説明

スライド・アンド・ロック・ステント

本発明は、互いに周方向に隣接するモジュール(12)を有する拡張可能なステント(10)に関する。各モジュールは、つぶれ時直径から拡張/設置時直径までの半径方向部材の一方向の滑りを可能にするが、拡張時直径からの半径方向の反動を抑制する、互いに長手方向に隣接するスライド・アンド・ロック半径方向部材(14、16)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔の支持を維持する拡張可能な医療インプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
ステントまたは拡張可能なグラフトは、様々な体腔にその開存性を維持するために移植される。これらの装置は通常、容易に接近可能な位置に挿入され、次に設置部位に前進させられるカテーテルを使用することによって管内に移植される。ステントは最初、管腔を通して操作することができるように半径方向に圧縮されるかまたはつぶされた状態になっている。ステントは、所定の位置に配置された後設置され、これは、ステントの構成に応じて、たとえば、ステントがカテーテル上に保持されるときにステントが囲むバルーンの膨張によって、自動的にまたは手動で行うことができる。
【0003】
ステントは通常、他の場合には遮断、狭窄、または遮蔽される管腔を開いたままにしておくのに使用されるため、ステントは、予想される力に効果的に対抗するためにその拡張状態で十分な半径方向またはフープ強度を示さなければならない。しかし、同時に、ステントは、管腔内の前進を容易にするためにつぶされた状態でできるだけ小形である必要がある。その結果、ステントの拡張率をできるだけ高くすると有利である。
【0004】
他の要件は、装置の長手方向の可とう性である。このような特性は、脈管構造の実質的な回旋を横切ることが必要になることがある、所定の位置へのステントの操作に重要であるだけでなく、設置部位で脈管構造の湾曲に対する整合を改善するうえでも重要である。しかし、同時に、ステントはそれにもかかわらず、設置時に管腔壁の必要な支持を行うのに十分な半径方向強度を示す必要がある。
【0005】
従来技術のステント構成に固有の他の問題は、このような構造が、半径方向に拡張するときに通常受ける長手方向の収縮である。これは、ステントの設置状態での有効長を短くするだけでなく、拡張時に血管壁に擦過外傷を生じさせる恐れがある。
【0006】
従来、これらの様々な要件に対処するために多数の非常に異なる手法が開発されている。一般的な手法では、ステントを全体的にワイヤで構成する必要がある。ワイヤは、曲げられ、織られ、および/またはコイル状に巻かれて、半径方向への拡張を受ける能力を有する構成の概ね円筒形の構造を形成する。ワイヤを使用することは、たとえば、ステントに沿ったある位置に集中する材料の量を理想的な量よりも多くするかまたは少なくする可能性のあるステントのほぼ一定の断面を含む多数の欠点を伴う。さらに、ワイヤは、それを形成できる形状に関する制限を有し、したがって、最終的にワイヤを使用して実現される拡張率、被覆面積、可とう性、および強度が制限される。
【0007】
ワイヤベースの構造に代わる手段として、ステントはチューブストックから構成されている。このような管状開始材料から材料を選択的に除去することによって、所望の程度の可とう性および拡張可能性を構造に付与することができる。チューブから材料を除去するのにエッチング技術とレーザ切削技術が利用される。レーザ切削は、材料の非常に明確に形成されたパターンをチューブから除去し、逆に材料の非常に厳密にかつ正確に形成されたパターンを無傷のまま残す高度の精度を実現する。このようなステントの性能は実質的に、残る材料のパターン(すなわち、構成)および材料の厚さの関数である。特定のパターンを選択することは、結果として得られるステントの被覆面積、拡張率、および強度と、拡張時のステントの長手方向可とう性および長手方向寸法安定度に顕著な効果をもたらす。
【0008】
チューブベースのステントはワイヤベースの構成と比べて多数の利点を有するが、それにもかかわらず、半径方向フープ強度を犠牲にせずに半径方向への拡張時の長手方向可とう性および長手方向寸法安定度をさらに高めるためにそのような構成を改善することが望ましい。
【0009】
Fordenbacherが公表したあるステント構成(米国特許第5549662号および第5733328号参照)は、各々が、複数の互いに向かい合う周方向部材またはフィンガーを含む長手方向バックボーンを有する、複数の細長い互いに平行なステント構成部材を使用する。あるステント構成部材の周方向部材は、隣接するステント構成部材の長手方向バックボーンの長穴対に入り込む。長穴付き連接部を有するロック手段を組み込むことによって、Fordenbacherのステントは半径方向への拡張後の反動を最小限に抑えることができる。さらに、Fordenbacherのステントにおける十分な数の周方向部材は適切な足場を形成することができる。残念なことに、周方向部材は長穴対から突き出る自由端を有する。さらに、長穴対を通過する周方向部材はまた、必然的に管腔壁から分離される。自由端と分離はどちらも、血栓症および/または再狭窄の危険性を高めることがある。さらに、このステント構成は、複数の長手方向バックボーンの結果としてかなり非可とう性になる傾向がある。
【0010】
いくつかのステントは、シートが丸められ、つぶされた状態では高度に重なり合い、ステントが解けて拡張状態になるにつれて重なりの程度が低くなる「ゼリーロール」構成を使用する。このような構成の例は、Lauの米国特許第5421955号、Khosraviの米国特許第5441515号および第5618299号、およびSigwartの米国特許第5443500号に記載されている。これらの構成の欠点は、長手方向可とう性が非常に不十分になる傾向があることである。改良された長手方向可とう性を示す修正された構成では、複数の短いロールが長手方向に連結される。たとえば、Campbellの米国特許第5649977号およびCarpenterの米国特許第5643314号および第5735872号を参照されたい。しかし、これらの連結されたロールは、隣接するロール間で血管を支持することがない。さらに、これらの構成は、複数の層においてステント部材が広範囲に重なり合い、送達形状がかなり厚くなる。
【0011】
上記に参照したステントを含む様々な種類のステントは、その拡張手段に基づいて記載されることが少なくない。他の情報として、様々なステントタイプがBalcon et al., "Recommendations on Stent Manufacture, Implantation and Utilization," European Heart Journal (1997), vol. 18, pages 1536-1547およびPhillips, et al., "The Stenter's Notebook." Physician's Press (1998), Birmingham, Michiganに記載されている。
【0012】
バルーン拡張可能ステントは、つぶされた状態で製造され、バルーンによって所望の直径まで拡張される。拡張可能なステント構造は、たとえば、Palmazの米国特許第4733665号に教示されているようにステントを機械的に変形することによって拡張状態に保持することができる。あるいは、バルーン拡張可能ステントは、たとえば、Kreamerの米国特許第4740207号、Beck等の米国特許第4877030号、Derbyshireの米国特許第5007926号に開示されているように、ステント壁を互いに連結することによって拡張状態に保持することができる。さらに、ステントは、Stack等の米国特許第5059211号に開示されたように、ステント壁を互いに1方向に連結し、組織をステント内に成長させることによって拡張状態に保持することができる。
【0013】
バルーン拡張可能ステントは、臨床用途で広く使用された最初のステントタイプであるが、バルーン拡張可能ステントが、多くの重要な用途におけるステントの効果を制限することがある様々な欠点を有することが十分認識されている。たとえば、バルーン拡張可能ステントは、拡張可能バルーンをしぼませた直後にかなりの反動(すなわち、直径の縮小)を示すことが少なくない。したがって、ステントの設置時にバルーンを過度に膨張させ、後の反動を補償することが必要になることがある。これは、過度に膨張させると血管を損傷することがあることが判明しているため不利である。さらに、設置されたバルーン拡張可能ステントは長い年月の間に反動が頻発し、それによって管腔の開存性を低減させる可能性がある。さらに、バルーン拡張可能ステントは、拡張時に縮小(すなわち、長さの縮小)することが少なくなく、それによって、血管壁に沿って望ましくない応力が生じ、ステントの配置が厳密なものでなくなる。さらに、最初のPalmaz−Schatzステントおよびその後の変形形態のような多くのバルーン拡張可能ステントは、血管の損傷、血栓症、および/または再狭窄の危険性を高くする比較的ギザギザの末端プロングを有する拡張可能なメッシュを備える。
【0014】
自己拡張ステントは、血管の直径以上の直径を有するように製造され、治療部位に送達されるときに直径を小さくするようにつぶされ拘束される。自己拡張ステントは一般に、シースまたはスリーブ内に配置され、治療部位への送達時にステントをつぶされた状態に拘束する。治療部位に到達した後、拘束機構が取り外され、ステントは拡張状態に自己拡張する。最も一般的には、自己拡張ステントは、ニチノルまたは他の形状記憶合金で作られる。臨床的に使用された最初の拡張ステントの1つは、Wallstenの米国特許第4954126号に記載された編み上げ「ウォールステント」である。自己拡張ステントの他の例は、ステント状のプロテーゼが配置時に拡張可能または収縮可能なプラスチックまたは板金で形成されるWallの米国特許第5192307号に開示されている。
【0015】
熱拡張可能ステントは自己拡張ステントと性質が類似している。しかし、この種のステントは、熱の印加を利用してステント構造を拡張させる。この種のステントは、寸法の変化を実現するのに熱転移を受けなければならない、ニチノルなどの形状記憶合金またはポリマーのような他の材料で形成することができる。熱拡張可能なステントは、加熱された流体を受けることのできるカテーテル上の患部に送達されることが少なくない。加熱された生理食塩水または他の流体を、カテーテルの、ステントが配置された部分に送り、それによってステントに熱を伝導し、ステントを拡張させることができる。しかし、熱拡張可能なステントは、装置が複雑であり、拡張特性の信頼性が不十分であり、ステントを拡張状態に維持するのが困難であるため、普及してはいない。さらに、ステント設置時に熱を印加すると血管が損傷する恐れがあることが判明している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
簡単に言えば、体腔の開存性を維持する様々なステントが何年も前から提案されているが、既存の方式のうちで、上述の欠点の大部分またはすべてを解消できる方式はない。その結果、臨床医は、特定の用途に使用するステントタイプを選択する際に利点と欠点のバランスをとらざるを得ない。したがって、改良されたステント、すなわち、患部に容易に送達できるようにつぶされたときに小形で可とう性であるステント、設置時に、患部を有する体腔の形状に整合するのに十分な程度に可とう性であるステント、所望の直径まで長さを変化させずに一様に拡張するステント、顕著な反動無しに拡張サイズを維持するステント、および管腔をうまく通過するのに十分な足場を有するステントが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明を簡単に説明するために、本発明のある態様、利点、および新規の特徴について上記に説明した。もちろん、必ずしも、本発明の特定の実施態様に従ってすべてのこのような利点を実現できるとは限らないことを理解されたい。したがって、本発明は、本明細書で教示または示唆される1つの利点または一群の利点を、必ずしも、本明細書で教示または示唆される他の利点を実現すること無しに、実現または最適化するように実現または実施することができる。
【0018】
一実施態様では、スライド・アンド・ロック・ステントが開示される。このステントは、長手方向軸および周方向軸を有する管状部材を有する。管状部材は、各モジュールが、少なくとも1つの受動半径方向部材によって長手方向軸において互いに分離される少なくとも2つのスライド・アンド・ロック半径方向部材を有する、周方向に隣接する少なくとも2つのモジュールを有し、各スライド・アンド・ロック半径方向部材は、係合タブと、ロックアウト歯を内部に有し走行経路を形成する受け長穴とを有する。各モジュールのスライド・アンド・ロック半径方向部材の係合タブは、周方向に隣接するモジュールのスライド・アンド・ロック半径方向部材の受け長穴内に滑り可能に嵌まり込み、ロックアウト歯は、走行経路に沿ったタブの1方向への滑りを可能にするように構成され、したがって、互いに周方向に隣接するモジュールが互いに離れる方向に滑ると管状部材が反動を軽減されながら周方向軸において拡張する。
【0019】
スライド・アンド・ロック・ステントの好ましい変形実施態様では、走行経路は周方向軸にほぼ揃う。
【0020】
スライド・アンド・ロック・ステントの好ましい変形実施態様では、ロックアウト歯は、長穴の近位側面と遠位側面の両方に沿って配置された複数のロックアウト歯をさらに有する。複数のロックアウト歯は長穴の近位側面および遠位側面にほぼ均等に分散されることが好ましい。他の好ましい変形実施態様では、近位側面のロックアウト歯は遠位側面のロックアウト歯から周方向にずれており、したがって、走行経路はジグザグパターンを形成する。
【0021】
スライド・アンド・ロック・ステントの好ましい変形実施態様では、受動半径方向部材は、タブおよび長穴をさらに有し、各モジュールの受動半径方向部材のタブが周方向に隣接するモジュールの受動半径方向部材の長穴内に滑り可能に嵌まり込む。受動半径方向部材の少なくとも1つの長穴は、タブを所定の位置で停止させ、タブが長穴内でさらに滑るのを防止するように構成された安全捕捉部材を有することが好ましい。
【0022】
スライド・アンド・ロック・ステントの他の好ましい変形実施態様では、少なくとも1つのスライド・アンド・ロック半径方向部材は、拡張時にロックアウト歯を通過させるときに非作動位置から作動位置にたわみ再び作動位置から非作動位置にたわむように構成された作動捕捉部材をさらに有する。一変形実施態様では、スライド・アンド・ロック・ステントは、ロックアウト歯を通過させた後で作動捕捉部材を非作動位置に戻すようになっている確実戻し部材をさらに有する。ロックアウト歯は、長穴の一方の側に沿って配置された複数のロックアウト歯をさらに有することが好ましい。他の変形実施態様では、スライド・アンド・ロック・ステントは、ロックアウト歯から長穴の他方の側に沿って配置され、複数のロックアウト歯の各々を通過させた後で作動捕捉部材を非作動位置に戻すように位置する複数の確実戻し部材を有する。
【0023】
他の好ましい実施態様では、少なくとも1つの半径方向部材は、変形可能な領域をさらに有し、したがって、半径方向への拡張は、周方向に隣接する半径方向部材が滑ると共に、変形可能な領域が変形することによって生じることができる。
【0024】
他の好ましい変形実施態様では、係合タブはたわみ可能である。
【0025】
他の好ましい変形実施態様では、スライド・アンド・ロック・ステントは、材料のたわみを容易にするように構成されたリンケージ領域をモジュール内にさらに有する。リンケージ領域は、U字型部材、逆U字型部材対、蛇行波、長手方向軸および周方向軸に対して斜めに配置された直線状コネクタ、および波状ばね部材から成る群から選択された構造部材を含むことが好ましい。
【0026】
本発明の他の好ましい実施態様では、長手方向軸および周方向軸を有する管状部材を有するスライド・アンド・ロック・ステントが開示される。管状部材は、アクチュエータが配置された作動レールを有する第1の半径方向部材と、第1の半径方向部材に周方向に隣接し、第1の半径方向部材に滑り可能に連結され、たわみ可能な捕捉部材を有する第2の半径方向部材と、ロックアウト歯とを有し、アクチュエータは、第2の半径方向部材が第1の半径方向部材に対して滑るときに、アクチュエータがたわみ可能な捕捉部材をたわませ、それによってロックアウト歯に連結され、したがって、管状部材が反動を軽減されながら周方向軸において拡張するように構成される。ロックアウト捕捉部材は第1の半径方向部材を囲むフレーム部材に沿って配置されることが好ましい。
【0027】
本発明の他の好ましい実施態様では、長手方向軸および周方向軸を有する管状部材を有するスライド・アンド・ロック・ステントが開示され、管状部材は、ロックアウト歯が配置されたたわみ可能なレールを有する第1の半径方向部材と、第1の半径方向部材に周方向に隣接し、第1の半径方向部材に滑り可能に連結され、長穴を有する第2の半径方向部材とを有し、長穴は、たわみ可能なレール上に配置されたロックアウト歯が長穴を通過するときに、たわみ可能なレールに滑り可能に連結されてたわみ可能なレールをたわませ、したがって、管状部材が反動を軽減されながら周方向軸において拡張するように構成される。たわみ可能なレールは、間に隙間を含む2つのレールを有し、各レール上に複数のロックアウト歯が配置されることが好ましい。
【0028】
本発明の他の好ましい実施態様では、長手方向軸および周方向軸を有する管状部材を有するスライド・アンド・ロック・ステントが開示され、管状部材は、たわみ可能な歯を有する細長いレールを有する第1の半径方向部材と、第1の半径方向部材に周方向に隣接する第2の半径方向部材であって、第1の半径方向部材の細長いレールに滑り可能に連結され、かつたわみ可能な歯が係合手段に接触したときにたわみ可能な歯をたわませ、したがって、管状部材が反動を軽減されながら周方向軸において拡張するように構成された係合手段を有する第2の半径方向部材とを有する。
【0029】
好ましい変形実施態様では、係合手段は、長手方向軸において細長いレールに隣接して滑り、歯を長手方向に細長いレールの方へたわませるように構成されたロックタブを有する。
【0030】
他の好ましい変形実施態様では、係合手段は、細長いレールの上または下を滑り、歯を細長いレールの平面の方へたわませるように構成されたロックタブを有する。
【0031】
他の好ましい変形実施態様では、係合手段は、長穴を形成する閉ループを有する。細長いレールは、間に隙間を含む2つのレール部材をさらに有し、したがって、レール部材は、長穴に連結されるときに、互いに向かって隙間内にたわむように構成されることが好ましい。
【0032】
好ましい変形実施態様では、細長いレールには、たわみ可能な複数の歯が配置されている。
【0033】
他の好ましい変形実施態様では、スライド・アンド・ロック・ステントは、長手方向軸において互いに連結された2つ以上の第1の半径方向部材を有する第1のモジュールと、長手方向軸において互いに連結された2つ以上の第2の半径方向部材を有する第2のモジュールとをさらに有する。
【0034】
他の好ましい変形実施態様では、各モジュールの長手方向に連結された半径方向部材は、ジグザグパターンで互いに周方向にずれている。
【0035】
本発明の他の好ましい実施態様では、長手方向軸および周方向軸を有する管状部材を有するスライド・アンド・ロック・ステントが開示され、管状部材は、第1の鋸歯状面を有する第1の半径方向部材と、第1の半径方向部材に周方向に隣接し、第1の半径方向部材に滑り可能に連結され、第2の鋸歯状面を有する第2の半径方向部材とを有し、第1の鋸歯状面と第2の鋸歯状面は、滑りに抵抗するようになっている相補的な山谷構成で互いに連結され、管状部材は、半径方向の力を印加することによっていったん拡張すれば、反動に抵抗する。
【0036】
上述のステントの好ましい変形実施態様では、長手方向に隣接する半径方向部材は、可とう性のリンケージ部材によって互いに連結される。
【0037】
本発明の他の好ましい実施態様では、長手方向軸および周方向軸を有する管状部材を有するスライド・アンド・ロック・ステントが開示され、管状部材は、周方向にずれた少なくとも2つのスライド・アンド・ロック半径方向部材および連結部材を有し、各半径方向部材がタブ、ロックアウト歯を有する隙間、および長穴を有する第1のモジュールと、第1のモジュールとほぼ同一に構成され、第1のモジュールに周方向に隣接する第2のモジュールとを有し、第2のモジュールの半径方向部材は、第1のモジュールの対応する半径方向部材の長穴内に滑り可能に嵌まり込み、第2のモジュールの半径方向部材のタブは、第1のモジュールの対応する半径方向部材の隙間内に滑り可能に嵌まり込み、したがって、ロックアウト歯がタブに連結され反動が最小限に抑えられる。
【0038】
本発明の他の好ましい実施態様では、長手方向軸および周方向軸を有する管状部材を有するスライド・アンド・ロック・ステントが開示され、管状部材は、それぞれが山および谷を有する第1および第2の長手方向モジュールを有し、ロックアウト歯を有する突起が、各モジュールの第1の山から延び、長穴が、各モジュールの第2の山に沿った位置を通って延び、第1のモジュールの突起は、第2のモジュールの長穴内に滑り可能に嵌まり込む。
【0039】
好ましい変形実施態様では、モジュールは、(n)個の材料層を有する((n)は少なくとも2である)。突起および上記位置はそれぞれ、(n)個未満の材料層を有し、第1のモジュールの突起が第2のモジュールの長穴内に滑り可能に嵌まり込むときに上記位置における材料層の総数は(n)に等しく、したがって、スライド・アンド・ロック・ステントの厚さは一様であり、(n)個の層を超えないことが好ましい。
【0040】
上述のスライド・アンド・ロック・ステントの好ましい変形実施態様では、スライド・アンド・ロック・ステントの少なくとも一部の断面形状は、スライド・アンド・ロック・ステントが血管腔内に配置されたときに一般に望ましい血液流特性を生じさせるように先細りになっている。
【0041】
上述のスライド・アンド・ロック・ステントの好ましい変形実施態様では、スライド・アンド・ロック・ステントは、金属およびポリマーから成る群から選択される材料をさらに含む。ポリマーは生体吸収性のポリマーを含むことが好ましい。ポリマーは放射線不透過性・生体吸収性ポリマーを含むことがより好ましい。一態様では、ポリマーは、スライド・アンド・ロック・ステントの少なくとも一部上にコーティングを形成する。ポリマーコーティングは、選択された生体応答を推進するようになっている生体適合・生体吸収性ポリマーをさらに含んでよい。
【0042】
上述のスライド・アンド・ロック・ステントの好ましい変形実施態様では、スライド・アンド・ロック・ステントは層状材料をさらに含む。層状材料は生体吸収性ポリマーを含むことが好ましい。
【0043】
上述のスライド・アンド・ロック・ステントの好ましい変形実施態様では、スライド・アンド・ロック・ステントは治療薬剤をさらに含む。
【0044】
上述のスライド・アンド・ロック・ステントの好ましい変形実施態様では、スライド・アンド・ロック・ステントは、治療部位への送達時に管状部材を密閉するようなサイズを有する引き込み可能なシースをさらに有する。
【0045】
上述のスライド・アンド・ロック・ステントの好ましい変形実施態様では、スライド・アンド・ロック・ステントは、固体壁領域をさらに有する。固体壁領域は開口部をさらに有してよい。
【0046】
上述のスライド・アンド・ロック・ステントの好ましい変形実施態様では、スライド・アンド・ロック・ステントは高分子シースをさらに有する。
【0047】
血管内の部位を治療するシステムも開示される。このシステムは、設置手段を有するカテーテルと、上述のスライド・アンド・ロック・ステントのいずれかとを有し、カテーテルは、ステントを部位に送達するようになっており、設置手段は、スライド・アンド・ロック・ステントを設置するようになっている。好ましい変形実施態様では、カテーテルは、オーバー・ザ・ワイヤ・カテーテル、同軸急速交換カテーテル、および多重交換送達カテーテルから成る群から選択される。
【0048】
本発明の他の実施態様による体腔を再治療する方法が開示される。この方法は、生体吸収性ポリマーで作られ、ある期間の間体腔の領域に存在する上述のスライド・アンド・ロック・ステントのいずれかを体腔の領域に設置するステップと、ある期間の後で、第2の治療、たとえば、任意の種類の第2のスライド・アンド・ロック・ステント、血管形成術、関節切除、バイパス手術、放射線、アブレーション、局所薬剤注入など、または任意の以後の介入もしくは治療から成る群から選択される治療を領域に施すステップとを有する。
【0049】
すべてのこれらの実施態様は、本明細書に開示される本発明の範囲内のものである。当業者には、本発明のこれらおよび他の実施態様が、添付の図面を参照する好ましい実施形態についての以下の詳細な説明から容易に明らかになろう。本発明は開示される特定の好ましい実施形態に限定されない。
【0050】
したがって、本発明の全般的な性質およびその特徴および利点のいくつかを概略的に説明したが、当業者には、以下の各図を参照する詳細な説明から、本発明のある好ましい実施形態および修正実施形態が明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
本明細書で説明する本発明の好ましい実施形態は概して、体腔の支持を維持する拡張可能な医療インプラントに関する。本発明の実施形態および属性には、半径方向の並進と軸方向の並進の両方を有する一定の経路形状に従う半径方向部材を有する非作動スライド・アンド・ロック・ステントと、半径方向部材が、ばね部材、脆弱な設置制御機構、および装置過伸長安全捕捉部材を含むがそれらに限定されるわけではない様々な部材を有する、能動(スライド・アンド・ロック)半径方向部材と受動半径方向部材の両方を有する長手方向モジュールを含むステントと、定寸分解能を高めるために非対称的なロックアウト形状を有するスライド・アンド・ロック・ステントと、確実ロックアウト機構戻し部材を有する作動スライド・アンド・ロック・ステントと、能動ロックアウトシステムを有する作動スライド・アンド・ロック・ステントと、装置をさらに半径方向に拡張できるようにし、および/または装置の安全性を高める変形可能なスライド・アンド・ロック・ステントと、両側ロックアウト部材を有するスライド・アンド・ロック・ステントと、送達バルーン上の保持を向上させる丸め可能なスライド・アンド・ロック・ステントと、圧潰回復可能なスライド・アンド・ロック・ステントと、乱流を軽減し、血液の概略的な層流を生じさせる最適化された支柱または壁構成を有するスライド・アンド・ロック・ステントとが含まれるが、それらに限定されるわけではない。他の実施形態には、支持のための大表面積領域を含む領域を有するスライド・アンド・ロック・ステントと、横分岐血管接近ポートを有する領域を含むスライド・アンド・ロックと、グラフトカバリングを有するスライド・アンド・ロック・ステントとが含まれる。他の実施形態には、生体適合材料(金属および/またはポリマー)で構成されたスライド・アンド・ロック・ステントと、層化材料および/または部分的に局在する材料で構成されたスライド・アンド・ロック・ステントとが含まれる。
【0052】
説明には、様々な実施形態の具体的な詳細が記載されているが、この説明が示的なものに過ぎず、いかなる点でも本発明を制限するものと解釈すべきものではないことが理解されよう。さらに、当業者に考えられる、本発明の様々な用途および本発明の修正実施形態も、本明細書で説明する概略的な概念に包含される。
【0053】
用語「ステント」は、本明細書では、(1)冠血管や、神経血管や、たとえば腎臓、腸骨、大腿、膝窩、鎖骨下、および頚動脈の末梢血管などの血管体腔(すなわち、動脈および/または静脈)、ならびに(2)現在治療中の体腔などの非血管体腔、すなわち、消化管腔(たとえば、胃腸、十二指腸および食道、胆管)、呼吸管腔(たとえば、気管や気管支)、および尿管腔(たとえば、尿道)に配置される実施形態を指定するのに使用され、(3)さらに、このような実施形態は、生殖、内分泌、造血、および/または外皮、筋骨格/整形、および神経系(聴覚および眼科用途を含む)のような他の体系の管腔で有用であることがあり、(4)最後に、ステント実施形態は、妨害された管腔を拡張し、(たとえば、動脈瘤の場合のように)妨害物を誘導するうえで有用である場合がある。
【0054】
本発明の以下の説明では、用語「ステント」は、用語「プロテーゼ」と相互交換可能に使用されることがあり、体通路のセグメントを支持するように構成された様々な装置を含むものとして広義に解釈されるべきである。さらに、用語「体通路」が、本明細書で説明するような体内の任意の管腔または管を包含することを理解されたい。
【0055】
さらに、「形状記憶材料」が、ニッケル−チタン合金のような様々な公知の形状記憶合金と、かなりの塑性変形を受けた後で以前の一定の形状に戻る任意の他の材料とを含む広義の用語であることを理解されたい。
【0056】
本発明の好ましい一実施形態では、組み立てられたステントは概して、体腔に挿入できるようにサイズが定められた、長手方向軸における長さと、半径方向または周方向における直径とを有する管状部材を有する。管状部材は、つぶされた状態でも拡張状態でも管腔内に突き出る構造をほとんどまたはまったく有さないこととして定義される「クリア・スルー・ルーメン」が可能なように形成されることが好ましい。
【0057】
本明細書に図示し説明する実施形態の多くでは、管腔内ステントは、本明細書では一般に「半径方向部材」と呼ばれる「スライド・アンド・ロック部材」を備えることが好ましい。半径方向部材は、ステントが、たとえば設置時に、半径方向につぶされた状態から半径方向に拡張された状態に1方向のみに拡張するように、周方向に隣接する半径方向部材と滑り可能に相互連結される。半径方向部材は、ステントが、体通路内に設置された後で拡張された直径に維持される(すなわち、ロックアウトされる)ように、ラチェット効果を生じさせるように構成されることが好ましい。特に、この構造(たとえば、半径方向部材)はたわむかまたは湾曲することができるが、従来のバルーン拡張可能ステントとは異なり、ステントをつぶれ時直径から拡張時直径に拡張する際に、この部材の塑性変形はほとんど必要とされない。この種の部材は、本明細書では一般に「非変形部材」と呼ばれる。したがって、用語「非変形部材」は、ステントの設置時に部材の最初の寸法(すなわち、長さおよび幅)を実質的に維持する構造を一般的に表すものである。各半径方向部材は、スライド・アンド・ロック機構を形成するように切削するかまたは他の方法で形作られたフラットシートとして形成されることが好ましい。
【0058】
本明細書で使用される用語「半径方向強度」は、ステントが、臨床的に顕著な損傷を受けずに耐えることのできる外部圧力を表す。バルーン拡張可能ステントは、半径方向強度が高いため、一般に冠状動脈において血管の開存性を確保するために使用される。体腔への設置時には、ステントを特定の所望の直径に拡張する場合にバルーンの膨張を規制することができる。したがって、バルーン拡張可能ステントは、厳密な配置および定寸が重要である用途に使用することができる。バルーン拡張可能ステントは、ステントを設置する前に血管の事前拡張を行うことのない直接ステントグラフト留置術用途、または事前拡張処置(たとえば、バルーン血管形成術)の後のプロテーゼ用途に使用することができる。直接ステントグラフト留置術時には、膨張可能なバルーンを拡張することによって、ステントも拡張しつつ血管を拡張する。
【0059】
他の好ましい実施形態では、ステントは、引用によって本明細書に全体的に組み込まれる同時係属中の米国特許出願第10/952202号に開示されたような、生体適合性を有し、かつ好ましくは生体吸収性を有するポリマーで形成された管状部材をさらに有する。使用される様々なポリマー配合が、立方異性体を含む、ホモ重合体およびヘテロ重合体を含んでよいことも理解されたい。ホモ重合体は、本明細書では、すべて同じ種類のモノマーで構成されたポリマーを示すのに使用される。ヘテロ重合体は、本明細書では、共重合体とも呼ばれる2つまたは3つ以上の異なる種類のモノマーで構成されたポリマーを示すのに使用される。ヘテロ重合体または共重合体は、ブロック、ランダム、および交互と呼ばれる種類のポリマーであってよい。さらに、様々なポリマー配合の表示に関して、本発明の各実施形態による生成物は、ホモ重合体、ヘテロ重合体、および/またはこのようなポリマーの混合物で構成することができる。
【0060】
用語「生体吸収性」は、本明細書では、(化学分解する水および/または酵素の作用によって)生分解を受けるポリマーを示すのに使用され、分解生成物の少なくとも一部は無くなり、および/または人体に吸収される。用語「放射線不透過性」は、本明細書では、X線、蛍光、他の形式の放射、MRI、電磁エネルギー、構造撮像(コンピュータ断層撮影など)、機能撮像(超音波検査など)などであるがそれらに限定されるわけではない撮像用の生体内分析技術によって見える物体またはその物体を含む材料を示すのに使用される。用語「本来放射線不透過性」は、本明細書では、ポリマーへのハロゲン種の共有結合のために本来放射線不透過性であるポリマーを示すのに使用される。したがって、この用語は、単にハロゲン化種または金属やその複合体のような他の放射線不透過性化剤と結合されたポリマーは包含しない。
【0061】
他の好ましい変形実施形態では、ステントは、選択された治療効果を発揮するのに十分な量の治療薬(たとえば、医薬品および/または生物剤)をさらに含む。本明細書で使用される用語「医薬品」は、特定の生理(代謝)応答を誘発させる病気の緩和、治療、または防止を目的とした物質を包含する。本明細書で使用される用語「生物剤」は、天然および組み換えおよび合成由来のものであり、任意の配列およびサイズを有する、器官、組織、または細胞ベースの誘導体、細胞、ウィルス、核酸(動物、植物、微生物、およびウィルス)、抗体、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、cDNA、癌遺伝子、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、リポタンパク、糖タンパク、脂質、炭水化物、多糖、脂質、リポソーム、または他の細胞成分もしくは誘導体、たとえば受容体およびリガンドを含むが、それらに限定されるわけではない、生体系内の構造および/または機能活動を有する任意の物質を包含する。さらに、用語「生物剤」は、本明細書では、ヒトの病気または負傷の防止、治療、または治癒に適用できるウィルス、血清、毒素、抗毒素、ワクチン、血液、血液成分または誘導体、アレルギー生成物、または類似生成物、またはアルスフェナミンもしくはその誘導体(または任意の三価ヒ素化合物)を含む(公衆衛生法の351(a)条による(42U.S.C.262(a))。さらに、用語「生物剤」は、1)本明細書では、天然に発生するかまたは組み換えによる有機体、組織、または株化細胞から生成され浄化された生物学的に活性のペプチド、タンパク質、炭水化物、ビタミン、脂質、または核酸、あるいは抗体、成長因子、インターロイキン、およびインターフェロンを含むそのような分子の合成類似体を包含する「生体分子」、2)本明細書では、核酸(デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ拡散(RNA)、遺伝因子、遺伝子、因子、対立遺伝子、オペロン、構造遺伝子、調節遺伝子、作動遺伝子、遺伝子、ゲノム、遺伝暗号、コドン、アンチコドン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA(tRNA)、リボソーム染色体外遺伝因子、細胞質遺伝子、プラスミド、転移ポゾン、遺伝子変異、遺伝子配列、エクソン、イントロンを包含する「遺伝子材料」、ならびに3)本明細書では、操作を受ける細胞、組織、または器官などの「処理済みバイオロジクス」を含んでよい。治療薬は、ビタミンまたはミネラル物質あるいは他の天然要素を含んでもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、半径方向部材の構成部材を、強度、コンプライアンス、設置時の曲率半径、および拡張率の各機能要素をカスタマイズするように変えることができる。いくつかの実施形態では、ステントは、吸収性材料を含み、その作業が終了すると消滅する。いくつかの実施形態では、ステントは治療薬送達プラットフォームとして働く。
【0063】
ステントは、1つまたは2つ以上のスライド・アンド・ロック半径方向部材と、任意に、長手方向軸において可とう性の連結部によって連結された1つまたは2つ以上の受動半径方向部材とを含む、一連の半径方向部材から成る少なくとも1つの長手方向モジュールを有することが好ましい。1つまたは2つ以上の同様の長手方向モジュールの半径方向部材は、互いに周方向に隣接する半径方向部材に滑り可能に連結されることが好ましい。もちろん、単一モジュール(またはゼリーロール型)実施形態も本開示の範囲内に包含される。各モジュールは、ステント設置時に伸びないかまたは他の永久的な変形をほとんど示さない離散した単体構造であることが好ましい。
【0064】
いくつかの実施形態は、体腔内の目標領域を開放または拡張するのに使用される半径方向に拡張可能なステントに関する。いくつかの実施形態では、組み立てられたステントは、体腔に挿入するのに適切なサイズを有する、長手方向軸における長さと周方向または半径方向軸における直径とを有する管状部材を有する。管状部材の長さおよび直径は、後述の構造部材の数および構成に応じて様々な選択された目標管腔に設置できるようにかなり変更することができる。管状部材は、少なくとも第1のつぶれ時直径から少なくとも第2の拡張時直径に調整可能である。1つまたは2つ以上の止め具および係合部材またはタブが、管状部材の構造部材に組み込まれ、それによって、反動(すなわち、拡張時直径からよりつぶされた状態の直径へのつぶれ)が約5%未満に抑えられる。
【0065】
いくつかの実施形態による管状部材は、つぶれ時直径でも拡張時直径でも管腔内に突き出る構造部材を有さないことと定義される「クリア・スルー・ルーメン」を有している。さらに、管状部材は、エッジ効果の外傷を最小限に抑える滑らかな縁部を有している。管状部材は、小さい血管への送達および蛇行性脈管構造を通る送達を容易にするように、2枚の壁を有し(壁厚さは、選択される材料によって決まり、塑性・分解材料の場合の約0.010インチ未満から金属材料の場合の約0.002インチ未満までの範囲である)、かつ可とう性である(約0.01ニュートン力/ミリメートル未満のたわみ)ことが好ましい。
【0066】
本発明の各態様によるステントは、断面形状を小さくし優れた長手方向可とう性を実現する壁を備えることが好ましい。好ましい実施形態では、壁厚さは約0.0001インチから約0.0250インチであり、より好ましくは0.0010インチから約0.0100インチである。しかし、壁厚さは、少なくとも部分的に、選択される材料によって決まる。たとえば、厚さは、塑性・分解材料の場合は約0.0060インチ未満であってよく、金属材料の場合は約0.0020インチ未満であってよい。特に、3.00mmステント用途の場合、プラスチック材料を使用すると、厚さは、約0.0040インチから約0.0045インチの範囲であることが好ましい。しかし、様々な直径を有するステントは、胆管および他の末梢血管用途に様々な厚さを使用することができる。上記の厚さ範囲は、組み立ておよび設置を含む装置のすべての態様にわたって好ましい特性をもたらすことが判明している。しかし、上記の厚さ範囲が本発明の範囲に関して制限的であってはならず、かつ本発明の教示が、本明細書で論じない寸法を有する装置に適用できることが理解されよう。
【0067】
ステントの実施形態のいくつかの態様は、それぞれが引用によって全体的に本明細書に組み込まれる、米国特許第6033436号、第6224626号、および第6623521号に開示されている。いくつかの態様は、それぞれが引用によって全体的に本明細書に組み込まれる、同時係属中の米国特許出願第60/601526号、第10/655338号、第10/773756号、第10/897235号にも開示されている。
血管プロテーゼの実施形態および構成上の特徴
血管プロテーゼ装置またはステントの好ましい実施形態を本明細書で開示する。これらの実施形態は、本明細書で開示、教示、または示唆される実施形態、ならびに/あるいは従来技術のステントを含む、広範囲の血管プロテーゼまたはステントと一緒に使用できる構成上の独特の属性および特徴を教示するものである。
【0068】
好ましい実施形態ならびに構成上の他の属性および特徴は、血管プロテーゼ装置またはステントをさらに改良し最適化するのを可能にする。各実施形態は、血管プロテーゼ装置またはステント用の新規の形状および機構を開示する。これらの実施形態および属性を個々にまたは組み合わせて利用して所望の最適な装置性能および特性を実現することができる。これらの実施形態の属性は特定の材料に限定されない。装置または属性は、層または組み合わせを含む金属およびポリマーと、本明細書で開示、教示、または示唆される材料またはその組み合わせのいずれかとを含む、様々な材料から準備することができる。
【0069】
本明細書では、長手方向軸において互いに連結された1つまたは2つ以上の半径方向部材がモジュールを形成する。周方向軸における1つまたは2つ以上のモジュールの滑り可能な相互ロックによってステントまたは血管プロテーゼが形成される。ステントは、ステント直径を変えることができるように滑りまたは連接機構を介して拡張可能である。モジュール内の半径方向部材の数およびステントを構成するモジュールの数を、ステント構成のカスタマイズを可能にし、かつ構成の多用性を高めるように効果的に変更することができる。本明細書で開示されるいくつかの好ましい実施形態ではモジュール内の互いに長手方向に隣接する半径方向部材が事前に連結されている(たとえば、単一の材料から切り出されている)ため、モジュール内の半径方向部材を溶接しおよび/または他の方法で連結する必要はない。同様に、互いに周方向に隣接するモジュールの半径方向部材は、組み立て時に、溶接および/または他の固定連結無しに(長穴内へのタブまたはレールの挿入を介して)相互連結されることが好ましい。
【0070】
本明細書で詳しく説明するように、様々な方法および技術を使用して本発明の実施形態のステントを組み立てるかまたは製造することができる。これらの方法および技術には、射出成形、レーザ加工、レーザ切断、レーザアブレーション、ダイ打ち抜き、化学エッチング、プラズマエッチング、または高分解能構成部材を作製することのできる当技術分野で公知の他の方法が含まれる。いくつかの実施形態では、ステントは生分解材料で作られる。
【0071】
本発明の実施形態のステントおよびプロテーゼは、多数の用途を有することができ、様々な技術で、かついくつかを本明細書で開示する他の手順と組み合わせて利用することができる。ステントの1つの用途は冠状ステントグラフト留置術用途である。このステントグラフト留置術は、バルーン血管形成術またはじょく腫切除のような他のカテーテルベースの手順と一緒に行うことができる。ステントは通常、冠状動脈内に狭窄をほとんどないしまったく残さずに素晴らしい最終結果を得るのを可能にする。ステント挿入を、バルーン血管形成術やじょく腫切除のような他の手順と一緒に行うことによって、動脈再閉鎖(再狭窄)の恐れが大幅に低減する。
【0072】
本明細書の節「高分子ステント」や「層ごとに異なりかつ空間局に局在する血管プロテーゼ」などで説明するように、様々なポリマー材料をステントと一緒に使用することができる。これらの節で説明するように、様々な治療薬をステントに組み込むこともできる。
【0073】
特定の用途の必要に応じて、本発明の各実施形態を送達シースと一緒に使用してステントをつぶされた状態に拘束し、ステント送達時に血管の内壁を保護することができる。たとえば、送達時にステントを密閉する引き込み可能な送達シースを構成することができる。治療部位に到達した後、シースを引き出してステントを露出させる。
【0074】
他の構成では、ステントをカバリングまたはシースと組み合わせて使用して血管グラフトを形成することができる。ステントの様々な領域はそれぞれの異なる拡張直径を有することができ、半径方向部材の実際の数および寸法は様々であってよい。ロック機構も解除可能であってよい。
【0075】
当業者には、一連のスライド・アンド・ロック部材が、ステントのつぶれ時直径および拡張時直径と長手方向長さとに関して多大な融通性を製造業者に与えることが理解されよう。拡張時直径を大きくし拡張率を高くするのは、モジュールの数、たとえば、管状部材の円周を構成する滑り可能に相互連結された半径方向部材の数を増やすことによって実現することができる。長手方向長さを長くするのは、モジュール内の半径方向部材の数を増やすことによって実現することができる。
【0076】
ステントの実施形態の他の変形実施態様では、ステント内の様々な領域は、それぞれの異なる拡張時直径を有することができ、したがって、ステントは、ステントの長さに沿って様々な管腔状態に調整可能である。したがって、ステントは、設置状態では、一方の端部により大きい直径を有し、ステントの他方の端部の方へ移動するにつれて拡張時直径が徐々にまたは段階的に小さくなっていく先細り構成を示すことができる。
【0077】
当業者には、本発明の実施形態の相互ロックおよび滑り半径方向部材構成が、製造業者にとって、ステントを様々な用途にカスタマイズするうえでかなり融通性に富んだものであることが理解されよう。ステント構成部材同士の重なり合いが入れ子フレーム部材によって最小限に抑えられるため、半径方向強度を損なわずにつぶれ時断面を非常に薄いものにすることができる。さらに、重なり合いの程度は、丸められたシートが広がることによって拡張するゼリーロール構成とは異なり、拡張時にほぼ変化しない。さらに、本発明の実施形態のステントの設置面の融通性は、使用される半径方向部材の長さ、構成、および数を変更することによってカスタマイズすることができる。したがって、ステントの融通性が非常に高くかつ非常に薄い実施形態は、頚動脈の遠位に位置する頭蓋間血管や離れた冠血管のような小さくかつ到達するのが困難な血管内の設置に適していると思われる。
【0078】
このようにステントを構成すると、従来技術に勝る顕著な利点が得られる。ロック機構の構成は、主として材料に依存しない。このため、ステントの構造は高強度材料を含むことができ、これは、ロック機構を完成するのに材料を変形させる必要のある構成では可能ではない。このような材料を組み込むと、より厚いステントの強度特性を保持しつつ、材料に必要な厚さを薄くすることができる。好ましい実施形態では、選択される部材に存在するロック穴、止め具、または歯の使用頻度および配置によって、拡張後のステントの不要な反動が防止される。
【0079】
本明細書で教示または示唆される実施形態のいずれでも、たとえば、イオジンまたは臭素あるいは他の放射線不透過性部材を組み込んだり、イオジン含有薬剤または他の造影剤を使用したりすることによって、臨床視感度(放射線不透過性)を示す材料を使用することができる。材料は、非吸収性ポリマーまたは金属粒子、バンド、もしくは場合によっては液体金の放射線不透過性構成部材であってよい。視認方法には、X線、蛍光、超音波、MRI、またはイマトロン電子ビーム断層撮影(EBT)を含めてよいが、それらに限定されるわけではない。
非作動スライド・アンド・ロック装置構成
図1〜3は、本発明の一実施形態によるスライド・アンド・ロック・ステントまたは血管プロテーゼ装置10の部分図を示している。図1は、部分拡張状態のステント10を示し、図2は、拡張状態のステント10を示している。
【0080】
図1〜3に示されている実施形態は、非作動(すなわち、たわみ、曲げなど)部材を使用して拡張およびロックアウトを実現するスライド・アンド・ロック装置10である。
【0081】
図1および2は、モジュール12’が、長手方向にずれたスライド・アンド・ロック半径方向部材14’および16’を有し、モジュール12”が、長手方向にずれたスライド・アンド・ロック半径方向部材14”および16”を有する、周方向に隣接する2つのモジュール12’および12”の部分図を示している。モジュールは一般に、モジュールの近位端および遠位端に少なくとも2つのスライド・アンド・ロック半径方向部材を有している。これらの半径方向部材は、機構半径方向部材と呼ばれることもある。というのは、これらの半径方向部材が、制御された設置を可能にしかつ半径方向の圧縮に抵抗するスライド・アンド・ロック機構を有するからである。これらのモジュールの好ましい実施形態では、モジュール当たり2つから8つのスライド・アンド・ロック半径方向部材があり、より好ましくは、モジュール当たり2つから4つのスライド・アンド・ロック半径方向部材がある。
【0082】
図1〜3に示されているようないくつかの実施形態では、モジュール内の長手方向にずれたスライド・アンド・ロック半径方向部材は、図1および2に示されている2つの受動半径方向部材18のような1つまたは2つ以上の受動半径方向部材によって分離され相互連結されている。これらの受動半径方向部材は非機構半径方向部材と呼ばれることもある。というのは、これらの受動半径方向部材が、スライド・アンド・ロック半径方向部材とは異なり、半径方向への拡張のスライド・アンド・ロック機構に寄与しないからである。いくつかの実施形態では、受動半径方向部材が存在しない。他の実施形態では、各スライド・アンド・ロック半径方向部材間に1つから8つの半径方向部材が配置されている。モジュール内の各スライド・アンド・ロック半径方向部材間に1つから4つの受動半径方向部材があることがより好ましい。以下に詳しく開示されるように、これらの受動非機構半径方向部材は、特に可変可とう性、可変半径方向強度、可変足場(血管壁被覆)、および/または過度の拡張を防止する安全捕捉部材を実現する多数の異なる形状構成に形成することができる。
【0083】
図1および2を見ると分かるように、スライド・アンド・ロック半径方向部材(ここでは16”で示されている)上のタブ20は、周方向に隣接するスライド・アンド・ロック半径方向部材(ここでは16’で示されている)の長穴22内に滑り可能に嵌まり込む。ステント10の全周は、周方向に隣接する1つから8つのモジュール、より好ましくは、周方向に隣接する2つから6つの半径方向部材、最も好ましくは、周方向に隣接する2つから4つの半径方向部材を有してよい。
【0084】
図3を見ると最もよくわかるように、スライド・アンド・ロック半径方向部材14は、ロックアウト歯、捕捉部材、または止め具24を含む長穴22を有している。周方向に隣接するスライド・アンド・ロック半径方向部材の長穴22内にタブ20を滑り可能に嵌め込むと、タブ20は、長穴22内を走行し、それによって、図3に矢印26で概略的に示されているように、一定の走行経路を通過することができる。走行経路は、図示のようにほぼ周方向軸に配置することができ、またはいくつかの実施形態では、走行経路は周方向軸と長手方向軸の両方を横切ることができる。有利なことに、長穴22、止め具24、およびタブ20構成は、逆方向の走行を制限しつつ半径方向への拡張を実現する拡張を可能にする。一定の経路形状は、様々な装置性能属性、たとえば、特により低い/より高い設置圧力などを実現するように容易に変更することができる。
【0085】
図3に示されている長穴22の図示の実施形態では、止め具24は、互いに周方向にずれており、長穴の近位側面または壁28および遠位側面または壁30上に交互に配置されている。さらに、図示の捕捉部材24は、タブ20が各止め具を越えて滑り、同時に長手方向(軸方向)および周方向(半径方向)軸において並進し、一方、走行経路26に沿って移動するのを可能にする。しかし、止め具24は、タブ20が走行経路26に沿って後方に移動するのを防止するように構成される。図1〜3に示されているスライド・アンド・ロック機構は、ステント材料の材料曲げや変形を伴わない。もちろん、他の長穴22、止め具24、およびタブ20構成が、長穴22内のタブ20の1方向の滑りを容易にするかぎり本発明の好ましい実施形態に包含される。様々な長穴および止め具構成の他の例を図4〜16を参照して開示する。本明細書に開示される構成は一般に、円周をより拡張する1方向の滑りを可能にし、一方、顕著な反動を防止するように行われる。
【0086】
図示の実施形態(図1〜3)では、半径方向部材14を囲むフレーム部材32(図3に示されている)もある。いくつかの好ましい実施形態では、フレーム部材が存在しない。他の実施形態では、図示のように、フレーム部材を使用して追加的な足場および/または半径方向強度を実現することができる。
【0087】
図3に示されている受動半径方向部材18は、互いに反転されたU字形部材34’および34”を有している。互いに反転されたU字形部材の頂点はリンケージ部材36によって互いに連結されている。受動半径方向部材の構成は、所望のステント属性に応じて様々であってよい。たとえば、受動半径方向部材の互いに反転されたU字形部材34’および34”ならびにリンケージ部材36は、(図1〜3に示されているように)モジュール内の、周方向軸にほぼ平行な方向に揃えることができる。あるいは、受動半径方向部材の互いに反転されたU字形部材34’および34”ならびにリンケージ部材36は、(たとえば、図4〜6に示されているように)モジュール内の、周方向軸に対して斜め方向に揃えることができる。他の変形実施形態では、互いに反転されたU字形部材34’および34”の頂点を連結するリンケージ部材36は、(図3に示されているように)短くても(たとえば、図6〜7に示されているように)比較的長くてもよい。リンケージ部材36は、たとえば、蛇行またはばね形状において可とう性を高めるように構成することもできる。いくつかの好ましい実施形態では、受動半径方向部材はU字形部材をまったく含まなくてよい。その代わり、スライド・アンド・ロック半径方向部材同士の間に様々な受動非機構半径方向部材構成を使用することができる。図13および14にいくつかの例が示されている。
【0088】
好ましい実施形態では、各モジュールは、単一の材料で形成され、それによって、互いに長手方向に隣接する機構および非機構半径方向部材間の溶接または他の連結が不要になる。あるいは、長手方向モジュール内のスライド・アンド・ロックおよび受動半径方向部材を無溶接連結、たとえば接着剤によって互いに取り付けることができる。溶接連結も本開示内に包含される。ステント構成の詳細は、以下の「金属ステント」、「高分子ステント」、および「高分子ステントを製造し組み立てる方法」という節に記載されている。
【0089】
図4は、本発明の他の好ましい実施形態によるスライド・アンド・ロック・ステントまたは血管プロテーゼ装置の長手方向モジュール12を示している。モジュール式装置構成は、機構および非機構モジュール構成部材の様々な組み合わせを可能にする。図4を全体的に見ると分かるように、機構半径方向部材と受動(または非機構)半径方向部材が交互に存在し、モジュール12内の各スライド・アンド・ロック半径方向部材14間に1つの受動半径方向部材18が配置されている。ただし、必要または所望に応じて、他の構成で効果的に置き換えることができる。N=モジュール内の半径方向部材の数である場合、N−1個までの受動半径方向部材を使用することができる。より好ましくは、モジュールは少なくとも2つのスライド・アンド・ロック半径方向部材を有し、この場合、少なくともN−2個の受動半径方向部材を使用することができる。この実施形態の受動半径方向部材は、安全捕捉部材またはタブ38と長穴40とを有するが、長穴は、止め具も、歯も、捕捉部材も、その他のロックアウト構造も有していない。したがって、図5に示されているように、ある受動半径方向部材の安全タブ38を周方向に隣接する受動半径方向部材の長穴40に滑り可能に嵌め込むと、設置時の拡張に対する抵抗も、反動に対する抵抗も生じない。したがって、半径方向部材は依然として、受動または非機構半径方向部材と呼ばれる。しかし、長穴40に嵌った安全タブ38が設置(半径方向への拡張)時に長穴40の端部まで滑ると、安全タブ38は設置時のさらなる拡張を防止し、それによって過度の拡張に対する安全機構を形成する。上記に論じたように、受動半径方向部材は、ばね部材(以下に詳しく論じる)、設置機構制御部材(以下に詳しく論じる)、優先的な横分岐接近位置または点、装置過伸長安全捕捉部材(図4および5に示されている安全タブ38および長穴40に関して論じる)の場合のように、可とう性の向上を含むがそれに限定されるわけではない様々な特徴および特性を実現するように構成することができる。
【0090】
スライド・アンド・ロック構成の1つの重要な態様は、設置時に実現可能な定寸分解能と、圧縮装填時に生じる反動の量である。構成の機構が微細であればあるほど、定寸分解能が高くなり、生じる反動が弱くなる。定寸分解能および耐反動性の実現を容易にするスライド・アンド・ロック半径方向部材の一実施形態は、食い違い非対称ロックアウト形状を使用する。図1〜5は、長穴22が、長穴22の近位側面28と遠位側面30の両方に、食い違いパターンとして配置された止め具24を有する、このような食い違い非対称ロックアウト形状の例を示している。
作動スライド・アンド・ロック構成
他の実施形態では、スライド・アンド・ロック半径方向部材は、すべての止め具24が長穴22の一方の側面にのみ配置された異なる非対称ロックアウト形状を有することができる(たとえば、図6および7参照)。もちろん、当業者には、食い違い止め具構成が使用されるかそれとも片側止め具構成が使用されるかにかかわらず、止め具同士の間の距離が短くなるにつれて定寸分解能が低くなり、止め具同士の間の距離が長くなるにつれて、定寸分解能が高くなるように、止め具の数および個々の止め具間の距離を変えることによって定寸分解能を変更できることが理解されよう。図6を参照すると、スライド・アンド・ロック半径方向部材14はタブ20と、作動捕捉部材42と、長穴22とを有している。すべての止め具24は、長穴の一方の側面、図示の実施形態では近位側面28上に配置されている。長穴の反対側、図示の実施形態では遠位側面30上に確実戻し部材44が配置されている。タブ20は、走行を半径方向軸内にほぼ維持するが、捕捉部材42は、可とう性の首部46に沿って配置されており、したがって、タブ20が長穴22を通って滑ると、捕捉部材42が止め具24と相互作用することによって首部46が遠位側面30の方にたわむ。図6の図示の実施形態では、作動スライド・アンド・ロック機構の性能をさらに最適化するために、たわんだ首部46および捕捉部材42をその非作動位置に確実に戻す確実戻し部材44が設置機構に含まれている。特に、半径方向への拡張時に、タブ20と捕捉部材42とを含む捕捉機構はまず、ロックアウト止め具24によって遠位方向にたわまされる(作動させられる)。捕捉部材42が止め具24を通過すると、捕捉部材42が弾性的にその自然位置(以下に詳しく論じる)に戻るか、または図6に示されているように、確実戻し部材44を使用して捕捉機構(タブ20および捕捉部材42)の方向が長穴22内のその自然前作動位置に変更され、したがって、捕捉部材42は、ロックアウト止め具24を捕捉するか、ロックアウト止め具24に連結されるか、またはロックアウト止め具24との相互作用によって後方へよりつぶされた状態に移動する(反動)のが防止される。
【0091】
図7は、図6を参照して示し説明した半径方向部材と同様の作動スライド・アンド・ロック半径方向部材14を使用するモジュール12を示している。図7の図示の実施形態では、すべての止め具24は、図6に示されている実施形態と同様に長穴22の近位側面28上に配置されている。しかし、図7では、長穴22の遠位側面30に沿って配置された確実戻し部材(図6では44)はない。その代わり、この実施形態では、捕捉機構はその自然前作動位置に弾性的に戻るように構成される。
【0092】
図8および9は、この構成の他の特徴/形状によって、たわみ可能な部材がロックアウト機構に連結されるように能動的に位置させられる、能動ロックアウト機構の平面図である。ここで、図8および9を参照すると、図面は、アクチュエータ50が配置されたたわみ不能な作動レール48(図示の実施形態では中央に配置されている)を有する部分スライド・アンド・ロック半径方向部材14を示しており、図示の実施形態では、複数のアクチュエータ50が中央レールの近位面と遠位面の両方に沿って対称的に配置されるように示されている。たわみ可能な捕捉部材54を有するたわみ可能なレール52が作動レール48に滑り可能に連結されており、図示の実施形態では、2つの捕捉部材54がたわみ可能なレール52に沿って対称的に配置されるように示されている。作動レール48上のアクチュエータ50およびたわみ可能なレール52上のたわみ可能な捕捉部材54は、たわみ可能なレール52が作動レール48に沿って滑ると、アクチュエータ50がたわみ可能な捕捉部材54を外側にたわませるように構成されている。この能動ロックアウト機構は、作動後にたわみ可能な捕捉部材54に連結され、それによって半径方向の反動を防止するようになっている(図示の実施形態ではフレーム部材32に沿って配置された)歯または止め具24も含んでいる。図8は、滑りによって能動ロックアウト機構が作動する前の半径方向部材を示している。図9は、能動ロックアウト機構が作動した後の半径方向部材を示し、この場合、たわみ可能な捕捉部材54は、アクチュエータ50によって外側にたわまされ、止め具24に連結されるように示されている。
【0093】
図示の実施形態の変形実施形態では、アクチュエータ50、たわみ可能な捕捉部材54、および止め具24は、アクチュエータ50が、滑り可能に連結されたたわみ可能な捕捉部材54を能動的にたわませるように位置し、したがって、たわみによって止め具24の連結およびロックアウト(半径方向の反動の抑制)が生じるかぎり、スライド・アンド・ロック半径方向部材の構成部材のいずれに位置させてもよい。
変形可能なスライド・アンド・ロック・ステント
図10および11は、本発明の他の実施形態によるスライド・アンド・ロック半径方向部材の平面図である。図10に示されているスライド・アンド・ロック半径方向部材14は、図3に示されているのと同様なタブ20と、長穴22と、止め具または歯24と、フレーム部材32とを有している。しかし、スライド・アンド・ロック半径方向部材14は変形可能な領域60も有している。図示の実施形態では、フレーム部材32の近位部および遠位部と長穴壁の近位部28および遠位部30は、材料の変形によって半径方向軸における拡張および/または収縮を可能にするように変形可能な領域60において修正されている。もちろん、当業者には、たとえば、ジグザグ構成、U字形構成、蛇行構成、波状構成、および傾斜構成と、材料の断面の(たとえば、フラットシートから曲げ可能なワイヤへの)変更を含む、材料の様々な構成を使用して、変形可能な領域を形成できることが容易に理解されよう。長さ方向に隣接するスライド・アンド・ロック半径方向部材および/または受動半径方向部材は、一体であってよく、たとえば同じ材料から切り出すことができ、または無溶接連結によって取り付けることができる。いくつかの実施形態では、長さ方向に隣接する半径方向部材は互いに溶接することができる。
【0094】
図10は、変形可能な領域60がジグザグ構成を有する、変形前の半径方向部材14を示し、図11は、変形可能な領域60が伸びて直線状構成を形成した、変形(半径方向への拡張)後の同じ半径方向部材14を示している。図10および11の図示の実施形態では、半径方向部材14(およびそのような半径方向部材を有するステント)は、ステント構成全体に組み込まれた変形可能な形状を含んでいる。ステントの変形可能な領域60は、半径方向への拡張時に塑性的または弾性的に変形するように構成されている。ステントが拡張するときに、これらの変形可能な領域を使用して装置の半径方向への追加的な拡張を実現するかまたは装置の安全性を高めることができる。
【0095】
一実施形態では、変形可能な領域は拡張時に塑性変形する。有利なことに、これによってステントの追加的な拡張または定寸が可能になる。他の実施形態では、変形可能な領域は弾性変形し、移植時にステントに過剰圧力をかけるのを可能にし、過剰圧力を逃がすと、ステントはその予定された直径に戻る。有利なことに、これによって、過度の圧力拡張によって生じる恐れのある過度の欠陥損傷を回避しつつ、対処が困難な病変を治療するか/この病変に亀裂を生じさせるより高い圧力をかけることができる。
【0096】
他の実施形態では、変形可能な領域は塑性的または弾性的に変形することができる。有利なことに、これによって、ステントがその最大半径方向拡張限界に達するときの安全係数を大きくすることができる。
【0097】
図12は、変形可能なスライド・アンド・ロック・ステント10の他の実施形態の部分図である。図面は、スライド・アンド・ロック半径方向部材14と受動半径方向部材18とを有する長手方向モジュール12を示している。モジュール12内の長さ方向に隣接する半径方向部材は、好ましくは無溶接連結によって取り付けられ、より好ましくは同じ材料で形成される。この実施形態は、半径方向に隣接するスライド・アンド・ロック半径方向部材14の長穴23の止め具24を通過するときに内側にたわむことができるが、前の形態および配置に塑性的に戻って反動を防止するたわみ可能なタブ21を有している。
両側ロックアウト部材
いくつかの実施形態は、両側ロックアウト部材、すなわち、長穴22の両側面上の止め具または歯24を利用する(たとえば、図1〜6参照)。この両側機構を使用して装置の位置合わせを向上させ、装置の偏心走行をさらに制限することができる。修正実施形態では、必要または所望に応じて、片側ロックアウト機構、すなわち、長穴22の一方の側面上のみの歯24を利用することができる(たとえば、図7参照)。他の修正実施形態では、リブ部材の両側面に止め具または歯24を配置することによって両側機構を使用することができる(たとえば、図8〜9参照)。この実施形態では、2つ以上の安全捕捉部材54を使用してリブ部材の両側面と相互作用することができる。
ステント装置の可とう性を高める部材
スライド・アンド・ロック装置構成の各実施形態は、つぶされた状態と拡張状態の両方で装置に可とう性を付与する部材を組み込んでよい。これは、たとえば互いに隣接する半径方向部材間の取り付け形状および位置を変える可とう性の部材またはばね部材を設けることによって実現することができる。
【0098】
図4は、たとえば、反転され斜めに揃えられたU字形部材の構成における可とう性の部材またはばね部材34’および34”を示している。図13〜15を参照すると、可とう性の部材の様々な他の実施形態が示されている。図13は、図1〜3に示されているのと同様の反転されたU字形部材34’および34”を示している。しかし、図13の受動半径方向部材は、安全タブ38と非機構長穴40とをさらに有している。上記に図4を参照して詳しく説明したように、安全タブ38およびロック部材(歯、止め具、または捕捉部材)を有さない長穴40を含めると、過度の拡張に対する安全性を高めることができ、互いに半径方向に隣接するモジュールの滑り可能な連結を維持するのを助けることができ、半径方向への制御された拡張を半径方向軸内に維持することもできる。図14は、長手方向軸において揃えられ、近位側でスライド・アンド・ロック機構(タブ20および長穴22を含む)に隣接しかつ当接し、遠位側で周方向バンド64に隣接しかつ当接する一連の蛇行する可とう性部材62を示している。蛇行部材62は、能動スライド・アンド・ロック半径方向部材同士の間に可とう性の高い領域を形成することができる。図15は、スライド・アンド・ロック半径方向部材同士の間に斜めに(たとえば、半径方向軸と長手方向軸との間の角度に)配置された直線状の可とう性部材66を示している。ここで、スライド・アンド・ロック半径方向部材は、たとえば図1〜3に示されているタブおよび長穴構成の変形実施形態を示している。図15の中央レール68は、各々が、外側を向いた歯24と、レール部材同士の間に配置された開放長穴72とを有する、近位レール部材70’および遠位レール部材70”を有している。中央レール68は、半径方向に隣接するスライド・アンド・ロック半径方向部材の受け長穴74に滑り可能に嵌るようになっており、受け長穴74が歯24を越えたときに内側にたわむかまたは曲がって開放長穴72に入る。
脆弱な設置制御機構
図16および17は、脆弱な設置制御機構を組み込んだスライド・アンド・ロック・ステントモジュールの部分図を示している。各図面は、図4に示されているのと同様の安全タブ38と非ロック(歯無し)長穴40とを有する受動半径方向部材18を含む部分モジュールを示している。しかし、図16および17の受動半径方向部材は、長穴40内に延びる脆弱な部材80を含んでいる。長さ方向に隣接する半径方向部材は、好ましくは無溶接連結によって取り付けられ、より好ましくは同じ材料から形成される。図16は、脆弱な部材80が塑性変形する前の受動半径方向部材を示し、図17は、脆弱な部材80が塑性変形した後の受動半径方向部材を示している。
【0099】
図16および17に示されている実施形態では、脆弱な(塑性変形する)部材80は、設置制御機構として働く。脆弱な部材80は、長穴40内に滑り可能に嵌る安全タブを有する半径方向に隣接する半径方向部材用の確実止め具として働く。半径方向への拡張時に、滑り可能に嵌った半径方向部材は、妨害する脆弱な部材80を塑性変形させ、その安全タブの経路から外す。この特徴によって、他の部材が、仮止め具が追加的な半径方向への拡張力に打ち負かされる前に他の部材を完全に拡張させる仮止め具が形成される。この特徴は、一様な設置を容易にするうえで有利である。
断面形状および流れを改善する先細り/非一様形状
図18〜21に示されている実施形態は、管腔流中の血液の乱流を低減させ、および/または一般的に望ましい血流特性を得るように修正/最適化された半径方向部材の断面形状を利用する。言い換えれば、流体流原則を利用して、概略的な層流特性および/または一様流特性をもたらす助けになる支柱または壁断面を得る。
【0100】
図18は、血流が概ね矢印90で示されている方向に向かう概略的な層流特性および/または一様流特性をもたらす流線形の支柱構成92の一実施形態を示している。図19は、概略的な層流特性および/または一様流特性をもたらす流線形の支柱構成94の他の実施形態を示している。血流の方向は概ね矢印90で示されている。
【0101】
図20は、軸方向または周方向の厚さ差ビームを利用する支柱構成96の実施形態を示している。形状差を使用して、必要または所望に応じて厚さおよび強度を得ることができ、必要または所望に応じて可とう性を高め、段差を最小限に抑えるのを可能にすることができる。血流の方向は概ね矢印90で示されている。
【0102】
図21は、部材100および98などの重なり合った部材間の段差効果を軽減する流線形概念を利用する実施形態を示している。先細りの縁部102は、部材100が下方の部材98と一体化するのを可能にし、それによって有利なことに、ほぼ段差のない遷移点が形成され、部材100と部材98との間に大きい段差が無くなる。
【0103】
他の有利な特徴では、本発明の好ましい実施形態が、ステントを治療薬と一緒に使用するときに特に有利な非常に効率的な表面被覆を実現することが理解されよう。特に、スライド・アンド・ロック機構は、ロック部材のほぼ全表面積が体腔の内壁と接触するように構成される。したがって、好ましい実施形態は、既存のステント構成よりも広い表面被覆率を実現する。変形可能な支柱を利用するステント構成のような他のステント構成と比べて、ステント性能や可とう性を損なわずに表面被覆率を25%〜70%程度高くすることができる。様々な好ましい実施形態のステント形状が優れた表面被覆を実現するものであるので、より多くの治療薬を周囲の組織に送達することができる。その結果、薬剤をより効果的に使用することができ、それによって治療効果が高まる。あるいは、治療薬をより低い濃度で使用することができ、それによって局所毒性が低くなる。
固体壁ステントおよびグラフト
次に図22を参照すると、拡張可能なステント構造を実現するように単独でまたは同様の部材と組み合わせて使用することのできる、半径方向部材800A〜800Dの他のモジュールまたは列800が示されている。多くの点で、半径方向部材800A〜800Dのモジュールまたは列800は、上述のモジュールに類似している(たとえば、図1〜3参照)。しかし、この実施形態では、可とう性の本体は、体腔の所望の領域の表面被覆率を高めるために列の中央部に沿って固体壁802を備えている。図22に示されている実施形態の変形実施態様では、固体壁802は、モジュールまたは列の長手方向長さに沿った任意の場所に配置することができる。さらに、いくつかの実施形態では、モジュールの長さに沿って2枚以上の固体壁を使用することが好ましいことがある。これらの固体壁領域は互いに隣接しても、分離していてもよい。
【0104】
特に、固体壁802は、不透過性材料で作られ、体腔の一部に沿ってほぼ完全に被覆するように構成されることが好ましい。好ましい実施形態では、固体壁802は、長手方向軸に沿って少なくとも2ミリメートル延びている。したがって、この実施形態は、血管に沿った特定の領域を支持または密封するために、動脈瘤などの血管形成異常に沿って配置するのに特に適している。
【0105】
図示の実施形態では、各半径方向部材800A〜800Dは、たわみ可能なレールに沿って歯と相互作用してロック機構を実現するロックタブ812を有している。いくつかの実施形態では、たとえば、ステントを形状記憶材料(たとえば、ニチノル)で作る場合、各半径方向部材800A〜800Dは、押さえ機構を形成するようにくぼみ内に取り外し可能に保持されるようなサイズを有する押さえタブ850を含んでよい。様々なロック機構および押さえ機構を使用することができ(たとえば、引用によって本明細書に全体的に組み込まれる同時係属中の米国出願第10/897235号を参照されたい)、図示の実施形態が説明のためのものに過ぎないことを理解されたい。個々の部材間に可とう性の連結部材832A、832Bを設けて可とう性を高めることができる。好ましい一実施形態では、圧潰回復性を得るために各部材のモジュールまたは列800が形状記憶材料で作られる。使用時には、モジュールまたは列800を有する半径方向部材を、周方向に隣接するモジュールまたは列における他の同様の半径方向部材と相互連結して、バルーン拡張可能ステントを形成することが好ましい。しかし、他の構成では、図22の部材800を丸めて拡張可能なステントを形成することができる。
【0106】
次に図23を参照すると、壁部862に形成された開口部870(たとえば、円形の穴)をさらに有する他の列860が示されている。開口部は、壁862を通した流体連通を可能にすることが好ましい。したがって、この変形実施態様860は、血管分岐に沿った病変の治療に特に適している。列860を、上記に図22に関して説明した種類の1つまたは2つ以上の列800と相互連結して、開口部を備える固体中央部を有する拡張可能なステントを形成することができる。設置時には、有利なことに、ステントを使用して、分岐血管への血液の流入または分岐血管からの血液の流出を可能にしつつ主要血管の開存性を確保することができる。他の変形実施形態では、壁は透過性であってよく、または塞栓もしくは壊死組織片が開口部を通過するのを防止するフィルタを開口部870に沿って設けることができる。
【0107】
もちろん、図22〜23に示されている実施形態で、(図示の)たわみ可能なレールまたは部材の代わりにたわみ可能な歯を使用して、ステントを1方向のみに拡張させることができることが理解されよう。たわみ可能な歯の詳細な説明およびそれに伴う例示を以下に図25〜27に関連して行う。
【0108】
他の変形実施形態では、本発明によって構成されたステント実施形態は、血管グラフトでも有用である場合があり、この場合、ステントは、少なくとも部分的に、発泡PTFEなどの高分子材料や、線維素などの天然材料で形成されたシースで覆われる。本発明によるグラフトの一変形実施形態が図24に示されている。管状グラフトは、本明細書で図1〜23および25〜35を参照して説明した種類の拡張可能なステント10と、高分子シース900とを有している。断面形状が小さく、つぶれ時直径が小さく、可とう性が高いため、この実施形態によって作られたステントは、狭いかまたは曲がりくねった経路を通過することができる。したがって、この変形実施形態は、冠状動脈、頚動脈、動脈瘤(シースで覆われるとき)、腎動脈、末梢(腸骨、大腿、膝窩、鎖骨下)動脈において有用である場合がある。他の非血管用途には、胃腸、十二指腸、胆管、食道、尿道、気管、および気管支が含まれる。
たわみ可能な歯ロックアウト機構
他の実施形態では、たわみ可能なレールまたは部材の代わりにたわみ可能な歯を使用して、1方向のみの拡張を容易にするロック機構を実現できることが理解されよう。たとえば、図25は、2つの半径方向部材300(1)および300(2)が滑り可能に相互連結された、他のステント実施形態300の一部を示している。各半径方向部材は、複数のたわみ可能な歯306を有するレール308を備えている。同様の半径方向部材を可とう性のリンケージ部材310、312を介して連結し、所望の軸方向長さを有するステントを形成することができる。この実施形態では、この係合手段は、レールを囲む細長い長穴内を周方向に滑り、かつたわみ可能な歯306の側面に沿って滑るように構成されたロックタブ302、304を有している。各歯は、ロックタブ302、304を1方向に通過させるように歯が内側にレール308の方へ(すなわち、半径方向部材の平面内で)変形できるように十分な可とう性を有している。しかし、歯の角度のために、ロックタブは、他の方向へ移動するのが防止され、それによって、設置後にステントを拡張状態に維持する他の好ましい機構が得られる。
【0109】
次に図26を参照すると、半径方向部材320(1)、320(2)が滑り可能に相互連結された、他の好ましいステント実施形態320の一部が示されている。上述の実施形態と同様に、各半径方向部材は、複数のたわみ可能な歯326を有するレール328を備えている。しかし、この実施形態では、各歯は、上向きに傾斜しており、図25に関して説明したように内側にレールの方へたわむのではなく、下向きに(すなわち、半径方向に)たわむように構成されている。ロックタブ322、324がたわみ可能な歯326に沿って滑ると、歯は下向きにたわまされ、設置時にタブ322、324が歯326上を通過するのが可能になる。しかし、歯の角度のために、ロックタブは1方向にしか移動できない。特に、圧縮力によって半径方向部材320(1)、320(2)がつぶれ状態の方へ押し戻される場合、ロックタブ322、324は歯326に当接し、それによってさらに相対的に移動するのが防止される。さらに図27を参照すると、半径方向部材320(1)が別個に示されている。可とう性のリンケージ部材330、332は、複数の半径方向部材を接合して列を形成するのを可能にする。
【0110】
図28A〜28Cを参照すると、ロック機構が、図25〜27に示されているのと同様の、レール上に配置されたたわみ可能な歯を有する、スライド・アンド・ロック・ステントの他の実施形態が示されている。しかし、組み立て後、レールは、長穴を形成する閉ループを有する係合手段内に滑り可能に嵌まり込む。図28Aは、3つの半径方向部材1102を有するそのようなモジュール1100の平面図を示している。各半径方向部材は、複数のたわみ可能な歯1106を有するレール1104と、周方向に隣接するモジュールまたは列1100における周方向に隣接する半径方向部材1102のレール1104に滑り可能に連結されるように構成された長穴1110を形成する閉ループ1108とを有している。長穴1110も、組み立て時に、隣接する半径方向部材のループ1108およびレール1104を受け入れ、したがって、互いに周方向に隣接するモジュールを、どんな種類の溶接も接着も必要とせずにすべり可能に相互ロックできるように構成されている。図示の実施形態では、互いに長手方向に隣接する半径方向部材1102は可とう性のリンケージ部材1112を介して互いに連結されている。もちろん、本発明におけるこの実施形態の部材から逸脱せずに任意のリンケージ構成で置き換えることができる。図示のレール1104は、歯1106が拡張時に長穴1110を通過するときに歯1106を多少たわませるように構成することのできる中央隙間1114を有している。1つまたは2つ以上のブリッジ1116は分割されたレールの2つの側面を連結することができる。一般に、ブリッジの数を多くすると、レールのたわみを少なくすることができる。
【0111】
図28Bは、モジュールが、2つまたは3つ以上のそのようなモジュールから組み立てられたステントの円周の一部をどのように含んでいるかを示すために曲げられていることを除いて、図28Aに示されているのと同じモジュール1100を示している。
【0112】
図28Cは、図28Aおよび28Bに示されているモジュールと同様の2つのモジュール1100’および1100”を有する部分ステントを示している。モジュール1100”のレール1104”がモジュール1100’の閉ループ1108’に形成された長穴1110’に滑り可能に嵌ることが理解されよう。
【0113】
図28A〜28Cに示されているたわみ可能な歯によるスライド・アンド・ロックモジュールの変形実施態様が図29に示されており、互いに長手方向に隣接する半径方向部材1102は、傾斜リンケージ部材1122によって周方向にずらされている。
鋸歯状面ロックアウト機構
次に図30を参照すると、半径方向部材340(1)、340(2)が滑り可能に相互連結された、他のステント実施形態340の一部が示されている。各半径方向部材は、少なくとも部分的に、一連の鋸歯状部材またはリッジを備えた外面を備えている。特に、各表面は、一連の谷344および山346を有している。図示の構成では、半径方向部材340(2)のロックタブ342は半径方向部材340(1)の表面に沿って滑る。ロックタブ342は、薄い首部350とより幅の広い頭部352を備えている。首部350は、頭部352が外側に半径方向へたわむのを可能にするように構成されている。谷344および山346の形状は、ロックタブ342の頭部352が、隣接する部材の表面に沿って1方向にのみ動き、それによってステントを拡張状態に維持するロック手段を形成するのを可能にする。山および谷は、ロックタブが滑る領域に沿ってのみ必要であるが、各半径方向部材は、製造を容易にするように連続的な輪郭を有する表面を備えることができる。一変形実施形態では、第1の部材340(1)の形作られた底面は、形作られた第2の部材340(2)の頂面に沿って滑り、所望のラチェット効果を得ることができる。この変形実施形態では、タブ342は主として、各部材を相互連結して滑り可能な構成にするのに使用することができる。
ロックアウト機構および周方向にずれた半径方向部材の変形実施形態
次に図31を参照すると、半径方向部材400A〜400Eの他のモジュールまたは列400が示されている。この実施形態では、モジュールまたは列内の個々の半径方向部材は、一連の可とう性の連結部材420によって、周方向にずれた食い違い構成として連結されている。好ましい実施形態では、図示のモジュールまたは列400を、周方向に隣接する他の同様のモジュールと滑り可能に相互連結してステントを形成することができる。各半径方向部材は、ほぼ同一であり、首部410を有するロックタブ402を含んでいる。各半径方向部材は、隣接するロックタブを保持する拘束隙間408と、拘束隙間に沿って配置され、1方向のみの拡張を実現する、一連の互いに向かい合う歯406とをさらに含んでいる。
【0114】
次に図32Aおよび32Bを参照すると、図31に示されている種類の相互連結された半径方向部材間のスライド・アンド・ロック関係が示されている。図32Aは、半径方向部材400A(2)のロックタブ402が半径方向部材400A(1)の拘束隙間408内に保持される、つぶれた構成の半径方向部材400A(1)、400A(2)を示している。半径方向部材400A(2)の本体は、半径方向部材400A(1)に形成された長穴404を通って延び、各部材を所望の滑り可能関係に維持する。図32Bは、拡張状態の半径方向部材400A(1)、400A(2)を示している。図32Bに示されているように、400A(2)のロックタブ402は、400A(1)のたわみ可能な部材412、414間の隙間416に配置され、歯406によって所定の位置にロックされる。
【0115】
有利な一特徴では、図31〜32Bに示されている滑りおよびロック列を有するステントは、個々の半径方向部材の食い違い関係のために表面被覆の一様性を改善する。さらに、ステントは、総表面被覆面積を最小限に抑えつつ体腔を適切に支持することができる。これは、体腔の自然な内面の大部分がステント設置後に露出されたままになるため、特に有利な特徴である。他の有利な特徴では、各半径方向部材は、隣接する半径方向部材の長穴404を通過し、各構成部材を滑り可能に相互連結された状態にしっかりと維持する。さらに、このステント実施形態は、設置後に優れた可とう性をもたらす。
【0116】
上述のように、当業者には、本発明によって構成されたステントが様々な他のスライド・アンド・ロック部材を有することができ、なおかつ本明細書で説明する特徴および利点を実現することが理解されよう。図示し上記に説明したスライド・アンド・ロック部材は好ましい実施形態に過ぎず、本発明から逸脱せずに他のスライド・アンド・ロック部材を使用することができる。たとえば、1方向のみのステント拡張を容易にするのに使用できる様々な他の1方向ロック機構が、それぞれ引用によって本明細書に組み込まれる本出願人による米国特許第6033436号および第6224626号、および第6623521号に記載されている。
【0117】
次に図33を参照すると、ステント500の他の好ましい実施形態は、体腔内に設置できるサイズを有する管状部材を形成するように相互連結された他のスライド・アンド・ロック機構を有している。図示の実施形態では、各列が、好ましくはステント500の軸方向長さ全体に沿って延びる、複数の相互連結された列500A〜500Dが設けられている。このステント構成は有利なことに、優れた長手方向可とう性(すなわち、曲げ)を非常に高い半径方向強度と組み合わせる。図33に示されているステント500は、4つの相互連結された列500A〜500Dを有するように示されているが、列の数および長さは、用途の特定の要件を満たすように変更することができる。
【0118】
次に図33Aを参照すると、単一の列500Aは、長手方向軸に沿って優れた可とう性を有するステントを実現するように形作られた構造を有している。この特徴は、ステントが、送達時に曲がり、設置後に体腔の形状により容易に整合するのを可能にする。さらに、この実施形態は可とう性のリンケージ部材を不要にする。図33Aに示されている列500Aは、一連の山502および谷504を含み、各山は突起506を備え、各谷は、隣接する突起を受け入れるように形作られた長穴(たとえば、図33の510を参照されたい)を備えている。もちろん、すべての山および谷が突起または長穴を有しているわけではない。図示のように、各突起506は、多数の歯508を備える2つの互いに平行なたわみ可能部材514を備えることが好ましい。各歯508は、傾斜した側面と平坦な側面とを備えている。さらに、各突起506は、たわみ可能な部材514間を延びる隙間512を備えている。
【0119】
組み立て時には、突起506は、図33に示されているように長穴510内に滑り可能に受け入れられる。傾斜した歯508と長穴510との相互作用は、1方向のみに拡張するステント500を実現するように構成されることが好ましい。特に、拡張時に、歯508と長穴510との相互作用は、たわみ可能な部材514を内側にたわませ、歯が長穴510を通過するのを可能にする。たわみ可能な部材514が内側にたわまされるのは、長穴の縁部が歯の傾斜した側面に作用するからである。しかし、逆方向に力がかけられると、歯の平坦な側面が長穴の縁部に当接し、内側への力は生成されない。したがって、歯508は長穴510から後方に滑り出すのを防止され、それによって、治療部位への設置後にステントを拡張状態に維持する。
【0120】
好ましい実施形態では、突起を長穴を通過させるのに必要な力は、ステントが治療部位への送達時に誤って拡張しないようにするのに十分な力である。したがって、ステントは設置前にはつぶされた状態に保持される。必要に応じて、ステントが送達時につぶされた状態のままでいるように各突起上の第1群の歯によって生じる初期抵抗が大きくなるような組立体を構成することができる。
【0121】
有利な特徴では、嵌め合い突起および長穴はそれぞれ、他の突起および長穴とは独立に移動(すなわち、ラチェット式の移動)することができる。したがって、優れた可とう性をもたらすだけでなく、ステントの直径を、血管の内径に厳密に一致するように長手方向軸に沿って変化させることができる。他の利点では、突起は、隣接する列に形成された長穴内に受け入れられる。したがって、スライド・アンド・ロック機構は設置後に非常に小さい断面形状を維持する。実際、好ましい実施形態によれば、蛇行状の山502および谷504を有するモジュールを3つまたは4つの以上の材料層(2つの外側層および1つまたは2つ以上の内側層)から形成することができ、したがって、長穴510は、外側層によって形成され、内側層の少なくとも1つの領域が欠けている隙間を有しており、一方、突起506は、対応する内側層から形成され、欠けた外側層を有している。したがって、突起が長穴内で関節運動するとき、ステント部材が重なり合うことはない。滑り可能な連接部(突起と長穴との間)の厚さは、ステントの残りの部分の厚さとほぼ同じである。
【0122】
次に図34を参照すると、ステント550は、体腔内に設置できるサイズを有する管状部材を形成するように相互連結されたスライド・アンド・ロック部材の他の構成を有している。上記に図33に関して説明したステントと同様に、この実施形態では、各列が、好ましくはステント550の軸方向長さ全体に沿って延びる、複数の相互連結された列550A〜550Dが設けられる。図34に示されているステント550は、4つの相互連結された列550A〜550Dを有するように示されているが、列の数および長さは用途の要件を満たすように変更することができる。
【0123】
次に図34Aを参照すると、単一の列550Aは、優れた可とう性を有するステントを実現するように形作られた構造を有している。この特徴は、ステントが送達時に湾曲し、設置後に体腔の形状により容易に整合するのを可能にする。図34Aに示されている列は、一連の山552および谷554を含み、各山は突起556を備え、各谷はそれを通って延びる長穴を備えている。各突起556は、多数の歯558を備える2つのたわみ可能な部材564を備えることが好ましい。各歯558は、傾斜した側面と平坦な側面とを備えている。さらに、各突起556は、たわみ可能な部材564同士の間を延びる隙間562を備えている。組み立て時には、突起556は、図34に示されているように長穴560内に滑り可能に受け入れられる。傾斜した歯558と長穴560との相互作用は、1方向のみに拡張するステント500を実現するように構成されることが好ましい。特に、拡張時に、歯558と長穴560との相互作用は、たわみ可能な部材564を内側にたわませ、歯が長穴560を通過するのを可能にする。たわみ可能な部材564が内側にたわまされるのは、隙間の側面が歯の傾斜した側面に作用するからである。しかし、逆方向に力がかけられると、歯の平坦な側面が隙間の側面に当接し、内側への力は生成されない。したがって、歯558は長穴560から後方に滑り出すのを防止され、それによって、治療部位への設置後にステントを拡張状態に維持する。
【0124】
図34に示されている実施形態を再び参照すると、突起は、互いに隣接する列の隙間を半径方向に通過することが好ましい。設置後に、各突起の端部は、図34に示されているように管状部材から半径方向外側に突き出ることができる。端部は有利なことに、設置後にステント550を治療部位に固定する固定機構を形成することができる。他の有利な特徴では、図34に示されているステント実施形態550は、安価に構成することができ、特定の目的に適した拡張可能なステントを実現するように様々な異なる方法で組み合わせることのできるモジュール式構成を実現する。
【0125】
図35A〜35Cは、拡張可能なステントが単一の部材700で形成された本発明の他の実施形態を示している。単一の部材700は、上述のある実施形態と同様に機能することができる。特に、部材700は、広い頭部744と薄い首部742とを有するロックタブ740を含んでいる。ステントが形成記憶材料(たとえば、ニチノル)で作られる実施形態では、ステントは任意に、広い頭部754と薄い首部752とを有する押さえタブ750を含んでよい。さらに、ステントは、内側縁部に沿って歯766を備えた第1および第2のたわみ可能な部材760、762を含んでいる。部材700は、たわみ可能な部材に並列に配置された第1および第2の拘束部材780、782も含んでいる。図35Bに示されているように、単一の半径方向部材が丸められ、ロックタブ740の頭部742がたわみ可能な部材760、762間の隙間764を通って延びる管状部材が形成される。図35Bに示されているつぶされた状態では、任意の押さえタブ750が、ステントが治療部位への送達時に拡張するのを防止するくぼみ(図35Aの部材788を参照されたい)内に保持される。しかし、送達時には、任意の押さえタブ750をくぼみ788から解放することができ、半径方向部材の直径が拡張する。拡張時には、図35Cに示されているように、ステントが所望の直径まで拡張するまで、ロックタブ740がたわみ可能な部材760、762に沿って歯766を通過する。この歯の構成は、ロックタブ740が後方に移動するのを防止し、それによってステントが確実に拡張位置に保持される。有利な特徴では、この実施形態は、「ゼリーロール」構成を有し、相互連結された構成部材を含まず、したがって、構成が簡素であるという利点を有する。したがって、使用時には、この実施形態は優れた信頼性および構造上に完全性をもたらす。
【0126】
単一の一体的な部材で形成されたステントは、上記では、ステントを拡張状態にロックする特定の機械的特性を有するものとして説明したが、本発明の範囲から逸脱せずに様々な他の「スライド・アンド・ロック」機構を使用することができる。たとえば、他の適切なロック機構は、Lauの米国特許第5344426号、Carpenterの米国特許第5735872号および5876419号、Wijayの米国特許第5741293号、Ryanの米国特許第5984963号、Khosraviの米国特許第5441515号および第5618299号、Stackの米国特許第5306286号、Sigwartの米国特許第5443500号、Daytonの米国特許第5449382号、Boatmanの米国特許第6409752号などに記載されている。これらの参考文献はそれぞれ、引用によって本明細書に組み込まれる。さらに、上記の特許に開示されたスライド・アンド・ロック機構の多くは、上述の滑り可能な相互連結された部材を有するステント実施形態と一緒に適切に使用することができる。
【0127】
ある好ましい実施形態を、ステント設置時に1方向のみに拡張する実施形態として説明したが、本発明の他の態様では、歯または他の係合部材を2方向への移動(すなわち、拡張と収縮の両方)を可能にするように形作りかつ位置させることができることが理解されよう。特に、歯を、互いに隣接する半径方向部材間を2方向に移動できるように構成することができ、したがって、設置後にステント直径を小さくすることができる。歯は、ステントが直径を拡大または縮小するに抵抗する障壁を形成する。しかし、歯によって発生する抵抗は、バルーン上へのステントの配置時および血管内への設置時に打ち負かされる可能性がある。歯によって発生する抵抗の量は、血管内への設置後に外圧のためにステント直径が小さくなることがないように選択されることが好ましい。しかし、歯は、ステントの移動を1方向のみの拡張に制限するロック機構を形成しない。したがって、拡張可能な部材上に配置できるようにステントの直径を小さくすることができる。この特徴は、ステントを拡張可能な部材上に配置できるようにし、さらにステントが早めに拡張するのを防止する拘束または「押さえ」機構を実現する。この実施形態は有利なことに、変形可能なタブ、ピン、曲げ機構、または他の押さえ機構を不要にする。
金属ステントおよび製造方法
本発明のいくつかの実施形態によってステントを製造するための好ましい材料には、コバルトクロム、316ステンレススチール、タンタル、チタン、タングステン、金、白金、イリジウム、ロジウム、およびそれらの合金または熱分解炭素が含まれる。他の実施形態では、ステントは、腐食性材料、たとえばマグネシウム合金で形成することができる。好ましいステント実施形態を従来のバルーン拡張可能ステントとして説明したが、当業者には、ステントを圧潰回復可能にするように本発明によるステント構成を様々な他の材料で形成してもよいことが理解されよう。たとえば、自己拡張可能なステントのような他の実施形態では、本発明の各実施形態によってニチノルやElastinite(登録商標)などの形状記憶合金を使用することができる。
【0128】
個々のステント部材を形成する前にシートを加工硬化して強度を高めることが好ましい。加工硬化の方法は当技術分野で公知である。シートは張力をかけて丸められ、加熱によって焼きなまされ、次に再加工される。これは、所望の硬度係数が得られるまで継続される。現在市販されている大部分のステントは、「より柔らかい」材料がより大きい直径まで変形できるように0%〜10%の加工硬化された材料を使用している。これに対して、本発明の各実施形態による滑りおよびロック半径方向部材の拡張は、材料の変形ではなく滑りに依存しているため、より硬い材料を使用し、好ましくは約25〜95%の範囲で加工硬化された材料を使用して、より薄いステント厚さを得ることが好ましい。より好ましくは、ステント材料は、50〜90%が加工硬化され、最も好ましくは、材料は80〜85%が加工硬化される。
【0129】
金属シートから個々の部材を形成する好ましい方法は、チューブまたはフラットシート材料のレーザ切断、レーザアブレーション、ダイ打ち抜き、化学エッチング、プラズマエッチング、およびスタンピングまたは水噴射切断、あるいは当技術分野で公知であり高分解能構成部材を作製することのできる他の方法であってよい。製造方法は、いくつかの実施形態では、ステントを形成するのに使用される材料によって決まる。化学エッチングは、特に、競合するプロダクトレーザ切断の高コストと比べて比較的安価に高分解能構成部材を実現する。いくつかの方法は、面取り縁部を形成することのできる異なる前後エッチアートワークを可能にし、このことは、ロックアウト部の連結を改善するのを助けるうえで望ましい場合がある。さらに、プラズマエッチング、または当技術分野で公知であり高分解能構成部材および研磨済み構成部材を作製することのできる他の方法を使用することができる。本発明は、ステントまたはステント部材を製造できる手段に限定されない。
【0130】
ベース形状が得られた後、各部材を多数の方法で組み立てることができる。タック溶接、接着剤、機械的取り付け(スナップ止めおよび/または織り止め)、および当技術分野で認識されている他の取り付け方法を使用して個々の部材を固定することができる。いくつかの方法は、面取り縁部を形成することのできる異なる前後エッチアートワークを可能にし、このことは、ロックアウト部の連結を改善するのを助けるうえで望ましい場合がある。好ましい一製造方法では、ステントの各構成部材を様々な所望の曲率に加熱硬化することができる。たとえば、ステントは、設置時にしぼんだバルーンの直径に等しい直径、最大直径、または最大直径より大きい直径を有するように設定することができる。他の例では、各部材を電解研磨してから組み立てるか、または電解研磨し、コーティングしてから組み立てるか、あるいは組み立ててから電解研磨することができる。
【0131】
特に形状記憶合金による他の実施形態では、ステントは、最大直径より大きい直径に加熱硬化され、次に中間直径に組み立てられ、次にカテーテル上に配置され、逆方向にラチェット式に動かされ、確実捕捉押さえ機構によってより小さい直径でカテーテル上にロックされ、小さい断面形状および優れた保持が実現される。
高分子ステント
金属ステントはある望ましい特性を有するが、ステントの有効寿命は、ステント内再狭窄が安定化し治癒が頭打ちになる約6か月〜9か月の範囲と推定される。金属ステントと比べて、生体吸収性ステントは血管内で寿命を迎えることがない。さらに、生体吸収性ステントは、血管の病気の特定の態様または症状を治療するために、より多くの治療薬を送達し、複数の治療薬を同時にまたはライフサイクルの様々な時点で送達することができる。さらに、生体吸収性ステントは、血管の同じ近似領域を繰り返し治療することも可能にする。したがって、一時的な(すなわち、生体吸収性の)放射線不透過性のステントを開発するという重要な要件は満たされておらず、このようなステントを製造するのに使用される高分子材料は、望ましい金属品質(たとえば、十分な半径方向強度および放射線不透過性)を有し、一方、永久的な金属ステントの使用に伴う多数の欠点または制限を解消または軽減する。
【0132】
好ましい一実施形態では、ステントを生体吸収性(たとえば、生体腐食性または生体分解性)の生体適合ポリマーで形成することができる。生体吸収性材料は、分解可能および/または酵素によって分解可能な生体材料から成る群から選択されることが好ましい。適切な分解ポリマーの例には、ポリヒドロキシブチラート/ポリヒドロキシバレラート共重合体(PHV/PHB)、ポリエステルアミド、ポリ乳酸、ヒドロキシ酸(すなわち、ラクチド、グリコリド、ヒドロキシブチラート)、ポリグリコール酸、ラクトン系ポリマー、ポリカプロラクトン、ポリ(プロピレンフマル酸−コ−エチレングリコール)共重合体(すなわちフマル酸無水物)、ポリアミド、ポリ無水物エステル、リン酸カルシウムガラスを含むポリ乳酸/ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、シルク−エラスチンポリマー、ポリホスファゼン、ポリ乳酸とポリグリコール酸とポリカプロラクトンの共重合体、脂肪族ポリウレタン、ポリヒドロキシ酸、ポリエーテルエステル、ポリエステル、ポリデプシドペチド、多糖、ポリヒドロキシアルカノート、およびそれらの共重合体が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0133】
一態様では、分解材料は、ポリ(炭酸グリコリド−トリメチレン)、ポリ(シュウ酸アルキレン)、ポリアスパルチミック酸、ポリグルタルニック酸ポリマー、ポリ−p−ジオキサノン、ポリ−ベータ−ジオキサノン、非対称3,6−置換ポリ−1,4−ジオキサン−2,5−ジオン、ポリアルキル−2−シアノアクリレート、ポリデプシペプチド(グリシン−DL−ラクチド共重合体)、ポリジヒドロピラン、ポリアルキル−2−シアノアクリレート、ポリ−ベータ−マレイン酸(PMLA)、ポリアルカノート、およびポリ−ベータ−アルカン酸から成る群から選択される。当技術分野では多数の他の分解材料が公知である(引用によって本明細書に組み込まれるBiomaterials Science: An Introduction to Materials in Medicine (29 July, 2004) Ratner, Hoffman, Schoen, and LemonsおよびAtala, A., Mooney, D. Synthetic Biodegradable Polymer Scaffolds. 1997 Brikhauser, Bostonを参照されたい。)。
【0134】
さらに、より好ましい実施形態では、たとえば、チロシン由来ポリカーボネート、チロシン由来ポリアリレート、ヨウ化および/または臭素化チロシン由来ポリカーボネート、ヨウ化および/または臭素化チロシン由来ポリアリレートなどのポリカーボネート材料でステントを形成することができる。詳細は、各々が引用によって本明細書に組み込まれる米国特許第5099060号、第5198507号、第5587507号、第5658995号、第6048521号、第6120491号、第6319492号、第6475477号、第5317077号、および第5216115号を参照されたい。他の好ましい実施形態では、ポリマーは、米国特許出願第60/601526号、第60/586796号、および第10/952202号に開示された生体適合、生体吸収性、放射線不透過性ポリマーのいずれかである。
【0135】
天然ポリマー(バイオポリマー)には任意のタンパク質またはペプチドが含まれる。好ましいバイオポリマーは、アルギン酸塩、セルロースおよびエステル、キトサン、コラーゲン、デキストラン、エラスチン、線維素、ゼラチン、ヒアルロン酸、ヒドロキシアピタイト、クモの糸、綿、他のポリペプチドおよびタンパク質、ならびにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択することができる。
【0136】
他の実施形態では、シェイプシフティングポリマーを使用して、本発明によって構成されたステントを製造することができる。適切なシェイプシフティングポリマーは、ポリヒドロキシ酸、ポリオルトエステル、ポリエーテルエステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリデプシドペチド、脂肪族ポリウレタン、多糖、ポリヒドロキシアルカノート、およびそれらの共重合体から成る群から選択することができる。生分解シェイプシフティングポリマーの他の開示については、引用によって本明細書に組み込まれる米国特許第6160084号を参照されたい。形状記憶ポリマーの他の開示については、各々が引用によって本明細書に組み込まれる米国特許第6388043号および第6720402号を参照されたい。さらに、転移温度は、ステントが正常な体温でつぶされた状態になるように設定することができる。しかし、ホットバルーンカテーテルや温液(たとえば、生理食塩水)灌流システムなどを介してステントの配置および送達時に熱を印加すると、ステントは拡張して体腔内でその最終直径をとる。熱記憶材料を使用すると、圧潰回復可能な構造を実現することができる。
【0137】
さらに、ステントは、生体安定性(たとえば、非分解性および非腐食性)を有する生体適合ポリマーで形成することができる。適切な非分解材料には、ポリウレタン、デルリン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリ(ジメチルシロキサン)が含まれるが、これらに限定されない。
【0138】
いくつかの実施形態では、各層は、特に、フッ素化エチレン−プロピレン、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート(すなわちpHEMA)、ポリ(エチレンテレフタレート)繊維(すなわちDacron(登録商標))または膜(Mylar(登録商標))、ポリ(メチルメタクリレート(すなわちPMMA)、ポリ(テトラフロウロエチレン)(すなわちPTFEおよびePTEEおよびGore−Tex(登録商標))、ポリ(塩化ビニル)、ポリアクリレートおよびポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(すなわちナイロン)、ポリカーボネートおよびポリカーボネートウレタン、ポリエチレンおよびポリ(酢酸エチレン−コ−ビニル)、ポリプロピレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルフォン、Pellethane(登録商標)やEstane(登録商標)などのポリウレタンおよびポリエーテルウレタンエラストマ、シリコーンゴム、シロキサン、ポリジメチルシロキサン(すなわちPDMS)、Silastic(登録商標),シリコン化ポリウレタンなどの熱可塑性プラスチックの任意の例を有するかまたは含んでよい。
高分子ステントを製造し組み立てる方法
プラスチックおよび/または分解材料を使用すると、スクリーン、ステンシル、またはマスクによるレーザアブレーション、溶液流延、スタンピング、エンボス加工、圧縮成形、求心回転鋳造、および成形による形成、押し出しおよび切断、固体自由製造技術を使用した三次元高速プロトタイピング、ステレオリソグラフィ、選択的レーザ焼結など、プラズマエッチングを含むエッチング技術、フェルト化、編み、または織りを含む織物製造技術、溶着モデリング、射出成形、室温加硫成形、またはシリコーンゴム成形を含む成形技術、溶剤による鋳造、直接シェルプロダクション鋳造、インベストメント鋳造、ダイカスト、樹脂射出、樹脂加工電鋳、または射出成形もしくは反応射出成形を含む鋳造技術を使用して各部材を作ることができる。本ポリマーを使用するある好ましい実施形態は、これらのポリマーのうちの2つまたは3つ以上の組み合わせなどを介してステントとして形作ることができる。
【0139】
このようなプロセスは、レーザ切断、エッチング、機械的切断、もしくは他の方法を介してポリマーの押し出しシートを切断することや、結果として得られる切断部分をステントに組み立てることなどの二次元製造方法、または固体形態から装置を三次元的に製造する同様の方法をさらに含んでよい。詳細は、引用によって本明細書に組み込まれる米国特許出願第10/655338号を参照されたい。
【0140】
好ましい実施形態のステントは、全ステント長、または後で2つまたは3つ以上が連結されるかまたは取り付けられる部分長で準備された部材によって製造される。部分長を使用した場合、2つまたは3つ以上を連結するかまたは取り付けて全長ステントを構成することができる。この構成では、各部品は中央開口部を形成するように組み立てられる。組み立てられた全長部品もしくは部分長部品および/またはモジュールは、様々な状態に編成し、つぶされた状態から部分的に拡張された状態、さらに拡張状態に編成することによって組み立てることができる。
【0141】
さらに、各部材を溶剤または熱接着または機械的取り付けによって連結するかまたは取り付けることができる。接着する場合、好ましい接着方法は、超音波無線周波数または他の熱的方法を使用すること、および溶剤または接着剤または紫外線硬化プロセスまたは光反応プロセスを含む。各部材は、熱成形、冷間成形、溶剤弱化成形および蒸着、または連結の前の各部品の予備成形によって丸めることができる。
【0142】
他の製造方法は、切り出され、平坦な一連の半径方向部材として組み立てられたステント構成部材を組み立てるのを可能にする。長手方向に隣接する一連の半径方向部材間のリンケージ部材を(たとえば、フレーム部材を溶接、編成することによって)連結することができ、平坦な材料シートは管状部材を形成するように丸められる。浮動連結部材の連結アームと端部を(たとえば、溶接によって)接合して管状を維持することができる。連結部材を含まない実施形態では、一連の頂部および底部半径方向部材の端部を接合することができる。あるいは、全周にわたって滑りが必要である場合、頂部半径方向部材の端部と底部半径方向部材のリブ/レールとの間に滑りおよびロック連接部を(たとえば、タック溶接、ヒートステイキング、またはスナップ止めによって)形成することができる。同様に、底部半径方向部材の端部と頂部半径方向部材のリブ/レールとの間に対応する連接部を形成することができる。
【0143】
平坦な一連のモジュールを丸めて管状部材を形成することは、それぞれ側面がステント部材に接触するように挿入された2枚のプレート間で丸めることなど、当技術分野で公知の任意の手段によって行うことができる。1枚のプレートは動かないように保持され、他方のプレートは、上記のプレートに対して横方向に移動することができる。したがって、プレートを互いに対して移動させることによって、プレート間に挟まれたステント部材をマンドレルの周りに丸めることができる。あるいは、当技術分野で公知の3方向スピンドル方法を使用して管状部材を丸めることができる。本発明によって使用できる他の丸め方法には、たとえば、開示が引用によって本明細書に全体的に組み込まれる米国特許第5421955号、第5441515号、第5618299号、第5443500号、第5649977号、第5643314号、および第5735872号に開示された「ゼリーロール」構成に使用される方法が含まれる。
【0144】
上記のようにスライド・アンド・ロック・ステントを構成すると、従来技術に勝る顕著な利点がもたらされる。ロック機構の構成は、主として材料に依存しない。このため、ステントの構造は高強度材料を含むことができ、これは、ロック機構を完成するのに材料を変形させる必要のある構成では可能ではない。このような材料を組み込むと、より厚いステントの強度特性を保持しつつ、材料に必要な厚さを薄くすることができる。好ましい実施形態では、選択される周方向部材に存在する捕捉部材、止め具、または歯の使用頻度によって、拡張後のステントの不要な反動が防止される。
放射線不透過性
医療生成物に放射線不透過性を付与する従来の方法には、金属バンド、インサート、および/またはマーカの使用、電気化学蒸着(すなわち、電気めっき)、あるいはコーティングが含まれる。ラディオパシファイア(すなわち、放射線不透過性材料)を添加してステントの追跡および位置決めを容易にすることは、製造方法においてそのような元素を添加し、装置の一部または全体の表面に吸収させるかまたは噴霧することによって対処することができる。放射線不透過性コントラストの程度は、元素含有量によって変更することができる。
【0145】
プラスチックおよびコーティングの場合、放射線不透過性は、イオジンまたは他の放射線不透過性元素を含むモノマーまたはポリマー、すなわち、本来放射線不透過性の材料を使用することによって付与することができる。一般的な放射線不透過性材料には、硫酸バリウム、次炭酸ビスマス、および二酸化ジルコニウムが含まれる。他の放射線不透過性元素には、カドミウム、タングステン、金、タンタル、ビスマス、白金、イリジウム、およびロジウムが含まれる。好ましい一実施形態では、イオジンおよび/または臭素などのハロゲンをその放射線不透過性および抗菌特性のために使用することができる。
多材料血管プロテーゼ
他の実施形態では、様々な材料(たとえば、金属、ポリマー、セラミクス、治療薬)を使用してステント実施形態を製造することができる。このような実施形態は、1)材料の積層体を形成するための(垂直軸または半径方向軸において)層ごとに異なる材料、2)ステント本体の長軸および/または厚さに沿って変動することができる空間的に局在した材料、3)複合ステント本体を形成するように混合または融解される材料、4)材料がステント本体の表面上に積層(またはコーティング)される実施形態(「機能特性を有するステント表面コーティング」と「ステントによって送達される治療薬」を参照されたい)、ならびに5)2つまたは3つ以上の部品で構成され、少なくとも1つの部品の材料が第2の部品と異なるステント、あるいはこれらの組み合わせを有してもよい。
【0146】
スライド・アンド・ロック多材料ステントの構成は2つまたは3つ以上の材料を含んでよい。各材料の厚さは、他の材料に対して異なっていてよい。この手法は、必要または所望に応じて、1)最終的な引っ張り強度、降伏強度、ヤング係数、降伏点伸び、破壊点伸び、およびポアソン比によって定義されるステント性能の機械的特性を有効化すること、2)基板の厚さ、形状(たとえば、二叉、可変表面被覆)を有効化すること、3)分解率および吸収率(治療薬送達に影響を与える可能性がある)、ガラス転移温度、融点、分子量のような、材料の性能および物理的状態に関する材料の化学的特性を有効化すること、4)放射線不透過性または他の形態の可視性および検出を有効化すること、5)放射線放出を有効化すること、6)治療薬の送達を可能にすること(「ステントによって送達される治療薬」を参照されたい)、ならびに7)ステント保持および/または他の機能特性を有効化すること(「機能特性によるステント表面コーティング」を参照されたい)を含むがそれらに限定されるわけではない、ステントプロテーゼ機能の有効化に寄与する1つまたは2つ以上の機能を有する各材料によって全体的な構造部材を組み立てるのを可能にする。
【0147】
いくつかの実施形態では、各材料は、耐力特性、弾性、方向または方位に固有の機械的強度、たとえば、他の材料および/またはステントの軸に平行な強度、あるいは他の材料および/またはステントに垂直または一様な強度を有してもよい。各材料は、ホウ素または炭素繊維、熱分解炭素のような補強剤を含んでもよい。さらに、ステントは、繊維、ナノ粒子のような少なくとも1つの補強部材で構成することができる。
【0148】
本発明の他の好ましい態様では、ステントは少なくとも部分的に、分解性であってよい高分子材料で作られる。分解性ステントを使用する理由は、ステントの機械的支持が数週間で済むからである。いくつかの実施形態では、吸収率の異なる生体吸収性材料を使用することができる。詳細は、引用によって本明細書に組み込まれる米国特許出願第10/95202号および第60/601526号を参照されたい。分解性高分子ステント材料は、薬理的薬剤を送達することによって再狭窄および血栓症を抑制する場合に特に有用であることがある。分解性材料は、治療薬の送達に特に適している(「ステントによって送達される治療薬」を参照されたい)。
【0149】
いくつかの実施形態では、各材料は、すでに定義された任意の種類の分解性ポリマーを有するかまたは含んでもよい。分解および/または吸収の時間が変化すると共に、分解性ポリマーは望ましい他の品質を有することができる。たとえば、いくつかの実施形態では、各材料は、天然ポリマー(バイオポリマー)ならびに/あるいは加水分解および/または酵素作用によって分解するポリマーの任意の例を有するかまたは含んでもよい。いくつかの実施形態では、材料は、熱可逆性のハイドロゲルであってもそうでなくてもよいハイドロゲルの任意の例、あるいは光もしくはエネルギー硬化可能材料、または磁気的に刺激可能な(応答する)材料の任意の例を有するかまたは含んでもよい。これらの応答はそれぞれ、特定の機能を実現することができる。
【0150】
いくつかの実施形態では、各材料は、ある放射線不透過性材料、あるいはX線、蛍光、超音波、MRI、またはイマトロン電子ビーム断層撮影(EBT)によって見ることのできる臨床的可視材料を有する構成要素を有するか、あるいはそのような構成要素からまたはそのような構成要素を使用して作ることができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、1つまたは2つ以上の材料は、所定または規定レベルの治療放射線を放出することができる。一実施形態では、材料にベータ放射線をチャージすることができる。他の実施形態では、材料にγ放射線をチャージすることができる。他の実施形態では、材料にβ放射線とγ放射線の両方の組み合わせをチャージすることができる。使用できるステント同位体には、103Pdおよび32P(リン−32)および2つの中性子活性化の例、65Cuおよび87Rb20、(90)Sr、タングステン−188(188)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0152】
いくつかの実施形態では、1つまたは2つ以上の材料は、治療薬を有すかまたは含んでもよい。治療薬は固有の送達動力学要素、作用モード、用量、半減期、目的などを有してもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは2つ以上の材料は、たとえば、細胞外空間、細胞膜、細胞質、核、および/または他の細胞内小器官における作用モードによって、治療の作用モードおよび部位を定める薬剤を有する。さらに、組織形成および細胞応答、たとえば、抗癌効果を含む宿主−医用材料相互作用に影響を与える特定の細胞タイプ用の化学誘引物質として働く薬剤を有する。いくつかの実施形態では、1つまたは2つ以上の材料は、任意の発達または由来形態あるいは発達または由来状態の細胞を送達する。これらはたとえば、分解性微粒子に密封するか、またはポリマーもしくはハイドロゲルと直接混合することができ、薬品送達用の媒体として働く。生体細胞を使用して薬品型分子、たとえば、サイトカインや成長因子を連続的に送達することができる。非生体細胞は、制限された放出システムとして働くことができる。治療薬送達の他の概念については、「ステントによって送達される治療薬」という節を参照されたい。
ステントによって送達される治療薬
他の好ましい変形実施形態では、ステントは、選択された治療効果を発揮するのに十分な量の(すでに医薬品および/または生物剤に関して定義された)治療薬をさらに有する。ステントのいくつかの好ましい実施形態(たとえば、ポリマーステントや多材料ステント)では、治療薬は、ポリマーと混合されるかまたは当業者に公知の他の手段によって混合されるときにステント内に含められる。ステントの他の好ましい実施形態では、治療薬はステント面上のポリマーコーティングから送達される。ステントのいくつかの好ましい実施形態では、治療薬は、装置の特定の構造態様内またはその周りに局在する。
【0153】
他の好ましい変形実施形態では、治療薬は非ポリマーコーティングによって送達される。ステントの他の好ましい実施形態では、治療薬はステントの少なくとも1つの領域または1つの表面から送達される。治療薬は、ステントの少なくとも1つの部分からの治療薬の送達に使用されるポリマーまたは担体に化学的に結合することができ、および/または治療薬は、ステント本体の少なくとも一部を構成するポリマーに化学的に結合することができる。好ましい一実施形態では、2つ以上の治療薬を送達することができる。
【0154】
治療薬の量は、再狭窄または血栓症を抑制するか、またはステントが留置された組織のある他の状態に影響を与え、たとえば、不安定プラークを治癒し、および/または破裂を防止するかもしくは内皮形成を誘発するかもしくは他の細胞タイプが増殖し細胞外マトリックス分子を産生し堆積させるのを防止するのに十分な量であることが好ましい。治療薬は、本発明の好ましい実施形態によって、抗増殖薬、抗炎症薬、抗マトリックスメタプロテイナーゼ、ならびに高脂血症治療薬、コレステロール調節薬、抗血栓薬および抗血小板薬から成る群から選択することができる。血管の開存性を向上させるこれらの好ましい抗増殖薬のいくつかには、パクリタキセル、ラパマイシン、ABT−578、エベロリムス、デキサメタゾン、内皮機能用の酸化窒素調節分子、タクロリムス、エストラジオール、ミコフェノール酸、C6−セラミド、アクチノマイシン−Dおよびエポシロン、ならびに各々の誘導体および類似体が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0155】
これらの好ましい薬剤のいくつかは、抗血小板薬、抗トロンビン薬、他の病理学的症状および/または血管の病気に対処する化合物として働く。細胞外でまたは特定の膜受容体部位の所で作用する薬剤、原形質膜上、細胞質内、および/または核に作用する薬剤のように、様々な治療薬を宿主におけるその作用部位に関して分類することができる。
【0156】
上述の薬剤だけでなく、治療薬には、動脈および/または静脈以外の体腔を治療することを目的とした他の医薬品および/または生物剤を含めてよい)。治療薬は、消化管(たとえば、胃腸、十二指腸および食道、胆管)、呼吸器管(たとえば、気管および気管支)、尿管(たとえば、尿道)などの非血管体腔の治療に固有の治療薬であってよい。さらに、このような実施形態は、生殖、内分泌、造血および/または外皮、筋骨格/整形および神経系(聴覚および眼科用途を含む)のような他の体系の管腔内で有用である場合がある。最後に、治療薬を有するステントは、妨害された管腔を拡張し、(たとえば、動脈瘤の場合のように)妨害物を誘導するうえで有用である場合がある。
【0157】
治療薬の放出は、制御された放出機構や、拡散や、静脈注射、噴霧、または経口投与によって送達される他の薬剤との相互作用によって行うことができる。放出は、磁界、電界、または超音波を使用することによって行うこともできる。
機能特性を有するステント表面コーティング
たとえば、忌避剤ホスホリルコリンのような生物学的ポリマーをステント上で送達するなど、治療薬を送達することのできるステントに加えて、ステントは、ある臨床効果について望ましい体腔内の生物学的応答を推進するように事前に決定された他の生体吸収性ポリマーで被覆することができる。さらに、コーティングを使用して、ステント実施形態を構成するのに使用されるポリマーの表面特性を(一時的または永久的に)マスクすることができる。コーティングは、任意のポリ(アルキレングリコール)を含む場合も含まない場合もあるハロゲン化および/または非ハロゲン化ポリマーのうちの任意の1つのポリマーまたはそれらの組み合わせを含んでよい広範囲の種類の任意の生体適合生体吸収性ポリマーから選択することができる。このようなポリマーは、ホモ重合体およびヘテロ重合体、立体異性体、および/またはこのようなポリマーの混合物を含む、成分上の変形実施形態を含んでよい。これらのポリマーには、たとえば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ(エステルアミド)、ポリ(アミドカーボネート)、トリメチレンカードネート、ポリカプロラクトン、ポリジオキサン、ポリヒドロキシブチラート、ポリ−ヒドロキシバレラート、ポリグリコリド、ポリラクチド、およびグリコリド/ラクチド共重合体のような上記のポリマーの立体異性体および共重合体を含めてよいが、それらに限定されるわけではない。好ましい実施形態では、ステントは、負に荷電された赤血球細胞の外側膜に反発する負の電荷を有し、それによって血餅が形成される危険性を低減させるポリマーで被覆される。他の好ましい実施形態では、ステントは、細胞(たとえば、内皮細胞)に対する親和性を示し、治癒を推進するポリマーで被覆される。他の好ましい実施形態では、ステントは、特定の細胞、たとえば、動脈線維芽細胞および/または平滑筋細胞の付着および/または増殖に反発し、再狭窄および/またはマクロファージなどの炎症細胞を軽減するポリマーで被覆される。
【0158】
生物学的応答をサポートする機能特性を実現するようにコーティングで修正することのできる本発明のステントを上記に説明した。このような治療薬による材料のコーティングまたは組成は、ステント上に形成するか、または治療薬の浸漬、スプレーコーティング、架橋結合などの技術を介してステント本体を製造するプロセスにおいて適用することができる。材料のこのようなコーティングまたは組成は、ステントをバルーンシステム上に取り付けた後で、コーティングを管腔内でステント本体上に配置し、および/または装置全体上に配置するときに、バルーン上でのステントの保持を強化してステントをつぶされた構成に維持することなど、治療薬の送達以外の目的も果たすことができる。当業者には、任意のポリマー材料を使用するときに他の目的が考えられる。
【0159】
本発明の一態様では、ステントには、特定の機械的特性を有するコーティングが付与される。このような特性には、特に、厚さ、引っ張り強度、ガラス転移温度、および表面仕上げが含まれる。コーティングは、最終的にステントを曲げてカテーテルに連結するかまたはカテーテルに取り付ける前に行うことが好ましい。次にステントをカテーテルに取り付けることができ、システムに熱または圧力あるいはその両方を印加しながらシステムを圧縮することができる。工程中に、コーティングは、カテーテルと他のステント面の両方との脆弱な結合部を形成することができる。この結合部は、ステントの保持部を形成し、長い年月にわたってステント断面形状を保持する信頼できる方法を実施可能にする。結合部は、バルーン設置圧力がかけられたときに破壊される。コーティングは、基板を変化させないように基板よりTgが低くなっている。
ステント設置
まず、拡張可能な部材、好ましくは、血管形成術用バルーンのような膨張可能なバルーンが遠位端に沿って設けられたカテーテルを設ける。ステントと一緒に使用できるバルーンカテーテルの一例は、引用によって本明細書に組み込まれる、Palmazの米国特許第4733665号に記載されている。カテーテル上のステントは、一般に集合的にステントシステムと呼ばれる。カテーテルには、オーバーザワイヤカテーテル、同軸急速交換構成、および新しい送達プラットフォームであるメドトロニックジッパー技術が含まれるが、それらに限定されるわけではない。このようなカテーテルには、たとえば、Bonzelの米国特許第476129号および第5232445号、ならびにYockの米国特許第4748982号、第5496346号、第5626600号、第5040548号、第5061273号、第5350395号、第5451233号、および第5749888号に記載されているカテーテルを含めてよい。さらに、カテーテルには、たとえば、米国特許第4762129号、第5092877号、第5108416号、第5197978号、第5232445号、第5300085号、第5445646号、第5496275号、第5545135号、第5545138号、第5549556号、第5755708号、第5769868号、第5800393号、第5836965号、第5989280号、第6019785号、第6036715号、第5242399号、第5158548号、および第6007545号に記載されているカテーテルを含めてよい。上記に引用した特許の開示は引用によって本明細書に全体的に組み込まれる。
【0160】
カテーテルは、コンプライアンスの高いポリマーで、かつ超音波効果、電界、磁界、光、および/または温度効果を生じさせることなど、様々な目的に合わせて特殊化することができる。加熱カテーテルには、たとえば、米国特許第5151100号、第5230349号、第6447508号、および第6562021号と、PCT国際公開第9014046A1号パンフレットに記載されているカテーテルを含めてよい。赤外線発光カテーテルには、たとえば、米国特許第5910816号および第5423321号に記載されているカテーテルを含めてよい。上記に引用した特許の開示は引用によって本明細書に全体的に組み込まれる。
【0161】
膨張可能なバルーンのような拡張可能な部材は、ステントを治療部位に設置するのに使用することが好ましい。バルーンが拡張すると、バルーンの半径方向への力が拘束機構の初期抵抗に勝り、それによってステントが拡張することができる。バルーンが膨張すると、ステントが所望の直径に拡張するまで半径方向部材がバルーンの表面に沿って互いに対して滑る。
【0162】
本発明の各実施形態のステントは、当技術分野で公知の従来の方法を使用し、経皮・経腔カテーテル装置を使用して設置されるようになっている。これには、バルーン拡張可能構成による体腔内への設置が含まれ、この場合、拡張はバルーンが拡張することによって駆動される。あるいは、ステントが体腔を通って送達されるときにステントを保持し、次にステントを解放し、体腔に接触して自己拡張できるようにするカテーテル上に、ステントを取り付けることができる。拘束手段は、取り外し可能なシースおよび/またはステント構成の機械的態様を有してよい。
【0163】
本発明のいくつかの実施形態は、冠状動脈、頚動脈、(シースで覆われるとき)、および末梢動脈および静脈(たとえば、腎臓、腸骨、大腿、膝窩、鎖骨下、大動脈、頭蓋間など)で有用である場合がある。他の非血管用途には、胃腸、十二指腸、胆管、食道、尿道、生殖器系、および呼吸(たとえば、気管支)管が含まれる。これらの用途は、ステントを覆うシースを必要とする場合と必要としない場合がある。
【0164】
ステントを半径方向に一様に拡張することが望ましい。あるいは、拡張時直径は可変であり、治療すべき体通路の内径および構造によって決定することができる。したがって、設置時に制御されるステントの可変拡張によって体通路が破裂する可能性は低い。さらに、ステントは、ロック手段が嵌め合い部材の滑りに抵抗するため反動に抵抗する。したがって、拡張された管腔内ステントは引き続き、体通路に対して半径方向外側に圧力をかけ、したがって、所望の位置からずれることはない。
【0165】
上記の説明から、管腔を拡張する新規の手法が開示されたことが理解されよう。本発明の各構成部材、技術、および態様についてある程度詳しく説明したが、本開示の要旨および範囲から逸脱せずに、上述の特定の構成および方法に多数の変更を加えられることは明らかである。
【0166】
本発明の多数の好ましい実施形態およびその変形実施態様について詳しく説明したが、当業者には、他の修正実施形態および使用方法およびその医療用途が明らかになろう。したがって、本発明の要旨または特許請求の範囲から逸脱せずに、様々な用途、修正実施形態、材料、および代替実施形態を均等物で構成できることを理解されたい。
【0167】
当業者には、本発明の真の要旨または範囲から逸脱せずに、本発明の様々な修正実施形態および用途が構想されよう。本発明が、上記に例示のために記載された実施形態に限定されず、各部材が属する均等物の全範囲を含む、添付の特許請求の範囲を公正に読むことによってのみ定義されるものであることを理解されたい。
参考文献
本明細書で引用した参考文献のいくつかを以下に列挙する。各参考文献は、引用によって本明細書に全体的に組み込まれる。
・Charles R, Sandirasegarane L, Yun J, Bourbon N, Wilson R, Rothstein RP, et al. Ceramide-Coated Balloon Catheters Limit Neointimal Hyperplasia after Stretch Injury in Carotid Arteries. Circ Res 2000;87(4):282-288
・Coroneos E, Martinez M, McKenna S, Kester M. Differential regulation of sphingomyelinase and ceramidase activities by growth factors and cytokines. Implications for cellular proliferation and differentiation. J Biol Chem 1995;270(40):23305-9.
・Coroneos E, Wang Y, Panuska JR, Templeton DJ, Kester M. Sphingolipid metabolites differentially regulate extracellular signal-regulated kinase and stress-activated protein kinase cascades. Biochem J 1996;316(Pt 1):13-7
・Jacobs LS, Kester M. Sphingolipids as mediators of effect of platelet-derived growth factor in vascular smooth muscle cells. Am J Physiol 1993;265(3 Pt 1):C740-7.
・Tanguay JF, Zidar JP, Phillips HR, 3rd, Stack RS. Current status of biodegradable stents. Cardiol Clin 1994;12(4):699-713.
・Nikol S, Huehns TY, Hofling B. Molecular biology and post-angioplasty restenosis. Atherosclerosis 1994;123(1-2):17-31.
・Biomaterials Science: An Introduction to Materials in Medicine (29 July, 2004) Ratner, Hoffman, Schoen, and Lemons
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明の一実施形態による特徴および利点を有する部分的に拡張された状態のスライド・アンド・ロック・ステントの斜視部分図である。
【図2】より拡張された状態の図1のステントの斜視部分図である。
【図3】設置時の走行経路を示す図1のステントの半径方向部材の拡大平面図である。
【図4】長手方向軸において各スライド・アンド・ロック半径方向部材間に配置された安全捕捉部材を含む受動半径方向部材を有する、スライド・アンド・ロック・ステントの好ましい一実施形態によるモジュールの平面部分図である。
【図5】安全捕捉機構の動作を示す、図4の各モジュールを有するステントの斜視部分図である。
【図6】たわみ可能な捕捉機構を含む作動スライド・アンド・ロック半径方向部材と確実戻し部材とを有するモジュールの平面部分図である。
【図7】図6と同様のたわみ可能な捕捉機構を含む作動スライド・アンド・ロック半径方向部材を有するが、確実戻し部材を有さないモジュールの平面図である。
【図8】能動ロックアウト作動スライド・アンド・ロック機構の平面図部分図であり、能動ロックアウト機構を作動する前の各部材を示す図である。
【図9】能動ロックアウト作動スライド・アンド・ロック機構の平面図部分図であり、能動ロックアウト機構を作動した後の各部材を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態による特徴および利点を有する変形可能なスライド・アンド・ロック・ステントおよびその動作の平面部分図であり、つぶされた状態の変形可能部分を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態による特徴および利点を有する変形可能なスライド・アンド・ロック・ステントおよびその動作の平面部分図であり、拡張された状態の変形可能部分を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態による変形可能な係合タブを組み込んだスライド・アンド・ロック・ステントのモジュールの平面図である。
【図13】本発明の一実施形態による特徴および利点を有するモジュール内可とう性部材を組み込んだスライド・アンド・ロック・ステントの斜視部分図である。
【図14】本発明の他の実施形態による特徴および利点を有するモジュール内可とう性部材を組み込んだスライド・アンド・ロック・ステントの斜視部分図である。
【図15】本発明の他の実施形態による特徴および利点を有するモジュール内可とう性部材および分割されたたわみ可能なレールを組み込んだスライド・アンド・ロック・ステントの斜視部分図である。
【図16】本発明の一実施形態による受動半径方向部材に組み込まれた脆弱な設置制御機構を有するスライド・アンド・ロック・ステントの平面部分図であり、脆弱な部材が塑性変形する前の設置制御機構を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態による受動半径方向部材に組み込まれた脆弱な設置制御機構を有するスライド・アンド・ロック・ステントの平面部分図であり、脆弱な部材が塑性変形した後の設置制御機構を示す図である。
【図18】本発明の一実施形態による特徴および利点を有する、概略的な層流状態を生じさせるように構成されたステント支柱形状構成の簡略化された概略図である。
【図19】本発明の他の実施形態による特徴および利点を有する、概略的な層流状態を生じさせるように構成されたステント支柱形状構成の簡略化された概略図である。
【図20】本発明の一実施形態による特徴および利点を有する、概略的な層流状態を生じさせ、強度を高め、断面形状を小さくするように構成された厚さ差ステント支柱構成の簡略化された概略図である。
【図21】本発明の一実施形態による特徴および利点を有する、概略的な層流状態を生じさせるように構成された先細りの重なりステント壁構成の簡略化された概略図である。
【図22】固体壁が中央部に沿って設けられた、半径方向部材の列の他の好ましい実施形態を示す平面図である。
【図23】分岐血管と流体連通を可能にする開口部が固体壁の中央部に沿って設けられた、図22の部材の変形実施形態を示す図である。
【図24】拡張可能なステント構造上に拡張可能なシースが配置された、拡張可能なステントの他の変形実施形態を示す図である。
【図25】内側にたわむたわみ可能な歯を有し、1方向のみに拡張するステントを形成する他の構造を示す図である。
【図26】下向きにたわむたわみ可能な歯を有し、1方向のみに拡張するステントを形成する他の構造を示す図である。
【図27】図26に示されている実施形態の単一の部材の一部を示す図である。
【図28A】たわみ可能な歯と閉ループとを有する半径方向部材を有する拡張可能なステントの他の好ましい実施形態を示す平面図である。
【図28B】部分管状部材として丸められた図28Aの単一のモジュールを示す図である。
【図28C】部分管状部材を形成するように滑り可能に相互にロックされた図28Aの2つのモジュールの連接部を示す図である。
【図29】互いに周方向にずれた半径方向部材を有するたわみ可能な歯モジュールの他の好ましい実施形態を示す平面図である。
【図30】単一のタブと、1方向のみに拡張するステントを形成する一連の形作られたリッジとを有する他の構造を示す図である。
【図31】拡張可能なステントを形成するように同様の構造と相互連結することのできる一列の食い違い半径方向部材を有する他の構造を示す図である。
【図32A】つぶされた状態に拘束された、図31に示されている種類の滑り可能に相互連結された半径方向部材を示す平面図である。
【図32B】拡張状態でロックアウトされた、図31に示されている種類の滑り可能に相互連結された半径方向部材を示す平面図である。
【図33】複数の相互連結された可とう性の列を有する拡張可能なステントの他の好ましい実施形態を示す斜視図である。
【図33A】図33のステント実施形態の単一の可とう性の列を示す平面図である。
【図34】複数の相互連結された可とう性の列を有する拡張可能なステントの他の好ましい実施形態を示す斜視図である。
【図34A】図34のステント実施形態の単一の可とう性の列を示す平面図である。
【図35A】管状部材を形成するように丸めることのできる単一の部材を有する拡張可能なステントの他の好ましい実施形態を示す平面図である。
【図35B】管状部材として丸められつぶされた状態に拘束された図35Aの単一の部材を示す図である。
【図35C】拡張状態でロックアウトされた図35Aの単一の部材を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸および周方向軸を有する管状部材を有するスライド・アンド・ロック・ステントであって、
前記管状部材は、各モジュールが、少なくとも1つの受動半径方向部材によって前記長手方向軸において互いに分離される少なくとも2つのスライド・アンド・ロック半径方向部材を有する、周方向に隣接する少なくとも2つのモジュールを有し、
各スライド・アンド・ロック半径方向部材は、係合タブと、ロックアウト歯を内部に有し走行経路を形成する受け長穴とを有し、
各モジュールの前記スライド・アンド・ロック半径方向部材の係合タブは、周方向に隣接するモジュールの前記スライド・アンド・ロック半径方向部材の受け長穴内に滑り可能に嵌まり込み、
前記ロックアウト歯は、前記走行経路に沿った前記タブの1方向への滑りを可能にするように構成され、したがって、前記周方向に隣接するモジュールが互いに離れる方向に滑ると前記管状部材が反動を軽減されながら周方向軸において拡張するスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項2】
前記走行経路は前記周方向軸にほぼ揃う、請求項1に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項3】
前記ロックアウト歯は、前記長穴の近位側面と遠位側面の両方に沿って配置された複数のロックアウト歯をさらに有する、請求項1に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項4】
前記複数のロックアウト歯は前記長穴の前記近位側面および遠位側面にほぼ均等に分散される、請求項3に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項5】
前記近位側面の前記ロックアウト歯は前記遠位側面の前記ロックアウト歯から周方向にずれており、したがって、前記走行経路はジグザグパターンを形成する、請求項4に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項6】
各モジュールの長手方向に分離されたスライド・アンド・ロック半径方向部材間に配置された少なくとも1つの受動半径方向部材をさらに有し、
前記受動半径方向部材は、タブおよび長穴をさらに有し、
1つのモジュールの前記受動半径方向部材のタブは、周方向に隣接するモジュールの前記受動半径方向部材の長穴内に滑り可能に嵌まり込む、請求項1に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項7】
前記受動半径方向部材の少なくとも1つの長穴は、前記タブを所定の位置に停止させ、前記タブが前記長穴内でさらに滑るのを防止するように構成された安全捕捉部材を有する、請求項6に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項8】
前記少なくとも1つのスライド・アンド・ロック半径方向部材は、拡張時に前記ロックアウト歯を通過させるときに非作動位置から作動位置にたわみ再び作動位置から非作動位置にたわむように構成された作動捕捉部材をさらに有する、請求項1に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項9】
前記ロックアウト歯を通過させた後で前記作動捕捉部材を前記非作動位置に戻すようになっている確実戻し部材をさらに有する、請求項8に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項10】
前記ロックアウト歯は、前記長穴の一方の側に沿って配置された複数のロックアウト歯をさらに有する、請求項8に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項11】
前記ロックアウト歯から長穴の他方の側に沿って配置され、前記複数のロックアウト歯の各々を通過させた後で前記作動捕捉部材を前記非作動位置に戻すように位置する複数の確実戻し部材をさらに有する、請求項10に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項12】
少なくとも1つの前記半径方向部材は、変形可能な領域をさらに有し、したがって、半径方向への拡張は、周方向に隣接する半径方向部材が滑ると共に、前記変形可能な領域が変形することによって生じることができる、請求項1に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項13】
係合タブはたわみ可能である、請求項1に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項14】
材料のたわみを容易にするように構成されたリンケージ領域をモジュール内にさらに有する、請求項1に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項15】
前記リンケージ領域は、U字型部材、逆U字型部材対、蛇行波、長手方向軸および周方向軸に対して斜めに配置された直線状コネクタ、および波状ばね部材から成る群から選択された構造部材を含む、請求項14に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項16】
長手方向軸および周方向軸を有する管状部材を有するスライド・アンド・ロック・ステントであって、前記管状部材は、
アクチュエータが配置された作動レールを有する第1の半径方向部材と、
前記第1の半径方向部材に周方向に隣接し、前記第1の半径方向部材に滑り可能に連結され、たわみ可能な捕捉部材を有する第2の半径方向部材と、
ロックアウト歯とを有し、
前記アクチュエータは、前記第2の半径方向部材が前記第1の半径方向部材に対して滑るときに、前記アクチュエータが前記たわみ可能な捕捉部材をたわませ、それによって前記ロックアウト歯に連結され、したがって、前記管状部材が反動を軽減されながら前記周方向軸において拡張するように構成されるスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項17】
前記ロックアウト捕捉部材は前記第1の半径方向部材を囲むフレーム部材に沿って配置される、請求項16に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項18】
長手方向軸および周方向軸を有する管状部材を有するスライド・アンド・ロック・ステントであって、前記管状部材は、
ロックアウト歯が配置されたたわみ可能なレールを有する第1の半径方向部材と、
前記第1の半径方向部材に周方向に隣接し、前記第1の半径方向部材に滑り可能に連結され、長穴を有する第2の半径方向部材とを有し、
前記長穴は、前記たわみ可能なレール上に配置された前記ロックアウト歯が前記長穴を通過するときに、前記たわみ可能なレールに滑り可能に連結されて前記たわみ可能なレールをたわませ、したがって、前記管状部材が反動を軽減されながら前記周方向軸において拡張するように構成されるスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項19】
前記たわみ可能なレールは、間に隙間を含む2つのレールをさらに有し、各レール上に複数のロックアウト歯が配置される、請求項18に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項20】
長手方向軸および周方向軸を有する管状部材を有するスライド・アンド・ロック・ステントであって、前記管状部材は、
たわみ可能な歯を有する細長いレールを有する第1の半径方向部材と、
前記第1の半径方向部材に周方向に隣接する第2の半径方向部材であって、前記第1の半径方向部材の前記細長いレールに滑り可能に連結され、かつ前記たわみ可能な歯が係合手段に接触したときに前記たわみ可能な歯をたわませ、したがって、前記管状部材が反動を軽減されながら前記周方向軸において拡張するように構成された前記係合手段を有する第2の半径方向部材とを有するスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項21】
前記係合手段は、前記長手方向軸において前記細長いレールに隣接して滑り、前記歯を長手方向に前記細長いレールの方へたわませるように構成されたロックタブを有する、請求項20に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項22】
前記係合手段は、前記細長いレールの上または下を滑り、前記歯を前記細長いレールの平面の方へたわませるように構成されたロックタブを有する、請求項20に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項23】
前記係合手段は、長穴を形成する閉ループを有する、請求項20に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項24】
前記細長いレールは、間に隙間を含む2つのレール部材をさらに有し、したがって、前記レール部材は、前記長穴に連結されるときに、互いに向かって隙間内にたわむように構成される、請求項23に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項25】
前記細長いレールには、たわみ可能な複数の歯が配置されている、請求項20に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項26】
前記長手方向軸において互いに連結された2つ以上の前記第1の半径方向部材を有する第1のモジュールと、前記長手方向軸において互いに連結された2つ以上の前記第2の半径方向部材を有する第2のモジュールとをさらに有する、請求項20に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項27】
各モジュールの長手方向に連結された半径方向部材は、ジグザグパターンで互いに周方向にずれている、請求項26に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項28】
長手方向軸および周方向軸を有する管状部材を有するスライド・アンド・ロック・ステントであって、前記管状部材は、
第1の鋸歯状面を有する第1の半径方向部材と、
前記第1の半径方向部材に周方向に隣接し、第1の半径方向部材に滑り可能に連結され、第2の鋸歯状面を有する第2の半径方向部材とを有し、
前記第1の鋸歯状面と第2の鋸歯状面は、滑りに抵抗するようになっている相補的な山谷構成で互いに連結され、前記管状部材は、半径方向の力を印加することによっていったん拡張すれば、反動に抵抗するスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項29】
長手方向に隣接する半径方向部材は、可とう性のリンケージ部材によって互いに連結される、請求項1、16、18、20、または28に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項30】
長手方向軸および周方向軸を有する管状部材を有するスライド・アンド・ロック・ステントであって、前記管状部材は、
周方向にずれた少なくとも2つのスライド・アンド・ロック半径方向部材および連結部材を有し、各半径方向部材がタブ、ロックアウト歯を有する隙間、および長穴を有する第1のモジュールと、
前記第1のモジュールとほぼ同一に構成され、前記第1のモジュールに周方向に隣接する第2のモジュールとを有し、
前記第2のモジュールの前記半径方向部材は、前記第1のモジュールの前記対応する半径方向部材の長穴内に滑り可能に嵌まり込み、前記第2のモジュールの前記半径方向部材の前記タブは、前記第1のモジュールの前記対応する半径方向部材の前記隙間内に滑り可能に嵌まり込み、したがって、前記ロックアウト歯が前記タブに連結され反動が最小限に抑えられるスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項31】
長手方向軸および周方向軸を有する管状部材を有するスライド・アンド・ロック・ステントであって、前記管状部材は、
それぞれが山および谷を有する第1および第2の長手方向モジュールを有し、ロックアウト歯を有する突起が、各モジュールの第1の山から延び、長穴が、各モジュールの第2の山に沿った位置を通って延び、
前記第1のモジュールの前記突起は、前記第2のモジュールの前記長穴内に滑り可能に嵌まり込むスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項32】
前記モジュールは、(n)個の材料層を有し、(n)は少なくとも2である、請求項31に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項33】
前記突起および前記位置はそれぞれ、(n)個未満の材料層を有し、前記第1のモジュールの突起が前記第2のモジュールの前記長穴内に滑り可能に嵌まり込むときに前記位置における材料層の総数は(n)に等しく、したがって、前記スライド・アンド・ロック・ステントの厚さは一様であり、(n)個の層を超えない、請求項32に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項34】
前記スライド・アンド・ロック・ステントの少なくとも一部の断面形状は、前記スライド・アンド・ロック・ステントが血管腔内に配置されたときに一般に望ましい血液流特性を生じさせるように先細りになっている、請求項1、16、18、20、28、30、または31に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項35】
前記スライド・アンド・ロック・ステントは、金属およびポリマーから成る群から選択される材料をさらに含む、請求項1、16、18、20、28、30、または31に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項36】
前記ポリマーは生体吸収性のポリマーを含む、請求項35に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項37】
前記ポリマーは放射線不透過性・生体吸収性ポリマーを含む、請求項35に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項38】
前記ポリマーは、前記ステントの少なくとも一部上にコーティングを形成する、請求項35に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項39】
前記ポリマーのコーティングは、選択された生体応答を推進するようになっている生体適合・生体吸収性ポリマーをさらに含む、請求項38に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項40】
層状材料は生体吸収性ポリマーを含む、請求項38に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項41】
前記スライド・アンド・ロック・ステントは、少なくとも2つの材料をさらに含む、請求項1、16、18、20、28、30、または31に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項42】
前記少なくとも2つの材料は、半径方向軸において積層された材料、前記長手方向軸に沿って変化する材料、混合材料、溶融させられた材料、コーティングされた材料、および構造が異なる部材間で異なる材料から成る郡から選択される構造構成を有する、請求項41に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項43】
前記スライド・アンド・ロック・ステントは治療薬剤をさらに含む、請求項1、16、18、20、28、30、または31に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項44】
治療部位への送達時に前記管状部材を密閉するようなサイズを有する引き込み可能なシースをさらに有する、請求項1、16、18、20、28、30、または31に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項45】
固体壁領域をさらに有する、請求項1、16、18、20、28、30、または31に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項46】
前記固体壁領域は開口部をさらに有する、請求項45に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項47】
高分子シースをさらに有する、請求項1、16、18、20、28、30、または31に記載のスライド・アンド・ロック・ステント。
【請求項48】
血管内の部位を治療するシステムであって、設置手段を有するカテーテルと、請求項1、16、18、20、28、30、または31のいずれかに記載のスライド・アンド・ロック・ステントとを有し、前記カテーテルは、前記スライド・アンド・ロック・ステントを前記部位に送達するようになっており、前記設置手段は、前記スライド・アンド・ロック・ステントを設置するようになっているシステム。
【請求項49】
前記カテーテルは、オーバー・ザ・ワイヤ・カテーテル、同軸急速交換カテーテル、および多重交換送達カテーテルから成る群から選択される、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記スライド・アンド・ロック・ステントは、前記スライド・アンド・ロック・ステントの物理的特性を変更するようになっているコーティングをさらに有する、請求項48に記載のシステム。
【請求項51】
前記コーティングは、前記スライド・アンド・ロック・ステントと前記カテーテルとの間に脆弱な結合部を形成するようになっており、したがって、前記スライド・アンド・ロック・ステントは、設置されるまで前記カテーテル上に保持される、請求項50に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32A】
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【図32B】
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【図33】
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【図33A】
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【図34】
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【図34A】
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【図35A】
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【図35B】
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【図35C】
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【公表番号】特表2008−523914(P2008−523914A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546927(P2007−546927)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2005/045553
【国際公開番号】WO2006/086069
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(507000316)レヴァ メディカル、 インコーポレイテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】REVA MEDICAL, INC.
【Fターム(参考)】