説明

スタンパの製造方法および光学素子

【課題】容易にスタンパ溝の側面に勾配をつけることが可能となり、スタンパを用いた2P法によるホログラム素子の作製において、バリの発生をなくし、不良率の増加を防ぐことができるスタンパの製造方法を提供する。
【解決手段】レジスト8に、この表面に対して傾斜する側面を有するレジスト溝を、パターンとして形成するように、露光用光源からの露光用光13の焦点13aを、上記レジスト8上よりも基板1側に、ずらして、この露光用光13にて上記レジスト8を露光する。その後、上記レジスト8を現像し、上記レジスト8をマスクとして上記基板1をエッチングして、上記基板1の表面に、この表面に対して傾斜する側面を有するスタンパ溝を、形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、CD(コンパクトディスク)、CD−ROM(読み出し専用コンパクトディスク)、MD(ミニディスク)、LD(レーザディスク)等の光ディスク用ピックアップ部品に使用される光学素子の製造に用いるスタンパの製造方法に関する。また、この製造方法により製造したスタンパを用いて製造されている光学素子に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光ディスク用ピックアップ部品として使用されるホログラム素子は、通常数mm角の大きさであり、大量かつ安価に製造することを目的として、大型の光透過性基板上に一括して複数個の素子を形成した後、分断して製造される。ホログラム素子には、きわめて微細な回折格子が精密に形成されており、この回折格子を形成する方法として、図4A〜図4Cおよび図5A〜図5Dに示すようなフォトポリマー法(Photo Polymer;以下2P法と称す)と呼ばれる成形方法等が実施されている。
【0003】
図4A〜図4Cに示す2P法によるホログラム素子の製造方法では、まず、図4Aに示すように、予め微細パターン101aが形成されたスタンパ101(原盤)上に紫外線硬化型液状樹脂102を塗布し、この紫外線硬化型液状樹脂102を介してスタンパ101上に光透過性基板103を配置する。
【0004】
次に、図4Bに示すように、紫外線硬化型樹脂102を光透過性基板103とスタンパ101とで形成される空間に必要であれば加圧しながら充分に押し広げる。
【0005】
さらに、紫外線を照射することによって樹脂を硬化させた後、図4Cに示すように、光透過性基板103とスタンパ101を分離させる。上記紫外線硬化型液状樹脂102には、硬化後の光透過性基板103との接着性がスタンパ101とよりも優れるような材料を選択するか、光透過性基板103との接着性を前処理によって向上させておくことにより、光透過性基板103に、スタンパ101の微細パターン101aの転写パターン107aをもつ樹脂層107を形成する。
【0006】
上記光透過性基板103の両面に同時に転写パターンを形成するには、まず、図5Aに示すように、両面にプライマー層104をもつ透明基板105を、上下のスタンパ101の間に紫外線硬化型樹脂102を介して挟み込んで加圧する。
【0007】
次に、図5Bに示すように、紫外線UVを照射して樹脂102を硬化させた後、透明基板105からスタンパ101を分離する。
【0008】
そして、図5Cに示すように、透明基板105の両面の樹脂層107の転写パターン107a上に反射防止膜106を蒸着する。最後に、図5Dに示すように、必要な形状の単体H2に分割する。
【0009】
この製造方法は、透明基板105およびこれを挟むスタンパ101を共に光透過性のものにすることによって、透明基板105の両面に互いに位置決めされた微細パターンを同時に形成できるので、1つのホログラム素子の片面にトラッキングビーム生成機能を、もう片面に光分岐・誤差信号生成機能をもたせて高集積化が可能なうえ、製造効率を向上できるという利点がある。
【0010】
上記2P法によるホログラム素子の製造歩留まりの向上および製造コストの低減には、良好な微細パターン101aをもつスタンパ101を作製することが必須要件となる。そして、このスタンパは、図6および図7A〜図7Eに示すような手順で作られる。
【0011】
すなわち、図6のステップS11、および、図7Aに示すように、石英基板100を洗浄した後、図6のステップS12、および、図7Bに示すように、石英基板100の表面にレジスト108を塗布し、図6のステップS13で、石英基板100をプリベークしてレジスト108中の溶剤を除去し、図6のステップS14で、レジスト108にステッパーを用いてパターン像を投影して露光する。
【0012】
次いで、図6のステップS15、および、図7Cに示すように、レジスト108の感光した部分を現像により除去してパターン109を作り、図6のステップS16で、ポストベークし、図6のステップS17、および、図7Dに示すように、ドライエッチングの一種であるRIEにより、レジスト108をマスクとして所定の深さに彫る。さらに、図6のステップS18、および、図7Eに示すように、レジスト108を酸素ガスによる灰化またはリムーバーによって除去し、図6のステップS19で、仕上げの洗浄を行う。
【0013】
ところが、上記スタンパ101を用いた2P法によるホログラム素子の作製において、上記スタンパ101の溝の側面(側壁)が、上記スタンパ101の表面に対して、十分に傾いていないと、ホログラム素子に成形バリが発生して、不良発生率が増加し、量産性が低下することが明らかになっている。
【0014】
この対策として、特開2000−231011号公報(特許文献1)および特開2003−66234号公報(特許文献2)において、反応性イオンエッチング時のガス選定、エッチングレートを変えた複数段階エッチング、ウエットエッチによる前処理および後処理によりスタンパ溝の側壁に勾配を設ける方法が提案されている。
【特許文献1】特開2000−231011号公報
【特許文献2】特開2003−66234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、これらの方法では、複数段階のエッチングや複数のガスを使用する必要があり、生産上の手間がかかる。また、条件も複雑になり不安定な要素も増える。
【0016】
そこで、この発明の課題は、容易にスタンパ溝の側面に勾配をつけることが可能となり、スタンパを用いた2P法によるホログラム素子の作製において、バリの発生をなくし、不良率の増加を防ぐことができるスタンパの製造方法を提供することにある。また、この製造方法により製造したスタンパを用いて製造されている光学素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するため、この発明のスタンパの製造方法は、
基板の表面にレジストを塗布する工程と、
このレジストに、この表面に対して傾斜する側面を有するレジスト溝を、パターンとして形成するように、露光用光源からの露光用光の焦点を、上記レジスト上よりも上記基板側に、ずらして、この露光用光にて上記レジストを露光する工程と、
上記レジストを現像し、上記レジストをマスクとして上記基板をエッチングして、上記基板の表面に、この表面に対して傾斜する側面を有するスタンパ溝を、形成する工程と
を備えたことを特徴としている。
【0018】
この発明のスタンパの製造方法によれば、上記レジストに、この表面に対して傾斜する側面を有するレジスト溝を、パターンとして形成するように、露光用光源からの露光用光の焦点を、上記レジスト上よりも上記基板側に、ずらして、この露光用光にて上記レジストを露光し、上記レジストを現像し、上記レジストをマスクとして上記基板をエッチングして、上記基板の表面に、この表面に対して傾斜する側面を有するスタンパ溝を、形成するので、上記レジストの露光の際に、光学的焦点をデフォーカスさせることで、上記レジスト溝の側面に勾配をつけることができる。そして、上記レジスト溝の側面に勾配がついているため、通常の反応性イオンエッチングで容易に上記スタンパ溝の側面に勾配をつけることができる。
【0019】
したがって、容易に上記スタンパ溝の側面に勾配をつけることが可能となり、上記スタンパを用いたフォトポリマー法(2P法)によるホログラム素子等の光学素子の作製において、バリの発生をなくし、不良率の増加を防ぐことができる。
【0020】
また、一実施形態のスタンパの製造方法では、上記レジストを露光する工程では、上記露光用光源と上記レジストとの間に設けられたレンズを、光軸方向に、移動して、上記露光用光源からの上記露光用光の焦点を、上記レジスト上よりも上記基板側に、ずらす。
【0021】
この実施形態のスタンパの製造方法によれば、上記レジストを露光する工程では、上記露光用光源と上記レジストとの間に設けられたレンズを、光軸方向に、移動して、上記露光用光源からの上記露光用光の焦点を、上記レジスト上よりも上記基板側に、ずらすので、上記露光用光の焦点を容易にずらすことができる。
【0022】
また、一実施形態のスタンパの製造方法では、上記レジストを露光する工程では、上記露光用光源と上記レジストとの間の光軸上に、レンズを、挿入して、上記露光用光源からの上記露光用光の焦点を、上記レジスト上よりも上記基板側に、ずらす。
【0023】
この実施形態のスタンパの製造方法によれば、上記レジストを露光する工程では、上記露光用光源と上記レジストとの間の光軸上に、レンズを、挿入して、上記露光用光源からの上記露光用光の焦点を、上記レジスト上よりも上記基板側に、ずらすので、上記露光用光の焦点を容易にずらすことができる。
【0024】
また、一実施形態のスタンパの製造方法では、上記レジストを露光する工程では、上記露光用光源と上記レジストとの間に設けられたレンズと、上記レジストとの間の光軸上に、上記レンズと屈折率の異なる板を、挿入して、上記露光用光源からの上記露光用光の焦点を、上記レジスト上よりも上記基板側に、ずらす。
【0025】
この実施形態のスタンパの製造方法によれば、上記レジストを露光する工程では、上記露光用光源と上記レジストとの間に設けられたレンズと、上記レジストとの間の光軸上に、上記レンズと屈折率の異なる板を、挿入して、上記露光用光源からの上記露光用光の焦点を、上記レジスト上よりも上記基板側に、ずらすので、上記露光用光の焦点を容易にずらすことができる。
【0026】
また、一実施形態のスタンパの製造方法では、上記レジストを露光する工程では、オートフォーカス用光源および上記露光用光源と上記レジストとの間に設けられたレンズの位置を、上記オートフォーカス用光源からのオートフォーカス用光の焦点が、上記レジスト上に合うように、調整してから、上記オートフォーカス用光源と波長の異なる上記露光用光源から、上記露光用光を、上記レンズを介して、上記レジストに照射して、上記レジストを露光する。
【0027】
この実施形態のスタンパの製造方法によれば、上記レジストを露光する工程では、オートフォーカス用光源および上記露光用光源と上記レジストとの間に設けられたレンズの位置を、上記オートフォーカス用光源からのオートフォーカス用光の焦点が、上記レジスト上に合うように、調整してから、上記オートフォーカス用光源と波長の異なる上記露光用光源から、上記露光用光を、上記レンズを介して、上記レジストに照射して、上記レジストを露光するので、波長により焦点の位置が異なることを利用して、上記露光用光の焦点を、上記レジスト上よりも上記基板側に、容易にずらすことができる。
【0028】
また、一実施形態のスタンパの製造方法では、上記レジストを露光する工程では、上記露光用光源からの露光用光の焦点を、上記レジストの一部に設けられた膜厚の薄い薄膜部上に合わせてから、この露光用光にて上記レジストにおける上記薄膜部以外の部分を露光する。
【0029】
この実施形態のスタンパの製造方法によれば、上記レジストを露光する工程では、上記露光用光源からの露光用光の焦点を、上記レジストの一部に設けられた膜厚の薄い薄膜部上に合わせてから、この露光用光にて上記レジストにおける上記薄膜部以外の部分を露光するので、上記露光用光の焦点を、上記レジストにおける上記薄膜部以外の部分上よりも上記基板側に、容易にずらすことができる。
【0030】
また、この発明の光学素子は、上記スタンパの製造方法により製造したスタンパを用いて、フォトポリマー法により、製造されていることを特徴としている。
【0031】
この発明の光学素子によれば、上記スタンパの製造方法により製造したスタンパを用いて、フォトポリマー法により、製造されているので、光学素子のバリの発生をなくし、不良率の増加を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0032】
この発明のスタンパの製造方法によれば、上記レジストに、この表面に対して傾斜する側面を有するレジスト溝を、パターンとして形成するように、露光用光源からの露光用光の焦点を、上記レジスト上よりも上記基板側に、ずらして、この露光用光にて上記レジストを露光し、上記レジストを現像し、上記レジストをマスクとして上記基板をエッチングして、上記基板の表面に、この表面に対して傾斜する側面を有するスタンパ溝を、形成するので、容易に上記スタンパ溝の側面に勾配をつけることが可能となり、上記スタンパを用いた2P法によるホログラム素子等の光学素子の作製において、バリの発生をなくし、不良率の増加を防ぐことができる。
【0033】
この発明の光学素子によれば、上記スタンパの製造方法により製造したスタンパを用いてフォトポリマー法により製造されているので、光学素子のバリの発生をなくし、不良率の増加を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0035】
図1A〜図1Eは、本発明のスタンパの製造方法の一実施形態である断面図を示している。本発明のスタンパの製造方法では、図1Aに示すように、石英基板1を洗浄した後、図1Bに示すように、石英基板1の表面にレジスト8を塗布し、石英基板1をプリベークしてレジスト8中の溶剤を除去し、レジスト8にステッパーを用いてパターン像を投影して露光する。
【0036】
次いで、図1Cに示すように、レジスト8の感光した部分を現像により除去して、パターン9を作り、ポストベークし、図1Dに示すように、ドライエッチングの一種であるRIEにより、レジスト8をマスクとして所定の深さに彫る。さらに、図1Eに示すように、レジスト8を酸素ガスによる灰化またはリムーバーによって除去し、仕上げの洗浄を行って、スタンパ2を製造する。
【0037】
上記レジスト8を露光する工程では、図2に示すように、ステッパー10の露光用光源をレンズ11を通して集光し、パターンレチクル12をレジスト8に投影することで、パターンニングを行う。
【0038】
このとき、上記レジスト8上の露光用光13のフォーカスがジャストフォーカスより光源側になるように調整することで、レジスト8が傾斜を持って露光され、図1Cに示すように、レジスト溝80の側面(側壁)80aに傾斜を持たせることができる。
【0039】
言い換えると、上記レジスト8に、この表面に対して傾斜する側面80aを有するレジスト溝80を、パターン9として形成するように、露光用光源からの露光用光13の焦点13aを、レジスト8上よりも上記基板1側に、ずらして(デフォーカスさせて)、この露光用光13にて上記レジスト8を露光している。
【0040】
そして、上記レジスト8を現像し、上記レジスト8をマスクとして上記基板1をエッチングして、図1Dに示すように、上記基板1の表面に、この表面に対して傾斜する側面20aを有するスタンパ溝20を、形成する。
【0041】
これに対して、従来のレジストの露光では、図3に示すように、露光用光13の焦点13aを、レジスト108上に、合わせている(ジャストフォーカスさせている)ので、図7Cに示すように、レジスト108溝の側面が垂直になって、図7Eに示すように、スタンパ101溝の側面が垂直になる。
【0042】
本発明のスタンパの製造方法によれば、上記レジスト8に、この表面に対して傾斜する側面80aを有するレジスト溝80を、パターン9として形成するように、露光用光源からの露光用光13の焦点13aを、上記レジスト8上よりも上記基板1側に、ずらして、この露光用光13にて上記レジスト8を露光し、上記レジスト8を現像し、上記レジスト8をマスクとして上記基板1をエッチングして、上記基板1の表面に、この表面に対して傾斜する側面20aを有するスタンパ溝20を、形成するので、上記レジスト8の露光の際に、光学的焦点13aをデフォーカスさせることで、上記レジスト溝80の側面80aに勾配をつけることができる。そして、上記レジスト溝80の側面80aに勾配がついているため、通常の反応性イオンエッチングで容易に上記スタンパ溝20の側面20aに勾配をつけることができる。
【0043】
したがって、容易に上記スタンパ溝20の側面20aに勾配をつけることが可能となり、上記スタンパ2を用いたフォトポリマー法(2P法)によるホログラム素子等の光学素子の作製において、バリの発生をなくし、不良率の増加を防ぐことができる。
【0044】
ここで、本発明のように、レジスト8への露光用光13のフォーカス位置を、ジャストフォーカスより光源側に移動させるための方法としては、例えば、以下の3つの方法があり、何れの方法も、上記露光用光13の焦点13aを容易にずらすことができる。
【0045】
第1の方法として、上記レジスト8を露光する工程では、上記露光用光源と上記レジスト8との間に設けられたレンズ11を、光軸方向に、移動して、上記露光用光源からの上記露光用光13の焦点13aを、上記レジスト8上よりも上記基板1側に、ずらす。つまり、上記レンズ11を、上記露光用光13の焦点13aが上記レジスト8上となるジャストフォーカスの位置から一定距離移動させる。
【0046】
第2の方法として、上記レジスト8を露光する工程では、上記露光用光源と上記レジスト8との間の光軸上に、他のレンズを、挿入して、上記露光用光源からの上記露光用光13の焦点13aを、上記レジスト8上よりも上記基板1側に、ずらす。
【0047】
第3の方法として、上記レジスト8を露光する工程では、上記露光用光源と上記レジスト8との間に設けられたレンズ11と、上記レジスト8との間の光軸上に、上記レンズ11と屈折率の異なる板を、挿入して、上記露光用光源からの上記露光用光13の焦点13aを、上記レジスト8上よりも上記基板1側に、ずらす。
【0048】
ここで、露光に用いる光学系はオートフォーカス用光により、レジスト8のところでジャストフォーカスになるようレンズ11の位置が調整されるため、これを一定量シフトさせる制御方法が必要である。この方法としては、例えば、以下の2つの方法がある。
【0049】
第1の方法として、上記レジスト8を露光する工程では、オートフォーカス用光源および上記露光用光源と上記レジスト8との間に設けられたレンズ11の位置を、上記オートフォーカス用光源からのオートフォーカス用光の焦点が、上記レジスト8上に合うように、調整してから、上記オートフォーカス用光源と波長の異なる上記露光用光源から、上記露光用光13を、上記レンズ11を介して、上記レジスト8に照射して、上記レジスト8を露光する。
【0050】
したがって、波長により焦点の位置が異なることを利用して、上記露光用光13の焦点13aを、上記レジスト8上よりも上記基板1側に、容易にずらすことができる。
【0051】
第2の方法として、上記レジスト8を露光する工程では、上記露光用光源からの露光用光13の焦点13aを、上記レジスト8の一部に設けられた膜厚の薄い薄膜部上に合わせてから、この露光用光13にて上記レジスト8における上記薄膜部以外の部分を露光する。
【0052】
したがって、上記露光用光13の焦点13aを、上記レジスト8における上記薄膜部以外の部分上よりも上記基板1側に、容易にずらすことができる。
【0053】
次に、本発明の光学素子では、本発明のスタンパの製造方法により製造したスタンパ2を用いて、フォトポリマー法(2P法)により、製造されている。この光学素子は、例えば、ホログラム素子である。フォトポリマー法は、例えば、図4A〜図4Cや、図5A〜図5Dに示すような方法である。したがって、光学素子のバリの発生をなくし、不良率の増加を防ぐことができる。
【0054】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】本発明のスタンパの製造方法の第1工程を示す断面図である。
【図1B】本発明のスタンパの製造方法の第2工程を示す断面図である。
【図1C】本発明のスタンパの製造方法の第3工程を示す断面図である。
【図1D】本発明のスタンパの製造方法の第4工程を示す断面図である。
【図1E】本発明のスタンパの製造方法の第5工程を示す断面図である。
【図2】本発明のレジストの露光を示す概略図である。
【図3】従来のレジストの露光を示す概略図である。
【図4A】従来の2P成形法によるホログラム素子の製造方法の第1工程を示す断面図である。
【図4B】従来の2P成形法によるホログラム素子の製造方法の第2工程を示す断面図である。
【図4C】従来の2P成形法によるホログラム素子の製造方法の第3工程を示す断面図である。
【図5A】従来の両面2P成形法によるホログラム素子の製造方法の第1工程を示す断面図である。
【図5B】従来の両面2P成形法によるホログラム素子の製造方法の第2工程を示す断面図である。
【図5C】従来の両面2P成形法によるホログラム素子の製造方法の第3工程を示す断面図である。
【図5D】従来の両面2P成形法によるホログラム素子の製造方法の第4工程を示す断面図である。
【図6】従来のスタンパの製造工程を示すフローチャートである。
【図7A】従来のスタンパの製造方法の第1工程を示す断面図である。
【図7B】従来のスタンパの製造方法の第2工程を示す断面図である。
【図7C】従来のスタンパの製造方法の第3工程を示す断面図である。
【図7D】従来のスタンパの製造方法の第4工程を示す断面図である。
【図7E】従来のスタンパの製造方法の第5工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 基板
2 スタンパ
20 スタンパ溝
20a 側面
8 レジスト
80 レジスト溝
80a 側面
9 パターン
10 ステッパー
11 レンズ
12 レチクル
13 露光用光
13a 焦点
100 基板
101 スタンパ(原盤)
101a パターン
102 紫外線硬化型液状樹脂
103 光透過性基板
104 プライマー層
105 透明基板
106 反射防止膜
107 樹脂層
107a 転写パターン
108 レジスト
109 パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面にレジストを塗布する工程と、
このレジストに、この表面に対して傾斜する側面を有するレジスト溝を、パターンとして形成するように、露光用光源からの露光用光の焦点を、上記レジスト上よりも上記基板側に、ずらして、この露光用光にて上記レジストを露光する工程と、
上記レジストを現像し、上記レジストをマスクとして上記基板をエッチングして、上記基板の表面に、この表面に対して傾斜する側面を有するスタンパ溝を、形成する工程と
を備えたことを特徴とするスタンパの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のスタンパの製造方法において、
上記レジストを露光する工程では、上記露光用光源と上記レジストとの間に設けられたレンズを、光軸方向に、移動して、上記露光用光源からの上記露光用光の焦点を、上記レジスト上よりも上記基板側に、ずらすことを特徴とするスタンパの製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載のスタンパの製造方法において、
上記レジストを露光する工程では、上記露光用光源と上記レジストとの間の光軸上に、レンズを、挿入して、上記露光用光源からの上記露光用光の焦点を、上記レジスト上よりも上記基板側に、ずらすことを特徴とするスタンパの製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載のスタンパの製造方法において、
上記レジストを露光する工程では、上記露光用光源と上記レジストとの間に設けられたレンズと、上記レジストとの間の光軸上に、上記レンズと屈折率の異なる板を、挿入して、上記露光用光源からの上記露光用光の焦点を、上記レジスト上よりも上記基板側に、ずらすことを特徴とするスタンパの製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載のスタンパの製造方法において、
上記レジストを露光する工程では、オートフォーカス用光源および上記露光用光源と上記レジストとの間に設けられたレンズの位置を、上記オートフォーカス用光源からのオートフォーカス用光の焦点が、上記レジスト上に合うように、調整してから、上記オートフォーカス用光源と波長の異なる上記露光用光源から、上記露光用光を、上記レンズを介して、上記レジストに照射して、上記レジストを露光することを特徴とするスタンパの製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載のスタンパの製造方法において、
上記レジストを露光する工程では、上記露光用光源からの露光用光の焦点を、上記レジストの一部に設けられた膜厚の薄い薄膜部上に合わせてから、この露光用光にて上記レジストにおける上記薄膜部以外の部分を露光することを特徴とするスタンパの製造方法。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一つに記載のスタンパの製造方法により製造したスタンパを用いて、フォトポリマー法により、製造されていることを特徴とする光学素子。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図1E】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図5D】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図7C】
image rotate

【図7D】
image rotate

【図7E】
image rotate


【公開番号】特開2009−51173(P2009−51173A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−222495(P2007−222495)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】