説明

タイトジャンクション・エフェクター用製剤

【課題】1以上のタイトジャンクション・アゴニストおよび/または1以上のタイトジャンクション・アンタゴニストを含む腸溶組成物が提供される。
【解決手段】本発明の組成物は、不活性コア上に配置することのできるタイトジャンクション・アゴニスト層および/またはタイトジャンクション・アンタゴニスト層の上に配置される遅延放出コーティングを含むことができる。遅延放出コーティングは、胃液中で実質的に安定であり、腸液中で実質的に不安定であることができ、したがって、十二指腸または小腸の空腸内での、組成物からのタイトジャンクション・アゴニストおよび/またはタイトジャンクション・アンタゴニストの実質的な放出を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その全体の内容が、参照により本明細書に具体的に組み込まれる、2006年2月9日に出願された、米国仮特許出願第60/771454号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ある特定のタイトジャンクション・アンタゴニスト(tight junction antagonist)またはタイトジャンクション・アゴニスト(tight junction agonist)および腸溶コーティングを含む、医薬剤形を含む。
【背景技術】
【0003】
腸のタイトジャンクション機能障害は、食物アレルギー、消化管の感染症、自己免疫疾患、および炎症性腸疾患を含む、様々な臨床症状において起こる。無傷のタイトジャンクションを有する健康で成熟した腸粘膜は、巨大分子の通過に対する主なバリアーとして作用する。健康な状態の間には、少量の免疫学的に活性なタンパク質が、腸の宿主バリアーを通過する。これらのタンパク質は、少なくとも2つの経路を通じて粘膜を越えて吸収される。吸収されたタンパク質の大部分(最大90%)は、経細胞経路を介して腸バリアーを通過し、次いでリソソーム分解され、これは、タンパク質をより小さな非免疫原性のペプチドに変換する。他のタンパク質は、傍細胞経路を通じて無傷のタンパク質として輸送され、この経路は、タンパク質(抗原)の耐容性を導く、細胞間タイトジャンクションの繊細だが洗練された調節を伴う。未熟である、または放射線、化学療法、および/もしくは毒素への曝露後のように、タイトジャンクション系の完全性が損なわれる場合、環境抗原への有害応答(自己免疫疾患および食物アレルギーを含めて)が起こり得る。
【0004】
上皮が受ける多くの多様な生理的および病理学的攻撃に対処するため、タイトジャンクションまたは閉鎖帯(ZO)は、複雑な調節系の存在が要求される、迅速、生理的、可逆的、一過性、エネルギー依存性、かつ協調された応答ができる必要がある。
【0005】
コレラ菌(Vibrio cholerae)によって産生される閉鎖帯毒素(Zonula occludens toxin)は、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA、8:5242〜5246(1991)において、Fasanoらによって特徴づけられ、その配列が決定された(GenBankアクセッション番号A43864)。コレラ菌ファージCXTΦのZOTタンパク質は、タイトジャンクション調節の生理的機構を利用する。ZOTは、コレラ菌ファージCXTΦのための形態形成ファージ・ペプチドとして、および腸のタイトジャンクションを調節するエンテロトキシンとしての、タンパク質の2つの機能を可能にする複数のドメインを有する。ウサギの回腸粘膜で試験した場合、ゾヌリン・オックルデンス毒素(ZOT)は、細胞間タイトジャンクションの構造を調節することによって、腸の透過性を増大させた。
【0006】
ZOTは、腸の粘膜におけるタイトジャンクションを可逆的に開放することができ、したがって、ZOTは、治療剤と共投与される場合、腸薬物送達用の経口投与組成物に用いると、治療剤の腸送達をもたらし得ることが見出された(WO96/37196、および米国特許第5665389号;およびFasanoら、J.Clin.Invest.、99:1158〜1164(1997))。米国特許第5864014号では、ZOT受容体が、腸細胞株、すなわちCaCo2細胞から同定され、精製された。さらに、米国特許第5912323号では、ヒトの腸、心臓および脳組織由来のZOT受容体が、同定され、精製された。
【0007】
ZOTは、腸細胞の表面と相互作用することによって、一連の細胞内事象を媒介する。ZOT結合は、小腸の部位によって変化し、空腸および末端回腸において検出可能であり、絨毛−陰窩(crypt)軸に沿って減少し、大腸において検出可能でない。この結合分布は、腸の透過性へのZOTの局所的効果と一致する。
【0008】
免疫学的および機能的にZOTに関連する哺乳動物タンパク質が同定されてきている。米国特許第5945510号では、免疫学的および機能的にZOTに関連し、哺乳動物タイトジャンクションの生理的なモジュレーターとしても機能する、新規な哺乳動物タンパク質が同定され、精製された。「ゾヌリン」と呼ばれるこれらの哺乳動物タンパク質は、哺乳動物タイトジャンクションの生理的なエフェクターとして機能する。
【0009】
本明細書中で企図されるタイトジャンクション・アゴニスト(例えば、ZOTおよび/またはゾヌリンのアゴニスト)は、ZOT受容体に結合することが確認された。これらのアゴニストは、可逆的および再現可能な様式でタイトジャンクションを迅速に開放し、したがって、ZOTが、腸送達エンハンサーとして用いられるのと同様に、治療剤または免疫原の腸のバイオアベイラビリティーを促進するのに用いることができ、これは以下の特許参考文献に記載されている:WO05/010022、WO96/37196;米国特許第5827534号;米国特許第5665389号;および米国特許第5908825号。
【0010】
本明細書中で企図されるタイトジャンクション・アンタゴニスト(例えば、ZOTおよび/またはゾヌリンのアンタゴニスト)は、ZOT受容体に結合するが、哺乳動物タイトジャンクションの開放を生理的に調節するよう機能しないことが確認された。米国特許第6458925号を参照されたい。ペプチド・アンタゴニストは、ZOTおよびゾヌリンの、ZOT受容体への結合を競合的に阻害し、それによって、ZOTおよびゾヌリンの、哺乳動物タイトジャンクションの開放を生理的に調節する能力を阻害する。様々な解剖学的バリアーにおける、タイトジャンクションの開放の阻害は、自己免疫疾患の処置に有用となり得る。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、1以上のタイトジャンクション・エフェクター(tight junction effector)を含む組成物を提供する。そのような組成物は、コア粒子、コア粒子上のベースコート(base coat)、およびベースコート上に配置された遅延放出コーティングを含むことができる。いくつかの実施形態では、ベースコートは、1以上のタイトジャンクション・アンタゴニストおよび/または1以上のタイトジャンクション・アゴニストを含むことができる。いくつかの実施形態では、遅延放出コーティングは、胃液中で実質的に安定であり得る。特定の実施形態では、ベースコートは、1以上のタイトジャンクション・アンタゴニスト、1以上のタイトジャンクション・アゴニスト、または1以上のタイトジャンクション・アンタゴニストおよびタイトジャンクション・アゴニストの組合せを含むことができる。いくつかの実施形態では、遅延放出コーティングは、ユードラジット(Eudragit)L化合物を含むことができる。
【0012】
典型的には、遅延放出コーティングは、酸性環境中で実質的に安定であり、中性付近からアルカリ性環境中で実質的に不安定である、腸溶剤を含む。適当な遅延放出コーティングは、トリステアリン、トリオレイン、トリカプリリン、トリカプリン、トリミリスチン、トリパルミチンおよびトリラウリンからなる群から選択することのできる1以上のトリグリセリド、ならびにコーティング支持剤(coating support agent)を含むことができる。
【0013】
タイトジャンクション・アゴニストの例は、閉鎖帯毒素(zonula occludens toxin)(ZOT)であり、これは、コレラ菌によって産生される。ZOT受容体アゴニストは、ZOTに利用されるのと同じ受容体を通じて、タイトジャンクションの開放を媒介すると考えられている化合物である。別の実施形態では、タイトジャンクション・アゴニストは、ゾヌリンを含むことができる。ゾヌリン受容体アゴニストは、ゾヌリンに利用されるのと同じ受容体を通じて、タイトジャンクションの開放を媒介すると考えられている化合物である。ZOT受容体アゴニストおよびゾヌリン受容体アゴニストはともに、タイトジャンクション・アゴニストの例である。理論に束縛されることを望むものではないが、ZOTおよびゾヌリンは、同じ受容体を利用すると同時にタイトジャンクション・アゴニストとして機能すると考えられている。特定の実施形態では、本発明の組成物は、配列番号1を含むペプチドを含むタイトジャンクション・アンタゴニストを含むことができる。別の特定の実施形態では、本発明の組成物は、配列番号2を含むペプチドを含むタイトジャンクション・アゴニストを含むことができる。
【0014】
本発明の組成物は、1以上の治療剤および/または免疫原(immunogenic agent)を含むことができる。治療剤および/または免疫原は、存在する場合、コア粒子、ベースコート、および/または遅延放出コート中に配置することができる。典型的には、治療剤および/または免疫原は、ベースコートおよび/またはコア粒子中に配置することができる。適当な治療剤の例として、限定されないが、グルコース代謝剤(例えば、インスリン、レパグリニド、アセトヘキサミド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、ミグリトール、グリメピリドなど)、抗生物質、抗腫瘍剤(antineoplastic)、抗高血圧剤、抗てんかん剤、中枢神経系剤、および免疫系抑制剤が挙げられる。
【0015】
一実施形態では、本発明の組成物は、錠剤、カプセル剤または粉末サッシェ中に存在する、複数の遅延放出粒子を含むことができる。
【0016】
本発明の組成物は、種々の疾患および病状を処置するのに用いることができる。一実施形態では、本発明は、胃腸の炎症(gastrointestinal inflammation)を処置する方法であって、その処置を必要とする対象に、本発明の組成物を含む医薬剤形を経口的に投与することを含む方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、医師によって胃腸の炎症について検査され、胃腸の炎症処置のための療法の必要があると診断されたヒトにおいて、胃腸の炎症を処置するための方法であって、そのヒトに、本発明の組成物を含む医薬剤形を経口的に投与することを含む方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、医師によって糖尿病について検査され、糖尿病のための療法の必要があると診断されたヒトにおいて、糖尿病を処置するための方法であって、そのヒトに、タイトジャンクション・アゴニスト(例えば、ゾヌリン・アゴニスト)およびインスリンを含む本発明の組成物を含む医薬剤形を経口的に投与することを含む方法を提供する。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、1より多い遅延放出コーティングされた粒子を含む組成物を提供する。そのような粒子は、同じであっても異なっていてもよく、例えば、1以上の同じまたは異なる、タイトジャンクション・エフェクター、治療剤および/または免疫原、および遅延放出コーティングを含むことができる。そのような組成物の例は、第1のコア粒子、第1のコア粒子上の第1のベースコート(ここで、第1のベースコートは1以上のタイトジャンクション・エフェクターを含む)、第1のベースコート上に配置され第1の遅延放出粒子を形成する第1の遅延放出コーティング(ここで、第1の遅延放出コーティングは胃液中で実質的に安定である):および第2のコア粒子、第2のコア粒子上の第2のベースコート(ここで、第2のベースコートは1以上のタイトジャンクション・エフェクターを含む)、および第2のベースコート上に配置され第2の遅延放出粒子を形成する第2の遅延放出コーティング(ここで、第2の遅延放出コーティングは胃液中で実質的に安定である)を含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の遅延放出コーティングおよび第2の遅延放出コーティングは、異なる時間で放出を遅延させる。例えば、第1の遅延放出粒子中に存在するタイトジャンクション・エフェクターの約半分は、腸液への曝露後、約5分間〜約10分間放出されることができ、第2の遅延放出粒子中に存在するタイトジャンクション・エフェクターの約半分は、腸液への曝露後、約12分間〜約18分間放出されることができる。このタイプの組成物では、タイトジャンクション・エフェクターは、任意の様式で分布していてよく、例えば、第1の遅延放出粒子中に存在するタイトジャンクション・エフェクターは、組成物中の全タイトジャンクション・エフェクターの約60重量%〜約90重量%を構成することができ、第2の遅延放出粒子中に存在するタイトジャンクション・エフェクターは、組成物中の全量のタイトジャンクション・エフェクターの約10重量%〜約40重量%を構成することができる。同様に、第1の遅延放出粒子は、タイトジャンクション・アンタゴニストおよび/またはタイトジャンクション・アゴニストを含むことができ、一方第2の遅延放出粒子も、タイトジャンクション・アンタゴニストおよび/またはタイトジャンクション・アゴニストを含むことができる。このタイプの組成物に適したタイトジャンクション・アンタゴニストには、限定されないが、配列番号1を含むタイトジャンクション・アンタゴニストが含まれる。このタイプの組成物に適したタイトジャンクション・アゴニストには、限定されないが、配列番号2を含むタイトジャンクション・アゴニストが含まれる。このタイプの組成物は、任意の様式で配置される、1以上の治療剤および/または免疫原をさらに含んでもよい。例えば、第1の遅延放出粒子および/または第2の遅延放出粒子は、1以上の治療剤および/または1以上の免疫原を含むことができる。このタイプの組成物は、複数の第1の遅延放出粒子および/または第2の遅延放出粒子を含むことができる。このタイプの組成物は、種々の疾患および/または病状を処置するのに用いることができ、例えば、本発明は、胃腸の炎症を処置する方法であって、その処置を必要とする患者に、第1の遅延放出粒子および第2の遅延放出粒子を含む組成物を、経口的に投与することを含む方法を提供する。
【0018】
特定の一実施形態では、本発明は、コア粒子、コア粒子上のベースコート(ここで、ベースコートは配列番号1を含むタイトジャンクション・アンタゴニストを含む)、およびベースコート上に配置された遅延放出コーティング(ここで、遅延放出コーティングは胃液中で実質的に安定である)を含む組成物を提供する。そのような組成物に適したコア粒子は、大きさ約25〜約30メッシュとすることができる。ベースコートは、結合剤(例えば、ベイカー糖(Baker’s sugar))を含んでもよく、遅延放出コーティングは、ユードラジットL30Dを含んでもよい。任意の量の1以上のタイトジャンクション・アンタゴニストを用いることができ、例えば、1以上のタイトジャンクション・アンタゴニストは、組成物の約0.1wt%〜約20wt%、組成物の約1〜約20wt%、組成物の約1wt%〜約10wt%、または組成物の約4〜約6wt%を構成することができる。
【0019】
別の特定の実施形態では、本発明は、コア粒子、配列番号2を含むタイトジャンクション・アゴニストを含む、コア粒子上のベースコート(ここで、ベースコートは配列番号2を含むタイトジャンクション・アゴニストを含む)、およびベースコート上に配置された遅延放出コーティング(ここで、遅延放出コーティングは胃液中で実質的に安定である)を含む組成物を提供する。そのような組成物に適したコア粒子は、大きさ約25〜約30メッシュとすることができる。ベースコートは、結合剤(例えば、ベイカー糖)を含んでもよく、遅延放出コーティングは、ユードラジットL30Dを含んでもよい。任意の量の1以上のタイトジャンクション・アゴニストを用いることができ、例えば、1以上のタイトジャンクション・アゴニストは、組成物の約0.1wt%〜約20wt%、組成物の約1〜約20wt%、組成物の約1wt%〜約10wt%、または組成物の約4〜約6wt%を構成することができる。このような組成物は、1以上の治療剤および/または1以上の免疫原をさらに含んでもよい。適当な治療剤として、限定されないが、グルコース代謝剤(例えば、インスリン、レパグリニド、アセトヘキサミド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、ミグリトール、グリメピリドなど)、抗生物質、抗腫瘍剤、抗高血圧剤、抗てんかん剤、中枢神経系剤、および免疫系抑制剤が挙げられる。適当な免疫原には、限定されないが、ワクチン(例えば、ペプチド・ワクチン、弱毒微生物ワクチン、および/または弱毒ウイルスワクチン)が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、1以上のタイトジャンクション・アゴニストおよび/またはタイトジャンクション・アンタゴニストを含む組成物に関する。本明細書で用いる場合、「タイトジャンクション・エフェクター」は、タイトジャンクション・アゴニストおよびタイトジャンクション・アンタゴニストを一括して指すのに用いることができる。用語「アンタゴニスト」は、アゴニストによって誘発される応答を防止、阻害、低減する、または逆行させる化合物として定義される。したがって、本明細書で用いるタイトジャンクション・アゴニストは、タイトジャンクションの開放を媒介する化合物(例えば、タイトジャンクションの生理的な、一過性の解体(disassembly)を誘発する作用物質)であり;タイトジャンクション・アンタゴニストは、タイトジャンクション・アゴニストによって媒介されるタイトジャンクションの開放を防止、阻害、低減する、または逆行させる化合物(例えば、タイトジャンクションの生理的な、一過性の解体を防止する作用物質)である。いくつかの実施形態では、タイトジャンクション・アゴニストは、ZOT受容体および/またはゾヌリン受容体に結合することによって作用することができ、すなわち、ZOT受容体アゴニストおよび/またはゾヌリン受容体アゴニストであることができる。いくつかの実施形態では、タイトジャンクション・アンタアゴニスト(antaagonist)は、ZOT受容体および/またはゾヌリン受容体に結合することによって作用することができ、すなわち、ZOT受容体アンタゴニストおよび/またはゾヌリン受容体アンタゴニストとなることができる。理論に束縛されることを望むものではないが、ZOTおよびゾヌリンは、同じ受容体を通じてタイトジャンクション開放を調節すると考えられる。いくつかの実施形態では、タイトジャンクション・アゴニストには、タイトジャンクション構造を物理的に崩壊させる作用物質、例えば、界面活性剤は含まれないであろう。いくつかの実施形態では、タイトジャンクション・アンタゴニストには、タイトジャンクション・アゴニストに直接結合することによって機能する化合物は含まれないであろう。適当なタイトジャンクション・エフェクターの例には、限定されないが、1以上の以下の配列:
GGVLVQPG(配列番号1、場合によってAT1001と呼ばれるタイトジャンクション・アンタゴニスト)およびFCIGRL(配列番号2、タイトジャンクション・アゴニスト)ならびにこれらの配列の機能的誘導体
を含むペプチドが含まれる。
【0021】
例えば、ペプチドGGVLVQPGの機能的誘導体として、限定されないが、以下のものが挙げられる。
【0022】
【表1】

【0023】
例えば、ペプチドFCIGRLの機能的誘導体として、限定されないが、以下のものが挙げられる。
【0024】
【表2】

【0025】
Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、Tyr、およびMetからなる群から選択することができ;Xaaは、Gly、Ser、Thr、Tyr、Asn、およびGlnからなる群から選択することができ;Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、およびMetからなる群から選択することができ;Xaaは、Gly、Ser、Thr、Tyr、Asn、Ala、およびGlnからなる群から選択することができ;Xaaは、LysおよびHisからなる群から選択することができ;Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、およびMetからなる群から選択することができる。
【0026】
(配列番号2)のさらなる機能的誘導体として、以下のものが挙げられる。
【0027】
【表3】

【0028】
Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、Tyr、およびMetからなる群から選択することができ;Xaaは、Gly、Ser、Thr、Tyr、Asn、およびGlnからなる群から選択され;Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、およびMetからなる群から選択され;Xaaは、Gly、Ser、Thr、Tyr、Asn、Ala、およびGlnからなる群から選択され;Xaaは、LysおよびHisからなる群から選択され;Xaaは、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Trp、およびMetからなる群から選択される。
【0029】
配列番号1〜47のペプチドに基づく小分子、ペプチド、ペプチド模倣体およびペプチド類似体として、当業者によって典型的に分類されるタイトジャンクション・エフェクターを含む組成物も企図される。タイトジャンクション・エフェクターがペプチドである場合、任意の長さのペプチドを用いることができる。例えば、エフェクターの長さは、アミノ酸の個数で約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14または約15とすることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、エフェクターが、ペプチド・タイトジャンクション・アゴニストである場合、このペプチドの長さは、アミノ酸の個数で約3〜約12、約4〜約12、約5〜約12、約6〜約12、約7〜約12、約8〜約12、約9〜約12、約10〜約12、約3〜約10、約4〜約10、約5〜約10、約6〜約10、約7〜約10、約8〜約10、約9〜約10とすることができる。いくつかの実施形態では、タイトジャンクション・エフェクターが、タイトジャンクション・アゴニストペプチドである場合、このペプチドの長さは、アミノ酸9個以下とすることができる。
【0031】
いくつかの実施形態では、エフェクターが、ペプチド・タイトジャンクション・アンタゴニストである場合、このペプチドの長さは、アミノ酸の個数で約3〜約25、約6〜約25、約8〜約25、約10〜約25、約15〜約25、約20〜約25、約6〜約20、約8〜約20、約10〜約20、約15〜約20、約6〜約15、約8〜約15、約10〜約15、約6〜約10、約8〜約10、または約9〜約10とすることができる。いくつかの実施形態では、ペプチド・アンタゴニストの長さは、アミノ酸10個以下とすることができる。
【0032】
本発明の組成物は、腸送達用に製剤化することができ、例えば、1以上のコーティング、例えば、1以上の腸溶剤を含有する遅延放出コーティングを含むことができる。遅延放出コーティングは、典型的には胃液中で実質的に安定であり、腸液中で実質的に不安定であり(例えば、急速に溶解するか、または物理的に不安定である)、したがって、十二指腸または空腸において、組成物からのタイトジャンクション・エフェクターの実質的な放出を提供する。本発明は、組成物が、1以上の治療分子または免疫原的に活性な分子を含んでもよいことも企図する。
【0033】
本発明の組成物は、この組成物の全重量の約0.1wt%〜約20wt%、約0.1wt%〜約18wt%、約0.1wt%〜約16wt%、約0.1wt%〜約14wt%、約0.1wt%〜約12wt%、約0.1wt%〜約10wt%、約0.1wt%〜約8wt%、約0.1wt%〜約6wt%、約0.1wt%〜約4wt%、約0.1wt%〜約2wt%、約0.1wt%〜約1wt%、約0.1wt%〜約0.9wt%、約0.1wt%〜約0.8wt%、約0.1wt%〜約0.7wt%、約0.1wt%〜約0.6wt%、約0.1wt%〜約0.5wt%、約0.1wt%〜約0.4wt%、約0.1wt%〜約0.3wt%、または約0.1wt%〜約0.2wt%の濃度で、1以上のタイトジャンクション・エフェクターを含むことができる。本発明の組成物は、この組成物の全重量に基づいて、約0.1wt%、約0.2wt%、約0.3wt%、約0.4wt%、約0.5wt%、約0.6wt%、約0.7wt%、約0.8wt%、または約0.9wt%の濃度で、1以上のタイトジャンクション・エフェクターを含むことができる。
【0034】
本発明の組成物は、この組成物の全重量の約1wt%〜約20wt%、約1wt%〜約18wt%、約1wt%〜約16wt%、約1wt%〜約14wt%、約1wt%〜約12wt%、約1wt%〜約10wt%、約1wt%〜約9wt%、約1wt%〜約8wt%、約1wt%〜約7wt%、約1wt%〜約6wt%、約1wt%〜約5wt%、約1wt%〜約4wt%、約1wt%〜約3wt%、または約1wt%〜約2wt%の濃度で、1以上のタイトジャンクション・エフェクターを含むことができる。本発明の組成物は、この組成物の全重量に基づいて、約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、または約9wt%の濃度で、1以上のタイトジャンクション・エフェクターを含むことができる。
【0035】
用語「胃液中で安定である」または「酸性環境中で安定である」は、pH5以下の胃液、またはpH5以下の模擬胃液中、約60分間で、組成物中の全タイトジャンクション・アンタゴニストまたはアゴニストの30重量%以下を放出する組成物を指す。本発明の組成物は、pH5以下の胃液、またはpH5以下の模擬胃液中、約60分間で、組成物中の全タイトジャンクション・アンタゴニストまたはアゴニストの約0重量%〜約30重量%、約0重量%〜約25重量%、約0重量%〜約20重量%、約0重量%〜約15重量%、約0重量%〜約10重量%、5重量%〜約30重量%、約5重量%〜約25重量%、約5重量%〜約20重量%、約5重量%〜約15重量%、約5重量%〜約10重量%を放出し得る。本明細書で用いる場合、数値を修飾するために用いられる「約」は、その値の10%以内であることを意味する。本発明の組成物は、pH5以下の胃液、またはpH5以下の模擬胃液中、約60分間で、組成物中の全タイトジャンクション・アンタゴニストまたはアゴニストの約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、または約10重量%を放出し得る。
【0036】
用語「腸液中で不安定である」は、腸液または模擬腸液中、約60分間で、組成物中の全タイトジャンクション・エフェクターの70重量%以上を放出する組成物を指す。用語「中性付近からアルカリ性環境中で不安定である」は、pH5以上の腸液、またはpH5以上の模擬腸液中、約90分間で、組成物中の全量のタイトジャンクション・アゴニストまたはアンタゴニストの70重量%以上を放出する組成物を指す。例えば、中性付近またはアルカリ性の環境中で不安定である組成物は、pH約5超を有する液体(例えば、約5〜約14、約6〜約14、約7〜約14、約8〜約14、約9〜約14、約10〜約14、または約11〜約14のpHを有する液体)中、約5分間〜約90分間、または約10分間〜約90分間、または約15分間〜約90分間、または約20分間〜約90分間、または約25分間〜約90分間、または約30分間〜約90分間、または約5分間〜約60分間、または約10分間〜約60分間、または約15分間〜約60分間、または約20分間〜約60分間、または約25分間〜約90分間、または約30分間〜約60分間で、タイトジャンクション・アゴニストペプチドまたはタイトジャンクション・アンタゴニストペプチドの70重量%以上を放出し得る。
【0037】
一実施形態では、遅延放出コーティングは、胃液中で、本質的に無傷のままであり得るか、または本質的に不溶性であり得る。遅延放出コーティングの安定性は、pH依存性とすることができる。pH依存性である遅延放出コーティングは、酸性環境(pH5以下)中で実質的に安定であり、中性付近からアルカリ性環境(pH5超)中で実質的に不安定であるだろう。例えば、遅延放出コーティングは、小腸中で見出されるような中性付近からアルカリ性環境中で、本質的に崩壊または溶解し得る。
【0038】
模擬胃液および模擬腸液の例として、限定されないが、「2005 Pharmacopeia 23NF/28USP in Test Solutions」の2858頁に開示されているもの、ならびに/または当業者に知られている他の模擬胃液および模擬腸液、例えば酵素なしで調製された模擬胃液および/または模擬腸液が挙げられる。
【0039】
あるいは、遅延放出コーティングの安定性は、酵素依存性とすることができる。酵素依存性である遅延放出コーティングは、特定の酵素を含有しない液体中で実質的に安定であり、その酵素を含有する液体中で実質的に不安定であるだろう。この遅延放出コーティングは、適切な酵素を含有する液体中で、本質的に崩壊または溶解するだろう。酵素依存性の制御は、例えば、ガラクトマンナンなどの、腸内の酵素に曝露されている状態でのみ活性成分を放出する物質を用いることによってもたらすことができる。
【0040】
本明細書で用いる場合、タイトジャンクション・アンタゴニストは、タイトジャンクションの開放(opening)を防止、阻害または低減する。タイトジャンクション・アゴニストは、タイトジャンクションの開放を媒介、促進または増強する。タイトジャンクション・アンタゴニストは、タイトジャンクション・アゴニスト(例えばZOTおよびゾヌリン)の、1以上の受容体分子(例えば、ZOT受容体)への結合を阻害することができ、それによって、アゴニストのタイトジャンクションの開放を生理的に調節する能力を阻害または低減する。
【0041】
本発明の組成物からのタイトジャンクション・アゴニストまたはタイトジャンクション・アンタゴニストの放出のための標的器官は、小腸、特に十二指腸および空腸である。米国特許第6458925号、同第5945510号および同第5827534号では、当技術分野で示されている耐胃性(gastroresistent)錠剤またはカプセル剤による、タイトジャンクション・アンタゴニスト、ゾヌリンまたはZOTの小腸送達ための経口投与組成物の可能性が考察されている。そのような錠剤またはカプセル剤の調製の例については、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、16版、Osol編、Mack Publishing Co.、89章(1980);Digenisら、J.Pharm.Sci.、83:915〜921(1994);Vantiniら、Clinica Terapeutica、145:445〜451(1993);Yoshitomiら、Chem.Pharm.Bull.、40:1902〜1905(1992);Thomaら、Pharmazie、46:331〜336(1991);Morishitaら、Drug Design and Delivery、7:309〜319(1991);Linら、Pharmaceutical Res.、8:919〜924(1991)を参照されたい。
【0042】
一実施形態では、本発明の腸溶製剤は、1以上の遅延放出コーティングおよび不活性コアを利用することによって、場合により、他の治療剤および/または免疫原とともに、タイトジャンクション・アゴニスト化合物またはタイトジャンクション・アンタゴニスト化合物の、有効で遅延させながらも実質的な送達を提供することができる。コーティングされた組成物は、酸性環境または胃液中で実質的に安定であり、中性付近からアルカリ性または腸液中で実質的に不安定である。本発明の組成物は、本発明の精神の範囲内で、追加の化合物、例えば、緩衝液、賦形剤、タルクまたは結合剤なども含むことができる。
【0043】
タイトジャンクション・アゴニストまたはアンタゴニストおよび腸溶コーティングを含む粒子
一実施形態では、本発明は、1以上のタイトジャンクション・アゴニストおよび/または1以上のタイトジャンクション・アンタゴニストを含むベースコートを有するコア粒子、ならびにコーティングされたコア粒子上に配置された遅延放出コーティングを含む組成物を提供する。遅延放出コーティングは、酸性環境および/または胃液中で実質的に安定であり、および/または中性付近からアルカリ性の環境もしくは腸液中で実質的に不安定であることができ、それによってコーティングされたコア粒子を腸液に曝露する。1以上のタイトジャンクション・アゴニストおよび/または1以上のタイトジャンクション・アンタゴニストを含むベースコートは、1以上の治療剤をさらに含むことができる。場合によって、複数のベースコートをコアに施すことができ、そのそれぞれは、タイトジャンクション・エフェクターおよび/または治療剤を含有することができる。場合によって、コア粒子は、1以上のタイトジャンクション・エフェクターおよび/または1以上の治療剤を含んでもよい。
【0044】
一実施形態では、処置を必要とする対象に、コーティングされたコア粒子を含有する錠剤またはカプセル剤の形態で、上述した組成物を提供することができる。そのような錠剤またはカプセル剤は、経口的に投与することができる。あるいは、対象は、コーティングされたコア粒子、および場合により、1以上の補助剤、例えば、甘味料または香味剤などを含む、粉末サッシェを提供される場合がある。次いでこの対象は、粉末を液体と混合し、この混合物を経口的に投与することができる。
【0045】
コア粒子は、約5〜約50メッシュ、約5〜約45メッシュ、約5〜約40メッシュ、約5〜約35メッシュ、約5〜約30メッシュ、約5〜約25メッシュ、約5〜約20メッシュ、約5〜約15メッシュ、約5〜約10メッシュ、約10〜約50メッシュ、約10〜約45メッシュ、約10〜約40メッシュ、約10〜約35メッシュ、約10〜約30メッシュ、約10〜約25メッシュ、約10〜約20メッシュ、約10〜約15メッシュ、約15〜約50メッシュ、約15〜約45メッシュ、約15〜約40メッシュ、約15〜約35メッシュ、約15〜約30メッシュ、約15〜約25メッシュ、約15〜約20メッシュ、約20〜約50メッシュ、約20〜約45メッシュ、約20〜約40メッシュ、約20〜約35メッシュ、約20〜約30メッシュ、約20〜約25メッシュ、約25〜約50メッシュ、約25〜約45メッシュ、約25〜約40メッシュ、約25〜約35メッシュ、約25〜約30メッシュ、約30〜約50メッシュ、約30〜約45メッシュ、約30〜約40メッシュ、または約30〜約35メッシュの平均サイズを有する球体またはシード(seed)を含むことができる。コア粒子は、コーティング組成物でコーティングされることができ、この組成物は、本明細書に記載された、1以上のタイトジャンクション・アゴニストおよび/または1以上のタイトジャンクション・アンタゴニストおよび/または1以上の治療剤を含むことができる。
【0046】
コア粒子は、様々な酸化物、セルロース、有機ポリマーおよび他の材料、ならびにそれらの混合物を含む不水溶性粒子、または様々な無機塩、糖、ノンパレルおよび他の材料ならびにそれらの混合物を含む水溶性粒子とすることができる。コア粒子は、最終粒子組成物の、約25〜約75、約30〜約75、約35〜75、約40〜約75、約45〜約75、約50〜約75、約55〜約75、約60〜約75、約65〜約75、約70〜約75、約25〜約70、約25〜約65、約25〜約60、約25〜約55、約25〜約50、約25〜約45、約25〜約40、約25〜約35、約25〜約30、約30〜約60、約35〜約55、約40〜約50、約42〜約47、または約42〜約45wt%を構成することができる。一実施形態では、コア粒子は、最終粒子組成物の約43.2wt%を構成することができる。一般的な形態のそのようなコア粒子は、市販されており、例えば、Celpheres(商標)またはノンパレルなどである。コア粒子は、場合によって、1以上のタイトジャンクション・エフェクター化合物および/または1以上の治療剤を含んでもよい。コア粒子は、当技術分野で知られている技法、例えば、米国特許第6248363号(特に実施例)および同第6294192号(特に実施例)に記載されている技法を用いてコーティングすることができる。
【0047】
本発明の組成物は、当業者に知られている、1以上の以下の製剤助剤、例えば、界面活性剤、増量剤、崩壊剤、アルカリ性物質および/または結合剤なども含むことができる。
【0048】
本発明に用いるのに適した界面活性剤には、限定されないが、任意の薬学的に許容可能な、無毒性の界面活性物質が含まれる。本発明の組成物中に用いるのに適した界面活性物質の分類として、限定されないが、ポリエトキシ化脂肪酸、PEG−脂肪酸ジエステル、PEG−脂肪酸モノ−およびジ−エステル混合物、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、アルコール−油エステル交換生成物、ポリグリセライズド(polyglycerized)脂肪酸、プロピレングリコール脂肪酸エステル、プロピレングリコールエステル−グリセロールエステルの混合物、モノ−およびジグリセリド、ステロールおよびステロール誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖エステル、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル、イオン性界面活性物質、ならびにそれらの混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、限定されないが、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、およびクエン酸トリエチルを含めた、1以上の界面活性物質を含むことができる。界面活性剤は、最終粒子組成物の全重量に基づいて、約0.1wt%〜約5wt%、約0.1wt%〜約4.5wt%、約0.1wt%〜約4.0wt%、約0.1wt%〜約3.5wt%、約0.1wt%〜約3.0wt%、約0.1wt%〜約2.5wt%、約0.1wt%〜約2.0wt%、約0.1wt%〜約1.5wt%、約0.1wt%〜約1.0wt%、約0.1wt%〜約0.5wt%、約0.5wt%〜約5.0wt%、約1.0wt%〜約5.0wt%、約1.5wt%〜約5.0wt%、約2.0wt%〜約5.0wt%、約2.5wt%〜約5.0wt%、約3.0〜約5.0wt%、約3.5wt%〜約5.0wt%、約4.0wt%〜約5.0wt%、約4.5wt%〜約5.0wt%、約0.25wt%〜約2.5wt%、約1.0wt%〜約2.0wt%、または約1.5wt%〜約2.0wt%の濃度で存在することができる。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、最終粒子組成物の全重量に基づいて、約1.0wt%、約1.1wt%、約1.2wt%、約1.3wt%、約1.4wt%、約1.5wt%、約1.6wt%、約1.7wt%、約1.8wt%、約1.9wt%、または約2.0wt%の濃度で本発明の組成物中に存在することができる。一実施形態では、本発明の組成物は、最終粒子組成物の全重量に基づいて、約1.8wt%の界面活性物質を含むことができる。
【0049】
本発明の組成物中に用いるのに適したアルカリ性物質として、限定されないが、酸、例えば、リン酸、炭酸、クエン酸などの、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム塩、ならびに他のアルミニウム/マグネシウム化合物が挙げられる。さらに、アルカリ性物質は、制酸物質、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムおよびマグネシウム酸化物などからなる群から選択することができる。アルカリ性剤は、アルカリ性物質の相対強度に応じて、コーティング組成物の全重量に基づいて、約1wt%〜約20wt%、約1wt%〜約18wt%、約1wt%〜約16wt%、約1wt%〜約14wt%、約1wt%〜約12wt%、約1wt%〜約10wt%、約1wt%〜約8wt%、約1wt%〜約6wt%、約1wt%〜約4wt%、または約1wt%〜約2wt%の濃度で存在することができる。いくつかの実施形態では、アルカリ性物質は、コーティング組成物の全重量に基づいて、約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%、または約20wt%の濃度で、本発明の組成物中に存在することができる。
【0050】
本発明の組成物中に用いるのに適した結合剤には、限定されないが、任意の薬学的に許容可能な、無毒性の薬学的に許容可能な結合剤が含まれる。結合剤は、水溶性ポリマーとすることができる。いくつかの実施形態では、結合剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどからなる群から選択される、1以上の結合剤を含むことができる。水溶性結合剤が用いられる場合、それは、水などの水性媒体から施用することができる。本発明の組成物は、アルカリ性物質の相対強度に応じて、コーティング組成物の全重量に基づいて、約1wt%〜約15wt%の濃度で1以上の結合剤を含むことができる。増量剤、例えば、糖、例えばラクトース、デキストロース、スクロースおよびマルトースなど、微結晶セルロースなども、コーティング組成物中に含めることができる。好ましい市販の増量剤は、Bakers Special Sugarである。
【0051】
コーティングされたコア粒子に遅延放出コーティングを施す前に、粒子は、場合によって、アルカリ性化合物、例えばpH緩衝化合物などを含む医薬賦形剤を含む、1つまたは複数の分離層で覆うことができる。分離層は、コーティングされたコア粒子を遅延放出コーティングから本質的に分離する。
【0052】
分離層は、コーティング装置、例えばコーティングパン、コーティング造粒機などを典型的に用いるコーティングまたは層状化手順によって、あるいは水および/またはコーティングプロセス用有機溶媒を用いる流動床装置で、コーティングされたコア粒子に施すことができる。別の方法として、分離層は、粉体コーティング技法を用いることによって、コア材料に施すことができる。分離層のための材料は、薬学的に許容可能な化合物、例えば、糖、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等などであり、単独または混合物で用いられる。可塑剤、着色剤、色素、増量剤、粘着防止剤(anti-tacking agent)および帯電防止剤などの添加剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、二酸化チタン、タルクなど、および他の添加剤も分離層中に含めることができる。
【0053】
一実施形態では、遅延放出コーティングは、酸性環境中で実質的に安定であり、中性付近からアルカリ性環境中で実質的に不安定である、腸溶剤を含む。遅延放出コーティング組成物は、水または適当な有機溶媒のいずれにも分散または溶解することができ、当業者に周知の方法によってコア粒子に施すことができる。1以上の遅延放出コーティングを、コーティングされたコア粒子に施すことができる。また、説明したように、遅延放出コーティングを施す前に、任意選択の分離層をコーティングされたコア粒子に施すことができる。
【0054】
腸溶剤は、例えば、メタクリル酸コポリマー、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、カルボキシメチルエチルセルロース、およびユードラジット型ポリマー(ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリル酸))、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、セラックまたは他の適当な腸溶コーティングポリマーの溶液または分散系からなる群から選択することができる。ユードラジット型ポリマーとして、ユードラジットL、NE、RL、RSが挙げられる。ユードラジットLポリマーが好ましい。腸溶剤は、前述の溶液または分散系の組合せとすることができる。
【0055】
別の実施形態では、遅延放出コーティングは、溶液中のpHおよび/または酵素の存在を問わず、水溶液中において、時間の関数として分解し得る。そのようなコーティングは、不水溶性ポリマーを含むことができる。したがって、水溶液中のその溶解度は、pHに依存しない。本明細書で用いる用語「pH非依存性の」は、ポリマーの透水性およびその医薬成分を放出する能力が、pHの関数ではないこと、および/または非常にわずかしかpHに依存しないことを意味する。そのようなコーティングは、徐放製剤を調製するのに用いることができる。適当な不水溶性ポリマーには、溶液のpHに依存しないで、水性媒体、例えば水に実質的に不溶性である、薬学的に許容可能な無毒性のポリマーが含まれる。適当なポリマーとして、限定されないが、セルロースエーテル、セルロースエステル、またはセルロースエーテル−エステル、すなわち、セルロース骨格上のヒドロキシ基の一部が、アルキル基で置換され、一部がアルカノイル基で修飾されているセルロース誘導体が挙げられる。例として、エチルセルロース、アセチルセルロース、ニトロセルロースなどが挙げられる。不溶性ポリマーの他の例として、限定されないが、ラッカー、ならびにアクリル酸エステルポリマーおよび/またはメタクリル酸エステルポリマー、四級アンモニウム低含量のアクリレートまたはメタクリレートのポリマーまたはコポリマー、またはそれらの混合物などが挙げられる。不溶性ポリマーの他の例として、ユードラジットRS(登録商標)、ユードラジットRL(登録商標)、およびユードラジットNE(登録商標)が挙げられる。本発明において有用な不溶性ポリマーとして、ポリビニルエステル、ポリビニルアセタール、ポリアクリル酸エステル、ブタジエンスチレンコポリマーなどが挙げられる。
【0056】
別の実施形態では、遅延放出コーティングは、胃液中で実質的に安定である腸溶剤を含有する。腸溶剤は、膵リパーゼに感受性があるだろう。膵リパーゼに感受性のある腸溶剤として、トリグリセリド、トリステアリン、トリオレイン、トリカプリリン、トリカプリン、トリミリスチン、トリパルミチンおよびトリラウリンが挙げられる。1以上のこれらのトリグリセリド、例えばエチルセルロースなどのセルロース型材料は、コーティング支持剤と組み合わせて、遅延中継(delayed relay)コーティング組成物を調製するのに用いられ、次いでこれがコーティングされたコア粒子に施される。
【0057】
遅延放出コーティング組成物は、0.1wt%〜5wt%のトリグリセリドまたはトリグリセリドの混合物、および0.5wt%〜10wt%のコーティング支持剤を含むことができる。別の遅延放出コーティング組成物は、0.5%wt%〜3wt%のトリグリセリドまたはトリグリセリドの混合物、および1wt%〜5wt%のコーティング支持剤を含むだろう。
【0058】
1以上の遅延放出コーティングを、コーティングされたコア粒子に施すことができる。例えば、膵リパーゼに感受性のある腸溶剤に加えて、追加の遅延放出コーティングを、コーティングされたコア粒子に施すことができる。そのような追加のコーティングは、本明細書に説明した酸性環境中で実質的に安定である腸溶剤を含むことができる。また、説明したように、遅延放出コーティングを施す前に、任意選択の分離層を、コーティングされたコア粒子に施すことができる。
【0059】
遅延放出コーティング組成物は、コーティング組成物の全重量に基づいて、10〜80wt%の量で、1以上の不活性プロセシング助剤も含むことができる。不活性プロセシング助剤として、微粒形態のタルク、二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0060】
遅延放出コーティング組成物は、所望の機械特性、例えば、柔軟性や硬度などを得るために薬学的に許容可能な可塑剤も含有することできる。そのような可塑剤として、限定されないが、トリアセチン、クエン酸エステル、フタル酸エステル、セバシン酸ジブチル、セチルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリソルベートまたは他の可塑剤が挙げられる。
【0061】
可塑剤の量は、用いられる選択された腸溶剤に関連して、それぞれの遅延放出コーティングについて最適化される。選択される可塑剤および腸溶剤の適用量は、所望の機械特性、すなわち、遅延放出コーティングの柔軟性および硬度について最適化される。遅延放出コーティングの硬度は、ビッカース硬度として多くの場合例示され、最終のコーティングされた粒子の耐酸性が、粒子を錠剤に圧縮する間に大きく減少しないように調整される。他の化合物を、遅延放出コーティング組成物に加えることによって、膜厚を増加させ、胃中の酸性胃液に対する耐性を増大させることができる。
【0062】
遅延放出コーティング組成物は、1以上の適用溶媒(application solvent)も含むことができる。遅延放出コーティング組成物を施すのに用いることのできる、いくつかのより一般的な溶媒として、イソプロピルアルコール、アセトン、塩化メチレンなどが挙げられる。一般に、腸溶剤および不活性プロセシング助剤は、溶媒の重量を含めて、コーティング組成物の5wt%〜60wt%を占めるだろう。
【0063】
遅延放出コーティングでコーティングされた粒子は、オーバーコート層でさらに覆うことができる。オーバーコート層は、他のコーティング組成物について説明したように施すことができる。オーバーコート材料は、薬学的に許容可能な化合物、例えば、糖、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等などであり、単独または混合物で用いられる。オーバーコート材料は、遅延放出コーティングでコーティングされた粒子の潜在的な凝集を防止する、遅延放出コーティングを、圧縮プロセスの間のひび割れから保護する、または錠剤化プロセスを向上させることができる。
【0064】
最終生成物の全体的な放出特性は、異なる放出特性を有する2つ以上の粒子タイプを組み合わせることによって調節し得ることが理解される。例えば、一実施形態では、コーティングされたコア粒子の約半分は、約5分〜約10分後にタイトジャンクション・アゴニストまたはアンタゴニストを腸液に曝露する腸溶コーティングを有する、第1のコーティングされたコア粒子タイプであり、コーティングされたコア粒子の約半分は、約12分〜約18ないし60分後にタイトジャンクション・アゴニストまたはアンタゴニストを腸液に曝露する腸溶コーティングを有する、第2のコーティングされたコア粒子タイプである。別の実施形態では、第1のコーティングされた粒子は、組成物中のタイトジャンクション・エフェクターの全量の、60重量%〜90重量%を構成し、第2のコーティングされた粒子は、10重量%〜40重量%を構成する。
【0065】
1以上のタイトジャンクション・アンタゴニストを含む組成物
一実施形態では、本発明の組成物は、1以上のタイトジャンクション・アンタゴニストを含むことができる。ゾヌリンの適当なアンタゴニストの例は、ペプチドGGVLVQPG(配列番号1)およびその誘導体、特に、1つまたは複数の保存的アミノ酸置換を有する誘導体である。そのような組成物は、限定されないが、自己免疫疾患を含めた広範な疾患を処置するのに用いることができる。本発明の組成物を用いて処置することのできる自己免疫疾患の例として、限定されないが、セリアック病、原発性胆汁性肝硬変、IgA腎症、ウェゲナー肉芽腫症、多発性硬化症、強皮症、全身性硬化症、1型糖尿病、関節リウマチ、クローン病、紅斑性狼瘡、橋本甲状腺炎(甲状腺機能低下)、グレーブス病(甲状腺機能亢進)、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、類天疱瘡、デビック症候群(Devic’s syndrome)、グッドパスチャー症候群、Lambert−Eaton筋無力症候群(LEMS)、自己免疫性リンパ球増殖症候群(ALPS)、腫瘍随伴症候群、多腺性自己免疫症候群(PGA)、および円形脱毛症が挙げられる。
【0066】
本発明の組成物は、腸透過性の増大を生じさせる胃腸の炎症の処置のための抗炎症剤として用いることができる。したがって、アンタゴニストは、例えば、タンパク喪失性腸症もたらす腸の状態の処置において有用である。タンパク喪失性腸症は、
感染、例えば、C.difficile感染、全腸炎、細菌性赤痢、ウイルス性胃腸炎、寄生虫感染症、細菌異常増殖、ウィップル病;
粘膜浸食または潰瘍形成を伴う疾患、例えば、胃炎、胃癌、膠原性大腸炎、炎症性腸疾患;および
潰瘍形成を伴わない粘膜疾患、例えば、メネトリエ病、セリアック病、好酸球性胃腸炎
に起因して起こり得る。
【0067】
本発明の組成物および方法で処置することのできる他の疾患として、限定されないが、リンパ管閉塞によって特徴づけられる疾患、例えば、先天性腸リンパ管拡張症、サルコイドーシスリンパ腫、腸間膜結核、および先天性心疾患の術後矯正、および免疫疾患、例えば、全身性紅斑性狼瘡または主に乳汁に対する食物アレルギー(その全体が本明細書に参照により組み込まれる「Pediatric Gastrointestinal Disease Pathophysiology Diagnosis Management」、Wyllieら編、Saunders Co.(1993)、536〜543頁の表40−2も参照されたい)が挙げられる。
【0068】
ゾヌリンのアンタゴニストの薬学的有効量は、処置される疾患または状態、ならびに処置される対象の年齢、体重および性別に応じて変動するだろう。一般に、胃腸の炎症を阻害する、例えばゾヌリンの生物活性を阻害するのに用いられるアンタゴニストの量は、約1.0μg〜1000μg、好ましくは約1.0μg〜100μgの範囲内である。
【0069】
ペプチド・タイトジャンクション・アンタゴニストは、周知の技法、例えば「High Performance Liquid Chromatography of Peptides and Proteins: Separation Analysis and Conformation」、Mantら編、C.R.C.Press(1991)に記載されているもの、およびSymphony(Protein Technologies,Inc)などのペプチド合成機などを用いて、または組換えDNA技法、すなわち、ペプチドをコードするヌクレオチド配列が、それぞれの宿主細胞中で発現される適切な発現ベクター、例えば、大腸菌もしくは酵母菌発現ベクターの中に挿入され、次いで周知の技法を用いて精製される技法、などを用いることによって、化学的に合成し、精製することができる。
【0070】
1以上のタイトジャンクション・アゴニストを含む組成物
一実施形態では、タイトジャンクション・アゴニストは、ペプチド配列を含むことができる。適当なペプチド配列の例は、FCIGRL(配列番号2)およびその誘導体、特に、1以上の保存的アミノ酸置換を有する誘導体である。ペプチド配列は、単独で用いることができるか、またはより大きな分子、例えばポリペプチドの一部であってもよい。ゾヌリンのアゴニストが、ポリペプチドを含む場合、そのようなポリペプチドは、典型的には長さ100個未満のアミノ酸残基、または50、40、30、20、10、もしくは8個未満のアミノ酸残基である。ポリペプチドは、6個のアミノ酸FCIGRL(配列番号2)のみを含有することができるか、または、追加のアミノ酸を含むことができる。他のアミノ酸は、他の機能、例えば精製を促進するための抗原標識、を提供する場合がある。
【0071】
一実施形態では、本発明の組成物は、1以上のタイトジャンクション・アゴニストならびに1以上の治療剤および/または免疫原を含むことができる。一実施形態では、本発明の組成物は、1以上の疾患を処置する、緩和させる、または予防するための治療剤および/または免疫原、ならびにゾヌリンおよびコレラ菌ファージCTXΦ ZOTタンパク質のヒト受容体のアゴニストを含むことができる。この組成物は、アゴニストおよび治療剤が、同時、ほぼ同時または順次の投与のために連携して梱包された医薬キットの形態で存在することができることも企図される。後者の例では、アゴニストおよび治療剤は、互いに12、8、4、2、もしくは1時間以内、または互いにわずか5、10もしくは15分以内に投与される。
【0072】
組成物中に用いることのできる治療剤には、身体の任意の器官、例えば、心臓、脳、腸、または腎臓に作用する剤が含まれる。
【0073】
組成物中に用いられる特定の治療剤または免疫原は、サイズまたは電荷にかかわらず、任意の小分子化合物、生物活性ペプチド、ワクチン、または別の方法では経細胞経路を通じて十分に吸収されない任意の他の部分であることができる。
【0074】
本発明で用いることのできる薬物化合物の例として、限定されないが、心血管系に作用する薬物、中枢神経系に作用する薬物、抗腫瘍剤および抗生物質が挙げられる。心血管系に作用する薬物の例として、限定されないが、抗高血圧剤、スタチン、アデノシン、ドブタミン、ドーパミン、エピネフリン、ノルエピネフリン、およびフェントラミンが挙げられる。当技術分野で知られている他のものも、用いることができる。
【0075】
中枢神経系に作用する薬物の例として、限定されないが、ドキサプラム、アルフェンタニル、デゾシン(dezocin)、ナルブフィン、ブプレノルフィン、ナロキソン、ケトロラック、ミダゾラム、およびプロポフォールが挙げられる。他の例として、限定されないが、抗精神病薬、抗うつ薬、抗てんかん剤、およびアルツハイマー病を処置するのに用いられる薬物が挙げられる。当技術分野で知られている他のものも、用いることができる。
【0076】
抗腫瘍剤の例として、限定されないが、シタラビン、マイトマイシン、ドキソルビシン、ビンクリスチンおよびビンブラスチン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサロプラチン(oxaloplatin)、ビノレルビン、ドセタキセル、パクリタキセル、タキサン、5−フルオロウリジン関連薬、キセロダ、ゲルムシタビン(germcitabine)、およびアントラクリン(anthracline)が挙げられる。追加の例として、限定されないが、エルビタックス、ハーセプチン(登録商標)、アバスチン(商標)、ならびにエストロゲン受容体アンタゴニストおよびアゴニストが挙げられる。当技術分野で知られている他のものも、用いることができる。
【0077】
抗生物質の例として、限定されないが、メチシリン、メズロシリン、ピペラシリン、セトキシチン、セフォニシド、セフィネタゾール(cefinetazole)およびアズトレオナムが挙げられる。当技術分野で知られている他のものも、用いることができる。
【0078】
任意の種類の治療剤および/または免疫原を、本発明の実施に際して用いることができる。特定の種類の作用剤(agent)の例として、限定されないが、RNAi、トリートメントアプタマー、抗ウイルス剤(例えば、アマンタジン、リマンタジン、ザナマビル(zanamavir)およびオセルタミビル)、免疫抑制薬(例えば、シクロスポリンA)、HIV融合阻害剤(例えば、エンフビルチド)、およびHIVプロテアーゼ阻害剤、(例えば、リトナビル、サキナビル、インジナビル、アンプレナビル、ネルフィナビル、ロピナビル、アタザナビル、エントリシタビン、およびホスアンプレナビルカルシウム)が挙げられる。
【0079】
生物活性ペプチドの例として、ホルモン、リンホカイン、グロブリン、およびアルブミンが挙げられる。本発明に用いることのできるホルモンの例として、テストステロン、ナンドロレン、メノトロピン、インスリン、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン(PTH)およびウロホルトロピン(urofolltropin)が挙げられる。当技術分野で知られている他のものも、用いることができる。生物活性成分が、インスリンである場合、経口投与組成物は、糖尿病の処置のために有用である。本発明に用いることのできるリンホカインの例として、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、インターロイキン−1、インターロイキン−2、インターロイキン−4およびインターロイキン−8が挙げられる。
【0080】
グロブリンの例として、α−グロブリン、β−グロブリンおよびγ−グロブリン(免疫グロブリン)が挙げられる。本発明に用いることのできる免疫グロブリンの例として、多価IgGまたは特異的IgG、IgAおよびIgM、例えば、抗破傷風抗体が挙げられる。用いることのできるアルブミンの例は、ヒト血清アルブミンである。当技術分野で知られている他のものも、用いることができる。
【0081】
組成物中に用いることのできるワクチンの例として、ペプチドおよび弱毒微生物およびウイルスが挙げられる。ペプチド抗原の例として、毒素原性大腸菌の易熱性エンテロトキシンのBサブユニット、コレラ毒素のBサブユニット、腸病原体の莢膜抗原、腸病原体の線毛またはピリ線毛、HIV表面抗原、ダストアレルゲンおよびダニアレルゲンが挙げられる。当技術分野で知られている他の免疫原性化合物も、用いることができる。
【0082】
組成物中に用いることのできる弱毒微生物およびウイルスの例には、毒素原性大腸菌、腸病原性大腸菌、コレラ菌、フレクスナー赤痢菌、チフス菌およびロタウイルスといったものが挙げられる(そのそれぞれの全体が本明細書に参照により組み込まれている、Fasanoら、「Le Vaccinazioni in Pediatria」、Vierucciら編、CSH、Milan、109〜121頁(1991)、Guandaliniら、「Management of Digestive and Liver Disorders in Infants and Children」、Elsevior、Butzら編、Amsterdam、25章(1993)、Levineら、Sem.Ped.Infect.Dis.、5.243〜250(1994);およびKaperら、Clin.Micrbiol.Rev.、8:48〜86(1995))。
【0083】
本発明の医薬組成物は、疾患を処置する、緩和させる、および/または予防するために用いることができる。疾患は、癌、自己免疫疾患、血管疾患、細菌感染症、胃炎、胃癌、膠原性大腸炎、炎症性腸疾患、骨粗鬆症、全身性紅斑性狼瘡、食物アレルギー、喘息、および過敏性腸症候群からなる群から選択することができる。
【0084】
別の実施形態では、組成物は、対照の健康な個体と比べて、ゾヌリンの発現が増大した患者を処置する方法において用いることができる。この場合、治療剤は、アミノ酸SLIGKVDGTSHVTG(配列番号48)に対する抗体であることができる。例えば、抗体は、合成阻害ペプチド(配列番号1)によって結合されるタンパク質と共局在する、CaCo2細胞中に発現されるタンパク質に結合することができる。抗体は、組換えヒトPAR−2を発現するヒト細胞またはラット細胞に結合しない。抗体は、SAMI1ではない。
【0085】
本願に記載された任意のアンタゴニストペプチドおよびアゴニストペプチドについて、1以上の保存的置換を行うことができ、この置換において、アミノ酸は、同様の特性を有する別のアミノ酸と交換されることが理解されるべきである。ある特定のアミノ酸の保存的置換は、ゾヌリンのアゴニストペプチドならびにゾヌリンのアンタゴニストペプチドにおいて行うことができる。例えば、保存的置換は、配列番号1〜47の任意の1つの配列を有するアゴニストペプチドにおいて行うことができる。保存的置換の例として、限定されないが、Gly⇔Ala、Va⇔Ile⇔Leu、Asp⇔Glu、Lys⇔Arg、Asn⇔Gln、およびPhe⇔Trp⇔Tyrが挙げられる。保存的アミノ酸置換は、典型的には、約1〜2アミノ酸残基の範囲内に入る。
【0086】
どのアミノ酸残基が、生物活性または免疫学的活性を無効にすることなく置換され得るかの判定における手引きは、当技術分野で周知のコンピュータ・プログラム、例えば、DNASTARソフトウェアなどを用いて、またはDayhoffら(1978)、「Atlas of Protein Sequence and Structure」(Natl.Biomed.Res.Found.、Washington,D.C.)において見出すことができる。
【0087】
アミノ酸置換は、1対1のアミノ酸交換として定義される。この置換は、置換されるアミノ酸が、同様の構造および/または化学特性を有する場合、性質において保存的である。保存的交換の例は、ロイシンのイソロイシンもしくはバリンとの置換、アスパラギン酸のグルタミン酸との置換、またはスレオニンのセリンとの置換である。
【0088】
特に好ましいオリゴペプチド類似体は、保存的である置換、すなわち、アミノ酸の側鎖に関連する、アミノ酸のファミリー内で起こる置換を含む。具体的には、アミノ酸は以下のファミリーに一般に分類される:(1)酸性のアスパラギン酸およびグルタミン酸;(2)塩基性のリシン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性のアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;(4)非荷電極性のグリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニン、およびチロシン;ならびに(5)芳香族アミノ酸のフェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシン。例えば、ロイシンのイソロイシンもしくはバリンとの孤立した置換、アスパラギン酸のグルタミン酸との孤立した置換、スレオニンのセリンとの孤立した置換、またはアミノ酸の構造的に関連したアミノ酸との同様の保存的置換は、生物学的活性に大きな影響を与えないであろうということが、当然予測可能である。
【0089】
記載した組成物は、1日に1回〜数回投与することができる。ゾヌリンのアゴニストまたはアンタゴニストの典型的な1日用量は、多様であり、様々な要因、例えば、患者の個々の必要量、投与様式、および疾患などに依存するだろう。一実施形態では、ゾヌリンのアンタゴニストは、食事前に投与される。そのような投与の適用には、セリアック病の処置が含まれる。
【0090】
一般に、ZOTおよび/またはゾヌリンのアゴニストまたはアンタゴニストの1日用量は、1〜1000mgの活性物質の範囲内となろう。
実施例
【実施例1】
【0091】
タイトジャンクション・アンタゴニストを含む遅延放出粒子の調製
配列番号1のタイトジャンクション・アンタゴニストを含有するベースコートを、2000gの水を混合し、15gのアンタゴニストペプチドを徐々に加えることによって調製した。ペプチドが分散したら、15gのBakers Special Sugarを加えた。全重量を、水を追加して2107gに調節した。当業者は、Bakers Special Sugar以外の結合剤を用いることができることを理解するであろう。適当な結合剤は、典型的には、限定されないが、デンプン、ゼラチン、天然糖、例えば、グルコースまたはβ−ラクトースなど、トウモロコシ甘味料、天然および合成ゴム、例えば、アカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなど、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ワックスなどを含む、薬学的に許容可能な結合剤である。他の適当な結合剤として、薬学的に許容可能な結合剤、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ポリメタクリレート、ワックスなどが挙げられる。上述の結合剤の混合物も、用いることができる。
【0092】
完全に溶解させた後、ベースコートを施す。用いるベースコートの量は、所望の腸溶コーティングされたビーズの最終重量によって決定する。上述した量について、1000gの25/30メッシュのノンパレルを入れたWurster装置に、以下の条件下で、コーティングが完了するまで、3270gのベースコートを加えた(3.27gベースコート/1グラムのノンパレルの比):135〜150°F、流動化を維持するよう調節された10〜25の処理空気量(Process Air Volume)(SCFM)、3〜10g/分/ノズルの噴霧速度、および25psiの気圧。
【0093】
ユードラジット(Eudragit)L30Dを含有する遅延放出コーティングも調製した。15gのタルクを、500gの水に加え、10分間勢いよく撹拌した。850グラムのユードラジットL30D(タイプC)を、空気を取り込ませることなく、ボルテックス撹拌による混合容器中に、60メッシュの篩にかけて入れた。次いで30gの医薬品グレートのクエン酸トリエチルを徐々に加え、同様の条件下で10分間混合し、溶解及び分散が完了するまで混合を続けた。水を加えて、全量を1500gにした。
【0094】
次いで、Wurster装置(ベース・コーティングされた粒子を含有)に、以下の条件下で、コーティングが完了するまで、遅延放出コーティングを加えた。135〜150°F、流動化を維持するよう調節された10〜25の処理空気量(SCFM)、3〜10g/分/ノズルの噴霧速度、および25psiの気圧。
【0095】
最終組成は、以下の通りであった。
【0096】
【表4】

【実施例2】
【0097】
4〜6%のタイトジャンクション・アンタゴニストペプチド(配列番号1)を含有する遅延放出粒子の安定性試験を行った。上述のように調製した遅延放出粒子を、制御温度(37℃±0.5℃)および攪拌下、溶解装置中で、0.1% v/vのTween 80Kを含有する模擬胃液(SGF)に1時間曝露した。ビーズをSGFから取り出し、0.1% v/vのTween 80Kを含有する模擬腸液(SIF)に曝露した。試料を浴槽から取り出し、Inertsil ODS−2 HPLC Guard Column(20mm×4.6μm、5μm)を有する、Inertsil ODS−2 HPLC Column(150mm×3mm、5μm)による220nmでのHPLCによって分析した。移動相A:92:8 水:ACN、0.1%TFA、移動相B:ACN、0.1%TFA。クロマトグラフィー条件を以下に示す。
【0098】
【表5】

【0099】
放出された全タイトジャンクション・エフェクターの割合は、エフェクターの参照標準と比較することによって決定する。
【0100】
60分の時間経過にわたって、8%未満の配列番号1のアンタゴニストペプチドが、0.1% v/vのTween 80Kを含有する模擬胃液(SGF)の存在下で放出された。
【0101】
模擬胃液は、以下のようにして調製することができる。1リットル当たり、以下のものを容器に入れる:2.0グラムの塩化ナトリウム、7.0mLの濃塩酸、および1.0Lの水。完全に溶解するまで撹拌する。pHを確認し、希HClまたはNaOHを用いて1.2±0.1に調節する。媒体を脱気する。この溶液に、Tween 80を0.1%(v/v)まで加える。あるいは、市販のSGFを用い(Ricca Chemical Company、Arlington、Texas)、Tween 80Kを加えてもよい。
【0102】
90%超の配列番号1のアンタゴニストペプチドが、0.1% v/vのTween 80Kを含有する模擬腸液(SIF)の存在下で、15分以内に放出され、60分以内に、本質的にすべてのペプチドが放出された。SIFは、以下のようにして調製することができる。以下のものを容器に入れる:1.9kgの蒸留水、136gのリン酸二水素カリウム、および18.1グラムの水酸化ナトリウム。完全に溶解するまで撹拌する。溶液を18.0kgの水で希釈する。pHを確認し、希HClまたはNaOHを用いて6.8±0.1に調節する。媒体を脱気する。この溶液に、Tween 80Kを0.1%(v/v)まで加える。あるいは、市販のSIFを購入し(Ricca Chemical Company、Arlington、Texas)、Tween 80Kを0.1%(v/v)まで加えてもよい。
【実施例3】
【0103】
タイトジャンクション・エフェクターの遅延放出のための、多粒子腸溶コートビーズ製剤の調製
本実施形態は、複数(例えば、2、3、4、5など)の異なる腸溶コートビーズの組合せのカプセル化(encapsulation)を提供する。任意の量の各種類のビーズを、カプセル化することができる。いくつかの実施形態では、2種の異なるビーズを、任意の割合でカプセル化することができる。特定の一実施形態では、ほぼ等しい割合の2種のビーズを、カプセル化することができる。それぞれのビーズは、任意の適当なコーティング材料を用いて、任意の適当なコーティングレベルでコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、2種のビーズは、ユードラジットL30D55を用いて、20および70%のコーティングレベルでコーティングすることができる。20%および70%のコーティングレベルを含む製剤により、1以上のタイトジャンクション・エフェクター(例えば、AT1001)の、十二指腸および空腸の両方への遅延放出が可能になる。重量パーセントの計算に関して、重量測定は、2種の物質を合わせる前に行う。例えば、70%のコーティングレベルは、100gのビーズへの70gのコーティングポリマーの添加である。
【0104】
ユードラジットL30Dは、pH>5.5で分解し始めるポリマーコーティング剤である。したがって、ユードラジットL30D55でコーティングされたビーズは、胃を通過する際は、無傷のままであるが、十二指腸に入るとすぐに溶解し始めるように設計される。これは、20%のユードラジットL30D55でコーティングされたビーズの場合である。70%のユードラジットL30D55でコーティングされたビーズは、pH6.0の溶解媒体中で約30分後に溶解し、空腸に入るとすぐに放出を開始するように設計される。図1は、この実施形態に従って調製したビーズの溶解特性を示す。
【0105】
本質的に、ビーズは、2ステップで調製することができる。第1に、薬物を、ノンパレルビーズ上に層状に重ねる。次いで、薬物を層状に重ねたビーズを、所望のレベルまで、L30D55で腸溶コーティングすることができる。
【0106】
20%未満のユードラジットL30D55のコーティングは、in vitroで模擬胃液(pH1.1)中で溶解し始めることが見出されたため、胃中で溶解しない状態では残存しないであろう。70%超のコーティングは、コーティング材料の制限のため可能ではなかった。
【0107】
一実施形態では、ビーズは、1:1のポリメタクリル酸と酢酸エチルである、ポリメタクリレート(例えば、ユードラジットL30D55)であることができる。
【実施例4】
【0108】
いくつかの実施形態では、例えば、40℃/75%相対湿度の条件で測定した場合の、タイトジャンクション・エフェクターの安定性(化学的安定性および溶解安定性の両方)を改善する目的で、AT1001腸溶コートビーズ製剤を最適化するよう様々なパラメーターを変更することができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、1以上の追加のコーティングを、本発明の製剤に施すことができる。例えば、1以上のシールコートおよび/またはトップコートを用いることができる。特定の実施形態では、シールコートを薬物層に施すことができる。このタイプの実施形態では、コア粒子は、タイトジャンクション・エフェクター含有層でコーティングすることができ、これを、シーリングコートでさらにコーティングすることができる。シーリングコートを施した後、1以上の遅延放出コーティング(例えば、ユードラジットL30D55)を施すことができる。遅延放出コーティングを施した後、シーリングコートを施すことができる。当業者に知られている任意の適当なシールコートを用いることができる。適当なシールコートの例として、限定されないが、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、例えば、Seppifilm(商標)、Opadry(登録商標)AMB(ポリビニルアルコールおよびレシチン)、およびKollicoat(登録商標)Protect(ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールコポリマーおよびポリビニルアルコール)などが挙げられる。当業者に知られている、任意の他の適当なシールコートを用いることができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、本発明の製剤は、ビーズの外側周囲に、トップコートを含むことができる。これらの製剤は、シーリングコートも含むことができる。例えば、このタイプの実施形態は、コア粒子、薬物層、シーリングコート、ポリマーコートおよびトップコートを含んでもよい。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態では、薬物層は、結合剤として非還元糖(例えば、トレハロース)を含むことができる。このタイプの製剤は、コア粒子、トレハロースも含むタイトジャンクション・エフェクター含有層、および遅延放出ポリマー層を含んでもよい。そのような製剤は、上述したように、タイトジャンクション・エフェクター含有層上のシール層、および/または遅延放出層上のトップコート層をさらに含んでもよい。
【0112】
遅延放出コート(例えば、ユードラジットL30D55を含むコート)は、当技術分野で知られている任意の技法を用いて製剤化することができる。いくつかの実施形態では、遅延放出コーティングは、タルクを含むことができる。タルクは、コーティングを施すのに用いられる溶液の、約0.5重量%〜約15重量%、約1重量%〜約15重量%、約2重量%〜約15重量%、約3重量%〜約15重量%、約4重量%〜約15重量%、約5重量%〜約15重量%、約6重量%〜約15重量%、約7重量%〜約15重量%、約8重量%〜約15重量%、約9重量%〜約15重量%、約10重量%〜約15重量%、約11重量%〜約15重量%、約12重量%〜約15重量%、約13重量%〜約15重量%、約14重量%〜約15重量%として存在することができる。したがって、遅延放出コートを施すのに用いられる溶液は、約0.5重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%または約15重量%のタルクを含むことができる。
【0113】
本発明の製剤は、すべて非限定的な例として、遅延放出コートの施用後、任意のトップコートの施用後、薬物層の後、または腸溶コートの代わりに、ビーズに施すことのできる1以上の添加剤をさらに含むことができる。そのような添加剤は、所望の溶解特性または他の特性を付与する1以上の剤を含むことができ、その非限定的な例がAsgharら、J Pharm Pharm Sci(2006)、9(3)、327〜338頁において開示されている。そのような例には、様々なpH依存放出(ユードラジットL−100、ユードラジットS−100、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、セラック、エチルセルロースなど)、時間依存放出(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、微結晶セルロース、ラクトース/ベヒン酸(behinic acid)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、または細菌に依存する放出(例えば、キトサン、ペクチン、グアーガム、コンドロイチン硫酸、アミロース、アルギン酸塩)を得る手段が含まれる。他の添加剤として、混合物をより均一にするための剤、例えば、二酸化ケイ素またはシロイドを挙げることができる。上記のすべては、当技術分野で知られている剤の非限定的な例である。
【0114】
本明細書において述べた、すべての刊行物、特許および特許出願は、本発明が関係する分野の当業者の技術のレベルを示しており、それぞれの個々の刊行物、特許または特許出願について、具体的に個々に参照により組み込まれると示した場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の一実施形態に従って調製した2ビーズ製剤からpH6の溶解媒体中で溶解した、時間の関数としての、放出されたタイトジャンクション・エフェクターの百分率のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア粒子、
前記コア粒子上のベースコートであって、1以上のタイトジャンクション・アンタゴニストおよび/または1以上のタイトジャンクション・アゴニストを含むベースコート、ならびに
前記ベースコート上に配置された遅延放出コーティングであって、胃液中で実質的に安定である遅延放出コーティング
を含む組成物。
【請求項2】
前記ベースコートがタイトジャンクション・アンタゴニストを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ベースコートがタイトジャンクション・アゴニストを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
治療剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記遅延放出コーティングが、酸性環境中で実質的に安定であり、中性付近からアルカリ性の環境中で実質的に不安定である腸溶剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記遅延放出コーティングが、トリステアリン、トリオレイン、トリカプリリン、トリカプリン、トリミリスチン、トリパルミチンおよびトリラウリンからなる群から選択される、1以上のトリグリセリド、ならびにコーティング支持剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記タイトジャンクション・アンタゴニストが、配列番号1を含むペプチドを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
前記タイトジャンクション・アゴニストが、配列番号2を含むペプチドを含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
前記治療剤が前記ベースコート中に配置される、請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
前記治療剤が前記コア粒子中に配置される、請求項4に記載の組成物。
【請求項11】
前記治療剤が、グルコース代謝剤、抗生物質、抗腫瘍剤、抗高血圧剤、抗てんかん剤、中枢神経系剤、および免疫系抑制剤からなる群から選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項12】
前記グルコース代謝剤が、インスリン、レパグリニド、アセトヘキサミド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、ミグリトール、およびグリメピリドからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
錠剤、カプセル剤または粉末サッシェ中に存在する、複数のコーティングされたコア粒子をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記遅延放出コーティングがユードラジットL化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記タイトジャンクション・アンタゴニストが、ZOT受容体アンタゴニストおよび/またはゾヌリン受容体アンタゴニストである、請求項2に記載の組成物。
【請求項16】
前記タイトジャンクション・アンタゴニストが、ZOT受容体アゴニストおよび/またはゾヌリン受容体アゴニストである、請求項3に記載の組成物。
【請求項17】
胃腸の炎症を処置する方法であって、その処置を必要とする対象に、請求項1に記載の組成物を含む医薬剤形を経口的に投与することを含む方法。
【請求項18】
医師によって胃腸の炎症について検査され、胃腸の炎症処置のための療法の必要があると診断されたヒトにおいて、胃腸の炎症を処置するための方法であって、前記ヒトに、請求項1に記載の組成物を含む医薬剤形を経口的に投与することを含む方法。
【請求項19】
医師によって糖尿病について検査され、糖尿病のための療法の必要があると診断されたヒトにおいて、糖尿病を処置するための方法であって、前記ヒトに、請求項12に記載の組成物を含む医薬剤形を経口的に投与することを含む方法。
【請求項20】
第1のコア粒子、
前記第1のコア粒子上の第1のベースコートであって、1以上のタイトジャンクション・エフェクターを含む第1のベースコート、および
前記第1のベースコート上に配置され、第1の遅延放出粒子を形成する第1の遅延放出コーティングであって、胃液中で実質的に安定である第1の遅延放出コーティング、
第2のコア粒子、
前記第2のコア粒子上の第2のベースコートであって、1以上のタイトジャンクション・エフェクターを含む第2のベースコート、および
前記第2のベースコート上に配置され、第2の遅延放出粒子を形成する第2の遅延放出コーティングであって、胃液中で実質的に安定である第2の遅延放出コーティング
を含む組成物であって、
前記第1の遅延放出コーティングおよび前記第2の遅延放出コーティングが、異なる時間にわたって放出を遅延させる組成物。
【請求項21】
前記第1の遅延放出粒子中に存在する前記タイトジャンクション・エフェクターの約半分が、腸液への曝露後、約5分間〜約10分間放出され、前記第2の遅延放出粒子中に存在する前記タイトジャンクション・エフェクターの約半分が、腸液への曝露後、約12分間〜約18分間放出される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記第1の遅延放出粒子中に存在する前記タイトジャンクション・エフェクターが、前記組成物中の全タイトジャンクション・エフェクターの約60重量%〜約90重量%を構成し、前記第2の遅延放出粒子中に存在する前記タイトジャンクション・エフェクターが、前記組成物中の全量のタイトジャンクション・エフェクターの約10重量%〜約40重量%を構成する、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
前記第1の遅延放出粒子が、タイトジャンクション・アンタゴニストを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項24】
前記第1の遅延放出粒子が、タイトジャンクション・アゴニストを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項25】
前記第2の遅延放出粒子が、タイトジャンクション・アンタゴニストを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項26】
前記第2の遅延放出粒子が、タイトジャンクション・アゴニストを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項27】
前記第1の遅延放出粒子が、配列番号1を含むタイトジャンクション・アンタゴニストを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項28】
前記第1の遅延放出粒子が、配列番号2を含むタイトジャンクション・アゴニストを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項29】
前記第2の遅延放出粒子が、配列番号1を含むタイトジャンクション・アンタゴニストを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項30】
前記第2の遅延放出粒子が、配列番号2を含むタイトジャンクション・アゴニストを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項31】
前記第1の遅延放出粒子および/または前記第2の遅延放出粒子が、治療剤をさらに含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項32】
胃腸の炎症を処置する方法であって、その処置を必要とする患者に、請求項20に記載の組成物を経口的に投与することを含む方法。
【請求項33】
複数の第1の遅延放出粒子を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項34】
複数の第2の遅延放出粒子を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項35】
複数の第1の遅延放出粒子および複数の第2の遅延放出粒子を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項36】
前記タイトジャンクション・アンタゴニストが、ZOT受容体アンタゴニストおよび/またはゾヌリン受容体アンタゴニストである、請求項23に記載の組成物。
【請求項37】
前記タイトジャンクション・アゴニストが、ZOT受容体アゴニストおよび/またはゾヌリン受容体アゴニストである、請求項24に記載の組成物。
【請求項38】
コア粒子、
前記コア粒子上のベースコートであって、配列番号1を含むタイトジャンクション・アンタゴニストを含むベースコート、および
前記ベースコート上に配置された遅延放出コーティングであって、胃液中で実質的に安定である遅延放出コーティング
を含む組成物。
【請求項39】
前記コア粒子が、大きさ約25〜約30メッシュである、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記ベースコートが、ベイカー糖およびトレハロースからなる群から選択される糖を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記遅延放出コーティングがユードラジットL30Dを含む、請求項40に記載の組成物。
【請求項42】
前記タイトジャンクション・アンタゴニストが、前記組成物の約0.1wt%〜約20wt%を構成する、請求項38に記載の組成物。
【請求項43】
前記タイトジャンクション・アンタゴニストが、前記組成物の約1〜約20wt%を構成する、請求項38に記載の組成物。
【請求項44】
前記タイトジャンクション・アンタゴニストが、前記組成物の約1wt%〜約10wt%を構成する、請求項38に記載の組成物。
【請求項45】
前記タイトジャンクション・アンタゴニストが、前記組成物の約4〜約6wt%を構成する、請求項38に記載の組成物。
【請求項46】
コア粒子、
前記コア粒子上のベースコートであって、配列番号2を含むタイトジャンクション・アゴニストを含むベースコート、および
前記ベースコート上に配置された遅延放出コーティングであって、胃液中で実質的に安定である遅延放出コーティング
を含む組成物。
【請求項47】
前記コア粒子が、大きさ約25〜約30メッシュである、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
前記ベースコートが、ベイカー糖およびトレハロースからなる群から選択される糖を含む、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
前記遅延放出コーティングがユードラジットL30Dを含む、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
前記タイトジャンクション・アゴニストが、前記組成物の約0.1wt%〜約20wt%を構成する、請求項46に記載の組成物。
【請求項51】
前記タイトジャンクション・アゴニストが、前記組成物の約1〜約20wt%を構成する、請求項46に記載の組成物。
【請求項52】
前記タイトジャンクション・アゴニストが、前記組成物の約1wt%〜約10wt%を構成する、請求項46に記載の組成物。
【請求項53】
前記タイトジャンクション・アゴニストが、前記組成物の約4〜約6wt%を構成する、請求項46に記載の組成物。
【請求項54】
前記組成物が治療剤をさらに含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項55】
前記治療剤が、グルコース代謝剤、抗生物質、抗腫瘍剤、抗高血圧剤、抗てんかん剤、中枢神経系剤、および免疫系抑制剤からなる群から選択される、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
前記グルコース代謝剤が、インスリン、レパグリニド、アセトヘキサミド、トルブタミド、クロルプロパミド、トラザミド、ミグリトール、およびグリメピリドを含む群から選択される、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
免疫原をさらに含む、請求項46に記載の組成物。
【請求項58】
前記免疫原がワクチンである、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
前記ワクチンが、ペプチド・ワクチン、弱毒微生物ワクチン、および弱毒ウイルスワクチンからなる群から選択される、請求項58に記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2009−527468(P2009−527468A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554375(P2008−554375)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/003486
【国際公開番号】WO2007/095092
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(508241163)アルバ セラピューティクス コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】