説明

スクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法

【課題】変形度合いの異なる複数の基板部材を含む基板を対象としたスクリーン印刷において、印刷ずれを起きにくくすることができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【解決手段】リジッド基板11の電極配置に対応する第1マスクパターンMP1とフレックス基板12の電極配置に対応する第2マスクパターンMP2をそれぞれ別個の領域(第1マスク領域MR1及び第2マスク領域MR2)に備えたマスク部材33を用い、リジッド基板11と第1マスクパターンMP1を有する第1マスク領域MR1との位置合わせを行ってリジッド基板電極11dにスクリーン印刷を行い、フレックス基板12と第2マスクパターンMP2を有する第2マスク領域MR2との位置合わせを行ってフレックス基板電極12dにスクリーン印刷を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変形度合いの異なる複数の基板部材を含む基板の各基板部材が備える電極にスクリーン印刷を施すスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、変形度合いの異なる複数の基板部材を含む基板として、ガラスエポキシをベースとしたリジッド基板と、ポリイミドをベースとしたフレックス基板を含むリジッドフレックス基板が知られている。このリジッドフレックス基板は、リジッド基板から成るリジッドな部分とフレックス基板から成るフレキシブルな部分とが混在しているため多様な形態での使用が可能であり、小型軽量化にも適している(特許文献1)。
【0003】
このようなリジッドフレックス基板では、リジッド基板及びフレックス基板それぞれの電極には、スクリーン印刷機によって半田等のペーストがスクリーン印刷される。スクリーン印刷機に備えられるマスク部材には、印刷対象とするリジッドフレックス基板の全電極の電極配置に対応するマスクパターンが形成されており、リジッドフレックス基板とマスク部材を位置合わせした状態でマスク部材にペーストを供給し、マスク部材上でスキージを摺動させることによって、リジッドフレックス基板の全電極にスクリーン印刷を施すことができるようになっている。
【特許文献1】特開2007−36001号公報
【特許文献2】特開2001−60763号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記リジッドフレックス基板のような、変形度合いの異なる複数の基板部材を含む基板では、その基板を構成する各基板部材の材料が互いに同一でないことから外力や周囲温度等に対する変形の度合いが異なっており、基板部材同士の間に相対的な変位が生じている場合があった。このため、一の基板部材を基準にしてマスク部材との位置合わせを行っても、他の基板部材についてはマスク部材との位置合わせが適正になされるとは限らず、スクリーン印刷を実行した結果、基板全体で印刷ずれが生じてしまうおそれがあった。
【0005】
そこで本発明は、変形度合いの異なる複数の基板部材を含む基板を対象としたスクリーン印刷において、印刷ずれを起きにくくすることができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載のスクリーン印刷機は、変形度合いの異なる複数の基板部材を含む基板の各基板部材が備える電極にスクリーン印刷を施すスクリーン印刷機であって、各基板部材の電極配置に対応する複数のマスクパターンをそれぞれ別個の領域に備えたマスク部材と、基板部材とその基板部材の電極配置に対応するマスクパターンを有するマスク部材の領域との位置合わせを行ってその基板部材が備える電極にスクリーン印刷を施す動作を変形度合いの異なる複数の基板部材それぞれに対して実行する印刷実行手段と、を備えた。
【0007】
請求項2に記載のスクリーン印刷方法は、変形度合いの異なる複数の基板部材を含む基板の各基板部材が備える電極に、各基板部材の電極配置に対応する複数のマスクパターンをそれぞれ別個の領域に備えたマスク部材を用いてスクリーン印刷を施すスクリーン方法であって、基板部材とその基板部材の電極配置に対応するマスクパターンを有するマスク
部材の領域との位置合わせを行う第1の工程と、前記マスク部材の領域との位置合わせを行った基板部材が備える電極にスクリーン印刷を施す第2の工程とを含み、前記第1の工程及び前記第2の工程を変形度合いの異なる複数の基板部材それぞれに対して実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、変形度合いの異なる複数の基板部材を含む基板の各基板部材の電極配置に対応するマスクパターンをそれぞれ別個の領域に備えたマスク部材を用い、基板部材とその基板部材の電極配置に対応するマスクパターンを有するマスク部材の領域との位置合わせを行ってその基板部材が備える電極にスクリーン印刷を施す動作(工程)を変形度合いの異なる複数の基板部材それぞれに対して実行するようになっている。すなわち、各基板部材がマスク部材と位置合わせされ、スクリーン印刷が実行されるようになっている。このため、変形度合いの異なる複数の基板部材を含む基板を対象としたスクリーン印刷において、印刷ずれを起きにくくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の部分平面図、図2(a)は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が印刷対象とする基板の平面図、図2(b)は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が印刷対象とする基板をキャリヤとともに示す側断面図、図3は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える印刷実行部の正面図、図4は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるマスク部材の平面図、図5は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の制御系統を示すブロック図、図6は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が実行するスクリーン印刷工程を示すフローチャート、図7(a),(b)、図8(a),(b)、図9(a),(b)及び図10(a),(b)は本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作説明図である。
【0010】
図1において、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、基台2と、基台2上に設けられ、印刷対象物である基板PBの搬送及び位置決めを行う基板搬送路3と、基板搬送路3によって位置決めされた基板PBに対してスクリーン印刷を実行する印刷実行部4を備えて構成されている。以下、スクリーン印刷機1における基板PBの搬送方向をX軸方向とし、X軸方向と直交する水平面内方向をY軸方向とする。また、上下方向をZ軸方向とする。
【0011】
基板PBは変形の度合いが異なる複数の基板部材を含むものであり、本実施の形態では、図2(a)に示すようにガラスエポキシをベースとしたリジッド基板11と、ポリイミドをベースとしたフレックス基板12の2つの基板部材を含むリジッドフレックス基板であるとする。
【0012】
図2(a)において、リジッド基板11上には多数のリジッド基板電極11dが設けられており、フレックス基板12には多数のフレックス基板電極12dが設けられている。
【0013】
図2(b)は図2(a)の矢視V−Vから見た模式的断面図である。この図2(b)に示すように、基板PBはキャリヤ13の上面に取り付けられた状態で基板搬送路3により搬送される。このキャリヤ13にはフレックス基板12に対応する部分に上方に凸形状となる凸部13aが設けられており、基板PBがキャリヤ13に取り付けられた状態では、フレックス基板12が凸部13aによって上方に押し上げられて、その上面(フレックス基板電極12dを有する印刷対象面)がリジッド基板11の上面(リジッド基板電極11dを有する印刷対象面)とほぼ同じ高さになるようになっている。
【0014】
図1において基板搬送路3は、X軸方向に並んで設けられた搬入コンベア21、位置決
めコンベア22及び搬出コンベア23から成る。搬入コンベア21はスクリーン印刷機1の外部(図1の紙面左側)から投入された基板PBをスクリーン印刷機1の内部に搬入して位置決めコンベア22に受け渡す。位置決めコンベア22は搬入コンベア21から受け取った基板PBを所定の位置に位置決めし、基板PBに対するスクリーン印刷が終了した後、基板PBを搬出コンベア23に受け渡す。搬出コンベア23は位置決めコンベア22から受け取った基板PBをスクリーン印刷機1の外部に搬出する。
【0015】
図3において印刷実行部4は、位置決めコンベア22上の基板PBをクランプしてその基板PBの水平面内(X軸及びY軸方向)方向への移動と上下方向(Z軸方向)への移動を行う基板移動ユニット31、基板移動ユニット31の上方を水平方向(Y軸方向)に延びて設けられた一対の支持レール32、支持レール32によってY軸方向にスライド自在に支持されたプレート状のマスク部材33、マスク部材33の上方をY軸方向に移動自在に設けられたスキージユニット34、基台2上に設けられたXYロボット35(図1)によって基板移動ユニット31とマスク部材33の間の空間を水平面内方向に移動自在なカメラユニット36及びマスク部材33にペーストを供給するシリンジユニット37を備えている。
【0016】
図3において、印刷実行部4の基板移動ユニット31は、基台2に対してY軸方向に相対移動するYテーブル31a、Yテーブル31aに対してX軸方向に相対移動するXテーブル31b、Xテーブル31bに対してZ軸回りに相対回転するθテーブル31c、θテーブル31cに固定されたベースプレート31d、ベースプレート31dに対して相対昇降する第1昇降プレート31e、第1昇降プレート31eに対して相対昇降する第2昇降プレート31f、第2昇降プレート31fに固定された下受けユニット31g、基板搬送路3を構成する位置決めコンベア22及び位置決めコンベア22の上方でY軸方向に開閉動作する一対の部材から構成されるクランパ31hから成る。
【0017】
図1及び図4において、マスク部材33は平面視において矩形形状を有する枠部材33wによって四辺が支持されており、枠部材33wによって囲まれた矩形の領域には、互いに別個の領域である第1マスク領域MR1と第2マスク領域MR2が設けられている。第1マスク領域MR1には、リジッド基板11に備えられたリジッド基板電極11dの電極配置に対応する多数のパターン孔h1から成る第1マスクパターンMP1が設けられており、第2マスク領域MR2には、フレックス基板12に備えられたフレックス基板電極12dの電極配置に対応する多数のパターン孔h2から成る第2マスクパターンMP2が設けられている。
【0018】
このように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1のマスク部材33は、リジッド基板11の電極配置に対応する第1マスクパターンMP1と、フレックス基板12の電極配置に対応する第2マスクパターンMP2をそれぞれ別個の領域(第1マスク領域MR1及び第2マスク領域MR2)に備えたものとなっている。
【0019】
図2(a),(b)において、リジッド基板11の対角位置には2つ一組のリジッド基板位置合わせマーク11mが設けられており、フレックス基板12の対角位置には、フレックス基板12をマスク部材33と位置合わせをするための2つ一組のフレックス基板位置合わせマーク12mが設けられている。
【0020】
一方、図1及び図4において、マスク部材33の第1マスクパターンMP1が形成された第1マスク領域MR1の対角位置には、第1マスク領域MR1をリジッド基板11に位置合わせするための2つ一組のマスク部材第1位置合わせマークMK1がリジッド基板位置合わせマーク11mに対応して設けられており、マスク部材33の第2マスクパターンMP2が形成された第2マスク領域MR2の対角位置には、第2マスク領域MR2をフレ
ックス基板12に位置合わせするための2つ一組のマスク部材第2位置合わせマークMK2がフレックス基板位置合わせマーク12mに対応して設けられている。
【0021】
図3において、スキージユニット34は支持レール32の上方を基板移動ユニット31に対してY軸方向に移動自在に設けられた移動プレート34pと、移動プレート34pに取り付けられて上下方向に延びた2つのスキージ昇降シリンダ(空圧シリンダ)34sと、各スキージ昇降シリンダ34sの下部に取り付けられてY軸方向に対向する2つのスキージ34aを備えて成る。各スキージ34aはX軸方向に延びた「へら」状の部材であり、それぞれスキージ昇降シリンダ34sの下方への突没動作によって、移動プレート34pに対して昇降される。
【0022】
図1において、XYロボット35は、基台2の上方をY軸方向に延び、基台2に相対的に固定して設けられたY軸ステージ35a、X軸方向に延び、Y軸ステージ35a上をY軸方向に移動自在に設けられたX軸ステージ35b及びX軸ステージ35b上をX軸方向に移動自在に設けられた移動プレート35cから成っている。図3において、カメラユニット36は、XYロボット35の移動プレート35cに、撮像面を下方に向けた第1カメラ36aと、撮像面を上方に向けた第2カメラ36bが取り付けられた構成となっている。
【0023】
図3において、シリンジユニット37は、基板移動ユニット31に対して水平面内方向に移動自在に設けられた移動プレート37pに、マスク部材33上に半田ペーストや導電性ペースト等のペーストを吐出するシリンジ37aが取り付けられた構成となっている。
【0024】
基板搬送路3を構成する搬入コンベア21、位置決めコンベア22及び搬出コンベア23による基板PBの搬送及び位置決め動作は、このスクリーン印刷機1が備える制御装置40(図5)が図示しないアクチュエータ等から成る基板搬送路作動機構41(図5)の作動制御を行うことによってなされる。
【0025】
基台2に対するYテーブル31aのY軸方向への移動、Yテーブル31aに対するXテーブル31bのX軸方向への移動、Xテーブル31bに対するθテーブル31cのZ軸回りの回転、ベースプレート31dに対する(すなわちθテーブル31cに対する)第1昇降プレート31eの昇降、第1昇降プレート31eに対する第2昇降プレート31fの(すなわち下受けユニット31gの)昇降及びクランパ31hの開閉動作の各動作は、制御装置40がYテーブル駆動モータMyやXテーブル駆動モータMx(図3)等のアクチュエータ等から成る基板移動ユニット作動機構42(図5)の作動制御を行うことによってなされる。
【0026】
スキージユニット34の移動(移動プレート34pの移動)動作は、制御装置40が図示しないアクチュエータ等から成るスキージユニット移動機構43(図5)の作動制御を行うことによってなされ、各スキージ34aの昇降動作は、制御装置40が前述のスキージ昇降シリンダ34s等から成るスキージ昇降機構44(図5)の作動制御を行うことによってなされる。
【0027】
XYロボット35を構成するX軸ステージ35bのY軸方向への移動動作及び移動プレート35cのX軸方向への移動動作は、制御装置40が図示しないアクチュエータ等から成るXYロボット作動機構45(図5)の作動制御を行うことによってなされる。
【0028】
第1カメラ36aは、制御装置40に制御されて、リジッド基板11に設けられたリジッド基板位置合わせマーク11m及びフレックス基板12に設けられたフレックス基板位置合わせマーク12mの撮像を行い、第2カメラ36bは、制御装置40に制御されて、
マスク部材第1位置合わせマークMK1及びマスク部材第2位置合わせマークMK2の撮像を行う。第1カメラ36aの撮像によって得られた画像データ及び第2カメラ36bの撮像によって得られた画像データは制御装置40に入力される(図5)。
【0029】
シリンジユニット37の移動(移動プレート37pの移動)動作は、制御装置40が図示しないアクチュエータ等から成るシリンジユニット移動機構46(図5)の作動制御を行うことによってなされ、シリンジ37aによるペーストの供給動作は、制御装置40が図示しないアクチュエータ等から成るシリンジ作動機構47(図5)の作動制御を行うことによってなされる。
【0030】
次に、図6〜図9を参照してスクリーン印刷機1によるスクリーン印刷の実行手順を説明する。制御装置40は、図示しない検出手段によってオペレータ(或いはスクリーン印刷機1の上流側に設置された図示しない他の装置)から基板搬送路3(搬入コンベア21)に基板PBが投入されたことを検知したら、搬入コンベア21と位置決めコンベア22を連動作動させて、スクリーン印刷機1内に基板PBを搬入する(図6のステップST1)。
【0031】
制御装置40は基板PBを搬入したら、基板移動ユニット31に対する基板PBの固定を行う(図6のステップST2)。これには先ず、基板移動ユニット31の第2昇降プレート31fを第1昇降プレート31eに対して相対上昇させ(図7(a)中に示す矢印C1)、下受けユニット31gの上面を基板PBの下面(キャリヤ13の下面)に下方から当接させて、下受けユニット31gに基板PBを支持させる(図7(a))。そして、下受けユニット31gに基板PBを支持させたら、クランパ31hにより基板PBをクランプしたうえで更に第2昇降プレート31fを上昇させ(図7(b)中に示す矢印C2)、下受けユニット31gで基板PBを押し上げる。これにより基板PBはキャリヤ13とともに両端をクランパ31hに対して摺動させながら上昇し、位置決めコンベア22から上方に離間し、かつ基板PBの上面が両クランパ31hの上面と同じ高さになった状態で、基板移動ユニット31に固定される(図7(b))。
【0032】
制御装置40は基板PBの固定が終了したら、リジッド基板11とマスク部材33の第1マスク領域MR1との位置合わせを行う(図6のステップST3)。
【0033】
この位置合わせでは、制御装置40は先ず、カメラユニット36の移動と第1カメラ36aの撮像動作制御を行ってリジッド基板11に設けられたリジッド基板位置合わせマーク11mの画像データを取得し、リジッド基板11の位置を把握するとともに、カメラユニット36の移動と第2カメラ36bの撮像動作制御を行ってマスク部材第1位置合わせマークMK1の画像データを取得し、マスク部材33上の第1マスクパターンMP1の位置を把握する。
【0034】
制御装置40は、リジッド基板11の位置とマスク部材33の第1マスクパターンMP1の位置を把握したら、基板移動ユニット31による基板PBの水平面内方向の移動動作を行って、基板PBをマスク部材33の第1マスクパターンMP1の直下(したがって第1マスク領域MR1の直下)に位置させた後、基板移動ユニット31による基板PBの垂直方向の移動(第1昇降プレート31eの上昇)動作を行って、基板PBの上面をマスク部材33の下面に下方から接触させる(図8(a)の図中に示す矢印C3)。これによりリジッド基板11とマスク部材33の第1マスク領域MR1が位置合わせされ、したがってリジッド基板11が備える各電極(リジッド基板電極11d)と第1マスクパターンMP1を構成する各パターン孔h1とが位置合わせされる(図8(a))。
【0035】
制御装置40は、リジッド基板11とマスク部材33の第1マスク領域MR1との位置
合わせが終了したら、リジッド基板11に対するスクリーン印刷を実行する(図6のステップST4)。
【0036】
リジッド基板11に対するスクリーン印刷では、制御装置40は先ず、シリンジユニット37を第1マスク領域MR1の上方に移動させ、シリンジ37aからマスク部材33の上面(第1マスク領域MR1内)にペーストPTを供給した後(図8(a))、一方のスキージ34aを下降させてそのスキージ34aの下縁をマスク部材33の上面に当接させる。そして、スキージユニット34をY軸方向に移動させ、スキージ34aをマスク部材33上で摺動させることによってペーストPTをかき寄せて(図8(b)中に示す矢印C4)、ペーストPTを第1マスクパターンMP1のパターン孔h1内に充填させる(図8(b))。
【0037】
なお、図8(b)は、図中の左側のスキージ34aを矢印C4の方向に移動させることによってペーストPTを矢印C4の方向にかき寄せる様子を示したものであり、ペーストPTを矢印C4と反対の方向にかき寄せるときには、図中の右側のスキージ34aをマスク部材33の上面に当接させて、スキージユニット34を矢印C4と反対の方向に移動させる。
【0038】
制御装置40は、第1マスクパターンMP1のパターン孔h1内にペーストPTを充填させたら、第1昇降プレート31eを下降させて(図9(a)中に示す矢印C5)、基板PBとマスク部材33を分離させる(図6のステップST5)。これにより版離れが行われ、第1マスクパターンMP1のパターン孔h1内に充填されたペーストPTがリジッド基板電極11d上に印刷(転写)される(図9(a))。
【0039】
これによりリジッド基板11に対するスクリーン印刷工程(ステップST3〜ステップST5)は終了し、次に示すフレックス基板12に対するスクリーン印刷工程(ステップST6〜ステップST9)に進む。
【0040】
フレックス基板12に対するスクリーン印刷では、制御装置40は先ず、フレックス基板12とマスク部材33の第2マスク領域MR2との位置合わせを行う(図6のステップST6)。
【0041】
この位置合わせでは、制御装置40は、カメラユニット36の移動と第1カメラ36aの撮像動作制御を行ってフレックス基板12に設けられたフレックス基板位置合わせマーク12mの画像データを取得し、フレックス基板12の位置を把握するとともに、カメラユニット36の移動と第2カメラ36bの撮像動作制御を行ってマスク部材第2位置合わせマークMK2の画像データを取得し、マスク部材33上の第2マスクパターンMP2の位置を把握する。
【0042】
制御装置40は、フレックス基板12の位置とマスク部材33の第2マスクパターンMP2の位置を把握したら、基板移動ユニット31による基板PBの水平面内方向の移動動作を行って(図9(b)中に示す矢印C6)、基板PBをマスク部材33の第2マスクパターンMP2の直下(したがって第2マスク領域MR2の直下)に位置させた後(図9(b))、基板移動ユニット31による基板PBの垂直方向の移動(第1昇降プレート31eの上昇)動作を行って、基板PBの上面をマスク部材33の下面に下方から接触させる(図10(a)中に示す矢印C7)。これによりフレックス基板12とマスク部材33の第2マスク領域MR2が位置合わせされ、したがってフレックス基板12が備える各電極(フレックス基板電極12d)と第2マスクパターンMP2を構成する各パターン孔h2とが位置合わせされる(図10(a))。
【0043】
制御装置40は、フレックス基板12とマスク部材33の第2マスク領域MR2との位置合わせが終了したら、フレックス基板12に対するスクリーン印刷を実行する(図6のステップST7)。
【0044】
フレックス基板12に対するスクリーン印刷では、制御装置40は先ず、シリンジユニット37を第2マスク領域MR2の上方に移動させ、シリンジ37aからマスク部材33の上面(第2マスク領域MR2内)にペーストPTを供給した後(図10(a))、一方のスキージ34aを下降させてそのスキージ34aの下縁をマスク部材33の上面に当接させる。そして、スキージユニット34をY軸方向に移動させ、スキージ34aをマスク部材33上で摺動させることによってペーストPTをかき寄せて(図10(b)中に示す矢印C8)、ペーストPTを第2マスクパターンMP2のパターン孔h2内に充填させる(図10(b))。
【0045】
制御装置40は、第2マスクパターンMP2のパターン孔h2内にペーストPTを充填させたら、第1昇降プレート31eを下降させて、基板PBとマスク部材33を分離させる(図6のステップST8)。これにより版離れが行われ、第2マスクパターンMP2内のパターン孔h2内に充填されたペーストPTがフレックス基板電極12d上に印刷される。これによりフレックス基板12に対するスクリーン印刷は終了する。
【0046】
制御装置40は、フレックス基板12に対するスクリーン印刷が終了したら、クランパ31hを開いて基板移動ユニット31に対する基板PBの固定を解除する(図6のステップST9)。そして、第2昇降プレート31fを下降させて基板PBを位置決めコンベア22上に載置し、基板移動ユニット31を作動させて、位置決めコンベア22の搬出コンベア23に対する位置調整を行う。制御装置40は、位置決めコンベア22の搬出コンベア23に対する位置調整が終了したら、位置決めコンベア22と搬出コンベア23を連動作動させて、スクリーン印刷機1から基板PBを搬出する(図6のステップST10)。
【0047】
制御装置40は、基板PBを搬出したら、他にスクリーン印刷を施す基板PBがあるかどうかの判断を行う(図6のステップST11)。その結果、他にスクリーン印刷を施す基板PBがあったときにはステップST1に戻って基板PBの搬入を行い、スクリーン印刷を施す基板PBがなかったときには一連のスクリーン印刷工程を終了する。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態におけるスクリーン印刷機1は、変形度合いの異なる複数の基板部材(リジッド基板11及びフレックス基板12)を含む基板PB(リジッドフレックス基板)の各基板部材が備える電極(リジッド基板電極11d及びフレックス基板電極12d)にスクリーン印刷を施すものであり、各基板部材(リジッド基板11及びフレックス基板12)の電極配置に対応する複数のマスクパターン(第1マスクパターンMP1及び第2マスクパターンMP2)をそれぞれ別個の領域(第1マスク領域MR1及び第2マスク領域MR2)に備えたマスク部材33と、基板部材(リジッド基板11又はフレックス基板12)とその基板部材の電極配置に対応するマスクパターン(第1マスクパターンMP1又は第2マスクパターンMP2)を有するマスク部材33の領域(第1マスク領域MR1又は第2マスク領域MR2)との位置合わせを行ってその基板部材が備える電極(リジッド基板電極11d又はフレックス基板電極12d)にスクリーン印刷を施す動作を変形度合いの異なる複数の基板部材(リジッド基板11及びフレックス基板12)それぞれに対して実行する印刷実行手段(印刷実行部4及び制御装置40)を備えたものとなっている。
【0049】
また、本実施の形態におけるスクリーン印刷方法は、変形度合いの異なる複数の基板部材(リジッド基板11及びフレックス基板12)を含む基板PBの各基板部材が備える電極(リジッド基板電極11d及びフレックス基板電極12d)に、各基板部材(リジッド
基板11及びフレックス基板12)の電極配置に対応する複数のマスクパターン(第1マスクパターンMP1及び第2マスクパターンMP2)をそれぞれ別個の領域(第1マスク領域MR1及び第2マスク領域MR2)に備えたマスク部材33を用いてスクリーン印刷を施すスクリーン方法であり、基板部材(リジッド基板11及びフレックス基板12)とその基板部材の電極配置に対応するマスクパターン(第1マスクパターンMP1又は第2マスクパターンMP2)を有するマスク部材33の領域(第1マスク領域MR1又は第2マスク領域MR2)との位置合わせを行う第1の工程(ステップST3又はステップST6)と、上記マスク部材33の領域との位置合わせを行った基板部材が備える電極(リジッド基板電極11d又はフレックス基板電極12d)にスクリーン印刷を施す第2の工程(ステップST4又はステップST7)とを含み、第1の工程及び第2の工程を変形度合いの異なる複数の基板部材(リジッド基板11及びフレックス基板12)それぞれに対して実行するものとなっている。
【0050】
本実施の形態におけるスクリーン印刷機1では、変形度合いの異なる複数の基板部材(リジッド基板11及びフレックス基板12)を含む基板PBの各基板部材の電極配置に対応するマスクパターン(第1マスクパターンMP1及び第2マスクパターンMP2)をそれぞれ別個の領域に備えたマスク部材33を用い、基板部材とその基板部材の電極配置に対応するマスクパターンを有するマスク部材33の領域との位置合わせを行ってその基板部材が備える電極にスクリーン印刷を施す動作(工程)を変形度合いの異なる複数の基板部材それぞれに対して実行するようになっている。すなわち、各基板部材がマスク部材33と位置合わせされ、スクリーン印刷が実行されるようになっている。このため、変形度合いの異なる複数(ここでは2つ)の基板部材を含む基板PBを対象としたスクリーン印刷において、印刷ずれを起きにくくすることができる。
【0051】
ところで、上述の実施の形態では、フレックス基板12に設けられた2つ一組のフレックス基板位置合わせマーク12mとマスク部材33の第2マスク領域MR2に設けられた2つ一組のマスク部材第2位置合わせマークMK2を位置合わせすることにより、フレックス基板12上の全ての電極(フレックス基板電極12dを)と、第2マスク領域MR2内の全てのパターン孔h2の位置合わせをするようにしていたが、フレックス基板12に設けられたフレックス基板電極12d同士の相対変形が大きいことが予測される場合には、フレックス基板電極12dの相対変形の小さいもの同士を一まとまりにして全フレックス基板電極12dを複数の電極グループにグループ分けし、そのグループ分けによって得られた電極グループごとにスクリーン印刷を行うようにしてもよい。
【0052】
この場合には、マスク部材33に各電極グループに対応する複数のマスクパターンを形成するとともに、電極グループごと及びマスクパターンごとに位置合わせマークを設け、各電極グループとこれに対応するマスクパターンとの位置合わせを行ってスクリーン印刷を実行することになる。このようにすれば、フレックス基板電極12d同士の相対変形が大きい場合であっても、フレックス基板12上の各電極(フレックス基板電極12d)に、位置ずれのない正確なスクリーン印刷を施すことができる。
【0053】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述の実施の形態に示したものに限定されない。例えば、上述の実施の形態では、基板PBは2つの基板部材(リジッド基板11及びフレックス基板12)を含むものであったが、3つ以上の基板部材を含むものであってもよい。また、各基板部材が備える電極配置は特に限定されず、上述の実施の形態に示したものに限られない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
変形度合いの異なる複数の基板部材を含む基板を対象としたスクリーン印刷において、印刷ずれを起きにくくすることができるスクリーン印刷機及びスクリーン印刷方法を提供
する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の部分平面図
【図2】(a)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が印刷対象とする基板の平面図(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が印刷対象とする基板をキャリヤとともに示す側断面図
【図3】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備える印刷実行部の正面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が備えるマスク部材の平面図
【図5】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の制御系統を示すブロック図
【図6】本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機が実行するスクリーン印刷工程を示すフローチャート
【図7】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作説明図
【図8】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作説明図
【図9】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作説明図
【図10】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるスクリーン印刷機の動作説明図
【符号の説明】
【0056】
1 スクリーン印刷機
4 印刷実行部(印刷実行手段)
11 リジッド基板(基板部材)
11d リジッド基板電極(電極)
12 フレックス基板(基板部材)
12d フレックス基板電極(電極)
33 マスク部材
40 制御装置(印刷実行手段)
MP1 第1マスクパターン(マスクパターン)
MP2 第2マスクパターン(マスクパターン)
MR1 第1マスク領域(領域)
MR2 第2マスク領域(領域)
PB 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形度合いの異なる複数の基板部材を含む基板の各基板部材が備える電極にスクリーン印刷を施すスクリーン印刷機であって、
各基板部材の電極配置に対応する複数のマスクパターンをそれぞれ別個の領域に備えたマスク部材と、
基板部材とその基板部材の電極配置に対応するマスクパターンを有するマスク部材の領域との位置合わせを行ってその基板部材が備える電極にスクリーン印刷を施す動作を変形度合いの異なる複数の基板部材それぞれに対して実行する印刷実行手段と、
を備えたことを特徴とするスクリーン印刷機。
【請求項2】
変形度合いの異なる複数の基板部材を含む基板の各基板部材が備える電極に、 各基板部材の電極配置に対応する複数のマスクパターンをそれぞれ別個の領域に備えたマスク部材を用いてスクリーン印刷を施すスクリーン方法であって、
基板部材とその基板部材の電極配置に対応するマスクパターンを有するマスク部材の領域との位置合わせを行う第1の工程と、
前記マスク部材の領域との位置合わせを行った基板部材が備える電極にスクリーン印刷を施す第2の工程とを含み、
前記第1の工程及び前記第2の工程を変形度合いの異なる複数の基板部材それぞれに対して実行することを特徴とするスクリーン印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−179616(P2010−179616A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26889(P2009−26889)
【出願日】平成21年2月9日(2009.2.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】