説明

スクアリン酸誘導体

式(I)の新規のスクアリン酸化合物(式中、R、R、R1’、RおよびXは、請求項1で示した意味を有する)は、SGK阻害剤であり、糖尿病、肥満、代謝症候群(異常脂質血症)、全身性および肺高血圧症、心疾患および腎疾患などのSGK誘発疾患および状態の、一般的にあらゆる種類の線維症および炎症過程において、処置に対して使用することができる。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
本発明は、価値ある特性を有する新規化合物、特に医薬の製造に用いることができる化合物を見出す目的を有していた。
本発明は、キナーゼシグナル伝達の阻害、調節および/または調整、特に細胞容積調節ヒトキナーゼh−sgk(ヒト血清およびグルココルチコイド依存性キナーゼまたはSGK)によるものが一因となる化合物に関し、さらにこれらの化合物を含む医薬組成物に関し、ならびにSGK誘発疾患の処置に対する化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
イソ型SGK−1、SGK−2およびSGK−3を有するSGKは、セリン/スレオニンプロテインキナーゼ群である(WO 02/17893)。
本発明の化合物は、好ましくはSGK−1の選択的阻害剤である。それらはさらに、SGK−2および/またはSGK−3の阻害剤であってもよい。
【0003】
詳細には、本発明は、SGKシグナル伝達を阻害する、調節するおよび/または調整する化合物に関し、これらの化合物を含む組成物に関し、ならびに糖尿病(例えば、真性糖尿病、糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管症および細小血管症)、肥満、代謝症候群(異常脂質血症)、全身性および肺高血圧症、心疾患(例えば、心筋梗塞、心臓肥大および心不全後の心線維症、動脈硬化症)および腎疾患(例えば、糸球体硬化症、腎硬化症、腎炎、ネフロパシー、電解質排泄障害)などの、SGK誘発疾患および状態の、一般的にあらゆる種類の線維症および炎症過程(例えば、肝硬変、肺線維症、線維性膵炎、リウマチおよび関節炎、クローン病、慢性気管支炎、放射線線維症、硬化性皮膚炎、嚢胞性線維症、瘢痕、アルツハイマー病)、耳鳴、動脈硬化症における処置に対するそれらの使用の方法に関する。
【0004】
本発明の化合物はまた、腫瘍細胞および腫瘍転移の増殖を阻害することができ、したがって腫瘍療法に好適である。
本発明の化合物をさらに、例えば、フィブリノゲン異常症、低プロコンバーチン血症、血友病B、スチュアートプラウアー因子欠乏症、プロトロンビン複合体欠乏症、消費性凝固障害、線溶亢進、免疫凝固障害または複合性凝固障害などの凝固障害の処置に対して、また、神経細胞の興奮性、例えば、てんかんにおいて使用する。本発明の化合物をまた、緑内障または白内障の処置において、治療に用いることができる。
本発明の化合物をさらに、細菌感染の処置および抗感染療法において使用する。本発明の化合物はまた、学習能力および注意を増加させるために治療に用いることができる。加えて、本発明の化合物は、細胞の老化およびストレスに対抗し、したがって寿命および高齢者の健康を増加させる。
【0005】
したがって、SGKシグナル伝達を特異的に阻害する、調節するおよび/または調整する低分子化合物の同定が、望ましく、そして本発明の目的である。
【0006】
本発明の化合物およびこれらの塩は、極めて価値ある薬理学的特性を有し、良好に耐容性を示すことが見出された。
特にこれらは、SGK阻害作用を示す。
【0007】
したがって本発明は、前記疾患の処置および/または予防における医薬および/または医薬活性成分としての本発明の化合物に関し、前記疾患の処置および/または予防に対する調合薬の製造ための本発明の化合物の使用に関し、また、1種または2種以上の本発明の化合物の投与を、かかる投与を必要とする患者へ行うことを含む、前記疾患の処置方法に関する。
【0008】
宿主または患者は、あらゆる哺乳動物種に属してもよく、例えば、霊長類種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含む齧歯類;ウサギ;ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどである。動物モデルは、それらがヒト疾患の処置に対するモデルを提供する実験的調査にとって興味深いものである。
【0009】
シグナル伝達経路の同定のために、および様々なシグナル伝達経路間の相互作用の検出のために、様々な科学者が、好適なモデルまたはモデル系、例えば、細胞培養モデル(例えば、Khwaja et al., EMBO, 1997, 16, 2783-93)およびトランスジェニック動物のモデル(例えば、White et al., Oncogene, 2001, 20, 7064-7072)を開発した。シグナル伝達カスケードにおけるあるステージの決定のために、相互作用する化合物を、シグナルを調整するために利用することができる(例えば、Stephens et al., Biochemical J., 2000, 351, 95-105)。本発明の化合物をまた、動物および/または細胞培養モデルにおけるまたは本出願書類中に述べた臨床疾患におけるキナーゼ依存性シグナル伝達経路を試験するための試薬として使用することができる。
【0010】
キナーゼ活性の測定は、当業者に周知の技術である。基質、例えば、ヒストン(例えば、Alessi et al., FEBS Lett. 1996, 399, 3, 333-338頁)または塩基性ミエリンタンパク質を使用するキナーゼ活性の決定のための一般の試験系が、文献に記載されている(例えば、Campos-Gonzalez, R. and Glenney, Jr., J.R. 1992, J. Biol. Chem. 267, 14535頁)。
【0011】
様々な定量法が、キナーゼ阻害剤の同定に利用可能である。シンチレーション近接アッセイ(Sorg et al., J. of. Biomolecular Screening, 2002, 7, 11-19)およびフラッシュプレートアッセイにおいて、γATPを使用した基質としてのタンパク質またはペプチドの放射性リン酸化反応を、測定する。阻害化合物の存在下で、低減した放射性シグナルが検出可能であるか、あるいはまったく検出されない。さらに、均一時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(HTR−FRET)法および蛍光偏光(FP)法は、アッセイ法として有用である(Sills et al., J. of Biomolecular Screening, 2002, 191-214)。
【0012】
他の非放射性ELISAアッセイ法は、特定のリン酸化(phospho)抗体(リン酸化AB)を使用する。リン酸化ABは、リン酸化基質のみを結合させる。この結合を、第二のペルオキシダーゼ結合抗ヒツジ抗体を使用して、化学発光により検出することができる(Ross et al., Biochem. J., 2002, 366, 977-981)。
【0013】
先行技術
US 5,466,712およびUS 5,605,909は、他のN−アリール−およびN−ヘテロアリール−1,2−ジアミノシクロブテン−3,4−ジオン類を平滑筋弛緩薬として記載している。
合成樹脂の安定剤としてスクアリン酸アミド類が、US 4,170,588およびDE 1669798に記載されている。
WO 02/083624、WO 02/076926、US 2003/0204085およびWO 03/080053は、炎症または癌などのケモカイン誘発疾患の処置のための3,4−置換シクロブテン−1,2−ジオン類をCXCケモカイン受容体リガンドとして記載している。
ケモカイン(特にIL−8)誘発疾患の処置のための他の3,4−置換シクロブテン−1,2−ジオン類は、WO 01/92202およびWO 01/64208からIL−8受容体拮抗剤として知られている。
【0014】
WO 00/62781に、細胞容積調節ヒトキナーゼH−SGKの阻害剤を含む医薬の使用の記載がある。
抗感染療法におけるキナーゼ阻害剤の使用が、C.Doerigにより、Cell. Mol. Biol. Lett. Vol.8, No. 2A, 2003, 524-525に記載されている。
肥満におけるキナーゼ阻害剤の使用が、N.Perrottiにより、J. Biol. Chem. 2001, March 23; 276(12):9406-9412に記載されている。
【0015】
以下の参考文献が、疾患の処置におけるSGK阻害剤の使用を示し、および/または記載している:
1: Chung EJ, Sung YK, Farooq M, Kim Y, Im S, Tak WY, Hwang YJ, Kim YI, Han HS, Kim JC, Kim MK. Gene expression profile analysis in human hepatocellular carcinoma by cDNA microarray. Mol Cells. 2002;14:382-7.
2: Brickley DR, Mikosz CA, Hagan CR, Conzen SD. Ubiquitin modification of serumand glucocorticoid-induced protein kinase-1(SGK-1). J Biol Chem. 2002;277:43064-70.
【0016】
3: Fillon S, Klingel K, Warntges S, Sauter M, Gabrysch S, Pestel S, Tanneur V, Waldegger S, Zipfel A, Viebahn R, Haussinger D, Broer S, Kandolf R, Lang F. Expression of the serine/threonine kinase hSGK1 in chronic viral hepatitis. Cell Physiol Biochem. 2002;12:47-54.
4: Brunet A, Park J, Tran H, Hu LS, Hemmings BA, Greenberg ME. Protein kinase SGK mediates survival signals by phosphorylating the forkhead transcription factor FKHRL1 (FOXO3a). Mol Cell Biol 2001;21:952-65
【0017】
5: Mikosz CA, Brickley DR, Sharkey MS, Moran TW, Conzen SD. Glucocorticoid receptor-mediated protection from apoptosis is associated with induction of the serine/threonine survival kinase gene, sgk-1. J Biol Chem. 2001;276:16649-54.
6: Zuo Z, Urban G, Scammell JG, Dean NM, McLean TK, Aragon I, Honkanen RE. Ser/Thr protein phosphatase type 5 (PP5) is a negative regulator of glucocorticoid receptor-mediated growth arrest. Biochemistry. 1999;38:8849-57.
【0018】
7: Buse P, Tran SH, Luther E, Phu PT, Aponte GW, Firestone GL. Cell cycle and hormonal control of nuclear-cytoplasmic localization of the serum- and glucocorticoid-inducible protein kinase, Sgk, in mammary tumor cells. A novel convergence point of anti-proliferative and proliferative cell signalling pathways. J Biol Chem. 1999;274:7253-63.
8: M. Hertweck, C. Gobel, R. Baumeister: C.elegans SGK-1 is the critical component in the Akt/PKB Kinase complex to control stress responseおよびlife span. Developmental Cell, Vol. 6, 577-588, April, 2004.
【発明の開示】
【0019】
本発明の概要
本発明は、式I
【化1】

【0020】
式中、
Rは、HまたはAを示し、
、R1’はそれぞれ、互いに独立して、H、A、Hal、CN、NO、C(=O)A、CHO、CH(OH)A、NH、NH(C=O)A、COOH、COOAまたはSONH、CONHまたはCONAを示し、
は、OH、OA、Hal、CF、NOまたはSONHを示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fにより置き換えられてもよく、
Xは、不在であるか、またはCH、CHA、CAまたは
【化2】

を示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
nは、1、2、3または4を示し、
ここでbis(4−ヒドロキシフェニルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオンは除外される、
で表される化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物、および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物に関する。
【0021】
本発明は、式Iの化合物およびそれらの塩、ならびに
a)式II
【化3】

【0022】
式中、
Aは、1、2、3または4個のC原子を有するアルキルを示し、
R、RおよびR1’は、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物が、式III
【化4】

式中、
XおよびRは、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物と反応する、
または
【0023】
b)式Iの化合物における基Rを、エーテルを開裂することにより別の基Rに変換する、
および/または式Iの塩基または酸を、その塩の1つに変換する
ことを特徴とする、式Iの化合物ならびにそれらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、溶媒和物、塩および立体異性体の製造方法に関する。
【0024】
本発明はまた、立体異性体、互変異性体およびこれらの化合物の水和物および溶媒和物に関する。化合物の溶媒和物は、相互の引力により形成する化合物への不活性溶媒分子の付加という意味に解釈される。溶媒和物は、例えば、一水和物または二水和物またはアルコラートである。
【0025】
薬学的に使用できる誘導体とは、例えば、本発明の化合物の塩という意味に解釈され、また、いわゆるプロドラッグ化合物でもある。
プロドラッグ誘導体とは、例えば、アルキルまたはアシル基、糖またはオリゴペプチドにより修飾され、本発明の活性な化合物を生じさせるために、生物内で急速に開裂する、式Iの化合物の意味に解釈される。
これらはまた、例えば、Int. J. Pharm. 115, 61-67 (1995)中に記載されているように、本発明の化合物の生物分解可能なポリマー誘導体も含む。
【0026】
表現「有効量」は、組織、系、動物またはヒトにおいて、例えば、研究者または医者により、求められていたまたは目的とされていた生物学的または医学的応答をもたらす医薬または医薬活性成分の量を意味する。
加えて、表現「治療有効量」は、この量を受けていない対応する対象に比べて、以下の結果を有する量を意味する:
疾患、症候群、状態、病状、疾患または副作用の改善された処置、治癒、防止または除去、あるいはまた、疾患、状態または疾患の進行の低減。
表現「治療有効量」はまた、正常な生理機能を増加させるのに効果的な量も包含する。
【0027】
本発明はまた、本発明の式Iの化合物の混合物、例えば1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比率の2種のジアステレオマーの混合物に関する。
これらは、特に好ましくは立体異性化合物の混合物である。
2回以上現れる全ての基について、それらの意味は、それぞれ独立している。
本明細書中、基またはパラメーターR、R、R1’、RおよびXは、他にとくに明記しない限り、式Iにおいて定義したとおりである。
【0028】
Aは、アルキルを示し、非分枝状(直線状)または分枝状であり、1、2、3、4、5または6個のC原子を有する。Aは好ましくは、メチル、さらにエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、さらに好ましくは、例えば、トリフルオロメチルを示す。
非常に特に好ましくは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキルを示し、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルである。
【0029】
Rは好ましくは、Hまたはメチル、特に好ましくはHを示す。
は好ましくは、H、A、Hal、CN、NO、CH(OH)A、C(=O)A、COOH、COOAまたはSONH;特に好ましくはHまたはAを示す。
1’は好ましくは、HまたはAを示す。
は好ましくは、OHまたはOAを示す。
【0030】
式Iの化合物は、1または2以上のキラル中心を有することができ、したがって、様々の立体異性体形態を生じ得る。式Iは、これらの全ての形態を包含する。
【0031】
したがって、本発明は、特に、少なくとも1つの前記基が上記した好ましい意味の1つを有する式Iの化合物に関する。化合物のいくつかの好ましい群は、式Iに対応する以下の付属式Ia〜Ieで表現することができるものであり、各式中、詳細に記載していない基は、式Iで定義したとおりであるが、
Iaにおいて、Rは、H、A、Hal、CN、NO、CH(OH)A、C(=O)A、COOH、COOAまたはSONHを示し;
1’は、HまたはAを示す;
Ibにおいて、Rは、Hを示し、
、R1’はそれぞれ、互いに独立して、HまたはAを示し、
は、OHまたはOAを示す;
【0032】
Icにおいて、Rは、HまたはAを示し、
は、H、A、Hal、CN、NO、CH(OH)A、C(=O)A、COOH、COOAまたはSONHを示し、
1’は、HまたはAを示し、
は、OH、OA、Hal、CF、NOまたはSONHを示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fにより置き換えられてもよく、
Xは、不在であるか、またはCH、CHA、CAまたは
【化5】

を示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
nは、1、2、3または4を示す;
【0033】
Idにおいて、Aは、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜5個のH原子は、Fにより置き換えられてもよい;
Ieにおいて、Rは、Hを示し、
、R1’はそれぞれ、互いに独立して、HまたはAを示し、
は、OHまたはOAを示し、
Aは、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜5個のH原子は、Fにより置き換えられてもよく、
Xは、不在であるか、またはCHまたはCHAを示す;
ならびに、それらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、溶媒和物、塩および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物である。
【0034】
本発明の化合物およびこれらの製造のための出発材料は、加えて、文献(例えば、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [有機化学の方法], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的文献)に記載されている、本来知られている方法で、正確に述べると、既知であり好適な反応条件のもとで、製造される。本明細書ではより詳細に触れてはいないが、本来知られている変形を用いることができる。
【0035】
所望であれば、出発材料の生成をイン・サイチュで行うことができるところ、この場合には反応混合物から単離する代わりに、本発明の化合物への変換を直ちに行う。
出発化合物は、一般に知られている。しかしながら、それらが新規の場合は、それらは本来知られている方法により製造することができる。
【0036】
式Iの化合物は、好ましくは式IIの化合物を式IIIの化合物と反応させることにより得ることができる。
反応は、当業者に既知の方法により行われる。
反応は、一般的に不活性溶媒中で行われる。
【0037】
好適な不活性溶媒の例は、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンまたはキシレンなどの炭化水素;トリクロロエレチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムまたはジクロロメタンなどの塩素化炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノールなどのアルコール;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)またはジオキサンなどのエーテル;エチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、あるいはエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)などのグリコールエーテル;アセトンまたはブタノンなどのケトン;アセトアミド、ジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド;アセトニトリルなどのニトリル;ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド;二硫化炭素;ギ酸または酢酸などのカルボン酸;ニトロメタンまたはニトロベンゼンなどのニトロ化合物;酢酸エチルなどのエステル、または前記溶媒の混合物である。
【0038】
用いられる条件に依存して、反応時間は数分間〜14日間であり、および反応温度は約−30°〜140°、通常−10°〜110°、特に約20°〜約100°である。
エーテルの開裂は、当業者に既知の方法を使って行われる。
エーテル開裂の標準方法は、三臭化ホウ素の使用である。
【0039】
医薬用の塩および他の形態
本発明の前記化合物は、それらの最終的な、塩ではない形態で使用することができる。他方では、本発明はまた、それらの化合物の、当業者に既知の手順により様々な有機および無機の酸および塩基から生成され得るそれらの薬学的に許容しうる塩の形態での使用を包含する。式Iの化合物の薬学的に許容しうる塩の形態は、大部分が、従来の方法により製造される。
【0040】
式Iで表される化合物が、カルボキシル基を含有する場合、その好適な塩の1つを化合物を好適な塩基と反応させることによって形成することができ、対応する塩基付加塩が得られる。かかる塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含むアルカリ金属水酸化物;水酸化バリウムおよび水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;アルカリ金属アルコキシド、例えばカリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシド;ならびに、ピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチルグルタミンなどの様々な有機塩基である。
【0041】
式Iで表される化合物のアルミニウム塩が同様に含まれる。ある式Iの化合物の場合、酸付加塩は、これらの化合物を薬学的に許容しうる有機および無機酸、例えば、塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素などのハロゲン化水素、硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩などの他の鉱酸およびそれらの対応する塩、ならびにエタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩などのアルキルスルホン酸塩およびモノアリールスルホン酸塩、ならびに酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などの他の有機酸およびそれらの対応する塩で処理することにより、形成することができる。
【0042】
したがって、式Iで表される化合物の薬学的に許容しうる酸付加塩は、以下のものを含む:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギナート(arginate)、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシラート(besylate))、重硫酸塩、重亜硫酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオナート、二グルコン酸塩、リン酸二水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクテラート(galacterate)(粘液酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸一水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パルモアート(palmoate)、ペクチナート(pectinate)、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩。しかし、これは、限定を示すものではない。
【0043】
さらに、本発明の化合物の塩基性塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛塩を含むが、これは、限定を示すことを意図するものではない。上記の塩のうち、好ましいのは、アンモニウム;アルカリ金属塩であるナトリウムおよびカリウム、ならびにアルカリ土類金属塩であるカルシウムおよびマグネシウムである。
【0044】
薬学的に許容しうる有機で無毒性の塩基由来の式Iの化合物の塩は、第一級、第二級および第三級アミンの塩、置換アミンを含み、また天然の置換アミン、環状アミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リドカイン、リジン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)を含むが、これは、限定を示すことを意図するものではない。
【0045】
塩基性窒素含有基を含有する本発明の化合物を、ハロゲン化(C〜C)アルキル、例えば塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチル;ジ(C〜C)アルキル硫酸塩、例えばジメチル、ジエチルおよびジアミル硫酸塩;ハロゲン化(C10〜C18)アルキル、例えば塩化、臭化およびヨウ化デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル;およびハロゲン化アリール(C〜C)アルキル、例えば塩化ベンジルおよび臭化フェネチルなどの剤を使って四級化することができる。水溶性および油溶性の本発明の化合物は両方、かかる塩を使って製造することができる。
【0046】
好ましい上記の医薬用の塩は、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシラート、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、ホスホン酸塩、ピバル酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩およびトロメタミンを含むが、これは、限定を示すことを意図するものではない。
【0047】
式Iで表される塩基性化合物の酸付加塩を、従来の方法で塩の形成をもたらす、遊離塩基の形態を十分な量の所望の酸に接触させることによって製造する。遊離塩基を、塩の形態を塩基に接触させ、従来の方法で遊離塩基を単離することによって、再生することができる。遊離塩基の形態は、極性溶媒への溶解性などのある物理的特性に関して、それらの対応する塩の形態とはある点において異なる。しかしながら、本発明の目的のために、塩は、その他の点では、それぞれのそれらの遊離塩基の形態に対応する。
【0048】
既述のように、式Iで表される化合物の薬学的に許容しうる塩基付加塩を、アルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミンなどの金属またはアミンにより形成する。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミンは、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0049】
本発明の酸性化合物の塩基付加塩もまた、従来の方法で塩の形成をもたらす、遊離酸の形態を十分な量の所望の塩基に接触させることによって製造する。遊離酸を、塩の形態を酸に接触させ、従来の方法で遊離酸を単離することによって、再生することができる。遊離酸の形態は、極性溶媒への溶解性などのある物理的特性に関して、それらの対応する塩の形態とはある点において異なる。しかしながら、本発明の目的のために、塩は、その他の点では、それぞれのそれらの遊離酸の形態に対応する。
【0050】
本発明の化合物が、このタイプの薬学的に許容しうる塩の形成能がある2以上の基を含有する場合、本発明はまた、複数の塩を包含する。典型的な複数の塩の形態は、例えば、重酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、二メグルミン酸塩、二リン酸塩、二ナトリウムおよび三塩酸塩を含むが、これは、限定を示すことを意図するものではない。
【0051】
上に示したものに関して、本明細書の文脈における表現「薬学的に許容しうる塩」は、特にこの塩の形態が、活性成分の遊離の形態または以前使われた活性成分のあらゆる他の塩の形態と比較して薬物動態特性が改善された活性成分を提供する場合、式Iの化合物をその塩の1種の形で含む活性成分、という意味に解釈されることがわかる。活性成分の薬学的に許容しうる塩の形態はまた、以前は有していなかった所望の薬物動態特性を有するこの活性成分を初めて提供することができ、体内でのその治療効力に関してこの活性成分の薬力学へ正の影響を与えることもできる。
【0052】
本発明の式Iの化合物は、これらの分子構造により、キラルでもよく、したがって、様々な鏡像異性の形態で生じてもよい。これらは、したがってラセミ体でまたは光学活性形態にて存在し得る。
【0053】
本発明の化合物のラセミ化合物または立体異性体の薬学的活性が異なるかもしれないため、鏡像異性体を使用することが望ましいだろう。これらの場合、最終生成物または中間物でさえも、当業者に知られたまたは合成でこのように使われていた化学的または物理的方法により、鏡像異性化合物へと分離することができる。
【0054】
ラセミアミンの場合、ジアステレオマーは、光学活性分割剤との反応により、混合物から形成される。好適な分割剤の例は、酒石酸のRおよびS体、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、適切なN−保護アミノ酸(例えばN−ベンゾイルプロリンまたはN−ベンゼンスルホニルプロリン)、あるいは様々な光学活性カンファースルホン酸などの光学活性酸である。また、有利なのは、光学活性分割剤(例えばジニトロベンゾイルフェニルグリシン、三酢酸セルロースあるいは炭水化物またはシリカゲルに固定したキラル誘導体化(chirally derivatised)メタクリル酸ポリマーの他の誘導体)の助けを借りたクロマトグラフ鏡像異性体分離である。この目的の好適な溶離剤は、例えば82:15:3の比率での、ヘキサン/イソプロパノール/アセトニトリルなどの、水性またはアルコール性溶媒混合物である。
【0055】
本発明はさらに、特に非化学的方法による医薬(医薬組成物)の製造のための化合物および/または生理学的に許容できるこれらの塩の使用に関する。これらを、少なくとも1種の固体、液体および/または半液体の賦形剤または補助剤と共に、そして所望であれば、1種または2種以上の他の活性成分と組み合わせて、好適な投与形状に変換することができる。
【0056】
本発明はさらに、本発明の化合物および/またはそれらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、溶媒和物、および立体異性体またはそれらの全ての比率での混合物の少なくとも1種、ならびに任意の賦形剤および/または補助剤を含む医薬品に関する。
【0057】
医薬製剤を、投与量単位あたり予め決められた量の活性成分を含む投与量単位の形状で投与することができる。かかる単位は、例えば、0.5mg〜1g、好ましくは1mg〜700mg、特に好ましくは5mg〜100mgの本発明の化合物を含むことができ、処置する疾患の状態、投与方法および患者の年齢、体重および状態に依存するか、あるいは医薬製剤を、投与量単位あたり予め決められた量の活性成分を含む投与量単位の形状で投与してもよい。好ましい投与量単位製剤は、活性成分の、上記のように1日量または部分用量(part-dose)、あるいはその対応する画分を含むものである。さらに、このタイプの医薬製剤は、医薬分野で一般的に知られている方法を使用して製造することができる。
【0058】
医薬製剤投与は、あらゆる所望の好適な方法を介して、例えば、経口(口腔または舌下を含む)、直腸、経鼻、局所(口腔、舌下または経皮を含む)、膣内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内または皮内を含む) 方法により、投与に適し得る。かかる製剤は、医薬分野で既知のすべての方法を使用して、例えば、活性成分を賦形剤または補助剤と組み合わせることにより、調製することができる。
【0059】
経口投与に適した医薬製剤を、独立単位、例えば、カプセルまたは錠剤;粉剤または顆粒;水溶性または非水溶性の液体中の溶液または懸濁液;食用の泡または泡状の食物;または水中油滴の乳濁液または油中水滴の乳濁液などとして、投与することができる。
【0060】
したがって、例えば、錠剤またはカプセルの形状での経口投与の場合、活性成分を、経口の、無毒性のおよび薬学的に許容できる不活性な賦形剤、例えば、エタノール、グリセロール、水などと組み合わせることができる。粉剤を、化合物を好適な微細なサイズに粉砕し、それを同じように粉砕した、例えば、デンプンまたはマンニトールなどの食用の炭水化物などの医薬賦形剤と混合することにより、調製する。フレーバー剤、保存剤、分散剤および染料が同様にあってもよい。
【0061】
カプセルを、上記の粉末混合物を調製し、成形したゼラチン殻をそれで充填することにより、製造する。流動促進剤および潤滑剤、例えば、高分散性ケイ酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固形のポリエチレングリコールなどを、充填作業前に粉末混合物に添加することができる。錠剤分解物質または可溶化剤、例えば、寒天、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどを、カプセルを摂取した後の医薬の有用性を改善するために、同様に添加してもよい。
【0062】
加えて、所望の場合または必要な場合、好適な結合剤、潤滑剤および錠剤分解物質、ならびに染料を、同様に混合物に組み込むことができる。好適な結合剤は、デンプン、ゼラチン、天然糖類、例えば、グルコースまたはβラクトース、トウモロコシ由来の甘味料など、天然および合成ゴム、例えば、アカシア、トラガカントなど、またはアルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどを含む。これらの剤形において使用される潤滑剤は、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩酸ナトリウムなどを含む。錠剤分解物質は、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどを含むが、これらに制限されない。
【0063】
錠剤を、例えば、粉末混合物を調製し、混合物を造粒または乾燥圧縮し、潤滑剤および錠剤分解物質を添加し、および混合物全体を圧縮し、錠剤を得ることにより、製剤する。粉末混合物を、好適な方法で粉砕した化合物を、上記のように、希釈剤または基剤と、および任意に、結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチンまたはポリビニルピロリドンなど、溶解遅延剤、例えば、パラフィン、吸収促進剤、例えば、4級塩など、および/または吸収剤、例えば、ベントナイト、カオリンまたは第二リン酸カルシウムなどと混合することにより調製する。粉末混合物を、結合剤、例えば、シロップ、デンプンペースト、アカディア(acadia)の粘液またはセルロースまたはポリマー材料の溶液などにより湿潤させ、ふるいを通して圧縮することにより造粒することができる。
【0064】
造粒の代替方法として、粉末混合物を、錠剤製造機に通し、壊れた不均一な形の塊を得て、顆粒を形成することができる。顆粒を、錠剤の鋳型に貼り付くのを防止するために、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱物油の添加により潤滑化することができる。そして、潤滑化した混合物を圧縮し、錠剤を得る。また、本発明の化合物を、自由流動性の不活性賦形剤と組み合わせ、そして造粒または乾燥圧縮段階を行わずに直接圧縮し、錠剤を得ることができる。セラック密封層、糖またはポリマー材料の層およびワックスの光沢層からなる透明または不透明の保護層があってもよい。染料を、異なる投与量単位を識別できるようにするために、これらのコーティング剤に添加することができる。
【0065】
経口液体、例えば、溶液、シロップおよびエリキシル剤などを、ある量が予め特定した量の化合物を含むよう、投与量単位の形状で調製することができる。シロップは、好適なフレーバーを有する水溶液に化合物を溶解することにより、調製することができる一方、エリキシル剤は、無毒性のアルコール性ビヒクルを使用して調製する。懸濁液を、無毒性のビヒクルに化合物を分散させることにより製剤することができる。可溶化剤および乳化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール類およびポリオキシエチレンソルビトールエーテル類など、保存剤、フレーバー添加剤、例えば、ペパーミントオイルなど、あるいは天然甘味料またはサッカリン、または他の人工甘味料などを同様に、添加することができる。
【0066】
経口投与用の投与量単位製剤は、所望の場合、マイクロカプセル内に封入することができる。製剤を、放出を延長するまたは遅延させるように、例えば、ポリマー、ワックスなどにおける粒子材料のコーティングまたは埋め込みなどにより、調製することができる。
【0067】
本発明の化合物、ならびにそれらの塩、溶媒和物および生理学的に機能的な誘導体をまた、リポソーム送達系、例えば、小単ラメラ小胞、大単ラメラ小胞および多重ラメラ小胞などの形状で投与することができる。リポソーム類を、様々なリン脂質類、例えば、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどから形成することができる。
【0068】
本発明の化合物、ならびにそれらの塩、溶媒和物および生理学的に機能的な誘導体をまた、モノクローナル抗体を化合物分子が結合する個々の担体として使用し、送達することができる。化合物はまた、可溶性ポリマーに標的医薬担体として結合することができる。かかるポリマーは、パルミトイル基により置換される、ポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノールまたはポリエチレンオキシドポリリシンを包含してもよい。化合物はさらに、医薬の放出の制御を成し遂げるのに好適な生分解性ポリマーの種類、例えば、ポリ乳酸、ポリ−イプシロン−カプロラクトン、ポリヒドロキシブチル酸、ポリオルトエステル類、ポリアセタール類、ポリジヒドロキシピラン類、ポリシアノアクリレート類およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーに結合してもよい。
【0069】
経皮投与に適した医薬製剤を、受容体の表皮と広範で密接に接触するように独立した絆創膏として投与することができる。したがって、例えば、活性成分を、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)の一般用語中に記載されたように、イオントフォレシスにより絆創膏から送達することができる。
【0070】
局所投与に適した医薬化合物を、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉剤、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾルまたはオイルとして製造することができる。
【0071】
目または他の外部組織、例えば、口および皮膚の処置に対して、製剤を、好ましくは局所軟膏またはクリームとして適用する。軟膏を得るための製剤の場合、活性成分を、パラフィン系または水混和性いずれかのクリーム基剤を用いることができる。代わりに、活性成分を、水中油滴クリーム基剤または油中水滴基剤を用いて製剤し、クリームを得ることができる。
【0072】
目への局所適用に適した医薬製剤は、活性成分を、好適な担体、特に水性溶媒に溶解したまたは懸濁した点眼液である。
口内で局所適用に適した医薬製剤は、ローゼンジ、トローチおよびマウスウォッシュを包含する。
直腸投与に適した医薬製剤を、坐薬またはかん腸剤の形状で投与することができる。
【0073】
担体物質が固体である、経鼻投与に適した医薬製剤は、粒子サイズを、例えば、20〜500ミクロンの範囲で有する粗い粉末を含み、吸う方法で、すなわち、鼻に近く持った粉末を含有する容器から迅速な鼻道経由の吸入により投与する。担体物質として液体を含む、経鼻スプレーまたは点鼻薬として投与に好適な製剤は、水中または油中に活性成分溶液を包含する。
【0074】
吸入による投与に適した医薬製剤は、エアロゾル、噴霧器または吸入器を有する様々なタイプの加圧型のディスペンサにより生じさせることができる微細な粒子状の粉末またはミストを包含する。
膣内投与に適した医薬製剤を、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、泡またはスプレー製剤として投与することができる。
【0075】
非経口投与に適した医薬製剤は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および製剤を処置する受容体の血液と等張にするために用いられる溶質を含む水溶性および非水溶性の無菌注射溶液;ならびに懸濁媒体および増粘剤を含んでもよい水溶性および非水溶性の無菌懸濁液を含む。該製剤を、単回用量または複数用量の容器、例えば、密封アンプルおよびバイアルで投与することができ、使用直前の無菌の液体担体、例えば、注射目的の水の添加のみが必要であるように、フリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管する。
処方に従って調製する注射溶液および懸濁液は、無菌粉剤、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0076】
上記の特に言及された構成に加えて、製剤は、特定のタイプの製剤に関して当該技術分野では通例である他の剤をまた含んでもよいことは言うまでもなく、したがって、例えば、経口投与に好適な製剤は、フレーバー剤を含んでもよい。
【0077】
本発明の化合物の治療有効量は、例えば、ヒトまたは動物の年齢および体重、処置を必要とする正確な疾患状態およびその重症度、製剤の性質および投与の方法を含む多数の要因に依存し、最終的には、処置をする医者および獣医が決定する。
しかしながら、処置に対する本発明の化合物の有効量は一般的に、1日あたり受容体(哺乳動物)あたり0.1〜100mg/kg(体重)の範囲、特に典型的に1日あたり1〜10mg/kg(体重)の範囲である。したがって、体重70kgの成熟した哺乳動物に対する実際の1日あたりの量は通常、70〜700mgであり、この量を、1日量の合計が同じであるように、1日あたり個々の用量として、あるいは通常、1日あたり一連の部分用量(例えば、2、3、4、5または6など)で投与することができる。塩または溶媒和物またはそれらの生理学的機能性誘導体の有効量を、それ自体、本発明の化合物の有効量の画分として、決定することができる。同様の用量が、上記の他の状態の処置に対して好適であることが、想定され得る。
【0078】
本発明はさらに、本発明の化合物、および/またはそれらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、溶媒和物、および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物の少なくとも1種、ならびに少なくとも1種の更なる医薬活性成分を含む医薬に関する。
【0079】
本発明はまた、
(a)本発明の化合物、および/またはそれらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、溶媒和物、および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物の有効量
および
(b)更なる医薬活性成分の有効量
の分離パックからなるセット(キット)に関する。
【0080】
セットは、箱、個別の瓶、バッグまたはアンプルなどの好適な容器を含む。セットは、例えば、それぞれ本発明の化合物および/または薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物の有効量、そして他の医薬活性成分の有効量を、溶解または凍結乾燥形状にて含む独立したアンプルを含んでもよい。
【0081】
使用
本発明の化合物は、SGK誘発疾患の処置において、哺乳動物、特にヒトにとって医薬活性成分として好適である。
【0082】
したがって、本発明は、キナーゼシグナル伝達の阻害、調節および/または調整が一因となる疾患の処置に対する医薬の製造のための、請求項1に記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、塩、互変異性体、溶媒和物、および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物の使用に関する。ここで、SGKが好ましい。
【0083】
請求項1に記載の化合物によるSGKの阻害に影響を受ける疾患の処置に対する医薬の製造のための、請求項1に記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、塩、互変異性体、溶媒和物、および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物の使用が好ましい。
【0084】
本発明は、糖尿病(例えば、真性糖尿病、糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管症および細小血管症)、肥満、代謝症候群(異常脂質血症)、全身性および肺高血圧症、心疾患(例えば、心筋梗塞、心臓肥大および心不全後の心線維症、動脈硬化症)および腎疾患(例えば、糸球体硬化症、腎硬化症、腎炎、ネフロパシー、電解質排泄障害)の、一般的にあらゆる種類の線維症および炎症過程(例えば、肝硬変、肺線維症、線維性膵炎、リウマチおよび関節症、クローン病、慢性気管支炎、放射線線維症、硬化性皮膚炎、嚢胞性線維症、瘢痕、アルツハイマー病)における、処置または防止に対する、医薬の製造のための本発明の請求項1に記載の化合物および/またはそれらの生理学的に許容できる塩、互変異性体および溶媒和物の使用を包含する。
【0085】
本発明の化合物はまた、癌、腫瘍細胞および腫瘍転移の増殖を阻害することができ、したがって腫瘍療法に好適である。
本発明の化合物をさらに、凝固障害、例えば、フィブリノゲン異常症、低プロコンバーチン血症、血友病B、スチュアートプラウアー因子欠乏症、プロトロンビン複合体欠乏症、消費性凝固障害、線溶亢進、免疫凝固障害または複合性凝固障害などの処置に対して、また、神経細胞の興奮性、例えば、てんかんにおいて使用する。本発明の化合物をまた、緑内障または白内障の処置において、治療に用いることができる。本発明の化合物をさらに、細菌感染の処置および抗感染療法において使用する。本発明の化合物はまた、学習能力および注意を増加させるために治療に用いることができる。
【0086】
糖尿病、肥満、代謝症候群(異常脂質血症)、全身性および肺高血圧症、心疾患および腎疾患の、一般的にあらゆる種類の線維症および炎症過程、癌、腫瘍細胞、腫瘍転移、凝固障害、神経細胞の興奮性、緑内障、白内障、細菌感染における、ならびに抗感染療法における、学習能力および注意を増加させるための、処置または防止に対する、医薬の製造のための請求項1に記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物、および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物の使用が好ましい。
【0087】
糖尿病は、好ましくは真性糖尿病、糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管症および細小血管症である。
心疾患は、好ましくは心筋梗塞後の心線維症、心臓肥大、心不全および動脈硬化症である。
【0088】
腎疾患は、好ましくは糸球体硬化症、腎硬化症、腎炎、ネフロパシーおよび電解質排泄障害である。
線維症および炎症過程は、好ましくは肝硬変、肺線維症、線維性膵炎、リウマチおよび関節症、クローン病、慢性気管支炎、放射線線維症、硬化性皮膚炎、嚢胞性線維症、瘢痕、アルツハイマー病である。
【0089】
アッセイ
例に記載の本発明の化合物を、以下に記載のアッセイで試験し、キナーゼ阻害活性を有することを見出した。さらなるアッセイが、文献から知られており、当業者によって容易に行われ得る(例えば、Dhanabal et al., Cancer Res. 59:189-197; Xin et al., J. Biol. Chem. 274:9116-9121; Sheu et al., Anticancer Res. 18:4435-4441; Ausprunk et al., Dev. Biol. 38:237-248; Gimbrone et al., J. Natl. Cancer Inst. 52:413-427; Nicosia et al., In Vitro 18:538-549参照)。
【0090】
本明細書中、すべての温度は、℃で表す。以下の例において、「従来の作業」とは、必要に応じて水を加え、必要に応じて、最終生成物の構成に依存して、pHを2〜10に調整し、混合物を、酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィーまたは結晶化により精製することを意味する。シリカゲル上のRf値;溶離剤:酢酸エチル/メタノール=9:1。
定量分析(MS):EI(電子衝撃イオン化)M
FAB(高速原子衝撃)(M+H)
ESI(エレクトロスプレーイオン化)(M+H)(特に明記しない限り)
【0091】
例1
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「1」)の製造は、以下のスキームと同様に行なわれる:
【0092】
【化6】

【0093】
1. 5.0g(0.029mol)の3,4−ジエトキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオン1aを30mlのエタノールに溶解し、3.62g(0.029mol)の4−アミノ−オルト−クレゾール2aを添加し、混合物を室温で18時間攪拌する。そして混合物は従来の作業の対象となり、6.6g(91%)の3−エトキシ−4−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン3a;MS−FAB(M+H)=248を得る。
【0094】
2. 150mg(0.61mmol)の3aを10mlのエタノールに溶解し、137.6mg(0.61mmol)の(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミン4aを添加し、混合物を室温で18時間攪拌する。そして混合物は従来の作業の対象となり、96〜97℃の融点を有する140mg(65%)の3−(4−ヒドロキシ−3−メチル−フェニルアミノ)−4−[1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン5a;MS−FAB(M+H)=353を得る。
【0095】
3. 110mg(0.312mmol)の5aを5mlのDCMに溶解し、0.148ml(1.561mmol)の三臭化ホウ素を室温で滴加する。混合物を室温で5時間攪拌する。そして混合物は従来の作業の対象となり、67mg(64%)の3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「1」)、融点>300°;MS−FAB(M+H)=339を得る。
【0096】
同様の手順により、以下のものが得られる
3,4−bis(4−ヒドロキシフェニルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「2」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「3」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「4」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「5」)、
【0097】
3,4−bis(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「6」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシフェニルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「7」)、
3−(4−ヒドロキシフェニルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「8」)、
3−(4−ヒドロキシフェニルアミノ)−4−(3−クロロベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「9」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(3−クロロベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「10」)、
【0098】
3−(4−ヒドロキシフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「11」)、
3−(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「12」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「13」)、MS−FAB(M+H)=339;
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−[(S)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「14」)、
3−(4−ヒドロキシフェニルアミノ)−4−(3−アミノスルホニルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「15」)、
【0099】
3−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「16」)、MS−FAB(M+H)=367;
3−(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「17」)、MS−FAB(M+H)=360;
3−(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「18」)、MS−FAB(M+H)=360;
3−(4−ヒドロキシ−3−シアノフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「19」)、MS−FAB(M+H)=336;
3−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「20」)、MS−FAB(M+H)=356;
【0100】
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−[1−(3−メトキシフェニル)シクロプロピルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「21」)、MS−FAB(M+H)=365;
【化7】

3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(2−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「22」)、MS−FAB(M+H)=325;
3−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「23」)、
3−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「24」)、MS−FAB(M+H)=346;
3−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「25」)、MS−FAB(M+H)=370;
【0101】
3−(4−ヒドロキシ−3−プロピオニルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「26」)、MS−FAB(M+H)=381;
3−(4−ヒドロキシ−3−プロピオニルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「27」)、MS−FAB(M+H)=367;
3−[4−ヒドロキシ−3−(1−ヒドロキシプロピル)フェニルアミノ]−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「28」)、
3−[4−ヒドロキシ−3−(1−ヒドロキシプロピル)フェニルアミノ]−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「29」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−プロピルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「30」)、
【0102】
3−(4−ヒドロキシ−3−プロピルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「31」)、MS−FAB(M+H)=353;
3−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「32」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「33」)、MS−FAB(M+H)=379;
3−(4−ヒドロキシ−3−アミノスルホニルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「34」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−アミノスルホニルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「35」)、
【0103】
3−(4−ヒドロキシ−3−カルボキシフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「36」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−カルボキシフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「37」)、
3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「38」)、MS−FAB(M+H)=353;
3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「39」)、MS−FAB(M+H)=339;
3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニルアミノ)−4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)シクロプロピルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「40」)、
【0104】
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)シクロプロピルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「41」)、MS−FAB(M+H)=351;
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(3−トリフルオロメトキシ−ベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「42」)、MS−FAB(M+H)=393;
3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)−エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「43」)、MS−FAB(M+H)=367;
3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「44」)、MS−FAB(M+H)=353;
3−(4−ヒドロキシ−3−プロピオニルフェニルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「45」)、MS−FAB(M+H)=381;
【0105】
3−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「46」)、MS−FAB(M+H)=353;
3−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「47」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「48」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「49」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニルアミノ)−4−(3−アミノスルホニルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「50」)、
【0106】
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(3−アミノスルホニルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「51」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニルアミノ)−4−(3−アミノスルホニルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「52」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチルフェニルアミノ)−4−(3−アミノスルホニルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「53」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(3−トリフルオロメチルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「54」)、MS−FAB(M+H)=377;
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(3−ニトロベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「55」)、MS−FAB(M+H)=354;
【0107】
3−(4−ヒドロキシ−3−プロピオニルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「56」)、MS−FAB(M+H)=395;
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(2−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「57」)、MS−FAB(M+H)=339;
3−(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「58」)、MS−FAB(M+H)=374;
3−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「59」)、MS−FAB(M+H)=353。
【0108】
以下の例は、医薬製剤に関する:
例A:注射バイアル
3リットルの二回蒸留水中に100gの本発明の活性成分および5gのリン酸水素二ナトリウムを含有する溶液を、2N塩酸を使ってpH6.5に調整し、滅菌濾過し、注射バイアルに移し、無菌条件下で凍結乾燥し、無菌条件下で封をする。各注射バイアルは、5mgの活性成分を含む。
例B:坐薬
20gの本発明の活性成分の混合物を、100gの大豆レシチンおよび1400gのココアバターと共に溶かし、鋳型に注ぎ、冷ます。各坐薬は、20mgの活性成分を含む。
【0109】
例C:溶液
溶液を、二回蒸留水940ml中1gの本発明の活性成分、9.38gのNaHPO・2HO、28.48gのNaHPO・12HOおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムから調製する。pHを、6.8に調整し、溶液を、1リットルにそろえ、照射により殺菌する。本溶液は、目薬の形で使用することができる。
例D:軟膏
500mgの本発明の活性成分を、無菌条件下で99.5gのワセリンと混合する。
【0110】
例E:錠剤
1kgの本発明の活性成分、4kgの乳糖、1.2kgのじゃがいもデンプン、0.2kgのタルクおよび0.1kgのステアリン酸マグネシウムの混合物を、各錠剤が10mgの活性成分を含むように、従来の方法で、圧縮して錠剤とする。
例F:被覆錠
錠剤を、例Eと同様に圧縮し、その後にショ糖、じゃがいもデンプン、タルク、トラガカントおよび染料のコーティング剤で、従来の方法でコーティングする。
【0111】
例G:カプセル
2kgの本発明の活性成分を、硬質ゼラチンカプセルに、各カプセルが20mgの活性成分を含むように、従来の方法で導入する。
例H:アンプル
二回蒸留水60リットル中に1kgの本発明の活性成分を含有する溶液を滅菌濾過し、アンプルに移し、無菌条件下で凍結乾燥し、無菌条件下で封をする。各アンプルは、10mgの活性成分を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

式中、
Rは、HまたはAを示し、
、R1’はそれぞれ、互いに独立して、H、A、Hal、CN、NO、C(=O)A、CHO、CH(OH)A、NH、NH(C=O)A、COOH、COOAまたはSONH、CONHまたはCONAを示し、
は、OH、OA、Hal、CF、NOまたはSONHを示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fにより置き換えられてもよく、
Xは、不在であるか、またはCH、CHA、CAまたは
【化2】

を示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
nは、1、2、3または4を示し、
ここでbis(4−ヒドロキシフェニルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオンは除外される、
で表される化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物、および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項2】
は、H、A、Hal、CN、NO、CH(OH)A、C(=O)A、COOH、COOAまたはSONHを示し、
1’は、HまたはAを示す、
請求項1に記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物、および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項3】
Rは、Hを示し、
、R1’はそれぞれ、互いに独立して、HまたはAを示し、
は、OHまたはOAを示す、
請求項1または2に記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物、および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項4】
Rは、HまたはAを示し、
は、H、A、Hal、CN、NO、CH(OH)A、C(=O)A、COOH、COOAまたはSONHを示し、
1’は、HまたはAを示し、
は、OH、OA、Hal、CF、NOまたはSONHを示し、
Aは、1〜10個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜7個のH原子は、Fにより置き換えられてもよく、
Xは、不在であるか、またはCH、CHA、CAまたは
【化3】

を示し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを示し、
nは、1、2、3または4を示す、
請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物、および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項5】
Aは、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜5個のH原子は、Fにより置き換えられてもよい、
請求項1〜4のいずれかに記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物、および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項6】
Rは、Hを示し、
、R1’はそれぞれ、互いに独立して、HまたはAを示し、
は、OHまたはOAを示し、
Aは、1〜6個のC原子を有する非分枝状または分枝状アルキルを示し、ここで1〜5個のH原子は、Fにより置き換えられてもよく、
Xは、不在であるか、またはCHまたはCHAを示す、
請求項1〜5のいずれかに記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物、および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項7】

3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「1」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「3」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「4」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「5」)、
3,4−bis(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「6」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシフェニルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「7」)、
3−(4−ヒドロキシフェニルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「8」)、
3−(4−ヒドロキシフェニルアミノ)−4−(3−クロロベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「9」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(3−クロロベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「10」)、
3−(4−ヒドロキシフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「11」)、
3−(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「12」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「13」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−[(S)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「14」)、
3−(4−ヒドロキシフェニルアミノ)−4−(3−アミノスルホニルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「15」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「16」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「17」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「18」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−シアノフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「19」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「20」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−[1−(3−メトキシフェニル)シクロプロピルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「21」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(2−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「22」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「23」)、
3−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「24」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−ニトロフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「25」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−プロピオニルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「26」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−プロピオニルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「27」)、
3−[4−ヒドロキシ−3−(1−ヒドロキシプロピル)フェニルアミノ]−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「28」)、
3−[4−ヒドロキシ−3−(1−ヒドロキシプロピル)フェニルアミノ]−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「29」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−プロピルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「30」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−プロピルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「31」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「32」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「33」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−アミノスルホニルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「34」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−アミノスルホニルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「35」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−カルボキシフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「36」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−カルボキシフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「37」)、
3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「38」)、
3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「39」)、
3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニルアミノ)−4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)シクロプロピルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「40」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−[1−(3−ヒドロキシフェニル)シクロプロピルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「41」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(3−トリフルオロメトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「42」)、
3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「43」)、
3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「44」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−プロピオニルフェニルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「45」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニルアミノ)−4−(3−ヒドロキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「46」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「47」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「48」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「49」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニルアミノ)−4−(3−アミノスルホニルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「50」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(3−アミノスルホニルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「51」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニルアミノ)−4−(3−アミノスルホニルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「52」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチルフェニルアミノ)−4−(3−アミノスルホニルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「53」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(3−トリフルオロメチルベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「54」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(3−ニトロベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「55」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−プロピオニルフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−メトキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「56」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニルアミノ)−4−(2−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「57」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニルアミノ)−4−[(R)−1−(3−ヒドロキシフェニル)エチルアミノ]シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「58」)、
3−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニルアミノ)−4−(3−メトキシベンジルアミノ)シクロブト−3−エン−1,2−ジオン(「59」)、
から選択される、請求項1に記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物、および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物。
【請求項8】
a)式II
【化4】

式中、
Aは、1、2、3または4個のC原子を有するアルキルを示し、
R、RおよびR1’は、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物が、式III
【化5】

式中、
XおよびRは、請求項1に示した意味を有する、
で表される化合物と反応する、
または
b)式Iの化合物における基Rを、エーテルを開裂することにより別の基Rに変換する、
および/または式Iの塩基または酸を、その塩の1つに変換する
ことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の式Iの化合物ならびにそれらの薬学的に使用可能な誘導体、互変異性体、溶媒和物、塩および立体異性体の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物および/またはこれらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物、ならびに任意の賦形剤および/または補助剤を含む医薬。
【請求項10】
キナーゼシグナル伝達の阻害、調節および/または調整が一因となる疾患の処置および/または予防に対する医薬の製造のための、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、塩、互変異性体、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物の使用。
【請求項11】
キナーゼがSGKである、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
請求項1〜21のいずれかに記載の化合物によるSGKの阻害に影響を受ける疾患の処置に対する医薬の製造のための、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物、ならびにこれらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物の請求項11に記載の使用。
【請求項13】
糖尿病、肥満、代謝症候群(異常脂質血症)、全身性および肺高血圧症、心疾患および腎疾患の、一般的にあらゆる種類の線維症および炎症過程、癌、腫瘍細胞、腫瘍転移、凝固障害、神経細胞の興奮性、緑内障、白内障、細菌感染における、ならびに抗感染療法における、学習能力および注意を増加させるための、処置または防止に対する、ならびに細胞の老化およびストレスの処置および予防に対する、医薬の製造のための請求項1〜7のいずれかに記載の化合物、ならびにこれらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物の請求項12に記載の使用。
【請求項14】
糖尿病が、真性糖尿病、糖尿病性ネフロパシー、糖尿病性神経障害、糖尿病性血管症および細小血管症である、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
心疾患が、心筋梗塞後の心線維症、心臓肥大、心不全および動脈硬化症である、請求項13に記載の使用。
【請求項16】
腎疾患が、糸球体硬化症、腎硬化症、腎炎、ネフロパシーおよび電解質排泄障害である、請求項13に記載の使用。
【請求項17】
線維症および炎症過程が、肝硬変、肺線維症、線維性膵炎、リウマチおよび関節症、クローン病、慢性気管支炎、放射線線維症、硬化性皮膚炎、嚢胞性線維症、瘢痕およびアルツハイマー病である、請求項13に記載の使用。
【請求項18】
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物および/またはこれらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物の少なくとも1種、ならびに少なくとも1種の更なる医薬活性成分を含む医薬。
【請求項19】
(a)請求項1〜7のいずれかに記載の化合物および/またはこれらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体、またはそれらの全ての比率での混合物の有効量
および
(b)更なる医薬活性成分の有効量
の分離パックからなるセット(キット)。

【公表番号】特表2008−526790(P2008−526790A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549807(P2007−549807)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013225
【国際公開番号】WO2006/072354
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】