説明

タイヤ情報監視システムおよびタイヤ情報監視システムの設定方法

【課題】従来のタイヤ情報監視システムのように設定作業に専用装置を用いることなく、構成が単純で製造コストが抑えられ、設定作業の効率を向上させたタイヤ情報監視システムおよびその設定方法を提供する。
【解決手段】タイヤ情報監視システムは、タイヤ空洞領域に設けられ、タイヤ情報を送信する送信装置と、車両本体に設けられ、前記送信装置からのタイヤ情報を受信し、前記タイヤ情報に基づいてタイヤの状態を判定する受信装置と、前記受信装置が、前記送信装置の識別情報と、タイヤの状態の判定のために用いるタイヤ情報の判定条件と、を設定するように、前記識別情報と前記判定条件を前記受信装置に送信する設定装置と、を有する。前記設定装置には、外部ネットワークを介してダウンロードしたソフトウェアを用いて、前記識別情報と前記判定条件を前記受信装置に設定させる通信用携帯端末機器が用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの状態に関するタイヤ情報を監視するタイヤ情報監視システムおよびタイヤ情報監視システムの情報および条件を設定する設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に装着されたタイヤの空気圧を点検管理することが、タイヤの耐久性向上、耐摩耗性向上、燃費の向上、あるいは、乗り心地の向上、さらには、操縦性能の向上の点で望まれている。このため、タイヤの空気圧を監視するシステム、すなわち、TPMS(Tire Pressure Monitoring System)が種々提案されている。このシステムは、一般的に、車輪に装着されたタイヤの空気圧の情報を検出し、その情報を送信する送信装置を各車輪のタイヤ空洞領域に設けるとともに、各タイヤの空気圧の情報を送信装置から取得してタイヤの空気圧を監視する。
【0003】
このとき、タイヤの空気圧の情報が、どの車輪に装着されたタイヤの情報かを知るために、タイヤの空気圧の情報とともに送信装置の識別情報を通信データに含ませて送信装置は送信する。受信装置は、通信データに含まれる送信装置の識別情報に基づいて、どの車輪に装着されたタイヤの空気圧の情報が送信されたかを知ることができる。このとき受信装置では、送信装置の識別情報と車輪の装着位置情報とを対応付けたテーブルが用いられて、識別情報から装着位置情報を得る。このため、送信装置の識別情報と車輪の装着位置情報との間の対応付けは、システムの動作開始前に予め行われる。
一方、このシステムで用いられる、空気圧の情報を受信する受信装置は、例えば車両の室内、特に運転者の目に留まる所に設置するために小型化が望まれ、さらに、低コスト化が望まれている。このため、上記設定作業のためのテンキーやタッチパネル等の入力操作機能を受信装置に持たせることは、小型化、低コストの点で好ましくない。
【0004】
このような状況下、車両に取り付けられた車輪に設けられた送信装置から、タイヤの空気圧の情報を送信して、受信装置に受信させる車輪情報取得システムであって、受信装置で受信されるタイヤの空気圧の情報を持つ車輪の装着位置の特定を確実にすることができるシステムが知られている(特許文献1)。
【0005】
当該システムでは、車輪に設けられた第1の通信器から、タイヤの空気圧の情報を自ら保有する識別情報とともに無線で送信する一方、送信されたタイヤの空気圧の情報および識別情報を、車輪が装着される車両本体に設けられた第2の通信器が受信した際、タイヤの空気圧情報を有する車輪の車両本体における装着位置を第2の通信器に取得させるために用いられる車両装着位置情報の設定装置を用いる。
この設定装置は、具体的には、第1の通信器の保有する識別情報を無線で第1の通信器に問い合わせ、この問い合わせに対して第1の通信器から返信された識別情報を、設定入力された車輪の装着位置情報とともに第2の通信器に無線で送信することによって、識別情報と装着位置情報との対応づけを第2の通信器に行わせ、この対応づけの結果を設定登録させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−314726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記システムの第1の通信器は、対応付けの設定作業のとき、設定装置との通信を行う必要上、設定装置からの問い合わせを受ける受信機能を持つ。このため、車輪に取り付ける第1の通信器は送信機能の他に受信機能も持つことになり、構成が複雑になり、コストは高くなる。また、設定装置は、設定作業のために、第1の通信器との間、および第2の通信器との間で無線による送受信を行う専用装置である。このため、上記システム専用の設定装置を作製しなければならない。このため、システムが複雑になり、製造コストは高くなる。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来技術のように設定作業に専用装置を用いることなく、構成が単純で製造コストも抑えることができる、設定作業の効率を向上させたタイヤ情報監視システムおよびタイヤ情報監視システムの設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明における第1の態様は、タイヤの状態に関するタイヤ情報を監視するタイヤ情報監視システムであって、
タイヤ空洞領域に設けられ、タイヤ情報を送信する送信装置と、
タイヤを装着する車両本体に設けられ、前記送信装置からの前記タイヤ情報を受信し、前記タイヤ情報に基づいてタイヤの状態を判定する受信装置と、
前記タイヤ情報を送信する前記送信装置の識別情報と、前記受信装置で行うタイヤの状態の判定のために用いる前記タイヤ情報の判定条件とが前記受信装置で設定されるように、前記識別情報と前記判定条件を前記受信装置に送信する設定装置と、を有し、
前記設定装置は、外部ネットワークを介してダウンロードしたプログラムを用いて、前記識別情報と前記判定条件を定めて前記受信装置に送信する通信用携帯端末機器である、ことを特徴とするタイヤ情報監視システムである。
【0010】
その際、前記送信装置の筐体表面には前記識別情報が表示され、前記通信用携帯端末機器は、画像を撮影する撮影部と、撮影された画像から情報を取得する解析部と、を備え、
前記撮影部により撮影された前記識別情報の画像を前記解析部で解析することにより、前記解析部は前記識別情報を取得し、前記通信用携帯端末機器は、取得した前記識別情報を前記受信装置に送信する、ことが好ましい。
【0011】
前記識別情報は、例えばマトリックス型2次元コードで表示される。
【0012】
前記通信用携帯端末機器は、前記タイヤが装着される車軸の位置情報を前記受信装置に送信し、前記送信される前記位置情報は、前記画像の撮影された順番、前記識別情報の取得の順番、あるいは、前記識別情報の送信される順番に応じて定められている、ことが好ましい。
【0013】
また、前記プログラムのダウンロード先のアドレス情報は、前記受信装置の筐体表面に表示され、前記通信用携帯端末機器は、前記アドレス情報を用いて前記プログラムをダウンロードする、ことが好ましい。
【0014】
さらに、前記通信用携帯端末機器は、画像を撮影する撮影部と、撮影された画像から情報を取得する解析部と、を備え、前記撮影部により撮影された前記アドレス情報の画像を前記解析部で解析することにより、前記解析部は前記アドレス情報を取得し、前記通信用携帯端末機器は、取得した前記アドレス情報を用いて、前記プログラムをダウンロードする、ことが好ましい。
【0015】
前記アドレス情報は、例えば、マトリックス型2次元コードで表示される。
【0016】
その際、前記マトリックス型2次元コードには、さらに、前記受信装置の識別情報および前記受信装置の製造情報が含まれ、前記通信用携帯端末機器は、前記受信装置の前記識別情報と、前記製造情報と、前記通信用携帯端末機器の端末情報とを、少なくとも前記外部ネットワークを介して所定のサーバに送信して、タイヤ情報監視システムのユーザ登録を行う、ことが好ましい。
【0017】
前記受信装置は、前記タイヤの状態の判定結果に応じて、判定結果の内容を音声情報で報知してもよい。
【0018】
また、本発明の他の態様は、タイヤの状態に関するタイヤ情報を監視するタイヤ情報監視システムの受信装置に所定の情報および条件を設定するタイヤ情報監視システムの設定方法であって、
タイヤ空洞領域に設けられ、タイヤ情報を送信する送信装置の識別情報と、前記受信装置で行うタイヤの状態の判定のために用いる前記タイヤ情報の判定条件と、を設定装置が取得するステップと、
前記設定装置が、取得した識別情報と前記判定条件を前記受信装置に送信するステップと、を有し、
前記設定装置は、外部ネットワークを介してダウンロードしたプログラムを用いて、前記識別情報と前記判定条件を定めて前記受信装置に送信する通信用携帯端末機器である、ことを特徴とするタイヤ情報監視システムの設定方法である。
【0019】
その際、前記送信装置の筐体表面には前記識別情報が表示され、前記通信用携帯端末機器は、画像を撮影する撮影部と、撮影された画像から情報を取得する解析部と、を備え、
前記撮影部により撮影された前記識別情報の画像を前記解析部で解析することにより、前記解析部は前記識別情報を取得し、前記通信用携帯端末機器は、取得した前記識別情報を前記受信装置に送信する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
上述のタイヤ情報監視システムは、構成が単純で製造コストも抑えることができ、設定作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】タイヤ情報監視システムの一実施形態であるタイヤ空気圧モニタリングシステムの全体概要を示す図である。
【図2】(a)は、図1に示す送信装置がタイヤ空洞領域内に固定される方法の一例を説明する図であり、(b)は、図1に示す送信装置の一例を示す図であり、(c)は、(b)に示す送信装置の内部構成を示す図である。
【図3】図2(c)に示す送信装置の回路構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示すタイヤ空気圧モニタリングシステムに用いられる監視装置の例を示す外観図である。
【図5】図4に示す監視装置の回路構成を示すブロック図である。
【図6】図1に示す空気圧モニタリングシステムに用いる携帯電話機器のブロック構成図である。
【図7】図1に示すタイヤ空気圧モニタリングシステムに用いられる携帯電話機器が行う設定方法の一例を説明する図である。
【図8】図1に示すタイヤ空気圧モニタリングシステムに用いられる携帯電話機器が行う設定方法の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のタイヤ情報監視システムおよびタイヤ情報監視システムの設定方法について詳細に説明する。
図1は、タイヤ情報監視システムの一実施形態であるタイヤ空気圧モニタリングシステム10の全体概要を示す図である。
【0023】
(タイヤ空気圧モニタリングシステムの概要)
タイヤ空気圧モニタリングシステム(以下、システムという)10は、車両12に搭載されている。システム10は、車両12の各車輪のタイヤ14a,14b,14c,14dの各タイヤ空洞領域に設けられた空気圧情報送信装置(以下、送信装置という)16a,16b,16c,16dと、監視装置(受信装置)18と、を有する。
送信装置16a,16b,16c,16dは、いずれもタイヤとリムで囲まれたタイヤ空洞領域に充填される空気圧に関する情報を、タイヤ情報として検出し、このタイヤ情報を監視装置18に無線で送信する。以降、送信装置16a,16b,16c,16dを説明するとき、送信装置16a,16b,16c,16dを総称して送信装置16という。
【0024】
(送信装置の構成)
図2(a)は、送信装置16がタイヤ空洞領域内に固定される方法の一例を説明する図である。図2(b)は、図2(a)に示す送信装置16がタイヤバルブ20と一体化したデバイス全体を示す斜視図である。
送信装置16は、タイヤ空洞領域の側に延びるタイヤバルブ20の端部に設けられ、タイヤバルブ20がリム19に機械的に固定されることにより、タイヤ空洞領域内に固定されて配置される。
図2(c)は、図2(b)に示すA−A線に沿った送信装置16の矢視断面図である。図3は、送信装置16の回路構成を示すブロック図である。図2(c)に示すように、送信装置16は、筐体22と、筐体22の内部に設けられた回路24とを有する。回路24は、基板26と、基板26に設けられたセンサユニット28と、送信機30と、処理ユニット32と、電源部34と、アンテナ40と、を有する。
【0025】
センサユニット28は、空気圧センサ28a(図3参照)とA/D変換器28b(図3参照)を有する。空気圧センサ28aは、筐体22内の内部空間38の空気圧を感知し、圧力信号を出力する。筐体22内の内部空間38は、筐体22を貫通した貫通孔36を介してタイヤ空洞領域の空間と連通している。
A/D変換器28bは、空気圧センサ28aから出力された圧力信号をデジタル変換し、圧力データを出力する。
【0026】
処理ユニット32は、中央処理部32aと記憶部32bとを有する。中央処理部32aは、記憶部32bの半導体メモリに格納されているプログラムに基づいて動作する。中央処理部32aは、電力が供給されて駆動すると、センサユニット28から送られてくる圧力データを所定時間間隔、例えば5分毎に、送信機30を介して監視装置18に空気圧の情報である圧力データを送信するように送信機30を制御する。記憶部32bには送信装置16に固有の識別情報が予め記憶されており、中央処理部32aは圧力データと共に識別情報を監視装置18に送信するように制御する。
【0027】
記憶部32bは、中央処理部32aを動作するプログラムが記録されているROMと、例えばEEPROM等の書き換え可能な不揮発性のメモリとを備える。送信装置16の固有の識別情報は、記憶部32bの書き換え不可領域に記憶されている。
【0028】
送信機30は、発振回路30aと、変調回路30bと、増幅回路30cとを有する。
発振回路30aは、搬送波信号、例えば315MHz帯の周波数のRF信号を生成する。
変調回路30bは、中央処理部32aから送られた圧力データと送信装置16に固有の識別情報とを用いて、搬送波信号を変調して送信信号を生成する。変調方式は、振幅偏移変調(ASK)、周波数変調(FM)、周波数偏移変調(FSK)、位相変調(PM)、位相偏移変調(PSK)等の方式を用いることができる。
増幅回路30cは、変調回路30bで生成された送信信号を増幅し、アンテナ40を介して、送信信号を監視装置18に無線で送信する。
電源部34は、例えば二次バッテリが用いられ、センサユニット28と、送信機30と、処理ユニット32と、に略半永久的に電力を供給する。
【0029】
筐体22の表面には、送信装置16の識別情報の表示体42(図2(b)参照)が設けられている。この識別情報の表示体42は、後述する携帯電話機器70を用いて撮影され、撮影された画像が解析されることにより、携帯電話機器70において識別情報が取得される。識別情報は、例えば、マトリックス型2次元コードで表示されている。マトリックス型2次元コードは、画像の解析結果として正確な識別情報を得ることができる点で好ましい。マトリックス型2次元コードは例えばQRコードが用いられる。識別情報は、マトリックス型2次元コードの他に、文字、記号等で表示されたものであってもよい。
【0030】
なお、本実施形態の送信装置16は、タイヤ空洞領域内に充填された空気圧を、タイヤの状態に関するタイヤ情報として検出するが、タイヤ情報は、空気圧の他に、タイヤ空洞領域内の空気の雰囲気温度であってもよい。また、タイヤ情報は、空気圧および空気の雰囲気温度を含んでもよい。
また、送信装置16は、タイヤバルブ20に固定される他、タイヤ空洞領域に面したタイヤ内表面あるいは、タイヤ空洞領域に面したリム19の表面に直接固定されてもよい。
【0031】
(監視装置の構成)
図4は、監視装置18の外観図である。図5は、監視装置18の回路構成を示すブロック図である。
監視装置18は、タイヤが装着される車両本体、例えば車両12の運転席の位置近傍に設けられ、送信装置16からのタイヤ情報を受信し、タイヤ情報に基づいてタイヤの状態(空気圧が低い等)を判定し、判定結果に基づいて運転者に空気圧の情報を報知する。監視装置18は、アンテナ52と、受信部54と、受信バッファ56と、中央処理部58と、記憶部60と、設定部62と、I/Oポート63と、スイッチ64と、表示制御部66と、表示部68と、電源部69と、を有する。
なお、監視装置18における情報や条件等の設定のために、監視装置18は設定用のボタンを有さず、監視装置18と有線で接続された後述する携帯電話機器70のキーボタンが用いられる。
【0032】
アンテナ52は、送信装置16の送信周波数と同じ周波数に整合され、受信部54に接続されている。
受信部54は、送信装置16から送信された所定の周波数の送信信号を受信し、復調処理をして圧力データと識別情報のデータを取り出す。このデータは、受信バッファ56に出力する。
受信バッファ56は、受信部54から出力された圧力データと識別情報のデータを一時的に格納する。格納された圧力データと識別情報のデータは、中央処理部58からの指示にしたがって、中央処理部58に出力される。
【0033】
中央処理部58は、主にCPUで構成され、記憶部60に記憶されているプログラムに基づいて動作する。中央処理部58は、受信した圧力データと識別情報のデータに基づいて、識別情報毎にタイヤ14a〜14dの空気圧を監視する。具体的には、圧力データに基づいて、タイヤの異常の有無を判定する。タイヤの異常の有無を判定するとは、例えば、空気圧が異常に低くなり、あるいは短時間に急激に低下して、タイヤがパンクしているか否かを判定することをいう。判定に用いる条件(異常の有無を判定する閾値)は、後述する設定部62を用いて設定される。
【0034】
中央処理部58は、判定結果を表示制御部66に出力し、表示制御部66を介して判定結果を表示部68に出力させることで、ドライバに空気圧の情報を報知する。表示部68は、例えば、図4に示すように、タイヤの位置を視覚的に示す表示部と、その位置における空気圧を数字で視覚的に表示する表示部を備える。表示部68は、液晶表示装置、LED表示装置、あるいは有機EL表示装置等が用いられる。図4に示す例では、左前輪の空気圧の情報が250kPaであることが示されている。
さらに、中央処理部58は、設定部62からの情報やスイッチ64からの情報に応じて、送信装置16との間で通信方式等の初期設定を行う。また、設定部62からの情報により、中央処理部58はタイヤの異常の有無の判定を行うための判定条件、および、送信装置16の識別情報と、送信装置16が設けられている車輪の車両における装着位置の情報との対応付けされた対応テーブルを記憶部60に記憶させる。
記憶部60は、中央処理部58のCPUを動作するプログラムが記憶されたROMと、EEPROM等の不揮発性メモリとを有する。この記憶部60には、製造段階で、送信装置16との間の通信方式のテーブルが記憶されている。送信装置16と監視装置18は、初期段階において、上記通信方式で通信する。通信方式テーブルには、送信装置16のそれぞれの固有の識別情報に対応して、通信プロトコル、転送ビットレート、データフォーマット等の情報が含まれている。さらに、記憶部60は、上記送信装置16の識別情報と装着位置の情報とが対応付けされた対応テーブルが記憶されている。これらの情報は、後述する設定部62により自在に設定変更をすることができる。
【0035】
設定部62は、識別情報を設定し、さらに識別情報と装着位置情報との対応関係を設定し、さらに、タイヤの空気圧を判定する判定条件を設定する。設定部62は、キーボード等の入力デバイスを含まず、入出力ポート63を介して、携帯電話機器70と接続されている。携帯電話機器70は、各種情報および条件を入力するために用いられる。すなわち、設定部62は、携帯電話機器70からの入力によって、各種情報および条件を自在に設定することができる。
スイッチ64は、デフォルト設定を中央処理部58に指示するために用いられる。
表示制御部66は、中央処理部58から送られる判定結果に応じて、タイヤの装着位置に対応させてタイヤの空気圧を表示部68に表示させるように制御する。その際、表示制御部66は、タイヤが低空気圧状態にあるといった判定結果も、表示部68に同時に表示させるように制御する。表示は、タイヤの装着位置情報を示す画面と、そのタイヤの空気圧の情報を数値等で表示する画面で行われる。タイヤの空気圧が判定条件の閾値からはずれて、異常な低空気圧状態に移行したとき、画面上のタイヤの装着位置を示す表示色および空気圧の数値を示す表示色が、例えば緑から赤に変わる。
電源部69は、車両10に搭載されているバッテリから供給された電力を、監視装置18の各部分に適した電圧に制御して電力を供給する。
このように、送信装置16と監視装置18は構成される。
【0036】
(携帯電話機器について)
携帯電話機器70は、入出力ポート63を介して設定部62と有線で接続される。携帯電話機器70は、タイヤの空気圧の情報を送信する送信装置16の識別情報と、監視装置18で行うタイヤの状態の判定のために用いる空気圧の判定条件と、を監視装置18が設定するように、識別情報と判定条件を監視装置18に送信する設定装置として機能する。さらに、携帯電話機器70は、監視装置18において送信装置16が設けられる車輪の装着位置情報と、識別情報との対応付けが行われるように、装着位置情報に対応した識別情報を送信する。
図6は、携帯電話機器70の構成を示すブロック図である。
本実施形態では、設定装置として携帯電話機器70を用いるが、携帯電話機器やPDA(Personal Digital Assistance)等の通信用携帯端末機器であればよい。
携帯電話機器70は、具体的には、μプロセッサ等を備える中央処理部72と、無線通信部74と、記憶部76と、撮影部78と、入力部80と、表示部82と、入出力ポート84と、ソフトウェアモジュール部86と、を有する。ソフトウェアモジュール部86は、入力設定部88と解析部90とを有する。ソフトウェアモジュール部86は、記憶部76に記憶されているプログラムを呼び出して起動することにより形成されるモジュールである。すなわち、入力設定部88と解析部90では、ソフトウェア処理が行われる。
【0037】
無線通信部74は、無線通信ネットワークを介して他の携帯電話機器やインターネット等を介してサーバと接続され、音声情報や画像情報やデータの送受信を行う。
中央処理部72は、携帯電話機器70の各部の処理の管理、制御を行う。
記憶部76は、各種ソフトウェアを記憶するROMやEEPROM等の不揮発性メモリを有する。例えば、無線通信部74で行う通信方式等を記憶し、各種ソフトウェアや各種情報を記憶する。
【0038】
撮影部78は、画像を撮影するカメラ機能を有する。
入力部80は、携帯電話機器70の表面に設けられたキーボタンを備え、オペレータがキーボタンを押すことにより数字や単語等を入力する入力機能を有する。
表示部82は、携帯電話機器70に設けられたディスプレイであり、入力表示画面や撮影画像等を表示する。
【0039】
入出力ポート84は、監視装置18とケーブルで接続さるように設けられる。設定された空気圧の判定条件、識別情報、車輪の装着位置情報等が入出力ポート84を通して、有線で監視装置18に送信される。本実施形態では、監視装置18と携帯電話機器70との間は有線で接続されるが、赤外線により通信が行われてもよい。
【0040】
入力設定部86は、プログラムを実行することにより、入力設定画面を表示部80に表示させる。この表示画面を見たオペレータが携帯電話機器70のキーボタンを押すことにより、入力設定部86は、判定条件や各種情報の入力を受ける。判定条件とは、例えば、許容可能な空気圧の下限の閾値を含み、この閾値を下回ると、タイヤの空気圧は異常な低圧状態にあると判定されるパラメータである。
判定条件は、1つの閾値のほかに、タイヤの空気圧の状態を複数のレベルで判定するために、複数の閾値を含んでもよい。判定条件は、監視する車輪ごとに設定される。判定条件が監視する車輪ごとに設定されるのは、システム10がタイヤの種類やサイズに拠らず汎用性高く構成され、使用するタイヤの標準空気圧はタイヤの種類やサイズによって異なり、判定条件もタイヤの種類やサイズによって異なるからである。
解析部90は、撮影部78で撮影された画像から、識別情報等の各種情報を取得するために、撮影された画像を解析するために用いられる。
【0041】
図7は、送信装置16の識別情報の設定方法の一例を示す図である。図7に示す方法では、送信装置16の筐体表面に、送信装置16の識別情報の表示体42が設けられている。
識別情報は、マトリックス型2次元コードで表されている。このマトリックス型2次元コードは、送信装置16がタイヤに組み込まれる前に、撮影部78により撮影され、撮影された画像が解析部90で解析され、解析結果から送信装置16の識別情報が取り出されて取得される。マトリックス型2次元コードは、例えばモノトーン表示されているので、解析部90は、明度に関して2値化処理を行って、識別情報を正確に取り出す。
【0042】
また、図8に示すように、車両に装着される車輪の装着位置情報(左前輪(FL)、右前輪(FR)、左後輪(RL)、右後輪(RR))は、監視装置18に送信される識別情報の送信される順番に応じて定められている。例えば、最初に撮影部78で撮影されて監視装置18に送信される識別情報がFLとされ、次に撮影されて監視装置18に送信される識別情報がFRとされ、3番目に撮影されて監視装置18に送信される識別情報がRLとされ、最後に撮影されて監視装置18に送信される識別情報がRRとされる。車両に装着される車輪の装着位置情報は、監視装置18に送信される識別情報の送信の順番に応じて定められていればよく、上記順番に限定されない。上記識別情報の送信の順番は、図8に示すZ字型の順番の他、時計回り、あるいは反時計回りの順番であってもよい。
このように識別情報の送信される順番に応じて装着位置情報を定めることは、識別情報と装着位置情報との対応付けを容易に行う点で好ましい。また、装着位置情報は、識別情報の送信される順番の代わりに、撮影された画像から識別情報が取得される順番に応じて、あるいは、画像の撮影された順番に応じて、定められることも好ましい。これらの場合も同様に、識別情報と装着位置情報との対応付けを容易に行うことができる。
【0043】
図7、図8に示す例では、送信装置16の識別情報は、マトリックス型2次元コードで表されているが、マトリックス型2次元コードの表示に限定されない。1次元バーコード等で表示されてもよい。また、数字や記号等で表示されてもよい。この場合、解析部90は、読み取った数字や記号の画像を数字や記号として認識するソフトウェア処理が行われて、識別情報が取得される。
【0044】
このように、携帯電話機器70は、携帯電話機器70のキーボタンを用いて各種条件及び条件を入力するので、従来のように設定作業に専用装置を用いることはない。このため、送信装置16および監視装置18は、構成が単純で製造コストも抑えることができる。また、判定条件及び識別情報は、携帯電話機器70のキーボタンの操作とソフトウェア処理を用いて入力されるので、設定作業の効率を向上させることもできる。
【0045】
このようなシステム10では、タイヤ空洞領域に設けられ、タイヤ情報を送信する送信装置16の識別情報と、空気圧の判定条件と、を携帯電話機器70は取得する。上記判定条件は、監視装置18で行うタイヤの状態の判定のために用いられる。送信装置16の筐体表面には識別情報の表示体42が設けられて、識別情報が表示されている。携帯電話機器70は、撮影部78において、識別情報の表示体42を撮影し、この撮影した画像を解析部90で解析することにより、識別情報を取得する。判定条件は、携帯電話機器70の入力部80から入力されて携帯電話機器70に取得される。
携帯電話機器70は、取得した識別情報と判定条件を監視装置18に送信する。
携帯電話機器70は、このような入力設定用のプログラムを、外部ネットワークを介してダウンロードし、予め、記憶部76に記憶保持しておく。携帯電話機器70を用いて各種条件および判定条件を入力するとき、携帯電話機器70はプログラムを呼び出して入力設定画面を表示する。このとき、判定条件はオペレータの入力により取得され、識別情報は、表示体42の画像の撮影および画像の撮影結果の解析等を通じて得られる。
【0046】
なお、上記プログラムに関して、外部ネットワークのダウンロード先のアドレス情報が、監視装置18の筐体表面に表示されていることが好ましい。携帯電話機器70は、このアドレス情報を用いてソフトウェアをダウンロードする。例えば、アドレス情報は、マトリックス型2次元コードで表示される。この場合、マトリックス型2次元コードは、携帯電話機器70の撮影部78で撮影され、解析部90が撮影画像を解析して、アドレス情報および製造情報が取得される。
【0047】
さらに、このマトリックス型2次元コードには、監視装置18の製造情報(製造場所、製造日時、製造ロット番号等)が含まれ、携帯電話機器70は、設定された監視装置18の識別情報と製造情報と、携帯電話機器70の端末情報とを、外部ネットワークを介して所定のサーバに送信して、タイヤ情報監視システムのユーザ登録を行うようにしてもよい。さらに、携帯電話機器70は、ユーザ登録日や設定作業場所等の情報をサーバに送信してもよい。サーバのアドレスは、上記マトリックス型2次元コードに記載され、撮影された画像からアドレスは取得され得る。
このようなユーザ登録を自動的に行うように構成することにより、上記サーバは、ユーザの追跡調査を行うことができ、さらに、本システムのマーケティングに有用な情報を管理することができる。
さらに、携帯電話機器70は、送信装置16の識別情報を上記サーバに送信してもよい。この場合、サーバは送信装置16および監視装置18を含むシステム10の各種情報を一括管理することができる。
【0048】
このように、監視装置18に上記サーバのアドレス情報を表示することで、タイヤの車両への初期装着時におけるシステム10の初期設定のほかに、タイヤのローテーション時や送信装置16の交換時のシステム10の再登録時にもプログラムをダウンロードすることができる。監視装置18の取り扱い説明書等にアドレス情報を記載した場合、取り扱い説明書を紛失してしまってアドレス情報が得られない場合もある。
監視装置18には、設定用のボタンが設けられておらず、その代わり携帯電話機器70のソフトウェアモジュール部86および入力部80が設定のための入力機能を備える。このため、監視装置18に設定用のボタン機能がないので、製造コストはダウンする。
監視装置18の表示部68は、視覚的に情報を報知するが、音声により報知してもよい。例えば、判定条件として設定された閾値を下回った場合、警報音等の音声を発する。この場合、表示部を必要としないので、監視装置18の設置位置はドライバの視覚に入る範囲に限定されず、設置位置の自由度が大きい点で有利である。
【0049】
以上、本発明のタイヤ情報監視システムおよびタイヤ情報監視システムの設定方法について詳細に説明したが、本発明のタイヤ情報監視システムおよびタイヤ情報監視システムの設定方法は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0050】
10 タイヤ空気圧モニタリングシステム
12 車両
14,14a,14b,14c,14d タイヤ
16,16a,16b,16c,16d 空気圧情報送信装置
18 監視装置
19 リム
20 タイヤバルブ
22 筐体
24 回路
26 基板
28 センサユニット
28a 空気圧センサ
28b A/D変換器
30 送信機
32 処理ユニット
34 電源部
36 貫通孔
40,52 アンテナ
42 識別情報の表示体
54 受信部
56 受信バッファ
58 中央処理部
60 記憶部
62 設定部
63 入出力ポート
64 スイッチ
66 表示制御部
68 表示部
69 電源部
70 携帯電話機器
72 中央処理部
74 無線通信部
76 記憶部
78 撮影部
80 入力部
82 表示部
84 入出力ポート
86 ソフトウェアモジュール部
88 入力設定部
90 解析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの状態に関するタイヤ情報を監視するタイヤ情報監視システムであって、
タイヤ空洞領域に設けられ、タイヤ情報を送信する送信装置と、
タイヤを装着する車両本体に設けられ、前記送信装置からの前記タイヤ情報を受信し、前記タイヤ情報に基づいてタイヤの状態を判定する受信装置と、
前記タイヤ情報を送信する前記送信装置の識別情報と、前記受信装置で行うタイヤの状態の判定のために用いる前記タイヤ情報の判定条件とが前記受信装置で設定されるように、前記識別情報と前記判定条件を前記受信装置に送信する設定装置と、を有し、
前記設定装置は、外部ネットワークを介してダウンロードしたプログラムを用いて、前記識別情報と前記判定条件を定めて前記受信装置に送信する通信用携帯端末機器である、ことを特徴とするタイヤ情報監視システム。
【請求項2】
前記送信装置の筐体表面には前記識別情報が表示され、
前記通信用携帯端末機器は、画像を撮影する撮影部と、撮影された画像から情報を取得する解析部と、を備え、
前記撮影部により撮影された前記識別情報の画像を前記解析部で解析することにより、前記解析部は前記識別情報を取得し、前記通信用携帯端末機器は、取得した前記識別情報を前記受信装置に送信する、請求項1に記載のタイヤ情報監視システム。
【請求項3】
前記識別情報は、マトリックス型2次元コードで表示されている、請求項2に記載のタイヤ情報監視システム。
【請求項4】
前記通信用携帯端末機器は、前記タイヤが装着される車軸の位置情報を前記受信装置に送信し、
前記位置情報は、前記画像の撮影された順番、前記識別情報の取得の順番、あるいは、前記識別情報の送信される順番に応じて定められている、請求項2または3に記載のタイヤ情報監視システム。
【請求項5】
前記プログラムのダウンロード先のアドレス情報は、前記受信装置の筐体表面に表示され、
前記通信用携帯端末機器は、前記アドレス情報を用いて前記プログラムをダウンロードする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ情報監視システム。
【請求項6】
前記通信用携帯端末機器は、画像を撮影する撮影部と、撮影された画像から情報を取得する解析部と、を備え、
前記撮影部により撮影された前記アドレス情報の画像を前記解析部で解析することにより、前記解析部は前記アドレス情報を取得し、前記通信用携帯端末機器は、取得した前記アドレス情報を用いて、前記プログラムをダウンロードする、請求項5に記載の請求項5に記載のタイヤ情報監視システム。
【請求項7】
前記アドレス情報は、マトリックス型2次元コードで表示される、請求項5または6に記載のタイヤ情報監視システム。
【請求項8】
前記マトリックス型2次元コードには、さらに、前記受信装置の識別情報および前記受信装置の製造情報が含まれ、前記通信用携帯端末機器は、前記受信装置の前記識別情報と、前記製造情報と、前記通信用携帯端末機器の端末情報とを、少なくとも前記外部ネットワークを介して所定のサーバに送信して、タイヤ情報監視システムのユーザ登録を行う、請求項7に記載のタイヤ情報監視システム。
【請求項9】
前記受信装置は、前記タイヤの状態の判定結果に応じて、判定結果の内容を音声情報で報知する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のタイヤ情報監視システム。
【請求項10】
タイヤの状態に関するタイヤ情報を監視するタイヤ情報監視システムの受信装置に所定の情報および条件を設定するタイヤ情報監視システムの設定方法であって、
タイヤ空洞領域に設けられ、タイヤ情報を送信する送信装置の識別情報と、前記受信装置で行うタイヤの状態の判定のために用いる前記タイヤ情報の判定条件と、を設定装置が取得するステップと、
前記設定装置が、取得した識別情報と前記判定条件を前記受信装置に送信するステップと、を有し、
前記設定装置は、外部ネットワークを介してダウンロードしたプログラムを用いて、前記識別情報と前記判定条件を定めて前記受信装置に送信する通信用携帯端末機器である、ことを特徴とするタイヤ情報監視システムの設定方法。
【請求項11】
前記送信装置の筐体表面には前記識別情報が表示され、
前記通信用携帯端末機器は、画像を撮影する撮影部と、撮影された画像から情報を取得する解析部と、を備え、
前記撮影部により撮影された前記識別情報の画像を前記解析部で解析することにより、前記解析部は前記識別情報を取得し、前記通信用携帯端末機器は、取得した前記識別情報を前記受信装置に送信する、請求項10に記載のタイヤ情報監視システムの設定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−22433(P2012−22433A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158604(P2010−158604)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】