説明

タイヤ空気圧監視システム及びタイヤ空気圧検出方法

【課題】簡易な構成ながらも、各車輪のいずれのタイヤに異常が発生したかを判別することのできるタイヤ空気圧監視システム及びタイヤ空気圧検出方法を提供する。
【解決手段】このタイヤ空気圧監視システムは、タイヤの空気圧の情報を含む応答信号を送信するセンサユニットU1〜U4と、応答信号に含まれている空気圧の情報に基づいて各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧を監視する監視装置10とを備える。ここでは、送信用コイルアンテナ11に半波整流された交流電流を供給して磁界を形成することによって、各車輪W1〜W4に磁束を付与する。また、センサユニットU1〜U4では、付与されている磁束の向きを検出し、検出された磁束の向きの情報を応答信号Srに含めて送信する。そして、監視装置10では、応答信号Srに含まれている磁束の向きの情報に基づいて応答信号が各車輪W1〜W4のいずれのセンサユニットから送信されたかを判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設けられる各車輪のタイヤの空気圧を検出するタイヤ空気圧監視システム、及び各車輪のタイヤの空気圧を検出するタイヤ空気圧検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の各車輪に設けられたセンサを通じてタイヤの空気圧を直接監視するとともに、タイヤの空気圧に異常が検出されたときに運転者に対して警告を行う、いわゆるダイレクト式のタイヤ空気圧監視システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)が周知である。このタイヤ空気圧監視システムを車両に搭載すれば、運転者はタイヤの空気圧の異常を早期に発見することができるため、例えば車両の乗り心地や燃費を良好に保つことができるようになるとともに、トレッドの剥離やタイヤのバーストなどを未然に防止することができるようになる。
【0003】
ところで、このタイヤ空気圧監視システムは、当初、各車輪に設けられたセンサを通じて検出される空気圧のいずれかに異常が検出されたときに警告を行うものであった。すなわち、空気圧の異常が生じたタイヤを特定せずに、各車輪のいずれかのタイヤの空気圧に異常が生じたときに警告を行うものであった。これに対し、近年は、異常が発生したタイヤを運転者が判別することのできるシステムが提案されている。そして従来、このようなタイヤ空気圧監視システムとしては、例えば特許文献1に記載のシステムが知られている。図16は、この特許文献1に記載のシステムを含めて、従来一般に採用されているタイヤ空気圧監視システムの概要を示したものである。
【0004】
同図16に示されるように、このシステムでは、各車輪W1〜W4の周辺に起動信号を送信するためのイニシエータ30a〜30dが設けられている。一方、各車輪W1〜W4には、起動信号の受信に基づきタイヤの空気圧を検出するとともに、検出された空気圧の情報を含む応答信号を送信するセンサユニットU1〜U4が設けられている。また、このシステムにおいて、センサユニットU1〜U4からそれぞれ送信される応答信号は、車両に設けられた受信機32によって受信されるとともに、同システムにかかる各種制御を統括的に実行する制御装置33に伝達される。そして、制御装置33では、センサユニットU1〜U4からそれぞれ送信された応答信号に含まれている空気圧の情報に基づいて各タイヤの空気圧を監視するとともに、いずれかのタイヤの空気圧に異常が検出されることを条件に、車室内に設けられているインジケータ34を通じて運転者に対して警告を行う。
【0005】
一方、制御装置33では、各イニシエータ30a〜30dから起動信号を送信するにあたり、それぞれ異なったタイミングで起動信号を送信する送信制御を実行する。これにより、イニシエータ30a〜30dからそれぞれ異なったタイミングで応答信号が送信されるようになる。したがって、制御装置33では、受信機32を介して応答信号を受信した際に、受信した応答信号が各車輪W1〜W4のいずれのセンサユニットU1〜U4から送信されたかを判別することができるため、応答信号に含まれている空気圧の情報が各車輪W1〜W4のいずれのタイヤの情報であるかを判別することができるようになる。そして、制御装置33では、このような判別手法を通じて各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧を各別に監視しつつ、タイヤの空気圧に異常が検出された際には、異常が発生したタイヤを特定するかたちでインジケータ34を通じた警告を行う。
【0006】
タイヤ空気圧監視システムとしてのこうした構成によれば、インジケータ34の警告を通じて運転者は異常が発生したタイヤを判別することができるため、異常が発生したタイヤに対して迅速且つ的確な対策を施すことができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−62516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、起動信号を送信するためのイニシエータ30a〜30dを各車輪W1〜W4にそれぞれ設けることとすれば、空気圧の異常が発生したタイヤを特定するかたちで警告を行うことができるようになる。ただし、このようなタイヤ空気圧監視システムでは、イニシエータ及びその配線系が車輪W1〜W4毎にそれぞれ必要となるため、このことが製造コストの増大などを招く一つの要因となっている。
【0009】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成ながらも、各車輪のいずれのタイヤに異常が発生したかを判別することのできるタイヤ空気圧監視システム及びタイヤ空気圧検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両の各車輪に設けられてタイヤの空気圧を検出するとともに、検出された空気圧の情報を含む応答信号を無線送信するセンサユニットと、前記応答信号に含まれている空気圧の情報に基づいて各車輪のタイヤの空気圧を監視する監視装置とを備えるタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記各車輪のうちの右車輪及び左車輪に相対的に向きが異なって且つ、経時的に大きさが変化する磁束をそれぞれ付与する磁界を形成するための励磁コイルを備え、前記センサユニットは、付与される磁束に応じて誘起電圧を発生する誘導コイルを有して、前記誘起電圧に基づいて当該センサユニットに付与されている磁束の向きを検出するとともに、同磁束の向きの情報を前記応答信号に含めて送信するものであり、前記監視装置は、前記応答信号に含まれている前記磁束の向きの情報に基づいて同応答信号が前記右車輪及び左車輪のいずれのセンサユニットから送信されたかを判別することを要旨としている。
【0011】
また、請求項9に記載の発明は、車両の各車輪に装着されたタイヤの空気圧を検出するとともに、検出された空気圧の情報を含む応答信号を無線送信するセンサユニットを有し、前記応答信号に含まれている空気圧の情報に基づき各車輪のタイヤの空気圧を検出するタイヤ空気圧検出方法において、前記各車輪のうちの右車輪及び左車輪に相対的に向きが異なって且つ、経時的に大きさが変化する磁束を付与する磁界を形成するための励磁コイルを備えるとともに、前記センサユニットは、付与される磁束に応じて誘起電圧を発生する誘導コイルを有するものであって、該励磁コイルにより前記磁界を形成して前記右車輪及び前記左車輪に磁束を付与した際に、前記誘導コイルに発生する前記誘起電圧に基づいて前記センサユニットに付与されている磁束の向きを検出するとともに、検出された磁束の向きの情報を前記応答信号に含めて送信し、同応答信号に含まれている前記磁束の向きの情報に基づいて前記応答信号が前記右車輪及び前記左車輪のいずれのセンサユニットから送信されたかを判別することを要旨としている。
【0012】
上記システム、あるいは上記方法によれば、誘導コイルにより磁界を形成して右車輪及び左車輪に磁束が付与されると、相対的に向きが異なって且つ、経時的に大きさが変化する磁束が右車輪及び左車輪に付与されるようになる。これにより、右車輪及び左車輪のセンサユニットに設けられている誘導コイルにはそれぞれ異なった誘起電圧が発生するため、各車輪のセンサユニットでは、誘起電圧に基づいて磁束の向きを検出した際に、異なる向きの磁束がそれぞれ検出されることとなる。したがって、センサユニットで検出される磁束の向きの情報を応答信号に含めて送信すれば、この磁束の向きの情報に基づいて応答信号が右車輪及び左車輪のいずれのセンサユニットから送信されたかを判別することができるようになる。このため、従来のシステムに搭載されているイニシエータ及びその配線系を省略してシステムの構成を簡易なものとしつつも、右車輪及び左車輪のいずれのタイヤの空気圧に異常が発生したかを判別することができるようになる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記監視装置は、前記励磁コイルの給電経路中に配設されて同励磁コイルに供給される交流電流を制御する電流制御手段を備え、前記励磁コイルに供給される交流電流を制御することによって前記磁界を変化させるとともに、同磁界の変化を通じて前記誘導コイルに発生する誘起電圧の波形が所定の波形となるように前記磁束を前記右車輪及び前記左車輪にそれぞれ付与し、前記センサユニットは、前記誘起電圧の波形が前記所定の波形であるか否かに基づいて前記磁束の向きを検出することを要旨としている。
【0014】
同システムによるように、励磁コイルに供給される交流電流を制御して磁界を変化させるとともに、同磁界の変化を通じて誘導コイルに発生する誘起電圧の波形が所定の波形となるように右車輪及び左車輪に磁束をそれぞれ付与することとすれば、センサユニットでは、誘起電圧の波形が所定の波形であるか否かを検出するだけで磁束の向きを検出することができるようになる。したがって、センサユニットに付与されている磁束の向きを容易に検出することができるようになる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記監視装置は、前記センサユニットに前記応答信号を送信させる起動信号を送信するための送信用コイルアンテナを備えるものであって、前記励磁コイルとして、前記送信用コイルアンテナを流用することを要旨としている。
【0016】
同システムによるように、起動信号を送信するための送信用コイルアンテナを上記誘導コイルとして流用することとすれば、新たな誘導コイルを設ける必要がなくなるため、システムとしてのコストの低減を図ることができるようになる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記電流制御手段が、前記交流電流を半波整流するダイオードであって、前記監視装置は、前記センサユニットに前記応答信号を送信させる起動信号を送信するための送信用コイルアンテナと、前記ダイオードに電気的に並列に接続されるとともに前記励磁コイルの給電経路を断続させるスイッチとを備えるものであって、前記励磁コイルとして、前記送信用コイルアンテナを流用するとともに、前記スイッチをオン/オフ操作することによって、前記送信用コイルアンテナから前記起動信号を送信する状態と、前記送信用コイルアンテナに前記半波整流された交流電流を供給する状態とを切り替えることを要旨としている。
【0018】
送信用コイルに供給される交流電流を制御するための電流制御手段としては、例えばダイオードを利用することが考えられる。ただしこの場合、送信用コイルアンテナに供給される全ての交流電流がダイオードによって半波整流されてしまうと、送信用コイルアンテナから起動信号を送信することができなくなるおそれがある。この点、上記システムによるように、ダイオードに電気的に並列に接続されるとともに励磁コイルの給電経路を断続させるスイッチを設けることとすれば、スイッチをオン/オフ操作するだけでダイオードの整流作用を有効にしたり、あるいは無効にすることができるため、上記請求項2に記載の発明のタイヤ空気圧監視システムを容易に実現することができるようになる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記センサユニットは、前記起動信号を受信するための受信用コイルアンテナを備えるものであって、前記誘導コイルとして、前記受信用コイルアンテナを流用することを要旨としている。
【0020】
同システムによるように、起動信号を受信するための受信用コイルアンテナを上記誘導コイルとして流用することとすれば、新たな誘導コイルを設ける必要がなくなるため、システムとしてのコストの低減を図ることができるようになる。
【0021】
そしてこの場合、請求項3〜5のいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システムにあっては、請求項6に記載の発明によるように、前記監視装置は、前記各車輪のうちの前輪及び後輪のいずれか一方に前記起動信号を送信するとともに、同起動信号の送信に基づき前記応答信号を受信したとき、受信した応答信号は前記前輪及び前記後輪のいずれか一方のセンサユニットから送信されたものであると判別する、といった構成を採用することが有効である。このような構成によれば、応答信号が前輪及び後輪のいずれのセンサユニットから送信されたかを容易に判別することができるようになる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記センサユニットは、前記応答信号を送信する際に、予め登録されている固有の識別コードを前記応答信号に含めて送信するものであって、前記監視装置は、前記応答信号が前記前輪及び前記後輪のいずれか一方のセンサユニットから送信されたか判別した際に、その判別結果に基づいて同応答信号に含まれている識別コードと前記前輪及び前記後輪のいずれか一方の位置とを対応させるかたちで記憶手段に記憶するとともに、前記前輪及び前記後輪のいずれか一方の車輪の位置と前記センサユニットの識別コードとを対応させるかたちで前記記憶手段に記憶した後、前記送信用コイルアンテナから前記起動信号を前記前輪及び前記後輪の双方に送信し、同起動信号の送信に基づき前記応答信号を受信したとき、同応答信号に含まれている識別コードと前記記憶手段に記憶されている識別コードとの比較を行うとともに、同応答信号に含まれている識別コードが前記記憶手段に記憶されている識別コードと一致しないことを条件に、同応答信号は前記前輪及び前記後輪のいずれか他方から送信されたものであると判別することを要旨としている。
【0023】
同システムによれば、送信用コイルアンテナを一つ設けるだけで、応答信号が前輪及び後輪のいずれのセンサユニットから送信されたものであるかを判別することができるため、従来システム、すなわち各車輪にイニシエータが設けられているシステムと比較すると、システムの構成を簡易なものにすることができるようになる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、前記監視装置は、前記各車輪の全ての位置と前記センサユニットの識別コードとを対応させるかたちで前記記憶手段に記憶して以降は、前記応答信号に含まれている前記識別コードと前記記憶手段に記憶されている識別コードとの比較に基づき前記応答信号が前記各車輪のいずれのセンサユニットから送信されたかを判別することを要旨としている。
【0025】
同システムによれば、応答信号に含まれている識別コードと記憶手段に記憶されている識別コードとを比較するだけで、応答信号が各車輪のいずれのセンサユニットから送信されたかを判別することができるようになる。したがって、このような判別を容易に行うことができるようになるため、ひいては各車輪のいずれのタイヤの空気圧に異常が発生したかを容易に判別することができるようになる。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかるタイヤ空気圧監視システム及びタイヤ空気圧検出方法によれば、簡易な構成ながらも、各車輪のいずれのタイヤに異常が発生したかを判別することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの一実施形態についてそのシステム構成を示すブロック図。
【図2】(a),(b)は、同実施形態のタイヤ空気圧監視システムについてその受信用コイルアンテナに供給される電流の変化を示すグラフ。
【図3】同実施形態のタイヤ空気圧監視システムについてそのセンサユニットの斜視構造を示す斜視図。
【図4】同センサユニットのシステム構成を示すブロック図。
【図5】同実施形態のタイヤ空気圧監視システムについて応答信号が右前輪及び左前輪のいずれのセンサユニットから送信されたものであるかを判別する方法を説明するためのブロック図。
【図6】同実施形態のタイヤ空気圧監視システムについてその受信用コイルアンテナに半波整流された交流電流を供給した際に形成される磁界の強さの変化を示すグラフ。
【図7】(a),(b)は、右前輪及び左前輪のセンサユニットに設けられた受信用コイルアンテナに磁束が付与された際の端子の電位の変化をそれぞれ示すグラフ。
【図8】同実施形態のタイヤ空気圧監視システムについて応答信号が右後輪及び左後輪のいずれのセンサユニットから送信されたものであるかを判別する方法を説明するためのブロック図。
【図9】同実施形態のタイヤ空気圧監視システムによる起動信号送信処理の手順を示すフローチャート。
【図10】同実施形態のタイヤ空気圧監視システムによる応答信号送信処理の手順を示すフローチャート。
【図11】同実施形態のタイヤ空気圧監視システムによるフロント側タイヤロケーション登録処理の手順を示すフローチャート。
【図12】同実施形態のタイヤ空気圧監視システムによるリア側タイヤロケーション登録処理の手順を示すフローチャート。
【図13】本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの他の変形例についてそのシステム構成を示すブロック図。
【図14】(a),(b)は、同他の例のタイヤ空気圧監視システムについて右前輪及び左前輪のセンサユニットに設けられた受信用コイルアンテナに磁束が付与された際の端子の電位の変化をそれぞれ示すグラフ。
【図15】本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムの他の変形例についてそのシステム構成を示すブロック図。
【図16】従来のタイヤ空気圧監視システムについてそのシステム構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明にかかるタイヤ空気圧監視システムを具体化した一実施形態について図1〜図12を参照して説明する。図1は、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムのシステム構成をブロック図として示したものであり、はじめに、同図1を参照して、このタイヤ空気圧監視システムの構成について説明する。
【0029】
同図1に示されるように、このタイヤ空気圧監視システムは、車両に設けられた監視装置10と各車輪W1〜W4に設けられたセンサユニットU1〜U4との間で無線通信を行うことによって、各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧や温度を監視するシステムである。
【0030】
ここで、監視装置10には、起動信号Ssを乗せたLF(Low Frequency)帯の無線電波を各車輪W1〜W4に送信するための送信用コイルアンテナ11とともに、センサユニットU1〜U4から送信される応答信号Srを乗せたUHF(Ultra High Frequency)帯の無線電波を受信する受信アンテナ12が設けられている。ちなみに、送信用コイルアンテナ11は、フェライトなどの磁性体からなる棒状のコア11aにコイル11bを螺旋状に巻回した構造からなるものである。また、この送信用コイルアンテナ11は、車両の中央よりも前方側、例えば右前輪W1及び左前輪W2の間の位置であって且つ、その中心軸n1が車両の左右方向と平行となるように配置されている。これにより、送信用コイルアンテナ11から送信されるLF帯の無線電波の強さを制御することによって、前輪W1,W2にのみ起動信号Ssを送信したり、あるいは全ての車輪W1〜W4に起動信号Ssを送信することができるようになっている。また、この監視装置10には、タイヤの空気圧や温度等を車輪W1〜W4毎に各別に表示するとともに、タイヤに異常が生じたときにその旨を運転者に報知するためのインジケータ13が設けられている。そして、上記送信用コイルアンテナ11を介して起動信号Ssを送信する制御、上記受信アンテナ12を介して受信される応答信号Srの処理、並びにインジケータ13の表示処理が、マイクロコンピュータを中心に構成される監視制御装置14によって統括的に行われる。ちなみに、この監視制御装置14には、車両の速度を検出するための車速センサ14aや、記憶手段としての不揮発性のメモリ14bが内蔵されている。
【0031】
一方、この監視装置10では、監視制御装置14から送信用コイルアンテナ11に交流電流を供給するための給電経路中に電流制御手段としてのダイオード15が設けられるとともに、このダイオード15に電気的に並列に接続されるとともに送信用コイルアンテナ11の給電経路を断続させるスイッチ16が設けられている。そして、スイッチ16がオフ状態となっているときにはダイオード15の整流作用が有効となって、図2(a)に実線で示すように、監視制御装置14から送信用コイルアンテナ11に供給される交流電流が半波整流される。なお、正弦波状の変化を図中に二点鎖線で示すように、半波整流された交流電流は、その値が増加する際に、正弦波状の変化よりも緩やかに変化する。これは、コイルのインピーダンスなどの影響によるものである。一方、スイッチ16がオン状態となっているときにはダイオード15の整流作用が無効となって、図2(b)に示すように、監視制御装置14から出力される交流電流はそのまま送信用コイルアンテナ11に供給される。ちなみに、スイッチ16のオン/オフの切り替えは、上記監視制御装置14によって行われる。
【0032】
次に、図3及び図4を参照して、上記センサユニットU1〜U4の構造について詳述する。図3は、センサユニットU1の斜視構造を示したものであり、また、図4は、センサユニットU1のシステム構成をブロック図で示したものである。なお、センサユニットU1〜U4はそれぞれ同一の構造を有しているため、以下では、便宜上、代表してセンサユニットU1の構造についてのみ説明する。
【0033】
同図3に示されるように、このセンサユニットU1は、空気圧センサや温度センサ(図示略)などの各種センサを内蔵するユニット本体21と、このユニット本体21に突設されて空気が吸入される部分となるバルブ22とから構成されている。ちなみに、ユニット本体21には、バルブ22から吸入された空気をタイヤの内部に導くための空気孔21a、及び内蔵される空気圧センサや温度センサにタイヤ内部の空気を導くためのセンサ孔21bが形成されている。また、先の図1に示されるように、各センサユニットU1〜U4は、バルブ22の突出方向(図3の矢印aで示す方向)が車両内側から車両外側に向かう方向となるように各車輪W1〜W4にそれぞれ装着されている。すなわち、センサユニットU1,U2、並びにセンサユニットU3,U4は、図中に一点鎖線で示す車両中心軸線mに対して互いに線対称となるようにそれぞれ配置されている。
【0034】
一方、図4に示されるように、このセンサユニットU1には、上記監視装置10から送信される起動信号Ssを乗せたLF帯の無線電波を受信するための受信用コイルアンテナ25と、上記応答信号Srを乗せたUHF帯の無線電波を送信するための送信アンテナ26とが設けられている。ちなみに、受信用コイルアンテナ25も、フェライトなどの磁性体からなる棒状のコア25aにコイル25bを螺旋状に巻回した構造からなるものであって、その中心軸n2が先の図3の矢印aで示す方向と平行となるように配置されている。また、このセンサユニットU1には、タイヤの状態量を検出するためのセンサとして、上述した空気圧センサ23及び温度センサ24が設けられている。そして、これらの各センサ23,24の出力信号が、マイクロコンピュータを中心に構成されるセンサ制御装置27に取り込まれている。このセンサ制御装置27は、上記受信用コイルアンテナ25を介して受信される起動信号Ssを処理したり、あるいは起動信号Ssを受信した際に各センサ23,24の出力信号に基づいて上記応答信号Srを生成してこれを送信アンテナ26から送信する部分である。また、このセンサ制御装置27には、記憶手段としての不揮発性のメモリ27aが内蔵されており、このメモリ27aに、センサユニットU1固有の識別コード(IDコード)ID1などの情報が記憶されている。なお、センサユニットU2〜U4に内蔵されるメモリには、それぞれ異なる識別コードID2〜ID4がそれぞれ記憶されている。なお、図中の符号Pは、センサ制御装置27において受信用コイルアンテナ25に接続される端子を示している。
【0035】
次に、図5〜図8を参照して、応答信号Srが各車輪W1〜W4のいずれのセンサユニットU1〜U4から送信されたものであるかを判別する方法について説明する。
同図5に示されるように、監視制御装置14は、まず、上記スイッチ16をオン操作してダイオード15の整流作用を無効状態とした上で、送信用コイルアンテナ11に交流電流を送信することによって同送信用コイルアンテナ11から起動信号Ssを送信する。なおこのとき、監視制御装置14は、送信用コイルアンテナ11に供給する交流電流の大きさを適宜に調整することによって起動信号Ssを前輪W1,W2にのみ送信する。また、監視制御装置14は、起動信号Ssの送信を完了した後、スイッチ16をオフ操作することによってダイオード15の整流作用を有効状態とするとともに、送信用コイルアンテナ11に所定の交流電流を供給する。これにより、先の図2(a)に例示した半波整流された交流電流が送信用コイルアンテナ11に供給されて、図中に二点鎖線で示されるような磁界M1が形成される。なおこのとき、送信用コイルアンテナ11によって形成される磁界の強さは、電流に比例するため、図6に示すように、半波整流された電流と同じ経時変化となる。
【0036】
一方、図5に示されるように、センサユニットU1,U2では、監視装置10から送信される起動信号Ssを上記受信用コイルアンテナ25を介して受信すると、この起動信号Ssが上記センサ制御装置27に伝達される。そして、センサ制御装置27では、このようにして起動信号Ssが伝達されると、上記端子Pの電位を監視する。ところで、図中に二点鎖線で示されるように磁界M1が形成されたとき、前輪W1,W2のセンサユニットU1,U2には経時的に大きさが変化する磁束が交差される。このため、それぞれのセンサユニットU1,U2の受信用コイルアンテナ25には、電磁誘導作用によって誘起電圧Uが発生する。なおこのとき、例えば図中に矢印で示すように、右前輪W1のセンサユニットU1にはバルブ22の突出方向と同じ向きの磁束B1が交差されるのに対し、左前輪W2のセンサユニットU2にはバルブ22の突出方向と逆の向きの磁束B2が交差される。すなわち、センサユニットU1,U2に交差される磁束の向きは相対的に異なる方向となる。ここで、誘起電圧Uと磁束Φとの間には次の関係式(1)が成立する。
【0037】
U=−(dΦ/dt)・・・(1)
すなわち、誘起電圧Uは、受信用コイルアンテナ25に交差する磁束Φの時間変化に応じて発生するため、正弦波を正側に半波整流した電流と同じ経時変化をする磁束に対しては余弦波の「0°〜180°」の範囲の電圧波形となる。このため、センサユニットU1,U2の受信用コイルアンテナ25には、それぞれ異なる誘起電圧Uが発生する。図7(a),(b)は、このような誘起電圧Uが発生したときの上記端子Pの電位の波形をセンサユニットU1,U2毎に示したものである。同図7(a)に示されるように、センサユニットU1の端子Pの電位は、「0[V]」を示す状態が継続した後に緩やかに増加し、その後に余弦波状に単調減少するといった波形を繰り返す。これに対し、図7(b)に示されるように、センサユニットU2の端子Pの電位は、「0[V]」を示す状態が継続した後に緩やかに減少し、その後に余弦波状に単調増加するといった波形を繰り返す。そこで上記センサ制御装置27は、端子Pの電位の波形に基づいて、センサユニットに付与されている磁束の向きを以下の(a1),(a2)に示すように判断するようにしている。
【0038】
(a1)端子Pの電位の波形が余弦波状に単調減少する波形を示した場合。この場合には、センサユニットに付与されている磁束の向きはバルブの突出方向と同じ向きであると判断する。
【0039】
(a2)端子Pの電位の波形が余弦波状に単調増加する波形を示した場合。この場合には、センサユニットに付与されている磁束の向きはバルブの突出方向と逆の向きであると判断する。
【0040】
そして、センサ制御装置27は、この判断処理を通じて得られる磁束の向きの情報、上記各センサ23,24を通じて検出されるタイヤの空気圧及び温度、並びにメモリ27aに記憶されている識別コードなどの情報を含む応答信号Srを生成してこれを監視装置10に送信する。
【0041】
こうしてセンサユニットU1,U2から応答信号Srが送信されると、図5に示されるように、監視装置10では、この応答信号Srが受信アンテナ12を介して受信されるとともに監視制御装置14に伝達される。そして、監視制御装置14では、この応答信号Srに含まれている磁束の向きの情報に基づいて次のような判断処理を行う。まず、応答信号Srに含まれている磁束の向きの情報がバルブの突出方向と同じ向きであることを示すものである場合には、受信した応答信号Srは右前輪W1のセンサユニットU1から送信されたものであると判別する。一方、応答信号Srに含まれている磁束の向きの情報がバルブの突出方向と逆の向きであることを示すものである場合には、受信した応答信号Srは左前輪W2のセンサユニットU2から送信されたものであると判別する。そして、監視制御装置14は、この判別結果のもとに、同応答信号Srに含まれている識別コードID1,ID2を右前輪W1及び左前輪W2のセンサユニットの識別コードとしてメモリ14bに記憶させる。
【0042】
続いて、図8に示すように、監視制御装置14は、上記スイッチ16をオンさせた状態で適宜の交流電流を送信用コイルアンテナ11に供給することによって、今度は全ての車輪W1〜W4に上記起動信号Ssを送信する。また、起動信号Ssの送信が完了した後、スイッチ16をオフさせた状態で適宜の交流電流を送信用コイルアンテナ11に供給することによって、図中に二点鎖線で示されるような磁界M2を形成する。これにより、全ての車輪W1〜W4に例えば図中の矢印で示すような磁束B1〜B4が付与されるようになる。一方、監視装置10から送信された起動信号Ssが各センサユニットU1〜U4によって受信されると、各センサユニットU1〜U4のセンサ制御装置27は、上記(a1),(a2)に示した判断手法に基づいて磁束の向きを判断するとともに、その判断結果等の情報を含む応答信号Srを監視装置10に送信する。そして、各センサユニットU1〜U4から送信される応答信号が監視装置10によって受信されると、監視制御装置14は、まず、受信した応答信号Srに含まれている識別コードが既にメモリ14bに記憶されているか否かを判断する。そして、応答信号Srに含まれている識別コードが既にメモリ14bに記憶されている場合には、この応答信号Srは前輪W1,W2のセンサユニットU1,U2から送信されたものであると判断してこれを破棄する。一方、受信した応答信号Srに含まれている識別コードがメモリ14bに記憶されていない場合には、この応答信号Srは後輪W3,W4のセンサユニットU3,U4から送信されたものであると判断する。そして、この応答信号Srに含まれている磁束の向きの情報に基づいて、応答信号Srが右後輪W3及び左後輪W4のいずれのセンサユニットU3,U4から送信されたものであるかを判別する。
【0043】
なお、監視制御装置14は、このような手法に基づいて応答信号Srが各車輪W1〜W4のいずれから送信されたものであるかを判別したときに、その判別結果に基づいて応答信号Srに含まれているタイヤの空気圧や温度の情報を車輪W1〜W4毎に各別にインジケータ13に表示する。また、各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧、あるいは温度に異常が検出された場合には、どの車輪のタイヤに異常が発生したかを判別することができるかたちでインジケータ13に表示する。
【0044】
また、各センサユニットU1〜U4は、起動信号Ssを受信した際に、それぞれ異なった遅延時間だけ待機して応答信号Srを送信するように設定されている。そして、このような構成によって、センサユニットU1〜U4から送信される応答信号Srの干渉が抑制されている。
【0045】
タイヤ空気圧監視システムとしてのこうした構成によれば、従来のシステムに搭載されているイニシエータ及びその配線系を省略してシステムの構成を簡易なものとしつつも、応答信号Srが各車輪W1〜W4のいずれのセンサユニットU1〜U4から送信されたものであるかを判別することができるようになる。このため、各車輪W1〜W4のいずれのタイヤに異常が発生したかを判別することができるようになる。
【0046】
以下、このような判別手法に基づいて各車輪W1〜W4のタイヤの空気圧や温度の情報をインジケータ13に表示するにあたり、監視制御装置14及びセンサ制御装置27によって実行される処理について図9〜図12を参照して総括する。
【0047】
図9は、監視制御装置14によって実行される各車輪W1〜W4に起動信号Ssを送信する処理の手順を示したものである。なおこの処理は、例えば上記車速センサ14aを通じて検出される車両の速度が一定以上である旨が判断されたときに実行される。
【0048】
同図9に示されるように、この処理では、はじめに、上記スイッチ16がオン操作されるとともに(ステップS10)、前輪W1,W2にのみ起動信号Ssが送信される(ステップS11)。そして、続くステップS12の処理として、上記スイッチ16がオフ操作されるとともに、半波整流された交流電流が送信用コイルアンテナ11に供給されて、上記磁界M1が形成される(ステップS13)。またこのとき、磁界M1を形成し始めてから所定時間T1が経過したか否かが判断される(ステップS14)。具体的には、磁界M1を形成し始めた時点から経過時間が監視制御装置14の内部タイマを通じて計測されるとともに、この経過時間が所定時間T1以上となったことをもって、磁界M1を形成し始めてから所定時間T1が経過した旨が判断される。そして、ステップS13の処理は、磁界M1を形成し始めてから所定時間T1が経過するまでの期間、継続して実行される。そして、所定時間T1が経過した旨が判断された場合には(ステップS14:YES)、上記スイッチ16がオン操作されて(ステップS15)、今度は全ての車輪W1〜W4に起動信号Ssが送信される(ステップS16)。そして、続くステップS17の処理として、上記スイッチ16がオフ操作されるとともに、半波整流された交流電流が送信用コイルアンテナ11に供給されて、上記磁界M2が形成される(ステップS18)。またこのときにも、磁界M2を形成し始めてから所定時間T1が経過したか否かが判断されて(ステップS19)、所定時間T1が経過するまでの期間、ステップS18の処理が継続される。そして、磁界M2を形成し始めてから所定時間T1が経過した旨が判断された場合には(ステップS19:YES)、監視制御装置14は、この一連の処理を終了する。
【0049】
次に、図10を参照して、センサ制御装置27によって実行される応答信号Srを送信する処理の手順について説明する。なお、この処理は、所定の演算周期をもって繰り返し実行される。
【0050】
同図10に示されるように、この処理では、はじめに、起動信号Ssを受信したか否かが判断されて(ステップS20)、起動信号Ssを受信した旨が判断された場合には(ステップS20:YES)、上記受信アンテナ12で発生する誘起電圧が所定時間だけ監視される(ステップS21)。なお、このステップS21の処理では、具体的には、上記端子Pの電位が監視される。また、所定時間は、受信用コイルアンテナ25に発生する誘起電圧の推移を検出することのできる十分長い時間に設定されている。そして、続くステップS22の処理として、上述した(a1),(a2)の判断手法に基づいてセンサユニットに付与されている磁束の向きが検出されるとともに、上記センサ23,24を通じてタイヤの空気圧及び温度が検出された後(ステップS23)、応答信号Srが生成される(ステップS24)。そして、ステップS24の処理に続いて、応答信号Srが送信アンテナ26から送信されて(ステップS25)、監視制御装置14はこの一連の処理を終了する。
【0051】
次に、図11を参照して、監視制御装置14を通じて実行される前輪W1,W2のセンサユニットU1,U2の識別コードを取得する処理の手順について説明する。なおこの処理は、上記磁界M1を形成し始めた時点から上記所定時間T1が経過するまでの期間に所定の演算周期をもって繰り返し実行される。
【0052】
同図11に示されるように、この処理では、はじめに、上記応答信号Srを受信したか否かが判断されて(ステップS30)、応答信号Srを受信した旨が判断された場合には(ステップS30:YES)、受信した応答信号Srに含まれている磁束の向きの情報がバルブの突出方向aと同じ向きであることを示すものであるか否かが判断される(ステップS31)。ここで、応答信号Srに含まれている磁束の向きの情報がバルブの突出方向と同じ向きである旨が判断された場合には(ステップS31:YES)、応答信号Srに含まれている識別コードが右前輪W1のセンサユニットの識別コードとしてメモリ14bに記憶される(ステップS32)。そして、続くステップS33の処理として、応答信号Srに含まれているタイヤの空気圧や温度の情報が右前輪W1のタイヤの情報としてインジケータ13に表示されて、監視制御装置14はこの一連の処理を終了する。
【0053】
一方、ステップS31の判断処理において応答信号Srに含まれている磁束の向きの情報がバルブの突出方向と同じ向きでない旨が判断された場合には(ステップS31:NO)、応答信号Srに含まれている識別コードが左前輪W2のセンサユニットの識別コードとしてメモリ14bに記憶される(ステップS34)。そして、続くステップS35の処理として、応答信号Srに含まれているタイヤの空気圧や温度の情報が左前輪W2のタイヤの情報としてインジケータ13に表示されて、監視制御装置14はこの一連の処理を終了する。
【0054】
次に、図12を参照して、監視制御装置14を通じて実行される後輪W3,W4のセンサユニットU3及びU4の識別コードを取得する処理の手順について説明する。なおこの処理は、上記磁界M2を形成し始めた時点から上記所定時間T1が経過するまでの期間に所定の演算周期をもって繰り返し実行される。
【0055】
同図12に示されるように、この処理では、はじめに、上記応答信号Srを受信したか否かが判断されて(ステップS40)、応答信号Srを受信した旨が判断された場合には(ステップS40:YES)、応答信号Srに含まれている識別コードがメモリ14bに既に記憶されているか否かが判断される(ステップS41)。ここで、応答信号Srに含まれている識別コードがメモリ14bに既に記憶されていた場合には(ステップS41:YES)、監視制御装置14はこの一連の処理を終了する。
【0056】
一方、応答信号Srに含まれている識別コードがメモリ14bに記憶されていなかった場合には(ステップS41:NO)、応答信号Srに含まれている磁束の向きの情報がバルブの突出方向と同じ向きであることを示すものであるか否かが判断される(ステップS42)。ここで、応答信号Srに含まれている磁束の向きの情報がバルブの突出方向と同じ向きである旨が判断された場合には(ステップS42:YES)、応答信号Srに含まれている識別コードが左後輪W4のセンサユニットの識別コードとしてメモリ14bに記憶される(ステップS43)。そして、続くステップS44の処理として、応答信号Srに含まれているタイヤの空気圧や温度の情報が左後輪W4のタイヤの情報としてインジケータ13に表示されて、監視制御装置14はこの一連の処理を終了する。
【0057】
また一方、ステップS42の判断処理において応答信号Srに含まれている磁束の向きの情報がバルブの突出方向と同じ向きでない旨が判断された場合には(ステップS42:NO)、応答信号Srに含まれている識別コードが右後輪W3のセンサユニットの識別コードとしてメモリ14bに記憶される(ステップS45)。そして、続くステップS46の処理として、応答信号Srに含まれているタイヤの空気圧や温度の情報が右後輪W3のタイヤの情報としてインジケータ13に表示されて、監視制御装置14はこの一連の処理を終了する。
【0058】
ちなみに、上記監視制御装置14は、各センサユニットU1〜U4の識別コードID1〜ID4と各車輪W1〜W4の位置とを対応させるかたちでメモリ14bに記憶させる、いわゆるタイヤロケーション登録が完了して以降は、応答信号Srが各車輪W1〜W4のいずれのセンサユニットから送信されたかを次のように判断する。すなわち、応答信号Srを上記受信アンテナ12を介して受信したときに、同応答信号Srに含まれている識別コードとメモリ14bに記憶されている識別コードとを比較するとともに、その比較結果に基づいて応答信号Srが各車輪W1〜W4のいずれのセンサユニットから送信されたかを判別する。具体的には、例えば応答信号Srに含まれている識別コードがID1である旨を判断したとき、この応答信号Srは右前輪W1のセンサユニットU1から送信されたものであると判別する。また、この判別結果に基づいて、応答信号Srに含まれているタイヤの空気圧や温度の情報をインジケータ13に表示する処理も行う。これにより、応答信号Srが各車輪W1〜W4のいずれのセンサユニットU1〜U4から送信されたかを容易に判別することができるようになるとともに、各車輪W1〜W4のいずれのタイヤに異常が生じたか容易に判別することができるようにもなる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態にかかるタイヤ空気圧監視システムによれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)相対的に向きが異なって且つ、経時的に大きさが変化する磁束B1〜B4を各車輪W1〜W4にそれぞれ付与するようにした。そして、センサユニットU1〜U4では、付与されている磁束の向きを検出するとともに、検出された磁束の向きの情報を応答信号Srに含めて送信するようにした。一方、監視装置10では、応答信号Srに含まれている磁束の向きの情報に基づいて、応答信号Srが右車輪W1,W3及び左車輪W2,W4のいずれのセンサユニットから送信されたかを判別するようにした。これにより、従来のシステムに搭載されているイニシエータ及びその配線系を省略してその構成を簡易なものとしつつも、右車輪W1,W3及び左車輪W2,W4のいずれのタイヤに異常が発生したかを判別することができるようになる。
【0060】
(2)右車輪W1,W3及び左車輪W2,W4に磁束をそれぞれ付与するための磁界を形成する励磁コイルとして、起動信号Ssを送信するための送信用コイルアンテナ11を流用した。これにより、新たな励磁コイルを車両に設ける必要がなくなるため、システムとしてのコストの低減を図ることができるようになる。
【0061】
(3)送信用コイルアンテナ11に供給する交流電流を半波整流するためのダイオードを設けた上で、このダイオード15を通じて半波整流された交流電流を送信用コイルアンテナ11に供給することによって磁界M1,M2を形成するようにした。これにより、相対的に向きが異なって且つ、経時的に変化する磁束B1〜B4を各車輪W1〜W4に容易に付与することができるようになる。
【0062】
(4)ダイオード15に電気的に並列に接続するかたちでスイッチ16を設けた上で、このスイッチ16をオン/オフ操作することによって、送信用コイルアンテナ11から起動信号Ssを送信する状態と、送信用コイルアンテナ11に半波整流された交流電流を供給する状態とを切り替えるようにした。これにより、監視装置10では、これら2つの状態を容易に切り替えることができるようになる。
【0063】
(5)センサユニットU1〜U4に付与される磁束に応じて誘起電圧を発生する誘導コイルとして、起動信号Ssを受信するための受信用コイルアンテナ25を流用した。これにより、新たな誘導コイルを設ける必要がなくなるため、システムとしてのコストの低減を図ることができるようになる。
【0064】
(6)監視装置10では、前輪W1,W2にのみ起動信号Ssを送信するとともに、その際に応答信号Srを受信したときに、受信した応答信号Srは前輪W1,W2のセンサユニットU1,U2から送信されたものであると判別するようにした。そして、その判別結果に基づいて応答信号Srに含まれている識別コードと前輪W1,W2の位置とを対応させるかたちでメモリ14bに記憶させるようした。また、センサユニットの識別コードと前輪W1,W2の位置とを対応させるかたちでメモリ14bに記憶させた後に、起動信号Ssを全ての車輪W1〜W4に送信するようにした。そして、その際に応答信号Srを受信したときに、同応答信号Srに含まれている識別コードとメモリ14bに記憶されている識別コードとの比較を行い、応答信号Srに含まれている識別コードがメモリ14bに記憶されていないことを条件に、同応答信号Srは後輪W3,W4のセンサユニットU3,U4から送信されたものであると判別するようにした。これにより、従来のシステムに搭載されているイニシエータ及びその配線系を省略してその構成を簡易なものとしつつも、応答信号Srが前輪W1,W2及び後輪W3,W4のいずれのセンサユニットから送信されたかを判別することができるようになる。
【0065】
(7)監視装置10では、全ての車輪W1〜W4の位置とセンサユニットU1〜U4の識別コードID1〜ID4とを対応させるかたちでメモリ14bに記憶して以降は、応答信号Srに含まれている識別コードとメモリ14bに記憶されている識別コードとの比較に基づき、応答信号Srが各車輪W1〜W4のいずれのセンサユニットから送信されたかを判別するようにした。これにより、応答信号Srが各車輪W1〜W4のいずれのセンサユニットU1〜U4から送信されたかを容易に判別することができるようになり、ひいては各車輪W1〜W4のいずれのタイヤに異常が発生したかを容易に判別することができるようになる。
【0066】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態では、センサユニットU1〜U4に付与されている磁束の向きを上記(a1),(a2)に示した手法に基づいて判断するようにした。これに代えて、例えば以下の(b1),(b2)に示すように判断してもよい。
【0067】
(b1)端子Pの電位が「0[V]」を示す状態が所定時間だけ継続した後に増加した場合。この場合には、センサユニットに付与されている磁束の向きはバルブの突出方向と同じ向きであると判断する。
【0068】
(b2)端子Pの電位が「0[V]」を示す状態が所定時間だけ継続した後に減少した場合。この場合には、センサユニットに付与されている磁束の向きはバルブの突出方向と逆の向きであると判断する。
【0069】
要は、先の図7(a),(b)に例示した端子Pの電位の波形に基づいてセンサユニットU1〜U4に付与されている磁束の向きを検出するものであればよい。
・上記実施形態では、ダイオード15を通じて半波整流された交流電流を送信用コイルアンテナ11に供給することによって、相対的に向きが異なって且つ、経時的に大きさが変化する磁束B1〜B4を各車輪W1〜W4にそれぞれ付与するようにした。これに代えて、例えば次のような構成を採用してもよい。まず、先の図1に対応する図として図13を示すように、上記ダイオード15に代えて双方向サイリスタ18を設ける。また、監視制御装置14は、双方向サイリスタ18のゲート端子に適宜のトリガ信号を入力してその整流機能を制御することによって、送信用コイルアンテナ11に供給される交流電流を制御する。これにより、送信用コイルアンテナ11によって形成される磁界M1,M2を所要に変化させて、センサユニットU1,U2の受信用コイルアンテナ25に発生する誘起電圧を例えば図14に示す波形となるようにそれぞれ変化させる。すなわち、図14(a)に示されるように、センサユニットU1の受信用コイルアンテナ25に発生する誘起電圧を正の範囲で変化させるのに対し、センサユニットU2の受信用コイルアンテナ25に発生する誘起電圧を負の範囲で変化させる。そして、センサユニットU1,U2に付与されている磁束の向きを以下の(c1),(c2)で示すように判断する。
【0070】
(c1)端子Pの電位の波形が正の値で変化する波形を示した場合。この場合には、センサユニットに付与されている磁束の向きはバルブの突出方向と同じ向きであると判断する。
【0071】
(c2)端子Pの電位の波形が負の値で変化する波形を示した場合。この場合には、センサユニットに付与されている磁束の向きはバルブの突出方向と逆の向きであると判断する。
【0072】
こうした構成であっても、センサユニットU1〜U4に付与されている磁束の向きを検出することは可能である。
・上記実施形態では、各車輪W1〜W4に付与される磁束B1〜B4の向きは一方向であったが、これらの磁束B1〜B4の向きを経時的に変化させてもよい。この場合、センサユニットU1〜U4では、例えば上記受信用コイルアンテナ25に発生する誘起電圧に基づいて、付与されている磁束の向きがバルブ22の突出方向からその逆の方向に変化したか、あるいはバルブ22の突出方向と逆の方向から突出方向に変化したかを検出する。そして、センサユニットU1〜U4は、検出された磁束の向きの情報を応答信号Srに含めて送信する。そして、監視制御装置14では、応答信号Srに含まれている磁束の向きの変化態様に基づいて、応答信号Srが右車輪W1,W3及び左車輪W2,W4のいずれのセンサユニットから送信されたかを判別する。このような方法であっても、応答信号Srが右車輪W1,W3及び左車輪W2,W4のいずれのセンサユニットから送信されたかを判別することが可能である。
【0073】
・上記実施形態では、送信用コイルアンテナ11を車両の中央よりも前方側に配置するようにしたが、これに代えて、例えば車両の中央よりも後方側に配置してもよい。なおこの場合には、先の図9に例示した起動信号送信処理のステップS11の処理として、後輪W3,W4にのみ起動信号Ssを送信する処理を、また、ステップS13の処理として、後輪W3,W4に磁束を付与するための磁界を形成する処理をそれぞれ実行する。このような構成であっても、上記(1)〜(6)の効果に準じた効果を得ることは可能である。
【0074】
・図15に示されるように、車両の後方に送信用コイルアンテナ17を更に設けた上で、応答信号Srが前輪W1,W2及び後輪W3,W4のいずれから送信されたかを次のように判別してもよい。まず、監視制御装置14は、送信用コイルアンテナ11から前輪W1,W2にのみ起動信号Ssを送信するとともに、送信用コイルアンテナ11に半波整流された交流電流を供給することによって前輪W1,W2に磁束を付与する。そして、監視制御装置14は、このような起動信号Ssの送信に基づいて応答信号Srを受信したときに、受信した応答信号Srは前輪W1,W2のセンサユニットから送信されたものであると判別する。また、応答信号Srに含まれている磁束の向きの情報に基づいて右前輪W1及び左前輪W2のいずれから送信されたかを判別する。その後、監視制御装置14は、今度は送信用コイルアンテナ17から後輪W3,W4にのみ起動信号を送信するとともに、送信用コイルアンテナ11に半波整流された交流電流を供給することによって後輪W3,W4に磁束を付与する。そして、監視制御装置14は、このような起動信号Ssの送信に基づいて応答信号Srを受信したときに、受信した応答信号Srは後輪W3,W4のセンサユニットから送信されたものであると判別する。また、応答信号Srに含まれている磁束の向きの情報に基づいて右後輪W3及び左後輪W4のいずれから送信されたかを判別する。このような判別手法を用いれば、応答信号Srが各車輪W1〜W4のいずれのセンサユニットから送信されたかを容易に判別することができるようになる。
【0075】
・上記実施形態では、起動信号Ssの送信が完了した後に、送信用コイルアンテナ11に供給する交流電流を半波整流することによって、各車輪W1〜W4に一方向の磁束B1〜B4を付与するようにした。これに代えて、例えば起動信号Ssの送信中に、あるいは起動信号Ssを送信する以前に半波整流された交流電流を送信用コイルアンテナ11に供給することによって、各車輪W1〜W4に磁束B1〜B4を付与するようにしてもよい。
【0076】
・上記実施形態では、各車輪W1〜W4のセンサユニットU1〜U4の識別コードをメモリ14bに記憶する処理を実行したが、この処理は割愛することも可能である。この場合には、応答信号Srを受信アンテナ12を介して受信する都度、応答信号Srに含まれている磁束の向きの情報に基づいて同応答信号Srが各車輪W1〜W4のいずれのセンサユニットから送信されたかを判別すればよい。
【0077】
・上記送信用コイルアンテナ11の中心軸n1の向きは適宜変更することが可能である。同様に、受信用コイルアンテナ25の中心軸n2の向きも適宜変更することが可能である。 ・上記実施形態では、各車輪W1〜W4に磁束B1〜B4をそれぞれ付与する磁界を形成するための励磁コイルとして、起動信号Ssを送信するための送信用コイルアンテナ11を流用したが、送信用コイルアンテナ11とは別に励磁コイルを設けてもよい。
【0078】
・上記実施形態では、センサユニットU1〜U4に付与される磁束に応じて誘起電圧を発生する誘導コイルとして、起動信号Ssを受信するための受信用コイルアンテナ25を流用したが、受信用コイルアンテナ25とは別に誘導コイルを設けてもよい。
【符号の説明】
【0079】
P…端子、B1〜B4…磁束、M1,M2…磁界、Sr…応答信号、Ss…起動信号、U1〜U4…センサユニット、W1…右前輪、W2…左前輪、W3…右後輪、W4…左後輪、10…監視装置、11,17…送信用コイルアンテナ、11a…コア、11b…コイル、12…受信アンテナ、13…インジケータ、14…監視制御装置、14a…車速センサ、14b…メモリ、15…ダイオード、16…スイッチ、18…双方向サイリスタ、21…ユニット本体、21a…空気孔、21b…センサ孔、22…バルブ、23…空気圧センサ、24…温度センサ、25…受信用コイルアンテナ、25a…コア、25b…コイル、26…送信アンテナ、27…センサ制御装置、27a…メモリ、30a〜30d…イニシエータ、32…受信機、33…制御装置、34…インジケータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の各車輪に設けられてタイヤの空気圧を検出するとともに、検出された空気圧の情報を含む応答信号を無線送信するセンサユニットと、前記応答信号に含まれている空気圧の情報に基づいて各車輪のタイヤの空気圧を監視する監視装置とを備えるタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記各車輪のうちの右車輪及び左車輪に相対的に向きが異なって且つ、経時的に大きさが変化する磁束をそれぞれ付与する磁界を形成するための励磁コイルを備え、
前記センサユニットは、付与される磁束に応じて誘起電圧を発生する誘導コイルを有して、前記誘起電圧に基づいて当該センサユニットに付与されている磁束の向きを検出するとともに、同磁束の向きの情報を前記応答信号に含めて送信するものであり、
前記監視装置は、前記応答信号に含まれている前記磁束の向きの情報に基づいて同応答信号が前記右車輪及び左車輪のいずれのセンサユニットから送信されたかを判別する
ことを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。
【請求項2】
前記監視装置は、前記励磁コイルの給電経路中に配設されて同励磁コイルに供給される交流電流を制御する電流制御手段を備え、前記励磁コイルに供給される交流電流を制御することによって前記磁界を変化させるとともに、同磁界の変化を通じて前記誘導コイルに発生する誘起電圧の波形が所定の波形となるように前記磁束を前記右車輪及び前記左車輪にそれぞれ付与し、前記センサユニットは、前記誘起電圧の波形が前記所定の波形であるか否かに基づいて前記磁束の向きを検出する
請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項3】
前記監視装置は、前記センサユニットに前記応答信号を送信させる起動信号を送信するための送信用コイルアンテナを備えるものであって、前記励磁コイルとして、前記送信用コイルアンテナを流用する
請求項1又は2に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項4】
請求項2に記載のタイヤ空気圧監視システムにおいて、
前記電流制御手段が、前記交流電流を半波整流するダイオードであって、
前記監視装置は、前記センサユニットに前記応答信号を送信させる起動信号を送信するための送信用コイルアンテナと、前記ダイオードに電気的に並列に接続されるとともに前記励磁コイルの給電経路を断続させるスイッチとを備えるものであって、前記励磁コイルとして、前記送信用コイルアンテナを流用するとともに、前記スイッチをオン/オフ操作することによって、前記送信用コイルアンテナから前記起動信号を送信する状態と、前記送信用コイルアンテナに前記半波整流された交流電流を供給する状態とを切り替える
ことを特徴とするタイヤ空気圧監視システム。
【請求項5】
前記センサユニットは、前記起動信号を受信するための受信用コイルアンテナを備えるものであって、前記誘導コイルとして、前記受信用コイルアンテナを流用する
請求項3又は4に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項6】
前記監視装置は、前記各車輪のうちの前輪及び後輪のいずれか一方に前記起動信号を送信するとともに、同起動信号の送信に基づき前記応答信号を受信したとき、受信した応答信号は前記前輪及び前記後輪のいずれか一方のセンサユニットから送信されたものであると判別する
請求項3〜5のいずれか一項に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項7】
前記センサユニットは、前記応答信号を送信する際に、予め登録されている固有の識別コードを前記応答信号に含めて送信するものであって、
前記監視装置は、前記応答信号が前記前輪及び前記後輪のいずれか一方のセンサユニットから送信されたか判別した際に、その判別結果に基づいて同応答信号に含まれている識別コードと前記前輪及び前記後輪のいずれか一方の位置とを対応させるかたちで記憶手段に記憶するとともに、前記前輪及び前記後輪のいずれか一方の車輪の位置と前記センサユニットの識別コードとを対応させるかたちで前記記憶手段に記憶した後、前記送信用コイルアンテナから前記起動信号を前記前輪及び前記後輪の双方に送信し、同起動信号の送信に基づき前記応答信号を受信したとき、同応答信号に含まれている識別コードと前記記憶手段に記憶されている識別コードとの比較を行うとともに、同応答信号に含まれている識別コードが前記記憶手段に記憶されている識別コードと一致しないことを条件に、同応答信号は前記前輪及び前記後輪のいずれか他方から送信されたものであると判別する
請求項6に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項8】
前記監視装置は、前記各車輪の全ての位置と前記センサユニットの識別コードとを対応させるかたちで前記記憶手段に記憶して以降は、前記応答信号に含まれている前記識別コードと前記記憶手段に記憶されている識別コードとの比較に基づき前記応答信号が前記各車輪のいずれのセンサユニットから送信されたかを判別する
請求項7に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項9】
車両の各車輪に装着されたタイヤの空気圧を検出するとともに、検出された空気圧の情報を含む応答信号を無線送信するセンサユニットを有し、前記応答信号に含まれている空気圧の情報に基づき各車輪のタイヤの空気圧を検出するタイヤ空気圧検出方法において、
前記各車輪のうちの右車輪及び左車輪に相対的に向きが異なって且つ、経時的に大きさが変化する磁束を付与する磁界を形成するための励磁コイルを備えるとともに、前記センサユニットは、付与される磁束に応じて誘起電圧を発生する誘導コイルを有するものであって、
該励磁コイルにより前記磁界を形成して前記右車輪及び前記左車輪に磁束を付与した際に、前記誘導コイルに発生する前記誘起電圧に基づいて前記センサユニットに付与されている磁束の向きを検出するとともに、検出された磁束の向きの情報を前記応答信号に含めて送信し、同応答信号に含まれている前記磁束の向きの情報に基づいて前記応答信号が前記右車輪及び前記左車輪のいずれのセンサユニットから送信されたかを判別する
ことを特徴とするタイヤ空気圧検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−183948(P2011−183948A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51915(P2010−51915)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】