説明

スロットマシン

【課題】小役の取りこぼしによる損失を適度に抑制すると共に、本来損失となるはずの取りこぼしが遊技者にとって有利に働く状況を作り出す。
【解決手段】スロットマシン1は、メダルの払出枚数が変動される払出変動役の内部当選フラグを成立させたゲームで当該払出変動役が入賞することなく払出変動役を取りこぼすと、所定の持越数を限度として当該払出変動役が入賞するまで払出変動役の内部当選フラグを持越す。また、現在の遊技状態が第1状態であるか第2状態であるかに基づいて払出変動役が入賞したときに払出すメダルの枚数を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームの開始に応じて小役及びボーナス役を含む複数の役の中から内部当選役を決定するための抽選を実行して内部当選役のフラグを成立させるスロットマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
現行のスロットマシンにおいては、小役の内部当選フラグは入賞の有無に関わらずそのゲームを終了した時点で消去され、ボーナス役の内部当選フラグは入賞するまで何ゲームでも持越されるように構成されている。このような構成は、ボーナス役に比べて小役は取りこぼしの損失が小さいので持越す必要はないという思想に基づいているものである。ところが、実際には何度も繰返して小役を取りこぼすと、1日単位で数十ないし数百枚(金額に換算すると数百ないし数千円)の損失となり、必ずしも損失は小さくないと言える。このような事情から、小役の取りこぼしを補填する提案がなされている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−8391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、小役の取りこぼしを補填する構成では、遊技者の緊張感が薄れて興趣が低下してしまうという弊害が懸念される。
【0004】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、小役の取りこぼしによる損失を適度に抑制すると共に、本来損失となるはずの取りこぼしが遊技者にとって有利に働く状況を作り出すことで、遊技の興趣を高めることを可能とするスロットマシンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載した発明は、複数の図柄表示領域において複数種類の図柄を変動表示する図柄変動表示手段と、遊技媒体が投入された状態でゲームを開始するために遊技者が操作するゲーム開始操作手段と、ゲームの開始に応じて小役及びボーナス役を含む複数の役の中から内部当選役を決定するための抽選を実行して内部当選役のフラグを成立させる内部抽選手段と、前記図柄変動表示手段による図柄の変動表示を停止させるために遊技者が操作する停止操作手段と、前記停止操作手段が操作されたときに前記内部当選役に対応する図柄を予め規定された引込範囲内で引込んで前記図柄表示領域に停止表示させる表示制御手段と、前記内部抽選手段がボーナス役フラグを成立させたゲームで当該ボーナス役が入賞しなかったときは、当該ボーナス役が入賞するまで当該ボーナス役フラグを持越すボーナス役フラグ持越手段と、前記内部抽選手段が特定小役フラグを成立させたゲームで当該特定小役が入賞しなかったときは、所定の持越数を限度として当該特定小役が入賞するまで当該特定小役フラグを持越す小役フラグ持越手段と、所定の移行条件が成立したときに遊技状態を第1状態から第2状態へ移行する一方で、所定の復帰条件が成立したときに遊技状態を第2状態から第1状態へ移行する遊技状態移行手段と、現在の遊技状態が前記第1状態であるか前記第2状態であるかに基づいて前記特定小役が入賞したときに付与する遊技媒体数を決定する遊技媒体数決定手段と、前記特定小役の入賞に応じて前記遊技媒体数決定手段が決定した遊技媒体数を遊技者に付与する遊技媒体付与手段と、を備えたところに特徴を有する。
【0006】
請求項2に記載した発明は、前記遊技状態移行手段は、前記複数種類の小役のうち所定の状態移行小役が入賞したときに、前記ボーナス役フラグが成立しているか否かに応じて異なる確率で前記遊技状態を前記第1状態から前記第2状態へ移行するところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、特定小役フラグを成立させたゲームで当該特定小役が入賞することなく特定小役を取りこぼすと、当該特定小役が入賞するまで当該特定小役フラグを持越すように構成したので、特定小役の取りこぼしによる損失を適度に抑制することができる。また、所定の移行条件が成立したときに遊技状態を第1状態から第2状態へ移行する一方で、所定の復帰条件が成立したときに遊技状態を第2状態から第1状態へ移行し、現在の遊技状態が第1状態であるか第2状態であるかに基づいて特定小役が入賞したときに付与する遊技媒体数を決定するように構成したので、現在の遊技状態を識別した上で特定小役を入賞させた方が良いのか或いは取りこぼした方が良いのかを判断する必要性が生じ、遊技の興趣を高めることができる。
【0008】
請求項2に記載した発明によれば、複数種類の小役のうち所定の状態移行小役が入賞したときに、ボーナス役フラグが成立しているか否かに応じて異なる確率で遊技状態を第1状態から第2状態へ移行するように構成したので、第1状態から第2状態への移行状況を観察することで同時当選の期待度を間接的に推測することができ、興趣を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、スロットマシンの正面外観を概略的に示している。スロットマシン1の正面には表示窓2が設けられており、遊技者は表示窓2を通じて内部に設けられたリール3(本発明でいう図柄変動表示手段)の図柄を視認可能となっている。この場合、図柄は、図3に示すように、左リール3a、中リール3b及び右リール3cの各円周面に描かれており、それら各リール3a〜3cの停止状態では表示窓2の上段、中段及び下段に対応して図柄が表示されるようになっている。表示窓2には合計5本(上段、中段、下段に対応した横3本及び対角線配置された2本)の入賞ライン(図1では破線にて示す)が施されていると共に、表示窓2の側方には有効化された入賞ラインを表示する有効ライン表示部4が設けられており、入賞図柄がいずれかの入賞ライン上に揃ったときに対応する入賞が発生するようになっている。
【0010】
表示窓2の上方にはボーナス中のメダルの払出し進捗状態などの種々の情報を表示する液晶表示装置5、データ表示ボタン6及びスピーカ7が設けられている。表示窓2の下方には、クレジットメダルのベットを行うMAXBETボタン8、クレジットメダルの精算を行う精算ボタン9、メダルを投入するメダル投入口10が設けられており、これらの下方にはスタートレバー11(本発明でいうゲーム開始操作手段)、左ストップボタン12(本発明でいう停止操作手段)、中ストップボタン13(本発明でいう停止操作手段)及び右ストップボタン14(本発明でいう停止操作手段)が設けられている。表示窓2の右方位置には、メダルの払出枚数を表示する払出数表示部15及びメダルのクレジット枚数を表示するクレジット数表示部16が設けられている。さらに、スロットマシン1の正面最下部には受皿17が設けられていると共に、スロットマシン1の正面最上部には装飾ランプ18が設けられている。
【0011】
スロットマシン1は、一連のゲーム開始操作、つまり、遊技者がメダルをメダル投入口10に投入した状態またはクレジットメダルをMAXBETボタン8を通じて賭けた状態でスタートレバー11を操作すると、内部抽選を行うと共に各リール3a〜3cを始動させる(回転動作を開始させる)。
【0012】
そして、スロットマシン1は、各リール3a〜3cを始動させた後では、各ストップボタン12〜14の操作に応じて各リール3a〜3cが停止して1ゲームを終了するようになっている。そして、内部抽選の結果が当選であった場合には、内部抽選により当選した内部当選役に対応した内部当選フラグ(ビッグボーナスフラグ、レギュラーボーナスフラグ、小役フラグ、リプレイフラグ)をオンし(成立させ)、その内部当選フラグに基づいて所謂すべり制御(引込制御)を含む停止制御(各リール3a〜3cを内部当選フラグの種類に応じた入賞図柄またはハズレ図柄で停止させる制御)を行い、その入賞図柄に応じた枚数のメダルを受皿17に放出するようになっている。引込制御は、ストップボタン12〜14の操作を検出した時点から最大で4図柄までの図柄を入賞ライン上に引込んで停止させることが可能な制御である。
【0013】
入賞図柄としては、図4に示すように、ビッグボーナス図柄、レギュラーボーナス図柄、小役図柄及びリプレイ図柄が設定されている。この場合、ビッグボーナス図柄としては、ビッグボーナス1図柄及びビッグボーナス2図柄の2種類が設定されており、レギュラーボーナス図柄としては、1種類が設定されている。また、小役図柄としては、例えばメダルの払出枚数が1〜15枚のいずれかで変動される払出変動役(?枚役)図柄(サン図柄)、メダルの払出枚数が10枚で固定されている10枚役図柄(オレンジ図柄)、メダルの払出枚数が2枚で固定されている2枚役図柄(チェリー単独図柄)の3種類が設定されている。
【0014】
スロットマシン1は、前扉が開放された状態で特定の従業員が設定値操作部を操作することにより、上記したビッグボーナス及びレギュラーボーナスの当選確率を複数段階(例えば1〜6の6段階)で設定可能となっており、数値(設定値)が大きい程、ビッグボーナス及びレギュラーボーナスの当選確率が大きく設定される。ビッグボーナス及びレギュラーボーナス以外の小役及びリプレイの当選確率は設定値による差がなく、全ての設定値に共通する当選確率が設定されている。尚、小役及びリプレイについてもビッグボーナス及びレギュラーボーナスと同様に複数段階で設定可能としても良い。
【0015】
図5は、設定値を「6」に設定したときの通常状態(非ボーナス状態)において使用する当選乱数テーブルを示している。ゲームを開始したときに行う内部抽選では、十進数で0〜65535の範囲で発生する乱数の中から1つの乱数を抽出し、その抽出した乱数を上記した当選乱数テーブルと照合して内部当選役を決定する。したがって、各役の当選確率は当選乱数の数を全乱数の数(65536)で除した値となる。尚、当選乱数テーブルは、設定値(1〜6)毎及び遊技状態(通常状態、ビッグボーナス状態、レギュラーボーナス状態)毎に区別して設定されている。
【0016】
さて、上記した3種類の小役のうち2枚役はビッグボーナスと同時当選する可能性を有する小役である。すなわち、図5に示す当選乱数テーブルから明らかなように設定値が「6」であるときには、2枚役の当選乱数として「18351」〜「19150」を設定し、ビッグボーナス1の当選乱数として「18351」〜「18450」を設定し、ビッグボーナス2の当選乱数として「18451」〜「18500」及び「19151」〜「19200」を設定しているので、ビッグボーナス1は2枚役と必ず同時当選し、ビッグボーナス2は2枚役と50%の確率で同時当選し且つ50%の確率で同時当選しない(単独当選する)ようになっている。つまり、2枚役が当選したときのビッグボーナスが同時当選している割合は、((100+50)/800)=約1/5.3である。
【0017】
払出変動役は内部当選フラグが成立したゲームで入賞しなかったとき(取りこぼしたとき)にその内部当選フラグを持越すことが可能な小役である。払出変動役の内部当選フラグである払出変動役フラグの持越し可能な個数は5個までであり、払出変動役フラグを持越しているゲームでは当該ゲームにおける払出変動役の払出枚数を抽選により決定する。図6は、払出変動役フラグの持越状態における払出枚数抽選テーブルを示している。払出変動役フラグを持越しているゲームで行う払出枚数抽選では、十進数で0〜127の範囲で発生する乱数の中から1つの乱数を抽出し、その抽出した乱数を上記した払出枚数抽選テーブルと照合して払出枚数を決定する。この場合、払出枚数を決定する状態として第1状態及び第2状態があり、第1状態におけるメダルの平均払出枚数の期待値は「5.77」であり、第2状態におけるメダルの平均払出枚数の期待値は「9.75」であり、後者が前者よりも高い値である。すなわち、第1状態よりも第2状態の方が遊技者にとって有利な遊技状態である。尚、リセット時や設定変更時などの初期状態では第1状態であり、2枚役が入賞することに応じて上記した第1状態から第2状態へ移行する。すなわち、2枚役はその入賞が第1状態から第2状態へ移行する契機となる状態移行役である。そして、第2状態は10ゲームを消化するまで継続し、10ゲームを消化した時点で第2状態から第1状態へ移行(復帰)する。
【0018】
図7は、第1状態及び第2状態のそれぞれの割合を表す状態移行抽選テーブルを示している。2枚役が入賞したときに行う状態移行抽選では、十進数で0〜127の範囲で発生する乱数の中から1つの乱数を抽出し、その抽出した乱数を上記した状態移行抽選テーブルと照合して第1状態から第2状態へ移行するか否かを決定する。2枚役は上記したようにビッグボーナスと同時当選する可能性を有する小役であり、ビッグボーナスと同時当選しているか否かに応じて照合する状態移行抽選テーブルが異なるように設定している。図7(a)はビッグボーナスと同時当選しているときに照合する状態移行抽選テーブルを示しており、図7(b)はビッグボーナスと同時当選していないときに照合する状態移行抽選テーブルを示している。この場合、ビッグボーナスと同時当選しているときの第1状態から第2状態へ移行する確率は「80.47%」であり、ビッグボーナスと同時当選していないときの第1状態から第2状態へ移行する確率は「50.00%」であり、前者は後者よりも高い値である。尚、図5ないし図7に示した当選乱数は一例であり、リプレイを含む各役の当選確率は任意に設定することが可能である。また、ビッグボーナス1及びビッグボーナス2はメダルの払出枚数が上限値として予め定められている465枚を超えた時点で終了し、レギュラーボーナスはメダルの払出枚数が上限値として予め定められている250枚を超えた時点で終了する。
【0019】
図2は、上記したスロットマシン1の電気的な構成を機能ブロック図として示している。制御部19(本発明でいう内部抽選手段、表示制御手段、ボーナス役フラグ持越手段、小役フラグ持越手段、遊技状態移行手段、遊技媒体数決定手段)は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えたマイクロコンピュータにより構成されており、上記したスタートレバー11、左ストップボタン12、中ストップボタン13、右ストップボタン14、データ表示ボタン6、MAXBETボタン8及び精算ボタン9から各操作信号を入力する。
【0020】
また、制御部19は、メダル投入口10に投入されたメダルの真贋及び数量を判定する投入メダル検知部20から投入メダル検知信号を入力すると共に、設定値操作部21から各設定信号を入力する。さらに、制御部19は、上記した各リール3a〜3cに対応する各リール用モータ22a〜22cを駆動させるリール駆動部23、各リール3a〜3cに設けられた基準位置片の通過を検知する各センサ24a〜24cからの検知信号に基づいて基準位置を検知する基準位置検知部25、上記したスピーカ7を駆動させる音声出力部26、受皿17にメダルを放出するメダル払出部27、上記した液晶表示装置5、有効ライン表示部4、払出数表示部15、クレジット数表示部16及び装飾ランプ18を接続している。
【0021】
この場合、制御部19は、上記した各入力信号及びROMに記憶した制御プログラムに基づいて、リール駆動部23、音声出力部26、メダル払出部27、液晶表示装置5、有効ライン表示部4、払出数表示部15、クレジット数表示部16及び装飾ランプ18の動作を制御すると共に、アウト信号(1メダルの投入毎または1クレジットメダルのベット毎に1パルス出力)、セーフ信号(1メダルの払出毎または1クレジットメダルの払出毎に1パルス出力)、ゲーム信号(1ゲーム開始毎に1パルス出力)、ビッグボーナス信号(ビッグボーナス期間中にレベル信号出力)及びレギュラーボーナス信号(レギュラーボーナス期間中にレベル信号出力)を生成し、図示しない信号出力端子から外部に出力する構成となっている。信号出力端子から出力される各種信号は遊技場内に設置される管理装置に入力され、各スロットマシン1の稼動状況を管理するために利用される。
【0022】
次に、上記した構成の作用について、図8ないし図11を参照して説明する。制御部19は、内部抽選処理、状態移行処理及び払出変動役(?枚役)持越処理を周期的に行う。以下、これらの処理について順次説明する。
【0023】
(1)内部抽選処理
制御部19は、内部抽選処理を開始すると、メダルがメダル投入口10に投入されたか否かを判定し(S1)、メダルがメダル投入口10に投入されたと判定すると(S1:YES)、スタートレバー11が操作されたか否かを判定し(S2)、スタートレバー11が操作されたと判定すると(S2:YES)、0〜65535の範囲で発生する内部当選役を決定するための乱数のうちいずれか1つを抽出する(S3)。そして、制御部19は、抽出した乱数を現在の状態に対応する当選乱数テーブルと照合し(S4)、当選した内部当選役のフラグをオンする(S5)。
【0024】
次いで、制御部19は、その時点でボーナスゲームフラグをオンしているか否か(現在の遊技状態がボーナス状態であるか否か)を判定し(S6)、その時点でボーナスゲームフラグをオンしていると判定すると(S6:YES)、これ以降の処理を行うことなく内部抽選処理を終了してリターンする。
【0025】
これに対して、制御部19は、その時点でボーナスゲームフラグをオンしていないと判定すると(S6:NO)、その時点で払出変動役フラグをオンしているか否かを判定し、払出変動役が内部当選しているか否かを判定する(S7)。ここで、制御部19は、その時点で払出変動役フラグをオンしていると判定し、払出変動役が内部当選していると判定すると(S7:YES)、0〜127の範囲で発生するメダルの払出枚数を決定するための乱数のうちいずれか1つを抽出する(S11)。
【0026】
また、制御部19は、その時点で払出変動役フラグをオンしていないと判定し、払出変動役が内部当選していないと判定すると(S7:NO)、払出変動役フラグの持越数をカウントするための持越カウンタが「1」以上であるか否かを判定し(S8)、持越カウンタが「1」以上でないと判定すると(S8:NO)、これ以降の処理を行うことなく内部抽選処理を終了してリターンする。一方、制御部19は、持越カウンタが「1」以上であると判定すると(S8:YES)、払出変動役フラグをオンし(S9)、持越カウンタをデクリメントし(S10)、0〜127の範囲で発生するメダルの払出枚数を決定するための乱数のうちいずれか1つを抽出する(S11)。このように今回の内部抽選で払出変動役が内部当選しなかった場合であっても持越カウンタが「1」以上であれば(払出変動役フラグを1つ以上持越していれば)、払出変動役フラグをオンすることになる。
【0027】
そして、制御部19は、メダルの払出枚数を決定する乱数を抽出した後に、その時点で第2状態フラグをオンしているか否かを判定し(S12)、その時点で第2状態フラグをオンしていないと判定すると(S12:NO)、抽出した乱数を払出枚数抽選テーブルの第1状態の当選乱数(第1状態テーブル)と照合し(S13)、メダルの払出枚数を決定し(S14)、内部抽選処理を終了してリターンする。一方、制御部19は、その時点で第2状態フラグをオンしていると判定すると(S12:YES)、抽出した乱数を払出枚数抽選テーブルの第2状態の当選乱数(第2状態テーブル)と照合し(S15)、メダルの払出枚数を決定し(S14)、内部抽選処理を終了してリターンする。
【0028】
このとき、制御部19は、決定したメダルの払出枚数をRAMに記憶させる。制御部19は、第1状態にあるときには、図11(a)に示すように、各種の演出画像を表示させると共に、払出変動役の持越数をサン図柄の個数(図では「5」個)により遊技者から見て表示領域の左下隅に表示させ、払出変動役の持越数を遊技者に報知する。また、制御部19は、第2状態にあるときには、内部抽選処理を実行した直後に、図11(b)に示すように、払出枚数の抽選により決定したメダルの払出枚数(図11(b)では15枚)をサン図柄の中に表示させ、メダルの払出枚数を遊技者に報知し、第2状態の残りゲーム数(図では「7」ゲーム数)を遊技者から見て表示領域の右下隅に表示させ、残りゲーム数を遊技者に報知する。このような構成により、第2状態においては、遊技者は払出変動役の払出枚数と第2状態の残りゲーム数とを同時に事前に確認することできるので、払出枚数と第2状態の残りゲーム数とを考慮した上で払出変動役を入賞させた方が良いのか或いは入賞させない方が良いのかを決定することが可能となる。また、制御部19は、第2状態の終了時においてビッグボーナスが内部当選したときには、図11(c)に示すように、「Congratulation!!!」の文字を表示させ、ビッグボーナスが内部当選したことを遊技者に報知する。
【0029】
(2)状態移行処理
制御部19は、状態移行処理を開始すると、3つのリール3a〜3cが停止したか否かを判定し(S21)、3つのリール3a〜3cが停止したと判定すると(S21:YES)、その時点で第2状態フラグをオンしているか否かを判定し(S22)、その時点で第2状態フラグをオンしていないと判定すると(S22:NO)、2枚役が入賞したか否かを判定する(S23)。
【0030】
ここで、制御部19は、2枚役が入賞していないと判定すると(S23:NO)、これ以降の処理を行うことなく状態移行処理を終了してリターンする。これに対して、制御部19は、2枚役が入賞したと判定すると(S23:YES)、0〜127の範囲で発生する状態移行を決定するための乱数のうちいずれか1つを抽出する(S24)。次いで、制御部19は、その時点でビッグボーナス役フラグをオンしているか否かを判定し(S25)、その時点でビッグボーナス役フラグをオンしていると判定すると(S25:YES)、抽出した乱数をビッグボーナスと同時当選しているときの状態移行抽選テーブル(同時当選時テーブル)と照合する(S26)。一方、制御部19は、その時点でビッグボーナス役フラグをオンしていないと判定すると(S25:NO)、抽出した乱数をビッグボーナスと同時当選していないときの状態移行抽選テーブル(非同時当選時テーブル)と照合する(S27)。
【0031】
そして、制御部19は、抽出した乱数が第2状態の乱数であるか否かを判定し(S28)、抽出した乱数が第2状態の乱数であると判定すると(S28:YES)、第2状態フラグをオンし(S29)、第1状態から平均払出枚数の期待値が高い第2状態に移行し、状態移行処理を終了してリターンする。一方、制御部19は、抽出した乱数が第2状態の乱数でないと判定すると(S28:NO)、第2状態フラグをオンすることなく、第1状態を継続したまま、状態移行処理を終了してリターンする。
【0032】
これに対して、制御部19は、3つのリール3a〜3cが停止したと判定した後に、第2状態フラグをオンしていると判定し(S22:YES)、現在の遊技状態が第2状態であると判定すると、ゲームカウンタをインクリメントし(S30)、カウンタ値が「10」に到達したか否か、つまり、第2状態で10ゲームを消化したか否かを判定する(S31)。そして、制御部19は、カウンタ値が「10」に到達していないと判定すると(S31:NO)、第2状態フラグをオフすることなく、第2状態を継続したまま、これ以降の処理を行うことなく状態移行処理を終了してリターンする。一方、制御部19は、カウンタ値が「10」に到達したと判定すると(S31:YES)、第2状態フラグをオフし(S32)、第2状態から第1状態に移行(復帰)し、状態移行処理を終了してリターンする。
【0033】
(3)払出変動役持越処理
制御部19は、払出変動役持越処理を開始すると、3つのリール3a〜3cが停止したか否かを判定し(S41)、3つのリール3a〜3cが停止したと判定すると(S41:YES)、その時点で払出変動役フラグをオンしているか否かを判定し、払出変動役が内部当選しているか否かを判定する(S42)。ここで、制御部19は、その時点で払出変動役フラグをオンしていないと判定し、払出変動役が内部当選していないと判定すると(S42:NO)、これ以降の処理を行うことなく払出変動役持越処理を終了してリターンする。
【0034】
これに対して、制御部19は、払出変動役フラグをオンしていると判定し、払出変動役が内部当選していると判定すると(S42:YES」)、払出変動役が入賞したか否かを判定し(S43)、払出変動役が入賞したと判定すると(S43:YES)、払出変動役フラグをオフし(S46)、払出変動役持越処理を終了してリターンする。一方、制御部19は、払出変動役が入賞していないと判定すると(S43:NO)、持越カウンタが「5」に到達しているか否かを判定し(S44)、持越カウンタが「5」に到達していると判定すると(S44:YES)、払出変動役フラグをオフし(S46)、払出変動役持越処理を終了してリターンする。また、制御部19は、持越カウンタが「5」に到達していないと判定すると(S44:NO)、持越カウンタをインクリメントし(S45)、払出変動役フラグをオフし(S46)、払出変動役持越処理を終了してリターンする。このように持越カウンタが「4」以下の状態で払出変動役を取りこぼすと、その払出変動役フラグを持越す一方で、持越カウンタが「5」に到達している状態で払出変動役を取りこぼすと、その払出変動役フラグを持越すことなく消去する。
【0035】
以上に説明したように本実施形態によれば、スロットマシン1において、メダルの払出枚数が変動される払出変動役の内部当選フラグを成立させたゲームで当該払出変動役が入賞することなく払出変動役を取りこぼすと、所定の持越数(本実施形態では「5」個)を限度として当該払出変動役が入賞するまで払出変動役の内部当選フラグを持越すように構成したので、払出変動役の取りこぼしによる損失を適度に抑制することができる。また、現在の遊技状態が第1状態であるか第2状態であるかに基づいて払出変動役が入賞したときに払出すメダルの枚数を決定するように構成したので、現在の遊技状態及び現在の払出変動役の持越数を識別した上で払出変動役を入賞させた方が良いのか或いは取りこぼした方が良いのかを判断する必要性が生じ、遊技の興趣を高めることができる。具体的には、現在の遊技状態が第2状態であるか或いは現在の遊技状態が第1状態であっても持越数が上限の5個に達している場合には払出変動役を入賞させ、現在の遊技状態が第1状態で且つ持越数が4個以下である場合には払出変動役を入賞させずに取りこぼす方が遊技者にとって有利となる。
また、ボーナス役フラグが成立しているか否かに応じて異なる確率で遊技状態を第1状態から第2状態へ移行するように構成したので、第1状態から第2状態への移行状況を観察することで同時当選の期待度を間接的に推測することができる。
【0036】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
遊技玉を用いるスロットマシンに適用しても良い。
実際のメダルを使用しない所謂封入式のスロットマシンに適用しても良い。
ビッグボーナスが2種類設定される構成に限らず、ビッグボーナスが1種類あるいは3種類以上設定される構成であっても良い。
【0037】
第1状態から第2状態への移行条件として2枚役を状態移行役とすることで2枚役の入賞を設定したが、これに限らず種々の条件を設定しても良い。例えば消化ゲーム数が所定ゲーム数に到達する毎に第1状態から第2状態へ移行するようにしても良いし、メダルの投入枚数が所定枚数に到達する毎に第1状態から第2状態へ移行するようにしても良い。また、第2状態から第1状態への移行条件(復帰条件)も種々の条件を設定しても良い。
第2状態で払出変動役の払出枚数を表示させることで遊技者に報知するようにしたが、第1状態でも払出変動役の払出枚数を表示させることで遊技者に報知するようにしても良い。
【0038】
状態移行役が入賞したときに抽選を実行して第1状態から第2状態へ移行するか否かを決定するようにしたが、状態移行役が入賞したときに抽選を実行することなく無条件で第1状態から第2状態へ移行するようにしても良い。
払出変動役や状態移行役は2種類以上であっても良い。
払出変動役の持越し可能な個数は5個に限らず何個であっても良い。
ビッグボーナスやレギュラーボーナスの終了条件は、メダルの払出枚数が規定枚数に到達したことに限らず、例えばメダルの投入枚数が規定枚数に到達したこと、入賞の発生回数が規定回数に到達したこと、ゲーム回数が規定回数に到達したことなどの他の条件であっても良い。
所定の持越消去条件が成立したときに、持越している払出変動役フラグを全て消去(持越カウンタをゼロリセット)する持越消去手段を設けるようにしても良く、そのように構成すれば、例えば払出変動役フラグの持越しを開始してから一定期間が経過するまでに払出変動役が入賞しない場合に、持越している払出変動役フラグを消去することが可能となる。このような構成により、遊技者は払出変動役フラグを持越している期間も意識するようになり、興趣をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、スロットマシンの正面図
【図2】電気的な構成を示す機能ブロック図
【図3】各リールの図柄配列を示す図
【図4】内部当選役を示す図
【図5】内部当選役を決定するための当選乱数テーブルを示す図
【図6】払出枚数を決定するための払出枚数抽選テーブルを示す図
【図7】状態移行確率を決定するための状態移行抽選テーブルを示す図
【図8】フローチャート(その1)
【図9】フローチャート(その2)
【図10】フローチャート(その2)
【図11】遊技データが表示される態様を示す図
【符号の説明】
【0040】
図面中、1はスロットマシン、3はリール(図柄変動表示手段)、11はスタートレバー(ゲーム開始操作手段)、12は左ストップボタン(停止操作手段)、13は中ストップボタン(停止操作手段)、14は右ストップボタン(停止操作手段)、19は制御部(内部抽選手段、表示制御手段、ボーナス役フラグ持越手段、小役フラグ持越手段、遊技状態移行手段、遊技媒体数決定手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図柄表示領域において複数種類の図柄を変動表示する図柄変動表示手段と、
遊技媒体が投入された状態でゲームを開始するために遊技者が操作するゲーム開始操作手段と、
ゲームの開始に応じて小役及びボーナス役を含む複数の役の中から内部当選役を決定するための抽選を実行して内部当選役のフラグを成立させる内部抽選手段と、
前記図柄変動表示手段による図柄の変動表示を停止させるために遊技者が操作する停止操作手段と、
前記停止操作手段が操作されたときに前記内部当選役に対応する図柄を予め規定された引込範囲内で引込んで前記図柄表示領域に停止表示させる表示制御手段と、
前記内部抽選手段がボーナス役フラグを成立させたゲームで当該ボーナス役が入賞しなかったときは、当該ボーナス役が入賞するまで当該ボーナス役フラグを持越すボーナス役フラグ持越手段と、
前記内部抽選手段が特定小役フラグを成立させたゲームで当該特定小役が入賞しなかったときは、所定の持越数を限度として当該特定小役が入賞するまで当該特定小役フラグを持越す小役フラグ持越手段と、
所定の移行条件が成立したときに遊技状態を第1状態から第2状態へ移行する一方で、所定の復帰条件が成立したときに遊技状態を第2状態から第1状態へ移行する遊技状態移行手段と、
現在の遊技状態が前記第1状態であるか前記第2状態であるかに基づいて前記特定小役が入賞したときに付与する遊技媒体数を決定する遊技媒体数決定手段と、
前記特定小役の入賞に応じて前記遊技媒体数決定手段が決定した遊技媒体数を遊技者に付与する遊技媒体付与手段と、
を備えたことを特徴とするスロットマシン。
【請求項2】
前記遊技状態移行手段は、前記複数種類の小役のうち所定の状態移行小役が入賞したときに、前記ボーナス役フラグが成立しているか否かに応じて異なる確率で前記遊技状態を前記第1状態から前記第2状態へ移行することを特徴とする請求項1に記載したスロットマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−247370(P2009−247370A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94903(P2008−94903)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000108937)ダイコク電機株式会社 (893)
【Fターム(参考)】