ位置に形成されており、この内壁部6iの窪んだ先端側に、回転軸6を成形加工する際のゲート(図示せず)が設けられるものとなっている。
【0044】
このように、回転軸6の中央凹部6hに、回転軸6の軸線を通る位置に内壁部6iを設け、この内壁部6iを中央凹部6hの対向する内側面間に設けて中央凹部6hを分割するようにしたので、中央凹部6hの大きさを個々に小さくすることができ、回転軸6の全体の強度を高めることができる。また、回転軸6の先端側の断面がD字状に形成されていても、内壁部6iが、円弧状部6eと直線状部6fとにわたって両者間を繋ぐように設けるようにしたので、操作つまみ10の取付部に変形し易い直線状の係合部が有ったとしても、変形し難い円弧状の係合部との間がこの内壁部6iによって連結されているので、回転軸6の強度を維持することができるものとなっている。
【0045】
また、この内壁部6iは、回転軸6の先端側の端面から窪んだ位置に形成されており、内壁部6iの窪んだ先端側を回転軸6の成形加工時のゲート位置とすることにより、ゲート位置が回転軸6の外周部に出ることを防止でき、操作つまみ10との取付性を良好なものとすることができる。また、回転軸6の先端側(つまみ取付部6g)へのウエルドの発生を防止でき、強度を高めることができるものとなる。
【0046】
また、回転軸6のつまみ取付部6gと対向する方向の細軸部6bの先端側には、回転軸6の軸線方向と直交して交差する方向(径方向)で外方に突出する突出部6jが設けられている。また、この突出部6jは、回転軸6の回転中心を挟んで対向する位置に一対設けられている。そして、この突出部6jが後述する回転体7の係合凹部7eと係合することで、回転軸6と回転体7がケース1に収容され一体的に回転可能に配設されるものとなっている。
【0047】
また、細軸部6bの先端側の端面には軸線方向に突出した突起6kが設けられている。この突起6kが可動接点4のドーム状の膨出部4aの頂部に当接した状態で配設されている。そして、回転軸6が軸線方向に押圧された際には、細軸部6bの軸線方向の移動により突起6kが可動接点4の膨出部4aを押圧して膨出部4aを反転させ、下方に配設された固定接点2の中央固定接点2a(接点部2c)と接触させてプッシュスイッチをオンさせるものとなっている。
【0048】
この時、可動接点4が収納される第1収納部1gの外周には、筒状の突堤部1fが設けられていることから、周辺固定接点2bと回転検出用パターンの導電パターン3との絶縁をより確実にできると共に、可動接点1を保持する筒状の突堤部1fには、第1及び第2連結部2e、2fが露出するガイド穴1j、1kが形成されているため、このガイド穴1j、1kを利用してドーム状の可動接点4内の空気を筒状の突堤部1f外へ逃がすことができるので、押圧操作に伴う可動接点4の反転等の動作が確実となり、スイッチの接触信頼性が向上するものとなっている。
【0049】
回転体7は、同じく合成樹脂等の絶縁材からなり、円筒状のガイド筒部7aと円板状の回転板部7bとを有している。また、回転体7には、回転軸6の軸線方向に貫通する中央貫通孔7cが設けられており、この中央貫通孔7cには、中央貫通孔7cに連続して、回転軸6の突出部6jを挿通可能な貫通凹部7dが設けられている。また、この貫通凹部7dと回転軸6の回転中心に対して所定の角度を有すると共に、回転軸6が軸受け部9b及び回転体7から突出する前方側、すなわち円筒状のガイド筒部7a側に向かって有底状の係止壁部7fを有する係合凹部7eが設けられている。尚、本実施例では貫通凹部7dと係合凹部7eとは、略直交する方向(略90度)に形成されている。
【0050】
また、貫通凹部7dと係合凹部7eは、回転軸6の一対の突出部6j、6jに対応させて、それぞれ対向する位置に一対設けられている。そして、回転軸6の細軸部6bが、回転体7のガイド筒部7aの前方側から中央貫通孔7cに挿通されて、回転軸6の一対の突出部6j、6jが、回転体7の一対の貫通凹部7d、7dに挿通されるものとなっている。そして、挿通された状態から回転軸6が所定の角度(本実施例では略90度)回転されると、回転軸6の一対の突出部6j、6jが、貫通凹部7d、7dと所定の角度を有して設けられた一対の係合凹部7e、7eの位置まで回転して、一対の係止壁部7f、7fに係止可能な状態で一対の係合凹部7e、7eに係合するものとなっている。
【0051】
そして、回転軸6の細軸部6bが回転体7の中央貫通孔7cに挿通され、一対の突出部6j、6jが係合凹部7e、7eに係合された際には、回転体7が回転軸6の回転に伴い回転可能に保持されると共に、回転軸6の一対の突出部6j、6jが係合凹部7e、7e内を回転軸6の軸線方向に移動可能に設けられている。このため、簡単な構成で、プッシュスイッチの押圧動作と回転検出手段の回転動作とが可能となっている。
【0052】
そして、回転軸6は、回転軸6の突出部6jが回転体7の係合凹部7eに確実に係合して回転体7と一体的に保持されているので、回転軸6が大きな力で引っ張られた場合においても突出部6jが回転体7の係止壁部7fと当接するため抜けることが無く、回転軸6の引き抜き強度を向上させることができるものとなっている。
また、回転体7は、円筒状のガイド筒部7aと円板状の回転板部7bとを有し、このガイド筒部7a側に係合凹部7eの係止壁部7fを形成するようにしたので、係止壁部7fの肉厚を厚く形成できるので、回転軸6の抜け止めを、より確実なものとすることができる。
【0053】
また、回転軸6の突出部6jを回転軸6の回転中心を挟んで対向する位置に一対設けると共に、一対の突出部6j、6jと係合する回転体7の貫通凹部7dと係合凹部7eとを、一対の突出部6j、6jに対応させてそれぞれ対向する位置に一対設けるようにしたので、回転軸6の回転を確実に回転体7に伝達することができ、安定した回転操作が可能となると共に、回転軸6を180度回転させても組み込みが可能となるため、組立が容易となり、作業性が向上するものとなっている。
【0054】
そして、回転軸6が軸線方向に押圧された際には、突起6kが可動接点4の膨出部4aを押圧して、下方に配設されたプッシュスイッチをオンさせるものとなっており、この時、回転軸6の一対の突出部6j、6jと回転体7の一対の係合凹部7e、7eとが互いに係合する係合面の軸線方向における係合寸法(L1)は、プッシュスイッチの操作ストローク、すなわち、回転軸6の突起6kが可動接点4の膨出部4aを反転させて固定接点2とオンさせるストローク(L2)よりも大きくなるように形成されている(L1>L2)。(図4参照)
【0055】
このように、本実施例では、回転軸6を軸線方向に移動可能に設けると共に、回転軸6を押圧することにより操作されるプッシュスイッチを備えており、回転軸6の突出部6jと回転体7の係合凹部7eとが互いに係合する係合面の軸線方向における係合寸法(L1)を、プッシュスイッチの操作ストローク(L2)よりも大きく形成するようにしたので、プッシュスイッチの押圧動作時においても回転軸6の突出部6jが回転体7の係合凹部7eから外れることがなく、回転軸6と回転体7との結合を確実なものとすることができる。
【0056】
また、回転体7の回転板部7bの上面側(ガイド筒部7a側)には、ガイド筒部7aの周囲を囲むように複数の凹凸部からなるクリック用のカム部7gが環状に設けられており、このクリック用のカム部7gがクリック用の板ばね8と摺接することで回転時のクリック感触が得られるものとなっている。また、回転板部7bの下面側(ガイド筒部7aとは反対側)には、中央貫通孔7cの外側位置で周方向に複数のボス部7h(本実施例では3個)が設けられており、このボス部7hに摺動子5の取付片5bの丸孔が挿通され、かしめ等の方法により固着されて回転体7と一体的に回転可能に取り付けられるものとなっている。
【0057】
板ばね8は、弾性を有する薄板金属板からなり、大きな開口を有する円環状のばね部8aと、このばね部8aの外周部の対向する位置に設けられた略コ字状の一対の嵌合部8b、8bとを有している。この板ばね8は、開口に回転軸6と回転体7のガイド筒部7aが挿通され、ばね部8a中央の膨出部が回転体7の回転板部7bのクリック用のカム部7gと当接された状態で、ケース1の収納部1a上面側に形成された一対の凹溝1d、1d、及び突片1e、1eに一対の嵌合部8b、8bが嵌合され位置決めされて、取り付けられるものとなっている。
【0058】
ケース1とともにハウジングを構成する取付板9は、すず引き鋼板等の金属板材からなり、略平板状の上板部9aと、この上板部9a中央に絞り加工等で上方に延出され、回転軸6の太軸部6aと回転体7のガイド筒部7aを回転可能に支持(ガイド)する大きな開口を有する円筒状の軸受け部9bと、上板部9aの四角部に軸受け部9bとは対向する方向に屈曲して垂下された複数の固定脚部9c、9cと、同じく一対の対向する側辺部から屈曲されて垂下された一対の取付脚部9d、9dとを有している。また、一対の取付脚部9d、9dには、上板部9aとの屈曲部近傍に第1取付孔9eが設けられ、この第1取付孔9eの近傍に連設して第2取付孔9fが設けられている。
【0059】
この取付板9は、円筒状の軸受け部9bに回転軸6及び回転体7のガイド筒部7aが挿通されて、ケース1の収納部1a上面側との間に板ばね8の嵌合部8bを挟持させた状態で、一対の取付脚部9d、9dがケース1の対向する外側面に設けられた一対のガイド溝1b、1bに係合されると共に、突片1eが第1取付孔9eに挿入されることにより係止され、係止突起1cが第2取付孔9fに係止されて位置決めされて係合されることにより、取付板9がケース1の開口状の収納部1aを覆うように取り付けられるものとなっている。
【0060】
このように構成された回転型電気部品は、操作つまみ10を介して、回転軸6が回転操作されると、突出部6jと係合凹部7eとの係合により、回転体7が一体に回転して、摺動子5の各接触片5cの各接触部5dが導電パターン3上を摺接する。また、回転軸6に軸線方向の押圧力が加えられると、回転軸6が回転体7にガイドされて移動し、突起6kが可動接点4を押圧して、プッシュスイッチがオンとなるように動作するものである。
【0061】
上記した本発明の実施例によれば、回転検出用パターンを構成する第1及び第2間欠パターン3a、3bの導電部と、コモンパターン3cと、固定接点を構成する中央固定接点2a及び周辺固定接点2bが、同一金属板から打ち抜き加工されて互いに絶縁状態を保ってケース1に埋設されると共に、中央固定接点2aと外部端子2gとを繋ぐ第1連結部2eと、周辺固定接点2bと他の外部端子2hとを繋ぐ第2連結部2fを、回転検出用パターンを構成する第1間欠パターン3aの導電部、第2間欠パターン3bの導電部、コモンパターン3cのそれぞれの間に形成される3箇所の間隙の内、異なる2箇所に形成したことから、回転検出用パターンの第1間欠パターン3a、第2間欠パターン3b、コモンパターン3cと、押圧操作検出用の中央固定接点2a、周辺固定接点2bが互いに電気的に分離されているので、回転、押圧操作時に回路が独立して使用できるため使用形態が限定されず、あらゆる用途に適用できると共に、回転検出用の摺動子5の接触部5dが3箇所のため、安定した接触が得られると共に小型化が可能となっている。
【0062】
図10〜図13は、本発明のスイッチ付き回転型電気部品のケース1の製造工程を示している。これらの図を用いてケース1の製造方法を説明する。
まず、図10に示すように、フープ状の帯状をした金属板11にプレス加工を施して、押圧操作検出用の固定接点2(2a、2b)と、回転検出用の導電パターン3(3a、3b、3c)と、それぞれの外部端子2g、2h及び3f、3g、3hのおおよその外形加工を行う。この外形加工では、後述するインサート成形時に樹脂材が充填される間欠部3d、3eの孔あけ加工も同時に行っている。そして、このプレス加工の工程に併せて、それぞれの外部端子2g、2h、3f、3g、3hに、板厚方向に突出し、各外部端子の延出方向に沿ったリブ2i、3iを突き出し加工する。この時、固定接点2(2a、2b)と導電パターン3(3a、3b、3c)とは結合されて繋がった状態となっている。
【0063】
次に、図11に示すように、図10で繋がった状態の固定接点2と導電パターン3とをプレス加工により分離して、それぞれの中央固定接点2a、周辺固定接点2b、及び第1間欠パターン3a、第2間欠パターン3b、コモンパターン3cをそれぞれ独立させて形成する。尚、この場合に、一度のプレス加工で、一気に固定接点2と導電パターン3とを分離しないのは、細幅からなる固定接点2とその連結部が変形するのを防止するためである。
【0064】
そして、中央固定端子2aは第1連結部2eで外部端子2gと繋がっており、外部端子2gの他端側が帯状をした金属板11の金属枠11aに連結されている。また、周辺固定接点2bは第2連結部2fで外部端子2hと繋がっており、外部端子2hの他端側が金属板11の金属枠11aに連結されている。この時、第1連結部2eは、第1と第2間欠パターン3a、3bの間の間隙に位置されており、また、第2連結部2fは、第2間欠パターン3bとコモンパターン3cの間の間隙に位置して配置されている。
【0065】
そして、第1間欠パターン3aは中央部で外部端子3fに繋がっており、この外部端子3fの他端側は金属枠11aに連結され、さらに、金属板からなる導電部の一端部が繋ぎ桟11bにより金属枠11aと連結されている。また、第2間欠パターン3bは同じく中央部で外部端子3gに繋がっており、この外部端子3gの他端側は金属枠11aに連結され、さらに、金属板からなる導電部の両端部が繋ぎ桟11b、11cにより金属枠11aと連結されている。また、コモンパターン3cは一端部で外部端子3hに繋がっており、この外部端子3hの他端側は金属枠11aに連結され、さらに、中央部が一対の繋ぎ桟11d、11dにより金属枠と連結されている。
【0066】
次に、図12に示すように、中央固定接点2aと周辺固定接点2bに繋がる、第1連結部2eと第2連結部2fに曲げ加工を施して(図8参照)、回転検出用の導電パターン3(3a、3b、3c)と固定接点2(2a、2b)とに段差を持たせることにより、中央固定接点2aと周辺固定接点2bを外部端子2g、2h側の径方向に移動させる。これにより、導電パターン3(3a、3b、3c)と固定接点2(2a、2b)との平面的な位置を定め、それぞれの接点部2c、2dの位置を適切な位置に設定する。
【0067】
また、本工程において、回転検出用の導電パターン3(3a、3b、3c)と固定接点2(2a、2b)とに段差を持たせることにより、中央固定接点2a及び周辺固定接点2bの第1連結部2e及び第2連結部2fと、回転検出用の導電パターン3(3a、3b、3c)との上下方向の隙間を大きくして、ケース成形時の溶融樹脂が流れ込み易いようにしている。
また、同時に、中央固定接点2aの中央と、周辺固定接点2bの円弧状の中央及び両端側の3箇所に突き出し加工を行い、接点部2cと3個の接点部2dを突出形成する。
【0068】
次に、図13に示すように、帯状をした金属板11を図示しない成形金型内に装着して、固定接点2(2a、2b)、連結部(2e、2f)、導電パターン3(3a、3b、3c)等を金型内のガイドピン(図示せず)等で押さえて位置決めした状態で、金型のキャビティー内に溶融樹脂を充填させてインサート成形を行い、樹脂材に固定接点2(2a、2b)、連結部(2e、2f)、導電パターン(3a、3b、3c)を埋設させてケース1を形成する。このインサート成形工程において、第1間欠パターン3aの間欠部3dと第2間欠パターン3bの間欠部3eの孔内にも溶融樹脂が流れ込み、間欠部3d、3eが樹脂材で構成される絶縁部となる。
【0069】
次に、この状態から、それぞれの外部端子2g、2h、3f、3g、3hが金属枠11aと繋がっている箇所をポンチで切断して、ケース1から延出する根元部分を下方(ケース1の底面方向)へ折り曲げ加工を行う。この時、ケース1は複数の繋ぎ桟11b、11c、11dで金属枠11aに連結された状態となっている。そして、最後に、金属枠11aとの繋ぎ部であるそれぞれの繋ぎ桟11b、11c、11dをポンチで切断することにより、図5に示すような単体のケース1が完成する。
【0070】
上記した本発明の製造方法によれば、回転検出用の導電パターン3(3a、3b、3c)と固定接点2(2a、2b)とに段差を持たせることにより、中央固定接点2a及び周辺固定接点2bの第1連結部2e及び第2連結部2fと、回転検出用の導電パターン3(3a、3b、3c)との上下方向の隙間を大きくして、ケース成形時の溶融樹脂が流れ込み易いようにしているので、円環状に配設された回転検出用の導電パターン3(3a、3b、3c)と、この回転検出用の導電パターン3(3a、3b、3c)の内側に設けられた押圧操作検出用の中央及び周辺固定接点2a、2bとを、互いに確実に電気的に絶縁した状態で、容易にケースに埋設することができるものとなる。
【0071】
また、固定接点2(2a、2b)の第1、第2連結部2e、2fが外部端子2g、2hの一部で構成されているので、固定接点2の外部端子2g、2hを金属枠11aとの連結部として、回転検出用の導電パターン3に影響を及ぼすことなく所定幅の連結部を各パターン間に位置させることができると共に、その間に確実に溶融樹脂を流し込んで、絶縁を確保することができる。
また、回転検出用の導電パターン3と中央及び周辺固定接点2a、2bとが繋がった状態でプレス加工を行い、その後回転検出用の導電パターン3と中央及び周辺固定接点2a、2bとを分離するので、それぞれの固定接点2(2a、2b)の変形を防止することができるものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明のスイッチ付き回転型電気部品を示す分解斜視図である。
【図2】本発明のスイッチ付き回転型電気部品を示す平面図である。
【図3】本発明のスイッチ付き回転型電気部品を示す正面図である。
【図4】本発明のスイッチ付き回転型電気部品を示す断面図である。
【図5】本発明のケースを示す平面図である。
【図6】本発明の回転検出用パターン及び固定接点の埋設状態を示すケースの平面図である。
【図7】本発明の図6の7−7線における断面図である。
【図8】本発明の図6の8−8線における断面図である。
【図9】本発明の摺動子を示す平面図である。
【図10】本発明のケースの製造工程を示す平面図である。
【図11】本発明のケースの製造工程を示す平面図である。
【図12】本発明のケースの製造工程を示す平面図である。
【図13】本発明のケースの製造工程を示す平面図である。
【図14】従来のスイッチ付き回転型電気部品を示す正面断面図である。
【図15】従来の図14の15−15線における断面図である。
【図16】従来の可動弾性接点を示す平面図である。
【図17】従来の固定接点部を打ち抜き加工した金属板を示す平面図である。
【符号の説明】
【0073】
1:ケース(ハウジング)
1a:収納部
1b:ガイド溝
1c:係止突起
1d:凹溝
1e:突片
1f:突堤部
1g:第1収納部
1h:第2収納部
1i:突面部
1j:ガイド穴(穴)
1k:ガイド穴(穴)
1l:ピン穴
2:固定接点
2a:中央固定接点
2b:周辺固定接点
2c:接点部
2d:接点部
2e:第1連結部
2f:第2連結部
2g:外部端子
2h:外部端子
2i:リブ
3:導電パターン
3a:第1間欠パターン
3b:第2間欠パターン
3c:コモンパターン
3d:間欠部(絶縁部)
3e:間欠部(絶縁部)
3f:外部端子
3g:外部端子
3h:外部端子
3i:リブ
4:可動接点
4a:膨出部
4b:外周縁部
5:摺動子
5a:基部
5b:取付片
5c:接触片
5d:接触部
6:回転軸
6a:太軸部
6b:細軸部
6c:段部
6d:平坦面
6e:円弧状部
6f:直線状部
6g:つまみ取付部
6h:中央凹部
6i:内壁部
6j:突出部
6k:突起
7:回転体
7a:ガイド筒部
7b:回転板部
7c:中央貫通孔
7d:貫通凹部
7e:係合凹部
7f:係止壁部
7g:カム部
7h:ボス部
8:板ばね
8a:ばね部
8b:嵌合部
9:取付板(ハウジング)
9a:上板部
9b:軸受け部
9c:固定脚部
9d:取付脚部
9e:第1取付孔
9f:第2取付孔
10:操作つまみ
11:金属板
11a:金属枠
11b:繋ぎ桟
11c:繋ぎ桟
11d:繋ぎ桟
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転及び押圧操作可能な回転軸と、この回転軸の回転に伴い回転する摺動子と、前記回転軸の押圧操作に伴い変位する可動接点と、前記摺動子が摺接する円環状の回転検出用パターン及び該回転検出用パターンの内側に設けられ前記可動接点と対向する押圧操作検出用の固定接点が設けられたケースと、前記回転検出用パターン及び前記固定接点に導通され前記ケース外方に延出する複数の外部端子とを備え、前記摺動子は、等角度間隔で3箇所に接触部を有し、前記回転検出用パターンが、前記回転軸の回転に伴って前記接触部が摺接する導電部と絶縁部とが交互に形成された円弧状の第1間欠パターンと、前記第1間欠パターンとは位相差を持って前記接触部が摺接する導電部と絶縁部とが交互に形成された円弧状の第2間欠パターンと、前記第1及び第2間欠パターンの間に配置された導電部からなる円弧状のコモンパターンとを有すると共に、前記固定接点が、前記回転検出用パターンの中央部に位置し前記回転軸の押圧操作に伴い前記可動接点と接触する中央固定接点と、この中央固定接点の外側に位置する周辺固定接点とを有するスイッチ付き回転型電気部品であって、前記第1及び第2間欠パターンの導電部と、前記コモンパターンと、前記中央固定接点及び周辺固定接点が、同一金属板から打ち抜き加工されて互いに絶縁状態を保って前記ケースに埋設されると共に、前記中央固定接点と前記外部端子とを繋ぐ第1連結部と、前記周辺固定接点と他の前記外部端子とを繋ぐ第2連結部を、前記回転検出用パターンを構成する前記第1間欠パターンの導電部、前記第2間欠パターンの導電部、前記コモンパターンのそれぞれの間に形成される3箇所の間隙の内、異なる2箇所に形成したことを特徴とするスイッチ付き回転型電気部品。
【請求項2】
前記回転検出用パターンを構成する、前記第1と第2間欠パターン、及び前記コモンパターンの表面は、前記ケースの内底面に表出して埋設されており、前記第1及び第2連結部が、前記回転検出用パターンの表面位置から前記ケースの底面側へ段差を持って折り曲げられて前記ケース内底部に埋設されていることを特徴とする請求項1記載のスイッチ付き回転型電気部品。
【請求項3】
前記ケースの内底面には、前記第1及び第2連結部の表面が露出する穴が設けられていることを特徴とする請求項2記載のスイッチ付き回転型電気部品。
【請求項4】
前記回転検出用パターンの内側に設けられた押圧操作検出用の前記固定接点は、前記ケースの内底面から表出する前記中央固定接点及び周辺固定接点の表出面が、前記回転検出用パターンの表出面より低い位置に設けられていることを特徴とする請求項2、又は3記載のスイッチ付き回転型電気部品。
【請求項5】
前記第1及び第2連結部は、前記外部端子と繋がる側が幅広に形成され、この幅広部にリブが設けられると共に、前記第1及び第2連結部が前記幅広部の基端部と一緒に前記ケースに埋設されていることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載のスイッチ付き回転型電気部品。
【請求項6】
前記周辺固定接点と前記回転検出用パターンとの間に、前記可動接点を収納する筒状の突堤部を有し、前記穴が前記突堤部に位置して設けられていることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載のスイッチ付き回転型電気部品。
【請求項7】
回転及び押圧操作可能な回転軸と、この回転軸の回転に伴い回転する摺動子と、前記摺動子が摺接する円弧状の第1間欠パターンと第2間欠パターン、及びコモンパターンとからなる回転検出用パターンと、この回転検出用パターンの内側に設けられた押圧操作検出用の中央及び周辺固定接点とが、互いに電気的に絶縁状態で埋設されたケースと、前記中央及び周辺固定接点上に配設され、前記回転軸の押圧操作により両固定接点間を導通させる可動接点とを備えたスイッチ付き回転型電気部品の製造方法であって、一枚の金属板をプレス加工することにより、前記回転検出用パターン部と前記中央及び周辺固定接点とをそれぞれ連結部により金属枠に繋がった状態を保って分離する工程と、前記中央及び周辺固定接点と前記金属枠とのそれぞれの前記連結部に曲げ加工を施すことにより、前記中央及び周辺固定接点の形成面と前記回転検出用パターンの形成面との高さを異ならせて段差を形成する工程と、前記金属板を成形金型内に装着してキャビティー内に溶融樹脂を充填することにより、それぞれの前記連結部の一部、前記回転検出用パターンの第1間欠パターンと第2間欠パターンとコモンパターンのそれぞれの間、前記第1と第2間欠パターンの間欠部を樹脂に一体に埋設して、前記ケースの外形を成形する工程と、前記ケースと前記金属板の金属枠との繋ぎ部を切断して、単体のケースを形成する工程とを有することを特徴とするスイッチ付き回転型電気部品の製造方法。
【請求項8】
前記中央及び周辺固定接点と前記金属枠とのそれぞれの前記連結部が、前記回転検出用パターンの第1間欠パターンと第2間欠パターンとコモンパターンのそれぞれの間に形成される間隙の内、異なる2箇所に位置すると共に、前記連結部が外部端子の一部で構成されたことを特徴とする請求項7記載のスイッチ付き回転型電気部品の製造方法。
【請求項9】
前記回転検出用パターン部と前記中央及び周辺固定接点とをそれぞれ連結部により金属枠に繋がった状態を保って分離する工程が、前記回転検出用パターン部と前記中央及び周辺固定接点とが繋がった状態にプレス加工を施す工程と、前記回転検出用パターン部と前記中央及び周辺固定接点とを分離する工程を含むことを特徴とする請求項7、又は8記載のスイッチ付き回転型電気部品の製造方法。
【請求項10】
前記金属板を成形金型内に装着してキャビティー内に溶融樹脂を充填する際に、前記可動接点を収納する筒状の突堤部の形成位置に対応して複数の押さえピンを挿入し、これらの押さえピンにより前記中央及び周辺固定接点のそれぞれの連結部表面をガイドして位置決めすると共に、前記押さえピン跡により前記突堤部に前記連結部の表面が露出する穴を設けるようにしたことを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載のスイッチ付き回転型電気部品の製造方法。
【請求項1】
回転及び押圧操作可能な回転軸と、この回転軸の回転に伴い回転する摺動子と、前記回転軸の押圧操作に伴い変位する可動接点と、前記摺動子が摺接する円環状の回転検出用パターン及び該回転検出用パターンの内側に設けられ前記可動接点と対向する押圧操作検出用の固定接点が設けられたケースと、前記回転検出用パターン及び前記固定接点に導通され前記ケース外方に延出する複数の外部端子とを備え、前記摺動子は、等角度間隔で3箇所に接触部を有し、前記回転検出用パターンが、前記回転軸の回転に伴って前記接触部が摺接する導電部と絶縁部とが交互に形成された円弧状の第1間欠パターンと、前記第1間欠パターンとは位相差を持って前記接触部が摺接する導電部と絶縁部とが交互に形成された円弧状の第2間欠パターンと、前記第1及び第2間欠パターンの間に配置された導電部からなる円弧状のコモンパターンとを有すると共に、前記固定接点が、前記回転検出用パターンの中央部に位置し前記回転軸の押圧操作に伴い前記可動接点と接触する中央固定接点と、この中央固定接点の外側に位置する周辺固定接点とを有するスイッチ付き回転型電気部品であって、前記第1及び第2間欠パターンの導電部と、前記コモンパターンと、前記中央固定接点及び周辺固定接点が、同一金属板から打ち抜き加工されて互いに絶縁状態を保って前記ケースに埋設されると共に、前記中央固定接点と前記外部端子とを繋ぐ第1連結部と、前記周辺固定接点と他の前記外部端子とを繋ぐ第2連結部を、前記回転検出用パターンを構成する前記第1間欠パターンの導電部、前記第2間欠パターンの導電部、前記コモンパターンのそれぞれの間に形成される3箇所の間隙の内、異なる2箇所に形成したことを特徴とするスイッチ付き回転型電気部品。
【請求項2】
前記回転検出用パターンを構成する、前記第1と第2間欠パターン、及び前記コモンパターンの表面は、前記ケースの内底面に表出して埋設されており、前記第1及び第2連結部が、前記回転検出用パターンの表面位置から前記ケースの底面側へ段差を持って折り曲げられて前記ケース内底部に埋設されていることを特徴とする請求項1記載のスイッチ付き回転型電気部品。
【請求項3】
前記ケースの内底面には、前記第1及び第2連結部の表面が露出する穴が設けられていることを特徴とする請求項2記載のスイッチ付き回転型電気部品。
【請求項4】
前記回転検出用パターンの内側に設けられた押圧操作検出用の前記固定接点は、前記ケースの内底面から表出する前記中央固定接点及び周辺固定接点の表出面が、前記回転検出用パターンの表出面より低い位置に設けられていることを特徴とする請求項2、又は3記載のスイッチ付き回転型電気部品。
【請求項5】
前記第1及び第2連結部は、前記外部端子と繋がる側が幅広に形成され、この幅広部にリブが設けられると共に、前記第1及び第2連結部が前記幅広部の基端部と一緒に前記ケースに埋設されていることを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載のスイッチ付き回転型電気部品。
【請求項6】
前記周辺固定接点と前記回転検出用パターンとの間に、前記可動接点を収納する筒状の突堤部を有し、前記穴が前記突堤部に位置して設けられていることを特徴とする請求項3乃至5の何れかに記載のスイッチ付き回転型電気部品。
【請求項7】
回転及び押圧操作可能な回転軸と、この回転軸の回転に伴い回転する摺動子と、前記摺動子が摺接する円弧状の第1間欠パターンと第2間欠パターン、及びコモンパターンとからなる回転検出用パターンと、この回転検出用パターンの内側に設けられた押圧操作検出用の中央及び周辺固定接点とが、互いに電気的に絶縁状態で埋設されたケースと、前記中央及び周辺固定接点上に配設され、前記回転軸の押圧操作により両固定接点間を導通させる可動接点とを備えたスイッチ付き回転型電気部品の製造方法であって、一枚の金属板をプレス加工することにより、前記回転検出用パターン部と前記中央及び周辺固定接点とをそれぞれ連結部により金属枠に繋がった状態を保って分離する工程と、前記中央及び周辺固定接点と前記金属枠とのそれぞれの前記連結部に曲げ加工を施すことにより、前記中央及び周辺固定接点の形成面と前記回転検出用パターンの形成面との高さを異ならせて段差を形成する工程と、前記金属板を成形金型内に装着してキャビティー内に溶融樹脂を充填することにより、それぞれの前記連結部の一部、前記回転検出用パターンの第1間欠パターンと第2間欠パターンとコモンパターンのそれぞれの間、前記第1と第2間欠パターンの間欠部を樹脂に一体に埋設して、前記ケースの外形を成形する工程と、前記ケースと前記金属板の金属枠との繋ぎ部を切断して、単体のケースを形成する工程とを有することを特徴とするスイッチ付き回転型電気部品の製造方法。
【請求項8】
前記中央及び周辺固定接点と前記金属枠とのそれぞれの前記連結部が、前記回転検出用パターンの第1間欠パターンと第2間欠パターンとコモンパターンのそれぞれの間に形成される間隙の内、異なる2箇所に位置すると共に、前記連結部が外部端子の一部で構成されたことを特徴とする請求項7記載のスイッチ付き回転型電気部品の製造方法。
【請求項9】
前記回転検出用パターン部と前記中央及び周辺固定接点とをそれぞれ連結部により金属枠に繋がった状態を保って分離する工程が、前記回転検出用パターン部と前記中央及び周辺固定接点とが繋がった状態にプレス加工を施す工程と、前記回転検出用パターン部と前記中央及び周辺固定接点とを分離する工程を含むことを特徴とする請求項7、又は8記載のスイッチ付き回転型電気部品の製造方法。
【請求項10】
前記金属板を成形金型内に装着してキャビティー内に溶融樹脂を充填する際に、前記可動接点を収納する筒状の突堤部の形成位置に対応して複数の押さえピンを挿入し、これらの押さえピンにより前記中央及び周辺固定接点のそれぞれの連結部表面をガイドして位置決めすると共に、前記押さえピン跡により前記突堤部に前記連結部の表面が露出する穴を設けるようにしたことを特徴とする請求項7乃至9の何れかに記載のスイッチ付き回転型電気部品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−242413(P2007−242413A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63040(P2006−63040)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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