説明

ソルダペーストと、これを用いたピングリッドアレイパッケージ用基板及びピングリッドアレイパッケージ、並びにピングリッドアレイパッケージ用基板の製造方法

【課題】鉛フリーはんだ粉末及びフラックスを含有するソルダペーストにおいて、端子と導電性接続ピンを接合する際のリフロー温度を下げることができる上、パッケージ部品を実装した後のピン立て性を向上できるソルダペーストと、これを用いたピングリッドアレイパッケージ用基板及びピングリッドアレイパッケージと、ピングリッドアレイパッケージ用基板の製造方法を提供する。
【解決手段】ピングリッドアレイパッケージ用のソルダペースト(4)であって、Sn/Sb系鉛フリーはんだ粉末と、フラックスとを含有し、前記Sn/Sb系鉛フリーはんだ粉末は、第一のはんだ粉末と、前記第一のはんだ粉末よりも融点が高い第二のはんだ粉末とを含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピングリッドアレイパッケージの製造工程において、端子と導電性接続ピンとを接合する際に使用するソルダペーストと、これを用いたピングリッドアレイパッケージ用基板及びピングリッドアレイパッケージ、並びにピングリッドアレイパッケージ用基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のピングリッドアレイパッケージ(以下、PGAパッケージともいう)の製造方法としては、例えば特許文献1に記載の方法が挙げられる。図4A〜図4Eは、前記特許文献1に記載されたPGAパッケージの製造方法の工程別断面図である。まず、片面に端子2が形成された基材1を用意する(図4A)。次いで、基材1の端子2が形成された面とは反対側の面に、低融点のSn/Pb系はんだを含有するソルダペースト30を印刷する(図4B)。次いで、端子2上に高融点のSn/Pb系はんだを含有するソルダペースト40を印刷する(図4C)。次いで、導電性接続ピン5をソルダペースト40に当接させた状態でリフローすることで、図4Dに示すように、端子2と導電性接続ピン5とが、ソルダペースト40中のSn/Pb系はんだからなる導電性接続部60により接合される。同時に、ソルダペースト30中のSn/Pb系はんだによりはんだバンプ70が形成される。次いで、はんだバンプ70上にパッケージ部品8を載置し、リフローすることで、図4Eに示すPGAパッケージが得られる。
【0003】
しかし近年、環境汚染の問題から鉛に対する規制が強化され、Sn/Pb系はんだ粉末から鉛フリーはんだ粉末へと切り替わりつつある。
【0004】
ところが、99.3Sn/0.7Cu合金(質量比がSn/Cu=99.3/0.7)に代表される鉛フリーはんだは、Sn/Pb系はんだに比べて、約40℃高い融点を有するため、パッケージ部品を実装する際のリフロー温度としては230℃程度の高温が必要となる。そのため、図5に示すように、パッケージ部品8を実装するためのリフロー工程により、導電性接続ピン5が傾いたり、倒れたりして、基材1に対する導電性接続ピン5の垂直性(ピン立て性)が低下する可能性があることが、本発明者らの検討により判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−223290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、端子と導電性接続ピンを接合するはんだとして、高融点のはんだを採用すれば、上記ピン立て性の低下を抑制することができる。しかし、近年では電子機器の薄型化や軽量化のために、PGAパッケージについても従来のセラミック系基材から樹脂系基材へと移行しつつあるため、高融点のはんだを採用すると、端子と導電性接続ピンを接合するためのリフロー工程により、樹脂系基材が劣化して、PGAパッケージ用基板の信頼性が損なわれるおそれがあった。
【0007】
従って、端子と導電性接続ピンとを接合する際に使用するソルダペーストとしては、ピン立て性に優れ、かつ樹脂系基材の劣化を防止するために端子と導電性接続ピンを接合する際のリフロー温度を下げることができるものが望まれる。従来のソルダペーストでは、上記課題について充分に検討されていなかった。
【0008】
本発明は、鉛フリーはんだ粉末及びフラックスを含有するソルダペーストにおいて、端子と導電性接続ピンを接合する際のリフロー温度を下げることができる上、パッケージ部品を実装した後のピン立て性を向上できるソルダペーストと、これを用いたピングリッドアレイパッケージ用基板及びピングリッドアレイパッケージと、ピングリッドアレイパッケージ用基板の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、融点が相違する2種類のSn/Sb系鉛フリーはんだ粉末を用いることによって、端子と導電性接続ピンを接合する際のリフロー温度を下げることができる上、パッケージ部品を実装した後のピン立て性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明のソルダペーストは、ピングリッドアレイパッケージ用のソルダペーストであって、Sn/Sb系鉛フリーはんだ粉末と、フラックスとを含有し、前記Sn/Sb系鉛フリーはんだ粉末は、第一のはんだ粉末と、前記第一のはんだ粉末よりも融点が高い第二のはんだ粉末とを含有することを特徴とする。
【0011】
本発明のピングリッドアレイパッケージ用基板は、基材と、該基材の片面に配設された端子と、該端子上に配設された導電性接続ピンとを有するピングリッドアレイパッケージ用基板であって、前記端子と、前記導電性接続ピンとが、上記本発明のソルダペーストを用いて接合されたことを特徴とする。
【0012】
本発明のピングリッドアレイパッケージは、上記本発明のピングリッドアレイパッケージ用基板と、該ピングリッドアレイパッケージ用基板の導電性接続ピンが配設されている面とは反対側の面に実装されたパッケージ部品とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明のピングリッドアレイパッケージ用基板の製造方法は、基材と、該基材の片面に配設された端子と、該端子上に配設された導電性接続ピンとを有するピングリッドアレイパッケージ用基板の製造方法であって、前記端子と、前記導電性接続ピンとを、上記本発明のソルダペーストを用いて接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のソルダペーストによれば、端子と導電性接続ピンを接合する際のリフロー温度を下げることができる上、パッケージ部品を実装した後のピン立て性を向上できるソルダペーストを提供できる。また、本発明のピングリッドアレイパッケージ用基板及びその製造方法、並びにピングリッドアレイパッケージによれば、リフロー工程に起因する基材の劣化が抑制され、かつピン立て性に優れるピングリッドアレイパッケージを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】A〜Eは、本発明のPGAパッケージの製造方法の一例を示す工程別断面図である。
【図2】条件Aのリフロー条件を示すグラフである。
【図3】条件Bのリフロー条件を示すグラフである。
【図4】A〜Eは、従来のPGAパッケージの製造方法の一例を示す工程別断面図である。
【図5】従来のPGAパッケージの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のソルダペーストは、PGAパッケージの製造工程において、端子と導電性接続ピンとを接合する際に使用するソルダペーストであって、鉛フリーはんだ粉末及びフラックスを含有するソルダペーストを対象とする。鉛フリーはんだ粉末としては、第一のはんだ粉末と、前記第一のはんだ粉末よりも融点が高い第二のはんだ粉末を含有するSn/Sb系鉛フリーはんだ粉末を用いる。なお、本発明でいう「融点」とは、融解開始温度のことであり、示差走査熱量測定(DSC)における固相線温度を指す。以下、本発明のソルダペーストに含有される(又は含有され得る)成分について説明する。
【0017】
(Sn/Sb系鉛フリーはんだ粉末)
本発明では、Sn/Sb系鉛フリーはんだ粉末を用いるが、「鉛フリーはんだ粉末」とは、鉛を添加しないはんだ粉末のことをいう。ただし、はんだ粉末中に、不可避的不純物として鉛が存在することは許容されるが、この場合、鉛の量は、1000ppm以下であることが好ましい。
【0018】
本発明で用いられるSn/Sb系鉛フリーはんだ粉末は、第一のはんだ粉末と、前記第一のはんだ粉末よりも融点が高い第二のはんだ粉末とを含有する。融点が相違する2種類のはんだ粉末を用いると、端子と導電性接続ピンを接合する際のリフロー工程において、先に第一のはんだ粉末(低融点はんだ)が溶融し、この溶融した低融点はんだが高融点の第二のはんだ粉末に接触し、これらが融合することによって、はんだ全体として溶融しやすくなり、リフロー温度を下げることができると考えられる。これにより、例えば、リフロー温度を250℃未満まで下げることができる。また、高融点の第二のはんだ粉末同士が第一のはんだ粉末を介して融合することによって、はんだ接合部が強化されると共に、第一及び第二のはんだ粉末のいずれもがSn/Sb系はんだ粉末であるため、ピン立て性が良好になるものと考えられる。
【0019】
第一のはんだ粉末としては、例えば、融点が好ましくは230〜240℃未満、より好ましくは232〜238℃のはんだ粉末が使用できる。第二のはんだ粉末としては、例えば、融点が好ましくは240〜260℃未満、より好ましくは240〜250℃のはんだ粉末が使用できる。リフロー温度の低減及びピン立て性向上の観点から、第一のはんだ粉末と第二のはんだ粉末の融点の差は、好ましくは5〜30℃であり、より好ましくは10〜25℃である。はんだ粉末の融点を制御する方法としては、例えば、SnとSbの含有比率を調整する方法が挙げられる。即ち、Sbの含有比率を上げると融点は高くなり、Sbの含有比率を下げると融点は低くなる。
【0020】
第一のはんだ粉末の具体例としては、リフロー温度の低減の観点から、Sb3〜7質量%と残部Snからなるはんだ粉末が好ましく、Sb3〜6質量%と残部Snからなるはんだ粉末がより好ましい。また、第二のはんだ粉末の具体例としては、ピン立て性向上の観点から、Sb10〜20質量%と残部Snからなるはんだ粉末が好ましく、リフロー温度低減とピン立て性向上を両立させる観点から、Sb10〜18質量%と残部Snからなるはんだ粉末がより好ましい。なお、上記「残部Sn」とは、Sb以外の成分の全てが厳密にSnからなることを意味しているわけではなく、不可避的不純物としてSb及びSn以外の他の成分が存在することは許容される。この場合、他の成分の量は、リフロー温度の低減及びピン立て性向上の観点から、1000ppm以下であることが好ましい。Snの含有量は、端子と導電性接続ピンとの接合箇所の信頼性向上の観点から、80〜97質量%であることが好ましく、82〜97質量%であることがより好ましく、84〜97質量%であることが更に好ましい。
【0021】
Sn/Sb系鉛フリーはんだ粉末中の第一のはんだ粉末の含有量は、リフロー温度低減、及びピン立て性向上の観点から、10〜40質量%であることが好ましく、15〜35質量%であることがより好ましく、20〜30質量%であることが更に好ましい。
【0022】
Sn/Sb系鉛フリーはんだ粉末中の第二のはんだ粉末の含有量は、リフロー温度低減、及びピン立て性向上の観点から、60〜90質量%であることが好ましく、65〜85質量%であることがより好ましく、70〜80質量%であることが更に好ましい。
【0023】
本発明で用いられるSn/Sb系鉛フリーはんだ粉末は、平均粒径が1〜50μmであることが好ましく、5〜45μmであることがより好ましく、10〜40μmであることが更に好ましい。平均粒径を1μm以上とすることで、ソルダペーストを印刷に適した粘度に容易に調整することができる。一方、平均粒径を50μm以下とすることで、PGAパッケージのピン間隔の狭ピッチ化に容易に対応できる。なお、上記「平均粒径」は、レーザー回折式分析装置により測定できる。レーザー回折式分析装置としては、例えば、レーザー回折粒子アナライザーCoulter LS130(BECMAN COULTER社製)を使用できる。
【0024】
なお、本発明で用いられるSn/Sb系鉛フリーはんだ粉末には、第一及び第二のはんだ粉末以外に更に別のSn/Sb系はんだ粉末が含まれていてもよい。例えば、融点が第一のはんだ粉末と第二のはんだ粉末の中間の値を示す第三のはんだ粉末が含まれていてもよい。
【0025】
(フラックス)
本発明で用いられるフラックスは、特に限定されず、従来のソルダペーストで使用されている配合のものを使用できる。例えば、ロジン系樹脂含有フラックスや、熱硬化性樹脂含有フラックス等が使用できる。なかでも、はんだ付け時の作業性及びリペアの容易性の観点から、ロジン系樹脂含有フラックスを使用するのが好ましい。
【0026】
ロジン系樹脂含有フラックスとしては、ロジン系樹脂、活性剤、チクソ剤、溶剤等を含有するフラックスが使用できる。ロジン系樹脂としては、例えばロジン及びその変性ロジン等の誘導体が挙げられ、これらは併用もできる。具体的には例えばガムロジン、ウッドロジン、重合ロジン、フェノール変性ロジンやこれらの誘導体等が挙げられる。ロジン系樹脂の含有量は、はんだ付け性の観点から、フラックス中、30〜70質量%が好ましい。活性剤としては、有機アミンのハロゲン化水素塩及び有機酸が挙げられ、具体的にはジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミン臭化水素酸塩、モノエタノールアミン臭化水素酸塩、アジピン酸、セバチン酸等が挙げられる。活性剤の含有量は、残さによる腐食を抑制し、絶縁抵抗を損なわない観点、更にははんだ付け性、はんだボールを生じさせないようにする観点から、フラックス中、0.1〜10質量%が好ましい。チクソ剤としては、硬化ヒマシ油、水素添加ヒマシ油、脂肪酸アマイド類、オキシ脂肪酸類等が挙げられる。チクソ剤の含有量は、ソルダペーストを印刷に適した粘度に調整する観点から、フラックス中、3〜15質量%が好ましい。溶剤としては、例えばヘキシルカルビトール、ヘキシルジグリコール、ブチルカルビトール等が挙げられる。溶剤の含有量は、ソルダペーストを印刷に適した粘度に調整する観点から、フラックス中、30〜50質量%が好ましい。
【0027】
本発明のソルダペーストにおいて、フラックスの含有量は、9〜13質量%であることが好ましく、10〜12質量%であることがより好ましい。上記範囲とすることにより、ペーストとしての粘性やチクソ性が良好となり、印刷やディスペンス塗布などの量産工程に適したソルダペーストが得られる。同様の観点から、本発明のソルダペーストにおいて、Sn/Sb系鉛フリーはんだ粉末の含有量は、81〜91質量%であることが好ましく、88〜90質量%であることがより好ましい。
【0028】
本発明のソルダペースト、又はソルダペーストに含まれるフラックスは、上述した成分に加えて、必要に応じて種々の添加剤、例えば界面活性剤、消泡剤、レベリング剤等の添加剤などを含有することができる。なかでも、界面活性剤を添加すると、はんだ濡れ広がり性が向上するため好ましい。
【0029】
本発明のソルダペーストは、上述した必須成分及び必要に応じて添加される添加剤と共に混練処理することにより容易に製造することができる。
【0030】
次に、上記本発明のソルダペーストを用いたPGAパッケージ用基板の製造方法と、PGAパッケージの製造方法について図1A〜Eを参照しながら説明する。
【0031】
まず、図1Aに示すように、片面に端子2が形成された基材1を用意する。基材1としては、特に限定されず、一層又は多層のセラミック系基材や、一層又は多層の樹脂系基材等が使用できるが、樹脂系基材を用いて高温(特に250℃以上)で後述するリフロー工程を行うと、変色や変形等が生じやすいため、樹脂系基材を用いる場合は、250℃未満のリフロー温度を採用することが望ましい。本発明によれば、リフロー温度の低減を容易に行うことができるため、基材1として樹脂系基材を用いる場合に、特に本発明の効果が有効に発揮される。
【0032】
次いで、図1Bに示すように、基材1の端子2が形成された面とは反対側の面に、ソルダペースト3を塗布する。塗布方法は特に限定されず、スクリーン印刷法やディスペンス塗布法等が採用できる。
【0033】
ソルダペースト3としては、後述するソルダペースト4中のはんだ粉末よりも低い融点を有するはんだ粉末が含まれる限り、特に限定されないが、環境負荷軽減の観点から、鉛フリーはんだ粉末を含むソルダペーストが好ましい。鉛フリーはんだ粉末としては、例えば、Sn/Cu系、Sn/Bi系、Sn/In系、Sn/Zn系、Sn/Ag/Cu系、Sn/Cu/Bi系等が挙げられる。コストの観点からは、ソルダペースト3として、Sn/Cu系鉛フリーはんだ粉末を含むソルダペーストを使用することが好ましい。
【0034】
次いで、図1Cに示すように、端子2上に上述した本発明のソルダペースト4を塗布する。塗布方法は特に限定されず、スクリーン印刷法やディスペンス塗布法等が採用できる。
【0035】
次いで、導電性接続ピン5をソルダペースト4に当接させた状態でリフローすることで、図1Dに示すように、端子2と導電性接続ピン5とが、ソルダペースト4中のSn/Sb系はんだからなる導電性接続部6により接合される。同時に、ソルダペースト3中のはんだ(好ましくはSn/Cu系鉛フリーはんだ)によりはんだバンプ7が形成される。この際のリフロー温度は、基材1の変色や変形を防止する観点から、250℃未満であることが好ましい。以上の工程により、図1Dに示すPGAパッケージ用基板10が得られる。
【0036】
更に、図1Eに示すように、上記で得られたPGAパッケージ用基板10のはんだバンプ7上に、IC、LSI等のパッケージ部品8を載置し、リフローすることで、PGAパッケージ20が得られる。この際のリフロー温度は、ソルダペースト3として、鉛フリーはんだ粉末を含有するソルダペーストを用いた場合、通常は230℃以上となる。このように高温下でパッケージ部品8を実装するためのリフロー工程を行っても、ソルダペースト4として、上述した本発明のソルダペーストを用いることによって、ピン立て性の良好なPGAパッケージ20が得られる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されない。例えば、上記実施形態では、パッケージ部品実装用ソルダペーストを塗布した後で、本発明のソルダペースト(ピン固定用ソルダペースト)を塗布したが、塗布の順番は逆でもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、PGAパッケージ用基板にはんだバンプを形成したが、本発明のPGAパッケージ用基板は、はんだバンプが形成されていなくてもよい。その場合、例えばパッケージ部品側にはんだバンプを設けておいて、そのはんだバンプとPGAパッケージ用基板上の端子とを接合することによって、パッケージ部品を実装してもよい。
【実施例】
【0039】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。これら実施例は、本発明における最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例により限定を受けるものではない。
【0040】
(ピン固定用ソルダペーストの調製)
ロジン系樹脂(ハリマ化成社製 ハリフェノール512)48質量%、チクソ剤(硬化ヒマシ油)9質量%、活性剤(アジピン酸)8質量%、界面活性剤(ビックケミージャパン株式会社製 BYK361N)1質量%、及び溶剤としてヘキシルジグリコール34質量%を同容器に計量し、らいかい機を用いて混合し、フラックスを調製した。得られたフラックスと、表1に示すピン固定用はんだ粉末とを、フラックス:はんだ粉末=10:90の比率で計量し、これらを混練機にて2時間混合することで、ピン固定用ソルダペーストを調製した。なお、表1において、各はんだ粉末A及びBの融点は、示差走査熱量計(セイコーインスツルメント社製、DSC6200)を用い、窒素雰囲気下、昇温速度を10℃/分、測定温度範囲を30〜600℃として測定した。測定の際は、吸熱量が1.5J/g以上あるものを測定対象物由来のピークとし、それ未満のピークは、分析精度の観点から除外した。
【0041】
(パッケージ部品実装用ソルダペーストの調製)
上記ピン固定用ソルダペーストの調製方法において、鉛フリーはんだ粉末として99.3Sn/0.7Cu合金はんだ粉末(上記測定方法による融点:227℃)を用いたこと以外は、上記と同様の方法でパッケージ部品実装用ソルダペーストを調製した。
【0042】
(ピン立て性評価)
片面に10×10個のランド(径:1.4mm、間隔:4.2mm)が形成されたガラスエポキシ基板(FR−4、厚み0.6mm(導体の厚みは12μm))のランド面とは反対面に、上記パッケージ部品実装用ソルダペーストをメタルスキージで印刷した。次いで、ランド上に上記ピン固定用ソルダペーストをメタルスキージで印刷した。そして、印刷されたピン固定用ソルダペースト上にそれぞれピン(金めっきされたもの(材質:42アロイ)、軸径:0.3mm、ヘッド径:0.9mm、長さ:2.07mm)を当接させた状態で、リフロー条件A(図2)又はリフロー条件B(図3)にて加熱して、PGAパッケージ用基板を作製した。次いで、このPGAパッケージ用基板のはんだバンプ上にICチップを載置し、リフロー条件A(図2)又はリフロー条件B(図3)にて加熱して、PGAパッケージを作製した。得られたPGAパッケージについて目視観察により、以下の基準でピン立て性評価を行った。
○:異常なし
△:若干傾いたピンがある
×:倒れたピンがある
−:はんだが完全に溶融しなかったため、ピン−ランド間に接着不良が生じている
【0043】
(リフロー耐熱性評価)
上記ピン立て性評価で評価した各PGAパッケージについて目視観察により、以下の基準でリフロー耐熱性評価を行った。
○:異常なし
×:基材が変色している
【0044】
【表1】

【0045】
表1に示すように、本発明の実施例は、比較例に比べ、いずれの評価項目についても良好な結果が得られた。よって、本発明によれば、リフロー工程に起因する基材の劣化が抑制され、かつピン立て性に優れるピングリッドアレイパッケージを提供できることが確認された。
【符号の説明】
【0046】
1 基材
2 端子
3 パッケージ部品実装用ソルダペースト
4 ピン固定用ソルダペースト
5 導電性接続ピン
6 導電性接続部
7 はんだバンプ
8 パッケージ部品
10 PGAパッケージ用基板
20 PGAパッケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピングリッドアレイパッケージ用のソルダペーストであって、
Sn/Sb系鉛フリーはんだ粉末と、フラックスとを含有し、
前記Sn/Sb系鉛フリーはんだ粉末は、第一のはんだ粉末と、前記第一のはんだ粉末よりも融点が高い第二のはんだ粉末とを含有する、ソルダペースト。
【請求項2】
前記第一のはんだ粉末は、Sb3〜7質量%と残部Snからなり、
前記第二のはんだ粉末は、Sb10〜20質量%と残部Snからなる、請求項1記載のソルダペースト。
【請求項3】
前記Sn/Sb系鉛フリーはんだ粉末は、平均粒径が1〜50μmである、請求項1又は2記載のソルダペースト。
【請求項4】
基材と、該基材の片面に配設された端子と、該端子上に配設された導電性接続ピンとを有するピングリッドアレイパッケージ用基板であって、
前記端子と、前記導電性接続ピンとが、請求項1〜3のいずれか1項記載のソルダペーストを用いて接合された、ピングリッドアレイパッケージ用基板。
【請求項5】
前記基材の導電性接続ピンが配設されている面とは反対側の面に形成されたはんだバンプを更に有する、請求項4記載のピングリッドアレイパッケージ用基板。
【請求項6】
請求項4又は5記載のピングリッドアレイパッケージ用基板と、該ピングリッドアレイパッケージ用基板の導電性接続ピンが配設されている面とは反対側の面に実装されたパッケージ部品とを有する、ピングリッドアレイパッケージ。
【請求項7】
前記パッケージ部品を実装する際のリフロー温度が、230℃以上である、請求項6記載のピングリッドアレイパッケージ。
【請求項8】
基材と、該基材の片面に配設された端子と、該端子上に配設された導電性接続ピンとを有するピングリッドアレイパッケージ用基板の製造方法であって、
前記端子と、前記導電性接続ピンとを、請求項1〜3のいずれか1項記載のソルダペーストを用いて接合する、ピングリッドアレイパッケージ用基板の製造方法。
【請求項9】
前記端子と前記導電性接続ピンとを接合する際のリフロー温度が、250℃未満である、請求項8記載のピングリッドアレイパッケージ用基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−167753(P2011−167753A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36386(P2010−36386)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】