説明

スルホンアミドならびに薬剤としてのその使用

本発明は、式(I)のスルホアミド化合物及び製薬学的に活性なその塩の使用に関し、R1は、H、CN、ハロゲン、トリフルオロメチル、メチル、エチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、モルホリノからなる群より選択され、R2は、H、フェニル、置換フェニル、CN、−SO2Rから選択され、Rは、フェニル又はモルホリノ、−NC(O)Me、−NC(O)Et、−CH2C(O)OMe、CH2C(O)OEtであり、R3は、H、NO2、NH2、ハロゲン、−COOMe、−COOEt、RC(O)N−、モルホリノからなる群より選択され、R4は、H、分岐又は非分岐のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、置換された又は置換されていないフェニル、アルキニル、Me2SO2−、COORからなる群より選択され、Rは、分岐又は非分岐のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、−MeOC(O)−、置換された又は置換されていない1、2又は3つのヘテロ原子を有する5又は6員環の芳香族あるいは非芳香族の複素環系、ヘタリール系、縮合ベンゾ複素環系であり、Xは、−NH−NH−、−NH−NH−CH2−、エチニル、−NH−C(O)−CH2−、−NH−NH−SO2−、−C(O)−NH−CH2−、−NH−N=CH−、−NH−N=C(Me)−、複素環系の一部の構造としての−NH−N=CH−からなる群より選択され2又は3つの原子を含む結合基、好ましくは、置換された又は置換されていないピラゾールもしくはピリダジン系である。さらに本発明は、特に癌の治療のための、薬剤としてのこれら化合物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、β−カテニンとBCL9及び/又はBCL9L蛋白質との間の相互作用を阻害するスルホンアミド化合物、即ち、Wnt伝達経路を阻害する化合物に関する。さらに本発明は、癌の治療に有用な医薬組成物の調製のためのそれら化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明で考えられている阻害物質は、幹細胞研究、又は、癌、骨および軟骨疾患[M., 2005 #198] [Westendorf JJ, 2004 #199]のような異常なWnt活性化によって特徴付けられる疾患の治療のために用いられ得る。例えば、Wnt経路の病的な活性化は、結腸直腸癌([Pinto D, 2005 #197]参照)、肝細胞癌[Lee HC, 2006 #194]、乳癌[Howe LR, 2004 #196]、メラノーマ[Lame L, 2006 #195]、中皮腫([Fox S. , 2006 #191]参照)、リンパ腫[Bellei B, 2004 #193]、及び白血病[Jamieson CH, 2004 #192]において広く報告されてきた。そのうえ、Wnt経路がT細胞の発達において必須の役割も担うことから(Staal,Meeldijk ら、2001;Staal and Clevers 2003)、ここで開示されるWntシグナル伝達回路阻害物質は、例えば臓器移植後の免疫抑制剤として、又は紅斑性狼瘡、多発性硬化症、及び関節リウマチといった特定の自己免疫疾患の治療のために用いられ得る。
【0003】
Wnt/Wg蛋白質は、応答細胞での特定標的遺伝子の発現を活性化することにより、脊椎動物の発達に多くの影響を及ぼす。これら標的遺伝子のいくつかは、特定されており、それら機能の一部は、細胞成長、細胞分化、及び細胞生存の制御と調和している(He, Sparks ら、1998;Crawford, Fingleton ら、 1999; Tetsu and McCormick 1999; Kolligs, Nieman ら、2002; Shtutman, Zhurinsky ら、 2002)。
【0004】
リン酸化反応による分解を受けるβ−カテニンを通常はマークしている複雑な機構が確認されている。重要なことに、癌抑制遺伝子産物APC及びAxinは、このβ−カテニン破壊複合物の必須成分である。Wnt経路の活性化において、β−カテニンはこのリン酸化反応を逃れ、細胞質に蓄積し、核に侵入し、そこでTCF蛋白質及び最近確認されたLgs/BCL9[Kramps, T.ら、 2002]蛋白質と共同作業し、標的遺伝子の転写コアクチベーターとして機能する。
【0005】
重要な変換体が継続的に抑制されているこの状況は、その抑制成分における変異の影響を非常に受けやすい。実際、Wntシグナルの下流成分における変異は、様々なヒトの癌と関連していることが発見された(Kinzler and Vogelstein 1996; Miller, Hocking ら. 1999)。例えば、生殖細胞APC変異は、多くの良性大腸腫瘍を起こし得るものであり、そのうちのいくつかが癌へと発展する。APC遺伝子の体細胞変異は、85%の散発性大腸腺腫及び癌に関連しており(Kinzler and Vogelstein 1996)、β−カテニンリン酸化反応部位における変異が、直腸結腸癌、肝細胞癌、及びメラノーマといったヒトの多くの癌で確認されており(Morin, Sparks ら、 1997; Rubinfeld, Robbins ら. 1997)(Caca, Kolligs ら、 1999)、Axin変異が肝細胞癌で特定されている(Satoh, Daigo ら、 2000)。そのうえ、いくつかの変異、及び/又はLRP5、sfrps、WIF−1、DKKもしくはWntリガンドのような上流成分の発現における変化は、癌と関連しているだけでなく、骨及び軟骨疾患[Westendorf, 2004 #199]、[Sen, 2005 #198]、[Moon, 2004 #216]とも関連している。これら全ての変異は、核のβ−カテニンの蓄積につながることから、この蛋白質及び相互作用パートナーは、Wnt依存性の遺伝子発現を抑制する格好の標的として浮上してきた。
【0006】
実際のところ、β−カテニン−Tcf4相互作用を標的としたWnt経路の抑制物質、及びそのような抑制物質を見つけ出す方法は、開示されている。
【0007】
このトピックは、いくつかの特許広報で課題となってきた。特許文献1は、精製された蛋白質及び抑制物質をスクリーニングするための従来公知の方法を開示している。特許文献2には、Tcf−β−カテニン抑制物質をスクリーニングするための従来公知の方法が記載されている。特許文献3は、Tcf−β−カテニン抑制物質に関連している。特許文献4は、低分子β−カテニン抑制物質としてセファロスポリンを開示している。
【0008】
特許文献5は、Tcf4−β−カテニン相互作用の3Dモデルを用いてβ−カテニンにおける“目標設定可能な”ポケットを明らかにしている。この公報には、抑制物質を特定するための、前記相互作用に基づいたコンピュータでのスクリーニング方法だけでなく、この方法で特定された多くの抑制物質も記載されている。
【0009】
上述のアプローチの主な欠点は、β−カテニン−Tcf4相互作用の特性にある。特に、この蛋白質−蛋白質相互作用の表面は、非常に大きく、少なくともEカドヘリンやAPCの他のβ−カテニン相互作用パートナーと部分的に共有され(非特許文献1〜4)、これがその選択特異性について重大な問題を引き起こす。このような状況において、Wnt経路でのこれに代わる標的が要望されている。
【0010】
蛋白質のLegless(Lgs)/BCL9群は、キイロショウジョウバエのAPC癌抑制遺伝子のWnt経路下流の新規な正の調節因子として遺伝子検査で同定された。ヒトにおいて、2つの同族体、BCL9及びBCL9類似(BCL9、B9L又はBCL9−2として知られる)があり、これらは、キイロショウジョウバエ蛋白質のように、転写活性成分Pygo及びβ−カテニンの間で不可欠なアダプター分子として活動する。β−カテニンへのBCL9蛋白質の結合は、癌細胞のWntシグナルの伝播に極めて重要である。蛋白質−蛋白質相互作用を中断させることができる、又は、低分子干渉RNA(siRNA)によるBCL9L発現を減少することができる競合ペプチドは、強力にWnt経路を抑制し、分化していない悪性の型から中程度へよく分化した組織へと癌細胞の分化を導く(([Brembeck FH, 2004 #201]、 [Adachi S, 2004 #200]、US2002/0086986)。しかしながら、Wnt経路における特異的で強力な抑制作用にもかかわらず、そのペプチド又はsiRNA分子は、低膜透過性及び低全身アベイラビリティー(低利用能)により、癌治療のための理想的な薬剤に相当するものとなっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第98/42296号パンフレット
【特許文献2】国際公開第02/44378号パンフレット
【特許文献3】国際公開第03/006447号パンフレット
【特許文献4】国際公開第02/096430号パンフレット
【特許文献5】国際公開第01/19353A2号パンフレット
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Graham, T. A., C. Weaver ら. (2000). "Crystal structure of a beta-catenin/Tcf complex." Cell 103(6): 885-96.
【非特許文献2】Eklof Spink, K., S. G. Fridman ら. (2001). "Molecular mechanisms of beta-catenin recognition by adenomatous polyposis coli revealed by the structure of an APC-beta-catenin complex." Embo J 20(22): 6203-12.
【非特許文献3】Huber, A. H. and W. I. Weis (2001). "The structure of the beta-catenin/E-cadherin complex and the molecular basis of diverse ligand recognition by beta- catenin." Cell 105(3): 391-402.
【非特許文献4】Poy, F., M. Lepourcelet ら. (2001). "Structure of a human Tcf4-beta-catenin complex." Nat Struct Biol 8(12): 1053-7.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
それゆえ、β−カテニン/BCL9−BCL9L相互作用の新規な阻害物質、特に、より低分子量で良好な細胞透過性といった改良された薬剤特性を備えた化合物を提供することが本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、式Iの新規スルホンアミド化合物、及び製薬学的に活性なその塩の提供により解決される。
【0015】
【化1】

【0016】
1は、H、CN、ハロゲン、トリフルオロメチル、メチル、エチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、モルホリノからなる群より選択され、
2は、H、フェニル、置換フェニル、CN、−SO2Rから選択され、Rは、フェニル又はモルホリノ、−NC(O)Me、−NC(O)Et、−CH2C(O)OMe、CH2C(O)OEtであり、
3は、H、NO2、NH2、ハロゲン、−COOMe、−COOEt、RC(O)N−、モルホリノからなる群より選択され、
4は、H、分岐又は非分岐のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、置換された又は置換されていないフェニル、アルキニル、Me2SO2−、COORからなる群より選択され、Rは、分岐又は非分岐のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、−MeOC(O)−、置換された又は置換されていない1、2又は3つのヘテロ原子を有する5又は6員環の芳香族あるいは非芳香族の複素環系、ヘタリール系、縮合ベンゾ複素環系、好ましくは、置換されたあるいは置換されていないフェニル、ピリジニル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、イソキサゾリニル、チオフェニル、1,3,4−チアジアザゾリジニル、フラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラハイドロイソキノリニル、フラニル、及びクロメン−2−オニルであり、
Xは、−NH−NH−、−NH−NH−CH2−、エチニル、−NH−C(O)−CH2−、−NH−NH−SO2−、−C(O)−NH−CH2−、−NH−N=CH−、−NH−N=C(Me)−、複素環系の一部の構造としての−NH−N=CH−からなる群より選択され2又は3つの原子を含む結合基、好ましくは、置換された又は置換されていないピラゾールもしくはピリダジン系、又はイミダゾリル、イミダゾリジン−2−オニル、トリアゾリル及びテトラゾリル系である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、R1がオルトに位置し、これら化合物は、式Iaで示される。オルト位置はスルホンアミド部分のN原子に結合した環の2つの位置がある。置換基の意味は、上述のごとくである。
【0018】
【化2】

【0019】
好ましい実施形態では、R1がハロゲンである。本発明において、“ハロゲン”は、Cl、Br、I及びFを意味する。特に好ましくは、Cl、Br、及びFである。
【0020】
さらに好ましい実施形態では、R2がメタ位置にある。より深く理解するには、メタ位置はスルホンアミド部分のN原子に結合した環の3又は5位である。これに関して最も好ましくは、5位であり、即ち、R1及びR2が互いにパラ位にあり、これら化合物は式Ibに示される。置換基の意味は、上述のごとくである。
【0021】
【化3】

【0022】
他の好ましい実施形態では、R2がパラ位置、即ちスルホンアミド部分のN原子に結合した環の4位にある。
【0023】
本発明のより好ましい実施形態では、R3がオルト位置にあり、XがHである。オルト位置は、スルホンアミド部分の硫黄原子に結合した環の2位である。この場合、R3がハロゲンであり、最も好ましくは、Cl及びBrである。好ましい構造式は、次の式Ic及びIdで示される。
【0024】
【化4】

【0025】
式Ic及びIdによる好ましい実施形態では、XがHである。
【0026】
さらに好ましい実施形態では、R3が式Ieにおけるメタ位置にある。メタ位置は、スルホンアミド部分の硫黄原子に結合した環の5位である。
【0027】
【化5】

【0028】
特に好ましい構造モチーフが式If、Ig及びIhによって示される(置換基の意味は、上述のごとくである)。
【0029】
【化6】

【0030】
認識できるように、X−R4基がオルト位置にありR3に対してパラ位置にあることが特に好ましい。
【0031】
これら式においては、R3がH、ハロゲン、NO2、NH2、又は酸アミド(R’がH、メチル、エチル又はn−及びi−プロピルである−C(O)NR’)残部であることが特に好ましい。
【0032】
Xは、好ましくは、−NH−NH−、−NH−NH−CH2−、エチニル(R”がH、C1〜C8の分岐又は非分岐の、置換された又は置換されていないアルキル残部、好ましくは、メチル、エチル、n−及びi−プロピル、n−、i−及びt−ブチル、ペンチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、及びn−オクチル、又はシアノ置換されたその誘導体である −CC−R”)、−NH−C(O)−CH2−、−NH−NH−SO2−、−C(O)−NH−CH2−、−NH−N=CH−、−NH−N=C(Me)−、置換された又は置換されていないピラゾール系の一部である−NH−N=CH−からなる群より選択される。
【0033】
特に好ましくは、R4は、分岐又は非分岐のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、メトキシ、エトキシ、置換された又は置換されていないフェニル、置換されたアルキニル、Me2SO2−、COORからなる群より選択され、Rが、分岐又は非分岐のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、−MeOC(O)−、置換された又は置換されていないピラゾリル、ピリジニル、ヘタリール系、縮合ベンゾ複素環系である。
【0034】
本発明の最も好ましい実施形態では、R3がNO2である。
【0035】
本発明のさらに特に好ましい実施形態では、Xが2つの窒素原子を含む構造であり、より好ましくは、−NH2−NH−CH2−、−NH2−NH2−SO2−、−NH=N−CH2−、置換された又は置換されていないピラゾール系の一部である−NH−N=CH−、−NH2−NH−C(O)−からなる群より選ばれる。
【0036】
細胞試験で特に高い活性を示す特に好ましい特定の化合物は、次の式で示される。
【0037】
【化7】

【0038】
【化8】

【0039】
【化9】

【0040】
高い活性を有するさらに好ましい化合物は、式Vの化合物である。
【0041】
【化10】

【0042】
【化11】

【0043】
【化12】

【0044】
【化13】

【0045】
【化14】

【0046】
本発明のさらなる目的は、本発明に係る化合物の薬剤としての使用、及び、癌の治療のための医薬組成物の製造のための使用である。
【0047】
本発明は、さらには、本発明に係る化合物又は製薬学的に許容されるその塩、そしてさらなる実施形態では、少なくとも1つの製薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0048】
本発明の化合物は、単独で、又は、製薬学的に許容されるその塩のかたちで投与され得る。本発明の化合物を含む医薬組成物、又は製薬学的に活性なその塩は、さらに少なくとも1つの製薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を含み得る。特定の実施形態では、活性化合物もさらに組成物中に含まれ得る。
【0049】
本発明における化合物は、局所、経口、経皮、注射、舌下、経鼻、髄腔内、経直腸、吸入、静脈の投与のために、例えば、錠剤、ゲル、カプセル、布片、軟膏、クリームのかたちで剤型化され得る。非経口の伝達は、持続性薬剤、注射器、アンプル、又はバイアルによってなされ得る。
【0050】
本発明の化合物は、このように、標準的な補助剤、担体又は希釈剤といっしょになって、医薬組成物及びその投薬単位のかたちへとなり、そのようなかたちで固体、液体、又は殺菌された注射用溶液のかたちで採用され得る。固体の担体が用いられた場合、調剤は錠剤、粉状またはペレット状でハードゼラチンカプセルに入った状態、又はトローチやドロップのかたちになり得る。固体の担体は、結合剤、錠剤滑剤、フィラー、崩壊剤、湿潤剤などの標準的な賦形剤を含み得る。錠剤は、標準的な技術でフィルムコートされ得る。液体の担体が採用された場合、調剤は、シロップ、エマルジョン、ソフトゼラチンカプセル、注入用賦形剤、水性又は非水性液体分散液のかたちになり得るものであり、又は、使用前に水又は他の適当な媒体で再構成されるための乾燥物になり得る。液体調剤は、分散剤、乳化剤、湿潤剤、非水媒体(食用油を含む)、防腐剤、香料及び/又は着色剤といった標準的な添加物を含み得る。非経口投与のためには、媒体は、塩水溶液、グルコース溶液などが用いられ得るが、通常、少なくとも大部分において滅菌水を含む。注射用分散液も用いられ、この場合、標準的な分散剤が採用され得る。標準的な防腐剤、緩衝剤なども非経口剤形に加えられ得る。しかしながら、投与は、例えば坐薬のかたちで直腸内に、例えばペッサリー、タンポン、クリームのかたちで経膣的に、例えば、軟膏、クリーム、チンキ剤のかたちで経皮的におこなわれることもあり得る。
【0051】
ここで記載している疾患を患っている又は患いそうである哺乳類、特にヒトに対する本発明の化合物又は医薬組成物の適当な投与量は、活性成分で体重に対し約0.1μg/kg(NB:例えばホルモンといった、より低量で伝達される化合物のいくつかの例がある)から500mg/kgの量である。非経口投与のためには、静脈投与において投与量が体重あたり0.1μg/kgから100mg/kgになり得る。活性成分は、好ましくは、日々1回から4回等量で投与される。式(I)の化合物は、前駆体(プロドラッグ)のかたち、又は生体内で活性化合物を放出するような適切に変性されたかたちでも用いられ得る。通常、投与量は、治療されている宿主とって最適な効果量が決定されるまで徐々に増やされる。最適な投与量は、治療されている状況、投与される化合物の選択、投与経路、性、年齢、体重、及び各人の症状の重症度に関わる治療中の各人の特有の反応を含む関連事情により、医師又は他の当業者によって決定され得る。
【0052】
医薬組成物は、活性成分、即ち本発明の化合物の適当量を含む所望の剤形に適した標準的な技術によって調製される。そのような医薬組成物及びその投与単位形態は、標準的な成分を標準的な割合で含み、さらなる活性化合物又は本質があってもなくてもよく、そのような単位投与形態は、採用される日々の目的とする投与量範囲と釣り合った活性成分の効果的な適当量を含み得る。
【0053】
下記の試験例は、さらに、それら発明を実施するために発明者らによって考察された最良の形態を示している。これらの例は、好ましい実施形態に関しており、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるものではない。
【実施例】
【0054】
(試験例1)
ELISAに基づく蛋白質−蛋白質相互作用インビトロ試験
【0055】
細菌における蛋白質の生成
Lgs及びβ−カテニンの結合領域を含むcDNAをpGEX−4T誘導性細菌発現ベクター(Pharmacia)中にグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)cDNAの下流で融合した。製造者の推奨方法に従って融合蛋白質をBL21細菌(例えばStratagene社)中で作製した。
【0056】
作製された融合蛋白質を単離すべく、細菌を超音波緩衝液(10 mM トリスHCl pH 8.0、150 mM NaCl、1 mM EDTA、1.5% sarkosyl、2% Triton-X-100、1 mM DTT、及びプロテアーゼ阻害剤)中で溶解し、続いて氷中で短時間の超音波処理(例えば中出力で20秒間を3回)をし、遠心分離した。透明な上澄みをグルタチオンビーズ(Amersham Pharmacia)と4℃で2時間ゆっくり回転させながらインキュベートした。最後にビーズを洗浄用緩衝液(20 mM トリスpH 8.0、200 mM NaCl、1 mM EDTA、1 mM DTT, 1 mM MgCl2、0.5% NP40)で数回洗浄し、貯蔵用緩衝液(20 mM トリス pH 8.0、200 mM NaCl、1 mM EDTA、1 mM DTT、1 mM MgCl2、10 % グリセロール、0.5% NP40、及びプロテアーゼ阻害剤)に貯蔵した。生成物の性質を当業者に周知の標準方法によりSDS−ゲル電気泳動で確認した。
【0057】
結合分析
対応するパートナーへの突然変異の結合を試験すべく、上記記載のグルタチオンビーズに固定されたグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)融合蛋白質を、結合緩衝液(20 mM トリス pH 8.0、200 mM NaCl、1 mM EDTA、1 mM DTT、1 mM MgCl2、10% グリセロール、0.5% NP40、0.05% BSA 及びプロテアーゼ阻害剤)中で45分間ブロックした。固定化されたGST蛋白質の2μgを、次に結合緩衝液中で0.5〜4μlのIVT蛋白質と1.5時間インキュベートした。次にビーズを洗浄緩衝液(20 mM トリス pH 8.0、200 mM NaCl、1 mM EDTA、1 mM DTT、1 mM MgCl2、0.5% NP40)で4回洗浄し、Laemmli SDS サンプルバッファー中で煮沸した。損傷を受けていないGST−融合物及びIVT蛋白質の当量の使用を、クマシー染色及びオートラジオグラフィーを用いてそれぞれSDS−PAGE分析によって確認した。
【0058】
(試験例2)
癌細胞におけるWnt活性の抑制
【0059】
ELISAに基づく蛋白質−蛋白質相互作用法で確認されたWnt経路におけるβ−カテニン/BCL9抑制物質の効果は、転写因子のTcf/Lef群に応答するレポーター遺伝子を用いて、又は、適当な細胞株におけるWnt標的遺伝子の量的分析によって、細胞培養系において評価され得る。
【0060】
レポーター遺伝子は、転写因子応答要素及び最小プロモーターにシスで結合し、β−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光蛋白質、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ又はルシフェラーゼのように容易に検出でき若しくは分析できる遺伝子を含む構築物である。用いた発現ベクターに応じて、この手順は例えば、哺乳類の細胞株にもショウジョウバエの細胞株にも適用され得る。例えば、SW620(ATCC)のような構造的に活性化しているWnt経路を備えた結腸癌細胞は、適した系である。これにより、Tcf−4誘導ルシフェラーゼレポータープラスミド(即ちTOPFLASH Upstate biotechnology, New York, USA)は、一時的に又は安定的に公知のごとく細胞に核酸を導入する。細胞中に遺伝子材料を導入するための、感染、電気穿孔法、トランスフェクションを含むいかなる手段も用いることができ、これらに限られない。例えば、DNAをSW620細胞に導入すべく、Lipofectamineトランスフェクション試薬(Life Technologies, Inc.)のようなリポフェクション試薬が用いられ得る。一過性トランスフェクション手順によって、2番目のレポーター遺伝子、例えばウミシイタケルシフェラーゼレポータープラスミドpRL−SV40(Promega Corporation, Madison USA)は、トランスフェクション性能の標準化のためにコトランスフェクトされる必要がある。薬剤は、トランスフェクション(一過性トランスフェクション)の後24時間、又は、細胞(安定にトランスフェクトされた細胞)の播種後24時間で培地に加えられる。細胞抽出物は、24〜48時間後に用意され、製造者(例えば、ルシフェラーゼ活性: Promega Corporation)によって説明されているようにレポーター遺伝子活性のために試験される。溶媒のみで処理された細胞と比べて50%以上レポーター遺伝子の活性が減少した化合物は、該当したものとして考えられる。平行して、例えば、黄色テトラゾリウム塩細胞増殖分析(MTT)法によって毒性が評価され得る。
【0061】
表1は、本発明に係る化合物のインビトロ活性を示す。TGC IDは、被験物内部識別番号のことであり;特異性値は、β−カテニン−BCL9−BCL9Lの阻害に対する化合物の特異性を表現しており(特異性はE−カドヘリン−β−カテニン、Tcf−4−βカテニン又はBCL9−Pygo相互作用を著しく阻害しないことを意味する);MWは分子量を意味する。
【0062】
ELISA法及び細胞試験(CA)測定は、上記試験例で記載されているようにおこなわれた。
【0063】
ELISA及びCA試験に関連する数字は、次のように解釈される。
1:0〜20%阻害
2:21〜40%阻害
3:41〜60%阻害
4:61〜80%阻害
5:81〜100%阻害
【0064】
【表1】






【0065】
本発明の化合物を次のようにして調製した。
【0066】
<オルト−ブロモ スルホンアミド>
【0067】
【化15】

【0068】
ジクロロメタン(スルホニルクロリドの1 mL/ mmol)に溶解させた2−ブロモベンゼンスルホニルクロリド(1当量)及びピリジン(2当量)を丸底フラスコに入れた。反応混合物を0℃に冷却した。置換アニリン(1当量)をゆっくりと加えた。得られた混合物を終夜撹拌した。0.5Mの塩酸溶液を加えた。有機相を分離し、該有機相を水、次に塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、蒸発により乾燥させた。残渣を最少量のメタノールで粉にした。目的とする化合物を白色固体として得た。
【0069】
<オルト−アルキニル スルホンアミド>
【0070】
【化16】

【0071】
N−置換−2−ブロモベンゼンスルホンアミド(1当量)をジイソプロピルアミン(N−置換−2−ブロモベンゼンスルホンアミドの5 ml# / mmol)中で対応する末端アルキン(1当量)と混合した。この混合物に、トリフェニルホスフィン(0.01当量)、ヨウ化銅(0.01当量)、及びアセトニトリル パラジウム混合物(0.01当量)を加えた。得られた反応混合物を終夜還流し、セライトベッドでろ過し、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィーにより、目的とする生成物が白色から黄色の粉体として得られた。
【0072】
<オルト−ヒドラゾン スルホンアミド>
【0073】
【化17】

【0074】
スルホンアミドヒドラジン(1当量)をTHF(5 mL / mmol対ヒドラジン)に溶解し、p−トルエンスルホン酸の触媒量の存在下で終夜還流温度にて相当するアルデヒド(1当量)で処理した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をメタノールで再結晶、及び/又はカラムクロマトグラフィーにより、目的とする化合物を淡黄色粉体として生成させた。
【0075】
<オルト−ピラゾール スルホンアミド>
【0076】
【化18】

【0077】
スルホンアミドヒドラジン(1当量)を無水エタノール(5 mL / mmol対ヒドラジン)に溶解させ、還流温度にて4時間、相当するケトアルキン(1当量)で処理した。得られた反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をメタノールで再結晶、及び/又はカラムクロマトグラフィーで目的とする生成物を明黄色の粉体として得た。
【0078】
<オルト−カルボキサミド スルホンアミド>
【0079】
【化19】

【0080】
オルト−メチルカルボキシレートスルホンアミド(1当量)をアセトニトリル(5 mL/mmol対エステル)中で相当するベンジルアミン(1当量)と混合した。反応混合物を半時間50℃に加熱し、トリエチルアミン(1.2当量)そのものを加えた。得られた反応混合物を終夜還流した。溶媒の蒸留において、カラムクロマトグラフィーによって目的とするカルボキシアミドスルホンアミドを白色固体として得た。
【0081】
<オルト−アミド スルホンアミド>
【0082】
【化20】

【0083】
置換されたアシルクロリド(1当量)をジクロロメタン(5 mL/mmol対クロリド)に溶解させ、0℃に冷却した。ジクロロメタン(5 mL/mmol対アシルクロリド)に溶解した冷却されたピリジン(2当量)をゆっくりと加え、得られた溶液を2時間以上かけて室温まで暖めた。得られた反応混合物を0℃に冷却した。2−アミノ−4−置換ベンゼンスルホニルアミド(1当量)のジクロロメタン(5 mL/ mmol対スルホニルアミド)の溶液をゆっくりと注入した。温度を室温まで上げる間、反応混合物を終夜撹拌した。0.5Mの塩酸溶液を加えた。有機相を分離し、水、次に塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムによって乾燥し、ろ過し、蒸留によって乾燥させた。残渣を最少量のメタノールで粉にして、カラムクロマトグラフィーによって目的とする生成物を白色固体として得た。
【0084】
抜粋した質量分析(MS)及び1H−NMRのデータ(ppmで与えられた重水素含有ジメチルスルホキシドにおけるシグナル s:一重線、d:二重線、t:三重線、q:四重線、dd:二重線の二重線、dt:三重線の二重線、m:多重線、b:広幅)。
【0085】
【表2】



【0086】
<参考文献>
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iのスルホンアミド化合物、及び製薬学的に活性なその塩。

(R1は、H、CN、ハロゲン、トリフルオロメチル、メチル、エチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、モルホリノからなる群より選択され、
2は、H、フェニル、置換フェニル、CN、−SO2Rから選択され、Rが、フェニル又はモルホリノ、−NC(O)Me、−NC(O)Et、−CH2C(O)OMe、CH2C(O)OEtであり、
3は、H、NO2、NH2、ハロゲン、−COOMe、−COOEt、RC(O)N−、モルホリノからなる群より選択され、
4は、H、分岐又は非分岐のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、置換された又は置換されていないフェニル、アルキニル、Me2SO2−、COORからなる群より選択され、Rが、分岐又は非分岐のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、−MeOC(O)−、置換された又は置換されていない1、2又は3つのヘテロ原子を有する5又は6員環の芳香族あるいは非芳香族の複素環系、ヘタリール系、縮合ベンゾ複素環系であり、
Xは、−NH−NH−、−NH−NH−CH2−、エチニル、−NH−C(O)−CH2−、−NH−NH−SO2−、−C(O)−NH−CH2−、−NH−N=CH−、−NH−N=C(Me)−、複素環系の一部の構造としての−NH−N=CH−からなる群より選択され、好ましくは、置換された又は置換されていないピラゾールもしくはピリダジン系である。)
【請求項2】
1がオルト位置にある請求項1記載のスルホンアミド化合物。
【請求項3】
1がハロゲンである請求項2記載のスルホンアミド化合物。
【請求項4】
2がメタ位置にある請求項2又は3記載のスルホンアミド化合物。
【請求項5】
2がパラ位置にある請求項2又は3記載のスルホンアミド化合物。
【請求項6】
3がオルト位置にある請求項1〜5のいずれかに記載のスルホンアミド化合物。
【請求項7】
3がハロゲンである請求項6記載のスルホンアミド化合物。
【請求項8】
XがHである請求項7記載のスルホンアミド化合物。
【請求項9】
3がメタ位置にある請求項1〜5のいずれかに記載のスルホンアミド化合物。
【請求項10】
3がH、ハロゲン、NO2、NH2、酸アミド残部である請求項9記載のスルホンアミド化合物。
【請求項11】
X−R4基がオルト位置にありR3に対してパラ位置にある請求項10記載のスルホンアミド化合物。
【請求項12】
Xが、−NH−NH−、−NH−NH−CH2−、エチニル、−NH−C(O)−CH2−、−NH−NH−SO2−、−C(O)−NH−CH2−、−NH−N=CH−、−NH−N=C(Me)−、置換された又は置換されていないピラゾールの一部の構造としての−NH−N=CH−からなる群より選択される請求項11記載のスルホンアミド化合物。
【請求項13】
4は、H、分岐又は非分岐のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、メトキシ、エトキシ、置換された又は置換されていないフェニル、置換されたアルキニル、Me2SO2−、COORからなる群より選択され、Rが、分岐又は非分岐のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、−MeOC(O)−、置換された又は置換されていないピラゾリル、ピリジニル、ヘタリール系、縮合ベンゾ複素環系である請求項12記載のスルホンアミド化合物。
【請求項14】
3がNO2である請求項13記載のスルホンアミド化合物。
【請求項15】
Xが2つの窒素原子を有する構造である請求項13又は14記載のスルホンアミド化合物。
【請求項16】
Xは、−NH2−NH−CH2−、−NH2−NH2−SO2−、−NH=N−CH2−、置換された又は置換されていないピラゾール系の一部である−NH−N=CH−、−NH2−NH−C(O)−からなる群より選ばれる請求項15記載のスルホンアミド化合物。
【請求項17】
下記式IIで示される請求項16記載のスルホンアミド化合物。

【請求項18】
下記式IIIで示される請求項16記載のスルホンアミド化合物。

【請求項19】
下記式IVで示される請求項16記載のスルホンアミド化合物。

【請求項20】
下記式Vで示される請求項16記載のスルホンアミド化合物。

【請求項21】
下記式VIで示される請求項16記載のスルホンアミド化合物。

【請求項22】
下記式VIIで示される請求項16記載のスルホンアミド化合物。

【請求項23】
下記式VIIIで示される請求項16記載のスルホンアミド化合物。

【請求項24】
下記式IXで示される請求項16記載のスルホンアミド化合物。

【請求項25】
請求項1〜24のいずれかに記載の化合物の薬剤としての使用。
【請求項26】
癌治療用医薬組成物の製造のための請求項1〜22のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項27】
請求項1〜22のいずれかに記載の化合物又は製薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物。
【請求項28】
少なくとも1つの製薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤をさらに含む請求項27に記載の医薬組成物。

【公表番号】特表2010−512358(P2010−512358A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540652(P2009−540652)
【出願日】平成19年12月11日(2007.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010830
【国際公開番号】WO2008/071398
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(507310743)ザ ジェネティックス カンパニー,インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】THE GENETICS COMPANY,INC.
【住所又は居所原語表記】Wagistrasse 27,CH−8952 Schlieren(CH)
【Fターム(参考)】