説明

セラミック接合体、セラミックヒータおよびガスセンサ

【課題】セラミック基体と接続端子との分離を抑制することができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】長手方向に延びるセラミック基体と、セラミック基体の表面に設けられた電極パッドと、外部回路と電気的に接続する接続端子と、電極パッドと接続端子とを接合する接合部と、を備えるセラミック接合体を利用する。ここで、電極パッドは、セラミック基体と接する第1層と、第1層上に積層されるとともに接合部と接する第2層と、を含む。第1層は、前記第1層に含有される前記セラミック基体のセラミック材料の含有量(wt%)は、前記第2層での含有量よりも多い。第1層の輪郭は、全周において、第2層の輪郭の外側にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック接合体、セラミックヒータおよびガスセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、酸素センサ等の固体電解質体を用いるガスセンサにおいて、固体電解質体を加熱するためにセラミックヒータが配置されている。このセラミックヒータとしては、アルミナ等のセラミック基体中にタングステンやモリブデン等の金属からなる発熱抵抗体を埋設したものが広く用いられている。さらに、セラミック基体の外表面には、発熱抵抗体と電気的に接続された電極パッドが設けられている。この電極パッドには発熱抵抗体に外部から電圧を印加するための金属製の接続端子がろう付けを介して接合されている。
【0003】
そして、セラミック基体、電極パッド、ろう材といった異種材料を接合するために、セラミック基体の主成分であるセラミック材料を相対的に多く含む第1層と、セラミック材料を相対的に少なくすると共に、電極パッドと接続端子とを接合するろう材の成分を含浸させる第2層とを、含む2層の電極パッド用いる技術も利用されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−22908号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、第1層上に第2層を形成する際、第1層と第2層とが略同一の大きさであれば、第2層が第1層からずらされて形成される(つまり、第2層が第1層の輪郭からはみ出して形成される)ことがある。すると、ずらされた第2層の部位は第1層上に設けられず、直接セラミック基体上に設けられることになる。すると、第1層及びろう材との密着性を考慮した第2層は、セラミック基体との密着性が第1層に比べて低いため、セラミック基体から剥離し、更には、その剥離した第2層の部位を起点に第2層全体が剥離してしまう虞がある。つまり、セラミック基体と接続端子とが分離してしまう虞があった。
【0006】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、セラミック基体と接続端子との分離を抑制することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[適用例1]長手方向に延びるセラミック基体と、前記セラミック基体の表面に設けられたタングステン又はモリブデンを主成分とする電極パッドと、外部回路と電気的に接続する接続端子と、前記電極パッドと前記接続端子とをろう付け接合にて連結する接合部と、を備えるセラミック接合体において、前記電極パッドは、前記セラミック基体と接する第1層と、前記第1層の表面上に積層されるとともに前記接合部と接する第2層と、を含み、前記第1層及び前記第2層には、前記セラミック基体に用いられるセラミック材料のうち、主成分となるセラミック材料を含有し、且つ前記第1層に含有される前記セラミック材料の含有量(wt%)は、前記第2層での含有量よりも多く、前記第1層の輪郭は、全周において、前記第2層の輪郭の外側にある、ことを特徴とする、セラミック接合体。
【0008】
この構成によれば、第1層の輪郭が、全周において、第2層の輪郭の外側にあるように第2層が設けられることで、第2層が第1層の輪郭からはみ出して形成されることがない。よって、第2層が直接セラミック基体上に設けられることが無く、第2層の縁の全体を第1層と強固に接合させることができ、剥離を抑制できる。よって、セラミック基体と接続端子との分離を防止することができる。
なお、第1層の輪郭が、全周において、第2層の輪郭の外側にあるように第2層を第1層上に設けるためには、電極パッドの積層方向に沿って見たときに、第1層の面積よりも第2層の面積を小さくすることにより実現可能である。また、輪郭の位置関係を確認する場合には、電極パッドの積層方向に沿って、第1層と第2層とを見ればよい。具体的には、輪郭の各部分を、その部分における電極パッドの積層方向に沿って観察すればよい。
また、「主成分」とはその構成に含まれる材料が50wt%以上の材料のことをさす。つまり、「タングステン及びモリブデンの少なくとも一方を主成分とする電極パッド」とは、電極パッドに含まれる材料のうち、タングステン及びモリブデンの合計含有量(一方が含まれない場合には他方の含有量)が50wt%以上含有することをさす。
【0009】
[適用例2]適用例1に記載のセラミック接合体であって、前記第1層の厚さは、前記第2層の厚さよりも厚い、セラミック接合体。
【0010】
第2層は、金属を主成分とするろう材や、金属を主成分とする第1層と接合するのに対し、第1層は、セラミックからなるセラミック基体と接合することになる。その結果、主成分が異種材料となる第1層とセラミック基体との密着性が他の接合箇所に比べて最も弱くなる。また、第1層は、第2層や接合部からの応力を受けることになり、接合部のみの応力を受ける第2層に対してより多くの応力を受けることになる。これに対し、第1層を第2層よりも厚くすることで、第1層とセラミック基体との密着性を十分に維持できる。なお、第1層は20μm以上であることが好ましい。一方、第2層を第1層よりも薄くすることで、自身の応力が削減でき、第2層と第1層との密着性、及び第2層と接合部との密着性をより向上できる。
【0011】
[適用例3]適用例1または適用例2に記載のセラミック接合体であって、前記接合部は、前記第2層を超えて前記第1層の表面上まで設けられている、セラミック接合体。
【0012】
この構成によれば、接合部が第1層まで広がるため、接合部と電極パッド(第1層と第2層とを含めた)とを強固に接合させることができ、セラミック基体と接続端子との分離をより防止することができる。
さらに、接合部が第2層を覆うように設けられることが好ましい。これにより、第2層が外部に露出することがなくなるため、外部からの衝撃等が第2層に直接加わることを抑制でき、第2層が第1層から分離することを防止できる。
【0013】
[適用例4]適用例3に記載のセラミック接合体であって、前記第1層の表面上に設けられる接合部の体積は、前記第2層の表面上に設けられる接合部の体積よりも少ない、セラミック接合体。
【0014】
第1層にはセラミック基体との密着性を向上させるために、第2層よりも多くのセラミック材料が含有されている。これに対し、接合部が第1層まで広がることで、接合部と電極パッド(第1層と第2層とを含めた)とを強固に接合させることができるものの、第1層中のセラミック材料が接合部中に含侵することとなり、セラミック基体と第1層との密着性が低下することがある。そこで、適用例3の構成とすることで、第1層中のセラミック材料が接合部中に含侵することを抑制することができ、セラミック基体と第1層との密着性を維持できる。一方、第1層よりもセラミック材料が少ない第2層の表面上には、より多くの接合部を設けることで電極パッドと接合部との密着性を向上することができる。
なお、「第2層の表面上に設けられる接合部の体積」は、第2層の輪郭から第2層に対して垂直方向に延ばした範囲内に位置する接合部の体積のことを指し、「第1層の表面上に設けられる接合部の体積」は、上記範囲外に位置する接合部の体積のことをさす。
【0015】
[適用例5]適用例1ないし適用例4に記載のセラミック接合体であって、前記電極パッドの積層方向に沿って見たときに、前記第2層の輪郭は、全周において、前記接続端子の表面のうちの前記接合部と接する接触表面部分の輪郭の外側にあり、前記長手方向に垂直な短手方向における前記第2層の輪郭と前記接触表面部分の輪郭との間の最短距離は、前記接触表面部分の前記短手方向の最大長さ以上である、セラミック接合体。
【0016】
この構成によれば、積層方向に沿って見たときに、第2層の輪郭が、全周において、接触表面部分の輪郭の外側にあり、そして、第2層の輪郭と接触表面部分の輪郭との間の最短距離が、接触表面部分の短手方向の最大長さ(最大幅)以上であるので、接合部を第2層の表面上に過剰に厚くせずに広げることができ、接続端子と電極パッド(第2層)とを接合することができる。その結果、接合部の応力で第2層が剥離することを抑制でき、セラミック基体と接続端子との分離を抑制することができる。
【0017】
さらに、第2層の輪郭と接触表面部分の輪郭との間の最短距離が、接触表面部分の短手方向の最大長さ(最大幅)の2倍の長さ以上であることが好ましい。こうすれば、ロウ材が広がるためのより広いスペースを、第2層上に確保することができる。その結果、接合部と第2層との密着性をさらに高めることができる。
【0018】
[適用例6]適用例1ないし適用例5のいずれかに記載のセラミック接合体と、前記セラミック基体の先端側内部に設けられるとともに、前記電極パッドに接続された発熱部と、を備えるセラミックヒータ。
【0019】
適用例1から適用例5までのセラミック接合体をセラミックヒータとして実現することが可能となる。
【0020】
[適用例7]適用例6に記載のセラミックヒータであって、前記第2層の重心は、前記第1層の重心よりも後端側に設けられている、セラミックヒータ。
【0021】
この構成によれば、第2層が第1層の後端側に形成されるので、接合部及び接続端子を先端側の発熱部からより離すことができ、熱による劣化を抑制することができる。
なお、第2層の重心を、第1層の重心よりも後端側に設けるためには、第2層を第1層に対して後端側にずらすことにより実現可能である。
【0022】
[適用例8]先端が閉じた有底筒状の固体電解質、該固体電解質の外周面に配置された外側電極、及び該固体電解質の内周面に配置された内側電極を備えるガスセンサ素子と、該ガスセンサ素子内に挿入配置されるヒータと、を有するガスセンサであって、前記ヒータが、適用例6または適用例7に記載のセラミックヒータであるガスセンサ。
【0023】
適用例6または適用例7のセラミックヒータとガスセンサ素子とを備えるガスセンサとして実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ガスセンサの構成を示す断面図である。
【図2】セラミックヒータを示す斜視図である。
【図3】セラミックヒータの内部構成を示す分解斜視図である。
【図4】セラミック基体102の正面図である。
【図5】セラミックヒータ100の正面図である。
【図6】セラミックヒータ100の側面図である。
【図7】A−A断面図である。
【図8】B−B断面図である。
【図9】セラミックヒータ100aの正面図である。
【図10】セラミックヒータ100aの側面図である。
【図11】C−C断面図である。
【図12】D−D断面図である。
【図13】接合の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、この発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.変形例:
【0026】
A.第1の実施例:
A1.ガスセンサの構成:
図1は、本発明の一実施例としてのガスセンサの構成を示す断面図である。ガスセンサ10は、内燃機関の排気ガス中の酸素を検出する。ガスセンサ10は、酸素検出素子20と、主体金具11と、内側端子部材30と、外側端子部材40と、セラミックヒータ100と、を主に備える。
【0027】
図1には、ガスセンサ10の軸線AXが示されている。以下、軸線AXに沿って延びる部材の両端のうちの、固体電解質体21が配置された端部(図1の下側)を先端と呼び、グロメット17が配置された端部(図1の上側)を後端と呼ぶ。また、図中の長手方向FDは、軸線AXと平行な方向を示している(図1中の上下方向)。
【0028】
酸素検出素子20の形状は、軸線AXに沿った軸線方向(図1中の上下方向)に延び、先端20s(図1下側)は閉じ、後端20k(図1上側)は開口する有底筒状である。酸素検出素子20は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質体21と、固体電解質体21の外周面の一部にメッキ等によって形成された外側電極106(図示せず)と、固体電解質体21の内周面の一部にメッキ等によって形成された内側電極108(図示せず)とを備える。また、酸素検出素子20の外周面において、軸線AX方向の中間部には、外側に突出する係合フランジ部20fが設けられている。係合フランジ部20fは、後述する主体金具11と係合する。
【0029】
主体金具11は、酸素検出素子20の外周の一部を包囲する筒状に形成されている。主体金具11の内側には、金属製パッキン81(図示せず)を介してインシュレータ13が配置されている。このインシュレータ13には、金属製パッキン82(図示せず)を介して係合フランジ部20fが係合している。さらに、インシュレータ13の後端側にはタルク14、インシュレータ13bおよび金属製パッキン83が配置され、主体金具11の後端側にて加締められることで、酸素検出素子20を主体金具11の内側において、気密状態で保持している。
【0030】
主体金具11の先端側(図1の下側)には、プロテクタ15が取り付けられている。プロテクタ15は、主体金具11の先端側開口部から突出する酸素検出素子20の先端部を覆っている。プロテクタ15は、外側プロテクタ15aと内側プロテクタ15bの二重構造を備える。外側プロテクタ15aおよび内側プロテクタ15bには、排気ガスを透過させる複数のガス透過口が形成されている(図示省略)。酸素検出素子20の外側電極106には、プロテクタ15のガス透過口を通して、排気ガスが供給される。
【0031】
主体金具11は、外周面に形成された六角部11cの後端側(図1の上側)に、接続部11dを備える。接続部11dには、筒状の金属外筒16の先端が、外側から全周レーザ溶接により、固定されている。金属外筒16の後端側の開口には、フッ素ゴムで構成されたグロメット17が、挿入されている。このグロメット17は、金属外筒16の後端の加締によって、固定されている。グロメット17は、金属外筒16のこの開口を、封止する。グロメット17よりも先端側には、絶縁性のアルミナセラミックで形成されたセパレータ18が配置されている。そして、グロメット17およびセパレータ18を貫通してセンサ出力リード線19、19bおよびヒータリード線12b、12cが配置されている。なお、グロメット17の中央には、軸線AXに沿って貫通口が形成されており、この貫通口に金属パイプ86が嵌め込まれている。金属パイプ86には、撥水性および通気性を兼ね備えるシート状のフィルタ85が被せられている。これにより、ガスセンサ10の外部の大気は、フィルタ85を介して金属外筒16内に導入され、ひいては酸素検出素子20の内部空間G内に導入される。
【0032】
外側端子部材40は、ステンレス鋼板からなる外嵌部41とセパレータ挿入部42とコネクタ部43とを備える。セパレータ挿入部42は、セパレータ18内に挿入されている。このセパレータ挿入部42からは、セパレータ当接部42dが、分岐して突出する。セパレータ当接部42dがセパレータ18の内壁に弾性的に接触することによって、外側端子部材40は、セパレータ18内に保持される。
【0033】
セパレータ挿入部42の後端には、コネクタ部43が設けられている。コネクタ部43は、センサ出力リード線19bの芯線を加締により把持し、外側端子部材40とセンサ出力リード線19bとを電気的に接続する。
【0034】
セパレータ挿入部42の先端には、外嵌部41が設けられている。外嵌部41は、酸素検出素子20の後端付近の外周を把持して、外側端子部材40と酸素検出素子20の外側電極106とを電気的に接続する。
【0035】
内側端子部材30は、ステンレス鋼板からなる挿入部33とセパレータ挿入部32とコネクタ部31とを備える。セパレータ挿入部32は、セパレータ18内に挿入されている。このセパレータ挿入部32からは、セパレータ当接部32dが、分岐して突出する。セパレータ当接部32dがセパレータ18の内壁に弾性的に接触することによって、内側端子部材30は、セパレータ18内に保持される。
【0036】
セパレータ挿入部32の後端には、コネクタ部31が設けられている。コネクタ部31は、センサ出力リード線19の芯線を加締により把持し、内側端子部材30とセンサ出力リード線19とを電気的に接続する。
【0037】
セパレータ挿入部32の先端には、挿入部33が設けられている。挿入部33は、酸素検出素子20の内部に挿入される。挿入部33は、自身の弾性力により、酸素検出素子20の内周面に形成された内側電極108に押圧力を伴って接触する。これにより、挿入部33は、酸素検出素子20の内側電極108との電気的導通を保持している。
【0038】
挿入部33の先端には、ヒータ押圧部36が設けられている。ヒータ押圧部36は、セラミックヒータ100の側面を、酸素検出素子20の内周面に押しつける。
【0039】
セラミックヒータ100は、内部空間G内に配置され、内側端子部材30によって保持されることにより姿勢を維持している。セラミックヒータ100は、後述する接続端子130がヒータリード線12b、12cと接続され、ヒータリード線12b、12cからの電力の供給により、固体電解質体21を加熱する。
【0040】
A2.セラミックヒータの構成:
図2はセラミックヒータを示す斜視図である。図3はセラミックヒータの内部構成を示す分解斜視図である。図2に示すように、丸棒状(本実施例では、φ3mm、全長50mm)のセラミック基体102に、接続端子130を固定することによって、セラミックヒータ100が形成されている。図1に示すように、セラミックヒータ100は、酸素検出素子20に内挿されて、酸素検出素子20を加熱する。なお、セラミックヒータ100の長手方向の両端側のうち、発熱部分を備える側(図2左側)を「先端側」とし、これと反対側を「後端側」として説明する。
【0041】
セラミックヒータ100は、セラミック基体102と、電極パッド121と、接続端子130とを備える。図3に示すように、セラミック基体102は、丸棒状(円柱形状)のアルミナセラミック製の碍管101の外周に絶縁性の高いアルミナセラミック製のグリーンシート140,146が巻き付けられ、これらを焼成することにより製造される。
【0042】
グリーンシート140上には、発熱抵抗体141(ヒータパターン)が形成されている。発熱抵抗体141は、発熱部142と、発熱部142の両端にそれぞれ接続される一対のリード部143(陽極と陰極)とを備える。発熱抵抗体141の材料としては、タングステンやモリブデン等の種々の導電材料を採用可能である。グリーンシート140の後端側には、各リード部143毎に2個のスルーホール144が設けられている。スルーホール144を介して、セラミックヒータ100の外表面上に形成される電極パッド121は、リード部143と、電気的に接続される。
【0043】
グリーンシート146は、グリーンシート140の発熱抵抗体141が形成される面に圧着されている。グリーンシート146の、この圧着面と反対側の面には、アルミナペーストが塗布され、この塗布面を内側にしてグリーンシート140,146が碍管101に巻き付けられて外周から内向きに押圧されることにより、セラミックヒータ成形体が形成される。その後、セラミックヒータ成形体が焼成されることにより、セラミック基体102が形成される。
【0044】
図2、図3に示すように、陽極側の電極パッド121と陰極側の電極パッド121との2つの電極パッド121が、セラミック基体102の表面に形成されている。これらの電極パッド121は、グリーンシート140の外面におけるスルーホール144の形成された位置に、それぞれ設けられている。陽極側と陰極側とのそれぞれにおけるリード部143−電極パッド121間の導通は、スルーホール144の内部に充填されている導電性ペーストを介して行われる。
【0045】
図4は、セラミック基体102の正面図である。この正面図は、セラミック基体102の中心軸CXとは垂直な方向(以下、積層方向NDとも言う(後述の図6参照))に沿ってセラミック基体102を見た図を示している。長手方向FDは、中心軸CXと平行な方向である。短手方向TDは、長手方向FDと積層方向NDとの両方と垂直な方向を示している。なお、この正面図は、セラミックヒータに配置される2つの電極パッド121のうち、1つの電極パッド121の正面図を示している。
【0046】
図5は、セラミックヒータ100の正面図である。この正面図は、図4に示すセラミック基体102に接続端子130が固定された状態を示している。接続端子130は、中心軸CXと平行に延びるように配置されて、接合端部133が、ロウ付けによって、電極パッド121に固定されている。
【0047】
図6は、セラミックヒータ100の側面図である。この側面図は、図4、図5に示す正面図とは中心軸CXに対して90度回転させた方向から見た図である(短手方向TDに沿って見た図)。
【0048】
図7は、図5に示すA−A断面(中心軸CXを含む断面)を示し、図8は、図5に示すB−B断面(中心軸CXと垂直な断面)を示している。図7、図8は、いずれも、1つの電極パッド121の近傍を示している。図示するように、電極パッド121は、セラミック基体102の表面上に形成されている。また、電極パッド121は、スルーホール144を介して、リード部143と接続されている。
【0049】
図4、図7、図8に示すように、電極パッド121は、セラミック基体102に接する第1層121aと、第1層121a上に積層される第2層121bとを含んでいる。
【0050】
第1層121aの主成分は、タングステンである。また、第1層121aは、セラミック基体102の主成分のセラミック材料であるアルミナ(酸化アルミニウム)を含んでいる。第1層121aに含まれるアルミナの含有量は、2〜20wt%の範囲内に設定されることが好ましい。こうすれば、第1層121aの導電性を過剰に下げることなく、第1層121aとセラミック基体102との密着性を向上させることができる。その結果、第1層121aがセラミック基体102から剥がれることを抑制できる。本実施例では、第1層121aは、90wt%W(タングステン)−10wt%Alを用いている。
【0051】
同様に、第2層121bの主成分は、タングステンである。そして、第2層121bにも、セラミック基体102の主成分のセラミック材料であるアルミナを含んでいる。ただし、第2層121bに含まれるアルミナの含有量は、第1層121aに含まれるアルミナの含有量よりも小さい値に設定される。アルミナの含有量が小さいと、ロウ材が第2層121bに含浸しやすくなる。その結果、第2層121bと、ロウ材との密着性を向上させることができる。なお、第2層121bにおけるアルミナの含有量は、0〜10wt%の範囲内に設定されることが好ましい。このように、第2層121bには、アルミナが含まれていなくてもよい。この場合も、第1層121aに含有されるセラミック材料の含有量が第2層121bでの含有量よりも多い、ということができる。本実施例では、第2層121aは、100wt%W(タングステン)を用いている。
【0052】
以上のように、本実施例では、セラミック基体102から遠いほど、セラミック基体102の主成分のセラミック材料の含有量が小さくなるような、多層構造の電極パッド121を採用している。これにより、電極パッド121とセラミック基体102との密着性が向上し、また、電極パッド121と接合部124との密着性も向上する。
【0053】
次に、各層121a、121bの形状について説明する。図4に示すように、本実施例では、積層方向NDに沿って見た第1層121aの形状は、高さt1が5.0mmで、幅w1が2.4mmの略矩形状である(高さは長手方向FD方向の長さを示し、幅は短手方向TDの長さを示している。また、4隅は丸められている)。また、積層方向に沿って見た第2層121bの形状は、高さt2が3.2mmで、幅w2が2.2mmの略矩形状である(4隅は丸められている)。
【0054】
図4に示すように、電極パッド121の積層方向に沿って見たときに、第1層121aの輪郭は、全周において、第2層121bの輪郭の外側にある。すなわち、第2層121bの輪郭の全体は、第1層121aの輪郭よりも内側に含まれている。その結果、第2層121bの面積は、第1層121aの面積よりも小さく、第2層121bの周りには、全周において、第1層121aが露出している。これにより、第2層121bが直接セラミック基体102上に設けられることが無く、第2層121bの縁の全体を第1層121aと強固に接合させることができるので、第2層121bが第1層121aから剥がれることを抑制できる。
【0055】
また、図4に示すように、第2層121bの重心CGが、第1層121aの重心PPよりも後端側に設けられている。すなわち、第2層121bが第1層121aに対して後端側にずらして配置されている。これにより、接合部142及び接続端子130を発熱部142からより離すことができ、熱による劣化を抑制することができる。
【0056】
図5、図6には、接続端子130が示されている。接続端子130は、ニッケルを用いた合金で形成されている。接続端子130は、接続部134と、接続部134の一端に設けられた接合端部133と、接続部134の他端に設けられた加締部135と、を有している。図6に示すように、接続部134の一端は、積層方向にステップ状に折り曲げられ、そして、接合端部133に接続されている。図5に示すように、接合端部133は、第2層121bのほぼ中央に配置されて、ロウ付けされる。また、接合端部133の長さL1(図7)は、本実施例では、2.0mmである。
【0057】
加締部135は、接続部134よりも幅の広い平板を用いて形成されている。接続部134と加締部135との接続部分は、接続部134の長手方向を軸として略直角にひねるようにねじまげられている。加締部135の両端は、同じ側に折り曲げられている。2つの加締部135は、ヒータリード線12b、12cの芯線を、それぞれ、加締によって把持し、発熱抵抗体141とヒータリード線12b、12cとを電気的に接続する。
【0058】
さらに、図5、図6、図7、図8に示すように、第2層121b及び第1層121aには、接続端子130が、ロウ付けによって、固定されている。ロウ付けによって、接続端子130と第2層121bとを接合する接合部124が形成される。接合部124は、ロウ材が固化したものである。本実施例では、ロウ材として、Au−Cu合金(金と銅との合金)が利用されている。
【0059】
図7、図8には、ロウ付けの詳細図が示されている。接合端部133は、電極パッド121(第2層121b)に対してほぼ平行となるように、配置される。接合端部133は、第2層121bと接触してもよく、また、これらの部材133、121bの間に隙間があいていてもよい(本実施例では、隙間L2は0〜0.5mmの範囲内に設定される)。
【0060】
図7、8に示すように、接合端部133の表面のうちの、第2層121bと対向する表面FSと、表面FSと隣接する表面S1〜S4とが、接合部124と接触している。そして、接合部124は、接合端部133から第2層121b及び第1層121aに向かって、フィレット形状にてロウ材が広がっている。
【0061】
このように、接合部124が、第2層121bを超えて第1層121aの表面上まで設けられていることで、接合部124と電極パッド121との接合面積が増え、接合部124と電極パッド121とを強固に接合することができる。さらに、接合部124は、第2層121bを覆うように設けられている。これにより、外部からの衝撃等が第2層121bに直接加わることを抑制でき、第2層121bが第1層121aから分離することを防止できる。
【0062】
なお、図5、図6に示すように、接合部124は第1層121aの表面上の少なくとも一部を外部に露出するように設けられている。つまり、第1層121aの一部の表面上に接合部124が設けられていない。
【0063】
また、図7、図8に示すように、第1層121aの表面上に設けられる接合部124の体積を、第2層121bの表面上に設けられる接合部124の体積よりも少なくしている。これにより、第1層121a中のセラミック材が接合部124に含侵することを抑制でき、セラミック基体102と第1層121aの密着性を維持しつつ、接合部124と電極パッド121との密着性も向上できる。
【0064】
なお、本実施例では、第1層121aの厚さL3は30μmであり、第2層121bの厚さL4は25μmである(図7)。このように、第1層121aの厚さは、第2層121bの厚さよりも、厚い。これにより、全く異なる異種材料である第1層121aとセラミック基体102との密着性を十分に維持でき、第1層121aがセラミック基体102から剥がれることも抑制される。一方、第2層121bを第1層121aよりも薄くすることで、自身の応力が削減でき、第2層121bと第1層121aとの密着性、及び第2層121bと接合部124との密着性をより向上できる。
【0065】
なお、セラミックヒータ100には、2組(陽極と陰極)の電極パッド121と接続端子130とが設けられている。電極パッド121の構成と、電極パッド121と接続端子130との接合状態とは、各組の間で同じである。接続端子130の構成は、加締部135の向きを除いて、各組の間で同じである。
【0066】
以上のように、第1実施例によれば、セラミック基体102と第1層121aとの分離と、第1層121aと第2層121bとの分離と、第2層121bと接合部124との分離と、第2層121bと接続端子130との分離と、がそれぞれ抑制されている。これらにより、接続端子130とセラミック基体102との分離を抑制することができる。
【0067】
なお、本実施例では、セラミック基体102と電極パッド121と接合部124と接続端子130との全体が、特許請求の範囲における「セラミック接合体」に相当する。
【0068】
なお、セラミックヒータ100の製造方法としては、周知の種々の方法を採用可能である。例えば、以下の方法を採用可能である。先ず、図3の発熱抵抗体141と電極パッド121とを、導電材料を含むインクをグリーンシート140の表面に塗布することによって、形成する。インク塗布の技術としては、スクリーン印刷といった種々の技術を採用可能である。ここで、第1層121aをグリーンシート140上に形成し、その後で、第2層121bを第1層121a上に形成してよい。スルーホール144の内部には、導電性のペーストを充填する。次に、グリーンシート140にグリーンシート146を積層する。次に、積層されたシート140、146を、碍管101に巻き付けることによって、焼成前のセラミック基体102を形成する。次に、焼成によって、セラミック基体102を形成する。次に、電極パッド121に、ロウ付けによって、接続端子130を固定する。ロウ付けの方法としては、種々の方法を採用可能である。例えば、まず、接合端部133を第2層121bと対向する位置に配置する。次に、接合端部133と第2層121bとを覆うように、加熱によって溶融したロウ材を流す。そして、冷却によってロウ材を固化させることによって、接続端子130を電極パッド121に固定する。なお、ロウ付けの前に、第2層121bの表面をニッケル等の金属でメッキしてもよい。こうすれば、ロウ材が第2層121bに含浸することを促進することができる。
【0069】
また、ガスセンサ10の製造方法としても、周知の種々の方法を採用可能である。
【0070】
B.第2実施例:
図9、図10は、セラミックヒータの別の実施例を示す説明図である。図5、図6に示す第1実施例との差違は、3点ある。第1の差違は、接続端子130aの形状が、第1実施例の接続端子130の形状とは異なっている点である。第2の差違は、第2層121cの形状が、第1実施例の第2層121bの形状と異なっている点である(以下、第1層121aと第2層121cとを有する電極パッドを、電極パッド121Xと呼ぶ)。第3の差違は、接続端子130aと電極パッド121X(第2層121c)との接合部124aの形状が、第1実施例での接合部124の形状と、異なっている点である。他の構成は、第1実施例の構成と同じである。なお、図9は、図5と同様の正面図を示し、図10は、図6と同様の側面図を示している。
【0071】
セラミック基体102と電極パッド121Xとの構成は、図2〜図4に示す第1実施例のセラミック基体102と電極パッド121の構成と、それぞれ、同様である。従って、第2実施例のセラミックヒータ100aは、第1実施例のセラミックヒータ100と同様の種々の利点を有する。
【0072】
接続端子130aは、中心軸CXと平行に延びるように配置されて、接合端部133aが、ロウ付けによって、電極パッド121Xに固定される。このセラミックヒータ100aは、第1実施例のセラミックヒータ100の代わりに利用可能である。
【0073】
第2実施例では、接続端子130aは、接続部134aと、接続部134aの一端に設けられた接合端部133aと、接続部134aの他端に設けられた加締部135aと、を有している。接合端部133aと接続部134aとは、厚さL6(図9)が0.3mmの平板を用いて、形成されている。図10に示すように、接合端部133aと接続部134aとの全体の形状は、L字状である。接合端部133aは、長さL5(図11)が2.0mmの矩形平板である。接続部134aの1つの長辺と、接合端部133aの1つの長辺とは、共通のラインLS上にある。そして、接合端部133aのラインLSとは反対側の端部133apは、接続部134aから見て突出している。
【0074】
この突出した部分133apが、電極パッド121X(第2層121c)と向かい合うように、接続端子130aが配置される(図10)。接合端部133aは、第2層121cのほぼ中央に配置される(図9)。後述するように、接合端部133aは、電極パッド121X(第2層121c)に対してほぼ垂直となるように、配置される。この状態で、接合端部133aは、電極パッド121X(第2層121c)に、ロウ付けされる。
【0075】
接続部134aの他端には、加締部135aが接続されている。加締部135aの構成は、図5、図6に示す加締部135と同じである。2つの加締部135aは、ヒータリード線12b、12cの芯線を、それぞれ、加締によって把持し、発熱抵抗体141(図3)とヒータリード線12b、12cとを電気的に接続する。
【0076】
図11、図12には、ロウ付けの詳細が示されている。図11は、図9のC−C断面(中心軸CXを通る断面)を示し、図12は、図9のD−D断面(中心軸CXと垂直な断面)を示している。図11、図12は、いずれも、1つの電極パッド121Xの近傍を示している。
【0077】
第2層121cには、接続端子130aが、ロウ付けによって、固定されている。ロウ付けによって、接続端子130aと第2層121cとを接合する接合部124aが形成される。この接合部124aは、ロウ材が固化したものである。
【0078】
図11、図12に示すように、接合端部133aは、電極パッド121X(第2層121c)に対してほぼ垂直となるように、配置される(すなわち、接合端部133aは、電極パッド121Xの積層方向と、ほぼ平行である)。接合端部133aの表面のうちの第2層121cと対向する面は、端部133apの表面FSaである。表面FSaは、接合端部133aの長辺と、接合端部133aの厚さ方向と、の両方と平行な面である。この表面FSaは、電極パッド121X(第2層121c)に対してほぼ平行である。接合端部133aは、第2層121cと接触してもよく、また、これらの部材133a、121cの間に隙間があいていてもよい(本実施例では、隙間L2は0〜0.2mmの範囲内に設定される)。
【0079】
図示するように、接合端部133aの表面のうちの、表面FSaと、表面FSaと隣接する表面S1a〜S4aとが、接合部124aと接触している。そして、接合部124aは、接合端部133aから第2層121cの周縁に向かって、フィレット形状にてロウ材が広がっている。
【0080】
図13は、接合端部133aと電極パッド121Xとの接合の様子を示す説明図である。図13には、図9における電極パッド121Xの近傍の拡大図が示されている。図中には、接続端子130aの一部と電極パッド121Xとの正面図が示されている。
【0081】
ハッチングが付された領域CAは、接触表面部分CAを示している。接触表面部分CAは、接続端子130aの表面のうちの接合部124a(図11、図12)と接触する部分を意味している。本実施例では、図11、図12に示す表面FSa、S1a、S2a、S3a、S4aの全体のうちの接合部124aと接触している部分が、接触表面部分CAに相当する。
【0082】
本実施例では、電極パッド121Xの積層方向NDに沿って見たときには、接触表面部分CAは、矩形領域である。接触表面部分CAの幅(短手方向TDの長さ)L6は0.3mmであり、高さL5(先端方向FDの長さ)は2.0mmである。また、第2層121cの幅w3は1.5mmであり、高さt3は3.2mmである。この接触表面部分CAは、第2層121cのほぼ中央に配置されている。その結果、第2層121cは、接触表面部分CAの全周において、外に向かって0.6mm突出している。
【0083】
つまり、電極パッド121Xの積層方向NDに沿って見たときに、第2層121cの輪郭は、全周において、接触表面部分CAの輪郭の外側にあり、長手方向FDに垂直な短手方向TDにおける第2層121cの輪郭と接触表面部分CAの輪郭との間の最短距離(本実施例では0.6mm)が、接触表面部分CAの短手方向TDの最大長さ(本実施例では0.3mm)以上である。これらの結果、接触表面部分CAの全周に亘って、ロウ材が広がるための十分なスペースを、第2層121c上に確保できる。従って、接合部124a(図11、図12)と第2層121cとの密着性を高めることができる。また、接合部124aを第2層121c上に過剰に厚く設ける必要が無く、接合端子130aと電極パッド121X(第2層121c)とを接合することができる。その結果、接合部124aの応力で第2層121cが剥離することを抑制できる。なお、短手方向TDにおける第2層121cの輪郭と接触表面部分CAの輪郭との間の距離は、長手方向FDの位置に応じて変化してもよい。同様に、接触表面部分CAの短手方向TDの長さも、長手方向FDの位置に応じて変化してもよい。
【0084】
なお、セラミックヒータ100aには、2組(陽極と陰極)の電極パッド121Xと接続端子130aとが設けられている。電極パッド121Xの構成と、電極パッド121Xと接続端子130aとの接合状態とは、各組の間で同じである。接続端子130aの構成は、加締部135aの向きを除いて、各組の間で同じである。
【0085】
C.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0086】
上述の各実施例において、セラミック基体の構成としては、図2〜4に示す構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、形状としては、円柱形状に限らず、任意の形状を採用可能である。例えば、平板形状を採用してもよい。また、セラミック基体の材料としては、アルミナに限らず、種々のセラミック材料を採用可能である。例えば、ムライトやスピネルを採用してもよい。
【0087】
上述の各実施例において、電極パッドの構成としては、種々の構成を採用可能である。例えば、第1層121aの形状としては、矩形に限らず、楕円や多角形等の任意の形状を採用可能である。第2層121b、121cの形状としても、同様に、任意の形状を採用可能である。また、第1層の厚さと第2層の厚さとのそれぞれとしては、図7で説明した値とは異なる値を採用可能である。また、第1層の厚さが、第2層の厚さよりも、薄くてもよい。
【0088】
また、電極パッドの第1層の主成分としては、タングステンに限らず、モリブデン等の種々の導体材料を採用可能である。第2層の主成分についても、同様である。
【0089】
上述の各実施例において、接続端子の構成としては、図5〜図8に示す構成や、図9〜図13に示す構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、部材133、134(図5、図6)や部材133a、134a(図9、図10)の形成に、平板の代わりに丸棒を用いてもよい。また、図6に示す実施例において、ステップ状の屈曲を省略してもよい。また、図10に示す実施例において、接続部134aが、厚み方向にステップ状に折り曲げられてもよい。また、加締部135、135aが省略されてもよい。また、接続端子が、セラミック基体の表面と平行な方向に延びる代わりに、セラミック基体の表面と垂直な方向に延びてもよい。
【0090】
また、接続端子の材料としては、ニッケルを用いた合金に限らず、銅や鉄やそれらの合金等の種々の導体材料を採用可能である。
【0091】
上述の各実施例において、接続端子と電極パッド(第2層)との接合の構成としては、図5〜図8に示す構成や、図9〜図13に示す構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、図5、図6に示す接続端子130を利用する場合に、接合端部133を、電極パッド121(第2層121b)とほぼ垂直となるように、配置してもよい。また、図9〜図12において、接合部124aが、第2層121cを超えて第1層121aまで広がってもよい。

【0092】
なお、接合に利用されるロウ材としては、Au−Cu合金に限らず、種々の導体材料(例えば、Cu(銅)やAg(銀))を採用可能である。
【0093】
上述の各実施例において、セラミックヒータを有するガスセンサとしては、図1に示す酸素センサに限らず、特定のガス成分の検知、あるいは、特定のガス成分の濃度の測定を行う種々のガスセンサを採用可能である。例えば、空燃比センサを採用してもよく、また、窒素酸化物(NOx)の濃度を測定するセンサを採用してもよい。また、セラミックヒータを有する装置としては、ガスセンサに限らず、種々の装置を採用可能である。
【符号の説明】
【0094】
10…ガスセンサ
11…主体金具
11c…六角部
11d…接続部
12b…ヒータリード線
13…インシュレータ
14…セラミック粉末
15…プロテクタ
15a…外側プロテクタ
15b…内側プロテクタ
16…金属外筒
17…グロメット
18…セパレータ
19…センサ出力リード線
19b…センサ出力リード線
20…酸素検出素子
20f…係合フランジ部
20k…後端
20s…先端
21…固体電解質
30…内側端子部材
31…コネクタ部
32…セパレータ挿入部
32d…セパレータ当接部
33…挿入部
36…ヒータ押圧部
40…外側端子部材
41…外嵌部
42…セパレータ挿入部
42d…セパレータ当接部
43…コネクタ部
81…金属製パッキン
85…フィルタ
86…金属パイプ
100、100a…セラミックヒータ
101…碍管
102…セラミック基体
106…外側電極
108…内側電極
121、121X…電極パッド
121a…第1層
121b、121c…第2層
124、124a…接合部
130、130a…接続端子
133、133a…接合端部
133ap…端部
134、134a…接続部
135、135a…加締部
140…グリーンシート
141…発熱抵抗体
142…発熱部
143…リード部
144…スルーホール
146…グリーンシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びるセラミック基体と、
前記セラミック基体の表面に設けられたタングステン及びモリブデンの少なくとも一方を主成分とする電極パッドと、
外部回路と電気的に接続する接続端子と、
前記電極パッドと前記接続端子とをろう付け接合にて連結する接合部と、
を備えるセラミック接合体において、
前記電極パッドは、前記セラミック基体と接する第1層と、前記第1層の表面上に積層されるとともに前記接合部と接する第2層と、を含み、
前記第1層及び前記第2層には、前記セラミック基体に用いられるセラミック材料のうち、主成分となるセラミック材料を含有し、且つ前記第1層に含有される前記セラミック材料の含有量(wt%)は、前記第2層での含有量よりも多く、
前記第1層の輪郭は、全周において、前記第2層の輪郭の外側にある、
ことを特徴とする、セラミック接合体。
【請求項2】
請求項1に記載のセラミック接合体であって、
前記第1層の厚さは、前記第2層の厚さよりも厚い、
セラミック接合体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のセラミック接合体において、
前記接合部は、前記第2層を超えて前記第1層の表面上まで設けられている、
セラミック接合体。
【請求項4】
請求項3に記載のセラミック接合体において、
前記第1層の表面上に設けられる接合部の体積は、前記第2層の表面上に設けられる接合部の体積よりも少ない、
セラミック接合体。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のセラミック接合体であって、
前記電極パッドの積層方向に沿って見たときに、前記第2層の輪郭は、全周において、前記接続端子の表面のうちの前記接合部と接する接触表面部分の輪郭の外側にあり、前記長手方向に垂直な短手方向における前記第2層の輪郭と前記接触表面部分の輪郭との間の最短距離は、前記接触表面部分の前記短手方向の最大長さ以上である、
セラミック接合体。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のセラミック接合体と、
前記セラミック基体の先端側内部に設けられるとともに、前記電極パッドに接続された発熱部と、
を備えるセラミックヒータ。
【請求項7】
請求項6に記載のセラミックヒータであって、
前記第2層の重心は、前記第1層の重心よりも後端側に設けられている、
セラミックヒータ。
【請求項8】
先端が閉じた有底筒状の固体電解質体、該固体電解質体の外周面に配置された外側電極、及び該固体電解質体の内周面に配置された内側電極を備えるガスセンサ素子と、該ガスセンサ素子内に挿入配置されるヒータと、を有するガスセンサであって、
前記ヒータが、請求項6または請求項7に記載のセラミックヒータであるガスセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−120840(P2010−120840A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225794(P2009−225794)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】