スクリーン印刷装置
【課題】適切なタイミングでマスクのクリーニングを行うスクリーン印刷装置を提供する。
【解決手段】基板2をマスキングするマスク3に設けられたパターン孔を通して基板2に半田ペーストを印刷するスクリーン印刷装置に、マスク3の表面に向けて鉛直下方にレーザ光を照射して版離れの際にマスク3に生じる撓み量aを測定するレーザ測定器32を設けた。マスク3の撓み量aが予め設定された閾値を超えている場合は、許容できない程度の汚れがマスク3生じていると判断し、マスククリーニングを実行する。
【解決手段】基板2をマスキングするマスク3に設けられたパターン孔を通して基板2に半田ペーストを印刷するスクリーン印刷装置に、マスク3の表面に向けて鉛直下方にレーザ光を照射して版離れの際にマスク3に生じる撓み量aを測定するレーザ測定器32を設けた。マスク3の撓み量aが予め設定された閾値を超えている場合は、許容できない程度の汚れがマスク3生じていると判断し、マスククリーニングを実行する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に半田ペーストを印刷するスクリーン印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装する分野では、基板の電極に半田ペーストを印刷する装置として、スクリーン印刷装置が広く用いられている。この装置は、電極の形状に対応するパターン孔が開設されたマスクを備え、基板に重ね合わせたマスクのパターン孔に半田ペーストを充填することで電極に半田ペーストを印刷している。スクリーン印刷装置では、印刷の最終工程で版離れ作業が行われ、印刷後の基板とマスクとを離反する作業が行われるが、この版離れにおいては半田ペーストの一部がパターン孔の縁部に残留することがあり、この残留した半田ペーストが印刷を繰り返すうちに徐々に堆積してパターン孔に目詰まりを生じさせる原因となっている。また、充填の際の充填圧が高すぎる等の理由によりパターン孔から半田ペーストが漏出することがあり、マスクの裏面(基板と接触する面)と基板を汚してしまうことがある。このように半田ペーストがパターン孔やマスクの裏面に残留すると、基板の汚染や印刷量不足等の印刷不良が発生するので、マスクの裏面に乾式または湿式の繊維を摺動させ、パターン孔や裏面に残留した半田ペーストを拭き取るマスククリーニングを実施するなどの措置を講じている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−323402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、マスククリーニングを実施するタイミングは、例えば所定の作業時間毎もしくは所定の枚数の基板を印刷し終える毎に行うなどの任意の間隔に設定できるようになっていた。しかし、半田ペーストの残留の度合いは、半田ペーストの種類やマスクの材質、厚さ、パターン孔の形態、印刷時の温度や湿度など多岐に渡る要因に影響を受けるので、適切な間隔を予め設定するのは困難であった。間隔が短いとマスクをきれいな状態に維持できるので、印刷品質は安定するが、クリーニング中は印刷作業を中断せざるを得ないため生産タクトの悪化を招くことになる。一方、間隔を長くとると、生産タクトの面では有利であるが、半田ペーストが残留した状態で印刷作業が行われることになり、印刷品質のばらつきや低下を招くことになる。また、印刷作業を行うオペレータの個人差によっても設定される間隔には変動があり、1台のスクリーン印刷装置で様々な条件化において安定した印刷品質を維持することは困難であった。
【0004】
そこで本発明は、適切なタイミングでマスクのクリーニングを行うスクリーン印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のスクリーン印刷装置は、基板をマスキングするマスクに設けられたパターン孔を通して基板に半田ペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、基板をマスキングするマスクに設けられたパターン孔に半田ペーストを充填する充填手段と、前記パターン孔に半田ペーストが充填された前記マスクと前記基板を版離れさせる版離れ手段と、版離れの際に前記マスクに生じる撓み量を測定する測定手段と、前記マスクに残留した半田ペーストを除去する除去手段と、前記測定手段により測定された撓み量に基づいて半田ペーストの除去の必要性を判定する判定手段を備えた。
【0006】
請求項2に記載のスクリーン印刷装置は請求項1に記載のスクリーン印刷装置であって、前記版離れ手段が、前記マスクの裏面に当接した前記基板を下降させて前記マスクと前
記基板を版離れさせ、前記測定手段が、前記マスクの裏面に当接した前記基板が下降を開始する前の前記マスクの高さと基板が下降中の前記マスクの高さの差からマスクの撓み量を測定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、残留半田ペーストによるマスクの汚れの程度に応じて変化する版離れの際のマスクの撓み量に基づいてマスククリーニングの必要性を判定するので、マスクが汚れたタイミングでマスククリーニングを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置について説明する。図1はスクリーン印刷装置の全体構成を示している。
【0009】
スクリーン印刷装置1は、基板2の電極の形状に対応するパターン孔3aが開設されたマスク3と、マスク3の外周を所定の高さで支持するマスク支持手段と、基板2を両側方から支持する基板側支持手段と、基板2を搬送する基板搬送手段と、基板2を下方から支持する基板下支持手段と、基板2を昇降させてマスク3に接離させる基板昇降手段と、基板2を移動させてマスク2に対して位置合わせを行う基板移動手段と、マスク3のパターン孔3aに半田ペーストを充填する充填手段と、マスク3に残留した半田ペーストを除去する除去手段と、版離れの前後においてマスク3が基板2に向けて変位した量を測定する測定手段と、これらの各手段の作動を制御する制御手段を備えて構成されている。
【0010】
図1において、マスク支持手段は、薄板状のマスク3の外周を支持するマスク支持ブロック4を備え、マスク3を所定の位置および高さに支持する。
【0011】
基板搬送手段は、基板2の両側をそれぞれ載置する一対の搬送レール10を備え、内蔵されたベルトコンベヤ等によって基板2の搬送を行う。
【0012】
基板下支持手段は、基板支持ブロック11と、基板支持ブロック11を設置したテーブル12と、テーブル12を上下動させるための送りねじ13と、モータ14と、モータ14の回転駆動を送りねじ13の回転として伝達するベルト15とで構成され、モータ14の作動により基板支持ブロック11を基板2の下面に当接させ、所定の高さになるまで上昇させる。
【0013】
基板側支持手段は、基板2を両側方から挟持する一対のクランプ板16a、16bと、一方のクランプ板16aを他方のクランプ板16bに接離させるアクチュエータ17とで構成され、印刷時の基板2の位置を一時的に固定する。
【0014】
基板昇降手段は、支持ブロック18と、支持ブロック18を設置したテーブル19と、テーブル19を上下動させるための送りねじ20と、基板昇降モータ21と、基板昇降モータ21の回転駆動を送りねじ20の回転として伝達するベルト22とで構成され、支持ブロック18が一対の搬送レール10とクランプ板16を支持している。基板昇降モータ21の作動により基板2がマスク3の下方で昇降し、印刷時には基板2をマスク3に当接するまで上昇させ、印刷後は基板2を下降させて基板2とマスク3を版離れさせる。
【0015】
基板移動手段は、一対のクランプ板16によって挟持された基板2を水平面内で直交するX方向およびY方向、さらにZ方向(鉛直方向)周りのθ方向に回転させるXテーブル23、Yテーブル24、θテーブル25を積層して構成され、所定の位置に固定されたマスク3に対して基板2を自在に動かして位置合わせを行う。この位置合わせに際しては、基板2とマスク3にはそれぞれ位置合わせの基準として設けられたマークをそれぞれカメ
ラ5a、5bにより撮像し、基板2とマスク3の位置関係の認識を行う。
【0016】
充填手段は、一対のスキージ26a、26bと、それぞれのスキージ26a、26bを独立して昇降させるスキージ昇降シリンダ27a、27bと、一対のスキージ26a、26bをマスク3の表面に沿って水平移動させる送りねじ28、と送りねじ28を回転させるスキージ移動モータ29とで構成される。半田ペーストの印刷の際には、一方のスキージ26aのみをマスク3の表面で摺動させ、半田ペーストをパターン孔3aに一方向から充填する。これにより基板2に半田ペーストの印刷が完了し、新たな基板2に対しては、他方のスキージ26bのみをマスク3の表面で摺動させ、半田ペーストをパターン孔3aに逆方向から充填する。このように新たな基板2が搬入される度に一対のスキージ26a、26bをマスク3の表面で交互に摺動させて半田ペーストの充填を行う。
【0017】
除去手段は、マスク3の裏面に沿って水平移動するマスククリーナ6で構成される。マスククリーナ6にはローラ6aに巻回されたクリーニングペーパー6aが備えられており、クリーニングペーパー6aをマスク3の裏面で摺動させてマスク3に残留した半田ペーストを除去する。除去した半田ペーストが付着したクリーニングペーパー6aは除去能力が低下するため、巻き取りロール6cに巻き取られて常に新しい箇所がマスク3の裏面に接触するようになっている。
【0018】
このように構成されたスクリーン印刷装置1では、マスク3の外周のみがマスク支持ブロック4によって支持されているため、マスク支持ブロック4から離れた中央部には撓みが生じやすい。そのため版離れ時には、パターン孔3aに充填された半田ペーストの粘性によってマスク3の中央部は基板2側に向けて下方に撓む傾向にある。マスクが汚れている場合、例えば、何度も印刷を繰り返した結果、残留半田ペーストがパターン孔3aの縁部に堆積している場合やマスク3の裏面に半田ペーストが付着している場合には、マスク3と基板2がより強力に接着された状態となり、版離れ時のマスク3に生じる撓みがより増大する傾向にある。従って、版離れ時のマスク3に生じる撓み量を測定することでマスク3の汚れの程度を判別することが可能である。
【0019】
図2はマスククリーニングに関する制御構成をブロック図で示している。制御部30は、スクリーン印刷装置1を構成する上記各手段の動作制御を行う制御手段である。マスク測定部31は、レーザ測定器32を用いて版離れの際にマスク3に生じる撓み量を測定する測定手段である。レーザ測定器32は、図3に示すようにマスク3の上方からマスク3の表面に向けて鉛直下方にレーザ光を照射し、マスク3の表面からの反射光を受光した位置に基づいてマスク3の高さ、ここではレーザ測定器32からマスク3の表面までの距離を測定する。レーザ測定器32は、版離れを行う前の段階、例えば図3(a)に示すように、マスク3のパターン孔3aに半田ペーストを充填し終え、版離れのために基板2が下降を始めるタイミングでマスク3の高さ測定を開始し、図3(b)に示すように基板2の下降中も測定を継続する。基板2が下降を開始する前のマスク3の高さと下降中のマスク3の高さの差が版離れ時におけるマスク3の撓み量aとなる。このようにして測定された撓み量には、マスク3が汚れていない状態においても生じる一定の撓み量が含まれているので、これを差し引いた上でもさらに撓み量が確認される場合には、マスク3が残留半田ペーストにより汚れていると判断できる。基板2の下降動作の開始タイミングは、基板昇降モータ21の駆動ドライバである駆動部33からマスク測定部31に送信される。
【0020】
マスククリーニング判定部34は、マスク3の撓み量に応じて汚れの程度を判別し、マスククリーニングの必要性を判定する判定手段である。具体的には、許容できる程度のマスク3の汚れによる撓み量を予め設定し、この撓み量を閾値としてマスククリーニングの必要性を判定する。すなわち、マスク測定部31によって測定されたマスク3の撓み量が閾値を超えている場合は、許容できない程度の汚れが生じていると判断し、マスククリー
ニングが必要であると判定し、閾値に満たない場合は、マスク3は汚れていないか、また汚れていたとしても許容できる程度であると判断し、マスククリーニングは不必要であると判定する。マスククリーニングが必要であると判定されると、マスククリーナ6にクリーニング開始指令が出されるとともに、一対のクランプ板16等をマスククリーナ6と干渉しない程度の高さとなるまで下降させる。
【0021】
レーザ測定器32は、版離れの際にマスク3の高さが測定できる位置であれば特に設置位置は限定されないが、図1に示すように一対のスキージ26a、26bの間に設置すると、スキージ移動モータ29の駆動によりマスク3の上方で水平移動可能となり、任意の位置でマスク3の高さを測定がすることができる利点がある。これは、スクリーン印刷装置1において用いられるマスク3には多種多様なものがあり、その形状はもとよりパターン孔3aの数や形態も異なっているため、状況に応じて測定位置を変えられる方がより的確にマスク3の撓み量を測定することができるからである。
【0022】
図4はスクリーン印刷装置1における印刷動作をフローチャートで示している。スクリーン印刷装置1において複数の基板(N−1枚)に印刷が施された後にN枚目の基板が基板搬送手段により搬入される(ST1)。基板下支持手段により基板を下方から支持するとともに基板側支持手段により基板を両側方から支持して一時的に固定し、基板昇降手段により上昇させてマスクの裏面に当接させる。ペースト充填手段によりマスクのパターン孔に半田ペーストを充填する(ST2)。半田ペーストの充填を終えると、基板昇降手段により基板を下降させてマスクと版離れさせる(ST3)。版離れの際には測定手段によりマスクの撓み量を測定する(ST4)。マスクの撓み量が閾値を超えている場合は、マスククリーニングを実施する(ST5)。マスクの撓み量が閾値に満たない場合、およびマスククリーニングの実施後は、次の基板(N+1枚目)を新たに搬入して印刷を行う。
【0023】
このように本実施の形態のスクリーン印刷装置によれば、残留半田ペーストによるマスクの汚れの程度に応じて変化する版離れの際のマスクの撓み量に基づいてマスククリーニングの必要性を判定するので、従来はマスクの汚れの程度に無関係に一定の印刷時間や一定の基板処理枚数毎に行っていたマスククリーニングを実際にマスクが汚れたタイミングで行うことができる。これにより、過不足のないインターバルでマスククリーニングを行うことが可能になり、トレードオフの関係にある印刷品質と生産性の向上を両立させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明によれば、残留半田ペーストによるマスクの汚れの程度に応じて変化する版離れの際のマスクの撓み量に基づいてマスククリーニングの必要性を判定するので、マスクが汚れたタイミングでマスククリーニングを行うことができるという利点を有し、電子部品の実装分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図
【図2】本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置におけるマスククリーニングに関する制御構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置における版離れ時のマスクの撓み量の測定方法を示す図
【図4】本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置における印刷動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0026】
1 スクリーン印刷装置
2 基板
3 マスク
3a パターン孔
6 マスククリーナ
18 支持ブロック
19 テーブル
20 送りねじ
21 基板昇降モータ
22 ベルト
26a、26b スキージ
27a、27b スキージ昇降シリンダ
28 送りねじ
29 スキージ移動モータ
30 制御部
31 マスク測定部
32 レーザ測定器
34 マスククリーニング判定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に半田ペーストを印刷するスクリーン印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装する分野では、基板の電極に半田ペーストを印刷する装置として、スクリーン印刷装置が広く用いられている。この装置は、電極の形状に対応するパターン孔が開設されたマスクを備え、基板に重ね合わせたマスクのパターン孔に半田ペーストを充填することで電極に半田ペーストを印刷している。スクリーン印刷装置では、印刷の最終工程で版離れ作業が行われ、印刷後の基板とマスクとを離反する作業が行われるが、この版離れにおいては半田ペーストの一部がパターン孔の縁部に残留することがあり、この残留した半田ペーストが印刷を繰り返すうちに徐々に堆積してパターン孔に目詰まりを生じさせる原因となっている。また、充填の際の充填圧が高すぎる等の理由によりパターン孔から半田ペーストが漏出することがあり、マスクの裏面(基板と接触する面)と基板を汚してしまうことがある。このように半田ペーストがパターン孔やマスクの裏面に残留すると、基板の汚染や印刷量不足等の印刷不良が発生するので、マスクの裏面に乾式または湿式の繊維を摺動させ、パターン孔や裏面に残留した半田ペーストを拭き取るマスククリーニングを実施するなどの措置を講じている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−323402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、マスククリーニングを実施するタイミングは、例えば所定の作業時間毎もしくは所定の枚数の基板を印刷し終える毎に行うなどの任意の間隔に設定できるようになっていた。しかし、半田ペーストの残留の度合いは、半田ペーストの種類やマスクの材質、厚さ、パターン孔の形態、印刷時の温度や湿度など多岐に渡る要因に影響を受けるので、適切な間隔を予め設定するのは困難であった。間隔が短いとマスクをきれいな状態に維持できるので、印刷品質は安定するが、クリーニング中は印刷作業を中断せざるを得ないため生産タクトの悪化を招くことになる。一方、間隔を長くとると、生産タクトの面では有利であるが、半田ペーストが残留した状態で印刷作業が行われることになり、印刷品質のばらつきや低下を招くことになる。また、印刷作業を行うオペレータの個人差によっても設定される間隔には変動があり、1台のスクリーン印刷装置で様々な条件化において安定した印刷品質を維持することは困難であった。
【0004】
そこで本発明は、適切なタイミングでマスクのクリーニングを行うスクリーン印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載のスクリーン印刷装置は、基板をマスキングするマスクに設けられたパターン孔を通して基板に半田ペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、基板をマスキングするマスクに設けられたパターン孔に半田ペーストを充填する充填手段と、前記パターン孔に半田ペーストが充填された前記マスクと前記基板を版離れさせる版離れ手段と、版離れの際に前記マスクに生じる撓み量を測定する測定手段と、前記マスクに残留した半田ペーストを除去する除去手段と、前記測定手段により測定された撓み量に基づいて半田ペーストの除去の必要性を判定する判定手段を備えた。
【0006】
請求項2に記載のスクリーン印刷装置は請求項1に記載のスクリーン印刷装置であって、前記版離れ手段が、前記マスクの裏面に当接した前記基板を下降させて前記マスクと前
記基板を版離れさせ、前記測定手段が、前記マスクの裏面に当接した前記基板が下降を開始する前の前記マスクの高さと基板が下降中の前記マスクの高さの差からマスクの撓み量を測定する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、残留半田ペーストによるマスクの汚れの程度に応じて変化する版離れの際のマスクの撓み量に基づいてマスククリーニングの必要性を判定するので、マスクが汚れたタイミングでマスククリーニングを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置について説明する。図1はスクリーン印刷装置の全体構成を示している。
【0009】
スクリーン印刷装置1は、基板2の電極の形状に対応するパターン孔3aが開設されたマスク3と、マスク3の外周を所定の高さで支持するマスク支持手段と、基板2を両側方から支持する基板側支持手段と、基板2を搬送する基板搬送手段と、基板2を下方から支持する基板下支持手段と、基板2を昇降させてマスク3に接離させる基板昇降手段と、基板2を移動させてマスク2に対して位置合わせを行う基板移動手段と、マスク3のパターン孔3aに半田ペーストを充填する充填手段と、マスク3に残留した半田ペーストを除去する除去手段と、版離れの前後においてマスク3が基板2に向けて変位した量を測定する測定手段と、これらの各手段の作動を制御する制御手段を備えて構成されている。
【0010】
図1において、マスク支持手段は、薄板状のマスク3の外周を支持するマスク支持ブロック4を備え、マスク3を所定の位置および高さに支持する。
【0011】
基板搬送手段は、基板2の両側をそれぞれ載置する一対の搬送レール10を備え、内蔵されたベルトコンベヤ等によって基板2の搬送を行う。
【0012】
基板下支持手段は、基板支持ブロック11と、基板支持ブロック11を設置したテーブル12と、テーブル12を上下動させるための送りねじ13と、モータ14と、モータ14の回転駆動を送りねじ13の回転として伝達するベルト15とで構成され、モータ14の作動により基板支持ブロック11を基板2の下面に当接させ、所定の高さになるまで上昇させる。
【0013】
基板側支持手段は、基板2を両側方から挟持する一対のクランプ板16a、16bと、一方のクランプ板16aを他方のクランプ板16bに接離させるアクチュエータ17とで構成され、印刷時の基板2の位置を一時的に固定する。
【0014】
基板昇降手段は、支持ブロック18と、支持ブロック18を設置したテーブル19と、テーブル19を上下動させるための送りねじ20と、基板昇降モータ21と、基板昇降モータ21の回転駆動を送りねじ20の回転として伝達するベルト22とで構成され、支持ブロック18が一対の搬送レール10とクランプ板16を支持している。基板昇降モータ21の作動により基板2がマスク3の下方で昇降し、印刷時には基板2をマスク3に当接するまで上昇させ、印刷後は基板2を下降させて基板2とマスク3を版離れさせる。
【0015】
基板移動手段は、一対のクランプ板16によって挟持された基板2を水平面内で直交するX方向およびY方向、さらにZ方向(鉛直方向)周りのθ方向に回転させるXテーブル23、Yテーブル24、θテーブル25を積層して構成され、所定の位置に固定されたマスク3に対して基板2を自在に動かして位置合わせを行う。この位置合わせに際しては、基板2とマスク3にはそれぞれ位置合わせの基準として設けられたマークをそれぞれカメ
ラ5a、5bにより撮像し、基板2とマスク3の位置関係の認識を行う。
【0016】
充填手段は、一対のスキージ26a、26bと、それぞれのスキージ26a、26bを独立して昇降させるスキージ昇降シリンダ27a、27bと、一対のスキージ26a、26bをマスク3の表面に沿って水平移動させる送りねじ28、と送りねじ28を回転させるスキージ移動モータ29とで構成される。半田ペーストの印刷の際には、一方のスキージ26aのみをマスク3の表面で摺動させ、半田ペーストをパターン孔3aに一方向から充填する。これにより基板2に半田ペーストの印刷が完了し、新たな基板2に対しては、他方のスキージ26bのみをマスク3の表面で摺動させ、半田ペーストをパターン孔3aに逆方向から充填する。このように新たな基板2が搬入される度に一対のスキージ26a、26bをマスク3の表面で交互に摺動させて半田ペーストの充填を行う。
【0017】
除去手段は、マスク3の裏面に沿って水平移動するマスククリーナ6で構成される。マスククリーナ6にはローラ6aに巻回されたクリーニングペーパー6aが備えられており、クリーニングペーパー6aをマスク3の裏面で摺動させてマスク3に残留した半田ペーストを除去する。除去した半田ペーストが付着したクリーニングペーパー6aは除去能力が低下するため、巻き取りロール6cに巻き取られて常に新しい箇所がマスク3の裏面に接触するようになっている。
【0018】
このように構成されたスクリーン印刷装置1では、マスク3の外周のみがマスク支持ブロック4によって支持されているため、マスク支持ブロック4から離れた中央部には撓みが生じやすい。そのため版離れ時には、パターン孔3aに充填された半田ペーストの粘性によってマスク3の中央部は基板2側に向けて下方に撓む傾向にある。マスクが汚れている場合、例えば、何度も印刷を繰り返した結果、残留半田ペーストがパターン孔3aの縁部に堆積している場合やマスク3の裏面に半田ペーストが付着している場合には、マスク3と基板2がより強力に接着された状態となり、版離れ時のマスク3に生じる撓みがより増大する傾向にある。従って、版離れ時のマスク3に生じる撓み量を測定することでマスク3の汚れの程度を判別することが可能である。
【0019】
図2はマスククリーニングに関する制御構成をブロック図で示している。制御部30は、スクリーン印刷装置1を構成する上記各手段の動作制御を行う制御手段である。マスク測定部31は、レーザ測定器32を用いて版離れの際にマスク3に生じる撓み量を測定する測定手段である。レーザ測定器32は、図3に示すようにマスク3の上方からマスク3の表面に向けて鉛直下方にレーザ光を照射し、マスク3の表面からの反射光を受光した位置に基づいてマスク3の高さ、ここではレーザ測定器32からマスク3の表面までの距離を測定する。レーザ測定器32は、版離れを行う前の段階、例えば図3(a)に示すように、マスク3のパターン孔3aに半田ペーストを充填し終え、版離れのために基板2が下降を始めるタイミングでマスク3の高さ測定を開始し、図3(b)に示すように基板2の下降中も測定を継続する。基板2が下降を開始する前のマスク3の高さと下降中のマスク3の高さの差が版離れ時におけるマスク3の撓み量aとなる。このようにして測定された撓み量には、マスク3が汚れていない状態においても生じる一定の撓み量が含まれているので、これを差し引いた上でもさらに撓み量が確認される場合には、マスク3が残留半田ペーストにより汚れていると判断できる。基板2の下降動作の開始タイミングは、基板昇降モータ21の駆動ドライバである駆動部33からマスク測定部31に送信される。
【0020】
マスククリーニング判定部34は、マスク3の撓み量に応じて汚れの程度を判別し、マスククリーニングの必要性を判定する判定手段である。具体的には、許容できる程度のマスク3の汚れによる撓み量を予め設定し、この撓み量を閾値としてマスククリーニングの必要性を判定する。すなわち、マスク測定部31によって測定されたマスク3の撓み量が閾値を超えている場合は、許容できない程度の汚れが生じていると判断し、マスククリー
ニングが必要であると判定し、閾値に満たない場合は、マスク3は汚れていないか、また汚れていたとしても許容できる程度であると判断し、マスククリーニングは不必要であると判定する。マスククリーニングが必要であると判定されると、マスククリーナ6にクリーニング開始指令が出されるとともに、一対のクランプ板16等をマスククリーナ6と干渉しない程度の高さとなるまで下降させる。
【0021】
レーザ測定器32は、版離れの際にマスク3の高さが測定できる位置であれば特に設置位置は限定されないが、図1に示すように一対のスキージ26a、26bの間に設置すると、スキージ移動モータ29の駆動によりマスク3の上方で水平移動可能となり、任意の位置でマスク3の高さを測定がすることができる利点がある。これは、スクリーン印刷装置1において用いられるマスク3には多種多様なものがあり、その形状はもとよりパターン孔3aの数や形態も異なっているため、状況に応じて測定位置を変えられる方がより的確にマスク3の撓み量を測定することができるからである。
【0022】
図4はスクリーン印刷装置1における印刷動作をフローチャートで示している。スクリーン印刷装置1において複数の基板(N−1枚)に印刷が施された後にN枚目の基板が基板搬送手段により搬入される(ST1)。基板下支持手段により基板を下方から支持するとともに基板側支持手段により基板を両側方から支持して一時的に固定し、基板昇降手段により上昇させてマスクの裏面に当接させる。ペースト充填手段によりマスクのパターン孔に半田ペーストを充填する(ST2)。半田ペーストの充填を終えると、基板昇降手段により基板を下降させてマスクと版離れさせる(ST3)。版離れの際には測定手段によりマスクの撓み量を測定する(ST4)。マスクの撓み量が閾値を超えている場合は、マスククリーニングを実施する(ST5)。マスクの撓み量が閾値に満たない場合、およびマスククリーニングの実施後は、次の基板(N+1枚目)を新たに搬入して印刷を行う。
【0023】
このように本実施の形態のスクリーン印刷装置によれば、残留半田ペーストによるマスクの汚れの程度に応じて変化する版離れの際のマスクの撓み量に基づいてマスククリーニングの必要性を判定するので、従来はマスクの汚れの程度に無関係に一定の印刷時間や一定の基板処理枚数毎に行っていたマスククリーニングを実際にマスクが汚れたタイミングで行うことができる。これにより、過不足のないインターバルでマスククリーニングを行うことが可能になり、トレードオフの関係にある印刷品質と生産性の向上を両立させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明によれば、残留半田ペーストによるマスクの汚れの程度に応じて変化する版離れの際のマスクの撓み量に基づいてマスククリーニングの必要性を判定するので、マスクが汚れたタイミングでマスククリーニングを行うことができるという利点を有し、電子部品の実装分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置の正面図
【図2】本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置におけるマスククリーニングに関する制御構成を示すブロック図
【図3】本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置における版離れ時のマスクの撓み量の測定方法を示す図
【図4】本発明の実施の形態のスクリーン印刷装置における印刷動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0026】
1 スクリーン印刷装置
2 基板
3 マスク
3a パターン孔
6 マスククリーナ
18 支持ブロック
19 テーブル
20 送りねじ
21 基板昇降モータ
22 ベルト
26a、26b スキージ
27a、27b スキージ昇降シリンダ
28 送りねじ
29 スキージ移動モータ
30 制御部
31 マスク測定部
32 レーザ測定器
34 マスククリーニング判定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板をマスキングするマスクに設けられたパターン孔を通して基板に半田ペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、
基板をマスキングするマスクに設けられたパターン孔に半田ペーストを充填する充填手段と、前記パターン孔に半田ペーストが充填された前記マスクと前記基板を版離れさせる版離れ手段と、版離れの際に前記マスクに生じる撓み量を測定する測定手段と、前記マスクに残留した半田ペーストを除去する除去手段と、前記測定手段により測定された撓み量に基づいて半田ペーストの除去の必要性を判定する判定手段を備えたスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記版離れ手段が、前記マスクの裏面に当接した前記基板を下降させて前記マスクと前記基板を版離れさせ、
前記測定手段が、前記マスクの裏面に当接した前記基板が下降を開始する前の前記マスクの高さと基板が下降中の前記マスクの高さの差からマスクの撓み量を測定する請求項1に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項1】
基板をマスキングするマスクに設けられたパターン孔を通して基板に半田ペーストを印刷するスクリーン印刷装置であって、
基板をマスキングするマスクに設けられたパターン孔に半田ペーストを充填する充填手段と、前記パターン孔に半田ペーストが充填された前記マスクと前記基板を版離れさせる版離れ手段と、版離れの際に前記マスクに生じる撓み量を測定する測定手段と、前記マスクに残留した半田ペーストを除去する除去手段と、前記測定手段により測定された撓み量に基づいて半田ペーストの除去の必要性を判定する判定手段を備えたスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記版離れ手段が、前記マスクの裏面に当接した前記基板を下降させて前記マスクと前記基板を版離れさせ、
前記測定手段が、前記マスクの裏面に当接した前記基板が下降を開始する前の前記マスクの高さと基板が下降中の前記マスクの高さの差からマスクの撓み量を測定する請求項1に記載のスクリーン印刷装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2008−265219(P2008−265219A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−113716(P2007−113716)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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