セラミックヒータ、加熱装置、画像形成装置
【課題】セラミックヒータの長手方向の温度分布の均一化を図る。
【解決手段】長尺板状のセラミック基板11の長手方向が幅で短手方向が長さの発熱抵抗体20と電力供給用の電極12,13を形成する。発熱抵抗体20の両端は、分割して形成された配線パターン141〜143,151〜153をセラミック基板11上で接続する。電極12に形成されたスルーホール181と配線パターン141〜143の長手方向中央に形成されたスルーホール182〜184とを接続パターン16を介してそれぞれ接続する。電極13に形成されたスルーホール191と配線パターン151〜153の長手方向中央に形成されたスルーホール192〜194とを接続パターン17を介してそれぞれ接続する。スルーホール182と192、スルーホール183と193、スルーホール184と194の対向部分の発熱抵抗体20の発熱量を高くし、セラミックヒータの全体の温度分布の均一化を図る。
【解決手段】長尺板状のセラミック基板11の長手方向が幅で短手方向が長さの発熱抵抗体20と電力供給用の電極12,13を形成する。発熱抵抗体20の両端は、分割して形成された配線パターン141〜143,151〜153をセラミック基板11上で接続する。電極12に形成されたスルーホール181と配線パターン141〜143の長手方向中央に形成されたスルーホール182〜184とを接続パターン16を介してそれぞれ接続する。電極13に形成されたスルーホール191と配線パターン151〜153の長手方向中央に形成されたスルーホール192〜194とを接続パターン17を介してそれぞれ接続する。スルーホール182と192、スルーホール183と193、スルーホール184と194の対向部分の発熱抵抗体20の発熱量を高くし、セラミックヒータの全体の温度分布の均一化を図る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報機器、家電製品や製造設備などの小型機器類に装着されて用いられる薄型のセラミックヒータおよびこのセラミックヒータを実装したプリンタ、複写機、ファクシミリやリライタブルカードリーダライタなどの加熱装置ならびにこの加熱装置を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のセラミックヒータは、セラミック基板の長手方向が幅で短手方向が長さの発熱抵抗体の発熱を、セラミック基板の長手方向に対して均一にするために、発熱抵抗体の長さ方向両端は、配線パターンにそれぞれ接続している。電極から配線パターンに電力を供給させる場合に、複数のスルーホールを用いて配線パターンと電極とを接続することで電流の傾きを小さくすることで、セラミック基板の長手方向の発熱量の均一化が図られている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−311135公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1の技術は、電力が供給される電極から配線パターンに形成された各スルーホールとの距離の違いによる抵抗値に違いで温度分布の傾きが生じ、ヒータ全体としては長手方向の温度分布に傾きが生じてしまう、という問題があった。
【0005】
この発明の目的は、長手方向の温度分布の均一化を図ることが可能なセラミックヒータ、このヒータを用いた加熱装置、この加熱装置を用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、この発明のセラミックヒータは、長尺平板状の耐熱性で絶縁性のセラミック基板と、前記セラミック基板上に形成され、該セラミック基板の短手方向が長さで長手方向が幅の発熱抵抗体と、前記発熱抵抗体の長手方向両端に沿って形成し、前記発熱抵抗体の両端と接続した第1および第2の配線パターンと、前記セラミック基板上の一面側にそれぞれ形成し、電力が供給される第1および第2の電極と、前記発熱抵抗体が形成された反対面にそれぞれ形成された第1および第2の接続パターンと、前記第1の電極と第1の配線パターンを前記第1の接続パターンを介してそれぞれ接続させ、前記第2の電極と第2の配線パターンを前記第2の接続パターンを介してそれぞれ接続させるスルーホールと、を具備し、前記第1の配線パターンは、長手方向に複数に分割し、分割された複数の配線パターンのそれぞれと前記接続パターンをとスルーホールを介して接続し、前記第2の配線パターンは、長手方向に複数に分割し、分割された複数の配線パターンのそれぞれと前記接続パターンをとスルーホールを介して接続したことを特徴とする。
【0007】
この発明の加熱装置は、請求項1〜4の何れかに記載のセラミックヒータと、前記セラミック基板に対向配置し、該セラミック基板を圧接するように回転可能に支持された加圧ローラと、前記セラミック基板と前記加圧ローラとの間を設けられ、前記加圧ローラの回転に伴い前記セラミック基板上を摺動する定着フィルムと、を具備したことを特徴とする。
【0008】
この発明の画像形成装置は、媒体に形成された静電潜像にトナーを付着させてこのトナーを用紙に転写して所定の画像を形成する形成手段と、画像が形成された用紙を加圧ローラにより定着フィルムを介して前記ヒータに圧接しながら通過させることによって、トナーを定着するようにした請求項5記載の加熱装置と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、セラミックヒータの、長手方向の温度分布の均一化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明のセラミックヒータに関する第1の実施形態について説明するための、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図2】図1のIa−Ib線断面図である。
【図3】この発明の第1の実施形態の効果について説明するために模式的に示した説明図である。
【図4】この発明のセラミックヒータに関する第2の実施形態について説明するための、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図5】図1のIIa−IIb線断面図である。
【図6】図1のIIc−IId線断面図である。
【図7】この発明の第2の実施形態の効果について説明するために模式的に示した説明図である。
【図8】この発明のセラミックヒータに関する第3の実施形態について説明するための、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図9】図8のIIIa−IIIb線断面図である。
【図10】図8のIIIc−IIId線断面図である。
【図11】図8のIIIe−IIIf線断面図である。
【図12】この発明の第3の実施形態の効果について説明するために模式的に示した説明図である。
【図13】この発明の加熱装置に関する一実施形態について説明するための説明図である。
【図14】この発明の画像形成装置に関する一実施形態について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1、図2は、この発明のセラミックヒータに関する第1の実施形態について説明するための、図1(a)は正面図、図1(b)は背面図、図2は図1のIa−Ib線の断面図である。
【0013】
以下の各実施形態において、この実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0014】
まず、図1(a)において、11は、厚みが0.5mm〜1.0mm程度の耐熱、電気絶縁性材料で、高い熱伝導性を有する例えばアルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)等の高剛性のセラミック製の平板短冊状のセラミック基板である。セラミック基板11の長手方向の一端側に形成された12,13は、それぞれ銀系等を主体とする良導電体膜からなる給電用の電極である。
【0015】
141〜143は、セラミック基板11の長手方向の一辺に沿って非接触状態で配置し、銀(Ag)の含有率が90wt%以上の材料で形成された配線パターンである。151〜153は、セラミック基板11の長手方向の他辺の配線パターン141〜143と平行し非接触状態で配置し、銀(Ag)の含有率が90wt%以上の材料で形成された配線パターンである。対向する配線パターン141〜143と配線パターン151〜153は、同形状とする。
【0016】
電極12,13および配線パターン141〜143,151〜153は、セラミック基板11長手方向の片側の面に別々の状態でそれぞれが形成する。これら電極12,13および配線パターン141〜143,151〜152は、導電ペーストをセラミック基板11上に塗り、これを焼成することによりセラミック基板11上に固着させた状態で形成することができる。
【0017】
図1(b)に示すように、配線パターン141〜143の長手方向とセラミック基板11を挟んだ対向位置には、電極12と配線パターン141〜143を接続させるための接続パターン16を形成する。同様に、配線パターン151〜153の長手方向とセラミック基板11を挟んだ対向電極12の近傍には、電極13と配線パターン151〜153を接続させるための接続パターン17を形成する。
【0018】
そして、図2にも示すように、電極12と接続パターン16はスルーホール181を介して電気的に接続する。電極13と接続パターン17はスルーホール191を介して電気的に接続する。
【0019】
配線パターン141の長手方向の中間部にはスルーホール182が、配線パターン142の長手方向の中間部にはスルーホール183が、配線パターン143の長手方向の中間部にはスルーホール184がそれぞれ形成される。
【0020】
スルーホール182の配線パターン14形成面の反対側は、接続パターン16と一体的に接続する。スルーホール183の配線パターン14形成面の反対側は、接続パターン16と一体的に接続する。スルーホール184の配線パターン14形成面の反対側は、接続パターン16と一体的に接続する。
【0021】
配線パターン151の、長手方向の中間部にはスルーホール192を、配線パターン152の長手方向の中間部にはスルーホール192を、配線パターン153の長手方向の中間部にはスルーホール193をそれぞれ形成する。
【0022】
スルーホール192の配線パターン151形成面の反対側は、接続パターン17と一体的に接続する。スルーホール193の配線パターン152形成面の反対側は、接続パターン17と一体的に接続する。スルーホール194の配線パターン153形成面の反対側は、接続パターン17と一体的に接続する。
【0023】
スルーホール182と192、スルーホール183と193、スルーホール184と194は、それぞれセラミック基板11の通紙される方向と同一線上に形成される。
【0024】
20は、配線パターン141〜143と配線パターン151〜153との間のセラミック基板11の長手方向に沿って平行に形成された比較的抵抗値の高い酸化ルテニウム(RuO2)等の抵抗体ペーストをスクリーン印刷した後、高温で焼成して所定の抵抗値を有する膜厚が10μm程度の幅広の発熱抵抗体である。
【0025】
配線パターン141〜143および発熱抵抗体20と配線パターン151〜153と発熱抵抗体20は、図2にも示すように、一部が重層形成されている。この場合の重層部分は、発熱抵抗体20を配線パターン141〜143それに配線パターン151〜153に対して上側に配置する関係にしてある。この関係は逆でも構わない。
【0026】
21は、配線パターン141〜143,151〜153および発熱抵抗体20を覆うように形成され、ガラス層厚が20μm〜100μm程度で、熱伝導率が例えば2W/m・K以上のアルミナ等熱伝導性の優れた無機酸化物フィラーを25wt%〜35wt%加えることで、摺動性を向上させたガラス等のオーバーコート層である。オーバーコート層21は、配線パターン141〜143,151〜153および発熱抵抗体20を機械的、化学的、電気的に保護する。被加熱体である用紙は、オーバーコート層21上を摺動させ加熱されながらセラミック基板11の短手方向に搬送させる。
【0027】
ここで、電極12からスルーホール181を介して接続パターン16に供給させた電力は、スルーホール182、配線パターン141を介して発熱抵抗体20の一方に、スルーホール183、配線パターン142を介して発熱抵抗体20の一方に、スルーホール183、配線パターン143を介して発熱抵抗体20の一方にそれぞれ供給する。
【0028】
電極13からスルーホール191を介して接続パターン17に供給させた電力は、スルーホール192、配線パターン151を介して発熱抵抗体20の一方に、スルーホール193、配線パターン152を介して発熱抵抗体20の一方に、スルーホール193、配線パターン153を介して発熱抵抗体20の一方にそれぞれ供給する。
【0029】
これによりセラミック基板11の短手方向が長さの発熱抵抗体20の両端に電力が通電されると、発熱抵抗体20は発熱を開始する。
【0030】
電極12,13から供給された電力は、スルーホール182〜184を介して配線パターン141〜143とスルーホール192〜194を介して配線パターン151〜153との間にある発熱抵抗体20に印加する。
【0031】
このとき、図1(a)の矢印で示す破線枠a〜dに示す部分の発熱抵抗体20ではスルーホール182とスルーホール192、スルーホール183とスルーホール193、スルーホール183とスルーホール193、スルーホール184とスルーホール194との間が距離が最短であるため抵抗値が小さく電流が流れ易く発熱量が増加する。
【0032】
ここで、この発明の第1の実施形態の効果について、模式的に示した図5の説明図を参照しながら説明する。
【0033】
図5に示すように、従来のセラミックヒータは電極に近い側と遠い側との接続パターンの長さの違い、換言すれば抵抗値の違いにより温度分布に傾きが生じる。この発明の場合のセラミックヒータは、図1(a)の破線枠a〜cの領域に相当する、対向位置関係にあるスルーホールの最短部分は、発熱量が高くなる。このため、図5に示す温度分布のように、破線枠a〜cに相当する部分の温度が高くなる。高くなる破線枠a〜cは、セラミック基板の長手方向の3箇所にあり、発熱抵抗体20の全体としては温度の均一化に寄与する。
【0034】
この実施形態では、セラミック基板の長手方向における温度分布の均一化に寄与するとともに、この温度分布を均一化する手段を通紙面と反対側に施していることから通紙にともなう温度分布の変化の影響を抑えることが可能となる。
【0035】
図4〜図6は、この発明のセラミックヒータに関する第2の実施形態について説明するための、図4(a)は正面図、図4(b)は背面図、図5は図4のIIa−IIb線の断面図、図6は図4のIIc−IId線の断面図である。
【0036】
この実施形態は、配線パターン142の長さを、配線パターン141,143に比べて長くし、配線パターン151,153の長さを、配線パターン152に比べて長くしたものである。このため、配線パターン141〜143の長手方向中間部に形成された、スルーホール182,192とスルーホール183,193とスルーホール184,194はそれぞれセラミック基板11の通紙方向に対して同一線上から外れ、やや斜めの位置関係となる。
【0037】
ここで、この発明の第2の実施形態の効果について、模式的に示した図7の説明図を参照しながら説明する。
【0038】
すなわち、温度が高くなる部分の幅が、セラミック基板11の長手方向に対して第1の実施形態に比べて広くなることから、図7の実線で示すように、温度分布の高くなる部分がややなだらかとなり、全体としてより均一化を図ることが可能となる。
【0039】
図8〜図11は、この発明のセラミックヒータに関する第3の実施形態について説明するための、図8(a)は正面図、図8(b)は背面図、図9は図8のIIIa−IIIb線断面図、図10は図8のIIIc−IIId線断面図、図11は図8のIIIe−IIIf線断面図である。
【0040】
この実施形態は、セラミック基板11の長手方向の一辺に沿って3分割された配線パターン141〜143を、セラミック基板11の長手方向の他辺の配線パターン141〜143と平行に、2分割された配線パターン154,155をそれぞれ形成する。配線パターン141〜143と配線パターン154,155間に、発熱抵抗体20を接続している。
【0041】
配線パターン141〜143は、例えばそれぞれ長さを同じにするとともに、全体が発熱抵抗体20の幅方向にちょうど収まる長さとする。同様に、配線パターン154,155は、例えばそれぞれの長さを同じにするとともに、全体が発熱抵抗体20の幅方向にちょうど収まる長さとする。
【0042】
スルーホール182は配線パターン141の長手方向の電極12と近い側に、スルーホール183は配線パターン142の長手方向の中間部に、スルーホール184は配線パターン143の長手方向の電極12と遠い側にそれぞれ形成する。
【0043】
配線パターン154に形成されたスルーホール195は、配線パターン141と142のギャップ81と対向する位置に、配線パターン155に形成されたスルーホール196は、配線パターン142と143のギャップ82と対向する位置にそれぞれ形成する。
【0044】
スルーホール182〜183は、接続パターン16に、スルーホール195,196は、接続パターン17にそれぞれ電気的に接続する。
【0045】
スルーホール182〜184とスルーホール195,196は、図8(a)に示すようにセラミック基板11の長手方向に千鳥状の格好で配置される。
【0046】
ここで、電極12からスルーホール181を介して接続パターン16に供給させた電力は、スルーホール182、配線パターン141を介して発熱抵抗体20の一方に、スルーホール183、配線パターン142を介して発熱抵抗体20の一方に、スルーホール183、配線パターン142を介して発熱抵抗体20の一方にそれぞれ供給する。
【0047】
電極13からスルーホール191を介して接続パターン17に供給させた電力は、スルーホール195、配線パターン154を介して発熱抵抗体20の他方に、スルーホール196、配線パターン155を介して発熱抵抗体20の他方にそれぞれ供給する。
【0048】
これにより、セラミック基板11の短手方向が長さの発熱抵抗体20の両端に電力が通電されると、発熱抵抗体20は発熱を開始する。
【0049】
電極12,13から供給された電力は、スルーホール182〜184を介して配線パターン141〜143とスルーホール195,196を介して配線パターン154,155との間にある発熱抵抗体20に印加する。
【0050】
このとき、図8(a)の矢印で示す破線枠a,b1,b2,cに示す部分の発熱抵抗体20ではスルーホール182とスルーホール195、スルーホール183とスルーホール195、スルーホール18あとスルーホール196、スルーホール184とスルーホール196との間が他の部分に比べて電流が流れ易く発熱量が増加する。
【0051】
より斜めの発熱量が高い部分は、セラミック基板11の長手方向を繋ぐ状態で発熱抵抗体20の全域を発熱量が高い部分でカバーされることになり、発熱抵抗体20の長手方向の全域における均一な発熱分布を得ることができる。
【0052】
このように、分割された配線パターン長はヒータ上下流で異なるものとし、通紙部においてヒータ上下流の導体の分割部と対向する導体のスルーホールが長手で同じ位置とすることで、傾きの小さい平滑な発熱分布を得ることができる。
【0053】
ここで、この発明の効果について説明するために模式的に示した図12の説明図を参照しながら説明する。
【0054】
図12に示すように、従来のセラミックヒータは電極に近い側と遠い側との接続パターンの長さの違い、換言すれば抵抗値の違いにより温度分布に傾きが生じる。この発明の場合のセラミックヒータは、図8(a)の破線枠a,b1,b2,cの領域において温度が高くできることから図12の温度分布に示されるように、破線枠a,b1,b2,cに相当する部分の温度が高くなり、発熱抵抗体20の全体の温度の均一化を図ることが可能となる。
【0055】
また、スルーホール182と184は、発熱抵抗体20の幅方向の両側近傍に位置していることから、この部分での温度が上がりより広い温度分布が得られる。
【0056】
この実施形態では、セラミック基板の長手方向におけるより広い範囲の温度分布の均一化を図ることができるとともに、この温度分布を均一化する手段を通紙面と反対側に施していることから通紙にともなう温度分布の変化の影響を抑えることが可能となる。
【0057】
図13は、この発明の加熱装置に関する一実施形態について説明するための上記したセラミックヒータ100をヒータ支持体に取り付けたヒータユニットを加熱装置200に実装した場合の断面図である。図中100については、図1、図2で説明したセラミックヒータであり、同一部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0058】
図13において、201は、ポリイミド樹脂等の耐熱性のフィルムをロール状にして循環自在に巻装された円筒状の定着フィルムである。この定着フィルム201は、支持体202の底部にセラミックヒータ100を固着させ、セラミックヒータ100に電力を供給させ、加熱したセラミックヒータ100に形成されたオーバーコート層21に圧接加熱しながら移動させる。
【0059】
203は、その表面に耐熱性弾性材料である、たとえばシリコーンゴム層204が嵌合してある加圧ローラであり、加圧ローラ203の回転軸205と対向してセラミックヒータ100が、定着フィルム201と並置して図示しない基台内に取り付けられている。加圧ローラ203は、定着フィルム201と相互に圧接させることで、発熱抵抗体20と加圧ローラ203とで形成されるニップ部Nを形成するとともに、作動時にはそれぞれを矢印の方向に回転させる。
【0060】
このとき、オーバーコート層21上に配置された定着フィルム201面とシリコーンゴム層204との間で、トナー像To1がまず定着フィルム201を介してセラミックヒータ100により加熱溶融され、少なくともその表面部は融点を大きく上回り完全に軟化して溶融する。この後、加圧ローラ203の用紙排出側では複写用紙Pがセラミックヒータ100から離れ、トナー像To2は自然放熱して再び冷却固化し、定着フィルム201も複写用紙Pから離反される。
【0061】
この実施形態では、セラミックヒータの長手方向の温度の傾きが抑えられるとともに、発熱部分全体の温度分布の均一化が図られることから、セラミックヒータにより加熱させる被加熱体の加熱ムラを減少させることが可能となる。
【0062】
次に、図14を参照しながら、この発明の加熱装置200が搭載された複写機を例に挙げた場合の、この発明の画像形成装置について説明する。図中、加熱装置200の部分は、図13で説明したもの同じであり、同一部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0063】
図14において、301は複写機300の筐体、302は筐体301の上面に設けられたガラス等の透明部材からなる原稿載置台で、矢印Z方向に往復動作させて原稿P1を走査する。
【0064】
筐体301内の上方向には光照射用のランプと反射鏡とからなる照明装置302が設けられており、この照明装置302により照射された原稿P1からの反射光源が短焦点小径結像素子アレイ303によって感光ドラム304上スリット露光される。なお、この感光ドラム304は矢印方向に回転する。
【0065】
また、305は帯電器で、例えば酸化亜鉛感光層あるいは有機半導体感光層が被覆された感光ドラム304上に一様に帯電を行う。この帯電器305により帯電された感光ドラム304には、結像素子アレイ303によって画像露光が行われた静電画像が形成される。この静電画像は、現像器306による加熱で軟化溶融する樹脂等からなるトナーを用いて顕像化される。
【0066】
カセット307内に収納されている複写用紙Pは、給送ローラ308と感光ドラム304上の画像と同期するタイミングをとって上下方向で圧接して回転される対の搬送ローラ309によって、感光ドラム304上に送り込まれる。そして、転写放電器310によって感光ドラム304上に形成されているトナー像は複写用紙P上に転写される。
【0067】
その後、感光ドラム304上から離れた用紙Pは、搬送ガイド311によって加熱装置200に導かれて加熱定着処理された後に、トレイ312内に排出される。なお、トナー像が転写された後、感光ドラム304上の残留トナーはクリーナ313を用いて除去される。
【0068】
加熱装置200は、複写用紙Pの移動方向と直交する方向に、この複写機300が複写できる最大判用紙の幅(長さ)に合わせた有効長、すなわち最大判用紙の幅(長さ)より長い発熱抵抗体を備えたセラミックヒータ100が、加圧ローラ203の外周に取り付けられたシリコーンゴム層204に加圧された状態で設けられている。
【0069】
そして、セラミックヒータ100と加圧ローラ203との間を送られる用紙P上の未定着トナー像T1は、発熱抵抗体20の熱を受け溶融して複写用紙P面上に文字、英数字、記号、図面等の複写像を現出させる。
【0070】
この実施形態では、発熱抵抗体が形成された部分の温度分布の均一化されたセラミックヒータを備えた加熱装置を用いたことにより、加熱ムラを抑制でき、延いては定着不良を抑制することが可能となる。
【0071】
セラミックヒータの用途としては、複写機等の画像形成装置の定着用に用いたが、これに限らず、家庭用の電気製品、業務用や実験用の精密機器や化学反応用の機器等に装着して加熱や保温の熱源としても使用できる。
【符号の説明】
【0072】
11 セラミック基板
12,13 電極
141〜143,151〜155 配線パターン
16,17 接続パターン
181〜184,191〜196 スルーホール
20 発熱抵抗体
21 オーバーコート層
100 セラミックヒータ
200 加熱装置
201 定着フィルム
203 加圧ローラ
300 複写機
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報機器、家電製品や製造設備などの小型機器類に装着されて用いられる薄型のセラミックヒータおよびこのセラミックヒータを実装したプリンタ、複写機、ファクシミリやリライタブルカードリーダライタなどの加熱装置ならびにこの加熱装置を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のセラミックヒータは、セラミック基板の長手方向が幅で短手方向が長さの発熱抵抗体の発熱を、セラミック基板の長手方向に対して均一にするために、発熱抵抗体の長さ方向両端は、配線パターンにそれぞれ接続している。電極から配線パターンに電力を供給させる場合に、複数のスルーホールを用いて配線パターンと電極とを接続することで電流の傾きを小さくすることで、セラミック基板の長手方向の発熱量の均一化が図られている。(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−311135公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1の技術は、電力が供給される電極から配線パターンに形成された各スルーホールとの距離の違いによる抵抗値に違いで温度分布の傾きが生じ、ヒータ全体としては長手方向の温度分布に傾きが生じてしまう、という問題があった。
【0005】
この発明の目的は、長手方向の温度分布の均一化を図ることが可能なセラミックヒータ、このヒータを用いた加熱装置、この加熱装置を用いた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、この発明のセラミックヒータは、長尺平板状の耐熱性で絶縁性のセラミック基板と、前記セラミック基板上に形成され、該セラミック基板の短手方向が長さで長手方向が幅の発熱抵抗体と、前記発熱抵抗体の長手方向両端に沿って形成し、前記発熱抵抗体の両端と接続した第1および第2の配線パターンと、前記セラミック基板上の一面側にそれぞれ形成し、電力が供給される第1および第2の電極と、前記発熱抵抗体が形成された反対面にそれぞれ形成された第1および第2の接続パターンと、前記第1の電極と第1の配線パターンを前記第1の接続パターンを介してそれぞれ接続させ、前記第2の電極と第2の配線パターンを前記第2の接続パターンを介してそれぞれ接続させるスルーホールと、を具備し、前記第1の配線パターンは、長手方向に複数に分割し、分割された複数の配線パターンのそれぞれと前記接続パターンをとスルーホールを介して接続し、前記第2の配線パターンは、長手方向に複数に分割し、分割された複数の配線パターンのそれぞれと前記接続パターンをとスルーホールを介して接続したことを特徴とする。
【0007】
この発明の加熱装置は、請求項1〜4の何れかに記載のセラミックヒータと、前記セラミック基板に対向配置し、該セラミック基板を圧接するように回転可能に支持された加圧ローラと、前記セラミック基板と前記加圧ローラとの間を設けられ、前記加圧ローラの回転に伴い前記セラミック基板上を摺動する定着フィルムと、を具備したことを特徴とする。
【0008】
この発明の画像形成装置は、媒体に形成された静電潜像にトナーを付着させてこのトナーを用紙に転写して所定の画像を形成する形成手段と、画像が形成された用紙を加圧ローラにより定着フィルムを介して前記ヒータに圧接しながら通過させることによって、トナーを定着するようにした請求項5記載の加熱装置と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、セラミックヒータの、長手方向の温度分布の均一化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明のセラミックヒータに関する第1の実施形態について説明するための、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図2】図1のIa−Ib線断面図である。
【図3】この発明の第1の実施形態の効果について説明するために模式的に示した説明図である。
【図4】この発明のセラミックヒータに関する第2の実施形態について説明するための、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図5】図1のIIa−IIb線断面図である。
【図6】図1のIIc−IId線断面図である。
【図7】この発明の第2の実施形態の効果について説明するために模式的に示した説明図である。
【図8】この発明のセラミックヒータに関する第3の実施形態について説明するための、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【図9】図8のIIIa−IIIb線断面図である。
【図10】図8のIIIc−IIId線断面図である。
【図11】図8のIIIe−IIIf線断面図である。
【図12】この発明の第3の実施形態の効果について説明するために模式的に示した説明図である。
【図13】この発明の加熱装置に関する一実施形態について説明するための説明図である。
【図14】この発明の画像形成装置に関する一実施形態について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1、図2は、この発明のセラミックヒータに関する第1の実施形態について説明するための、図1(a)は正面図、図1(b)は背面図、図2は図1のIa−Ib線の断面図である。
【0013】
以下の各実施形態において、この実施形態と同一の構成部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0014】
まず、図1(a)において、11は、厚みが0.5mm〜1.0mm程度の耐熱、電気絶縁性材料で、高い熱伝導性を有する例えばアルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)等の高剛性のセラミック製の平板短冊状のセラミック基板である。セラミック基板11の長手方向の一端側に形成された12,13は、それぞれ銀系等を主体とする良導電体膜からなる給電用の電極である。
【0015】
141〜143は、セラミック基板11の長手方向の一辺に沿って非接触状態で配置し、銀(Ag)の含有率が90wt%以上の材料で形成された配線パターンである。151〜153は、セラミック基板11の長手方向の他辺の配線パターン141〜143と平行し非接触状態で配置し、銀(Ag)の含有率が90wt%以上の材料で形成された配線パターンである。対向する配線パターン141〜143と配線パターン151〜153は、同形状とする。
【0016】
電極12,13および配線パターン141〜143,151〜153は、セラミック基板11長手方向の片側の面に別々の状態でそれぞれが形成する。これら電極12,13および配線パターン141〜143,151〜152は、導電ペーストをセラミック基板11上に塗り、これを焼成することによりセラミック基板11上に固着させた状態で形成することができる。
【0017】
図1(b)に示すように、配線パターン141〜143の長手方向とセラミック基板11を挟んだ対向位置には、電極12と配線パターン141〜143を接続させるための接続パターン16を形成する。同様に、配線パターン151〜153の長手方向とセラミック基板11を挟んだ対向電極12の近傍には、電極13と配線パターン151〜153を接続させるための接続パターン17を形成する。
【0018】
そして、図2にも示すように、電極12と接続パターン16はスルーホール181を介して電気的に接続する。電極13と接続パターン17はスルーホール191を介して電気的に接続する。
【0019】
配線パターン141の長手方向の中間部にはスルーホール182が、配線パターン142の長手方向の中間部にはスルーホール183が、配線パターン143の長手方向の中間部にはスルーホール184がそれぞれ形成される。
【0020】
スルーホール182の配線パターン14形成面の反対側は、接続パターン16と一体的に接続する。スルーホール183の配線パターン14形成面の反対側は、接続パターン16と一体的に接続する。スルーホール184の配線パターン14形成面の反対側は、接続パターン16と一体的に接続する。
【0021】
配線パターン151の、長手方向の中間部にはスルーホール192を、配線パターン152の長手方向の中間部にはスルーホール192を、配線パターン153の長手方向の中間部にはスルーホール193をそれぞれ形成する。
【0022】
スルーホール192の配線パターン151形成面の反対側は、接続パターン17と一体的に接続する。スルーホール193の配線パターン152形成面の反対側は、接続パターン17と一体的に接続する。スルーホール194の配線パターン153形成面の反対側は、接続パターン17と一体的に接続する。
【0023】
スルーホール182と192、スルーホール183と193、スルーホール184と194は、それぞれセラミック基板11の通紙される方向と同一線上に形成される。
【0024】
20は、配線パターン141〜143と配線パターン151〜153との間のセラミック基板11の長手方向に沿って平行に形成された比較的抵抗値の高い酸化ルテニウム(RuO2)等の抵抗体ペーストをスクリーン印刷した後、高温で焼成して所定の抵抗値を有する膜厚が10μm程度の幅広の発熱抵抗体である。
【0025】
配線パターン141〜143および発熱抵抗体20と配線パターン151〜153と発熱抵抗体20は、図2にも示すように、一部が重層形成されている。この場合の重層部分は、発熱抵抗体20を配線パターン141〜143それに配線パターン151〜153に対して上側に配置する関係にしてある。この関係は逆でも構わない。
【0026】
21は、配線パターン141〜143,151〜153および発熱抵抗体20を覆うように形成され、ガラス層厚が20μm〜100μm程度で、熱伝導率が例えば2W/m・K以上のアルミナ等熱伝導性の優れた無機酸化物フィラーを25wt%〜35wt%加えることで、摺動性を向上させたガラス等のオーバーコート層である。オーバーコート層21は、配線パターン141〜143,151〜153および発熱抵抗体20を機械的、化学的、電気的に保護する。被加熱体である用紙は、オーバーコート層21上を摺動させ加熱されながらセラミック基板11の短手方向に搬送させる。
【0027】
ここで、電極12からスルーホール181を介して接続パターン16に供給させた電力は、スルーホール182、配線パターン141を介して発熱抵抗体20の一方に、スルーホール183、配線パターン142を介して発熱抵抗体20の一方に、スルーホール183、配線パターン143を介して発熱抵抗体20の一方にそれぞれ供給する。
【0028】
電極13からスルーホール191を介して接続パターン17に供給させた電力は、スルーホール192、配線パターン151を介して発熱抵抗体20の一方に、スルーホール193、配線パターン152を介して発熱抵抗体20の一方に、スルーホール193、配線パターン153を介して発熱抵抗体20の一方にそれぞれ供給する。
【0029】
これによりセラミック基板11の短手方向が長さの発熱抵抗体20の両端に電力が通電されると、発熱抵抗体20は発熱を開始する。
【0030】
電極12,13から供給された電力は、スルーホール182〜184を介して配線パターン141〜143とスルーホール192〜194を介して配線パターン151〜153との間にある発熱抵抗体20に印加する。
【0031】
このとき、図1(a)の矢印で示す破線枠a〜dに示す部分の発熱抵抗体20ではスルーホール182とスルーホール192、スルーホール183とスルーホール193、スルーホール183とスルーホール193、スルーホール184とスルーホール194との間が距離が最短であるため抵抗値が小さく電流が流れ易く発熱量が増加する。
【0032】
ここで、この発明の第1の実施形態の効果について、模式的に示した図5の説明図を参照しながら説明する。
【0033】
図5に示すように、従来のセラミックヒータは電極に近い側と遠い側との接続パターンの長さの違い、換言すれば抵抗値の違いにより温度分布に傾きが生じる。この発明の場合のセラミックヒータは、図1(a)の破線枠a〜cの領域に相当する、対向位置関係にあるスルーホールの最短部分は、発熱量が高くなる。このため、図5に示す温度分布のように、破線枠a〜cに相当する部分の温度が高くなる。高くなる破線枠a〜cは、セラミック基板の長手方向の3箇所にあり、発熱抵抗体20の全体としては温度の均一化に寄与する。
【0034】
この実施形態では、セラミック基板の長手方向における温度分布の均一化に寄与するとともに、この温度分布を均一化する手段を通紙面と反対側に施していることから通紙にともなう温度分布の変化の影響を抑えることが可能となる。
【0035】
図4〜図6は、この発明のセラミックヒータに関する第2の実施形態について説明するための、図4(a)は正面図、図4(b)は背面図、図5は図4のIIa−IIb線の断面図、図6は図4のIIc−IId線の断面図である。
【0036】
この実施形態は、配線パターン142の長さを、配線パターン141,143に比べて長くし、配線パターン151,153の長さを、配線パターン152に比べて長くしたものである。このため、配線パターン141〜143の長手方向中間部に形成された、スルーホール182,192とスルーホール183,193とスルーホール184,194はそれぞれセラミック基板11の通紙方向に対して同一線上から外れ、やや斜めの位置関係となる。
【0037】
ここで、この発明の第2の実施形態の効果について、模式的に示した図7の説明図を参照しながら説明する。
【0038】
すなわち、温度が高くなる部分の幅が、セラミック基板11の長手方向に対して第1の実施形態に比べて広くなることから、図7の実線で示すように、温度分布の高くなる部分がややなだらかとなり、全体としてより均一化を図ることが可能となる。
【0039】
図8〜図11は、この発明のセラミックヒータに関する第3の実施形態について説明するための、図8(a)は正面図、図8(b)は背面図、図9は図8のIIIa−IIIb線断面図、図10は図8のIIIc−IIId線断面図、図11は図8のIIIe−IIIf線断面図である。
【0040】
この実施形態は、セラミック基板11の長手方向の一辺に沿って3分割された配線パターン141〜143を、セラミック基板11の長手方向の他辺の配線パターン141〜143と平行に、2分割された配線パターン154,155をそれぞれ形成する。配線パターン141〜143と配線パターン154,155間に、発熱抵抗体20を接続している。
【0041】
配線パターン141〜143は、例えばそれぞれ長さを同じにするとともに、全体が発熱抵抗体20の幅方向にちょうど収まる長さとする。同様に、配線パターン154,155は、例えばそれぞれの長さを同じにするとともに、全体が発熱抵抗体20の幅方向にちょうど収まる長さとする。
【0042】
スルーホール182は配線パターン141の長手方向の電極12と近い側に、スルーホール183は配線パターン142の長手方向の中間部に、スルーホール184は配線パターン143の長手方向の電極12と遠い側にそれぞれ形成する。
【0043】
配線パターン154に形成されたスルーホール195は、配線パターン141と142のギャップ81と対向する位置に、配線パターン155に形成されたスルーホール196は、配線パターン142と143のギャップ82と対向する位置にそれぞれ形成する。
【0044】
スルーホール182〜183は、接続パターン16に、スルーホール195,196は、接続パターン17にそれぞれ電気的に接続する。
【0045】
スルーホール182〜184とスルーホール195,196は、図8(a)に示すようにセラミック基板11の長手方向に千鳥状の格好で配置される。
【0046】
ここで、電極12からスルーホール181を介して接続パターン16に供給させた電力は、スルーホール182、配線パターン141を介して発熱抵抗体20の一方に、スルーホール183、配線パターン142を介して発熱抵抗体20の一方に、スルーホール183、配線パターン142を介して発熱抵抗体20の一方にそれぞれ供給する。
【0047】
電極13からスルーホール191を介して接続パターン17に供給させた電力は、スルーホール195、配線パターン154を介して発熱抵抗体20の他方に、スルーホール196、配線パターン155を介して発熱抵抗体20の他方にそれぞれ供給する。
【0048】
これにより、セラミック基板11の短手方向が長さの発熱抵抗体20の両端に電力が通電されると、発熱抵抗体20は発熱を開始する。
【0049】
電極12,13から供給された電力は、スルーホール182〜184を介して配線パターン141〜143とスルーホール195,196を介して配線パターン154,155との間にある発熱抵抗体20に印加する。
【0050】
このとき、図8(a)の矢印で示す破線枠a,b1,b2,cに示す部分の発熱抵抗体20ではスルーホール182とスルーホール195、スルーホール183とスルーホール195、スルーホール18あとスルーホール196、スルーホール184とスルーホール196との間が他の部分に比べて電流が流れ易く発熱量が増加する。
【0051】
より斜めの発熱量が高い部分は、セラミック基板11の長手方向を繋ぐ状態で発熱抵抗体20の全域を発熱量が高い部分でカバーされることになり、発熱抵抗体20の長手方向の全域における均一な発熱分布を得ることができる。
【0052】
このように、分割された配線パターン長はヒータ上下流で異なるものとし、通紙部においてヒータ上下流の導体の分割部と対向する導体のスルーホールが長手で同じ位置とすることで、傾きの小さい平滑な発熱分布を得ることができる。
【0053】
ここで、この発明の効果について説明するために模式的に示した図12の説明図を参照しながら説明する。
【0054】
図12に示すように、従来のセラミックヒータは電極に近い側と遠い側との接続パターンの長さの違い、換言すれば抵抗値の違いにより温度分布に傾きが生じる。この発明の場合のセラミックヒータは、図8(a)の破線枠a,b1,b2,cの領域において温度が高くできることから図12の温度分布に示されるように、破線枠a,b1,b2,cに相当する部分の温度が高くなり、発熱抵抗体20の全体の温度の均一化を図ることが可能となる。
【0055】
また、スルーホール182と184は、発熱抵抗体20の幅方向の両側近傍に位置していることから、この部分での温度が上がりより広い温度分布が得られる。
【0056】
この実施形態では、セラミック基板の長手方向におけるより広い範囲の温度分布の均一化を図ることができるとともに、この温度分布を均一化する手段を通紙面と反対側に施していることから通紙にともなう温度分布の変化の影響を抑えることが可能となる。
【0057】
図13は、この発明の加熱装置に関する一実施形態について説明するための上記したセラミックヒータ100をヒータ支持体に取り付けたヒータユニットを加熱装置200に実装した場合の断面図である。図中100については、図1、図2で説明したセラミックヒータであり、同一部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0058】
図13において、201は、ポリイミド樹脂等の耐熱性のフィルムをロール状にして循環自在に巻装された円筒状の定着フィルムである。この定着フィルム201は、支持体202の底部にセラミックヒータ100を固着させ、セラミックヒータ100に電力を供給させ、加熱したセラミックヒータ100に形成されたオーバーコート層21に圧接加熱しながら移動させる。
【0059】
203は、その表面に耐熱性弾性材料である、たとえばシリコーンゴム層204が嵌合してある加圧ローラであり、加圧ローラ203の回転軸205と対向してセラミックヒータ100が、定着フィルム201と並置して図示しない基台内に取り付けられている。加圧ローラ203は、定着フィルム201と相互に圧接させることで、発熱抵抗体20と加圧ローラ203とで形成されるニップ部Nを形成するとともに、作動時にはそれぞれを矢印の方向に回転させる。
【0060】
このとき、オーバーコート層21上に配置された定着フィルム201面とシリコーンゴム層204との間で、トナー像To1がまず定着フィルム201を介してセラミックヒータ100により加熱溶融され、少なくともその表面部は融点を大きく上回り完全に軟化して溶融する。この後、加圧ローラ203の用紙排出側では複写用紙Pがセラミックヒータ100から離れ、トナー像To2は自然放熱して再び冷却固化し、定着フィルム201も複写用紙Pから離反される。
【0061】
この実施形態では、セラミックヒータの長手方向の温度の傾きが抑えられるとともに、発熱部分全体の温度分布の均一化が図られることから、セラミックヒータにより加熱させる被加熱体の加熱ムラを減少させることが可能となる。
【0062】
次に、図14を参照しながら、この発明の加熱装置200が搭載された複写機を例に挙げた場合の、この発明の画像形成装置について説明する。図中、加熱装置200の部分は、図13で説明したもの同じであり、同一部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0063】
図14において、301は複写機300の筐体、302は筐体301の上面に設けられたガラス等の透明部材からなる原稿載置台で、矢印Z方向に往復動作させて原稿P1を走査する。
【0064】
筐体301内の上方向には光照射用のランプと反射鏡とからなる照明装置302が設けられており、この照明装置302により照射された原稿P1からの反射光源が短焦点小径結像素子アレイ303によって感光ドラム304上スリット露光される。なお、この感光ドラム304は矢印方向に回転する。
【0065】
また、305は帯電器で、例えば酸化亜鉛感光層あるいは有機半導体感光層が被覆された感光ドラム304上に一様に帯電を行う。この帯電器305により帯電された感光ドラム304には、結像素子アレイ303によって画像露光が行われた静電画像が形成される。この静電画像は、現像器306による加熱で軟化溶融する樹脂等からなるトナーを用いて顕像化される。
【0066】
カセット307内に収納されている複写用紙Pは、給送ローラ308と感光ドラム304上の画像と同期するタイミングをとって上下方向で圧接して回転される対の搬送ローラ309によって、感光ドラム304上に送り込まれる。そして、転写放電器310によって感光ドラム304上に形成されているトナー像は複写用紙P上に転写される。
【0067】
その後、感光ドラム304上から離れた用紙Pは、搬送ガイド311によって加熱装置200に導かれて加熱定着処理された後に、トレイ312内に排出される。なお、トナー像が転写された後、感光ドラム304上の残留トナーはクリーナ313を用いて除去される。
【0068】
加熱装置200は、複写用紙Pの移動方向と直交する方向に、この複写機300が複写できる最大判用紙の幅(長さ)に合わせた有効長、すなわち最大判用紙の幅(長さ)より長い発熱抵抗体を備えたセラミックヒータ100が、加圧ローラ203の外周に取り付けられたシリコーンゴム層204に加圧された状態で設けられている。
【0069】
そして、セラミックヒータ100と加圧ローラ203との間を送られる用紙P上の未定着トナー像T1は、発熱抵抗体20の熱を受け溶融して複写用紙P面上に文字、英数字、記号、図面等の複写像を現出させる。
【0070】
この実施形態では、発熱抵抗体が形成された部分の温度分布の均一化されたセラミックヒータを備えた加熱装置を用いたことにより、加熱ムラを抑制でき、延いては定着不良を抑制することが可能となる。
【0071】
セラミックヒータの用途としては、複写機等の画像形成装置の定着用に用いたが、これに限らず、家庭用の電気製品、業務用や実験用の精密機器や化学反応用の機器等に装着して加熱や保温の熱源としても使用できる。
【符号の説明】
【0072】
11 セラミック基板
12,13 電極
141〜143,151〜155 配線パターン
16,17 接続パターン
181〜184,191〜196 スルーホール
20 発熱抵抗体
21 オーバーコート層
100 セラミックヒータ
200 加熱装置
201 定着フィルム
203 加圧ローラ
300 複写機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺平板状の耐熱性で絶縁性のセラミック基板と、
前記セラミック基板上に形成され、該セラミック基板の短手方向が長さで長手方向が幅の発熱抵抗体と、
前記発熱抵抗体の長手方向両端に沿って形成し、前記発熱抵抗体の両端と接続した第1および第2の配線パターンと、
前記セラミック基板上の一面側にそれぞれ形成し、電力が供給される第1および第2の電極と、
前記発熱抵抗体が形成された反対面にそれぞれ形成された第1および第2の接続パターンと、
前記第1の電極と第1の配線パターンを前記第1の接続パターンを介してそれぞれ接続させ、前記第2の電極と第2の配線パターンを前記第2の接続パターンを介してそれぞれ接続させるスルーホールと、を具備し、
前記第1の配線パターンは、長手方向に複数に分割し、分割された複数の配線パターンのそれぞれと前記接続パターンをとスルーホールを介して接続し、前記第2の配線パターンは、長手方向に複数に分割し、分割された複数の配線パターンのそれぞれと前記接続パターンをとスルーホールを介して接続したことを特徴とするセラミックヒータ。
【請求項2】
前記第1および第2の配線パターンは、分割数を同数にするとともに、前記発熱抵抗体を介して対向する位置の長さを同じとし、前記接続パターンとの前記スルーホールによる接続箇所を長手方向の中間位置としたことを特徴とする請求項1記載のセラミックヒータ。
【請求項3】
前記第1および第2の配線パターンは、分割数を同数にするとともに、前記発熱抵抗体を介して対向する位置ある長さ違いとし、前記接続パターンとの前記スルーホールによる接続箇所を長手方向の中間位置としたことを特徴とする請求項1記載のセラミックヒータ。
【請求項4】
前記第1および第2の配線パターンは、分割数を被加熱体が通過する上流側と下流側とで異ならせ、分割数の多い側の両端のスルーホールの位置は中央から遠い側に形成し、分割数の少ない側のスルーホールは、分割数の多い側の各配線パターンのギャップと対向する位置に形成したことを特徴とする請求項1記載のセラミックヒータ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のセラミックヒータと、
前記セラミック基板に対向配置し、該セラミック基板を圧接するように回転可能に支持された加圧ローラと、
前記セラミック基板と前記加圧ローラとの間を設けられ、前記加圧ローラの回転に伴い前記セラミック基板上を摺動する定着フィルムと、を具備したことを特徴とする加熱装置。
【請求項6】
媒体に形成された静電潜像にトナーを付着させてこのトナーを用紙に転写して所定の画像を形成する形成手段と、
画像が形成された用紙を加圧ローラにより定着フィルムを介して前記ヒータに圧接しながら通過させることによって、トナーを定着するようにした請求項5記載の加熱装置と、を具備したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
長尺平板状の耐熱性で絶縁性のセラミック基板と、
前記セラミック基板上に形成され、該セラミック基板の短手方向が長さで長手方向が幅の発熱抵抗体と、
前記発熱抵抗体の長手方向両端に沿って形成し、前記発熱抵抗体の両端と接続した第1および第2の配線パターンと、
前記セラミック基板上の一面側にそれぞれ形成し、電力が供給される第1および第2の電極と、
前記発熱抵抗体が形成された反対面にそれぞれ形成された第1および第2の接続パターンと、
前記第1の電極と第1の配線パターンを前記第1の接続パターンを介してそれぞれ接続させ、前記第2の電極と第2の配線パターンを前記第2の接続パターンを介してそれぞれ接続させるスルーホールと、を具備し、
前記第1の配線パターンは、長手方向に複数に分割し、分割された複数の配線パターンのそれぞれと前記接続パターンをとスルーホールを介して接続し、前記第2の配線パターンは、長手方向に複数に分割し、分割された複数の配線パターンのそれぞれと前記接続パターンをとスルーホールを介して接続したことを特徴とするセラミックヒータ。
【請求項2】
前記第1および第2の配線パターンは、分割数を同数にするとともに、前記発熱抵抗体を介して対向する位置の長さを同じとし、前記接続パターンとの前記スルーホールによる接続箇所を長手方向の中間位置としたことを特徴とする請求項1記載のセラミックヒータ。
【請求項3】
前記第1および第2の配線パターンは、分割数を同数にするとともに、前記発熱抵抗体を介して対向する位置ある長さ違いとし、前記接続パターンとの前記スルーホールによる接続箇所を長手方向の中間位置としたことを特徴とする請求項1記載のセラミックヒータ。
【請求項4】
前記第1および第2の配線パターンは、分割数を被加熱体が通過する上流側と下流側とで異ならせ、分割数の多い側の両端のスルーホールの位置は中央から遠い側に形成し、分割数の少ない側のスルーホールは、分割数の多い側の各配線パターンのギャップと対向する位置に形成したことを特徴とする請求項1記載のセラミックヒータ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のセラミックヒータと、
前記セラミック基板に対向配置し、該セラミック基板を圧接するように回転可能に支持された加圧ローラと、
前記セラミック基板と前記加圧ローラとの間を設けられ、前記加圧ローラの回転に伴い前記セラミック基板上を摺動する定着フィルムと、を具備したことを特徴とする加熱装置。
【請求項6】
媒体に形成された静電潜像にトナーを付着させてこのトナーを用紙に転写して所定の画像を形成する形成手段と、
画像が形成された用紙を加圧ローラにより定着フィルムを介して前記ヒータに圧接しながら通過させることによって、トナーを定着するようにした請求項5記載の加熱装置と、を具備したことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−29088(P2011−29088A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175782(P2009−175782)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
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