説明

スパッタターゲット

【課題】突発的な巨大ダストの発生を抑制し、Nb膜の歩留りを向上させることを可能にしたスパッタターゲットを提供する。
【解決手段】高純度Nbからなるスパッタターゲットであって、Nbの各結晶粒は、平均結晶粒径に対して 0.1〜10倍の範囲の粒径を有すると共に、隣接する結晶粒の粒径サイズの比が 0.1〜10の範囲である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子のライナー材などの形成に好適なNbスパッタターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIに代表される半導体工業は、急速に進捗しつつある。 64MビットDRAMやそれ以降の半導体素子では、高集積化、高信頼性化、高機能化が進むにつれて、微細加工技術に要求される精度も益々高まっている。このような集積回路の高密度化に伴って、AlやCuを主成分として形成される金属配線の幅は1/4μm 以下になりつつある。
【0003】
一方、集積回路を高速で動作させるためには、Al配線やCu配線の抵抗を低減することが必須となる。従来の配線構造では、配線の高さを厚くすることで配線抵抗を低減することが一般的であった。しかし、さらなる高集積化や高密度化が図られた半導体デバイスにおいて、これまでの積層構造では配線上に形成される絶縁膜のカバレッジ性が悪くなり、当然歩留りも低下することになる。このため、デバイスの配線技術そのものを改良することが求められている。
【0004】
そこで、従来の配線技術とは異なる、デュアルダマシン(DD)配線技術を適用することが検討されている。DD配線技術とは、予め配線溝を形成した下地膜上に、配線材となるAlやCuを主成分とする金属をスパッタリング法やCVD法などを用いて成膜し、熱処理(リフロー)により配線金属を溝内に流し込んだ後、CMP(Chemical Mechanical Polishing )法などで余剰の配線金属を除去する技術である。
【0005】
ここで、DD配線構造においては、配線溝内にいかにして良好にAlなどを充填するかが重要となる。充填技術としては、上述したリフロー技術などが適用される。Alのリフロー性を向上させる膜(ライナー膜)としては、一般的にTi膜が用いられている。しかし、Ti膜ではリフロー工程でAlとTiが反応してAl3 Ti化合物が形成され、その結果として配線抵抗が著しく上昇してしまうという問題がある。
【0006】
このようなことから、Tiに代わるAlに対するライナー材料が種々検討されており、その中でも特にNbの使用が効果的であることが報告されている。NbはTiと比較して配線抵抗を低減することができ、またAlのリフロー性についても向上させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、256Mビットや1Gビット以上の集積度を有するDRAMなどの次世代の半導体メモリへの応用を考えた場合、配線膜の抵抗率は例えば 4μΩcm以下が求められる。しかし、従来のNbターゲットを用いて成膜したNb膜をライナー材とし、その上にAl膜やAl合金膜を形成したAl配線膜では、抵抗率を再現性よく 4μΩcm以下に抑えることが困難な状況にある。
【0008】
加えて、配線膜中へのダストの混入などを極力低減する必要があるが、従来のNbターゲットでは例えば 1μm を超えるような巨大なダストが突発的に発生してしまうという問題がある。その結果として、半導体デバイスの製品歩留りは大幅に低下してしまう。
【0009】
上述したように、従来のNbターゲット用いて成膜したNbライナー膜を有するAl配線膜では、256Mビットや1Gビット以上のDRAMなどに求められている、例えば 4μΩcm以下という抵抗率を十分にかつ再現性よく満足させることができない。さらに、Nbライナー膜の成膜中に突発的に巨大なダストが発生してしまい、その結果として半導体デバイスの製品歩留りを低下させてしまう。このように、従来のNbターゲットでは、次世代の半導体メモリなどのへの応用は困難な状況にある。
【0010】
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、突発的な巨大ダストの発生を抑制し、Nb膜の歩留りを向上させることを可能にしたスパッタターゲットを提供することを目的としている。さらに、DD配線技術などを適用してAl配線膜を形成する際に、Al膜のライナー材としてのNb膜の電気特性や品質を高めることを可能にしたスパッタターゲットを提供することを目的としている。具体的には、Al配線膜の抵抗率を例えば 4μΩcm以下に抑えることができるNb膜を再現性よく得ることを可能にしたスパッタターゲットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明におけるスパッタターゲットは、請求項1に記載したように、高純度Nbからなるスパッタターゲットであって、前記Nbの各結晶粒は、平均結晶粒径に対して 0.1〜10倍の範囲の粒径を有すると共に、隣接する結晶粒の粒径サイズの比が 0.1〜10の範囲であることを特徴としている。本発明のスパッタターゲットは、請求項2に記載したように、さらに隣接する結晶粒の粒径サイズの比のターゲット全体としてのバラツキが±30% 以内であることを特徴としている。
【0012】
本発明におけるスパッタターゲットは、酸素含有量が200ppm以下の高純度Nbからなることが好ましい。本発明のスパッタターゲットは、さらにターゲット全体の酸素含有量のバラツキが±80% 以内であること好ましい。
【0013】
Nbターゲット中に含まれるTaは、Nbに比べて酸化しやすく、またTaの酸化物(Ta25 など)は非常に安定な性質を有する。さらに、TaはAlとの反応性が高く、ある温度以上ではAl3 Taなどの金属間化合物を形成する。このような酸化物や金属間化合物が配線中に存在すると、抵抗率を上昇させる働きを示す。
【0014】
そこで、本発明のスパッタターゲットにおいては、不純物としてのTa含有量を3000ppm 以下としている。さらに、ターゲット全体のTa含有量のバラツキは±30% 以内が好ましい。Ta含有量を低減した高純度Nbターゲットによれば、それを用いて成膜したNb膜中のTa量を低く抑えることができる。従って、Ta25 やAl3Taなどの生成に起因する配線膜の抵抗率の上昇を大幅に抑制することが可能となる。
【0015】
本発明のスパッタターゲットにおいては、不純物としての酸素含有量を200ppm以下としている。さらに、ターゲット全体の酸素含有量のバラツキを±80% 以内が好ましい。高純度Nbターゲット中の酸素含有量を低減することによって、それを用いて成膜したNb膜中の酸素量を低く抑えることができる。これによって、配線膜の抵抗率を上昇させる要因の一つとなるTa25 などの生成が抑制され、その結果として配線膜の低抵抗率化を実現することが可能となる。
【0016】
従来のNbターゲットを用いた配線膜の抵抗率を、例えば4μΩcm以下に再現性よく抑えることができなかった理由は、上述したNbに含まれるTaに起因するものである。このことは本発明者らによってはじめて見出されたものである。本発明のスパッタターゲットは、このようなNb膜中に存在するTa、特にTa25 などのTa酸化物が配線膜に及ぼす影響を見出すことにより成されたものである。
【0017】
また、従来のNbターゲットから突発的に発生する巨大なダスト(パーティクル)については、熱影響による歪みを結晶粒が回復しようとした際に、結晶粒のサイズにより異なる歪み量の差が原因となることを見出した。すなわち、隣接する結晶粒の粒径サイズが大きく異なっていると、大きな結晶粒が歪みを回復する過程において、それに隣接して存在する小さな結晶粒が多大な応力を受ける。その結果として、小さな結晶粒の一部もしくはそのもの自体が飛散して、巨大なダストとして基板上に付着する。
【0018】
そこで、本発明のスパッタターゲットにおいては、隣接する結晶粒の粒径サイズの比を 0.1〜10の範囲としている。このように、隣接する結晶粒の粒径サイズの比を小さくすることによって、結晶粒が歪みを回復しようとする過程で生じる応力差を緩和することができる。これによって、巨大なダストの発生が抑制され、Nb膜やそれを具備する配線膜の歩留りを大幅に向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
以上の説明したように、本発明のNbスパッタターゲットは、巨大ダストの発生を再現性よく抑制することを可能にしたものである。あるいは、従来達成することができなかった低抵抗率の配線膜を得ることを可能したものである。従って、このようなスパッタターゲットを用いて成膜した配線膜によれば、信頼性や歩留りを大幅に向上させることが可能となる。さらには配線の低抵抗率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のスパッタターゲットを使用して形成したDD配線構造を有する半導体デバイスの一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0022】
本発明のスパッタターゲットは、高純度Nbからなるものである。スパッタターゲット中の不純物元素量は、一般的に低減することが好ましいとされているが、本発明はNbターゲットを用いて成膜したNb膜の特性に特に影響を及ぼす不純物元素を見出し、それに基づいて特定の不純物元素量を低減すると共に、不純物元素量のバラツキを低く抑えたものである。
【0023】
具体的には、本発明のスパッタターゲットはTaの含有量が3000ppm 以下の高純度Nbからなる。さらに、本発明のスパッタターゲットは酸素含有量が200ppm以下の高純度Nbからなることが好ましい。
【0024】
ここで、NbとTaは隣接した関係にあり、Nb原料には必ずTaが含まれている。これらNbとTaは一般的に高融点金属と呼ばれており、また共に5A族元素であるため、非常に類似した性質を有している。そのため、NbからTaを分離することは容易ではなく、通常のNb材には不純物元素として比較的多くのTaが含まれている。
【0025】
しかし、Taは酸化しやすく、またTa25 などのTa酸化物は非常に安定な性質を有する。さらに、TaはAlとの反応性が高く、ある温度以上ではAl3 Taなどの金属間化合物を形成する。これらTaを含む酸化物や金属間化合物が配線膜中に存在すると、抵抗率を上昇させる働きを示す。
【0026】
Nbターゲット中のTa含有量が多い場合や、Ta含有量のバラツキが大きい場合には、それを用いて成膜したNb膜中やその上に成膜されるAl膜との界面に、急速的にTa2 O5 やAl3 Taが形成され、配線膜の抵抗率を上昇させることになる。実際に溝配線にNb膜をスパッタ成膜した後にAl−Cu膜を形成し、その界面について調査した結果、Ta25 が多量に検出され、そのようなAl配線膜は抵抗率が高いことが判明した。この結果から、従来のNbターゲットを用いた配線膜の抵抗率を、例えば 4μΩcm以下に再現性よく抑えることができなかった理由は、上述したNbに含まれるTa、さらにはTa25 などの生成原因となる酸素に起因することを見出した。
【0027】
そこで、本発明のスパッタターゲットにおいては、ターゲットを構成するNb中のTa含有量を3000ppm 以下としている。このように、Nbターゲット中のTa含有量を3000ppm 以下とするとことによって、それを用いて成膜したNb膜中のTa量を低減することができる。従って、Nb膜中やその上に成膜されるAl膜との界面に形成もしくは存在するTa25 やAl3 Taなどの量は大幅に低下する。
【0028】
さらに、本発明のスパッタターゲットにおいては、ターゲットを構成するNb中の酸素含有量を200ppm以下としている。このようなNbターゲットを用いて成膜したNb膜は、Ta酸化物(Ta2 O5 など)の一方の生成原因となる酸素量が低いことから、Nb膜とその上に成膜されるAl膜(あるいはAl合金膜)との界面などに析出されるTa25 の量を大幅に低減することができる。
【0029】
これらによって、Nb膜を具備する配線膜の抵抗率を大幅に低下させることができる。特に、ライナー材としてNb膜を有するAl配線膜の低抵抗化に大きく寄与する。スパッタターゲット中のTa含有量は2000ppm 以下とすることがより好ましく、さらに好ましく1000ppm 以下である。また、スパッタターゲット中の酸素含有量は150ppm以下とすることがより好ましく、さらに好ましく100ppm以下である。これらによって、より一層配線膜の抵抗率を下げることができる。
【0030】
本発明のスパッタターゲット中のTa含有量のバラツキは、ターゲット全体として±30% 以内とすることが好ましい。このように、ターゲット全体のTa含有量のバラツキを低く抑えることによって、それを用いて形成した配線膜全体の抵抗率を再現性よく下げることが可能となる。ターゲット全体のTa含有量のバラツキは 15%以内とすることがさらに好ましい。
【0031】
また、本発明のスパッタターゲット中の酸素含有量のバラツキは、ターゲット全体として±80% 以内とすることが好ましい。このように、ターゲット全体の酸素含有量のバラツキを低く抑えることによって、それを用いて形成した配線膜全体の抵抗率を再現性よく下げることが可能となる。ターゲット全体の酸素含有量のバラツキは 50%以内とすることがより好ましく、さらに好ましくは 30%以内である。
【0032】
上述したTa含有量および酸素含有量のバラツキは、以下のようにして求めた値を指すものである。例えば、直径 320〜 330mmのスパッタターゲットの表面から 9点の分析用サンプルを採取する。各サンプルは、ターゲットの中心と中心に対してX軸方向およびY軸方向にそれぞれ75mm、 150mmの各位置から採取する。これら 9点の分析用サンプルのTa含有量および酸素含有量を測定する。バラツキはそれらの最大値および最小値から、バラツキ[%] ={(最大値−最小値)/(最大値+最小値)}×100に基づいて求めるものとする。
【0033】
Ta含有量については、通常使用されているICP−AES(結合プラズマ原子発光分光分析)により測定した値とする。酸素含有量については、通常使用されているLECO社の不活性ガス融解・赤外線吸収法により測定した値とする。また、サンプルの採取位置は、ターゲットサイズに応じて適宜調整するものとする。
【0034】
なお、本発明のスパッタターゲット中のTaおよび酸素以外の不純物元素については、一般的な高純度金属材のレベル程度であれは多少含んでいてもよい。しかし、配線抵抗の低減などを図る上で、他の元素についても同様に減少させることが好ましい。
【0035】
本発明の高純度Nbからなるスパッタターゲットは、さらにそれを構成するNb結晶粒の大きさを以下のように制御することが好ましい。すなわち、各結晶粒の粒径を平均結晶粒径に対して 0.1〜10倍の範囲とすると共に、隣接する結晶粒の粒径サイズの比を 0.1〜10の範囲とする。
【0036】
ここで、ターゲットの結晶粒径とダストとの関係は数多く報告されている。通常、ダストと呼ばれているものは、スパッタリングにより飛散した粒子がスパッタ装置内に配置されている防着板やターゲットの非エロージョン領域に付着し、これらが剥離して生じるフレーク状ものや、結晶粒間のギャップに生じた電位差により異常放電が発生し、これに基づいて生じるスプラッシュと呼ばれる溶融粒子などである。いずれにしても、通常は大きさが 0.2〜 0.3μm 程度のものを指している。
【0037】
しかし、従来のNbターゲットから突発的に発生するダストは大きさが 1μm以上と、これまでのダストと比較して極めて大きい。また、形状も岩石のような塊状である。この塊状のダストについて種々調査した結果、結晶粒の一部もしくは結晶粒自体がスパッタリングにより抽出されたようなモードになっていることが判明した。そこで、本発明者らは隣接する結晶粒のサイズに着目して調査した結果、隣接する結晶粒の粒径サイズに大きな差が生じている場合に、上述したような巨大なダストが発生することを見出した。
【0038】
すなわち、ターゲット表面はスパッタリングによりかなりの熱影響を受け、それぞれの結晶粒が有する歪みを回復しようとする。各結晶粒が有している歪み量は、結晶粒のサイズによって異なる。大きな結晶粒が歪みを回復する過程において、それに隣接して小さな結晶粒が存在していると多大な応力を受ける。その結果として、小さな結晶粒の一部もしくはそのもの自体が飛散してしまうという現象が引き起こされる。
【0039】
このような隣接する結晶粒の粒径サイズの差に起因して、結晶粒の一部もしくはそのもの自体が飛散すると、巨大ダストとして基板上に付着し、Nb膜の歩留りを低下させることになる。そこで、本発明のスパッタターゲットにおいては、隣接する結晶粒の粒径サイズの比を 0.1〜10の範囲としている。
【0040】
隣接する結晶粒の粒径サイズの比を10倍以下もしくは1/10以上とすることによって、熱影響を受けた結晶粒が歪みを回復しようとする過程における応力差を緩和することができる。これによって、結晶粒の一部やそのもの自体の飛散を抑えることが可能となる。その結果として、巨大ダストの発生が抑制され、Nb膜やそれを具備する配線膜の歩留りを大幅に向上させることができる。隣接する結晶粒の粒径サイズ比は 0.5〜 5の範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは 0.5〜 1.5の範囲とすることである。
【0041】
また、隣接する結晶粒の粒径サイズ比のバラツキは、ターゲット全体として±30% 以内とすることが好ましい。このように、ターゲット全体の粒径サイズ比のバラツキを低く抑えることによって、それを用いて形成したNb膜全体として巨大ダストの発生を抑制することができる。ターゲット全体の隣接する結晶粒の粒径サイズ比のバラツキは±15% 以内とすることがより好ましく、さらに好まくは±10% 以内である。
【0042】
隣接する結晶粒の粒径サイズ比は、任意の倍率で測定された結晶組織写真(例えば倍率 200倍の光学顕微鏡写真)に直線を引き、その直線に掛かりかつお互いに隣接する30個の結晶粒の結晶粒径(この場合の結晶粒径は 1個の結晶粒を囲む最小円の直径を指す)を測定する。この際の隣接する結晶粒の粒径サイズの比を指すものとする。
【0043】
また、粒径サイズ比のバラツキは、以下のようにして求めた値を指すものである。例えば、直径 320〜 330mmのスパッタターゲットの表面から 9点の分析用サンプルを採取する。各サンプルは、ターゲットの中心と中心に対してX軸方向およびY軸方向にそれぞれ75mm、 150mmの各位置から採取する。これら 9点の分析用サンプルの粒径サイズ比を測定する。バラツキはそれらの最大値および最小値から、バラツキ[%] ={(最大値−最小値)/(最大値+最小値)}×100に基づいて求めるものとする。
【0044】
スパッタターゲット中のNb結晶粒は、上記したように隣接する結晶粒間の粒径サイズ比を 0.1〜10の範囲とすることが特に重要であるが、Nb結晶粒の全体的な結晶粒径のバラツキが大きいと、スパッタ率の異なる結晶粒が多くなり、隣り合う結晶粒間の段差がより大きくなる。このため、Nb結晶粒の結晶粒径は平均結晶粒径に対して 0.1〜10倍の範囲とする。
【0045】
Nb結晶粒の具体的な平均結晶粒径は 100μm 以下の範囲とすることが好ましい。平均結晶粒径が 100μm を超えるとダストが増加し、得られる薄膜の配線抵抗率のバラツキが大きくなる。Nb結晶粒の平均結晶粒径は75μm 以下であることがより好ましく、さらに好ましくは50μm 以下である。
【0046】
なお、Nb結晶粒の平均結晶粒径は、以下のようにして求めた値とする。まず、スパッタターゲットの表面から組成バラツキの測定の場合と同様してサンプルを採取する。各サンプルを研磨し、表面をHF:HNO3 :H2 O=2:2:1 のエッチング液でエッチングした後、光学顕微鏡で組織観察を行う。倍率 200倍の光学顕微鏡写真上に直径50mmの円を描き、その円内に含まれると共に、円周により切られない結晶粒の個数(個数A)と、円周により切られる結晶粒の個数(個数B)とを数える。そして、[円内の結晶粒の総数=個数A+個数B/2]に基づいて結晶粒 1個の面積を算出する。 1個の結晶粒の断面を円と見なし、平均結晶粒径をその直径として算出する。
【0047】
本発明のスパッタターゲットは、例えば以下のようにして作製することができる。
【0048】
まず、スパッタターゲットの形成原料となる高純度Nbを作製する。具体的には、Ta含有量が3000ppm 以下のNb2 5 含有精鉱を化学的に処理して高純度酸化物とする。次いで、例えばAlによるテルミット還元法を利用して粗金属Nbを得る。これを例えばエレクトロンビーム(EB)溶解して高純度Nbを精製する。
【0049】
この際、EB溶解などによる溶解工程は、Ta含有量の減少やバラツキの低減、さらには酸素含有量の減少やバラツキの低減を目的として、複数回繰り返し実施することが好ましい。Ta含有量のバラツキの低減には、ゾーンリファリングによりNb中に存在しているTaを均一分散させることも効果的である。
【0050】
次に、得られたNbのインゴットに対して鍛造、圧延による塑性加工を施す。この塑性加工時の加工率は例えば50〜 98%とする。このような加工率の塑性加工によれば、インゴットに適当量の熱エネルギーを与えることができ、そのエネルギーによってTaや酸素の均質化(バラツキの減少)を図ることができる。塑性加工工程においては、必要に応じて中間熱処理を実施してもよい。
【0051】
また、上述した塑性加工により付与されるエネルギーは、インゴットが有する結晶粒を破壊する。さらに、微小内部欠陥の除去に対しても有効な作用をもたらす。その後、 800〜1300℃程度の温度で 1時間以上の熱処理を施す。塑性加工により一旦結晶粒を破壊したNb材に対して熱処理を施し、Nbの結晶組織を再結晶組織とすることによって、Nb結晶粒の結晶粒径を制御することができる。具体的には、各結晶粒の結晶粒径を平均結晶粒径に対して 0.1〜10倍の範囲とすると共に、隣接する結晶粒の粒径サイズ比を 0.1〜10の範囲とすることができる。再結晶組織化はTa含有量や酸素含有量のバラツキの低減にも寄与する。
【0052】
このようにして得られる高純度Nb素材を所望の円板状に機械加工し、これを例えばAlからなるバッキングプレートと接合する。バッキングプレートとの接合には、ホットプレスなどによる拡散接合を適用することが好ましい。拡散接合時の温度は 400〜 600℃の範囲とすることが好ましい。これは融点が 660℃であるAlの塑性変形の防止すると共に、ターゲット中のTa原子や酸素原子の拡散を防止し、さらにターゲット中のNb結晶粒の結晶粒径に悪影響を及ぼすことを防止するためである。ここで得られた素材を所定サイズに機械加工することによって、本発明のスパッタターゲットが得られる。
【0053】
本発明のスパッタターゲットは、各種電子デバイスの配線膜形成用として用いることができるが、Al膜(またはAl合金膜)に対するライナー材としてのNb膜を形成する際に特に好ましく用いられる。本発明のスパッタターゲットを用いてスパッタ成膜してなるNb膜は、Ta含有量が3000ppm 以下、さらに2000ppm 以下、1000ppm 以下となり、そのバラツキは±30% 以内、さらに 15%以内となる。また、酸素含有量については200ppm以下、さらに150ppm以下、100ppm以下となり、そのバラツキについては±80% 以内、さらに 50%以内、 30%以内となる。加えて、ダスト(特に巨大ダスト)の存在数が極めて少ないものである。
【0054】
このようなNb膜は、上述したようにAl配線のライナー材に好適であり、本発明により得られるNb膜上にAl膜やAl合金膜を存在させて配線膜が構成される。このような配線膜によれば、DD配線技術を適用する際に好適な配線膜構造を提供することができる。そして、256Mビットや1GビットのDRAMなどに求められている、例えば 4μΩcm以下という抵抗率を十分にかつ再現性よく満足させることが可能となる。これは信号遅延の抑制に大きく貢献する。さらに、高密度配線を高信頼性の下で再現性よく実現することが可能となる。これは配線膜の歩留り向上に大きく貢献する。
【0055】
上述したような配線膜は、半導体デバイスに代表される各種の電子部品に使用することができる。具体的には、ULSIやVLSIなどの半導体デバイス、さらにSAWデバイス、TPH、LCDデバイスなどの電子部品が挙げられる。
【0056】
図1は、本発明のスパッタターゲットを使用して形成したNb膜を有するDD配線構造を具備する半導体デバイスの一構成例を示す断面図である。図1において、1は素子構造が形成されたSi基板である。Si基板1上には絶縁膜2が形成されており、この絶縁膜2にはコンタクトホール(図示せず)を介して素子構造に接続された第1のAl配線3が形成されている。
【0057】
第1のAl配線3を有する絶縁膜2上には層間絶縁膜4が形成されており、この層間絶縁膜4に配線溝5(5a、5b、5c) が設けられている。配線溝5a、5cは層間絶縁膜4の表面部に設けられている。配線溝5bは第1のAl配線3に達するように形成されており、接続孔(ヴィアホール)である。
【0058】
各配線溝5a、5b、5c内には、まず本発明のスパッタターゲットを使用して形成したNb膜6がライナー材として形成されている。そして、このNb膜6上にAl膜またはAl合金膜からなる第2のAl配線7が形成されている。これらによって、DD構造のAl配線膜8が構成されている。なお、図中9は絶縁膜である。
【0059】
本発明のスパッタターゲットを使用して形成したNb膜6を有するAl配線膜8は、前述したように 4μΩcm以下というような抵抗率を満足するものであるため、例えば256Mビットや1Gビット以上のDRAMなどの半導体デバイスの動作特性や信頼性を高めることが可能となる。さらに、巨大ダストの混入が少ないことから、高密度配線を高信頼性の下で再現性よく実現することが可能となる。
【実施例】
【0060】
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。
【0061】
実施例1まず、Ta含有量が3000ppm 以下のNb2 O5 含有精鉱を化学的に処理して高純度酸化物とし、これをAlによるテルミット還元法を利用して粗金属Nbを得た。このような粗金属Nbをいくつか用意し、これらを 1回から複数回の間で適宜EB溶解して、Ta含有量が異なる 6種類のNbインゴット(直径 230mm)を作製した。
【0062】
これらの各Nbインゴットを直径 130mmになるまで絞り鍛造し、これを1400℃でアニールした後、再び直径 230〜 240mmまで鍛造し、さらにクロス圧延で直径320〜 330mmの円板状とした。これら円板状のNb板に対してそれぞれ1100℃×120minの条件で熱処理を施すことによって、再結晶組織とした。
【0063】
上記した熱処理後の各Nb板を切削加工して接合用Nb板とし、これらと予め用意したバッキングプレート用Al合金板とを、温度 400〜 600℃、圧力250kg/cm2 の条件でホットプレスして、ターゲット素材となる接合体を作製した。このようにして得た各接合体を直径 320mm×厚さ10mmまで機械加工することによって、目的とするNbスパッタターゲットをそれぞれ得た。
【0064】
このようにして得た 6種類のNbターゲットのTa含有量とそのバラツキを前述した方法に基づいて測定した。Ta含有量は通常使用されているICP−AES(結合プラズマ原子発光分光分析装置:セイコー電子工業社製SPS1200A(商品名))によって分析した。Nbターゲット中のTa含有量とそのバラツキを表1に示す。
【0065】
次に、上記した 6種類のNbスパッタターゲットをそれぞれ用いて、スパッタ方式:ライナースパッタ、背圧: 1×10-5(Pa)、出力DC:15(kW)、スパッタ時間:1(min)の条件下で、予め配線溝を形成したSiウエハ(8インチ)上にNb膜を成膜し、配線溝内を含めて厚さ 0.5μm のライナー膜を形成した。その後、Al−0.5wt%Cuターゲットを用いて、上記した条件と同様な条件下でスパッタを実施し、厚さ 1μm 程度のAl薄膜を形成した。これをリフロー処理によって配線溝内に充填した後、余分なAl膜をCMPで除去することにより配線を形成した。これら各配線の抵抗率を測定した。その結果を表1に示す。
【0066】
【表1】

表1から明らかなように、試料1 〜試料4 の本発明のNbターゲットを用いて成膜したNb膜を具備する配線膜は、抵抗率が他の配線膜と比較して半分以下であることが判明した。このようなNbライナー膜を有する配線膜を使用することによって、配線の低抵抗率化を図ることができ、さらには製品歩留りを大幅に向上させることが可能となる。
【0067】
実施例2実施例1と同様にして作製した粗金属Nbを 3回EB溶解してインゴットを作製した。このNbインゴットを実施例1と同一条件で塑性加工した後、熱処理条件を変えて 6種類のNb材を作製した。熱処理温度は 300℃、 600℃、 800℃、1100℃、1300℃とし、それぞれ 60minの熱処理を行った。また、熱処理を施さないNb材を作製した。
【0068】
このような 6種類のNb材を用いて、それぞれ実施例1と同様にしてNbスパッタターゲットを作製した。Ta含有量については実施例1と同様にIPC−AESにより分析した。Ta含有量は1830ppm 、そのバラツキは 20%であった。
【0069】
次に、上記した 6種類のNbスパッタターゲットをそれぞれ用いて、スパッタ方式:ライナースパッタ、背圧: 1×10-5(Pa)、出力DC:15(kW)、スパッタ時間:1(min)の条件下で、予め配線溝を形成したSiウエハ(8インチ)上にNb膜を成膜し、配線溝内を含めて厚さ 0.5μm のライナー膜を形成した。その後、Al−0.5wt%Cuターゲットを用いて、上記した条件と同様な条件下でスパッタを実施し、厚さ 1μm 程度のAl薄膜を形成した。これをリフロー処理によって配線溝内に充填した後、余分なAl膜をCMPで除去することにより配線を形成した。これら各配線の抵抗率を測定した。その結果を表2に示す。
【0070】
【表2】

表2から明らかなように、本発明のNbスパッタターゲットを用いて成膜したNb膜を具備する配線膜は良好な抵抗率を示した。よって、このようなNbライナー膜を有する配線膜を用いることによって、配線の低抵抗率化を図ることができ、さらには製品歩留まりを大幅に向上させることが可能となる。
【0071】
実施例3まず、酸素量を変化させた粗金属Nbを用意し、これらを 1回から複数回の間で適宜EB溶解して、酸素含有量が異なる 6種類のNbインゴット(直径 230mm)を作製した。
【0072】
これらの各Nbインゴットを直径 130mmになるまで絞り鍛造し、これを1400℃でアニールした後、再び直径 230〜 240mmまで鍛造し、さらにクロス圧延で直径320〜 330mmの円板状とした。これら円板状のNb板に対してそれぞれ1100℃×120minの条件で熱処理を施すことによって、再結晶組織とした。
【0073】
上記した熱処理後の各Nb板を切削加工して接合用Nb板とし、これらと予め用意したバッキングプレート用Al合金板とを、温度 400〜 600℃、圧力250kg/cm2 の条件でホットプレスして、ターゲット素材となる接合体を作製した。このようにして得た接合体を直径 320mm×厚さ10mmまで機械加工することによって、目的とするNbスパッタターゲットをそれぞれ得た。
【0074】
このようにして得た 6種類のNbターゲットの酸素含有量とそのバラツキを前述した方法に基づいて測定した。酸素含有量は通常使用されている不活性ガス融解・赤外線吸収装置(LECO社製TC-436(商品名))により測定した。Nbターゲット中の酸素含有量とそのバラツキを表3に示す。
【0075】
次に、上記した 6種類のNbスパッタターゲットをそれぞれ用いて、スパッタ方式:ライナースパッタ、背圧: 1×10-5(Pa)、出力DC:10(kW)、スパッタ時間:3(min)の条件下で、予め配線溝を形成したSiウエハ(8インチ)上にNb膜を成膜し、配線溝内を含めて厚さ20μm のライナー膜を形成した。その後、Al−0.5wt%Cuターゲットを用いて、上記した条件と同様な条件下でスパッタを実施し、厚さ 1μm 程度のAl薄膜を形成した。これをリフロー処理によって配線溝内に充填した後、余分なAl膜をCMPで除去することにより配線を形成した。これら各配線の抵抗率を測定した。その結果を表3に示す。
【0076】
【表3】

表3から明らかなように、本発明のNbスパッタターゲット(試料2 〜試料7)を用いて成膜したNb膜を具備する配線膜は、抵抗率が他の配線膜と比較して低いことが判明した。従って、このようなNbライナー膜を有する配線膜を使用することによって、配線の低抵抗率化を図ることができ、さらには製品歩留りを大幅に向上させることが可能となる。
【0077】
実施例4実施例3における試料3 のターゲットと同一条件で、Nbインゴットを作製した。このNbインゴットを実施例3と同一条件で塑性加工した後、熱処理条件を変えて 6種類のNb材を作製した。熱処理温度は 300℃、 600℃、 800℃、1100℃、1300℃とし、それぞれ 60minの熱処理を行った。また、熱処理を施さないNb材を作製した。
【0078】
このような 6種類のNb材を用いて、それぞれ実施例1と同様にしてNbスパッタターゲットを作製した。酸素含有量について、実施例3と同様にして測定した結果、実施例3における試料3 のターゲットとほぼ同様な値を示した。
【0079】
次に、上記した 6種類のNbスパッタターゲットをそれぞれ用いて、スパッタ方式:ライナースパッタ、背圧: 1×10-5(Pa)、出力DC:10(kW)、スパッタ時間:3(min)の条件下で、予め配線溝を形成したSiウエハ(8インチ)上にNb膜を成膜し、配線溝内を含めて厚さ20μm のライナー膜を形成した。その後、Al−0.5wt%Cuターゲットを用いて、上記した条件と同様な条件下でスパッタを実施し、厚さ 1μm 程度のAl薄膜を形成した。これをリフロー処理によって配線溝内に充填した後、余分なAl膜をCMPで除去することにより配線を形成した。これら各配線の抵抗率を測定した。その結果を表4に示す。
【0080】
【表4】

表4から明らかなように、本発明のNbスパッタターゲット(試料3 〜試料6)を用いて成膜したNb膜を具備する配線膜は、良好な抵抗率を示した。従って、このようなNbライナー膜を有する配線膜を用いることによって、配線の低抵抗率化を図ることができ、さらには製品歩留りを大幅に向上させることが可能となる。
【0081】
実施例5まず、実施例1と同様にして作製した粗金属NbをEB溶解して、直径 230mmのNbインゴットを作製した。このようなNbインゴットに対して実施例1と同様な鍛造および圧延を施した。ただし、各段階での加工条件を変えることによって、それぞれ表5に示す加工率で塑性加工した。なお、加工率の計算方法は、{100−(塑性加工後のNb材の厚さ/インゴットの高さ)×100 }とする。
【0082】
このようにして得た円板状のNb板に対して、それぞれ1100℃× 120min の条件で熱処理を施して再結晶組織とした。これら各Nb板を切削加工して接合用Nb板とし、これらと予め用意したバッキングプレート用Al合金板とを温度 400〜 600℃、圧力250kg/cm2 の条件でホットプレスして、ターゲット素材となる接合体を作製した。このようにして得た接合体を直径 320mm×厚さ10mmまで機械加工することによって、目的とするNbスパッタターゲットをそれぞれ得た。
【0083】
次に、上記した各Nbスパッタターゲットをそれぞれ用いて、スパッタ方式:DCスパッタ、背圧: 1×10-5Pa、出力DC:15kW、スパッタ時間:1minの条件下で、Siウエハ(8インチ)上に厚さ 0.5μm のNb膜をそれぞれ成膜した。なお、成膜したSi基板の枚数はそれぞれ 500枚とした。
【0084】
これら各Nb膜について、Nb結晶粒の平均結晶粒径に対する粒径範囲、隣接する結晶粒の粒径サイズ比およびそのバラツキを測定した。さらに、各Nb膜中に存在する大きさ 1μm 以上の巨大ダストの数を測定した。それらの結果を表5に示す。
【0085】
【表5】

表5から明らかなように、本発明のNbスパッタターゲット(試料1 〜試料3)を用いて成膜したNb膜では、巨大ダストが存在していないのに対し、本発明との比較例として作製したNbスパッタターゲット(試料4 〜試料6)では、それを用いて成膜したNb膜中に巨大ダストが存在していることが分かる。従って、このような本発明のNb膜を用いることによって、配線膜およびそれを用いた各種デバイスの歩留りを大幅に向上させることが可能となる。
【0086】
実施例6実施例5と同様にして、加工率85% で鍛造および圧延を施したNb板に対し、熱処理なし、あるいは 300℃、 600℃、 800℃、1100℃、1300℃で 60minの熱処理を施して、 6種類のNb材を作製した。これら 6種類のNb材を用いて、それぞれ実施例1と同様にしてNbスパッタターゲットを作製した。
【0087】
次に、上記した 6種類のNbスパッタターゲットをそれぞれ用いて、スパッタ方式:DCスパッタ、背圧: 1×10-5Pa、出力DC:15kW、スパッタ時間:1minの条件下で、Siウエハ(8インチ)上に厚さ 0.5μm のNb膜をそれぞれ成膜した。なお、成膜したSi基板の枚数はそれぞれ 500枚とした。
【0088】
これら各Nb膜について、Nb結晶粒の平均結晶粒径に対する粒径範囲、隣接する結晶粒の粒径サイズ比およびそのバラツキを測定した。さらに、各Nb膜中に存在する大きさ 1μm 以上の巨大ダストの数を測定した。それらの結果を表6に示す。
【0089】
【表6】

表6から明らかなように、本発明のNbスパッタターゲット(試料4〜試料6)を用いて成膜したNb膜では、巨大ダストが存在していないのに対し、本発明との比較例として作製したNbスパッタターゲット(試料1〜試料3)では、それを用いて成膜したNb膜中に巨大ダストが存在していることが分かる。従って、このような本発明のNb膜を用いることによって、配線膜およびそれを用いた各種デバイスの歩留りを大幅に向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
1……Si基板
2、4、9……絶縁膜
3、7……Al配線
5……配線溝
6……Nb膜
8……DD構造のAl配線膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度Nbからなるスパッタターゲットであって、前記Nbの各結晶粒は、平均結晶粒径に対して 0.1〜10倍の範囲の粒径を有すると共に、隣接する結晶粒の粒径サイズの比が 0.1〜10の範囲であることを特徴とするスパッタターゲット。
【請求項2】
請求項1記載のスパッタターゲットにおいて、ターゲット全体の前記隣接する結晶粒の粒径サイズの比のバラツキが±30% 以内であることを特徴とするスパッタターゲット。
【請求項3】
請求項1又は2記載のスパッタターゲットにおいて、前記隣接する結晶粒の粒径サイズの比が 0.5〜 5の範囲であることを特徴とするスパッタターゲット。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項記載のスパッタターゲットにおいて、前記Nbの平均結晶粒径は 100μm 以下であることを特徴とするスパッタターゲット。
【請求項5】
請求項4記載のスパッタターゲットにおいて、酸素含有量が200ppm以下であることを特徴とするスパッタターゲット。
【請求項6】
請求項5記載のスパッタターゲットにおいて、前記スパッタターゲットはバッキングプレートと接合されていることを特徴とするスパッタターゲット。
【請求項7】
請求項6記載のスパッタターゲットにおいて、前記スパッタターゲットと前記バッキングプレートとは拡散接合されていることを特徴とするスパッタターゲット。
【請求項8】
請求項7記載のスパッタターゲットにおいて、Al膜またはAl合金膜に対するライナー材としてのNb膜の形成に用いられることを特徴とするスパッタターゲット。

【図1】
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【公開番号】特開2009−149996(P2009−149996A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−55532(P2009−55532)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【分割の表示】特願平11−180773の分割
【原出願日】平成11年6月25日(1999.6.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】