説明

スタビライザ制御装置

【課題】 アクチュエータを制御してスタビライザのねじり力を制御するスタビライザ制御装置において、迅速且つ適切に車体ロール運動を抑制する
【解決手段】 車両状態検出手段の検出結果(横加速度Gy、ヨーレイトγ、車速Vs及び操舵角δ)に基づき電気モータMRに対する目標トルクrを演算する。そして、一対のスタビライザバーの車両への取付端部に発生するねじりトルク(実トルクy)を、目標トルクrに追従させるように、コントローラFC(特に、2自由度制御系の定数スケーリング付きH∞制御コントローラ)によりフィードバック制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のスタビライザ制御装置に関し、特に、左右車輪間に配設するスタビライザのねじり力を電気駆動のアクチュエータによって可変制御するスタビライザ制御装置に係る。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両のスタビライザ制御装置は、車両の旋回走行中にスタビライザの作用により適切なロールモーメントを外部から付与し、車体のロール運動を低減または抑制するように構成されている。この機能を実現するため、例えば特許文献1には、車両の旋回強さに応じてアクチュエータを駆動・制御してスタビライザの見掛け上のねじり剛性を変化させるスタビライザの効力制御装置が提案されている。具体的には、各種センサ信号から電磁式リニアアクチュエータの推力を算出し、この推力を電流値に変換することにより、目標電流値を設定し、PID制御を実行するように構成されている。そして、3相デルタ結線されたコイルの積層体からなるステータに対し、位置検出手段の出力に基づく同期信号に応じて励磁電流を供給すると共に、実電流をフィードバックすることにより、スタビライザのねじり剛性を最適化するようにアクチュエータが伸縮駆動される旨、記載されている。
【0003】
更に、特許文献2には、スタビライザバーを二分割し、その半部分間に電気機械式旋回アクチュエータを設けた車両の横揺れ安定化装置が提案されている。即ち、特許文献2においては、予緊張トルクを発生するために使用される電気機械式旋回アクチュエータは、3つの基本構成要素、即ち電動機、減速歯車装置及びそれらの中間に配置されたブレーキから構成され、電動機により発生されたトルクは、減速歯車装置を介して、スタビライザの予緊張のために必要なトルクに変換され、スタビライザ半部分は、軸受を介して電気機械式旋回アクチュエータないしハウジングに直接支持され、そして他方のスタビライザ半部分は、減速歯車装置の出力側(高トルク側)と結合され、且つ軸受内に支持される構成が示されている。
【0004】
一方、特許文献3には、電動モータの振動を簡単な制御方法で抑制でき、しかも異なる車種間にも比較的簡単に展開可能なモータの振動抑制制御を実現できる電動モータの振動抑制制御装置が提案されている。そして、この特許文献3には、電動モータの振動抑制制御における設計手法に関し、定数スケーリングつきH∞制御が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−71739号公報
【特許文献2】特表2002−518245号公報
【特許文献3】特開2002−171778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前掲の特許文献2に記載の装置において、特許文献1に記載のように電流フィードバック制御を行って、電動機(電気モータ)の出力を発生させ、減速歯車装置(減速機)を用いて動力伝達するための制御手段として、例えば、特許文献3に記載のような定数スケーリングつきH∞制御を用いることとすれば、ばらつきなく高応答のロール運動抑制制御を実現することができる。但し、このコントローラ設計手法を2自由度制御系に適用した場合には、以下の問題が生じる。即ち、通常、2自由度制御系でサーボ制御を構築した場合(例えば、後述の図4に示すように構成した場合)、フィードバックコントローラはばらつきを抑え、フィードフォワードコントローラは応答性を確保する役割を担うことになるが、ばらつきと応答性を考慮し、定数スケーリング付きH∞制御コントローラを設計すると、フィードバックコントローラがハイゲイン(高ゲイン)になり過ぎる場合がある。このため、マイクロコンピュータに実装したときに、実ねじり角が1LSB変化しただけでも電動モータへの入力であるPWM信号のデューティ比が100%の上限を超えてしまい、制御不能状態となって、制御が発散してしまうおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、アクチュエータを制御してスタビライザのねじり力を制御するスタビライザ制御装置において、迅速且つ適切に車体ロール運動を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するため、本発明のスタビライザ制御装置は、請求項1に記載のように、車両の左右車輪間に配設される一対のスタビライザバーと、少なくとも電気モータを有し前記一対のスタビライザバーの間に配設されるアクチュエータを具備し、前記一対のスタビライザバーの各々の自由端部を前記車両への取付端部としたスタビライザと、前記車両の運転状態及び運転者による操舵状態を検出する車両状態検出手段を備え、該車両状態検出手段の検出結果に応じて前記アクチュエータを制御して前記スタビライザのねじり力を制御するスタビライザ制御装置において、前記車両状態検出手段の検出結果に基づき前記アクチュエータに対する目標トルクを演算する目標トルク演算手段と、前記一対のスタビライザバーの前記車両への取付端部に発生するねじりトルクを、前記目標トルク演算手段が演算した前記目標トルクに追従させるように、前記アクチュエータをフィードバック制御する制御手段を備え、該制御手段は、2自由度制御系の定数スケーリング付きH∞制御コントローラを具備し、該H∞制御コントローラにより、前記一対のスタビライザバーの前記車両への取付端部に発生するねじりトルクを制御することとしたものである。上記車両状態検出手段の検出結果である車両の運転状態を表す指標としては、車両の横加速度、ヨーレイト及び車速を含み、運転者による操舵状態を表す指標としては、運転者のステアリング操作による操舵角を含む。また、アクチュエータとしては、電気モータ及び減速機を備えたものとすることができる。
【0009】
前記H∞制御コントローラは、請求項2に記載のように、前記アクチュエータの出力トルクに基づき、前記一対のスタビライザバーの前記車両への取付端部に発生するねじりトルクを制御するように構成するとよい。
【0010】
また、前記H∞制御コントローラは、請求項3に記載のように、前記アクチュエータのモータ電流に基づき、前記一対のスタビライザバーの前記車両への取付端部に発生するねじりトルクを制御するように構成してもよい。
【0011】
あるいは、前記H∞制御コントローラは、請求項4に記載のように、前記アクチュエータの出力ねじり角に基づき、前記一対のスタビライザバーの前記車両への取付端部に発生するねじりトルクを制御するように構成してもよい。
【0012】
そして、請求項5に記載のように、前記制御手段は、前記2自由度制御系の定数スケーリング付きH∞制御コントローラの入力側に、ゲインを抑制する重みを付与して前記H∞制御コントローラを導出するように構成するとよい。この重みとして、例えば、2自由度制御系コントローラKf及びKbを定数スケーリング付きH∞制御を用いて導出する際には、規範モデルと制御系の応答が同一になるようにコントローラが設計され(μ−設計)、制御応答性(目標追従性)を評価するため、規範モデルの出力と制御系の出力の差に第1の重み関数が付与されると共に、ロバスト安定性を評価するループに対し、第2の重み関数が付与される。更に、コントローラKbの入力側にハイゲイン化を抑制するためのループが付加され、これに第3の重み関数が付与される。
【発明の効果】
【0013】
而して、請求項1に記載のスタビライザ制御装置によれば、一対のスタビライザバーの車両への取付端部に発生するねじりトルクを、目標トルク演算手段が演算した目標トルクに追従させるように、アクチュエータをフィードバック制御することとし、特に、2自由度制御系の定数スケーリング付きH∞制御コントローラにより、一対のスタビライザバーの車両への取付端部に発生するねじりトルクを制御することとしているので、迅速且つ適切に車体ロール運動の抑制を行なうことができる。車両状態検出手段の検出結果である車両の運転状態を表す指標としては、車両の横加速度、ヨーレイト及び車速を含み、運転者による操舵状態を表す指標としては、運転者のステアリング操作による操舵角を含み、例えば、これらに基づいて算出される目標トルクに適切に追従するように制御されるので、迅速且つ円滑な制御が可能となる。
【0014】
上記の制御手段は、請求項2乃至4に記載のように構成すれば、良好な目標追従性とロバスト安定性を確保することができ、一対のスタビライザバーの車両への取付端部に発生するねじりトルクを、速やかに、且つばらつきなく制御することができる。特に、上記の制御手段を請求項5に記載のように構成すれば、2自由度制御系の定数スケーリング付きH∞制御コントローラを適切に導出することができ、当該H∞制御コントローラのハイゲイン化を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の望ましい実施形態を説明する。先ず、本発明の一実施形態に係るスタビライザ制御装置を備えた車両の全体構成について図2を参照して説明すると、車体(図示せず)にロール方向の運動が入力された場合に、ねじりばねとして作用する前輪側スタビライザSBfと後輪側スタビライザSBrが配設される。これら前輪側スタビライザSBf及び後輪側スタビライザSBrは、車体のロール運動である車体ロール角を抑制するために、各々のねじり剛性がスタビライザアクチュエータFT及びRTによって可変制御されるように構成されている。尚、これらのスタビライザアクチュエータ(以下、単にアクチュエータという)FT及びRTは、電子制御装置ECU内のスタビライザ制御ユニットECU1によって制御される。
【0016】
図2に示すように各車輪WHxxには車輪速度センサWSxxが配設され(添字xxは各車輪を意味し、frは右側前輪、fl左側前輪、rrは右側後輪、rlは左側後輪を示す)、これらが電子制御装置ECUに接続されており、各車輪の回転速度、即ち車輪速度に比例するパルス数のパルス信号が電子制御装置ECUに入力されるように構成されている。而して、これらの車輪速度センサWSxxの検出車輪速度に基づき車体速度(車速)Vsを推定演算することができる。更に、ステアリングホイールSWの操舵角(ハンドル角)δを検出する操舵角センサSA、車両の前後加速度Gxを検出する前後加速度センサXG、車両の横加速度Gyを検出する横加速度センサYG、車両のヨーレイトγを検出するヨーレイトセンサYR等が電子制御装置ECUに接続されている。
【0017】
尚、電子制御装置ECU内には、上記のスタビライザ制御ユニットECU1のほか、ブレーキ制御ユニットECU2、操舵制御ユニットECU3等が構成されており、これらの制御ユニットECU1乃至3は夫々、通信用のCPU、ROM及びRAMを備えた通信ユニット(図示せず)を介して通信バスに接続されている。而して、各制御システムに必要な情報を他の制御システムから送信することができる。
【0018】
図3は、スタビライザアクチュエータFTの具体的構成例(RTも同様の構成)を示すもので、前輪側スタビライザSBfは左右一対のスタビライザバーSBfr及びSBflに二分割されており、夫々の一端が取付端部(SBfre及びSBfle)として左右の車輪懸架装置(図示せず)に接続され、他端の一方側が減速機RDを介して電気モータMRのロータRO、その他方側が電気モータMRのステータSRに接続されている。尚、スタビライザバーSBfr及びSBflは保持手段HLfr及びHLflにより車体に保持される。而して、電気モータMRが通電されると、二分割のスタビライザバーSBfr及びSBflの夫々に対しねじり力が生じ、前輪側スタビライザSBfのねじりばね特性が変更されるので、車体のロール剛性が制御されることになる。尚、電気モータMRの回転角を検出する回転角検出手段として、回転角センサRSがスタビライザアクチュエータFT内に配設されている。
【0019】
上記のスタビライザ制御装置において、図1は、スタビライザアクチュエータの一例の基本制御を示すもので、図2に示す横加速度センサYGによって車両の横加速度Gyが、ヨーレイトセンサYRによって車両のヨーレイトγが夫々検出され、前述のように推定演算された車速Vsと共に、車両状態の検出結果として、目標トルク演算部TCに供給される。また、運転者による操舵状態として、図2に示す操舵角センサSAによって操舵角δが検出され、目標トルク演算部TCに供給され、ここで目標トルクrが設定される。尚、車速センサ(図示せず)を配設し、車速Vsを直接検出し得るように構成してもよい。
【0020】
そして、一対のスタビライザバー(例えばSBfr及びSBfl)の車両への取付端部(SBfre及びSBfle)に発生するねじりトルクy(以下、実トルクy)を、目標トルクrに追従させるように、コントローラFCにてフィードバック制御が行われる。即ち、目標トルクrと実トルクyが一致するように、例えば電気モータMRに印加される電圧がPWM入力信号(デューティ信号)として随時決定されて、スタビライザアクチュエータFTが制御されるように構成されている。これにより、車両旋回時の車体ロール角を適切に抑制することができる。
【0021】
コントローラFCにおいては、図1の破線内に示すように2自由度制御系の定数スケーリング付きH∞制御コントローラが構成され、2自由度制御系コントローラKb及びKfを定数スケーリング付きH∞制御を用いて導出するように構成されている。このコントローラFCに関し、スタビライザバー(SBfr及びSBfl)のねじりトルク(目標トルクr及び実トルクy)に対し、ねじり角(目標ねじり角ra及び実ねじり角ya)が比例することに鑑み、図4に示すように構成することもできる。あるいは、図示は省略するが、実トルクy(又は、図4の実ねじり角ya)に代えて、電気モータMRに供給されるモータ電流に基づき、定数スケーリング付きH∞制御コントローラによる制御を行うこともできる。
【0022】
図5は、図4のスタビライザアクチュエータFTを記号Pで置き換えたもので、下記[数1]式で表される。ここで、P0はPのノミナルの伝達関数、ΔはPの乗法的不確かさを示し、これらによって電気モータMRの特性を表すことができる。
【数1】

【0023】
次に、図6は、2自由度制御系コントローラKb及びKfを定数スケーリング付きH∞制御を用いて導出する際の重みを付与する手段を示す。図6において、「M」は規範モデルを示しており、このモデルMと制御系の応答が同一になるようにコントローラFCが設計される。制御応答性(目標追従性)を評価するため、第1の重み関数W1(以下、単に重み関数W1という)がモデルMの出力と制御系の出力yの差に付与され、w1からz1までの伝達関数が評価される。また、ロバスト安定性を評価するため、w2からz2に至るループが形成され、ここに第2の重み関数W2(以下、単に重み関数W2という)が付与される。尚、各図において小文字のwは信号を表し、重み関数Wと区別される。
【0024】
一般的に、定数スケーリング付きH∞制御コントローラを設計する際には、上記の重み関数W1及びW2が用いられる。これに対し、本実施形態ではコントローラKbのハイゲイン化を抑制するため、更に、w3からz2に至るループが加えられ、その入力側に第3の重み関数W3(以下、単に重み関数W3という)が付与され、w3からz2までの伝達関数が評価されるように構成されている。
【0025】
図7は、上記重み関数の付与によって生成される一般化制御対象である。但し、下記[数2]に示す関係にある。
【数2】

【0026】
そして、上記の関係となるように、下記[数3]に示すように重み関数W1が設定され、他の重み関数W2及びW3も同様に設定される。
【数3】

【0027】
図8は、外部入力w(=[w1,w2,w3]T)から制御量z(=[z1,z2]T)までの伝達関数Tzw(s)を示しており、μ−設計問題において、この伝達関数Tzw(s)の構造化特異値μΔ(Tzw)が下記[数4]式を満たすならば、不確かさΔ2、Δ3のあらゆる可能性について、常に下記[数5]の関係にある(Tz1w1は、追従性を評価するw1からz1までの伝達関数である)。従って、[数4]式を満足すれば、ロバスト安定性で且つハイゲイン化が抑制され、加えて、追従性能もロバストな(ロバストパフォーマンス)コントローラKf及びKbを求めることができる。
【数4】

【数5】

【0028】
しかし、上記[数4]式を直接計算することはできないので、構造化特異値の下記[数6]の性質を利用し(D1及びD2はスケーリング行列を表す)、下記[数7]式を満足するようなコントローラをDK反復法(D−Kイタレーション)により導出し、上記[数4]式を満足するコントローラを導出することとしている。
【数6】

【数7】

【0029】
図9は、図7の態様に対し定数スケーリング行列D1及びその逆行列D2-1を付与したスケールド一般化制御対象を示しており、その構成要素であるdを変化させ、一般化制御対象のH∞ノルムが最小になるようなコントローラKb及びKfが導出される。而して、これらを構成するプログラムが実装される。尚、一般的な電気モータ駆動装置において、前述のようにコントローラがハイゲインになり過ぎる場合には、上記のμ−設計における重み関数W3を付与することによってハイゲイン化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係るスタビライザ制御装置の基本制御の一例を示す制御ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るスタビライザ制御装置を備えた車両の概要を示す構成図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるスタビライザアクチュエータの具体的構成例を示す構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に供するスタビライザアクチュエータの他の制御例を示す制御ブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に供するスタビライザアクチュエータの更に他の制御例を示す制御ブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態において、2自由度制御系コントローラを定数スケーリング付きH∞制御を用いて導出する際の重み関数の付与を示すブロック図である。
【図7】図6の重み関数の付与により生成される一般化制御対象を示すブロック図である。
【図8】外部入力wから制御量zまでの伝達関数を示すブロック図である。
【図9】図7の態様に対し定数スケーリング行列及びその逆行列を付与したスケールド一般化制御対象を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0031】
SBf 前輪側スタビライザ
SBfr,SBfl 前輪側スタビライザバー
SBr 後輪側スタビライザ
FT,RT スタビライザアクチュエータ
MR 電気モータ
TC 目標トルク演算部
FC コントローラ
SW ステアリングホイール
SA 操舵角センサ
WHfr, WHfl, WHrr, WHrl 車輪
WSfr,WSfl,WSrr,WSrl 車輪速度センサ
YR ヨーレイトセンサ
XG 前後加速度センサ
YG 横加速度センサ
ECU 電子制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右車輪間に配設される一対のスタビライザバーと、少なくとも電気モータを有し前記一対のスタビライザバーの間に配設されるアクチュエータを具備し、前記一対のスタビライザバーの各々の自由端部を前記車両への取付端部としたスタビライザと、前記車両の運転状態及び運転者による操舵状態を検出する車両状態検出手段を備え、該車両状態検出手段の検出結果に応じて前記アクチュエータを制御して前記スタビライザのねじり力を制御するスタビライザ制御装置において、前記車両状態検出手段の検出結果に基づき前記アクチュエータに対する目標トルクを演算する目標トルク演算手段と、前記一対のスタビライザバーの前記車両への取付端部に発生するねじりトルクを、前記目標トルク演算手段が演算した前記目標トルクに追従させるように、前記アクチュエータをフィードバック制御する制御手段を備え、該制御手段は、2自由度制御系の定数スケーリング付きH∞制御コントローラを具備し、該H∞制御コントローラにより、前記一対のスタビライザバーの前記車両への取付端部に発生するねじりトルクを制御することを特徴とするスタビライザ制御装置。
【請求項2】
前記H∞制御コントローラは、前記アクチュエータの出力トルクに基づき、前記一対のスタビライザバーの前記車両への取付端部に発生するねじりトルクを制御することを特徴とする請求項1記載のスタビライザ制御装置。
【請求項3】
前記H∞制御コントローラは、前記アクチュエータのモータ電流に基づき、前記一対のスタビライザバーの前記車両への取付端部に発生するねじりトルクを制御することを特徴とする請求項1記載のスタビライザ制御装置。
【請求項4】
前記H∞制御コントローラは、前記アクチュエータの出力ねじり角に基づき、前記一対のスタビライザバーの前記車両への取付端部に発生するねじりトルクを制御することを特徴とする請求項1記載のスタビライザ制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記2自由度制御系の定数スケーリング付きH∞制御コントローラの入力側に、ゲインを抑制する重みを付与して前記H∞制御コントローラを導出することを特徴とする請求項2乃至4の何れかに記載のスタビライザ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−83760(P2007−83760A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−272129(P2005−272129)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(504174135)国立大学法人九州工業大学 (489)
【Fターム(参考)】