説明

セグメント化された撹拌反応器

本発明は、流動性の物質が互いに混合される化学的かつ物理的なプロセスを実施するための装置であって、入口および出口を備えた、垂直の円筒状の容器(1)と、中央の軸(2)と、該軸(2)に配置された、壁の近くまで延在する半径方向の撹拌翼(3;4)とが設けられている形式のものに関する。本発明によれば、撹拌翼が周方向で見て湾曲して形成されており、撹拌機構(5;6)としてペア状に上下にグループ(7)にまとめられており、グループの一方の機構(5)の翼(3)が半径方向で凹面状に湾曲させられており、他方の機構(6)の翼(4)が半径方向で凸面状に湾曲させられているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的かつ/または物理的なプロセスを実施するための装置ならびにポリオレフィンを製造する方法に関する。
【0002】
この目的のための公知の反応器は基本的に流動管または撹拌槽である。
【0003】
理想的な流動管は、搬送されるすべての粒子が、同じ滞留時間を通走時に経るという利点を有している。これに対して撹拌槽の場合、滞留時間は同じでないものの、ここでは粒子が明らかに良好に混合される。それゆえ、すべての粒子の滞留時間が同じである、高い混合具合を達成したい場合、撹拌槽カスケードが使用される。ただし、そのような撹拌槽カスケードは、別個の容器内でのみ実現されることができる。このことは構造的な手間を必然的に伴う。それゆえ、両反応器タイプは、その中で処理される流動性の物質粒子または固体および/または液体の形の物質粒子混合物にその都度影響を及ぼす、制限された可能性を有しているにすぎない。
【0004】
それゆえ本発明の課題は、流動管および撹拌槽の有利な特性を統一した、物理的かつ/または化学的なプロセスのための反応器を提供することである。
【0005】
上記課題は本発明により、入口および出口を備えた、有利には(垂直の)円筒状の容器と、中央の軸と、該軸に配置された、壁の近くまで延在する半径方向の撹拌翼とを備えた、流動性の物質が互いに混合される化学的かつ物理的なプロセスを実施するための装置でもって解決される。撹拌翼は周方向で見て湾曲して形成されており、撹拌機構としてペア状に(上下に)グループにまとめられており、グループの一方の機構の翼は半径方向で凹面状に湾曲させられており、隣接する機構の翼は半径方向で凸面状に湾曲させられている。
【0006】
そのような解決策の特徴は以下の点にある。管状の反応器を通走する固体または液体の粒子またはガスは、回転方向で見て凹面状の撹拌翼により、垂直方向の中心領域から外方に、管壁に向かって押し遣られる。これに対して、その都度の構造上のグループの、前記撹拌翼の上方または下方に位置する逆方向に成形された翼は、粒子またはガスを再度内方に搬送する。同時に、翼のエッジに、変向された流れの糸筋が生じる。その結果、全体的に粒子は閉鎖された螺線の運動を通走する。そのような反応器が静的に運転されるのではなく、垂直の流動が例えばポンプによりまたは重力下で生ぜしめられると、極めて良好な混合の他に、著しく均質な滞留時間分布の利点も生じる。このことはもちろん、従来慣用の反応器に対して明らかに減じられた構造サイズにもつながる。
【0007】
そのような本発明による反応器は特に均質な混合物を製造したり、固体状かつ/または液体状かつ/またはガス状の物質間の反応を実施したり、加熱または冷却したり、粒子およびこれに類するものを被覆したりするために使用されることができる。その簡単な構造はもちろん高圧下または高温下でのプロセスも許可する。
【0008】
別の極めて特別な利点は、極めて正確にプロセスに影響を及ぼす可能性にある。
【0009】
上に述べたように、管状の反応器を通走する際の、粒子の滞留時間が極めて均質であるので、高さに関して、種々異なる手段、例えば領域毎に物質の冷却、添加または導出が実施されることもできる。例えば固体粒子が反応器内で処理される場合、ガスを用いた横方向でのパージが実施されることができる。ただし、種々異なる反応成分を伴う複数の反応ステップが執り行われることもできる。
【0010】
別の改善、すなわち特に、より迅速な混合およびより狭い滞留時間分布は、翼がその自由な端部に向かって先細りしている場合、例えば翼の台形状の形状により達成されることができる。このことは、周速度の、半径方向での増加を考慮する。
【0011】
やはり、横方向搬送は翼の螺線状の湾曲、有利には対数螺線またはアルキメデスの螺線の形をした湾曲により改善されることができる。
【0012】
さらに、翼は、垂直方向の搬送を達成するために、翼を支持する軸の長手方向軸線に対してある角度を置いて取り付けられていることもできる。例えば、撹拌機構の翼は逆方向に、混合を強化するために物質をその作用領域でぶつかり合わせるように取り付けられていることができる。
【0013】
反応器内容物の成分に影響を及ぼす別の可能性は、個々の撹拌機構の間、すなわちその都度撹拌機ペアの間に遮断ディスクが配置されており、遮断ディスクが通走時に物質を外方に管壁へと案内するもしくは乱流を平滑化するようになっている場合に得られる。
【0014】
特に有利には、そのような反応器により、ポリオレフィンの製造が実現される。
【0015】
その際に利用される効果は、撹拌翼グループの作用が、改良された撹拌槽と同等であり、デッドゾーンが存在せず、反応成分であるモノマー、ポリマーおよび触媒の極めて高い相対速度が存在することであり、その結果、第1のグループを後にしたすべての生成物が同程度の反応を示しており、特にその際に背景技術に比べて均質な温度分布が生じる。
【0016】
ポリオレフィン、特にポリプロピレンを製造する現行の方法は入手可能な文献に詳細に説明されている。
流動層反応器については例えば:
Union Carbide Corp.の『US4003712号明細書』、
Sumitomo Chem.Corp.LTDの『EP1080782号明細書』に、
溶解プロセスについては例えば:
Dow chem.Corp.の『WO97/36942号パンフレット』に、
循環式のマルチゾーン反応器については例えば:
Montell Technology CO BV(Basell)の『WO97/04015号パンフレット』に、
撹拌式の気相反応器については例えば:
Standard Oil COの『US4921919号明細書』、
BASF AGの『US3639377号明細書』に
記載されている。
【0017】
反応器のための混合機構は例えば『DE1218265号明細書』または『WO99/29406号パンフレット』に記載されている。
【0018】
記載されたすべての方法は、反応熱を迅速かつ一様に導出することを目的としている。流動層反応器では、このことが、比較的大きなガス量と、粒子相互の高い相対速度とにより実現される。この方法の欠点は、既に述べたように高いガス量である。一般に、このために反応ガスには著しい割合のキャリヤガスが混合される。キャリヤガスは引き続いて再回収されなければならない。さらに、必要な高いガス速度を生ぜしめるための装置は相対的に高価であり、反応器はポリマー層を形成する傾向にある。
【0019】
溶解プロセスが有する欠点は、使用される溶剤がポリマーから除去され、回収されなければならない点にある。記載されたすべてのプロセスで、ポリマーは著しく逆混合される。その結果、これらのプロセスは、連続的に運転される撹拌槽により説明されることができる。その種の逆混合されるプロセスは、反応ゾーン内のポリマー粒子の滞留時間にわたって、ポリマー組成の制限されたコントロールのみを許可する。さらに、そのようなプロセスでは、ポリマー粒子の、少なくない部分が、反応の早期的な時点で既に、再び反応器から除去されてしまう。このことは低い触媒利用度につながる。
【0020】
別の重要な観点は、反応器内で生成物Aから生成物Bへの変換時に生じる移行材料の量である。このことは実質的に反応器システムの滞留時間特性により規定されている。
【0021】
図5には、1つのクラシカルなCSTRの滞留時間特性が示されている。
【0022】
図5に見て取ることができるように、CSTR内での材料特性Fの生成物移行のために、約3の滞留時間が必要である。これは、少なくとも部分的にカスケードの関係を有している反応器、例えばループ反応器または横型の(垂直型の)反応器では、異なって構成される。
【0023】
図6には、ループ反応器またはV−CSTR反応器の滞留時間特性が示されている。
【0024】
図6に見て取ることができるように、材料移行は、理論的にn=4CSTRのカスケードを有するループ反応器もしくはV−CSTR反応器の場合の材料特性Fに関して説明されることができる。それでも約2の滞留時間が全カスケードにわたって生成物移行のために必要とされることは欠点である。
【0025】
本発明による反応器は以下の要求を満たす:
−ポリマー粒子相互の高い相対速度
−反応器軸線に対して横方向でのポリマー粒子の高い相対速度
−最少の逆混合を有する反応中のポリマー粒子の体積膨張に対して比例的な、反応器軸線の方向でのポリマー粒子の速度。
【0026】
前記性能プロフィールに基づいて、以下の特徴を有するシステムが開発された。すなわち、セグメント(グループ)に分割されている垂直の撹拌反応器である。反応の実施にとって、生成物の、主な流れが上方に向かって実施されるか、または下方に向かって実施されるかどうかは重要でない。反応器は少なくとも2個、有利には4個、特に有利には12個よりも多くの理論的なセグメントから成る。個々のセグメントのために、以下の考察が有効である(図7参照)。
【0027】
セグメントの構成は主にガス速度に対応させられている。反応器の運転点は、ガス速度0と、有利には流動化点でのガス速度の0.5倍〜0.8倍の範囲にある流動化限界との間の範囲に位置する。
【0028】
そのような反応器システムの滞留時間特性は生成物特性Fに関するグラフ(図8参照)により説明されることができる。
【0029】
そのような類の反応器システムは1よりも短い滞留時間での生成物移行を可能にする。
【0030】
各セグメントは撹拌機構を装備している。撹拌機構は水平方向の効果的な混合を可能にし、ひいては全反応室にわたっての冷却媒体の均等な配分ならびに粒子相互の高い相対速度を保証する。混合特性を達成することができる撹拌機構は、上に述べたように、例えば対数螺線の形状を有している。その際、撹拌機先端および撹拌機軸線の領域の横断面形状および構成は、材料の流れが縁部ゾーン、すなわち撹拌機の最も外側の作業領域および最も内側の作業領域でも十分に保証されたままであるようになっている。特別な利点は、アルキメデスの螺線形状または対数螺線形状を有する撹拌機が自己清浄化性である点にある。
【0031】
セグメントの高さおよび直径は、反応器幾何学形状の選択と撹拌機構の配置および形状付与とにより、触媒系のその都度の速度論に適合されることができる。
【0032】
触媒系のパージの領域で、触媒をより良好に混合し、かつ効果的に熱導出するために、逆混合されるゾーンが設けられることができる。この事例では、撹拌機構が相応に改変される。この目的のために、例えば流動障害物または撹拌機軸線の方向での混合を強いる別の取付部材が適している。
【0033】
反応熱を導出するための冷却媒体として、有利には液体のモノマーが使用される。有意義であるならば、反応現象に参加しない不活性の成分が使用されることもできる。最も簡単な事例では、冷却媒体が下方から反応器内に調量され、生成物の主流動方向とは無関係に、上方から取り出される。やはり、冷却媒体および/または別の反応成分、例えばモノマー、触媒、活性剤、抑制剤等のための別個の調量箇所を備えた個別的なセグメントが設けられることができる。さらに、セグメント内の冷却媒体または反応成分の取り出しによりガス組成に影響を及ぼす可能性が存在する。同じことは、反応器内のガス組成を隔離するためにセグメントの間に遮断媒体を使用することにも有効である。
【0034】
以下に添付図面を参照しながら本発明の実施例について詳説する。
図1:流動特性を背景技術との比較の上で示す図である。
図2:本発明による反応器の原理的な構造を示す図である。
図3:不活性ガスを用いたポリオレフィンのパージを示す図である。
図4:撹拌機構を示す図である。
【0035】
図1左には、流動性の媒体が、従来慣用の中央の垂直な撹拌機構を備えた、縦型の円筒状の容器1を通過する際の、媒体の流動特性が示されている。撹拌機構は、駆動される同軸的な軸上に配置されている。流速は主に縁部摩擦の結果として内側から外側にかけて減少する。その結果、中央の粒子は反応器を、縁部領域に存在する粒子よりも明らかに早く後にする。すなわち、滞留時間は著しく不等である。
【0036】
図1右には、本発明による手法の効果が見て取れる。すべての粒子の流速は等しい。粒子は反応器を、閉じたフロントで押出し流れとして、ただし反応器軸線に対して横方向で永久的に混合されつつ通過する。それゆえ、反応速度、熱伝達およびこれに類するものを考慮しつつ、外側からまたは中空軸を介して別の反応成分または反応抑制剤が添加されることができるゾーンが規定され、例えば多段式の反応が、唯一の反応器ハウジング内で実施されるか、または種々異なる反応パラメータ、例えば温度や濃度が1つの反応器ハウジング内で変更される。
【0037】
この関係は、反応器の、有利には縦型の配置に、さらには横型の配置または傾斜型の配置にも当てはまる。
【0038】
図2には、本発明による反応器の原理的な構造が見て取れる。
【0039】
本発明による反応器は、中央の軸2を備えた、特に縦型の円筒状の容器1から成る。軸2は中空に形成されていることもできる。軸2は撹拌機構5,6として撹拌翼3,4を支持している。撹拌翼3,4はその都度、上下に位置していて互いに作用し合うグループ7にまとめられている。翼3,4は逆方向に螺線状に湾曲させられている。その結果、一方の撹拌機構5は、実質的に半径方向外側に向かって方向付けられた搬送を生ぜしめ、他方の撹拌機構6は、実質的に半径方向内側に向かって方向付けられた搬送を生ぜしめる。有利には、撹拌機構5と撹拌機構6との間の間隔Aは、グループ7相互の間隔Bよりも小さい。撹拌翼3,4と容器の内壁との間の遊びaは、反応器を通過する粒子サイズに合わせて調整されている。すなわち、この遊びaは粒子のサイズが大きくなると流動方向で増加させられることができる。
【0040】
反応器の出口における流速を高めるために、反応器は底8の近傍で円錐形に形成されていることができる。中空軸および相応の出口開口(図示せず)もしくは中空に形成された撹拌翼を介して、プロセス中に物質が送り込まれるまたはここから取り出されることができる。
【0041】
図3には、本発明による反応器の別の応用が示されている。
【0042】
触媒反応により図3で得られ、触媒により成長させられたポリオレフィン粒子は、未反応の成分を、ガス状のモノマーに有している。
【0043】
この未反応の成分は後続の処理前に除去されなければならない。このために、生成物は(連続的に)、類似の撹拌翼グループを装備した第2の反応器に移送され、不活性ガスにより、軽い過圧時または大気圧時に、集中的な撹拌の下でパージ(掃気)される。さらに、流動管に等しい滞留時間特性は、絶対的に一様なガス抜きを提供する。
【0044】
不活性ガス(N)は逆流で、例えば底を介して導入されるか、または前に指摘した通り、中空軸および撹拌翼を介して導入されることができる。
【0045】
原理的に、同時にまたは引き続いて、ポリマーに添加剤、例えば着色剤を添加することが可能である。添加剤はやはり極めて均質にポリマーと混合される。
【0046】
図4には平面図で、撹拌機構の種々異なる構成が示されている。ただし、同じ方向で湾曲させられた翼3は、逆方向で湾曲させられた翼4とは異なる平面内に位置する。
【0047】
有利には、撹拌翼ペアが使用される。撹拌翼ペアは十字に配置されていることもできる。回転速度に応じて、翼の湾曲、すなわち曲率は強く構成されたり、弱く構成されたりすることができる。1つのグループ内の翼を、隣接する平面内で互いにずらして配置することも可能である。
【0048】
後続の実施例は、例えば図2に示したような反応器内でのポリプロピレンの製造について説明するものである。
【0049】
使用される原料は以下の通りである:
プロピレン:有利には>99.8%の純度を有するポリマーグレード、
触媒:第4世代のチーグラー触媒またはポリプロピレンの製造のために適した別の触媒、
アルキル:有利にはトリエチルアルミニウム、
ドナー:有利には一般式RR′Si(OMe)のジアルキルジアルコキシシランのグループのシラン(ただし、R,R′は同種であっても異種であってもよく、例えばアルキル、イソアルキル、アリール、シクロアルキルである。本例では、シクロヘキシル−メチル−ジメトキシシランが使用される。)、
水素:最高純度。
【0050】
16.3mの長さと、1.74mの始端直径D2と、0.7mの終端直径と、12mの有効容積とを有していて、400kg/mの平均的な嵩密度のポリマー粉末で満たされていて、連続的に運転されている反応器(トップダウン)内で、触媒が連続的に上方から撹拌床上に調量される。触媒はプロピレン中に懸濁されており、10%の濃度を有する懸濁として、1t/hの量の純粋なプロピレンを用いて反応器内にもたらされる。撹拌速度は24rpmである。やはり上方から、新たに調量される全プロピレン1t当たり250gの量のトリエチルアルミニウム(アルキル)と、新たに調量される全プロピレン1t当たり21gの量のシクロヘキシル−メチル−ジメトキシシランが調量される。その結果、アルキル/ドナーのモル比は20/1に調節される。後からのプロピレンは重合による消費に応じて圧力調整式に下方から反応器内に供給される。反応器圧力はこの調整されたモノマー流により30バールに維持される。温度調整は、グループ(撹拌機ペア)毎に、例えば側方から、測定された温度に応じて、液体のプロピレンが冷却のために供給されるように実施される。冷却のために使用される全プロピレンは反応器キャップを介して冷却器内にもたらされる。冷却器内で、プロピレンは凝縮され、ポンプにより再び個々の調量箇所にもたらされる。冷却ガスの、最も下位の流れの中には、新たに使用されるプロピレン1t当たり62gの量の水素が調量される。水素はポリマー分子量のための調節剤として役立つ。やはり下方から、5.1t/hの量の新たなプロピレンが調量される。形成されたポリマーの取り出しは連続的に、適当な排出装置を介して、反応器の充填状態が一定に保たれるように実施される。充填状態を測定するために、ばら材料の充填状態を測定するための一般的な方法が使用されることができる。排出されるポリマーの平均的な量は、1hというポリマーの平均的な滞留時間に応じて、4.8t/hである。得られたポリマーは以下の特性を有している。
MFI(メルトフローインデックス):12g/10min.(ASTM D1238)
XL(キシレン溶解率):2.2%(ASTM D5492)
平均的な嵩密度:440g/l(ASTM D1895)
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】流動特性を背景技術との比較の上で示す図である。
【図2】本発明による反応器の原理的な構造を示す図である。
【図3】不活性ガスを用いたポリオレフィンのパージを示す図である。
【図4】撹拌機構を示す図である。
【図5】クラシックなCSTRの滞留時間特性を示す図である。
【図6】ループ反応器またはV−CSTR反応器の滞留時間特性を示す図である。
【図7】本発明による反応器システムのセグメントを説明する図である。
【図8】最少の逆混合を有する反応器の滞留時間特性を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性の物質が互いに混合される化学的かつ物理的なプロセスを実施するための装置であって、入口および出口を備えた、有利には(垂直の)円筒状の容器(1)と、中央の軸(2)と、該軸(2)に配置された、壁の近くまで延在する半径方向の撹拌翼(3;4)とが設けられている形式のものにおいて、
a)撹拌翼(3;4)が周方向で見て湾曲して形成されており、
b)撹拌翼(3;4)が撹拌機構(5;6)としてペア状に上下にグループ(7)にまとめられており、
c)グループ(7)の一方の機構(5)の翼(3)が半径方向で凹面状に湾曲させられており、他方の機構(6)の翼(4)が半径方向で凸面状に湾曲させられている、
ことを特徴とする、セグメント化された撹拌反応器。
【請求項2】
翼(3;4)がその自由な端部に向かって先細りしている、請求項1記載の撹拌反応器。
【請求項3】
翼(3;4)の湾曲が螺線の形状を有している、請求項1または2記載の撹拌反応器。
【請求項4】
湾曲が対数螺線またはアルキメデスの螺線である、請求項3記載の撹拌反応器。
【請求項5】
翼(3;4)が、物質を軸方向で垂直に搬送するために、軸方向で取り付けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載の撹拌反応器。
【請求項6】
撹拌機構の翼(3;4)が逆方向の取付角度を有している、請求項5記載の撹拌反応器。
【請求項7】
撹拌機構のグループの間に遮断部材が配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の撹拌反応器。
【請求項8】
容器壁に、反応成分および/または冷却剤を流動性の物質内に供給するための、間隔を置いた入口および出口が配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の撹拌反応器。
【請求項9】
ポリマーを管状の反応器内で製造する方法において、反応成分を軸方向で反応器内を通走させ、隣接する、逆方向で湾曲させられた撹拌翼のペアにより、実質的に反応器軸線に対して垂直に、反応器軸線に向かって一度かつ反応器軸線から離れるように一度搬送し、その際に、反応成分を集中的に混合することを特徴とする、ポリマーを製造する方法。
【請求項10】
反応器内にオレフィンポリマーを装入し、オレフィンポリマーにモノマーおよび触媒系を添加する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
反応器内容物を、液体のモノマーの添加により冷却し、モノマーを蒸発させ、モノマーをガスで取り出す、請求項10記載の方法。
【請求項12】
液体のモノマーを複数の箇所で、ポリマーの搬送方向で見て相前後して、反応器内に送り込む、請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
部分的に反応器内に、外側からまたは撹拌翼を支持する中空軸を介してまたは翼を介して、遮断ガスを導入し、遮断ガスを半径方向で取り出す、請求項10から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
反応器を後にした生成物を、類似の撹拌翼ペアを備えた第2の反応器内に移送し、第2の反応器内で、不活性ガス、有利には窒素によるパージにより残留モノマーを除去する、請求項10から13までのいずれか1項記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性の物質が互いに混合される化学的かつ物理的なプロセスを実施するための装置であって、入口および出口を備えた円筒状の容器(1)と、中央の軸(2)と、該軸(2)に配置された、壁に向かって延在する半径方向の撹拌翼(3;4)とが設けられている形式のものにおいて、
a)撹拌翼(3;4)が周方向で見て湾曲して形成されており、
b)撹拌翼(3;4)が撹拌機構(5;6)としてペア状に上下にグループ(7)にまとめられており、
c)グループ(7)の一方の機構(5)の翼(3)が半径方向で凹面状に湾曲させられており、他方の機構(6)の翼(4)が半径方向で凸面状に湾曲させられており、
d)翼(3;4)がその自由な端部に向かって先細りしている
ことを特徴とする、セグメント化された撹拌反応器。
【請求項2】
翼(3;4)の湾曲が螺線の形状を有している、請求項1記載の撹拌反応器。
【請求項3】
湾曲が対数螺線またはアルキメデスの螺線である、請求項1または2記載の撹拌反応器。
【請求項4】
翼(3;4)が、物質を軸方向で垂直に搬送するために、軸方向で取り付けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載の撹拌反応器。
【請求項5】
撹拌機構の翼(3;4)が逆方向の取付角度を有している、請求項4記載の撹拌反応器。
【請求項6】
撹拌機構(5;6)のグループの間に遮断部材が配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の撹拌反応器。
【請求項7】
容器壁に、反応成分および/または冷却剤を流動性の物質内に供給するための、間隔を置いた入口および出口が配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の撹拌反応器。
【請求項8】
ポリマーを管状の反応器内で製造する方法において、反応成分を軸方向で反応器内を通走させ、ペア状に上下にグループにまとめられた、逆方向で湾曲させられた撹拌翼により、実質的に反応器軸線に対して垂直に、反応器軸線に向かって一度かつ反応器軸線から離れるように一度搬送し、その際に、反応成分を集中的に混合し、しかも、翼がその端部に向かって先細りしているようにすることを特徴とする、ポリマーを製造する方法。
【請求項9】
反応器内にオレフィンポリマーを装入し、オレフィンポリマーにモノマーおよび触媒系を添加する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
反応器内容物を、液体のモノマーの添加により冷却し、モノマーを蒸発させ、モノマーをガスで取り出す、請求項9記載の方法。
【請求項11】
液体のモノマーを複数の箇所で、ポリマーの搬送方向で見て相前後して、反応器内に送り込む、請求項8から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
部分的に反応器内に、外側からまたは撹拌翼を支持する中空軸を介してまたは翼を介して、遮断ガスを導入し、遮断ガスを半径方向で取り出す、請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
反応器を後にした生成物を、類似の撹拌翼ペアを備えた第2の反応器内に移送し、第2の反応器内で、不活性ガス、有利には窒素によるパージにより残留モノマーを除去する、請求項9から12までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−519897(P2006−519897A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504384(P2006−504384)
【出願日】平成16年1月10日(2004.1.10)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000116
【国際公開番号】WO2004/078329
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(505336127)アーベーベー ルムス グロバール ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1)
【Fターム(参考)】