説明

センサ装置及びその製造方法

【解決手段】セラミックキャリア基板(1)、及び前記セラミックキャリア基板上に配置された少なくとも2つの導体トラック(2a、2b)を有するセンサ装置が特定される。前記センサ装置は、チップ状をなして前記導体トラック(2a、2b)に電気的に接続された少なくとも1つのセラミック部材を有する。前記少なくとも1つのセラミック部材は、焼き付けられたスクリーン印刷ペーストによって導体トラック(2a、2b)に機械的に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、センサ素子が平面状に配置されたセンサ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006031344号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
達成すべき目的は、簡単且つ安定した構造を有するセンサ装置を具体化することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、特許請求の範囲の請求項1に係るセンサ装置によって達成される。また、上記目的は、請求項14及び15に係るセンサ装置の製造方法によっても達成される。従属項は、センサ装置及びその製造方法の有利な改良に関連している。
【0006】
セラミックキャリア基板を備え、当該セラミック基板上に少なくとも2つの導体トラックが配置されたセンサ装置が特定される。当該センサ装置は、少なくとも1つのセラミック部材を有し、当該セラミック部材はチップ状に形成され、且つセラミックキャリア基板の導体トラックに電気的に接続されている。
【0007】
当該セラミック部材は温度依存性抵抗を有していることが好ましく、当該抵抗を用いることによって検出された物理的変数を電気的な信号に変換することができる。
【0008】
当該セラミック部材の特徴を、1又は複数のNTC素子を一例として以下に説明する。
【0009】
但し、以下の特徴は、物理的変数を電気的な測定信号に変換するのに適した他の所望のセラミック部材にも適用される。
【0010】
セラミック部材は、耐熱型の温度センサであることが好ましい。1つの有利な実施態様において、セラミック部材は、NTC素子の形態をなし、NTCセラミックを含む主要部を備える。かかる場合において、NTCとは負の温度係数を意味する。当該NTC素子は、むき出しのセラミックチップの状態であることが好ましい。当該NTCセラミックは、経年変化に対して耐性を有することが好ましい。当該NTCセラミックは、測定温度に対して高い感度を有することが好ましい。当該NTCセラミックは、例えば、マンガン/ニッケルのセラミックからなり、当該マンガン/ニッケルのセラミックはスピネル型構造を有することが好ましい。
【0011】
少なくとも1つのNTC素子は、焼成されて焼き付けられたスクリーン印刷ペーストを介し、センサ装置のセラミックキャリア基板の導体トラックに機械的に固定されて接続される。スクリーン印刷ペーストによるNTC素子とキャリア基板との間の機械的な接続は、半田を用いない接続を可能にし、このような接続は高い温度検出に適する。銀又は銀/白金を含むスクリーン印刷ペーストを用いることが好ましい。
【0012】
半田付けによる接続は、適用範囲が限られたものとなる。比較的低い温度であっても、当該半田による接続が当該接続の固相線温度における固体と液層線温度における液体との間の遷移領域に達し、当該半田による接続は安定した接続にはもはや適さなくなる。
【0013】
一実施態様において、センサ装置は互いに並列に接続された少なくも2つのNTC素子を有する。
【0014】
別の実施態様として、センサ装置は互いに直列に接続された2つのNTC素子を有してもよい。
【0015】
別の実施態様として、互いに並列に接続されたNTC素子、及び互いに直列に接続されたNTC素子をセンサ装置のキャリア基板上に配置することもできる。
【0016】
一実施態様において、2つのNTC素子がキャリア基板の異なる導体トラック上に配置され、当該2つのNTC素子は導電性ブリッジによって互いに接続されていることが好ましい。一実施態様において、当該ブリッジは、センサ装置のキャリア基板と同一の材料から構成される。
【0017】
複数のNTC素子を用いる実施態様において、例えば、複数の別個の温度、又は不均一温度場の平均温度を検出できるように、センサ装置を構成してもよい。
【0018】
一実施態様において、センサ装置は少なくとも2つのNTC素子を有し、NTC素子の各々は少なくとも1つの独立した導体トラックによって接続されている。
【0019】
別の実施態様として、センサ装置の少なくとも2つのNTC素子は、例えば、当該NTC素子を共同で電気的に接続するような少なくとも1つの共通の導体トラックを有している。
【0020】
2つ以上のNTC素子を有するセンサ装置は、導体トラックを適切に構成することにより、異なる位置における温度を同時に測定することができる。かかる目的のために、NTC素子を直列、並列、又は独立した導体トラックを介して互いに独立させて電気的に接続してもよい。
【0021】
上述したようなセンサ装置に複数のNTC素子を設けると、当該センサ装置は、特に、不均一温度場における複数の温度の測定に適する。センサ装置が少なくとも2つの素子を有する場合には、不均一温度場の複数の温度を検出することができる。
【0022】
上述したセンサ装置は、1000℃までの範囲における温度検出に特に適している。1つの好ましい実施態様として、センサ装置は、300℃前後における温度検出に特に適している。セラミックキャリア基板を用いること、及び半田を用いずに当該基板にセンサを固定することより、センサ装置は1000℃までの温度検出に適する。NTCセラミックが特定の温度となった時点でドリフトし始めるので、原則として、当該センサ装置の適用分野は、使用するNTCセラミックのみによって制限を受ける。
【0023】
一実施態様において、NTC素子はセラミックチップを含み、当該セラミックチップは導体トラックの少なくとも1つに直接且つ電気的に接続されていることが好ましい。別の実施態様として、セラミックチップは、少なくとも2つの導体トラックに電気的に接続されている。
【0024】
一実施態様において、NTC素子のセラミックチップは、その面の全域にコンタクト領域を有している。コンタクト領域は、NTC素子において構成部材の接続領域を形成する2つの対向する表面に、導電性スクリーン印刷ペーストからなるメタライゼーションの状態で設けられることが好ましい。
【0025】
別の実施態様として、導電性スクリーン印刷ペーストからなるメタライゼーションは短冊状であり、2つの対向する側方両端部に設けられるのが好ましい。これにより、非常に正確にセラミック部材の抵抗値を設定することが可能になる。当該メタライゼーションは、NTC素子の側方端部から主表面にかけて設けられていることが好ましい。当該メタライゼーションは部材の接続領域を形成し、当該領域によって部材の電気的な接続が可能になる。
【0026】
別の実施態様として、NTC素子はメタライゼーションを有しない。
【0027】
その両面の全域上に導電性スクリーン印刷ペーストからなるメタライゼーションを有したNTC素子は、導電性のブリッジによる直列接続に特に適している。1つのみ又は互いに並列に接続された複数のNTC素子が用いられているセンサ装置の単純な構造の場合において、NTC素子はメタライゼーションを有し、当該メタライゼーションは短冊状に形成され且つ側方端部に位置する導電性スクリーン印刷ペーストから構成されることが好ましい。
【0028】
平坦なNTC素子を平面状に接続するには、NTC素子の導電性スクリーン印刷ペーストからなるメタライゼーションを短冊状にすることが好ましい。但し、別の実施態様として、NTC素子はメタライゼーションを有していなくてもよい。NTC素子がメタライゼーションを有さない実施態様においては、スクリーン印刷ペーストが焼成されて焼き付けられる際に、焼き付けられたスクリーン印刷ペーストによってNTC素子を接続する。かかる場合に、メタライゼーションを有さないNTC素子は、焼き付けられずに、導体トラックを形成しているスクリーン印刷ペースト上に配置され、その後に共通の焼き付け行程において焼き付けられる。
【0029】
セラミックキャリア基板は、熱伝導性のよい材料から形成されることが好ましい。1つ又は熱的に十分に結合した複数のNTC素子を有するセンサ装置の場合には、温度場の平均温度を検出することができる。
【0030】
導体トラックは、融点がセンサ装置の最高使用温度よりも高い金属材料から構成されることが好ましい。これにより、導体トラックの十分に優れた温度安定性が確保される。
【0031】
一実施態様において、キャリア基板の厚さは、キャリア基板における他の寸法よりも小さい。円形のキャリア基板の直径、及び四角形のキャリア基板の長さ又は幅は、キャリア基板の厚さよりも大きいことが好ましい。一実施態様において、キャリア基板は長方形のベース面を有している。但し、キャリア基板は他の任意の形状を有してもよい。
【0032】
非常に薄い厚さを有するキャリア基板と、パッケージ化されていないセラミックチップ形状のNTC素子を使用することにより、センサ装置の全高を非常に低く維持することができる。
【0033】
一実施態様において、セラミックキャリア基板は広い温度範囲内において電気的な絶縁体としてみなすことが可能であるが、当該温度範囲は少なくとも上述した最高使用温度までとする。これにより、例えば、導体トラックが印刷された第1面と当該キャリア基板の反対側の第2面との間において十分に優れた電気的な絶縁性を確保することができる。
【0034】
センサ装置は、当該センサ装置と外部の時間依存磁場との間の相互作用が無いものとしてみなせるような材料から構成されていることが好ましい。
【0035】
センサ装置を製造するために、焼き付けにより形成可能な導電性スクリーン印刷ペーストを介し、準備されたセラミックキャリア基板上に設けられたチップ状の少なくとも1つのNTC素子を当該キャリア基板に機械的に固定して接続する方法が特定されている。
【0036】
センサ装置の製造方法の第1の実施態様において、導電性スクリーン印刷ペーストは、準備されたセラミックキャリア基板に塗布され、キャリア基板上の少なくとも2つの導体トラックを形成する。少なくとも1つのNTC素子はキャリア基板上に配置され、当該NTC素子はNTC素子の少なくとも2つの接続領域を介して、印刷されたスクリーン印刷ペーストに接続される。接続領域は、NTC素子に塗布された導電性スクリーン印刷ペーストから形成される。NTC素子の少なくとも1つの第1接続領域は、スクリーン印刷ペーストと直接且つ電気的に接続されている。第2接続領域は、直接的又はその他の間接的な電気的接続によって接続されてもよく、当該その他の間接的な電気的接続としては、例えば、コンタクトブリッジ及び他のNTC素子を経由したものがある。次の方法工程において、スクリーン印刷ペーストはセラミックキャリア基板及びNTC素子に焼き付けられる。スクリーン印刷ペーストがセラミックキャリア基板及びNTC素子に焼き付けられることにより、少なくとも1つのNTC素子、キャリア基板及び焼き付けられたスクリーン印刷ペーストは、焼き付け工程中において機械的に安定した接続を形成する。
【0037】
センサ装置の製造方法の別な実施態様として、スクリーン印刷ペーストは、準備されたセラミックキャリア基板に塗布され、キャリア基板上に少なくとも2つの導体トラックを形成する。第1の焼き付け工程において、スクリーン印刷ペーストはセラミックキャリア基板に焼き付けられる。次に、導体トラック上に少なくとも1つのNTC素子が配置され、NTC素子は、焼き付けられた後に塗布される導電性スクリーン印刷ペーストを介し、導体トラックに電気的に少なくとも接続される。当該少なくとも1つのNTC素子を、焼き付けられたもう1つの導体トラックに直接的又は間接的に電気的に接続することができる。第2の焼き付け工程において、少なくとも1つのNTC素子及び導体トラックに塗布されたスクリーン印刷ペーストは、焼き付け工程中において機械的に安定した接続を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】セラミックキャリア基板を示す図である。
【図2】短冊状のメタライゼーションを有したNTC素子として具体化したセラミック部材の一実施形態を示す図である。
【図3】1つのNTC素子を有するセンサ装置の一実施形態を示す図である。
【図4】センサ装置の別の実施形態であって、互いに並列に接続された2つのNTC素子を有するセンサ装置を示す図である。
【図5】センサ装置の別の実施形態であって、4つのNTC素子を有し、且つそれぞれが互いに並列に接続された2つのNTC素子からなる2対のNTCを直列に接続したセンサ装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
上述した主題について、図及び実施例を用いて詳細に説明する。
【0040】
以下で説明する図面は、正確な縮尺であると解釈すべきではない。むしろ、個々の寸法は、よりよい例示を行うために、拡大され、縮小され、又は縮尺を異ならせている場合がある。互いに同一の又は機能が等しい構成要素を、同一の参照符号を用いて示す。
【0041】
図1は、センサ装置の第1の実施形態におけるセラミックキャリア基板1を示している。セラミックキャリア基板1の厚さは、取り得る範囲内において最小であることが好ましい。2つの導体トラック2a、2bは、スクリーン印刷法によってキャリア基板1に塗布され、セラミックキャリア基板1の上に配置される。導体トラック2a、2bを形成するための、例えば、銀又は銀/白金を含むスクリーン印刷ペーストをスクリーン印刷法によってキャリア基板に塗布する。
【0042】
かかるスクリーン印刷ペーストは、非常に高い温度のもとで、セラミックキャリア基板1及びセラミック部材に焼成されて焼き付けられる。かかる焼き付け工程は、約700℃〜900℃の範囲内において行われることが好ましい。
【0043】
かかるスクリーン印刷ペーストを焼き付けることにより、キャリア基板1の上面に導体トラック2a、2bを形成するのが好ましい。例示した実施形態において、導体トラック2a、2bは、キャリア基板1の一端側の領域にコンタクト部6を有している。コンタクト部6は、例えば、分離した接続パッドの形態、導体トラックを拡大した状態、又はその他のいくつかの形態とすることができる。コンタクト部6は、センサ装置の電気的な接続を行うために用いられる。図1に示すように、コンタクト部6に対して、キャリア基板1の同一の面側から接続可能であるのが好ましい。但し、メッキスルーホールを設けることにより、コンタクト部6のそれぞれをキャリア基板1の互いに異なる面に配置することも可能である。
【0044】
1つの可能な実施形態において、少なくとも1つのセラミック部材は、キャリア基板1の上に配置されると直ちにスクリーン印刷ペーストとともに加熱される。かかるセラミック部材は、例えばNTC素子として例示されている。それに代えて、少なくとも1つのセラミック部材は、スクリーン印刷ペーストを用いた独立した後続の焼き付け工程において、導体トラック2a、2bとともに焼き付けられてもよい。
【0045】
図2には、NTC素子3として具体化されたセラミック部材の1つの実施形態が示されている。NTC素子3は、むき出しのセラミックチップ状(ダイ)をなすのが好ましい。例示した実施形態において、NTC素子3は、短冊状のメタライゼーション4a、4bを有している。このメタライゼーション4a、4bは、NTC素子3の1つの面の対向した2つの側方端部において、それぞれ側方端部領域を覆って側縁部まで延設されている。短冊状のメタライゼーション4a、4bを、側縁部から更にNTC素子3の裏側の間まで延設することも可能である。短冊状のメタライゼーション4a、4bは、例えば、スクリーン印刷ペーストが焼き付けられた後に、互いに並設された2つの導体トラックにNTC素子3を電気的に接続する。
【0046】
別な実施形態(図示せず)において、導電性スクリーン印刷ペーストからなるメタライゼーション4は、NTC素子の上面及び下面の全域に塗布されてもよい。この実施形態において、NTC素子3の第1の金属被覆面は、スクリーン印刷ペーストが焼き付けられた後に、導体トラックの一方に対する第1の電気的接続、又は更なる電気部材との第1の電気的接続を構成する。NTC素子3の第2の電気的接続は、NTC素子3の第2の金属被覆面を介して行われる。
【0047】
図3は、1つのNTC素子3を有するセンサ装置の第1の実施形態を示している。NTC素子3は、一端側がキャリア基板1の導体トラック2a、2bに直接且つ電気的に接続される。例示した実施形態において、NTC素子3は、側方端部領域にメタライゼーションを有していることが好ましく、かかるメタライゼーションは短冊状をなし有し且つ導電性スクリーン印刷ペーストから構成される。本実施形態において、当該メタライゼーションはNTC素子の下面に配置されていることが好ましいので、図3において、当該メタライゼーションは図示されていない。NTC素子3は、耐熱性を有する方法により、機械的に固定され、電気的に導体トラック2a、2bに接続される。NTC素子3は、スクリーン印刷ペーストを介して導体トラック2a、2bに接続されている。焼き付け工程において、NTC素子3は、導体トラック2a、2bのスクリーン印刷ペーストとともに焼き付けられ、又は、すでに焼き付けられた導体トラック2a、2bに更に塗布されたスクリーン印刷ペーストとともに焼き付けられる。これにより、キャリア基板1の導体トラック2a、2bとNTC素子3との間に高い耐熱性を有した導電性の機械的に安定した接続が得られる。
【0048】
図4は、互いに並列に接続された2つのNTC素子3a、3bを有するような別のセンサ装置の実施態様を示している。2つのNTC素子3a、3bは、キャリア基板1の長手方向において互いに距離を置いて配置されることが好ましい。例示した実施形態において、NTC素子3a、3bは導体トラック2a、2bを介して互いに並列に接続されている。キャリア基板1の上にNTC素子3a、3bを互いに距離を置いて配置することにより、例えば、不均一温度場の平均温度の検出が可能になる。不均一温度場の第1領域及び第2領域の温度が互いに異なる場合に、第1のNTC素子3aは不均一温度場の第1領域の温度を検出し、第2のNTC素子3bは第2領域の温度を検出する。2つのNTC素子3a、3bからの出力信号は、例えば、2つの温度領域の平均温度の測定に使用可能な電気信号を生成する。
【0049】
別な実施形態(図示せず)において、例えば、2つのNTC素子は、共通のフォワード線及び独立したリターン線を有してもよい。これにより、例えば、不均一温度場における様々な温度を別々に、好ましくは同時に測定することが可能になる。
【0050】
3つ以上のNTC素子を、例えば並列回路で用いることにより、不均一温度場の平均温度をより正確に測定することができる。独立したリターン線で接続を行う場合には、不均一温度場における複数の温度を測定することができる。
【0051】
図5は、別の実施形態として、4つのNTC素子3a、3a’、3b、3b’を有し、直列に接続されたNTC素子3a、3a’と、直列に接続されたNTC素子3b、3b’との2組が並列に接続されたセンサ装置の別な実施態様を図示している。例示した実施態様において、NTC素子3a、3a’、3b、3b’は、導電性スクリーン印刷ペーストからなるメタライゼーションにより、その両面の全域が覆われていることが好ましい。当該メタライゼーションは、図5には図示されていない。NTC素子3a、3a’、3b、3bの接続を行うためのこれらのNTC素子の第1面は、キャリア基板1の上の2つの導体トラック2a、2bの一方に直接的に接続されていることが好ましい。第1ペアのNTC素子3a、3a’は、導電性コンタクトブリッジ5aを用い、NTC素子3a、3a’の第2面を介して、それぞれが互いに電気的に接続されている。第2ペアのNTC素子3b、3b’は、導電性コンタクトブリッジ5bによって同様に電気的に接続されている。コンタクトブリッジ5a、5bは、キャリア基板1と同一のセラミック材料から構成されることが好ましい。コンタクトブリッジ5a、5bは、少なくとも1つの導体トラックを有し、かかる導体トラックは、少なくとも2つのNTC素子3a、3a’同士、又はNTC素子3b、3b’同士を互いに電気的に接続させるために用いられる。
【0052】
NTC素子3a、3a’、3b、3b’、は、両面に塗布された導電性スクリーン印刷ペーストにより、導体トラック2a、2b及び導電性コンタクトブリッジ5a、5bに機械的且つ電気的に接続されていることが好ましい。スクリーン印刷ペーストによるNTC素子3a、3a’、3b、3b’の第1面と導体トラック2a、2bとの接続も、導体トラック2a、2bとなるスクリーン印刷ペーストのセラミックキャリア基板1への焼き付けと同時に実施することができる。一実施形態において、導電性スクリーン印刷ペーストによるNTC素子3a、3a’、3b、3b’の第2面と導電性コンタクトブリッジ5a、5bの各々との接続も、導体トラック2a、2bの焼き付けの実施とともに、第1の接合焼き付け工程において実施することができる。
【0053】
本発明について、好ましい実施の形態により限られた数の展開のみしか説明していないが、本発明はかかる展開に限定されない。原則として、センサ装置は、独立した導体トラックを介して接続されたNTC素子を複数有することが可能であり、この結果として、不均一温度場の様々な温度を検出することが可能になる。
【0054】
本発明は、例示したいくつかの形態に限定されるものではない。
【0055】
ここに述べる主題の説明は、個々の具体的な実施形態に限定されるものではなく、個々の実施形態の特徴を、技術的に有益な範囲において必要に応じ、互いに結合することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 キャリア基板
2a、2b 導体トラック
3、3a、3a’、3b、3b’ NTC素子
4、4a、4b メタライゼーション
5、5a、5b 導電性ブリッジ
6 コンタクト部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックキャリア基板(1)と、
前記セラミックキャリア基板(1)上に配置された少なくとも2つの導体トラック(2a、2b)と、
チップ状に形成されて、前記導体トラック(2a、2b)に電気的に接続された少なくとも1つのセラミック部材と、を有し、
前記少なくとも1つのセラミック部材は、焼き付けられたスクリーン印刷ペーストによって前記導体トラック(2a、2b)に機械的に接続されていることを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記センサ装置は少なくとも2つのセラミック部材を有し、
前記少なくとも2つのセラミック部材は、異なる導体トラック(2a、2b)上に配置され、且つ、導電性ブリッジ(5)によって互いに接続されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記導電性ブリッジ(5)は、前記センサ装置の前記セラミックキャリア基板(1)と同一の材料からなることを特徴とする請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
1000℃までの温度を検出するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記センサ装置は少なくとも2つのセラミック部材を有し、
前記少なくとも2つのセラミック部材は、前記セラミックキャリア基板(1)の長手方向において間隔を置いて配置され、且つ、それぞれが少なくとも1つの別個の前記導体トラック(2a、2b)によって互いに電気的に接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記少なくとも2つのセラミック部材は、少なくとも1つの共通の導体トラックにより電気的に接続されていることを特徴とする請求項5に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記セラミック部材は、メタライゼーションが形成されていないセラミックチップを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記セラミック部材は、その面の全域に、導電性スクリーン印刷ペーストからなるメタライゼーション(4)を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載のセンサ装置。
【請求項9】
前記セラミック部材は、短冊状をなし導電性スクリーン印刷ペーストからなるメタライゼーション(4a、4b)を有し、
前記メタライゼーションは、2つの対向する側方端部の領域に塗布されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1に記載のセンサ装置。
【請求項10】
準備されたセラミックキャリア基板(1)上の、少なくとも1つのチップ状のセラミック部材を焼き付け可能な導電性スクリーン印刷ペーストにより、前記セラミックキャリア基板(1)に機械的に固定して接続することを特徴とするセンサ装置の製造方法。
【請求項11】
焼き付け可能な前記導電性スクリーン印刷ペーストを前記セラミックキャリア基板(1)及び前記セラミック部材の少なくとも1つの接続領域に塗布し、
前記セラミックキャリア基板(1)の前記導電性スクリーン印刷ペーストと、前記セラミック部材に塗布された前記導電性スクリーン印刷ペーストとを接続し、
焼き付け工程を実施することを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
準備された前記セラミックキャリア基板(1)に前記導電性スクリーン印刷ペーストを塗布して前記セラミックキャリア基板(1)上に少なくとも2つの導体トラック(2a、2b)を形成し、
前記少なくとも1つのセラミック部材を前記セラミックキャリア基板上に配置し、
前記セラミック部材を少なくとも2つの接続領域を介して前記導電性スクリーン印刷ペーストに接続し、
次に、前記導電性スクリーン印刷ペーストを前記セラミックキャリア基板(1)及び前記セラミック部材に焼き付け、
前記少なくとも1つのセラミック部材及び前記導電性スクリーン印刷ペーストは、前記焼き付け工程中に機械的に安定した接続を形成することを特徴とする請求項10又は11に記載の製造方法。
【請求項13】
準備されたセラミックキャリア基板(1)に前記導電性スクリーン印刷ペーストを塗布して前記セラミックキャリア基板(1)上に少なくとも2つの導体トラック(2a、2b)を形成し、
第1の焼き付け工程において、前記導電性スクリーン印刷ペーストを前記セラミックキャリア基板(1)に焼き付け、
焼き付けられた前記導体トラック(2a、2b)に対し、前記少なくとも1つのセラミック部材を配置すると共に、追加の導電性スクリーン印刷ペーストを用いて接続し、
前記少なくとも1つのセラミック部材及び前記追加の導電性スクリーン印刷ペーストは、その後の第2の焼き付け工程の間に機械的に安定した接続を形成することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−530186(P2011−530186A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521598(P2011−521598)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【国際出願番号】PCT/EP2009/060306
【国際公開番号】WO2010/015717
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS  AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】