説明

スピントルク発振素子再生ヘッド及び磁気記録再生装置

【課題】再生信号におけるビット間干渉ノイズを低減する。
【解決手段】一実施形態のスピントルク発振素子再生ヘッドは、スピントルク発振素子及び一対のシールド部を備える。スピントルク発振素子は、磁気記録媒体に対向する第1の対向面を有する。前記スピントルク発振素子は、1対のシールド部の間に配置される。シールド部は、前記磁気記録媒体に対向する第2の対向面をそれぞれ有する。前記第2の対向面のそれぞれと前記磁気記録媒体との距離は、前記第1の対向面と前記磁気記録媒体との距離よりも短い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スピントルク発振素子を備える磁気再生ヘッド、及びこの磁気再生ヘッドを備える磁気記録再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気記録媒体を備える磁気記録再生装置としては、例えば、ハードディスクドライブ(以下、HDDと呼ぶ)がある。HDDでは、磁気記録媒体としての磁気ディスクに記録されている磁気情報は、磁気再生ヘッド内の磁気センサによって読み出される。磁気再生ヘッド用の磁気センサとしては、従来からGMRセンサ又はTMRセンサといった磁気抵抗効果センサが用いられている。
【0003】
HDDにおける磁気記録密度は、年々増加している。2011年現在で製品化されているHDDの最大面記録密度は、約700Gbit/inである。HDDの技術ロードマップによれば、面記録密度は、2013年頃に1Tbit/in、2015年頃に2Tbit/inに達するとされる。
【0004】
面記録密度を大きくすることは、磁気ディスク内の媒体ビットのサイズを小さくすることに対応する。磁気センサのサイズは、媒体ビットのサイズに適合するように小さくする必要がある。今後、媒体ビットのサイズ及び磁気センサのサイズがさらに小さくなると、再生信号中のノイズが増大し、従来の磁気抵抗効果センサでは実用的なSN比(signal-to-noise ratio)を確保できなくなると考えられている。SN比低下の要因としては、例えば、熱的マグノイズ、ビット間干渉ノイズ等がある。熱的マグノイズは、磁気センサ内の磁性層磁化の熱による揺らぎに起因するノイズである。ビット間干渉ノイズは、情報を読み出したい媒体ビット(ターゲットビット)以外の媒体ビットによる磁場が磁気センサに作用することに起因するノイズである。
【0005】
熱的マグノイズを抑制することができる磁気センサとして、スピントランスファ効果を利用するスピントルク発振素子磁気センサが提案されている。スピントルク発振素子(Spin-Torque Oscillator; STO)は、磁化フリー層、スペーサ層、及び強磁性層(例えば磁化ピンド層)を順次に積層した積層膜を基本構造として持つ。スピントルク発振素子に通電すると、電流が磁化ピンド層によりスピン偏極され、スピン偏極した電流により磁化フリー層の磁化が定常振動する。スピントルク発振素子を磁気センサとして用いる磁気再生ヘッド(スピントルク発振素子再生ヘッドともいう。以下、STO再生ヘッドと称する。)は、磁化振動の振幅及び周波数がスピントルク発振素子に作用する外部磁場に依存することを利用して、磁気記録媒体から情報を読み出すことができる。磁化の振動エネルギーが熱的エネルギーよりも十分大きければ、磁化の熱による揺らぎが相対的に抑制されるので、スピントルク発振素子を磁気センサとして用いることにより、熱的マグノイズの問題を回避することができると考えられている。
【0006】
一方、ビット間干渉ノイズは、ターゲットビット以外の媒体ビットからの磁場を吸収するように磁気シールドを設けることで抑制できるとされる。磁気シールドは、磁気センサが磁気シールド間に配置されるように設けられる。媒体ビットのサイズの縮小化には、磁気シールド間のギャップを小さくすることで対応する。しかしながら、磁気センサは、磁気シールド間に配置されるので、磁気シールド間のギャップは、磁気センサの積層膜の厚さより小さくすることができない。このため、磁気シールド間のギャップの狭小化によるビット間干渉ノイズの抑制には限界があるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4098786号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】K. Mizushima et al., “Signal-to-noise ratios in high-signal-transfer-rate read heads composed of spin-torque oscillators”, Journal of Applied Physics, 107, 063904 (2010).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、スピントルク発振素子を磁気センサとして用いることにより、熱的マグノイズの問題は回避できると考えられているが、ビット間干渉ノイズの低減には限界があるとされる。従って、STO再生ヘッドにおいては、再生信号におけるビット間干渉ノイズを低減できることが求められる。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、再生信号におけるビット間干渉ノイズを低減することができるSTO再生ヘッド及び磁気記録再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態に係るスピントルク発振素子再生ヘッドは、スピントルク発振素子及び一対のシールド部を備える。スピントルク発振素子は、磁気記録媒体に対向する第1の対向面を有する。前記スピントルク発振素子は、1対のシールド部の間に配置される。シールド部は、前記磁気記録媒体に対向する第2の対向面をそれぞれ有する。前記第2の対向面のそれぞれと前記磁気記録媒体との距離は、前記第1の対向面と前記磁気記録媒体との距離よりも短い。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係るSTO再生ヘッドを概略的に示す断面図。
【図2】図1に示したスピントルク発振素子の上部に絶縁層が設けられている例を示す断面図。
【図3】図1に示したスピントルク発振素子に作用する磁場の大きさの距離依存性を示すグラフ。
【図4】(A)は図1のスピントルク発振素子の周波数変化の測定結果を示すグラフであり、(B)は図1のスピントルク発振素子に印加したパルス磁場を示すグラフである。
【図5】第2の実施形態に係るSTO再生ヘッドを概略的に示す断面図。
【図6】第3の実施形態に係るSTO再生ヘッドを概略的に示す断面図。
【図7】第4の実施形態に係るSTO再生ヘッドを概略的に示す断面図。
【図8】図7に示した発振層、ターゲットビット及びバイアス磁場源を抜き出して示す概略図。
【図9】第4の実施形態の変形例に係るSTO再生ヘッドを概略的に示す断面図。
【図10】第4の実施形態の他の変形例に係るSTO再生ヘッドを概略的に示す断面図。
【図11】図7のXI-XI線に沿ったSTO再生ヘッドの断面図。
【図12】図7に示すバイアス磁場源からのバイアス磁場に対する発振周波数変化量を示すグラフ。
【図13】第5の実施形態に係る磁気記録再生装置を概略的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、必要に応じて図面を参照しながら、実施形態に係るスピントルク発振素子再生ヘッド及び磁気記録再生装置を説明する。以下の実施形態では、スピントルク発振素子再生ヘッドをSTO(Spin-Torque Oscillator)再生ヘッドと称する。なお、以下の実施形態では、同一の番号を付した部分については同様の動作を行うものとして、重ねての説明を省略する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るSTO再生ヘッド100を概略的に示している。このSTO再生ヘッド100は、磁気記録媒体150に記録されている情報を再生するために使用される。磁気記録媒体150としては、例えば、ハードディクスドライブ(HDD)に搭載される磁気ディスクがある。本実施形態では、STO再生ヘッド100がHDDに適用される場合を例に挙げて説明する。本実施形態の磁気記録媒体150は磁気ディスクである。
【0015】
磁気記録媒体150には、その中心から半径方向に沿って等間隔に複数の円環状のトラックが形成されている。これらトラックの各々には、媒体ビット(例えば、媒体ビット151、152、153)が等間隔に配列されている。媒体ビットが配列される間隔は、同一トラック内で等間隔であればよく、トラックごとに異なっていてもよい。
【0016】
説明を簡単にするために、図1に示すように、X方向、Y方向及びZ方向を定義する。Z方向はトラック方向を表し、X方向はクロストラック方向(半径方向)を表す。また、Y方向は磁気記録媒体150の表面(又は記録面)に垂直な方向を表す。さらに、STO再生ヘッド100側を上、磁気記録媒体150側を下として、Y方向に沿って上下方向を定義する。
【0017】
図1に示される磁気記録媒体150は、記録面に対して垂直な方向に磁化容易軸を有する垂直磁気記録媒体である。媒体ビットは、その磁化方向に応じた情報を保持する。例えば、磁化方向が上向きの媒体ビット152は、情報“0”を保持し、磁化方向が下向きの媒体ビット151、153は、情報“1”を保持する。さらに、媒体ビットは、その磁化方向に応じた媒体磁場を発生する。STO再生ヘッド100は、スピントルク発振素子110に作用する媒体ビットからの媒体磁場を検出することで、その媒体ビットが保持する情報を読み出すことができる。
【0018】
情報再生時には、磁気記録媒体150が図示しない回転機構により回転され、即ち、STO再生ヘッド100がZ方向に相対的に移動する。それにより、スピントルク発振素子110に作用する媒体磁場が時々刻々と変化する。STO再生ヘッド100は、時々刻々と変化する媒体磁場を検出することで、磁気記録媒体150から情報を次々に読み出すことができる。
【0019】
本実施形態では、STO再生ヘッド100の直下に位置し、情報を読み出す対象になっている媒体ビットをターゲットビットと呼ぶ。さらに、ターゲットビットの周辺に位置している媒体ビットを隣接ビットと呼ぶ。図1では、ターゲットビットは媒体ビット152であり、隣接ビットは媒体ビット151、153等を含む。
【0020】
なお、磁気記録媒体150は、ハードディスクドライブの磁気ディスクである例に限らず、任意の他の磁気記録媒体であってもよい。さらに、磁気記録媒体150は、垂直磁気記録媒体である例に限らず、記録面に対して水平な方向に磁化容易軸を有する面内磁気記録媒体であってもよい。
【0021】
図1に示されるSTO再生ヘッド100は、スピントルク発振素子110及び一対のシールド膜(磁気シールド)120A、120Bを備える。スピントルク発振素子110は、シールド膜120Aとシールド膜120Bとの間に配置されている。スピントルク発振素子110は、磁気記録媒体150の表面に対向する媒体対向面118を有する。また、シールド膜120A、120Bは、磁気記録媒体150の表面に対向する媒体対向面121A、121Bをそれぞれ有する。シールド膜は、膜だが厚みがあるので、膜と呼ばないこともある。ここでは、シールド膜をシールド部と呼ぶこともある。
【0022】
媒体対向面121A、121Bのそれぞれと磁気記録媒体150の表面との距離は、媒体対向面118と磁気記録媒体150の表面との間の距離より小さい。即ち、媒体対向面121A、121Bは、媒体対向面118よりも磁気記録媒体150側に突出している。媒体対向面121A、121Bの各々と媒体対向面118との間のY方向の距離は、磁気記録媒体150の媒体ビットが発生する磁場の大きさ、シールド膜120A、120Bの材料及び形状等に応じて適宜に決められる。
【0023】
スピントルク発振素子110は、発振層114を含む多層構造(積層膜)を有する。具体的には、スピントルク発振素子110は、非磁性層111と、非磁性層111に積層されている強磁性層112と、強磁性層112に積層されているスペーサ層113と、スペーサ層113に積層されている発振層114と、発振層114に積層されている非磁性層115とを含む。
【0024】
スペーサ層113は、銅等の非磁性金属で、或いは、酸化マグネシウム、アルミナ等の非磁性絶縁体で形成される。スペーサ層113が非磁性金属で形成されている場合、スピントルク発振素子110の多層構造は、いわゆるGMR(giant magnetoresistance effect)素子及びCPP(current perpendicular plane)−GMR素子の多層構造と同一である。また、スペーサ層113が非磁性絶縁体で形成されている場合、スピントルク発振素子110の多層構造は、いわゆるTMR(tunnel magnetoresistance effect)素子の多層構造と同一である。
【0025】
強磁性層112は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等の金属、或いは、それらの合金で形成される。本実施形態の強磁性層112は、積層膜の膜面に平行な方向に固定されている磁化117を有する。ここでは、非磁性層111、強磁性層112、スペーサ層113、発振層114及び強磁性層115が積層される方向(積層方向)に垂直な面を膜面と呼ぶ。
【0026】
発振層114は、鉄、コバルト、ニッケル等の金属、或いは、それらの合金で形成される。発振層114は磁化116を有し、この磁化116の向きは可変である。非磁性層111、115は、非磁性金属で形成される。
【0027】
シールド膜120A、120Bは、スピントルク発振素子110に作用する磁場の大部分がターゲットビット152から発生する磁場になるように、隣接ビット151、153から発生する磁場を吸収する。即ち、シールド膜120A、120Bは、隣接ビット151、153からの磁場がスピントルク発振素子110に作用するのを防ぐ磁気シールドとして機能する。媒体ビットからの磁場は、図1において磁力線180で示されるように、シールド膜120A、120Bに吸収される。シールド膜120A、120Bは、大きな透磁率を有するパーマロイ等の軟磁性金属で形成される。
【0028】
さらに、シールド膜120A、120Bは、スピントルク発振素子110に通電するための一対の電極として機能する。スピントルク発振素子110は、一対のシールド膜120A、120Bを通じて直流電流Iを通電することにより発振する。スピントルク発振素子110には、図示しない電源から直流電流Iが供給される。強磁性層112は、直流電流Iに対するスピンフィルタとして働く。強磁性層112を通過した直流電流Iは、発振層114に対するスピン偏極電流となり、発振層114の磁化116にスピントルク(スピントランスファトルクともいう)を作用させる。その結果、磁化116は、定常的に振動する。
【0029】
具体的には、直流電流Iは、スピントルク発振素子110の積層膜の膜面に対して垂直に通電される。本実施形態では、電流Iは、図1の矢印に示されるように、非磁性層115から非磁性層111の方向に通電される。即ち、電子が非磁性層111から非磁性層115の方向へ移動する。電子は、強磁性層112の磁化117によってスピン偏極される。スピン偏極された電子は、スペーサ層113を経由して発振層114に注入される。スピン偏極された電子が発振層114の磁化に作用し、それにより、発振層114の磁化116の歳差運動が誘起される。このようにして、磁化116は、直流電流Iの通電下において定常的に振動する。
【0030】
磁化116が振動状態にある場合、磁化116と磁化117の相対角度が時々刻々と変化する。磁化116と磁化117の相対角度の変化は、磁気抵抗効果によりスピントルク発振素子110の抵抗の変化をもたらす。従って、スピントルク発振素子110の抵抗は、磁化116と磁化117の相対角度の変化に従って変化する。その結果、シールド膜120Aとシールド膜120Bとの間の電圧に交流成分が生じる。電圧の交流成分は、図示しない高周波回路によって取り出され、高周波電圧(振動電圧)が得られる。このようにして、スピントルク発振素子110からは、高周波電圧が出力される。
【0031】
電圧出力の周波数は、磁化116の発振周波数と等価であり、例えば、発振層114のサイズ及び膜厚、外部磁場の大きさ等に依存する。電圧出力の周波数は、外部磁場に依存することから、媒体ビットからの磁場にも依存する。従って、電圧出力の周波数を検出することで媒体ビットの磁化方向を検出することができる。
【0032】
STO再生ヘッド100による媒体ビットの読み取り動作は、スピントルク発振素子110を直流電流Iにより発振させた状態でなされる。スピントルク発振素子110が発振した状態で、スピントルク発振素子110を、Z方向に磁気記録媒体150に対して相対移動させることにより、STO再生ヘッド100は、媒体ビットからの媒体磁場を次々に検出する。媒体磁場の検出は、電圧出力の周波数の変化(周波数変化は位相変化でもある)を検出することによってなされる。
【0033】
より具体的には、図1は、STO再生ヘッド100がターゲットビット152を読み出す状態を模式的に示している。上述したように、STO再生ヘッド100においては、媒体対向面121A、121Bのそれぞれと磁気記録媒体150の表面との距離は、媒体対向面118と磁気記録媒体150の表面との間の距離より小さい。この場合、媒体対向面121A、121Bのそれぞれと磁気記録媒体150の表面との距離が媒体対向面118と磁気記録媒体150の表面との間の距離と同じである場合よりも、多くの媒体磁場がシールド膜120A、120Bに吸収される。媒体ビット151、153を含む隣接ビットからの磁場の大部分は、シールド膜120A、120Bに吸収される。これにより、ターゲットビット152からの磁場をピンポイントに検出することが可能になる。その結果、再生信号としての電力出力におけるビット間干渉ノイズを抑制することができる。
【0034】
なお、図1では、スピントルク発振素子110の上部の構造は特に示されていないが、この部分は、自由空間であってもよく、絶縁層を設けてもよい。図2は、スピントルク発振素子110の上部であって、シールド膜120Aとシールド膜120Bとの間の部分に絶縁層201が設けられる例を示している。絶縁層201は、磁気的に無反応な非磁性体で形成される。
【0035】
本実施形態では、隣接ビット151、153からの磁場とともに、ターゲットビット152からの磁場もシールド膜120A、120Bに部分的に吸収される。従って、発振層114に作用するターゲットビット152からの媒体磁場も小さくなる。しかしながら、発振層114に作用するターゲットビット152からの磁場が小さくなったとしても、電圧出力の周波数(又は位相)が十分に変化する。このことを以下に説明する。
【0036】
まず、図3を参照して、スピントルク発振素子110と磁気記録媒体150との距離が大きくなるに従い、発振層114に作用する媒体磁場が小さくなることを説明する。
図3は、発振層114に作用する媒体磁場の、シールド膜の媒体対向面からの距離依存性を計算した結果を示している。計算は、マイクロマグネティックシミュレーションによって行った。ターゲットビットは、図1の媒体ビット152のような上向きの媒体ビットとして、発振層114に作用する媒体磁場のY方向成分を計算した。図3において、横軸は、シールド膜の媒体対向面とスピントルク発振素子の媒体対向面との距離を示し、縦軸は、発振層に作用する磁場のY方向成分の大きさを示す。
【0037】
このシミュレーションでは、媒体ビットのサイズを27×9×12nm、媒体ビットの飽和磁化Msを600emu/cmとした。また、シールド膜間の距離(即ち、シールドギャップ)を15nmとした。さらに、磁気記録媒体の表面と各シールド膜の媒体対向面との距離を6nmとした。さらにまた、シールド膜の材料として飽和磁化Msが800emu/cmのパーマロイを用いると仮定した。
【0038】
図3に示されるシミュレーション結果からは、スピントルク発振素子の媒体対向面と各シールド膜の媒体対向面との距離が大きくなるほど、スピントルク発振素子に作用する媒体磁場が小さくなることがわかる。例えば、サイズが20nm程度のスピントルク発振素子が各シールド膜の媒体対向面から約15nmだけ離して配置される場合には、約50 Oeの平均媒体磁場がスピントルク発振素子に作用する。
【0039】
次に、発振層114に作用する磁場が小さい場合であっても、スピントルク発振素子の出力電圧の周波数(又は位相)が十分に変化することを説明する。
発明者らは、MgO/CoFeB系TMR膜を用いたスピントルク発振素子を作成し、スピントルク発振素子に約60 Oeのパルス磁場を印加してスピントルク発振素子の周波数変化を測定した。測定結果からは、スピントルク発振素子の周波数が400MHz/60 Oeという十分大きな変化を示すことが確認された。この実験について以下に詳細に説明する。
【0040】
実験に使用したスピントルク発振素子は、膜面の形状が楕円であるピラー状に加工した。この楕円の長径は210nmであり、短径は120nmである。このスピントルク発振素子では、発振層はCoFeB膜(3nm)であり、スペーサ層はMgO膜(0.85nm)である。さらに、強磁性層は、CoFeB(3nm)/Ru(0.95nm)/CoFe(2.5nm)の積層膜に形成した。素子抵抗は164Ωであり、磁気抵抗効果比は73%であった。スピントルク発振素子に約290 Oeの面内磁場を印加し、0.7mAの直流電流を通電すると、発振層の磁化は約3.5GHzの周波数で発振した。
【0041】
スピントルク発振素子にパルス磁場を印加するために、スピントルク発振素子の直上にパルス磁場発生用の伝送線路を形成した。伝送線路に約0.45Vの電圧を印加すると、伝送線路からスピントルク発振素子に約60 Oeの磁場が作用することが確認された。発振層の磁化が約3.5GHzの周波数で発振した状態で、大きさ約0.45V、立ち上がり時間0.3ns、幅1nsのパルス磁場を印加したところ、スピントルク発振素子の電圧出力がパルス磁場に追従して変化することが確認された。
【0042】
図4(A)及び(B)は、上記実験の結果を示している。より詳細には、図4(B)は、スピントルク発振素子に印加したパルス磁場を示し、図4(A)は、図4(B)に示されるパルス磁場を印加したときのスピントルク発振素子の電圧出力を示す。図4(A)及び図4(B)からは、約60 Oeのパルス磁場を印加すると、スピントルク発振素子の周波数が約3.5GHzから約3.1GHzに変化したことがわかる。なお、図4(A)は、スピントルク発振素子の出力の測定データにヒルベルト変換を施して瞬時周波数を求めてプロットしたものである。
【0043】
以上のことから、約50 Oeという小さい媒体磁場であっても、スピントルク発振素子の周波数(又は位相)は十分に変化する。即ち、第1の実施形態に係るSTO再生ヘッド100は、約50 Oeの媒体磁場を十分に検出することが可能である。なお、GMRセンサ又はTMRセンサを備えた従来の磁気再生ヘッドでは、再生感度を確保するために、媒体磁場の大きさとして、500 Oe程度必要である。そのため、上で例示した、約50 Oeという媒体磁場は、従来の磁気再生ヘッド技術における媒体磁場に比べて非常に小さい。
【0044】
以上のように、本実施形態に係るSTO再生ヘッドは、各シールド膜の媒体対向面と磁気記録媒体の表面との距離がスピントルク発振素子の媒体対向面と磁気記録媒体の表面との間の距離より小さくなるように、スピントルク発振素子がシールド膜間に配置されている。これにより、スピントルク発振素子は、磁気記録媒体のターゲットビットからの磁場を効率的に検出することが可能となる。その結果、再生信号におけるビット間干渉ノイズを低減することができる。
【0045】
なお、スピントルク発振素子は、図1に示される積層構造を有するスピントルク発振素子に限らず、任意の他のスピントルク発振素子であってもよい。例えば、強磁性層112は、磁化の向きが可変であるフリー層であってもよい。強磁性層112がフリー層である場合、スピントルク発振素子110に直流電流Iを通電することで、強磁性層112の磁化117及び発振層114の磁化116を、一定の位相差を持って振動させることが可能である。この場合にも、外部磁場(媒体ビットからの磁場)に応じて電圧出力の周波数が変化する。
【0046】
さらに、電圧出力の周波数の変化を検出する方式に限らず、電圧出力の位相の変化を検出する方式を使用して磁気記録媒体から情報を読み出してもよい。
【0047】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係るSTO再生ヘッド500を概略的に示している。STO再生ヘッド500には、スピントルク発振素子110の媒体対向面118の下部であって、シールド膜120A、120Bにより規定される部分に絶縁層501が設けられている。絶縁層501は、磁気的に無反応な非磁性体で形成される。
【0048】
本実施形態では、絶縁層501の媒体対向面502とシールド膜120Aの媒体対向面121Aとシールド膜120Bの媒体対向面121Bとによって、STO再生ヘッド500の媒体対向面510が形成されている。この媒体対向面510は、従来のCPP−GMRヘッド及びTMRヘッドの媒体対向面のように、略平坦である。即ち、媒体対向面121A、媒体対向面121B及び媒体対向面502は連続している。絶縁層501によってSTO再生ヘッド500の媒体対向面510を平坦に形成することは、次に説明するように流体力学的な意義がある。
【0049】
HDDでは、磁気ディスクの回転に伴って発生する空気の流れにより、磁気ディスクの表面から所定の浮上量をもって磁気ヘッドが浮上される。磁気ヘッドの浮上に由来して、磁気ヘッドの媒体対向面は、浮上面(ABS:air bearing surface)とも称される。磁気ヘッドの媒体対向面が平坦である場合には、磁気ヘッドを安定して浮上させることができる。このため、磁気ヘッドの媒体対向面は平坦であることが好ましい。
【0050】
本実施形態に係るSTO再生ヘッドは、平坦な媒体対向面を備える。従って、本実施形態のSTO再生ヘッドを備える磁気記録再生装置は、磁気再生時にSTO再生ヘッドを安定して浮上させることが可能となる。
【0051】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態に係るSTO再生ヘッド600を概略的に示している。このSTO再生ヘッド600では、発振層114がシールド膜120A、120B間の略中心に配置されている。即ち、発振層114は、シールド膜120A、120Bから空間的に最も離れた位置に設けられている。発振層114がシールド膜120A、120B間の中心部に配置される場合、シールド膜による磁場吸引効果が最も利きにくく、発振層114に作用する媒体磁場が大きくなる。
【0052】
本実施形態に係るSTO再生ヘッドでは、発振層がシールド膜間の中心部に配置されるので、ターゲットビットからの媒体磁場を発振層に効率的に作用させることが可能となる。
【0053】
(第4の実施形態)
図7は、第4の実施形態に係るSTO再生ヘッド700を概略的に示している。STO再生ヘッド700は、図2のSTO再生ヘッド100の構成に加えて、スピントルク発振素子110の発振層114にバイアス磁場を印加するためのバイアス磁場源701を備える。図7では、バイアス磁場源701は、発振層114の上方に形成されている。バイアス磁場源701は、発振層114の磁化116の振動中心方向(発振中心方向)が磁気記録媒体150の表面に垂直な向き(Y方向又は−Y方向)になるように、発振層114にバイアス磁場を印加する。従って、磁化116の発振中心方向は、スピントルク発振素子110に作用するターゲットビット152からの媒体磁場の方向と略平行となる。
【0054】
磁化116の発振中心方向とスピントルク発振素子110に作用する媒体磁場の方向とが互いに平行である場合、ターゲットビット152からの媒体磁場による磁化116の瞬時の周波数(又は位相)変化が大きくなる。従って、発振層114にバイアス磁場を印加することにより、再生感度を高めることが可能となる。
【0055】
次に、図8を参照して、磁化116の発振中心方向とスピントルク発振素子110に作用する媒体磁場の方向とが互いに平行である場合に、ターゲットビット152からの媒体磁場による磁化116の瞬時の周波数(又は位相)変化が大きくなることを説明する。
図8は、図7のSTO再生ヘッド700から発振層114、ターゲットビット152及びバイアス磁場源701を抜き出して示している。ターゲットビット152等を含む媒体ビットからの媒体磁場が作用していない場合、発振層114の磁化116の発振周波数は、γHeff/2πで表される。ここで、γは磁気回転比である。また、Heffは磁化116に作用する発振中心方向の有効磁場を表す。有効磁場Heffは、外部磁場、磁気異方性磁場、反磁場に依存する。外部磁場には、バイアス磁場源701からのバイアス磁場も含まれる。
【0056】
ターゲットビット152からの媒体磁場ΔHが発振層114に作用すると、発振周波数は、瞬時にγ(Heff+ΔH)/2πに変化する。これは、発振層114の磁化116がターゲットビット152からの媒体磁場ΔHの向きに平行な方向を中心軸として定常振動しており、媒体磁場ΔHによる磁化116の振幅変化(振幅緩和過程)が瞬時には生じないためである。一方、ターゲットビット152からの媒体磁場ΔHの向きに対して磁化116の発振中心方向が角度θだけずれている場合には、発振周波数は、γHeff/2πからγ(Heff+ΔHcosθ)/2πに変化する。このように、磁化116の発振中心方向がターゲットビット152からの媒体磁場の方向と平行である場合に、ターゲットビット152からの媒体磁場による磁化116の瞬時の周波数変化が大きくなる。従って、ターゲットビット152からの媒体磁場を有効的に磁化116の瞬時の周波数変化に寄与させることができる。
【0057】
以上のように、本実施形態に係るSTO再生ヘッドは、発振層の磁化の振動中心方向が媒体ビットの磁化方向と平行になるように発振層にバイアス磁場を印加するバイアス磁場源を備えるので、電圧出力の周波数変化が大きくなり、媒体ビットからの媒体磁場を容易に検出できるようになる。
【0058】
なお、バイアス磁場源701は、図7に示されるようなスピントルク発振素子110の上方に設けられる場合に限定されず、発振層114の磁化116の振動中心方向が磁気記録媒体150の表面に垂直な向きになるように、発振層114にバイアス磁場を印加できれば、いかなる場所に設けられてもよい。一例では、図9に示すように、バイアス磁場源701が発振層114の下方に設けられてもよい。さらに、図10に示すように、発振層114の上方及び下方にバイアス磁場源701が設けられてもよい。
【0059】
(第4の実施形態の変形例)
図11及び図12を参照して、第4の実施形態の変形例に係るSTO再生ヘッドを説明する。
図11は、図7に示されるXI-XI線に沿った発振層114の断面図である。図11では、絶縁層は省略されている。図11の例では、発振層114の断面形状は、長方形である。即ち、発振層114は、その膜面において長さの異なる二軸(長軸1101及び短軸1102)を有する。長軸1101は、発振層114の膜面の長手方向に規定され、短軸1102は、該膜面の短手方向に沿って規定される。発振層114の断面(膜面)形状が長方形である場合、長軸1101及び短軸1102は、互いに直交する。なお、発振層114の断面形状は、楕円形などであってもよい。発振層114は、媒体磁場ΔHが作用する向き(即ち、Y方向)と短軸1102とが互いに平行となるように配置される。媒体磁場ΔHが作用する向きと短軸1102とが互いに平行となるように発振層114が配置される場合、発振層114の磁化116の媒体磁場ΔHによる発振周波数変化量|Δf/ΔH|を大きくとることが可能となる。これにより、ターゲットビットからの媒体磁場を有効的に磁化116の瞬時の周波数変化に寄与させることができる。
【0060】
次に、上記の構成により発振層114の磁化116の媒体磁場ΔHによる発振周波数変化量|Δf/ΔH|を大きくとれることを説明する。
薄膜である発振層114を楕円形又は長方形のような二軸を有する異方的な形状にすると、発振層114の磁化116には、実効的な面内磁気異方性磁場Hanが作用する。また、薄膜であることに起因して、面直方向の実行的な反磁場4πMeffも発振層114の磁化116に作用する。
【0061】
媒体磁場ΔHが発振層114の長軸方向に作用する場合、発振周波数変化Δf/ΔHは、近似的に下記数式(1)で与えられることが磁化ダイナミクスを記述する現象論的方程式(ランダウ・リフシッツ・ギルバート方程式)からわかる。
【数1】

【0062】
一方、媒体磁場ΔHが発振層114の短軸方向に作用する場合、発振周波数変化Δf/ΔHは、近似的に下記数式(2)で与えられる。
【数2】

【0063】
図12は、これら数式(1)及び(2)をプロットしたグラフである。図12において、横軸はバイアス磁場源からのバイアス磁場Hである。ここで、面内磁気異方性磁場Hanを300 Oe、反磁場4πMeffを7000 Oeとした。媒体磁場ΔHが発振層114の長軸方向に作用する場合の発振周波数変化量は、破線(a)で示されている。また、媒体磁場ΔHが発振層114の短軸方向に作用する場合の発振周波数変化量は、実線(b)で示されている。図12からは、媒体磁場ΔHが発振層114の短軸方向に作用する場合のほうが、発振周波数変化量が大きくなることがわかる。なお、Z方向周りに例えば45°回転した斜めの配置も考えられるが、短軸方向に媒体磁場ΔHが作用した場合に発振周波数変化量|Δf/ΔH|が最大となる。
【0064】
従って、長さが異なる二軸を有する形状に発振層を形成し、発振層の短軸と媒体磁場ΔHが作用する向きとが平行になるように発振層を配置することで、ターゲットビットからの媒体磁場を有効的に磁場の瞬時の周波数変化に寄与させることができる。
【0065】
以上のように、本実施形態及びその変化例に係るSTO再生ヘッドは、発振層の磁化の振動中心方向がターゲットビットからの媒体磁場と略平行するためのバイアス磁場源を備えるので、ターゲットビットからの媒体磁場を効率的に検出することができる。
【0066】
(第5の実施形態)
第5の実施形態では、上述した各実施形態に係るSTO再生ヘッドを備えた磁気記録再生装置の一例を説明する。
【0067】
図13は、第5の実施形態に係る磁気記録再生装置(HDD)1300を概略的に示している。この磁気記録再生装置1300は、図13に示されるように、磁気記録媒体としての磁気ディスク1301を備えている。磁気ディスク1301は、スピンドル1302に装着され、スピンドルモータにより矢印Aの方向に回転される。磁気ディスク1301の近傍に設けられたピボット1303には、アクチュエータアーム1304が保持されている。アクチュエータアーム1304の先端には、サスペンション1305が取り付けられている。サスペンション1305の下面には、ヘッドスライダ1306が支持されている。ヘッドスライダ1306には、記録ヘッドと上述した各実施形態のSTO再生ヘッドとが搭載されている。アクチュエータアーム1304の基端部には、磁気ディスク1301の径方向の任意の位置にヘッドスライダ1306を移動させるためのボイスコイルモータ1307が設けられている。
【0068】
磁気ディスク1301を回転させ、ボイスコイルモータ1307によりアクチュエータアーム1304を回動させてヘッドスライダ1306を磁気ディスク1301上にロードすると、ヘッドスライダ1306の媒体対向面が磁気ディスク1301の表面から所定の浮上量をもって保持される。この状態で、磁気ディスク1301に記録された情報を読み出すことができる。
【0069】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、スピントルク発振素子の媒体対向面と磁気記録媒体の表面との距離が、シールド膜の媒体対向面と磁気記録媒体の表面との距離よりも短くなるように、スピントルク発振素子及びシールド膜が配置される。それにより、発振層に作用する隣接ビットからの磁場が低減される。その結果、再生信号におけるビット間干渉ノイズを低減することができる。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
100…スピントルク発振素子再生ヘッド、110…スピントルク発振素子、111…非磁性層、112…強磁性層、113…スペーサ層、114…発振層、115…強磁性層、116…磁化、117…磁化、118…媒体対向面、120A,120B…シールド膜、121A,121B…媒体対向面、150…磁気記録媒体、151,152,153…媒体ビット、201…絶縁層、500…スピントルク発振素子再生ヘッド、501…絶縁層、502…媒体対向面、700…スピントルク発振素子再生ヘッド、701…バイアス磁場源、901…長軸、902…短軸、1300…磁気記録再生装置、1301…磁気ディスク、1302…スピンドル、1303…ピボット、1304…アクチュエータアーム、1305…サスペンション、1306…ヘッドスライダ、1307…ボイスコイルモータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気記録媒体に対向する第1の対向面を有するスピントルク発振素子と、
前記スピントルク発振素子が間に配置される一対のシールド部であって、前記磁気記録媒体に対向する第2の対向面をそれぞれ有する一対のシールド部と、
を具備し、
前記第2の対向面のそれぞれと前記磁気記録媒体との距離は、前記第1の対向面と前記磁気記録媒体との距離よりも短いことを特徴とするスピントルク発振素子再生ヘッド。
【請求項2】
前記一対のシールド部により規定される部分に設けられ、前記磁気記録媒体に対向する第3の対向面を有する絶縁層をさらに具備し、
前記第2の対向面のそれぞれと前記第3の対向面とが連続していることを特徴とする請求項1に記載のスピントルク発振素子再生ヘッド。
【請求項3】
前記スピントルク発振素子は、磁化が回転可能な発振層を含む多層構造からなる、ことを特徴とする請求項1に記載のスピントルク発振素子再生ヘッド。
【請求項4】
前記発振層は、前記一対のシールド部の間の中心部に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のスピントルク発振素子再生ヘッド。
【請求項5】
前記発振層にバイアス磁場を印加するためのバイアス磁場源をさらに具備することを特徴とする請求項3又は4に記載のスピントルク発振素子再生ヘッド。
【請求項6】
前記発振層は、該発振層の膜面の長手方向に規定される第1軸、及び該膜面の短手方向に規定される第2軸を備え、前記磁気記録媒体から発生されて前記発振層に作用する媒体磁場の向きと、前記第2軸と、が平行になるように前記発振層が配置される、ことを特徴とする請求項5に記載のスピントルク発振素子再生ヘッド。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のスピントルク発振素子再生ヘッドと、
前記磁気記録媒体と、を具備する磁気記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−62002(P2013−62002A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198321(P2011−198321)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】