説明

スロットダイの設定及び塗布中の制御のための装置

【課題】スロットダイ塗布装置のための塗布ギャップの非常に正確な初期設定及びそれに続く塗布作業中の塗布ギャップの制御を可能にすることで、ウェブスプライス及びウェブ欠陥のために塗布プロセスが中断されないようにする、装置及び方法を提供する。
【解決手段】塗布ヘッドの移動軸に垂直に取り付けられた先細又は楔形調整部材であって、スロットダイハウジングの移動軸に垂直な方向に動くことによって塗布ギャップを約10マイクロメートル刻みで調整する先細又は楔形調整部材を用いることにより、高精度の初期設定が達成される。基材スプライス及び欠陥が塗布位置に到達する前に検知されるため、フィードフォーワード制御装置が塗布ヘッドを一時的に格納することにより、スロットダイの損傷を回避しつつ塗布プロセスの中断を避けることができるとともに、この装置によれば、スプライス又は欠陥が通過した後、塗布ヘッドをその元の位置に高精度で戻すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広くは、スロットダイ塗布装置のための塗布ギャップの正確な初期設定及びそれに続く塗布作業中の塗布ギャップの制御を可能にすることで、塗布プロセス中におけるウェブスプライス及びウェブ欠陥に起因する中断を減らし又は除去することができる装置及びプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
高級品質の物品、具体的には写真、写真サーモグラフィ、及びサーモグラフィ物品の製作は、塗布溶液の薄膜を連続的に移動する基材、好ましくは連続ウェブ上に塗布することによって行われる。薄膜は、ディップコーティング、フォーワード及びリバースロールコーティング、巻線ロッドコーティング、ブレードコーティング、スロットコーティング、スライドコーティング、及びカーテンコーティングのような様々な技法を用いて塗布することができる。コーティングは単層として又は2つ以上の積層として適用することができる。基材は連続ウェブの形態であることが最も好都合ではあるが、個別シートの連続の形態をとることもできる。
【0003】
ウェブ材料が複数の一連のロール群から連続的に供給される場合、ウェブ供給の中断をなくすために、ロール端を相互に重ね継ぎすることがある。ラップスプライス、バットスプライス、及びギャップスプライスなど、種々のスプライスが形成され得る。終わりそうなウェブの一部が新しいロールからのウェブの一部を覆い、一方のウェブの重なった部分の下面が他方のウェブの上面に接着する場合は、ラップスプライスが形成されることになる。バットスプライスでは、終わりそうなウェブの後端が新しいウェブの前端に密着はするものの、重なりはしない。重なりがなく、終わりそうなウェブと新しいウェブのエンドが離れている場合には、ギャップスプライスが形成されることになる。バットスプライス及びギャップスプライスでは、端部の接続のためにテープが導入されることがある。米国特許第5,277,731号は、バットスプライスの形成に関する。米国特許第4,652,329号及び米国特許第5,045,134号は、スプライスを形成するための装置及び方法を教示しており、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0004】
移動するウェブとコーティングダイとの間の塗布ギャップは、通常は約4ミリメートル(0.157インチ)未満である。塗布ギャップを超えるウェブスプライス、ウェブ上の異物、又はウェブ中の欠陥は、コーティングダイに深刻な損傷を与えかねない。コーティングダイを格納し塗布ビードを破断することによって、ウェブスプライスが塗布ギャップ間を通過できるようにすることは、よく行われることである。ウェブスプライスが塗布ギャップを通過した後で、塗布ビードを再確立するために形成サイクルを繰り返す必要がある。
【0005】
連続ウェブ又は一連の個別シートに塗布溶液を塗布するために用いられる機械に要求されるものとして、2つの重要な機能がある。1つは、初期塗布ギャップを、多くの場合マイクロメートル単位で測定されるような正確さで調整する機能である。2番目は、損傷を避けるためにコーティングダイが一時的に格納されて、コーティング作業再開のため即時に正確に元の位置に戻されるような、ウェブスプライス、ウェブ上の異物、又はウェブ中の欠陥を検知する機能である。
【0006】
これら2つの機能のいずれかを実現するために、以下の文献に示されるように多数の機構及び手順が提案されている。
【0007】
米国特許第4,522,678号は、一体式のファスナーのようなものを含む膜の製造において、この膜が、通常、細長いスロットダイを通して退去する一方、ファスナー用のプロファイル材は、膜ダイスロット沿いに横方向に位置する、より小さな構成のスロットを通して退去することを、開示している。ファスナープロファイル材は、一般に厚くしたベースを有することで、プロファイル材が過度に傾くことなく保たれ、相互によりよく係合できるようになっている。このプロファイル材のベースが膜スロットの横方向に調整可能であり、したがって作動中にベースの寸法が調整可能であれば、有利であることが見出されている。上述した米国特許第4,522,678号によれば、U字形取り付けブロック、逆T字形プロファイルプレート、及び偏心調整ピンを組合せ、偏心ピンの回転によって、プロファイルベースが膜と合わさる直前に通過するギャップを横方向に調整することが可能となるように取り付けることにより、ダイブロックが横方向に調整可能となる。この装置によればまた、作業中に間接的にプロファイルベースのためのギャップ測定を行うことが可能である。
【0008】
米国特許第4,808,444号は、塗布組成物をホッパーから、支持ローラ上を連続的に移動するウェブに塗布する、塗布方法及び装置を開示する。支持ローラを、空気圧機構により、移動ウェブに組成物を塗布できる位置と塗布できない位置との間でホッパーに対して速やかに動かすことにより、ウェブの前端部又はスプライス部で塗布が厚くなることを避ける。
【0009】
米国特許第5,154,951号には、スライドホッパーのリップとウェブとの間で組成物のビード全体に圧力差を設け、ウェブに液体組成物をビードコーティングする装置及び方法が開示されている。エンクロージャが、ビードの下に、及びビードに対して開口して配置される。AC誘導モータにより駆動されるタービンによって、エンクロージャを真空とする。モータの速度を調整して、それによってビード全体の圧力差を調整するために、サーボ手段が設けられる。これらACモータ及びサーボ手段により、変動なしに所望の圧力を維持することができ、またウェブ中のスプライスのビード通過に関しては、圧力差を迅速に変化させることができる。
【0010】
米国特許第5,626,888号は、極めて近接した一連のアクチュエータを備えた、フラットシートの製作のための押し出しシステム用フラットシートダイを開示し、その方法によれば、アウトレットギャップを画定するために、少なくとも1つのダイリップが狭幅曲げ線をもって調整可能である。
【0011】
米国特許第5,853,482号には、相互間にギャップを形成する2つのダイリップを有するスロットダイを用いて、塗布溶液を走行中の基材に塗布するための装置及び方法が開示されている。ギャップはまた、基材に塗布溶液を放出するアウトレットを画定する。リップは、ダイリップ内に設けられるガス供給装置及び塗布溶液供給装置と連通する、複数のマニホールドチャンバを有する。マニホールドチャンバは、アウトレットと連通している。塗布溶液の幅は、ガス供給装置に与えられるガス圧によって調整可能である。
【0012】
米国特許第5,953,953号は、ウェブ材料、具体的には感光性ウェブ材料の走行長さ中におけるスプライスの存在を検知するための装置及び方法を開示する。この装置は、それぞれ第1及び第2のローラに結合した第1及び第2のエンコーダを備える。ウェブ材料がローラ間を輸送される際、各ローラ速度が連続的かつ同時に検知される。ウェブが両ローラ間を輸送されるとき、両ローラは実質的に同じ速度で移動する。2つのローラの速度が異なるときに、スプライスの存在が検知される。
【0013】
米国特許第6,576,296号は、移動するウェブ及びスプライスに塗布液を連続的に塗布するための方法及び装置を開示する。このシステムは、移動ウェブ上に塗布液を押し出すための少なくとも1つの供給スロットを備えたスライド面を有するスライドコーティングダイを備える。スライドコーティングダイが、移動ウェブとの塗布ギャップを画定する。塗布ギャップは、塗布位置とスプライス塗布位置との間で調整可能である。ウェブ誘導装置を配置することで、移動中のウェブを、スライドコーティングダイを通過する第1の方向に誘導することにより、塗布液の塗布ビードが塗布ギャップ内に形成できるようにする。真空システムを配置し、スライドコーティングダイの下面に沿って減圧条件を生成する。この真空システムが、移動ウェブとの真空ギャップを画定する。真空ギャップは、塗布位置とスプライス塗布位置との間で、コーティングキャップとは独立して調整可能である。検知器は、ウェブ厚の増大を信号で伝える。この検知器には、制御装置が機能的に接続されている。制御装置は、所定の大きさを超えるウェブ厚の増大に応じて、安定した塗布ビードを維持しつつ、塗布ギャップ及び真空ギャップをスプライスコーティング位置に調整する。
【0014】
米国特許第6,688,580号は、基材上に液体を分注するダイであって、固定リップに隣接する可動リップを備え、両リップ間にダイ開口部を形成するダイを開示する。可動リップにアクチュエータが機械的に接続され、このアクチュエータは、液体分注プロセスとの関連で、固定リップに対して可動リップを自動的に動かし、それによってダイ開口部の容積を変化させるように、動作可能である。調整可能なダイは、スロットダイであることが多く、上流バルブボールを有する液体分注バルブとともに用いられる。アクチュエータは、圧電アクチュエータのような電気機械アクチュエータであっても、流体作動式アクチュエータであってもよい。
【0015】
米国特許第6,706,315号には、移動基材を供給する工程と、少なくとも1つの塗膜が導電材料、電気絶縁材料、ホール輸送材料、めくれ防止材料、又は接着材料である、少なくとも1つの塗布層を移動基材上に、スロットダイ塗布装置の少なくとも一端部に取り付けられた少なくとも1つの位置センサを備えるスロットダイ塗布装置によって塗布し、例えば1つ〜約5つの塗布層を基材上に塗布する工程と、少なくとも1つの位置センサによって、移動基材に対するスロットダイ塗布装置の位置を検知する工程と、移動基材に対するスロットダイ塗布装置の位置が所定の座標設定から逸れたときに、移動基材表面に対するスロットダイ塗布装置の位置を反復的に調整して所定の座標設定に戻す工程と、を含むプロセスが開示されている。
【0016】
米国出願第2003/0080307号は、基材上に液体を分注するダイであって、固定リップに隣接する可動リップを備え、両リップ間にダイ開口部を形成するダイを開示する。アクチュエータは、可動リップに機械的に接続され、液体分注プロセスとの関連で、固定リップに対して可動リップを自動的に動かし、それによってダイ開口部の容積を変化させるように動作可能である。調整可能なダイは、スロットダイであることが多く、上流バルブボールを有する液体分注バルブとともに用いられる。アクチュエータは、圧電アクチュエータのような電気機械アクチュエータであっても、流体作動式アクチュエータであってもよい。
【0017】
米国出願第2003/0157243号、米国出願第2003/0054107号、及び米国特許第6,863,730号には、塗布されるべき対象を動かす運動装置と、スロットダイ塗布装置の少なくとも一端部に取り付けられた位置センサを備えるスロットダイ塗布装置であって、移動する対象上に塗布材料を制御可能に分注するスロットダイ塗布装置と、位置センサと電気的に接触する少なくとも1つのサーボモータ制御装置システムと、を含む装置であって、位置センサが対象に対するスロットダイ塗布装置の位置を検知し、上述した少なくとも1つのサーボモータ制御装置システムが、対象に対するスロットダイ塗布装置の位置が所定の座標設定から逸れたときに対象に対するスロットダイ塗布装置の位置を調整する、装置が開示されている。
【0018】
これら先行文献のいずれも、高精度の塗布ギャップ設定及びスロットダイを高精度で格納及び再配置する機能を同時に達成する能力は開示しない。同様に、これら先行文献のいずれも、基材スプライスと塗布欠陥との違いを検知し、続いてスロットダイを基材から異なる距離に配置することでスロットダイに生じ得る損傷を最小化する能力は開示しない。更にこれら先行文献のいずれも、規格外塗布製品を最小限にすることが可能なフィードフォーワード制御装置の使用を開示しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の目的は、上述した従来技術の欠陥を解消し、又は少なくとも改善することにある。
【0020】
本発明の一態様は、塗布されるべき対象を支持する支持装置と、塗布ヘッドと、少なくとも1つの軸に沿って可動であり、選択位置において塗布ヘッドを支持する第1の支持体と、支持装置に対して第1の支持体を動かし、塗布ヘッドと塗布されるべき対象との間のギャップを調整するように配置された、調整機構と、第1の支持体を動かすように配置されたカムと、カムに回転を与えるカム駆動装置であって、カムの回転によって塗布されるべき対象に対して塗布ヘッドの位置が調整される、カム駆動装置と、を含む塗布装置を目的とする。
【0021】
本発明の更に別の態様は、対象に塗布を行う方法を目的とする。この方法は、上述した装置を用意する工程と、調整機構を作動させて塗布位置にある塗布ヘッドと塗布されるべき対象との間に塗布ギャップを設定する工程と、塗布ヘッドによって、少なくとも1つの塗布層を移動する対象上に塗布する固定と、カム駆動装置を作動させてカムを回転させることにより、第1の支持体に対するカムの回転で塗布ヘッドを塗布される対象から遠ざかる方向に移動させる工程と、カム駆動装置を作動させて塗布ヘッドを塗布位置に戻す工程と、を含む。
【0022】
好ましい実施形態では、本発明は、例えば個別シート又はウェブのような対象に塗布を行う塗布方法及び装置であって、10マイクロメートル程度の調整感度による正確な初期塗布ギャップ設定を可能とし、コーティングダイに損傷を生じる恐れなしに受容基材におけるギャップ又はスプライス上に連続的に塗布液を塗布できるようにする、塗布方法及び装置に関する。
【0023】
別の好ましい実施形態では、本発明は、約10マイクロメートル以内に至る、非常に正確な初期塗布ギャップ設定が可能な装置を提供する。
【0024】
本発明の別の好ましい実施形態は、非常に正確な塗布ギャップの設定を可能にすることに加えて、コーティングダイが塗布される基材から格納されるようにすることで、塗布欠陥及び基材スプライスがスロットダイに損傷を与えることなく安全に通過できるようにし、続いてスロットダイを元の塗布位置に高精度で戻すものである。
【0025】
本発明の別の好ましい実施形態は、塗布される基材中のスプライスと同基材中の塗布欠陥との相違を識別することで、スロットダイが欠陥から更に離れた距離で格納されるようにすることによって、スロットダイに生じ得る損傷を更に最小限に抑えるものである。
【0026】
本発明の更に別の好ましい実施形態は、フィードフォーワード制御機構を利用することにより、塗布される基材の輸送遅れに基づくコーティングプロセスのモデルを組み込んで、スロットダイ塗布装置を、スプライス又は欠陥がまさにコーティングダイギャップに到達するときに格納して、スプライス又は欠陥の通過直後に高精度で元の塗布位置に戻すような、スロットダイ格納を実施することである。これにより、販売に適さない厚さの塗膜をもつ製品の製作が最小化される。
【0027】
本出願の更なる目的、特徴、及び利点は、以下の実施形態の詳細な考察から、当業者には明白となろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の好ましい実施形態による塗布装置の概略平面図。
【図2】本発明の好ましい実施形態による塗布装置の概略側面図。
【図3】本発明の好ましい実施形態による塗布装置の概略底面図。
【図4】本発明の好ましい実施形態による、塗布ヘッドと塗布されるべき対象との間のギャップを制御するための制御システムの概略底面図。
【図5】本発明の好ましい実施形態による制御システムに用いられるフィードフォーワード制御装置入出力のグラフ。
【図6】本発明の好ましい実施形態による、カム及び楔形調整部材をはじめとする内部構成部品のより詳細な3次元図。
【図7A】本発明の好ましい実施形態による楔形調整部材及び本発明の別の好ましい実施形態による先細ロッド調整部材の双方についての詳細の3次元図。
【図7B】本発明の好ましい実施形態による楔形調整部材及び本発明の別の好ましい実施形態による先細ロッド調整部材の双方についての詳細の3次元図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に記述し、図に示す好ましい実施形態との関連において本発明を説明するが、本発明はそれに続く特許請求の範囲の境界のみをもって限定されるものである。
【0030】
本明細書に記述する装置及び方法においては、スロットダイ塗布装置における初期塗布ギャップの正確な設定が可能になるとともに、個別又は連続的基材のウェブスプライス、同基材上の異物、又は同基材中の欠陥の存在下で後退する能力がスロットダイに与えられ、スロットダイは、後退後に高精度でその元の位置に戻る。
【0031】
本明細書に記述する装置及び方法の利点は、初期塗布ギャップを正確に設定する能力、及び損傷回避のためにスロットダイが後退した場合に、高精度で元の塗布位置に戻ることによって同一の塗布ギャップを維持する能力にある。
【0032】
説明される技術、参照の全般的な理解のために、図面を参照する。図面においては、同一の構成要素を示すために同様の参照番号が用いられている。開示技術を説明するに当たり、以下の用語が説明に使用されている。
【0033】
用語「バックラッシュ」は、本明細書において、噛み合う構成部品間の隙間を指すが、その隙間のために生じる空動き又は運動が反転して接触が再確立される際の緩みの程度として記述される場合もある。具体的には、1対の歯車であれば、バックラッシュは噛み合う歯車の歯の間の隙間の大きさである。換言すればそれは、ピッチ円に沿って測定される歯溝と歯厚との差である。理論的には、バックラッシュはゼロであるべきであるが、実際には、歯の誤差及び熱膨張により歯がつかえるのを防ぐため、幾分かのバックラッシュが許容されなければならない。このギャップがあるため、歯車列が反転されたとき、駆動歯車が短い距離を回転した後でなければ、全被駆動歯車が回転を開始することはない。バックラッシュは、ほとんどすべての反転する機械的結合において不可避の特性である。
【0034】
用語「送りねじ」は、本明細書において、回転運動を直線運動へと変換するように設計されたねじを指す。これは、ねじロッドが回転されたときに送りねじナットが(ロッドのねじピッチに応じた)特定の直線距離を移動するように、送りねじナットに挿入された、ねじロッドの回転によって実現される。送りねじは1対の歯車が呈するのと類似のバックラッシュを呈する。
【0035】
用語「正確な」又は「正確に」は、本明細書において、位置決め又は測定について絶対値に関して指す。すなわち、ある量の正確な測定値は、その実際の(真の又は所望の)数値に比較的近い。好ましくは、正確な測定値は、その真の値の最大でも数パーセント以内にある。本明細書に開示するスロットダイ装置及び方法については、好ましくは約50.00マイクロメートル(0.0019インチ)、より好ましくは約30.00マイクロメートル(0.0011インチ)、更に好ましくは約20.00マイクロメートル(0.00078インチ)、最も好ましくは約12.7マイクロメートル(0.00050インチ)の、塗布ギャップの正確さが維持される。
【0036】
用語「精度」又は「精確に」は、本明細書において、不変の条件下で繰り返される位置決め又は測定が同一の結果を示す程度を指す。繰り返される大きさが数値的に相互に極めて近いとしても、その測定値が実際の(真の又は所望の)数値に近いとは限らないことに注意されたい。好ましくは、一連の精確な測定値は、相互の最大でも数パーセント以内にある。本明細書に開示するスロットダイ装置及び方法については、好ましくは約5.00マイクロメートル(0.00019インチ)、より好ましくは約3.00マイクロメートル(0.00011インチ)、更に好ましくは約2.00マイクロメートル(0.000078インチ)、最も好ましくは約1.27マイクロメートル(0.000050インチ)の塗布ギャップ精度が維持される。
【0037】
用語「外乱」は、本明細書において、プロセスにおける変化を誘起しがちな環境的な影響力又は効果を指す。関連する典型的な外乱としては、ウェブスプライス及びウェブ欠陥の双方が挙げられる。
【0038】
用語「フィードフォーワード」は、本明細書において、修正動作を開始するために、差し迫ったプロセス外乱の検知のみを必要とする、制御形態を指す。
【0039】
本発明の一態様は、本明細書においてスロットダイ塗布装置として例示される塗布装置を目的とする。この装置は、塗布されるべき対象を支持する支持装置を含む。支持装置は、塗布ローラ105及びウェブ110として例示される。装置は更に、塗布ヘッドと、少なくとも1つの軸に沿って可動であり、選択位置において塗布ヘッドを支持する第1の支持体と、支持装置に対して第1の支持体を動かし、塗布ヘッドと塗布されるべき対象との間のギャップを調整するように配置された、調整機構と、第1の支持体を動かすように配置されたカムと、カムに回転を与えるカム駆動装置であって、カムの回転によって塗布されるべき対象に対して塗布ヘッドの位置が調整される、カム駆動装置と、を含む。以下に記述する実施形態では、本発明のこれらの特徴が次のように、すなわち、塗布ヘッドが塗布ヘッド107として、第1の支持体がダイマウント102、ダイピボット109、及び加工機スライド103の組合せとして、調整機構が手動ギャップ調整機104及び先細ロッド301として、カムがカム302として、並びにカム駆動装置がサーボモータ200として、例示される。
【0040】
塗布装置は、サイドレール108として例示される、第1の支持体を支持する第2の支持体を備えてもよく、これら第1及び第2の支持体は、上述した少なくとも1つの軸に沿って相互に対し可動である。
【0041】
図1は、スロットダイ組立体の概略平面図であり、スライドスプリング101が、ダイピボット109を支持する加工機スライド103及びダイマウント102に、圧力を与えている。塗布ヘッド107がダイマウント102に取り付けられ、塗布ヘッド107と塗布ローラ105との間の塗布ギャップ106が手動ギャップ調整機104を用いて初期調整される。加工機スライド103、ダイピボット109、ダイマウント102、及び塗布ヘッド107のすべてが、サイドレール108内で一体ユニットとして動く。
【0042】
図2は、スロットダイ組立体の概略側面図であり、単一ユニッ201としての加工機スライド103、ダイマウント102、ダイピボット109、及び塗布ヘッド107、並びにサイドレール108のユニット構成を示す。方向指示矢印Kは、単一ユニット201の運動軸を示す。同図はまた、サーボモータ200及び手動ギャップ調整機104の位置も示している。
【0043】
図3は、スロットダイ組立体の概略底面図であり、手動ギャップ調整機104と組み合わせて使用することによって初期塗布ギャップ106の設定を可能にする先細ロッド301及びカム302を示すため、サーボモータ200は取り除いてある。
【0044】
図4はフィードフォーワード制御に基づくスロットダイ位置制御システムの概略図であり、時計回りに回転する塗布ローラ105が移動基材110を支持する。塗布ギャップ106において塗膜を塗布するに先立ち、塗布ローラ上の複数位置において、センサ411を用いて基材スプライスが検知され、センサ412によって基材塗布欠陥が検知される。このようなスプライス又は欠陥を示す信号が格納論理回路413に送られ、この格納論理回路413によって、どのような動作をとるべきかが決定される。次いで、結果として得られる信号を介して適当な動作がフィードフォーワード制御装置414に送られる。塗布プロセスのモデル、基本的には輸送遅れを用いるフィードフォーワード制御装置414が、次に塗布ヘッド107及び単一ユニット201の一部を格納する位置決め装置(図示せず)に信号を送り、続いてスプライス又は欠陥が塗布ギャップ106内にある間、塗布ギャップ106を変化させる。方向指示矢印Kは、単一ユニット201の運動軸を示す。
【0045】
図5はフィードフォーワード制御装置414の動作のグラフであり、カム302の回転位置と対応する塗布ギャップ106との間の関係を示す。同グラフ上方の図に、カム302に12:00又は0°位置で当接する楔形部材301が示されている。X軸は、フィードフォーワード制御装置414の出力によって決定されるカムの回転の程度を表し、Y軸は結果として得られる塗布ギャップ106を表す。塗布ビード形成のため、フィードフォーワード制御装置が、固定ギャップYを有する12:00又は0°位置まで、カム302を回転させる。いったん塗布が確立されれば、制御装置は、Yとして示される調整可能な塗布ギャップを有する、公称3:00又は90°位置へとカム302を回転させる。塗布中のウェブ内にスプライスが検知されると、フィードフォーワード制御装置が適当な時間間隔の間に、Yによって示される、同様に調整可能な塗布ギャップを増大させる、6:00又は180°位置へとカム302を回転させる。ウェブ欠陥を検知すると、フィードフォーワード制御装置が適当な時間間隔の間に、9:00又は270°位置へとカム302を回転させ、塗布ギャップを更にYへと増大させる。
【0046】
図6は、カム302の細部及びその楔形調整部材600との関係を特徴とする、内部構成部品の図である。
【0047】
図7A及び7Bはそれぞれ、代表的な楔形調整部材(点ABCDEFGHによって画される実線の図形)及び代表的な先細ロッド調整部材(円YとZとによって画される実線の直円錘台)の詳細の3次元図である。楔形調整部材は平面ACEGに当接するマウント(表示されてはいるが図6には示されていない)によって支持される。先細ロッド調整部材は、(図2に示すように)加工機スライド103の両側面に接続される、錘台の中心軸と一直線状に整列するシャフトによって、支持される。
【0048】
ここで図1をより詳細に参照すると、本明細書に記述するスロットダイ塗布装置のこの好ましい実施形態においては、塗布ヘッド107がダイマウント102に取り付けられていることを、この平面図が示している。このダイマウント102はダイピボット109の上に配置され、そのダイピボット109は加工機スライド103上に位置する。加工機スライド103はサイドレール108内に取り付けられ、これにより、単一ユニット201全体が横方向に、塗布ローラ105に近づくようにも、塗布ローラ105から遠ざかるようにも、動けるようになる。加工機スライド103は、この加工機スライド103を塗布ローラ105に近づくように動かすような力を与えるスプリング101によって加圧されている。塗布ギャップ106は、手動ギャップ調整機104の調整によって維持される。
【0049】
図2において、この側面図は、矢印Kにより示される加工機スライド103及び単一ユニット201の運動軸に垂直に取り付けられた、サーボモータ200を示している。
【0050】
図3において、この底面図(ここではサーボモータ200は除去されている)は、その両端において加工機スライド103によって支持される先細ロッド301に接続された、手動調整機104を示している。先細ロッドを図示し、説明したが、加工機スライド103及び単一ユニット201の運動軸に垂直に、手動で配置され得るものであれば、いずれの楔形要素を用いてもよい。先細ロッド301は、サーボモータ200のシャフト202上に取り付けられたカム302に当接する。カム302は、スプリング101により、先細ロッド301に対して加圧された状態に保持される。このような設定により、加工機スライド103は、特定の位置においてスプリングによる圧力を受けた状態に維持される。手動ギャップ調整機104の回転によって先細ロッド301が加工機スライド103及び単一ユニット201の運動軸に垂直に動くことから、カム302が定位置にあるときに、この回転により加工機スライド103及び単一ユニット201を後退又は前進させることによって、塗布ギャップ106が増大又は縮小することになる。
【0051】
図4では、塗布ローラ105と塗布ヘッド107との間の塗布ギャップ106を維持して、基材スプライス又は欠陥に遭遇したときのスロットダイ格納を実施するための、フィードフォーワード制御システムを示す。基材スプライスセンサ411、あるいは基材欠陥センサ412が、塗布ギャップ106に位置する基材に先行する基材を監視する。このようなセンサは、当該技術分野において周知であり、光学的又は電気機械的のいずれであってもよい。基材の高さセンサは、制御システムが反応するために適当な時間がとれるよう、塗布ギャップ106から十分な距離を先行する位置に配置されることが好ましい。スプライス又は欠陥が検知されると、これを表す信号が格納論理回路413に送られ、この論理回路によって、完全格納を必要とするのか(欠陥についてはこの場合が多いが、この動作は塗布ビードを破断しがちである)、又は部分的格納のみを必要とするのか(この場合は、通常、塗布ビードは破断されず、塗布が中断されることなく継続され得る)が、決定される。次いで適当な信号がフィードフォーワード制御装置414に送られ、このフィードフォーワード制御装置414が、適当なセンサ(411又は412)と塗布ギャップ106との間の距離を、塗布ローラ105の回転速度と併せて用いることにより、基材の輸送遅れを決定する。フィードフォーワード制御装置414が次いで、サーボモータ200に信号を送る適時を選択し、その結果としてサーボモータシャフト及びこのサーボモータシャフトに取り付けられたカム302を回転させることにより、塗布ギャップ106を増大させ、スプライス又は欠陥が塗布ギャップ106内にある時間の間、スプライス又は欠陥を避けて安全に塗布ヘッド107を移動させる。基本的に、格納論理回路413が塗布ヘッド107をどの程度格納すべきかを決定し、フィードフォーワード制御装置414が塗布ヘッド107をいつ格納していつ戻すべきかを決定する。正確な輸送遅れモデルにより、販売に適さない規格外塗布製品を最小限にすることができる。
【0052】
この装置では、ダイピボット109、ダイマウント102、及び塗布ヘッド107が上に取り付けられた、スプリング101によって加圧された加工機スライド103内に取り付けられる先細ロッド301を備えることにより、塗布ギャップ106の正確な設定が行える。サーボモータ200のシャフト上に取り付けられるカム302は、先細ロッド301がこのカム302に当接するように配置される。カム302が定位置にあるとき、手動ギャップ調整機104の回転により、先細ロッド301が先細ロッド301の軸に垂直な方向に動き、それによって塗布ギャップ106を増大又は縮小させる。このような好ましい実施形態では、手動ギャップ調整機104が1°回転することによって、塗布ギャップ106が約10マイクロメートル又は10万分の1メートル(約2千分の1インチ)動く。バックラッシュはあるものの、手動ギャップ調整機104を回転中に塗布ギャップを同時測定することにより、塗布ギャップ106の正確な設定が得られる。これは、所望の初期塗布ギャップ106を得る手段として、いずれの実用的な送りねじ構成よりもはるかに正確である。
【0053】
この装置では、サーボモータを用いて、カム302を保持するシャフトを回転させることにより、加工機スライド103及び単一ユニット201の従前の塗布ギャップ106への高精度の復帰と組み合わせたウェブスプライス格納を実現する。スプリング101の圧力を受けているため、(ダイピボット109、ダイマウント102、及び塗布ヘッド107が取り付けられた)加工機スライド103は、カム302の回転に応じて極めて迅速に動く。サーボモータは、ウェブスプライス若しくは欠陥、又は加工機スライド103及び単一ユニット201の格納を必要とするいずれかのプロセス外乱の到来を検知した場合、適時にカム302を図5の表による所定の位置に回転させ、それによって塗布ギャップ106を増大させるようになっている。スプライス又は欠陥が検知されると、フィードフォーワード制御装置は輸送遅れモデルを用い、塗布フローラ105の回転速度及び対応するセンサ411又は412の位置を取り込み、塗布ヘッド107を格納し戻すタイミングを決定する。基材スプライス又は欠陥が通過するまで、この増大された塗布ギャップ106が維持され、その後、サーボモータが反対方向に回転することで、塗布ヘッド107をその元の塗布位置へと戻し、それによって適当な塗布ギャップ106を再確立する。この格納及び再配置はバックラッシュなしに行われ、したがって高精度で行われることに注目されたい。更に、図5にYで示したスプライス格納位置は、個々の塗布の仕様に応じて調整可能であることから、塗布ビードの破断を最小限にするために役立つ。格納論理回路413は基材スプライスセンサ411及び基材欠陥センサ412からの信号によって動作し、適当な信号を生成することにより、フィードフォーワード制御装置414がスプライス遭遇時に塗布ヘッド107を部分的に格納し、又は欠陥遭遇時に塗布ヘッド107を完全に格納することができるようにする。部分的格納は、この動作が塗布プロセスを乱し、塗布ビードを破断する可能性がより低いことから、好ましい。
【0054】
付加的な実施形態を以下に記述する。
1.塗布されるべき対象を支持する支持装置と、塗布ヘッドと、少なくとも1つの軸に沿って可動であり、選択位置において前記塗布ヘッドを支持する第1の支持体と、前記支持装置に対して前記第1の支持体を動かし、前記塗布ヘッドと前記塗布されるべき対象との間のギャップを調整するように配置された、調整機構と、前記第1の支持体を動かすように配置されたカムと、前記カムに回転を与えるカム駆動装置であって、前記カムの回転によって前記塗布されるべき対象に対して前記塗布ヘッドの位置が調整される、カム駆動装置と、を含む塗布装置。
2.前記第1の支持体を支持する第2の支持体を更に含み、前記第1及び第2の支持体が、前記少なくとも1つの軸に沿って相互に対して可動である、実施形態1に記載の装置。
3.前記カム駆動装置が、前記第2の支持体によって支持され、前記第1の支持体を動かして前記ギャップを調整するように配置される、実施形態2に記載の装置。
4.前記調整機構が、前記少なくとも1つの軸に実質的に垂直な方向に可動である、前記第1の支持体に接触し、前記第1の支持体によって支持される先細ロッドと、前記先細ロッドを動かして前記第1の支持体を前記第2の支持体に対して調整する駆動機構と、を含む、実施形態3に記載の装置。
5.前記駆動機構が送りねじを含み、前記送りねじの回転運動が前記第1の支持体を前記少なくとも1つの軸に沿って動かし、これによって前記塗布される対象に対して前記塗布ヘッドの前記塗布位置を変化させる、実施形態4に記載の装置。
6.前記カム駆動装置が、出力シャフトを有するサーボモータを含み、前記出力シャフトが、前記出力シャフト上に取り付けられた前記カムを有する、実施形態1に記載の装置。
7.前記カム駆動装置が、出力シャフトを有するサーボモータを含み、前記サーボモータが前記第2の支持体上に取り付けられ、前記出力シャフトが、前記出力シャフト上に取り付けられた前記カムを有する、実施形態2に記載の装置。
8.前記塗布されるべき対象が連続ウェブであり、前記支持装置が回転円筒である、実施形態1に記載の装置。
9.前記カム駆動装置と電気的に接続している、前記塗布されるべき対象内の欠陥又はスプライスを測定するための、スプライスセンサ又は欠陥センサを更に備える、実施形態1に記載の装置。
10.前記塗布ヘッドが塗布位置にあるときの前記スプライス又は欠陥の検知により、前記カム駆動装置及び前記カムが前記塗布ヘッドを前記塗布されるべき対象から遠ざかるように動かし、続いて、前記スプライス又は欠陥が通過した後、前記塗布ヘッドを前記塗布位置に戻す、実施形態9に記載の装置。
11.前記スプライスセンサ又は欠陥センサが光センサである、実施形態9に記載の装置。
12.前記スプライスセンサ又は欠陥センサが電気機械センサである、実施形態9に記載の装置。
13.前記第1の支持体及び塗布ヘッドが一体的である、実施形態1に記載の装置。
14.塗布されるべき対象を支持する支持装置と、塗布ヘッドと、少なくとも1つの軸に沿って可動であり、選択位置において前記塗布ヘッドに接触して、前記塗布ヘッドを支持する第1の支持体と、前記第1の支持体に接触して、前記第1の支持体を支持する第2の支持体であって、前記第1及び第2の支持体が前記少なくとも1つの軸に沿って相互に対して可動である、第2の支持体と、前記第1の支持体によって支持され、前記支持装置に対して前記第1の支持体を動かし、前記塗布ヘッドと前記塗布されるべき対象との間のギャップを調整するように配置された、調整機構であって、前記少なくとも1つの軸に実質的に垂直な方向に可動であり、前記第1の支持体に接触して、前記第1の支持体によって支持される先細ロッド、前記先細ロッドを動かして前記第1の支持体を前記第2の支持体に対して調整する駆動機構、前記第1の支持体を動かすように配置されたカム、及び前記カムに回転を与えるカム駆動装置であって、前記カムの回転によって前記塗布されるべき対象に対して前記塗布ヘッドの前記塗布位置が調整される、カム駆動装置、を含む調整機構と、を含む塗布装置。
15.前記駆動機構が送りねじを含み、前記送りねじの回転運動が前記第1の支持体を前記少なくとも1つの軸に沿って動かし、これによって前記塗布される対象に対して前記塗布ヘッドの前記塗布位置を変化させる、実施形態14に記載の装置。
16.前記カム駆動装置が、出力シャフトを有するサーボモータを含み、前記出力シャフトが、前記出力シャフト上に取り付けられた前記カムを有する、実施形態14に記載の装置。
17.前記カム駆動装置が出力シャフトを有するサーボモータを備え、前記サーボモータが前記第2の支持体上に取り付けられ、前記出力シャフトが、前記出力シャフト上に取り付けられた前記カムを有する、実施形態15に記載の装置。
18.前記塗布されるべき対象が連続ウェブであり、前記支持装置が回転円筒である、実施形態17に記載の装置。
19.前記カム駆動装置と電気的に接続している、前記塗布されるべき対象内の欠陥又はスプライスを測定するための、スプライスセンサ又は欠陥センサを更に備える、実施形態18に記載の装置。
20.前記塗布ヘッドが塗布位置にあるときの前記スプライス又は欠陥の検知により、前記サーボモータ及び前記カムが前記塗布ヘッドを前記塗布されるべき対象から遠ざかるように動かし、続いて、前記スプライス又は欠陥が通過した後、前記塗布ヘッドを前記塗布位置に戻す、実施形態19に記載の装置。
21.前記調整機構の前記回転運動により、前記塗布される対象に対して前記塗布ヘッドの前記塗布位置を変化させ、前記塗布ヘッドが塗布位置にあるときの前記スプライス又は欠陥の検知により、前記サーボモータ及び前記カムが前記塗布ヘッドを前記塗布されるべき対象から遠ざかるように動かし、続いて、前記スプライス又は欠陥が通過した後、前記塗布ヘッドを前記塗布位置に戻す、実施形態19の装置。
22.実施形態1に記載の装置を用意する工程と、前記塗布ヘッドが塗布位置にある状態で、前記調整機構を作動させ、塗布ヘッドと前記塗布されるべき対象との間の塗布ギャップを設定する工程と、前記塗布ヘッドにより、前記移動する対象上に少なくとも1つの塗布層を塗布する工程と、前記カム駆動装置を作動させて前記カムを回転させることにより、前記第1の支持体に対する前記カムの回転によって前記塗布ヘッドを前記塗布される対象から遠ざかる方向に動かす工程と、前記カム駆動装置を作動させて前記塗布ヘッドを前記塗布位置に戻す工程と、を含む、対象に塗布するための方法。
23.前記カム駆動装置と電気的に接続している、前記塗布される対象内のスプライス又は欠陥を検知するための少なくとも1つのセンサを用意する工程と、前記塗布される対象内のスプライス又は欠陥を検知する工程と、前記センサに応じて前記カム駆動装置を作動させて前記カムを回転させることにより、前記カムの回転によって前記塗布ヘッドを前記塗布される対象から遠ざかる方向に動かす工程と、前記スプライス又は欠陥が通過した後、前記カム駆動装置を作動させて前記塗布ヘッドを前記塗布位置に戻す工程と、を更に含む、実施形態22に記載の方法。
24.前記塗布ギャップの微調整のために2.54ミリメートル(0.10インチ)の塗布ギャップ調整を第1の180°回転中にもたらすように、前記塗布される対象から前記塗布ヘッドを後退させるために、3.175ミリメートル(0.125インチ)の塗布ギャップ調整を第2の180°回転中にもたらすように、前記カムが形作られる、実施形態22に記載の方法。
25.前記塗布されるべき対象内の欠陥の検知に応じて前記塗布ヘッドが後退させられる、実施形態24に記載の方法。
26.前記移動する対象が連続ウェブである、実施形態22に記載の方法。
27.前記スプライス又は欠陥の認識に光センサを使用する、実施形態22に記載の方法。
28.前記スプライス又は欠陥の認識に電気機械センサを使用する、実施形態22に記載の方法。
29.前記調整機構が、前記第2の支持体によって支持され、前記第1の支持体に接触し、前記第1の支持体とともに可動な楔形表面を有する要素と、前記要素及び前記楔形表面を動かして前記第2の支持体に対して前記第1の支持体を調整する駆動機構と、を含む、実施形態3に記載の装置。
【0055】
本発明の方法及びプロセスに対して様々な修正及び変更をなし得ることは、当業者にとっては明白であろう。したがって、本発明は、このような修正物及び変更物を、それらが添付の「特許請求の範囲」及びそれらの等価物の範囲内に含まれるならば包含することを意図される。
【0056】
先に引用したすべての出版物の開示は、あたかもそれぞれが参照により個別に組み込まれているかと同程度に、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0057】
〔実施の態様〕
(1) 塗布されるべき対象を支持する支持装置と、
塗布ヘッドと、
少なくとも1つの軸に沿って可動であり、選択位置において前記塗布ヘッドを支持する第1の支持体と、
前記支持装置に対して前記第1の支持体を動かし、前記塗布ヘッドと前記塗布されるべき対象との間のギャップを調整するように配置された、調整機構と、
前記第1の支持体を動かすように配置されたカムと、
前記カムに回転を与えるカム駆動装置であって、前記カムの回転によって前記塗布されるべき対象に対して前記塗布ヘッドの位置が調整される、カム駆動装置と、を含む塗布装置。
(2) 前記第1の支持体を支持する第2の支持体を更に含み、前記第1及び第2の支持体が、前記少なくとも1つの軸に沿って相互に対して可動である、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記カム駆動装置が、前記第2の支持体によって支持され、前記第1の支持体を動かして前記ギャップを調整するように配置される、実施態様2に記載の装置。
(4) 前記調整機構が、
前記少なくとも1つの軸に実質的に垂直な方向に可動である、前記第1の支持体に接触し、前記第1の支持体によって支持される先細ロッドと、
前記先細ロッドを動かして前記第1の支持体を前記第2の支持体に対して調整する駆動機構と、を含む、実施態様3に記載の装置。
(5) 前記駆動機構が送りねじを含み、前記送りねじの回転運動が前記第1の支持体を前記少なくとも1つの軸に沿って動かし、これによって前記塗布される対象に対して前記塗布ヘッドの前記塗布位置を変化させる、実施態様4に記載の装置。
(6) 前記カム駆動装置が、出力シャフトを有するサーボモータを含み、前記出力シャフトが、前記出力シャフト上に取り付けられた前記カムを有する、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記カム駆動装置が、出力シャフトを有するサーボモータを含み、前記サーボモータが前記第2の支持体上に取り付けられ、前記出力シャフトが、前記出力シャフト上に取り付けられた前記カムを有する、実施態様2に記載の装置。
(8) 前記塗布されるべき対象が連続ウェブであり、前記支持装置が回転円筒である、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記カム駆動装置と電気的に接続している、前記塗布されるべき対象内の欠陥又はスプライスを測定するための、スプライスセンサ又は欠陥センサを更に備える、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記塗布ヘッドが塗布位置にあるときの前記スプライス又は欠陥の検知により、前記カム駆動装置及び前記カムが前記塗布ヘッドを前記塗布されるべき対象から遠ざかるように動かし、続いて、前記スプライス又は欠陥が通過した後、前記塗布ヘッドを前記塗布位置に戻す、実施態様9に記載の装置。
【0058】
(11) 前記スプライスセンサ又は欠陥センサが光センサである、実施態様9に記載の装置。
(12) 前記スプライスセンサ又は欠陥センサが電気機械センサである、実施態様9に記載の装置。
(13) 前記第1の支持体及び塗布ヘッドが一体的である、実施態様1に記載の装置。
(14) 塗布されるべき対象を支持する支持装置と、
塗布ヘッドと、
少なくとも1つの軸に沿って可動であり、選択位置において前記塗布ヘッドに接触して、前記塗布ヘッドを支持する第1の支持体と、
前記第1の支持体に接触して、前記第1の支持体を支持する第2の支持体であって、前記第1及び第2の支持体が前記少なくとも1つの軸に沿って相互に対して可動である、第2の支持体と、
前記第1の支持体によって支持され、前記支持装置に対して前記第1の支持体を動かし、前記塗布ヘッドと前記塗布されるべき対象との間のギャップを調整するように配置された、調整機構であって、
前記少なくとも1つの軸に実質的に垂直な方向に可動であり、前記第1の支持体に接触して、前記第1の支持体によって支持される先細ロッド、
前記先細ロッドを動かして前記第1の支持体を前記第2の支持体に対して調整する駆動機構、
前記第1の支持体を動かすように配置されたカム、及び
前記カムに回転を与えるカム駆動装置であって、前記カムの回転によって前記塗布されるべき対象に対して前記塗布ヘッドの前記塗布位置が調整される、カム駆動装置、を含む調整機構と、を含む塗布装置。
(15) 前記駆動機構が送りねじを含み、前記送りねじの回転運動が前記第1の支持体を前記少なくとも1つの軸に沿って動かし、これによって前記塗布される対象に対して前記塗布ヘッドの前記塗布位置を変化させる、実施態様14に記載の装置。
(16) 前記カム駆動装置が、出力シャフトを有するサーボモータを含み、前記出力シャフトが、前記出力シャフト上に取り付けられた前記カムを有する、実施態様14に記載の装置。
(17) 前記カム駆動装置が出力シャフトを有するサーボモータを備え、前記サーボモータが前記第2の支持体上に取り付けられ、前記出力シャフトが、前記出力シャフト上に取り付けられた前記カムを有する、実施態様15に記載の装置。
(18) 前記塗布されるべき対象が連続ウェブであり、前記支持装置が回転円筒である、実施態様17に記載の装置。
(19) 前記カム駆動装置と電気的に接続している、前記塗布されるべき対象内の欠陥又はスプライスを測定するための、スプライスセンサ又は欠陥センサを更に備える、実施態様18に記載の装置。
(20) 前記塗布ヘッドが塗布位置にあるときの前記スプライス又は欠陥の検知により、前記サーボモータ及び前記カムが前記塗布ヘッドを前記塗布されるべき対象から遠ざかるように動かし、続いて、前記スプライス又は欠陥が通過した後、前記塗布ヘッドを前記塗布位置に戻す、実施態様19に記載の装置。
【0059】
(21) 前記調整機構の前記回転運動により、前記塗布される対象に対して前記塗布ヘッドの前記塗布位置を変化させ、前記塗布ヘッドが塗布位置にあるときの前記スプライス又は欠陥の検知により、前記サーボモータ及び前記カムが前記塗布ヘッドを前記塗布されるべき対象から遠ざかるように動かし、続いて、前記スプライス又は欠陥が通過した後、前記塗布ヘッドを前記塗布位置に戻す、実施態様19の装置。
(22) 実施態様1に記載の装置を用意する工程と、
前記塗布ヘッドが塗布位置にある状態で、前記調整機構を作動させ、塗布ヘッドと前記塗布されるべき対象との間の塗布ギャップを設定する工程と、
前記塗布ヘッドにより、前記移動する対象上に少なくとも1つの塗布層を塗布する工程と、
前記カム駆動装置を作動させて前記カムを回転させることにより、前記第1の支持体に対する前記カムの回転によって前記塗布ヘッドを前記塗布される対象から遠ざかる方向に動かす工程と、
前記カム駆動装置を作動させて前記塗布ヘッドを前記塗布位置に戻す工程と、を含む、対象に塗布するための方法。
(23) 前記カム駆動装置と電気的に接続している、前記塗布される対象内のスプライス又は欠陥を検知するための少なくとも1つのセンサを用意する工程と、
前記塗布される対象内のスプライス又は欠陥を検知する工程と、
前記センサに応じて前記カム駆動装置を作動させて前記カムを回転させることにより、前記カムの回転によって前記塗布ヘッドを前記塗布される対象から遠ざかる方向に動かす工程と、
前記スプライス又は欠陥が通過した後、前記カム駆動装置を作動させて前記塗布ヘッドを前記塗布位置に戻す工程と、を更に含む、実施態様22に記載の方法。
(24) 前記塗布ギャップの微調整のために2.54ミリメートル(0.10インチ)の塗布ギャップ調整を第1の180°回転中にもたらすように、前記塗布される対象から前記塗布ヘッドを後退させるために、3.175ミリメートル(0.125インチ)の塗布ギャップ調整を第2の180°回転中にもたらすように、前記カムが形作られる、実施態様22に記載の方法。
(25) 前記塗布されるべき対象内の欠陥の検知に応じて前記塗布ヘッドが後退させられる、実施態様24に記載の方法。
(26) 前記移動する対象が連続ウェブである、実施態様22に記載の方法。
(27) 前記スプライス又は欠陥の認識に光センサを使用する、実施態様22に記載の方法。
(28) 前記スプライス又は欠陥の認識に電気機械センサを使用する、実施態様22に記載の方法。
(29) 前記調整機構が、前記第2の支持体によって支持され、前記第1の支持体に接触し、前記第1の支持体とともに可動な楔形表面を有する要素と、前記要素及び前記楔形表面を動かして前記第2の支持体に対して前記第1の支持体を調整する駆動機構と、を含む、実施態様3に記載の装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布されるべき対象を支持する支持装置と、
塗布ヘッドと、
少なくとも1つの軸に沿って可動であり、選択位置において前記塗布ヘッドを支持する第1の支持体と、
前記支持装置に対して前記第1の支持体を動かし、前記塗布ヘッドと前記塗布されるべき対象との間のギャップを調整するように配置された、調整機構と、
前記第1の支持体を動かすように配置されたカムと、
前記カムに回転を与えるカム駆動装置であって、前記カムの回転によって前記塗布されるべき対象に対して前記塗布ヘッドの位置が調整される、カム駆動装置と、を含む塗布装置。
【請求項2】
前記第1の支持体を支持する第2の支持体を更に含み、前記第1及び第2の支持体が、前記少なくとも1つの軸に沿って相互に対して可動である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カム駆動装置が、前記第2の支持体によって支持され、前記第1の支持体を動かして前記ギャップを調整するように配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記調整機構が、
前記少なくとも1つの軸に実質的に垂直な方向に可動である、前記第1の支持体に接触し、前記第1の支持体によって支持される先細ロッドと、
前記先細ロッドを動かして前記第1の支持体を前記第2の支持体に対して調整する駆動機構と、を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記駆動機構が送りねじを含み、前記送りねじの回転運動が前記第1の支持体を前記少なくとも1つの軸に沿って動かし、これによって前記塗布される対象に対して前記塗布ヘッドの前記塗布位置を変化させる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記カム駆動装置が、出力シャフトを有するサーボモータを含み、前記出力シャフトが、前記出力シャフト上に取り付けられた前記カムを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記カム駆動装置が、出力シャフトを有するサーボモータを含み、前記サーボモータが前記第2の支持体上に取り付けられ、前記出力シャフトが、前記出力シャフト上に取り付けられた前記カムを有する、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記カム駆動装置と電気的に接続している、前記塗布されるべき対象内の欠陥又はスプライスを測定するための、スプライスセンサ又は欠陥センサを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記塗布ヘッドが塗布位置にあるときの前記スプライス又は欠陥の検知により、前記カム駆動装置及び前記カムが前記塗布ヘッドを前記塗布されるべき対象から遠ざかるように動かし、続いて、前記スプライス又は欠陥が通過した後、前記塗布ヘッドを前記塗布位置に戻す、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置を用意する工程と、
前記塗布ヘッドが塗布位置にある状態で、前記調整機構を作動させ、塗布ヘッドと前記塗布されるべき対象との間の塗布ギャップを設定する工程と、
前記塗布ヘッドにより、前記移動する対象上に少なくとも1つの塗布層を塗布する工程と、
前記カム駆動装置を作動させて前記カムを回転させることにより、前記第1の支持体に対する前記カムの回転によって前記塗布ヘッドを前記塗布される対象から遠ざかる方向に動かす工程と、
前記カム駆動装置を作動させて前記塗布ヘッドを前記塗布位置に戻す工程と、を含む、対象に塗布するための方法。
【請求項11】
前記カム駆動装置と電気的に接続している、前記塗布される対象内のスプライス又は欠陥を検知するための少なくとも1つのセンサを用意する工程と、
前記塗布される対象内のスプライス又は欠陥を検知する工程と、
前記センサに応じて前記カム駆動装置を作動させて前記カムを回転させることにより、前記カムの回転によって前記塗布ヘッドを前記塗布される対象から遠ざかる方向に動かす工程と、
前記スプライス又は欠陥が通過した後、前記カム駆動装置を作動させて前記塗布ヘッドを前記塗布位置に戻す工程と、を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記移動する対象が連続ウェブである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記スプライス又は欠陥の認識に光センサを使用する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記スプライス又は欠陥の認識に電気機械センサを使用する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記調整機構が、前記第2の支持体によって支持され、前記第1の支持体に接触し、前記第1の支持体とともに可動な楔形表面を有する要素と、前記要素及び前記楔形表面を動かして前記第2の支持体に対して前記第1の支持体を調整する駆動機構と、を含む、請求項3に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2012−6008(P2012−6008A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−137020(P2011−137020)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(511093409)オーソ−クリニカル・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】Ortho−Clinical Diagnostics, Inc.
【住所又は居所原語表記】1001 U.S. Route 202, Raritan, New Jersey 08869, United States of America
【Fターム(参考)】