説明

スピンドルモータ

【課題】軸固定型のスピンドルモータが提供される。
【解決手段】本発明の一実施例によるスピンドルモータは、ベース部材に固設される下部スラスト部材と、上記下部スラストと上記ベース部材のうち少なくとも1つに固設されるシャフトと、上記下部スラスト部材の上部に配置され、上記シャフトに回転可能に設けられるスリーブと、上記スリーブに結合され、上記スリーブと連動して回転するロータハブと、上記シャフトの上端部に固設され、上記スリーブとともに気液界面を形成する上部スラスト部材と、上記上部スラスト部材の上部に配置されるよう、上記シャフトに固設される蓋部材とを含み、上記上部スラスト部材は、底面が上記シャフトとの締結強度の向上のために上記シャフトの上面に支持され、上面が上記蓋部材により加圧される段部を備えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スピンドルモータに関し、より詳しくは、軸固定型のスピンドルモータに関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ(server)用のハードディスク(hard disk)駆動装置などの情報記録再生装置には、一般的に、耐衝撃性の強い軸をハードディスク駆動装置のボックスに固定した、いわゆる軸固定型スピンドルモータが搭載される。
【0003】
即ち、サーバ用のハードディスク駆動装置に搭載されるスピンドルモータには、外部からの衝撃によってサーバに記録される情報が破損したり、読み出し/書き込みが不能となるのを防止するためにシャフトが固設される。
【0004】
このように、固定型シャフトが取り付けられる場合、潤滑流体が充填される流体動圧軸受アセンブリーを構成するためには、一般的に2つのスリーブと、2つの固定部材、並びに、固定部材の上部・下部を遮蔽するための2つのカバーなどが必要である。即ち、固設されるシャフトを備える流体動圧軸受アセンブリーを構成するためには多くの構成部品が必要であり、これによって、製造コストが高くなるという問題が発生する。
【0005】
また、最近では、固定型シャフトを備えるスピンドルモータの回転特性の向上についての技術開発が求められており、このために、軸受スパンの長さを増加させる構造についての開発が強く求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、回転特性を向上させることができるスピンドルモータを提供することにある。即ち、軸受スパンの長さを増加させて回転特性を向上させるとともに、シャフトとスラスト部材の締結強度の低下を抑制できるスピンドルモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例によるスピンドルモータは、ベース部材に固設される下部スラスト部材と、上記下部スラストと上記ベース部材のうち少なくとも1つに固設されるシャフトと、上記下部スラスト部材の上部に配置され、上記シャフトに回転可能に設けられるスリーブと、上記スリーブに結合され、上記スリーブと連動して回転するロータハブと、上記シャフトの上端部に固設され、上記スリーブとともに気液界面を形成する上部スラスト部材と、上記上部スラスト部材の上部に配置されるよう、上記シャフトに固設される蓋部材とを含み、上記上部スラスト部材は、底面が上記シャフトとの締結強度の向上のために上記シャフトの上面に支持され、上面が上記蓋部材により加圧される段部を備えることができる。
【0008】
上記スリーブの上端部には、上記上部スラスト部材とともに気液界面を形成するために、上部側の外径が下部側の外径よりも大きく形成される傾斜部を有することができる。
【0009】
上記上部スラスト部材は、内部面が上記シャフトに接合されるボディと、上記ボディから延設され、上記傾斜部とともに気液界面を形成する突出部と、上記ボディの内部面から半径方向内側に延設される上記段部とを備えることができる。
【0010】
上記シャフトは、スリーブと上記シャフトによって形成される軸受隙間に充填された潤滑流体を2つの部分に分離させるために、外周面から湾入形成される湾入溝を備えることができる。
【0011】
上記スリーブは、上記湾入溝に対向配置され、上記湾入溝と上記スリーブの外部を連通させる連通孔を備えることができる。
【0012】
上記ロータハブは、上記上部スラスト部材が内部に挿入配置される挿入部を形成するロータハブボディと、上記ロータハブボディの縁から延設され、内部面にマグネットアセンブリーが装着される装着部と、上記装着部の末端から半径方向外側に向かって延設される延長部とを備えることができる。
【0013】
上記上部スラスト部材の外部面と上記上部スラスト部材の外部面に対向配置される上記ロータハブの内部面は、0.3mm以下の隙間を形成することができる。
【0014】
本発明の他の実施例によるスピンドルモータは、ベース部材に固設される下部スラスト部材と、上記下部スラストと上記ベース部材のうち少なくとも1つに固設されるシャフトと、上記下部スラスト部材の上部に配置され、上記シャフトに回転可能に設けられるスリーブと、上記スリーブに結合され、上記スリーブと連動して回転するロータハブと、上記シャフトの上端部に固設され、上記スリーブとともに気液界面を形成する上部スラスト部材と、上記上部スラスト部材の上部に配置されるよう、上記シャフトに固設される蓋部材とを含み、上記シャフトの上端部には、上記スラスト部材との締結強度の向上のために上記上部スラスト部材の底面を支持する段差部が備えられることができる。
【0015】
上記上部スラスト部材は、上面が上記シャフトの上面よりも高く配置され、上記蓋部材により加圧されることができる。
【0016】
本発明のさらに他の実施例によるスピンドルモータは、ベース部材に固設される下部スラスト部材と、上記下部スラストと上記ベース部材のうち少なくとも1つに固設されるシャフトと、上記下部スラスト部材の上部に配置され、上記シャフトに回転可能に設けられるスリーブと、上記スリーブに結合され、上記スリーブと連動して回転するロータハブと、上記シャフトの上端部に固設され、上記スリーブとともに気液界面を形成する上部スラスト部材と、上記上部スラスト部材の上部に配置されるよう、上記シャフトに固設される蓋部材とを含み、上記シャフトの上面と上記上部スラスト部材の上面は同一平面に配置され、上記蓋部材により加圧されることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、上部スラスト部材に備えられる段部によってシャフトと上部スラスト部材の締結強度を向上させることができ、上部スラスト部材の厚さを減少させることができる。
【0018】
これにより、上部スラスト部材の厚さが減少した分だけ軸受スパンの長さを増加させることができ、回転特性を向上させることができる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例によるスピンドルモータを示す概略断面図である。
【図2】図1のA部を示す拡大図である。
【図3】本発明の一実施例によるスリーブと上部スラスト部材を部分的に切開して示した分解斜視図である。
【図4】本発明の一実施例によるスピンドルモータ作動を説明するための説明図である。
【図5】本発明の他の実施例によるスピンドルモータを示す概略断面図である。
【図6】本発明のさらに他の実施例によるスピンドルモータを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では図面を参照し本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。但し、本発明の思想は提示される実施例に限らず、本発明の思想を理解する当業者は同一思想の範囲内で他の構成要素の追加、変更、削除などを通して退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施例を容易に提案することができ、これも本願発明の思想の範囲内に含まれる。
【0021】
また、本発明を説明において、関連する公知機能あるいは構成に対する具体的な説明が本発明の要旨を不明確にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0022】
図1は、本発明の一実施例によるスピンドルモータを示す概略断面図であり、図2は、図1のA部を示す拡大図であり、図3は、本発明の一実施例によるスリーブと上部スラスト部材を部分的に切開して示した分解斜視図であり、図4は、本発明の一実施例によるスピンドルモータの作動を説明するための説明図である。
【0023】
図1から図4を参照すると、本発明の一実施例によるスピンドルモータ100は、ベース部材110、下部スラスト部材120、シャフト130、スリーブ140、ロータハブ150、上部スラスト部材160及び蓋部材170を含んで構成されることができる。
【0024】
ベース部材110は、ロータハブ150とともに所定の空間を設けるために装着溝112を備えることができる。そして、ベース部材110は、軸方向上部側に延設され、外周面にステータコア102が設けられる結合部114を備えることができる。
【0025】
また、結合部114の外周面には、ステータコア102が装着されるように装着面114aが備えられることができる。そして、結合部114に装着されたステータコア102は、上記のベース部材110の装着溝112の上部に配置されることができる。
【0026】
下部スラスト部材120はベース部材110に固設される。即ち、下部スラスト部材120は結合部114に挿設され、より詳しくは、下部スラスト部材120の外周面が結合部114の内周面に接合されるように設けられることができる。
【0027】
一方、下部スラスト部材120は、内部面がシャフト130に固設され、外部面がベース部材110に固設される円盤部122と、円盤部122から軸方向上側に延設される延長部124を備えてもよい。
【0028】
よって、下部スラスト部材120は、中空を有するカップ状であってもよい。即ち、断面が「L」字状を有するように形成されてもよい。
【0029】
また、円盤部122にはシャフト130を設けるための設置孔122aが形成されてもよく、シャフト130は設置孔122aに挿入されて装着される。
【0030】
ここで、方向に対する用語を定義すると、軸方向は、図1からみて、上下方向、即ち、シャフト130の下部側から上部側に向かう方向またはシャフト130の下部側から上部側に向かう方向を意味し、半径方向は、図1からみて、左右方向、即ち、シャフト130からロータハブ150の外周面に向かう方向またはロータハブ150の外周面からシャフト130に向かう方向を意味し、円周方向は、ロータハブ150の外周面に沿って回転する方向を意味する。
【0031】
また、下部スラスト部材120は、ベース部材110とともに固定部材、即ち、ステータに含まれる。
【0032】
一方、下部スラスト部材120の外部面は、ベース部材110の内部面に接着剤または/及び溶接によって接合されてもよい。換言すれば、下部スラスト部材120の外部面は、ベース部材110の結合部114の内部面に固定して接合される。
【0033】
また、下部スラスト部材120の上面またはスリーブ140の底面のうち少なくとも一方には、スラスト流体動圧を発生させるためのスラスト動圧グルーブ(図示せず)が形成されてもよい。
【0034】
これに加えて、下部スラスト部材120は、潤滑流体が漏れることを防止するためのシーリング部材の役割を同時に果たすことができる。
【0035】
シャフト130はベース部材110と下部スラスト部材のうち少なくとも1つに固設される。即ち、シャフト130の下端部が下部スラスト部材120の円盤部122に形成された設置孔122aに挿入されるように設けられることができる。
【0036】
また、シャフト130の下端部は、接着剤または/及び溶接によって円盤部122の内部面と接合されることができる。これにより、シャフト130が固定されるようになる。
【0037】
そして、本実施例では、シャフト130が下部スラスト部材に固設される場合を例に挙げて説明しているが、これに限定されず、シャフト130はベース部材110に固設されてもよい。
【0038】
一方、シャフト130も上記下部スラスト部材120、ベース部材110とともに固定部材、即ち、ステータに含まれる構成である。
【0039】
そして、シャフト130は、外周面から湾入形成され、軸受隙間B1、B2に充填された潤滑流体を2つの部分に分離させる湾入溝132を備える。湾入溝132の断面形状は「V」字状であってもよい。
【0040】
湾入溝132は、スリーブ140の内部面とともに気液界面(即ち、潤滑流体と空気との界面)を形成させる役割をする。
【0041】
これについては後述する。
【0042】
一方、シャフト130の上面には、蓋部材170が固設されるように結合手段190、例えば、ネジが締結されるネジ部134が備えられてもよい。
【0043】
スリーブ140はシャフト130に回転可能に設けられることができる。このために、スリーブ140はシャフト130が挿入される貫通孔141を備えることができる。一方、スリーブ140がシャフト130に設けられる場合、スリーブ140の内周面とシャフト130の外周面は、所定間隔離隔して配置され、軸受隙間B1、B2を形成する。
【0044】
そして、この軸受隙間B1、B2に潤滑流体が充填される。
【0045】
ここで、軸受隙間B1、B2についてより詳細に説明すると、軸受隙間B1、B2は、上部軸受隙間B1と下部軸受隙間B2で構成されることができる。また、上部軸受隙間B1はシャフト130の上端部とスリーブ140の上端部によって形成される空間、及びスリーブ140の上端部と上部スラスト部材160によって形成される空間を意味する。
【0046】
また、下部軸受隙間B2は、シャフト130の下端部とスリーブ140の下端部によって形成される空間、及びスリーブ140の下端部と下部スラスト部材120によって形成される空間を意味する。
【0047】
一方、ここで、シャフト130に形成される湾入溝132について説明すると、湾入溝132は、上記の軸受隙間B1、B2、即ち、上部軸受隙間B1と下部軸受隙間B2に充填されたそれぞれの潤滑流体と空気との界面を形成させる役割をする。
【0048】
即ち、湾入溝132の上部側には、上部軸受隙間B1に充填された潤滑流体と空気との界面、即ち、第1気液界面F1が形成されることができる。同様に、湾入溝132の下部側には、下部軸受隙間B2に充填された潤滑流体と空気との界面、即ち、第2気液界面F2が形成されることができる。
【0049】
このように、第1、第2気液界面F1、F2が形成されるように、湾入溝132は「V」字状を有するように形成される。即ち、毛細管現象によって第1、第2気液界面F1、F2が形成されるように、湾入溝132は「V」字状を有する。
【0050】
また、スリーブ140は、湾入溝132に対向配置され、湾入溝132とスリーブ140の外部を連通させる連通孔142を備えてもよい。即ち、上記したような第1、第2気液界面F1、F2が形成されるよう、スリーブ140の外部と湾入溝132の圧力を同一に維持させるための連通孔142がスリーブ140に形成されてもよい。
【0051】
一方、スリーブ140の上端部には、上部スラスト部材160とともに気液界面を形成するために、上部側の外径が下部側の外径よりも大きく形成される傾斜部143を有してもよい。
【0052】
換言すれば、スリーブ140の外周面と上部スラスト部材160の内周面との間の空間に第3気液界面F3が形成されるよう、スリーブ140の上端部には上部側の外径が下部側の外径よりも大きく形成される傾斜部143が形成されることができる。
【0053】
即ち、上部軸受隙間B1に充填された潤滑流体は、第1気液界面F1と第3気液界面F3を形成する。
【0054】
一方、スリーブ140の上端部には、スリーブ140の上面に段差があるように形成され、シーリング溝106を形成するための段差面144が形成されてもよい。段差面144についての詳細な事項は後述する。
【0055】
また、スリーブ140の外周面にはロータハブ150が接合される。即ち、段差面144の下部はロータハブ150の内部面に対応する形状を有し、ロータハブ150が固設されるように形成されることができる。即ち、スリーブ140の外周面には接合面145が形成されることができる。
【0056】
一方、スリーブ140の外周面下端部は、下部スラスト部材120の延長部124とともに気液界面を形成するために、半径方向内側に向かって上向きに傾斜して形成されてもよい。
【0057】
即ち、スリーブ140の外周面と下部スラスト部材120の延長部124との間の空間に第4気液界面F4が形成されるように、スリーブ140の下端部は半径方向内側に向かって上向きに傾斜して形成されることができる。
【0058】
このように、第4気液界面F4がスリーブ140の下端部と延長部124との間の空間に形成されるため、下部軸受隙間B2に充填された潤滑流体は第2気液界面F2と第4気液界面F4を形成する。
【0059】
また、スリーブ140の内部面には、スリーブ140の回転時、軸受隙間B1、B2に充填された潤滑流体を媒介として流体動圧を発生させるための動圧グルーブ146が形成されてもよい。即ち、動圧グルーブ146は、図3に示したように、 上部・下部動圧グルーブ146a、146bからなってもよい。
【0060】
但し、動圧グルーブ146は、スリーブ140の内部面に形成される場合に限らず、シャフト130の外周面に形成されてもよい。
【0061】
ロータハブ150は、スリーブ140に結合され、スリーブ140と連動して回転する。
【0062】
ロータハブ150は、上部スラスト部材160が内部に挿入配置される挿入部152aが形成されたロータハブボディ152と、ロータハブボディ152の縁から延設され、内部面にマグネットアセンブリー180が装着される装着部154と、装着部154の末端から半径方向外側に向かって延設される延長部156とを備えることができる。
【0063】
一方、ロータハブボディ152の内部面の下端部はスリーブ140の外部面に接合されてもよい。即ち、スリーブ140の接合面145にロータハブボディ152の内部面の下端部が接着剤または/及び溶接によって接合されてもよい。
【0064】
これによって、ロータハブ150の回転時、スリーブ140がロータハブ150とともに回転するようになる。
【0065】
また、装着部154は、ロータハブボディ152から軸方向下側に向かって延設される。そして、装着部154の内部面にマグネットアセンブリー180が固設されることができる。
【0066】
一方、マグネットアセンブリー180は、装着部154の内部面に固設されるヨーク182と、ヨーク182の内周面に設けられるマグネット184で構成されてもよい。
【0067】
ヨーク182は、マグネット184からの磁場がステータコア102に向けて磁束密度を増加させるようにする。一方、ヨーク182は、円形の環状であってもよく、マグネット184から発生する磁場による磁束密度を向上できるよう一端部が折曲された形状を有するように形成されてもよい。
【0068】
マグネット184は環状であってもよく、円周方向に沿ってN極とS極が交互に着磁されて、一定の強さの磁場を発生する永久磁石であってもよい。
【0069】
一方、マグネット184は、コイル101が巻線されるステータコア102の先端に対向配置され、コイル101が巻線されたステータコア102との電磁気的相互作用によりロータハブ150が回転できる駆動力を発生させる。
【0070】
即ち、コイル101に電源が供給されると、コイル101が巻線されたステータコア102と、これに対向配置されるマグネット184の電磁気的相互作用によりロータハブ150が回転できる駆動力が生じ、よって、ロータハブ150がスリーブ140と連動して回転するようになる。
【0071】
上部スラスト部材160は、シャフト130の上端部に固設され、スリーブ140とともに気液界面を形成する。また、上部スラスト部材160は底面がシャフト130との締結強度の向上のためにシャフト130の上面に支持され、上面が蓋部材170により加圧される段部166を備えることができる。
【0072】
一方、上部スラスト部材160は、内部面がシャフト130に接合されるボディ162と、ボディ162から延設され傾斜部143とともに気液界面を形成する突出部164と、ボディ162の内部面から半径方向内側に延設される段部166とを備えてもよい。
【0073】
突出部164は、ボディ162から軸方向下側に延設され、内部面が傾斜部143に対向配置されてもよい。
【0074】
また、突出部164は、シャフト130と平行にボディ162から延設されてもよい。
【0075】
そして、上部スラスト部材160は、シャフト130の外周面上端部、スリーブ140の外部面及びロータハブ160の内部面によって形成される空間に挿入配置されてもよい。
【0076】
また、上部スラスト部材160も、ベース部材110、下部スラスト部材120、シャフト130とともに固設される固定部材であって、ステータを構成する部材である。
【0077】
一方、上部スラスト部材160がシャフト130に固設され、スリーブ140がロータハブ160とともに回転するため、スリーブ140の傾斜部143と突出部164との間の空間に形成された第3気液界面F3は、スリーブ140の回転時、図4に示したようにスリーブ140の傾斜部143側に傾くようになる。
【0078】
即ち、第3気液界面F3がスリーブ140の外周面側に傾くようになり、遠心力によって潤滑流体が飛散することをさらに低減できる。
【0079】
さらに、上部スラスト部材160の外周面とこれに対向配置される上記ロータハブ150の内部面は、ラビリンスシール(Labyrinth Seal)を形成する。即ち、上部スラスト部材160の外部面とロータハブボディ152の内部面は、所定間隔離隔して配置され、蒸発された潤滑流体を含む空気が外部へ流動することを抑えるためのラビリンスシールを形成する。
【0080】
これにより、蒸発された潤滑流体を含む空気が外部へ流動することを抑制し、潤滑流体の減少を抑制することができる。
【0081】
また、上部スラスト部材160の外周面とロータハブボディ152の内部面は、0.3mm以下の隙間を形成することができる。
【0082】
そして、段部166は、蓋部材170が締結手段190、即ち、ネジによってシャフト130に固設される場合、蓋部材170によって加圧される。これにより、上部スラスト部材160とシャフト130の締結強度が向上するようになる。
【0083】
即ち、段部166は、底面がシャフト130に支持され、上面が蓋部材170により加圧されて、上部スラスト部材160をより堅固にシャフト130に固定させる役割を果たす。
【0084】
これによって、上部スラスト部材160の厚さを減少させない場合と比較して、上部スラスト部材160のボディ162の厚さを減少させても上部スラスト部材160とシャフト130を一定の締結強度を維持することができる。
【0085】
結局、段部166によって上部スラスト部材160の厚さを減少させながらスリーブ140の軸方向の長さを増加させることができ、よって、軸受スパンSの長さを増加させることができる。
【0086】
即ち、軸受スパンSの長さを増加させることで、スリーブ140とロータハブ150との回転特性を向上させることができる。
【0087】
一方、上部スラスト部材160の底面、または上部スラスト部材160の底面に対向配置されるスリーブ140の上面のうち少なくとも1つには、スラスト動圧を発生させるためのスラスト動圧グルーブ(図示せず)が形成されてもよい。
【0088】
そして、上部スラスト部材160は、上部軸受隙間B1に充填される潤滑流体が上部側に漏れること防止するシーリング部材の役割も同時に果たすことができる。
【0089】
また、上部スラスト部材160は、シャフト130に設置時、上面がシャフト130の上面と同一平面に配置されるような厚さを有することができる。
【0090】
蓋部材170は、上部スラスト部材160の上部に配置されるようにシャフト130に固設されることができる。即ち、蓋部材170は締結手段190、例えば、ネジによってシャフト130に固設されることができる。
【0091】
且つ、蓋部材170は、底面が上部スラスト部材160の上面を加圧するようにシャフト130に設けられる。よって、外部からの衝撃を受けても、上部スラスト部材160がシャフト130から分離されることを防止する役割を果たすことができる。
【0092】
上述したように、段部166によって上部スラスト部材160とシャフト130の締結強度を向上させることができ、これによって、上部スラスト部材160の厚さを減少させることができる。
【0093】
よって、上部スラスト部材160の厚さが減少した分だけスリーブ140の軸方向の長さを増加させ、軸受スパンSの長さを増加させることで、スリーブ140とロータハブ150の回転特性を向上させることができる。
【0094】
そして、上部スラスト部材160とロータハブ160との隙間を狭く形成することによって、蒸発した潤滑流体を含む空気が外部に流出することを抑制でき、上部軸受隙間B1に充填される潤滑流体の減少を抑制することができる。
【0095】
また、潤滑流体の漏れを防止するための別途のシーリング部材を備えなくてもよいため、軸受スパンSの長さをより増加させることができ、よって、回転特性を向上させることができる効果がある。
【0096】
ここで、軸受スパン長さSとは、上部動圧グルーブ124aによって潤滑流体がポンピングしながら最大動圧が発生する領域と、下部動圧グルーブ124bによって潤滑流体がポンピングしながら最大動圧が発生する領域との距離を意味する。
【0097】
即ち、本発明の一実施例によるスピンドルモータ100によると、別途のシーリング部材を備えなくてもよいため、別途のシーリング部材が設けられる部分を減少させスリーブ140の長さを増加させることができる。よって、軸受スパン長さSも共に増加させることができる。
【0098】
さらに、別途のシーリング部材を備えなくてもよいため、製造コスト及び歩留まりを向上させることができる。
【0099】
一方、気液界面、即ち、第3気液界面F3と第4気液界面F4を形成する回転部材(即ち、スリーブ)と、固定部材(即ち、上部・下部スラスト部材)のうち、回転部材であるスリーブ140が固定部材に対して半径方向内側に配置されるため、遠心力により潤滑流体が飛散することを低減できる。
【0100】
以下、図面を参照し、本発明の他の実施例によるスピンドルモータについて説明する。但し、上述した構成要素と同一の構成要素については詳細な説明を省略する。
【0101】
図5は、本発明の他の実施例によるスピンドルモータを示す概略断面図である。
【0102】
図5を参照すると、本発明の他の実施例によるスピンドルモータ200は、ベース部材210、下部スラスト部材220、シャフト230、スリーブ240、ロータハブ250、上部スラスト部材260及び蓋部材270を含んで構成されることができる。
【0103】
一方、ベース部材210、下部スラスト部材220、スリーブ240、ロータハブ250及び蓋部材270は、上述した本発明の一実施例によるスピンドルモータ100に備えられるベース部材110、下部スラスト部材120、スリーブ140、ロータハブ150及び蓋部材170と同一の構成要素に該当するため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0104】
また、シャフト230も、後述する段差部236を除いては、上記の本発明の一実施例によるスピンドルモータ100に備えられるシャフト130と同一である。また、上部スラスト部材260も、上述した本発明の一実施例によるスピンドルモータ100に備えられる上部スラスト部材160と比較して形状の差異があるだけで、同一の構成要素に該当する。
【0105】
以下、段差部236と上部スラスト部材260との形状についてのみ説明する。
【0106】
シャフト230の上端部には、上部スラスト部材260との締結強度の向上のために上部スラスト部材260の底面を支持する段差部2236が備えられてもよい。
【0107】
これによって、上部スラスト部材260とシャフト230の接触面積が広くなり、締結強度の向上を図ることができるようになる。さらに、蓋部材270がシャフト230に設けられる場合、上部スラスト部材260の底面はシャフト230の段差部236により支持され、上部スラスト部材260の上面は蓋部材270により加圧されることができる。
【0108】
これにより、上部スラスト部材260とシャフト230の締結強度をさらに増加させることができる。
【0109】
一方、上部スラスト部材260は、シャフト230の上端部に固設され、スリーブ240とともに気液界面を形成する。
【0110】
また、上部スラスト部材260は、内部面がシャフト230に接合されるボディ262と、ボディ262から延設され傾斜部243とともに気液界面を形成する突出部264を備えてもよい。
【0111】
突出部264は、ボディ262から軸方向下側に延設され、内部面が傾斜部243に対向配置されてもよい。
【0112】
また、突出部264は、シャフト230と平行にボディ262から延設されてもよい。
【0113】
且つ、上部スラスト部材260は、シャフト230の外周面上端部、スリーブ240の外部面及びロータハブ260の内部面によって形成される空間に挿入配置されてもよい。
【0114】
一方、上部スラスト部材260は、上面がシャフト230の上面よりも高く配置されるようにシャフト230に設けられてもよく、よって、蓋部材270の設置時、上部スラスト部材260の内径部側のみが蓋部材270により加圧されることができる。
【0115】
これにより、蓋部材270による加圧力が増大し、上部スラスト部材260とシャフト230の締結強度をさらに向上できるようになる。
【0116】
上述したように、上部スラスト部材260がシャフト230の段差部236に装着した状態で結合されるため、上部スラスト部材260とシャフト230の締結強度をさらに向上させることができる。
【0117】
一方、本発明の他の実施例によるスピンドルモータ200も、上述した本発明の一実施例によるスピンドルモータ100における効果と同じ効果を奏することができる。これについての詳細な説明は省略する。
【0118】
以下、図面を参照し、本発明のさらに他の実施例によるスピンドルモータについて説明する。但し、上述した構成要素と同一の構成要素については詳細な説明を省略する。
【0119】
図6は、本発明のさらに他の実施例によるスピンドルモータを示す概略断面図である。
【0120】
図6を参照すると、本発明のさらに他の実施例によるスピンドルモータ300は、ベース部材310、下部スラスト部材320、シャフト330、スリーブ340、ロータハブ350、上部スラスト部材360及び蓋部材370を含んで構成されることができる。
【0121】
一方、ベース部材310、下部スラスト部材320、シャフト330、スリーブ340、ロータハブ350及び蓋部材370は、上述した本発明の一実施例によるスピンドルモータ100に備えられるベース部材110、下部スラスト部材120、シャフト130、スリーブ140、ロータハブ150及び蓋部材170と同一の構成要素に該当するため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0122】
また、上部スラスト部材360も、上述した本発明の一実施例によるスピンドルモータ100に備えられる上部スラスト部材160と比較して形状の差異があるだけで、同一の構成要素に該当する。
【0123】
以下、上部スラスト部材360の形状についてのみ説明する。
【0124】
シャフト330の上面と上部スラスト部材360の上面は同一平面に配置され、蓋部材370により加圧されることができる。
【0125】
即ち、上部スラスト部材360は、シャフト330の上面と上部スラスト部材360の上面が同一平面に配置されるような厚さに形成されることができる。これにより、蓋部材370の設置時、蓋部材370により上部スラスト部材360とシャフト330の上面とが加圧されることができる。
【符号の説明】
【0126】
100、200、300 スピンドルモータ
110、210、310 ベース部材
120、220、320 下部スラスト部材
130、230、330 シャフト
140、240、340 スリーブ
150、250、350 ロータハブ
160、260、360 上部スラスト部材
170、270、370 蓋部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材に固定設置される一方のスラスト部材と、
一方の端部が前記一方のスラストと前記ベース部材のうち少なくとも一方に固定されるシャフトと、
前記一方のスラスト部材と対向するように配置され、前記シャフトに回転可能に設置されるスリーブと、
前記スリーブに結合され、前記スリーブと連動して回転するロータハブと、
前記シャフトの他方の端部に固定され、前記スリーブとともに気液界面を形成する他方のスラスト部材と
前記他方のスラスト部材の前記スリーブと対向しない側に配置されるよう、前記シャフトに固設される蓋部材と
を含み、
前記他方のスラスト部材は、前記蓋部材と対向する対向面が前記蓋部材により加圧され、当該対向面と反対側の面が前記シャフトの面に支持され、前記シャフトとの締結強度を向上させる段部を備えるスピンドルモータ。
【請求項2】
前記他方のスラスト部材と対向する前記スリーブの端部は、端に近付くほど外径が大きくなるように回転軸方向に対して傾斜した傾斜部を有し、前記他方のスラスト部材とともに気液界面を形成する、請求項1に記載のスピンドルモータ。
【請求項3】
前記他方のスラスト部材は、
内部面が前記シャフトに接合されるボディと、前記ボディから延設され、前記傾斜部とともに気液界面を形成する突出部と、前記ボディの内部面から回転半径方向内側に延設される前記段部とを備える請求項2に記載のスピンドルモータ。
【請求項4】
前記シャフトは、スリーブと前記シャフトによって形成される軸受隙間に充填された潤滑流体を2つの部分に分離させるために、外周面から湾入形成される湾入溝を備える請求項3に記載のスピンドルモータ。
【請求項5】
前記スリーブは、前記湾入溝に対向配置され、前記湾入溝と前記スリーブの外部を連通させる連通孔を備える請求項4に記載のスピンドルモータ。
【請求項6】
前記ロータハブは、
前記他方のスラスト部材が内部に挿入配置される挿入部を形成するロータハブボディと、
前記ロータハブボディの縁から延設され、内部面にマグネットアセンブリーが装着される装着部と、
前記装着部の末端から回転半径方向外側に向かって延設される延長部と
を備える請求項1から5の何れか1項に記載のスピンドルモータ。
【請求項7】
前記他方のスラスト部材の外部面と前記他方のスラスト部材の外部面に対向配置される前記ロータハブの内部面は、0.3mm以下の隙間を形成する請求項1から6の何れか1項に記載のスピンドルモータ。
【請求項8】
ベース部材に固設される一方のスラスト部材と、
一方の端部が前記一方のスラストと前記ベース部材のうち少なくとも1方に固設されるシャフトと、
前記一方のスラスト部材と対向するように配置され、前記シャフトに回転可能に設置されるスリーブと、
前記スリーブに結合され、前記スリーブと連動して回転するロータハブと、
前記シャフトの他方の端部に固設され、前記スリーブとともに気液界面を形成する他方のスラスト部材と、
前記他方のスラスト部材の前記スリーブと対向しない側に配置されるよう、前記シャフトに固設される蓋部材と
を含み、
前記シャフトの他方の端部には、前記他方のスラスト部材の前記シャフトとの対向面を支持する段差部が備えられ、前記スラスト部材との締結強度を向上させるスピンドルモータ。
【請求項9】
前記他方のスラスト部材は、前記蓋部材との対向面が前記シャフトの他方の端部面よりも突出して配置され、前記蓋部材により加圧される請求項8に記載のスピンドルモータ。
【請求項10】
ベース部材に固設される一方のスラスト部材と、
一方の端部が前記一方のスラストと前記ベース部材のうち少なくとも1方に固設されるシャフトと、
前記一方のスラスト部材と対向するように配置され、前記シャフトに回転可能に設けられるスリーブと、
前記スリーブに結合され、前記スリーブと連動して回転するロータハブと、
前記シャフトの他方の端部に固設され、前記スリーブとともに気液界面を形成する他方のスラスト部材と、
前記他方のスラスト部材の前記スリーブと対向しない側に配置されるよう、前記シャフトに固設される蓋部材と
を含み、
前記シャフトの他方の端部面と前記他方のスラスト部材の前記蓋部材との対向面は同一平面に配置され、前記蓋部材により加圧されるスピンドルモータ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−32830(P2013−32830A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228187(P2011−228187)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】