説明

スズめっき

【課題】基体上のスズ及びスズ合金の高速電気スズめっきに有用な、析出用電解質組成物を提供する。
【解決手段】基体上のスズ及びスズ合金の析出用電解質組成物が、スズハライド、硫酸スズ等から選択される1以上のスズ化合物、アルカリスルホン酸、硫酸等から選択される1以上の酸性電解質及び、カルボキシメチル化ポリアチレンイミン等から選択される1以上のカルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物を含む電解質組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に基体上に金属をめっきする分野に関する。特に本発明は、電解質組成物及びスズ及びスズ合金を析出させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スズ、鉛又はそれらの合金用の電気めっき用浴は、長年、電気めっき装置に使用されてきた。高速電気めっき装置及び方法は業界でよく知られており、一般に、一端からめっきされる工作物を電気めっきセルに向かわせ、工作物を電気めっきセル内に進入させ、その後他方の端において退出させることからなる。電気めっき溶液は、電気めっき溶液は除去され又は電気めっきセルから貯水槽にあふれ、溶液は貯水槽から電気めっきセルにポンプで戻し、激しい撹拌と溶液の循環を起こさせる。これらの電気めっきせるの多くの変形が存在するが、一般的な特徴は、記載される通りである。
【0003】
電気めっき浴がこの種の装置又は加工において改良された操作を有すべきである多くの望ましい特徴が存在する。溶液は、必要とされる高速において所望の析出物を電気めっきできなければならない。溶液は、特殊な用途のハンダ付け適性及び還流要件に合致するスズを析出させなければならない。溶液は安定であるべきであり、溶液内の添加剤は強酸並びに空気の導入による暴露に耐えなけければならず、それらは高速めっき機内の激しい溶液の運動の結果として起きるものである。溶液は、120℃から130°F(約48°から55℃)のような高められた温度でさえ、明澄性及び濁りの無さを維持しなければならない。付随する高電流密度のため、高められた温度でこれらの溶液を操作することはしばしば有益である。使用される添加剤はそのような昇温下で溶液を濁らせないものでなければならない。
【0004】
斯かる高速めっき方法においての激しい溶液運動及び空気との溶液混合のために、電気めっき法にとって有害な泡を発生する傾向が強い。極限条件下で、この泡は貯水槽に増加し結果として床へのオーバーフローを伴い、それにより廃液流に大量の溶液を喪失する。泡は、また、撹拌を発生させるのに使用されているポンプの稼動を妨害することができる。陽極及び陰極間のアーク放電が、また、泡の存在により生ずる場合がある。従って、電気めっき溶液に使用される添加剤は、めっき装置において泡を発生してはいけない。
【0005】
多くの電解質が、スズ、鉛及びスズ/鉛合金をめっきするために提案された。例えば、米国特許第5,174,887号(フェーデルマン等)は、少なくとも一つのヒドロキシ基及び20以下の炭素原子を有する有機化合物の酸化アルキレン縮合生成物を界面活性剤として有するスズの高速めっき法を開示する。有機化合物には、1及び7の間の炭素原子を有する脂肪族炭化水素、非置換芳香族化合物又はアルキル部分に6以下の炭素原子を有するアルキル化芳香族化合物が含まれる。
【0006】
使用の過程において、高速スズめっき線路は、新しい金属コイルが金属片の端に溶接されるときなどには、速度が落ちてもよい。斯かる速度が落ちる期間の過程では、金属基体が電気めっき浴を通過する速度は遅くなる。理論的には、一貫したスズ又はスズ合金析出厚さ、即ちコーティング重量を維持するためには、めっき浴はより低電流密度で流れなければならない。しかしながら、上記したものを含む現行のスズ及びスズ合金は高速電気めっき浴は、斯かる速度落下期間を許容する十分に広範囲な電流密度範囲に対しスズ又はスズ合金の一貫した外観を提供するのに不適である。
【0007】
低電流密度においては、慣用の光沢スズ電気めっき浴は、しばしば特にニッケル又はニッケル合金基体上に曇りのあるスズ析出物を提供する。多くの慣用のスズ電気めっき浴は、また、斯かる浴が部分浸漬用途に使用されるとき空気‐浴界面において幅のある、暗色又は黒色の線を提供する。斯かる線は、望ましくない。
【0008】
ある種のポリアルキレンイミンは、亜鉛電気めっき浴における使用が知られている。例えば、ドイツ特許出願DE3121016号に開示がある。斯かるポリアルキレンイミンはカルバモイル及び/又はチオカルバモイル基で置換され得る。ポリアルキレンイミンの使用は、スズ又はスズ合金めっき浴での使用については開示されていない。
【0009】
米国特許第5,282,954号(オパスカ)は、スズ電気めっき浴に使用のためのアルコキシル化ジアミン界面活性剤を開示する。カルボキシアルキル化ポリアルキレンイミンはこの特許では開示されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,174,887号明細書
【特許文献2】ドイツ特許出願DE3121016号明細書
【特許文献3】米国特許第5,282,954号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
幅広い電流密度範囲において均一な外観を維持しながら、特に高速めっき系における使用のために、幅広い電流密度範囲に対しスズ又はスズ合金を析出させるめっき浴を求める継続した必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに、スズ又はスズ合金は本発明の電解質組成物を使用して幅広い電流密度に対し均一に析出され得ることが見出された。更に驚くべきことに、本発明の電解質組成物は全電流密度に対し均一な析出外観を提供しながら、低金属濃度を有する高電流密度においてスズ又は金属合金をめっきすることが見出された。
【0013】
一態様において、本発明は1以上のスズ化合物、1以上の酸性電解質及び1以上のカルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物を含む基体上のスズ又はスズ合金を析出させるための電解質組成物を提供する。
【0014】
他の態様において、本発明は基体を上記の電解質組成物と接触させ、電解質組成物に十分な電流密度を適用してスズ又はスズ合金を基体上に析出させる工程を含む基体上にスズ又はスズ合金を析出させる方法を提供する。
【0015】
更に他の態様において、本発明は上記した方法に従いその上にスズ又はスズ合金を析出させた基体を提供する。
【0016】
更なる態様において、本発明は、スズ‐銅合金を基体上に析出するための、1以上のスズ化合物、1以上の銅化合物、1以上の酸性電解質及び1以上のカルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物を含む電解質組成物を提供する。
【0017】
いっそう更なる態様において、本発明は、a)電気めっきセルを含む高速電気めっき装置;セル付近のオーバーフロー貯水槽;貯水槽から電気めっきセルに溶液を戻す手段;セルの一端における入口点からセルの第二点における出口へめっきされる基体を向かわせる手段を利用して;b)1以上のスズ化合物、1以上の酸性電解質及び1以上のカルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物を含む基本溶液を含む電解質を導入して;及びc)基体がセル内の電気めっき溶液を通過するとき高速電気めっき用に十分な電流密度及び十分な温度においてスズ又はスズ合金で連続的に基体を電気めっきする工程を含むスズ又はスズ合金の高速電気めっき法を提供する。
【0018】
いまだ更なる態様において、本発明は、上記したように基体上に減少したウィスカー化を有するスズ合金を析出させる方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を通して使用されるように、明らかに特段の断りの無い限り、次の略語は下記の意味を有する:℃=摂氏度;°F=華氏度;g=グラム;L=リットル;mL=ミリリットル;μm=ミクロン=ミクロンメートル;wt%=重量パーセント;cm=センチメートル;ca.=約及びASD=平方デシメートル当たりのアンペア。用語「析出」及び「めっき」は、本発明を通して互換的に使用される。「ハライド」は、フッ化物、塩化物、臭化物及びヨウ化物を意味する。「アルキル」は、線状、分岐及び環状アルキルを意味する。断りの無い限り、全てのパーセンテージは重量である。全ての数的範囲は両端の数字を含み、斯かる数的範囲が総計で100%になることが明らかな場合を除き、如何なる順序でも組み合わせ可能である。
【0020】
本発明の電解質組成物は、1以上のスズ化合物、1以上の酸性電解質及び1以上のカルボキシルアルキル化ポリアルキレンイミン化合物を含む。電解質組成物は、更に1以上の合金成分及び任意にめっきの効率及び/又は品質を向上させるための1以上の添加剤を任意に含むことができる。
【0021】
本発明に有用な1以上のスズ化合物は、溶液溶解性のスズ化合物である。好適なスズ化合物としては、スズハライド、硫酸スズ;メタンスルホン酸スズ、エタンスルホン酸スズ及びプロパンスルホン酸スズのようなアルカンスルホン酸スズ;フェニルスルホン酸スズ及びトルエンスルホン酸スズのようなアリールスルホン酸スズ;及びアルカノールスルホン酸スズ等のようなスズ塩が挙げられるが、これらに限定されない。スズハライドが使用されるとき、ハライドは塩化物であることが好ましい。スズ化合物は、硫酸スズ、塩化スズ、アルカンスルホン酸スズ又はアリールスルホン酸スズであることが好ましく、更に好ましくは硫酸スズ又はメタンスルホン酸スズである。好適なアルカンスルホン酸スズには、メタンスルホン酸スズ、エタンスルホン酸スズ及びプロパンスルホン酸スズが含まれる。好適なアリールスルホン酸スズには、フェニルスルホン酸スズ及びトルエンスルホン酸スズが含まれる。本発明に有用なスズ化合物は、一般に多岐に亘る源から商業的に入手可能であり、更なる精製無しに使用され得る。代替的に、本発明に有用なスズ化合物は、文献で知られた方法で調製され得る。
【0022】
本発明の電解質組成物に有用なスズ化合物の量は、典型的には5から100g/L及び好ましくは10から70g/Lの範囲のスズ含量を提供する量である。本発明の組成物が低速めっき法に使用されるとき、電解質組成物におけるスズ存在量は、典型的には5から60g/L及び好ましくは10から20g/Lの範囲である。本発明の組成物が高速めっき法に使用されるとき、電解質組成物におけるスズ存在量は、典型的には20から100g/L及び好ましくは40から70g/Lの範囲である。本発明の組成物が鋼の高速スズめっき法に使用されるとき、電解質組成物におけるスズ存在量は、典型的には5から50g/L及び好ましくは10から30g/Lの範囲である。スズの総量が5から100g/Lの範囲であることを条件として、スズ化合物の混合物が、また、本発明に有利に使用され得る。
【0023】
溶液に可溶性であり、電解質組成物に特に悪影響を与えない如何なる酸性電解質も、本発明において有利に使用され得る。好適な酸性電解質には、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸及びプロパンスルホン酸のようなアルカンスルホン酸、フェニルスルホン酸又はトルエンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、硫酸、スルファミン酸、塩酸、臭化水素酸及びフルオロホウ酸が含まれるが、これらに限定されない。酸性電解質の混合物が特に有用であり、アルカンスルホン酸及び硫酸の混合物等があげられるが、これらに限定されない。従って、1以上の酸性電解質は本発明において有利に使用され得る。本発明に有用な酸性電解質は、一般に商業的に入手可能であり、更なる精製無しに使用され得る。代替的に、酸性電解質は、文献において知られた方法で調製され得る。
【0024】
典型的に、酸性電解質の量は、10から400g/L及び好ましくは100から200g/Lの範囲である。本発明の組成物が鋼の高速スズめっきに使用されるとき、酸性電解質は典型的には20から80g/L及び好ましくは30から60g/Lの範囲の量で存在する。スズ化合物がハライドであるとき、酸性電解質は相当する酸であることが好ましい。例えば、塩化物が本発明に使用されるとき、酸性電解質は塩酸である。
【0025】
本スズ電解質組成物は、また、1以上のカルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物を含有する。カルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物は、1以上のカルボキシアルキル置換基を含有するポリアルキレンイミン化合物を意味する。多岐に亘るカルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物が、本発明の使用に好適であり、それらにはカルボキシアルキル化ポリエチレンイミン、カルボキシアルキル化ポリプロピレンイミン及びカルボキシアルキル化ポリブチレンイミンが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、カルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物は、カルボキシメチル化ポリエチレンイミンである。典型的には、カルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物は500ダルトンより大きいか又はそれに等しい、好ましくは1000ダルトンより大きいか又はそれに等しい及び更に好ましくは2500ダルトンより大きいか又はそれに等しい分子量を有する。特に好適なカルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物は、1000から200,000ダルトン及びより好ましくは10,000から150,000ダルトンの分子量を有する。典型的には、斯かるカルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物は、10%以上のカルボキシアルキル化、好ましくは20%以上のカルボキシアルキル化、より好ましくは30%以上のカルボキシアルキル化及びいっそうより好ましくは50%以上のカルボキシアルキル化を有する。特に有用なカルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物は、75%以上のカルボキシアルキル化を有する。斯かるカルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物は、BASF社、ドイツ国、ルドイッヒシャフェンからトリロン(TRILON)の商品名で一般に商業的に入手可能である。
【0026】
代替の態様においては、本発明のカルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物は、更にエチレンオキシド、プロンピレンオキシド又は双方との反応等によりアルコキシル化されても良い。好適なアルコキシル化カルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物は、20モルまでのエチレンオキシド(「EO」)、20モルまでのプロピレンオキシド(「PO」)、又は40モルまでのEO及びPOの混合物を含有するものである。斯かる化合物の例としては、以下のもののいずれかと反応したカルボキシル化ポリアルキレンイミン化合物が挙げられるが、これらに限定されない:5モルのEO;8モルのEO;10モルのEO;12モルのEO;3モルのPO;5モルのPO;8モルのPO;10モルのPO;3モルのEOと5モルのPO;8モルのEOと5モルのPO;15モルのEOと8モルのPO;15モルのEOと12モルのPO;及び10モルのEOと10モルのPO等。
【0027】
スズ電解質組成物は、更に1以上の酸化アルキレン化合物を含む。本発明に有用な1以上の酸化アルキレン化合物は良好なハンダ濡れ性、満足なグレインの微細化を伴う良好な艶消し又は光沢仕上げを有する析出物を生じる任意のものであり、酸性電気めっき浴、高速電気めっきにおいて安定であり、実質的に低発泡性であり且つ約110°F(約43°から44℃)より上の浴の曇り点を提供する。酸化アルキレン化合物は、電気めっきプロセス過程で浴に泡を与えないことが好ましい。好適な酸化アルキレン化合物には、エチレンオキシド/プロピレンオキシド(「EO/PO」)共重合体、少なくとも一つのヒドロキシ基及び20以下の炭素原子を有する有機化合物との酸化アルキレン縮合生成物、オキシプロピレンをポリオキシエチレングリコール等に添加することにより調製される化合物が含まれるが、これらに限定されない。典型的には、約500から10,000ダルトン及び好ましくは約1000から約5000ダルトンの範囲の平均分子量を有する。酸化アルキレン化合物は、EO/PO共重合体であることが好ましい。典型的には、1以上の酸化アルキレン化合物は、0.1から15g/L及び好ましくは0.5から10g/Lの量で本発明の電解質組成物に存在する。
【0028】
好適な、少なくとも一つのヒドロキシ基及び20以下の炭素原子を有する有機化合物の酸化アルキレン縮合生成物には、1から7の炭素原子の脂肪族炭化水素、その製造法及びこれらの化合物の使用を教示する範囲の参照としてここに挿入されている米国特許第5,174,887号に開示されたような、非置換芳香族化合物又はアルキル部分に約6以下の炭素原子を有するアルキル化芳香族化合物が含まれる。脂肪族アルコールは、置換又は非置換であっても良い。好適な芳香族化合物は、二つまでの芳香族環を有するものである。芳香族アルコールは、典型的にはエチレンオキシドとの誘導体化の前に20までの炭素原子を有する。斯かる脂肪族又は芳香族アルコールは、更に硫酸エステル基又はスルホン酸エステル基等で置換されても良い。斯かる適当な酸化アルキレン基には次のものが含まれるが、これらに限定されない:12モルのEOを有するエチルオキシル化ポリスチレン化フェノール、5モルのEOを有するエチルオキシル化ブタノール、16モルのEOを有するエチルオキシル化ブタノール、8モルのEOを有するエチルオキシル化ブタノール、12モルのEOを有するエチルオキシル化オクタノール、13モルのEOを有するエチルオキシル化β‐ナフトール、10モルのEOを有するエチルオキシル化ビスフェノールA、30モルのEOを有するエチルオキシル化硫酸化ビスフェノールA及び8モルのEOを有するエチルオキシル化ビスフェノールA。
【0029】
追加的に、本組成物は1以上のポリアルキレングリコールを含むことができる。好適なポリアルキレングリコールは、電解質組成物と相溶性であり、良好なハンダ濡れ性、満足なグレインの微細化を伴う良好な艶消し又は光沢仕上げを有する析出物を生じさせるものであり、酸性電気めっき浴、高速電気めっきにおいて安定であり、実質的に低発泡性であり且つ約110°F(約43°から44℃)より上の浴の曇り点を提供する。酸化アルキレン化合物は、電気めっきプロセス過程で浴に泡を与えないことが好ましい。好適なポリアルキレングリコールには、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールが含まれ、好ましくはポリエチレングリコールであるが、これらに限定されない。斯かるポリアルキレングリコールは、一般に多様な源から商業的に入手可能であり、更なる精製無しに使用され得る。
【0030】
典型的には、本発明に有用なポリアルキレングリコールは、約200から100,000ダルトン及び好ましくは約900から約20,000ダルトンの範囲の平均分子量を有する。斯かるポリアルキレングリコールは、約0.1から約15g/L、好ましくは約0.25から約10g/L及びより好ましくは約0.5から約8g/Lの量で本発明の電解質組成物に存在する。
【0031】
1以上の他の金属化合物が本発明の電解質組成物と組み合され得ることは、当業者により認識されるであろう。斯かる他の金属化合物は、スズ合金のめっき用に必要である。好適な他の合金用金属には、鉛、ニッケル、銅、ビスマス、亜鉛、銀及びインジウム等が含まれるが、これらに限定されない。銅は、特に適当である。斯かる本発明に有用な他の金属化合物は、可溶性形態での電解質組成物に金属を提供する任意のものである。従って、他の金属化合物としては、金属ハライド等の塩;金属硫酸塩;金属メタンスルホン酸塩等の金属アルカンスルホン酸塩;金属フェニルスルホン酸塩及び金属トルエンスルホン酸塩のような金属アリールスルホン酸塩;及び金属アルカノールスルホン酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
電解質組成物に存在する他の金属化合物及び斯かる他の金属化合物量の選択は、析出されるスズ合金に依存し、当業者にとっては公知である。例えば、銅が存在するとき、銅は0.01から10g/L銅及び好ましくは0.02から5g/Lの量であることが好ましい。本発明の組成物が、非高速めっき法に使用されるとき、電解質組成物中に存在する銅の量は、典型的には0.01から5g/L、好ましくは0.02から2g/Lの範囲である。斯かる組成物が、高速めっき法に使用されるとき、電解質組成物中に存在する銅の量は、典型的には0.5から10g/L、好ましくは0.5から5g/L範囲である。銅化合物の混合物は、有益に本発明に使用され得る。
【0033】
従って、本発明は、また、1以上のスズ化合物、1以上の銅化合物、1以上の酸性電解質及び1以上のカルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物を含む、基体上にスズ‐銅合金を析出させる電解質組成物を提供する。
【0034】
還元剤、ヒドロキシ芳香族化合物等のグレインリファイナー及び他の湿潤剤、光沢剤及びカルボン酸等の電流密度範囲を広げる化合物等の1以上の他の添加剤が、本発明の電解質組成物と配合され得ることが当業者により認識されるであろう。添加剤の混合物も、また、本発明に使用され得る。
【0035】
還元剤が、スズを可溶性、二価の状態に維持するのを助力するために本発明の電解質組成物に添加され得る。好適な還元剤には、ヒドロキノン及びレゾルシノール及びカテコール等のヒドロキシル化芳香族化合物が含まれるが、これらに限定されない。斯かる還元剤は、その製造法及び斯かる化合物の使用を教示する範囲の参照としてここに挿入される米国特許第4,871,429号に開示されている。斯かる還元剤の量は、当業者に公知であるが、典型的には0.1g/Lから約5g/Lの範囲においてである。
【0036】
光沢析出物が、本発明の電解質組成物に光沢剤を加えることにより得ることが出来る。斯かる光沢剤は、当業者により公知である。好適な光沢剤には、クロロベンズアルデヒド、ベンザルアセトンのような芳香族アルデヒドの誘導体及びアセトアルデヒド又はグルタルアルデヒドのような脂肪族アルデヒドが含まれるが、これらに限定されない。斯かる光沢剤は、典型的には析出物の外観及び反射力を改善するために本発明の組成物に添加される。典型的には、光沢剤は、0.5から3g/L及び好ましくは1から2g/Lの量において使用される。
【0037】
カルボキシ芳香族化合物又は他の湿潤剤が、更なるグレインの微細化を提供するため、本発明の電解質組成物に添加され得ることは当業者により認識されるであろう。斯かるカルボキシ芳香族化合物はグレインリファイナーとして機能し、更に析出物外観を改善し、電流密度範囲を改善するために本発明の電解質組成物に添加され得る。ピコリン酸、ニコチン酸及びイソニコチン酸等の多岐に亘る斯かるカルボキシ芳香族化合物が、当業者に知られている。好適な他の湿潤剤には、次のものが含まれるが、これらに限定されない:ハンツマンコーポレーションから入手できるジェファーミンT‐403の商品名で販売されるポリエトキシル化アミンのようなアルコキシレート、トライトンRW、又はトライトンQS‐15の商品名で販売されるもの等のアルキル硫酸エトキシレート及び、ゼラチン又はゼラチン誘導体。本発明に有用な斯かるグレインリファイナーの量は当業者にとって有用であり、典型的には0.01から20g/L、好ましくは0.5から8g/L及びより好ましくは1から5g/Lの範囲である。
【0038】
もし必要なら、本発明の電解質組成物に添加される任意の添加剤は、望まれる析出物の結果及び種類に依存する。望まれる完成された析出物を獲得するにはどんな添加剤が又どんな量が必要とされるかは、当業者にとっては明らかであろう。
【0039】
本発明の電解質組成物を含有する電気めっき浴は、典型的には、1以上の酸性電解質を容器に加え、引き続き1以上のスズ化合物、1以上のカルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物、及び1以上の酸化アルキレン化合物及び/又は1以上のポリアルキレングリコール等の任意の添加剤を添加することにより調製される。水も、また典型的に添加される。本発明の組成物成分にその他の添加物が使用されても良い。一旦、浴が調製されれば、望ましくない物質は、ろ過等により除去され、それから水が浴の最終容量を調整するため添加される。浴は、めっき速度を増加させるために溶液を撹拌、ポンプ、スパージング又は噴射等の公知の手段で撹拌され得る。
【0040】
本発明の電解質組成物及びそれから調製されためっき浴は、典型的には酸性である、即ち、7未満のpH、典型的には1未満のpHを有する。本発明の電解質組成物の利点は、電気めっき浴のpH調整が不必要なことである。
【0041】
本発明の電解質組成物は、スズ又はスズ合金析出物が望まれる場合は如何なるめっき法でも有用である。好適なめっき法には、バレルめっき、ラックめっき及び高速めっきが含まれるが、これらに限定されない。スズ又はスズ合金析出物が、基体を上記した電解質組成物と接触させて、電流を電解質に通過させてスズ又はスズ合金を基体上に析出させる工程により基体上にめっきされ得る。金属で電解めっきされ得る如何なる基体も、本発明に記載のめっきに好適である。好適な基体には、鋼、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、ニッケル‐鉄含有物質、電子部品及びプラスチック等が含まれるが、これらに限定されない。好適なプラスチックにはプリント配線板、特に銅張りプリント配線板等のプラスチック積層体が含まれる。本電解質組成物でめっきされ得る好適な電子部品には、コネクター、リードフレーム、パッケージング及び光電子部品等が含まれる。本組成物は、また、半導体ウェーハ上のソルダバンプのようなスズ又はスズ合金ハンダ可能な成分を析出するのに使用され得る。
【0042】
本発明の電解質組成物は、特に鋼の電気めっき、特に高速電気めっき法において、より特定的にはニッケル及びニッケル合金のスズ及び/又はスズ合金めっきに対して好適である。一態様においては、ニッケル又はニッケル合金の層は、基体上に析出され、その後、スズ又はスズ合金の層がニッケル又はニッケル合金層上に析出される。このようにして、ニッケル又はニッケル合金は、スズ又はスズ合金析出のアンダーコートとして機能する。
【0043】
めっきされる基体は、当分野で公知の如何なる方法においても電解組成物と接触させられ得る。典型的には、基体は本発明の電解質組成物を含む浴に置かれる。代替の態様においては、本発明の浴は、めっきされる基体に噴霧又はフラッド被覆され得る。
【0044】
典型的には、本発明のスズ又はスズ合金をめっきするのに使用される電流密度は、0.1から200ASDの範囲であるが、これらに限定されない。低速電気めっき法が使用されるとき、電流密度は、典型的には0.1から4ASD及び好ましくは0.1から3ASDの範囲である。高速電気めっき法が使用されるとき、電流密度は、典型的には5から200ASD及び好ましくは10から150ASDの範囲である。例えば、本発明の電解質組成物が高速めっき法においてコネクターストリップにスズを析出するのに使用されるとき、好適な電流密度は10から60ASDであり、結果的として典型的に1から15ミクロンの厚さを有するスズ析出物を生じる。
【0045】
典型的には、本発明のスズ又はスズ合金は60°から150°F(約15°から66℃)以上及び好ましくは60°から125°F(約15°から55℃)、及び更に好ましくは75°から120°F(約15°から30℃)の範囲の温度で析出され得るが、これらに限定はされない。ある種の光沢析出物めっき浴については、浴温度は30℃を超えないのが好ましい。
【0046】
一般に、基体が本発明の電解質組成物を含有するめっき浴に留まる時間の長さは、重要ではない。与えられた温度及び電流密度について、典型的には時間が短いほど結果として薄い析出物が生じる一方で、典型的には時間が長いほど厚い析出物を生じる。従って、基体がめっき浴に留まる時間の長さは、生じる析出物の厚さを調節するのに使用され得る。
【0047】
本発明の電解質組成物はスズを析出するのに特に有用であるが、また、原子吸光分光分析(「AAS」)又は誘導結合プラズマ(「ICP」)のいずれかにより測定され、合金の重量を基準にして60から99.5重量%スズ及び0.5から40重量%の他の金属を含有するスズ合金を析出するのに使用され得る。本組成物は、特に97から99重量%スズ及び1から3重量%銅を含有するスズ‐銅合金を析出するのに特に好適である。
【0048】
本発明の電解質組成物の更なる利点は、それらは高速電気めっき法においてスズ又はスズ合金を析出するのに成功裏に使用され得ることである。用語「高速電気めっき」は上記した機器を使用して約5ASD又はそれより大の電流密度で操作するこれらのプロセスを意味する。典型的な電流密度は5から200ASD以上、好ましくは10から150ASD及びより好ましくは20から50ASDの範囲である。典型的には、斯かるプロセスは、また、約70°F(約21℃)の温度より上で操業する。好適な温度は、70°から140°F(約21°から60℃)以上、好ましくは85°F(約29℃)より大及び、より好ましくは95°F(約35℃)より大の範囲であるが、これらに限定されない。
【0049】
本発明の電解質組成物は、特に高速電気めっき法において、鋼、銅金属、真鍮及びニッケルめっき真鍮のスズ電気めっきに特に好適である。本発明の組成物が、ニッケルめっき真鍮の高速スズめっきに使用されるとき、スズの量は、典型的には5から100g/Lの範囲である。酸性電解質は、典型的には50から250g/L及び好ましくは100から200g/Lの範囲の量で斯かる組成物に存在する。10から60ASDの電流密度が、本発明に従うニッケルめっき真鍮の高速スズめっきに好適である。好適な温度は、70°から140°F(約21°から60℃)以上、好ましくは85°F(約29℃)より大きく及び、より好ましくは95°Fより大であるが、これらに限定されない。
【0050】
そのような鋼等の上へのスズ又はスズ合金の高速電気めっき法は、a)電気めっきセルを含む高速電気めっき装置;セル付近のオーバーフロー貯水槽;貯水槽から電気めっきセルに溶液を戻す手段;セルの一端における入口点からセルの第二点における出口へめっきされる基体を向かわせる手段を利用して;b)1以上のスズ化合物、1以上の酸性電解質及び1以上のカルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物の基本溶液を含む電解質を導入して;及びc)基体がセル内の電気めっき溶液を通過するとき高速電気めっき用に十分な電流密度及び十分な温度においてスズ又はスズ合金で連続的に基体を電気めっきする工程を含む。
【0051】
回帰手段は、チューブ、ホース、導管、ポンプ及び排水管等の如何なる公知手段でよい。方向付け手段は、コンベヤー、ベルト、ローラー及びロボットアーム等のいずれかの手段でよい。
【0052】
本発明の高速電気めっき法は、如何なる多様な高速電気めっき機器を使用しても遂行され得る。斯かる高速電気めっき機器は当業者にとって公知であり、例えば、斯かる機器を教示する範囲の参照としてここに挿入される米国特許第3,819,502号に開示されたもの等である。
【0053】
本スズ及びスズ合金電気めっきは、非常に広範囲の電流密度にわたり向上した光沢度を有する光沢高速スズ析出物を提供する。斯かる浴は、また、低電流密度が使用されるとき、特にニッケル又はニッケル合金上に析出されるとき、曇ったスズ又はスズ合金、特にスズ銅合金の析出物を減少させ又は除去する。
【0054】
大きなグレイン構造を有する艶消しスズ析出物が、微細なグレイン構造を有する光沢析出物よりウィスカー化抵抗性であることは当分野では受け入れられている。驚くべきことに、スズ及びスズ合金、特に本発明に従い析出する光沢性スズ及びスズ合金は、従来のめっき浴を使用して析出するスズ又は無鉛スズ合金と比較して低い又は減少したウィスカー化を示す。用語「ウィスカー化」は、スズウィスカーの形成を意味する。本発明のスズ及びスズ合金は、走査電子顕微鏡で測定されるように、52℃及び98%相対湿度における貯蔵の後でウィスカー化を示さないか又は非常に減少したウィスカー化を示す。好ましくは、本スズ及びスズ合金析出物は、そのような条件下で貯蔵されたとき4ヶ月後にウィスカー化を示さず、好ましくは5ヶ月後にウィスカー化を示さず、及びより好ましくは6ヶ月の貯蔵後にウィスカー化を示さない。従って、本発明は、52℃及び98%相対湿度における4ヶ月貯蔵後にウィスカーの無い光沢性スズ又は光沢性無鉛スズ合金を提供する。
【実施例】
【0055】
下記の実施例は、更なる種々の本発明の態様を例示することを意図しており、如何なる態様においても本発明の範囲を限定するものではない。
【0056】
実施例1
スズ‐銅合金めっき浴は、メタンスルホン酸スズ(II)としての50g/Lスズ;メタンスルホン酸銅(II)としての1g/L銅;160g/Lの遊離のメタンスルホン酸、27.4g/Lのエトキシル化ベータナフトール;7.4g/Lのエトキシル化ビスフェノールA、0.2g/Lの第一の光沢剤;0.7g/Lの第二の光沢剤、3.0g/Lのメタクリル酸;0.76g/Lのグレインリファイナー及び50,000ダルトンの分子量及び80%カルボキシメチル化度を有する、トリロンES93000の商品名で販売されるカルボキシメチル化ポリエチレンイミン5.0g/Lを配合することにより調製された。
【0057】
実施例2
純スズめっき浴は、メタンスルホン酸スズ(II)としての50g/Lスズ;160g/Lの遊離のメタンスルホン酸、27.4g/Lのエトキシル化ベータナフトール;7.4g/Lのエトキシル化ビスフェノールA、0.2g/Lの第一光沢剤;0.7g/Lの第二光沢剤、3.0g/Lのメタクリル酸;0.76g/Lのグレインリファイナー及び50,000ダルトンの分子量及び80%カルボキシメチル化度を有する、トリロンES93000の商品名で販売されるカルボキシメチル化ポリエチレンイミン5.0g/Lを配合することにより調製された。
【0058】
実施例3(比較実施例)
カルボキシアルキル化ポリアルキレンイミンを使用せず、エトキシル化ベータナフトール及びエトキシル化ビスフェノールAの量をそれぞれ15.6g/L及び16.8g/Lに変更した点を除き、実施例1のめっき浴が調製された。
【0059】
実施例4(比較実施例)
カルボキシルアルキル化ポリアルキレンイミンを使用しなかった点を除き、実施例2のめっき浴が調製された。
【0060】
実施例5
ニッケルめっきされた真鍮のHull Cellパネルは、5アンペアのセル電流で実施例1〜3の浴中でめっきされた。パネルを横切る有効電流密度は、徐々に0.3未満から25ASDより大にまで変化するようにした。
【0061】
実施例3のめっき浴(比較実施例)は、約0.3ASDから約5ASDにおいて非常に曇ったスズ‐銅析出物を与えたが、それ以外のパネル部分は光沢性で、曇りがなかった。
【0062】
対照的に、実施例1のめっき浴は、実施例3で得られたものと比較して全電流密度範囲に亘り大きな光沢度を有するスズ‐銅析出物を提供した。このスズ‐銅析出物は、また、完全に曇りがなかった。したがって、カルボキシアルキル化ポリアルキレンイミンの使用は、スズ‐銅析出物の光沢度を大きくし、低電流密度で析出物の曇りをなくした。
【0063】
実施例2のめっき浴は純粋なスズ析出物を提供し、0.5ASDから25ASDより十分上の領域でパネルに曇りがなく、完全に光沢を有していた。純粋スズめっきパネル全体の光沢及び光沢度は、実施例4の浴を使用して得られた斯かるスズ析出物と比較して改善されていた。実施例2の浴におけるカルボキシアルキル化ポリアルキレンイミンは、また、実施例4の浴を使用して得られたものと比較して、完全に光沢のあるスズ析出物が得られる電流密度の範囲を拡大した。
【0064】
実施例6
銅主体の合金(オーリン194)から製造されたエッチングされたリードフレームの試料が、スズ又はスズ合金で電気めっきされた。スズ又はスズ合金析出物は3又は10μmいずれかの厚さであった。バリヤー層又はアンダーコートは使用されなかった。比較試料の3つの組は、エッチングされたリードフレーム上に艶消しスズ(比較例1)、96%スズ及び4%銅を有する艶消しスズ‐銅合金(比較例2)又は光沢スズ(比較例3)を析出させることにより調製された。比較試料を調製するために使用される電気めっき浴は、従来の酸性スズ又はスズ‐銅電気めっき浴であり、従来のめっき条件で行われた。一組の対照試料は、従来の酸性スズ‐鉛めっき浴を使用し、標準めっき条件を使用してエッチングされたリードフレーム上に90%スズ及び10%銅を有する艶消しスズ‐鉛合金層を析出させることにより調製された。一組の試料(試料1)は実施例1のめっき浴を使用して98%スズ及び2%銅を有する光沢スズ‐銅合金を析出させることにより調製され、一組の試料(試料2)は実施例2のめっき浴を使用して光沢スズ層を析出させることにより調製された。
【0065】
それぞれの試料の組からのめっきされた一つのリードフレームは、めっき後走査電子顕微鏡(SEM)によりウィスカーの存在が分析された。それぞれの組の試料からの残りのめっきリードフレームは52℃及び98%相対湿度における試験チャンバーにおいて管理された条件下で貯蔵された。各組からの一試料は1ヶ月間隔で試験チャンバーから除去され、ウィスカーの存在についてSEMにより分析された。ウィスカー形成が0から4の段階で評点され、0は無ウィスカー及び4は深刻なウィスカー化を表す下記の表で報告される。
【0066】
【表1】

【0067】
上記データから本発明の光沢性スズ及びスズ合金浴は、従来の光沢性スズ及びスズ合金浴と比較して減少したウィスカー形成性を有する析出物を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スズ又はスズ合金を基体に析出するための、1以上のスズ化合物、1以上の酸性電解質及び1以上のカルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物を含む電解質組成物。
【請求項2】
該スズ化合物がスズハライド、硫酸スズ、アルカンスルホン酸スズ、アリールスルホン酸スズ又はアルカノールスルホン酸スズから選択される請求項1に記載の電解質組成物。
【請求項3】
該酸性電解質がアルカンスルホン酸、アリールスルホン酸、硫酸、スルファミン酸、塩化水素酸,臭化水素酸及びフルオロホウ酸から選択される請求項1から2のいずれか一つに記載の電解質組成物。
【請求項4】
該カルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物がカルボキシメチル化ポリエチレンイミンである請求項1から3のいずれか一つに記載の電解質組成物。
【請求項5】
更に1以上の合金性金属を含む請求項1から4のいずれか一つに記載の電解質組成物。
【請求項6】
基体を請求項1から5のいずれか一つに記載の電解質組成物と接触させ、電解質組成物に十分な電流密度を適用させて基体にスズ又はスズ合金を析出させる工程を含む基体にスズ又はスズ合金を析出させる方法。
【請求項7】
請求項6の方法に従いその上にスズ又はスズ合金を析出させた基体。
【請求項8】
スズ又はスズ合金を析出させる前に、ニッケル又はニッケル合金の層を基体上に析出させる請求項6に記載の方法。
【請求項9】
請求項6記載の方法により基体上に析出させたスズ又はスズ合金であって、52℃及び98%の相対湿度において4ヶ月の貯蔵の後、ウィスカーの無い光沢スズ又は光沢無鉛スズ合金。
【請求項10】
a)電気めっきセルを含む高速電気めっき装置;セルに近接するオーバーフロー貯水槽;貯水槽から電気めっきセルに溶液を戻す手段;セルの一端における入口点からセルの第二端における出口へめっきされる基体を向かわせる手段を利用して;b)1以上のスズ化合物、1以上の酸性電解質及び1以上のカルボキシアルキル化ポリアルキレンイミン化合物の基本溶液を含む電解質を導入して;及びc)基体がセル内の電気めっき溶液を通過するとき、高速電気めっき用に十分な電流密度及び十分な温度においてスズ又はスズ合金で連続的に基体を電気めっきする工程を含むスズ又はスズ合金の高速電気めっき用の方法。

【公開番号】特開2009−114548(P2009−114548A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−39323(P2009−39323)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【分割の表示】特願2002−147865(P2002−147865)の分割
【原出願日】平成14年5月22日(2002.5.22)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】