説明

ストリームデータ生成方法、ストリームデータ生成プログラム、およびストリームデータ生成装置

【課題】圧縮符号化済みの複数のストリームデータを容易に合成できるようにする。
【解決手段】時間情報取得手段104は合成元の第1ストリームデータ(a)に含まれるパックからオーディオパックを除去してストリームデータ(a’)を出力し、パックヘッダに含まれる時間情報を抽出して抽出時間情報を出力する。パック抜取手段105は合成しようとするオーディオパックを第2ストリームデータ(b)から抜き取り抜き取りデータ(c)として出力する。パック変換手段106は抜き取りデータ(c)の各パックのパックヘッダに含まれる時間情報を抽出時間情報に基づいて第1ストリームデータ(a)に対応する時間情報に変換し、変換データ(d)を出力するとともに、所定のタイミングで挿入制御信号を出力する。パック挿入手段107は、ストリームデータ(a’)に変換データ(d)の各パックを挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存のプログラムストリーム等と称されるストリームデータを合成して新規のストリームデータを生成するストリームデータ生成方法や装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、ビデオデータとオーディオデータとが多重化されたストリームデータなどの処理において、いわゆるアフレコ(アフターレコーディング)と呼ばれるような、元のオーディオデータとは異なるオーディオデータを再生できるようなストリームデータを生成する場合がある。そのようなストリームデータを生成する装置としては、例えば図9に示すように、オーディオデータとビデオデータとが多重化された多重化ファイルを生成する際に、上記オーディオデータと対応した時間情報を有する他のオーディオデータから成るオフレコ音声ファイルを生成する圧縮符号化装置6100が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記圧縮符号化装置6100は、ビデオ符号化器6110と、オーディオ符号化器6120と、多重化器6130とから構成され、ビデオ信号と、そのビデオ信号に同期した第1のオーディオ信号および第2のオーディオ信号が入力されることによって、AV多重化ファイル6200とアフレコ音声ファイル6210とを出力するようになっている。また、これらのファイルからビデオ信号とそのビデオ信号に同期したオーディオ信号を再生する圧縮復号化装置6300は、分離器6310と、信号切替器6320と、ビデオ復号化器6330と、オーディオ復号化器6340とから構成される。
【0004】
より詳しくは、圧縮符号化装置6100では、ビデオ符号化器6110は、ビデオ信号が入力されると、これを圧縮符号化し、多重化器6130に出力する。また、オーディオ符号化器6120は、前記のビデオ信号と同期関係にあるオーディオ信号が入力されると、これを圧縮符号化し、多重化器6130に出力する。多重化器6130は、ビデオ符号化器6110の出力信号と、オーディオ符号化器6120の出力信号を多重化し、AV多重化ファイル6200として出力する。また、オーディオ符号化器6120は、さらに、同様にビデオ信号と同期関係にある他のオーディオ信号をアフレコ音声ファイル6210として出力する。
【0005】
一方、圧縮復号化装置6300では、分離器6310は、AV多重化ファイル6200が入力されると、これをビデオ圧縮信号とオーディオ圧縮信号に分離する。そしてビデオ圧縮信号をビデオ復号化器6330に出力し、オーディオ圧縮信号を信号切替器6320に出力する。ビデオ復号化器6330は、上記ビデオ圧縮信号が入力されると、ビデオ復号を行い、ビデオ信号を出力する。また、信号切替器6320は、上記分離器6310からのオーディオ圧縮信号と、外部からのアフレコ音声ファイル6210とが入力されると、何れか一方を選択的に切り替えて、切替オーディオ圧縮信号としてオーディオ復号化器6340に出力する。オーディオ復号化器6340は、上記切替オーディオ圧縮信号が入力されると、オーディオ復号を行い、オーディオ信号を出力する。
【特許文献1】特開2003−199045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような圧縮符号化装置6100、および圧縮復号化装置6300を用いれば、AV多重化ファイル6200とアフレコ音声ファイル6210とを生成し、AV多重化ファイル6200中のビデオ信号と同期させて、多重化されているオーディオ信号とは異なるオーディオ信号を再生することができる。
【0007】
しかしながら、上記のようなアフレコ音声ファイル6210は、上記異なるオーディオ信号をビデオ信号と同期させるために、AV多重化ファイル6200と同時に符号化して生成する必要があり、必ず圧縮符号化装置を必要とする。また、再生する際にも、上記のような信号切替器6320を備えた専用の圧縮復号化装置6300を用いる必要がある。
【0008】
したがって、従来の装置は、規模が大きくなりがちであるとともに、データの汎用性が低いという問題点を有していた。
【0009】
本発明は、上記のような従来の問題点を解決するもので、既に圧縮符号化済みの複数のストリームデータ(プログラムストリーム)から新たなストリームデータを生成できるようにして、圧縮符号化装置を必要とせず、装置の規模を容易に低減できるとともに、汎用性の高いストリームデータを生成できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、
それぞれ、所定の符号化単位における複数の単位データから成る第1のストリームデータと、第2のストリームデータとを合成して、第3のストリームデータを生成するストリームデータ生成方法であって、
上記第1のストリームデータに含まれる第1の単位データから時間情報を抽出し、抽出時間情報として出力する時間情報抽出ステップと、
上記第2のストリームデータから、その第2のストリームデータに含まれる第2の単位データを取り出す単位データ取り出しステップと、
上記抽出時間情報に基づいて、上記第2の単位データに含まれる時間情報を変更し、変換後単位データとして出力する変換ステップと、
上記第1のストリームデータに上記変換後単位データを合成し、第3のストリームデータとして出力する合成ステップと、
を有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2の発明は、
請求項1のストリームデータ生成方法であって、
上記第1のストリームデータ、および第2のストリームデータは、それぞれ、複数種類の単位データを含み、
上記時間情報が抽出される第1の単位データの種類、および第2のストリームデータから取り出される第2の単位データの種類が、所定の指示信号に応じて指定されることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3の発明は、
請求項2のストリームデータ生成方法であって、
上記第1の単位データの種類、および第2の単位データの種類は、同じ種類であり、
上記合成ステップは、第1のストリームデータに含まれる上記第1の単位データを、上記変換後単位データに置換することを特徴とする。
【0013】
また、請求項4の発明は、
請求項2のストリームデータ生成方法であって、
上記第1の単位データの種類、および第2の単位データの種類は、互いに異なる種類であり、
上記合成ステップは、上記第1のストリームデータに、上記変換後単位データを挿入することを特徴とする。
【0014】
また、請求項5の発明は、
請求項4のストリームデータ生成方法であって、
上記第1の単位データは、音声データである一方、第2の単位データは、副映像データであることを特徴とする。
【0015】
これらにより、圧縮符号化装置などを用いることなく、既に圧縮符号化済みの複数のストリームデータが、時間情報が変換されて合成され、新たなストリームデータが生成される。
【0016】
また、請求項6の発明は、
請求項1のストリームデータ生成方法であって、
上記変換ステップは、所定のタイミングにおいて、上記第2の単位データに含まれる時間情報を、上記第1のストリームデータからの抽出時間情報に変更し、その後のタイミングにおいては、各タイミングでの時間情報変更前後の時間差が、上記所定のタイミングでの時間情報変更前後の時間差と等しくなるように、時間情報の変更を行うことを特徴とする。
【0017】
これにより、合成される第2の単位データの時間情報が第1のストリームデータに対応した時間情報に変更されて、合成が行われる。
【0018】
また、請求項7の発明は、
請求項6のストリームデータ生成方法であって、
上記合成ステップは、上記第1の単位データから抽出された抽出時間情報によって示される時間、または上記時間に所定のオフセット時間を加算した時間よりも、
上記第2の単位データにおける変換後の時間情報によって示される時間の方が、
遅い時間である場合に、上記変換後単位データの合成を保留する一方、
早い時間である場合に、上記変換後単位データの合成を行うことを特徴とする。
【0019】
また、請求項8の発明は、
請求項7のストリームデータ生成方法であって、
上記所定のオフセット時間は、ストリームデータにおける所定の符号化単位に相当する時間であることを特徴とする。
【0020】
これらにより、適切なタイミングで合成が行われる。
【0021】
また、請求項9の発明は、
請求項6のストリームデータ生成方法であって、
上記変換ステップは、所定の周期ごとの所定のタイミングにおいて、上記第2の単位データに含まれる時間情報から上記第1のストリームデータの抽出時間情報への変更を行うことを特徴とする。
【0022】
これにより、各ストリームデータを生成した装置のシステムタイムクロックにずれがある場合などでも、時間情報が適切に変更される。
【0023】
また、請求項10の発明は、
請求項1のストリームデータ生成方法であって、
上記第1の単位データは、複数の副単位データとヘッダ情報とを含むものであって、
上記時間情報抽出ステップは、上記ヘッダ情報に時間情報が含まれていない場合に、上記副単位データを解析して、その副単位データに含まれる時間情報を抽出することを特徴とする。
【0024】
また、請求項11の発明は、
請求項1のストリームデータ生成方法であって、
上記第2の単位データは、複数の副単位データとヘッダ情報とを含むものであって、
上記変換ステップは、上記ヘッダ情報に時間情報が含まれていない場合に、上記副単位データを解析して、その副単位データに含まれる時間情報を変更することを特徴とする。
【0025】
これらにより、第1、第2の単位データに時間情報が含まれていないような場合でも、適切な時間情報の変更や合成が行われる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、既に圧縮符号化済みの複数のストリームデータから新たなストリームデータを生成できるので、圧縮符号化装置を必要とせず、装置の規模を容易に低減できるとともに、汎用性の高いストリームデータを生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態として、例えばMPEG−2(Moving Picture Experts Group)のプログラムストリームのように、複数のパック(単位データ)を含むストリームデータを合成して新たなストリームデータを生成する場合の例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
《発明の実施形態1》
ストリームデータ生成装置は、図1に示すように、時間情報取得手段104、パック抜取手段105、パック変換手段106、およびパック挿入手段107を備えて構成されている。このような、ストリームデータ生成装置は、具体的には、ハードウェアによって構成してもよいし、コンピュータに上記各部に相当する処理を行うプログラムを組み込むことによって構成してもよい。特に、パーソナルコンピュータを用いるようにすれば、ユーザが好みの編集を行うといった用途にも使用可能である。
【0029】
時間情報取得手段104は、合成する元となる第1ストリームデータ(a)が第1ストリームデータ入力端子102を介して入力されると、その第1ストリームデータ(a)に含まれるパックのうち、データ種別指示信号入力端子101から入力される置換データ種別指示信号によって示されるパック(例えばオーディオパック)を除去したストリームデータ(a’)を出力するとともに、上記除去したパックのパックヘッダに含まれる時間情報(例えばPTS:Presentation Time Stamp)を抽出し、抽出時間情報として出力するようになっている。なお、時間情報取得手段104は第1ストリームデータ(a)をそのまま出力し、パック挿入手段107でオーディオパック等の除去が行われるようにするなどしてもよい。
【0030】
パック抜取手段105は、合成しようとするパック(例えばオーディオパック)を含む第2ストリームデータ(b)が第2ストリームデータ入力端子103を介して入力されると、上記置換データ種別指示信号によって示されるパックを抜き取り、抜き取りデータ(c)として出力するようになっている。
【0031】
パック変換手段106は、上記パック抜取手段105によって抜き取られたパックのパックヘッダに含まれる時間情報を、時間情報取得手段104によって抽出された抽出時間情報に基づいて、第1ストリームデータ(a)に対応する時間情報に変換した変換データ(d)を出力するとともに、挿入制御信号を出力するようになっている。なお、上記時間情報の変換については後に詳述する。ここで、時間情報の変換が行われた変換データ(d)を直ちに出力せずに一旦保持して、ストリームデータ(a’)に挿入すべきタイミングで出力するようにしたりしてもよい。この場合には、上記挿入制御信号は出力されるようにしなくてもよい。
【0032】
パック挿入手段107は、上記挿入制御信号に応じて、ストリームデータ(a’)に変換データ(d)の各パックを挿入し、出力ストリームデータ(e)としてストリームデータ出力端子108から出力するようになっている。
【0033】
上記のように構成されたストリームデータ生成装置の動作について、図2に示すようにそれぞれビデオパックとオーディオパックとを含む第1、第2ストリームデータ(a)(b)が入力され、第1ストリームデータ(a)のオーディオパックが第2ストリームデータ(b)のオーディオパックに置換される場合の例を説明する。ここで、上記第1、第2ストリームデータ(a)(b)の各オーディオパックには、時間情報T00、T01、T02…、または時間情報T10、T11、T12…が含まれているとする。(時間情報はビデオパックにも同様に含まれているが、ここでは省略する。)
時間情報取得手段104は、データ種別指示信号入力端子101からオーディオパックを示す指示信号が入力されると、第1ストリームデータ(a)からオーディオパックを除いたストリームデータ(a’)をパック挿入手段107に出力する。また、上記オーディオパックの時間情報T00、T01、T02…を抽出して、パック変換手段106に出力する。
【0034】
パック抜取手段105は、データ種別指示信号入力端子101から入力されたオーディオパックを示す指示信号に応じて、第2ストリームデータ(b)からオーディオパックを抜き取り、オーディオパックだけから成る抜き取りデータ(c)をパック変換手段106に出力する。
【0035】
パック変換手段106は、所定の(最初の)タイミングで入力された抜き取りデータ(c)のオーディオパックの時間情報T10を、対応する第1ストリームデータ(a)のオーディオパックからの抽出時間情報T00に置き換える。また、その後のタイミングで入力される抜き取りデータの各オーディオパックについては、それぞれの時間情報T11、T12…に上記最初のオーディオパックについての置き換え前後の時間情報の差分(T00−T10)を加えて、変換後時間情報T1(=T11+T00−T10)、T2(=T12+T00−T10)とした変換データ(d)をパック挿入手段107に出力する。すなわち、各変換後時間情報T00、T1、T2…の相対関係が、変換前の時間情報T10、T11、T12…と等しく、かつ、第1ストリームデータ(a)に対応する変換後時間情報を含むオーディオパックが出力される。
【0036】
パック変換手段106は、また、時間情報取得手段104によって第1ストリームデータ(a)の各オーディオパックから抽出された抽出時間情報と、パック変換手段106によって変換された変換後時間情報とに基づいて、挿入制御信号をパック挿入手段107に出力する。より詳しくは、図3に示すように、時間情報が変換されたオーディオパックの変換後時間情報(によって示される時間)が、抽出時間情報に所定の(15〜30msecなどの)オフセット時間αを加算した時間以前である場合には、上記オーディオパックを出力する際に、挿入制御信号を出力する一方、そうでない場合には、上記挿入制御信号の出力を保留する。ここで、上記オフセット時間αは、必ずしも加算しなくてもよいが、例えば所定の符号化単位に相当する時間、すなわち、MPEG−2のオーディオデータの場合であれば、ブロック化されて1フレームとして処理される所定のサンプル数に対応する時間などに設定すれば、通常、デコード処理等におけるオーディオバッファとビデオバッファとのバランス等を適切に保つことが容易にできる。
【0037】
具体的には、図2、図3の例では、第2ストリームデータ(b)の最初のオーディオパックについて置き換えられた抽出時間情報T00は、T00+αよりも早い時間なので、パック変換手段106は上記オーディオパックとともに挿入制御信号を出力する。そこで、パック挿入手段107は上記オーディオパックを時間情報取得手段104から出力されるストリームデータ(a’)に挿入して、ストリームデータ出力端子108から出力する。(なお、上記のように最初のオーディオパックについて抽出時間情報T00への置き換えが行われる場合には、上記のような時間の比較を行うことなく必ず挿入制御信号が出力されるようにしてもよい。)
また、次に、変換後時間情報がT1の2番目のオーディオパックがパック変換手段106から出力される際に、時間情報取得手段104から次の抽出時間情報T01が未だ出力されていなかったとすると、上記変換後時間情報T1は、例えばパック変換手段106内に最後に保持されたT00+αと比較され、T00+αよりも遅い時間であれば、挿入制御信号は出力されず、その2番目のオーディオパックはパック挿入手段107内の図示しないバッファに保持され、挿入が保留される。そこで、この時点で時間情報取得手段104からビデオパックが出力されたとすると、そのビデオパックは、そのままパック挿入手段107から出力される。
【0038】
その後、時間情報取得手段104から次の抽出時間情報T01が出力され、T01+αよりも上記2番目のオーディオパックの変換後時間情報T1の方が早い時間だと判定されると、パック変換手段106から挿入制御信号が出力され、保留されていた2番目のオーディオパックの挿入が行われる。
【0039】
また、3番目のオーディオパックについての変換後時間情報T2が、T01+αやその後に入力されたT02+αよりも遅い時間であれば、同様に3番目のオーディオパックの挿入は保留され、その間に時間情報取得手段104から出力されたビデオパックはそのままパック挿入手段107から出力される。その後、αを加算した時間がT2よりも遅くなるような抽出時間情報が時間情報取得手段104から出力されたときに、上記3番目のオーディオパックが挿入されてストリームデータ出力端子108から出力される。
【0040】
上記のように、各パックの時間情報を変換し、適切に制御されたタイミングで挿入して合成することにより、圧縮符号化を必要とせず、既に圧縮符号化済みの複数のストリームデータを種々組み合わせて新たなストリームデータを比較的簡単に生成できる。すなわち、圧縮符号化装置を必要としないので、装置の規模や製造コストを低減することが容易にできる。また、上記のようにして生成されるストリームデータの形式は、元のストリームデータと同じ形式に保つことができるので、ストリームデータの汎用性が損なわれることはなく、特別な処理を持つ圧縮復号化装置でなくても復号が可能で、ビデオ、オーディオ、副映像、文字などが視聴できる。
【0041】
なお、上記の例では、第1、第2ストリームデータ(a)(b)がビデオパックとオーディオパックとを含み、オーディオパックが置き換えられる例を示したが、これに限らず、ストリームデータに含まれるデータや置き換えられるデータの内容は特に限定されるものではない。
【0042】
また、置き換えが行われるデータの単位がパックであるとして説明したが、これに限らず、時間情報を含む、所定の単位で符号化されたストリームデータであれば、同様にして置き換えを行うことができる。
【0043】
《発明の実施形態2》
上記のようにオーディオパックの置換が行われるのではなく、副映像パックの挿入が行われる例について説明する。なお、以下の実施形態において、前記実施形態1等と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0044】
ストリームデータ生成装置は、実施形態1のストリームデータ生成装置と比べて、図4に示すように、時間情報取得手段104に代えて時間情報取得手段304を備えている点が異なっている。
【0045】
上記時間情報取得手段304は、時間情報を抽出するパックのデータ種別が、データ種別指示信号入力端子101から入力される挿入データ種別指示信号とは独立に、データ種別指示信号入力端子301から入力される時間抽出データ種別指示信号によって指示されるようになっている。また、上記指示に係わらず、第1ストリームデータ入力端子102から入力された第1ストリームデータ(a)をそのまま出力するようになっている。
【0046】
上記のように構成されたストリームデータ生成装置では、例えば図5に示すように、ビデオパックとオーディオパックとを含む第1ストリームデータ(a)、およびビデオパックと副映像(SPU)パックとを含む第2ストリームデータ(b)が入力されるとともに、データ種別指示信号入力端子101から副映像パックの挿入を示す挿入データ種別指示信号が入力され、データ種別指示信号入力端子301からオーディオパックを示す時間抽出データ種別指示信号が入力されたとすると、次のような動作が行われる。
【0047】
時間情報取得手段304は、第1ストリームデータ(a)をそのまま出力する。また、時間抽出データ種別指示信号に応じて、第1ストリームデータ(a)に含まれる各オーディオパックの時間情報を抽出して出力する。
【0048】
パック抜取手段105は、挿入データ種別指示信号に応じて、第2ストリームデータ(b)に含まれる副映像パックを抜き取り、抜き取りデータ(c)として出力する。
【0049】
パック変換手段106は、実施形態1の場合と同様に、上記抜き取りデータ(c)の副映像パックの時間情報T10、T11、T12、T13…を変換後時間情報T00、T1、T2、T3…に変換した変換データ(d)を出力する。また、上記変換後時間情報T00、T1、T2、T3…と、時間情報取得手段304から出力される抽出時間情報T00、T01、T2…とに基づいて、実施形態1で説明したのと同様に挿入制御信号を出力する。
【0050】
パック挿入手段107は、上記挿入制御信号に応じて、第1ストリームデータ(a)に変換データ(d)の副映像パックを挿入し、ビデオパックおよびオーディオパックに加えて副映像パックを含む出力ストリームデータ(e)をストリームデータ出力端子108から出力する。
【0051】
上記のように、挿入データ種別指示信号と時間抽出データ種別指示信号とが独立して与えられるようにすることにより、元のストリームデータに含まれていない種類のデータを追加することが容易にできる。
【0052】
《発明の実施形態3》
第1、第2ストリームデータ(a)(b)を構成するパックのパックヘッダに時間情報が含まれていない場合でも、ストリームデータの合成を行える場合の例について説明する。
【0053】
ストリームデータ生成装置は、実施形態1のストリームデータ生成装置と比べて、図6に示すように、時間情報取得手段104およびパック変換手段106に代えて、時間情報取得手段404およびパック変換手段406を備えている点が異なっている。
【0054】
時間情報取得手段404は、図7に示すように、第1ストリームデータ入力端子102から第1ストリームデータ(a)として入力された、例えばMPEG−2のプログラムストリームにおけるパックのパックヘッダに時間情報(例えばT00)が含まれている場合には、実施形態1と同様にパックヘッダの時間情報を抽出する一方、パックヘッダに時間情報が含まれていない場合には、パック内部のパケットを解析して、パケットヘッダに含まれる時間情報(例えばT01)を抽出するようになっている。
【0055】
また、パック変換手段406は、第2ストリームデータ入力端子103から第2ストリームデータ(b)として入力された、例えばMPEG−2のプログラムストリームにおけるパックのパックヘッダに時間情報(例えばT10)が含まれている場合には、実施形態1と同様にパックヘッダの時間情報を変換する一方、パックヘッダに時間情報が含まれていない場合には、パック内部のパケットを解析して、パケットヘッダに含まれる時間情報(例えばT11)を変換するようになっている。
【0056】
上記のように、パックヘッダに時間情報が含まれていない場合でも、パックの内部を解析して時間情報を取得できるようにすることにより、種々のストリームデータに対して柔軟に合成を行うことができる。
【0057】
《発明の実施形態4》
2つのストリームデータが互いに異なる装置によって生成された場合などには、時間情報の基準となる各装置のシステムタイムクロックが正確には一致しないために、同時刻に対応する時間情報の値にずれを生じることがある。すなわち、いわゆるクロックのロックがかかっていない状態に等しいことになる。
【0058】
そこで、例えば図8に示すように、実施形態1のパック変換手段106に代えてパック変換手段506を設け、リフレッシュとして定期的に時間情報の上書きを行うことによって、上記のようなずれの影響を回避することができる。具体的には、パック変換手段506は、抜き取りデータ(c)から変換データ(d)を生成する際に、例えば図9に示すように、まず3つ目までのオーディオパックについては、前記実施形態1等と同様に時間情報T10から第1ストリームデータの抽出時間情報T00への置き換え(1つ目)、および時間情報T11、T12からT1(=T11+T00−T10)、T2(=T12+T00−T10)への置き換えを行う。その後、4つ目のオーディオパックについては、時間情報T13をT13+T00−T10ではなく、1つ目の場合と同じように、第1ストリームデータからの抽出時間情報T03に置き換える。このように、定期的に第1ストリームデータ(a)の時間情報に置換することによって、システムタイムクロックのずれが吸収されるので、長時間にわたって、時間情報の整合性を確保することができる。
【0059】
なお、上記各実施形態や変形例で説明した構成は、論理的に可能な範囲で種々組み合わせてもよい。具体的には、例えば、実施形態3で説明したようなパケットを解析して時間情報の変更などをする構成を実施形態2のように異種のパックを挿入する装置に適用してもよく、また、実施形態4で説明したような時間情報がリフレッシュされる構成を実施形態2、3などの構成に適用したりしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明にかかるストリームデータ生成方法は、既に圧縮符号化済みの複数のストリームデータから新たなストリームデータを生成できるので、圧縮符号化装置を必要とせず、装置の規模を容易に低減できるとともに、汎用性の高いストリームデータを生成することができる効果を有し、既存のプログラムストリーム等と称されるストリームデータを合成して新規のストリームデータを生成するストリームデータ生成装置等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】実施形態1のストリームデータ生成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同、各部の入出力データの例を示す説明図である。
【図3】同、変換後時間情報とパックの挿入タイミングの関係を示す説明図である。
【図4】実施形態2のストリームデータ生成装置の構成を示すブロック図である。
【図5】同、各部の入出力データの例を示す説明図である。
【図6】実施形態3のストリームデータ生成装置の構成を示すブロック図である。
【図7】同、各部の入出力データの例を示す説明図である。
【図8】実施形態4のストリームデータ生成装置の構成を示すブロック図である。
【図9】同、各部の入出力データの例を示す説明図である。
【図10】従来のストリームデータ生成装置等の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
101 データ種別指示信号入力端子
102 第1ストリームデータ入力端子
103 第2ストリームデータ入力端子
104 時間情報取得手段
105 パック抜取手段
106 パック変換手段
107 パック挿入手段
108 ストリームデータ出力端子
301 データ種別指示信号入力端子
304 時間情報取得手段
404 時間情報取得手段
406 パック変換手段
506 パック変換手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、所定の符号化単位における複数の単位データから成る第1のストリームデータと、第2のストリームデータとを合成して、第3のストリームデータを生成するストリームデータ生成方法であって、
上記第1のストリームデータに含まれる第1の単位データから時間情報を抽出し、抽出時間情報として出力する時間情報抽出ステップと、
上記第2のストリームデータから、その第2のストリームデータに含まれる第2の単位データを取り出す単位データ取り出しステップと、
上記抽出時間情報に基づいて、上記第2の単位データに含まれる時間情報を変更し、変換後単位データとして出力する変換ステップと、
上記第1のストリームデータに上記変換後単位データを合成し、第3のストリームデータとして出力する合成ステップと、
を有することを特徴とするストリームデータ生成方法。
【請求項2】
請求項1のストリームデータ生成方法であって、
上記第1のストリームデータ、および第2のストリームデータは、それぞれ、複数種類の単位データを含み、
上記時間情報が抽出される第1の単位データの種類、および第2のストリームデータから取り出される第2の単位データの種類が、所定の指示信号に応じて指定されることを特徴とするストリームデータ生成方法。
【請求項3】
請求項2のストリームデータ生成方法であって、
上記第1の単位データの種類、および第2の単位データの種類は、同じ種類であり、
上記合成ステップは、第1のストリームデータに含まれる上記第1の単位データを、上記変換後単位データに置換することを特徴とするストリームデータ生成方法。
【請求項4】
請求項2のストリームデータ生成方法であって、
上記第1の単位データの種類、および第2の単位データの種類は、互いに異なる種類であり、
上記合成ステップは、上記第1のストリームデータに、上記変換後単位データを挿入することを特徴とするストリームデータ生成方法。
【請求項5】
請求項4のストリームデータ生成方法であって、
上記第1の単位データは、音声データである一方、第2の単位データは、副映像データであることを特徴とするストリームデータ生成方法。
【請求項6】
請求項1のストリームデータ生成方法であって、
上記変換ステップは、所定のタイミングにおいて、上記第2の単位データに含まれる時間情報を、上記第1のストリームデータからの抽出時間情報に変更し、その後のタイミングにおいては、各タイミングでの時間情報変更前後の時間差が、上記所定のタイミングでの時間情報変更前後の時間差と等しくなるように、時間情報の変更を行うことを特徴とするストリームデータ生成方法。
【請求項7】
請求項6のストリームデータ生成方法であって、
上記合成ステップは、上記第1の単位データから抽出された抽出時間情報によって示される時間、または上記時間に所定のオフセット時間を加算した時間よりも、
上記第2の単位データにおける変換後の時間情報によって示される時間の方が、
遅い時間である場合に、上記変換後単位データの合成を保留する一方、
早い時間である場合に、上記変換後単位データの合成を行うことを特徴とするストリームデータ生成方法。
【請求項8】
請求項7のストリームデータ生成方法であって、
上記所定のオフセット時間は、ストリームデータにおける所定の符号化単位に相当する時間であることを特徴とするストリームデータ生成方法。
【請求項9】
請求項6のストリームデータ生成方法であって、
上記変換ステップは、所定の周期ごとの所定のタイミングにおいて、上記第2の単位データに含まれる時間情報から上記第1のストリームデータの抽出時間情報への変更を行うことを特徴とするストリームデータ生成方法。
【請求項10】
請求項1のストリームデータ生成方法であって、
上記第1の単位データは、複数の副単位データとヘッダ情報とを含むものであって、
上記時間情報抽出ステップは、上記ヘッダ情報に時間情報が含まれていない場合に、上記副単位データを解析して、その副単位データに含まれる時間情報を抽出することを特徴とするストリームデータ生成方法。
【請求項11】
請求項1のストリームデータ生成方法であって、
上記第2の単位データは、複数の副単位データとヘッダ情報とを含むものであって、
上記変換ステップは、上記ヘッダ情報に時間情報が含まれていない場合に、上記副単位データを解析して、その副単位データに含まれる時間情報を変更することを特徴とするストリームデータ生成方法。
【請求項12】
それぞれ、所定の符号化単位における複数の単位データから成る第1のストリームデータと、第2のストリームデータとを合成して、第3のストリームデータを生成するストリームデータ生成プログラムであって、
上記第1のストリームデータに含まれる第1の単位データから時間情報を抽出し、抽出時間情報として出力する時間情報抽出ステップと、
上記第2のストリームデータから、その第2のストリームデータに含まれる第2の単位データを取り出す単位データ取り出しステップと、
上記抽出時間情報に基づいて、上記第2の単位データに含まれる時間情報を変更し、変換後単位データとして出力する変換ステップと、
上記第1のストリームデータに上記変換後単位データを合成し、第3のストリームデータとして出力する合成ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするストリームデータ生成プログラム。
【請求項13】
それぞれ、所定の符号化単位における複数の単位データから成る第1のストリームデータと、第2のストリームデータとを合成して、第3のストリームデータを生成するストリームデータ生成装置であって、
上記第1のストリームデータに含まれる第1の単位データから時間情報を抽出し、抽出時間情報として出力する時間情報抽出手段と、
上記第2のストリームデータから、その第2のストリームデータに含まれる第2の単位データを取り出す単位データ取り出し手段と、
上記抽出時間情報に基づいて、上記第2の単位データに含まれる時間情報を変更し、変換後単位データとして出力する変換手段と、
上記第1のストリームデータに上記変換後単位データを合成し、第3のストリームデータとして出力する合成手段と、
を備えたことを特徴とするストリームデータ生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−54819(P2006−54819A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−236745(P2004−236745)
【出願日】平成16年8月16日(2004.8.16)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】