説明

タイピングゲームプログラム、タイピング練習システム及びタイピング練習方法

【課題】タイピング練習と同時に語学の習得という付加価値を付与し、タイピング練習の興趣を向上する。
【解決手段】文字種を選択するキーボード3と、楽曲データ及び楽曲データの歌詞である文字情報を記憶する記憶装置5と、記憶装置5に記憶された歌詞データ及び翻訳データを1単語毎に抽出する文字抽出部232と、文字抽出部232によって抽出した歌詞データ及び翻訳データを記憶するRAM24と、RAM24に記憶した各文字情報を画面表示するディスプレイ4と、画面表示された翻訳データの文字情報に合わせて文字を入力するキーボード3と、画面表示された翻訳データの文字情報と、入力された文字との一致又は不一致を判定する正誤判定部234とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ等への文書入力を行なう際のタイピングの練習が可能なタイピングゲームプログラム、タイピング練習方法及びタイピング練習システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータの使用頻度が増大しているが、かかるコンピュータへの入力は文字が配列されたキーボードから入力するのが一般的である。キーボードに配列されている文字は、初心者には覚えづらい配列となっているため、スムーズに文字入力をするために、ある程度の練習が必要とされている。このため、これまでに、例えば特許文献1ないし2のような、楽しみながら文字入力の練習を行なうことが可能な練習方法が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開昭61−13276
【特許文献2】特開2002−268534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているタイプ練習装置は、ことわざなど一般に知られている文章がランダムに選択して表示され、その表示に沿ってタイピングしていくタイプ練習装置である。しかしながら特許文献1の練習装置では、視覚から得た文字を単純に入力するに終始し、練習の興趣に欠ける。また表示される文字列が外国語である場合でもその意味は表示されないため、タイピングの練習にはなっても翻訳等外国語のスキル習得という付加価値は得られない。
【0005】
特許文献2に開示されている文字入力の練習方法は、練習曲をコンピュータから再生しその歌詞をユーザが入力することにより、聴覚から入った情報に基づいてタイピング精度の向上及び正確性を図る。しかしながら、特許文献2の方法では、予め文書が存在しない場合のタイピング能力の向上を図ることはできるものの、耳から入った情報をそのままタイピングするに止まるものであり、その情報の意味に沿って別の言語に訳して出力するという訓練をおこなうには不適である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、楽曲の歌詞の翻訳をタイピングすることにより、楽曲のテンポにのって興趣をもちつつ練習可能で、タイピングの正確性・迅速性を向上させるトレーニングとともに、語学のスキルをも身に付けることが可能なタイピングゲームプログラム及びタイピング練習方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のタイピングゲームプログラムは、コンピュータを、楽曲データ及び楽曲データの歌詞である第1の言語の歌詞データ並びに当該歌詞の翻訳である第2の言語の翻訳データを記憶する第1の記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記歌詞データ及び前記翻訳データを前記楽曲データと同期をとるように表示させる第1の表示手段と、表示された前記翻訳データに合わせて文字を入力する文字入力手段と、前記第1の記憶手段から第1の言語の単語ごとに歌詞データ及び翻訳データを抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された歌詞データ及び抽出された翻訳データ並びに前記文字入力手段により入力された文字情報を記憶する第2の記憶手段と、前記翻訳データと前記文字情報との一致又は不一致を判定する判定手段と、前記判定手段の結果一致と判断された場合に前記抽出された翻訳データを表示する第2の表示手段として機能させることを特徴とする。
【0008】
この構成によると、音楽データに合わせて、単語ごとに歌詞データ及び翻訳データを表示されることから、音楽のテンポにあわせたキー入力の練習が可能になる。また聴覚情報としての音楽と第1の言語の歌詞、視覚情報としての第1の言語の歌詞及びその翻訳とを同時に取り入れることになり、タイピング能力のみならず語学のスキルも同時に向上することが可能になる。
【0009】
また、本発明のタイピングゲームプログラムは、更に第1の記憶手段に記憶される翻訳データが、通信回線を通じてダウンロードされるものであることを特徴とする。
【0010】
この構成によると、第2の言語として選択可能な言語の幅が広がるため、より幅広い遊技者層にとって楽しむことが可能なタイピングゲームの提供が可能になる。
【0011】
さらに、本発明のタイピング練習システムは、少なくとも一以上の歌詞データ及び前記歌詞データに対応する翻訳データ並びに前記歌詞データに対応する楽曲データを有するサーバと、ネットワークを介して接続しているユーザ端末とを有し、前記ユーザ端末を通じてユーザがタイピング練習を行なうタイピング練習システムであって、前記ユーザ端末は、前記サーバに記憶された前記歌詞データ及び前記翻訳データを前記楽曲データと同期をとるように表示させる第1の表示手段と、表示された前記翻訳データに合わせて文字を入力する文字入力手段と、前記第1の記憶手段から第1の言語の単語ごとに歌詞データ及び翻訳データを抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された歌詞データ及び抽出された翻訳データ並びに前記文字入力手段により入力された文字情報を記憶する記憶手段と、前記翻訳データと前記文字情報との一致又は不一致を判定する判定手段と、前記判定手段の結果一致と判断された場合に前記抽出された翻訳データを表示する第2の表示手段として機能することを特徴とする。
【0012】
この構成によると、ネットワークを通じて比較的新しい楽曲の音楽データ、歌詞データ及び翻訳データを入手することが可能となるため、ゲームの興趣がより向上する。
【0013】
また、本発明のタイピング練習方法は、コンピュータを、楽曲データ及び楽曲データの歌詞である第1の言語の歌詞データ並びに当該歌詞の翻訳である第2の言語の翻訳データを記憶する第1の記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記歌詞データ及び前記翻訳データを前記楽曲データと同期をとるように表示させる第1の表示手段と、表示された前記翻訳データに合わせて文字を入力する文字入力手段と、前記第1の記憶手段から第1の言語の単語ごとに歌詞データ及び翻訳データを抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された歌詞データ及び抽出された翻訳データ並びに前記文字入力手段により入力された文字情報を記憶する第2の記憶手段と、前記翻訳データと前記文字情報との一致又は不一致を判定する判定手段と、前記判定手段の結果一致と判断された場合に前記抽出された翻訳データを表示する第2の表示手段として機能させることを特徴とする。
【0014】
この構成によると、楽曲データと同期した形で歌詞データ及びその翻訳データが表示されるため、楽曲のテンポにあわせてタイピングの練習をすることが可能になる。また、聴覚情報として楽曲データと第1の言語の歌詞データを取り入れるのと同時に視覚情報としての第1の言語の歌詞データ及び第2の言語の翻訳データを取り入れるため、タイピング能力だけでなく語学のスキルをも向上させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0016】
本実施の形態に係るタイピング練習装置1は、遊技者が、キーボードを見ずにキー入力をスムーズに行えるように(以下、「ブラインドタッチ」という)練習するためのタイピングゲームをプレイするための装置であり、図1に示すように、PC(Personal Computer)10から構成されている。PC10は、本体2、キーボード3(入力手段)、ディスプレイ4(第1の表示手段、第2の表示手段)、記憶装置5(第1の記憶手段)、およびヘッドフォン6を有している。
【0017】
まず、本実施の形態におけるタイピングゲームについて説明する。本実施の形態におけるタイピングゲームは、ヘッドフォン6から流れる楽曲を聞きながら、画面表示される、その楽曲の歌詞の翻訳をタイピングしていき、語学のスキルを向上させつつタイピング技量を向上させるゲームである。ここで、タイピングとは、画面表示される文字に対応するキーボード3のキーを入力することである。図2に示すように、後述のディスプレイ4の左部分には、第1の言語表示画面41が表示され、第1の言語の複数の文字で構成された単語(文字列)が画面上部から現れ、時間の経過とともに下部に向かって移動する。この文字列は、例えば楽曲の1楽節ごとの歌詞に応じた文字列群をまとめて表示することにより、楽曲のテンポに応じ等間隔で文字列群が上部から下部に移動するようにすることができる。
【0018】
第1の言語表示画面41の下方には、タイミングライン41aが設けられており、遊技者は、文字列が画面上部から現れてから下部に向かって移動し、タイミングライン41aを越えるまでの所定の時間内に、画面表示された文字列を構成する各文字に合わせてキーボード3からその文字に対応するキーを入力(タイピング)する。文字列が画面上部に表示されてからタイミングライン41aを越えるまでの時間を楽曲の1楽節の演奏時間と合わせることで楽曲のテンポと文字列表示のテンポとを同期させることができる。また、第1の言語表示画面41の右側には、第2の言語表示画面42が表示され、ここに第1の言語表示画面41に表示された楽曲の歌詞の第2の言語による翻訳文が表示される。ユーザは第1の言語表示画面41で元の歌詞と時間の経過を把握しつつ、第2の原語表示画面に従ってタイピングを行なう。さらに、映像画面42の下方には、後述する翻訳データと入力手段により入力された文字情報との一致、不一致の判断の結果一致した翻訳データにつき表示する一致データ表示画面43が表示される。これによりユーザがタイピングを正確かつ制限時間内に行なうことのできた単語を確認することができる。
【0019】
ディスプレイ4は、本体2からの表示制御信号に基づいて、上記のゲーム画面や後述の選択画面などを表示する表示装置である。また、キーボード3は、「A〜Z」、「あ〜ん」、「0〜9」、ピリオド、コンマ、決定キーなどのキーが複数配列された、文字、記号、数字などに対応したキーを入力するための入力手段であり、キーボード3により、楽曲名や文字種などを選択するようになっている。ヘッドフォン6は、遊技者が楽曲を聞くための音声出力手段である。遊技者は、ヘッドフォン6から流れる楽曲を聞きながら、ディスプレイ4に表示される文字列に基づいて、キーボード3からキー入力をすることで、ブラインドタッチの練習を行うことができる。尚、ヘッドフォン6は、スピーカなどであってもよい。
【0020】
本体2は、OS(Operating System)が組み込まれた制御装置であり,キーボード8、ディスプレイ4、記憶装置5及びヘッドフォン6などが接続されている。また、本体2は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)21と、インターフェースユニット(以下、I/Oと称す)22と、ROM(Read Only Memory)23と、RAM(Random Access Memory)24(第1の記憶手投、第2の記憶手段)とを含んでいる。
【0021】
CPU21は、各種コマンドに従って演算処理を行う中央演算処理装置である。I/O22は、モジュールとして分離されたキーボード3、ディスプレイ4、記憶装置5及びヘッドフォン6などとCPU21とを直接的、間接的に電気的接続する接続部である。ROM23は、後述のフローチャートを動作させるための演算プログラムが格納されている不揮発性の読出し専用メモリである。RAM24は、CPU21がプログラムを実行する際に使用するデータの一時記憶用の揮発性の読出し又は書き込みメモリである。
【0022】
ここで、後述のフローチャートを動作させるROM23の各機能について詳述する。ROM23は、初期設定部231と、文字抽出部232(抽出手段)と、表示部233(第1の表示手段、第2の表示手段)と、正誤判定部234(判定手段)と、時間判定部235と、得点決定部236とを有している。
【0023】
初期設定部231は、ジャンル選択部231a、楽曲選択部231b、第2の言語選択部231c、及び表示選択部231dを有しており、ゲーム開始時において、そのゲームの内容(楽曲、楽曲ジャンル、タイピング言語、表示設定など)を設定する。具体的には、ジャンル選択部231aは、遊技者に楽曲ジャンル(例えば「演歌」や「ロック」など)を選択させて、選択した楽曲ジャンルをRAM24に格納する。尚、楽曲ジャンルは、PC10の図示しない記憶領域に予め記憶されている。
【0024】
楽曲選択部231bは、選択した楽曲ジャンルに基づいて、遊技者に楽曲名を選択させ、遊技者が選択した楽曲名に対応する楽曲データ、映像データ、歌詞データ及び翻訳データを後述の記憶装置5から取得し、各データをRAM24に一時的に格納する。尚、歌詞データは、楽曲の楽節に応じ区分された複数のフレーズに区分され、フレーズ毎に格納される。また、翻訳データは、歌詞データに対応して翻訳されたデータであり、前記複数のフレーズに区分された歌詞データと同様に複数のフレーズに区分され、フレーズ毎に格納される。
【0025】
第2の言語選択部231cは、タイピング練習の対象となる表示される文字列の言語を選択する。本実施例では第2の言語として英語を選択した場合について述べるが、これに限らず例えば韓国語(ハングル)等のタイピング練習を可能にすることもできる。なお、表示選択部231dにより、タイピングゲームの背景として、RAM24に格納されている楽曲のプロモーションビデオ等を表示させるか否かを遊技者が選択することができるようにしても良い。また、ジャンル選択部231a及び楽曲選択部231bが、遊技者に各設定値を選択させる方法として、後述の表示部233により図4に示す各選択画面をディスプレイ4に表示する方法などがある。
【0026】
表示部233は、ディスプレイ4に、上述した図2のゲーム画面、図4(a)に示す、ゲーム開始時において遊技者が楽曲ジャンルを選択する選択画面、図4(b)に示す、選択された楽曲ジャンルに基づいて楽曲名を選択する選択画面などを表示する。また、表示部233は、図2のゲーム画面において、表示装置4の背景に、RAM24に格納している映像データを表示し、第1の言語表示画面41に、RAM24に格納された第1の言語の文字列を、第2の言語表示画面にRAM24に格納されている翻訳データを画面表示する。また、画面表示される文字列は、ヘッドフォン6から流れる楽由データに同期して、表示されることが好ましい。これにより、遊技者は、楽曲のリズムに乗りながらタイピング練習できる場合がある。
【0027】
さらに、表示部233は、後述する正誤判定部234が入力されたキーと第2の言語表示画面42に表示された文字に対応するキーとが一致すると判定した場合に、一致した単語に相当する第2の言語の翻訳データを一致データ表示画面に表示させる(図3参照)。これにより遊技者は、どの単語について適確にタイピングが行なえ、どの単語がそうでなかったのかにつき確認することができる。
【0028】
正誤判定部234は、ディスプレイ4に表示された文字列を構成する各文字に対応するキーと、キーボード3から入力されたキーとの一致又は不一致を判定する。また、正誤判定部234は、後述の時間判定部235により、所定時間を経過したと判定された場合には、第2の言語表示画面42に表示された文字列に対するキー入力は失敗であると判定する。即ち、遊技者は、その文字列に対するキー入力を行えなくなる。
【0029】
時間判定部235は、文字列がディスプレイ4に表示されてから所定時間を経過したか否かを判定する。即ち、第1の言語表示画面41の上部に現れた文字列が、下部に向かって移動し、タイミングライン41aを越えたか否かを判定する。
【0030】
得点決定部236は、正誤判定部234における判定結果に基づいて、遊技者のゲームスコアを決定する。例えば、ゲーム開始時において、RAM24に開始得点10000点を記憶しておき、正誤判定部234において文字に討するキー入力が失敗と判定される毎に、100点づつ減算していき、ディスプレイ4に表示する。
【0031】
記憶装置5は、本体2に接続され、楽曲データが格納されたデータベースを管理する外部記憶装置であり、例えば、HD(Hard Disk)などである。ここで、楽曲データとは、音楽データ、映像データ、歌詞データ、及び翻訳データを有している。音楽データは、ヘッドフォン6から楽曲を流すためのデータである。歌詞データは、ゲーム画面の第1の言語表示画面41に映し出す、楽曲の歌詞に対応するデータである。翻訳データは、歌詞データが様々な言語(英語や韓国語など)に翻訳されたデータである。なお、各データは、楽曲ジャンルに分類して保存されている。例えば、図5に示すように、楽曲名「AAA」、「BBB」、「CCC」の楽曲ジャンルが「ロック」である場合、これらを楽曲ジャンル「ロック」のグループとして記憶している。これにより、遊技者が、楽曲ジャンルを選択した場合に、より早く、選択された楽曲ジャンルに対して選択可能な楽曲名を取得することができる場合がある。
【0032】
次に、本実施の形態に係るタイピング練習装置1の動作について図6〜図10を参照しつつ説明する。
【0033】
図6はメインルーチンを示している。初めに、遊技者のPC10それぞれにおいて、CPU21が、プレイ開始時の初期化を行う(ステップ[以下、Sと表記する]1)。具体的には、RAM24の記憶内容の初期化を行い、続いてゲーム終了時のRAM24の所定の記憶内容を消去する。即ち、前回のゲームに使用されたRAM24の書き込み可能エリアのデータの消去、RAM24の書き込みエリアヘの次回のゲームに必要なパラメータの書き込み、例えば、ゲームの得点「10000」点の書き込み、次回のゲームのシーケンスプログラムの開始アドレスの指定、ディスプレイ4にゲーム画面の表示等を行う。
【0034】
次に、楽曲ジャンルを選択する(S2)。具体的には、遊技者のPC10のディスプレイ4に、図4(a)に示す画面を表示する。遊技者が、表示された楽曲ジャンルの中からプレイしたい楽曲ジャンルを選択する。次に、楽曲を選択する(S3)。即ち、図7に示す楽曲選択ルーチンを実行し、遊技者のディスプレイ4に、図4(b)に示す楽曲選択画面を表示する(S201)。具体的には、遊技者が選択した楽曲ジャンルを、記憶装置5の楽曲データベースに照合し、選択した楽曲ジャンルに含まれる楽曲名を取得する。そして、遊技者が選択可能な楽曲名として、楽曲選択画面(図4(b))を表示する。
【0035】
次に、遊技者が、楽曲名を選択したか否かを判定する(S202)。遊技者が楽曲名を選択していない場合(S202:NO)、選択していない状態で所定時間経過したか否かを判定する(S203)。所定時間経過していない場合(S203:NO)、再びS202に戻る。所定時間経過した場合(S203:YES)、PC10は、乱数を発生させ、この乱数に基づいてランダムに楽曲名を選択する(S204)。そして、選択された楽曲名に関する各データを記憶装置5から取得する(S205)。即ち、選択された楽曲名に対応する音楽データ、映像データ、歌詞データ、及び翻訳データを取得し、RAM24に一時的に格納する。その後、本ルーチンを終了する。また、S202において、遊技者が楽曲名を選択した場合(S202:YES)、選択された楽曲名に関するデータを記憶装置5から取得し(S205)その後、本ルーチンを終了する。
【0036】
次に、第2の言語を選択する(S4)。具体的には、遊技者がタイピング練習したい言語、例えば、英語を練習したい場合には、「英語」を選択する。尚、選択された言語の翻訳データは、設定値としてRAM24に格納される。続いて、ディスプレイ4に画面表示したい背景を設定する(S5)。即ち、ゲーム画面の第1の言語表示画面41、第2の言語表示画面42及び一致データ表示画面43の背景の映像として、例えば当該楽曲のプロモーションビデオの映像や、予め記憶装置に記憶されている自然の風景といった映像データのいずれを表示するか(或いはいずれも表示しないか)を選択する。
【0037】
次に、上記までに設定した値に基づいて、タイピングゲームをプレイする(S6)。即ち、図8に示す、タイピングゲームルーチンを実行し、遊技者が選択した映像をディスプレイ4の背景に表示する(S301)。具体的には、遊技者のPC10に、図2に示すゲーム画面を表示し、図6のS5において、記憶装置5から読み込んだ映像データをディスプレイ4に表示する。また、同時に、受信した楽曲データをヘッドフォン6から流す。次に、RAM24にフレーズ毎に格納された歌詞データ及び翻訳データ1フレーズを第1の言語表示画面41及び第2の言語表示画面42に表示する(S302)。
【0038】
同時に、RAM24に格納されている歌詞データ及び翻訳データを、歌詞データの言語における単語毎に分節し再び格納する(S303)。即ち、図9に示すように、歌詞1フレーズに相当する歌詞データ及び翻訳データをRAM24より取得する(S401)。そして、単語毎に分節するとともに分節の結果生じる単語数mを取得する(S402)。各分節された単語に対応する第2の言語の翻訳データをRAM24より読み出した上で(S403)、再び単語毎にRAM24に格納する(S404)。この格納されたデータがタイピング入力されたデータの一致・不一致の判定対象のデータとなる。そして入力する単語の数として任意の変数yを定義し、初期値0を設定する(S405)。
【0039】
再び、図8のタイピングゲームルーチンに戻り、次に、S304で翻訳データの文字数nを取得する(S304)。そして、入力装置からの入力文字数を監視する任意の変数としてxを定義し、初期値0を設定する(S305)。ここで、任意の変数xは、1単語のx番目の文字に対するキー入力の正誤判定に用いられる変数であり、1単語の先頭の文字は1番目と設定する。翻訳データの各文字情報も、x番目の文字につきc(x)としてRAM24に記憶される。
【0040】
S306において歌詞データの1フレーズを表示させてから、所定時間経過したか否かを判定する(S306)。即ち、図2において、文字入力画面の上部に現れた歌詞の1フレーズが、下部に向かって移動し、タイミングライン41aを越えたか否かを判定する。所定時間経過していない場合(S305:NO)、即ち、1フレーズがタイミングライン41aを越えていない場合、次にキーボード3からキー入力されたか否かを判定する(S307)。キー入力されていない場合(S307:NO)、S306に戻り、再び所定時間を経過しているか否かを判定する。
【0041】
キー入力があった場合(S307:YES)、変数xを1インクリメントさせた(S308)上で、入力されたキーpを入力情報iとしてRAM24に格納する。例えば1文字目の入力が「q」である場合、「i(1)=q」として記憶される(S309)。x=n、即ち1単語の文字数とキー入力の文字数が一致したか否かが判断され、一致しない場合、即ち入力文字数が1単語の文字数に満たない場合にはS306からS309までのフローをループする。そして、入力文字数と1単語の文字数が一致したときは入力内容の一致不一致の判定に進む。
【0042】
S306において、所定時間を経過している場合(S306:YES)、画面表示されたフレーズに対するキー入力は失敗とし、得点を減算する(S318)。つまり、RAM24に格納されている得点データから、キー入力不一致に伴う点(例えば「100」点)を減算し、再びRAM24に格納する。そして、ゲームスコアを表示する(S319)。そして、1フレーズが終了したか否かを判定する(S315)。また、S311において、入力キーが完全に一致していない場合(S311:NO)、ゲームスコアを減算し(S313)ゲームスコアを表示する(S314)。その後、S315に移行する。
【0043】
S311では、1単語毎の入力が翻訳データと一致しているか否かの判定を行なう。即ち、翻訳データのx番目の文字c(x)と入力データのx番目の文字i(x)とが各々一致するか否かを判定する(S311)。全ての文字情報が一致した場合には(S311:YES)、格納されている当該第2の言語の単語を一致データ表示部43に表示する。一つでも一致しない場合には(S311:NO)得点が減算され(S313)、ゲームスコアが表示される(S314)。尚この減算する点数は、不一致の文字数に比例して増えるようにしても良い。
【0044】
以上のように1単語についての判定が終了すると、単語数を表す変数yが1インクリメントされる(S315)。そして単語数がS402において取得された単語数に至ったか否かが判定され(S316)、未だ取得された単語数に満たない場合には(S316:YES)S304に戻り、次の単語につき入力判定処理が行なわれる。1楽節の全ての単語につき判定が終了したとき(S316:NO)は楽曲の終了判定が行なわれる(S317)。まだ楽節が残っている場合、S302に戻り次の楽節につき同様の処理が行なわれる。
【0045】
以上のように、本実施形態のタイピング練習装置は、楽曲データ及び楽曲データの歌詞である第1の言語の歌詞データ並びに当該歌詞の翻訳である第2の言語の翻訳データを記憶する第1の記憶手段(記憶装置5)と、記憶手段に記憶された歌詞データ及び翻訳データを音楽データと同期をとるように表示させる第1の表示手段(ディスプレイ4、表示部233)と、表示された翻訳データにあわせて文字を入力する文字入力手段(キーボード3)と、第1の記憶手段から第1の言語の単語毎に歌詞データ及び翻訳データを抽出する抽出手段(文字抽出部232)と、前記抽出手段により抽出された歌詞データ及び抽出された翻訳データ並びに前記文字入力手段により入力された文字情報を記憶する第2の記憶手段(RAM24)と、前記翻訳データと前記文字情報との一致又は不一致を判定する判定手段(正誤判定部234)と、前記判定手段の結果一致と判断された場合に前記抽出された翻訳データを表示する第2の表示手段(一致データ表示部43、表示部233)とを備えている。
【0046】
これにより、第1の言語の歌詞データと第2の言語の翻訳データとを文字情報として画面表示するのと同時に、楽曲の音楽データがヘッドホンを通じて遊技者に提供される。この結果、第1の言語の聴覚情報と視覚情報、更に第2の言語の視覚情報とが遊技者に同時にインプットされ、かつ即時的にタイピング入力というアウトプットを要求されることから、遊技者はタイピングの練習を行なうことによるタイピング能力の向上と同時に、第2の言語の言語習得をも同時に行なうことができる場合がある。
【0047】
上記実施例においては楽曲の翻訳データは、本体の外部に接続された外部記憶装置5に記憶されているものとしているが、翻訳言語の拡張性をより高めるべく、翻訳データを通信回線を通じてダウンロードされるようにしても良い。以下本実施例を説明するが、第1の実施例と重複する部分については説明を省略する。
【0048】
図10に表すように、記憶装置5には歌詞データ、音楽データ及び映像データの各楽曲データが記憶されており、本体2に接続されている。本体2はまた通信回線7及び通信手段8を通じて翻訳データが格納されているサーバ9と接続している。
【0049】
遊技者は、タイピングゲームを行なう際に、図6のメインルーチンの流れに沿って楽曲を選択する(S3)が、その際選択した楽曲のデータを記憶装置5から取得する。その後第2の言語を選択すると(S4)、通信手段8は本体2からの翻訳データ送信要求に基づいて、遊技者が選択した楽曲及び第2の言語に応じた歌詞の翻訳データを送信する。本体2においてはRAM24に翻訳データが格納される。
【0050】
以上のように、本実施例2においては翻訳データが通信回線を通じてダウンロードされる構成を有している。これにより、タイピング練習を行なうことができる言語の拡張性が高まり、遊技者がタイピング練習及び語学の習得を行なうことのできる言語の種類を増やすことができる。
【0051】
上記2つの実施例とは異なるシステム構成の一例を図11の構成図に示す。本実施態様においては、サーバ9と本体2とが通信回線7を解して接続しており、サーバ9には楽曲の各データが蓄積されている音楽データベース901、歌詞データベース902、翻訳データベース903、映像データベース904が格納されている。本体2は、各楽曲データを要求する際に、実施例1においては記憶装置5にデータ要求していたのに代替して、通信回線7、通信手段8を介してサーバ9に対してデータを要求し、取得したデータをディスプレイ4を通じて表示する。
【0052】
また取得した歌詞データ及び翻訳データが各フレーズ毎に音楽に同期するように表示される点、歌詞データ及び翻訳データは各単語毎に区分されたうえでRAM24に記憶され、キーボード3から入力される入力情報と翻訳データとの一致不一致が判断され、得点計算、得点表示がされる点は第1の実施例と共通するので説明を省略する。
【0053】
このように本実施例は、少なくとも一以上の歌詞データ及び前記歌詞データに対応する翻訳データ並びに前記歌詞データに対応する音楽データを有するサーバと、ネットワークおを介して接続しているユーザ端末とを有し、前記ユーザ端末はサーバに記憶された歌詞データ及び翻訳データを音楽データと同期をとるように表示させる第1の表示手段と、表示された翻訳データにあわせて文字を入力する文字入力手段と、サーバから第1の言語の単語毎に歌詞データ及び翻訳データを抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された歌詞データ及び抽出された翻訳データ並びに前記文字入力手段により入力された文字情報を記憶する記憶手段と、前記翻訳データと文字情報との一致又は不一致を判定する判定手段と、判定手段の結果一致と判断された場合に前記抽出された翻訳データを表示する第2の表示手段とを有している。
【0054】
これにより、サーバに最新の楽曲データが蓄積されることにより、遊技者はより新しい楽曲に基づいてタイピング練習を行なうことができるようになり、タイピング練習の興趣が向上する。
【0055】
また、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明したが、本発明はその趣旨を超えない範囲において変更が可能である。即ち、本実施の形態において、得点決定部237は、ゲーム開始時に格納された得点から、キー入力が失敗のたびに減算する方法で、ゲームスコアを決定しているが、これに限定することはない。例えば、ゲーム開始時を「0」点とし、キー入力が成功のたびに、得点を加算していく方法であっても良い。
【0056】
さらに、実施例1の形態において、記憶装置5は本体の外部に接続された外部記憶装置としているが、本体2に内蔵されたものであってもよい。また、本実施の形態において、記憶装置5のデータベースでは、楽曲データを楽曲ジャンル毎に分類されて格納されているが、五十音順に格納されていてもよい。本実施の形態では、ブラインドタッチの練習を行うために、タイピングゲームをPC上で行っているが、キーボードによる入力が可能な装置であれば、これに限定されることはない。例えば、キーボードに上記の各機能を備えるようにしてもよい。この場合、テレビ等に接続できれば、PCを所有していない場合であっても、タイピングの練習を行うことができる場合がある。
【0057】
また、実施の形態においてタイピング練習装置について説明したが、本発明は、家庭用テレビゲームプログラムにおいても、本発明を適用してゲームを実行することができる。その場合、ゲームプログラムを記録する記録媒体は、DVD−ROM、CD−ROM、FD(フレキシブルディスク)、その他任意の記録媒体を利用できる。
【0058】
その他、本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の好適な実施の形態にかかるタイピング練習装置の概略図。
【図2】タイピング練習装置におけるゲーム画面の概略図。
【図3】タイピング練習装置のブロック図。
【図4】(a)好適な実施の形態に係る対戦型タイピングゲームシステムにおける音楽ジャンル決定画面の概略図。(b)好適な実施の形態に係る対戦型タイピングゲームシステムにおける楽曲選択画面の概略図。
【図5】記憶装置が格納しているデータベースのデータテーブルを示す図。
【図6】好適な実施の形態に係るタイピング練習装置の動作を示すメインルーチンのフローチャート。
【図7】楽曲選択ルーチンのフローチャート。
【図8】タイピングゲームルーチンのフローチャート。
【図9】翻訳データの単語毎の抽出・格納ルーチンのフローチャート。
【図10】翻訳データをサーバからダウンロードする際のタイピング練習装置のブロック図
【図11】楽曲データをサーバからダウンロードする際のタイピング練習装置のブロック図
【符号の説明】
【0060】
1 タイピング練習装置
2 本体
3 キーボード
4 ディスプレイ
5 記憶装置
6 ヘッドフォン
7 通信回線
8 通信手段
9 サーバ
10 PC
23 ROM
24 RAM
231 初期設定部
231a ジャンル選択部
231b 楽曲選択部
231c 第2の言語選択部
231d 表示選択部
232 文字抽出部
233 表示部
234 正誤判定部
235 時間判定部
236 得点決定部
901 音楽データベース
902 歌詞データベース
903 翻訳データベース
904 映像データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
楽曲データ及び楽曲データの歌詞である第1の言語の歌詞データ並びに当該歌詞の翻訳である第2の言語の翻訳データを記憶する第1の記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記歌詞データ及び前記翻訳データを前記楽曲データと同期をとるように表示させる第1の表示手段と、
表示された前記翻訳データに合わせて文字を入力する文字入力手段と、
前記第1の記憶手段から第1の言語の単語ごとに歌詞データ及び翻訳データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された歌詞データ及び抽出された翻訳データ並びに前記文字入力手段により入力された文字情報を記憶する第2の記憶手段と、
前記翻訳データと前記文字情報との一致又は不一致を判定する判定手段と、
前記判定手段の結果一致と判断された場合に前記抽出された翻訳データを表示する第2の表示手段
として機能させるためのタイピングゲームプログラム。

【請求項2】
前記第2の記憶手段に記憶される翻訳データは、通信回線を通じてダウンロードされるものであることを特徴とする請求項1に記載のタイピングゲームプログラム。
【請求項3】
少なくとも一以上の歌詞データ及び前記歌詞データに対応する翻訳データ並びに前記歌詞データに対応する楽曲データを有するサーバと、
ネットワークを介して接続しているユーザ端末とを有し、
前記ユーザ端末を通じてユーザがタイピング練習を行なうタイピング練習システムであって、
前記ユーザ端末は、
前記サーバに記憶された前記歌詞データ及び前記翻訳データを前記楽曲データと同期をとるように表示させる第1の表示手段と、
表示された前記翻訳データに合わせて文字を入力する文字入力手段と、
前記サーバから第1の言語の単語ごとに歌詞データ及び翻訳データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された歌詞データ及び抽出された翻訳データ並びに前記文字入力手段により入力された文字情報を記憶する記憶手段と、
前記翻訳データと前記文字情報との一致又は不一致を判定する判定手段と、
前記判定手段の結果一致と判断された場合に前記抽出された翻訳データを表示する第2の表示手段
として機能することを特徴とするタイピング練習システム。

【請求項4】
ユーザがコンピュータへのタイピング練習を行なうタイピング練習方法であって、コンピュータを、
楽曲データ及び楽曲データの歌詞である第1の言語の歌詞データ並びに当該歌詞の翻訳である第2の言語の翻訳データを記憶する第1の記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記歌詞データ及び前記翻訳データを前記楽曲データと同期をとるように表示させる第1の表示手段と、
表示された前記翻訳データに合わせて文字を入力する文字入力手段と、
前記第1の記憶手段から第1の言語の単語ごとに歌詞データ及び翻訳データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された歌詞データ及び抽出された翻訳データ並びに前記文字入力手段により入力された文字情報を記憶する第2の記憶手段と、
前記翻訳データと前記文字情報との一致又は不一致を判定する判定手段と、
前記判定手段の結果一致と判断された場合に前記抽出された翻訳データを表示する第2の表示手段
として機能させることを特徴とするタイピング練習方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2006−84750(P2006−84750A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269135(P2004−269135)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】