説明

ズームレンズ及びそれを有する撮像装置

【課題】 全系の小型化を図りつつ、高ズーム比で広角端から望遠端に至る全ズーム範囲にわたり良好なる光学性能を有するズームレンズを得ること。
【解決手段】 物体側より像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成されるズームレンズにおいて、ズーミングのためには第1レンズ群は不動で、少なくとも第2レンズ群と第4レンズ群が移動し、第1レンズ群は少なくとも1枚の正レンズ1iを有し、正レンズ1iの材料のアッベ数と部分分散比νd1i、θgF1i、第2レンズ群に含まれる負レンズの材料の平均屈折率n2na、広角端から望遠端へのズーミングにおける第2レンズ群の移動量m2、第2レンズ群の焦点距離f2、望遠端における全系の焦点距離ftを各々適切に設定すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はズームレンズ及びそれを有する撮像装置に関し、特にスチルカメラ、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、TVカメラ、そして監視用カメラ等の撮像光学系に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、固体撮像素子を用いたビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、放送用カメラ、そして銀塩フィルムを用いたカメラ等の撮像装置は高機能化され、また、装置全体が小型化されている。そしてそれに用いる撮影レンズ(撮像光学系)としてレンズ全長が短く、コンパクト、広画角でしかも高ズーム比のズームレンズであること等が要求されている。これらの要求を満足するズームレンズとして、物体側より像側へ順に、正、負、正、正の屈折力の第1〜第4レンズ群より成る4群ズームレンズが知られている。
【0003】
このうち、第2レンズ群を移動させて変倍を行い、第4レンズ群にて変倍に伴う像面変動を補正すると共に、フォーカシングを行う所謂リアフォーカスタイプの4群ズームレンズが知られている(特許文献1〜3)。特許文献1や2では、第1レンズ群を1枚の負レンズと3枚の正レンズで構成した小型のズームレンズが提案されている。
【0004】
一般にリアフォーカス式のズームレンズは第1レンズ群を移動させてフォーカスを行うズームレンズに比べて第1レンズ群の有効径が小さくなり、レンズ系全体の小型化が容易になる。また、近接撮影、特に極至近撮影が容易となる。さらに、小型軽量のレンズ群を移動させているので、レンズ群の駆動力が小さくて済み、迅速なフォーカスができる等の特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−277082号公報
【特許文献2】特開2011−28144号公報
【特許文献3】特開2008−158062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、従来の標準画質(SD:Standard Definition)方式による地上アナログ放送に加えて、解像度が高い高精細画質(HD:High Definition)方式を採用したBSデジタルテレビジョン放送や地上デジタルテレビジョン放送が開始された。これに伴って撮像装置に用いる撮影レンズ系は、高い解像力が求められている。
【0007】
一方、解像度が高い撮像装置に用いられる撮像光学系には、高ズーム比で広画角、かつレンズ系全体が小型であり、さらに、色収差の少ないズームレンズであることが強く要望されている。
【0008】
一般にズームレンズにおいて、所定のズーム比を確保しつつ、全系の小型化を図るためには、ズームレンズを構成する各レンズ群の屈折力を強めつつ、レンズ枚数を削減すれば良い。しかしながら、このようにしたズームレンズは、各レンズ面の屈折力の増加に伴いレンズ肉厚が増してしまい、レンズ系の短縮効果が不十分になると同時に諸収差が多く発生し、これらの補正が困難になってくる。
【0009】
ポジティブリード型のズームレンズにおいて、全系の小型化と、高ズーム比を確保しつつ高い光学性能を得るには、ズームレンズの各要素を適切に設定することが重要となってくる。例えばズームタイプ(レンズ群の数や各レンズ群の屈折力)、各レンズ群のズーミングに伴う移動軌跡、そして各レンズ群の変倍負担等の構成を適切に設定することが重要である。
【0010】
これらの構成が適切でないと、高ズーム比化を図る際に全系が大型化し、又、ズーミングに伴う諸収差の変動が増大し、全ズーム範囲、及び画面全体にわたり高い光学性能を得るのが大変難しくなってくる。
【0011】
前述したポジティブリード型の4群ズームレンズにおいて、全系の小型化と、高ズーム比化を図りつつ、高い光学性能を得るには、各レンズ群のうち特に第1、第2レンズ群の各要素を適切に設定することが重要となってくる。例えば第1レンズ群、第2レンズ群を構成する各レンズの材料、そして変倍用の第2レンズ群の屈折力(焦点距離の逆数)やズーミングに際しての移動量等の構成を適切に設定することが重要になってくる。
【0012】
これらの構成が適切でないと、高ズーム比化を図る際に全系が大型化し、又、ズーミングに伴う諸収差の変動、特に色収差の変動が増大し、全ズーム範囲、及び画面全体にわたり高い光学性能を得るのが大変難しくなってくる。
【0013】
本発明は、全系の小型化を図りつつ、高ズーム比で広角端から望遠端に至る全ズーム範囲にわたり良好なる光学性能を有するズームレンズ及びそれを有する撮像装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のズームレンズは、物体側より像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成されるズームレンズにおいて、ズーミングのためには前記第1レンズ群は不動で、少なくとも前記第2レンズ群と前記第4レンズ群が移動し、前記第1レンズ群は少なくとも1枚の正レンズ1iを有し、前記正レンズ1iの材料のアッベ数と部分分散比を各々νd1i、θgF1i、前記第2レンズ群に含まれる負レンズの材料の平均屈折率をn2na、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第2レンズ群の移動量をm2、前記第2レンズ群の焦点距離をf2、望遠端における全系の焦点距離をftとするとき、
0.5826<θgF1i+0.001618×(νd1i−36.23)<0.8000
0.040<√(|f2|×m2)/ft<0.095
1.90<n2na<2.50
なる条件式を満足することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、全系の小型化を図りつつ、高ズーム比で広角端から望遠端に至る全ズーム範囲にわたり良好なる光学性能を有するズームレンズが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(A)(B)(C)(D) 実施例1のズームレンズの広角端、第1中間ズーム位置、第2中間ズーム位置、望遠端におけるレンズ断面図
【図2】(A)(B)(C)(D) 実施例1のズームレンズの広角端、第1中間ズーム位置、第2中間ズーム位置、望遠端における収差図
【図3】(A)(B)(C)(D) 実施例2のズームレンズの広角端、第1中間ズーム位置、第2中間ズーム位置、望遠端におけるレンズ断面図
【図4】(A)(B)(C)(D) 実施例2のズームレンズの広角端、第1中間ズーム位置、第2中間ズーム位置、望遠端における収差図
【図5】(A)(B)(C)(D) 実施例3のズームレンズの広角端、第1中間ズーム位置、第2中間ズーム位置、望遠端におけるレンズ断面図
【図6】(A)(B)(C)(D) 実施例3のズームレンズの広角端、第1中間ズーム位置、第2中間ズーム位置、望遠端における収差図
【図7】(A)(B)(C)(D) 実施例4のズームレンズの広角端、第1中間ズーム位置、第2中間ズーム位置、望遠端におけるレンズ断面図
【図8】(A)(B)(C)(D) 実施例4のズームレンズの広角端、第1中間ズーム位置、第2中間ズーム位置、望遠端における収差図
【図9】本発明の撮像装置の要部概略図
【図10】本発明の撮像装置の要部概略図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。本発明のズームレンズは、物体側より像側へ順に、正の屈折力(光学的パワー=焦点距離の逆数)の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成されている。ズーミングのためには第1レンズ群は不動で、少なくとも第2レンズ群と第4レンズ群が移動する。
【0018】
広角端から望遠端へのズーミングに際して、第2レンズ群は像側に単調移動している。そして広角端に比べ望遠端での第1レンズ群と第2レンズ群との間隔が広く、第2レンズ群と第3レンズ群の間隔が狭くなるようにしている。
【0019】
図1(A)、(B)、(C)、(D)は本発明の実施例1のズームレンズの広角端(短焦点距離端)、第1中間ズーム位置、第2中間ズーム位置、望遠端(長焦点距離端)におけるレンズ断面図である。図2(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ実施例1のズームレンズの広角端、第1中間ズーム位置、第2中間ズーム位置、望遠端における収差図である。実施例1はズーム比30.56、開口比1.44〜4.80程度のズームレンズである。
【0020】
図3(A)、(B)、(C)、(D)は本発明の実施例2のズームレンズの広角端、第1中間ズーム位置、第2中間ズーム位置、望遠端におけるレンズ断面図である。図4(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ実施例2のズームレンズの広角端、第1中間ズーム位置、第2中間ズーム位置、望遠端における収差図である。実施例2はズーム比32.74、開口比1.60〜5.60程度のズームレンズである。
【0021】
図5(A)、(B)、(C)、(D)は本発明の実施例3のズームレンズの広角端、第1中間ズーム位置、第2中間ズーム位置、望遠端におけるレンズ断面図である。図6(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ実施例3のズームレンズの広角端、第1中間ズーム位置、第2中間ズーム位置、望遠端における収差図である。実施例3はズーム比29.51、開口比1.44〜4.60程度のズームレンズである。
【0022】
図7(A)、(B)、(C)、(D)は本発明の実施例4のズームレンズの広角端、第1中間ズーム位置、第2中間ズーム位置、望遠端におけるレンズ断面図である。図8(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ実施例4のズームレンズの広角端、第1中間ズーム位置、第2中間ズーム位置、望遠端における収差図である。
【0023】
実施例4はズーム比32.97、開口比1.65〜5.18程度のズームレンズである。図9は、本発明のズームレンズを備えるデジタルスチルカメラ(撮像装置)の要部概略図である。図10は本発明のズームレンズを備えるネットワークカメラの要部概略図である。
【0024】
各実施例のズームレンズはビデオカメラやデジタルスチルカメラ、銀塩フィルムカメラ、TVカメラなどの撮像装置に用いられる撮影レンズ系である。尚、各実施例のズームレンズは投射装置(プロジェクタ)用の投射光学系として用いることもできる。レンズ断面図において、左方が物体側(前方)で、右方が像側(後方)である。また、レンズ断面図において、iを物体側からのレンズ群の順番とすると、Biは第iレンズ群を示す。
【0025】
B1は正の屈折力(光学的パワー=焦点距離の逆数)の第1レンズ群、B2は負の屈折力の第2レンズ群、B3は正の屈折力の第3レンズ群、B4は正の屈折力の第4レンズ群である。 SPは開放Fナンバー(Fno)の光束を決定(制限)する開口絞りである。Gは光学フィルター、フェースプレート、ローパスフィルター、赤外カットフィルターなどに相当する光学ブロックである。
【0026】
IPは像面である。像面IPは、ビデオカメラやデジタルカメラの撮影光学系としてズームレンズを使用する際には、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面に相当する。銀塩フィルムカメラの撮影光学系としてズームレンズを使用する際には、フィルム面に相当する。矢印は広角端から望遠端へのズーミング(変倍)に際して、各レンズ群の移動軌跡を示している。
【0027】
各実施例のズームレンズでは、広角端から望遠端のズーム位置へのズーミングに際して、第1レンズ群B1と第2レンズ群B2との間隔が広がるよう、また第2レンズ群B2と第3レンズ群B3との間隔が狭まるようにしている。
【0028】
具体的には、各実施例では広角端から望遠端へのズーム位置へズーミングに際して第2レンズ群L2を像側へ移動させて変倍を行うとともに、変倍に伴う像面変動を第4レンズ群L4を物体側に凸状の軌跡の一部を有しつつ移動させて補正している。さらに、第4レンズ群L4を光軸上移動させてフォーカシングを行っている。第4レンズ群L4の実線の曲線4aと点線の曲線4bは各々無限遠物体と近距離物体にフォーカスしているときの広角端から望遠端のズーム位置へのズーミングの際の像面変動を補正するための移動軌跡である。
【0029】
また望遠端のズーム位置において無限遠物体から近距離物体へフォーカスを行う場合には、矢印4cに示すように第4レンズ群L4を前方に繰り出すことで行っている。
【0030】
実施例4には広角端から望遠端へのズーミングに際して、第3レンズ群B3が物体側へ移動している。なお、実施例1乃至4において開口絞りSPはズーミングのためには不動であるが必要に応じて移動させても良い。
【0031】
収差図においてFnoはFナンバー、ωは半画角であり、光線追跡値による画角である。球面収差図において、実線はd線(波長587.6nm)、2点鎖線はg線(波長435.8nm)である。
【0032】
非点収差図で実線と点線はd線におけるサジタル像面とメリディオナル像面である。歪曲収差はd線について示している。倍率色収差図において2点鎖線はg線である。尚、以下の各実施例において広角端と望遠端は変倍用のレンズ群が機構上、光軸上を移動可能な範囲の両端に位置したときのズーム位置をいう。
【0033】
各実施例において、第1レンズ群B1は少なくとも1枚の正レンズ1iを有している。正レンズ1iの材料のアッベ数と部分分散比を各々νd1i、θgF1iとする。第2レンズ群B2に含まれる負レンズの材料の平均屈折率をn2naとする。広角端から望遠端へのズーミングにおける第2レンズ群B2の移動量をm2とする。ここで移動量とは広角端と望遠端における光軸上の位置の差である。
【0034】
第2レンズ群B2の焦点距離をf2、望遠端における全系の焦点距離をftとする。このとき、
0.5826<θgF1i+0.001618×(νd1i−36.23)<0.8000 ・・・(1)
0.040<√(|f2|×m2)/ft<0.095 ・・・(2)
1.90<n2na<2.50 ・・・(3)
なる条件式を満足している。
【0035】
なお、アッベ数νd、部分分散比θgFはフラウンホーファ線のd線、F線、C線、g線における屈折率をNd、NF、NC、Ngとするとき、
νd=(Nd−1)/(NF−NC)
θgF=(Ng−NF)/(NF−NC)
で定義される。
【0036】
本発明のズームレンズは、高ズーム比を確保し、諸収差を良好に補正するために、物体側から順に正、負、正、正の屈折力の第1〜第4レンズ群を有する構成としている。ズーミングの際に結像面に対して第1レンズ群B1を不動とすることにより、高い位置精度を保つこと、そしてズーミングに際してレンズ全長の変化を無くしている。また、可動レンズ群を少なくして、機構部品の簡素化を図っている。そして機構部品の簡素化を図り、組み立てを容易にし、またゴミ等の発生を低減して、高い性能を得ている。
【0037】
さらに、レンズ鏡筒の強度を高め、コンバータレンズなどのアクセサリの取り付けを容易にしている。
【0038】
実施例1〜3では第2レンズ群B2と第4レンズ群B4でズーミングを行い、可動レンズ群を減らすことで、レンズ全系の小型化や構成の簡素化を図っている。各実施例のズームレンズにおいて第1レンズ群B1は、軸外光束が光軸から離れた位置を通過する。また、そのレンズ構成によりレンズ全長やレンズ径が大きく影響される。このため、レンズ構成及びレンズの材料(硝材)を適切に設定することが重要になってくる。
【0039】
条件式(1)は、第1レンズ群B1に含まれる正レンズの材料のアッベ数と部分分散比の関係を規定した式である。条件式(1)を満足する材料は、異常分散性を有するものである。条件式(1)の範囲外となる材料は、二次スペクトルの低減のために必要な異常分散性が低いものである。異常分散性が低い場合、高ズーム比化を実現した際に望遠側において二次スペクトルが増大し、これを補正することが困難になる。
【0040】
条件式(2)は、第2レンズ群B2の焦点距離f2と第2レンズ群B2の広角端から望遠端へのズーミングにおける光軸上の移動量m2を、望遠端における焦点距離ftで規定した式である。
【0041】
条件式(2)の上限を超えて第2レンズ群B2の焦点距離を大きくする、または第2レンズ群B2のズーミングに際しての移動量を大きくすると、高ズーム比化を図るためにレンズ全長を大きくする必要があり、好ましくない。
【0042】
条件式(2)の下限を超えて第2レンズ群B2の焦点距離を小さくする、または第2レンズ群B2のズーミングに際しての移動量を小さくすると、高ズーム比化およびレンズ全長の短縮には有利となる。しかしながら、ペッツバール和が負の方向に大きくなり、像面湾曲が増大してくる。
【0043】
条件式(3)は、第2レンズ群B2に含まれる負レンズの材料の平均屈折率を規定した式である。条件式(3)の上限を超えて高屈折率になると負レンズのレンズ面の曲率半径が大きくなり、諸収差の補正、特に広角端においての歪曲収差の補正が困難になる。
【0044】
条件式(3)の下限を超えて屈折率が低くなると所定の屈折力を持たせるために負レンズのレンズ面の曲率半径が小さくなり非点収差の補正が困難になる。また、高ズーム比化とともに像面湾曲を補正するために、第2レンズ群B2の屈折力を抑える必要があり、所望のズーム比を達成するために第2レンズ群B2の移動量が増大して、レンズ全長が大きくなってくる。
【0045】
条件式(1)乃至(3)の範囲内であれば、前述の問題が起こりにくい。このため、第1レンズ群B1や第2レンズ群B2に新たにレンズを追加したり、多くの非球面レンズを追加する必要がなくなり、各レンズ群の枚数を少なくして、全系の小型化と高い光学性能を維持することが容易になる。
【0046】
各実施例において更に好ましくは条件式(1)乃至(3)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
【0047】
0.59<θgF1i+0.001618×(νd1i−36.23)<0.70
・・・(1a)
0.060<√(|f2|×m2)/ft<0.091 ・・・(2a)
1.90<n2na<2.20 ・・・(3a)
条件式(1a)を満たすことにより、レンズ系全体の小型化を図りつつ、望遠側において色収差を良好に補正することが更に容易になる。条件式(2a)を満たすことにより、レンズ全長の増大を防止しつつ、高ズーム比化が容易に図れ、ズーム全域での像面湾曲の変動を抑えることが更に容易になる。条件式(3a)を満たすことにより、レンズ全長の短縮を図った際、ペッツバール和の負の方向の増大を抑えることができ、像面湾曲を良好に補正することが更に容易になる。
【0048】
更に好ましくは条件式(1a)乃至(3a)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
0.59<θgF1i+0.001618×(νd1i−36.23)<0.65
・・・(1b)
0.070<√(|f2|×m2)/ft<0.090 ・・・(2b)
1.90<n2na<2.00 ・・・(3b)
以上により、各実施例では高ズーム比で広画角、かつレンズ系全体が小型で、色収差の少ないズームレンズを得ている。
【0049】
各実施例において、更に好ましくは次の条件式のうち1以上を満足するのが良い。第2レンズ群B2の最も物体側には、負レンズが配置されており、負レンズの焦点距離をf2n1、広角端と望遠端における全系の焦点距離を各々fw、ftとする。第1レンズ群B1の最も物体側の正レンズのシェープファクターをSF1pとする。第1レンズ群B1の最も物体側の負レンズの焦点距離をf1n1、第1レンズ群B1の最も物体側の正レンズの焦点距離をf1p1とする。
【0050】
第1レンズ群B1の焦点距離をf1とする。第3レンズ群B3の物体側に開口絞りSPを有し、ズームレンズの広角端におけるレンズ全長をTDw、広角端において開口絞りSPから像面位置までの空気換算距離(フィルター等の平行平面板を除去したときの距離)をDSPとする。このとき以下の条件式のうち以上を満足するのが良い。
【0051】
0.4<|f2n1|/fw<1.8 ・・・(4)
−1.8<SF1p<−0.8 ・・・(5)
0.8<|f1n1|/f1p1<1.4 ・・・(6)
1.2<f1/√(fw×ft)<1.8 ・・・(7)
0.40<DSP/TDw<0.55 ・・・(8)
0.8<|m2|/√(fw×ft)<1.4 ・・・(9)
ここでレンズのシェープファクターSF1pは正レンズの物体側のレンズ面の曲率半径をR1、正レンズの像側のレンズ面の曲率半径をR2とする。このとき、
SF1p=(R1+R2)/(R1−R2)
で定義される。
【0052】
次に前述の各条件式の技術的意味について説明する。条件式(4)は、第2レンズ群B2の最も物体側に位置する負レンズの焦点距離を広角端における全系の焦点距離で規定したもので、主に像面特性を良好に補正するためのものである。条件式(4)の上限を超えて最も物体側に位置する負レンズの屈折力が小さくなると全ズーム域において像面湾曲、軸上色収差、倍率色収差等をバランス良く保つことが困難となる。また、軸外のコマ収差を良好に補正するためのレンズ形状を設定することが困難となる。
【0053】
条件式(4)の下限を超えて最も物体側に位置する負レンズの屈折力が大きくなりすぎるとペッツバール和が負の方向へ増大し、像面特性が悪化する。また、第2レンズ群B2の主点位置を第1レンズ群B1の主点位置へ近づけることが難しく、広画角化を図った際、レンズの径方向が増大してくる。
【0054】
条件式(5)は、第1レンズ群B1の最も物体側の正レンズのシェープファクターを適切に設定し、広角端から望遠端までのズーム領域全域において像面湾曲を良好に補正するとともに、望遠側において球面収差と軸上色収差の補正を良好に行うためのものである。条件式(5)の上限を超えた場合、望遠側において球面収差の補正効果が少なくなる。また、望遠側において軸外光束の収差補正効果が不十分となり、像面湾曲が増大してくる。条件式(5)の下限を超えた場合、広角側において像面湾曲の補正と望遠側において球面収差の補正をバランス良く行うのが困難になる。
【0055】
条件式(6)は第1レンズ群B1の最も物体側の負レンズの焦点距離と、第1レンズ群B1の最も物体側の正レンズの焦点距離の比に関する。条件式(6)の上限を超えた場合、第1レンズ群B1の最も物体側の負レンズの屈折力が小さく、レンズ全長の短縮が不十分になり、また、望遠側において球面収差やコマ収差等を良好に補正することが難しくなってくる。
【0056】
条件式(6)の下限を超えた場合、第1レンズ群B1の最も物体側の負レンズの屈折力が大きく望遠端においてレンズ全長を短縮するには有利となる。しかしながら、第1レンズ群B1の製造誤差による像面倒れやズーミングに際して像ゆれが多くなり、高い精度のレンズ鏡筒が必要になり好ましくない。
【0057】
条件式(7)は、第1レンズ群B1の屈折力を規定した式であり、主に球面収差やコマ収差等を良好に補正しつつ、広画角化を図るためのものである。条件式(7)の上限を超えた場合、第1レンズ群B1の屈折力が小さく、レンズ全長を短縮することが困難となる。また、高ズーム比化を達成することが難しくなる。条件式(7)の下限を超えた場合、第1レンズ群B1の屈折力が大きく、広画角化を図るためには有利だが、球面収差やコマ収差等の補正が難しくなる。
【0058】
条件式(8)は、広角端において、開口絞りSPの光軸方向の位置を正規化したものである。条件式(8)の上限を超えた場合、開口絞りより後方(像側)のレンズ群の画面周辺に入射する周辺光束の光軸からの距離の変化が大きくなる。この結果、画面周辺光束の収差を良好に補正するためには、レンズ枚数を増加したり、非球面を多く用いること等が必要となり、全系が大型化し、かつ製作が困難になってくる。条件式(8)の下限を超えた場合、望遠端側において第1レンズ群B1の軸外光束の入射高が光軸から離れ、第1レンズ群B1の径方向が増大してくる。
【0059】
条件式(9)は、第2レンズ群B2のズーミングにおける光軸上の移動量を規定した式であり、レンズ系全体の小型化を図るためのものである。条件式(9)の上限を超えた場合、第2レンズ群B2のズーミングに際しての移動量が大きくなり、広角端においてレンズ全長を短くするのが困難となり、また第1レンズ群B1の径方向が増大してくる。
【0060】
条件式(9)の下限を超えた場合、第2レンズ群B2のズーミングに際しての移動量が小さくなり、所定のズーム比を確保するためには、第2レンズ群B2の屈折力を強める必要が生じる。その際、ズーミングによる像面湾曲の変化が大きくなり、ズーム全域にわたって像面湾曲を良好に補正することが困難になる。
【0061】
更に好ましくは条件式(4)乃至(9)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
0.8<|f2n1|/fw<1.7 ・・・(4a)
−1.6<SF1p<−1.0 ・・・(5a)
0.85<|f1n1|/f1p1<1.35 ・・・(6a)
1.3<f1/√(fw×ft)<1.6 ・・・(7a)
0.41<DSP/TDw<0.50 ・・・(8a)
0.85<|m2|/√(fw×ft)<1.20 ・・・(9a)
条件式(4a)を満たすことにより、高ズーム比化およびレンズ全長の短縮が容易になる。
【0062】
さらに、広角側においてレトロフォーカスの屈折力配置を行う際、像面湾曲や非点収差を良好に補正することが容易になる。条件式(5a)を満たすことにより、広角端から望遠端までのズーム領域全域において像面湾曲を良好に補正し、さらに第1レンズ群B1のレンズ枚数を抑えることが更に容易になる。
【0063】
条件式(6a)を満たすことにより、望遠側において軸上色収差の補正と各波長毎の球面収差を抑えることが更に容易になる。条件式(7a)を満たすことにより、第1レンズ群B1の相対位置の誤差による偏芯コマ収差の敏感度を低減させることが更に容易になる。
【0064】
条件式(8a)を満たすことにより、高ズーム比化に伴う像面湾曲のズーム変動を抑制するのが更に容易になる。更に好ましくは条件式(4a)乃至(9a)の数値範囲を次の如く設定するのが良い。
【0065】
1.3<|f2n1|/fw<1.5 ・・・(4b)
−1.5<SF1p<−1.2 ・・・(5b)
0.90<|f1n1|/f1p1<1.30 ・・・(6b)
1.35<f1/√(fw×ft)<1.55 ・・・(7b)
0.42<DSP/TDw<0.45 ・・・(8b)
0.9<|m2|/√(fw×ft)<1.1 ・・・(9b)
以上のように、各実施例によれば、各レンズ群の構成、パワー配置による変倍負担を適切に設定することにより、高ズーム比でありながら、高い結像性能を有すズームレンズが得られる。
【0066】
本発明のズームレンズを適用する撮像装置は、ズームレンズより生ずる歪曲収差及び/又は倍率色収差等を電気的に補正する回路(補正回路)を備えているのが良い。これによればズームレンズより生ずる歪曲収差等を許容することのできるようになるので、ズームレンズを構成するレンズ枚数を軽減でき、また全系の小型化が容易になる。また、倍率色収差を電気的に補正することができれば、撮影画像の色にじみを軽減し、また、解像力の向上を図ることが容易となる。また、第3レンズ群B3に少なくとも1つの非球面を設けることが望ましい。
【0067】
広角端においてFナンバーを比較的小さくし、後群のレンズ群を簡素なレンズ構成にするために、非球面を設けることが望ましい。実施例1乃至4では、第3レンズ群B3を構成する正レンズの少なくとも一方のレンズ面を非球面形状にすることにより、正レンズより生ずる収差を更に低く抑えることを容易にしている。すなわち、正レンズの基準球面により発生する収差とは逆の収差を非球面により発生させることにより、基準球面による収差と非球面による収差とバランスさせることができる。
【0068】
特に所定の明るさを確保しつつ、広角側において球面収差やコマ収差等を良好に補正するのを容易にしている。
【0069】
各実施例のズームレンズでは、第1レンズ群B1および第2レンズ群B2の屈折力を条件式(2)、(7)を満足するように強めることで広画角化を容易にしている。また。第1レンズ群B1の物体側のレンズ面から開口絞りSPまでの距離をD1Spとするとき、
0.50<D1SP/TDw<0.62 ・・・(10)
なる条件式(10)を満足するようにしている。
【0070】
このように距離D1Spを小さく(短く)し、前玉有効径の小型化を容易にしている。これにより第1レンズ群B1のレンズ径の小型化が図っている。また、第3レンズ群B3の焦点距離をf3とするとき、
4.80<f3/fw<6.30 ・・・(11)
なる条件式(11)を満足するようにしている。このように、第3レンズ群B3の屈折力をある程度強めることで開口絞りSPから像面IPまでの距離を小さくしている。これによりレンズ全長の短縮を図っている。
【0071】
以下、実施例1〜4に対応する数値実施例1〜4の具体的数値データを示す。各数値実施例において、iは物体側から数えた面の番号を示す。riは第i番目の光学面(第i面)の曲率半径である。diは第i面と第(i+1)面との軸上間隔である。ndi、νdiはそれぞれd線に対する第i番目の光学部材の材料の屈折率、アッベ数である。最も像側の2つの面はガラスブロックGに相当している。非球面形状は光軸方向にX軸、光軸と垂直方向にH軸、光の進行方向を正としRを近軸曲率半径、Kを円錐定数、A4,A5,A6,A7,A8,A9,A10を各々非球面係数としたとき、
【0072】
【数1】

【0073】
なる式で表している。*は非球面形状を有する面を意味している。「e−x」は10-xを意味している。BFは空気換算のバックフォーカスである。また、前述の各条件式と数値実施例との関係を表1に示す。
【0074】
表1においてfiは第iレンズ群の焦点距離を示す。各数値実施例では広角端、第1中間ズーム位置、第2中間ズーム位置、望遠端における4つの焦点距離におけるFナンバー、画角、像高、レンズ全長、BF等における値を示している。
【0075】

[数値実施例1]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd θgF
1 45.688 1.20 2.00100 29.1 0.5997
2 28.337 6.32 1.49700 81.5 0.5374
3 261.194 0.15
4 29.732 4.21 1.49700 81.5 0.5374
5 160.454 0.15
6 28.300 2.47 1.62299 58.2 0.5458
7 63.611 (可変)
8 32.706 0.50 2.00100 29.1 0.5997
9 5.453 3.00
10 -23.309 0.50 2.00100 29.1 0.5997
11 24.249 0.15
12 12.280 2.26 1.92286 18.9 0.6495
13 -14.890 0.50 1.88300 40.8 0.5667
14 71.077 (可変)
15(絞り) ∞ 1.40
16* 10.517 4.90 1.69350 53.2 0.5464
17* -30.407 0.15
18 24.415 0.70 2.00100 29.1 0.5997
19 9.792 (可変)
20* 16.627 3.25 1.55332 71.7 0.5402
21 -12.131 0.50 1.94595 18.0 0.6544
22 -17.148 (可変)
23 ∞ 3.00 1.51633 64.1 0.5352
24 ∞ 1.00
像面 ∞

非球面データ
第16面
K =-9.95646e-001 A 4= 1.34143e-005 A 6= 2.06063e-007 A 8= 8.17179e-010 A10=-1.21846e-012

第17面
K =-1.08223e+001 A 4= 6.08106e-005 A 6=-1.26736e-007

第20面
K = 1.39372e+000 A 4=-7.59345e-005 A 6=-6.22784e-007

各種データ
ズーム比 30.56

焦点距離 4.52 59.42 88.05 138.07
Fナンバー 1.44 4.46 4.70 4.80
画角 33.59 2.89 1.95 1.24
像高 3.00 3.00 3.00 3.00
レンズ全長 83.03 83.03 83.03 83.03
BF 13.46 18.47 12.62 4.87

d 7 0.60 22.08 23.75 24.47
d14 25.37 3.89 2.22 1.50
d19 11.30 6.29 12.14 19.89
d22 10.48 15.49 9.64 1.89

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 36.29
2 8 -5.64
3 15 25.12
4 20 18.37
5 23 ∞

【0076】
[数値実施例2]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd θgF
1 58.638 0.60 2.00100 29.1 0.5997
2 28.616 4.97 1.59522 67.7 0.5442
3 168.873 0.10
4 31.611 4.04 1.60311 60.6 0.5414
5 254.517 0.10
6 30.512 1.78 1.72916 54.7 0.5444
7 51.697 (可変)
8 28.089 0.50 2.00330 28.3 0.5980
9 5.482 3.37
10 -38.110 0.45 1.91082 35.3 0.5824
11 19.346 0.15
12 10.522 2.02 1.95906 17.5 0.6599
13 -54.523 0.01
14 -54.397 0.45 1.88300 40.8 0.5667
15 24.721 (可変)
16(絞り) ∞ 1.50
17* 13.673 4.34 1.69350 53.2 0.5464
18* -29.253 0.15
19 19.793 2.27 1.64769 33.8 0.5939
20 -1062.997 0.50 2.00069 25.5 0.6133
21 11.895 (可変)
22* 20.362 3.30 1.58313 59.4 0.5423
23 -11.260 0.50 1.84666 23.8 0.6205
24 -17.899 (可変)
25 ∞ 3.00 1.51633 64.1 0.5352
26 ∞ 1.00
像面 ∞

非球面データ
第17面
K =-9.58767e-001 A 4=-1.07235e-005 A 6=-8.16348e-009 A 8= 1.82578e-010
A 5= 7.10447e-007 A 7= 4.30432e-009 A 9= 3.05609e-011

第18面
K =-1.14281e+001 A 4=-9.28796e-006
A 5= 1.99793e-006

第22面
K =-4.89989e+000 A 4= 4.33459e-005 A 6=-3.18277e-007

各種データ
ズーム比 32.74

焦点距離 4.58 34.85 65.14 149.95
Fナンバー 1.60 4.64 5.20 5.60
画角 33.22 4.92 2.64 1.15
像高 3.00 3.00 3.00 3.00
レンズ全長 86.33 86.33 86.33 86.33
BF 13.18 22.67 20.73 5.38

d 7 0.50 21.03 24.82 27.52
d15 28.52 7.98 4.20 1.50
d21 13.02 3.53 5.46 20.82
d24 10.20 19.69 17.76 2.40

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 38.74
2 8 -5.92
3 16 24.65
4 22 19.60
5 25 ∞

【0077】
[数値実施例3]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd θgF
1 45.340 1.25 2.00069 25.5 0.6133
2 30.070 5.85 1.49700 81.5 0.5374
3 176.956 0.15
4 31.963 4.42 1.59522 67.7 0.5442
5 197.840 0.10
6 26.575 2.12 1.59522 67.7 0.5442
7 43.716 (可変)
8 49.443 0.45 2.00100 29.1 0.5997
9 5.843 3.17
10 -18.179 0.40 1.91082 35.3 0.5824
11 43.885 0.12
12 13.400 2.42 1.95906 17.5 0.6599
13 -21.705 0.40 1.91082 35.3 0.5824
14 46.734 (可変)
15(絞り) ∞ 1.00
16* 10.759 4.79 1.69350 53.2 0.5464
17* -37.365 0.10
18 28.102 0.55 2.00100 29.1 0.5997
19 10.770 (可変)
20* 16.499 3.98 1.55332 71.7 0.5402
21 -12.410 0.50 1.94595 18.0 0.6544
22 -17.197 (可変)
23 ∞ 3.00 1.51633 64.1 0.5352
24 ∞ 1.00
像面 ∞

非球面データ
第16面
K =-1.03526e+000
A 5= 8.04291e-007 A 7= 5.49169e-008 A 9=-7.95157e-010 A11= 1.59096e-012

第17面
K =-1.56411e+001
A 5= 5.68090e-006 A 7=-5.19224e-008

第20面
K = 4.09148e-002 A 4=-6.34315e-005 A 6=-1.71996e-007 A 8=-2.89251e-010

各種データ
ズーム比 29.51

焦点距離 4.49 43.47 89.44 132.47
Fナンバー 1.44 2.74 3.45 4.60
画角 33.76 3.95 1.92 1.30
像高 3.00 3.00 3.00 3.00
レンズ全長 84.70 84.70 84.70 84.70
BF 14.18 21.61 13.57 6.82

d 7 0.60 20.77 24.46 25.20
d14 26.40 6.23 2.54 1.80
d19 11.75 4.31 12.35 19.10
d22 11.20 18.64 10.59 3.84

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 37.44
2 8 -5.71
3 15 27.79
4 20 18.24
5 23 ∞

【0078】
[数値実施例4]
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd θgF
1 50.481 1.20 2.00069 25.5 0.6133
2 31.972 5.23 1.49700 81.5 0.5374
3 187.248 0.15
4 37.076 3.56 1.59522 67.7 0.5442
5 168.553 0.10
6 25.151 3.26 1.59522 67.7 0.5442
7 62.156 (可変)
8 45.423 0.45 2.00100 29.1 0.5997
9 5.690 2.92
10 -33.605 0.40 2.00100 29.1 0.5997
11 18.249 0.20
12 11.478 2.48 1.95906 17.5 0.6599
13 -21.679 0.40 1.91082 35.3 0.5824
14 42.431 (可変)
15(絞り) ∞ (可変)
16* 12.050 3.62 1.58313 59.4 0.5423
17* -33.774 0.10
18 19.082 0.55 2.00100 29.1 0.5997
19 11.564 (可変)
20* 21.116 3.27 1.55332 71.7 0.5402
21 -11.709 0.50 1.94595 18.0 0.6544
22 -15.977 (可変)
23 ∞ 3.00 1.51633 64.1 0.5352
24 ∞ 1.00
像面 ∞

非球面データ
第16面
K =-1.72748e+000
A 5= 1.08075e-005 A 7= 7.61553e-009 A 9=-2.16187e-010

第17面
K = 2.43903e-001
A 5= 1.49463e-005 A 7=-6.14761e-008

第20面
K =-1.07912e+001 A 4= 8.59818e-005 A 6=-7.48089e-007

各種データ
ズーム比 32.97

焦点距離 4.43 45.28 63.65 146.17
Fナンバー 1.65 4.19 4.46 5.18
画角 34.09 3.79 2.70 1.18
像高 3.00 3.00 3.00 3.00
レンズ全長 83.46 83.46 83.46 83.46
BF 15.53 23.87 21.38 6.12

d 7 0.60 20.11 22.01 24.39
d14 25.09 5.58 3.68 1.30
d15 1.50 0.93 0.87 0.80
d19 12.35 4.59 7.13 22.47
d22 12.55 20.89 18.40 3.14

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離
1 1 35.91
2 8 -5.47
3 15 ∞
4 16 27.58
5 20 19.78
6 23 ∞

【0079】
次に本発明のズームレンズを撮像光学系として用いたデジタルビデオカメラの実施例を図9を用いて説明する。図9において、10はカメラ本体、11は実施例1〜4で説明したいずれかのズームレンズによって構成された撮像光学系である。12はカメラ本体に内蔵され、撮像光学系11によって形成された被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。また、本発明のズームレンズを撮像光学系として用いたネットワークカメラの実施例を図10を用いて説明する。
【0080】
図10において、20はカメラ本体、21は実施例1〜4で説明したいずれかのズームレンズによって構成された撮像光学系である。22はカメラ本体に内蔵され、撮像光学系21によって形成された被写体像を受光するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。このように本発明のズームレンズをデジタルビデオカメラやネットワークカメラ等の撮像装置に適用することにより、小型で高い光学性能を有する撮像装置が実現できる。尚、各実施例のズームレンズは投射装置(プロジェクタ)用の投射光学系として用いることもできる。
【0081】
【表1】

【符号の説明】
【0082】
B1…第1レンズ群 B2…第2レンズ群 B3…第3レンズ群
B4…第4レンズ群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側より像側へ順に、正の屈折力の第1レンズ群、負の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群より構成されるズームレンズにおいて、ズーミングのためには前記第1レンズ群は不動で、少なくとも前記第2レンズ群と前記第4レンズ群が移動し、前記第1レンズ群は少なくとも1枚の正レンズ1iを有し、前記正レンズ1iの材料のアッベ数と部分分散比を各々νd1i、θgF1i、前記第2レンズ群に含まれる負レンズの材料の平均屈折率をn2na、広角端から望遠端へのズーミングにおける前記第2レンズ群の移動量をm2、前記第2レンズ群の焦点距離をf2、望遠端における全系の焦点距離をftとするとき、
0.5826<θgF1i+0.001618×(νd1i−36.23)<0.8000
0.040<√(|f2|×m2)/ft<0.095
1.90<n2na<2.50
なる条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
前記第2レンズ群の最も物体側には、負レンズが配置されており、前記負レンズの焦点距離をf2n1、広角端における全系の焦点距離をfwとするとき、
0.4<|f2n1|/fw<1.8
なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
前記第1レンズ群の最も物体側の正レンズのシェープファクターをSF1pとするとき、
−1.8<SF1p<−0.8
なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のズームレンズ。
【請求項4】
前記第1レンズ群の最も物体側の負レンズの焦点距離をf1n1、前記第1レンズ群の最も物体側の正レンズの焦点距離をf1p1とするとき、
0.8<|f1n1|/f1p1<1.4
なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項5】
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、広角端における全系の焦点距離をfwとするとき、
1.2<f1/√(fw×ft)<1.8
なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記第3レンズ群の物体側に開口絞りを有し、前記ズームレンズの広角端におけるレンズ全長をTDw、広角端において前記開口絞りから像面位置までの空気換算距離をDSPとするとき、
0.40<DSP/TDw<0.55
なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のズームレンズ。
【請求項7】
広角端における全系の焦点距離をfwとするとき、
0.8<|m2|/√(fw×ft)<1.4
なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記第3レンズ群の物体側に開口絞りを有し、前記ズームレンズの広角端におけるレンズ全長をTDw、前記第1レンズ群の物体側のレンズ面から前記開口絞りまでの距離をD1SPとするとき、
0.50<D1SP/TDw<0.62
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項のズームレンズ。
【請求項9】
前記第3レンズ群の焦点距離をf3、広角端における全系の焦点距離をfwとするとき、
4.80<f3/fw<6.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項のズームレンズ。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のズームレンズと該ズームレンズによって形成された像を受光する撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−50519(P2013−50519A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187165(P2011−187165)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】